(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118067
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】容器スタック把持装置及び容器スタック把持システム並びに容器スタック搬送方法
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
B25J15/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024249
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉冨 英嗣
(72)【発明者】
【氏名】濱野 兼伍
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707ES05
3C707ET08
3C707EV02
3C707HS14
3C707HT22
3C707KS31
(57)【要約】
【課題】互いに異なる外径を有する容器スタックを安定して把持しつつ、容器への傷や凹みも抑制しながら容器スタックから容器を個別に切り離す。
【解決手段】容器スタック把持装置は、容器スタックの一方の側面に対して当接可能な第1棒状部材と、容器スタックの他方の側面に対して少なくとも2点で当接可能な第2棒状部材と、第1棒状部材および第2棒状部材のそれぞれの下端側に設けられると共にカール部をその上面に載置可能な押出しスクリュー部材と、第1棒状部材に対して第2棒状部材よりも近傍に配置されて容器スタックの一方の側面に対して当接可能な当接バー部材と、第1棒状部材、第2棒状部材および当接バー部材をそれぞれ駆動する第1駆動手段と、押出しスクリュー部材を回転させて容器スタックの下端に位置する容器を容器スタックから切り離し可能な第2駆動手段などを含んでなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ注出口にカール部を備える複数の容器を積み重ねた容器スタックの一方の側面に対して当接可能な第1棒状部材と、
前記第1棒状部材と協働して前記容器スタックを把持可能なように前記容器スタックの他方の側面に対して少なくとも2点で当接可能な第2棒状部材と、
前記第1棒状部材および前記第2棒状部材のそれぞれの下端側に設けられると共に、前記カール部をその上面に載置可能な押出しスクリュー部材と、
前記第1棒状部材に対して前記第2棒状部材よりも近傍に配置されて、前記容器スタックの前記一方の側面に対して当接可能な当接バー部材と、
前記第1棒状部材、前記第2棒状部材および前記当接バー部材をそれぞれ駆動する第1駆動手段と、
前記押出しスクリュー部材を回転させて前記容器スタックの下端に位置する容器を前記容器スタックから切り離し可能な第2駆動手段と、
前記第1駆動手段および前記第2駆動手段を制御する制御装置と、
を含んでなる、容器スタック把持装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記容器スタックを挟むように、前記一方の側面に対して前記第1棒状部材及び前記当接バー部材を近接させることに同期して前記他方の側面に対して前記第2棒状部材を近接させ、
前記当接バー部材と前記第2棒状部材とで前記容器スタックを把持したときに、前記一方の側面において前記第1棒状部材と前記容器スタックとの間には所定の間隙が形成されてなる、請求項1に記載の容器スタック把持装置。
【請求項3】
前記第1駆動手段は、圧縮空気を介して前記第1棒状部材、前記第2棒状部材および前記当接バー部材をそれぞれ駆動し、
前記制御装置は、
前記当接バー部材と前記第2棒状部材とで前記容器スタックを把持したときに、前記第1駆動手段への前記圧縮空気の供給を停止して前記容器スタックへの押圧を緩和する制御を実行する、請求項2に記載の容器スタック把持装置。
【請求項4】
前記第1棒状部材と前記第2棒状部材の前記容器スタックに対する移動を固定するブレーキ機構と、
前記ブレーキ機構を駆動する第3駆動手段と、をさらに備え、
前記制御装置は、
前記容器スタックへの前記押圧が緩和された後で、前記ブレーキ機構を介して前記第1棒状部材と前記第2棒状部材の前記容器スタックに対する移動を固定する、請求項3に記載の容器スタック把持装置。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記ブレーキ機構を介して前記第1棒状部材と前記第2棒状部材の前記移動が固定された後で、前記第1駆動手段を介して前記当接バー部材を前記容器スタックの側面から退避させることで、前記スクリュー部材の上面に前記カール部を載置させる制御を実行する、請求項4に記載の容器スタック把持装置。
【請求項6】
前記第2駆動手段は、
前記第1棒状部材および前記第2棒状部材の側面にそれぞれ設けられたピニオンと、
前記ピニオンと噛み合って進退可能なラックと、
前記ラックを進退させるラック駆動手段と、を含み、
前記ラック駆動手段を介して前記ラックが前記ピニオンを回転させることに追従して前記押出しスクリュー部材が回転することで、前記容器スタックの下端に位置する容器が前記容器スタックから離脱される、
請求項1~5のいずれか一項に記載の容器スタック把持装置。
【請求項7】
請求項1に記載の容器スタック把持装置と、
前記容器スタック把持装置と連結されるロボットハンドと、
を備えた容器スタック把持システム。
【請求項8】
前記容器スタックの積層高さを検出する検出センサをさらに含み、
前記制御装置は、
前記検出センサによって検出された前記積層高さに基づいて前記ロボットハンドを介して前記容器スタックを移送した後に、前記押出しスクリュー部材を介して前記容器スタックの下端に位置する容器を切り離す制御を実行する、請求項7に記載の容器スタック把持システム。
【請求項9】
それぞれ注出口にカール部を備える複数の容器を積み重ねた容器スタックの一方の側面に対して当接可能な第1棒状部材と、前記第1棒状部材と協働して前記容器スタックを把持可能なように前記容器スタックの他方の側面に対して少なくとも2点で当接可能な第2棒状部材と、前記第1棒状部材および前記第2棒状部材のそれぞれの下端側に設けられると共に、前記カール部をその上面に載置可能な押出しスクリュー部材と、前記第1棒状部材に対して前記第2棒状部材よりも近傍に配置されて、前記容器スタックの前記一方の側面に対して当接可能な当接バー部材とを用いた容器スタック搬送方法であって、
前記容器スタックに対して前記一方の側面に対して前記第1棒状部材及び前記当接バー部材を近接させることに並行して、前記他方の側面に対して前記第2棒状部材を近接させて、少なくとも前記第2棒状部材および前記当接バー部材で前記容器スタックを把持する工程と、
前記当接バー部材を前記容器スタックの側面から離間させることで、前記容器スタックの下端に位置する容器のカール部を前記押出しスクリュー部材の上面に載置する工程と、
前記カール部が前記押出しスクリュー部材の上面に載置された状態で、前記押出しスクリュー部材を回転させて前記容器スタックの下端に位置する容器を前記容器スタックから切り離す工程と、
を有する容器スタック搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の紙コップなどの容器を積み重ねた容器スタックを把持する容器スタックの把持装置および把持システム並びに容器スタックの搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば注出口となる上端が外側にカールしたカール部を備えて食品を収容するカップ容器やコップ容器(以下、これらを総称して「容器」とも称する)が知られている。これらの容器は、例えば紙や樹脂などで形成されており、上下に積み重ねた状態(これを「容器スタック」とも称する)で搬送されることがある。
【0003】
例えば特許文献1~特許文献3などにおいては、容器を積み重ねて構成された容器スタックを保持し得る容器保持具を有する容器保持機構と、上記容器保持機構を移送し得る位置制御機構とを備えた容器把持および搬送装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-136458号公報
【特許文献2】特開2006-187861号公報
【特許文献3】特開2021-171880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献によれば、容器スタックの搬送を自動的に且つ繰り返して行うことができるから、容器スタックを人手によって搬送する場合に比べて大幅に作業効率の向上を図ることができる。他方で、従来の容器スタックの把持装置は、容器スタックを構成する容器の外径に合わせて設計されているため、異なる外径の容器を把持する場合にはハンド(把持部)を都度取り換えて対応しなければならない。
【0006】
仮に単一のハンド(把持部)で異なる外径の複数種類の容器を把持しようとする場合には、把持部と容器の外径とが合っていないために容器の把持自体が不安定になるだけでなく、場合によっては把持部で容器を傷付けたり凹ませたりする恐れもあり得る。
このように従来における容器スタックの把持装置および手法では、単一のハンド(把持部)で異なる外径の容器スタックの搬送に対応できておらず、更なる作業効率の向上や汎用性が希求されている。
【0007】
本発明は、上記した課題を一例に鑑みて為されたものであり、互いに異なる外径を有する容器スタックを安定して把持しつつ、容器への傷や凹みも抑制しながら容器スタックから容器を個別に切り離し可能な容器スタック把持装置および容器スタック搬送方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態における容器スタック把持装置は、(1)それぞれ注出口にカール部を備える複数の容器を積み重ねた容器スタックの一方の側面に対して当接可能な第1棒状部材と、前記第1棒状部材と協働して前記容器スタックを把持可能なように前記容器スタックの他方の側面に対して少なくとも2点で当接可能な第2棒状部材と、前記第1棒状部材および前記第2棒状部材のそれぞれの下端側に設けられると共に、前記カール部をその上面に載置可能な押出しスクリュー部材と、前記第1棒状部材に対して前記第2棒状部材よりも近傍に配置されて、前記容器スタックの前記一方の側面に対して当接可能な当接バー部材と、前記第1棒状部材、前記第2棒状部材および前記当接バー部材をそれぞれ駆動する第1駆動手段と、前記押出しスクリュー部材を回転させて前記容器スタックの下端に位置する容器を前記容器スタックから切り離し可能な第2駆動手段と、前記第1駆動手段および前記第2駆動手段を制御する制御装置と、を含んでなる。
【0009】
また、上記(1)に記載の容器スタック把持装置においては、(2)前記制御装置は、前記容器スタックを挟むように、前記一方の側面に対して前記第1棒状部材及び前記当接バー部材を近接させることに同期して前記他方の側面に対して前記第2棒状部材を近接させ、前記当接バー部材と前記第2棒状部材とで前記容器スタックを把持したときに、前記一方の側面において前記第1棒状部材と前記容器スタックとの間には所定の間隙が形成されてなることが好ましい。
【0010】
また、上記(2)に記載の容器スタック把持装置においては、(3)前記第1駆動手段は、圧縮空気を介して前記第1棒状部材、前記第2棒状部材および前記当接バー部材をそれぞれ駆動し、前記制御装置は、前記当接バー部材と前記第2棒状部材とで前記容器スタックを把持したときに、前記第1駆動手段への前記圧縮空気の供給を停止して前記容器スタックへの押圧を緩和する制御を実行することが好ましい。
【0011】
また、上記(3)に記載の容器スタック把持装置においては、(4)前記第1棒状部材と前記第2棒状部材の前記容器スタックに対する移動を固定するブレーキ機構と、前記ブレーキ機構を駆動する第3駆動手段と、をさらに備え、前記制御装置は、前記容器スタックへの前記押圧が緩和された後で、前記ブレーキ機構を介して前記第1棒状部材と前記第2棒状部材の前記容器スタックに対する移動を固定することが好ましい。
【0012】
また、上記(4)に記載の容器スタック把持装置においては、(5)前記制御装置は、前記ブレーキ機構を介して前記第1棒状部材と前記第2棒状部材の前記移動が固定された後で、前記第1駆動手段を介して前記当接バー部材を前記容器スタックの側面から退避させることで、前記スクリュー部材の上面に前記カール部を載置させる制御を実行することが好ましい。
【0013】
また、上記(1)~(5)のいずれかに記載の容器スタック把持装置においては、(6)前記第2駆動手段は、前記第1棒状部材および前記第2棒状部材の側面にそれぞれ設けられたピニオンと、前記ピニオンと噛み合って進退可能なラックと、前記ラックを進退させるラック駆動手段と、を含み、前記ラック駆動手段を介して前記ラックが前記ピニオンを回転させることに追従して前記押出しスクリュー部材が回転することで、前記容器スタックの下端に位置する容器が前記容器スタックから離脱されることが好ましい。
【0014】
さらに、上記した課題を解決するため本発明の一実施形態における容器スタック把持システムは、(7)上記した(1)に記載の容器スタック把持装置と、前記容器スタック把持装置と連結されるロボットハンドと、を備えたことを特徴とする。
なお上記した(7)に記載の容器スタック把持システムにおいては、(8)前記容器スタックの積層高さを検出する検出センサをさらに含み、前記制御装置は、前記検出センサによって検出された前記積層高さに基づいて前記ロボットハンドを介して前記容器スタックを移送した後に、前記押出しスクリュー部材を介して前記容器スタックの下端に位置する容器を切り離す制御を実行することが好ましい。
【0015】
さらに、上記した課題を解決するため、本発明の一実施形態における容器スタック搬送方法は、(9)それぞれ注出口にカール部を備える複数の容器を積み重ねた容器スタックの一方の側面に対して当接可能な第1棒状部材と、前記第1棒状部材と協働して前記容器スタックを把持可能なように前記容器スタックの他方の側面に対して少なくとも2点で当接可能な第2棒状部材と、前記第1棒状部材および前記第2棒状部材のそれぞれの下端側に設けられると共に、前記カール部をその上面に載置可能な押出しスクリュー部材と、前記第1棒状部材に対して前記第2棒状部材よりも近傍に配置されて、前記容器スタックの前記一方の側面に対して当接可能な当接バー部材とを用いた容器スタック搬送方法であって、前記容器スタックに対して前記一方の側面に対して前記第1棒状部材及び前記当接バー部材を近接させることに並行して、前記他方の側面に対して前記第2棒状部材を近接させて、少なくとも前記第2棒状部材および前記当接バー部材で前記容器スタックを把持する工程と、前記当接バー部材を前記容器スタックの側面から離間させることで、前記容器スタックの下端に位置する容器のカール部を前記押出しスクリュー部材の上面に載置する工程と、前記カール部が前記押出しスクリュー部材の上面に載置された状態で、前記押出しスクリュー部材を回転させて前記容器スタックの下端に位置する容器を前記容器スタックから切り離す工程と、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、容器へ傷や凹みがついてしまうことを抑制しつつ、異なる複数の外径規格に対応した容器スタックを安定して把持すると共に、把持した容器スタックから容器を個別に離脱させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態における容器スタック把持装置を含む容器スタック把持システムを示した模式図である。
【
図2】実施形態における容器スタック把持装置の一部を模式的に見た上面図である。
【
図3】実施形態における容器スタック把持装置の一部を模式的に見た正面図である。
【
図4】実施形態における容器スタック把持装置の一部を模式的に見た側面図である。
【
図5】実施形態における容器スタック把持装置の他の一部を模式的に見た側面図と斜視図である。
【
図6】実施形態における容器スタック把持装置が容器スタックを把持する動作を示す状態遷移図(その1)である。
【
図8】実施形態における容器スタック把持装置が容器スタックを把持する動作を示す状態遷移図(その2)である。
【
図9】実施形態における容器スタック把持装置が容器スタックを把持する動作を示す状態遷移図(その3)である。
【
図10】実施形態における容器スタック把持装置が容器スタックを把持する動作を示す状態遷移図(その4)である。
【
図11】実施形態における容器スタック把持装置が容器スタックを把持する動作を示す状態遷移図(その5)である。
【
図12】実施形態における容器スタック搬送方法を示すフローチャートである。
【
図13】容器スタック把持方法のうちスタック把持処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の容器スタック把持装置、容器スタック把持システム及び容器スタック搬送方法について具体的に説明する。なお、以下の実施形態は本発明の一例を説明するものであり、本発明を意図せず限定するものではなく、他の公知の構成を適宜補完してもよい。また、以下で詳述する構成以外の構成については、上記した特許文献を含む公知の搬送機構を適宜援用してもよい。
また、以下の実施形態では、容器スタックCSを載置した際の積層方向(把持する際に棒状部材が伸びる方向)である鉛直方向をZ軸として例示するが、この軸設定は説明の便宜上のためであり、本発明を意図せず限定するものではない。
【0019】
<容器スタック把持システム200>
図1に、実施形態における容器スタック把持システム200を示す。同図に示すとおり本実施形態の容器スタック把持システム200は、容器スタックCSを把持可能な容器スタック把持装置100と、この容器スタック把持装置100を例えば6自由度で操作して任意の位置に搬送可能な公知のロボットハンドRHと、を含んで構成されている。
【0020】
ここで「容器スタック」とは、上記した特許文献3や
図11などに例示されるとおり、例えば紙コップ等の公知の容器を積み重ねて構成されたものを言う。より具体的には、本実施形態の容器スタックCSは、積み重ねる上側の容器の上端部(カール部付近)以外の胴部と底部のほぼ容器全体を下側の容器内に順次収納する形で例えば数個~数十個だけ柱状に積み重ねた形態を有する。
【0021】
個々の容器の材質としては、公知の材料が適用でき、例えば紙や樹脂あるいは紙に樹脂のコーティングを施したものなどが例示できる。容器の外観形状としても、公知の形状を適用でき、例えば食品用途に適した浅底のカップ形状や飲料用途に適したコップ形状が適用できる。
【0022】
また、容器における開口の形状についても、例えば円形や四角形などの任意の公知の形状を採用してもよい。かような容器に収容する被収容物としては、例えば納豆やヨーグルトなどの食品や薬効成分を含有する薬剤などの固形物の他に、例えば飲料などの液状物など公知の種々の物質が例示できる。
【0023】
<容器スタック把持装置100>
次に
図1~
図5を参照しつつ、本実施形態における容器スタック把持装置100の詳細な構成について説明する。
これらの図から理解されるとおり、本実施形態の容器スタック把持装置100は、本体フレーム10、棒状部材20、押出しスクリュー部材30、当接バー部材40、第1駆動手段50、第2駆動手段60及び制御装置90などを含んで構成されている。さらに後述するとおり、容器スタック把持装置100は、ブレーキ機構70及び第3駆動手段80をさらに含んで構成されていることが好ましい。
【0024】
本体フレーム10は、それぞれ後述する棒状部材20や押出しスクリュー部材30などを搭載する基台である。
具体的に本実施形態の本体フレーム10は、
図1~
図5などに示すように、第1駆動手段50をスライド移動可能に支持するベース部材11と、この第1駆動手段50にそれぞれ固定された一対のウイング部材12(右ウイング12A及び左ウイング12B)と、このウイング部材12に対して棒状部材20をそれぞれ固定するロッド固定部材13(右ロッド固定部13Aおよび左ロッド固定部13B)と、ベース部材11に対して第3駆動手段80を固定する下側固定部材14と、後述するラック62や当接バーシリンダ50Cをウイング部材12に対して固定するサイド固定部材15(右サイド固定部15Aおよび左サイド固定部15B)と、後述するラック駆動手段65をベース部材11に対して固定する上側支持部材16と、上記したロボットハンドRHと接続される接続面17aを有するアーム接続部17と、などを含んで構成されている。
【0025】
なお本体フレーム10を構成する各部材の材質については、本実施形態の効果を奏する限りにおいて特に制限はなく、例えばアルミニウムや鋼材など公知の種々の金属やテフロン(登録商標)など公知の樹脂部材を、必要とされる強度に応じて適宜適用できる。また、ロボットハンドRHと接続面17aとの接続形態についても、特に制限はなく、例えばボルト締結など公知の締結手段および締結構造を適用してもよい。
【0026】
棒状部材20は、
図1及び
図2などに示すように、把持予定となる容器スタックCSの一方の側面に位置付けられる第1棒状部材20Aと、この容器スタックCSの他方の側面に位置付けられる第2棒状部材20Bと、を含んで構成されている。
図1や
図5を参照して理解されるとおり、本実施形態の棒状部材20においては、外周側となる筒状体21の内部に棒状のピニオン61が挿入されると共に、このピニオン61の下端は押出しスクリュー部材30と連結されてなる(第1棒状部材20Aと第2棒状部材20Bで共通)。
【0027】
ここで「一方の側面」および「他方の側面」とは、鉛直方向に沿って載置された状態の容器スタックCSを挟み込むことが可能なように対となって位置付けられる容器スタックの側面と定義され、本実施形態では一例として容器スタックCSのプラスY方向側とマイナスY方向側の側面を言う(
図1など参照)。
【0028】
第1棒状部材20Aは、それぞれ注出口にカール部を備える複数の容器を積み重ねた容器スタックCSの一方の側面に対して少なくとも2点で当接する機能を有して構成されている。
図1などから理解されるとおり、本実施形態の第1棒状部材20Aは、それぞれ独立した2本の棒状の部材となっている。これら棒状の部材は、それぞれ容器スタックCSの側面に当接可能なように、それぞれ右ロッド固定部13Aを介して右ウイング12Aに取り付けられてなる。なお
図5から明らかなように、第1棒状部材20Aを構成する筒状体21Aの長手方向における長さは、容器スタックCSの下端と上端にそれぞれ位置するカール部と接触可能な程度に設定されていてもよい(後述する第2棒状部材20Bでも同様)。
【0029】
第2棒状部材20Bは、前記した第1棒状部材20Aと協働して容器スタックCSを把持可能なように当該容器スタックCSの他方の側面に対して当接する機能を有して構成されている。
図1に示すように、本実施形態の第2棒状部材20Bは、第1棒状部材20Aと同様に、それぞれ独立した2本の棒状の部材となっている。これら棒状の部材は、それぞれ容器スタックCSの側面に当接可能なように、それぞれ左ロッド固定部13Bを介して左ウイング12Bに取り付けられてなる。
【0030】
なお第1棒状部材20Aや第2棒状部材20Bの材質としては、特に制限はなく、例えばアルミニウムなど公知の金属材料やアクリルなど公知の樹脂材料を適用してもよい。
また、本実施形態では合計2本の棒状の部材によって第1棒状部材20Aや第2棒状部材20Bを構成しているが、この形態に限られず、3本以上の棒状の部材でこれらを構成してもよいし、複数本の棒状の部材が互いに連結されて一体化した形態の棒状部材としてもよいし、単数の棒状の部材で第1棒状部材20Aや第2棒状部材20Bを構成してもよい。
【0031】
押出しスクリュー部材30は、前記した第1棒状部材20Aおよび第2棒状部材20Bのそれぞれの下端側に設けられると共に、容器スタックCSを構成する容器Cpのカール部をその上面に載置可能に構成されている。より具体的に本実施形態の押出しスクリュー部材30は、
図1などから理解されるとおり、第1棒状部材20Aの下端側に設けられる第1押出しスクリュー部材30Aと、第2棒状部材20Bの下端側に設けられる第2押出しスクリュー部材30Bと、を含んで構成されている。
【0032】
押出しスクリュー部材30は、最下部に位置する容器Cpのカール部が単独で通過可能な溝幅を備えた螺旋溝が側面に形成されている。具体的に本実施形態では、押出しスクリュー部材30が約288度回転することで、上面に載置されたカール部が30mm程度ストロークして底面側に移動するように上記螺旋溝が設けられている。
従って後述するとおり、容器スタックCSの最下部に位置する容器(下端の容器Cp1)のカール部が押出しスクリュー部材30の上面にそれぞれ載置された後に、これら合計4つの押出しスクリュー部材30が同期して回転することで、この容器CP1のカール部がそれぞれの螺旋溝を通過して容器スタックCSから容器CP1だけが切り離される。
【0033】
なお押出しスクリュー部材30の具体的な材料例としては、容器Cpのカール部を傷つけない程度の柔らかい樹脂が好適であり、例えばテフロン(登録商標)など公知の樹脂材料が好適であるが、例えばアルミニウムなど公知の金属材料を適用してもよい。また、本実施形態では、押出しスクリュー部材30が360度回転せずに1周未満の回転角で容器Cpを切り離すように構成されている。これにより、容器スタックCSの最下部の容器だけを安定して1つずつ切り離すことが可能となっている。
【0034】
当接バー部材40は、前記した第1棒状部材20Aに対して第2棒状部材20Bよりも近傍に配置される。より具体的に当接バー部材40は、
図1及び
図2に示すように、一対の第1棒状部材20Aの間に設置されてなる。当接バー部材40は、容器スタックCSのうち上記した一方の側面に対して当接可能なようにサイド固定部材15(右サイド固定部15A)に取り付けられている。また、同図から理解されるとおり、当接バー部材40は、後述する制御装置90による制御の下で、後述する当接バーシリンダ50Cによって容器スタックCSのうち一方の側面に対して進退可能に構成されている。
【0035】
このように本実施形態の当接バー部材40は、2本の第1棒状部材20Aの間に配置可能な幅を有すると共に、容器スタックCSの高さH2(
図11参照)に対応した高さH1を有する板状部材が適用できる。なお、「高さH2に対応した高さH1」とは、容器スタックCSを第2棒状部材20Bと協働して把持したときに容器スタックCSが意図せず傾倒しない程度の高さを言う。かような当接バー部材40の材質としては、特に制限はないが、例えばアルミニウムなど公知の金属材料やアクリルなど公知の樹脂材料を適用してもよい。
【0036】
第1駆動手段50は、例えば工場などの建屋内に配備された公知の駆動源DSから駆動力の供給を受けて、それぞれ前記した第1棒状部材20A、第2棒状部材20Bおよび当接バー部材40をそれぞれ駆動する機能を有して構成されている。より具体的に第1駆動手段50は、第1棒状部材20Aを容器スタックCSの一方の側面に対して近接または離間させる第1エアチャックシリンダ50Aと、第2棒状部材20Bを容器スタックCSの他方の側面に対して近接または離間させる第2エアチャックシリンダ50Bと、当接バー部材40を容器スタックCSの一方の側面に対して近接または離間させる当接バーシリンダ50Cと、を含んで構成されている。この場合、駆動源DSから供給される駆動力は、安価で取り扱いが容易な圧縮空気とされる。
【0037】
このように本実施形態の第1駆動手段50(第1エアチャックシリンダ50A、第2エアチャックシリンダ50Bおよび当接バーシリンダ50C)は、それぞれが圧縮空気で駆動する公知のエアシリンダで構成されている。従って本実施形態の第1駆動手段50は、容易に利用可能な圧縮空気を分配して利用することで、簡易でメンテナンス性にも優れた構成が実現されている。なお本実施形態では第1駆動手段50として、公知のエアシリンダを採用しているがこの形態に限られず、例えば電動モータや油圧シリンダなど公知の種々の駆動機構を適用してもよい。
【0038】
第2駆動手段60は、上述したとおり、押出しスクリュー部材30を回転させて容器スタックCSの下端に位置する容器Cp1を容器スタックCSから切り離し可能に構成されている。より具体的に本実施形態の第2駆動手段60は、
図1、
図4及び
図5などを参照して理解されるとおり、第1棒状部材20Aおよび第2棒状部材20Bの側面にそれぞれ設けられた上記したピニオン61(右サイドピニオン61Aおよび左サイドピニオン61B)と、このピニオン61と噛み合って進退可能なラック62(右サイドラック62Aおよび左サイドラック62B)と、第1連結部材63および第2連結部材64を介してこのラック62と連結されて当該ラック62を進退させるラック駆動手段65(例えば圧縮空気で駆動可能なラックシリンダ)と、を含んで構成されている。
【0039】
なお
図1などから理解されるとおり、ピニオン61は、上述した棒状部材20の上端部において歯車が露出すると共に下端部では上記した押出しスクリュー部材30と連結されている。従ってピニオン61が回転すれば、このピニオン61の回転に追従して押出しスクリュー部材30も回転することが可能となっている。
【0040】
また、
図1や
図11から理解されるとおり、本実施形態の第2駆動手段60は、容器スタックCSの一方の側と他方の側にそれぞれ配置される一対のラック62(右サイドラック62Aおよび左サイドラック62B)を備えている。従って、図示されるとおり、第2駆動手段60は、これら右サイドラック62Aと左サイドラック62Bとが同期して前進または後進することが可能なように、これらを連結してラック駆動手段65と接続するための第1連結部材63および第2連結部材64を具備してなることが望ましい。
【0041】
これにより本実施形態の容器スタック把持装置100では、ラック駆動手段65を介してラック62がピニオン61を回転させることに追従して押出しスクリュー部材30が回転することで、容器スタックCSの下端に位置する容器Cp1が容器スタックCSから単独で離脱することが実現されている。
【0042】
ブレーキ機構70は、
図3及び
図4などに示すように、前記した第1棒状部材20Aと第2棒状部材20Bの容器スタックCSに対する移動を固定する機能を有して構成されている。より具体的に本実施形態のブレーキ機構70は、第1エアチャックシリンダ50Aに接触してベース部材11に対して当該第1エアチャックシリンダ50Aを固定する第1ブレーキ70Aと、第2エアチャックシリンダ50Bに接触してベース部材11に対して当該第2エアチャックシリンダ50Bを固定する第2ブレーキ70Bと、を含んで構成されている。
【0043】
図3などに示すように、ブレーキ機構70は、第3駆動手段80によって第1エアチャックシリンダ50A及び第2エアチャックシリンダ50Bに対して当接または離間するように移動される。すなわち本実施形態の第3駆動手段80は、第1エアチャックシリンダ50Aを駆動する第1ブレーキシリンダ80Aと、第2エアチャックシリンダ50Bを駆動する第2ブレーキシリンダ80Bと、で構成されていてもよい。このように第3駆動手段80は、例えば上記した駆動源DSから駆動力(本例では圧縮空気)の供給を受けて駆動する公知のエアシリンダが適用できる。なお本実施形態では第3駆動手段80として、公知のエアシリンダを採用しているがこの形態に限られず、例えば電動モータや油圧シリンダなど公知の種々の駆動機構を適用してもよい。
【0044】
制御装置90は、一つ又は複数のプロセッサ(CPU(Central Processing Unit))と、前記一つ又は複数のプロセッサに通信可能に接続される一つ又は複数の記憶装置(メモリ)と、を備えて構成されている。制御装置90は、前記した第1駆動手段50及び第2駆動手段60並びに第3駆動手段80を制御する機能を有して構成されている。制御装置90は、上記したロボットハンドRHを制御する機能をさらに有して構成されていてもよい。制御装置90は、一例としてスマートフォンを利用する形態など公知の通信装置を介してインターネットなどの外部ネットワークと接続可能に構成されていてもよい。
【0045】
<容器スタック搬送方法>
次に
図6~13もさらに参照しつつ上記した容器スタック把持システム200を用いた容器スタック搬送方法について詳述する。この容器スタック搬送方法は、例えば容器スタック把持装置100を制御する制御装置90に、プログラムとして格納されてCPUで実行可能な搬送方法である。なおこの容器スタック搬送方法のプログラムは、上記した統括制御装置のメモリに格納される他、クラウドなどのネットワークを介してPCへダウンロードされる形態であってもよい。
【0046】
まず
図12に示すステップ1において、上記したロボットハンドRHを介して容器スタック把持装置100が把持すべき容器スタックCSに移動されて、容器スタック把持装置100が容器スタックCSに到達したかが判定される。そしてステップ10で容器スタック把持装置100が容器スタックCSに到達したと判定された場合(ステップ10でYes)には、次いでステップ11ではスタック把持処理が実行される。
【0047】
図13に、ステップ11で実行されるスタック把持処理を示す。
まずステップ11aでは、
図6に例示するように、棒状部材20を容器スタックCSに近接させる。より具体的に、制御装置90は、この容器スタックCSを挟むように、一方の側面に対して第1棒状部材20A及び当接バー部材40を共に近接させることに同期して、他方の側面に対して第2棒状部材20Bを近接させる制御を実行する。このとき、
図7に示すように、制御装置90は、当接バー部材40と第2棒状部材20Bとで容器スタックCSを把持させると共に、一方の側面において第1棒状部材20Aと容器スタックCSとの間に所定の間隙GP(一例として1mm程度)が形成されるように第1棒状部材20A及び当接バー部材40をそれぞれ移動させる。
なお本実施形態では所定の間隙GPとして1mm程度を設定したが、当接バー部材40と第2棒状部材20Bとで容器スタックCSを挟持する際にどの程度だけ第1棒状部材20Aと容器スタックCSとの間にクリアランス(間隙GP)を設けるかは、容器の形状や積層される容器の数などに応じて適宜調整してもよい。
【0048】
続くステップ11bにおいて、制御装置90は、当接バー部材40と第2棒状部材20Bとが容器スタックCSに接触したかを判定する。具体的に制御装置90は、予め定めた所定時間が経過したか否かを計測しており、この所定の時間が経過したことを以って当接バー部材40と第2棒状部材20Bとが容器スタックCSに接触したと判定することができる。なお本実施形態では、上記した時間管理によって当接バー部材40と第2棒状部材20Bとの容器スタックCSに対する接触を判定しているが、公知の測距センサ(不図示)を当接バー部材40と第2棒状部材20Bとに搭載して容器スタックCSとの距離を計測してもよいし、第1エアチャックシリンダ50Aや第2エアチャックシリンダ50Bにおける空気圧の変動に基づいて上記接触を判定してもよい。
【0049】
ステップ11bにおいて当接バー部材40と第2棒状部材20Bとが容器スタックCSに接触したと判定された後は、続くステップ11cにおいて制御装置90は、エアー開放処理を実行する。すなわち、制御装置90は、当接バー部材40と第2棒状部材20Bとで容器スタックCSを把持したときに、第1駆動手段50への駆動源DSからの圧縮空気の供給を停止して容器スタックCSへの押圧を緩和する制御を実行する。これにより、本実施形態では、容器スタックCSを当接バー部材40と第2棒状部材20Bとが過度に挟持してしまうことを抑制でき、その結果として容器スタックCSの意図しない変形も防止できる。
【0050】
ステップ11cにおいてエアー開放処理を行った後は、続くステップ11dにおいて制御装置90は、ブレーキ処理を実行する。より具体的には、
図8に例示するように、制御装置90は、エアー開放処理によって容器スタックCSへの前記した押圧が緩和された後で、上記したブレーキ機構70を介して第1棒状部材20Aと第2棒状部材20Bの容器スタックCSに対する移動を固定する。これにより、第1棒状部材20Aと第2棒状部材20Bの意図しない移動が規制されることで、容器スタックCSが意図せず落下してしまうことを抑制し、さらには後述するように容器スタックCSの下端に位置する容器Cp1のカール部が押出しスクリュー部材30の上面に安定して載置されることが可能となる。
【0051】
なお
図8に示すように、制御装置90は、第1ブレーキ70Aと第2ブレーキ70Bを同期してそれぞれ第1エアチャックシリンダ50Aと第2エアチャックシリンダ50Bとに押し付ける制御を行うことが好ましい。しかしながら本開示はこの形態に限定されず、制御装置90は、例えば第1ブレーキ70Aが先行して第1エアチャックシリンダ50Aを押し付けた後で第2ブレーキ70Bが非同期で第2エアチャックシリンダ50Bを押し付けるように制御してもよい。
【0052】
ステップ11dでブレーキ処理を行った後は、続くステップ11eにおいて制御装置90は、当接バー部材40を容器スタックCSから離間して退避させる制御を実行する。より具体的には、
図9に例示するように、制御装置90は、前記したブレーキ機構70を介して第1棒状部材20Aと第2棒状部材20Bの移動が固定された後で、第1駆動手段50を介して当接バー部材40を容器スタックCSの側面から退避させる。これにより、退避前は第1棒状部材20Aと容器スタックCSの間には所定の間隙GPが形成していたところ、当接バー部材40の上記退避動作によって容器スタックCSがその自重により若干落下することで、押出しスクリュー部材30の上面に容器Cp1のカール部を載置させることが可能となる。
【0053】
このようにしてステップ11eまで経た後で、
図12におけるステップ12へ移行する。すなわち、ステップ12において、例えば作業者は、容器スタック把持装置100によって容器スタックCSが把持されたかを目視で判定することができる。なお本実施形態では、容器スタック把持装置100による容器スタックCSの把持完了を作業者が判定しているが、例えば図示しないセンサーなどを利用して制御装置90側で自動的に上記把持完了を判定してもよい。
【0054】
ステップ12において容器スタックCSの把持が完了した後は、ステップ13に移行して容器スタックCSの搬送処理が実行される。一例として、制御装置90は、容器スタック把持装置100で把持した容器スタックCSを、例えば検査装置が配置された検査スペース内や容器スタックCSの保管場所内などの目的地へ搬送してもよい。
【0055】
そしてステップ14において容器スタックCSが搬送先へ到達したか否かが判定され、目的の搬送先に到達した場合(ステップ14でYes)にはステップ15において容器の個別開放処理が実行される。すなわち
図10及び
図11に例示するように、制御装置90は、第2駆動手段60を介して容器スタックCSの下端に位置する容器Cp1を切り離す処理を実行する。より具体的に制御装置90は、ラック駆動手段65(ラックシリンダ)を介してラック62を前進(
図1におけるプラスX方向)させる動作を実行する。
【0056】
なお本実施形態の第2駆動手段60は第1連結部材63および第2連結部材64を備えているため、ラック駆動手段65(ラックシリンダ)を介して右サイドラック62Aと左サイドラック62Bとが同期して前進または後進できる。
このラック62の前進に伴って、当該ラック62と噛み合うピニオン61が回転する。そしてピニオン61と押出しスクリュー部材30とは一体化されて同期回転することから、ピニオン61の回転動作に追従して押出しスクリュー部材30が回転する。これにより、押出しスクリュー部材30の上面に載置された容器スタックCSの最下部に位置する容器が容器スタックから離脱されることになる。
【0057】
次いでステップ16において、制御装置90は、目標数だけ容器を開放したか否かを判定し、目標数を開放していない場合には上記したステップ15の処理を繰り返す。すなわち、容器スタックCSの下端に位置する容器Cp1が離脱した後は、
図11に示すように、容器Cp2が新たに容器スタックCSの下端に位置することになる。従って制御装置90は、例えば容器スタックCSを上昇させて水平方向に移動した後に、ラック駆動手段65を介してラック62を後進(
図1におけるマイナスX方向)させた後で再びラック駆動手段65を前進させて上記した容器スタックCSの下端に位置する容器の切り離し処理を繰り返してもよい。
【0058】
一方でステップ16において目標数の容器を開放した場合には、ステップ17に移行する。すなわちステップ17においては、容器スタックの搬送処理が完了したか否かが判定されて、例えば未搬送の容器スタックがあるときなど未だ搬送処理が完了していない場合にはステップ10に戻って上記した処理を繰り返す。他方で、目的の容器スタックの搬送処理が完了した場合には、制御装置90は、一連の搬送処理を終了する。
【0059】
このように本実施形態の容器スタック搬送方法は、(a)容器スタックCSに対して一方の側面に対して第1棒状部材20A及び当接バー部材40を近接させることに並行して、他方の側面に対して第2棒状部材20Bを近接させて、少なくとも第2棒状部材20Bおよび当接バー部材40で容器スタックCSを把持する工程と、(b)当接バー部材40を容器スタックCSの側面から離間させることで、容器スタックCSの下端に位置する容器CP1のカール部を押出しスクリュー部材30の上面に載置する工程と、(c)このカール部が押出しスクリュー部材30の上面に載置された状態で、押出しスクリュー部材30を回転させて容器スタックCSの下端に位置する容器Cp1を容器スタックCSから切り離す工程と、を有する。
これにより本実施形態によれば、容器Cpへ傷や凹みがついてしまうことを抑制しつつ、異なる複数の外径規格に対応した容器スタックCSを安定して把持しながら当該容器スタックCSから個別に容器を分離することができる。
【0060】
以上説明した実施形態は本発明の趣旨を具現化した一例であり、本発明の上記趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えてもよい。さらには本発明の上記趣旨を逸脱しない範囲で公知の構造や手法を適宜追加して変形してもよい。
【0061】
例えば制御装置90は、
図11に示すように、容器スタックCSの高さH2に基づいて容器スタックCSの下端に位置する容器の切り離し処理を実行してもよい。すなわち、容器スタック把持装置100は、第1棒状部材20Aと第2棒状部材20Bとで把持した容器スタックCSの積層高さを検出する検出センサSRをさらに含んでいてもよい。
【0062】
そして制御装置90は、同図に示すように、この検出センサSRによって検出された容器スタックCSの積層高さに基づいて、ロボットハンドRHを介して容器スタックCSを移送した後に押出しスクリュー部材30を介して容器スタックCSの下端に位置する容器を切り離す制御を実行してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、異なる外径を有する複数種類の容器を把持可能な汎用性の高い容器スタックの把持装置を実現するのに適している。
【符号の説明】
【0064】
100 容器スタック把持装置
10 本体フレーム
20 棒状部材
30 押出しスクリュー部材
40 当接バー部材
50 第1駆動手段
60 第2駆動手段
70 ブレーキ機構
80 第3駆動手段
RH ロボットハンド
200 把持システム