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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118075
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】防水層改修具
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/03 20060101AFI20240823BHJP
   E04D 5/14 20060101ALI20240823BHJP
   E04D 5/00 20060101ALI20240823BHJP
   E04G 23/02 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
E04G23/03
E04D5/14 J
E04D5/00 D
E04G23/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024260
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000178619
【氏名又は名称】アーキヤマデ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】庄司 博之
(72)【発明者】
【氏名】橋本 雅史
【テーマコード(参考)】
2E176
【Fターム(参考)】
2E176AA05
2E176AA23
2E176BB25
2E176BB38
(57)【要約】
【課題】容易に、防水用固定具を探し出す作業及び防水シート固定具の上方に改修用固定具を載置する作業を行うことを可能にし、さらに防水層の改修作業の作業時間を短縮することを可能とする防水層改修具を提供する。
【解決手段】防水下地上に固定された防水用固定具4の上面に防水シートを固定してある防水層の上に新たに改修シートを敷設する改修工事に用いられる防水層改修具20であって、防水シートの上方から防水用固定具4を検知する検知部21と、検知部21により検知された防水用固定具4よりも上側に位置する部材における防水用固定具4の真上に対応する位置である改修対象位置に、改修シートを固定する改修用固定具11を配置するための固定具配置機構Fと、が備えられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水下地上に固定された防水用固定具の上面に防水シートを固定してある防水層の上に新たに改修シートを敷設する改修工事に用いられる防水層改修具であって、
前記防水シートの上方から前記防水用固定具を検知する検知部と、
前記検知部により検知された前記防水用固定具よりも上側に位置する部材における前記防水用固定具の真上に対応する位置である改修対象位置に、前記改修シートを固定する改修用固定具を配置するための固定具配置機構と、が備えられている防水層改修具。
【請求項2】
前記固定具配置機構は、前記改修対象位置に前記改修用固定具を案内する案内部を有している請求項1に記載の防水層改修具。
【請求項3】
前記固定具配置機構は、前記改修用固定具を収容する収容部を有し、
前記案内部は、前記収容部に収容された前記改修用固定具を前記改修対象位置に案内する請求項2に記載の防水層改修具。
【請求項4】
前記検知部を摺動可能に支持する基部が備えられている請求項1に記載の防水層改修具。
【請求項5】
前記固定具配置機構は、前記改修用固定具を収容する収容部と、前記収容部に収容された前記改修用固定具を前記改修対象位置に向けて搬送する搬送機構と、を有する請求項4に記載の防水層改修具。
【請求項6】
前記搬送機構は、前記基部に摺動可能に支持されるとともに前記改修用固定具を移動させる移動部を有し、
前記移動部は、摺動操作されると、前記検知部とともに摺動し、前記改修用固定具を前記改修対象位置に向けて押動する請求項5に記載の防水層改修具。
【請求項7】
前記搬送機構は、前記改修対象位置に前記改修用固定具を案内する案内部を有し、
前記案内部は、前記移動部に押動された前記改修用固定具を前記改修対象位置に案内する請求項6に記載の防水層改修具。
【請求項8】
前記基部に、前記基部を把持する際に用いる取っ手部が備えられている請求項4に記載の防水層改修具。
【請求項9】
前記検知部は、異なる位置に配置された複数のセンサーを有し、
前記センサーは、前記センサーの周辺領域に存在する前記防水用固定具を検知可能に構成され、
前記検知部は、複数の前記センサーのうち、いずれの前記センサーが前記防水用固定具を検知したのかを特定可能に構成されている請求項1に記載の防水層改修具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水下地上に固定された防水用固定具の上面に防水シートを固定してある防水層の上に新たに改修シートを敷設する改修工事に用いられる防水層改修具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の防水層の改修においては、改修用固定具を用いて、既設の防水シートの上に新たな防水シートを敷設固定する。当該改修においては、特許文献1に示されるように、改修用固定具は、既設の防水シート(文献では、「第1防水シート」)を固定してある防水用固定具(文献では、「防水シート固定具」)にリベット等で連結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-080212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、防水用固定具は既設の防水シートの下にあるので、防水用固定具を見つけ難く、防水シートの上から防水用固定具の位置を特定する作業に時間を要していた。また、特定された防水用固定具の上方に改修用固定具を配置する必要があるが、その位置合わせの作業に時間を要していた。このように、従来の防水層の改修作業には効率化の余地があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、防水層の改修作業の効率化を可能とする防水層改修具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の防水層改修具は、防水下地上に固定された防水用固定具の上面に防水シートを固定してある防水層の上に新たに改修シートを敷設する改修工事に用いられる防水層改修具であって、前記防水シートの上方から前記防水用固定具を検知する検知部と、前記検知部により検知された前記防水用固定具よりも上側に位置する部材における前記防水用固定具の真上に対応する位置である改修対象位置に、前記改修シートを固定する改修用固定具を配置するための固定具配置機構と、が備えられている。
【0007】
この発明によれば、検知部により防水シートの下の防水用固定具を検知できるので、防水用固定具の位置の特定作業が容易になる。そして固定具配置機構により、検知された改修対象位置に改修用固定具を配置することができるため、改修用固定具を配置する作業が容易になる。したがって、防水層の改修作業の効率化が可能となる。
【0008】
本発明においては、前記固定具配置機構は、前記改修対象位置に前記改修用固定具を案内する案内部を有していると好適である。
【0009】
この構成によれば、案内部によって、改修用固定具が改修対象位置に配置されるため、作業者は、容易に改修対象位置に改修用固定具を配置することが可能となる。
【0010】
本発明においては、前記固定具配置機構は、前記改修用固定具を収容する収容部を有し、前記案内部は、前記収容部に収容された前記改修用固定具を前記改修対象位置に案内すると好適である。
【0011】
この構成によれば、収容部に予め改修用固定具を収容することにより、検知部を用いて改修対象位置を特定した後、そのまま収容されている改修用固定具を配置することが可能となる。また、案内部によって、改修用固定具が改修対象位置に配置されるため、作業者は、容易に改修対象位置に改修用固定具を配置することが可能となる。
【0012】
本発明においては、前記検知部を摺動可能に支持する基部が備えられていると好適である。
【0013】
この構成によれば、検知部を用いて改修対象位置を特定した後、基部上において検知部を摺動させることにより、検知部を改修対象位置と異なる位置に移動させることが可能となる。その結果、防水層改修具を置いた状態で、改修用固定具の配置の微調整等の作業を実施し易くなる。
【0014】
本発明においては、前記固定具配置機構は、前記改修用固定具を収容する収容部と、前記収容部に収容された前記改修用固定具を前記改修対象位置に向けて搬送する搬送機構と、を有すると好適である。
【0015】
この構成によれば、収容部に予め改修用固定具を収容することにより、検知部を用いて改修対象位置を特定した後、そのまま搬送機構を用いて、収容部に収容された改修用固定具を配置することが可能となる。
【0016】
本発明においては、前記搬送機構は、前記基部に摺動可能に支持されるとともに前記改修用固定具を移動させる移動部を有し、前記移動部は、摺動操作されると、前記検知部とともに摺動し、前記改修用固定具を前記改修対象位置に向けて押動すると好適である。
【0017】
この構成によれば、検知部を用いて改修対象位置を特定した後、作業者が摺動操作するだけで、改修用固定具を改修対象位置に配置することが可能となる。
【0018】
本発明においては、前記搬送機構は、前記改修対象位置に前記改修用固定具を案内する案内部を有し、前記案内部は、前記移動部に押動された前記改修用固定具を前記改修対象位置に案内すると好適である。
【0019】
この構成によれば、移動部に押動された改修用固定具が、案内部によって改修対象位置に案内されるため、より正確に改修対象位置に改修用固定具を配置することが可能となる。
【0020】
本発明においては、前記基部に、前記基部を把持する際に用いる取っ手部が備えられていると好適である。
【0021】
この構成によれば、作業者は、取っ手部を把持することで、より容易に摺動操作を実施することが可能となる。
【0022】
本発明においては、前記検知部は、異なる位置に配置された複数のセンサーを有し、前記センサーは、前記センサーの周辺領域に存在する前記防水用固定具を検知可能に構成され、前記検知部は、複数の前記センサーのうち、いずれの前記センサーが前記防水用固定具を検知したのかを特定可能に構成されていると好適である。
【0023】
この構成によれば、作業者は、複数のセンサーのうち、防水用固定具を検知したセンサーの位置を確認することで、防水用固定具が存在する方向を特定することができ、さらに、すべてのセンサーが防水用固定具を検知したとき、複数のセンサーの中心位置付近に防水用固定具が存在することを特定することができる。その結果、高い精度で防水用固定具の位置を特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】防水層の形成状況を示す斜視図である。
図2】防水用固定具に防水シートを敷設する状況を示す断面図である。
図3】防水シートの上に絶縁シートを敷設する状況を示す断面図である。
図4】防水層改修具の構成及び使用状況を示す平面図である。
図5】検知状態における防水層改修具の構成及び使用状況を示す断面図である。
図6】載置状態における防水層改修具の構成及び使用状況を示す断面図である。
図7】改修用固定具を防水用固定具に連結したときの構成を示す断面図である。
図8】改修後の防水層を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態については、屋根に対して屋外側を「上方」、「上」とし、屋根に対して屋内側を「下方」、「下」とする。
【0026】
[防水層の基本構成について]
図1に、本発明の防水層改修方法を実施する前の建物の屋根を示している。防水下地1の上に、ボード状の断熱材2が敷き並べられ、断熱材2の上に、固定された防水用固定具4の上面に防水シート3を固定してある防水層L1が構成されている。
【0027】
防水下地1は、本実施形態では、コンクリート製の陸屋根であるが、これに限られたものではなく、ALC造、木造、鋼製、金属折版屋根等の従来の防水構造に使用されているものであれば、どのような材質、構造であってもよい。防水層L1が構成されているものであれば、屋根以外のものであってもよい。
【0028】
断熱材2は、例えば、ウレタン系のフォーム材で形成してあり、無数の独立気泡が内在している。また、断熱材2は、適度な強度と断熱性とを備えている。
【0029】
[シート固定具について]
断熱材2上には、互いに間隔をあけた状態で、複数の防水用固定具4が配置されており、防水用固定具4の上面に、防水シート3が接着固定されている。
【0030】
防水用固定具4は、例えば、直径50~100mm程度のステンレス鋼製の円板から構成されている。図2及び図3に示すように、防水用固定具4の上面には、防水シート3に対する接着材として熱可塑性合成樹脂からなるホットメルト接着層H1が被覆されている。
【0031】
防水用固定具4は、上に突出する突出部位4aを有する。突出部位4aの上面が、防水シート3が固定される面(固定面4b)である。突出部位4aは円環形状である(図1参照)。固定面4bに、上述のホットメルト接着層H1が被覆されている。
【0032】
防水用固定具4は、固定部材8により防水下地1に固定されている。本実施形態では、固定部材8は、ビスにて構成されている。固定部材8を、防水用固定具4の中央の穴に通した状態で、断熱材2に上から貫入させてある。さらに、固定部材8を防水下地1に螺合させることにより、固定部材8が防水用固定具4を防水下地1に固定してある。
【0033】
[防水シートについて]
防水シート3は、例えば塩化ビニル樹脂等、防水性を有する素材をシート状に形成して構成されている。
【0034】
防水用固定具4と防水シート3との固定は、防水用固定具4のホットメルト接着層H1上に防水シート3を被せた後、防水シート3の上から図示しない電磁誘導加熱装置によって防水用固定具4を誘導加熱し、その熱でホットメルト接着層H1及び防水シート3を溶融させて防水用固定具4と防水シート3とを接着させる。
【0035】
以上のような防水層L1も、耐久年が経過するに伴って、改修する必要がある。図8は、防水下地1上に固定された防水用固定具4の上面に防水シート3を固定してある防水層L1の上に、新たに改修シート10を敷設する改修工事に用いられる防水層改修方法を実施した後の防水層L2を示す断面図である。
【0036】
図8に示すように、防水シート3のうちの防水用固定具4と重なる位置に、防水層改修用の改修シート10を固定するための改修用固定具11が配置されている。防水用固定具4と改修用固定具11とは、ビス12で機械的に連結してある。改修用固定具11の上面に、ホットメルト接着層H2(図7参照)の接着剤で改修シート10を固定し、新たな防水層L2を形成してある。
【0037】
防水シート3下に設置されている防水用固定具4は、防水層改修具20を用いて設置されている。以下に、防水層改修具20の構成について説明する。
【0038】
[防水層改修具について]
図4から図6に示すように、防水層改修具20には、防水シート3の上方から防水用固定具4を検知する検知部21と、防水層L1の表面のうちの検知部21により検知された防水用固定具4よりも上側に位置する部材における防水用固定具4の真上に対応する位置である改修対象位置に、改修シート10を固定する改修用固定具11を配置するための固定具配置機構Fとが備えられている。
【0039】
防水層改修具20は、検知部21を支持する基部23を備えており、検知部21は、基部23に摺動可能に支持されている。なお、基部23に、基部23を把持する際に用いる取っ手部30が備えられている。
【0040】
検知部21は、防水用固定具4を検出するセンサーとして、異なる位置に配置された4つの位置検出コイルユニット22を備える。位置検出コイルユニット22は、位置検出コイルユニット22の周辺領域に存在する防水用固定具4を検知可能に構成されている。
【0041】
防水層改修具20を防水層L1の表面上に摺動させることにより、防水用固定具4を検出することができる。作業者は、検出した箇所を、改修用固定具11を設置する改修対象位置として特定することができる。
【0042】
4つの位置検出コイルユニット22は、鉛直軸VLの周りに中心角90度のピッチで配置され、一つの防水用固定具4のうちのそれぞれ異なる位置を検知するように構成されている。
【0043】
検知部21は、複数の位置検出コイルユニット22のうち、いずれの位置検出コイルユニット22が防水用固定具4を検知したのかを特定できる報知装置40を備える。本実施形態では、報知装置40として、位置検出コイルユニット22の配置に対応するように配置された複数の照明装置が備えられ、これらの照明装置が点灯することで報知する構成が備えられている。ここで、報知装置40は、照明装置に限られものではなく、例えば、音で報知する音発生装置、画像を表示する表示装置等が備えられていてもよい。
【0044】
例えば、4つの位置検出コイルユニット22のうち、前側に配置されている位置検出コイルユニット22が防水用固定具4を検出しているとき、作業者は、検知部21の前方に防水用固定具4が存在していることを知ることができる。そして、すべての位置検出コイルユニット22が、防水用固定具4を検知したとき、検知部21は防水用固定具4の上方に位置している。作業者は、この位置を、改修用固定具11を設置する改修対象位置として特定することができる。
【0045】
検知部21の下側部分には、基部23の縁部分が入り込み可能に形成された溝21aが設けられている。基部23は、基部23の縁部分が溝21aに入り込んだ状態で、摺動可能に構成されている。
【0046】
固定具配置機構Fは、改修用固定具11を収容する収容部24と、収容部24に収容された改修用固定具11を改修対象位置に向けて搬送する搬送機構Tと、を備える。
【0047】
収容部24は、検知部21と同様に基部23に摺動可能に支持されており、検知部21と横並び状態で配置されている。収容部24は、検知部21側とは反対側に設けられた後壁部25と、後壁部25の両端から検知部21側へ向けて延びる2つの側壁部26とを備える。改修用固定具11は、後壁部25と側壁部26とに囲まれた空間において、基部23の上面に載置されるように収容されている。側壁部26の検知部21側端部は、検知部21に接続されている。
【0048】
側壁部26の下側部分には、検知部21と同様に、基部23の縁部分が入り込み可能に形成された溝26aが設けられている。側壁部26の溝26aは、検知部21に形成された溝21aと連結している。この構成により、収容部24は、検知部21とともに、基部23の縁部分の一方側の端から他方側の端部に亘って摺動するように構成されている。
【0049】
基部23には、開口部27が形成されている。検知部21と収容部24が基部23を摺動することにより、検知部21が、開口部27上に位置する検知状態と、収容部24が、開口部27上に位置し、開口部27上が開放されている載置状態とに切替可能に構成されている。
【0050】
検知状態のとき、位置検出コイルユニット22は、開口部27の上方に位置し、開口部27を介して防水用固定具4を検知可能に構成されている。作業者は、防水層改修具20を検知状態にして、防水層L1に設置されている防水用固定具4を探知する探知作業を実施する。
【0051】
作業者が、検知部21を基部23に対して摺動するように摺動操作したとき、収容部24の後壁部25及び側壁部26は、検知部21とともに基部23の上面を摺動する。収容部24に改修用固定具11が収容されているときに収容部24を摺動させると、後壁部25が改修用固定具11を開口部27へ向けて押動する。つまり、後壁部25は、改修用固定具11を押動して移動させる移動部28としての機能を備える。
【0052】
収容部24の側壁部26は、検知部21が摺動操作され、改修用固定具11が後壁部25(移動部28)によって押動されているとき、改修用固定具11を開口部27及び改修対象位置に案内する案内部29としての機能を備える。搬送機構Tは、移動部28と案内部29とによって構成されている。
【0053】
搬送機構Tによって、収容部24に収容されている改修用固定具11は、開口部27へ向けて搬送され、開口部27を介して、防水層L1の表面に載置される。ここで、開口部27は、様々な種類の改修用固定具11に対応できるように、開口の寸法を変更可能に構成されていてもよい。
【0054】
以下に、防水層改修具20を用いて、防水下地1上に固定された防水用固定具4の上面に防水シート3を固定してある防水層L1を改修するための各工程について説明する。
【0055】
<絶縁シート敷設ステップ>
絶縁シート敷設ステップでは、図3に示すように、改修シート10中の可塑剤が防水シート3に移行しないように、絶縁シート13を敷設する。絶縁シート13を敷設した後、特定ステップを実施する。ここで、一枚の絶縁シート13を敷設した後に特定ステップを実施してもよく、防水下地1の全面又は所定の区画に対して絶縁シート13を敷設した後、特定ステップを実施してもよい。
【0056】
<特定ステップ>
図4に示すように、防水用固定具4の位置を特定する際には、防水用固定具4を検知する検知具として防水層改修具20を使用して、防水用固定具4の位置を特定する。検知状態の防水層改修具20を防水層L1の表面、つまり、絶縁シート13の表面の上を、防水用固定具4を検知できるまで移動させる。
【0057】
すべての位置検出コイルユニット22が防水用固定具4を検知したとき、その位置を防水用固定具4が設置されている改修対象位置として特定する。
【0058】
<載置ステップ>
図5及び図6に示すように、防水層L1の表面、つまり、絶縁シート13の表面のうち、上述の特定ステップにて特定された防水用固定具4の設置位置に相当する位置に、改修シート10を固定する改修用固定具11を載置する。
【0059】
具体的には、作業者は、防水層改修具20の基部23に備えられ、基部23を把持する際に用いる取っ手部30を把持する。この状態で、防水層改修具20の検知部21及び収容部24を摺動させることで防水層改修具20を載置状態にすると、収容部24に収容された改修用固定具11が開口部27を介して改修対象位置に載置される。
【0060】
改修用固定具11を載置した後、改修用固定具11と防水用固定具4とを連結する連結ステップを実施する。このとき、防水層改修具20が載置状態のとき、開口部27上が開放されているため、開口部27を介して改修用固定具11にアクセスすることができる。この構成により、作業者は、防水層改修具20を移動させることなく、連結ステップを実施することが可能となる。
【0061】
<連結ステップ>
図7に示すように、改修用固定具11と防水用固定具4とを、ビス12で機械的に連結する。具体的には、改修用固定具11に貫通孔11aが形成されており、改修用固定具11と防水用固定具4とを機械的に連結するために、改修用固定具11の貫通孔11aに対応させて、絶縁シート13、防水シート3及び防水用固定具4にドリル等でビス挿通用の孔を穿つ。それらの孔及び貫通孔11aにビス12を挿通させた後、インパクトドライバー等の工具でビス12をビス挿通用の孔に螺合させることにより、改修用固定具11を防水用固定具4に連結させる。このとき、ビス12の代わりに、先端部にドリル部を有するドリルネジやリベット止め等の連結手段を使用してもよい。
【0062】
防水層改修具20を検知状態に戻し、特定ステップを実施する。すべての改修用固定具11を防水用固定具4に連結させるまで、特定ステップから連結ステップを繰り返す。すべての改修用固定具11を防水用固定具4に連結させた後、改修シート接着ステップを実施する。
【0063】
<改修シート接着ステップ>
図8に示すように、絶縁シート13及び改修用固定具11の上面に、改修シート10を載置する。改修用固定具11の表面には、防水用固定具4と同様に、ホットメルト接着層H2が被覆されている。改修シート10の上から電磁誘導加熱装置によって改修用固定具11を誘導加熱して、その熱でホットメルト接着層H2を溶融させて改修用固定具11の上面に改修シート10を接着させ、新たな防水層L2を形成する。
【0064】
〔別実施形態〕
以下、上記実施形態に変更を加えた別実施形態を例示する。
【0065】
(1)上記実施形態では、防水層改修具20は、案内部29を備える構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、案内部29を備えない構成としてもよい。また、上記実施形態では、案内部29は、側壁部26にて構成されているが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、収容部24のうち、側壁部26よりもさらに内側に設けられた別部材で構成されていてもよい。また、案内部29は、側壁部26ではなく、重力を利用して改修用固定具11を開口部27に向けて案内する傾斜部を備える構成としてもよい。
【0066】
(2)上記実施形態では、防水用固定具4を検出するセンサーとして、複数の位置検出コイルユニット22が備えられている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、防水用固定具4を検出するセンサーとして、電磁波を放射する放射装置と、放射された電磁波の反射波を受信するアンテナを備えてもよい。
【0067】
(3)検知部21に、複数の位置検出コイルユニット22と連動して動く上部押圧部が備えられ、作業者が上部押圧部を下方に押圧することにより、複数の位置検出コイルユニット22の下端が基部23よりも下方に移動し、位置検出コイルユニット22が絶縁シート13に当接する構成としてもよい。この構成により、位置検出コイルユニット22は、防水用固定具4に近づいた状態で検知することが可能となる。さらに、上部押圧部は、付勢部材が設けられ、付勢部材の付勢力により、元の位置に戻るように構成されていてもよい。
【0068】
(4)上記実施形態では、防水層改修具20は、収容部24を備える構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、収容部24を備えない構成としてもよい。
【0069】
(5)上記実施形態では、防水層改修具20は、基部23を備える構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、基部23を備えない構成としてもよい。
【0070】
(6)上記実施形態では、防水層改修具20は、取っ手部30を備える構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、取っ手部30を備えない構成としてもよい。
【0071】
(7)上記実施形態では、検知部21及び収容部24は、基部23に摺動可能に支持される構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、検知部21及び収容部24は、基部23上を摺動できないように固定される構成としてもよい。
【0072】
(8)上記実施形態では、防水用固定具4を検出するセンサーとして、複数の位置検出コイルユニット22が備えられている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、防水用固定具4を検出するセンサーとして、電磁波を放射する放射装置と、放射された電磁波の反射波を受信するアンテナを備えてもよい。
【0073】
(9)上記実施形態では、収容部24は、検知部21と横並び状態に配置されている構成を例に説明したが、これに限られたものではなく、例えば、上下方向に並ぶ構成としてもよい。
【0074】
(10)上記実施形態では、改修用固定具11ごとに特定ステップから連結ステップを繰り返すように実施する例を基に説明したが、特定ステップと載置ステップを繰り返し、すべての改修対象位置に改修用固定具11を載置した後に、すべての改修用固定具11に対して連結ステップを実施してもよい。
【0075】
(11)上記実施形態では、改修用固定具11に貫通孔11aが形成されている構成を例に説明したが、これに限られたものではなく、例えば、貫通孔11aの代わりに、ビス12を挿通可能な凹部が形成されていてもよい。このとき、連結ステップでは、例えば、ドリル等でビス挿通用の孔を穿つとき、凹部の底にも孔を穿つことで、ビス12を挿通させることができる。
【0076】
尚、上記の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、防水下地上に固定された防水用固定具の上面に防水シートを固定してある防水層の上に新たに改修シートを敷設する改修工事に用いることができる。
【符号の説明】
【0078】
1 :防水下地
3 :防水シート
4 :防水用固定具
10 :改修シート
11 :改修用固定具
20 :防水層改修具
21 :検知部
22 :センサー(位置検出コイルユニット)
23 :基部
24 :収容部
28 :移動部
29 :案内部
30 :取っ手部
F :固定具配置機構
L1 :防水層
T :搬送機構
図1
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図8