(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011809
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】フロアヒータ装置、フロアヒータ装置の設置方法及びヒータ配置用部材
(51)【国際特許分類】
F25D 21/04 20060101AFI20240118BHJP
F25D 23/02 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
F25D21/04 N
F25D23/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114074
(22)【出願日】2022-07-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】522285750
【氏名又は名称】ナガサキロジスティクス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000213231
【氏名又は名称】株式会社中部コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 浩明
(72)【発明者】
【氏名】近藤 充博
(72)【発明者】
【氏名】高口 巌
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA02
3L102KA01
(57)【要約】
【課題】強度が高く、容易に低コストで最適な温度のヒータを設置することができるとともに、ヒータの交換等を容易に実施することができるフロアヒータ装置及びフロアヒータ装置の設置方法を提供する。
【解決手段】地面又は床面に設置されるフロアヒータ装置において、地面又は床面における上面に開口した空間部内に固定された枠体と、枠体に固定され、複数の溝を有するグレーチングと、複数の溝の少なくとも一部に嵌入された線状のヒータと、グレーチングの上に着脱自在に載置され、空間部の開口を閉鎖する板状部材と、を有し、ヒータと板状部材とは少なくとも一部で接触している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面又は床面に設置されるフロアヒータ装置において、
前記地面又は床面における上面に開口した空間部内に固定された枠体と、
前記枠体に固定され、複数の溝を有するグレーチングと、
前記複数の溝の少なくとも一部に嵌入された線状のヒータと、
前記グレーチングの上に着脱自在に載置され、前記空間部の開口を閉鎖する板状部材と、を有し、
前記ヒータと前記板状部材とは少なくとも一部で接触していることを特徴とする、フロアヒータ装置。
【請求項2】
前記空間部内における前記枠体、前記グレーチング及び前記ヒータを除く領域に、耐熱性粒状体が充填されていることを特徴とする、請求項1に記載のフロアヒータ装置。
【請求項3】
前記ヒータは、前記溝内において、前記耐熱性粒状体により位置が調整されており、前記ヒータと前記板状部材とが直接又は前記耐熱性粒状体を介して接触していることを特徴とする、請求項2に記載のフロアヒータ装置。
【請求項4】
前記溝は、前記グレーチングにおける厚さ方向に平行な一端面から、前記一端面に対向する他端面まで貫通しており、
前記ヒータは、前記複数の溝を蛇行するように配置されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のフロアヒータ装置。
【請求項5】
前記溝における前記地面又は床面に対して直交する方向の深さは、前記ヒータの径と略同一であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のフロアヒータ装置。
【請求項6】
地面又は床面に設置されるフロアヒータ装置の設置方法において、
前記地面又は床面における、上面に開口した空間部内に枠体を固定する工程と、
前記枠体に、複数の溝を有するグレーチングを固定する工程と、
前記複数の溝の少なくとも一部に線状のヒータを嵌入する工程と、
前記グレーチングの上に、前記ヒータと少なくとも一部が接触するように、板状部材を着脱自在に載置して前記空間部の開口を閉鎖する工程と、を有することを特徴とする、フロアヒータ装置の設置方法。
【請求項7】
前記空間部は、壁面及び底面により構成されており、
前記枠体を固定する工程と、前記グレーチングを固定する工程との間に、前記枠体と前記壁面及び底面との間に、前記壁面及び底面を構成する材料と同質の材料を充填する工程を有することを特徴とする、請求項6に記載のフロアヒータ装置の設置方法。
【請求項8】
前記空間部の開口を閉鎖する工程の前に、前記枠体、前記グレーチング及び前記ヒータを除く領域に、耐熱性粒状体を充填する工程を有することを特徴とする、請求項6又は7に記載のフロアヒータ装置の設置方法。
【請求項9】
請求項1~3のいずれか1項に記載のフロアヒータ装置に用いられ、前記線状のヒータが配置されるヒータ配置用部材であって、
グレーチング及び枠体を有し、
前記グレーチングは、その厚さ方向に平行な一端面から、前記一端面に対向する他端面まで貫通する溝を有し、
前記枠体は、前記グレーチングを下方から支持する受け部と、前記グレーチングの厚さ方向に平行な端面を取り囲む枠部と、を有し、
前記グレーチングの一端面と前記枠部との間、及び前記グレーチングの他端面と前記枠部との間に、前記ヒータが配置される配線用空間が設けられており、前記溝及び前記配線用空間により、前記ヒータが蛇行するように配置される経路が構成されることを特徴とする、ヒータ配置用部材。
【請求項10】
前記溝における前記グレーチングの厚さ方向に平行な方向の深さは、前記ヒータの径と略同一であることを特徴とする、請求項9に記載のヒータ配置用部材。
【請求項11】
前記枠体は、前記受け部上に前記グレーチングが載置された場合に前記グレーチングの上面と略同一面上となる平面部を有し、
前記平面部は、前記グレーチングの上に載置される板状部材を固定するためのボルト穴を有することを特徴とする、請求項9に記載のヒータ配置用部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強度が高く、容易にヒータの交換等を実施することができ、容易に低コストで設置することができるフロアヒータ装置、フロアヒータ装置の設置方法及びヒータ配置用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却が必要な冷凍・冷蔵倉庫の出入口には、一般的に、両側に開閉するスライド式のドアが設置されている。このドアは、出入口を構成する上枠に取り付けられたレールに吊り下げられている。また、ドアの下方には、冷凍・冷蔵倉庫内の冷気を外部に漏出させないように、また、外部の暖かい空気が内部に浸入することを防止するために、ドアと地面との隙間を埋めるゴムパッキンが取り付けられている。
このように構成された冷凍・冷蔵倉庫においては、ドアの外側と内側とで温度差が発生するため、特に床とゴムパッキンとの間に結露が生じ、ドアの開閉が困難になる場合がある。また、床面が結露、凍結により車両が滑るおそれがある。そこで、従来より、床面の結露や凍結の発生を防止するため、冷凍・冷蔵倉庫の出入口付近の床面に設置するヒータが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、縞鋼板、フロアヒータ、第一の断熱材、ゴムパッキン、下地鋼板、第二の断熱材、シンダーコンクリート及び第三の断熱材を、この順序で上部から下部にかけて多層を形成し、縞鋼板を取り外し自在に載置したフロアヒータ装置が開示されている。上記特許文献1に記載のフロアヒータ装置は、コンクリートからなる床面に埋設する方法と異なり、上面に縞鋼板を使用しているため、フロアヒータや電線が必要となった場合等に、縞鋼板をフロアヒータの表面から除くだけで、容易に交換・修理が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のフロアヒータ装置は、コンクリートの上に複数の断熱材やゴムパッキン等のように必要とする部材数が多く、設置方法が煩雑である。また、倉庫内の貨物を運搬するフォークリフト等の車両は重量が大きいため、その荷重に耐えうる強度を有する板厚の縞鋼板が必要となる。したがって、フロアヒータや電線の交換のために、重機等で縞鋼板を移動させる必要があり、長時間の作業や大きい労働力が必要となる。さらに、使用する環境に応じて、ヒータの温度を調整することが困難である。
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、強度が高く、容易に低コストで最適な温度のヒータを設置することができるとともに、ヒータの交換等を容易に実施することができるフロアヒータ装置、フロアヒータ装置の設置方法及び上記フロアヒータ装置に用いられるヒータ配置用部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 地面又は床面に設置されるフロアヒータ装置において、
上記地面又は床面における上面に開口した空間部内に固定された枠体と、
上記枠体に固定され、複数の溝を有するグレーチングと、
上記複数の溝の少なくとも一部に嵌入された線状のヒータと、
上記グレーチングの上に着脱自在に載置され、上記空間部の開口を閉鎖する板状部材と、を有し、
上記ヒータと上記板状部材とは少なくとも一部で接触していることを特徴とする、フロアヒータ装置。
【0008】
(2) 上記空間部内における上記枠体、上記グレーチング及び上記ヒータを除く領域に、耐熱性粒状体が充填されていることを特徴とする、(1)に記載のフロアヒータ装置。
【0009】
(3) 上記ヒータは、上記溝内において、上記耐熱性粒状体により位置が調整されており、上記ヒータと上記板状部材とが直接又は上記耐熱性粒状体を介して接触していることを特徴とする、(2)に記載のフロアヒータ装置。
【0010】
(4) 上記溝は、上記グレーチングにおける厚さ方向に平行な一端面から、上記一端面に対向する他端面まで貫通しており、
上記ヒータは、上記複数の溝を蛇行するように配置されていることを特徴とする、(1)~(3)のいずれか1項に記載のフロアヒータ装置。
【0011】
(5) 上記溝における上記地面又は床面に対して直交する方向の深さは、上記ヒータの径と略同一であることを特徴とする、(1)~(4)のいずれか1項に記載のフロアヒータ装置。
【0012】
(6) 地面又は床面に設置されるフロアヒータ装置の設置方法において、
上記地面又は床面における、上面に開口した空間部内に枠体を固定する工程と、
上記枠体に、複数の溝を有するグレーチングを固定する工程と、
上記複数の溝の少なくとも一部に線状のヒータを嵌入する工程と、
上記グレーチングの上に、上記ヒータと少なくとも一部が接触するように、板状部材を着脱自在に載置して上記空間部の開口を閉鎖する工程と、を有することを特徴とする、フロアヒータ装置の設置方法。
【0013】
(7) 上記空間部は、壁面及び底面により構成されており、
上記枠体を固定する工程と、上記グレーチングを固定する工程との間に、上記枠体と上記壁面及び底面との間に、上記壁面及び底面を構成する材料と同質の材料を充填する工程を有することを特徴とする、(6)に記載のフロアヒータ装置の設置方法。
【0014】
(8) 上記空間部の開口を閉鎖する工程の前に、上記枠体、上記グレーチング及び上記ヒータを除く領域に、耐熱性粒状体を充填する工程を有することを特徴とする、(6)又は(7)に記載のフロアヒータ装置の設置方法。
【0015】
(9) (1)~(3)のいずれか1項に記載のフロアヒータ装置に用いられ、上記線状のヒータが配置されるヒータ配置用部材であって、
グレーチング及び枠体を有し、
上記グレーチングは、その厚さ方向に平行な一端面から、上記一端面に対向する他端面まで貫通する溝を有し、
上記枠体は、上記グレーチングを下方から支持する受け部と、上記グレーチングの厚さ方向に平行な端面を取り囲む枠部と、を有し、
上記グレーチングの一端面と上記枠部との間、及び上記グレーチングの他端面と上記枠部との間に、上記ヒータが配置される配線用空間が設けられており、上記溝及び上記配線用空間により、上記ヒータが蛇行するように配置される経路が構成されることを特徴とする、ヒータ配置用部材。
【0016】
(10) 上記溝における上記グレーチングの厚さ方向に平行な方向の深さは、上記ヒータの径と略同一であることを特徴とする、(9)に記載のヒータ配置用部材。
【0017】
(11) 上記枠体は、上記受け部上に上記グレーチングが載置された場合に上記グレーチングの上面と略同一面上となる平面部を有し、
上記平面部は、上記グレーチングの上に載置される板状部材を固定するためのボルト穴を有することを特徴とする、(9)又は(10)に記載のヒータ配置用部材。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、強度が高く、容易に低コストで最適な温度のヒータを設置することができるとともに、ヒータの交換等を容易に実施することができるフロアヒータ装置及びフロアヒータ装置の設置方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るフロアヒータ装置を使用した倉庫の出入口を示す模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るフロアヒータ装置の一部を示す上面図である。
【
図4】
図4(a)~
図4(c)は、本発明の実施形態に係るフロアヒータ装置の設置方法を工程順に示す断面図である。
【
図5】
図5(a)~
図5(b)は、本発明の実施形態に係るフロアヒータ装置の設置方法を工程順に示し、
図4(c)の次工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明者らは、容易に高強度のフロアヒータ装置を設置することができる方法について、鋭意検討を行った。その結果、線状のヒータを使用するとともに、このヒータを支持する部材として、一般的に市販されているグレーチングを使用することにより、上記課題を解決することができることを見出した。
以下、本発明の実施形態に係るフロアヒータ装置の一例を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下で説明する実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施することができる。
【0021】
[フロアヒータ装置]
図1は、本発明の実施形態に係るフロアヒータ装置を使用した倉庫の出入口を示す模式図である。
図2は、
図1におけるA-A線断面図である。また、
図3は、本発明の実施形態に係るフロアヒータ装置の一部を示す上面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るフロアヒータ装置10は、冷凍・冷蔵用の倉庫20の出入口24における床面21に設置される。倉庫20の出入口24には、スライドドア23が設けられており、スライドドア23は出入口24の上方に取り付けられたレール22に吊り下げられている。また、スライドドア23は、倉庫20内の冷気を外部に漏出させないようにするとともに、外部の暖かい空気が内部に浸入することを防止するために、床面21との隙間を塞ぐゴムパッキン26が取り付けられている。
【0022】
図2に示すように、出入口24の下方において、コンクリート材からなる床面21には、上面側に開口した空間部21aが形成されており、空間部21aの下方には、床面21に平行な方向に広がる断熱材25が敷設されている。断熱材25は、複数箇所においてその厚さ方向に貫通する矩形の穴が設けられており、この穴に補強用木材27が嵌入されている。断熱材25は厚さ方向に荷重が印加されることにより、厚さが低減するおそれがある。したがって、補強用木材27が存在することにより、断熱材25の上方に配置されるフロアヒータ装置そのものの荷重及びフロアヒータ装置上を通行する車両等の荷重によって、断熱材25の厚さが減少することを防止でき、フロアヒータ装置が沈下することがないように構成されている。
【0023】
また、空間部21a内には枠体1が固定されている。枠体1は、平面視で矩形の枠部1aと、この枠部1aにおける対向する一対の辺同士を、例えば2箇所で架橋する補強部1bとを備える。また、この枠体1には、補強部1b上、及び補強部1bに平行な方向における一対の辺に接する位置に、補強部1bに平行な方向に延びるように、断面が矩形の柱部1dが形成されている。
【0024】
枠部1aは、断面がL字型の鋼材からなり、枠部1aの壁面から、枠部1aに囲まれた領域に向かって床面21に平行な方向に延出するように、後述するグレーチング2を下方から支持する受け部1cが形成されている。補強部1bも同様にL字型の鋼材からなり、その一部が、床面21に平行な方向に延出する受け部1cを構成している。なお、枠部1aには、後述するヒータの配線を外部に引き出すための不図示の配線用穴が設けられている。
【0025】
さらに、枠体1の外側面には、枠体1の外側面から下方に延出する不図示の脚部が複数箇所に取り付けられており、脚部は空間部21aを構成する底面に埋設されている。また、柱部1dの上面には、ボルト8が挿通される枠体側ボルト穴5が複数箇所に設けられている。
【0026】
枠部1a及び柱部1dに囲まれた領域には、矩形のグレーチング2が嵌合されており、このグレーチング2は、受け部1cにより支持されている。本実施形態において使用されるグレーチング2は平面視で格子状に構成されている。具体的に、グレーチング2は、対向する一対の辺に対して平行な方向に延びる板状の複数のメインバー2aと、これらのメインバー2aに直交する方向に配置されて各メインバー2aに固定される棒状の複数のクロスバー2bと、メインバー2aの長手方向両端側に配置されてクロスバー2bに平行な方向に延びるエンドプレート(
図3に示すエンドプレート2c)とにより構成されている。なお、本実施形態においては、一般的に使用される使用方法におけるグレーチングの上下を反転させて使用される。したがって、グレーチング2の上面には、隣り合うメインバー2aの間に、グレーチング2の一端面からこの一端面に対向する他端面まで貫通する溝6が形成されている。ただし、溝6の底面は連続した面ではなく、メインバー2aの複数箇所に固定されたクロスバー2bの上面とエンドプレート2cの上面とを結ぶ面とする。また、
図3に示すように、グレーチング2の一端面側と他端面側、及び柱部1dの長手方向両端側には、配線用空間7が設けられている。
【0027】
グレーチング2の溝6には、線状のヒータ3が嵌入されている。
図3に示すように、ヒータ3は、溝6の一端部6aから他端部6bに向けて嵌入された後、他端部6b側の配線用空間7に向かって突出した状態で他の溝6の他端部6bに向けて歪曲され、溝6の他端部6bから一端部6aに向けて嵌入されている。同様に、溝6の一端部6aから突出したヒータ3は、一端部6a側の配線用空間7において、さらに他の溝6の一端部6aに向けて歪曲され、一端部6aから他端部6bに向けて嵌入されている。この形態が繰り返されて、ヒータ3はグレーチング2の複数の溝6を蛇行するように配置されている。なお、ヒータ3の端部に設けられた不図示の電源プラグは、枠部1aに設けられた配線用穴を介して、空間部21aに連通する位置に埋設された不図示の電源ボックス内の差込接続器に接続されている。
【0028】
枠体1、グレーチング2及びヒータ3を除く領域には、砂(耐熱性粒状体)4が充填されている。すなわち、砂4は、グレーチング2におけるヒータ3が嵌入されていない隙間やグレーチング2と空間部21aの底面との隙間に充填されている。したがって、ヒータ3は、グレーチング2の溝6及び砂4によって高さ位置が調整されている。
【0029】
グレーチング2の上には、縞鋼板(板状部材)9が載置されており、これにより、空間部21aの開口が閉鎖されている。縞鋼板9には、柱部1dの上面に設けられた枠体側ボルト穴5に整合する位置に、鋼板側ボルト穴が設けられており、鋼板側ボルト穴及び枠体側ボルト穴5にボルト8が挿通され、締結されることにより、縞鋼板9は枠体1に着脱自在に固定されている。なお、上記のとおり、ヒータ3は、グレーチング2の溝6及び砂4によって高さ位置が調整されており、ヒータ3と縞鋼板9との少なくとも一部が接触するが、縞鋼板9や、縞鋼板9の上を通行する車両の重量によってヒータ3に過大な荷重が印加されないように構成されている。
【0030】
このように構成されたフロアヒータ装置10を倉庫20の出入口に使用した場合に、ヒータ3を通電して所望の温度に設定すると、ヒータ3に接触している縞鋼板9の上面側においても、所望の温度(例えば15℃)に維持される。したがって、縞鋼板9の表面と倉庫20のスライドドア23との間に結露が発生することを抑制することができ、スライドドア23の開閉が困難になることを防止することができる。縞鋼板9の上面側の設定温度は特に限定されず、例えば、5℃以上であれば結露の発生を抑制することができる。また、本実施形態によると、縞鋼板9の表面が凍結することが防止されるため、倉庫20の出入口24を通行する、例えばフォークリフト等の車両が滑ることがなく、安全に貨物を運搬することができる。さらに、ヒータ3に不具合が発生した際には、ボルト8を取り外し、縞鋼板9を移動させるのみでヒータ3が露出するため、極めて容易にヒータ3の交換又は修理を実施することができる。
【0031】
また、上記のように構成された本実施形態に係るフロアヒータ装置10においては、ヒータ3を設置する部材として、一般的に市販されているグレーチング2及び枠体1を使用することができる。グレーチング2及び枠体1は、種々の耐荷重のものが市販されているため、例えば、フォークリフトのように3~4tの重量に対して耐性を有するグレーチング2を選択することにより、高強度の縞鋼板9が不要となる。したがって、縞鋼板9として、例えば4.5mm程度の厚さの軽量のものを使用することができるため、ヒータ3の交換又は修理の際に人力で容易に縞鋼板9を移動させることができる。
【0032】
さらに、本実施形態においては、グレーチング2に嵌入させるヒータ3の配置方法によって、容易に設定温度を変更することができる。具体的には、グレーチング2の複数の溝6に嵌入するヒータ3の数を増加させ、密の状態で配置すると、縞鋼板9の温度をより一層高くすることができる。一方、グレーチング2の複数の溝6に対して、より間隔を開けた疎の状態で配置すると、縞鋼板9の温度を低くすることができる。したがって、同一の材料を使用しても、要求される条件や温度に応じて縞鋼板9の設定温度を変更することができ、設計が容易となる。なお、設定温度を変更する方法としては、上記のように配置密度を変更する方法に限定されず、例えば、ヒータ3の上昇温度によって自動的に通電状態と非通電状態が選択されるような温度調整装置付きのヒータを使用することもできる。
【0033】
さらに、本実施形態においては、グレーチング2の溝6の深さが、ヒータ3の直径と略同一となるように、グレーチング2及びヒータ3を選択している。その結果、グレーチング2の溝6にヒータ3を嵌入するのみで、ヒータ3の少なくとも一部が縞鋼板9に接触する構造を得ることができ、効率よく縞鋼板9の温度を上昇させることができる。
【0034】
なお、ヒータ3は、その長さ方向における全領域において縞鋼板9に接触していることが好ましいが、ヒータ3の少なくとも一部が縞鋼板9に接触していれば、縞鋼板9に熱を伝達することができる。例えば、ヒータ3と縞鋼板9とが直接接触している領域と、砂4を介して接触している領域とがあってもよい。ただし、ヒータ3の周囲に空隙部が存在していると、ヒータ3の発熱効果と空隙部内の冷気による冷却効果によって、縞鋼板9の温度を上昇させる効果が低減するおそれがある。また、縞鋼板9を所定の温度まで上昇させるためのヒータ3の温度設定を高くする必要があり、通電のためのコストも上昇する。したがって、本実施形態に示すように、ヒータ3における縞鋼板9に接触している領域を除く周囲に砂4が充填されていると、空隙部が減少するため、ヒータ3から縞鋼板9への熱伝達効率を向上させることができる。
【0035】
また、上述のとおり、砂4はヒータ3の高さ位置を調整する効果も有する。ヒータ3を縞鋼板9に接触させるためには、グレーチング2の溝6の深さ(床面21に対して直交する方向の深さ)が、ヒータ3の径と略同一であることが好ましい。ただし、溝6の深さがヒータ3の径よりもある程度深い場合には、砂4を充填することによりヒータの高さ位置を自由に調整することができる。
【0036】
本実施形態においては、枠体1、グレーチング2及びヒータ3を除く領域(空隙部)に砂4を充填したが、この領域に充填する物質としては砂4に限定されず、耐熱性粒状体であればよい。本発明において耐熱性粒状体とは、ヒータ3の発熱温度に対する耐熱性を有し、容易に空隙部を充填することができる形状の物質とすることができる。耐熱性粒状体の形状としては、球体である必要はなく、角を有する形状であってもよい。また、耐熱性粒状体の大きさも特に限定されないが、容易に空隙部に充填することができるような大きさであることが好ましい。
【0037】
なお、ヒータ3から縞鋼板9への熱伝達効率の向上や、ヒータ3の高さ位置の調整を目的とする場合に、耐熱性粒状体の代わりに、例えば、ウレタンフォーム等を使用することも考えられる。しかし、ヒータ3の表面は絶縁性を付与するために塩化ビニル製の被覆材により被覆されており、ウレタンフォームと被覆材とが接触すると、化学反応により塩化ビニル製の被覆材が溶融し、絶縁性が低下する。したがって、上記実施形態において使用した砂の他に、土、セラミック粒、ガラス粒等を耐熱性粒状体として使用することが好ましく、製造コストが低く、入手が容易である点で、砂及び土から選択された少なくとも1種を使用することがより好ましい。
【0038】
耐熱性粒状体の耐熱温度としては、ヒータ3の設定温度よりも高いものとする。ヒータ3の設定温度は、使用する周辺部の温度によって選択する必要があり、本実施形態に係るフロアヒータ装置10を、冷凍・冷蔵用の倉庫20に適用する場合は、ヒータ3の設定温度を例えば80℃程度に設定する。また、後述するように寒冷地等で使用する場合には、ヒータ3の設定温度は60℃程度とすることもできる。したがって、耐熱性粒状体の耐熱温度は、60℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい。
【0039】
また、本実施形態においては、グレーチング2の溝6に線状のヒータ3を蛇行させるように嵌入させたが、線状のヒータは歪曲可能なものである必要はなく、可撓性を有さない棒のような形状でもよい。例えば、複数の直線状のヒータのそれぞれの端部にケーブルが接続されたようなものであっても、直線状のヒータを溝6に嵌入することにより、ヒータに荷重が印加されることを防止することができる。
【0040】
さらに、本実施形態においては、グレーチング2の上に載置され、空間部21aの開口を閉鎖する板状部材として縞鋼板9を使用したが、本発明はこれに限定されない。例えば、鋼板、樹脂板、アルミニウム合金板、木板等の種々の板状部材を使用することができ、設置場所や要求される強度に応じて自由に選択することができる。また、縞鋼板9は、表面に縞状のすべり止め形状加工が施されているが、滑り止め加工の有無についても特に限定されず、平板でもよいし、異なる2以上の素材が組み合わされて滑り止めが構成されていてもよい。
【0041】
次に、本発明の実施形態に係るフロアヒータ装置の設置方法の一例を図面に基づいて説明する。
【0042】
[フロアヒータ装置の設置方法]
図4(a)~
図4(c)及び
図5(a)~
図5(b)は、本発明の実施形態に係るフロアヒータ装置の設置方法を工程順に示す断面図である。なお、
図4(a)~
図4(c)及び
図5(a)~
図5(b)において、
図2及び
図3と同一物には同一符号を付して、詳細な説明及び部材の一部の記載を省略又は簡略化する。
【0043】
<枠体を固定する工程>
図4(a)に示すように、フロアヒータ装置を設置するコンクリート製の床面21には、壁面21b及び底面21cにより構成される枠体設置用空間部31aが設けられている。また、枠体設置用空間部31aの底面には、予め枠体を固定するためのアンカー11が打ち込まれている。まず、枠体設置用空間部31a内に枠体1を配置し、その下方に延伸している脚部1eとアンカー11とを、接合補助鋼材12を介して溶接して、枠体1の位置を調整する。このとき、枠体1の最も上側の面が、床面21の上面と同一面上となるように枠体1の位置を調整しながら溶接を実施する。枠体1の構成は上述のとおりである。
【0044】
<コンクリート材料(空間部を構成する壁面及び底面と同質の材料)を充填する工程>
次に、
図4(b)に示すように、枠体1と枠体設置用空間部31aの壁面21b及び底面21cとの間にコンクリート材料32を充填し、枠体1を固定する。この状態において固化されたコンクリート材料32により囲まれた領域が、
図2における空間部21aとなる。
【0045】
<グレーチングを固定する工程>
その後、
図4(c)及び
図3に示すように、溝6の一端部6a側及び他端部6b側に配線用空間7が設けられるように、枠体1の受け部1c上に、グレーチング2を載置し、グレーチング2を枠体1に固定する。なお、グレーチング2は、フロアヒータ装置10の上を通行するフォークリフト等の車両の重量に応じて、適切な強度を有するものを選択する。また、使用するヒータ3の種類及び配置方法に応じて、適切な深さの溝6を有するグレーチング2を使用することが好ましい。
【0046】
<ヒータを嵌入する工程>
その後、
図5(a)に示すように、グレーチング2の溝6にヒータ3を嵌入する。ヒータ3は、例えば
図3に示すように蛇行するように配置する。溝6に嵌入された隣り合うヒータ3間の幅は、ヒータ3の出力量及び要求される温度に応じて適宜設定することができる。なお、ヒータ3を蛇行するように配置する場合に、グレーチング2の溝6は、一端部6aから他端部6bまで貫通していることが好ましい。溝6の深さや、一端部6a及び他端部6bの形状が、所望の深さ及び形状ではない場合に、市販のグレーチング2に加工を施した後に、溝6にヒータ3を嵌入すればよい。
【0047】
<砂(耐熱性粒状体)を充填する工程>
その後、空間部21aにおける枠体1、グレーチング2及びヒータ3を除く領域に、砂4を充填する。砂4を充填するタイミングとしては、グレーチング2の溝6にヒータ3を嵌入する前でも、嵌入した後でもよく、嵌入前と嵌入後に分けて充填してもよい。砂4の高さは、グレーチング2の上面までとし、ヒータ3の最も上側の側面がグレーチング2の上面を連結する面から離隔している場合は、砂4をヒータ3の下に配置し、ヒータ3の高さ位置を調整する。
【0048】
<空間部の開口を閉鎖する工程>
その後、
図5(b)に示すように、枠体1及びグレーチング2の上に縞鋼板9を載置し、縞鋼板9の上面と、枠体1の枠部1aの上面と床面21とを面一とした状態で、縞鋼板9に設けられた鋼板側ボルト穴と、枠体1の柱部1dに設けられた枠体側ボルト穴5とをボルト8で締結し、縞鋼板9を固定する。このようにして、フロアヒータ装置10を設置することができる。
【0049】
本実施形態に係る設置方法によると、ボルト8を緩めて縞鋼板9を取り外すのみで、ヒータ3を露出させることができるため、ヒータ3を極めて容易に修理・交換することができる。また、本設置方法によると、フロアヒータ装置10用の部材は、市販の枠体1及びグレーチング2、砂4、ヒータ3並びに縞鋼板9のみであって、いずれも安価で容易に入手することができるか、又はわずかな加工により部材を準備することができるため、極めて低コストで容易にフロアヒータ装置10を設置することができる。
【0050】
なお、本実施形態に係る設置方法は、上面が平坦面である床面に、掘削等により枠体設置用空間部31aを設けた後に、枠体設置用空間部31a内に枠体1を載置する
図4(a)に示す工程を実施することができる。また、既存のフロアヒータ装置を修理又は交換するタイミングで、既存のフロアヒータ装置を取り除いた後の空間を利用して、枠体設置用空間部31aを設けることもできる。さらに、倉庫等の設備を建設する際に、断熱材25を敷設した後に、例えばコンクリート材により枠体設置用空間部31aを有する床面21を作り、連続して、
図4(a)に示す工程を実施してもよい。
【0051】
また、上述の実施形態に係るフロアヒータ装置10は、倉庫20等のような建造物及びその出入口における床面21に設置する例について示したが、本発明において、フロアヒータ装置10を設置する位置は特に限定されない。建造物や家屋の出入口における床面のみでなく、地面においても、容易に低コストでフロアヒータ装置10を設置することができる。本願明細書において地面とは、例えば、寒冷地における駐車場や、その出入口、傾斜する道路等を表す。本発明に係るフロアヒータ装置を地面に設置することにより、地面の凍結により発生する車両、自転車又は人のスリップや転倒を防止することができる。地面又は床面21を構成する材料としては、コンクリート材の他に、モルタル等を使用することができる。また、設置する場所に応じて、適切な強度を有するグレーチング2や、板状部材の種類を選択すればよい。
【0052】
本実施形態に係る設置方法を使用する場合に、枠体設置用空間部31aを構成する材料と、枠体1と枠体設置用空間部31aの壁面21b及び底面21cとの間に充填する材料は、同質の材料を使用する方が好ましい。同質の材料を使用すると、地面又は床面を構成する領域と、枠体1と枠体設置用空間部31aの壁面21b及び底面21cとの間の領域との界面で亀裂等が発生することを抑制することができる。
【0053】
[ヒータ配置用部材]
本発明は、上記フロアヒータ装置10に用いられ、線状のヒータ3が配置されるヒータ配置用部材にも関するものである。本実施形態に係るヒータ配置用部材は、上記グレーチング2及び枠体1を有する。具体的には、
図2及び
図3に示すように、グレーチング2は、厚さ方向に平行な一端面から、この一端面に対向する他端面まで貫通する溝6を有する。また、枠体1は、グレーチング2を下方から支持する受け部1cと、グレーチング2の厚さ方向に平行な端面を取り囲む枠部1aと、を有する。また、グレーチング2の上記一端面と枠部1aとの間、及びグレーチング2の上記他端面と枠部1aとの間に、線状のヒータ3が配置される配線用空間7が設けられている。そして、溝6及び配線用空間7により、ヒータ3が蛇行するように配置される経路が構成されている。枠体1及びグレーチング2の詳細な構造については、上述のとおりである。
【0054】
溝6の幅がヒータ3の径よりも大きければ、容易に溝6にヒータ3を嵌入することができる。また、溝6の深さ、すなわちグレーチング2の厚さ方向に平行な方向の深さは、ヒータ3の径と略同一であることが好ましい。なお、少なくともエンドプレート2cの部分における溝6の深さが、ヒータ3の径と略同一であると、グレーチング2の両端部において好適な位置でヒータ3を支持することができる。
【0055】
また、
図3に示すように、本実施形態に係るヒータ配置用部材の枠体1は柱部1dを有し、この柱部1dの上面には、縞鋼板9を固定するためのボルト穴(枠体側ボルト穴5)が設けられている。一般的に、グレーチングの上に鋼板などを設置する場合は、グレーチングと鋼板とは、鋼板のずれ等を防止するために溶接により固定される。一方、本実施形態においては、枠体1に枠体側ボルト穴5が設けられており、鋼板側ボルト穴とともにボルトで締結することができるため、容易に鋼板を取り除くことができ、ヒータ3のメンテナンスを極めて容易に実施することができる。
【0056】
枠体1に設けられる枠体側ボルト穴の位置は特に限定されないが、枠体1における枠体側ボルト穴が設けられる面が、グレーチングの上に配置される板状部材と接する位置であると、枠体と板状部材とをボルトで容易に固定することができるため好ましい。具体的には、枠体1の受け部1c上にグレーチング2が載置された場合に、柱部1dの上面のように、グレーチング2の上面と略同一面上となるような平面部が枠体1に形成されており、この平面部に枠体側ボルト穴が設けられていることが好ましい。
【符号の説明】
【0057】
1 枠体
1c 受け部
2 グレーチング
3 ヒータ
4 砂
5 枠体側ボルト穴
6 溝
7 配線用空間
8 ボルト
9 縞鋼板
10 フロアヒータ装置
20 倉庫
21 床面
21a 空間部
25 断熱材
【手続補正書】
【提出日】2023-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面又は床面に設置されるフロアヒータ装置において、
前記地面又は床面における上面に開口した空間部内に固定された枠体と、
前記枠体に固定され、複数の溝を有するグレーチングと、
前記複数の溝の少なくとも一部に嵌入された線状のヒータと、
前記グレーチングの上に着脱自在に載置され、前記空間部の開口を閉鎖する板状部材と、を有し、
前記ヒータと前記板状部材とは少なくとも一部で接触していることを特徴とする、フロアヒータ装置。
【請求項2】
前記空間部内における前記枠体、前記グレーチング及び前記ヒータを除く領域に、耐熱性粒状体が充填されていることを特徴とする、請求項1に記載のフロアヒータ装置。
【請求項3】
前記溝は、前記グレーチングにおける厚さ方向に平行な一端面から、前記一端面に対向する他端面まで貫通しており、
前記ヒータは、前記複数の溝を蛇行するように配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフロアヒータ装置。
【請求項4】
前記溝における前記地面又は床面に対して直交する方向の深さは、前記ヒータの径と略同一であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフロアヒータ装置。
【請求項5】
地面又は床面に設置されるフロアヒータ装置の設置方法において、
前記地面又は床面における、上面に開口した空間部内に枠体を固定する工程と、
前記枠体に、複数の溝を有するグレーチングを固定する工程と、
前記複数の溝の少なくとも一部に線状のヒータを嵌入する工程と、
前記グレーチングの上に、前記ヒータと少なくとも一部が接触するように、板状部材を着脱自在に載置して前記空間部の開口を閉鎖する工程と、を有することを特徴とする、フロアヒータ装置の設置方法。
【請求項6】
前記空間部は、壁面及び底面により構成されており、
前記枠体を固定する工程と、前記グレーチングを固定する工程との間に、前記枠体と前記壁面及び底面との間に、前記壁面及び底面を構成する材料と同質の材料を充填する工程を有することを特徴とする、請求項5に記載のフロアヒータ装置の設置方法。
【請求項7】
前記空間部の開口を閉鎖する工程の前に、前記枠体、前記グレーチング及び前記ヒータを除く領域に、耐熱性粒状体を充填する工程を有することを特徴とする、請求項5又は6に記載のフロアヒータ装置の設置方法。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のフロアヒータ装置に用いられ、前記線状のヒータが配置されるヒータ配置用部材であって、
グレーチング及び枠体を有し、
前記グレーチングは、その厚さ方向に平行な一端面から、前記一端面に対向する他端面まで貫通する溝を有し、
前記枠体は、前記グレーチングを下方から支持する受け部と、前記グレーチングの厚さ方向に平行な端面を取り囲む枠部と、を有し、
前記グレーチングの一端面と前記枠部との間、及び前記グレーチングの他端面と前記枠部との間に、前記ヒータが配置される配線用空間が設けられており、前記溝及び前記配線用空間により、前記ヒータが蛇行するように配置される経路が構成されることを特徴とする、ヒータ配置用部材。
【請求項9】
前記溝における前記グレーチングの厚さ方向に平行な方向の深さは、前記ヒータの径と略同一であることを特徴とする、請求項8に記載のヒータ配置用部材。
【請求項10】
前記枠体は、前記受け部上に前記グレーチングが載置された場合に前記グレーチングの上面と略同一面上となる平面部を有し、
前記平面部は、前記グレーチングの上に載置される板状部材を固定するためのボルト穴を有することを特徴とする、請求項8に記載のヒータ配置用部材。