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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118061
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】粉末化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20240823BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240823BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/73
A61Q1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024238
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】595137022
【氏名又は名称】東色ピグメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(74)【代理人】
【識別番号】100203242
【弁理士】
【氏名又は名称】河戸 春樹
(72)【発明者】
【氏名】辻 駿
(72)【発明者】
【氏名】小川 毅
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB081
4C083AB082
4C083AB172
4C083AB212
4C083AB221
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB291
4C083AB321
4C083AB361
4C083AB431
4C083AB432
4C083AB442
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC112
4C083AC172
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC342
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC482
4C083AD071
4C083AD152
4C083AD241
4C083AD242
4C083AD262
4C083AD662
4C083CC12
4C083CC14
4C083DD17
4C083EE05
(57)【要約】
【課題】滑り性が良く、柔らかい感触の粉末化粧料の提供。
【解決手段】(a)ステアリン酸処理水酸化アルミニウムが澱粉粒子の表面に付着されたステアリン酸処理水酸化アルミニウム付着澱粉と(b)他の化粧料粉末((a)成分を含まない)を含有する粉末化粧料であって、(a)成分と(b)成分の合計量100質量%中、(a)成分の含有割合が3~13質量%である、粉末化粧料。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ステアリン酸処理水酸化アルミニウムが澱粉粒子の表面に付着されたステアリン酸処理水酸化アルミニウム付着澱粉と(b)他の化粧料粉末((a)成分を含まない)を含有する粉末化粧料であって、
(a)成分と(b)成分の合計量100質量%中、(a)成分の含有割合が3~13質量%である、粉末化粧料。
【請求項2】
(a)成分が、ステアリン酸処理水酸化アルミニウムと澱粉粒子の合計量100質量%中のステアリン酸処理水酸化アルミニウムの含有量が5~50質量%である、請求項1記載の粉末化粧料。
【請求項3】
(a)成分に含まれる澱粉が、コーンスターチである、請求項1記載の粉末化粧料。
【請求項4】
(a)成分のステアリン酸処理水酸化アルミニウム付着澱粉粒子の表面積100面積%中、澱粉粒子表面に付着したステアリン酸処理水酸化アルミニウムの面積割合が、30~99質量%である、請求項1記載の粉末化粧料。
【請求項5】
(b)成分が、マイカ、タルク、酸化チタン、酸化鉄、ナイロン粉末、窒化ホウ素、ステアリン酸マグネシウム、球状炭酸カルシウム粉末、球状炭酸Ca-ヒドロキシアパタイト複合粉末、シリカ被覆ナイロン粉末、微粒子酸化チタン被覆コーンスターチ、微粒子酸化チタン被覆ナイロン、球状シリカ、アルミナ、板状硫酸バリウムから選ばれる1種以上のものである、請求項1記載の粉末化粧料。
【請求項6】
プレストパウダー、ルースパウダー、パウダーファンデーションから選ばれるものである、請求項1~5のいずれか1項記載の粉末化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレストパウダー、ルースパウダー等のフェイスパウダー、パウダーファンデーションとして好適な粉末化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末化粧料には、肌に塗布した際、柔らかい感触や滑らかな滑り性が求められ、シリカやコーンスターチ等の球状粒子を配合した粉末化粧料の開発が進められてきた。
【0003】
特許文献1には、ステアリン酸等の飽和脂肪酸類で表面処理されたデンプン粉末を含有する粉体化粧料が記載されている。
特許文献2には、澱粉粒子と、脂肪酸を含有する滑沢剤とを乾式混合することにより、前記滑沢剤の粒子を微細化するとともに、前記澱粉粒子の表面の少なくとも一部を前記滑沢剤により覆うことを含む、化粧料組成物の製造方法が記載されており、実施例ではコーンスターチ表面をステアリン酸亜鉛(滑沢剤)が被覆した化粧料組成物が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-76277号公報
【特許文献2】特開2022-31438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、滑り性が良く、柔らかい感触を有する粉末化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(a)ステアリン酸処理水酸化アルミニウムが澱粉粒子の表面に付着されたステアリン酸処理水酸化アルミニウム付着澱粉と(b)他の化粧料粉末((a)成分を含まない)を含有する粉末化粧料であって、(a)成分と(b)成分の合計量100質量%中、(a)成分の含有割合が3~13質量%である、粉末化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の粉末化粧料は、滑り性が良く、肌への密着性が良い。また、化粧用パフへの移行が良好で、肌への密着性が良いため、本発明の粉末化粧料を使用すると、肌にくすみのない透明感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(A1-1)~(A1-3):製造例1で使用した(a)ステアリン酸処理水酸化アルミニウムのSEM写真((A1-1)1,000倍、(A1-2)2,000倍、(A1-3)5,000倍)
図2】(A2-1)~(A2-4):製造例1で調製したステアリン酸処理水酸化アルミニウム付着コーンスターチのSEM写真((A2-1)500倍、(A2-2)1,000倍、(A2-3)2,000倍、(A2-4)5,000倍)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、(a)ステアリン酸処理水酸化アルミニウム付着澱粉と(b)他の化粧料粉末を含有する粉末化粧料であって、(a)成分、(b)成分の合計量100質量%中、(a)成分を3~13質量%含有する。
【0010】
(a)成分のステアリン酸処理水酸化アルミニウム付着澱粉は、ステアリン酸処理水酸化アルミニウムが、澱粉粒子の表面に付着されたものである。ステアリン酸処理水酸化アルミニウムは、澱粉粒子の全表面に付着したものでもよく、澱粉粒子の表面の一部に付着したものでもよい。
ここでいう「付着」とは、ステアリン酸処理水酸化アルミニウムと澱粉粒子との分子間力等による結合状態のものや、ステアリン酸処理水酸化アルミニウムと澱粉粒子が圧着されて固定化された結合状態のものを含む。
なお、本発明の(a)成分には、ステアリン酸及びその塩、水酸化アルミニウム及び澱粉粒子を単に混合しただけの混合物は含まれない。
【0011】
(a)成分のステアリン酸処理水酸化アルミニウム付着澱粉粒子100質量%中、ステアリン酸処理水酸化アルミニウムの含有量は5~50質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましく、20~40質量%がさらに好ましく、25~35質量%がさらに好ましい。
【0012】
(a)成分のステアリン酸処理水酸化アルミニウム付着澱粉粒子の表面積100面積%中、澱粉粒子表面に付着したステアリン酸処理水酸化アルミニウムの面積割合は、30~100面積%が好ましく、40~99面積%以上がより好ましく、50~90面積%がより好ましい。(a)成分において、付着したステアリン酸処理水酸化アルミニウムの面積割合が高いと、本発明の粉末化粧料において、滑り性、肌への密着性が劣り、くすみのない透明感を得ることができる。
【0013】
(a)成分は、ステアリン酸処理水酸化アルミニウムと澱粉粒子を、公知の方法により混合して調製することができる。
例えば、粉末状のステアリン酸処理水酸化アルミニウムを、澱粉粒子と直接混合することにより、(a)成分を調製することができ、例えば、特許文献2(特開2022-31438号公報)の段落番号0060~0071に記載された製造方法により、(a)成分を得ることができる。
【0014】
(a)成分で使用されるステアリン酸処理水酸化アルミニウム及び水酸化アルミニウムは公知のものを使用することができ、例えば特開2020-23414号公報の実施例1、特開2022-113144号公報の実施例1、6、7、のようにして調製したものを使用することができる。
【0015】
(a)成分で使用される澱粉粒子は、コーンスターチ、米澱粉、ジャガイモ澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、小豆澱粉、エンドウ澱粉、緑豆澱粉等を使用することができ、コーンスターチが好ましい。
【0016】
(a)成分は、粒子状のものが好ましく、粒子の形状は特に限定されないが、長径10~20μmのものが好ましい。また、長径と短径の長さの比である長径/短径が、1.05~1.95(SEM写真より測定)のものが好ましい。
【0017】
(a)成分の含有量は、本発明の粉末化粧料100質量%中、3~13質量%であり、3.0~12質量%が好ましく、4~11質量%がより好ましく、5~10重量%がさらに好ましい。
(a)成分の含有量が3質量%未満では、滑り性、肌への密着性が劣り、くすみのない透明感を得ることができず、また(a)成分の含有量が13質量%超では、滑り性、肌への密着性が劣る。
【0018】
(b)成分は、粉末化粧料で使用される、(a)成分ではない粉末成分である。
(b)成分の化粧料粉末の形状は、特に制限されるものではないが、球状のものや板状のものでもよく、不定形のものでもよいが、球状のものが好ましい。
【0019】
(b)成分の化粧料粉末は、例えば、マイカ、タルク、酸化チタン、酸化鉄、ナイロン粉末、窒化ホウ素、ステアリン酸マグネシウム、球状炭酸カルシウム粉末、球状炭酸Ca-ヒドロキシアパタイト複合粉末、シリカ被覆ナイロン粉末、微粒子酸化チタン被覆コーンスターチ、微粒子酸化チタン被覆ナイロン粉末、球状シリカ、アルミナ、板状硫酸バリウム、等が挙げられ、上記粉末成分から選ばれる1種以上のものが好ましい。
【0020】
(b)成分は、粉末化粧料の種類にもよるが、マイカ、タルク、酸化チタン、酸化鉄(ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄)、ナイロン粉末、窒化ホウ素、ステアリン酸マグネシウム、から選ばれる1種以上のものがより好ましい。
【0021】
(b)成分は、市販のものを使用することもでき、例えば、以下の(b)成分が挙げられる。
マイカ:マイカY-2300、マイカTM-20((株)ヤマグチマイカ社製)等
タルク:タルクJA-13R、JA-46R、JA-68R、JA-80R、SW-特(浅田製粉(株)製)、タルクCT-250、タルク EX-15((株)ヤマグチマイカ製)等、
酸化チタン:MP-1133(水酸化アルミニウム含有、テイカ(株)製)
酸化鉄(顔料級):TAROX合成酸化鉄(チタン工業(株)製)
ナイロン粉末:ナイロンSP-500(東レ(株))、登録商標Orgasol2002 EXD NAT COS(Arkema S.A.)
窒化ホウ素:BN-06H(伊那貿易(株))、登録商標RonaFlairBoroneige JSQ-6(メルクパフォーマンスマテリアルズ合同会社社製)、SHP-3 <窒化ホウ素粉末>(JFEミネラル(株)製)
ステアリン酸マグネシウム:ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株)製)
【0022】
硫酸バリウム、酸化チタン、ジメチコンの混合物:MiyoHAZE BT-SA(三好化成(株)製)
酸化チタン、タルクの混合物:TTC-30N(三好化成(株)製)、
酸化チタン、マイカの混合物:セリサイトSTA-20C(三信鉱工(株)製)、セリサイト FSE(三信鉱工(株)製)、
酸化チタン、マイカの混合物:プルセア MTS-C、プルセア MTS-FT31-Z(鈴木油脂(株)製)
酸化チタン、マイカ、硫酸バリウムの混合物:登録商標RonaFlair Low Luster Pigment(メルクパフォーマンスマテリアルズ合同会社社製)
酸化チタン、タルクの混合物:チタンタルクC-R1-WF(日本タルク(株)製)、
酸化チタン、タルクの混合物:登録商標SILSEEM MistyPearl(日本光研(株)製)
酸化チタン、マイカの混合物:TWINCLEPEARL(日本光研工業(株)製)
【0023】
本発明の粉末化粧料は、(a)成分、(b)成分の他に、その他化粧料成分として、例えば、油剤を使用することができる。
本発明で使用される油剤は、例えば、ジメチコン、各種ワックス、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン等の油剤を使用することができ、ジメチコンが好ましい。
【0024】
本発明の粉末化粧料は、その他化粧料成分として、上記油剤以外にも、例えば、以下の化粧料成分を使用することができる。
グリセリン、プロピレングリコール、ソルビット、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジグリセリン、マンニトール、POEメチルグリコシド、生体高分子、蔗糖等の保湿剤、エモリエント成分、防腐剤、乳化剤、安定化剤、可塑剤;シリコーン;薬効成分、ビタミンCジパルミテート、ビタミン類、トコフェロール、アミノ酸、美白剤、殺菌剤;pH調整剤、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、ステアリン酸マグネシウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、吸収剤、抗酸化剤、香料、防腐剤、キレート剤、酸化防止剤、分散剤、褐色防止剤、緩衝剤、沈殿防止成分、有機変性粘土鉱物、使用性改質剤、等。
【実施例0025】
<使用成分>
(a)成分
下記製造例1で調製したステアリン酸処理水酸化アルミニウム付着澱粉
比較(a)成分
・ステアリン酸処理水酸化アルミニウム
・コーンスターチ:製品名「局法コーンスターチイエローJPCS-YN」日本コーンスターチ(株))社製
・微粒子酸化チタン被覆コーンスターチ:下記製造例2で調製したもの
・ステアリン酸亜鉛処理コーンスターチ:製品名「パールスターチ(H)」(コーンスターチ95質量%及びステアリン酸亜鉛5質量%含有)、日本コーンスターチ(株)社製
【0026】
(b)成分
・高粘度油剤処理セリサイト(マイカ、ジメチコン、水添パーム核油、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、イソステアリン酸水添ヒマシ油、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、トリエチルヘキサノインの混合物):製品名「DM-TSUセリサイト W」、東色ピグメント(株)社製、
・マイカ:製品名「マイカTM-20」、ヤマグチマイカ社製、
・ナイロン粉末:製品名「登録商標Orgasol2002 EXD NAT COS」、(Arkema S.A.)社製、
・窒化ホウ素:製品名「SHP-3」、JFEミネラル社製、
・ステアリン酸マグネシウム:製品名「ステアリン酸マグネシウム」、太平化学社製、
・酸化鉄(顔料級):TAROX合成酸化鉄(チタン工業(株)製)
・酸化チタン:MP-1133(水酸化アルミニウム含有、テイカ(株)製)
・タルク:製品名「タルクEX-15」、ヤマグチマイカ社製、
油剤:ジメチコンKF-96 (30cs)、
【0027】
製造例1((a)ステアリン酸処理水酸化アルミニウム付着コーンスターチの調製)
ヘンシェルミキサーで均一分散させたコーンスターチ100質量部に対して、さらに市販品であるステアリン酸処理水酸化アルミニウム43質量部を添加し、30分間撹拌した。これを室温で20分間静置することにより、ステアリン酸処理水酸化アルミニウム付着コーンスターチを得た。得られたステアリン酸処理水酸化アルミニウム付着コーンスターチについて、ガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS-TQ8040NX :(株)島津製作所)により測定したところ、ステアリン酸処理水酸化アルミニウム付着コーンスターチ100質量%中のステアリン酸処理水酸化アルミニウムは27質量%であった。
【0028】
製造例2(比較(a)微粒子酸化チタン付着コーンスターチの調製)
ヘンシェルミキサーで均一分散させたコーンスターチ100質量部に対して、さらに微粒子酸化チタン(製品名「MT100TV」、テイカ(株)社製)40質量部を添加し、30分間撹拌した。これを室温で20分間静置することにより、微粒子酸化チタン付着コーンスターチを得た。得られた微粒子酸化チタン付着コーンスターチについて、ガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS-TQ8040NX :(株)島津製作所)により測定したところ、微粒子酸化チタン付着コーンスターチ100質量%中の微粒子酸化チタンは24質量%であった。
【0029】
実施例1(フェイスパウダー)
製造例1で調製した(a)成分に、(b)成分及び油剤を追加してヘンシェルミキサーで20分間混合することにより、粉末化粧料(フェイスパウダー)を得た。得られた各粉末化粧料を使用して、下記評価試験(1)~(3)を実施した。結果を表1に示す。各評価は、(a)成分又は比較(a)成分を含有しない比較例1-11を基準とした。
【0030】
実施例2(パウダーファンデーション)
製造例1で調製した(a)成分に、(b)成分及び油剤を追加してヘンシェルミキサーで20分間混合した。得られた粉末を圧縮成型することにより粉末化粧料(パウダーファンデーション)を得た。得られた各粉末化粧料を使用して、下記評価試験(1)~(4)を、実施した。結果を表2に示す。各評価は、(a)成分又は比較(a)成分を含有しない比較例2-11を基準とした。
【0031】
<評価試験>
(1)肌への密着性
粉末化粧料を、パフを介して肌に塗布したときの肌への密着性(粉っぽさ)を、下記により評価した。
〇:肌への密着感が良く、粉っぽさが感じられない。
△:肌への密着感が良いが、粉っぽさをやや感じる。
×:肌への密着感が非常に悪い((a)成分および比較(a)成分を含有しない比較例1-11又は比較例2-11と同程度)。
【0032】
(2)くすみのない透明感
粉末化粧料を、パフを介して肌に塗布したときの肌の透明感を、下記により評価した。
〇:化粧料の塗布厚みを感じることなく、肌のくすみをカバーしている。
△:肌のくすみをややカバーしている。
×:化粧料の塗布厚みが感じられる、または肌へのカバー力が不十分である。
【0033】
(3)滑り性
粉末化粧料を、パフを介して肌に塗布したときの滑り性を、下記により評価した。
〇:滑り性が良好である
△:やや滑り性に欠ける
×:滑り性が不十分である
【0034】
(4)パフへの付着具合
粉末化粧料(パウダーファンデーション)を、通常使用時のパフで取る程度の圧力でパフに一回とったときの、粉末化粧料のパフ付着具合を、下記評価基準により評価した。
〇:パフへの付着具合が良好である
△:パフへの付着具合がやや良好である
×:粉末化粧料が固いためパフへの付着具合が不十分である、または粉末化粧料の固さが不十分なためパフへ必要量以上付着する。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
表1において、実施例1は、(a)成分を3~13質量%及び(b)成分を含有する粉末化粧料(フェイスパウダー)で、(1)肌への密着性、(2)くすみのない透明感、(3)滑り性の評価において「評価:×」がなく、良好な使用感が確認できた。
【0038】
表1において、比較例1-1は、(a)成分を特定量より多く含むもので、粉末化粧料が固くなり良好な滑り性を得ることができず、比較例1-2は(a)成分を特定量より少ない量で含むもので、粉末化粧料の固さが不十分のため(1)密着性や(2)透明感が不十分であった。
比較例1-3、1-5は、ステアリン酸処理水酸化アルミニウム又はコーンスターチをそれぞれ5.0質量%含有するもので、ステアリン酸処理水酸化アルミニウムを含有する比較例1-3は(1)密着性良好で、コーンスターチを含有する比較例1-5は(3)滑り性良好であることが確認できたが、どちらも(2)透明感は不十分で、(a)成分を含有しない比較例1-11と同程度であることが確認できた。
比較例1-4、1-6は、ステアリン酸処理水酸化アルミニウム又はコーンスターチをそれぞれ3.0質量%含有するもので、比較例1-4は(1)密着性、(2)透明感、(3)滑り性の評価がやや不十分で、比較例1-6は(1)密着性、(2)透明感の評価が不十分であるため、(a)成分を含有しない比較例1-11と同程度であることが確認できた。
また、比較例1-7~1-10は、比較(a)成分として、ステアリン酸処理水酸化アルミニウム以外の金属粉末をコーンスターチに付着させたもので、いずれも(2)透明感が不十分で、(a)成分を含有しない比較例1-11と同程度又はそれ以下であることが確認できた。
【0039】
表2において、実施例2は、(a)成分を3~13質量%及び(b)成分を含有する粉末化粧料(パウダーファンデーション)で、(1)肌への密着性、(2)くすみのない透明感、(3)滑り性、(4)パフへの付着具合の評価において「評価:×」がなく、良好な使用感が確認できた。
【0040】
表2において、比較例2-1は、(a)成分を特定量より多く含むもので、粉末化粧料が固くなり良好な(3)滑り性を得ることができず、(4)パフへの付着具合も不十分であることが確認できた。比較例1-2は、(a)成分を特定量より少ない量で含むもので、粉末化粧料の固さが不十分で(1)密着性や(2)透明感が不十分であることが確認できた。
比較例2-3、2-5は、ステアリン酸処理水酸化アルミニウム又はコーンスターチをそれぞれ5.0質量%含有するもので、ステアリン酸処理水酸化アルミニウムを含有する比較例2-3は(1)密着性良好で、コーンスターチを含有する比較例2-5は(3)滑り性や(4)パフへの付着具合が良好であることが確認できたが、どちらも(2)透明感はやや不十分で、(a)成分を含有しない比較例2-11と同程度であることが確認できた。
比較例2-4、2-6は、ステアリン酸処理水酸化アルミニウム又はコーンスターチをそれぞれ3.0質量%含有するもので、いずれも(1)密着性、(2)透明感、(3)滑り性の評価が不十分であるか、やや不十分で、(a)成分を含有しない比較例2-11と同程度であることが確認できた。
また、比較例2-7~2-10は、比較(a)成分として、ステアリン酸処理水酸化アルミニウム以外の金属粉末をコーンスターチに付着させたもので、いずれも(2)透明感、が不十分で、(a)成分を含有しない比較例2-11と同程度又はそれ以下であることが確認できた。
【0041】
処方例1(淡色アイシャドウ)
含有成分 配合量(質量%)
タルク 30.00
マイカ 3.00
製造例1のステアリン酸処理水酸化アルミニウム付着澱粉 3.00
ラウロイルリシン 5.00
ベンガラ 0.20
黄酸化鉄 0.40
黒酸化鉄 0.30
雲母チタン 34.00
ジメチコン(30CS) 3.00
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 2.00
軽質流動イソパラフィン 7.50
リンゴ酸ジイソステアリル 3.50
ワセリン 2.50
2-エチルヘキサン酸セチル 2.00
ジイソステアリン酸デカグリジセリル 1.00
d-δ‐トコフェロール 0.10
1,2-ヘキサンジオール 2.00
合計 100.00
【0042】
処方例2(高SPFプレストパウダー)
含有成分 配合量(質量%)
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 3.00
ジメチコン 4.00
製造例1のステアリン酸処理水酸化アルミニウム付着澱粉 11.00
セルロース(球状) 7.00
シリカ 5.00
タルク、シリカ被覆微粒子酸化チタンの混合物と微粒子酸化チタンの混合物(酸化チタン含有割合64.05質量%) 20.00
シリカ被覆酸化チタン 5.00
酸化鉄 1.43
タルク 20.57
マイカ 10.00
酸化チタン被覆マイカ 7.00
窒化ホウ素 1.00
カオリン 2.00
パラメトキシケイヒ酸エチルヘキシル 2.00
ヘキサンジオール 1.00
合計 100.00
【0043】
処方例3(ハイライトパウダー)
含有成分 配合量(質量%)
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 3.50
ジメチコン 5.00
製造例1のステアリン酸処理水酸化アルミニウム付着澱粉 12.00
セルロース(球状) 3.00
シリカ 7.00
結晶セルロース 2.00
タルク 19.70
マイカ 15.00
酸化チタン被覆マイカ 7.00
窒化ホウ素 1.00
硫酸バリウム 9.00
合成フルオロフロゴパイト、酸化チタン、酸化スズ混合物 15.00
メチルパラベン 0.30
フェノキシエタノール 0.50
合計 100.00
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の粉末化粧料は、プレストパウダー、ルースパウダー等のフェイスパウダー、パウダーファンデーション等の他、ハイライトパウダー、パウダーアイシャドウ、パウダーアイブロウ、パウダーアイライナー等の粉末メイクアップ化粧料として利用することができる。
図1
図2