(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118050
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】荷台傾斜移動機構及び貨物自動車
(51)【国際特許分類】
B60P 1/32 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
B60P1/32
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024223
(22)【出願日】2023-02-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 株式会社花見台自動車は、「ジャパントラックショー2022」にて、能條健二及び能條幹也が発明した「荷台傾斜移動機構を備えた貨物自動車」を展示するとともに、「荷台傾斜移動機構を備えた貨物自動車」が掲載されているカタログを配布して公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】591084388
【氏名又は名称】株式会社花見台自動車
(74)【代理人】
【識別番号】100094536
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 隆二
(74)【代理人】
【識別番号】100129805
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100189315
【弁理士】
【氏名又は名称】杉原 誉胤
(72)【発明者】
【氏名】能條 健二
(72)【発明者】
【氏名】能條 幹也
(57)【要約】
【課題】荷台全体を地上に略水平に降ろして荷物の積み下ろしを行うことができる貨物自動車の荷台傾斜移動機構であって、製造コスト及びメンテナンスコストを軽減させる荷台傾斜移動機構を提供する。
【解決手段】荷台傾斜移動機構であって、シャーシ3に設けられた傾斜基軸5により回動自在に支持されているガイドレール10と、ガイドレール10に沿って車両前後方向に移動する遊び枠20と、遊び枠20に沿って移動する荷台支持移動金具30と、遊び枠20を往復移動させる油圧シリンダー40と、荷台支持移動金具50に接続された荷台50とを備え、遊び枠20は、その後端側にチェーン60が巻き掛けられた滑車22が設けられ、その前端側にチェーン62が巻き掛けられた滑車21が設けられ、チェーン60、62は、それぞれ、その一端部が荷台支持移動金具30に接続され、その他端部が固定フレーム15に接続されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物自動車のシャーシに設けられたガイドレールに沿って荷台を車両前後方向に移動させて該荷台全体を地上面に略水平に降ろしたり該荷台を該シャーシ上に水平状態で配置させたりする荷台傾斜移動機構であって、
前記シャーシの後部側に設けられた傾斜基軸により回動自在に支持されている一対の前記ガイドレールと、
前記ガイドレールの内側側面に沿って車両前後方向に移動する遊び枠と、
前記遊び枠に摺動自在に支持され該遊び枠に沿って車両前後方向に移動する荷台支持移動金具と、
前記車両前後方向に前記遊び枠を往復移動させる油圧シリンダーと、
一対の前記ガイドレールに固定されている固定フレームと、
前記荷台支持移動金具に接続され且つ前記ガイドレールに摺動自在な前記荷台とを備え、
前記遊び枠は、その後端側に押出用チェーンが巻き掛けられた荷台押出用滑車が設けられているとともに、その前端側に引込用チェーンが巻き掛けられた荷台引込用滑車が設けられ、
前記押出用チェーン及び前記引込用チェーンは、それぞれ、その一端部が前記荷台支持移動金具に接続され、その他端部が前記固定フレームに接続され、
前記油圧シリンダーの伸長動作により、前記記遊び枠が車両後方側に移動すると、前記荷台支持移動金具が前記遊び枠とともに車両後方側に移動するとともに前記押出用チェーンにより前記荷台支持移動金具が該遊び枠に対して車両後方側に移動し、前記荷台支持移動金具に接続された前記荷台が該油圧シリンダーの伸長動作の長さ寸法に対して2倍の長さ寸法・車両後方側に移動し、
前記油圧シリンダーの収縮動作により、前記遊び枠が車両前方側に移動すると、前記荷台支持移動金具が前記遊び枠とともに車両前方側に移動するとともに前記引込用チェーンにより前記荷台支持移動金具が該遊び枠に対して車両前方側に移動し、前記荷台支持移動金具に接続された前記荷台が該油圧シリンダーの収縮動作の長さ寸法に対して2倍の長さ寸法・車両前方側に移動するようになっていることを特徴とする荷台傾斜移動機構。
【請求項2】
前記油圧シリンダーを伸長させると、前記遊び枠が該油圧シリンダーに押されて車両後方側に移動し、該遊び枠が車両後方側に移動すると、該遊び枠に支持されている前記荷台支持移動金具が該遊び枠と共に車両後方側に移動し、且つ該遊び枠が車両後方側に移動している最中に、該遊び枠の後端側の前記荷台押出用滑車に巻き掛けられている前記押出用チェーンが第1回転方向に動作して、その一端部に接続されている荷台支持移動金具を車両後方側に引っ張り、該車両支持移動金具が該遊び枠に対して車両後方側に移動し、
前記油圧シリンダーを収縮させると、前記遊び枠が該油圧シリンダーに引っ張られて車両前方側に移動し、該遊び枠が車両前方側に移動すると、該遊び枠に支持されている前記荷台支持移動金具が該遊び枠と共に車両前方側に移動し、且つ該遊び枠が車両前方側に移動している最中に、該遊び枠の前端側の前記荷台引込用滑車に巻き掛けられている前記引込用チェーンが前記第1回転方向と反対の第2回転方向に動作して、その一端部に接続されている荷台支持移動金具を車両前方側に引っ張り、該車両支持移動金具が該遊び枠に対して車両前方側に移動するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の荷台傾斜移動機構。
【請求項3】
キャビンに接続され且つ車両前後方向に延びるシャーシと、荷台を車両前後方向に移動させるための荷台傾斜移動機構とを備え、該荷台全体を地上面に略水平に降ろして荷物の積み下ろしを行うことができる貨物自動車であって、
前記荷台傾斜移動機構は、
前記シャーシの後部側に設けられた傾斜基軸により回動自在に支持されている一対の前記ガイドレールと、
前記ガイドレールの内側側面に沿って車両前後方向に移動する遊び枠と、
前記遊び枠に摺動自在に支持され該遊び枠に沿って車両前後方向に移動する荷台支持移動金具と、
前記車両前後方向に前記遊び枠を往復移動させる油圧シリンダーと、
一対の前記ガイドレールに固定されている固定フレームと、
前記荷台支持移動金具に接続され且つ前記ガイドレールに摺動自在な前記荷台とを備え、
前記遊び枠は、その後端側に押出用チェーンが巻き掛けられた荷台押出用滑車が設けられているとともに、その前端側に引込用チェーンが巻き掛けられた荷台引込用滑車が設けられ、
前記押出用チェーン及び前記引込用チェーンは、それぞれ、その一端部が前記荷台支持移動金具に接続され、その他端部が前記固定フレームに接続され、
前記油圧シリンダーの伸長動作により、前記記遊び枠が車両後方側に移動すると、前記荷台支持移動金具が前記遊び枠とともに車両後方側に移動するとともに前記押出用チェーンにより前記荷台支持移動金具が該遊び枠に対して車両後方側に移動し、前記荷台支持移動金具に接続された前記荷台が該油圧シリンダーの伸長動作の長さ寸法に対して2倍の長さ寸法・車両後方側に移動し、
前記油圧シリンダーの収縮動作により、前記遊び枠が車両前方側に移動すると、前記荷台支持移動金具が前記遊び枠とともに車両前方側に移動するとともに前記引込用チェーンにより前記荷台支持移動金具が該遊び枠に対して車両前方側に移動し、前記荷台支持移動金具に接続された前記荷台が該油圧シリンダーの収縮動作の長さ寸法に対して2倍の長さ寸法・車両前方側に移動するようになっていることを特徴とする貨物自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷台傾斜移動機構及び貨物自動車に関し、例えば、荷台を地上面に略水平に降ろして荷物の積み下ろしを行うことができる貨物自動車の荷台傾斜移動機構及び貨物自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、荷台全体を地上面に略水平に降ろして荷物の積み下ろしを行うことができる貨物自動車が利用されており、このような機能を備えた貨物自動車が、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の貨物自動車は、シャーシフレーム及びサブフレームで構成される車体と、車体上に傾動可能に搭載されたリフトフレームと、リフトフレーム上にスライド可能に搭載され、リフトフレームに沿ってスライドして昇降させられる荷台(ボデー)とを備えている。
上記のリフトフレームの前端側には、一端をサブフレームの下側に枢着したリフトアームの他端が枢着されており、このリフトアームの中央部に、一端をサブフレームに枢着したリフトシリンダの他端を枢着されている。このリフトシリンダの作動によって、リフトフレームが後方にスライドして、後端が下降するように傾動し得るようになっている。
【0004】
また、引用文献1に記載の貨物自動車は、リフトアーム及びリフトシリンダにより傾斜させたリフトフレーム対して、荷台をスライド移動させて荷台を地上面に降ろしたり、地上面の荷台をリフトフレーム上に戻すための機構として、油圧モータと、油圧モータによって駆動される駆動シャフトと、駆動シャフトに固定されたスプロケットと、スプロケットに巻回されたチェーンとを有する構成が採用されている。なお、チェーンは、その一端がリフトフレームの前端に固定され、その他端がリフトフレームの後端に固定されている。そして、油圧モータの駆動によってスプロケットを駆動させてチェーンを動作させることによって、リフトフレームの全体に渡って荷台がスライド移動できるようになっている。
【0005】
また、本願出願人は、荷台を地上面に略水平に降ろすことができる「貨物自動車の自重タイプの荷台傾斜移動機構」を製造販売している。この荷台傾斜移動機構は、シャーシの後部の傾斜基軸により回動自在に軸支されるガイドレールと、ガイドレールに摺動自在に支持された荷台と、ガイドレールに沿って車両前後方向に荷台を往復移動させる油圧シリンダとを備えている。
この荷台傾斜移動機構では、シャーシの上に「ガイドレール及び荷台」が水平に載置されている状態おいて、荷台を後方に移動させる場合、荷台傾斜移動機構の油圧シリンダを伸長させ、荷台に対して、車両・後方側に荷重をかける。これにより、荷台は、ガイドレールに沿って水平に後方移動する。なお、ガイドレール自体は、傾斜基軸に連結されているので、水平方向には移動しない。そして、荷台が、ある程度後方に移動すると、荷台自体の重量により、ガイドレールが後方側に傾斜し、且つ荷台がガイドレールと共に傾斜しつつ、ガイドレールに沿って後方に移動する。即ち、傾斜基軸を中心として、傾斜基軸より後方にかかるモーメントが一定値になると荷台が傾斜しながら後方側に移動していく。
【0006】
また、上記の「貨物自動車の自重タイプの荷台傾斜移動機構」は、油圧シリンダーのピストンロッドの先端部が荷台に接続され、荷台を前後方向に移動させるものであるが、荷台を前後方向に移動できる距離が、油圧シリンダのストロークの長さに制限され、油圧シリンダーだけでは荷台全体を地上面に略水平に降ろすために必要な移動距離が確保できない。そのため、上記の荷台傾斜移動機構では、シャーシの後端部側に、リアガイドフレームが車両・前後方向にスライド移動する機構(リアガイドフレーム移動機構)を設け、荷台傾斜移動機構により荷台を後方にスライド移動させる際に、リアガイドフレーム移動機構によりリアガイドフレームを前方に移動させることで、荷台全体を地上面に略水平に降ろせるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の貨物自動車のような、「油圧モータ、駆動シャフト、スプロゲット及びチェーン」を備えた機構により、車両前後方向に荷台をスライド移動させる構成は、当該機構の耐荷重が小さいため、機構を構成するチェーン等の部品交換等のメンテナンスの手間やコストがかかるという課題を有している。
また、本願出願人が販売している「貨物自動車の自重タイプの荷台傾斜移動機構」のようにシャーシにリアガイドフレーム移動機構を設けたものは、部品点数が多くなるとともに、構造が複雑になるため製造コストが嵩むという課題を有している。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、貨物自動車の荷台全体を地上に略水平に降ろして荷物の積み下ろしを行うことができる荷台傾斜移動機構であって、部品点数を減少させて製造コストを削減させるとともに、メンテナンスのコストを軽減させる荷台傾斜移動機構を提供することにある。また、本発明の目的は、上記荷台傾斜移動機構を備えた貨物自動車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた本発明は、貨物自動車のシャーシに設けられたガイドレールに沿って荷台を車両前後方向に移動させて該荷台全体を地上面に略水平に降ろしたり該荷台を該シャーシ上に水平状態で配置させたりする荷台傾斜移動機構であって、前記シャーシの後部側に設けられた傾斜基軸により回動自在に支持されている一対の前記ガイドレールと、前記ガイドレールの内側側面に沿って車両前後方向に移動する遊び枠と、前記遊び枠に摺動自在に支持され該遊び枠に沿って車両前後方向に移動する荷台支持移動金具と、前記車両前後方向に前記遊び枠を往復移動させる油圧シリンダーと、一対の前記ガイドレールに固定されている固定フレームと、前記荷台支持移動金具に接続され且つ前記ガイドレールに摺動自在な前記荷台とを備え、前記遊び枠は、その後端側に押出用チェーンが巻き掛けられた荷台押出用滑車が設けられているとともに、その前端側に引込用チェーンが巻き掛けられた荷台引込用滑車が設けられ、前記押出用チェーン及び前記引込用チェーンは、それぞれ、その一端部が前記荷台支持移動金具に接続され、その他端部が前記固定フレームに接続され、前記油圧シリンダーの伸長動作により、前記記遊び枠が車両後方側に移動すると、前記荷台支持移動金具が前記遊び枠とともに車両後方側に移動するとともに前記押出用チェーンにより前記荷台支持移動金具が該遊び枠に対して車両後方側に移動し、前記荷台支持移動金具に接続された前記荷台が該油圧シリンダーの伸長動作の長さ寸法に対して2倍の長さ寸法・車両後方側に移動し、前記油圧シリンダーの収縮動作により、前記遊び枠が車両前方側に移動すると、前記荷台支持移動金具が前記遊び枠とともに車両前方側に移動するとともに前記引込用チェーンにより前記荷台支持移動金具が該遊び枠に対して車両前方側に移動し、前記荷台支持移動金具に接続された前記荷台が該油圧シリンダーの収縮動作の長さ寸法に対して2倍の長さ寸法・車両前方側に移動するようになっていることを特徴とする。
【0011】
本発明の構成によれば、油圧シリンダの伸縮動作の長さ寸法に対して、2倍の長さ寸法の距離、荷台を移動させることができ、荷台全体を地上面に略水平に降ろすために必要な移動距離が確保できる。そのため、本発明によれば、本願出願人が販売している「貨物自動車の自重タイプの荷台傾斜移動機構」のような、リアガイドフレームを前後に移動させるリアガイドフレーム移動機構を設ける必要がなく、部品点数を減少させることができるとともに、構造を簡素化できるため製造コストを大幅に削減させることができる。
また、本発明の構成は、上述した特許文献1に記載のような「油圧モータ、駆動シャフト、スプロゲット及びチェーン」を備えた機構により荷台をスライド移動させるものよりも耐久性が高くなるため、特許文献1に記載の貨物自動車と比べて、メンテナンスのコストを軽減することができる。
【0012】
前記油圧シリンダーを伸長させると、前記遊び枠が該油圧シリンダーに押されて車両後方側に移動し、該遊び枠が車両後方側に移動すると、該遊び枠に支持されている前記荷台支持移動金具が該遊び枠と共に車両後方側に移動し、且つ該遊び枠が車両後方側に移動している最中に、該遊び枠の後端側の前記荷台押出用滑車に巻き掛けられている前記押出用チェーンが第1回転方向に動作して、その一端部に接続されている荷台支持移動金具を車両後方側に引っ張り、該車両支持移動金具が該遊び枠に対して車両後方側に移動し、前記油圧シリンダーを収縮させると、前記遊び枠が該油圧シリンダーに引っ張られて車両前方側に移動し、該遊び枠が車両前方側に移動すると、該遊び枠に支持されている前記荷台支持移動金具が該遊び枠と共に車両前方側に移動し、且つ該遊び枠が車両前方側に移動している最中に、該遊び枠の前端側の前記荷台引込用滑車に巻き掛けられている前記引込用チェーンが前記第1回転方向と反対の第2回転方向に動作して、その一端部に接続されている荷台支持移動金具を車両前方側に引っ張り、該車両支持移動金具が該遊び枠に対して車両前方側に移動するようになっていることが望ましい。
【0013】
また、本発明は、キャビンに接続され且つ車両前後方向に延びるシャーシと、荷台を車両前後方向に移動させるための荷台傾斜移動機構とを備え、該荷台全体を地上面に略水平に降ろして荷物の積み下ろしを行うことができる貨物自動車であって、前記荷台傾斜移動機構は、前記シャーシの後部側に設けられた傾斜基軸により回動自在に支持されている一対の前記ガイドレールと、前記ガイドレールの内側側面に沿って車両前後方向に移動する遊び枠と、前記遊び枠に摺動自在に支持され該遊び枠に沿って車両前後方向に移動する荷台支持移動金具と、前記車両前後方向に前記遊び枠を往復移動させる油圧シリンダーと、一対の前記ガイドレールに固定されている固定フレームと、前記荷台支持移動金具に接続され且つ前記ガイドレールに摺動自在な前記荷台とを備え、前記遊び枠は、その後端側に押出用チェーンが巻き掛けられた荷台押出用滑車が設けられているとともに、その前端側に引込用チェーンが巻き掛けられた荷台引込用滑車が設けられ、前記押出用チェーン及び前記引込用チェーンは、それぞれ、その一端部が前記荷台支持移動金具に接続され、その他端部が前記固定フレームに接続され、前記油圧シリンダーの伸長動作により、前記記遊び枠が車両後方側に移動すると、前記荷台支持移動金具が前記遊び枠とともに車両後方側に移動するとともに前記押出用チェーンにより前記荷台支持移動金具が該遊び枠に対して車両後方側に移動し、前記荷台支持移動金具に接続された前記荷台が該油圧シリンダーの伸長動作の長さ寸法に対して2倍の長さ寸法・車両後方側に移動し、前記油圧シリンダーの収縮動作により、前記遊び枠が車両前方側に移動すると、前記荷台支持移動金具が前記遊び枠とともに車両前方側に移動するとともに前記引込用チェーンにより前記荷台支持移動金具が該遊び枠に対して車両前方側に移動し、前記荷台支持移動金具に接続された前記荷台が該油圧シリンダーの収縮動作の長さ寸法に対して2倍の長さ寸法・車両前方側に移動するようになっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、荷台全体を地上に略水平に降ろして荷物の積み下ろしを行うことができる貨物自動車の荷台傾斜移動機構であって、部品点数を減少させて製造コストを削減させるとともに、メンテナンスのコストを低減させる荷台傾斜移動機構を提供することができる。また、本発明によれば、上記荷台傾斜移動機構を備えた貨物自動車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態の荷台傾斜機移動構を備えた貨物自動車の側面を示した模式図である。
【
図2】本発明の実施形態の荷台傾斜移動機構を構成するガイドレール、遊び枠、油圧シリンダー、荷台支持移動金具、押出用チェーン及び引込用チェーンの関係を説明するための模式図であり、荷台傾斜移動機構から荷台を取り除いた状態を示した模式図である。
【
図3】本発明の実施形態の荷台傾斜移動機構を構成するガイドレール、遊び枠及び油圧シリンダーを上面から視た模式図である。
【
図4】本発明の実施形態の荷台傾斜移動機構を構成するガイドレールを示した模式図であり、(a)がガイドレールの平面を示した模式図であり、(b)がガイドレールの側面を示した模式図である。
【
図5】本発明の実施形態の荷台傾斜移動機構を構成する遊び枠を示した模式図であり、(a)が遊び枠の平面を示した模式図であり、(b)が遊び枠の側面を示した模式図である。
【
図6】本発明の実施形態の荷台傾斜移動機構が走行可能状態のときの、ガイドレールと、遊び枠と、荷台支持移動金具と、押出用チェーンと、引込用チェーンと、固定フレームとの関係を説明するための模式図であり、(a)が荷台傾斜移動機構を平面視している模式図であり、(b)が荷台傾斜移動機構を構成する押出用チェーン及び引込用チェーンと荷台支持移動金具と固定フレームとの接続関係を説明するための模式図であり、(c)が荷台傾斜移動機構を車両後方側から視た模式図である。
【
図7】本発明の実施形態の荷台傾斜移動機構が荷台を地上面に降ろした状態のときの、ガイドレールと、遊び枠と、荷台支持移動金具と、押出用チェーンと、引込用チェーンと、固定フレームとの関係を説明するための模式図であり、(a)が荷台傾斜移動機構を平面視した模式図であり、(b)が荷台傾斜移動機構を構成する押出用チェーン及び引込用チェーンと荷台支持移動金具と固定フレームとの接続関係を説明するための模式図であり、(c)が荷台傾斜移動機構を車両後方側から視た模式図である。
【
図8】本発明の実施形態の荷台傾斜移動機構の遊び枠が移動した際の遊び枠、荷台支持金具、押出用チェーン及び引込用チェーンの状態を説明するための模式図であり、(a)が遊び枠及び荷台支持移動金具が車両前側に配置されているときの遊び枠、押出用チェーン、荷台押出用シーブ及び固定フレームの状態を示した模式図であり、(b)が遊び枠及び荷台支持移動金具が車両後側に配置されているときの遊び枠、押出用チェーン、荷台押出用シーブ及び固定フレームの状態を示した模式図であり、(c)が遊び枠及び荷台支持移動金具が車両前側に配置されているときの遊び枠、引込用チェーン、荷台引込用シーブ及び固定フレームの状態を示した模式図であり、(d)が遊び枠及び荷台支持移動金具が車両後側に配置されているときの遊び枠、引込用チェーン、荷台引込用シーブ及び固定フレームの状態を示した模式図である。
【
図9】本発明の実施形態の荷台傾斜移動機構の動作を説明するための模式図であり、(a)が荷台傾斜移動機構の遊び枠及び荷台支持移動金具が車両前端に配置されている状態を示した模式図であり、(b)が(a)に示す状態から荷台傾斜移動機構の油圧シリンダーをAmm伸長させたときの遊び枠及び荷台支持移動金具の配置状態を示した模式図であり、(c)が(b)に示す状態から荷台傾斜移動機構の油圧シリンダーをBmm伸長させたときの遊び枠及び荷台支持移動金具の配置状態を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態の荷台傾斜移動機構を備えた貨物自動車について図面に基づいて説明する。
【0017】
先ず、本実施形態の荷台傾斜移動機構を備えた貨物自動車の概略構成について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
ここで、
図1は、本実施形態の荷台傾斜機移動構を備えた貨物自動車の側面を示した模式図である。また、
図2は、本実施形態の荷台傾斜移動機構を構成するガイドレール、遊び枠、油圧シリンダー、荷台支持移動金具、押出用チェーン及び引込用チェーンの関係を説明するための模式図であり、荷台傾斜移動機構から荷台を取り除いた状態を示した模式図である。
なお、
図1では、1図面上に、荷台50をシャーシ3の上に水平状態で配置させている状態と、荷台50を後方に移動させて地上面GLに略水平に降ろした状態の両方を示している。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の貨物自動車Wは、キャビン1と、キャビン1に接続され且つ車両前後方向(X方向)に延びるシャーシ3と、荷台50を車両前後方向に移動させるための荷台傾斜移動機構とを備えている。
荷台50は、車両(自動車)等の貨物が載置される平面視・矩形の床部51と、床部51の前端側(キャビン1側)に、床部51に対して上方に向けて直角に延設されている鳥居部52とを有している。
【0019】
そして、荷台傾斜移動機構は、シャーシ3に設けられたガイドレール10に沿って荷台50を車両前後方向(X方向)に移動させることができるようになっており、荷台50を後方に移動させて荷台50全体を地上面GLに略水平に降ろした状態にしたり、荷台50をシャーシ3の上に水平状態で配置させた状態にしたりできるようになっている。
【0020】
また、
図2に示すように、荷台傾斜移動機構は、シャーシ3の後部側に設けられた傾斜基軸5(
図1参照)により回動自在に支持されている一対のガイドレール10と、ガイドレール10の内側側面に沿って車両前後方向(X方向)に移動する遊び枠20と、遊び枠20に摺動自在に支持され遊び枠20に沿って車両前後方向に移動する荷台支持移動金具30と、車両前後方向に遊び枠20を往復移動させる油圧シリンダー40と、ガイドレール10に固定されている固定フレーム15(
図6(b)、
図7(b)、
図8参照)と、荷台支持移動金具30に接続され且つガイドレール10に摺動自在な荷台50とを備えている。
【0021】
また、上記の遊び枠20は、その後端側に押出用チェーン60が巻き掛けられた荷台押出用シーブ(滑車)22が設けられているとともに、その前端側に引込用チェーン62が巻き掛けられた荷台引込用シーブ(滑車)21が設けられている。
押出用チェーン60及び引込用チェーン62は、それぞれ、その一端部が荷台支持移動金具30に接続され、その他端部が固定フレーム15に接続されている。
なお、荷台50は、前端側(鳥居部52側)の下端部が、荷台支持移動金具30に接続されている(
図1参照)。また、一対のガイドレール10の前端側には、横架板11が架設されている。
【0022】
また、ガイドレール10を支持する傾斜基軸5は、シャーシ3を構成する左右のフレーム間の後端側において、ガイドレール10の長手方向に対して垂直に軸止されている。ガイドレール10の底部には、傾斜基軸5と対応する位置に係合部12が形設されており、この係合部12に傾斜基軸5が挿嵌されて、ガイドレール10がシャーシ3に回動自在に支持されている。
【0023】
油圧シリンダー40は、シリンダチューブ40aと、シリンダチューブ40aに対して出入りするピストンロッド40bとを有している。また、シリンダーチューブ40aがガイドレール10の前端側の架設されている横架板11に固定され、シリンダーロッド40bの先端部が、遊び枠20の後端側に固定されている。
【0024】
そして、油圧シリンダー40が、ピストンロッド40bを伸縮させると、ガイドレール10に沿って、車両前後方向(X方向)に遊び枠20が往復移動するようになっている。
具体的には、油圧シリンダー40のピストンロッド40の伸長動作により、遊び枠20が車両後方側に移動する。また、遊び枠20が車両後方側に移動すると、荷台支持移動金具30が遊び枠20とともに車両後方側に移動するとともに押出用チェーン60が動作して、押出用チェーン60により荷台支持金具30が車両後方側に引っ張られて、遊び枠20に対して荷台支持移動金具30が車両後方側に移動する。
また、油圧シリンダー40のピストンロッド40の収縮動作により、遊び枠20が車両前方向側に移動する。また、遊び枠20が車両前方側に移動すると、荷台支持移動金具30が遊び枠20とともに車両前方向に移動するとともに引込用チェーン62が動作して、引込用チェーン62により荷台支持移動金具30が車両前方側に引っ張られて、遊び枠20に対して荷台支持移動金具30が車両前方側に移動する。
【0025】
上記の構成により、例えば、ピストンロッド40bが「Lmm」の長さ・伸長すれば、遊び枠20が「Lmm」の長さ寸法・後方に移動し、且つ荷台支持移動金具30が「2Lmm」の長さ寸法・後方に移動する。このとき、荷台支持移動金具30に接続されている荷台50は、ガイドレール10に沿って、荷台支持移動金具30とともに、「2Lmm」の長さ寸法・後方に移動する。
また、例えば、ピストンロッド40bが「Lmm」の長さ寸法・収縮すれば、遊び枠20が「Lmm」の長さ寸法・前方に移動し、且つ荷台支持移動金具30が「2Lmm」の長さ寸法・前方に移動する。このとき、荷台支持移動金具30に接続されている荷台50は、ガイドレール10に沿って、荷台支持移動金具30とともに、「2Lmm」の長さ寸法・前方に移動する。
なお、ガイドレール10自体は、傾斜基軸5に連結されているので、車両前後方向(水平方向)には移動しない。また、固定フレーム15も、ガイドレール10に固定されているため、車両前後方向(水平方向)には移動しない。
【0026】
そして、荷台50が、ガイドレール10に沿って、ある程度後方に移動すると、荷台50自体の重量(若しくは荷台5と貨物を合わせた重量)により、ガイドレール10が後方側に傾斜し、且つ荷台50がレール10と共に傾斜しつつ、ガイドレール10に沿って後方に移動する。即ち、傾斜基軸5を中心として、傾斜基軸5より後方にかかるモーメントが一定値になると荷台50がガイドレール10と共に傾斜しながら、ガイドレール10に沿って後方側に移動していき、荷台50全体が地面GLに略水平に降ろされた状態になる。
【0027】
次に、本実施形態の荷台傾斜移動機構の各構成について、上述した
図1、2と、
図3~8を用いて説明する。
【0028】
ここで、
図3は、本の実施形態の荷台傾斜移動機構を構成するガイドレール、遊び枠及び油圧シリンダーを上面から視た模式図である。
図4は、本実施形態の荷台傾斜移動機構を構成するガイドレールを示した模式図であり、(a)がガイドレールの平面を示した模式図であり、(b)がガイドレールの側面を示した模式図である。
図5は、本実施形態の荷台傾斜移動機構を構成する遊び枠を示した模式図であり、(a)が遊び枠の平面を示した模式図であり、(b)が遊び枠の側面を示した模式図である。
【0029】
また、
図6は、本実施形態の荷台傾斜移動機構が走行可能状態のときの、ガイドレールと、遊び枠と、荷台支持移動金具と、押出用チェーンと、引込用チェーンと、固定フレームとの関係を説明するための模式図であり、(a)が荷台傾斜移動機構を平面視している模式図であり、(b)が荷台傾斜移動機構を構成する押出用チェーン及び引込用チェーンと荷台支持移動金具と固定フレームとの接続関係を説明するための模式図であり、(c)が荷台傾斜移動機構を車両後方側から視た模式図である。
図7は、本実施形態の荷台傾斜移動機構が荷台を地上面に降ろした状態のときの、ガイドレールと、遊び枠と、荷台支持移動金具と、押出用チェーンと、引込用チェーンと、固定フレームとの関係を説明するための模式図であり、(a)が荷台傾斜移動機構を平面視した模式図であり、(b)が荷台傾斜移動機構を構成する押出用チェーン及び引込用チェーンと荷台支持移動金具と固定フレームとの接続関係を説明するための模式図であり、(c)が荷台傾斜移動機構を車両後方側から視た模式図である。
また、
図8は、本施形態の荷台傾斜移動機構の遊び枠が移動した際の遊び枠、荷台支持金具、押出用チェーン及び引込用チェーンの状態を説明するための模式図であり、(a)が遊び枠及び荷台支持移動金具が車両前側に配置されているときの遊び枠、押出用チェーン、荷台押出用シーブ及び固定フレームの状態を示した模式図であり、(b)が遊び枠及び荷台支持移動金具が車両後側に配置されているときの遊び枠、押出用チェーン、荷台押出用シーブ及び固定フレームの状態を示した模式図であり、(c)が遊び枠及び荷台支持移動金具が車両前側に配置されているときの遊び枠、引込用チェーン、荷台引込用シーブ及び固定フレームの状態を示した模式図であり、(d)が遊び枠及び荷台支持移動金具が車両後側に配置されているときの遊び枠、引込用チェーン、荷台引込用シーブ及び固定フレームの状態を示した模式図である。
なお、
図8(a)、(c)は、遊び枠20が車両前端側に配置され、その遊び枠20の前端に荷台支持移動金具30が配置されている状態を示しており、
図8(b)、(d)は、遊び枠20が車両後端側に配置され、その遊び枠20の後端に荷台支持金具30が配置されている状態を示している。
【0030】
ガイドレール10は、
図3及び
図4に示すように、車両前後方向に延びるレール部10aを有し、レール部10aの後端部に下方に突出する支持脚13(
図4参照)が設けられている。
また、レール部10aは、その後端部側であって且つ支持脚13よりも前方側の位置に下方に突出する係合部12が形設されいる。この係合部12が、シャーシ3を構成する左右のフレーム間に支持されている傾斜基軸5に回転自在に支持されている。
【0031】
また、ガイドレール10は、1対のレール部10aの内側に、遊び枠20を摺動自在に支持しており、ガイドレール10の長手方向(車両前後方向)に沿って遊び枠20が往復移動できるようになっている。
また、ガイドレール10には、1対のレール部10aの前端側に横架板11が架設されており、横架板11に、油圧シリンダー40のシリンダーチューブ40aが固定されている。
また、ガイドレール10には、1対のレール部10aの車両前後方向の略中間部に、略平板状の固定フレーム15(
図6(b)、
図7(b)参照)が架設され固定されている。固定フレーム15には、押出用チェーン60及び引込用チェーン62がそれぞれ接続されている。
また、ガイドレール10は、荷台50を摺動自在に支持しており、荷台50がガイドレール10の長手方向に沿って往復移動できるようになっている。
【0032】
遊び枠20は、
図5に示すように、車両前後方向に延びる、一対の縦片部20aと、一方の縦片部20aの後端から他方の縦片部20aの後端部まで延びる横片部(縦片部20aよりも短尺な横片部)20bとを備えた平面視略コノ字の枠状に形成されている。
また、
図3に示すように、遊び枠20は、その長手方向の外周側面が、ガイドレール10の長手方向の内周側面に摺動自在に支持されている。
【0033】
また、遊び枠20は、横片部20bよりも所定寸法・前方側の位置に、一方の縦片部20aから他方の縦片部20aまで延びるピストロッド固定片20cが設けられている。このピストンロッド固定片20cは、横片部20bと平行になっており、油圧シリンダ40のピストンロッド40bの先端部が固定されている。
そして、遊び枠20は、ピストンロッド40bの伸縮動作により、ガイドレール10の長手方向に沿って、車両前後方向に往復移動するようになっている。
また、遊び枠20の1対の縦片部20aの内周側面部には、荷台支持移動金具30が摺動自在に支持されている。この荷台支持移動金具30は、遊び枠20の前端から後端の間を往復移動できるようになっている。
【0034】
また、
図6、7に示すように、遊び枠20は、その後端側の車幅方向両側に、一対の荷台押出用シーブ(滑車)22が設けられている。この荷台押出用シーブ(滑車)22には、一端部が荷台支持移動金具30に接続された押出用チェーン60が巻き掛けられている(
図8(a)、(b)参照)。また、押出用チェーン60の他端部は、ガイドレール10に固定されている固定フレーム15に接続されている。
また、遊び枠20は、その前端側の車幅方向両側に、一対の荷台引込用シーブ(滑車)21が設けられている。この荷台引込用シーブ(滑車)21には、一端部が荷台支持移動金具30に接続された引込用チェーン62が巻き掛けられている(
図8(c)、(d)参照)。また、引込用チェーン62の他端部は、ガイドレール10に固定されている固定フレーム15に接続されている。
なお、
図6(c)に示すように、荷台引込用シーブ(滑車)21は、荷台押出用シーブ(滑車)22よりも外側(車幅方向の外側)の位置に設けられており、荷台引込用シーブ(滑車)21に巻き掛けられる引込用チェーン62と、荷台押出用シーブ(滑車)22に巻き掛けられる押出用チェーン60とが干渉しないようになっている。
【0035】
そして、
図8に示すように、荷台支持移動金具30は、遊び枠20の移動により動作するチェーン(押出用チェーン60、引込用チェーン62)により、遊び枠20の前端部の位置(
図8(a)、(c))と、遊び枠20の後端部の位置(
図8(b)、(d))との間で、遊び枠20の長手方向に沿って車両前後方向(X方向)に往復移動できるようになっている。
【0036】
例えば、遊び枠20が油圧シリンダー40により車両後方への荷重を受けて、
図8(a)に示す位置から
図8(b)に示す位置に向けて移動すると、遊び枠20に支持されている荷台支持移動金具30が、遊び枠20とともに、後方に移動する。
また、荷台支持移動金具30に接続されている押出用チェーン60は、遊び枠20の後端側の荷台押出用シーブ22に巻き掛けられ且つ他端部が車両前後方向移動しない固定フレーム15に接続されている。そのため、遊び枠20が後方に移動している最中に、荷台押出用シーブ(滑車)22が第1回転方向に回転し且つ荷台押出用滑車22に巻き掛けられている押出用チェーン60が第1回転方向に動作して、その一端部に接続されている荷台支持移動金具30を車両後方側に引っ張る。その結果、車両支持移動金具30が遊び枠20に対して車両後方側に移動する。
なお、遊び枠20の前端側の荷台引込用シーブ21に巻き掛けられている引込用チェーン62も、遊び枠20が後方に移動している最中に、第1回転方向に動作する。
【0037】
また、例えば、遊び枠20が油圧シリンダー40により車両前方への荷重を受けて、
図8(d)に示す位置から
図8(c)に示す位置に向けて移動すると、遊び枠20に支持されている荷台支持移動金具30が、遊び枠20とともに、前方に移動する。
また、荷台支持移動金具30に接続されている引込用チェーン62は、遊び枠20の前端側の荷台引込用シーブ21に巻き掛けられ且つ他端部が車両前後方向移動しない固定フレーム15に接続されている。そのため、遊び枠20が前方に移動している最中に、荷台引込用シーブ(滑車)21が第2回転方向(第1回転方向と反対方向)に回転し且つ荷台引込用シーブ21に巻き掛けられている引込用チェーン62が第2回転方向に動作して、その一端部に接続されている荷台支持移動金具30を車両前方側に引っ張る。その結果、車両支持移動金具30が遊び枠20に対して車両前方側に移動する。なお、遊び枠20の後端側の荷台押出用シーブ22に巻き掛けられている押出用チェーン60も、遊び枠20が前方に移動している最中に、第2回転方向に動作する。
【0038】
次に、本実施形態の荷台傾斜移動機構の動作について、
図9を参照しながら説明する。
【0039】
ここで、
図9は、本実施形態の荷台傾斜移動機構の動作を説明するための模式図であり、(a)が荷台傾斜移動機構の遊び枠及び荷台支持移動金具が車両前端に配置されている状態を示した模式図であり、(b)が(a)に示す状態から荷台傾斜移動機構の油圧シリンダーをAmm伸長させたときの遊び枠及び荷台支持移動金具の配置状態を示した模式図であり、(c)が(b)に示す状態から荷台傾斜移動機構の油圧シリンダーをBmm伸長させたときの遊び枠及び荷台支持移動金具の配置状態を示した模式図である。
なお、
図9は、説明の便宜上、荷台傾斜移動機構から荷台を取り除いた状態を示している。
【0040】
図9(a)に示すように、荷台傾斜移動機構の「遊び枠20及び荷台支持移動金具30」が車両前端側に配置されている状態において、油圧シリンダー40を駆動してピストンロッド40bを「Amm」伸長させると、遊び枠20がピストロッド40bに押されて(車両後方側に押されて)、ガイドレール10の長手方向に沿って、車両後方側に「Amm」移動する。
遊び枠20が車両後方側に「Amm」移動すると、遊び枠20に摺動自在に支持されている荷台支持移動金具30(及び荷台50)が、遊び枠20とともに、車両後方側に「Amm」移動する。また、遊び枠20が車両後方側に「Amm」移動している最中に、遊び枠20の後端側の荷台押出用シーブ22に巻き掛けられている押出用チェーン60が第1回転方向に動作して、その一端部に接続されている荷台支持移動金具30(及び荷台50)が引っ張られて、遊び枠20に対して車両後方側に「Amm」移動して、
図9(b)に示す状態になる。このとき、遊び枠20の前端側の荷台引込用シーブ21に巻き掛けられている引込用チェーン62も、遊び枠20が後方に移動している最中に、第1回転方向に動作する。
【0041】
このように、荷台傾斜移動機構の油圧シリンダー40を駆動してピストンロッド40bを「Amm」伸長させて、車両後方側に遊び枠20を「Amm」移動させると、荷台50を支持している荷台支持移動金具30が、車両後方側に「2Amm」移動して、
図9(b)に示す状態になる。
すなわち、本実施形態の荷台傾斜移動機構によれば、油圧シリンダー40を駆動してピストンロッド40bを「Amm」伸長させることで、荷台50を車両後方側に「2Amm」移動させることができる。
【0042】
また、
図9(b)に示す状態において、油圧シリンダー40を駆動してピストンロッド40bを「Bmm」伸長させると、遊び枠20がピストロッド40bに押されて、ガイドレール10の長手方向に沿って、車両後方側に「Bmm」移動する。
遊び枠20が車両後方側に「Bmm」移動すると、遊び枠20に摺動自在に支持されている荷台支持移動金具30(及び荷台50)が、遊び枠20とともに、車両後方側に「Bmm」移動する。また、遊び枠20が車両後方側に「Bmm」移動している最中に、遊び枠20の後端側の荷台押出用シーブ22に巻き掛けられている押出用チェーン60が第1回転方向に動作して、その一端部に接続されている荷台支持移動金具30(及び荷台50)が車両後方側に引っ張られ、遊び枠20に対して車両後方側に「Bmm」移動して、
図9(c)に示す状態になる。このとき、遊び枠20の前端側の荷台引込用シーブ21に巻き掛けられている引込用チェーン62も、遊び枠20が後方に移動している最中に、第1回転方向に動作する。
【0043】
このように、本実施形態の荷台傾斜移動機構によれば、油圧シリンダー40を駆動してピストンロッド40bを「Bmm」伸長させることで、荷台50を車両後方側に「2Bmm」移動させることができる。
【0044】
一方、例えば、
図9(c)の状態において、油圧シリンダー40を駆動してピストンロッド40bを「Bmm」収縮させると、遊び枠20がピストロッド40bに引っ張られて(車両前方側に引っ張られて)、ガイドレール10の長手方向に沿って、車両前方側に「Bmm」移動する。
遊び枠20が車両前方側に「Bmm」移動すると、遊び枠20に摺動自在に支持されている荷台支持移動金具30(及び荷台50)が、遊び枠20とともに、車両前方側に「Bmm」移動する。また、遊び枠20が車両前方側に「Bmm」移動している最中に、遊び枠20の前端側の荷台引込用シーブ21に巻き掛けられている引込用チェーン62が第2回転方向(第1回転方向と反対方向)に動作して、その一端部に接続されている荷台支持移動金具30(及び荷台50)が車両前方側に引っ張られて、遊び枠20に対して車両前方側に「Bmm」移動して、
図9(b)に示す状態になる。このとき、遊び枠20の後端側の荷台引込用シーブ22に巻き掛けられている押出用チェーン60も、遊び枠20が前方に移動している最中に、第2方回転方向に動作する。
【0045】
このように、
図9(c)に示す状態において、荷台傾斜移動機構の油圧シリンダー40を駆動してピストンロッド40bを「Bmm」収縮させて、車両後方側に遊び枠20を「Bmm」移動させると、荷台50を支持している荷台支持移動金具30が、車両前方側に「2Bmm」移動して、
図9(b)に示す状態になる。
すなわち、本実施形態の荷台傾斜移動機構によれば、油圧シリンダー40を駆動してピストンロッド40bを「Bmm」収縮させることで、荷台50を車両前方側に「2Bmm」移動させることができる。
【0046】
なお、上述したように、ガイドレール10が水平な状態(地上面と平行な状態)においてい、荷台50を後方に移動させていき、荷台50が、ガイドレール10に沿って、ある程度後方に移動すると、荷台50自体の重量により、ガイドレール10が後方側に傾斜する。このとき、荷台50は、ガイドレール10と共に傾斜しつつ、ガイドレール10に沿って後方に移動していき、荷台50全体が地面GLに略水平に降ろされた状態になる。
また、ガイドレール10が後方側に傾斜している状態において、ガイドレール10に沿って、荷台50を前方に移動させていき、荷台50が、ガイドレール10に沿って、ある程度前方に移動すると、荷台50自体の重量により、傾斜していたガイドレール10が水平状態になる。このとき、荷台50はガイドレール10と共に水平状態になる。
【0047】
このように、本実施形態によれば、油圧シリンダ40を伸縮する長さに対して、2倍の長さの距離、荷台50を移動させることができ、荷台50全体を地上面GLに略水平に降ろすために必要な移動距離が確保できる。そのため、本実施形態によれば、本願出願人が販売している貨物自動車のような、リアガイドフレームを前後に移動させるリアガイドフレーム移動機構を設ける必要がなく、部品点数を減少させることができるとともに、構造を簡素化できるため製造コストを削減させることができる。
また、本実施形態は、上述した特許文献1に記載のような「油圧モータ、駆動シャフト、スプロゲット及びチェーン」を備えた機構により荷台をスライド移動させるものよりも耐久性が高くなるため、特許文献1に記載の貨物自動車と比べて、メンテナンスのコストを軽減することができる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、荷台全体を地上に略水平に降ろして荷物の積み下ろしを行うことができる貨物自動車Wの荷台傾斜移動機構であって、部品点数を減少させて製造コストを削減させるとともに、メンテナンスのコストを低減させる荷台傾斜移動機構を提供することができる。また、本実施形態によれば、上記荷台傾斜移動機構を備えた貨物自動車Wを提供することができる。
【0049】
なお、本発明は、上記実施形態の限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
W…貨物自動車
1…キャビン
3…シャーシ
5…傾斜基軸
10…ガイドレール
10a…レール部
11…横架材
12…係合部
13…支持脚
20…遊び枠
20a…縦片部
20b…横片部
20c…ピストロッド固定片
21…荷台引込用シーブ
22…荷台押出用シーブ
30…荷台支持移動金具
40…油圧シリンダー
40a…シリンダチューブ
40b…ピストンロッド
50…荷台
51…床部
52…鳥居部
60…押出用チェーン
62…引込用チェーン
【手続補正書】
【提出日】2024-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物自動車のシャーシに設けられたガイドレールに沿って荷台を車両前後方向に移動させて該荷台全体を地上面に略水平に降ろしたり該荷台を該シャーシ上に水平状態で配置させたりする荷台傾斜移動機構であって、
前記シャーシの後部側に設けられた傾斜基軸により回動自在に支持されている一対の前記ガイドレールと、
前記ガイドレールの内側側面に沿って車両前後方向に移動する遊び枠と、
前記遊び枠に摺動自在に支持され該遊び枠に沿って車両前後方向に移動する荷台支持移動金具と、
前記車両前後方向に前記遊び枠を往復移動させる油圧シリンダーと、
一対の前記ガイドレールに固定されている固定フレームと、
前記荷台支持移動金具に接続され且つ前記ガイドレールに摺動自在な前記荷台とを備え、
前記遊び枠は、その後端側に押出用チェーンが巻き掛けられた荷台押出用滑車が設けられているとともに、その前端側に引込用チェーンが巻き掛けられた荷台引込用滑車が設けられ、
前記押出用チェーンは、その一端部が前記荷台支持移動金具に接続されているとともに、前記遊び枠の後端側に設けられた前記荷台押出用滑車に巻き回されて、その他端部が前記ガイドレールに固定されている前記固定フレームに接続され、
前記引込用チェーンは、その一端部が前記荷台支持移動金具に接続されているとともに、前記遊び枠の前端側に設けられた前記荷台引込用滑車に巻き回されて、その他端部が前記ガイドレールに固定されている前記固定フレームに接続され、
前記ガイドレールが地上面と平行な状態のときに前記荷台支持移動金具が前記遊び枠の前端部に配置されるようになっており、この状態において、前記油圧シリンダーを伸長動作させることにより、前記遊び枠が車両後方側に移動して該遊び枠の後端側が前記ガイドレールの後端部から車両後方側に突出し、且つ前記荷台支持移動金具が前記遊び枠とともに車両後方側に移動するとともに前記押出用チェーンにより該遊び枠の前端部から後端部に移動するようになっており、これらの動作により、前記荷台支持移動金具と共に前記荷台が、ある程度車両後方側に移動すると、該荷台自体の重量により、該ガイドレールが後方側に傾斜していき、且つ前記荷台支持移動金具と共に該荷台が傾斜しつつ該車両後方側に移動していき、該荷台全体が地上面に降ろされた状態になり、
前記ガイドレールが後方側に傾斜している状態のときに前記荷台支持移動金具が前記遊び枠の後端部に配置されるようになっており、この状態において、前記油圧シリンダーを収縮動作させることにより、前記ガイドレールの後端部から車両後方側に突出している前記遊び枠が車両前方側に移動し、且つ前記荷台支持移動金具が前記遊び枠とともに車両前方側に移動するとともに前記引込用チェーンにより該遊び枠の後端部から前端部に移動するようになっており、これらの動作により、前記荷台支持移動金具と共に前記荷台が、ある程度車両前方側に移動すると、該荷台自体の重量により、傾斜していた前記ガイドレールが水平状態になっていき、且つ前記荷台支持移動金具と共に該荷台が水平状態になりつつ車両前方側に移動していき、該荷台が前記シャーシ上に水平状態で配置されるようになっていることを特徴とする荷台傾斜移動機構。
【請求項2】
前記押出用チェーン及び前記引込用チェーンは、いずれも、前記遊び枠の枠内に配置されており、
前記油圧シリンダーを伸長させると、前記遊び枠が該油圧シリンダーに押されて車両後方側に移動し、該遊び枠が車両後方側に移動すると、該遊び枠に支持されている前記荷台支持移動金具が該遊び枠と共に車両後方側に移動し、且つ該遊び枠が車両後方側に移動している最中に、該遊び枠の後端側の前記荷台押出用滑車に巻き掛けられている前記押出用チェーンが第1回転方向に動作して、その一端部に接続されている荷台支持移動金具を車両後方側に引っ張り、該荷台支持移動金具が該遊び枠に対して車両後方側に移動し、
前記油圧シリンダーを収縮させると、前記遊び枠が該油圧シリンダーに引っ張られて車両前方側に移動し、該遊び枠が車両前方側に移動すると、該遊び枠に支持されている前記荷台支持移動金具が該遊び枠と共に車両前方側に移動し、且つ該遊び枠が車両前方側に移動している最中に、該遊び枠の前端側の前記荷台引込用滑車に巻き掛けられている前記引込用チェーンが前記第1回転方向と反対の第2回転方向に動作して、その一端部に接続されている荷台支持移動金具を車両前方側に引っ張り、該荷台支持移動金具が該遊び枠に対して車両前方側に移動するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の荷台傾斜移動機構。
【請求項3】
キャビンに接続され且つ車両前後方向に延びるシャーシと、荷台を車両前後方向に移動させるための荷台傾斜移動機構とを備え、該荷台全体を地上面に略水平に降ろして荷物の積み下ろしを行うことができる貨物自動車であって、
前記荷台傾斜移動機構は、
前記シャーシの後部側に設けられた傾斜基軸により回動自在に支持されている一対のガイドレールと、
前記ガイドレールの内側側面に沿って車両前後方向に移動する遊び枠と、
前記遊び枠に摺動自在に支持され該遊び枠に沿って車両前後方向に移動する荷台支持移動金具と、
前記車両前後方向に前記遊び枠を往復移動させる油圧シリンダーと、
一対の前記ガイドレールに固定されている固定フレームと、
前記荷台支持移動金具に接続され且つ前記ガイドレールに摺動自在な前記荷台とを備え、
前記遊び枠は、その後端側に押出用チェーンが巻き掛けられた荷台押出用滑車が設けられているとともに、その前端側に引込用チェーンが巻き掛けられた荷台引込用滑車が設けられ、
前記押出用チェーンは、その一端部が前記荷台支持移動金具に接続されているとともに、前記遊び枠の後端側に設けられた前記荷台押出用滑車に巻き回されて、その他端部が前記ガイドレールに固定されている前記固定フレームに接続され、
前記引込用チェーンは、その一端部が前記荷台支持移動金具に接続されているとともに、前記遊び枠の前端側に設けられた前記荷台引込用滑車に巻き回されて、その他端部が前記ガイドレールに固定されている前記固定フレームに接続され、
前記ガイドレールが地上面と平行な状態のときに前記荷台支持移動金具が前記遊び枠の前端部に配置されるようになっており、この状態において、前記油圧シリンダーを伸長動作させることにより、前記遊び枠が車両後方側に移動して該遊び枠の後端側が前記ガイドレールの後端部から車両後方側に突出し、且つ前記荷台支持移動金具が前記遊び枠とともに車両後方側に移動するとともに前記押出用チェーンにより該遊び枠の前端部から後端部に移動するようになっており、これらの動作により、前記荷台支持移動金具と共に前記荷台が、ある程度車両後方側に移動すると、該荷台自体の重量により、該ガイドレールが後方側に傾斜していき、且つ前記荷台支持移動金具と共に該荷台が傾斜しつつ該車両後方側に移動していき、該荷台全体が地上面に降ろされた状態になり、
前記ガイドレールが後方側に傾斜している状態のときに前記荷台支持移動金具が前記遊び枠の後端部に配置されるようになっており、この状態において、前記油圧シリンダーを収縮動作させることにより、前記ガイドレールの後端部から車両後方側に突出している前記遊び枠が車両前方側に移動し、且つ前記荷台支持移動金具が前記遊び枠とともに車両前方側に移動するとともに前記引込用チェーンにより該遊び枠の後端部から前端部に移動するようになっており、これらの動作により、前記荷台支持移動金具と共に前記荷台が、ある程度車両前方側に移動すると、該荷台自体の重量により、傾斜していた前記ガイドレールが水平状態になっていき、且つ前記荷台支持移動金具と共に該荷台が水平状態になりつつ車両前方側に移動していき、該荷台が前記シャーシ上に水平状態で配置されるようになっていることを特徴とする貨物自動車。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上記課題を解決するためになされた本発明は、貨物自動車のシャーシに設けられたガイドレールに沿って荷台を車両前後方向に移動させて該荷台全体を地上面に略水平に降ろしたり該荷台を該シャーシ上に水平状態で配置させたりする荷台傾斜移動機構であって、前記シャーシの後部側に設けられた傾斜基軸により回動自在に支持されている一対の前記ガイドレールと、前記ガイドレールの内側側面に沿って車両前後方向に移動する遊び枠と、前記遊び枠に摺動自在に支持され該遊び枠に沿って車両前後方向に移動する荷台支持移動金具と、前記車両前後方向に前記遊び枠を往復移動させる油圧シリンダーと、一対の前記ガイドレールに固定されている固定フレームと、前記荷台支持移動金具に接続され且つ前記ガイドレールに摺動自在な前記荷台とを備え、前記遊び枠は、その後端側に押出用チェーンが巻き掛けられた荷台押出用滑車が設けられているとともに、その前端側に引込用チェーンが巻き掛けられた荷台引込用滑車が設けられ、前記押出用チェーンは、その一端部が前記荷台支持移動金具に接続されているとともに、前記遊び枠の後端側に設けられた前記荷台押出用滑車に巻き回されて、その他端部が前記ガイドレールに固定されている前記固定フレームに接続され、前記引込用チェーンは、その一端部が前記荷台支持移動金具に接続されているとともに、前記遊び枠の前端側に設けられた前記荷台引込用滑車に巻き回されて、その他端部が前記ガイドレールに固定されている前記固定フレームに接続され、前記ガイドレールが地上面と平行な状態のときに前記荷台支持移動金具が前記遊び枠の前端部に配置されるようになっており、この状態において、前記油圧シリンダーを伸長動作させることにより、前記遊び枠が車両後方側に移動して該遊び枠の後端側が前記ガイドレールの後端部から車両後方側に突出し、且つ前記荷台支持移動金具が前記遊び枠とともに車両後方側に移動するとともに前記押出用チェーンにより該遊び枠の前端部から後端部に移動するようになっており、これらの動作により、前記荷台支持移動金具と共に前記荷台が、ある程度車両後方側に移動すると、該荷台自体の重量により、該ガイドレールが後方側に傾斜していき、且つ前記荷台支持移動金具と共に該荷台が傾斜しつつ該車両後方側に移動していき、該荷台全体が地上面に降ろされた状態になり、前記ガイドレールが後方側に傾斜している状態のときに前記荷台支持移動金具が前記遊び枠の後端部に配置されるようになっており、この状態において、前記油圧シリンダーを収縮動作させることにより、前記ガイドレールの後端部から車両後方側に突出している前記遊び枠が車両前方側に移動し、且つ前記荷台支持移動金具が前記遊び枠とともに車両前方側に移動するとともに前記引込用チェーンにより該遊び枠の後端部から前端部に移動するようになっており、これらの動作により、前記荷台支持移動金具と共に前記荷台が、ある程度車両前方側に移動すると、該荷台自体の重量により、傾斜していた前記ガイドレールが水平状態になっていき、且つ前記荷台支持移動金具と共に該荷台が水平状態になりつつ車両前方側に移動していき、該荷台が前記シャーシ上に水平状態で配置されるようになっていることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
前記押出用チェーン及び前記引込用チェーンは、いずれも、前記遊び枠の枠内に配置されており、前記油圧シリンダーを伸長させると、前記遊び枠が該油圧シリンダーに押されて車両後方側に移動し、該遊び枠が車両後方側に移動すると、該遊び枠に支持されている前記荷台支持移動金具が該遊び枠と共に車両後方側に移動し、且つ該遊び枠が車両後方側に移動している最中に、該遊び枠の後端側の前記荷台押出用滑車に巻き掛けられている前記押出用チェーンが第1回転方向に動作して、その一端部に接続されている荷台支持移動金具を車両後方側に引っ張り、該荷台支持移動金具が該遊び枠に対して車両後方側に移動し、前記油圧シリンダーを収縮させると、前記遊び枠が該油圧シリンダーに引っ張られて車両前方側に移動し、該遊び枠が車両前方側に移動すると、該遊び枠に支持されている前記荷台支持移動金具が該遊び枠と共に車両前方側に移動し、且つ該遊び枠が車両前方側に移動している最中に、該遊び枠の前端側の前記荷台引込用滑車に巻き掛けられている前記引込用チェーンが前記第1回転方向と反対の第2回転方向に動作して、その一端部に接続されている荷台支持移動金具を車両前方側に引っ張り、該荷台支持移動金具が該遊び枠に対して車両前方側に移動するようになっていることが望ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
また、本発明は、キャビンに接続され且つ車両前後方向に延びるシャーシと、荷台を車両前後方向に移動させるための荷台傾斜移動機構とを備え、該荷台全体を地上面に略水平に降ろして荷物の積み下ろしを行うことができる貨物自動車であって、前記荷台傾斜移動機構は、前記シャーシの後部側に設けられた傾斜基軸により回動自在に支持されている一対のガイドレールと、前記ガイドレールの内側側面に沿って車両前後方向に移動する遊び枠と、前記遊び枠に摺動自在に支持され該遊び枠に沿って車両前後方向に移動する荷台支持移動金具と、前記車両前後方向に前記遊び枠を往復移動させる油圧シリンダーと、一対の前記ガイドレールに固定されている固定フレームと、前記荷台支持移動金具に接続され且つ前記ガイドレールに摺動自在な前記荷台とを備え、前記遊び枠は、その後端側に押出用チェーンが巻き掛けられた荷台押出用滑車が設けられているとともに、その前端側に引込用チェーンが巻き掛けられた荷台引込用滑車が設けられ、前記押出用チェーンは、その一端部が前記荷台支持移動金具に接続されているとともに、前記遊び枠の後端側に設けられた前記荷台押出用滑車に巻き回されて、その他端部が前記ガイドレールに固定されている前記固定フレームに接続され、前記引込用チェーンは、その一端部が前記荷台支持移動金具に接続されているとともに、前記遊び枠の前端側に設けられた前記荷台引込用滑車に巻き回されて、その他端部が前記ガイドレールに固定されている前記固定フレームに接続され、前記ガイドレールが地上面と平行な状態のときに前記荷台支持移動金具が前記遊び枠の前端部に配置されるようになっており、この状態において、前記油圧シリンダーを伸長動作させることにより、前記遊び枠が車両後方側に移動して該遊び枠の後端側が前記ガイドレールの後端部から車両後方側に突出し、且つ前記荷台支持移動金具が前記遊び枠とともに車両後方側に移動するとともに前記押出用チェーンにより該遊び枠の前端部から後端部に移動するようになっており、これらの動作により、前記荷台支持移動金具と共に前記荷台が、ある程度車両後方側に移動すると、該荷台自体の重量により、該ガイドレールが後方側に傾斜していき、且つ前記荷台支持移動金具と共に該荷台が傾斜しつつ該車両後方側に移動していき、該荷台全体が地上面に降ろされた状態になり、前記ガイドレールが後方側に傾斜している状態のときに前記荷台支持移動金具が前記遊び枠の後端部に配置されるようになっており、この状態において、前記油圧シリンダーを収縮動作させることにより、前記ガイドレールの後端部から車両後方側に突出している前記遊び枠が車両前方側に移動し、且つ前記荷台支持移動金具が前記遊び枠とともに車両前方側に移動するとともに前記引込用チェーンにより該遊び枠の後端部から前端部に移動するようになっており、これらの動作により、前記荷台支持移動金具と共に前記荷台が、ある程度車両前方側に移動すると、該荷台自体の重量により、傾斜していた前記ガイドレールが水平状態になっていき、且つ前記荷台支持移動金具と共に該荷台が水平状態になりつつ車両前方側に移動していき、該荷台が前記シャーシ上に水平状態で配置されるようになっていることを特徴とする。