(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118058
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】車両用灯体装置
(51)【国際特許分類】
F21S 43/241 20180101AFI20240823BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20240823BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20240823BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240823BHJP
【FI】
F21S43/241
F21S43/14
F21W103:20
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024235
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】内田 淳
(57)【要約】
【課題】外部に出射される出射光の向きを車幅方向外側により拡大させることができる車両用灯体装置を提供する。
【解決手段】車両用灯体装置は、光源と導光部材11とを備える。導光部材11は、入射部17、出射壁18、中間導光壁19、第1反射面20、及び、第2反射面21を備える。出射壁18は、車両前後方向を向く一端側が出射面とされる。第1反射面20は、入射部17に入射された光を出射壁18の他端側に向かう第1平行光として放射状に内部反射させる。第2反射面21は、複数の段部22によって複数の面要素21に区画される。段部22の段部稜線22rは出射壁18の輪郭部に沿う輪郭線と交差する方向に延びる。第1反射面20に近接する位置にある面要素21aに接する段部稜線22rには、車幅方向外側領域にある他の段部稜線22rよりも曲率半径の大きい円弧面23が設けられる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から入射された光を車両前後方向に向く出射面に導光する導光部材と、を備え、
導光部材は、
前記光源から光が入射される入射部と、
前記入射部の車幅方向外側領域に車幅方向に略沿って延びる輪郭部を持ち、車両前後方向を向く一端側が前記出射面とされた出射壁と、
前記入射部に入射された光を前記出射壁の車両前後方向を向く他端側に導光する中間導光壁と、
前記中間導光壁の入射領域に配置され、前記入射部に入射された光を前記出射壁の他端側に向かう第1平行光として放射状に内部反射させる第1反射面と、
前記出射壁の前記他端側に配置され、前記第1平行光を当該出射壁の一端側に向かう第2平行光として内部反射させる第2反射面と、を備え、
前記第2反射面は、段部稜線が前記輪郭部に沿う輪郭線と交差する方向に延びる複数の段部によって複数の面要素に区画され、
前記第1反射面に近接する位置にある前記面要素に接する前記段部稜線には、車幅方向外側領域にある他の前記段部稜線よりも曲率半径の大きい円弧面が設けられていることを特徴とする車両用灯体装置。
【請求項2】
前記第1反射面の中心を通る車幅方向の中心線を基準としたときに、前記曲率半径の大きい前記円弧面が設けられる前記段部稜線は、前記第1反射面の中心を中心とした中心角が45°を超えない範囲に位置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯体装置。
【請求項3】
前記曲率半径の大きい前記円弧面が設けられる前記段部稜線は、前記第1反射面の中心を通る車幅方向の中心線よりも車幅方向外側にのみ設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯体装置。
【請求項4】
前記曲率半径の大きい前記円弧面は、前記導光部材からの最終的な光の出射方向が、車両前後方向に対して車幅方向外側に80°以上傾いた方向となるように前記第1平行光を内部反射させることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウィンカーランプやブレーキランプ等の車両用灯体装置として、LED等の光源から発された光を、導光部材を介して、車両前後方向に向く平行光として出射面に導光するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の車両用灯体装置は、光源と導光部材とを備え、導光部材の車両前後方向に向く出射面が灯体装置の輪郭部に略沿うように形成されている。導光部材は、光源から光が入射される入射部と、車両前後方向に沿って延出し、延出方向の先端側が出射面とされた出射壁と、入射部に入射された光を出射壁の基端側に導光する中間導光壁と、を備えている。中間導光壁の入射領域には、入射部に入射された光を出射壁の基端側に向かう第1平行光として内部反射させる第1反射面が設けられている。また、出射壁の基端側には、中間導光壁によって導光される第1平行光を出射壁の先端側に向かう第2平行光として内部反射させる第2反射面が設けられている。
また、導光部材の出射面には、外部に出射される光を多方向に拡散させるための凹凸形状の拡散部が設けられている。
【0004】
この車両用灯体装置は、光源から発された光を、導光部材の第1反射面、及び、第2反射面による内部反射により、輪郭部に略沿う平行光として出射面から外部に出射することができる。この車両用灯体装置の場合、出射面には車両前後方向に沿う平行光が出射されるため、外部からは輪郭部に略沿う明るい線状の光として視認されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の車両用灯体装置は、出射壁内を通過した車両前後方向に沿う第2平行光を出射面の拡散部によって多方向に拡散させている。しかし、出射面に設けられる拡散部は微細な凹凸形状から成るため、出射面から出射される光の向きを車幅方向外側に広げるのには限界がある。現在、外部からの点灯視認を良好にするために、外部に出射される出射光の向きを車幅方向外側により拡大させることが望まれている。
【0007】
そこで本発明は、外部に出射される出射光の向きを車幅方向外側により拡大させることができる車両用灯体装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る車両用灯体装置は、以下の構成を採用した。
即ち、本発明に係る車両用灯体装置は、光源と、前記光源から入射された光を車両前後方向に向く出射面に導光する導光部材と、を備え、導光部材は、前記光源から光が入射される入射部と、前記入射部の車幅方向外側領域に車幅方向に略沿って延びる輪郭部を持ち、車両前後方向を向く一端側が前記出射面とされた出射壁と、前記入射部に入射された光を前記出射壁の車両前後方向を向く他端側に導光する中間導光壁と、前記中間導光壁の入射領域に配置され、前記入射部に入射された光を前記出射壁の他端側に向かう第1平行光として放射状に内部反射させる第1反射面と、前記出射壁の前記他端側に配置され、前記第1平行光を当該出射壁の一端側に向かう第2平行光として内部反射させる第2反射面と、を備え、前記第2反射面は、段部稜線が前記輪郭部に沿う輪郭線と交差する方向に延びる複数の段部によって複数の面要素に区画され、前記第1反射面に近接する位置にある前記面要素に接する前記段部稜線には、車幅方向外側領域にある他の前記段部稜線よりも曲率半径の大きい円弧面が設けられていることを特徴とする。
【0009】
上記の構成において、光源から光が発されると、その光は導光部材の入射部に入力される。入射部に入力された光は、第1反射面による内部反射によって中間導光壁内を第1平行光として出射壁の他端側に導光される。出射壁の他端側に導光された第1平行光は、主に第2反射面の各面要素による内部反射によって出射壁内を第2平行光として導光される。
導光された第2平行光は出射面から外部に出射される。また、第2反射面の複数の面要素のうちの、第1反射面に近接する位置にあるものの近傍では、出射壁の他端側に導光された第1平行光の一部が、曲率半径の大きい段部稜線の円弧面によって反射する。この反射光は車幅方向外側に傾斜して出射壁の内部を進み、出射面から車幅方向外側に大きく傾いて外部に出射される。
なお、段部稜線の円弧面の曲率半径が大きいと、面要素に反射して出射面に向かう第2平行光の光量が低下する。しかし、本発明に係る車両用灯体装置の場合、曲率半径の大きい円弧面が設けられるのは第1反射面に近接する位置にある段部稜線であるため、面要素での反射光量の低下による視認性の低下は少ない。即ち、第1反射面に近接する位置にある第2反射面の面要素は、もともと導光ロスが少なく充分な光量が第1反射面から導光される部分であるため、一部が曲率半径の大きい円弧面で車幅方向外側に反射しても車両前後方向の出射光の光量の低下による視認性の低下は少ない。
【0010】
前記第1反射面の中心を通る車幅方向の中心線を基準としたときに、前記曲率半径の大きい前記円弧面が設けられる前記段部稜線は、前記第1反射面の中心を中心とした中心角が45°を超えない範囲に位置されることが望ましい。
【0011】
中心角が45°を超える範囲に位置される段部稜線は、車両前後方向視で、車幅方向の中心線に対する段部稜線自体の傾斜角も大きくなる。このため、円弧面での光の反射方向が車幅方向外側から大きくずれ易い。本構成では、中心角が45°を超えない範囲にある段部稜線に曲率半径の大きい円弧面が設けられているため、第1反射面で反射した第1平行光を車幅方向外側に効率良く導光することができる。また、中心角が45°を超えない範囲にある段部稜線に曲率半径の大きい円弧面を設けた場合には、その段部稜線に接する面要素での光量の低下による視認性の低下も少なくなる。
【0012】
前記曲率半径の大きい前記円弧面が設けられる前記段部稜線は、前記第1反射面の中心を通る車幅方向の中心線よりも車幅方向外側にのみ設けられるようにしても良い。
【0013】
この場合、車幅方向内側領域の面要素での出射光量の低下を抑制し、車幅方向内側領域での充分な光量を確保することができる。したがって、本構成を採用した場合には、車両前後方向からの視認性をより高めることができる。
【0014】
前記曲率半径の大きい前記円弧面は、前記導光部材からの最終的な光の出射方向が、車両前後方向に対して車幅方向外側に80°以上傾いた方向となるように前記第1平行光を内部反射させることが望ましい。
【0015】
この場合、車両とほぼ直交する方向から見る人からも、灯体の点灯(光源からの光の出射)を良好に視認することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る車両用灯体装置は、導光部材の第2反射面が複数の段部によって複数の面要素に区画され、複数の面要素のうちの第1反射面に近接する位置にあるものに接する段部稜線に、車幅方向外側領域にある他の段部稜線よりも曲率半径の大きい円弧面が設けられている。このため、段部稜線の曲率半径の大きい円弧面に第1平行光が反射することにより、その反射した光がより車幅方向外側に指向して出射されることになる。
したがって、本発明に係る車両用灯体装置を採用した場合には、外部に出射される出射光の向きを車幅方向外側により拡大させることができる。
さらに、本発明に係る車両用灯体装置は、もともと第1反射面から導光される光量の多い領域の面要素に接する段部稜線に、曲率半径の大きい円弧面が設けられている。このため、面要素から出射面の前方に出射される光量が低下することによる視認性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】実施形態の車両用灯体装置の一部を破断した正面図。
【
図4】実施形態の導光部材を背面側から見た斜視図。
【
図9】実施形態の導光部材を前面側から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図面の適所には、車両の前方を指す矢印FRと、車両の上方を指す矢印UPと、車両の左側方を指す矢印LHとが記されている。
【0019】
図1は、車両用灯体の一形態であるウィンカーランプ1の正面図であり、
図2は、ウィンカーランプ1の一部を破断して示した正面図である。また、
図3は、ウィンカーランプ1の
図1のIII-III線に沿う断面図である。
図面に示すウィンカーランプ1は、自動二輪車の前部右側に配置されるウィンカーランプである。ウィンカーランプ1は、光源であるLED等の発光素子10と、アクリル樹脂等の透明樹脂材から成る導光部材11と、を含む灯体ユニット12を備えている。灯体ユニット12は、ランプハウジング13の内部に配置されている。
【0020】
ランプハウジング13は、車体に取り付けられる基部13aと、当該基部13aから車幅方向外側に延出するユニット収容部13bと、を備えている。ユニット収容部13bは、車両前方側が開口し、その開口13c内に灯体ユニット12が収容されている。ユニット収容部13bの開口13cは、正面視が、車幅方向に長尺な略多角形状(車幅方向に長尺に延びる長方形状の車幅方向外側の端部に三角形状を合成した略五角形状)に形成されている。ランプハウジング13の開口13cの前方側は、ユニット収容部13bの前部に取り付けられるアウタレンズ14によって閉塞されている。
【0021】
アウタレンズ14は、
図3に示すように、開口13cの前方側に配置される略平坦なレンズ主壁14aと、レンズ主壁14aの周縁部から後方側に向かって突出する周壁14bと、を備えている。アウタレンズ14は、周壁14bの端面がランプハウジング13の開口13cの周縁部に突き合わされ、その状態で凹凸係合やねじ止め等によってランプハウジング13に固定されている。アウタレンズ14は、光の透過が可能な透明樹脂材によって形成されている。
【0022】
灯体ユニット12は、上述の発光素子10と、発光素子10が前面に実装される基板15と、上述の導光部材11と、導光部材11の前面側中央の導光不要領域を遮蔽する遮蔽カバー16と、を備えている。
【0023】
図4は、導光部材11を背面側から見た斜視図であり、
図5は、導光部材11の一部の背面図である。また、
図6は、導光部材11の側面図であり、
図7は、
図6のVII-VII線に沿う断面図である。
導光部材11は、発光素子10から光が入射される入射部17と、ユニット収容部13bの開口13cの一部(上辺13cuと、傾斜辺13ci,13cjと、下辺13cl)に略沿って配置される出射壁18と、入射部17に入射された光を出射壁18の基部側(他端側)に導光する中間導光壁19と、を備えている。出射壁18の車両前方側に臨む先端面は、発光素子10から入射部17に入射された光を車両前方側に出射する出射面50とされている。出射面50には、車両前方側に出射させる光を多方向に拡散させるための微細な凹凸形状の拡散部51が設けられている。
【0024】
中間導光壁19は、ユニット収容部13bの開口13cに対して一回り小さく、かつ開口13cと相似した正面視形状に形成されている。中間導光壁19は前面が車両前方に正対するように起立する導光壁である。入射部17は、中間導光壁19の後面視の中央領域に配置されている。入射部17は、中間導光壁19の後面から車両後方側に向かって円錐台形状に膨出している。
【0025】
また、中間導光壁19の後面には、
図3に示すように、基板15の前面に当接する当接座40が突設されている。基板15は、ランプハウジング13のユニット収容部13b内に突設された支持リブ39に支持され、中間導光壁19の当接座40はその状態で基板15の前面に当接している。また、ランプハウジング13のユニット収容部13b内には、基板15と中間導光壁19を貫通するボス部41が突設されている。ボス部41の端面には、図示しないねじ穴が形成されている。そのねじ穴には、遮蔽カバー16を前方側から貫通するねじ42の軸部が螺合されている。導光部材11は、遮蔽カバー16がねじ42によってボス部41に締め込まれることにより、中間導光壁19が基板15に押し付けられ、それによってランプハウジング13に固定されている。
【0026】
出射壁18は、中間導光壁19の周縁部から車両前方側に向かって起立している。出射壁18の起立方向は、中間導光壁19の延在方向と略直交している。本実施形態では、出射壁18は、中間導光壁19の周縁部のうちの車幅方向内側の辺を除く辺から車両前方側に向かって起立している。出射壁18は、入射部17の少なくとも車幅方向外側領域を取り囲むように湾曲、若しくは、屈曲した輪郭形状とされている。出射壁18は、入射部17の車幅方向外側領域に車幅方向に略沿って延びる輪郭部を持つ。
【0027】
また、中間導光壁19の周縁部から車両前方側に起立した出射壁18の先端側領域は、
図3に示すように、ランプハウジング13のユニット収容部13bの前端面よりも、車両前方側に突出している。つまり、出射壁18の外側側面の一部は、ユニット収容部13bよりも車両前方側に位置されているアウタレンズ14の周壁14bの内面に対向している。
【0028】
中間導光壁19の入射領域(入射部17の前方側領域)には、入射部17に入射された光を出射壁18の基部側に向かう第1平行光L1として内部反射させる第1反射面20が設けられている。第1反射面20は、中間導光壁19の前面に対して車両後方側に略円錐状に窪んだ回転曲面によって構成されている。第1反射面20を構成する回転曲面は、入射部17と発光素子10の各中心(若しくは、各中心の近傍)を通る軸線oを中心とした回転曲面である。発光素子10から入射部17に入射した光は、略円錐状の第1反射面20で放射状に内部反射(全反射)し、中間導光壁19の内部を第1平行光L1として出射壁18の基端側に向かって進む。
【0029】
出射壁18の基端側の入射領域(中間導光壁19の外端領域)には、その入射領域に達した第1平行光L1を出射壁18の先端側に向かう(車両前方側に向かう)第2平行光L2として内部反射させる第2反射面21が設けられている。第2反射面21は、略円錐状の第1反射面20から放射方向に均等に内部反射した光(第1平行光L1)を、中間導光壁19の外周側において第2平行光L2として車両前方に反射させる。このため、第2反射面21は、連続した一つの面ではなく、中間導光壁19の外周縁部に沿う方向において、複数の面要素21aに分割して構成されている。
【0030】
具体的には、
図5に示すように、導光部材11を後方から見たときに出射壁18の輪郭に沿う線を輪郭線18Lと呼ぶものとすると、第2反射面21は、段部稜線22rが輪郭線18Lと交差する方向に延びる複数の段部22によって複数の面要素21aに区画されている。第2反射面21を各面要素21aに区画する段部22とその段部稜線22rは、第1反射面20の中心である軸線oを中心として略放射方向に延びている。段部22によって区画された各面要素21aは、第1反射面20から放射状に進んだ第1平行光L1(
図3参照)を、各面要素21aの前方に位置される出射面50上の領域に向けて第2平行光L2(
図3参照)として出射させる。
【0031】
出射壁18の基端側に配置される第2反射面21の複数の面要素21aは、
図4,
図5に示すように、車幅方向に長尺に延びる出射壁18の輪郭線18Lに沿って配列されている。第1反射面20の中心(軸線o)の直上位置と直下位置に配置される面要素21a-1は、第1反射面20の中心方向に向かって幅が狭まる等脚台形状に形成されている。この面要素21a-1の車幅方向外側に隣接して配置される面要素21a-2は、車幅方向外側に全体が歪に傾斜した台形形状に形成されている。さらに、この面要素21a-2の車幅方向外側に隣接して配置される面要素21a-3は、車幅方向外側に全体がさらに歪に傾斜した台形形状に形成されている。面要素21a-1,21a-2,21a-3は、この順に輪郭線18Lに接する部分の幅が次第に狭まっている。面要素21a-3よりも車幅方向外側に配置される他の面要素21aは、輪郭線18Lに沿う方向の幅が面要素21a-1~21a-3よりも狭い略矩形形状に形成されている。
【0032】
また、第1反射面20の中心(軸線o)の直上位置と直下位置に配置される面要素21a-1の車幅方向内側に隣接して配置される面要素21a-4は、車幅方向内側に全体が歪に傾斜した台形形状に形成されている。さらに、この面要素21a-4の車幅方向内側に隣接して配置される面要素21a-5は、車幅方向内側に全体がさらに歪に傾斜した台形形状に形成されている。面要素21a-1,21a-4,21a-5は、この順に輪郭線18Lに接する部分の幅が次第に狭まっている。面要素21a-5よりも車幅方向内側に配置される他の面要素21aは、輪郭線18Lに沿う方向の幅が面要素21a-4,21a-5よりも狭い略矩形形状に形成されている。
【0033】
第2反射面21の複数の面要素21aのうちの、第1反射面20の上下に位置される面要素21a-1と21a-2の間の段部稜線22rと、面要素21a-2と21a-3の間の段部稜線22rには、これらより車幅方向外側にある他の段部稜線22rよりも曲率半径の大きい円弧面23が設けられている。本実施形態の場合、曲率半径の大きい円弧面23が設けられる段部稜線22rは、第1反射面20の中心(軸線)を通る車幅方向の中心線c(
図5参照)よりも車幅方向外側にのみ設けられている。
なお、本実施形態では、面要素21a-1と21a-2の間と、面要素21a-2と21a-3の間の各段部稜線22rに曲率半径の大きい円弧面23が設けられているが、曲率半径の大きい円弧面23は、第1反射面20に近接する位置にある面要素21aを区画する段部稜線22rであればいずれの段部稜線22rに設けても良い。この場合、第1反射面20の中心(軸線o)を通る車幅方向の中心線cを基準としたときに、曲率半径の大きい円弧面23は、第1反射面20の中心(軸線o)を中心とした中心角が45°を超えない範囲にある段部稜線22rに設けることが望ましい。本実施形態の場合も、この範囲にある二箇所の段部稜線22rに曲率半径の大きい円弧面23が設けられている。
【0034】
以上の構成のウィンカーランプ1は、発光素子10から発された光を以下のようにして車外に照射することができる。
図9は、導光部材11を前面側から見た斜視図である。以下、
図3,
図5,
図9を主に参照して説明する。
基板15上の発光素子10から光が発されると、その光は導光部材11の入射部17に入力される。入射部17に入力された光は、導光部材11の第1反射面20による内部反射(全反射)によって中間導光壁19内を第1平行光L1として出射壁18の基端側に向かって放射状に導光される。このとき、第1平行光L1は、中間導光壁19の外縁に略沿って延在する出射壁18の全域の基端側に導光される。出射壁18の基端側に導光された光は、輪郭線18Lに沿って延在する第2反射面21の各面要素21aによる内部反射(全反射)によって出射壁18内を第2平行光L2として先端側に向かって導光される。出射面50に導光された光は拡散部51で多方向に拡散されて車両前方側に出射される。こうして出射された光は、アウタレンズ14を通して車両前方側から視認可能となる。
【0035】
また、導光部材11の第1反射面20から上方と下方に導光された第1平行光L1の一部は、出射壁18の基端の段部稜線22rのうちの曲率半径の大きい円弧面23の設けられた部分でも反射する。曲率半径の大きい円弧面23で反射した第1平行光L1は、
図8に示すように、車幅方向外側に屈曲した屈曲反射光L3として車幅方向外側の斜め前方に向かって進む。こうして車幅方向外側の斜め前方に進んだ光は、出射面50の拡散部51を通過してより車幅方向外側に指向して出射される。こうして出射された光は、アウタレンズ14を通して車両の前方側や側方側から視認可能となる。
図8では、曲率半径の大きい上方側の二つの円弧面23のうちの一方にのみ屈曲反射光L3の挙動を示す矢印が記されているが、第1平行光L1は、他の円弧面23においても同様に車幅方向外側に屈曲して反射する。
【0036】
なお、本実施形態のウィンカーランプ1では、段部稜線22rの曲率半径の大きい円弧面23は、導光部材11からの最終的な光の出射方向が、車両前後方向に対して車幅方向外側に80°以上傾いた方向となるように第1平行光L1を内部反射させる。
【0037】
<実施形態の効果>
本実施形態のウィンカーランプ1は、導光部材11の第2反射面21が複数の段部22によって複数の面要素21aに区画され、第1反射面20に近接する位置にある面要素21aに接する段部稜線22rに、車幅方向外側領域にある他の段部稜線22rよりも曲率半径の大きい円弧面23が設けられている。このため、第1反射面20に近接した位置にある段部稜線22rの円弧面23に第1平行光L1が反射することにより、その反射した光がより車幅方向外側に指向して出射されることになる。
したがって、本実施形態のウィンカーランプ1を採用した場合には、外部に出射される出射光の向きを車幅方向外側により拡大させることができる。
また、本実施形態のウィンカーランプ1は、第1反射面20に近接してもともと第1反射面20から導光される光量の多い面要素21aに接する段部稜線22rに円弧面23が設けられているため、面要素21aから出射面50の前方に出射される光量が低下することによる視認性の低下を抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態のウィンカーランプ1は、第1反射面20の中心(軸線o)を通る車幅方向の中心線cを基準としたときに、第1反射面20の中心(軸線o)を中心とした中心角が45°を超えない範囲にある段部稜線22rに、曲率半径の大きい円弧面23が設けられている。このため、円弧面23で反射した光はより車幅方向に近い方向に向かって進む。したがって、本構成を採用した場合には、第1反射面20で反射した第1平行光L1を車幅方向外側に効率良く導光することができる。また、本実施形態のように、中心角が45°を超えない範囲にある段部稜線22rに曲率半径の大きい円弧面23を設けた場合には、その段部稜線22rに隣接する面要素21aでの光量の低下による視認性の低下も少なくなる。
【0039】
また、本実施形態のウィンカーランプ1では、曲率半径の大きい円弧面23が設けられる段部稜線22rが、第1反射面20の中心を通る車幅方向の中心線cよりも車幅方向外側にのみ設けられている。このため、車幅方向内側領域での出射光量の低下を抑制し、車幅方向内側領域での充分な光量を確保することができる。したがって、本実施形態のウィンカーランプ1を採用した場合には、車両前方からの視認性をより高めることができる。
【0040】
さらに、本実施形態のウィンカーランプ1では、導光部材11からの最終的な光の出射方向が、車両前後方向に対して車幅方向外側に80°以上傾いた方向となるように、円弧面23が第1平行光L1を内部反射させる。このため、本構成を採用した場合には、車両とほぼ直交する方向から見る人からも、灯体の点灯(発光素子10からの光の出射)を良好に視認することができる。
【0041】
以上のように、本実施形態のウィンカーランプ1(車両用灯体装置)は、外部に出射される出射光の視認範囲を拡大することができるので、ウィンカーランプ1(車両用灯体装置)の品質を安定でき、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーのアクセスを確保する」に貢献することが可能になる。
【0042】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態は、車両用灯体装置として自動二輪車の前部右側に配置されるウィンカーランプ1が例示されているが、車両用灯体装置は、これに限定されない。車両用灯体装置は、車両の前部左側に配置されるウィンカーランプや車両後部に配置されるウィンカーランプであっても良い。また、車両用灯体装置は、車両の前方や後方に光を照射する灯体装置であれば、ウィンカーランプに限らずブレーキランプや車幅灯等のその他の形態のものであっても良い。
【0043】
また、車両用灯体装置の適用される車両は、自動二輪車に限らず、三輪車両や四輪車両等の他の形態の車両であっても良い。また、車両用灯体装置はエンジンやモータ等の駆動源を搭載しない車両に搭載することも可能である。
【0044】
また、車両用搭載装置の光源は、LEDに限定されるものではなく、導光部材の入射部に光を入射し得るものであればLED以外の形態のものであっても良い。さらに、光源の個数も一つに限定されるものではなく、二つ以上の光源を設けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0045】
1…ウィンカーランプ(車両用灯体)、10…発光素子(光源)、11…導光部材、12…灯体ユニット、13…ランプハウジング、13a…基部、13b…ユニット収容部、13c…開口、13cu…上辺、13ci,13cj…傾斜辺、13cl…下辺、14…アウタレンズ、14a…レンズ主壁、14b…周壁、15…基板、16…遮蔽カバー、16a…反射面覆い部、17…入射部、18…出射壁、18L…輪郭線、19…中間導光壁、20…第1反射面、21…第2反射面、21a…面要素、22…段部、22r…段部稜線、23…円弧面、39…支持リブ、40…当接座、41…ボス部、42…ねじ、50…出射面、51…拡散部、c…車幅方向の中心線、L1…第1平行光、L2…第2平行光、L3…屈曲反射光、o…軸線