(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118099
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】点火装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01T 13/20 20060101AFI20240823BHJP
B23K 11/00 20060101ALI20240823BHJP
B23K 11/11 20060101ALN20240823BHJP
【FI】
H01T13/20 E
B23K11/00 510
B23K11/11 593A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024303
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥田 康成
(72)【発明者】
【氏名】山下 芳弘
【テーマコード(参考)】
4E165
5G059
【Fターム(参考)】
4E165AA05
4E165AB02
4E165AB12
4E165BB02
4E165BB12
4E165BB25
4E165CB04
5G059AA01
5G059CC02
5G059DD19
(57)【要約】
【課題】補助電極の位置ずれの発生を抑制できる点火装置の製造方法を提供する。
【解決手段】点火装置の製造方法は、主電極と、主電極に接続される補助電極とを備えた点火装置の製造方法であって、治具を準備する工程と、治具を用いて主電極に補助電極をスポット溶接する工程とを有する。主電極は、軸部を有する。補助電極は、平坦面を有する。治具には、主電極収容溝と、補助電極収容溝と、貫通孔とが設けられている。主電極収容溝は、主電極を収容する。補助電極収容溝は、補助電極を収容する。貫通孔は、主電極収容溝および補助電極収容溝の少なくともいずれかに繋がっている。治具を用いて主電極に補助電極をスポット溶接する工程において、主電極収容溝に主電極が収容され、補助電極収容溝に補助電極が収容され、且つ軸部の表面と平坦面とが接触する状態で、貫通孔に溶接用電極を配置して主電極に補助電極がスポット溶接される。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電極と、前記主電極に接続される補助電極とを備えた点火装置の製造方法であって、
治具を準備する工程と、
前記治具を用いて前記主電極に前記補助電極をスポット溶接する工程とを備え、
前記主電極は、軸部を有し、
前記補助電極は、平坦面を有し、
前記治具には、
前記主電極を収容する主電極収容溝と、
前記補助電極を収容する補助電極収容溝と、
前記主電極収容溝および前記補助電極収容溝の少なくともいずれかに繋がっている貫通孔とが設けられており、
前記治具を用いて前記主電極に前記補助電極をスポット溶接する工程において、前記主電極収容溝に前記主電極が収容され、前記補助電極収容溝に前記補助電極が収容され、且つ前記軸部の表面と前記平坦面とが接触する状態で、前記貫通孔に溶接用電極を配置して前記主電極に前記補助電極がスポット溶接される、点火装置の製造方法。
【請求項2】
前記軸部の形状は、円柱状である、請求項1に記載の点火装置の製造方法。
【請求項3】
前記主電極収容溝に前記主電極が収容された後に、前記表面と前記平坦面とが接触するように前記補助電極収容溝に前記補助電極が収容される、請求項1または請求項2に記載の点火装置の製造方法。
【請求項4】
前記主電極収容溝と前記補助電極収容溝とは、相互に繋がっており、
前記治具の厚み方向において、前記主電極収容溝の深さは、前記補助電極収容溝の深さよりも深い、請求項1または請求項2に記載の点火装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点火装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第6137529号公報(特許文献1)には、中心電極と接地電極とから構成されるギャップに電圧を印加して火花放電を生じさせるようになされた点火装置が開示されている。上記の点火装置によれば、接地電極から中心電極までのギャップの距離よりも、中心電極からの距離が遠くなる位置に補助電極が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の点火装置において、たとえば補助電極と中心電極(主電極)とが溶接されていることがある。この場合、溶接時に、主電極に対する補助電極の位置ずれが発生することがある。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、補助電極の位置ずれの発生を抑制できる点火装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る点火装置の製造方法は、主電極と、主電極に接続される補助電極とを備えた点火装置の製造方法であって、治具を準備する工程と、治具を用いて主電極に補助電極をスポット溶接する工程とを備える。主電極は、軸部を有する。補助電極は、平坦面を有する。治具には、主電極収容溝と、補助電極収容溝と、貫通孔とが設けられている。主電極収容溝は、主電極を収容する。補助電極収容溝は、補助電極を収容する。貫通孔は、主電極収容溝および補助電極収容溝の少なくともいずれかに繋がっている。治具を用いて主電極に補助電極をスポット溶接する工程において、主電極収容溝に主電極が収容され、補助電極収容溝に補助電極が収容され、且つ軸部の表面と平坦面とが接触する状態で、貫通孔に溶接用電極を配置して主電極に補助電極がスポット溶接される。
【0007】
上記の点火装置の製造方法によれば、軸部の形状は、円柱状であってもよい。
上記の点火装置の製造方法によれば、主電極収容溝に主電極が収容された後に、表面と平坦面とが接触するように補助電極収容溝に補助電極が収容されてもよい。
【0008】
上記の点火装置の製造方法によれば、主電極収容溝と補助電極収容溝とは、相互に繋がっていてもよい。治具の厚み方向において、主電極収容溝の深さは、補助電極収容溝の深さよりも深くてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、補助電極の位置ずれの発生を抑制できる点火装置の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に係る点火装置の構成を示す平面模式図である。
【
図2】本実施の形態に係る点火装置の構成を示す第1側面模式図である。
【
図3】本実施の形態に係る点火装置の構成を示す第2側面模式図である。
【
図4】本実施の形態に係る点火装置の製造方法を概略的に示すフロー図である。
【
図5】治具を準備する工程を示す平面模式図である。
【
図6】
図5のVI-VI線に沿う断面模式図である。
【
図7】
図5のVII-VII線に沿う断面模式図である。
【
図8】主電極収容溝に主電極を収容する工程を示す第1断面模式図である。
【
図9】主電極収容溝に主電極を収容する工程を示す第2断面模式図である。
【
図10】補助電極収容溝に補助電極を収容する工程を示す平面模式図である。
【
図13】主電極と補助電極とをスポット溶接する工程を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態(以下、本実施の形態とも呼称する)について、図面を参照して詳細に説明する。なお、明細書および図面において、同一の構成要素または対応する構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さない。
【0012】
<点火装置の構成>
図1に示されるように、点火装置100は、第1主電極1と、第2主電極2と、絶縁部材30と、補助電極40とを主に有している。第1主電極1と第2主電極2とは、第1方向DR1に沿って並んでいる。第2主電極2は、第1主電極1から離間している。絶縁部材30は、第1主電極1および第2主電極2の各々を保持している。補助電極40は、第1主電極1に接続されている。
【0013】
図1に示されるように、第1主電極1は、第1軸部13と、第1先端部14とを有している。第1軸部13は、絶縁部材30によって保持されている。第1軸部13の形状は、たとえば棒状である。具体的には、第1軸部13の形状は、たとえば円柱状である。第1軸部13は、第2方向DR2に沿って延在している。第2方向DR2は、第1方向DR1に垂直な方向である。第1方向DR1および第2方向DR2の各々に垂直な方向は、第3方向DR3とされる。
図1に示される平面模式図は、第3方向DR3に沿って見た点火装置100の構成を示している。
【0014】
第1先端部14は、第1軸部13に連なっている。第1先端部14は、絶縁部材30から離間している。第1先端部14の形状は、たとえば棒状である。第1軸部13から離れるにつれて、第1先端部14の延在方向に垂直な断面における第1先端部14の直径は小さくなっている。
図1に示されるように、第3方向DR3に見て、第1先端部14は、第1軸部13に対して、第1主電極1から第2主電極2に向かう方向に傾斜している。別の観点から言えば、第1軸部13から離れるにつれて、第1先端部14は、第2主電極2に近づいている。
【0015】
図1に示されるように、第1主電極1は、第1先端11と、第1後端12とを有している。第1先端11は、第2主電極2に最も近い第1主電極1の部分である。第1先端11は、第1先端部14の一方端である。第1先端部14の他方端は、第1軸部13の一方端に連なっている。第1軸部13の他方端は、第1後端12である。第1主電極1は、導体によって構成されている。具体的には、第1主電極1は、たとえばステンレスなどの金属材料によって構成されている。
【0016】
図1に示されるように、第2主電極2は、第2軸部23と、第2先端部24とを有している。第2軸部23は、絶縁部材30によって保持されている。第2軸部23の形状は、たとえば棒状である。具体的には、第2軸部23の形状は、たとえば円柱状である。第2軸部23は、第2方向DR2に沿って延在している。
【0017】
第2先端部24は、第2軸部23に連なっている。第2先端部24は、絶縁部材30から離間している。第2先端部24の形状は、たとえば棒状である。第2軸部23から離れるにつれて、第2先端部24の延在方向に垂直な断面における第2先端部24の直径は小さくなっている。
図1に示されるように、第3方向DR3に見て、第2先端部24は、第2軸部23に対して、第2主電極2から第1主電極1に向かう方向に傾斜している。別の観点から言えば、第2軸部23から離れるにつれて、第2先端部24は、第1主電極1に近づいている。第3方向DR3に見て、第2軸部23に対する第2先端部24の傾斜方向は、第1軸部13に対する第1先端部14の傾斜方向の反対方向である。
【0018】
図1に示されるように、第2主電極2は、第2先端21と、第2後端22とを有している。第2先端21は、第1主電極1に最も近い第2主電極2の部分である。第2先端21は、第2先端部24の一方端である。第2先端部24の他方端は、第2軸部23の一方端に連なっている。第2軸部23の他方端は、第2後端22である。
図1に示されるように、第2先端21は、第1先端11に対向している。第1先端11と第2先端21との間において、ギャップ9が形成されている。
【0019】
第2主電極2は、導体によって構成されている。具体的には、第2主電極2は、たとえばステンレスなどの金属材料によって構成されている。第2主電極2は、たとえば第1主電極1と同じ材質によって構成されている。
【0020】
図1に示されるように、第2方向DR2において、絶縁部材30は、第1先端11と第1後端12との間に設けられている。第2方向DR2において、絶縁部材30は、第2先端21と第2後端22との間に設けられている。
【0021】
絶縁部材30は、挿入部31と、張り出し部32とを有している。挿入部31は、絶縁部材30を板(図示せず)に取り付ける際に、板に設けられている孔に通される絶縁部材30の部分である。張り出し部32は、挿入部31に連なっている。張り出し部32は、挿入部31から第2方向DR2に垂直な方向に沿って突出している。張り出し部32は、絶縁部材30を板に取り付ける際に、板に引っかかる絶縁部材30の部分である。絶縁部材30は、電気絶縁性の材料により構成されている。絶縁部材30は、たとえば樹脂材料により構成されている。
【0022】
図1に示されるように、補助電極40は、第1軸部13に接続されている。第2方向DR2において、補助電極40は、絶縁部材30と第1先端11との間に位置している。補助電極40は、導体により形成されている。補助電極40は、たとえばステンレスなどの金属材料により形成されている。補助電極40は、たとえば第1主電極1と同じ材質によって構成されている。
【0023】
補助電極40の形状は、たとえば板状である。第3方向DR3に見て、補助電極40の形状は、たとえば長方形状である。補助電極40は、第1方向DR1に沿って延在している。第3方向DR3に見て、補助電極40の延在方向は、第1軸部13の延在方向に実質的に垂直であってもよい。第3方向DR3に見て、補助電極40は、第1軸部13と交差している。別の観点から言えば、第3方向DR3に見て、補助電極40の一部は、第1軸部13に対して第2主電極2から第1主電極1に向かう方向に位置している。
【0024】
補助電極40は、角部49を有している。角部49は、補助電極40の複数の角の内、第2先端21に最も近い角である。第1方向DR1において、角部49は、第2先端21と第2軸部23との間に位置している。
【0025】
図1に示されるように、補助電極40は、第2主電極2および絶縁部材30の各々から離間している。補助電極40と第2主電極2との間の最小距離(第1距離L1)は、第1先端11と第2先端21との間の距離(第2距離L2)よりも大きい。第1距離L1は、第2距離L2の1.5倍以上であることが好ましい。第1距離L1は、第2距離L2の5.0倍以下であることが好ましい。第2方向DR2に見て、補助電極40の全部が、挿入部31に重なっていることが好ましい。
【0026】
図2は、第1方向DR1に沿って第1主電極1から第2主電極2に向かう方向に見た点火装置100の構成を示す第1側面模式図である。
図2に示されるように、第1方向DR1に見て、第1先端部14は、第1軸部13に対して第3方向DR3に傾斜している。言い換えれば、第1軸部13から離れるにつれて、第3方向DR3における第1先端部14と第1軸部13との間の距離が大きくなっている。
【0027】
図2に示されるように、補助電極40は、第1平坦面40aと、第2平坦面40bと、外周側面40cとを有している。第1平坦面40aにおいて、補助電極40は、第1軸部13に接続されている。第1平坦面40aは、第3方向DR3に垂直な方向に沿って拡がっている。第2平坦面40bは、第1平坦面40aの反対側に設けられている。第2平坦面40bは、第3方向DR3に垂直な方向に沿って拡がっている。外周側面40cは、第1平坦面40aおよび第2平坦面40bの各々に連なっている。外周側面40cは、第3方向DR3に実質的に平行であってもよい。
【0028】
図2に示されるように、第3方向DR3において、補助電極40は、第1軸部13と第1先端11(
図1参照)との間に位置している。第3方向DR3における補助電極40の厚みは、たとえば0.3mm以上1.0mm以下である。
【0029】
図3は、第1方向DR1に沿って第2主電極2から第1主電極1に向かう方向に見た点火装置100の構成を示す第2側面模式図である。
図3に示されるように、第1方向DR1に見て、第2先端部24は、第2軸部23に対して第3方向DR3に傾斜している。別の観点から言えば、第2軸部23から離れるにつれて、第3方向DR3における第2先端部24と第2軸部23との間の距離が大きくなっている。第1方向DR1に見て、第2軸部23に対する第2先端部24の傾斜方向は、第1軸部13に対する第1先端部14の傾斜方向と同じである。
【0030】
点火装置100は、たとえば燃焼装置に用いられる。具体的には、点火装置100は、たとえば石油給湯器の燃焼装置に用いられる。石油給湯器には、給湯機能、風呂注湯機能、風呂追焚機能および温水暖房機能の少なくとも1つを有している給湯器が含まれ得る。たとえば、温水暖房専用の給湯器であっても、石油給湯器に含まれる。点火装置100は、石油ボイラの燃焼装置に用いられてもよい。
【0031】
<点火装置の製造方法>
次に、本実施の形態に係る点火装置100の製造方法について説明する。
図4に示されるように、本実施の形態に係る点火装置100の製造方法は、治具を準備する工程(S10)と、主電極および絶縁部材を準備する工程(S20)と、主電極収容溝に主電極を収容する工程(S30)と、補助電極収容溝に補助電極を収容する工程(S40)と、主電極に補助電極をスポット溶接する工程(S50)とを主に有している。
【0032】
まず、治具を準備する工程(S10)を有している。
図5に示されるように、治具300が準備される。治具300は、第1面91を有している。第1面91は、第3方向DR3に垂直な方向に沿って拡がっている。第1面91において、第1主電極収容溝51と、第2主電極収容溝52と、補助電極収容溝54と、絶縁部材収容溝53と、貫通孔55とが設けられている。治具300は、電気絶縁性の材料によって構成されている。治具300は、たとえば樹脂材料によって構成されている。
【0033】
第1主電極収容溝51は、第2方向DR2に沿って延びている。第2主電極収容溝52は、第2方向DR2に沿って延びている。第2主電極収容溝52は、第1主電極収容溝51から離間している。補助電極収容溝54は、第1方向DR1に沿って延びている。補助電極収容溝54は、第1主電極収容溝51に繋がっている。第3方向DR3に見て、補助電極収容溝54は、第1主電極収容溝51と交差していてもよい。補助電極収容溝54は、第2主電極収容溝52から離間している。絶縁部材収容溝53は、第1主電極収容溝51および第2主電極収容溝52の各々に繋がっている。絶縁部材収容溝53は、補助電極収容溝54から離間している。
【0034】
絶縁部材収容溝53は、第1溝41と、第2溝42と、第3溝43とによって構成されている。第1溝41は、第1主電極収容溝51および第2主電極収容溝52の各々に繋がっている。第2溝42は、第1溝41に繋がっている。第3溝43は、第2溝42に繋がっている。第1溝41および第3溝43は、絶縁部材30の挿入部31(
図1参照)を収容する部分である。第2溝42は、絶縁部材30の張り出し部32(
図1参照)を収容する部分である。
【0035】
図6は、第1方向DR1および第3方向DR3の各々に平行であり、且つ補助電極収容溝54および貫通孔55の各々を通る断面を示す断面模式図である。
図7は、第2方向DR2および第3方向DR3の各々に平行であり、且つ第1主電極収容溝51および貫通孔55の各々を通る断面を示す断面模式図である。
【0036】
図6および
図7に示されるように、治具300の形状は板状である。治具300の厚み方向は、第3方向DR3である。治具300は、第2面92を有している。第2面92は、第1面91の反対側にある。第2面92は、第3方向DR3に垂直な方向に沿って拡がっている。貫通孔55は、第1面91および第2面92を貫通している。貫通孔55は、たとえば第1主電極収容溝51および補助電極収容溝54の各々に繋がっている。
【0037】
治具300は、第1側壁面71と、第2側壁面72と、第1底面81と、第2底面82とを有している。第1側壁面71、第2側壁面72、第1底面81および第2底面82は、第1主電極収容溝51を形成している。
【0038】
図6および
図7に示されるように、第1底面81は、第3方向DR3に垂直な方向に沿って拡がっている。第1側壁面71は、第1底面81および第1面91の各々に連なっている。第1側壁面71は、第3方向DR3に実質的に平行である。
図5に示されるように、第3方向DR3に見て、第1側壁面71はたとえばU字状である。第3方向DR3に見て、第1側壁面71は、第2方向DR2に沿って絶縁部材収容溝53から貫通孔55へ向かう方向に凹んでいる。第1側壁面71の一部は、第2方向DR2に実質的に平行である。
【0039】
図7に示されるように、第2底面82は、第3方向DR3に垂直な方向に沿って拡がっている。第2底面82は、第1底面81および第1側壁面71の各々から離間している。第3方向DR3において、第2底面82は、第1底面81と実質的に同じ位置に設けられている。第2側壁面72は、第2底面82および第1面91の各々に連なっている。第2側壁面72は、第2方向DR2および第3方向DR3の各々に実質的に平行である。第2側壁面72は、たとえば第1底面81および第1側壁面71の各々から離間している。
【0040】
治具300は、第3側壁面73と、第4側壁面74と、第3底面83と、第4底面84とを有している。第3側壁面73、第4側壁面74、第3底面83および第4底面84は、補助電極収容溝54を形成している。
【0041】
図6および
図7に示されるように、第3底面83は、第3方向DR3に垂直な方向に沿って拡がっている。第3側壁面73は、第3底面83および第1面91の各々に連なっている。第3側壁面73は、第3方向DR3に実質的に平行である。
図5に示されるように、第3方向DR3に見て、第3側壁面73はたとえばU字状である。第3方向DR3に見て、第3側壁面73は、第1主電極収容溝51から第2主電極収容溝52に向かう方向に凹んでいる。第3側壁面73の一部は、第1方向DR1に実質的に平行である。第3側壁面73の一部は、第2方向DR2に実質的に平行である。別の観点から言えば、第3側壁面73は、第1方向DR1に実質的に平行な部分と、第2方向DR2に実質的に平行な部分とを有している。
【0042】
図6に示されるように、第4底面84は、第3方向DR3に垂直な方向に沿って拡がっている。第4底面84は、たとえば第3底面83および第3側壁面73の各々から離間している。第3方向DR3において、第4底面84は、第3底面83と実質的に同じ位置に設けられている。第4側壁面74は、第3方向DR3に実質的に平行である。第4側壁面74は、第4底面84および第1面91の各々に連なっている。第4側壁面74は、たとえば第3底面83および第3側壁面73の各々から離間している。
【0043】
図5に示されるように、第3方向DR3に見て、第4側壁面74はたとえばU字状である。第3方向DR3に見て、第4側壁面74は、第2主電極収容溝52から第1主電極収容溝51に向かう方向に凹んでいる。第4側壁面74の一部は、第1方向DR1に実質的に平行である。第4側壁面74の一部は、第2方向DR2に実質的に平行である。別の観点から言えば、第4側壁面74は、第1方向DR1に実質的に平行な部分と、第2方向DR2に実質的に平行な部分とを有している。
【0044】
図6に示されるように、第3方向DR3において、第1主電極収容溝51の深さ(第1深さD1)は、たとえば補助電極収容溝54の深さ(第2深さD2)よりも深い。別の観点から言えば、第3方向DR3において、第3底面83は、たとえば第1底面81と第1面91との間に設けられている。第1深さD1は、第3方向DR3における第1面91と第1底面81との間の距離である。第2深さD2は、第3方向DR3における第1面91と第3底面83との間の距離である。第1深さD1は、補助電極40(
図1参照)の厚みよりも深くてもよい。
【0045】
治具300は、第5側壁面75と、第5底面85とを有している。第5側壁面75と第5底面85とは、第2主電極収容溝52を形成している。
図6に示されるように、第5底面85は、第3方向DR3に垂直な方向に沿って拡がっている。第5側壁面75は、第5底面85および第1面91の各々に連なっている。第5側壁面75は、第3方向DR3に実質的に平行である。
図5に示されるように、第3方向DR3に見て、第5側壁面75はたとえばU字状である。第3方向DR3に見て、第5側壁面75は、第2方向DR2に沿って絶縁部材収容溝53から貫通孔55へ向かう方向に凹んでいる。第5側壁面75の一部は、第2方向DR2に実質的に平行である。
【0046】
治具300は、第6側壁面76を有している。第6側壁面76は、絶縁部材収容溝53の側壁面である。
図7に示されるように、第6底面86は、第3方向DR3に垂直な方向に沿って拡がっている。第6底面86は、絶縁部材収容溝53の底面である。第3方向DR3において、第6底面86は、第1底面81と第2面92との間に設けられている。第6側壁面76は、第1面91、第6底面86、第2底面82、第2側壁面72、第5底面85および第5側壁面75の各々に連なっている。
図5および
図7に示されるように、第6側壁面76は、第1方向DR1および第3方向DR3の各々に実質的に平行である。
【0047】
治具300は、第7側壁面77を有している。第7側壁面77は、貫通孔55を形成している。
図5に示されるように、第3方向DR3に見て、第7側壁面77は環状である。
図6および
図7に示されるように、第7側壁面77は、第1面91、第2面92、第1側壁面71、第2側壁面72、第3側壁面73、第4側壁面74、第1底面81、第2底面82、第3底面83および第4底面84の各々に連なっている。
【0048】
次に、主電極および絶縁部材を準備する工程(S20)が実施される。第1主電極1および第2主電極2(単に主電極とも称する)が、絶縁部材30に取り付けられる。これによって、第1主電極1および第2主電極2の各々は、絶縁部材30に固定される。なお、第1主電極1および第2主電極2を金型(図示せず)に配置した後に、第1主電極1および第2主電極2の周囲に溶融した樹脂を流し込むことによって、絶縁部材30が成形されてもよい(インサート成形)。以上のように、主電極および絶縁部材30が準備される。
【0049】
次に、主電極収容溝に主電極を収容する工程(S30)が実施される。
図8および
図9に示されるように、第1主電極1、第2主電極2および絶縁部材30が、治具300に配置される。第1主電極1は、第1主電極収容溝51に収容される。第1側壁面71および第2側壁面72の各々によって、第1主電極1の第1方向DR1における移動が制限される。第1主電極1は、第1底面81および第2底面82の各々に支持される。
【0050】
図8に示されるように、第2主電極2は、第2主電極収容溝52に収容される。第5側壁面75によって、第2主電極2の第1方向DR1における移動が制限される。第2主電極2は、第5底面85に支持される。
【0051】
図9に示されるように、絶縁部材30は、絶縁部材収容溝53(
図7参照)に収容される。絶縁部材30は、第6底面86に支持される。たとえば、第2方向DR2に沿って絶縁部材30が第6側壁面76に押しつけられることによって、第1主電極1、第2主電極2および絶縁部材30の第2方向DR2における位置が決定されてもよい。
【0052】
次に、補助電極収容溝に補助電極を収容する工程(S40)が実施される。
図10、
図11および
図12に示されるように、補助電極40が補助電極収容溝54に収容される。別の観点から言えば、第3側壁面73および第4側壁面74の各々によって、補助電極40の第1方向DR1における移動が制限される。同様に、第3側壁面73および第4側壁面74の各々によって、補助電極40の第2方向DR2における移動が制限される。補助電極40は、第3底面83および第4底面84の少なくともいずれかに支持される。補助電極40の第1平坦面40aは、第1主電極1の第1軸部13の表面に接触する。
【0053】
第1方向DR1に沿って補助電極40が第3側壁面73または第4側壁面74に押しつけられることによって、補助電極40の第1方向DR1における位置が決定されてもよい。第2方向DR2に沿って補助電極40を第3側壁面73または第4側壁面74に押しつけられることによって、補助電極40の第2方向DR2における位置が決定されてもよい。別の観点から言えば、補助電極40の外周側面40cは、第3側壁面73および第4側壁面74の少なくともいずれかに接していてもよい。
【0054】
次に、主電極に補助電極をスポット溶接する工程(S50)が実施される。
図13に示されるように、貫通孔55に第1溶接用電極61が配置される。別の観点から言えば、第1溶接用電極61は、第7側壁面77に取り囲まれる。第7側壁面77によって、第1溶接用電極61の第3方向DR3に垂直な方向における移動が制限される。第1溶接用電極61の形状は棒状である。
【0055】
図13に示されるように、第1溶接用電極61は、凹面69を有していてもよい。第2方向DR2に垂直な断面において、凹面69は、たとえば第1面91から第2面92に向かう方向に凹んでいる。凹面69において、第1溶接用電極61は、第1主電極1に接触する。
【0056】
第2溶接用電極62が、たとえば補助電極40上に配置される。第2溶接用電極62の形状は棒状である。第2溶接用電極62は、たとえば第3平坦面68を有している。第3平坦面68において、第2溶接用電極62は、補助電極40に接触する。第3方向DR3に垂直な方向において、第2溶接用電極62は、第1溶接用電極61と実質的に同じ位置に配置される。第1溶接用電極61および第2溶接用電極62の各々の中心軸は、第1主電極1に交差していてもよい。
【0057】
第1溶接用電極61と第2溶接用電極62とによって、第1主電極1と補助電極40とが、第3方向DR3に沿って挟み込まれる。第1溶接用電極61と第2溶接用電極62とを介して、第1主電極1および補助電極40に電気が流される。これによって、第1主電極収容溝51に第1主電極1が収容され、且つ補助電極収容溝54に補助電極40が収容された状態で、第1主電極1に補助電極40がスポット溶接される。具体的には、第1主電極1と補助電極40との接触部および接触部の周辺(接合領域97)において、第1主電極1と補助電極40とが溶接される。以上のように、本実施の形態に係る点火装置100(
図1参照)が製造される。
【0058】
次に、本実施の形態に係る点火装置100の製造方法の作用効果について説明する。
本実施の形態に係る点火装置100の製造方法によれば、治具300が準備される。治具300には、第1主電極収容溝51と補助電極収容溝54とが設けられている。第1主電極収容溝51に第1主電極1が収容され、補助電極収容溝54に補助電極40が収容され、第1軸部13の表面と補助電極40の第1平坦面40aとが接触する状態で、第1主電極1に補助電極40がスポット溶接される。このため、第1主電極1に補助電極40がスポット溶接される際に、第1主電極1および補助電極40の各々は、治具300によって位置決めされている。これによって、補助電極40の位置ずれの発生を抑制できる。
【0059】
本実施の形態に係る点火装置100の製造方法によれば、治具300において、貫通孔55が設けられている。貫通孔55に第1溶接用電極61を配置して、第1主電極1に補助電極40がスポット溶接される。このため、第1主電極1に補助電極40がスポット溶接される際に、第1溶接用電極61は、治具300によって位置決めされている。これによって、第1主電極1および補助電極40に対する第1溶接用電極61の位置ずれの発生を抑制できる。
【0060】
本実施の形態に係る点火装置100の製造方法によれば、第1主電極1は、第1軸部13を有している。第1軸部13の形状は、円柱状である。補助電極40は、第1平坦面40aを有している。第1軸部13の表面と、第1平坦面40aとが接触する状態で、第1主電極1に補助電極40がスポット溶接される。第1軸部13の形状が円柱状である場合、第1軸部13の表面は曲面である。この場合、第1平坦面40aが曲面に接触することによって、補助電極40の位置ずれが発生しやすくなる。本実施の形態に係る点火装置100の製造方法によれば、第1軸部13の形状が円柱状である場合であっても、補助電極40の位置ずれの発生を抑制できる。
【0061】
本実施の形態に係る点火装置100の製造方法によれば、第1主電極1と補助電極40とは、同じ材質によって構成されていてもよい。この場合、第1主電極1の熱伝導率と補助電極40の熱伝導率とは、実質的に同じである。第1主電極1の電気抵抗率と補助電極40の電気抵抗率とは、実質的に同じである。このため、第1主電極1と補助電極40とが異なる材質によって構成されている場合と比較して、溶接不良の発生を抑制できる。
【0062】
本実施の形態に係る点火装置100の製造方法によれば、点火装置100は角部49を有している。このため、角部49において、電界集中を生じやすくすることができる。これによって、角部49と第2先端21との間における電界強度を向上できる。これによって、第1先端11および第2先端21に、たとえば、燃料等の油が付着していても、第1先端11と第2先端21との間における放電の安定性を向上できる。
【0063】
<本実施の形態の変形例>
次に、本実施の形態の変形例について説明する。本実施の形態の変形例に係る点火装置100の製造方法において、補助電極収容溝に補助電極を収容する工程(S40)が実施された後に、主電極収容溝に主電極を収容する工程(S30)が実施されてもよい。具体的には、まず、補助電極収容溝54に補助電極40が配置される。その後、第1主電極1が補助電極40上に配置される。この場合、
図10に示される第1主電極1、第2主電極2および絶縁部材30の状態と比較して、たとえば第1主電極1、第2主電極2および絶縁部材30が、第2方向DR2に延びる直線を軸にして180°回転した状態で、治具300に配置される。
【0064】
補助電極収容溝54の深さ(第2深さD2)は、第1主電極収容溝51の深さ(第1深さD1)よりも深くてもよい。別の観点から言えば、第3方向DR3において、第1底面81は、第3底面83と第1面91との間に設けられていてもよい。
【0065】
第1軸部13の表面の少なくとも一部において、第4平坦面(図示せず)が形成されていてもよい。当該第4平坦面と補助電極40の第1平坦面40aとが接触する状態で、第1軸部13に補助電極40が溶接されてもよい。第1平坦面40aが曲面に接触する場合と比較して、第1平坦面40aが第4平坦面に接触する場合、補助電極40が移動することを抑制できる。これによって、補助電極40の位置ずれをさらに抑制できる。
【0066】
<燃焼装置の一例>
次に、本実施の形態に係る点火装置100を含む燃焼装置の一例について説明する。燃焼装置は、点火装置100と、ノズルと、電源とを主に有している。ノズルの先端において、噴出口が設けられている。噴出口から液体燃料が噴出される。液体燃料は、たとえば灯油である。第1先端11および第2先端21(
図1参照)は、ノズルに対して、液体燃料が噴出される方向に位置している。第1先端11および第2先端21は、ノズルから離間している。
【0067】
第1先端11における電圧と第2先端21における電圧とが正負逆となるように、電源から、第1主電極1および第2主電極2に交流電圧が印加される。これにより、第1先端11と第2先端21との間に電界が発生する。当該電界により第1先端11および第2先端21の各々からの電子放出が促され、第1先端11と第2先端21との間に放電による電弧が発生する。当該電弧が、噴出口から噴出される液体燃料に接触することによって、液体燃料への点火が行われる。
【0068】
点火を行う際に、第1先端11および第2先端21に、油(たとえば灯油)が付着する場合がある。この場合、油が付着することにより、第1先端11と第2先端21との間で放電を行うために必要な電圧(要求電圧)が増加する。従って、第1先端11と第2先端21との間で放電が生じにくくなる。
【0069】
本実施の形態に係る点火装置100によれば、第1主電極1に補助電極40が接続されている。このため、補助電極40と第2先端21との間に電界が生じる。具体的には、角部49と第2先端21との間において電界が生じる。補助電極40と第2先端21との間に生じる電界は、第2先端21からの電子放出を促す。このため、第1先端11および第2先端21に油が付着していても、第1先端11と第2先端21との間における放電の安定性を向上できる。
【0070】
本実施の形態に係る点火装置100によれば、補助電極40と第2主電極2との間の最小距離(第1距離L1、
図1参照)が第1先端11と第2先端21との間の距離(第2距離L2、
図1参照)よりも大きいため、補助電極40と第2主電極2との間で放電が生じることを抑制できる。
【0071】
補助電極40と第1主電極1とを溶接して点火装置100を製造する場合、第1主電極1に対する補助電極40の位置ずれが発生することがある。この結果、たとえば第1距離L1(
図1参照)が第2距離L2(
図1参照)よりも小さくなったり、補助電極40とノズルとの間の距離が第2距離L2よりも小さくなったりする場合がある。この場合、補助電極40と第2主電極2との間、または補助電極40とノズルとの間で放電が生じる。従って、第1先端11と第2先端21との間で放電が生じにくくなる。結果として、液体燃料への点火の成功率が低下する。本実施の形態に係る点火装置100の製造方法によれば、補助電極40の位置ずれの発生を抑制できる。これによって、液体燃料への点火の成功率の低下を抑制できる。
【0072】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0073】
1 第1主電極、2 第2主電極、9 ギャップ、11 第1先端、12 第1後端、13 第1軸部、14 第1先端部、21 第2先端、22 第2後端、23 第2軸部、24 第2先端部、30 絶縁部材、31 挿入部、32 張り出し部、40 補助電極、40a 第1平坦面、40b 第2平坦面、40c 外周側面、41 第1溝、42 第2溝、43 第3溝、49 角部、51 第1主電極収容溝、52 第2主電極収容溝、53 絶縁部材収容溝、54 補助電極収容溝、55 貫通孔、61 第1溶接用電極、62 第2溶接用電極、68 第3平坦面、69 凹面、71 第1側壁面、72 第2側壁面、73 第3側壁面、74 第4側壁面、75 第5側壁面、76 第6側壁面、77 第7側壁面、81 第1底面、82 第2底面、83 第3底面、84 第4底面、85 第5底面、86 第6底面、91 第1面、92 第2面、97 接合領域、100 点火装置、300 治具、D1 第1深さ、D2 第2深さ、DR1 第1方向、DR2 第2方向、DR3 第3方向、L1 第1距離、L2 第2距離。