(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118053
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】電磁波シールドルームの扉構造
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
H05K9/00 H
H05K9/00 P
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024228
(22)【出願日】2023-02-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】596171395
【氏名又は名称】有限会社 エヌエー・メカニカル
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】弁理士法人日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 政信
(72)【発明者】
【氏名】大塚 昌明
(72)【発明者】
【氏名】岡田 宗哲
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大輔
【テーマコード(参考)】
5E321
【Fターム(参考)】
5E321AA03
5E321AA42
5E321BB53
5E321CC21
5E321GG05
5E321GH10
(57)【要約】
【課題】電磁波が扉から内外に漏洩しないように遮蔽する際に、大型収容物でも出し入れがしやすい電磁波シールドルームの扉構造を提供する。
【解決手段】電磁波シールドルームの扉構造は、シールド扉が押し付けられる三方枠の受面に沿って並置された内ガスケット及び外ガスケットと、前記三方枠の開口部を塞ぐ前記シールド扉に、下方へスライド移動させることで床面に当接可能に連設した昇降枠と、前記昇降枠の下面に沿って並置された下内ガスケット及び下外ガスケットと、を有し、前記シールド扉で前記三方枠の開口部を塞ぎ、前記昇降枠を床面に押し付けたときに、前記内ガスケットと前記下内ガスケットの端同士が重なり、前記外ガスケットと前記下外ガスケットの端同士が重なることで、前記内ガスケット及び前記外ガスケットがそれぞれ環状に繋がる、ことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールドルームの室内から室外まで床面がフラットな三方枠による開口部をシールド扉で塞ぐことにより電磁波が内外へ漏洩しないように遮蔽する扉構造であって、
前記シールド扉が押し付けられる前記三方枠の受面に沿って並置された内ガスケット及び外ガスケットと、
前記三方枠の開口部を塞ぐ前記シールド扉に、下方へスライド移動させることで床面に当接可能に連設した昇降枠と、
前記昇降枠の下面に沿って並置された下内ガスケット及び下外ガスケットと、を有し、
前記シールド扉で前記三方枠の開口部を塞ぎ、前記昇降枠を床面に押し付けたときに、前記内ガスケットと前記下内ガスケットの端同士が重なり、前記外ガスケットと前記下外ガスケットの端同士が重なることで、前記内ガスケット及び前記外ガスケットがそれぞれ環状に繋がる、
ことを特徴とする電磁波シールドルームの扉構造。
【請求項2】
前記シールド扉は、前記三方枠に間隔を置いて対向させたスライド面を押し出して前記三方枠の受面に当接させてから、前記スライド面に連設された前記昇降枠を下方に押し出して床面に当接させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールドルームの扉構造。
【請求項3】
前記シールド扉と下方へ移動した前記昇降枠の間を塞ぐようにシール材を押し付ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールドルームの扉構造。
【請求項4】
前記内ガスケット及び前記外ガスケットの端を床面に沿うように突出させ、前記下内ガスケット及び前記下外ガスケットの端を前記三方枠の受面に向けて曲げる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールドルームの扉構造。
【請求項5】
前記シールド扉は、スライド面のうち中央パネルの周りのスライド枠のみが前記三方枠に押し付けられ、前記スライド枠の下側に前記昇降枠が連設される、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載の電磁波シールドルームの扉構造。
【請求項6】
前記中央パネルの四方の端を後方に折り曲げたナイフプレートを挟み込むように前記スライド枠の端を折り曲げた内部に、前記ナイフプレートを挟持するシールドフィンガーと、前記スライド枠を移動させたときに前記ナイフプレートが押し付けられるシールドガスケットを設けた、
ことを特徴とする請求項5に記載の電磁波シールドルームの扉構造。
【請求項7】
前記中央パネルの内面に吸収材を配置した、
ことを特徴とする請求項5に記載の電磁波シールドルームの扉構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波が扉から内外に漏洩しないように遮蔽する電磁波シールドルームの扉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
シールドルームは、外部から電磁波の影響を受けず、かつ外部に電磁波を漏洩しないように設置された空間であり、さらに内部で電磁波が反射しないように処置する場合もある。例えば、無線機器の試験やEMC(電磁両立性)計測に利用される電波暗室、機密保護が必要な電算機室、MRI(核磁気共鳴画像法)など生体磁気の計測機器を設置した検査室などがある。
【0003】
シールドルームは、部屋の6面が金属板や金網等の導電体で囲われており、電磁波が表面に当たると導電体に電流が流れて電磁波を反射させる。シールドルームでは、遮断したい電磁波の周波数に応じて材質などを選択し、適切に遮蔽する必要があるが、扉など開口部があると電磁波が漏洩するおそれがある。
【0004】
特許文献1及び2に記載されているように、各種の電磁波発生機器を収容するための電磁波シールドルーム、電算機室、測定実験用の電波暗室等のシールドルームの開口部に使用される扉装置の発明も開示されている。
【0005】
特許文献1及び2に記載の発明は、比較的小型の電磁波発生機器を収容する場合を対象としており、何十メートルもある場合だと扉の重量も相当大きくなり、開閉させるのも困難となる。また、高い周波数を遮断できても、低い周波数が回折してしまう場合もある。そこで、特許文献3として挙げたように、大型のシールド建築物の出入り口部分における電磁波の漏洩を防止できる電磁波シールド構造を備えた大型扉の発明を出願している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3253904号公報
【特許文献2】特許第3439611号公報
【特許文献3】特願2021-150971号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3に記載の発明では、シールド建築物の出入口の前に大型シールド扉の中央遮蔽パネルを配置し、中央遮蔽パネルの外周を取り囲むように設けられた外周正面パネルを移動させて、シールド建築物の出入口の外周に密着させているが、外周正面パネルは中央遮蔽パネルの下側にも存在するため、大型の電磁波発生機器を内部に収容する際に外周正面パネルを乗り越えさせる必要がある。すなわち、外部の床面とシールド建築物の床面とが平坦に連なっておらず、大型収容物の出し入れが困難である。
【0008】
そこで、本発明は、電磁波が扉から内外に漏洩しないように遮蔽する際に、大型収容物でも出し入れがしやすい電磁波シールドルームの扉構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明である電磁波シールドルームの扉構造は、シールドルームの室内から室外まで床面がフラットな三方枠による開口部をシールド扉で塞ぐことにより電磁波が内外へ漏洩しないように遮蔽する扉構造であって、前記シールド扉が押し付けられる前記三方枠の受面に沿って並置された内ガスケット及び外ガスケットと、前記三方枠の開口部を塞ぐ前記シールド扉に、下方へスライド移動させることで床面に当接可能に連設した昇降枠と、前記昇降枠の下面に沿って並置された下内ガスケット及び下外ガスケットと、を有し、前記シールド扉で前記三方枠の開口部を塞ぎ、前記昇降枠を床面に押し付けたときに、前記内ガスケットと前記下内ガスケットの端同士が重なり、前記外ガスケットと前記下外ガスケットの端同士が重なることで、前記内ガスケット及び前記外ガスケットがそれぞれ環状に繋がる、ことを特徴とする。
【0010】
前記電磁波シールドルームの扉構造において、前記シールド扉は、前記三方枠に間隔を置いて対向させたスライド面を押し出して前記三方枠の受面に当接させてから、前記スライド面に連設された前記昇降枠を下方に押し出して床面に当接させる、ことを特徴とする。
【0011】
前記電磁波シールドルームの扉構造において、前記シールド扉と下方へ移動した前記昇降枠の間を塞ぐようにシール材を押し付ける、ことを特徴とする。
【0012】
前記電磁波シールドルームの扉構造において、前記内ガスケット及び前記外ガスケットの端を床面に沿うように突出させ、前記下内ガスケット及び前記下外ガスケットの端を前記三方枠の受面に向けて曲げる、ことを特徴とする。
【0013】
前記電磁波シールドルームの扉構造において、前記シールド扉は、スライド面のうち中央パネルの周りのスライド枠のみが前記三方枠に押し付けられ、前記スライド枠の下側に前記昇降枠が連設される、ことを特徴とする。
【0014】
前記電磁波シールドルームの扉構造において、前記中央パネルの四方の端を後方に折り曲げたナイフプレートを挟み込むように前記スライド枠の端を折り曲げた内部に、前記ナイフプレートを挟持するシールドフィンガーと、前記スライド枠を移動させたときに前記ナイフプレートが押し付けられるシールドガスケットを設けた、ことを特徴とする。
【0015】
前記電磁波シールドルームの扉構造において、前記中央パネルの内面に吸収材を配置した、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電磁波が扉から内外に漏洩しないように遮蔽する際に、大型収容物でも出し入れがしやすい。扉を開いたときに外部の床面とシールドルームの床面とが平坦になるので、重量のある大型の電磁波発生装置でも簡単に内部に収容または外部に搬出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明である電磁波シールドルームの扉構造の概観斜視図及び正面図(シールド扉なし)である。
【
図2】本発明である電磁波シールドルームの扉構造の平面断面図である。
【
図3】本発明である電磁波シールドルームの扉構造において、シールド扉を閉じる前の状態を示す側面断面図である。
【
図4】本発明である電磁波シールドルームの扉構造において、シールド扉を閉じた状態を示す側面断面図である。
【
図5】本発明である電磁波シールドルームの扉構造において、床面をシールした状態を示す側面断面図である。
【
図6】本発明である電磁波シールドルームの扉構造において、シールド扉を閉じる前の状態を一部拡大して示す斜視図である。
【
図7】本発明である電磁波シールドルームの扉構造において、シールド扉を閉じる前の状態を一部拡大して示す平面透過図である。
【
図8】本発明である電磁波シールドルームの扉構造において、シールド扉を閉じて床面をシールした状態を一部拡大して示す平面透過図である。
【
図9】本発明である電磁波シールドルームの扉構造において、シールド扉の外枠をスライドさせる前の状態を示す平面断面図である。
【
図10】本発明である電磁波シールドルームの扉構造において、シールド扉の外枠をスライドさせた状態を示す平面断面図である。
【
図11】本発明である電磁波シールドルームの扉構造において、シールド扉の外枠をスライドさせる前の状態を示す側面断面図である。
【
図12】本発明である電磁波シールドルームの扉構造において、シールド扉の外枠をスライドさせて床面をシールした状態を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【実施例0019】
まず、本発明である電磁波シールドルームの扉構造(床面フラット扉全面移動タイプ)について説明する。
図1は、電磁波シールドルームの扉構造の概観斜視図及び正面図(シールド扉なし)である。
図2は、電磁波シールドルームの扉構造の平面断面図である。なお、シールド扉から見てシールドルーム側を前方、反対側を後方とする。また、シールドルームの開口部側を手前、反対側を奥とする。
【0020】
図1(a)に示すように、電磁波シールドルーム100は、収容物120を収容したシールドルーム200の開口部をシールド扉300で塞ぐことにより、収容物120から発生した電磁波が外部に漏洩しないように、また収容物120が外部の電磁波の影響を受けないように遮蔽する。
【0021】
シールドルーム200及びシールド扉300には、電磁波を遮蔽するために、電気抵抗の小さい金属板(例えば、鋼板など)が使用され、シールドルーム200とシールド扉300の間には、金属線を編んで目の細かい網状にしたものを巻いたり重ねたりして細長く丸めたガスケットを介在させる。
【0022】
なお、ガスケットは、遮蔽する電磁波の波長よりも十分に小さい網目にする。また、シールドルーム200の外壁に導電性材料を塗布したり、シールドルーム200の内壁に吸収体を貼り付けたりして電磁波の反射を抑えるようにしても良い。
【0023】
シールドルーム200とシールド扉300の間を塞ぐには、シールド扉300とシールドルーム200の上下左右の枠を当接させることが望ましいが、収容物120が車両など大型で重量があると、収容物120を持ち上げたり下枠を乗り越えさせたりすることが困難な場合もある。そのため、シールドルーム200は、室内から室外まで床面110が段差等なくフラットな三方枠で構成する。
【0024】
なお、シールドルーム200の奥面と、下枠のない床面110、少なくとも、シールドルーム200内とシールド扉300が配置される部分には、三方枠と同様に、電磁波を遮蔽するために金属板などの導電体が使用される。
【0025】
図1(b)に示すように、三方枠210は、床面110に垂立する左枠210a及び右枠210bと、左枠210a及び右枠210bの上に連設されて左枠210aから右枠210bまで水平に渡される上枠210cからなる。
【0026】
シールドルーム200を閉じたときにシールド扉300と当接する三方枠210の受面220(左受面220a、右受面220b及び上受面220c)には、内ガスケット230と、外ガスケット240の2本のガスケットを並べて配置する。ガスケットの種類や網目の大きさによって、遮蔽可能な電磁波の波長が異なるので、異なるガスケットを組み合わせたり、ガスケットの本数を増やしたりしてシールド率を上げても良い。
【0027】
なお、内ガスケット230は、左内ガスケット230aと上内ガスケット230cが連結され、さらに上内ガスケット230cと右内ガスケット230bが連結される。外ガスケット240は、左外ガスケット240aと上外ガスケット240cが連結され、さらに上外ガスケット240cと右外ガスケット240bが連結される。
【0028】
図2(a)に示すように、シールド扉300を前後左右に移動させ、又はシールド扉300を回動させて、シールドルーム200の手前に配置する。シールド扉300の重量が大きいと、シールドルーム200に接触したときの衝撃により、シールドルーム200及びシールド扉300が破損するおそれもあるので、シールドルーム200から間隔を置いてシールド扉300を対向させる。
【0029】
図2(b)に示すように、移動してきたシールド扉300の速度を落とし、一旦停止させて勢いを無くしてから、シールド扉300のスライド面310をシールドルーム200に向かって押し出し、スライド面310を三方枠210の受面220に押し付けるように当接させる。なお、スライド面310は、シールド扉300全体を移動させても良いし、シールドルーム200側の一部を移動させても良い。
【0030】
三方枠210の受面220とシールド扉300のスライド面310の間に内ガスケット230及び外ガスケット240が押圧状態で挟まれ、三方枠210とシールド扉300が電気的に接続される。内ガスケット230及び外ガスケット240は、それぞれ遮蔽したい波長の電磁波が通り抜けることができない細かさの網目にすれば良い。
【0031】
図3は、電磁波シールドルームの扉構造において、シールド扉を閉じる前の状態を示す側面断面図である。
図4は、電磁波シールドルームの扉構造において、シールド扉を閉じた状態を示す側面断面図である。
図5は、電磁波シールドルームの扉構造において、床面をシールした状態を示す側面断面図である。
【0032】
図3に示すように、シールドルーム200の三方枠210の開口部を塞ぐシールド扉300のスライド面310に、下方へスライド移動させることで床面110に当接可能に連設した昇降枠400を設ける。
【0033】
昇降枠400は、スライド面310に当接する縦枠と、縦枠から湾曲して床面110に当接可能な横枠からなり、横枠の下面には左右方向に延びる下内ガスケット410と下外ガスケット420の2本のガスケットを並べて配置する。
【0034】
図4に示すように、シールド扉300のスライド面310は、床面110まで達しておらず、エアシリンダ250で三方枠210に押し出された後、スライド面310に連設された昇降枠400をエアシリンダ430aで下方に押し出すことで床面110に当接させる。なお、エアシリンダ430aも、スライド面310に連結される。
【0035】
エアシリンダ250は、スライド面310に間欠的に複数(三方枠210が当たる端側に沿って等間隔で)配置され、それぞれバネ等で押さえられており、一斉に圧縮空気を供給することで、均等にスライド面310を三方枠210に押し付ける。エアシリンダ430aも同様に、昇降枠400を床面110に押し付ける。
【0036】
なお、左受面220a及び右受面220bの下端は、丸みを付けて床面110に繋がっており、昇降枠400を三方枠210及び床面110に押し付けたときに、昇降枠400の湾曲部と当接する。
【0037】
シールドルーム200の床面110と昇降枠400の横枠の間は、下内ガスケット410及び下外ガスケット420で電気的に接続され、電磁波を遮蔽する。なお、下内ガスケット410及び下外ガスケット420は、内ガスケット230及び外ガスケット240と同様のものを使用すれば良い。
【0038】
図5に示すように、昇降枠400を上下移動させるにあたり、スライド面310と昇降枠400の縦枠の隙間から電磁波が漏洩しないように、エアシリンダ430bでシール材440を押し付けて、下方へ移動した昇降枠400とスライド面310の隙間を塞ぐ。なお、エアシリンダ430bは、シールド扉300に連結され、エアシリンダ430aとは連結していない。
【0039】
図6は、電磁波シールドルームの扉構造において、シールド扉を閉じる前の状態を一部拡大して示す斜視図である。
図7は、電磁波シールドルームの扉構造において、シールド扉を閉じる前の状態を一部拡大して示す平面透過図である。
図8は、電磁波シールドルームの扉構造において、シールド扉を閉じて床面をシールした状態を一部拡大して示す平面透過図である。
【0040】
図6に示すように、三方枠210の右枠210bに沿って縦方向に延びる右内ガスケット230b及び右外ガスケット240bの下端は、床面110に達したら床面110に沿って曲げて右枠210bから突出させる。
【0041】
同様に、三方枠210の左枠210aに沿って縦方向に延びる左内ガスケット230a及び左外ガスケット240aの下端は、床面110に達したら床面110に沿って曲げて左枠210aから突出させる。
【0042】
図7に示すように、昇降枠400の下面に沿って横方向に延びる下内ガスケット410及び下外ガスケット420の右端は、右内ガスケット230b及び右外ガスケット240bの位置に合うように、三方枠210の右枠210bの右受面220bに向けて曲げる。
【0043】
同様に、昇降枠400の下面に沿って横方向に延びる下内ガスケット410及び下外ガスケット420の左端は、左内ガスケット230a及び左外ガスケット240aの位置に合うように、三方枠210の左枠210aの左受面220aに向けて曲げる。
【0044】
図8に示すように、シールド扉300のスライド面310で三方枠210の開口部を塞ぎ、昇降枠400の横枠を床面110に押し付けたときに、右内ガスケット230bと下内ガスケット410の右端同士が重なり、右外ガスケット240bと下外ガスケット420の右端同士が重なる。同様に、左内ガスケット230aと下内ガスケット410の左端同士が重なり、左外ガスケット240aと下外ガスケット420の左端同士が重なる。
【0045】
これにより、内ガスケット230の左端と右端とが、下内ガスケット410を介して環状に繋がる。同様に、外ガスケット240の左端と右端とが、下外ガスケット420を介して環状に繋がる。
【0046】
なお、端同士の位置が完全に重なっていなくても、端同士が接触していれば電気的に接続されるので、電磁波を遮蔽可能である。逆に、端同士の位置が完全に重なっていると、厚みが増して隙間を拡げてしまうので、半分から3分の1程度で重なっていることが好ましい。
【0047】
すなわち、シールドルーム200をシールド扉300で塞いだときに、下枠が無く床面110がフラットな場合でも、三方枠210と床面110において環状に連結したガスケットが二重にシールされているので、全体が電気的に接続され、電磁波がシールドルーム200内外に漏洩しないように遮蔽される。
シールドルーム200のサイズが大きくなると、金属製のシールド扉300aの重量も大きくなり、シールド扉300aの位置を微調整したりスライド移動させたりするのが困難となり、三方枠210に押し付けたときの衝撃も大きくなる。
中央パネル310aについては、複数の金属板を用意し、隣接する金属板の端同士をシーム溶接で縦横に連結していくことにより、1枚の大きな中央パネル310aを構成させても良い。なお、それぞれの金属板の端を後方に折り曲げ、金属板間にガスケット等を介在させた上で後側に金属片を当てても良いし、スペーサ等を介在させて段差や隙間を無くしても良い。こうすることで熱膨張や振動があっても寸法的な誤差を吸収可能となる。
また、スライド枠320を押し出すことで、陥没した状態となる中央パネル310aの内面に吸収材310bなどを配置しても良い。吸収材310bは、例えば、発泡スチロールを複数の四角錐が突出するように成形して電波吸収体を貼り付けたものなどがある。
重量のある中央パネル310aは移動させず、その周りのスライド枠320だけを移動させても、三方枠210と床面110においてガスケットが環状に連結し、内外のガスケットで二重にシールされているので、全体が電気的に接続され、電磁波がシールドルーム200内外に漏洩しないように遮蔽される。
本発明によれば、電磁波が扉から内外に漏洩しないように遮蔽する際に、大型収容物でも出し入れがしやすい。扉を開いたときに外部の床面とシールドルームの床面とが平坦になるので、重量のある大型の電磁波発生装置でも簡単に内部に収容または外部に搬出することができる。