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特開2024-118092電池及びフレキシブルプリント配線板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118092
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】電池及びフレキシブルプリント配線板
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/14 20210101AFI20240823BHJP
   H01M 50/202 20210101ALI20240823BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240823BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20240823BHJP
【FI】
G01K1/14 E
G01K1/14 L
H01M50/202 401D
H01M50/204 401D
H01M50/284
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024288
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】メクテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 健一
(72)【発明者】
【氏名】山田 周三
(72)【発明者】
【氏名】金山 知樹
【テーマコード(参考)】
2F056
5H040
【Fターム(参考)】
2F056CE01
2F056CL07
5H040AA03
5H040DD08
5H040DD26
(57)【要約】
【課題】セルの温度を測定する温度測定素子の配置構造を単純化することのできる電池及びフレキシブルプリント配線板を提供する。
【解決手段】FPC100は、コネクタが接続される第1FPC部と、第1FPC部から分岐する分岐部112を介して設けられる第2FPC部と、を備え、第1FPC部には、セル10の一方の面側に配されて、前記一方の面の温度を測定する第1温度測定素子Sが設けられ、第2FPC部には、セル10の他方の面側に配されて、前記他方の面の温度を測定する第2温度測定素子Sが設けられることを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルと、
前記セルの温度を測定する温度測定素子が接続されたフレキシブルプリント配線板と、を備える電池であって、
前記フレキシブルプリント配線板は、
コネクタが接続される第1フレキシブルプリント配線板部と、
第1フレキシブルプリント配線板部から分岐する分岐部を介して設けられる第2フレキシブルプリント配線板部と、
を備え、
第1フレキシブルプリント配線板部には、前記セルの一方の面側に配されて、前記一方の面の温度を測定する第1温度測定素子が設けられ、
第2フレキシブルプリント配線板部には、前記セルの他方の面側に配されて、前記他方の面の温度を測定する第2温度測定素子が設けられることを特徴とする電池。
【請求項2】
第1フレキシブルプリント配線板部は直線状の第1本体部を有し、かつ、第2フレキシブルプリント配線板部は直線状の第2本体部を有しており、
第1本体部と第2本体部とが前記分岐部によって接続されると共に、
前記分岐部が180°折り曲げられることで、第1温度測定素子が前記セルの一方の面側に配され、かつ、第2温度測定素子が前記セルの他方の面側に配されることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
第1フレキシブルプリント配線板部は直線状の第1本体部を有し、かつ、第2フレキシブルプリント配線板部は直線状の第2本体部を有しており、
第1本体部と第2本体部とが前記分岐部によって接続されると共に、
前記分岐部が撓んで第1フレキシブルプリント配線板部と第2フレキシブルプリント配線板部との間に段差が形成されることで、第1温度測定素子が前記セルの一方の面側に配され、かつ、第2温度測定素子が前記セルの他方の面側に配されることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項4】
第1フレキシブルプリント配線板部は、第1本体部から枝分かれし、かつ、第1本体部に対して接合される第1枝部を有すると共に、
第2フレキシブルプリント配線板部は、第2本体部から枝分かれし、かつ、第2本体部に対して接合される第2枝部を有していることを特徴とする請求項2または3に記載の電池。
【請求項5】
第1枝部は複数の直線状の第1枝部構成部により構成され、かつ、第2枝部は複数の直線状の第2枝部構成部により構成されることを特徴とする請求項4に記載の電池。
【請求項6】
第1枝部は、単一の直線状の第1枝部構成部により構成され、かつ第1枝部構成部は少なくとも1箇所で180°折り曲げられた状態で配されると共に、
第2枝部は、単一の直線状の第2枝部構成部により構成され、かつ第2枝部構成部は少なくとも1箇所で180°折り曲げられた状態で配されることを特徴とする請求項4に記載の電池。
【請求項7】
少なくとも、第1本体部と第1枝部との接合部と、第2本体部と第2枝部との接合部において、絶縁を保ちつつ電気配線が立体交差することにより、第1温度測定素子における第1グランド配線と第2温度測定素子における第2グランド配線は、少なくとも第1フレキシブルプリント配線板部における前記コネクタの接続部では、1本のグランド配線に合流されていることを特徴とする請求項4に記載の電池。
【請求項8】
電池を構成するセルの温度を測定する温度測定素子が接続されたフレキシブルプリント配線板であって、
コネクタが接続される第1フレキシブルプリント配線板部と、
第1フレキシブルプリント配線板部から分岐する分岐部を介して設けられる第2フレキシブルプリント配線板部と、
を備え、
第1フレキシブルプリント配線板部には、前記セルの一方の面側に配されて、前記一方の面の温度を測定する第1温度測定素子が設けられ、
第2フレキシブルプリント配線板部には、前記セルの他方の面側に配されて、前記他方の面の温度を測定する第2温度測定素子が設けられることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項9】
第1フレキシブルプリント配線板部は直線状の第1本体部を有し、かつ、第2フレキシブルプリント配線板部は直線状の第2本体部を有しており、
第1本体部と第2本体部とが前記分岐部によって接続されると共に、
前記分岐部が180°折り曲げられることで、第1温度測定素子が前記セルの一方の面側に配され、かつ、第2温度測定素子が前記セルの他方の面側に配されることを特徴とする請求項8に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項10】
第1フレキシブルプリント配線板部は直線状の第1本体部を有し、かつ、第2フレキシブルプリント配線板部は直線状の第2本体部を有しており、
第1本体部と第2本体部とが前記分岐部によって接続されると共に、
前記分岐部が撓んで第1フレキシブルプリント配線板部と第2フレキシブルプリント配線板部との間に段差が形成されることで、第1温度測定素子が前記セルの一方の面側に配され、かつ、第2温度測定素子が前記セルの他方の面側に配されることを特徴とする請求項8に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項11】
第1フレキシブルプリント配線板部は、第1本体部から枝分かれし、かつ、第1本体部に対して接合される第1枝部を有すると共に、
第2フレキシブルプリント配線板部は、第2本体部から枝分かれし、かつ、第2本体部に対して接合される第2枝部を有していることを特徴とする請求項9または10に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項12】
第1枝部は複数の直線状の第1枝部構成部により構成され、かつ、第2枝部は複数の直線状の第2枝部構成部により構成されることを特徴とする請求項11に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項13】
第1枝部は、単一の直線状の第1枝部構成部により構成され、かつ第1枝部構成部は少なくとも1箇所で180°折り曲げられた状態で配されると共に、
第2枝部は、単一の直線状の第2枝部構成部により構成され、かつ第2枝部構成部は少なくとも1箇所で180°折り曲げられた状態で配されることを特徴とする請求項11に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項14】
少なくとも、第1本体部と第1枝部との接合部と、第2本体部と第2枝部との接合部において、絶縁を保ちつつ電気配線が立体交差することにより、第1温度測定素子における第1グランド配線と第2温度測定素子における第2グランド配線は、少なくとも第1フレキシブルプリント配線板部における前記コネクタの接続部では、1本のグランド配線に合流されていることを特徴とする請求項11に記載のフレキシブルプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池及びフレキシブルプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池などの電池においては、電池を構成するセルの温度管理が必要なことがあり、温度測定用の配線を電池内に配置させる技術が知られている(特許文献1参照)。二次電池の場合、複数のセルが積層されたセルスタックにより構成されることが多い。従来技術のように、ワイヤー状の電線の先端に温度を測定するセンサーを有する構成の場合、センサーを電池内部に配置する構造が一般的に複雑化してしまう。そのため、セルの両面の温度を測定する構造を採用するのは難しく、また、複数個所に精度良くセンサーを配置するのも難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6047810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、セルの温度を測定する温度測定素子の配置構造を単純化することのできる電池及びフレキシブルプリント配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0006】
すなわち、本発明の電池は、
セルと、
前記セルの温度を測定する温度測定素子が接続されたフレキシブルプリント配線板と、を備える電池であって、
前記フレキシブルプリント配線板は、
コネクタが接続される第1フレキシブルプリント配線板部と、
第1フレキシブルプリント配線板部から分岐する分岐部を介して設けられる第2フレキシブルプリント配線板部と、
を備え、
第1フレキシブルプリント配線板部には、前記セルの一方の面側に配されて、前記一方の面の温度を測定する第1温度測定素子が設けられ、
第2フレキシブルプリント配線板部には、前記セルの他方の面側に配されて、前記他方の面の温度を測定する第2温度測定素子が設けられることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のフレキシブルプリント配線板は、
電池を構成するセルの温度を測定する温度測定素子が接続されたフレキシブルプリント配線板であって、
コネクタが接続される第1フレキシブルプリント配線板部と、
第1フレキシブルプリント配線板部から分岐する分岐部を介して設けられる第2フレキシブルプリント配線板部と、
を備え、
第1フレキシブルプリント配線板部には、前記セルの一方の面側に配されて、前記一方の面の温度を測定する第1温度測定素子が設けられ、
第2フレキシブルプリント配線板部には、前記セルの他方の面側に配されて、前記他方の面の温度を測定する第2温度測定素子が設けられることを特徴とする。
【0008】
これらの発明によれば、セルを挟み込むように、第1フレキシブルプリント配線板部と第2フレキシブルプリント配線板部を配置することにより、温度測定素子をセルに対する所望の箇所に配置させることができる。そして、第1フレキシブルプリント配線板部と第2フレキシブルプリント配線板部は分岐部を介して繋がっているので、第1温度測定素子と第2温度測定素子との位置関係が定まり、配置精度も高められる。また、複数のセルが積層されたセルスタックに適用する場合であっても、ワイヤー状の配線を用いる場合に比べて、セル間に温度測定素子を配置させるための構造を簡易にすることができる。
【0009】
第1フレキシブルプリント配線板部は直線状の第1本体部を有し、かつ、第2フレキシブルプリント配線板部は直線状の第2本体部を有しており、
第1本体部と第2本体部とが前記分岐部によって接続されると共に、
前記分岐部が180°折り曲げられることで、第1温度測定素子が前記セルの一方の面側に配され、かつ、第2温度測定素子が前記セルの他方の面側に配されるとよい。
【0010】
これにより、分岐部を180°折り曲げた状態で、セルを挟み込むように、第1フレキシブルプリント配線板部と第2フレキシブルプリント配線板部を配置することにより、温度測定素子をセルに対する所望の箇所に配置させることができる。また、第1温度測定素子と第2温度測定素子との位置関係を簡単に定めることができる。
【0011】
また、第1フレキシブルプリント配線板部は直線状の第1本体部を有し、かつ、第2フレキシブルプリント配線板部は直線状の第2本体部を有しており、
第1本体部と第2本体部とが前記分岐部によって接続されると共に、
前記分岐部が撓んで第1フレキシブルプリント配線板部と第2フレキシブルプリント配線板部との間に段差が形成されることで、第1温度測定素子が前記セルの一方の面側に配され、かつ、第2温度測定素子が前記セルの他方の面側に配されることもできる。
【0012】
これにより、分岐部を撓ませ、第1フレキシブルプリント配線板部と第2フレキシブルプリント配線板部との間に段差を形成させて、セルを挟み込むように、第1フレキシブルプリント配線板部と第2フレキシブルプリント配線板部を配置することにより、温度測定素子をセルに対する所望の箇所に配置させることができる。また、第1温度測定素子と第2温度測定素子との位置関係を簡単に定めることができる。
【0013】
第1フレキシブルプリント配線板部は、第1本体部から枝分かれし、かつ、第1本体部に対して接合される第1枝部を有すると共に、
第2フレキシブルプリント配線板部は、第2本体部から枝分かれし、かつ、第2本体部に対して接合される第2枝部を有しているとよい。
【0014】
第1枝部は、それぞれ接合される複数の直線状の第1枝部構成部により構成され、かつ、第2枝部は、それぞれ接合される複数の直線状の第2枝部構成部により構成されるとよい。
【0015】
第1枝部は、単一の直線状の第1枝部構成部により構成され、かつ第1枝部構成部は少なくとも1箇所で180°折り曲げられた状態で配されると共に、
第2枝部は、単一の直線状の第2枝部構成部により構成され、かつ第2枝部構成部は少なくとも1箇所で180°折り曲げられた状態で配されることもできる。
【0016】
少なくとも、第1本体部と第1枝部との接合部と、第2本体部と第2枝部との接合部に
おいて、絶縁を保ちつつ電気配線が立体交差することにより、第1温度測定素子における第1グランド配線と第2温度測定素子における第2グランド配線は、少なくとも第1フレキシブルプリント配線板部における前記コネクタの接続部では、1本のグランド配線に合流されているとよい。
【0017】
これにより、コネクタの極数を少なくすることができる。
【0018】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、セルの温度を測定する温度測定素子の配置構造を単純化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は本発明の実施例1に係る電池の概略構成図である。
図2図2は本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板の部品展開図である。
図3図3は本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板の平面図である。
図4図4は本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板をセルに設置した状態を示す概略構成図である。
図5図5は本発明の実施例2に係るフレキシブルプリント配線板の説明図である。
図6図6は本発明の実施例2に係るフレキシブルプリント配線板をセルに設置した状態を示す概略構成図である。
図7図7は本発明の実施例3に係るフレキシブルプリント配線板の平面図である。
図8図8は本発明の実施例3に係るフレキシブルプリント配線板をセルに設置した状態を示す概略構成図である。
図9図9は本発明の実施例4に係るフレキシブルプリント配線板の平面図である。
図10図10は本発明の実施例4に係るフレキシブルプリント配線板をセルに設置した状態を示す概略構成図である。
図11図11は本発明の実施例5に係るフレキシブルプリント配線板の部品展開図である。
図12図12は本発明の実施例5に係るフレキシブルプリント配線板の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0022】
(実施例1)
図1図4を参照して、本発明の実施例1に係る電池及びフレキシブルプリント配線板(以下、「FPC」と称する)について説明する。図1は本発明の実施例1に係る電池の概略構成図であり、側面から見た電池を簡略的に示している。図2は本発明の実施例1に係るFPCの部品展開図である。図3は本発明の実施例1に係るFPCの平面図であり、(a)は折り曲げ前の状態を示し、(b)は折り曲げ後の状態を示している。図4は本発
明の実施例1に係るFPCをセルに設置した状態を示す概略構成図であり、(a)は一方の面を見た図であり、(b)は他方の面を見た図である。
【0023】
本実施例に係るFPC100は、複数枚のFPCを接合することにより構成されており、複数枚のFPCのそれぞれは、いわゆる片面FPCである。片面FPCについては公知技術であるので、詳細な説明は省略するが、ベースフィルムと、ベースフィルム上に形成される金属箔(通常、銅箔)により構成される配線と、ベースフィルムとの間に配線を挟み込むように設けられるカバーフィルムとを備える。一般的に、ベースフィルムと、ベースフィルム上に設けられた銅箔とからなる素材を用い、エッチングによって銅箔の一部を溶かすことで所望の配線(回路)を形成した後に、カバーフィルムを接着することで、片面FPCが得られる。図2図4においては、便宜上、図中の表面側がベースフィルムの場合には(B)を付し、カバーフィルムの場合には(C)を付している。
【0024】
<電池>
図1を参照して、本実施例に係るFPC100が適用される電池1の一例を説明する。電池1は、セル10と、セル10の温度を測定する温度測定素子Sが接続されたFPC100とを備えている。FPC100の一端にはコネクタ20が取り付けられる。このコネクタ20は、二次電池の制御を行うためのバッテリーマネジメントシステムなどの制御装置(不図示)に接続される。なお、本実施例では、一つのセルのみを示しているが、一般的に、電池は複数のセルが積層されたセルスタックにより構成される。図1においては、セルスタックのうちの一つのセルについて着目して見た図ということもできる。なお、本発明は、一つのセルのみからなる電池にも適用できるし、セルスタックにより構成される電池にも適用できる。セルスタックの場合には、複数のセルのうちの一部のセルまたは全部のセルに対して温度を測定するように構成することもできる。温度測定素子Sについては、サーミスタ、RTD、サーモカップラーなど、各種公知技術を採用することができる。
【0025】
<FPC>
本実施例に係るFPC100は、コネクタ側FPC110と、2つの直線状の中間FPC120と、それぞれ2つ(計4つ)の直線状の末端側FPC131,132とから構成される。なお、図2においては、中間FPC120と末端側FPC131,132については、一つずつのみ示している。
【0026】
コネクタ側FPC110は、直線状の第1本体部111と、直線状の第2本体部113と、これら第1本体部111と第2本体部113とを接続する分岐部112とを有している。第2本体部113は第1本体部111から分岐する分岐部112を介して設けられるということもできる。なお、第1本体部111の端部111aにコネクタ20が実装される。
【0027】
図2中、第1本体部111における領域J11付近と、中間FPC120における領域J21付近の裏側とが接合される。なお、FPC同士の接合は、カバーフィルムの一部が設けられずに金属箔(配線)の一部が露出した部分同士が半田等により接合されることを意味する。以下、同様である。また、図2中、中間FPC120における領域J22付近の裏側と末端側FPC131における領域J31付近とが接合され、かつ、中間FPC120における領域J23付近の裏側と末端側FPC132における領域J32付近とが接合される。このように、第1本体部111に接合される中間FPC120と、この中間FPC120に接合される末端側FPC131,132は、第1本体部111から枝分かれし、かつ、第1本体部111に対して接合される第1枝部ということができる。また、第1枝部を構成する中間FPC120と末端側FPC131,132は、それぞれ第1枝部構成部ということができる。
【0028】
そして、第1本体部111と、第1本体部111に対して接合される第1枝部(中間FPC120と末端側FPC131,132)とによって、第1フレキシブルプリント配線板部(以下、「第1FPC部」と称する)が構成される。換言すると、第1FPC部は、第1本体部111と、第1本体部111から枝分かれする第1枝部とを有している。そして、第1枝部は、それぞれ接合される複数の第1枝部構成部(中間FPC120と末端側FPC131,132)により構成される。
【0029】
また、図2中、第2本体部113における領域J12付近と、中間FPC120における領域J21付近の裏側とが接合される。そして、図2中、中間FPC120における領域J22付近の裏側と末端側FPC131における領域J31付近とが接合され、かつ、中間FPC120における領域J23付近の裏側と末端側FPC132における領域J32付近とが接合される。このように、第2本体部113に接合される中間FPC120と、この中間FPC120に接合される末端側FPC131,132は、第2本体部113から枝分かれし、かつ、第2本体部113に対して接合される第2枝部ということができる。また、第2枝部を構成する中間FPC120と末端側FPC131,132は、それぞれ第2枝部構成部ということができる。
【0030】
そして、第2本体部113と、第2本体部113に対して接合される第2枝部(中間FPC120と末端側FPC131,132)とによって、第2フレキシブルプリント配線板部(以下、「第2FPC部」と称する)が構成される。換言すると、第2FPC部は、第2本体部113と、第2本体部113から枝分かれする第2枝部とを有している。そして、第2枝部は、それぞれ接合される複数の第2枝部構成部(中間FPC120と末端側FPC131,132)により構成される。
【0031】
以上のように、本実施例に係るFPC100は、コネクタ20が接続される第1FPC部と、第1FPC部から分岐する分岐部112を介して設けられる第2FPC部とを備えている。そして、本実施例においては、分岐部112が180°折り曲げられる(図3(a)中、折り曲げ線L参照)ことで、第1FPC部がセル10の一方の面側に配されて(図4(a)参照)、第2FPC部がセル10の他方の面側に配される(図4(b)参照)。なお、図3(a)は分岐部112を折り曲げる前の状態を示し、同図(b)は分岐部112を折り曲げた状態を示している。図3(b)に示すように、本実施例では、分岐部112を折り曲げることで、第1FPC部と第2FPC部が重なるように構成されている。そして、第1FPC部と第2FPC部によって、セル10を挟み込むように、FPC100がセル10に配される。
【0032】
第1FPC部には、セル10の一方の面の温度を測定する温度測定素子(第1温度測定素子)Sが設けられ、第2FPC部には、セル10の他方の面の温度を測定する温度測定素子(第2温度測定素子)Sが設けられる。本実施例においては、末端側FPC131,132に対して、それぞれ2か所に温度測定素子Sを設けているが、温度測定素子Sの数や配置は、セル10の寸法形状や使用環境等に応じて適宜設定可能である。また、本実施例においては、セル10の一方の面の温度を測定する各々の温度測定素子Sの真裏の位置に、セル10の他方の面の温度を測定する温度測定素子Sがそれぞれ配置されるように構成されている。
【0033】
以上のように、本実施例においては、分岐部112が180°折り曲げられることで、第1温度測定素子がセル10の一方の面側に配され、かつ、第2温度測定素子がセル10の他方の面側に配される。
【0034】
<本実施例に係る電池及びFPCの優れた点>
本実施例によれば、セル10を挟み込むように、第1FPC部と第2FPC部を配置することにより、温度測定素子Sをセル10に対する所望の箇所に配置させることができる。そして、第1FPC部と第2FPC部は分岐部112を介して繋がっているので、第1温度測定素子と第2温度測定素子との位置関係が定まり、配置精度も高められる。また、複数のセル10が積層されたセルスタックに適用する場合であっても、ワイヤー状の配線を用いる場合に比べて、セル間に温度測定素子Sを配置させるための構造を簡易にすることができる。更に、本実施例においては、一つのコネクタでセル10の両面の温度を測定することができるため、コネクタの数を低減でき、また、構造の簡略化やコストの削減を図ることができる。また、本実施例においては、中間FPC120及び末端側FPC131,132は、いずれも直線状のFPCにより構成されるため、廃材を減らすことができる。
【0035】
そして、本実施例においては、分岐部112を180°折り曲げた状態で、セル10を挟み込むように、第1FPC部と第2FPC部を配置することにより、温度測定素子Sをセル10に対する所望の箇所に配置させることができる。また、第1温度測定素子と第2温度測定素子との位置関係を簡単に定めることができる。
【0036】
以上のように、本実施例によれば、セル10の温度を測定する温度測定素子Sの配置構造を単純化することができる。なお、本実施例においては、分岐部112を一か所にのみ設ける構成を示したが、分岐部112が複数個所に設けられる構成も採用し得る。例えば、図3(a)の点線に示す分岐部112Sを更に設けることもできる。このように、複数個所に分岐部を設ければ、強度を高めることができる。
【0037】
ここで、コネクタ20については、カバーフィルムの一部を設けずに金属箔(配線)の一部を露出させて、露出した部分にコネクタ20を実装することになる。本実施例の場合、片面FPCを採用していても、セル10の両面において、コネクタ側FPC110におけるカバーフィルムが表面側に配される。従って、セルの両面のいずれに対しても、コネクタ20を実装することができる。このように、コネクタ20の実装方向の自由度も大きい。
【0038】
また、第1枝部及び第2枝部の配置構成については、図示の例に限らず、各種の配置構成を採用することができ、所望の位置に温度測定素子を配することができる。このように、設計自由度が大きい。
【0039】
なお、本実施例においては、温度測定素子Sは、FPCのベースフィルム等を介してセル10とは反対側に接続される構成を示した。ただし、品質上の問題がなければ、温度測定素子Sが、セル10に接するように配置することもできる。一般的には、セルに温度測定素子を接触させる構成を採用する場合には、温度測定素子への負荷が大きくなり損傷する可能性が高くなるので、直接接触しないように配されることが多い。
【0040】
(実施例2)
図5及び図6には、本発明の実施例2が示されている。図5は本発明の実施例2に係るFPCの説明図であり、(a)は実施例2に係るFPCの平面図であり、(b)は比較例に係るFPCの平面図である。図6は本発明の実施例2に係るFPCをセルに設置した状態を示す概略構成図であり、(a)は一方の面を見た図であり、(b)は他方の面を見た図である。
【0041】
本実施例に係るFPC100Aにおいても、実施例1と同様に、複数枚のFPCを接合することにより構成されており、複数枚のFPCのそれぞれは、いわゆる片面FPCである。図6においては、便宜上、図中の表面側がベースフィルムの場合には(B)を付し、
カバーフィルムの場合には(C)を付している。
【0042】
本実施例に係るFPC100Aが適用される電池については、実施例1と同様であるので、その説明は省略する。
【0043】
本実施例に係るFPC100Aは、コネクタ側FPC110Aと、2つの直線状の中間FPC121A,122Aと、4つの直線状の末端側FPC131A,132A,141A,142Aとから構成される。
【0044】
コネクタ側FPC110Aは、直線状の第1本体部111Aと、直線状の第2本体部113Aと、これら第1本体部111Aと第2本体部113Aとを接続する分岐部112Aとを有している。第2本体部113Aは第1本体部111Aから分岐する分岐部112Aを介して設けられるということもできる。
【0045】
図5,6に示すように、第1本体部111Aと中間FPC121Aとが接合され、中間FPC121Aと末端側FPC131Aとが接合され、第1本体部111Aと末端側FPC141Aとが接合される。このように、第1本体部111Aに接合される中間FPC121Aと、この中間FPC121Aに接合される末端側FPC131A、及び末端側FPC141Aは、第1本体部111Aから枝分かれし、かつ、第1本体部111Aに対して接合される第1枝部ということができる。また、第1枝部を構成する中間FPC121Aと末端側FPC131A,141Aは、それぞれ第1枝部構成部ということができる。
【0046】
そして、第1本体部111Aと、第1本体部111Aに対して接合される第1枝部(中間FPC121Aと末端側FPC131A,141A)とによって、第1フレキシブルプリント配線板部(以下、「第1FPC部」と称する)が構成される。換言すると、第1FPC部は、第1本体部111Aと、第1本体部111Aから枝分かれする第1枝部とを有している。そして、第1枝部は複数の第1枝部構成部(中間FPC121Aと末端側FPC131A,141A)により構成される。
【0047】
また、図5,6に示すように、第2本体部113Aと中間FPC122Aとが接合され、中間FPC122Aと末端側FPC132Aとが接合され、第2本体部113Aと末端側FPC142Aとが接合される。このように、第2本体部113Aに接合される中間FPC122Aと、この中間FPC122Aに接合される末端側FPC132A、及び末端側FPC142Aは、第2本体部113Aから枝分かれし、かつ、第2本体部113Aに対して接合される第2枝部ということができる。また、第2枝部を構成する中間FPC122Aと末端側FPC132A,142Aは、それぞれ第2枝部構成部ということができる。
【0048】
そして、第2本体部113Aと、第2本体部113Aに対して接合される第2枝部(中間FPC122Aと末端側FPC132A,142A)とによって、第2フレキシブルプリント配線板部(以下、「第2FPC部」と称する)が構成される。換言すると、第2FPC部は、第2本体部113Aと、第2本体部113Aから枝分かれする第2枝部とを有している。そして、第2枝部は複数の第2枝部構成部(中間FPC122Aと末端側FPC132A,142A)により構成される。
【0049】
以上のように、本実施例に係るFPC100Aは、コネクタ20が接続される第1FPC部と、第1FPC部から分岐する分岐部112Aを介して設けられる第2FPC部とを備えている。そして、本実施例においては、分岐部112Aが180°折り曲げられる(図5(a)中、折り曲げ線LA参照)ことで、第1FPC部がセル10の一方の面側に配されて(図6(a)参照)、第2FPC部がセル10の他方の面側に配される(図6(b
)参照)。なお、本実施例においても、分岐部112Aを折り曲げることで、第1FPC部と第2FPC部が重なるように構成されている。そして、第1FPC部と第2FPC部によって、セル10を挟み込むように、FPC100Aがセル10に配される。
【0050】
第1FPC部には、セル10の一方の面の温度を測定する温度測定素子(第1温度測定素子)Sが設けられ、第2FPC部には、セル10の他方の面の温度を測定する温度測定素子(第2温度測定素子)Sが設けられる。本実施例においては、末端側FPC131A,141A,132A,142Aに対して、それぞれ1か所に温度測定素子Sを設けているが、温度測定素子Sの数や配置は、セル10の寸法形状や使用環境等に応じて適宜設定可能である。また、本実施例においても、セル10の一方の面の温度を測定する各々の温度測定素子Sの真裏の位置に、セル10の他方の面の温度を測定する温度測定素子Sがそれぞれ配置されるように構成されている。
【0051】
以上のように、本実施例においては、分岐部112Aが180°折り曲げられることで、第1温度測定素子がセル10の一方の面側に配され、かつ、第2温度測定素子がセル10の他方の面側に配される。なお、本実施例においては、分岐部112Aを3か所に設けることで、強度が高められている。
【0052】
以上のように構成される本実施例に係るFPC100Aにおいても、実施例1と同様の効果を得ることができる。ここで、本実施例においては、コネクタの極数を少なくするために、配線回路について工夫が施されている。この点について、図5を参照して説明する。
【0053】
温度測定素子Sに対しては、グランド配線とプラス配線の2本の配線を繋げる必要がある。仮に、本実施例に係るFPC100Aと同一形状で、かつ同一の位置に計4個の温度測定素子を配置するFPCを1枚のFPC100AXで構成した場合、グランド配線とプラス配線の配置は、例えば、図5(b)に示す配置となる。なお、図中、太い点線がグランド配線で、細い点線がプラス配線である。図示のように、コネクタを接続する位置においては、3本のグランド配線と2本のプラス配線があり、最低、5極のコネクタが必要となる。
【0054】
これに対して、本実施例においては、第1本体部111Aと第1枝部(ここでは、中間FPC121A)との接合部と、第2本体部113Aと第2枝部(ここでは、中間FPC122A)との接合部において、絶縁を保ちつつ電気配線が立体交差する構成を採用している(図5(a)中の丸で囲った部分参照)。このような構成を採用することで、第1温度測定素子における第1グランド配線と第2温度測定素子における第2グランド配線は、少なくとも第1FPC部におけるコネクタの接続部(第1本体部111Aの端部)では、1本のグランド配線に合流されている。このように、本実施例においては、コネクタを接続する位置においては、1本のグランド配線と2本のプラス配線があり、最低、3極のコネクタであればよい。なお、実施例1においては、配線回路の詳細は説明していないが、実施例1においても、FPC同士を接合する位置で、絶縁を保ちつつ電気配線を立体交差することができるので、コネクタの極数を少なくすることができる。
【0055】
(実施例3)
図7及び図8には、本発明の実施例3が示されている。図7は本発明の実施例3に係るFPCの平面図であり、(a)は分岐部を撓ませる前の状態を示し、(b)は分岐部を撓ませた後の状態を示している。図8は本発明の実施例3に係るFPCをセルに設置した状態を示す概略構成図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)中のV方向に見た図である。
【0056】
上記実施例1においては、分岐部を180°折り曲げる構成であるのに対して、本実施例においては、分岐部を撓ませる構成である点で異なっている。各部材の基本的な構成は実施例1と同一であるので、実施例1と同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0057】
本実施例に係るFPC100Bにおいても、複数枚のFPCを接合することにより構成されており、複数枚のFPCのそれぞれは、いわゆる片面FPCである。図7及び図8においては、便宜上、図中の表面側がベースフィルムの場合には(B)を付し、カバーフィルムの場合には(C)を付している。
【0058】
本実施例に係るFPC100Bが適用される電池については、実施例1と同様であるので、その説明は省略する。
【0059】
本実施例に係るFPC100Bにおいても、実施例1と同様に、コネクタ側FPC110Bと、2つの直線状の中間FPC120と、それぞれ2つ(計4つ)の直線状の末端側FPC131,132とから構成される。
【0060】
コネクタ側FPC110Bは、直線状の第1本体部111と、直線状の第2本体部113と、これら第1本体部111と第2本体部113とを接続する分岐部112Bとを有している。第2本体部113は第1本体部111から分岐する分岐部112Bを介して設けられるということもできる。
【0061】
FPC同士の接合については、実施例1と同様である。また、第1枝部、第1枝部構成部、第1FPC部、第2枝部、第2枝部構成部、及び、第2FPC部についても、実施例1と同様である。
【0062】
以上のように、本実施例に係るFPC100Bは、コネクタ20が接続される第1FPC部と、第1FPC部から分岐する分岐部112Bを介して設けられる第2FPC部とを備えている。そして、本実施例においては、分岐部112Bを撓ませて、第1FPC部と第2FPC部との間に段差を形成させることで、第1FPC部がセル10の一方の面側に配されて、第2FPC部がセル10の他方の面側に配される(図8参照)。なお、図7(a)は分岐部112Bを撓ませる前の状態を示し、同図(b)は分岐部112Bを撓ませた状態を示している。図7(b)に示すように、本実施例では、分岐部112Bを撓ませることで、第1FPC部と第2FPC部が重なるように構成されている。そして、第1FPC部と第2FPC部によって、セル10を挟み込むように、FPC100がセル10に配される。
【0063】
第1FPC部には、セル10の一方の面の温度を測定する温度測定素子(第1温度測定素子)Sが設けられ、第2FPC部には、セル10の他方の面の温度を測定する温度測定素子(第2温度測定素子)Sが設けられる。本実施例においては、末端側FPC131,132に対して、それぞれ2か所に温度測定素子Sを設けているが、温度測定素子Sの数や配置は、セル10の寸法形状や使用環境等に応じて適宜設定可能である。また、本実施例においても、セル10の一方の面の温度を測定する各々の温度測定素子Sの真裏の位置に、セル10の他方の面の温度を測定する温度測定素子Sがそれぞれ配置されるように構成されている。
【0064】
以上のように、本実施例においては、分岐部112が撓み、第1FPC部と第2FPC部との間に段差が形成されることで、第1温度測定素子がセル10の一方の面側に配され、かつ、第2温度測定素子がセル10の他方の面側に配される。
【0065】
以上のように構成される本実施例に係るFPC100Bにおいても、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、実施例1のように、分岐部を折り曲げる場合に比べて、第1FPC部と第2FPC部がセル10から浮き上がり難く、セル10に密着させ易いという利点もある。なお、本実施例においても、分岐部112Bを一か所にのみ設ける構成を示したが、例えば、図7(a)中の点線で示す分岐部112SBに示すように、更に、分岐部を設けることで、複数の分岐部を設ける構成を採用することができる。
【0066】
(実施例4)
図9及び図10には、本発明の実施例4が示されている。図9は本発明の実施例4に係るFPCの平面図であり、(a)は分岐部を撓ませる前の状態を示し、(b)は分岐部を撓ませた後の状態を示している。図10は本発明の実施例4に係るFPCをセルに設置した状態を示す概略構成図である。上記実施例2においては、分岐部を180°折り曲げる構成であるのに対して、本実施例においては、分岐部を撓ませる構成である点で異なっている。各部材の基本的な構成は実施例2と同一である。
【0067】
本実施例に係るFPC100Cにおいても、実施例1と同様に、複数枚のFPCを接合することにより構成されており、複数枚のFPCのそれぞれは、いわゆる片面FPCである。図9及び図10においては、便宜上、図中の表面側がベースフィルムの場合には(B)を付し、カバーフィルムの場合には(C)を付している。
【0068】
本実施例に係るFPC100Cが適用される電池については、実施例1と同様であるので、その説明は省略する。
【0069】
本実施例に係るFPC100Cは、コネクタ側FPC110Cと、2つの直線状の中間FPC(各図では、一方の中間FPC121Cのみ示されている)と、4つの直線状の末端側FPC131C,132C,141C,142Cとから構成される。
【0070】
コネクタ側FPC110Cは、直線状の第1本体部111Cと、直線状の第2本体部113Cと、これら第1本体部111Cと第2本体部113Cとを接続する分岐部112Cとを有している。第2本体部113Cは第1本体部111Cから分岐する分岐部112Cを介して設けられるということもできる。
【0071】
FPC同士の接合については、実施例2と同様である。また、第1枝部、第1枝部構成部、第1FPC部、第2枝部、第2枝部構成部、及び、第2FPC部についても、実施例2と同様である。
【0072】
以上のように、本実施例に係るFPC100Cは、コネクタ20が接続される第1FPC部と、第1FPC部から分岐する分岐部112Cを介して設けられる第2FPC部とを備えている。そして、本実施例においては、分岐部112Cを撓ませて、第1FPC部と第2FPC部との間に段差を形成させることで、第1FPC部がセル10の一方の面側に配されて、第2FPC部がセル10の他方の面側に配される。なお、図9(a)は分岐部112Cを撓ませる前の状態を示し、同図(b)は分岐部112Cを撓ませた状態を示している。図9(b)に示すように、本実施例では、分岐部112Cを撓ませることで、第1FPC部と第2FPC部が重なるように構成されている。そして、第1FPC部と第2FPC部によって、セル10を挟み込むように、FPC100Cがセル10に配される。
【0073】
第1FPC部には、セル10の一方の面の温度を測定する温度測定素子(第1温度測定素子)Sが設けられ、第2FPC部には、セル10の他方の面の温度を測定する温度測定素子(第2温度測定素子)Sが設けられる。本実施例においては、末端側FPC131C,141C,132C,142Cに対して、それぞれ1か所に温度測定素子Sを設けてい
るが、温度測定素子Sの数や配置は、セル10の寸法形状や使用環境等に応じて適宜設定可能である。また、本実施例においても、セル10の一方の面の温度を測定する各々の温度測定素子Sの真裏の位置に、セル10の他方の面の温度を測定する温度測定素子Sがそれぞれ配置されるように構成されている。
【0074】
以上のように、本実施例においては、分岐部112Cが撓み、第1FPC部と第2FPC部との間に段差が形成されることで、第1温度測定素子がセル10の一方の面側に配され、かつ、第2温度測定素子がセル10の他方の面側に配される。
【0075】
以上のように構成される本実施例に係るFPC100Cにおいても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0076】
(実施例5)
図11及び図12には、本発明の実施例5が示されている。図11は本発明の実施例5に係るFPCの部品展開図である。図12は本発明の実施例5に係るFPCの説明図であり、(a)は部品の一つを折り曲げた状態を示す平面図であり、(b)は本実施例に係るFPCの平面図である。本実施例においては、上記実施例1における中間FPCと、中間FPCに接合される2つの末端側FPCとを、一つの直線状のFPCで構成する点で、実施例1と異なっている。その他の構成は実施例1と同一であるので、実施例1と同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0077】
本実施例に係るFPC100Dにおいても、複数枚のFPCを接合することにより構成されており、複数枚のFPCのそれぞれは、いわゆる片面FPCである。本実施例に係るFPC100Dが適用される電池については、実施例1と同様であるので、その説明は省略する。
【0078】
本実施例に係るFPC100Dにおいては、コネクタ側FPC110と、2つの直線状の枝部FPC150とから構成される。なお、図11においては、一つの枝部FPC150のみ示している。
【0079】
コネクタ側FPC110については、実施例1で説明した通りである。本実施例においては、直線状の枝部FPC150を、図11(a)中の2か所の点線部で折り曲げることによって、実施例1における中間FPCに相当する部分151と、末端側FPCに相当する部分152,153が設けられる。このように折り曲げた2枚の枝部FPCにおける領域J5付近の裏側と、コネクタ側FPC110の領域J11付近、及び領域J12付近がそれぞれ接合される。これにより、実施例1と同様の構成のFPC100Dが得られる。
【0080】
本実施例においては、第1本体部111に接合される枝部FPC150が第1枝部であり、かつ、この枝部FPC150が第1枝部構成部である。そして、第1本体部111と、第1本体部111に接合される枝部FPC150とによって、第1FPC部が構成される。また、第2本体部113に接合される枝部FPC150が第2枝部であり、かつ、この枝部FPC150が第2枝部構成部である。そして、第2本体部113と、第2本体部113に接合される枝部FPC150とによって、第2FPC部が構成される。温度測定素子Sについては、実施例1で説明した通りであるので、その説明は省略する。
【0081】
以上のように構成される本実施例に係るFPC100Dにおいても、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、本実施例においては、FPC同士の接合箇所が減るため、強度や防水性などの対策が少なくて済む。なお、本実施例においては、実施例1と同様に、分岐部112は180°折り曲げられる構成であるが、実施例3のように、分岐部を撓ませて、第1FPC部と第2FPC部との間に段差を形成される構成も採用し得る。
【0082】
なお、上記の各実施例においては、セルの両面に配置させるFPCが重なり、一方の面側の温度測定素子の真裏に他方の面側の温度測定素子が配置される構成を示した。大型のセルの場合には、両面の温度分布が同様にならないことが想定されるため、両面の同一位置でそれぞれ温度を測定したい場合には、そのような構成を採用するのが望ましい。ただし、使用条件などに応じて、セルの両面で異なる位置でそれぞれ温度を測定したい場合には、両面の温度測定素子の位置が異なるようにしてもよい。勿論、両面のFPCの形状を異なるようにして、両面のFPCが重ならないようにしても構わない。このような構成を採用した場合でも、両面側の温度測定素子の配置関係の位置精度を高めることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0083】
1:電池
10:セル
20:コネクタ
100,100A,100B,100C,100D:FPC
110,110A,110B,110C:コネクタ側FPC
111,111A,111C:第1本体部
111a:端部
112,112A,112B,112C,112S,112SB:分岐部
113,113A,113C:第2本体部
120,121A,121C,122A:中間FPC
131,131A,131C:末端側FPC
132,132A,132C:末端側FPC
141A,141C:末端側FPC
142A,142C:末端側FPC
150:枝部FPC
S:温度測定素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
以上のように、本実施例に係るFPC100Bは、コネクタ20が接続される第1FPC部と、第1FPC部から分岐する分岐部112Bを介して設けられる第2FPC部とを備えている。そして、本実施例においては、分岐部112Bを撓ませて、第1FPC部と第2FPC部との間に段差を形成させることで、第1FPC部がセル10の一方の面側に配されて、第2FPC部がセル10の他方の面側に配される(図8参照)。なお、図7(a)は分岐部112Bを撓ませる前の状態を示し、同図(b)は分岐部112Bを撓ませた状態を示している。図7(b)に示すように、本実施例では、分岐部112Bを撓ませることで、第1FPC部と第2FPC部が重なるように構成されている。そして、第1FPC部と第2FPC部によって、セル10を挟み込むように、FPC100がセル10に配される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
以上のように、本実施例においては、分岐部112が撓み、第1FPC部と第2FPC部との間に段差が形成されることで、第1温度測定素子がセル10の一方の面側に配され、かつ、第2温度測定素子がセル10の他方の面側に配される。