IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人東京工業大学の特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-構造体およびその製造方法 図1
  • 特開-構造体およびその製造方法 図2
  • 特開-構造体およびその製造方法 図3
  • 特開-構造体およびその製造方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118073
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】構造体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/02 20060101AFI20240823BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20240823BHJP
【FI】
G02B1/02
B82Y40/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024256
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 智宏
(72)【発明者】
【氏名】高木 茉佑
(57)【要約】
【課題】より精度の良い構造をもつメタマテリアル構造体を実現できる技術を提供する。
【解決手段】構造体の製造方法は、第1の相にある相変化材料で構成された相変化層を形成する工程と、光または電子線を相変化層に照射することによって、第1の相にある相変化材料の一部を第1の相と導電率が異なる第2の相にある相変化材料に相変化させ、第1の相にある相変化材料と第2の相にある相変化材料とを含む複合層を形成する相変化工程と、複合層の上に絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、絶縁層の上に導電層を形成する導電層形成工程と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の相にある相変化材料で構成された相変化層を形成する工程と、
光または電子線を前記相変化層に照射することによって、前記第1の相にある相変化材料の一部を前記第1の相と導電率が異なる第2の相にある相変化材料に相変化させ、前記第1の相にある相変化材料と前記第2の相にある相変化材料とを含む複合層を形成する相変化工程と、
前記複合層の上に絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、
前記絶縁層の上に導電層を形成する導電層形成工程と、を含む、
構造体の製造方法。
【請求項2】
前記第1の相は、金属相であり、
前記第2の相は、絶縁体相である、
請求項1に記載の構造体の製造方法。
【請求項3】
前記導電層の厚みは、30~150nmである、
請求項1に記載の構造体の製造方法。
【請求項4】
第1の相にある相変化材料と、前記第1の相とは導電率が異なる第2の相にある前記相変化材料とを含む複合層と、
前記複合層の上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層の上に形成された導電層と、を備える、
構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人工的に物質に微細構造をもたせることによって、自然界の物質にはないような特性をもつメタマテリアルを実現することが試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2019/039551号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、精度の良い微細構造を実現することは難しい。たとえばリフトオフを用いて金属と絶縁体とを積層して微細構造を実現しようとする場合、レジストが塗布された基板に金属膜を形成し、そのレジストを剥離することによって、パターニングされた金属膜が形成される。このとき、レジストが剥離された領域と金属膜が残る領域とでは高さが異なり、基板上に凹凸が生じる。このため、その基板上でさらに積層を行うと、その凹凸の影響を受け、精度の良い微細構造を実現できない。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的の一つは、より精度の良い構造をもつメタマテリアル構造体を実現できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の構造体の製造方法は、第1の相にある相変化材料で構成された相変化層を形成する工程と、光または電子線を相変化層に照射することによって、第1の相にある相変化材料の一部を第1の相と導電率が異なる第2の相にある相変化材料に相変化させ、第1の相にある相変化材料と第2の相にある相変化材料とを含む複合層を形成する相変化工程と、複合層の上に絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、絶縁層の上に導電層を形成する導電層形成工程と、を含む。
【0007】
この構成によれば、相変化工程において、相変化材料の一部を相変化させることで、2つの導電率の異なる相をもつ複合層を実現できる。このとき、複合層の表面をフラットにしておくことにより、凹凸のある表面に積層する場合と比べて、複合層の上に形成される絶縁層および導電層を形成できる。この結果、より精度の良い構造をもつメタマテリアル構造体を実現できる。
【0008】
本発明の別の態様は、構造体である。この構造体は、第1の相にある相変化材料と、第1の相とは導電率が異なる第2の相にある相変化材料とを含む複合層と、複合層の上に形成された絶縁層と、絶縁層の上に形成された導電層と、を備える。
【0009】
この構成によれば、表面がフラットに形成された複合層の上に、絶縁層および導電層を積層できる。これにより、より精度の良い構造をもつメタマテリアル構造体を実現できる。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、より精度の良い構造をもつメタマテリアル構造体を実現できる技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るメタマテリアル構造体の斜視図である。
図2図2(a)は、同実施形態に係るメタマテリアル構造体を上面視した図であり、図2(b)は、図2(a)に示すA-A領域の断面図である。
図3図3(a)~図3(e)は、同実施形態に係るメタマテリアル構造体の製造方法の一例を説明するための図である。
図4図4(a)~図4(e)は、比較技術に係るメタマテリアル構造体の製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、以下に述べる構成は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0014】
(メタマテリアル構造体)
図1は、本発明の一実施形態に係るメタマテリアル構造体1の斜視図である。本実施形態に係るメタマテリアル構造体1は、導電部12a,12b,14a、14bと、これらの導電部12a,12b,14a、14bを収容する収容部10とを備える。本実施形態に係る導電部12a,12bは、金属などの各種の公知の導電体で構成され、一方向に延びるように設けられる。また、導電部14a,14bは、金属などの各種の公知の導電体で構成され、導電部12a,12bの上方において、導電部12a,12bと直交する方向に延びるように設けられる。収容部10は、各種の公知の絶縁体で構成されたフィルムを有してよい。
【0015】
図2(a)は、本実施形態に係るメタマテリアル構造体1を上面視した図であり、図2(b)は、図2(a)に示すA-A領域の断面図である。図2(b)に示すように、A-A領域において、第1絶縁層100、複合層120、第2絶縁層102、導電部14b(導電層)および第3絶縁層104を含む。
【0016】
第1絶縁層100、第2絶縁層102および第3絶縁層104は、各種の公知の絶縁体を含むフィルムで構成されてよい。第1絶縁層100と第2絶縁層102との間には、複合層120が形成される。また、第2絶縁層102と第3絶縁層104との間には、導電部14bが形成される。また、導電部14bの厚みは、たとえば30nm~150nm程度であってよく、より具体的には、50nm~100nm程度であってよい。
【0017】
本実施形態に係る複合層120は、第1絶縁層100の上に形成される。複合層120の厚みは、たとえば30nm~150nm程度であってよく、より具体的には、50~100nm程度であってよい。
【0018】
複合層120は、第1絶縁層100の上に形成され、第1の相にある相変化材料と、第1の相にある相変化材料が相変化して生成された、第1の相とは導電率が異なる第2の相にある相変化材料とを含む。本実施形態では、第1の相は、金属相であり、第2の相は、絶縁体相であるとする。具体的には、複合層120は、金属相にある導電部12a,12bおよび絶縁体相にある絶縁部122,124,126を含む。導電部12a,12bの導電率は、用途(たとえば光学迷彩など)に応じて適宜選択されてよく、たとえば金または銀などの金属と同程度の導電率であってよい。なお、絶縁部122,124,126は、第1絶縁層100、第2絶縁層102および第3絶縁層104とともに、収容部10の一部を構成する。
【0019】
相変化材料は、金属相-絶縁体相の間で相変化可能な材料であってよく、たとえば、SrCa10Cu2441(参考文献1)、YO(参考文献2)、VO(参考文献3,7)、α-(BEDT-TTF)(参考文献4)、(EDO-TTF)PF(参考文献5)、TaNi(Se1ーx(参考文献6)およびPr0.5Ca0.5CoO(参考文献8)などであってよい。
【0020】
参考文献1:「常識を覆し、光で電気の流れを止める」、https://www.titech.ac.jp/news/2015/032494
参考文献2:Yuya Komatsu et al.,“Repeatable Photoinduced Insulator-to-Metal Transition in Yttrium Oxyhydride Epitaxial Thin Films”, Chem. Mater. , vol. 34, pp. 3616-3623, 2022.
参考文献3:Sergiy Lysenko et al.,“Photoinduced insulator-to-metal transition and surface statistics of VO2 monitored by elastic light scattering”, APPLIED OPTICS, vol.54, no. 8, pp.2141-2150, 2015.
参考文献4:Naoya Tajima et al., “Photo-induced Insulator-Metal Transition in an Organic Conductor -(BEDT-TTF)2I3”, J. Phys. Soc. Jpn., vol. 74, no. 2, 2005.
参考文献5:Matthieu Chollet et al., “Ultrafast photo-induced metal - insulator transition in
1/4 filled organic crystal (EDO-TTF)2PF6”, J. Phys.: Conf. Ser., vol. 21, no. 130, 2005.
参考文献6:Kozo Okazaki et al.,“Photo-induced semimetallic states realised in electron-hole coupled insulators”, Nature Communications, vol.9, 2018.
参考文献7:James Lourembam et al.,“Evidence for Photoinduced Insulator-to-Metal transition in B-phase vanadium dioxide”, Scientific Reports, vol. 6, 2016.
参考文献8:Yoichi Okimoto et al.,“Photoinduced insulator-metal transition in Pr0.5Ca0.5CoO3 as studied by femtosecond spectroscopy”, J. Phys.: Conf. Ser., vol. 148, 2009.
【0021】
(製造方法)
図3(a)~図3(e)を参照して、本実施形態に係るメタマテリアル構造体の製造方法の一例を説明する。
【0022】
まず、図3(a)に示すように、各種の絶縁体を含むフィルムで構成された第1絶縁層200の上に、第1の相にある相変化材料で構成された相変化層22を形成する。ここでは、第1の相は、金属相であるものとする。相変化材料は、たとえば、上述したYO、VO、α-(BEDT-TTF)、(EDO-TTF)PF、TaNi(Se1ーxおよびPr0.5Ca0.5CoOなどであってよい。また、相変化層22を形成する方法は、特に限定されないが、その材料などに応じて、たとえばCVD(Chemical Vapor Deposition)などの各種の公知の成膜技術であってよい。相変化層22の厚みは、たとえば30nm~150nm程度であってよく、より具体的には、50nm~100nm程度であってよい。
【0023】
次いで、図3(b)に示すように、相変化層22の一部に光または電子線を照射して、第1の相にある相変化材料の一部を第2の相にある相変化材料に相変化させる。相変化材料を相変化させる方法は、その材料などに応じて適宜選択されてよく、たとえばArF(アルゴン・フッ素)装置を用いた液浸露光によって光を照射してよいし、電子線描画装置を用いて電子線ビームを照射してよい。相変化層22に光を照射する場合、その光の波長は、相変化層22を構成する相変化材料に応じて適宜選択されてよい。
【0024】
ここでは、第2の相を絶縁体相であるものとし、光または電子線の照射によって、金属相にある相変化材料で構成された金属部22a,22bおよび絶縁体相にある相変化材料で構成された絶縁部222,224,226を含む複合層220が生成される。光または電子線が照射された領域の相変化材料が相変化するため、光または電子線を照射する領域を調整することにより、所望のパターンを有する金属部22a,22bが形成される。この金属部22a,22bは、たとえば図1を参照して説明した2本の導電部12a,12bを構成するように形成されてよい。ここで、光または電子線が照射される前の相変化層22の表面がフラットに形成されている場合、光または電子線が照射された後の複合層220では、そのフラットな表面が一定程度維持される。
【0025】
次いで、図3(c)に示すように、複合層220の上に、第2絶縁層202を形成する。第2絶縁層202は、各種の公知の成膜技術を用いて、各種の公知の絶縁体を成膜することによって形成されてよい。このとき、複合層220の表面がフラットに形成されているため、第2絶縁層202の表面をフラットにできる。
【0026】
次いで、図3(d)に示すように、第2絶縁層202の上に、導電層24を形成する。導電層24は、各種の公知の成膜技術を用いて、各種の公知の金属を成膜することによって、所望のパターンを有するように形成されてよい。このとき、第2絶縁層202の表面がフラットに形成されるため、所望のパターンをもつ導電層24を簡便に形成できる。導電層24は、たとえば図1に示した導電部14a,14bを構成するように形成されてよい。導電層24の厚みは、たとえば30nm~150nm程度であってよく、より具体的には、50nm~100nm程度であってよい。
【0027】
次いで、図3(e)に示すように、導電層24の上に、第3絶縁層204を形成する。第3絶縁層204は、たとえば各種の公知の成膜技術を用いて、各種の公知の絶縁体を成膜することによって形成されてよい。これにより、金属部22a,22bおよび導電層24が三次元的に配置されたメタマテリアルを絶縁体で収容したメタマテリアル構造体を作製できる。
【0028】
本実施形態に係るメタマテリアル構造体の製造方法によれば、相変化材料で構成された相変化層22に光または電子線を照射して、相変化材料の一部を相変化させる。これにより、金属部22a,22bおよび絶縁部222,224,226を含む、表面がフラットな複合層220を形成できる。フラットな表面の第2絶縁層202を複合層220の上に形成できるため、精度の良い微細構造をもつメタマテリアル構造体を作製できる。また、光または電子線を照射することによって複合層220を形成でき、その他の層には既存の積層技術を用いることができるため、本実施形態に係る製造方法によれば、簡便にメタマテリアル構造体を作製できる。
【0029】
また、本実施形態に係る製造方法を応用して、各種の用途に用いられるメタマテリアル構造体を製造できる。たとえば、対象物を透明化する光学迷彩に用いるメタマテリアル構造体を製造できる。ここで、透明とは、実在する対象物をあたかもそこに存在しないように見せることをいい、その対象物によって背景が隠れることなく、背景が見える状態をいう。このような用途にメタマテリアル構造を利用する場合、そのサイズは、可視光の波長の1/10程度にする必要がある。本実施形態に係る製造方法は、上述のように精度良くメタマテリアル構造を実現できるため、このような光学迷彩に関する技術に適用できる。
【0030】
(比較技術)
図4(a)~図4(e)を参照して、比較技術に係るメタマテリアル構造体の製造方法を説明する。
【0031】
まず、絶縁体のフィルムで構成されたフィルム300の上に、レジストを塗り、レジスト層310を形成する。次いで、図4(b)に示すように、レジスト層310の一部を除去し、レジストをパターニングする。この結果、レジストパターン310a~310cが残る。次いで、図4(c)に示すように、レジストパターン310a~310cおよびフィルム300の上に、たとえば蒸着により金属膜320a~320eを形成する。その後、図4(d)に示すように、レジストパターン310a~310cを除去する。これにより、所望のパターンを有する、たとえば厚みが100nm程度の金属膜320a,320bが形成される。
【0032】
次いで、各種の公知の成膜技術を用いて、フィルム300および金属膜320a,320bの上に、絶縁体で構成されたフィルム330を形成する。このとき、フィルム330の表面の形状は、その下に形成された金属膜320a,320bの形状の影響を受ける。この結果、図4(e)に示すように、フィルム330の表面は、凸凹形状となり、フィルム330の表面に凸部332a,332bが生じる。
【0033】
その後、フィルム330の上に、金属膜を成膜しようとすると、その金属膜の形状は、フィルム300の表面の凹凸の影響を受ける。このとき、金属膜のサイズがたとえば凸部332a,332bと比較して大きい場合には、金属膜の形状は、フィルム300の凸凹から影響を受けにくい。しかしながら、たとえば金属膜の厚みが100nm程度であると、金属膜は、フィルム300の凸凹の影響を受け、精度良く成膜されない。
【0034】
これに対し、図3(a)~図3(e)を参照しながら説明した上記実施形態によれば、フラットな表面を持つ複合層120の上に絶縁層および金属層を形成できる。このため、上記実施形態によれば、精度良くメタマテリアル構造体を作製できる。
【0035】
また、金属層を三次元的に配置したメタマテリアルは、各種の光学部品として利用され得る。たとえば、メタマテリアルは、入射した特定の電磁波を反射、散乱するように機能できる。また、メタマテリアルは、通常のフィルム(たとえば屈折率が1.5~1.7)に内包されることで、メタマテリアルを内包したフィルム全体の屈折率を変えたりする(たとえば上げる)ことができる。
【0036】
メタマテリアルのサイズは、ミリ波またはマイクロ波などの電磁波が適用される場合にと比べて、可視光が適用される場合には、非常に小さくする必要がある。たとえば、メタマテリアルが700nmの波長で動作する場合には、そのサイズは、100nm~150nm程度となる。さらに波長の短い光を利用する場合には、メタマテリアルをさらに小さくする必要がある。
【0037】
上述の比較技術によれば、金属膜320a,320bによって、フィルム300の表面に凹凸が生じる。これに対し、図3(a)~図3(e)を参照して説明した実施形態によれば、表面がフラットになっている複合層220の上に第2絶縁層202が形成されるため、表面がフラットになるように第2絶縁層202が形成される。このため、上記実施形態によれば、数十nm程度のサイズのメタマテリアルを精度良く簡便に作製できる。
【0038】
(補足)
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0039】
上記実施形態では、主として、金属相の相変化材料を絶縁体相に相変化させる例を説明した。これに限らず、絶縁体相の相変化材料にたとえば光または電子線を照射して、相変化材料の一部を金属相に相変化させてよい。これにより、絶縁体相の相変化材料および金属相の相変化材料を含む、表面がフラットな複合層を形成できる。この結果、上記実施形態と同様に、精度の良い構造をもつメタマテリアル構造体を実現できる。
【0040】
上記実施形態では、複合層120が金属相および絶縁体相の相変化材料で構成される例を説明した。相変化材料の2つの異なる相は、金属相および絶縁体相に限らず、導電率が互いに異なる各種の相であり得る。メタマテリアル構造体の用途に応じた導電率を有するように、相変化材料およびその相は選択されてよい。
【符号の説明】
【0041】
1 メタマテリアル構造体、100,200 第1絶縁層、102,202 第2絶縁層、104,204 第3絶縁層、120,220 複合層、12a,12b,14a,14b 導電部、24 導電層、122,124,126,222,224,226 絶縁部、22a,22b 金属部。
図1
図2
図3
図4