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特開2024-118078カテーテルシステム及びカテーテルシステムの作動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118078
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】カテーテルシステム及びカテーテルシステムの作動方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
A61B17/00 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024265
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 秀和
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD53
4C160DD70
4C160MM34
(57)【要約】
【課題】塞栓剤を容易に瘤内に留置でき、塞栓剤の漏洩や飛散により意図しない血管を閉塞してしまうリスクを低減できるカテーテルシステム及びカテーテルシステムの作動方法を提供する。
【解決手段】第1内腔を有しているシャフト(11)と、シャフト(11)の遠位部に設けられており第1内腔から導入される流体により拡張可能なバルーン(12)と、を有している第1カテーテル(10)と、高分子材料が送達される第2内腔を有している第2カテーテル(20)と、供給圧制御部(40)と、を有しており、供給圧制御部(40)は、第2カテーテル(20)の第2内腔に高分子材料が導入されたときに第2内腔にかかる最大圧力P2が、バルーン(12)に流体が導入されて拡張状態となったときに第1内腔にかかる最大圧力P1よりも大きくなるように流体の供給圧と高分子材料の供給圧を制御するカテーテルシステム(1)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延在する第1内腔を有しているシャフトと、前記シャフトの遠位部に設けられており前記第1内腔から導入される流体により拡張可能なバルーンと、を有している第1カテーテルと、
長手方向に延在しており高分子材料が送達される第2内腔を有している第2カテーテルと、
供給圧制御部と、を有しており、
前記供給圧制御部は、前記第2カテーテルの前記第2内腔に前記高分子材料が導入されたときに前記第2内腔にかかる最大圧力P2が、前記バルーンに前記流体が導入されて拡張状態となったときに前記第1内腔にかかる最大圧力P1よりも大きくなるように前記流体の供給圧と前記高分子材料の供給圧を制御するカテーテルシステム。
【請求項2】
前記シャフト内に配置されている導光部材をさらに有しており、
前記導光部材は遠位部に光照射部を有しており、前記光照射部は前記バルーンの内側に配置されており、
前記高分子材料は光活性化高分子材料であり、
前記バルーンは光透過性の材料で構成されており、
前記シャフトは、前記バルーンの内側に配置された部分に光透過部を有している請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項3】
前記導光部材に電気的に接続されており、前記バルーンが拡張している状態で前記光照射部から光を照射させる光照射制御部をさらに有している請求項2に記載のカテーテルシステム。
【請求項4】
前記光透過部は、前記シャフトの周方向360°の全範囲にわたって配置されている請求項2又は3に記載のカテーテルシステム。
【請求項5】
前記光透過部は、複数の光透過窓で構成されており、それぞれの光透過窓は前記シャフトの周方向360°のうち90°以下の範囲に配されており、それぞれの光透過窓は前記シャフトの周方向に離隔して配されている請求項2又は3に記載のカテーテルシステム。
【請求項6】
前記バルーンは、前記シャフトに固定されており拡張しない近位側スリーブ部及び遠位側スリーブ部と、前記近位側スリーブ部と前記遠位側スリーブ部との間に位置し拡張する拡張部とで構成されており、前記シャフトの前記長手方向において、前記拡張部の近位端を0%の位置、遠位端を100%の位置としたとき、前記光照射部は前記拡張部の25%の位置から75%の位置までの領域の少なくとも一部に位置している請求項2又は3に記載のカテーテルシステム。
【請求項7】
前記第2カテーテルは、前記シャフト及び前記バルーンの外側に配置されている請求項1又は2に記載のカテーテルシステム。
【請求項8】
前記第2カテーテルは、前記第1内腔に配置されている請求項1又は2に記載のカテーテルシステム。
【請求項9】
さらに第3内腔を有しており、前記第3内腔にかかる最大圧力P3は前記最大圧力P1及び前記最大圧力P2よりも大きい請求項1又は2に記載のカテーテルシステム。
【請求項10】
前記シャフトの前記長手方向に垂直な断面において、前記バルーンの外縁は前記バルーンの外接円に接しない非接触部を有しており、前記非接触部が配されている範囲は前記外縁360°のうち30°以上である請求項1又は2に記載のカテーテルシステム。
【請求項11】
前記供給圧制御部が前記第1内腔に前記流体を導入して前記バルーンを拡張させるステップS1と、
前記ステップS1の後に、前記供給圧制御部が前記第2内腔に前記高分子材料を導入するステップS2と、を有している請求項1に記載のカテーテルシステムの作動方法。
【請求項12】
前記供給圧制御部が前記第1内腔に前記流体を導入して前記バルーンを拡張させるステップS1と、
前記ステップS1の後に、前記供給圧制御部が前記第2内腔に前記光活性化高分子材料を導入するステップS2と、
前記ステップS2の後に、前記光照射制御部が前記光照射部から光を照射させるステップS3と、を有している請求項3に記載のカテーテルシステムの作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管内治療を行うためのカテーテルシステム及びカテーテルシステムの作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
頭部動脈瘤、動静脈奇形、動静脈瘻、肺血管奇形、腎血管奇形、腹部動脈瘤等の血管病変の治療法の一つとして、カテーテルを用いた血管内治療が挙げられる。血管内治療としては、例えば、血管病変部に塞栓具や塞栓剤を留置することにより血流を改変して動脈瘤の破裂を防止したり、血栓が剥がれて脳血管に飛ぶことにより起こる脳卒中を防止したりする塞栓術が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、チューブ状の側壁と当該側壁の少なくとも一部を覆うパッチとを備えており、側壁が第1の密度でゆるく織られた金属素材を有し、パッチが第1の密度よりも大きい第2の密度で密に織られた金属素材を有し、パッチが拡張性の光子活性化ゲル素材で構成された頭蓋内ステントが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、バルーンが組織接着剤を受け取るように構成されており、導管の近位端からバルーン内に流入した組織接着剤が複数の開口部から流出する閉塞装置により、血栓が形成された左心耳を治療することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2017-515567号公報
【特許文献2】特表2020-521561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている頭蓋内ステントでは、動脈瘤側に光子活性化ゲル素材で構成されたパッチを意図的に向けることは困難であり、頭部動脈瘤側及び親血管側の両面にゲル素材が付着するとゲル素材が親血管側に悪影響を及ぼす可能性があった。
【0007】
特許文献2に開示されている組織接着剤は、液体として送達された場合、左心耳への適用は可能であるが、頭部動脈瘤に適用したときに組織接着剤の漏洩や末梢血管への飛散により意図しない血管を閉塞(ラクナ梗塞等)してしまうリスクがあった。
【0008】
上記の事情に鑑み本発明は、塞栓剤を容易に瘤内に留置でき、塞栓剤の漏洩や飛散により末梢血管等の意図しない血管を閉塞してしまうリスクを低減できるカテーテルシステム及びカテーテルシステムの作動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決し得た本発明の実施形態に係るカテーテルシステムは、以下の通りである。
[1]長手方向に延在する第1内腔を有しているシャフトと、前記シャフトの遠位部に設けられており前記第1内腔から導入される流体により拡張可能なバルーンと、を有している第1カテーテルと、長手方向に延在しており高分子材料が送達される第2内腔を有している第2カテーテルと、供給圧制御部と、を有しており、前記供給圧制御部は、前記第2カテーテルの前記第2内腔に前記高分子材料が導入されたときに前記第2内腔にかかる最大圧力P2が、前記バルーンに前記流体が導入されて拡張状態となったときに前記第1内腔にかかる最大圧力P1よりも大きくなるように前記流体の供給圧と前記高分子材料の供給圧を制御するカテーテルシステム。
【0010】
本発明の実施形態に係るカテーテルシステムは、以下の[2]~[10]のいずれかであることが好ましい。
[2]前記シャフト内に配置されている導光部材をさらに有しており、前記導光部材は遠位部に光照射部を有しており、前記光照射部は前記バルーンの内側に配置されており、前記高分子材料は光活性化高分子材料であり、前記バルーンは光透過性の材料で構成されており、前記シャフトは、前記バルーンの内側に配置された部分に光透過部を有している[1]に記載のカテーテルシステム。
[3]前記導光部材に電気的に接続されており、前記バルーンが拡張している状態で前記光照射部から光を照射させる光照射制御部をさらに有している[2]に記載のカテーテルシステム。
[4]前記光透過部は、前記シャフトの周方向360°の全範囲にわたって配置されている[2]又は[3]に記載のカテーテルシステム。
[5]前記光透過部は、複数の光透過窓で構成されており、それぞれの光透過窓は前記シャフトの周方向360°のうち90°以下の範囲に配されており、それぞれの光透過窓は前記シャフトの周方向に離隔して配されている[2]又は[3]に記載のカテーテルシステム。
[6]前記バルーンは、前記シャフトに固定されており拡張しない近位側スリーブ部及び遠位側スリーブ部と、前記近位側スリーブ部と前記遠位側スリーブ部との間に位置し拡張する拡張部とを有しており、前記シャフトの前記長手方向において、前記拡張部の近位端を0%の位置、遠位端を100%の位置としたとき、前記光照射部は前記拡張部の25%の位置から75%の位置までの領域の少なくとも一部に位置している[2]~[5]のいずれかに記載のカテーテルシステム。
[7]前記第2カテーテルは、前記シャフト及び前記バルーンの外側に配置されている[1]~[6]のいずれかに記載のカテーテルシステム。
[8]前記第2カテーテルは、前記第1内腔に配置されている[1]~[6]のいずれかに記載のカテーテルシステム。
[9]さらに第3内腔を有しており、前記第3内腔にかかる最大圧力P3は前記最大圧力P1及び前記最大圧力P2よりも大きい[1]~[8]のいずれかに記載のカテーテルシステム。
[10]前記シャフトの前記長手方向に垂直な断面において、前記バルーンの外縁は前記バルーンの外接円に接しない非接触部を有しており、前記非接触部が配されている範囲は前記外縁360°のうち30°以上である[1]~[9]のいずれかに記載のカテーテルシステム。
[11]前記供給圧制御部が前記第1内腔から前記流体を導入して前記バルーンを拡張させるステップS1と、前記ステップS1の後に、前記供給圧制御部が前記第2内腔に前記高分子材料を導入するステップS2と、を有している[1]、[7]~[10]のいずれかに記載のカテーテルシステムの作動方法。
[12]前記供給圧制御部が前記第1内腔から前記流体を導入して前記バルーンを拡張させるステップS1と、前記ステップS1の後に、前記供給圧制御部が前記第2内腔に前記光活性化高分子材料を導入するステップS2と、前記ステップS2の後に、前記光照射制御部が前記光照射部から光を照射させるステップS3と、を有している[3]~[10]のいずれかに記載のカテーテルシステムの作動方法。
【発明の効果】
【0011】
上記カテーテルシステム及びカテーテルシステムの作動方法によれば、カテーテルシステムの遠位部を病変部に固定することで塞栓剤を病変部に容易に留置でき、塞栓剤の漏洩や飛散により意図しない血管を閉塞してしまうリスクを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るカテーテルシステムの側面図である。
図2図1に示したカテーテルシステムの遠位部の長手方向の断面図である。
図3図2に示したカテーテルシステムの遠位部を動脈瘤が生じた血管内腔に配置したときの長手方向の断面図である。
図4】本発明の他の実施形態に係るカテーテルシステムの遠位部を動脈瘤が生じた血管内腔に配置したときの長手方向の断面図である。
図5】本発明のさらに他の実施形態に係るカテーテルシステムの遠位部を動脈瘤が生じた血管内腔に配置したときの長手方向の断面図である。
図6】本発明のさらに他の実施形態に係るカテーテルシステムの遠位部を動脈瘤が生じた血管内腔に配置したときの長手方向の断面図である。
図7】本発明のさらに他の実施形態に係るカテーテルシステムのバルーンの長手方向に垂直な断面図である。
図8】本発明のさらに他の実施形態に係るカテーテルシステムの側面図である。
図9図8に示したカテーテルシステムの遠位部を動脈瘤が生じた血管内腔に配置したときの長手方向の断面図である。
図10】本発明のさらに他の実施形態に係るカテーテルシステムのシャフトの長手方向に垂直な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態に基づき本発明を説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0014】
1.カテーテルシステム
本発明の実施形態に係るカテーテルシステムは、長手方向に延在する第1内腔を有しているシャフトと、シャフトの遠位部に設けられており第1内腔から導入される流体により拡張可能なバルーンと、を有している第1カテーテルと、長手方向に延在しており高分子材料が送達される第2内腔を有している第2カテーテルと、供給圧制御部と、を有しており、供給圧制御部は、第2カテーテルの第2内腔に高分子材料が導入されたときに第2内腔にかかる最大圧力P2が、バルーンに流体が導入されて拡張状態となったときに第1内腔にかかる最大圧力P1よりも大きくなるように流体の供給圧と高分子材料の供給圧を制御する。
【0015】
第1カテーテルのバルーンを動脈瘤近傍の親動脈に配置してバルーンを拡張させることにより、第1カテーテルに沿って延在している第2カテーテルを固定することができる。これにより、第2カテーテルの遠位端部を瘤の入り口に容易に配置でき、第2カテーテルから瘤内への高分子材料の供給が容易になる。第2カテーテルの第2内腔に高分子材料が導入されたときに第2内腔にかかる最大圧力P2はバルーンに流体が導入されて拡張状態となったときに第1内腔にかかる最大圧力P1よりも大きいため、拡張状態のバルーンを親動脈に配置しても第2カテーテルの第2内腔が潰れてしまうことを防止でき、カテーテルシステムの近位側から第2内腔に注入された高分子材料を第2内腔の遠位端部まで容易に送達して瘤内に留置することができる。また、バルーン及び/又は第2カテーテルにより親血管内腔を塞ぐことができるため、高分子材料が瘤内から親血管内腔に流れ出ることが防止でき、瘤を効果的に閉塞できるとともに意図しない血管の閉塞を防止できる。さらに、第2内腔にかかる最大圧力P2が高いことにより、第2内腔に粘度の高い高分子材料を供給することが可能になる。これにより、粘度の低い高分子材料であれば瘤内からの漏洩や飛散が起こりやすいところ、粘度の高い高分子材料を使用することで漏洩や飛散の防止効果を向上して意図しない血管を閉塞してしまうリスクを低減できる。
【0016】
なお、本明細書においては、本発明の実施形態に係るカテーテルシステムを動脈瘤に適用する場合を例に説明するが、本発明の実施形態に係るカテーテルシステムは、動脈瘤のみならず動静脈奇形、硬膜動静脈瘻、腹部大動脈瘤、下肢静脈瘤、肝細胞がん患者の肝動脈やその他の病変部の血管閉塞に適用可能である。
【0017】
以下、図1図7を参照しつつ、本発明の実施形態に係るカテーテルシステムについて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るカテーテルシステムの側面図である。図2は、図1に示したカテーテルシステムの遠位部の長手方向の断面図である。図3図6は、それぞれ異なる実施形態に係るカテーテルシステムの遠位部を動脈瘤が生じた血管内腔に留置したときの長手方向の断面図である。図2図6において、各部材は同じ断面上に存在しない場合もあるが、理解のしやすさを優先し、各部材を同じ断面上に存在するものとして表している。図7は、本発明のさらに他の実施形態に係るカテーテルシステムのバルーンの長手方向に垂直な断面図である。
【0018】
本明細書において、長手方向xにおける使用者の手元側の方向を近位側と称し、近位側とは反対側、即ち処置対象の方向を遠位側と称する。また、各部材や各部分は、それぞれ異なる又は同じ長手方向を有する場合があるが、特に断りがない限り、理解のしやすさを優先してそれぞれ同じ長手方向xを有するとして説明する。
【0019】
本明細書においては、カテーテルシステム1を動脈瘤71の治療に用いる場合を例としてカテーテルシステム1の構成や効果を説明するが、カテーテルシステム1は、当然のことながら動脈瘤71以外の病変部においても同様の目的において使用することが可能である。動脈瘤71を端に瘤71と呼ぶこともある。
【0020】
図1及び図2に示すように、カテーテルシステム1は、長手方向xに延在する第1内腔10Lを有しているシャフト11と、シャフト11の遠位部に設けられており第1内腔10Lから導入される流体により拡張可能なバルーン12と、を有している第1カテーテル10と、長手方向xに延在しており高分子材料21が送達される第2内腔20Lを有している第2カテーテル20と、供給圧制御部40と、を有しており、供給圧制御部40は、第2カテーテル20の第2内腔20Lに高分子材料21が導入されたときに第2内腔20Lにかかる最大圧力P2が、バルーン12に流体が導入されて拡張状態となったときに第1内腔10Lにかかる最大圧力P1よりも大きくなるように流体の供給圧と高分子材料21の供給圧を制御する。
【0021】
図2に示すように、第1内腔10Lはバルーン12の内腔と連通していることにより、第1内腔10Lに導入された流体がバルーン12の内腔に供給されてバルーン12が拡張することができる。このように、バルーン12の内腔も第1内腔10Lであると言える。また、言い換えれば、第1内腔10Lは、シャフト11とバルーン12とを有している第1カテーテル10が有しているものである。
【0022】
図3に示すように、第1カテーテル10と第2カテーテル20はそれぞれの遠位部が動脈瘤71等の病変部まで血管内腔を送達される。第1カテーテル10のバルーン12は、送達中には収縮状態であることが好ましく、第2カテーテル20を固定したい位置まで送達された際に拡張状態となることが好ましい。バルーン12が拡張状態となることにより、第2カテーテル20がバルーン12と血管壁70との間に挟まれて固定されることができる。これにより、第2カテーテル20の遠位端部を瘤71の入り口に容易に配置することができ、第2カテーテル20の第2内腔20Lから瘤71内への高分子材料21の供給が容易になる。
【0023】
第1カテーテル10と第2カテーテル20が病変部まで血管内腔を送達される際に、バルーン12と第2カテーテル20の遠位端部の位置を確認できるように、バルーン12及び/又は第2カテーテル20の遠位端部にはX線不透過マーカーが配されていることが好ましい。或いは、X線不透過マーカーは、バルーン12の内腔に配置されているシャフト11(後述するインナーチューブ11i)に設けられていてもよい。
【0024】
図1に示すように、カテーテルシステム1は第1カテーテル10の第1内腔10Lに導入される流体の入り口である流体導入部13を近位側に有していてもよい。流体導入部13を供給圧制御部40に接続することにより流体の供給圧を容易に制御することができる。
【0025】
図1に示すように、カテーテルシステム1は第2カテーテル20の第2内腔20Lに導入される高分子材料21の入り口である高分子材料導入部23を近位側に有していてもよい。高分子材料導入部23を供給圧制御部40に接続することにより高分子材料21の供給圧を容易に制御することができる。
【0026】
図1では、第1カテーテル10の近位端部と第2カテーテル20の近位端部とを別々に記載しているが、第1カテーテル10の近位端部と第2カテーテル20の近位端部は、複数に分岐したハンドル等の1つのハンドルに接続されていてもよい。
【0027】
供給圧制御部40により、第2カテーテル20の第2内腔20Lに高分子材料21が導入されたときに第2内腔20Lにかかる最大圧力P2がバルーン12に流体が導入されて拡張状態となったときに第1内腔10Lにかかる最大圧力P1よりも大きくなるように制御されるため、バルーン12を親動脈内腔72に配置して拡張させても第2カテーテル20の第2内腔20Lがバルーン12と血管壁70に挟まれて潰れてしまうことを防止でき、カテーテルシステム1の近位側から第2内腔20Lに導入された高分子材料21を第2内腔20Lの遠位端部まで容易に送達して瘤71内に留置することができる。また、第2内腔20Lにかかる最大圧力P2が高いことにより、第2内腔20Lに粘度の高い高分子材料21を供給することが可能になる。これにより、粘度の低い高分子材料21であれば瘤71内からの漏洩や飛散が起こりやすいところ、粘度の高い高分子材料21を使用することで漏洩や飛散の防止効果を向上して意図しない血管を閉塞してしまうリスクを低減できる。
【0028】
図3図5に示すように、バルーン12及び/又は第2カテーテル20により親血管内腔72を塞ぐことができるため、第2カテーテル20の遠位端から吐出された高分子材料21が親血管内腔72に流れ出ることを防止できる。これにより、瘤71を効果的に閉塞できるとともに、意図しない血管の閉塞を防ぐことができる。
【0029】
バルーン12に流体が導入されて拡張状態となったときに第1内腔10Lにかかる最大圧力P1は、ゲージ圧で脳血管では0.01MPa以上0.06MPa以下が好ましく、下肢静脈瘤の石灰化病変では2MPa以上4MPa以下が好ましく、また、図5の態様ではバルーン12は主にターミナルタイプの分岐部動脈瘤に用いることから血管分岐部の形状にフィットする柔軟なスチレン系可塑性エラストマーにより構成されることが好適であるため、0.01MPa以上が好ましく、また、0.04MPa以下が好ましく、0.03MPa以下がより好ましく、0.02MPa以下がさらに好ましい。最大圧力P1が上記範囲であれば、第1カテーテル10と第2カテーテル20の遠位部が病変部まで送達されたときに、第2カテーテル20の遠位端部を固定したい位置においてバルーン12を拡張させることにより、第2カテーテル20を拡張状態のバルーン12と血管壁70とに挟んで固定することができる。また、最大圧力P1が上記範囲であり、第2カテーテル20の第2内腔20Lに高分子材料21が導入されたときに第2内腔20Lにかかる最大圧力P2が最大圧力P1よりも大きいことにより、病変部に配置された拡張状態のバルーン12及び/又は第2カテーテル20が親血管内腔72を容易に塞ぐことができる。
【0030】
高分子材料21は、生体適合性を有し、塞栓剤とも呼ばれる医療用接着剤であることが好ましい。高分子材料21は、第2カテーテル20の第2内腔20Lに導入可能で第2内腔20Lの遠位端から吐出することができれば、液体状、ゾル状、ゲル状であることが許容される。高分子材料21は、ハイドロゲルなど温度、溶媒、pH、紫外線の少なくとも1つ以上の開始剤の組み合わせによりゾル・ゲル転移を生じる高分子材料から構成されていることがより好ましい。高分子材料21は、標的部位からの漏洩や飛散を防止する観点から、所定以上の粘度を有していることが好ましく、25℃における粘度が0.1Pa・s以上が好ましく、0.5Pa・s以上がより好ましく、1Pa・s以上がさらに好ましく、また、200Pa・s以下が好ましく、150Pa・s以下がより好ましく、100Pa・s以下がさらに好ましい。高分子材料21が所定以上の粘度を有していても、第2内腔20Lにかかる最大圧力P2を高くできるため、第2内腔20Lの近位側から導入した高分子材料21を第2内腔20Lの遠位端から吐出することができる。或いは、後述するように第2カテーテル20の第2内腔20Lから吐出後に高分子材料21を硬化する態様であれば、硬化前の高分子材料21は水程度の低い粘度(1mPa・s程度)を有していてもよい。
【0031】
高分子材料21としては、例えば、シアノアクリレート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリウレタン系接着剤、フィブリン系接着剤、ゼラチン系接着剤等が挙げられる。高分子材料21には、視認性を持たせるために、タンタルパウダー等の金属を含有させてもよい。高分子材料21は、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の溶媒に溶解して用いてもよい。
【0032】
また、高分子材料21としてはポリN-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)ゲルが好適である。NIPAMは親水性のアミド基と疎水性のイソプロピル基を有し、32℃未満ではアミド基の周囲に水素結合が形成され、32℃以上になる分子運動が活発になり水素結合が切れ、疎水性のイソプロピル基が集まることで水分がゲルの外に押し出されてゲルが収縮する。好ましくは、生体内温度である37℃でゲル化するよう官能基をカルボン酸、ヒドロキシル、ケトン、エーテル基に置換して官能性を付与する。また、N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)とメタクリル酸を共重合することでゲルにpH応答性を付与することもできる。より好ましくは、NIPAMとアクリル酸及びジアクリルアミド架橋剤を用いてpHと温度応答性の双方を付与することもできる。さらに好ましくは、連鎖移動剤の濃度を変えることで重合する高分子の分子量を用途に応じて制御して目的のゲルに調整する。その他にも、高分子材料21は、エチレン系不飽和モノマーと架橋剤、及び必要に応じて2官能性マクロマーとの反応物及び可視化剤を含むゲルから構成することができる。可視化剤とは、血管内治療においてX線撮影した際にX線を吸収する陽性造影剤を主に指し、水溶性ヨード造影剤が挙げられる。また、可視化剤の成分との化学反応によりゲル化する材料としてもよい。
【0033】
第1カテーテル10のシャフト11は、第1内腔10Lを形成するアウターチューブ11oと、第1内腔10Lに配置されているインナーチューブ11iを有しており、アウターチューブ11oの遠位部がバルーン12の近位部に接続され、インナーチューブ11iがバルーン12の内腔を通ってバルーン12の遠位端に到達し、インナーチューブ11iの遠位部とバルーン12の遠位部が接続されていることが好ましい。インナーチューブ11iはバルーン12の遠位端から延出していてもよい。このような構成により、インナーチューブ11iの外側であってアウターチューブ11oの内側の空間が流体の流路として機能することができる。また、インナーチューブ11iの内腔が、ガイドワイヤや後述する導光部材50の挿通路として機能することができる。流体は、インナーチューブ11iの内腔には流れないことが好ましい。
【0034】
シャフト11とバルーン12との接続は、接着剤による接着、溶着、バルーン12とシャフト11とが重なっている箇所にリング状部材を取り付けてかしめる等の方法で行える。中でも、シャフト11とバルーン12とは、溶着により接合されていることが好ましい。これにより、バルーン12を繰り返し拡張又は収縮させてもシャフト11とバルーン12との接合が解除されにくく第1カテーテル10の強度を向上できる。
【0035】
シャフト11を構成する材料は、樹脂、金属、又は樹脂と金属の組み合わせであることが好ましい。シャフト11の構成材料として樹脂を用いることにより、シャフト11に可撓性や弾性を付与しやすくなる。また、シャフト11の構成材料として金属を用いることにより、第1カテーテル10の血管内腔における挿通性を向上できる。
【0036】
シャフト11を構成する樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、天然ゴム、合成ゴム、ポリイミド等が挙げられる。これらは1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。シャフト11を構成する金属としては、例えば、SUS304、SUS316等のステンレス鋼、白金、ニッケル、コバルト、クロム、チタン、タングステン、金、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金、又はこれらの組み合わせが挙げられる。シャフト11は、金属と樹脂とが組み合わされて形成されていてもよく、樹脂から構成されている筒状体に上記金属で構成されている線材等の補強材が組み合わされている構成であってもよい。また、シャフト11は、長手方向xにおいて近位側と遠位側で構成が異なっていてもよく、例えば、近位側が金属から構成され、遠位側が樹脂から構成されていてもよい。さらに、シャフト11は、異なる材料又は同じ材料による積層構造を有していてもよい。一例として、シャフト11は、SUS304から構成され、近位端の5センチメートルをポリイミドで、遠位端の5センチメートルは被覆なしで、その他の全長は全周に渡ってフッ素樹脂により被覆されることがより好ましい。ポリイミドで被覆することで術者がラテックスまたはニトリル製の手袋をしていても滑りにくいため、シャフト11を把持して押すことができるため遠位血管到達性が向上する。また、フッ素樹脂により被覆することで生理食塩水または血液中で血管壁との摩擦を減少させられるため、シャフト11の滑り性が向上し蛇行血管への通過性がよくなる。
【0037】
インナーチューブ11iとアウターチューブ11oは、同じ材料から構成されていてもよいし、異なる材料から構成されていてもよい。
【0038】
シャフト11の外径、即ちアウターチューブ11oの外径は、0.7mm以上が好ましく、1mm以上がより好ましく、1.5mm以上がさらに好ましく、また、3.5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2.5mm以下がさらに好ましい。シャフト11の外径が上記範囲であることにより、適度な剛性を有しつつ血管内腔での挿通性が向上したシャフト11とすることができる。
【0039】
図1図5に示すように、バルーン12は、拡張しない近位側スリーブ部12p及び遠位側スリーブ部12dと拡張部12eとを有していることが好ましい。拡張しない近位側スリーブ部12p及び遠位側スリーブ部12dを有していることにより、アウターチューブ11oを近位側スリーブ部12pに、インナーチューブ11iを遠位側スリーブ部12dに安定して接続することができる。拡張部12eは、図1図4に示すように両端がすぼまった円筒形状を有していてもよい。図示していないが、拡張部12eは、略一定の径を有する直管部と、該直管部の近位側及び遠位側に縮径しているテーパー部を有する形状であってもよい。また或いは、拡張部12eは、図5に示すように突出して拡張する部分を有する構成であってもよい。円筒形状や直管部を有する拡張部12eは、動脈瘤71が血管壁70の側面に形成されている病変部に適用しやすく、突出して拡張する部分を有している拡張部12eは、動脈瘤71が二叉形状の血管の分岐部に形成されている所謂ターミナルタイプの病変部に適用しやすい。
【0040】
バルーン12を構成する材料としては、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレン系可塑性エラストマーが好適に用いられる。柔軟性の観点から、バルーン12はポリエーテルブロックアミド共重合体等のポリアミドエラストマーから構成されていてもよい。
【0041】
拡張状態におけるバルーン12の最大径は、1.5mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、2.5mm以上がさらに好ましく、また、10mm以下が好ましく、8mm以下がより好ましく、7mm以下がさらに好ましい。拡張状態におけるバルーン12の最大径が上記範囲であれば、留置する親血管内腔72の径に合せてバルーン12を拡張させることにより、バルーン12により第2カテーテル20を固定したり第2カテーテル20から吐出された高分子材料21が親血管内腔72に漏洩することを防止したりすることが容易である。
【0042】
バルーン12の膜厚は、12μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましく、20μm以上がさらに好ましく、また、60μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、40μm以下がさらに好ましい。バルーン12の膜厚が上記範囲であることで、耐久性及び柔軟性の向上したバルーン12とすることができる。
【0043】
図1図5に示すように、第2カテーテル20は、第2内腔20Lを有する筒状部材であることが好ましい。第2カテーテル20の外径は、0.5mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましく、1mm以上がさらに好ましく、また、2.5mm以下が好ましく、2.2mm以下がより好ましく、2mm以下がさらに好ましい。第2内腔20Lの径は、0.2mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、0.7mm以上がさらに好ましく、また、2.2mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましく、1.8mm以下がさらに好ましい。第2カテーテル20が上記範囲の外径を有しており第2内腔20Lが上記範囲の径を有していれば、第2カテーテル20の血管内腔における挿通性を損なうことなく第2内腔20Lに高分子材料21を導入して第2内腔20Lの遠位端から瘤71内に高分子材料21を吐出することができる。
【0044】
第2カテーテル20の外径は、シャフト11の外径よりも小さいことが好ましい。これにより、第2カテーテル20をシャフト11及びバルーン12の外側に配置する場合であっても、第2カテーテル20と第1カテーテル10とを血管内に容易に配置することができる。また、第2カテーテル20をシャフト11及びバルーン12の内側、即ち第1内腔10Lに配置する場合は、シャフト11の径を大きくし過ぎることなく第2カテーテル20を第1内腔10Lに配置することができる。
【0045】
第2カテーテル20の遠位端部は、図3及び図4に示すように長手方向xにおいて一方側に湾曲又は屈曲した形状を有していてもよいし、或いは、図5に示すように湾曲や屈曲等の変形を有しておらず長手方向xに延在する形状を有していてもよい。第2カテーテル20の遠位端部が瘤71内に入ることで高分子材料21の瘤71内への留置がより容易になることから、動脈瘤71が血管壁70の側面に形成されている病変部にカテーテルシステム1を適用する場合は、第2カテーテル20の遠位端部は長手方向xにおいて一方側に湾曲又は屈曲していることが好ましい。動脈瘤71が二叉形状の血管の分岐部に形成されている病変部にカテーテルシステム1を適用する場合は、第2カテーテル20の遠位端部は長手方向xにおいて湾曲又は屈曲していないことが好ましい。
【0046】
第2カテーテル20を構成する材料としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、天然ゴム等が挙げられる。これらは1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。高分子材料21の溶剤としてDMSOを用いる場合は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、フッ素系樹脂、又はこれらの混合物であることが好ましい。これにより、DMSOにより第2カテーテル20が受けるダメージを低減することができる。
【0047】
図1図3に示すように、第2カテーテル20は、シャフト11及びバルーン12の外側に配されていることが好ましい。このような構成により、動脈瘤71が血管壁70の側面に形成されているなど、シャフト11及びバルーン12の進行方向を瘤71内に向けることが困難な場合に、第2カテーテル20の遠位端部を瘤71内に向けることにより、第2カテーテル20の遠位端部から吐出した高分子材料21を瘤71内に容易に留置することができる。また、瘤71の入口を塞ぐようにバルーン12の拡張部12eを配置することができるため、高分子材料21が親血管内腔72に漏洩することを防止する効果を高められる。
【0048】
第2カテーテル20がシャフト11及びバルーン12の外側に配置されている場合、高分子材料21が導入されたときに第2内腔20Lにかかる最大圧力P2が拡張状態のバルーン12の第1内腔10Lに係る最大圧力P1よりも大きいことにより、第2内腔20Lがバルーン12に押し潰されにくいため、第2内腔20Lに供給された高分子材料21が瘤71内まで容易に送達されることができる。
【0049】
図4及び図5に示すように、第2カテーテル20は、シャフト11及びバルーン12の内側、即ち第1内腔10Lに配置されていてもよい。このような構成により、バルーン12と血管壁70との間に第2カテーテル20を挟まない状態でバルーン12により親血管内腔72を容易に塞ぐことができる。特に、図5に示すような動脈瘤71が二叉形状の血管の分岐部に形成されている所謂ターミナルタイプの病変部では、シャフト11及びバルーン12の進行方向を瘤71内に向けることが容易であるため、親血管内腔72をバルーン12で塞ぎながら第2カテーテル20の遠位端から高分子材料21を吐出して動脈瘤71を閉塞することが容易となる。
【0050】
第2カテーテル20が第1内腔10Lに配置されている場合、高分子材料21が導入されたときに第2内腔20Lにかかる最大圧力P2が拡張状態のバルーン12の第1内腔10Lにかかる最大圧力P1よりも大きいことにより、第2内腔20Lが収縮する方向に力を受けても第2内腔20Lが潰れることを防止できるため、第2内腔20Lに供給された高分子材料21が瘤71内まで容易に送達されることができる。
【0051】
図6に示すように、カテーテルシステム1は、さらに第3内腔30Lを有しており、第3内腔30Lにかかる最大圧力P3は、拡張状態のバルーン12の第1内腔10Lにかかる最大圧力P1及び高分子材料21が導入されたときに第2内腔20Lにかかる最大圧力P2よりも大きいことが好ましい。カテーテルシステム1が第3内腔30Lを有していることにより、バルーン12が拡張して親血管内腔72を塞いだ場合であっても、第3内腔30Lを血液が通過できるため、高分子材料21により瘤71を閉塞するのにかかる時間に血流が止まることにより周辺の組織が虚血状態となることを防止できる。
【0052】
図6に示すように、第3内腔30Lは別途設けられた筒状部材30の内腔であってもよい。このとき、第3内腔30Lを形成する筒状部材は、シャフト11及びバルーン12の外側に配置されていてもよいし、シャフト11及びバルーン12の内側、即ち第1内腔10Lに配置されていてもよい。或いは、インナーチューブ11iの内腔が第3内腔30Lとして機能してもよい。
【0053】
図7に示すように、シャフト11の長手方向xに垂直な断面において、バルーン12の外縁はバルーン12の外接円12Cに接しない非接触部12Fを有しており、非接触部12Fが配されている範囲は外縁360°のうち30°以上であることが好ましい。このような構成とするには、長手方向xに垂直な断面にけるバルーン12の外縁が円形ではない異型バルーンとすればよい。図7には一例としてバルーン12の外縁の一部が径方向の内方に凹んだ部分を有している構成を示したが、他にも、バルーン12の外縁の一部が径方向の外方に突出した部分を有していたり、多角形、楕円形、紡錘形、又はこれらの組み合わせ等の形状を有していたりする構成が挙げられる。非接触部12Fが外接円12Cの円周上に複数設けられている場合は、各非接触部12Fの合計がなす角度が30°以上であることが好ましい。
【0054】
バルーン12の外縁が非接触部12Fを有していることにより、バルーン12が拡張して血管を塞いだ場合であっても、非接触部12Fにより形成される空間を血液が灌流できるため、高分子材料21により瘤71を閉塞するのにかかる時間に血流が止まることにより周辺の組織が虚血状態となることを防止できる。また、非接触部12F以外の接触部12Tにより、血管を塞いだり第2カテーテル20を固定したりすることができる。
【0055】
次に、図8図10を参照して、さらに導光部材を備えている本発明の他の実施形態に係るカテーテルシステムを説明する。上述したいずれの態様のカテーテルシステム1もさらに導光部材を備えた構成とすることができる。図8は、さらに導光部材を備えているカテーテルシステムの側面図である。図9は、図8に示したカテーテルシステムの遠位部を動脈瘤が生じた血管内腔に配置したときの長手方向の断面図である。図10は、一実施形態に係るシャフトの長手方向の断面図である。
【0056】
図8及び図9に示すように、カテーテルシステム1は、さらにシャフト11内に配置されている導光部材50を有しており、導光部材50は遠位部に光照射部51を有しており、光照射部51はバルーン12の内側に配置されており、高分子材料21は光活性化高分子材料であり、バルーン12は光透過性の材料で構成されており、シャフト11は、バルーン12の内側に配置された部分に光透過部15を有していることが好ましい。
【0057】
光活性化高分子材料は光への曝露により固化するため、第2カテーテル20から瘤71内に吐出された高分子材料21は、導光部材50の光照射部51から照射される光により固化して瘤71内に留まることができる。これにより、高分子材料21が瘤71内から移動したり親血管内腔72に漏洩したりすることを防止できるため、効率的な閉塞がより容易になる。また、高分子材料21の漏洩や飛散をより容易に防止できることにより、意図しない血管を閉塞してしまうリスクの低減効果が向上する。
【0058】
図8に示すように、導光部材50はシャフト11の長手方向xに延在しており、その遠位部に光照射部51を有していることが好ましい。導光部材50は光ファイバーを含み、光ファイバーはコアとコアの径方向外方を被覆するクラッドとを有しており、クラッドの非存在部分が光照射部51である構成であってもよい。コアとクラッドを構成する材料は特に限定されず、プラスチック、石英ガラス、フッ化物ガラス等のガラスを用いることができる。導光部材50の近位端部にはコネクタ52が設けられ、コネクタ52が半導体レーザー等の光源に接続されていることが好ましい。
【0059】
図9に示すように、光照射部51は、バルーン12の内側に配置されていることが好ましい。導光部材50がインナーチューブ11iの内腔に配置されていることにより、光照射部51がバルーン12の内側に配置される構成となっていてもよい。光照射部51がバルーン12の内側に配置されていることにより、バルーン12が親血管内腔72を塞いでも導光部材50の挿入路を第1内腔10Lに確保することができ、高分子材料21を吐出する第2カテーテル20の遠位端部近傍に光照射部51を容易に配置できる。バルーン12は、光透過性の材料で構成されていることが好ましい。これにより、光照射部51がバルーン12の内側に配置されていても、光照射部51から射出された光がバルーン12を透過して高分子材料21に照射されることができる。
【0060】
バルーン12は、全体が光透過性の材料で構成されていることが好ましい。これにより、全体が同じ材料から構成された筒状部材をブロー成形することによりバルーン12を製造することができ、バルーン12の柔軟性や耐久性を向上することができる。
【0061】
バルーン12の内側に配置されている光照射部51から射出された光は、バルーン12の内側に配置された部分に設けられたシャフト11の光透過部15からバルーン12を通して高分子材料21に照射されることが好ましい。シャフト11が光透過部15を有していることにより、光照射部51がシャフト11の内側に配置されていても光照射部51からの光が高分子材料21を照射することができる。シャフト11は、長手方向xの全体にわたって光透過性の材料で構成されていてもよいし、バルーン12の内側に配置された一部のみが光透過性の材料で構成されて光透過部15を形成し、光透過部15以外の部分は光不透過性の材料で構成されていてもよい。光透過部15は、光拡散性の材料を含んでいてもよい。これにより、光照射部51から射出された光が光透過部15を通過する際に適度に拡散されるため、高分子材料21に対してムラなく光を照射することができる。光拡散性の材料としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛等の無機系粒子、架橋アクリル系樹脂、架橋スチレン系樹脂等の有機系粒子が挙げられる。
【0062】
導光部材50は、シャフト11の内腔に配置され、長手方向xに移動可能であることが好ましい。高分子材料21が瘤71内に留置されるまでは、光照射部51からの光が高分子材料21を照射しないことが好ましい。導光部材50が長手方向xに移動可能であることにより、高分子材料21が瘤71内に留置されるまでは光照射部51を近位側に待機させ、高分子材料21が標的部位に留置された後で光照射部51を遠位側に移動させてバルーン12の内側に配置し、バルーン12の内側に配置された光照射部51から高分子材料21に向けて光を照射することができる。これにより、高分子材料21が標的部位に留置されるまでは高分子材料21が固化しないため、高分子材料21を瘤71内に留置することが容易になる。
【0063】
或いは、図示していないが、導光部材50の光照射部51は、シャフト11の内腔に配置されずに直にバルーン12の内側に配置されていてもよい。
【0064】
光活性化高分子材料としては紫外線照射によりラジカルが発生して反応が開始するアクリル樹脂、紫外線照射によりカチオンが発生して反応が開始するエポキシ樹脂、電子線照射により硬化するメタクリロイル系樹脂等が挙げられる。特に、紫外線照射によりラジカルが発生して反応が開始するベンゾフェノン基を側鎖に結合した光反応性ゼラチンとマクロモノマーを生理食塩液中で溶解して紫外線照射することが好適である。
【0065】
図8に示すように、導光部材50に電気的に接続されており、バルーン12が拡張している状態で光照射部51から光を照射させる光照射制御部60をさらに有していることが好ましい。光照射制御部60は、導光部材50の近位端部に設けられたコネクタ52に電気的に接続されていてもよい。バルーン12は標的部位に送達された後に第2カテーテル20を固定するために拡張されるため、光照射制御部60がバルーン12の拡張状態において光照射部51から光を照射させることにより、固定された状態の第2カテーテル20から吐出された高分子材料21を光照射部51から射出された光で照射することができる。この態様では、高分子材料21が瘤71内に留置されるまで光照射部51を近位側に待機させる必要はなく、予め光照射部51をバルーン12の内側に配置していてもよい。
【0066】
光照射制御部60は、バルーン12が拡張している状態で、第2カテーテル20から高分子材料21が吐出されたあとに光照射部51から光を照射させるよう制御することが好ましい。光照射制御部60がこのように制御することにより、導光部材50を移動させることなく高分子材料21を瘤71内に留置した後に高分子材料21を光で照射することが容易になるため、手技の安全性向上が期待できるとともに導光部材50の損傷を防止できる。
【0067】
光透過部15は、シャフト11の周方向360°の全範囲にわたって配置されていてもよい。光透過部15がシャフト11の周方向360°の全範囲にわたって配置されていることにより、シャフト11の周方向における向きにかかわらず光照射部51から照射された光が光透過部15を通って高分子材料21に照射されることができる。光透過部15をシャフト11の周方向360°の全範囲にわたって設けるには、例えば、光透過性の材料から構成された筒状部材において、光透過部15の近位端に相当する長手方向xにおける第1位置よりも近位側、及び光透過部15の遠位端に相当する長手方向xにおける第2位置よりも遠位側を光不透過性の材料で被覆する等の方法でマスクすることにより、第1位置から第2位置までの区間を光透過部15とする方法等が挙げられる。
【0068】
或いは、図10に示すように、光透過部15は複数の光透過窓15wで構成されており、それぞれの光透過窓15wはシャフト11の周方向360°のうち90°以下の範囲に配されており、それぞれの光透過窓15wはシャフト11の周方向に離隔して配されていることが好ましい。光透過部15が複数の光透過窓15wで構成されていれば、光照射部51から出射された光は光透過窓15wを通るため、光を局所的に照射することができる。これにより、効率的に高分子材料21を光に曝露させることができるため高分子材料21の硬化時間を短縮でき、バルーン12で親血管内腔72を塞ぐ時間を短くできることから、高分子材料21により瘤71を閉塞するのにかかる時間に血流が止まることにより周辺の組織が虚血状態となることを防止できる。また、複数の光透過窓15wが周方向に離隔して設けられていることにより、高分子材料21の方向に向けるために導光部材50を移動させたり軸回転させたりする必要がなくなるため、導光部材50の損傷を防ぐ効果がある。
【0069】
複数の光透過窓15wを設ける方法としては、例えば、光透過性の材料から構成された筒状部材において、複数の光透過窓15w以外の部分を光不透過性の材料で被覆する等の方法でマスクすることが挙げられる。
【0070】
複数の光透過窓15wは、開閉可能であってもよい。複数の光透過窓15wは、各光透過窓15wがそれぞれ独立に開閉可能であってもよい。これにより、複数の光透過窓15wのうち特定の光透過窓15wのみを開き、それ以外の光透過窓15wを閉じることにより、光照射部51から出射された光が開いた光透過窓15wを通じて局所的に照射されることができる。これにより、高分子材料21を効率的に光に曝露させることがより容易に可能となるため、高分子材料21の硬化時間を短縮でき、手技の効率性、安全性を向上することができる。光透過窓15wを開閉可能とする方法としては、例えば、シャフト11の内側又は外側に別の筒状部材を配置し、当該別の筒状部材の所定部分を光不透過性の材料で構成することにより、当該別の筒状部材の光不透過部が閉じたい光透過窓15wに重なるように当該別の筒状部材を移動又は回転させる方法が挙げられる。或いは、光透過窓15wは、高分子材料21が未硬化な箇所に光照射されるよう、複数の板を重ね合わせた円形または多角形のうちいずれか1つの形状で構成される絞りを含む構成であることがより好ましい。絞りの調整値はF値またはアパーチャーバリューで表され、絞りを調整することで未硬化な箇所へ効率的に照射できるほか、既に硬化した高分子材料21への過剰照射に伴う劣化や酸化ストレスの産生、血管障害を抑制する効果を持つ。
【0071】
図9に示すように、シャフト11の長手方向xにおいて、バルーン12の拡張部12eの近位端を0%の位置D0、遠位端を100%の位置D100としたとき、光照射部51は拡張部12eの25%の位置D25から75%の位置D75までの領域Lの少なくとも一部に位置していることが好ましい。領域Lはバルーン12の拡張状態において最も径方向の外方に位置する部分であるため、領域Lにおいて第2カテーテル20を固定することができる。このため、領域Lの少なくとも一部に光照射部51が位置していることにより、固定された第2カテーテル20の遠位端から吐出された高分子材料21に光照射部51から射出された光を照射することが容易になる。これにより、高分子材料21の硬化を促進することが容易になる。
【0072】
このとき、第2カテーテル20の遠位端は、領域Lに配されていることが好ましい。これにより、第2カテーテル20の遠位端から吐出された高分子材料21に光照射部51から射出された光を照射することがより容易になる。
【0073】
光透過部15は光照射部51から射出された光を透過する部分であるため、光透過部15は領域Lの少なくとも一部に位置していることが好ましく、光透過部15の長手方向xの長さは、光照射部51の長手方向xの長さよりも長いことが好ましい。これにより、導光部材50をシャフト11に対してスライドさせることにより長手方向xにおける照射位置を調整することができる。或いは、光透過部15の長手方向xの長さは、光照射部51の長手方向xの長さよりも短くてもよい。
【0074】
光照射部51は、長手方向xにおいて、バルーン12の拡張部12eの40%の位置から60%の位置までの領域の少なくとも一部に位置していることがより好ましい。このとき、第2カテーテル20の遠位端は、バルーン12の40%の位置から60%の位置までの領域に配されていることが好ましい。光照射部51がバルーン12のより中央寄りの部分に位置していることにより、第2カテーテル20をバルーン12により固定することがさらに容易になり、固定された第2カテーテル20の遠位端から吐出された高分子材料21に光照射部51から射出された光を照射することがさらに容易になる。
【0075】
このとき、光透過部15は、長手方向xにおいて、バルーン12の拡張部12eの40%の位置から60%の位置までの領域の少なくとも一部に配されていることが好ましい。これにより、光透過部15を通して光照射部51から射出された光を効率的に高分子材料21に照射することができる。
【0076】
或いは、光照射部51は、長手方向xにおいて、バルーン12の拡張部12eの50%の位置から100%の位置までの領域の少なくとも一部に配されていてもよい。このとき、光透過部15は、長手方向xにおいて光照射部51と同じ位置に配されていることが好ましい。これにより、光照射部51から射出された光が光透過部15からバルーン12を通って照射されることができる。図4及び図5に示すように、第2カテーテル20の遠位端部がバルーン12の遠位側から延出している場合、高分子材料21を吐出する第2カテーテル20の遠位端はバルーン12の遠位端部に存在することになる。このような場合であっても、光照射部51が長手方向xにおいて拡張部12eの50%の位置から100%の位置までの領域、即ちバルーン12の遠位側に存在することにより、光照射部51から射出された光が第2カテーテル20の遠位端から吐出された高分子材料21を照射することができる。
【0077】
なお、図5に示すようにバルーン12が突出して拡張する部分を有する構成である場合は、拡張部12eの近位側スリーブ部12p側の端を0%の位置D0、拡張部12eの遠位側スリーブ部12d側の端を100%の位置D100とするものとする。
【0078】
2.カテーテルシステムの作動方法
本発明の一実施形態に係るカテーテルシステム1の作動方法は、供給圧制御部40が第1内腔10Lに流体を導入してバルーン12を拡張させるステップS1と、ステップS1の後に、供給圧制御部40が第2内腔20Lに高分子材料21を導入するステップS2とを有していることが好ましい。
【0079】
供給圧制御部40が先ず第1内腔10Lに流体を導入してバルーン12を拡張することにより、バルーン12を親血管内腔72に固定することができる。このとき、第2カテーテル20は第1カテーテル10とともに病変部まで送達されてもよい。これにより、拡張したバルーン12により、第2カテーテル20を固定することができる。この後に、供給圧制御部40が第2内腔20Lに高分子材料21を導入することにより、第2カテーテル20が固定された後に第2内腔20Lに高分子材料21を導入できる。これにより、第2カテーテル20が固定される前に第2内腔20Lに高分子材料21が導入されると、第2カテーテル20の遠位端から吐出された高分子材料21が瘤71内に適切に留置されない虞があるところ、第2カテーテル20の遠位端から高分子材料21が吐出されるときには第2カテーテル20はバルーン12により固定されているため、高分子材料21を瘤71内に適切に留置することが容易になる。
【0080】
ステップS1をステップS2の後に行っても、第2カテーテル20の第2内腔20Lに高分子材料21が導入されたときに第2内腔20Lにかかる最大圧力P2はバルーン12に流体が導入されて拡張状態となったときに第1内腔10Lにかかる最大圧力P1よりも大きいため、第2カテーテル20がバルーン12により血管壁70に押し当てられて固定された状態で高分子材料21が第2内腔20Lを近位側から遠位端まで送達されることができる。これにより、位置決めが行われた第2カテーテル20の遠位端から高分子材料21を吐出することができる。
【0081】
本発明の他の実施形態に係るカテーテルシステム1の作動方法は、供給圧制御部40が第1内腔10Lに流体を導入してバルーン12を拡張させるステップS1と、ステップS1の後に、供給圧制御部40が第2内腔20Lに高分子材料21として光活性化高分子材料を導入するステップS2と、ステップS2の後に、光照射制御部60が光照射部51から光を照射させるステップS3とを有していることが好ましい。
【0082】
ステップS2において供給圧制御部40が第2内腔20Lに高分子材料21として光活性化高分子材料を導入した後に、ステップS3において光照射制御部60が光照射部51から光を照射させることにより、第2カテーテル20の遠位端から吐出された高分子材料21が瘤71内に留置された後で、光照射部51からの光が高分子材料21を照射して硬化させることができる。これにより、高分子材料21が瘤71内に留置される前に意図しない箇所で硬化してしまうことを防止できる。
【符号の説明】
【0083】
1:カテーテルシステム
10:第1カテーテル
10L:第1内腔
11:シャフト
11i:インナーチューブ
11o:アウターチューブ
12:バルーン
12C:外接円
12F:非接触部
12T:接触部
12d:遠位側スリーブ部
12e:拡張部
12p:近位側スリーブ部
13:流体導入部
15:光透過部
15w:光透過窓
20:第2カテーテル
20L:第2内腔
21:高分子材料
23:高分子材料導入部
30L:第3内腔
40:供給圧制御部
50:導光部材
51:光照射部
52:コネクタ
60:光照射制御部
70:血管壁
71:動脈瘤
72:親血管内腔
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
図9
図10