(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118064
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】樋支持具および樋支持構造
(51)【国際特許分類】
E04D 13/072 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
E04D13/072 502S
E04D13/072 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024242
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 政博
(57)【要約】
【課題】出寸法を可変としつつ耐風性能を向上させる。
【解決手段】屋根の軒に取り付けられる枠状の樋支持具Aであって、前後方向Dに延び軒に固定される上部枠51を備え、上部枠51には、上部枠51を上下方向に貫通する空間が設けられ、空間として、第1空間61、第2空間62、第3空間63が、前後方向Dにこの順に並んで設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根の軒に取り付けられる枠状の樋支持具であって、
前後方向に延び前記軒に固定される上部枠を備え、
前記上部枠には、前記上部枠を上下方向に貫通する空間が設けられ、
前記空間として、第1空間、第2空間、第3空間が、前後方向にこの順に並んで設けられている、樋支持具。
【請求項2】
前記樋支持具の投影幅をLとしたとき、
前記第1空間は、前記樋支持具の前端から後方に向けてL/3以上L/2以下の範囲で離れた位置に設けられ、
前記第2空間は、前記樋支持具の前端から後方に向けてL/2より離れた位置に設けられている、請求項1に記載の樋支持具。
【請求項3】
前記上部枠は、前記軒を下側から支持する第1片を含む支持具本体と、前記支持具本体の上側に配置される第2片と、を備え、
前記第2片の後端は、前後方向に沿って前記第2空間と前記第3空間との間に位置し、
前記第1空間および前記第2空間は、前記支持具本体および前記第2片の両方に設けられ、
前記第3空間は、前記支持具本体および前記第2片のうち、前記支持具本体のみに設けられている、請求項1に記載の樋支持具。
【請求項4】
前記支持具本体は、前記第1片との間に前記軒を上下方向に挟む第3片を備え、
前記第1片および前記第3片の前端同士が連結され、かつ、後端同士が非連結とされ、
前記第2片は、前記第3片に重ね合わされる、請求項3に記載の樋支持具。
【請求項5】
前記第2片は、前記軒を介して前記第1片に重ね合わされる、請求項3に記載の樋支持具。
【請求項6】
前記第1空間、前記第2空間、前記第3空間は、互いに独立した貫通孔である、請求項1に記載の樋支持具。
【請求項7】
前記上部枠には、前記上部枠を上下方向に貫通する貫通孔が設けられ、
前記貫通孔として、前方貫通孔、後方貫通孔が、前後方向にこの順に並んで設けられ、
前記前方貫通孔は、前記後方貫通孔よりも前後方向に長く、
前記第1空間および前記第2空間は、前記前方貫通孔における前後方向の両端の空間であり、
前記第3空間は、前記後方貫通孔である、請求項1に記載の樋支持具。
【請求項8】
前記第1空間、前記第2空間および前記第3空間には、ボルトが配置可能である、請求項1から7のいずれか1項に記載の樋支持具。
【請求項9】
屋根の軒に取り付けられる枠状の樋支持具であって、
前後方向に延び前記軒に固定される上部枠を備え、
前記上部枠には、前記上部枠を上下方向に貫通する貫通孔が設けられ、
前記貫通孔として、互いに独立した第1貫通孔、第2貫通孔、第3貫通孔が、前後方向にこの順に並んで設けられている、樋支持具。
【請求項10】
屋根の軒に取り付けられる枠状の樋支持具であって、
前後方向に延び前記軒に固定される上部枠を備え、
前記上部枠には、前記上部枠を上下方向に貫通する貫通孔が設けられ、
前記貫通孔として、前方貫通孔、後方貫通孔が、前後方向にこの順に並んで設けられ、
前記前方貫通孔は、前記後方貫通孔よりも前後方向に長い、樋支持具。
【請求項11】
請求項8に記載の樋支持具と、
前記第1空間、前記第2空間および前記第3空間のうちの少なくとも2つの空間に配置されたボルトと、を備える、樋支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樋支持具および樋支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から下記特許文献1に記載の樋支持具が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の樋支持具では、出寸法の可変性への対応が望まれている。なお出寸法とは、樋支持具が軒先から前方に突出する大きさである。出寸法は、例えば、樋支持具の投影幅L(樋支持具の前端と樋支持具の後端との間の前後方向の距離)の1/3にしたり1/2にしたりすることがある。
更に、この種の樋支持具では、耐風性能に改善の余地がある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、出寸法を可変としつつ耐風性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の一態様に係る樋支持具は、屋根の軒に取り付けられる枠状の樋支持具であって、前後方向に延び前記軒に固定される上部枠を備え、前記上部枠には、前記上部枠を上下方向に貫通する空間が設けられ、前記空間として、第1空間、第2空間、第3空間が、前後方向にこの順に並んで設けられている。
【0007】
空間として、第1空間、第2空間、第3空間が、前後方向にこの順に並んで設けられている。よって、例えば、出寸法が小さい場合には、第1空間および第3空間の2箇所を利用して、上部枠を軒に固定することができる。また、例えば、出寸法が大きい場合には、第2空間および第3空間の2箇所を利用して、上部枠を軒に固定することができる。このように、この樋支持具によれば、異なる出寸法に対応できる。
また、いずれの出寸法においても、上部枠の1箇所ではなく2箇所を利用して樋支持具を軒に固定することができる。しかも、出寸法が小さい場合には、第2空間を利用するのに代えて、より軒先に近い第1空間を利用することができる。よって、耐風性能を確保することができる。
【0008】
<2>上記<1>に係る樋支持具では、前記樋支持具の投影幅をLとしたとき、前記第1空間は、前記樋支持具の前端から後方に向けてL/3以上L/2以下の範囲で離れた位置に設けられ、前記第2空間は、前記樋支持具の前端から後方に向けてL/2より離れた位置に設けられている構成を採用してもよい。
【0009】
第1空間が、樋支持具の前端から後方に向けてL/3以上L/2以下の範囲で離れた位置に設けられている。よって、1/3出寸法のときには、第1空間を好適に利用することができる。
第2空間が、樋支持具の前端から後方に向けてL/2より離れた位置に設けられている。よって、1/2出寸法のときには、第2空間を好適に利用することができる。
【0010】
<3>上記<1>または<2>に係る樋支持具では、前記上部枠は、前記軒を下側から支持する第1片を含む支持具本体と、前記支持具本体の上側に配置される第2片と、を備え、前記第2片の後端は、前後方向に沿って前記第2空間と前記第3空間との間に位置し、前記第1空間および前記第2空間は、前記支持具本体および前記第2片の両方に設けられ、前記第3空間は、前記支持具本体および前記第2片のうち、前記支持具本体のみに設けられている構成を採用してもよい。
<4>上記<3>に係る樋支持具では、前記支持具本体は、前記第1片との間に前記軒を上下方向に挟む第3片を備え、前記第1片および前記第3片の前端同士が連結され、かつ、後端同士が非連結とされ、前記第2片は、前記第3片に重ね合わされる構成を採用してもよい。
<5>上記<3>または<4>に係る樋支持具では、前記第2片は、前記軒を介して前記第1片に重ね合わされる構成を採用してもよい。
<6>上記<1>から<5>のいずれか1態様に係る樋支持具では、前記第1空間、前記第2空間、前記第3空間は、互いに独立した貫通孔である構成を採用してもよい。
<7>上記<1>から<6>のいずれか1態様に係る樋支持具では、前記上部枠には、前記上部枠を上下方向に貫通する貫通孔が設けられ、前記貫通孔として、前方貫通孔、後方貫通孔が、前後方向にこの順に並んで設けられ、前記前方貫通孔は、前記後方貫通孔よりも前後方向に長く、前記第1空間および前記第2空間は、前記前方貫通孔における前後方向の両端の空間であり、前記第3空間は、前記後方貫通孔である構成を採用してもよい。
<8>上記<1>から<7>のいずれか1態様に係る樋支持具では、前記第1空間、前記第2空間および前記第3空間には、ボルトが配置可能である構成を採用してもよい。
【0011】
<9>本発明の一態様に係る樋支持具は、屋根の軒に取り付けられる枠状の樋支持具であって、前後方向に延び前記軒に固定される上部枠を備え、前記上部枠には、前記上部枠を上下方向に貫通する貫通孔が設けられ、前記貫通孔として、互いに独立した第1貫通孔、第2貫通孔、第3貫通孔が、前後方向にこの順に並んで設けられている。
【0012】
貫通孔として、第1貫通孔、第2貫通孔、第3貫通孔が、前後方向にこの順に並んで設けられている。よって、例えば、出寸法が小さい場合には、第1貫通孔および第3貫通孔の2箇所を利用して、上部枠を軒に固定することができる。また、例えば、出寸法が大きい場合には、第2貫通孔および第3貫通孔の2箇所を利用して、上部枠を軒に固定することができる。このように、この樋支持具によれば、異なる出寸法に対応できる。
また、いずれの出寸法においても、上部枠の1箇所ではなく2箇所を利用して樋支持具を軒に固定することができる。しかも、出寸法が小さい場合には、第2貫通孔を利用するのに代えて、より軒先に近い第1貫通孔を利用することができる。よって、耐風性能を確保することができる。
【0013】
<10>本発明の一態様に係る樋支持具は、屋根の軒に取り付けられる枠状の樋支持具であって、前後方向に延び前記軒に固定される上部枠を備え、前記上部枠には、前記上部枠を上下方向に貫通する貫通孔が設けられ、前記貫通孔として、前方貫通孔、後方貫通孔が、前後方向にこの順に並んで設けられ、前記前方貫通孔は、前記後方貫通孔よりも前後方向に長い。
【0014】
貫通孔として、前方貫通孔、後方貫通孔が、前後方向にこの順に並んで設けられている。よって、例えば、出寸法が小さい場合には、前方貫通孔のうちの前端と、後方貫通孔と、の2箇所を利用して、上部枠を軒に固定することができる。また、例えば、出寸法が大きい場合には、前方貫通孔のうちの後端と、後方貫通孔と、の2箇所を利用して、上部枠を軒に固定することができる。このように、この樋支持具によれば、異なる出寸法に対応できる。
また、いずれの出寸法においても、上部枠の1箇所ではなく2箇所を利用して樋支持具を軒に固定することができる。しかも、出寸法が小さい場合には、前方貫通孔のうちの後端を利用するのに代えて、より軒先に近い前方貫通孔のうちの前端寄りの部分を利用することができる。よって、耐風性能を確保することができる。
【0015】
<11>本発明の一態様に係る樋支持構造は、上記<8>に係る樋支持具と、前記第1空間、前記第2空間および前記第3空間のうちの少なくとも2つの空間に配置されたボルトと、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、出寸法を可変としつつ耐風性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る第1実施形態の樋支持構造を示す部分断面図である。
【
図2】
図1に示す樋支持構造の要部の拡大図である。
【
図6】
図2に示す樋支持具の拡大図であって、
図2に示す状態に対して出寸法を調整した他の状態を示す図である。
【
図7】
図2に示す樋支持具の拡大図であって、
図2および
図6に示す状態に対して出寸法を調整した他の状態を示す図である。
【
図8】本発明に係る第2実施形態の樋支持構造を示す斜視図である。
【
図9】
図1に示す樋支持構造の要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、
図1から
図7を参照し、本発明の第1実施形態に係る樋支持具及び樋支持構造の一例について説明する。
本実施形態に係る樋支持具は、例えば、折板屋根の軒先板先端部に取り付けられ、軒樋を支持するために使用される。ただし、樋支持具は他の樋にも採用可能である。樋は、雨水を排水するための雨樋であって、軒樋、谷樋などが含まれる。
図1から
図3に示すように、第1実施形態の樋支持具Aは、折板屋根Bの軒先に沿って所定の間隔をあけて複数取り付けられ、複数の樋支持具Aにより後述する軒樋40が支持されている。本形態で図示した折板屋根Bは、複数の山部2と複数の谷部3を交互に連続した波形の折板屋根材4からなる。本形態において山部2と谷部3はいずれも等脚台形状の輪郭を有する波形に形成されている。なお、折板屋根Bは、はぜ継ぎ式、折板重ね式、折板嵌合式等の種々の形式のものがあるが、本形態の樋支持具Aはいずれの形式の折板屋根にも適用することができる。
【0019】
図1から
図3に示すように、折板屋根Bの山部2の山頂部を構成する軒先板先端部2Aに樋支持具Aがボルト止めされている。
樋支持具Aは、その上部に前記軒先板先端部2Aを差し込み挿入可能な凹部5を形成する下部片6と立上片7と上部片9を備えた支持具本体10を有する。また、支持具本体10の下方に後述する縦片16、横片17、縦側係止片18、取付片22が支持具本体10とともに全体として矩形状となるように配置されている。
【0020】
この例では下部片6の長さ方向一端側に重ねられた端部片8の一部に傾斜して下部片6から立ち上がる立上片7が形成され、この立上片7を延長するように上部片9が形成されている。下部片6と立上片7と端部片8と上部片9はいずれも同じ幅の板材からなる。また、この例では下部片6の右端部側において、幅方向上面中央部に凹溝が形成されるとともに凹溝の両側、即ち下部片6の幅方向両側部分には平板部6Bが形成されている。また、下部片6において凹溝を形成した部分の裏面側には突条壁6Dが形成されている。なお凹溝はなくてもよい。
下部片6と上部片9の間には一定幅の隙間が形成され、この隅間に折板屋根Bの軒先板先端部2Aがその先端を立上片7に到達するまで挿入されている。即ち、凹部5に軒先板先端部2Aが挿入されている。
【0021】
図1において下部片6と上部片9の隙間はその左端に位置する立上片7を奥側端とするので、下部片6と上部片9の隙間の右端側を凹部5の入口側と呼称する。上部片9の右端部側において隙間の入口側に位置する部分に下部片6から離れる方向に傾斜する傾斜片11が形成されている。この傾斜片11を形成した部分において、下部片6と上部片9の隙間、すなわち、凹部5の入口側の開口が拡がっているので、この入口側を介し折板屋根Bの軒先板先端部2Aを挿入する場合に傾斜片11が案内となり、軒先板先端部2Aの挿入作業が容易となる。ただし傾斜片11はなくてもよい。
【0022】
図1における下部片6の右端部から下方にほぼ90°の角度で延出するように上部縦片12が延出されている。上部縦片12はその幅方向中央部に凹溝12Aが形成されるとともに凹溝12Aの両側、即ち上部縦片12の幅方向両側部分には平板部12Bが形成されている。また、上部縦片12において凹溝12Aの裏面側には突条壁12Dが形成されている。上部縦片12の全体幅、溝幅、平板部幅は、下部片6の全体幅、溝幅、平板部幅とそれぞれ対応するように同等幅に形成されている。なお凹溝12Aはなくてもよい。
【0023】
上部縦片12の上部側から中央部側と下部側を通過し、更に上部縦片12を下方に延長するように下部縦片13が重ねられている。下部縦片13にも凹溝13Aが形成され、平板部13B、突条壁13Dが形成されている。下部縦片13は、上部縦片12の全体幅、溝幅、平板部幅と対応する同等の全体幅、溝幅、平板部幅を有するので、上部縦片12に下部縦片13を重ね合わせることができる。なお凹溝13Aはなくてもよい。
また、上部縦片12と下部縦片13は両者の重ね合わせ部分を貫通したボルト14とそれに螺合したナット15により一体化され、縦片16が形成されている。
【0024】
下部縦片13の下端部には、下部縦片13に対し90°より若干広い角度で横方向に延在する横片17が形成されている。横片17にも凹溝17Aが形成され、平板部17B、突条壁17Dが形成されている。この横片17は、下部縦片13の全体幅、溝幅、平板部幅と対応する同等の全体幅、溝幅、平板部幅を有する。なお凹溝17Aはなくてもよい。
横片17の先端部には横片17をほぼ90°外側(下側)に折り曲げた形状の短尺の折曲片17Eが形成されている。この折曲片17Eの外側に横片17と90°に近い鈍角で交差するように縦側係止片18が形成されている。この縦側係止片18は、その全長に渡り、横片17と同様に凹溝18Aと平板部18Bと突条壁18Dが形成されている。縦側係止片18の長さは先の縦片16の長さより若干短く形成されている。よって、縦側係止片18の先端部(上端部)は下部片6の一端側に近い位置まで延出されている。なお凹溝18Aはなくてもよい。
【0025】
横片17の折曲片17Eに対し縦側係止片18の下端部を重ねた部分を貫通するようにボルト20とこれに螺合するナット21が設けられている。このボルト止め構造により横片17の折曲片17Eに対し縦側係止片18の下端部が回動可能かつ着脱自在に接続されている。縦側係止片18はボルト20を回動中心軸として回動自在に横片17の先端部に接続されている。ボルト20は横片17の長さ方向と平行に配置されているので、換言すると、縦側係止片18は横片17の長さ方向に沿うボルト20を回転中心軸として回転自在に支持されているとも言及できる。
なお、横片17の折曲片17Eに対し縦側係止片18の下端部を重ねた部分はボルト20とナット21によるボルト止め構造に限らず、例えば、横片17の折曲片17Eと縦側係止片18の下端部とを蝶番により接続してもよい。この場合も、縦側係止片18は蝶番を回動中心軸として回動自在に横片17の先端部に接続されている。
【0026】
縦側係止片18の上端外側には、略L字型の取付片22がその下部側で縦側係止片18の上端部外側に沿うように、その上部側で前記上部片9に沿うように設けられている。
取付片22は、その幅方向中央部に凹溝22Aを有し、凹溝22Aの幅方向両側に平板部22Bを有し、凹溝22Aの裏面側に突条壁22Dを有する。取付片22の下部側は縦側係止片18と同じように凹溝22Aと平板部22Bと突条壁22Dを有し、それらの全体幅、溝幅、平板部幅は縦側係止片18の全体幅、溝幅、平板部と同等である。このため、縦側係止片18の上端部外側に取付片22の下部側が重ね合わせて沿わせられている。なお凹溝22Aはなくてもよい。
縦側係止片18の上端部外側に対し取付片22の下部側を重ね合わせた部分を貫通するようにボルト25とこれに螺合するナット26が設けられている。
【0027】
取付片22の上部側は延出片22Fとして上部片9の上側に被着されている。取付片22の上部側先端部分は平板状の上部片9の上に重ねられている。
【0028】
前記下部片6と上部片9が隙間を介し重ねられている部分に下部片6、上部片9を貫通するように各々透孔(後述する貫通孔70)が形成され、これらの透孔を挿通するように第1の取付ボルト31が固定部材として装着されている。第1の取付ボルト31にはナット33が螺合されている。また、延出片22Fを上部片9に重ねた部分にも延出片22F、上部片9、下部片6を貫通するように各々透孔が形成され、これらの透孔を挿通するように第2の取付ボルト32が固定部材として装着されている。第2の取付ボルト32にはナット34が螺合されている。
【0029】
図1に示すように凹部5に軒先板先端部2Aが差し込まれた場合、軒先板先端部2Aにも前述の透孔に位置合わせするように透孔が形成されている。よって、第1の取付ボルト31は下部片6と上部片9およびそれらの間に挿入されている軒先板先端部2Aを貫通するように設けられ、第1の取付ボルト31に螺合されたナット33を締め付けることにより軒先板先端部2Aに樋支持具Aが固定されている。
また、第2の取付ボルト32は延出片22Fと上部片9と下部片6およびそれらの間に挿入されている軒先板先端部2Aを貫通するように設けられ、第2の取付ボルト32に螺合されたナット34を締め付けることにより軒先板先端部2Aに樋支持具Aが固定されている。
【0030】
図1に示す状態は折板屋根Bの軒先板先端部2Aに樋支持具Aを取り付けた状態を示している。
樋支持具Aの縦片16と横片17と縦側係止片18とで囲まれる矩形枠の内側に軒樋40が支持されている。軒樋40は底板40Aと内側板40Bと外側板40Cからなる。また、内側板40Bの上端と外側板40Cの上端には、それぞれ外向きの耳部40Eが形成されている。
図1に示すように本実施形態では、軒樋40において外側板40Cの高さが内側板40Bの高さより若干高く形成されている。なお耳部40Eはなくてもよい。
軒樋40は、一例として樹脂製かつ大型の軒樋であり、例えば、底板40Aの幅が200mmを超える大型の軒樋である。このような大型の軒樋40を支持するために樋支持具Aを適用することが好ましい。軒樋40において、底板40Aの幅が1.6倍になると軒樋40の流路横断面積は3倍となる。このような大型の軒樋40は雨水の満水時、雨水を含めて相当の重量となるので本実施形態のような堅牢な構成の樋支持具Aを適用することが望ましい。
【0031】
また、樋支持具Aにおいて下部縦片13の内側には、内側板40Bの上縁を抑えるための軒樋上縁係止片42が形成され、縦側係止片18の内側には、外側板40Cの上縁を抑えるための軒樋上縁係止片43が形成されている。
軒樋上縁係止片43は、縦側係止片18の内面側に接する基端部43Aと、基端部43Aの端部から基端部43A対し略直角に延出された起立片43Bと起立片43Bの先端部に起立片43Bに対し略直角に延出された延出片43Cとからなる。起立片43Bと延出片43CとからL字状の係止部43Dが構成されている。基端部43Aは、基端部43Aの中央部とそれに隣接する縦側係止片18をそれらの厚さ方向に貫通するビス(軸部材)44により回転自在に支持されている。
【0032】
基端部43Aは凹曲面板からなり、凹曲面板の中央部をそれに隣接する縦側係止片18の凹溝18A側に向けて配置され、基端部43Aの中央部を凹溝18Aの底部に接触させている。基端部43Aの幅は縦側係止片18における凹溝18Aの幅と同等程度に形成され、基端部43Aの回動時に基端部43Aの周縁と凹溝18Aの内側壁が干渉しない大きさに形成されている。従って、基端部43Aがビスを中心に回動することにより、軒樋上縁係止片43は縦側係止片18の内面側に沿って回動する。また、起立片43Bの長さ(基端部43Aを平板状に見立てた場合に基端部43Aに対し直交する方向の長さ)は、軒樋40に形成されている耳部40Eの水平方向長さより若干長く形成されている。
また、軒樋上縁係止片43を設けた位置より若干下方に下向きの保護片41が形成されている。保護片41は、基端部41Aと起立片41Bと係止片41Cからなる。保護片41は、基端部41Aを縦側係止片18の内面側に固定し、係止片41Cを下向きとして縦側係止片18に固定されている。保護片41は、
図1に示すように軒樋上縁係止片43の延出片43Cが軒樋40の耳部40Eの上面側を覆った場合に、耳部40Eの内側に位置して軒樋40の耳部40Eを支える。
【0033】
軒樋上縁係止片42は、下部縦片13の内面側に接する基端部42Aと、基端部42Aの端部から基端部42A対し略直角に延出された起立片42Bと起立片42Bの先端部に起立片42Bに対し略直角に延出された延出片42Cとからなる。
起立片42Bと延出片42CとからL字状の係止部42Dが構成されている。基端部42Aは、基端部42Aの中央部とそれに隣接する下部縦片13と上部縦片12をそれらの厚さ方向に貫通するビス(軸部材)45により回転自在に支持されている。
基端部42Aは平板部42aの幅方向両端側に背の低い側壁部42bを平板部42aに対し傾斜させて設けた略コ字状に形成されている。軒樋上縁係止片42は略コ字状であるが、樹脂製であり、側壁部42bの背も低いため、側壁部42bが突条壁12Dの縁部を乗り越えるように基端部42Aを若干回動させることができる。あるいは、軒樋上縁係止片42の基端部42Aを平板状とするか、下部縦片13の内面側を平坦とするならば、軒樋上縁係止片42を回動自在に支持することができる。
なお軒樋上縁係止片42、43および保護片41はなくてもよい。
【0034】
図3に示す構成の折板屋根Bに対し、樋支持具Aを取り付けるとともに樋支持具Aにより軒樋40を支持する作業工程について以下に説明する。
まず、樋支持具Aの凹部5に折板屋根Bの軒先板先端部2Aを挿入し、この状態で軒先板先端部2Aに形成されている透孔と下部片6と上部片9に形成されている透孔を位置合わし、これらの透孔を挿通するように第1の取付ボルト31を挿通し、第1の取付ボルト31にナット33を螺合して締め付ける。
また、ボルト20を中心として縦側係止片18を下向きに回動させて縦側係止片18と取付片22を下向きとしておく。この初期状態で横片17と縦片16により区画される収容空間は、縦側係止片18と取付片22により閉じられておらず、開放されている。
【0035】
第1の取付ボルト31とナット33を緊結することで樋支持具Aを軒先板先端部2Aに取り付けることができる。この状態で樋支持具Aの横片17上に軒樋40を設置し、仮支持状態にできる。
樋支持具Aは
図3に示すように軒先に複数設置される。複数設置した樋支持具Aに軒樋40を設置する場合、1つの軒樋40を設置後、他の軒樋40を図示略の継手を介し接合する必要がある。このとき、例えば、既に設置した軒樋40の端部に図示略の継手を設置し、この継手の内面に接着剤を塗布し、この継手に対し隣接する軒樋40を持ち上げ、嵌め込む作業が必要となる。
そのためには、
図1に示す軒樋上縁係止片42、43を軒樋40の持ち上げと嵌め込み作業に支障とならないように上向きに回動させ、軒樋40に対し回避可能な向きに設置しておくことが望ましい。
設置済みの軒樋40の継手に他の軒樋40の端部を嵌め込み接合した後、縦側係止片18を上向きに回動させて縦側係止片18と取付片22を上向きとし、取付片22の先端の延出片22Fを上部片9の上に設置する。
【0036】
この後、上向きとなっている軒樋上縁係止片43を下向きに回動させて
図1に示す状態(下向き)とするならば、
図1に示すように、軒樋上縁係止片43の係止部43Dにより外側板40Cの上縁を抑えることができる。また、軒樋上縁係止片42において係止部42Dを上向きとしていた場合は、軒樋上縁係止片42を回動させて
図1に示すように係止部42Dを下向きとして、内側板40Bの上縁を抑えることができる。
【0037】
延出片22Fを上部片9の上に載置すると、取付片22と上部片9と軒先板先端部2Aと下部片6にそれぞれ形成されている透孔が位置合わせされるので、これらを挿通するように第2の取付ボルト32を通し、第2の取付ボルト32にナット34を螺合する。この後、軒樋上縁係止片43を下向きに回動させて延出片43Cを外側板40Cの内側に配置することにより、樋支持具Aによる軒樋40の支持ができる。
【0038】
上述した構成の樋支持具Aであれば、支持具本体10の凹部5に軒先板先端部2Aを挿入し、支持具本体10の上部片9と軒先板先端部2Aと下部片6を貫通する第1の取付ボルト31により樋支持具Aを軒先板先端部に仮止めすることができる。この状態で縦側係止片18を下向きに回動させておくならば、横片17と縦片16に沿うように軒樋40を設置し、仮支持ができる。
また、支持具本体10の凹部5に軒先板先端部2Aを挿入する作業と第1の取付ボルト31を締め付ける作業は、作業者1名でも安全かつ容易に行うことができる。
【0039】
第1の取付ボルト31により樋支持具Aを仮止めした状態において、樋支持具Aは重量物であっても安定支持可能な状態となっているので、重量物である軒樋40を横片17上に載せたとして、軒樋40が不安定になることが無い。このため作業者は高所などの作業環境の悪い場所であっても、安全かつ安心状態で軒樋40の仮支持作業ができる。
また、一端仮支持した軒樋40に継手を介し他の軒樋を接合する場合、他の軒樋の端部を仮支持状態の軒樋40に対し持ち上げて嵌め込む作業を要するが、この作業において軒樋上縁係止片42が邪魔にならない。
【0040】
また、軒樋40を仮設置した後、縦側係止片18を上向きに回動し、取付片22の先端の延出片22Fを支持具本体10の上部片9の上に被着できる。この状態から、延出片22Fと上部片9と軒先板先端部2Aと下部片6を貫通する第2の取付ボルト32とこれに螺合するナット34によりこれらを緊結すると樋支持具の取り付けを完了できる。
この場合、軒樋上縁係止片43が軒樋40の外側板40Cの上縁部と干渉しないように、軒樋上縁係止片43の先端側を縦側係止片18の先端よりとなるように回動させておき、延出片22Fを上部片9の上に被着後、軒樋上縁係止片43を下向きに回動させると、
図1に示すように係止部43Dで外側板40Cの上縁部を抑えることができる。
上述の構成であれば、第1の取付ボルト31と第2の取付ボルト32により、樋支持具Aを安定支持することができ、重量の大きな軒樋40であっても安定支持できるとともに、取り付け作業も安全かつ容易に実施できる効果がある。
【0041】
上述の構成の樋支持具Aであるならば、下部片6の一部と上部縦片12、下部縦片13と横片17と縦側係止片18にいずれも凹溝と突条壁を有するので、これらがいずれも捻れに強い構成を有している。よって、軒樋40が重量物であって、風や地震などに起因し軒樋40に揺れや捻れなどを生じようとしても、軒樋40を安定支持することができる堅牢な樋支持具Aを提供できる。
また、軒樋40を支持する場合、軒先板先端部2Aに第1の取付ボルト31と第2の取付ボルト32を用いて樋支持具Aを固定すると、縦片16の上部側と縦側係止片18の上部側に捻れ力が集中し易い。この点、縦片16の上部側は凹溝と突条壁を嵌合した上部縦片12と下部縦片13の2枚重ね構成のため、捻れに強い構造を有する。更に、縦側係止片18の上部側も凹溝と突条壁を嵌合した縦側係止片18と取付片22の2枚重ね構造のため、捻れに強い構造を有する。よって、先の樋支持具Aは捻れに強く、軒樋40を安定支持できる堅牢な構成を有する。
【0042】
なお、上部片9と取付片22との結合は第1の取付ボルト31とナット33によるボルト止め構造に限らず、例えば、上部片9の先端と取付片22の先端とを蝶番により接続してもよい。この場合、取付片22は蝶番を回動中心軸として回動自在に上部片9の先端部に接続されており、取付片22は、上部片9と取付片22とがなす平面上を回動するよう回転自在に支持されている。
さらに、横片17の折曲片17Eと縦側係止片18の結合も蝶番によるものとしてもよく、この場合、縦側係止片18および取付片22がそれぞれ蝶番により回動自在とされ、縦側係止片18と取付片22とは、縦側係止片18の上部と取付片22の下部を重ね合わせた部分を貫通するボルト25とこれに螺合するナット26により結合される。
【0043】
(出寸法を調整するための構造)
図1から
図5に示すように、このような樋支持具Aは、折半屋根B(屋根)の軒先板先端部2A(軒)に取り付けられる。樋支持具Aは、枠状である。樋支持具Aは、軒樋40の長手方向から見て、上下方向に延びる矩形状である。以下、これらの長手方向および上下方向の両方向に直交する方向を前後方向Dという。前後方向Dに沿って建物から折半屋根が突出する方向が前方であり、その反対側が後方である。
【0044】
樋支持具Aは、上部枠51と、下部枠52と、前部枠53と、後部枠54と、を備えている。上部枠51および下部枠52は、前後方向Dに延びる。前部枠53および後部枠54は、上下方向に延びる。上部枠51は、支持具本体10と、延出片22F(第2片)と、を含む。下部枠52は、横片17を含む。前部枠53は、縦側係止片18と、取付片22と、を含む。後部枠54は、縦片16を含む。
【0045】
上部枠51は、軒先板先端部2Aに固定される。上部枠51は、軒先板先端部2Aに重ね合わされる。本実施形態では、支持具本体10は、下部片6(第1片)と、上部片9(第3片)と、を含む。下部片6は、軒先板先端部2Aを下側から支持する。上部片9は、下部片6との間に軒を上下方向に挟む。下部片6および上部片9の前端同士が連結され、かつ、後端同士が非連結とされている。延出片22Fは、支持具本体10の上側に配置される。図示の例では、延出片22Fは、上部片9に重ね合わされる。ただし、上部片9がなくてもよい。この場合、延出片22Fは、軒先板先端部2Aを介して下部片6に重ね合わされる。
【0046】
ここで
図2に示すように、上部枠51には、上部枠51を上下方向に貫通する空間60が設けられている。この空間60として、第1空間61、第2空間62、第3空間63が、前後方向Dにこの順に並んで設けられている。本実施形態では、第1空間61、第2空間62、第3空間63は、互いに独立した貫通孔70である。言い換えると、第1空間61、第2空間62、第3空間63はそれぞれ、第1貫通孔71、第2貫通孔72、第3貫通孔73である。第1貫通孔71、第2貫通孔72、第3貫通孔73は、上方から見た平面視において、同等の形状である。図示の例では、第1貫通孔71、第2貫通孔72、第3貫通孔73は、前記平面視において真円形状である。
【0047】
延出片22Fの後端22Faは、前後方向Dに沿って第2空間62と第3空間63との間に位置している。第1空間61および第2空間62は、支持具本体10および延出片22Fの両方に設けられている。第3空間63は、支持具本体10および延出片22Fのうち、支持具本体10(上部片9および下部片6)のみに設けられている。
【0048】
ここで、樋支持具Aの投影幅をLとする(例えば、投影幅Lとして400mmが例示できる)。投影幅Lは、樋支持具Aの前端(前部枠53の前端)と樋支持具Aの後端(後部枠54の後端)との間の前後方向Dの距離である。
第1空間61は、樋支持具Aの前端から後方に向けてL/3以上L/2以下の範囲で離れた位置に設けられている。第1空間61は、樋支持具Aの前端から後方に向けてL/3以上、かつ、L/3+α(例えば、α=20~80mm)以下の範囲で離れた位置に設けられていことが好ましい。
【0049】
第2空間62は、樋支持具Aの前端から後方に向けてL/2より離れた位置に設けられている。第2空間62は、樋支持具Aの前端から後方に向けてL・2/3以内の位置に設けられていることが好ましい。第2空間62は、樋支持具Aの前端から後方に向けてL/2以上、かつ、L/3+α(例えば、α=20~80mm)以下の範囲で離れた位置に設けられていことが好ましい。
【0050】
第3空間63は、樋支持具Aの後端から前方に向けて0~50mm程度の位置にあることが好ましい。
なお、第1空間61と第2空間62との間の前後方向Dの距離は、第2空間62と第3空間63との間の前後方向Dの距離よりも短い。
【0051】
そして本実施形態では、第1空間61、第2空間62および第3空間63には、ボルト31、32が配置される。ボルト31、32は、第1空間61、第2空間62および第3空間63のうちの少なくとも2つの空間60に配置されている。ボルト31、32は、第1空間61、第2空間62および第3空間63のうちの2つの空間60のみに配置されている。2つのボルト31、32のうちの第1の取付けボルト31は、第3空間63に配置され、残りの第2の取付けボルト32は、第1空間61および第2空間62の片方のみに配置される。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に係る樋支持具Aによれば、空間60として、第1空間61、第2空間62、第3空間63が、前後方向Dにこの順に並んで設けられている。よって、例えば、出寸法が小さい場合には、
図2に示すように、第1空間61および第3空間63の2箇所を利用して、上部枠51を軒先板先端部2Aに固定することができる。また、例えば、出寸法が大きい場合には、
図6および
図7に示すように、第2空間62および第3空間63の2箇所を利用して、上部枠51を軒先板先端部2Aに固定することができる。このように、この樋支持具Aによれば、異なる出寸法に対応できる。
また、いずれの出寸法においても、上部枠51の1箇所ではなく2箇所を利用して樋支持具Aを軒先板先端部2Aに固定することができる。しかも、出寸法が小さい場合には、第2空間62を利用するのに代えて、より軒先に近い第1空間61を利用することができる。よって、耐風性能を確保することができる。
【0053】
第1空間61が、樋支持具Aの前端から後方に向けてL/3以上L/2以下の範囲で離れた位置に設けられている。よって、
図2に示すように、1/3出寸法のときには、第1空間61を好適に利用することができる。
第2空間62が、樋支持具Aの前端から後方に向けてL/2より離れた位置に設けられている。よって、
図6に示すように、1/2出寸法のときには、第2空間62を好適に利用することができる。
【0054】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る樋支持具Aを、
図8および
図9を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0055】
本実施形態に係る樋支持具Eでは、貫通孔70として、前方貫通孔74、後方貫通孔75が、前後方向Dにこの順に並んで設けられている。前方貫通孔74は、後方貫通孔75よりも前後方向Dに長い。前方貫通孔74は、いわゆる長穴である。後方貫通孔75は、平面視において真円形状である。
【0056】
そして、第1空間61および第2空間62は、前方貫通孔74における前後方向Dの両端の空間である。第1空間61は、前方貫通孔74における前端である。第2空間62は、前方貫通孔74における後端である。第3空間63は、後方貫通孔75である。図示の例では、前方貫通孔74の前後方向Dの長さは、前方貫通孔74と後方貫通孔75との間の前後方向Dの距離よりも短い。
【0057】
以上説明したように、本実施形態に係る樋支持具Eによれば、貫通孔70として、前方貫通孔74、後方貫通孔75が、前後方向Dにこの順に並んで設けられている。よって、例えば、出寸法が小さい場合には、前方貫通孔74のうちの前端と、後方貫通孔75と、の2箇所を利用して、上部枠51を軒に固定することができる。また、例えば、出寸法が大きい場合には、前方貫通孔74のうちの後端と、後方貫通孔75と、の2箇所を利用して、上部枠51を軒に固定することができる。このように、この樋支持具Eによれば、異なる出寸法に対応できる。
また、いずれの出寸法においても、上部枠51の1箇所ではなく2箇所を利用して樋支持具Eを軒に固定することができる。しかも、出寸法が小さい場合には、前方貫通孔74のうちの後端を利用するのに代えて、より軒先に近い前方貫通孔74のうちの前端寄りの部分を利用することができる。よって、耐風性能を確保することができる。
【0058】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 支持具本体
22Fa 後端
31、32 ボルト
40 軒樋
51 上部枠
60 空間
61 第1空間
62 第2空間
63 第3空間
70 貫通孔
71 第1貫通孔
72 第2貫通孔
73 第3貫通孔
74 前方貫通孔
75 後方貫通孔
A、E 樋支持具
D 前後方向
L 投影幅