(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118049
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】衣類乾燥装置
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20240823BHJP
G01N 27/04 20060101ALI20240823BHJP
D06F 58/38 20200101ALI20240823BHJP
【FI】
D06F58/02 Z
G01N27/04 B
D06F58/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024222
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】加藤 崇文
【テーマコード(参考)】
2G060
3B166
3B167
【Fターム(参考)】
2G060AA08
2G060AA19
2G060AC01
2G060AF07
2G060AG03
2G060AG10
2G060CF06
2G060HA04
2G060HC06
3B166AA24
3B166AB24
3B166AB29
3B166BA06
3B166CA01
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3B167BA06
3B167KA08
3B167KA66
3B167LE07
3B167LF02
3B167LG11
(57)【要約】
【課題】衣類の乾燥中に乾燥度合いが検出できなくなる虞のない衣類乾燥装置(1)を提供する。
【解決手段】回転ドラム(11)内に乾燥センサ(20)を搭載して、乾燥センサの検出用電極(22)は乾燥検出回路(52,54)に接続し、乾燥センサの接地電極(23)はアースに接続して、衣類が乾燥センサに接触した時の検出用電極と接地電極との間の抵抗値に基づいて衣類の乾燥度合いを検出する。ここで、乾燥センサの接地電極側のインピーダンスを、検出用電極側のインピーダンスよりも低インピーダンスにしておく。こうすれば、回転ドラム内で衣類が擦れ合って衣類に静電気が発生しても、その衣類が接地電極に接触すると静電気が接地電極から速やかにアースに放出される。このため、静電気で乾燥検出回路が破損して乾燥度合いを検出できなくなる事態を防止できる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類が収容された回転ドラムを回転させながら、前記回転ドラムの内部に加熱空気を供給することによって前記回転ドラム内の衣類を乾燥させる衣類乾燥装置において、
前記回転ドラムの内部に面する状態で搭載された乾燥センサと、
前記乾燥センサに接続されて、前記回転ドラムの内部で乾燥中の前記衣類の乾燥度合いを検出する乾燥検出回路と
を備え、
前記乾燥センサは、
前記回転ドラムの内部に露出し、所定の分圧抵抗を介して所定の規定電圧が印加された検出用電極と、
前記検出用電極の隣の位置で前記回転ドラムの内部に露出し、アースに接続された接地電極と
を有し、
前記分圧抵抗と前記検出用電極との間の電圧値が、前記乾燥センサの出力として前記乾燥検出回路に入力されており、
前記乾燥検出回路は、前記検出用電極および前記接地電極に前記衣類が接触した状態での前記乾燥センサからの入力に基づいて、前記乾燥度合いを検出しており、
前記乾燥センサの前記接地電極側のインピーダンスは、前記検出用電極側のインピーダンスよりも低インピーダンスとなっている
ことを特徴とする衣類乾燥装置。
【請求項2】
請求項1に記載の衣類乾燥装置において、
前記接地電極は、前記検出用電極から見て、前記回転ドラムの回転方向とは反対側の位置に配置されている
ことを特徴とする衣類乾燥装置。
【請求項3】
請求項1に記載の衣類乾燥装置において、
前記回転ドラムの内部に面した位置に、前記回転ドラムの回転中も回転しない状態で搭載された固定部材を備え、
前記乾燥センサは、前記固定部材の前記回転ドラムの内部に面する側に、前記接地電極が前記検出用電極よりも上方となる向きで取り付けられている
ことを特徴とする衣類乾燥装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の衣類乾燥装置において、
前記接地電極は、
前記乾燥検出回路を介して前記アースに接続された間接接地電極と、
前記乾燥検出回路を介さずに前記アースに接続された直接接地電極と
を備えており、
前記直接接地電極および前記検出用電極は、前記間接接地電極の両側の位置に配置されており、
前記直接接地電極側のインピーダンスは、前記検出用電極側のインピーダンスよりも低インピーダンスとなっている
ことを特徴とする衣類乾燥装置。
【請求項5】
請求項4に記載の衣類乾燥装置において、
前記直接接地電極は、前記検出用電極よりも前記回転ドラムの内側に向かって突出した状態で配置されている
ことを特徴とする衣類乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転ドラム内に衣類を投入し、回転ドラムの内部に加熱空気を供給しながら回転ドラムを回転させることによって衣類を乾燥させる衣類乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類乾燥装置では、回転ドラム内に衣類を投入した後、回転ドラムを回転させることによって衣類を撹拌しながら、回転ドラム内に加熱空気を供給することによって衣類を乾燥させる。衣類が乾燥した後も、加熱空気を供給しながら回転ドラムを回転させていると、エネルギーが無駄になるだけでなく、加熱された衣類が互いに擦れ合うことで衣類がダメージを受ける虞がある。
【0003】
そこで、回転ドラムの内部に面する位置に乾燥センサを取り付けておき、回転ドラム内で回転する衣類が、乾燥センサの一対の電極に触れた時の抵抗値に基づいて衣類の乾燥度合いを検出する技術が提案されている(特許文献1)。この提案の技術によれば、衣類の乾燥度合いが所定値を超えた場合には、回転ドラム内に供給する加熱空気の温度や流量を抑制することで、エネルギーの無駄遣いや、衣類がダメージを受ける事態を防止することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した提案されている技術では、衣類乾燥装置の運転中に、衣類の乾燥度合いを検出できなくなることがあるという問題があった。
【0006】
この発明は、従来の技術における上述した課題を解決するために成されたものであり、衣類の乾燥中に乾燥度合いが検出できなくなる虞の生じない衣類乾燥装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の衣類乾燥装置は次の構成を採用した。すなわち、
衣類が収容された回転ドラムを回転させながら、前記回転ドラムの内部に加熱空気を供給することによって前記回転ドラム内の衣類を乾燥させる衣類乾燥装置において、
前記回転ドラムの内部に面する状態で搭載された乾燥センサと、
前記乾燥センサに接続されて、前記回転ドラムの内部で乾燥中の前記衣類の乾燥度合いを検出する乾燥検出回路と
を備え、
前記乾燥センサは、
前記回転ドラムの内部に露出し、所定の分圧抵抗を介して所定の規定電圧が印加された検出用電極と、
前記検出用電極の隣の位置で前記回転ドラムの内部に露出し、アースに接続された接地電極と
を有し、
前記分圧抵抗と前記検出用電極との間の電圧値が、前記乾燥センサの出力として前記乾燥検出回路に入力されており、
前記乾燥検出回路は、前記検出用電極および前記接地電極に前記衣類が接触した状態での前記乾燥センサからの入力に基づいて、前記乾燥度合いを検出しており、
前記乾燥センサの前記接地電極側のインピーダンスは、前記検出用電極側のインピーダンスよりも低インピーダンスとなっている
ことを特徴とする。
【0008】
かかる本発明の衣類乾燥装置においては、乾燥センサの検出用電極および接地電極が回転ドラムの内部に露出した状態となっており、検出用電極は乾燥検出回路に接続され、接地電極はアースに接続されている。そして、回転ドラムの回転に伴って、回転ドラム内の衣類が検出用電極と接地電極とに接触した状態になると、乾燥センサから乾燥検出回路に入力される電圧値に基づいて衣類の乾燥度合いを検出する。ここで、乾燥センサの接地電極側のインピーダンスは、検出用電極側のインピーダンスよりも低インピーダンスとなっている。
【0009】
一般に、回転ドラム内で回転する衣類が乾燥してくると、衣類が擦れ合うことによって静電気が発生することがあり、この静電気の電圧は数千ボルトに達することがある。このため、帯電した衣類が乾燥センサに接触すると、高電圧の静電気が乾燥検出回路に印加されて乾燥検出回路が破損する可能性がある。しかし、乾燥センサの接地電極側のインピーダンスを、検出用電極側のインピーダンスよりも低インピーダンスとしておけば、衣類の静電気を接地電極からアースに放出することで、静電気の電圧を速やかに低下させることができる。このため、衣類の乾燥中に、衣類に生じた静電気で乾燥検出回路が破損して乾燥度合いを検出できなくなる事態を防止することが可能となる。
【0010】
また、上述した本発明の衣類乾燥装置においては、乾燥センサの接地電極が、検出用電極から見て回転ドラムの回転方向とは反対側の位置に配置されるようにしてもよい。
【0011】
こうすれば、回転ドラム内で回転する衣類は、接地電極が配置された側から乾燥センサに接近する。このため衣類は、初めに接地電極に接触した後に、検出用電極に接触することになり、たとえ衣類が静電気で帯電していても、静電気を接地電極からグランドに放出してから検出用電極に接触することになる。従って、衣類の静電気で乾燥検出回路が破損する事態を確実に防止することが可能となる。
【0012】
また、上述した本発明の衣類乾燥装置においては、回転ドラムの内部に面した位置に、回転ドラムの回転中も回転しない固定部材を搭載しておき、この固定部材の回転ドラムの内部に面する側に、接地電極が検出用電極よりも上方となる向きで、乾燥センサを取り付けてもよい。
【0013】
こうすれば、回転ドラムの回転によって衣類が上方に持ち上げられた後、落下する際に衣類が乾燥センサに接触する際には、接地電極に接触して静電気を放出した後に、検出用電極に接触することになる。このため、衣類に生じた静電気で乾燥検出回路が破損する事態を確実に防止することが可能となる。
【0014】
また、乾燥センサの検出用電極から見て、接地電極が回転ドラムの回転方向とは反対側の位置あるいは上方に配置された本発明の衣類乾燥装置においては、乾燥検出回路を介してアースに接続された間接接地電極と、乾燥検出回路を介さずにアースに接続された直接接地電極とを乾燥センサに設けて、これら2つの電極で接地電極を形成することとしてもよい。そして、乾燥センサの検出用電極および直接接地電極は、間接接地電極の両側の位置に配置すると共に、直接接地電極側のインピーダンスは、検出用電極側のインピーダンスよりも低インピーダンスとなるようにしてもよい。
【0015】
こうすれば、乾燥センサに接近する衣類から見て、乾燥センサの電極は、直接接地電極、間接接地電極、検出用電極の順番で配置されることになる。このため、衣類が静電気で帯電していた場合でも、衣類の静電気を直接接地電極から速やかにアースに放出することができるので、高電圧の静電気が乾燥検出回路に加わることがない。その結果、衣類に生じた静電気で乾燥検出回路が破損する事態を確実に防止することが可能となる。加えて、間接接地電極は乾燥検知回路を介してアースに接続されているので、乾燥検知回路のアースと間接接地電極のアースとの間に電位差が生じることがなく、間接接地電極の電位を基準とする検出用電極の電位を正確に検出することができる。その結果、衣類の乾燥度合いを正確に検出することが可能となる。
【0016】
また、上述した本発明の衣類乾燥装置においては、直接接地電極を、検出用電極よりも回転ドラムの内側に向かって突出させた状態で配置してもよい。
【0017】
こうすれば、回転ドラム内の衣類が間接接地電極や検出用電極に接触する前に、確実に直接接地電極に接触させることができる。このため、衣類に生じた静電気で乾燥検出回路が破損する事態を確実に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施例の衣類乾燥装置1の大まかな内部構造を示す説明図である。
【
図2】第1実施例の乾燥センサ20がリング板12に搭載された様子を示す説明図である。
【
図3】第1実施例の制御部50の内部構造を示した説明図である。
【
図4】回転ドラム11内の衣類が第1実施例の乾燥センサ20に接触する様子を示した説明図である。
【
図5】第1実施例の変形例の乾燥センサ20についての説明図である。
【
図6】第1実施例の他の変形例の乾燥センサ20についての説明図である。
【
図7】第1実施例の他の変形例の乾燥センサ20についての説明図である。
【
図8】第1実施例の他の変形例の乾燥センサ20についての説明図である。
【
図9】リング板12に搭載された第2実施例の乾燥センサ20についての説明図である。
【
図10】第2実施例の制御部50の内部構造を示した説明図である。
【
図11】回転ドラム11内の衣類が第2実施例の乾燥センサ20に接触する様子を示した説明図である。
【
図12】第2実施例の変形例の乾燥センサ20についての説明図である。
【
図13】第2実施例の他の変形例の乾燥センサ20についての説明図である。
【
図14】第2実施例の他の変形例の乾燥センサ20についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
A.第1実施例 :
図1は、第1実施例の衣類乾燥装置1の大まかな内部構造を示す説明図である。第1実施例の衣類乾燥装置1は、直方体形状の本体ケース10の内部に、有底筒形状の回転ドラム11が搭載された構造となっている。回転ドラム11の底部11aの中心には外側に向けて突出した回転軸14が取り付けられており、回転ドラム11は回転軸14を中心として回転可能に軸支されている。
【0020】
回転ドラム11の手前側の開口端には、回転ドラム11に対して摺動可能な状態で円環形状のリング板12が嵌め込まれており、リング板12の内周側には、円筒形状で一端側がフランジ状に拡径した衣類投入部13が取り付けられている。衣類投入部13のフランジ状の部分は本体ケース10に取り付けられており、このため、リング板12は衣類投入部13を介して本体ケース10に固定されている。また、リング板12には、回転ドラム11の内部に面する位置に乾燥センサ20が取り付けられている。乾燥センサ20は後述する制御部50に接続されており、制御部50は乾燥センサ20の出力に基づいて、回転ドラム11内の衣類の乾燥度合いを検出することが可能となっている。尚、第1実施例のリング板12は、本発明における「固定部材」に対応する。
【0021】
衣類投入部13の内側は衣類投入口13aとなっており、通常状態では衣類投入口13aは開閉扉15によって塞がれているが、開閉扉15を開くと衣類投入口13aから回転ドラム11内に衣類を投入可能となる。また、回転ドラム11の底部11aには複数の排気口11bが形成されており、複数の排気口11bは、回転ドラム11の内側から底部11aに取り付けられたフィルタ16によって覆われている。更に、底部11aの向こう側にはファンカバー17が搭載されており、ファンカバー17の中には送風ファン33が収納されている。送風ファン33は、回転ドラム11の回転軸14に取り付けられている。ファンカバー17からは排気通路18が延設されており、排気通路18の先端は本体ケース10の上面から突出することによって排出口18aが形成されている。
【0022】
回転ドラム11およびファンカバー17の下方には電動モータ30が搭載されており、電動モータ30には2本の伝動ベルト31,32が取り付けられている。電動モータ30を回転させると、伝動ベルト31を介して電動モータ30の回転トルクが回転ドラム11に伝達され、伝動ベルト32を介して電動モータ30の回転トルクが送風ファン33に伝達されて、回転ドラム11および送風ファン33が回転する。
【0023】
回転ドラム11の下方には、燃料ガスを燃焼させるガスバーナ40や、ガスバーナ40に燃料ガスを供給するためのガスパイプ41も搭載されている。ガスパイプ41の先端には噴射ノズル42が取り付けられており、噴射ノズル42はガスバーナ40の開口端40aを臨む位置に設けられている。更に、ガスパイプ41の途中には、ガス流量制御弁43が搭載されている。ガスバーナ4からは上方に向かって空気供給通路44が形成されており、空気供給通路44はリング板12に形成された供給口45に接続されている。
【0024】
衣類乾燥装置1で衣類を乾燥させる際には、開閉扉15を開いて衣類投入口13aから回転ドラム11内に衣類を投入した後、開閉扉15を閉じて電動モータ30を回転させる。すると、回転ドラム11および送風ファン33が回転して、回転ドラム11の底部11aに形成された複数の排気口11bから回転ドラム11内の空気が吸い出され、これに伴って、回転ドラム11の内部には供給口45から空気が流入する。また、本体ケース10の底面には複数の空気取入口10aが形成されており、空気取入口10aから本体ケース10内に流入した空気が、空気供給通路44を通って供給口45から回転ドラム11内に供給される。
【0025】
このように送風ファン33を回転させた状態で、噴射ノズル42からガスバーナ40の開口端40aに向かって燃料ガスを噴射すると、噴射された燃料ガスが周囲の空気と一緒にガスバーナ40の内部に流入して、燃料ガスと空気との混合ガスが形成される。その混合ガスに図示しない点火プラグで点火することによって、ガスバーナ40での燃焼が開始される。ガスバーナ40で生じた燃焼排気は、本体ケース10の底面の空気取入口10aから流入した空気と共に空気供給通路44内に流入し、空気供給通路44内で空気と混合することによって加熱空気を生成した後、供給口45から回転ドラム11内に流入する。加熱空気は回転ドラム11内を旋回しながら衣類を乾燥させた後、回転ドラム11の底部11aに形成された排気口11bから流出する。こうして衣類を乾燥させた加熱空気は、排気通路18を通って排出口18aから排出される。
【0026】
本体ケース10内には、電動モータ30やガス流量制御弁43の動作を制御するための制御部50も搭載されている。制御部50は、各種の電子部品などによって形成されており、前述した乾燥センサ20の出力は制御部50に入力されている。
【0027】
図2は、リング板12に搭載された乾燥センサ20を示す説明図である。
図2では、回転ドラム11の内側から見た状態が示されている。図示されるように、乾燥センサ20は硬質樹脂などの絶縁性材料で形成された基部21と、検出用電極22と、接地電極23とを備えており、検出用電極22および接地電極23は基部21の表面から僅かに突出している。尚、
図2に示した例では、検出用電極22および接地電極23が基部21の表面から突出しているが、検出用電極22および接地電極23は基部21の表面に露出していればよい。乾燥センサ20は、回転ドラム11の内側に面する状態でリング板12に取り付けられており、この時の乾燥センサ20の向きは、検出用電極22に対して接地電極23が、回転ドラム11の回転方向(図中で破線の矢印で表示)とは反対側の位置となる向きで取り付けられている。そして、検出用電極22および接地電極23は、何れも制御部50(
図1参照)に接続されている。
【0028】
図3は、制御部50の内部構造を示した説明図である。図示されるように、制御部50の内部には制御基板51が収容されており、制御基板51の上には、マイクロコンピュータ52や、電源部53や、検出回路54などが搭載されている。マイクロコンピュータ52は中央演算装置やメモリーなどが1つのチップに集積化された半導体素子であり、電源部53から所定の規定電圧が印加されると共に、制御基板51上に形成されたグランドGNDに接続されることによって動作する。また、検出回路54はオペアンプやコンパレータなどの半導体素子を組み合わせて構成された電子回路であり、電源部53から規定電圧が印加されると共に、制御基板51上のグランドGNDに接続されることによって動作する。尚、マイクロコンピュータ52と検出回路54とは異なる位置でグランドGNDに接続されている。尚、第1実施例では、マイクロコンピュータ52および検出回路54が、本発明における「乾燥検出回路」に対応する。
【0029】
乾燥センサ20の検出用電極22は制御部50に接続されており、制御部50の内部では、保護抵抗R2を介して検出回路54に接続されている。更に、検出用電極22には、電源部53から供給された規定電圧が分圧抵抗R1を介して印加されており、検出回路54には分圧抵抗R1と検出用電極22との間の電圧が入力されるようになっている。また、乾燥センサ20の接地電極23も制御部50に接続されており、制御部50の内部では制御基板51上のグランドGNDに接続されている。尚、図示は省略しているが、
図3に示した制御基板51のグランドGNDは、本体ケース10を通してアースに接続されている。
【0030】
このように第1実施例の制御部50の内部では、乾燥センサ20の検出用電極22は保護抵抗R2を介して検出回路54に接続されているのに対して、乾燥センサ20の接地電極23は制御基板51のグランドGNDに直接接続されている。このため、接地電極23側のインピーダンスは検出用電極22側のインピーダンスよりも低インピーダンスとなっている。詳細には後述するが、こうすることで、衣類乾燥装置1の運転中に検出回路54が故障して衣類の乾燥度合いを検知できなくなる事態を防止することが可能となる。この理由について説明する準備として、乾燥センサ20を用いて衣類の乾燥度合いを検出する原理について説明する。
【0031】
図4は、回転ドラム11内の衣類が第1実施例の乾燥センサ20に接触する様子を示した説明図である。
図4(a)には乾燥センサ20に衣類が接触する前の状態が示されており、
図4(b)には乾燥センサ20に衣類が接触した状態が示されている。
図4(a)に示すように、乾燥センサ20に衣類が接触していない状態では、検出用電極22と接地電極23とは空気によって絶縁されている。しかし、
図4(b)に示すように、乾燥中の湿った衣類が乾燥センサ20に衣類が接触すると、検出用電極22から接地電極23に電流が流れるようになる。この時の検出用電極22と接地電極23との間の抵抗値は、衣類が湿っているほど小さくなる。逆に、衣類が乾燥した後は、衣類が乾燥センサ20に衣類が接触しても検出用電極22から接地電極23にはほとんど電流が流れず、検出用電極22と接地電極23との間の抵抗値は大きいままとなる。
【0032】
従って、回転ドラム11内の衣類が湿っている間は、衣類が乾燥センサ20に接触する度に検出用電極22と接地電極23との間の抵抗値が大きく低下するが、衣類が乾燥するに従って抵抗値の低下量が小さくなり、衣類が完全に乾燥した後は、衣類が乾燥センサ20に接触しても抵抗値はほとんど低下しなくなる。そこで、検出用電極22および接地電極23を制御部50に接続して、検出用電極22と接地電極23との間の抵抗値の低下を検出することで、衣類の乾燥度合いを検出することが可能となる。
【0033】
第1実施例の衣類乾燥装置1では、検出用電極22と接地電極23との間の抵抗値の変化を検出するために、
図3に示したように電源部53から分圧抵抗R1を介して規定電圧を検出用電極22に印加しておき、分圧抵抗R1と検出用電極22との間の電圧を検出回路54に入力している。こうすれば、検出用電極22と接地電極23との間の抵抗値が低くなるほど、検出回路54に入力される電圧値も低くなる。このため、この電圧値の低下を検出することで検出用電極22と接地電極23との間の抵抗値の低下を検出することで、衣類の乾燥度合いを検出することができる。
【0034】
ところが、衣類乾燥装置1は回転ドラム11内で衣類を撹拌しながら乾燥させるので、衣類が乾燥してくると衣類同士が擦れ合って静電気が発生することがあり、この静電気の電荷量は僅かであるが、電圧値は数千ボルトにも達することがある。このため、静電気が帯電した衣類が乾燥センサ20に接触すると、静電気の高電圧で制御部50内の検出回路54が破損する可能性がある。
【0035】
そこで、第1実施例の衣類乾燥装置1では、
図3に示したように、乾燥センサ20の検出用電極22は保護抵抗R2を介して検出回路54に接続され、乾燥センサ20の接地電極23は制御基板51のグランドGNDに直接接続されており、このため、乾燥センサ20の接地電極23側のインピーダンスが、検出用電極22側のインピーダンスよりも低インピーダンスとなっている。こうしておけば、たとえ衣類に高電圧の静電気が発生した場合でも、衣類が乾燥センサ20に接触すると、低インピーダンスの接地電極23を介して静電気がグランドGNDに放出され、静電気の電圧を速やかに低下させることができる。その結果、衣類に帯電した高電圧の静電気で検出回路54が破損する事態を回避することが可能となる。
【0036】
また、回転ドラム11内の衣類は、回転ドラム11の回転によって移動するから、乾燥中の衣類は、
図4(a)中に破線の矢印で示したように一方向(回転ドラム11の回転方向)から乾燥センサ20に接近する。そして、乾燥センサ20は、接地電極23が検出用電極22に対して、回転ドラム11の回転方向とは反対側の位置となるように取り付けられている(
図2参照)。このため、乾燥センサ20に接触する衣類は、検出用電極22に接触するよりも先に接地電極23に接触して静電気を接地電極23に放出し、その後、静電気の電圧が低下した状態で検出用電極22に接触することになる。その結果、衣類に帯電した静電気の電圧で検出回路54が破損する事態を確実に防止することが可能となる。
【0037】
上述した第1実施例の衣類乾燥装置1には、幾つかの変形例が存在する。以下では、これらの変形例について、第1実施例との相違点を中心に説明する。
【0038】
上述した第1実施例では、乾燥センサ20の検出用電極22と接地電極23とは、基部21から同程度に突出しているものとして説明した。しかし、
図5に例示するように、接地電極23を検出用電極22よりも突出させておいても良い。こうすれば、接地電極23が検出用電極22よりも回転ドラム11の内側に突出した状態となるため、衣類が検出用電極22に接触する前に、接地電極23に接触させることができる。その結果、衣類に帯電した静電気の電圧で検出回路54が破損する事態を確実に防止することが可能となる。
【0039】
また、上述した第1実施例では、接地電極23が、検出用電極22に対して回転ドラム11の回転方向とは反対側の位置に設けられているものとして説明した。しかし、
図6に例示するように、検出用電極22に対して重力方向とは反対側(すなわち上方)の位置まで、接地電極23の一端を延設させてもよい。例えば、
図6(a)に例示したように、リング板12に乾燥センサ20が取り付けられた位置が、衣類乾燥装置1の衣類投入口13aよりも上方の位置であった場合は、検出用電極22から接地電極23を見た時に、接地電極23の右端の端部を検出用電極22の上方の位置まで延設させる。あるいは、
図6(b)に例示したように、乾燥センサ20が衣類投入口13aよりも下方の位置でリング板12に取り付けられていた場合は、検出用電極22から接地電極23を見た時に、接地電極23の左端の端部を検出用電極22の上方の位置まで延設させる。
【0040】
回転ドラム11の中では、回転ドラム11の回転によって持ち上げられた衣類が重力によって落下する際に乾燥センサ20に接触する可能性がある。このような場合でも、検出用電極22の上方の位置まで接地電極23の一端を延設しておけば、衣類は検出用電極22に接触する前に接地電極23に接触することになる。このため、衣類に帯電した静電気の電圧で検出回路54が破損する事態を確実に防止することが可能となる。
【0041】
尚、
図6に示した例では、接地電極23の一端側を検出用電極22の上方の位置まで延設するものとして説明した。しかし、接地電極23の一端を延設するのではなく、
図7に例示するように、2つの接地電極23を設けることとして、一方の接地電極23は、検出用電極22に対して回転ドラム11の回転方向とは反対側の位置に設け、他方の接地電極23は、検出用電極22の上方の位置に設けるようにしてもよい。
【0042】
また、
図8に例示するように、検出用電極22の周囲を囲うように接地電極23を設けてもよい。尚、検出用電極22の周囲を囲う接地電極23は、
図8に示すように一体の接地電極23であってもよいし、複数の接地電極23であってもよい。こうすれば、衣類が乾燥センサ20に接近してくる方向に拘わらず、衣類は必ず検出用電極22よりも前に接地電極23に接触することになる。このため、衣類に高電圧の静電気が発生した場合でも、衣類の静電気で検出回路54が破損する事態を確実に防止することが可能となる。
【0043】
B.第2実施例 :
上述した第1実施例では、検出用電極22との間で衣類の抵抗値を検出するための接地電極23が、衣類に発生した静電気を逃がすための機能も有しているものとして説明した。しかし、衣類の抵抗値を検出するための接地電極23とは別に、衣類の静電気を逃がすための接地電極を設けてもよい。以下では、このような第2実施例について、前述した第1実施例との相違点を中心に説明する。
【0044】
図9は、リング板12に搭載された第2実施例の乾燥センサ20を示す説明図である。
図9でも、前述した
図2と同様に、回転ドラム11の内側から見た状態が示されている。また、図中では、回転ドラム11の回転方向が破線の矢印で示されている。
図9に示すように、第2実施例の乾燥センサ20は、
図2を用いて前述した第1実施例に対して、間接接地電極23aおよび直接接地電極23bの2種類の接地電極23を備える点が異なっている。これらの接地電極23が検出用電極22に対して搭載されている位置は、前述した第1実施例と同様に、衣類乾燥装置1の回転方向とは反対側の位置となっているが、直接接地電極23bは、検出用電極22から見て、間接接地電極23aの向こう側の位置に搭載されている。また、これらの電極(間接接地電極23a、直接接地電極23b、および検出用電極22)は何れも制御部50(
図1参照)に接続されている。
【0045】
図10は、第2実施例の乾燥センサ20が制御部50に接続された状態を示した説明図である。
図3を用いて前述したように、制御部50の内部の制御基板51には、マイクロコンピュータ52や、電源部53や、検出回路54などが搭載されている。そして、前述した第1実施例と同様に、乾燥センサ20の検出用電極22には、電源部53から分圧抵抗R1を介して規定電圧が印加されており、分圧抵抗R1と検出用電極22との間の電圧が保護抵抗R2を介して検出回路54に入力されている。また、直接接地電極23bは、前述した第1実施例の接地電極23と同様に、マイクロコンピュータ52や検出回路54とは異なる位置で、制御基板51上のグランドGNDに接続されている。しかし、間接接地電極23aについては検出回路54に接続されており、検出回路54を介して制御基板51上のグランドGNDに接続されている。尚、第2実施例では、直接接地電極23bのインピーダンスが、検出用電極22側のインピーダンスよりも低インピーダンスとなっている。尚、図示は省略しているが、
図10に示した制御基板51のグランドGNDは、前述した第1実施例と同様に、本体ケース10を通してアースに接続してもよい。また、検出用電極22および間接接地電極23aは制御基板51上の共通のグランドGNDに接続し、直接接地電極23bについては、本体ケース10を通してアースに接続するようにしてもよい。
【0046】
図11は、第2実施例の乾燥センサ20を用いて回転ドラム11内の衣類の乾燥度合いを検出する様子を示した説明図である。
図11(a)に示したように、回転ドラム11内の衣類は、回転ドラム11が回転する方向から乾燥センサ20に接近する。ここで、第2実施例の乾燥センサ20の3つの電極(直接接地電極23b、間接接地電極23a、検出用電極22)は、回転ドラム11が回転する方向に、この順番で配置されている。このため、回転ドラム11内の衣類は、
図11(b)に示すように、先ず始めに直接接地電極23bに接触した後、
図11(c)に示すように、間接接地電極23aや検出用電極22にも接触するようになる。そして、
図10を用いて前述したように、直接接地電極23bは制御部50内で制御基板51のグランドGNDに直接接続されているから、間接接地電極23aや検出用電極22よりも低インピーダンスとなっているため、たとえ衣類に静電気が発生していても、直接接地電極23bから静電気を速やかに放出することができる。このため、衣類が間接接地電極23aおよび検出用電極22に接触しても、衣類に帯電していた静電気で検出回路54が破損する事態を回避することが可能となる。
【0047】
尚、上述した第2実施例では、乾燥センサ20の検出用電極22と、間接接地電極23aと、直接接地電極23bとが基部21から同程度に突出しているものとして説明した。しかし、
図12に例示するように、直接接地電極23bを他の電極よりも突出させておいてもよい。こうすれば、衣類が間接接地電極23aや検出用電極22に接触する前に、直接接地電極23bに確実に接触させることができる。その結果、衣類に帯電した静電気の電圧で検出回路54が破損する事態を確実に防止することが可能となる。
【0048】
また、上述した第2実施例では、間接接地電極23aおよび直接接地電極23bが、検出用電極22に対して回転ドラム11の回転方向とは反対側の位置に設けられているものとして説明した。しかし、
図13(a)あるいは
図13(b)に例示するように、間接接地電極23aおよび検出用電極22の上方の位置まで、直接接地電極23bの一端を延設させてもよい。
【0049】
あるいは、
図14に例示するように、検出用電極22および間接接地電極23aの周囲を囲うように直接接地電極23bを設けてもよい。また、検出用電極22および間接接地電極23aを囲う直接接地電極23bは、
図14に示すように1つであってもよいが、複数の直接接地電極23bであってもよい。こうすれば、衣類が乾燥センサ20に接近してくる方向に拘わらず、衣類は検出用電極22や間接接地電極23aよりも前に直接接地電極23bに接触するので、衣類に帯電した静電気の電圧で検出回路54が破損する事態を確実に防止することが可能となる。
【0050】
以上、各種の実施例および変形例の衣類乾燥装置1について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0051】
例えば、上述した各種の実施例および変形例では、回転ドラム11の回転中も固定された部材(たとえばリング板12)に乾燥センサ20が取り付けられているものとして説明した。しかし、乾燥センサ20を取り付ける位置は回転ドラム11の内部に面する位置であればよく、回転ドラム11と共に回転する部材(たとえば回転ドラム11の内面)に取り付けてもよい。このような場合でも、スリップリングと呼ばれる部品を用いれば、乾燥センサ20を制御部50に接続することができるので、衣類の乾燥度合いを検出することが可能となる。
【符号の説明】
【0052】
1…衣類乾燥装置、 10…本体ケース、 10a…空気取入口、
11…回転ドラム、 11a…底部、 11b…排気口、 12…リング板、
13…衣類投入部、 13a…衣類投入口、 14…回転軸、
15…開閉扉、 16…フィルタ、 17…ファンカバー、
18…排気通路、 18a…排出口、 20…乾燥センサ、 21…基部、
22…検出用電極、 23…接地電極、 23a…間接接地電極、
23b…直接接地電極、 30…電動モータ、 31…伝動ベルト、
32…伝動ベルト、 33…送風ファン、 40…ガスバーナ、
40a…開口端、 41…ガスパイプ、 42…噴射ノズル、
43…ガス流量制御弁、 44…空気供給通路、 45…供給口、
50…制御部、 51…制御基板、 52…マイクロコンピュータ、
53…電源部、 54…検出回路。