(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118088
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】注出口付き包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 33/00 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
B65D33/00 Z ZAB
B65D33/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024281
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】大竹 洋平
(72)【発明者】
【氏名】中村 元春
(72)【発明者】
【氏名】倉賀野 彰
(72)【発明者】
【氏名】岩坪 貢
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AB23
3E064BA26
3E064BA27
3E064BA28
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA40
3E064BA54
3E064BA55
3E064BA60
3E064BB03
3E064BC18
3E064EA30
3E064FA04
3E064FA05
3E064FA06
3E064GA04
3E064HE02
3E064HM01
3E064HN05
3E064HP01
3E064HP02
3E064HP04
3E064HU10
(57)【要約】
【課題】本体部の易開口性を確保しつつも、分離片の発生を抑制することが可能な構造の注出口付き包装袋を提供する。
【解決手段】
本実施形態に係る注出口付き包装袋100は、表面フィルム部20と、裏面フィルム部30と、底面フィルム部40と、を有するとともに、周縁部にはシールされた周縁シール部50を有し、内容物を収容可能な本体部10と、本体部10から内容物を注出する注出口部60と、を有し、周縁シール部50には、本体部10を開口するための本体開口起点部71が形成されており、周縁シール部50の一部分は、本体開口起点部71の延長線201上に配置されている分離抑制部55となっており、本体部10において周縁シール部50で囲まれている領域には、外方に向けて凸のエンボス80が形成されており、本体開口起点部71は、エンボス80に向かって延びている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面フィルム部と、裏面フィルム部と、底面フィルム部と、を有するとともに、周縁部にはシールされた周縁シール部を有する包装袋であって、
内容物を収容可能な本体部と、
前記本体部から前記内容物を注出する注出口部と、
を有し、
前記周縁シール部には、前記本体部を開口するための本体開口起点部が形成されており、
前記周縁シール部の一部分は、前記本体開口起点部の延長線上に配置されている分離抑制部となっており、
前記本体部において前記周縁シール部で囲まれている領域には、外方に向けて凸のエンボスが形成されており、
前記本体開口起点部は、前記エンボスに向かって延びている注出口付き包装袋。
【請求項2】
前記表面フィルム部及び前記裏面フィルム部の、表裏に対向する同一箇所に、それぞれ前記エンボスが形成されている請求項1に記載の注出口付き包装袋。
【請求項3】
前記本体開口起点部は、前記周縁シール部の1箇所にのみ形成されている請求項1又は2に記載の注出口付き包装袋。
【請求項4】
前記本体開口起点部の延長線に沿って複数の前記エンボスが形成されている請求項1から3のいずれか一項に記載の注出口付き包装袋。
【請求項5】
前記周縁シール部には、前記注出口部を開口するための注出開口起点部が形成されており、
前記注出開口起点部を起点として開口する開口予定部は、前記本体開口起点部を頂点とし前記本体開口起点部の延長線を二等分線とする頂角60°の領域を避けて配置されている請求項1から4のいずれか一項に記載の注出口付き包装袋。
【請求項6】
前記エンボスのうち最も前記本体開口起点部の近くに位置するエンボスは、前記本体開口起点部を頂点とし前記本体開口起点部の延長線を二等分線とする頂角60°の角度範囲の全域に亘って存在している請求項1から5のいずれか一項に記載の注出口付き包装袋。
【請求項7】
前記本体開口起点部から前記注出口部の先端までの距離が50mm以上100mm以下である請求項1から6のいずれか一項に記載の注出口付き包装袋。
【請求項8】
前記周縁シール部において前記本体開口起点部を含む部分は、局部的に内方に向けて張り出した内方張出部を含んでいる請求項1から7のいずれか一項に記載の注出口付き包装袋。
【請求項9】
前記周縁シール部において前記本体開口起点部を含む部分の寸法の、前記本体開口起点部の延在方向における寸法は、15mm以上60mm以下であり、
前記本体開口起点部の延在方向に対して直交する前記内方張出部の幅寸法は、18mm以上70mm以下である請求項8に記載の注出口付き包装袋。
【請求項10】
前記表面フィルム部及び前記裏面フィルム部において前記本体部を構成する部分は印刷層を含み、前記表面フィルム部及び前記裏面フィルム部の少なくとも一方は、前記本体開口起点部の延長線に沿って前記印刷層が非形成の印刷レス部を有する請求項1から9のいずれか一項に記載の注出口付き包装袋。
【請求項11】
前記エンボスにおいて、前記本体開口起点部の延長線を基準として一方の側に位置する部分は、前記一方の側に向けて窄まっている請求項1から10のいずれか一項に記載の注出口付き包装袋。
【請求項12】
前記エンボスにおいて、前記本体開口起点部の延長線を基準として他方の側に位置する部分は、前記他方の側に向けて窄まっている請求項11に記載の注出口付き包装袋。
【請求項13】
前記本体開口起点部は、前記本体部の一方の側縁の前記周縁シール部に形成されており、
前記分離抑制部は、前記本体部の他方の側縁の前記周縁シール部である請求項1から12のいずれか一項に記載の注出口付き包装袋。
【請求項14】
前記本体開口起点部は、前記本体部の上縁の前記周縁シール部に形成されており、
前記分離抑制部は、前記本体部の下縁の前記周縁シール部である請求項1から12のいずれか一項に記載の注出口付き包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出口付き包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の注出口付き包装袋(同文献には、詰め替え用パウチと記載)は、表面フィルム部と、裏面フィルム部と、底面フィルム部(同文献には、積層フィルムと記載)と、を有するとともに、周縁部にはシールされた周縁シール部(同文献には、ヒートシール部と記載)を有する包装袋であって、内容物を収容可能な本体部と、本体部から内容物を注出する注出口部と、を有し、周縁シール部には、本体部を開口するための本体開口起点部(同文献には、パウチの開封手段と記載)が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術のようにフィルムによって構成された軟質な包装袋の場合、本体部の開口の拡がり具合を必ずしも十分に確保できず、フィルム部どうしが密着したりするため、内容物を使い切った後に本体部の内部を洗浄しづらい場合がある。
また、本体部を開口する際に、当該本体部の一部分がその他の部分から完全に切り離されて分離片が生じやすい。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本体部の易開口性を確保しつつも、分離片の発生を抑制することが可能な構造の注出口付き包装袋に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、表面フィルム部と、裏面フィルム部と、底面フィルム部と、を有するとともに、周縁部にはシールされた周縁シール部を有する包装袋であって、内容物を収容可能な本体部と、前記本体部から前記内容物を注出する注出口部と、を有し、前記周縁シール部には、前記本体部を開口するための本体開口起点部が形成されており、前記周縁シール部の一部分は、前記本体開口起点部の延長線上に配置されている分離抑制部となっており、前記本体部において前記周縁シール部で囲まれている領域には、外方に向けて凸のエンボスが形成されており、前記本体開口起点部は、前記エンボスに向かって延びている注出口付き包装袋に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、本体部の易開口性を確保しつつも、分離片の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る注出口付き包装袋の正面図である。
【
図3】第1実施形態における表面フィルム部、裏面フィルム部及び底面フィルム部を示す分解斜視図である。
【
図5】第1実施形態に係る注出口付き包装袋の正面図であり、内容物を使い切った後に本体部を開口した状態を示す。
【
図6】第1実施形態の変形例1に係る注出口付き包装袋の断面図であり、
図1に示すA-A線に相当する位置での断面である。
【
図7】第1実施形態の変形例2に係る注出口付き包装袋の正面図である。
【
図8】第1実施形態の変形例3に係る注出口付き包装袋の正面図である。
【
図9】第2実施形態に係る注出口付き包装袋の正面図である。
【
図10】第3実施形態に係る注出口付き包装袋の正面図である。
【
図11】第3実施形態の変形例に係る注出口付き包装袋の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略する。
【0010】
〔第1実施形態〕
先ず、
図1から
図5を用いて第1実施形態を説明する。
本実施形態に係る注出口付き包装袋100は、表面フィルム部20と、裏面フィルム部30と、底面フィルム部40と、を有するとともに、周縁部にはシールされた周縁シール部50を有する包装袋である。
注出口付き包装袋100は、内容物を収容可能な本体部10と、本体部10から内容物を注出する注出口部60と、を有する。
周縁シール部50には、本体部10を開口するための本体開口起点部71が形成されている。
周縁シール部50の一部分は、本体開口起点部71の延長線201上に配置されている分離抑制部55となっている。
本体部10において周縁シール部50で囲まれている領域(すなわち周縁シール部50よりも内側の領域)には、外方に向けて凸のエンボス80が形成されており、本体開口起点部71は、エンボス80に向かって延びている。
なお、注出口付き包装袋100において、周縁シール部50で囲まれている領域は、フィルム部(表面フィルム部20、裏面フィルム部30及び底面フィルム部40)どうしが互いに非接合となっており、内容物が収容される収容領域15を構成している。収容領域15は、本体部10の内部と、注出口部60の内部と、を含む。
また、本体開口起点部71の延長線201とは、本体開口起点部71の最奥部から当該本体開口起点部71の深さ方向に延在している直線である。
そして、「本体開口起点部71は、エンボス80に向かって延びている」とは、本体開口起点部71の延長線201上にエンボス80の少なくとも一部分が配置されていることを意味しており、好ましくはエンボス80が延長線201に対して交差している。
【0011】
注出口付き包装袋100において、少なくとも内容物が収容された状態では、表面フィルム部20と裏面フィルム部30との間には内容物が介在しており、当該表面フィルム部20と裏面フィルム部30とが互いに離間する方向に膨出した状態が維持される。
一方、内容物を使い切った後は、表面フィルム部20と裏面フィルム部30とが平坦となり互いに密着した状態となりやすい。
また、本実施形態に係る注出口付き包装袋100のようにフィルム(表面フィルム部20、裏面フィルム部30及び底面フィルム部40)により形成された包装袋は、内容物を使い切った後に水平リサイクルする場合において、本体部10を破断して開口17a、17b(
図5参照)を形成し、当該開口17a、17bを介して本体部10の内部(収容領域15)を洗浄水(例えば、水)によって洗浄することが好ましい。また、この際、本体部10の全体を効率的にリサイクルする観点から、開口17a、17bを基準として、本体部10における一方側の部分18と、当該本体部10における他方側の部分19とが完全に切り離されて分離片とならない(本体部10において一方側の部分18と他方側の部分19とが互いに繋がっている状態が維持される)ことが好ましい。
【0012】
本発明において、本体部10を開口する際には、本体開口起点部71を起点として延長線201に沿うように分離抑制部55に向けて当該本体部10を引き裂く(詳細後述)。すなわち、本体部10の開封方向は、延長線201の延在方向である。ただし、本発明において、本体部10の開封方向は、必ずしも延長線201の延在方向と完全に一致していなくてもよく、少なくとも本体開口起点部71を起点として延長線201の延在方向の成分を含む方向であればよい。したがって、本体部10の開封方向は、例えば、本体開口起点部71を起点として延長線201から徐々に離間しつつ傾斜する方向であってもよい。ただし、本体部10の開封方向が、本体開口起点部71を起点として延長線201から徐々に離間する方向である場合、当該開封方向は、正面視において、本体開口起点部71を頂点とし本体開口起点部71の延長線201を二等分線とする頂角60°の領域(二点鎖線202、203の間の領域)の範囲に含まれる方向であることが好ましい。
【0013】
本実施形態によれば、周縁シール部50には、本体部10を開口するための本体開口起点部71が形成されている。このため、本体部10における本体開口起点部71の近傍を指で摘まみつつ、当該本体開口起点部71を起点として延長線201に沿うように本体部10を引き裂くことによって、本体部10において開口17a、17b(裂け目)を容易に形成することができる。なお、ここでいう開口17a、17bとは、当該開口17a、17bを構成する裂け目の少なくとも一部分が収容領域15に達しているものとする。
また、周縁シール部50の一部分は、本体開口起点部71の延長線201上に配置されている分離抑制部55となっている。ここで、分離抑制部55とは、本体部10におけるその他の部位(ただし周縁シール部50を除く)よりも破断しにくい部分である。このため、本体開口起点部71の延長線201に沿って本体部10を引き裂く際に、開口17a、17bが分離抑制部55の近傍で終端するようにできる。このため、開口17a、17bを基準として、本体部10における一方側の部分18と他方側の部分19とが分離抑制部55を介して互いに繋がっている状態を良好に維持できる。すなわち、
図5に示すように、本体部10を開口する際に、一方側の部分18と他方側の部分19とが分離して分離片が生じないようにすることができる。
ここで、フィルムによって形成された包装袋においては、仮にエンボス80を有していない場合には、フィルム部どうし(本実施形態の場合、表面フィルム部20と裏面フィルム部30)が密着し、洗浄水を注入する際に開口17a、17b(
図2又は
図5参照)の拡がり具合を十分に確保できない場合がある。
このような事情に対し、本実施形態においては、本体開口起点部71は、エンボス80に向かって延びている。このため、
図2又は
図5に示すように、本体部10の開口17a、17bはエンボス80(エンボス線)の一部分を含んで形成されるようにできる。そして、少なくともエンボス80の形成領域においては、フィルム部どうし(表面フィルム部20と裏面フィルム部30)は互いに離間している。これにより、開口17a、17b及びその近傍において、フィルム部どうし(表面フィルム部20と裏面フィルム部30)が完全に密着してしまうことを抑制できるので、開口17a、17bの拡がり具合を十分に確保することができる。より詳細には、例えば、開口17a、17bを介して本体部10に洗浄水を注入する際に、洗浄水の水圧によって当該開口17a、17bを良好に押し拡げたり、開口17a、17bに指を差し込んで当該開口17a、17bを拡げたりすることがより容易となる。
このように、本実施形態によれば、本体部10の易開口性を確保しつつも、分離片の発生を抑制することができる。
更に、例えば、リサイクル可能な材料によって構成されている注出口付き包装袋100に対して選択的にエンボス80を設け、リサイクル可能な材料によって構成されていない包装袋100に対してはエンボス80を設けないようにすることによって、使用者は、エンボス80の有無を指標としてリサイクル可能な包装袋かどうかを容易に識別することができる。
【0014】
本発明に係る注出口付き包装袋100の形態は特に限定されず、自立可能な形態であっても良いし、自立せず寝かせて配置することを想定した形態であっても良い。ただし、本実施形態の場合、注出口付き包装袋100は、底マチ13を有しており、自立可能な形態となっている。
【0015】
本実施形態において、注出口付き包装袋100の各構成要素の位置関係(上下関係等)の説明は、特に断りのない場合は、内容物の収容前又は内容物が排出され表面フィルム部20と裏面フィルム部30との内面どうしが面接触するように注出口付き包装袋100が平坦となった状態で、表面フィルム部20(又は裏面フィルム部30)の面直方向に注出口付き包装袋100を視たとき(
図1参照)の位置関係を説明したものである。ただし、これらの説明における位置関係は、注出口付き包装袋100の使用時や製造時の位置関係とは必ずしも一致しない。
また、注出口付き包装袋100の各構成要素の位置関係について、各図に示される位置関係を説明する場合もある。
一例として、本体部10の軸方向における一方を下方(下側)と称し、本体部10の軸方向における他方を上方(上側)と称する。また、注出口付き包装袋100の正面側(
図1における紙面の手前側)を前方、注出口付き包装袋100の背面側(
図1における奥側)を後方といい、注出口付き包装袋100の表面に向かって左側(
図1における左側)を左方、注出口付き包装袋100の表面に向かって右側(
図1における右側)を右方という。また、注出口付き包装袋100の左右方向を横幅方向という場合がある。
【0016】
本発明において、内容物の種類は、特に限定されない。内容物としては、例えば、シャンプー、リンス、ボディーソープ、洗剤、漂白剤、柔軟剤、飲料、食品の他に、エンジンオイル、化学薬品などが挙げられる。
また、内容物は、液体(ペースト状のものを含む)であっても良いし、固体(例えば、粒状のもの(顆粒状のものを含む)、或いは粉状のものなど)であっても良い。
本実施形態の場合、内容物は、例えば、液体である。
内容物が液体の場合には、内容物の粘度は、例えば30℃において好ましくは1mPa・s以上12万mPa・s以下(B型粘度計で測定、例えば東機産業社製ビスコメーターTV-10又はビスコメーターTVB-10等で測定)であり、より好ましくは1mPa・s以上6万mPa・s以下である。
【0017】
注出口付き包装袋100は、表面フィルム部20、裏面フィルム部30及び底面フィルム部40の各々の周縁部どうしを相互に接合することによって袋状に形成されている。
注出口付き包装袋100は、例えば、胴部11と、胴部11の下側に配置されている底マチ13と、を有する。
本実施形態の場合、胴部11の一部分が注出口部60を構成しており、胴部11における注出口部60以外の部位と底マチ13とが本体部10を構成している。
【0018】
胴部11(ただし、注出口部60の形成領域を除く)の正面形状は、特に限定されないが、本実施形態の場合、例えば、
図1に示すように、横幅寸法が略一定の縦長形状となっている。
胴部11は、例えば、収容領域15を間に挟んで互いに対向している表面部11a(本実施形態の場合、前側のパネル)及び裏面部11b(本実施形態の場合、後側のパネル)を有する(
図1、
図2参照)。以下の説明において、正面側は表面部11a側であり、背面側は裏面部11b側である。なお、本実施形態の場合、表面部11aと裏面部11bとは互いに同一形状及び同一寸法に形成されている。このため、裏面部11b(裏面フィルム部30)の背面視形状の図示を省略している。
底マチ13は、表面部11aの下縁と裏面部11bの下縁とを相互に繋いでいる。
【0019】
胴部11の上端側の一隅部には、注出口部60が配置されている。注出口部60においては、胴部11の上端側の一隅に向けて収容領域15が徐々に狭まるような形状に周縁シール部50(より詳細には、後述する上縁シール部51及び側縁シール部53a)が形成されている。ただし、注出口部60において、胴部11の上端側の一隅に向けて収容領域15が徐々に広がるような形状に周縁シール部50が形成されていても良いし、注出口部60における収容領域15がストレート形状であってもよい。
収容領域15のうち、特に注出口部60と対応する部分は、内容物を注出口付き包装袋100から注出する際に内容物が通過する注出流路68である。
注出口部60の開口予定部65は、注出流路68を横断する方向に延在している。
ここで、開口予定部65とは、収容領域15の内容物を注出口付き包装袋100の外部に注出するために注出口部60に開口61(
図5参照)を形成することが予定されている部位である。
注出口部60には、開口予定部65に沿って、ハーフカット溝またはミシン目などにより構成された開封案内線67が形成されている。ただし、本発明はこの例に限定されず開封案内線67は形成されていなくてもよい。また、開口予定部65に沿って、印刷等により線状の表示が付されていても良い。
いずれの場合にも、開口予定部65に沿って注出口部60を破断しやすくするための注出開口起点部76(詳細後述)が、開口予定部65の近傍に形成されていることが好ましい。換言すれば、開口予定部65は、注出開口起点部76の切り込みの方向(注出開口起点部76の深さ方向)に延びる直線状の領域である。
注出口部60において、開口予定部65を境界とした胴部11の上記一隅側の部分は、注出口部60に開口61を形成する際に使用者によって摘ままれる開封タブ66である。なお、注出口部60に開口61が形成されることにより、開封タブ66は胴部11から切除される。
また、
図1に示すように、胴部11の周縁部には、上記胴部11の上端側の一隅部(注出口部60)を間に介して第1切欠形状部62及び第2切欠形状部64が形成されている。
このようにして、注出口部60は、胴部11の上端側の一隅部において、斜め上方に向かって突出するように形成されている。
ただし、本発明において、注出口部60の位置はこの例に限定されず、注出口付き包装袋100の形状や用途に応じて適宜設定することができる。
【0020】
なお、本発明において、注出口部60は、例えば、繰り返し開閉可能な口栓構造を有するスパウト部材(不図示)によって構成されていてもよい。この場合、注出口部60には、キャップやポンプ付きキャップなどにより封止することができるネジ山が設けられていてもよい。
注出口部60を構成するスパウト部材は、例えば、射出成形によって形成される。
このような構成の場合、本体部10を開口する際に、注出口部60(スパウト部材)を把持しつつ、スムーズに本体部10を引き裂くことができる。
【0021】
上述のように、注出口付き包装袋100は、表面フィルム部20、裏面フィルム部30及び底面フィルム部40を有する。
表面フィルム部20は、胴部11の正面側(表面部11a)を構成しており、裏面フィルム部30は、胴部11の背面側(裏面部11b)を構成している。底面フィルム部40は、例えば、底マチ13を構成している。
本実施形態の場合、表面フィルム部20(表面部11a)及び裏面フィルム部30(裏面部11b)は、例えば、互いに同一形状及び同一寸法に形成されている。
本実施形態の場合、表面フィルム部20、裏面フィルム部30及び底面フィルム部40の各々は、それぞれ個別に成形されている。
なお、本発明はこの例に限定されず、注出口付き包装袋100は、1枚の包装袋構成シート(不図示)を有し、当該包装袋構成シートの一部分がそれぞれ表面フィルム部20、裏面フィルム部30及び底面フィルム部40を構成していてもよい。
【0022】
表面フィルム部20、裏面フィルム部30及び底面フィルム部40の各々は、樹脂素材により構成された樹脂フィルム層であり、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリエステル系又はポリアミド系のいずれか1種の樹脂層を含んでいることが好ましい。
表面フィルム部20、裏面フィルム部30及び底面フィルム部40の各々は、例えば、互いに同種の樹脂層によって構成されている。
表面フィルム部20、裏面フィルム部30及び底面フィルム部40の各々を構成する樹脂層の材料は、特に限定されないが、例えば、二軸延伸ポリエチレン(BOPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)などのポリエチレン系材料、又は延伸ポリプロピレン(OPP)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、アイソタクチックPP、シンジオタクチックPP、アタクチックPP、ランダムPP、ブロックPPなどのポリプロピレン系材料、又はポリエチレンテレフタレート(PET)、非晶性ポリエチレンテレフタレート(非晶性PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)などのポリエステル系材料、又は延伸ナイロン(ONy)、未延伸ナイロン(CNy)、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、MXD6などのポリアミド系材料のいずれかであるのがより好ましく、これらのうち上記ポリエチレン系材料であるのが特に好ましい。
【0023】
なお、表面フィルム部20、裏面フィルム部30及び底面フィルム部40の各々は、例えば、基材となる複数のフィルム層が積層された構成である。ただし、表面フィルム部20、裏面フィルム部30及び底面フィルム部40の各々は、例えば、単層構造であってもよい。
複数のフィルム層は、例えば、互いに共通の樹脂材料により構成されており、当該共通の樹脂材料は、分子の化学構造における主鎖及び側鎖の分子骨格が互いに共通していることが好ましい。このようにすることにより、注出口付き包装袋100から得られるリサイクル材の物性及び品質を高めることができる。
この共通の樹脂材料は、オレフィン系、特にポリエチレン系樹脂材料であることが好ましい。このようにすることにより、注出口付き包装袋100がポリエチレン系樹脂材料により構成されているため、ポリエチレン系樹脂材料の容器リサイクルシステムが構築でき、リサイクル材の物性及び品質をより高めることができる。
このポリエチレン系樹脂材料は、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、及びエチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0024】
本実施形態の場合、表面フィルム部20、裏面フィルム部30及び底面フィルム部40の各々の周縁部どうしが相互に積層及び接合され、周縁シール部50が形成されることによって、注出口付き包装袋100が袋状に形成されている。
周縁シール部50は、例えば、表面フィルム部20の上縁と裏面フィルム部30の上縁とを接合している上縁シール部51と、表面フィルム部20の側縁と裏面フィルム部30の側縁とを接合している側縁シール部53a、53bと、表面フィルム部20の下縁と底面フィルム部40の正面側半部とを接合している第1底マチシール部52aと、裏面フィルム部30の下縁と底面フィルム部40の背面側半部とを接合している第2底マチシール部(不図示)と、を含んでいる。
上縁シール部51は、胴部11の上縁(第1切欠形状部62の形成領域を含む)に沿って横幅方向に延在している。
第1底マチシール部52aは、表面部11aの下縁及び底マチ13の周縁の正面側半部に沿って延在しており、第2底マチシール部は、裏面部11bの下縁及び底マチ13の周縁の背面側半部に沿って延在している。
側縁シール部53aは、例えば、胴部11の左側縁(第2切欠形状部64の形成領域を含む)に沿って上下に延在しており、側縁シール部53bは、例えば、胴部11の右側縁に沿って上下に延在している。
側縁シール部53aの上端は上縁シール部51の左側端部と繋がっており、側縁シール部53bの上端は上縁シール部51の右側端部と繋がっている。
側縁シール部53aの下端は第1底マチシール部52a及び第2底マチシール部の左側端部と繋がっており、側縁シール部53bの下端は第1底マチシール部52a及び第2底マチシール部の右側端部と繋がっている。
【0025】
周縁シール部50を形成する手法としては、一例として、ヒートシール、超音波シール、接着剤による接合等を用いることができる。
また、
図3において、周縁シール部50の形成領域をハッチングで示している。
【0026】
更に、底面フィルム部40の正面側の半部の左側縁と表面フィルム部20の左側縁の下端部とが相互に接合されていることにより前側下部シート片12aが構成されており、底面フィルム部40の背面側の半部の左側縁と裏面フィルム部30の左側縁の下端部とが相互に接合されていることにより後側下部シート片(不図示)が構成されている。そして、前側下部シート片12aと後側下部シート片とが互いに接合されていることにより、一繋がりのスカート部16a(
図1参照)が構成されている。
同様に、底面フィルム部40の正面側の半部の右側縁と表面フィルム部20の右側縁の下端部とが相互に接合されていることにより前側下部シート片12bが構成されており、底面フィルム部40の背面側の半部の右側縁と裏面フィルム部30の右側縁の下端部とが相互に接合されていることにより後側下部シート片(不図示)が構成されている。そして、前側下部シート片12bと後側下部シート片とが互いに接合されていることにより、一繋がりのスカート部16bが構成されている。
そして、注出口付き包装袋100は、スカート部16a、16bなどの構成によって、少なくとも収容領域15に内容物が収容されて底マチ13を下側にして載置面に設置された状態で自立可能である。つまり、少なくとも収容領域15に内容物が収容された状態で、底マチ13を下側にして自立可能な剛性を有する。
【0027】
図2に示すように、本実施形態の場合、表面フィルム部20及び裏面フィルム部30の、表裏に対向する同一箇所に、それぞれエンボス80a、80bが形成されている。表面フィルム部20のエンボス80aと裏面フィルム部30の80bとは、互いに反対方向に凸に形成されている。
なお、「表裏に対向する同一箇所に、それぞれエンボス80a、80bが形成されている」とは、少なくともエンボス80a、80bの一部分どうしが表裏方向において重なることを意味している。
これにより、表面フィルム部20のエンボス80aと裏面フィルム部30のエンボス80bとが互いに対向しており、これらのエンボス80a、80bどうしの間に十分な空隙85が形成されるようにできるため、本体部10の開口17a、17bの拡がり(例えば、
図2に示す矢印A方向への拡がり)具合を更に十分に得ることができる。
なお、本発明は、この例に限らず、表面フィルム部20と裏面フィルム部30とのいずれか一方に選択的にエンボス80が設けられていてもよく、この場合も、エンボス80によって、フィルム部どうし(本実施形態の場合、表面フィルム部20と裏面フィルム部30)が密着してしまうことを抑制できるので、開口17a、17bの拡がり具合を十分に確保することができる。
また、ここでのエンボス80a、80bの位置関係は、内容物の収容前又は内容物を排出され表面フィルム部20と裏面フィルム部30との内面どうしが面接触するように注出口付き包装袋100が平坦となった状態で、表面フィルム部20(又は裏面フィルム部30)の面直方向に注出口付き包装袋100を視た状態での位置関係である。
本実施形態の場合、表面フィルム部20のエンボス80aと裏面フィルム部30のエンボス80bとは互いに同一形状及び同一寸法に設定されている。そして、表面フィルム部20及び裏面フィルム部30をその面直方向に視たときに、エンボス80aの外形線とエンボス80bの外形線とは互い一致している(重なっている)。
ただし、本発明はこの例に限定されず、表面フィルム部20のエンボス80aと裏面フィルム部30のエンボス80bとは互いに異なる形状及び異なる寸法に設定されていてもよい。この場合も、表面フィルム部20(又は裏面フィルム部30)の面直方向に注出口付き包装袋100を視たときに、エンボス80a、80bの少なくとも一部分どうしが重なっていることが好ましい。
【0028】
ここで、本実施形態の場合、本体開口起点部71は、周縁シール部50の1箇所にのみ形成されている。
これにより、本体開口起点部71を設けつつも、周縁シール部50の全体の構造的強度ひいては注出口付き包装袋100の構造的強度を十分に確保することができる。
ただし、本発明において、本体開口起点部71は、例えば、周縁シール部50における複数箇所に形成されていてもよい。
【0029】
また、例えば、本体開口起点部71の延長線201に沿って複数のエンボス80が形成されている。
これにより、本体部10の開口17a、17bは、複数のエンボス80(エンボス線)を含んで形成されるようにできる。これにより、開口17a、17b及びその近傍において、フィルム部どうし(表面フィルム部20と裏面フィルム部30)が完全に密着してしまうことをより確実に抑制できるので、開口17a、17bの拡がり具合を更に十分に確保することができる。
なお、ここで、「本体開口起点部71の延長線201に沿って複数のエンボス80が形成されている」とは、本体開口起点部71の延長線201上に複数のエンボス80の少なくとも一部分が配置されていることを意味しており、好ましくは複数のエンボス80の各々は延長線201に対して交差している。
【0030】
図1及び
図2に示すように、複数のエンボス80の各々は、例えば、互いに同一形状及び同一寸法に形成されている。各エンボス80の正面形状は、一例として、上下に長尺な長方形状に形成されている。これにより、本体部10に形成される裂け目(開口17a、17b(
図5参照))が、本体開口起点部71を起点として、延長線201から徐々に離間する方向に傾斜して形成されたとしても、当該裂け目が、エンボス80を含んで形成されるようにできる。
なお、本発明において、エンボス80の正面形状はこの例に限定されず、適宜設定することができる。より詳細には、例えば、複数のエンボス80のうち本体開口起点部71から遠くに位置するエンボス80ほど、延長線201の延在方向に対して直交する方向(上下方向)における寸法が大きくなるように構成されていてもよい。このようにすることによって、本体部10に形成される裂け目(開口17a、17b)が、本体開口起点部71を起点として、延長線201から徐々に離間する方向に傾斜して形成されたとしても、当該裂け目が、本体開口起点部71から遠くに位置するエンボス80も含んで形成されるようにできる。
【0031】
本実施形態の場合、各エンボス80は、表面フィルム部20及び裏面フィルム部30における一部分を、それぞれ外方に向けて局所的に膨張させるエンボス加工によって形成されている。延長線201に沿った各エンボス80の断面形状(エンボス線の形状)は、一例として、外方に向けて凸の略矩形状に形成されている。より詳細には、延長線201に沿った断面において、表面フィルム部20のエンボス80aは、前方に向けて凸に膨出しており、裏面フィルム部30のエンボス80bは、後方に向けて凸に膨出している。
複数のエンボス80の各々は、例えば、延長線201に沿って直線状に一列に配置されている。延長線201は、例えば、各エンボス80を上下に2等分する位置に配置されている。
また、正面視において、複数のエンボス80の各々の外形線の全体が、本体開口起点部71を頂点とし本体開口起点部71の延長線201を二等分線とする頂角60°を為す二点鎖線202、203の間に収まっている。
また、複数のエンボス80aの各々は、例えば、表面フィルム部20における周縁シール部50で囲まれている領域、すなわち表面フィルム部20と裏面フィルム部30とが互いに非接合となっている領域に形成されている。一例として、複数のエンボス80aの各々は、側縁シール部53aと側縁シール部53bとの間に配置されている。
同様に、複数のエンボス80bの各々は、裏面フィルム部30における周縁シール部50で囲まれている領域、すなわち表面フィルム部20と裏面フィルム部30とが互いに非接合となっている領域に形成されている。一例として、複数のエンボス80bの各々は、側縁シール部53aと側縁シール部53bとの間に配置されている。
エンボス80を形成する手法としては、特に限定されないが、例えば、エンボス型が形成された金型(不図示)を用いて、加熱したフィルム部(表面フィルム部20及び裏面フィルム部30)と金型との間を真空引きすることによって形成することができる。ただし、本発明において、エンボス80を形成する手法はこの例に限定されない。なお、
図3においては、エンボス80の形成領域を二点鎖線で示している。
また、本実施形態の場合、一例として、周縁シール部50の形成によって注出口付き包装袋100が袋状に成形された後に、エンボス80は形成される。ただし、本発明において、エンボス80を形成するタイミングは、周縁シール部50の形成前であってもよい。
【0032】
更に、周縁シール部50には、例えば、注出口部60を開口するための注出開口起点部76が形成されている。上述の注出口部60の開口予定部65は、注出開口起点部76を起点として開口する。
開口予定部65は、例えば、本体開口起点部71を頂点とし本体開口起点部71の延長線を二等分線とする頂角60°(
図1に示す二点鎖線202、203が為す角度)の領域を避けて配置されている。
これにより、本体部10に形成される裂け目(開口17a、17b)が、本体開口起点部71を起点として、延長線201から徐々に離間する方向に傾斜して形成されたとしても、当該裂け目が注出口部60の開口予定部65に合流してしまうことを抑制できるので、注出口部60が本体部10から切り離されないようにできる。
ここで、上記の頂角60°は、本体部10を開口する前の状態、且つ、表面フィルム部20と裏面フィルム部30との内面どうしが面接触するように平坦となった状態において、胴部11を正面視したときの角度とすることができる。
【0033】
図1に示すように、注出開口起点部76は、例えば、胴部11の上端側の一隅部に形成されている。より詳細には、注出開口起点部76は、例えば、第1切欠形状部62の周縁部の一部分に形成されている。注出開口起点部76の延長線は、例えば、注出流路68を横断する方向に延在しており、当該延長線が開口予定部65である。
【0034】
本体開口起点部71から注出口部60の先端までの距離L1(
図4参照)は、50mm以上100mm以下であることが好ましい。
このようにすることによって、本体開口起点部71が注出口部60に対して比較的近傍に位置することになるので、使用者は、例えば、注出口部60を触って確認することによって、視覚に頼ることなく本体開口起点部71の位置も容易に把握することができる。
ここで、本体開口起点部71から注出口部60の先端までの距離L1は、注出開口起点部76が開口する前の状態、且つ、表面フィルム部20と裏面フィルム部30との内面どうしが面接触するように注出口付き包装袋100が平坦となった状態において、胴部11を正面視したときの寸法とすることができる。
【0035】
また、本実施形態の場合、周縁シール部50において本体開口起点部71を含む部分は、局部的に内方に向けて張り出した内方張出部57を含んでいる。
なお、ここでいう内方とは、表面フィルム部20と裏面フィルム部30との内面どうしが面接触するように注出口付き包装袋100が平坦となった状態において、胴部11を正面視したときの本体部10の中心側である。
これにより、本体開口起点部71を起点として延長線201に沿って本体部10を引き裂く際に形成される裂け目(開口17a、17b)が、本体部10の周縁部を内方に向けて避けた位置で収容領域15に達するようにできる。よって、例えば、表面フィルム部20と裏面フィルム部30との各々の周縁部どうしの間に残留していた内容物が、裂け目を介して使用者の指などに付着してしまうことを抑制できる。
【0036】
周縁シール部50において本体開口起点部71を含む部分(本実施形態の場合、側縁シール部53a及び内方張出部57)の、本体開口起点部71の延在方向における寸法(
図4に示す寸法L3)は、15mm以上60mm以下であることが好ましい。
一方、本体開口起点部71の延在方向に対して直交する内方張出部57の幅寸法(
図4に示すL2)は、18mm以上70mm以下であることが好ましい。
このようにすることによって、本体部10の開封方向(本体開口起点部71の延在方向)において、一般的な成人男性の人差し指の第1関節から第2関節までの長さ分の周縁シール部50の寸法を確保することができる。また、本体部10の開封方向(本体開口起点部71の延在方向)に対して直交する方向において、一般的な成人男性の親指の太さ(幅)分の内方張出部57の幅寸法を確保することができる。よって、本体部10における本体開口起点部71の近傍を、後述するように人差し指と親指とによって摘まむ際に、これらの指に内容物が付着してしまうことを抑制できる。
ここで、幅寸法L2及び寸法L3は、本体部10を開口する前の状態、且つ、表面フィルム部20と裏面フィルム部30との内面どうしが面接触するように注出口付き包装袋100が平坦となった状態において、胴部11を正面視したときの寸法とすることができる。
【0037】
更に、本実施形態の場合、表面フィルム部20及び裏面フィルム部30において本体部10を構成する部分は印刷層を含み、表面フィルム部20及び裏面フィルム部30の少なくとも一方は、本体開口起点部71の延長線201に沿って印刷層(不図示)が非形成の印刷レス部(例えば、
図1に示す領域B)を有する。
これにより、本体開口起点部71を起点として本体部10を引き裂く際に、延長線201に沿って裂け目(開口17a、17b)をよりスムーズに形成することができる。
【0038】
本実施形態の場合、一例として、表面フィルム部20及び裏面フィルム部30の各々が印刷層を含み、当該表面フィルム部20及び裏面フィルム部30の両方が印刷レス部を有する。
図1に示すように、正面視において、表面フィルム部20の印刷レス部(領域B)は、例えば、本体開口起点部71の先端から分離抑制部55に亘って直線状に形成されている。
同様に、背面視において、裏面フィルム部30の印刷レス部(不図示)は、例えば、本体開口起点部71の先端から分離抑制部55に亘って形成されている。
ただし、本発明はこの例に限定されず、表面フィルム部20と裏面フィルム部30とのいずれか一方が選択的に印刷レス部を有していてもよく、この場合であっても、印刷レス部を有するフィルム部において、延長線201に沿って裂け目(開口17a、17b)をスムーズに形成することができる。
【0039】
印刷層は、例えば、オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷などによって形成することができ、更には、無色印刷層であり保護層としての機能を有するメジウム印刷層であってもよい。なお、印刷層がメジウム印刷層である場合、当該印刷層はフィルム部の外面側に形成されることが好ましい。
【0040】
本実施形態の場合、本体開口起点部71は、本体部10の一方の側縁の周縁シール部50に形成されており、分離抑制部55は、本体部10の他方の側縁の周縁シール部50である。
このような構成によれば、開口17a、17bを、本体部10の一方の側縁から他方の側縁に向けて横幅方向に横断するように形成しつつも、当該他方の側縁(分離抑制部55)において一方側の部分18と他方側の部分19とが互いに繋がっている状態を維持することができる。すなわち、開口17a、17bの開口幅を十分に確保しつつも、他方側の部分19が一方側の部分18から完全に切り離されて分離片とならないようにできる。
【0041】
より詳細には、
図1に示すように、本体開口起点部71は、例えば、側縁シール部53aにおいて、注出開口起点部76よりも下側、且つ、当該側縁シール部53aの中間(上下方向における中間)よりも上側の領域に形成されている。そして、側縁シール部53aにおける本体開口起点部71と対応する部分は、局部的に内方に向けて張り出した内方張出部57を構成している。
本体開口起点部71は、例えば、胴部11の左側縁から右方に向けて窪んだノッチである。本体開口起点部71は、正面視において、例えば、先端側(右方)に向けて先細りした略三角形状(V字を横倒しした形状)に形成されている。ただし、本発明において、本体開口起点部71の形状はこの例に限定されず、例えば、横幅方向に延在する直線状、半円形状及びスリット形状等であってもよい。
そして、本体開口起点部71の延長線201は、
図1に示すように、横幅方向に延在している。すなわち、本実施形態の場合、本体部10の開封方向は、横幅方向における側縁シール部53a側から側縁シール部53b側に向かう方向(
図1に示す矢印Dの方向)である。
内方張出部57は、正面視において、例えば、胴部11の左側縁から右方に張り出しており、略矩形状に形成されている。正面視において、本体開口起点部71は、内方張出部57の外形線の内側に収まっている。
一方、分離抑制部55は、例えば、側縁シール部53bである。より詳細には、側縁シール部53bにおいて、本体開口起点部71を頂点とし本体開口起点部71の延長線201を二等分線とする頂角60°の領域(二点鎖線202、203の間の領域)に含まれる部分が分離抑制部55を構成している。側縁シール部53bにおいて、少なくとも当該分離抑制部55を構成する部分の幅寸法は、上下方向における位置にかかわらず略一定となっている。
また、延長線201の延在方向(横幅方向)において、複数のエンボス80は、例えば、本体開口起点部71と分離抑制部55との間に配置されている。
【0042】
なお、本発明において、本体開口起点部71の配置は上述の例に限定されず、例えば、本体開口起点部71は、延長線201の延在方向において注出口部60側とは反対側の側縁(側縁シール部53b)に配置されていてもよい。また、本体開口起点部71は、後述のように上縁シール部51に形成されていてもよいし、第1底マチシール部52a及び第2底マチシール部に形成されていてもよい。いずれの場合であっても、本体開口起点部71から注出口部60の先端までの距離L1(
図4参照)は、50mm以上100mm以下であることが好ましい。また、開口予定部65は、例えば、本体開口起点部71を頂点とし本体開口起点部71の延長線を二等分線とする頂角60°の領域を避けて配置されていることが好ましい。
【0043】
上述のように、本実施形態に係る注出口付き包装袋100において、内容物を使い切った後は、本体部10を開口し、本体部10の内部を洗浄水で洗浄する。以下、詳細に説明する。
【0044】
先ず、周縁シール部50における本体開口起点部71を含む部分(本実施形態の場合、例えば、内方張出部57及び側縁シール部53aの一部分)を指で摘まむ。この際、例えば、人差し指と親指とによって本体部10の表裏(表面フィルム部20及び裏面フィルム部30)から本体開口起点部71の近傍を摘まむ。
上述のように、周縁シール部50における本体開口起点部71を含む部分は、一般的な成人男性の人差し指の第1関節から第2関節までの長さ分の寸法、及び、一般的な成人男性の親指の太さ(幅)分の幅寸法を有する。このため、指に内容物が付着してしまうことを抑制できる。
【0045】
次に、周縁シール部50における本体開口起点部71を含む部分を摘まんだ状態を維持しつつ、当該本体開口起点部71を起点として延長線201に沿うように本体部10を引き裂く。
より詳細には、本体部10を摘まんだ指を、延長線201の延在方向(横幅方向)において、本体開口起点部71側(側縁シール部53a側)から分離抑制部55側(側縁シール部53b)に移動させることによって、本体部10に開口17a、17b(裂け目)を形成する(
図5参照)。この際、上述のように、開口17a、17bが分離抑制部55の近傍で終端するので、開口17a、17bを基準として、本体部10における一方側の部分18と他方側の部分19とが分離抑制部55を介して互いに繋がった状態を良好に維持できる。
更には、上述のように、側縁シール部53bにおいて、本体開口起点部71を頂点とし本体開口起点部71の延長線201を二等分線とする頂角60°の領域(二点鎖線202、203の間の領域)に含まれる部分が分離抑制部55を構成している。このため、本体部10に形成される裂け目(開口17a、17b)が、本体開口起点部71を起点として、延長線201から徐々に離間する方向に傾斜して形成されたとしても、当該裂け目が分離抑制部55(側縁シール部53b)において終端するようにできる。
【0046】
図5に示すように、このようにして形成された開口17a、17bは、本体部10を横断するように形成され、十分な開口幅を有する。更には、開口17a、17bはエンボス80(エンボス線)を含んで形成されるので、開口17a、17bの拡がり具合を十分に確保することができる。なお、開口17a、17bは、すべてのエンボス80を横断して形成されることが好ましい。すなわち、開口17a、17bは、すべてのエンボス80を含んで形成されることが好ましい。
このような構成によれば、開口17a、17bを介して、本体部10の内部に洗浄水をスムーズに注入することができる。
より詳細には、開口17aを介して本体部10における一方側の部分18の内部に洗浄水を注入し、当該一方側の部分18の内面に残留した内容物をすすぎ落とす。同様に、開口17bを介して本体部10における他方側の部分19の内部に洗浄水を注入し、当該他方側の部分19の内面に残留した内容物をすすぎ落とす。これにより、注出口付き包装袋100を構成する各フィルム部(表面フィルム部20、裏面フィルム部30及び底面フィルム部40)を良好に水平リサイクルすることができる。
【0047】
ここで、上述のように、本実施形態の場合、表面フィルム部20のエンボス80aと裏面フィルム部30のエンボス80bとが互いに対向しており、これらのエンボス80a、80bどうしの間に十分な空隙85が形成される。そして、開口17a、17bがエンボス80a、80bを横断して形成されることによって、当該開口17a、17bはその他の部よりも幅広である幅広部86を含む構成となる。これにより、洗浄水を注入する際に、洗浄水の水圧が幅広部86ひいては開口17a、17bに良好に作用して、当該開口17a、17bが更に大きく拡げられるようにできる。
また、上述の金型を用いて真空引きする手法でエンボス80が形成されている場合、表面フィルム部20及び裏面フィルム部30において、エンボス80の形成領域は外方に向けて凸に引っ張られた状態となっているので、当該エンボス80の周囲には、本体部10の右側縁と左側縁とが互いに近づこうとする方向の応力(張力)が付与されている。このため、本体部10が開口したときには、表面フィルム部20及び裏面フィルム部30に予め付与されている応力(張力)の作用により本体部10の右側縁と左側縁とが互いに近づくことによって、開口17a、17bが、例えば、略扁桃形状にスムーズに開口するようにできる。
【0048】
<第1実施形態の変形例1>
次に、
図6を用いて第1実施形態の変形例1を説明する。
本実施形態に係る注出口付き包装袋100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る注出口付き包装袋100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る注出口付き包装袋100と同様に構成されている。
【0049】
本変形例の場合、複数のエンボス80の各々は、表面フィルム部20及び裏面フィルム部30における一部分に対して、それぞれ局所的に外方に向けて凸の折り癖をつけるエンボス加工によって形成されている。
このような構成によっても、エンボス80によって、本体部10の開口17a、17bの拡がり具合を更に十分に得ることができる。
【0050】
より詳細には、
図6に示すように、延長線201に沿った複数のエンボス80の各々の断面形状は、例えば、外方に向けて凸の略三角形状(V字形状)に形成されている。
【0051】
<第1実施形態の変形例2>
次に、
図7を用いて第1実施形態の変形例2を説明する。
本実施形態に係る注出口付き包装袋100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る注出口付き包装袋100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る注出口付き包装袋100と同様に構成されている。
【0052】
図7に示すように、本変形例の場合、本体開口起点部71は、本体部10の上縁の周縁シール部50に形成されており、分離抑制部55は、本体部10の下縁の周縁シール部50である点において、上述の第1実施形態に係る注出口付き包装袋100と相違している。
このような構成によっても、開口17a、17bの開口幅を十分に確保しつつも、他方側の部分19が一方側の部分18から完全に切り離されて分離片とならないようにできる。
【0053】
より詳細には、本変形例の場合、本体開口起点部71は、例えば、上縁シール部51の中間部に形成されている。そして、上縁シール部51における本体開口起点部71と対応する部分は、局部的に内方に向けて張り出した内方張出部57を構成している。
本体開口起点部71は、例えば、胴部11の上縁から下方に向けて窪んだノッチである。本体開口起点部71は、正面視において、例えば、先端側(下方)に向けて先細りした略三角形状(V字を横倒しした形状)に形成されている。ただし、本発明において、本体開口起点部71の形状はこの例に限定されず、例えば、横幅方向に延在する直線状、半円形状及びスリット形状等であってもよい。
そして、本体開口起点部71の延長線201は、
図7に示すように、上下方向(縦幅方向)に延在している。すなわち、本変形例の場合、本体部10の開封方向は、上下方向における上縁シール部51側から第1底マチシール部52a及び第2底マチシール部側に向かう方向(
図7に示す矢印Dの方向)である。
内方張出部57は、正面視において、例えば、胴部11の上縁から下方に張り出しており、略矩形状に形成されている。正面視において、本体開口起点部71は、内方張出部57の外形線の内側に収まっている。
一方、分離抑制部55は、例えば、第1底マチシール部52a及び第2底マチシール部である。より詳細には、第1底マチシール部52a及び第2底マチシール部において、本体開口起点部71を頂点とし本体開口起点部71の延長線201を二等分線とする頂角60°の領域(二点鎖線202、203の間の領域)に含まれる部分が分離抑制部55を構成している。
また、延長線201の延在方向(縦幅方向)において、複数のエンボス80は、例えば、本体開口起点部71と分離抑制部55との間に配置されている。
本変形例の場合も、各エンボス80は、正面視において、一方向に長尺な略長方形状に形成されている。ただし、本変形例の場合、各エンボス80は、横幅方向において長尺となっている。
【0054】
また、本変形例の場合も、第1実施形態と同様に、本体開口起点部71から注出口部60の先端までの距離L1(
図7参照)は、50mm以上100mm以下であることが好ましい。
このようにすることによって、使用者は、例えば、本体開口起点部71の位置を触知することによって、視覚に頼ることなく注出口部60の位置も容易に把握することができる。
【0055】
<第1実施形態の変形例3>
次に、
図8を用いて第1実施形態の変形例3を説明する。
本実施形態に係る注出口付き包装袋100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る注出口付き包装袋100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る注出口付き包装袋100と同様に構成されている。
【0056】
エンボス80のうち最も本体開口起点部71の近くに位置するエンボス80は、本体開口起点部71を頂点とし本体開口起点部71の延長線201を二等分線とする頂角60°の角度範囲(二点鎖線202、203とが為す角度範囲)の全域に亘って存在している。
このような構成によれば、本体部10に形成される裂け目(開口17a、17b)が、本体開口起点部71を起点として、延長線201から徐々に離間する方向に傾斜して形成されたとしても、当該裂け目(開口17a、17b)が、エンボス80のうち最も本体開口起点部71の近くに位置するエンボス80を含んで形成されるようにできる。
より詳細には、エンボス80のうち最も本体開口起点部71の近くに位置するエンボス80は、本体開口起点部71を頂点とし本体開口起点部71の延長線201を二等分線とする頂角60°の角度範囲(二点鎖線202、203とが為す角度範囲)以上に亘って延在している。
【0057】
より詳細には、本実施形態の場合も、第1実施形態と同様に、本体開口起点部71は、側縁シール部53aに形成されている。そして、横幅方向に並ぶ複数のエンボス80のうち、最も左側に位置するエンボス80が、本体開口起点部71を頂点とし本体開口起点部71の延長線201を二等分線とする頂角60°の角度範囲(二点鎖線202、203とが為す角度範囲)の全域に亘って存在している。
また、各エンボス80は、第1実施形態のエンボス80と同一形状及び同一寸法に設定されている。
最も左側に位置するエンボス80の外形線の左上角部は、二点鎖線202と接触しており、当該エンボス80の外形線の左下角部は、二点鎖線203と接触している。より詳細には、最も左側に位置するエンボス80の外形線の左上角部の頂点は、二点鎖線202、203が為す角度範囲の外側に位置しており、当該エンボス80の外形線の左下角部の頂点も、二点鎖線202、203が為す角度範囲の外側に位置している。
【0058】
〔第2実施形態〕
次に、
図9を用いて第2実施形態を説明する。
本実施形態に係る注出口付き包装袋100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る注出口付き包装袋100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る注出口付き包装袋100と同様に構成されている。
【0059】
エンボス80において、本体開口起点部71の延長線201を基準として一方の側に位置する部分(以下、一方側部分81)は、一方の側に向けて窄まっている。
このような構成によれば、本体部10を開口する際には、本体部10における一方側の部分18が、エンボス80における一方の側に向けて窄まっている部分(一方側部分81)を含むこととなる。これにより、本体部10の一方側の部分18に開口17aを介して洗浄水を注入する際に、洗浄水の水圧が当該開口17aに対してより良好に作用するようにできるので、当該開口17aがより一層大きく拡げられるようにできる。
【0060】
図9に示すように、一方側部分81の下部の横幅寸法は、例えば、上下方向における位置にかかわらず略一定となっている。一方、一方側部分81の上部の横幅寸法は、上方に向けて徐々に拡大している。
また、エンボス80において、本体開口起点部71の延長線を基準として他方の側に位置する部分(以下、他方側部分83)の横幅寸法は、上下方向における位置にかかわらず略一定となっている。他方側部分83の横幅寸法は、例えば、一方側部分81の上部の最大横幅寸法と略同等に設定されている。
また、本実施形態の場合、最も左側に位置するエンボス80の外形線の左上角部は、二点鎖線202と接触しており、当該エンボス80の外形線の下端部は、二点鎖線203と接触している。より詳細には、最も左側に位置するエンボス80の外形線の左上角部の頂点は、二点鎖線202、203が為す角度範囲の外側に位置しており、当該エンボス80の外形線の左下角部も、二点鎖線202、203が為す角度範囲の外側に位置している。
【0061】
〔第3実施形態〕
次に、
図10を用いて第3実施形態を説明する。
本実施形態に係る注出口付き包装袋100は、以下に説明する点で、上記の第1、2実施形態に係る注出口付き包装袋100と相違しており、その他の点では、上記の第1、2実施形態に係る注出口付き包装袋100と同様に構成されている。
【0062】
図10に示すように、本実施形態の場合、エンボス80において、本体開口起点部71の延長線201を基準として一方の側に位置する部分(一方側部分81)が、一方の側に向けて窄まっているとともに、当該延長線201を基準として他方の側に位置する部分(他方側部分83)も、他方の側に向けて窄まっている。
このような構成によれば、本体部10を開口する際には、本体部10における一方側の部分18が、エンボス80における一方の側に向けて窄まっている部分(一方側部分81)を含む一方で、本体部10における他方側の部分19が、エンボス80における他方の側に向けて窄まっている部分(他方側部分83)を含むこととなる。これにより、本体部10の一方側の部分18に開口17aを介して洗浄水を注入する際に、洗浄水の水圧が当該開口17aに対してより良好に作用するようにできるので、当該開口17aがより一層大きく拡げられるようにできる。同様に、本体部10の他方の部分19に開口17bを介して洗浄水を注入する際にも、洗浄水の水圧が当該開口17bに対してより良好に作用するようにできるので、当該開口17bがより一層大きく拡げられるようにできる。
【0063】
より詳細には、本実施形態の場合、エンボス80には、延長線201を基準として、一方側部分81と他方側部分83とは、上下対称形状に形成されている。
一方側部分81の横幅寸法は、例えば、下方に向けて徐々に縮小している。他方側部分83の横幅寸法は、例えば、上方に向けて徐々に縮小している。
正面視において、エンボス80は、例えば、略菱形状に形成されており、当該菱形の2つの対角線のうち一方の対角線が横幅方向に延在しており、他方の対角線が上下方向に延在している。
また、本実施形態の場合、最も左側に位置するエンボス80の外形線の上端は、二点鎖線202と接触しており、当該エンボス80の外形線の下端は、二点鎖線203と接触している。最も左側に位置するエンボス80の外形線の上端は、二点鎖線202上に位置しており、当該エンボス80の外形線の下端は、二点鎖線203上に位置している。
【0064】
<第3実施形態の変形例>
次に、
図11を用いて第3実施形態の変形例を説明する。
本実施形態に係る注出口付き包装袋100は、以下に説明する点で、上記の第3実施形態に係る注出口付き包装袋100と相違しており、その他の点では、上記の第3実施形態に係る注出口付き包装袋100と同様に構成されている。
【0065】
本変形例の場合も、第3実施形態と同様に、エンボス80において、本体開口起点部71の延長線201を基準として一方の側に位置する部分(一方側部分81)が、一方の側に向けて窄まっているとともに、当該延長線201を基準として他方の側に位置する部分(他方側部分83)も、他方の側に向けて窄まっている。
ただし、本変形例の場合、一方側部分81の横幅寸法は、下方に向けて2段階に縮小している。同様に、他方側部分83の横幅寸法は、上方に向けて2段階に縮小している。
正面視において、エンボス80は、例えば、横幅方向に延在する直線と、上下方向に延在する直線と、が互いに直交した略クロス形状に形成されている。
また、本変形例の場合、最も左側に位置するエンボス80の外形線の左上角部は、二点鎖線202と接触しており、当該エンボス80の外形線の左下角部は、二点鎖線203と接触している。
【0066】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
【符号の説明】
【0067】
10 本体部
11 胴部
11a 表面部
11b 裏面部
12a、12b 前側下部シート片
13 底マチ
15 収容領域
16a、16b スカート部
17a、17b 開口
18 一方側の部分
19 他方側の部分
20 表面フィルム部
30 裏面フィルム部
40 底面フィルム部
50 周縁シール部
51 上縁シール部
52a 第1底マチシール部
53a、53b 側縁シール部
55 分離抑制部
57 内方張出部
60 注出口部
61 開口
62 第1切欠形状部
64 第2切欠形状部
65 開口予定部
66 開封タブ
67 開封案内線
68 注出流路
71 本体開口起点部
76 注出開口起点部
80、80a、80b エンボス
81 一方側部分
83 他方側部分
85 空隙
86 幅広部
100 注出口付き包装袋
201 延長線
202、203 二点鎖線