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特開2024-118101密閉型蓄電デバイス及びその製造方法並びにその分解方法、ケース再利用密閉型蓄電デバイス及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118101
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】密閉型蓄電デバイス及びその製造方法並びにその分解方法、ケース再利用密閉型蓄電デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/193 20210101AFI20240823BHJP
   H01M 50/186 20210101ALI20240823BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20240823BHJP
   H01M 50/198 20210101ALI20240823BHJP
   H01M 10/54 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
H01M50/193
H01M50/186
H01M50/184 Z
H01M50/198
H01M10/54
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024305
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 陽三
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 友紀
(72)【発明者】
【氏名】江原 強
【テーマコード(参考)】
5H011
5H031
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011CC06
5H011FF02
5H011GG02
5H011HH02
5H031EE01
5H031EE04
5H031RR01
(57)【要約】
【課題】金属製のケース本体と蓋体との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体と蓋体と電極体の再利用が容易な密閉型蓄電デバイス及びその製造方法、並びにその分解方法、更には、解体したケース本体と蓋体とを利用したケース再利用密閉型蓄電デバイス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】密閉型蓄電デバイス10は、電極体1と、開口部21を有し、電極体を収容する有底筒状の金属ケース本体2と、電極体に電気的に接続された外部接続端子3と、外部接続端子及び当該外部接続端子を介して電極体を保持し、金属ケース本体の開口部を封口する金属蓋体4と、を備えている。また、金属ケース本体の開口部と金属蓋体の周縁部41とは、環状の樹脂枠体5を介して、全周に亘り気密に結合されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体と、
開口部を有し、前記電極体を収容する有底筒状の金属ケース本体と、
前記電極体に電気的に接続された外部接続端子と、
前記外部接続端子及び当該外部接続端子を介して前記電極体を保持し、前記金属ケース本体の開口部を封口する金属蓋体と、を備え、
前記金属ケース本体の開口部と前記金属蓋体の周縁部とは、環状の樹脂枠体を介して、全周に亘り気密に結合されてなる
密閉型蓄電デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の密閉型蓄電デバイスであって、
前記樹脂枠体は、耐熱温度が200℃以上で、溶融温度が前記金属ケース本体及び前記金属蓋体の溶融温度より低い熱可塑性樹脂で形成された
密閉型蓄電デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の密閉型蓄電デバイスであって、
前記金属ケース本体の開口部は、全周に亘り、樹脂との接合力を強化する本体側処理面を有し、
前記樹脂枠体は、全周に亘り、前記本体側処理面に気密に密着してなる
密閉型蓄電デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載の密閉型蓄電デバイスであって、
前記金属蓋体の周縁部は、全周に亘り、樹脂との接合力を強化する蓋側処理面を有し、
前記樹脂枠体は、全周に亘り、前記蓋側処理面に気密に密着してなる
密閉型蓄電デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載の密閉型蓄電デバイスであって、
前記樹脂枠体は、
前記金属ケース本体の開口部と結合された本体側樹脂部と、
前記金属蓋体の周縁部と結合された蓋側樹脂部と、
前記本体側樹脂部と前記蓋側樹脂部との間に位置し、前記樹脂枠体を前記本体側樹脂部と前記蓋側樹脂部とに分離容易とする分離容易化部と、を有する
密閉型蓄電デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載の密閉型蓄電デバイスであって、
前記樹脂枠体の外周面は、熱光線を吸収し易くした光吸収容易化部を有する
密閉型蓄電デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載の密閉型蓄電デバイスであって、
前記金属蓋体は、前記外部接続端子である正極外部接続端子及び負極外部接続端子を、それぞれ絶縁部材を介して保持してなる
密閉型蓄電デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載の密閉型蓄電デバイスであって、
前記金属蓋体は、前記外部接続端子である正極外部接続端子を兼ねると共に、前記外部接続端子である負極外部接続端子を絶縁部材を介して保持してなる
密閉型蓄電デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の密閉型蓄電デバイスであって、
前記金属蓋体は、前記外部接続端子である負極外部接続端子を兼ねると共に、前記外部接続端子である正極外部接続端子を絶縁部材を介して保持してなる
密閉型蓄電デバイス。
【請求項10】
請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の密閉型蓄電デバイスであって、
前記外部接続端子を前記絶縁部材を介して保持する前記金属蓋体の端子保持孔、及び、前記外部接続端子の前記絶縁部材に当接する外周面は、それぞれ全周に亘り、前記絶縁部材との接合力を強化する接合力強化処理面を有する
密閉型蓄電デバイス。
【請求項11】
電極体と、
開口部を有し、前記電極体を収容する有底筒状の金属ケース本体と、
前記電極体に電気的に接続された外部接続端子と、
前記外部接続端子及び当該外部接続端子を介して前記電極体を保持し、前記金属ケース本体の開口部を封口する金属蓋体と、を備え、
前記金属ケース本体の開口部と前記金属蓋体の周縁部とは、環状の樹脂枠体を介して、全周に亘り気密に結合されてなる
密閉型蓄電デバイスの製造方法であって、
前記開口部を通じて前記金属ケース本体内に、前記電極体を収容する収容工程と、
前記金属ケース本体の開口部と前記金属蓋体の周縁部とを前記樹脂枠体を介して気密に結合して、前記開口部を封口する封口工程と、を備える
密閉型蓄電デバイスの製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の密閉型蓄電デバイスの製造方法であって、
前記封口工程は、
予め前記金属蓋体の周縁部に気密に結合させた蓋側樹脂枠体を、前記金属ケース本体の開口部に直接、気密に結合する開口部結合工程である
密閉型蓄電デバイスの製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載の密閉型蓄電デバイスの製造方法であって、
前記封口工程は、
予め前記金属ケース本体の開口部に気密に結合させた本体側樹脂枠体を、前記金属蓋体の周縁部に直接、気密に結合する周縁部結合工程である
密閉型蓄電デバイスの製造方法。
【請求項14】
請求項11に記載の密閉型蓄電デバイスの製造方法であって、
前記封口工程は、
予め前記金属蓋体の周縁部に気密に結合させた蓋側部分樹脂枠体と、
予め前記金属ケース本体の開口部に気密に結合させた本体側部分樹脂枠体とを、気密に結合する枠体間結合工程である
密閉型蓄電デバイスの製造方法。
【請求項15】
請求項1に記載の密閉型蓄電デバイスの分解方法であって、
前記金属ケース本体の開口部と前記金属蓋体の周縁部との間に介在する前記樹脂枠体を、
前記金属ケース本体の開口部に結合する本体側部分樹脂枠体と、
前記金属蓋体の周縁部に結合する蓋側部分樹脂枠体とに分割する
分割工程と、
前記開口部を通じて前記金属ケース本体内に収容された前記電極体を取り出す取出工程と、を備える
密閉型蓄電デバイスの分解方法。
【請求項16】
請求項15に記載の密閉型蓄電デバイスの分解方法であって、
前記分割工程は、
前記樹脂枠体のうち、前記金属ケース本体と前記金属蓋体とから離間した溶融分離部を溶融させつつ、前記金属蓋体と前記金属ケース本体とを離間方向に相対移動させ、前記本体側部分樹脂枠体と前記蓋側部分樹脂枠体とに分割する溶融分割工程である
密閉型蓄電デバイスの分解方法。
【請求項17】
請求項15に記載の密閉型蓄電デバイスの分解方法であって、
前記分割工程は、
前記樹脂枠体のうち、前記金属ケース本体と前記金属蓋体とから離間した切断分離部を全周に亘って切断して、前記本体側部分樹脂枠体と前記蓋側部分樹脂枠体とに分割する切断分割工程である
密閉型蓄電デバイスの分解方法。
【請求項18】
電極体と、
開口部を有し、前記電極体を収容する有底筒状の金属ケース本体であって、前記開口部の全周に亘り本体側部分樹脂枠体が結合した樹脂枠付き金属ケース本体と、
前記電極体に電気的に接続された外部接続端子と、
前記外部接続端子及び当該外部接続端子を介して前記電極体を保持した金属蓋体であって、周縁部の全周に亘り蓋側部分樹脂枠体が結合した、前記樹脂枠付き金属ケース本体の開口部を封口する樹脂枠付き金属蓋体と、を備え、
前記金属ケース本体の開口部と前記金属蓋体の周縁部とは、環状の前記本体側部分樹脂枠体と前記蓋側部分樹脂枠体とを結合した複合樹脂枠体を介して、全周に亘り気密に結合されてなる
ケース再利用密閉型蓄電デバイスであって、
前記樹脂枠付き金属ケース本体は、再利用樹脂枠付き金属ケース本体である、
及び、
前記樹脂枠付き金属蓋体は、再利用樹脂枠付き金属蓋体である、
の少なくともいずれかである
ケース再利用密閉型蓄電デバイス。
【請求項19】
請求項18に記載のケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法であって、
前記開口部を通じて、前記金属ケース本体内に、前記電極体を収容する収容工程と、
前記本体側部分樹脂枠体と前記蓋側部分樹脂枠体とを気密に結合して前記複合樹脂枠体を形成して、前記開口部を気密に封口する封口工程と、を備える
ケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載のケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法において、
前記樹脂枠付き金属ケース本体は、再利用樹脂枠付き金属ケース本体であり、
前記収容工程に先立ち、
前記金属ケース本体の開口部に結合した本体側部分樹脂枠体を、予め定めた形状に整形する本体側部分樹脂枠体整形工程を備える
ケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法。
【請求項21】
請求項19又は請求項20に記載のケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法において、
前記樹脂枠付き金属蓋体は、前記再利用樹脂枠付き金属蓋体であり、
前記収容工程に先立ち、
前記金属蓋体の周縁部に結合した蓋側部分樹脂枠体を、予め定めた形状に整形する蓋側部分樹脂枠体整形工程を備える
ケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉型蓄電デバイス及びその製造方法並びにその分解方法、ケース再利用密閉型蓄電デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HV)等の普及に伴い、リチウムイオン電池等を含む密閉型蓄電デバイスが増加し、これを有効に再資源化する技術の必要性が高まっている。例えば、特許文献1には、使用済みのリチウムイオン電池の再資源化処理方法が開示されている。上記特許文献1の方法は、リチウムイオン電池を所定の条件で放電させた後、リチウムイオン電池を解体して、各種金属材料を回収する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-198320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたリチウムイオン電池の再資源化処理方法には、以下のような課題があった。
すなわち、リチウムイオン電池は、一般に、正極及び負極からなる電極体が金属製(例えば、アルミニウム合金製)のケース本体内に収容された状態で、ケース本体の開口部が電極端子を外部に突出した金属製の蓋体によって封口されている。そのため、リチウムイオン電池を解体する際、金属製のケース本体と蓋体とを分離、解体(以下、両者を含めて「分解」とも言う。)させる必要がある。ところが、通常、ケース本体と蓋体とが溶接等によって接合されているので、ケース本体と蓋体とを分解させる方法として、例えば、ケース本体と蓋体との接合部付近をエンドミル等の刃具で切断する方法、又はレーザ光等で溶断する方法が考えられる。しかし、そのいずれの方法でも、ケース本体又は蓋体を切断等する際に微細な金属粉が発生し、この金属粉が電極体に混入して、電極体は、再利用しにくくなるという課題があった。また、切断又は溶断したケース本体や蓋体は、元の状態を維持できないので、その再利用方法も課題であった。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであって、金属製のケース本体と蓋体との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体と蓋体と電極体の再利用が容易な密閉型蓄電デバイス及びその製造方法、並びにその分解方法、更には、解体したケース本体と蓋体とを利用したケース再利用密閉型蓄電デバイス及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決するための本発明の一態様は、電極体と、開口部を有し、前記電極体を収容する有底筒状の金属ケース本体と、前記電極体に電気的に接続された外部接続端子と、前記外部接続端子及び当該外部接続端子を介して前記電極体を保持し、前記金属ケース本体の開口部を封口する金属蓋体と、を備え、前記金属ケース本体の開口部と前記金属蓋体の周縁部とは、環状の樹脂枠体を介して、全周に亘り気密に結合されてなる密閉型蓄電デバイスである。
【0007】
この密閉型蓄電デバイスでは、金属ケース本体の開口部と金属蓋体の周縁部とが、環状の樹脂枠体を介して、全周に亘り気密に結合されている。そのため、密閉型蓄電デバイスを再利用するため、金属ケース本体と金属蓋体とを分解する際には、金属ケース本体と金属蓋体とから離間した位置で、樹脂枠体を周方向に沿って切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体と金属蓋体とを簡単に分離、解体させることができる。また、樹脂枠体を切断又は溶融等させる際には、金属ケース本体と金属蓋体とが切断又は溶断等されないので、電極体に有害な金属粉は生じにくく、電極体を再利用しやすい。更に、樹脂枠体を切断又は溶融等させても、金属ケース本体と金属蓋体とを元の状態で維持できるので、分解した金属ケース本体と金属蓋体とを再利用しやすい。
【0008】
よって、本発明によれば、金属製のケース本体と蓋体との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体と蓋体と電極体の再利用が容易な密閉型蓄電デバイスを提供することができる。
【0009】
(2)(1)に記載の密閉型蓄電デバイスであって、前記樹脂枠体は、耐熱温度が200℃以上で、溶融温度が前記金属ケース本体及び前記金属蓋体の溶融温度より低い熱可塑性樹脂で形成された密閉型蓄電デバイスが良い。
【0010】
この密閉型蓄電デバイスでは、樹脂枠体は、耐熱温度が200℃以上であるので、密閉型蓄電デバイスの内部温度が200℃まで上昇しても、ケース内の気密性を確保することができる。また、一般に、密閉型蓄電デバイスは、内部温度が200℃まで上昇する以前に、熱暴走を防止する安全機構が作動するので、密閉型蓄電デバイスの使用状態において、樹脂枠体が変形又は破損することを回避できる。
【0011】
また、樹脂枠体は、溶融温度が金属ケース本体及び金属蓋体の溶融温度より低い熱可塑性樹脂で形成されているので、樹脂枠体を、金属ケース本体及び金属蓋体の溶融温度より低い温度で加熱、溶融した状態で、金属ケース本体及び金属蓋体と接合した後に、冷却することによって、金属ケース本体と金属蓋体とを、樹脂枠体を介して、簡単に、気密に結合させることができる。また、樹脂枠体は、金属ケース本体又は金属蓋体を型内にインサートして射出成形(インサート成形)することもでき、樹脂枠体と金属ケース本体又は金属蓋体との結合を、樹脂枠体の成形と同時に簡単に行うことができる。そのため、より簡単で、安全かつ信頼性の高い密閉型蓄電デバイスを提供できる。
【0012】
(3)(1)又は(2)に記載の密閉型蓄電デバイスであって、前記金属ケース本体の開口部は、全周に亘り、樹脂との接合力を強化する本体側処理面を有し、前記樹脂枠体は、全周に亘り、前記本体側処理面に気密に密着してなる密閉型蓄電デバイスでも良い。
【0013】
この密閉型蓄電デバイスでは、金属ケース本体の開口部は、全周に亘り、樹脂との接合力を強化する本体側処理面を有し、樹脂枠体は、全周に亘り、本体側処理面に気密に密着しているので、金属ケース本体の開口部と樹脂枠体との結合力を、より一層高めることができる。ここで、本体側処理面には、例えば、樹脂枠体に対する金属ケース本体の開口部の当接面の面積を増大させて主に静的荷重に対する結合力を強化した処理面、上記当接面を複数の方向で形成して主に動的荷重に対する結合力を強化した処理面、及び上記両処理面を複合して静的荷重及び動的荷重に対する結合力を強化した処理面等が含まれる。
【0014】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の密閉型蓄電デバイスであって、前記金属蓋体の周縁部は、全周に亘り、樹脂との接合力を強化する蓋側処理面を有し、前記樹脂枠体は、全周に亘り、前記蓋側処理面に気密に密着してなる密閉型蓄電デバイスでも良い。
【0015】
この密閉型蓄電デバイスでは、金属蓋体の周縁部は、全周に亘り、樹脂との接合力を強化する蓋側処理面を有し、樹脂枠体は、全周に亘り、蓋側処理面に気密に密着しているので、金属蓋体の周縁部と樹脂枠体との結合力を、より一層高めることができる。ここで、蓋側処理面には、例えば、樹脂枠体に対する金属蓋体の周縁部の当接面の面積を増大させて主に静的荷重に対する結合力を強化した処理面、上記当接面を複数の方向で形成して主に動的荷重に対する結合力を強化した処理面、及び上記両処理面を複合的に形成して静的荷重及び動的荷重に対する結合力を強化した処理面等が含まれる。
【0016】
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の密閉型蓄電デバイスであって、前記樹脂枠体は、前記金属ケース本体の開口部と結合された本体側樹脂部と、前記金属蓋体の周縁部と結合された蓋側樹脂部と、前記本体側樹脂部と前記蓋側樹脂部との間に位置し、前記樹脂枠体を前記本体側樹脂部と前記蓋側樹脂部とに分離容易とする分離容易化部と、を有する密閉型蓄電デバイスでも良い。
【0017】
この密閉型蓄電デバイスでは、樹脂枠体は、金属ケース本体の開口部と結合された本体側樹脂部と、金属蓋体の周縁部と結合された蓋側樹脂部と、本体側樹脂部と蓋側樹脂部との間に位置し、樹脂枠体を本体側樹脂部と蓋側樹脂部とに分離容易とする分離容易化部と、を有するので、分離容易化部を切断又は溶融等することによって、金属ケース本体と金属蓋体とをより一層迅速かつ簡単に分解させることができる。ここで、分離容易化部には、例えば、樹脂基材に熱伝導率の良い黒鉛系の粒子又は炭素系の繊維等を分散配置した溶融容易化部や、外周に凹溝が形成された切り欠き形状部等を含む。
【0018】
また、分解した金属ケース本体には、本体側樹脂部が結合され、分解した金属蓋体には、蓋側樹脂部が結合されているので、本体側樹脂部と蓋側樹脂部とを整形して加熱、溶着させ、金属ケース本体と金属蓋体とを本体側樹脂部と蓋側樹脂部とを介して簡単に再結合させることができる。そのため、金属ケース本体と金属蓋体とを有効に再利用することができる。
【0019】
(6)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の密閉型蓄電デバイスであって、前記樹脂枠体の外周面は、熱光線を吸収し易くした光吸収容易化部を有する密閉型蓄電デバイスでも良い。
【0020】
この密閉型蓄電デバイスでは、樹脂枠体の外周面は、熱光線を吸収し易くした光吸収容易化部を有するので、樹脂枠体の外方から光吸収容易化部に対して、レーザ光や遠赤外線等の熱光線を照射することによって、樹脂枠体の外周面を迅速に溶融させることができる。また、レーザ光や遠赤外線等の熱光線は、固体より液体の方が高分子の運動が促進されて光吸収性が良くなるため、熱光線によって外周面の光吸収容易化部が先行して溶融されると、樹脂枠体の内部まで速く溶融でき、金属ケース本体と金属蓋体との分解をより迅速に行うことができる。ここで、光吸収容易化部には、例えば、微細な凹凸形状や、黒色系に着色した着色部等を含む。
【0021】
(7)(1)乃至(6)のいずれか1つに記載の密閉型蓄電デバイスであって、前記金属蓋体は、前記外部接続端子である正極外部接続端子及び負極外部接続端子を、それぞれ絶縁部材を介して保持してなる密閉型蓄電デバイスでも良い。
【0022】
この密閉型蓄電デバイスでは、金属蓋体が、外部接続端子である正極外部接続端子及び負極外部接続端子を、それぞれ絶縁部材を介して保持するので、正極外部接続端子と負極外部接続端子との間で金属蓋体を経由する短絡を、絶縁部材によって確実に回避できる。なお、この絶縁部材は、その溶融温度が樹脂枠体の溶融温度より高いものが望ましい。金属蓋体の周縁部と樹脂枠体とを、樹脂枠体を加熱溶融させて結合する場合に、金属蓋体が絶縁部材を介して外部接続端子を保持している状態でも、絶縁部材の変形、溶け落ち等を防止できるからである。
【0023】
(8)(1)乃至(6)のいずれか1つに記載の密閉型蓄電デバイスであって、前記金属蓋体は、前記外部接続端子である正極外部接続端子を兼ねると共に、前記外部接続端子である負極外部接続端子を絶縁部材を介して保持してなる密閉型蓄電デバイスでも良い。
【0024】
この密閉型蓄電デバイスでは、金属蓋体は、外部接続端子である正極外部接続端子を兼ねるので、金属蓋体と正極外部接続端子との間に、絶縁部材を介在させる必要がない。そのため、絶縁部材の部品点数を減らしたことによる加工の手間、組付けの手間等を削減できるのみならず、本密閉型蓄電デバイスを再利用する際に、劣化した絶縁部材の交換を不要とすることができる。なお、正極外部接続端子は、金属蓋体と別体に形成しても良いが、金属蓋体と一体に形成しても良い。
【0025】
(9)(1)乃至(6)のいずれか1つに記載の密閉型蓄電デバイスであって、前記金属蓋体は、前記外部接続端子である負極外部接続端子を兼ねると共に、前記外部接続端子である正極外部接続端子を絶縁部材を介して保持してなる密閉型蓄電デバイスでも良い。
【0026】
この密閉型蓄電デバイスでは、金属蓋体は、外部接続端子である負極外部接続端子を兼ねるので、金属蓋体と負極外部接続端子との間に、絶縁部材を介在させる必要がない。そのため、絶縁部材の部品点数を減らしたことによる加工の手間、組付けの手間等を削減できるのみならず、本密閉型蓄電デバイスを再利用する際に、劣化した絶縁部材の交換を不要とすることができる。なお、負極外部接続端子は、金属蓋体と別体に形成しても良いが、金属蓋体と一体に形成しても良い。また、負極外部接続端子を金属蓋体と一体に形成した場合には、当該金属蓋体を、別材質の金属材料で形成した正極外部端子側の金属蓋体と分離し、両金属蓋体同士の間に蓋間絶縁部材を介在させ、電蝕等を回避させることが望ましい。
【0027】
(10)(7)乃至(9)のいずれか1つに記載の密閉型蓄電デバイスであって、前記外部接続端子を前記絶縁部材を介して保持する前記金属蓋体の端子保持孔、及び、前記外部接続端子の前記絶縁部材に当接する外周面は、それぞれ全周に亘り、前記絶縁部材との接合力を強化する接合力強化処理面を有する密閉型蓄電デバイスでも良い。
【0028】
この密閉型蓄電デバイスでは、外部接続端子を絶縁部材を介して保持する金属蓋体の端子保持孔、及び、外部接続端子の絶縁部材に当接する外周面は、それぞれ全周に亘り、絶縁部材との接合力を強化する接合力強化処理面を有するので、金属蓋体の端子保持孔と絶縁部材との結合力、及び、外部接続端子の外周面と絶縁部材との結合力を、より一層高めることができる。ここで、接合力強化処理面には、例えば、金属蓋体の端子保持孔において絶縁部材に当接する当接面の面積を増大させて主に静的荷重に対する結合力を強化した処理面、上記当接面を複数の方向で形成して主に動的荷重に対する結合力を強化した処理面、及び上記両処理面を複合的に形成して動的荷重及び静的荷重に対する結合力を強化した処理面等が含まれる。また、接合力強化処理面 には、例えば、外部接続端子の外周面において絶縁部材に当接する当接面の面積を増大させて主に静的荷重に対する結合力を強化した処理面、上記当接面を複数の方向で形成して主に動的荷重に対する結合力を強化した処理面、及び上記両処理面を複合的に形成して動的荷重及び静的荷重に対する結合力を強化した処理面等が含まれる。
【0029】
(11)上記課題を解決するための本発明の他の一態様は、電極体と、開口部を有し、前記電極体を収容する有底筒状の金属ケース本体と、前記電極体に電気的に接続された外部接続端子と、前記外部接続端子及び当該外部接続端子を介して前記電極体を保持し、前記金属ケース本体の開口部を封口する金属蓋体と、を備え、前記金属ケース本体の開口部と前記金属蓋体の周縁部とは、環状の樹脂枠体を介して、全周に亘り気密に結合されてなる密閉型蓄電デバイスの製造方法であって、前記開口部を通じて前記金属ケース本体内に、前記電極体を収容する収容工程と、前記金属ケース本体の開口部と前記金属蓋体の周縁部とを前記樹脂枠体を介して気密に結合して、前記開口部を封口する封口工程と、を備える密閉型蓄電デバイスの製造方法である。
【0030】
この密閉型蓄電デバイスの製造方法では、開口部を通じて金属ケース本体内に、電極体を収容する収容工程と、金属ケース本体の開口部と金属蓋体の周縁部とを樹脂枠体を介して気密に結合して、開口部を封口する封口工程と、を備えるので、電極体を内部に収容した金属ケース本体と外部接続端子を保持する金属蓋体とが、樹脂枠体によって気密に結合した安全性の高い密閉型蓄電デバイスを簡単に製造することができる。
【0031】
また、樹脂枠体を、金属ケース本体と金属蓋体とから離間した位置で、周方向に沿って切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体と金属蓋体とを簡単に分離、解体させることができる。また、樹脂枠体を切断又は溶融等させる際には、金属ケース本体と金属蓋体とが切断又は溶断等されないので、電極体に有害な金属粉は生じにくく、電極体を再利用しやすい。更に、樹脂枠体を切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体と金属蓋体とを元の状態で維持できるので、分解した金属ケース本体と金属蓋体とを再利用しやすい。
【0032】
よって、他の態様に係る本発明によれば、密閉型蓄電デバイスを簡単に製造することができると共に、金属製のケース本体と蓋体との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体と蓋体と電極体の再利用が容易な密閉型蓄電デバイスの製造方法を提供することができる。
【0033】
(12)(11)に記載の密閉型蓄電デバイスの製造方法であって、前記封口工程は、予め前記金属蓋体の周縁部に気密に結合させた蓋側樹脂枠体を、前記金属ケース本体の前記開口部に直接、気密に結合する開口部結合工程である密閉型蓄電デバイスの製造方法でも良い。
【0034】
この密閉型蓄電デバイスの製造方法では、封口工程は、予め金属蓋体の周縁部に気密に結合させた蓋側樹脂枠体を、金属ケース本体の開口部に直接、気密に結合する開口部結合工程であるので、金属蓋体と樹脂枠体と金属ケース本体とを一度に結合する場合に比べて、製造装置の小型化、簡素化を図ることができる。例えば、蓋側樹脂枠体は、型内に金属蓋体をインサートして射出成形(インサート成形)することによって、予め金属蓋体の周縁部に気密に結合させることができる。そのため、開口部結合工程にて蓋側樹脂枠体を金属ケース本体の開口部に結合させるときの加熱装置を、金属蓋体と樹脂枠体と金属ケース本体とを一度に結合する場合の加熱装置に比べて大幅に小型化できる。
【0035】
(13)(11)に記載の密閉型蓄電デバイスの製造方法であって、前記封口工程は、予め前記金属ケース本体の開口部に気密に結合させた本体側樹脂枠体を、前記金属蓋体の前記周縁部に直接、気密に結合する周縁部結合工程である密閉型蓄電デバイスの製造方法でも良い。
【0036】
この密閉型蓄電デバイスの製造方法では、封口工程は、予め金属ケース本体の開口部に気密に結合させた本体側樹脂枠体を、金属蓋体の周縁部に直接、気密に結合する周縁部結合工程であるので、金属蓋体と樹脂枠体と金属ケース本体とを一度に結合する場合に比べて、製造装置の小型化、簡素化を図ることができる。例えば、本体側樹脂枠体は、型内に金属ケース本体をインサートして射出成形(インサート成形)することによって、予め金属ケース本体の開口部に気密に結合させることができる。そのため、周縁部結合工程にて本体側樹脂枠体を金属蓋体の周縁部に結合させるときの加熱装置を、金属蓋体と樹脂枠体と金属ケース本体とを一度に結合する場合の加熱装置に比べて大幅に小型化できる。
【0037】
(14)(11)に記載の密閉型蓄電デバイスの製造方法であって、前記封口工程は、予め前記金属蓋体の周縁部に気密に結合させた蓋側部分樹脂枠体と、予め前記金属ケース本体の開口部に気密に結合させた本体側部分樹脂枠体とを、気密に結合する枠体間結合工程である密閉型蓄電デバイスの製造方法でも良い。
【0038】
この密閉型蓄電デバイスの製造方法では、封口工程は、予め金属蓋体の周縁部に気密に結合させた蓋側部分樹脂枠体と、予め金属ケース本体の開口部に気密に結合させた本体側部分樹脂枠体とを、気密に結合する枠体間結合工程であるので、金属蓋体と樹脂枠体と金属ケース本体とを一度に結合する場合に比べて、製造装置の小型化、簡素化を図ることができる。例えば、蓋側部分樹脂枠体は、型内に金属蓋体をインサートして射出成形(インサート成形)することによって、予め金属蓋体の周縁部に気密に結合させることができる。また、本体側部分樹脂枠体は、型内に金属ケース本体をインサートして射出成形(インサート成形)することによって、予め金属ケース本体の開口部に気密に結合させることができる。そのため、枠体間結合工程にて蓋側部分樹脂枠体と本体側部分樹脂枠体との結合面のみを加熱、溶融すれば良く、その加熱装置を、金属蓋体と樹脂枠体と金属ケース本体とを一度に結合する場合の加熱装置に比べて大幅に小型化できる。
【0039】
(15)上記課題を解決するための本発明の更なる他の一態様は、(1)乃至(10)のいずれか1つに記載の密閉型蓄電デバイスの分解方法であって、前記金属ケース本体の開口部と前記金属蓋体の周縁部との間に介在する前記樹脂枠体を、前記金属ケース本体の開口部に結合する本体側部分樹脂枠体と、前記金属蓋体の周縁部に結合する蓋側部分樹脂枠体とに分割する分割工程と、前記開口部を通じて前記金属ケース本体内に収容された前記電極体を取り出す取出工程と、を備える密閉型蓄電デバイスの分解方法である。
【0040】
この密閉型蓄電デバイスの分解方法では、金属ケース本体の開口部と金属蓋体の周縁部との間に介在する樹脂枠体を、金属ケース本体の開口部に結合する本体側部分樹脂枠体と、金属蓋体の周縁部に結合する蓋側部分樹脂枠体とに分割する分割工程を備えるので、樹脂枠体を、金属ケース本体と金属蓋体とから離間した位置で、周方向に沿って切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体と金属蓋体とを簡単に分離、解体させることができる。また、樹脂枠体を切断又は溶融等させる際には、金属ケース本体と金属蓋体とが切断又は溶断等されないので、電極体に有害な金属粉は生じにくい。更に、樹脂枠体を切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体と金属蓋体とを元の状態に維持できる。
【0041】
また、開口部を通じて金属ケース本体内に収容された電極体を取り出す取出工程を備えるので、電極体は、金属蓋体に保持された状態で、金属ケース本体内から取り出され、金属蓋体から簡単に分離できる。そのため、金属ケース本体と金属蓋体と電極体とを、再利用しやすい状態で分解できる。
【0042】
よって、更なる他の態様に係る本発明によれば、金属製のケース本体と蓋体との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体と蓋体と電極体の再利用が容易な密閉型蓄電デバイスの分解方法を提供することができる。
【0043】
(16)(15)に記載の密閉型蓄電デバイスの分解方法であって、前記分割工程は、前記樹脂枠体のうち、前記金属ケース本体と前記金属蓋体とから離間した溶融分離部を溶融させつつ、前記金属蓋体と前記金属ケース本体とを離間方向に相対移動させ、前記本体側部分樹脂枠体と前記蓋側部分樹脂枠体とに分割する溶融分割工程である密閉型蓄電デバイスの分解方法でも良い。
【0044】
この密閉型蓄電デバイスの分解方法では、分割工程は、樹脂枠体のうち、金属ケース本体と金属蓋体とから離間した溶融分離部を溶融させつつ、金属蓋体と金属ケース本体とを離間方向に相対移動させ、本体側部分樹脂枠体と蓋側部分樹脂枠体とに分割する溶融分割工程であるので、本体側部分樹脂枠体が結合された金属ケース本体と、蓋側部分樹脂枠体が結合された金属蓋体とに、簡単に分解できる。また、樹脂枠体を溶融させる際には、金属ケース本体と金属蓋体とが溶断等されないので、電極体に有害な金属粉は生じにくい。更に、樹脂枠体を溶融させることによって、金属ケース本体と金属蓋体とを元の状態に維持できる。なお、樹脂枠体を本体側部分樹脂枠体と蓋側部分樹脂枠体とに分割する溶融方法は、本体側部分樹脂枠体と蓋側部分樹脂枠体との境界線又はその近傍(溶融分離部)に、加熱した薄板状の熱刃又はレーザ光等を当てて境界線に沿って溶融させる方法が好ましい。
【0045】
(17)(15)に記載の密閉型蓄電デバイスの分解方法であって、前記分割工程は、前記樹脂枠体のうち、前記金属ケース本体と前記金属蓋体とから離間した切断分離部を全周に亘って切断して、前記本体側部分樹脂枠体と前記蓋側部分樹脂枠体とに分割する切断分割工程である密閉型蓄電デバイスの分解方法でも良い。
【0046】
この密閉型蓄電デバイスの分解方法では、分割工程は、樹脂枠体のうち、金属ケース本体と金属蓋体とから離間した切断分離部を全周に亘って切断して、本体側部分樹脂枠体と蓋側部分樹脂枠体とに分割する切断分割工程であるので、本体側部分樹脂枠体が結合された金属ケース本体と、蓋側部分樹脂枠体が結合された金属蓋体とに、簡単に分解できる。また、樹脂枠体を切断させる際には、金属ケース本体と金属蓋体とが切断等されないので、電極体に有害な金属粉は生じにくい。更に、樹脂枠体を切断させることによって、金属ケース本体と金属蓋体とを元の状態に維持できる。なお、樹脂枠体を本体側部分樹脂枠体と蓋側部分樹脂枠体とに分割する切断方法には、本体側部分樹脂枠体と蓋側部分樹脂枠体との境界線又はその近傍(切断分離部)に、鋸刃状の切削刃又はドリル状のエンドミル等を食い込ませて境界線に沿って切断させる方法が好ましい。
【0047】
(18)上記課題を解決するための本発明の更なる他の一態様は、電極体と、開口部を有し、前記電極体を収容する有底筒状の金属ケース本体であって、前記開口部の全周に亘り本体側部分樹脂枠体が結合した樹脂枠付き金属ケース本体と、前記電極体に電気的に接続された外部接続端子と、前記外部接続端子及び当該外部接続端子を介して前記電極体を保持した金属蓋体であって、周縁部の全周に亘り蓋側部分樹脂枠体が結合した、前記樹脂枠付き金属ケース本体の開口部を封口する樹脂枠付き金属蓋体と、を備え、前記金属ケース本体の開口部と前記金属蓋体の周縁部とは、環状の前記本体側部分樹脂枠体と前記蓋側部分樹脂枠体とを結合した複合樹脂枠体を介して、全周に亘り気密に結合されてなるケース再利用密閉型蓄電デバイスであって、前記樹脂枠付き金属ケース本体は、再利用樹脂枠付き金属ケース本体である、及び、前記樹脂枠付き金属蓋体は、再利用樹脂枠付き金属蓋体である、の少なくともいずれかであるケース再利用密閉型蓄電デバイスである。ここで、上記の「再利用樹脂枠付き金属ケース本体」及び「再利用樹脂枠付き金属蓋体」としては、金属ケース本体と金属蓋体とを備え、金属ケース本体の開口部と金属蓋体の周縁部とが、環状の樹脂枠体を介して全周に亘り気密に結合された、製造済みの密閉型蓄電デバイスの樹脂枠体を、金属ケース本体の開口部に結合する本体側部分樹脂枠体と、金属蓋体の周縁部に結合する蓋側部分樹脂枠体とに分割して得たものが挙げられる。また、「再利用樹脂枠付き金属ケース本体」及び「再利用樹脂枠付き金属蓋体」としては、製造済みの上述のケース再利用密閉型蓄電デバイスの複合樹脂枠体を、金属ケース本体の開口部に結合する本体側部分樹脂枠体と、金属蓋体の周縁部に結合する蓋側部分樹脂枠体とに分割して得たものも挙げられる。
【0048】
このケース再利用密閉型蓄電デバイスでは、開口部の全周に亘り本体側部分樹脂枠体が結合した樹脂枠付き金属ケース本体と、電極体に電気的に接続された外部接続端子と、外部接続端子及び当該外部接続端子を介して電極体を保持した金属蓋体であって、周縁部の全周に亘り蓋側部分樹脂枠体が結合した、樹脂枠付き金属ケース本体の開口部を封口する樹脂枠付き金属蓋体と、を備えている。また、樹脂枠付き金属ケース本体は、再利用樹脂枠付き金属ケース本体である、及び、樹脂枠付き金属蓋体は、再利用樹脂枠付き金属蓋体である、の少なくともいずれかであるので、製造済みの密閉型蓄電デバイスの樹脂枠体又は製造済みのケース再利用密閉型蓄電デバイスの複合樹脂枠体を、分割して得た再利用樹脂枠付き金属ケース本体及び/又は再利用樹脂枠付き金属蓋体を、有効に活用することができる。
【0049】
また、本ケース再利用密閉型蓄電デバイスでは、金属ケース本体の開口部と金属蓋体の周縁部とが、環状の本体側部分樹脂枠体と蓋側部分樹脂枠体とを結合した複合樹脂枠体を介して、全周に亘り気密に結合されている。そのため、金属ケース本体と金属蓋体とを再度分解する際には、環状の本体側部分樹脂枠体と蓋側部分樹脂枠体とを、両者の境界線の位置又はその近傍で、複合樹脂枠体を周方向に沿って切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体と金属蓋体とを簡単に分離、解体させることができる。また、複合樹脂枠体を切断又は溶融等させる際には、金属ケース本体と金属蓋体とが切断又は溶断等されないので、電極体に有害な金属粉は生じにくく、電極体を再利用しやすい。更に、複合樹脂枠体を切断又は溶融等させても、金属ケース本体と金属蓋体とを元の状態で維持できるので、分解した金属ケース本体と金属蓋体とを再利用しやすい。
【0050】
よって、更なる他の態様に係る本発明によれば、金属製のケース本体と蓋体との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体と蓋体と電極体の再利用が容易なケース再利用密閉型蓄電デバイスを提供することができる。
【0051】
(19)上記課題を解決するための本発明の更なる他の一態様は、(18)に記載のケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法であって、前記開口部を通じて、前記金属ケース本体内に、前記電極体を収容する収容工程と、前記本体側部分樹脂枠体と前記蓋側部分樹脂枠体とを気密に結合して前記複合樹脂枠体を形成して、前記開口部を気密に封口する封口工程と、を備えるケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法である。
【0052】
このケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法では、本体側部分樹脂枠体が結合した開口部を通じて、金属ケース本体内に、電極体を収容する収容工程と、本体側部分樹脂枠体と蓋側部分樹脂枠体とを気密に結合して複合樹脂枠体を形成して、開口部を気密に封口する封口工程と、を備えるので、電極体を内部に収容した金属ケース本体と外部接続端子を保持する金属蓋体とが、複合樹脂枠体によって気密に結合したケース再利用密閉型蓄電デバイスを簡単に製造することができる。
【0053】
また、ケース再利用密閉型蓄電デバイスを再度分解する際には、複合樹脂枠体を、例えば、本体側部分樹脂枠体と蓋側部分樹脂枠体との境界線又はその近傍で、周方向に沿って切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体と金属蓋体とを、再度、簡単に分離、解体させることができる。また、複合樹脂枠体を切断又は溶融等させる際には、金属ケース本体と金属蓋体とが切断又は溶断等されないので、電極体に有害な金属粉は生じにくく、電極体を再利用しやすい。更に、複合樹脂枠体を切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体と金属蓋体とを元の状態で維持できるので、分解した金属ケース本体と金属蓋体とを再利用しやすい。
【0054】
よって、更なる他の態様に係る本発明によれば、ケース再利用密閉型蓄電デバイスを簡単に製造することができると共に、金属製のケース本体と蓋体との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体と蓋体と電極体の再利用が容易なケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法を提供することができる。
【0055】
(20)(19)に記載のケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法において、前記樹脂枠付き金属ケース本体は、再利用樹脂枠付き金属ケース本体であり、前記収容工程に先立ち、前記金属ケース本体の開口部に結合した本体側部分樹脂枠体を、予め定めた形状に整形する本体側部分樹脂枠体整形工程を備えるケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法でも良い。
【0056】
このケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法では、樹脂枠付き金属ケース本体は、再利用樹脂枠付き金属ケース本体であり、収容工程に先立ち、金属ケース本体の開口部に結合した本体側部分樹脂枠体を、予め定めた形状に整形する本体側部分樹脂枠体整形工程を備えるので、密閉型蓄電デバイス又はケース再利用密閉型蓄電デバイスを再利用するため、樹脂枠体又は複合樹脂枠体を、金属ケース本体と金属蓋体とから離間した位置で、周方向に沿って切断又は溶融等させたときに、本体側部分樹脂枠体に生じる凹凸形状を正規の形状に整形することができる。そのため、封口工程において、正規の形状に整形した本体側部分樹脂枠体と蓋側部分樹脂枠体とを結合した複合樹脂枠体により、開口部をより一層気密に封口することができる。
【0057】
(21)(19)に記載のケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法において、前記樹脂枠付き金属蓋体は、前記再利用樹脂枠付き金属蓋体であり、前記収容工程に先立ち、前記金属蓋体の周縁部に結合した蓋側部分樹脂枠体を、予め定めた形状に整形する蓋側部分樹脂枠体整形工程を備えるケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法でも良い。
【0058】
このケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法では、樹脂枠付き金属蓋体は、再利用樹脂枠付き金属蓋体であり、収容工程に先立ち、金属蓋体の周縁部に結合した蓋側部分樹脂枠体を、予め定めた形状に整形する蓋側部分樹脂枠体整形工程を備えるので、密閉型蓄電デバイス又はケース再利用密閉型蓄電デバイスを再利用するため、樹脂枠体又は複合樹脂枠体を、金属ケース本体と金属蓋体とから離間した位置で、周方向に沿って切断又は溶融等させたときに、蓋側部分樹脂枠体に生じる凹凸形状を正規の形状に整形することができる。そのため、封口工程において、正規の形状に整形した蓋側部分樹脂枠体と本体側部分樹脂枠体とを結合した複合樹脂枠体により、開口部をより一層気密に封口することができる。
【発明の効果】
【0059】
本発明によれば、金属製のケース本体と蓋体との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体と蓋体と電極体の再利用が容易な密閉型蓄電デバイス及びその製造方法、並びにその分解方法、更には、解体したケース本体と蓋体とを利用したケース再利用密閉型蓄電デバイス及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】本実施形態に係る密閉型蓄電デバイスの一態様及びケース再利用密閉型蓄電デバイスの一態様の斜視図である。
図2図1に示す密閉型蓄電デバイス及びケース再利用密閉型蓄電デバイスの分解斜視図である。
図3図1に示す密閉型蓄電デバイスのA-A部分断面図(B-B部分断面図)である。
図4図1に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様1におけるA-A部分断面図(B-B部分断面図)である。
図5A図4に示すD部における変形例1の拡大断面図である。
図5B図4に示すD部における変形例2の拡大断面図である。
図6A図4に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様1における樹脂との接合力を強化する処理面の一例の施工方法を表す模式的断面図である。
図6B図6Aに示す施工方法で形成した処理面に樹脂枠体等を結合した状態の模式的断面図である。
図7図1に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様2におけるA-A部分断面図(B-B部分断面図)である。
図8図1に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様2の変形例1におけるA-A部分断面図(B-B部分断面図)である。
図9A図8に示すE部における更なる変形例2の拡大断面図である。
図9B図8に示すE部における更なる変形例3の拡大断面図である。
図10図1に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様3におけるA-A部分断面図である。
図11図1に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様3におけるB-B部分断面図である。
図12図1に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様3におけるC-C部分断面図である。
図13A図1に示す密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す基本タイプの工程図である。
図13B図1に示す密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す変形例1の工程図である。
図13C図1に示す密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す変形例2の工程図である。
図13D図1に示す密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す変形例3の工程図である。
図14図13Aに示す封口工程に使用する加熱装置の一例を表す概略斜視図である。
図15図13Bに示す封口工程(開口部結合工程)に使用する加熱装置の一例を表す概略斜視図である。
図16図13Cに示す封口工程(周縁部結合工程)に使用する加熱装置の一例を表す概略斜視図である。
図17図13Dに示す封口工程(枠体間結合工程)に使用する加熱装置の一例を表す概略斜視図である。
図18A図1に示す密閉型蓄電デバイスの分解方法を表す基本タイプの工程図である。
図18B図1に示す密閉型蓄電デバイスの分解方法を表す変形例1の工程図である。
図18C図1に示す密閉型蓄電デバイスの分解方法を表す変形例2の工程図である。
図19図1に示す密閉型蓄電デバイスのA-A部分断面図であって、図18に示す分解方法で分解する以前の状態の断面図である。
図20図1に示すケース再利用密閉型蓄電デバイスのA-A部分断面図である。
図21A図1に示すケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す基本タイプの工程図である。
図21B図1に示すケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す変形例1の工程図である。
図21C図1に示すケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す変形例2の工程図である。
図22図21A図21B図21Cに示す封口工程に使用する加熱装置の一例を表す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
<本実施形態に係る密閉型蓄電デバイス>
次に、本発明の実施形態に係る密閉型蓄電デバイス10の一態様について、図1図3を参照しつつ説明する。図1に、本実施形態に係る密閉型蓄電デバイスの一態様の斜視図を示す。図2に、図1に示す密閉型蓄電デバイスの分解斜視図を示す。図3に、図1に示す密閉型蓄電デバイスのA-A部分断面図(B-B部分断面図)を示す。以下の説明では、説明の便宜上、図2に示す矢印の方向によって密閉型蓄電デバイスの方向を説明することがある。具体的には、矢印Uは上方を示し、矢印Dは下方を示し、矢印Rは右方を示し、矢印Lは左方を示し、矢印Fは前方を示し、矢印Rrは後方を示す。ただし、上記矢印の方向は、密閉型蓄電デバイスの設置態様等を限定するものではない。
【0062】
本実施形態に係る密閉型蓄電デバイス10の一態様は、図1図3に示すように、電極体1と、開口部21を有し、電極体1を収容する有底筒状の金属ケース本体2と、を備えている。ここで、密閉型蓄電デバイス10は、密閉されたケース内に電極体1が収容され、電気エネルギーを取り出し可能な蓄電デバイス全般を意味し、例えば、一次電池、二次電池、電気二重層キャパシタ等を含むものである。電極体1は、図示しない正極シートと負極シートとがセパレータシートを挟んで偏平に巻回されたもので構成されているが、これに限らず、例えば、正極シートと負極シートとがセパレータシートを挟んで交互に積層したものでも良い。また、金属ケース本体2は、例えば、アルミニウム製又はアルミニウム合金製で偏平な直方体状の容器として形成されているが、アルミニウム等以外の金属で形成しても良い。
【0063】
また、本密閉型蓄電デバイス10は、電極体1に電気的に接続された外部接続端子3と、外部接続端子3及び当該外部接続端子3を介して電極体1を保持し、金属ケース本体2の開口部21を封口する金属蓋体4と、を備えている。ここで、外部接続端子3は、電極体1の正極シートの集電箔と接続された正極外部接続端子3Aと、電極体1の負極シートの集電箔と接続された負極外部接続端子3Bとから構成されている。
【0064】
また、正極外部接続端子3A及び負極外部接続端子3Bには、それぞれ金属ケース本体2内で電極体1と接続される内部端子32と、上端部が金属蓋体4の外部へ突出した外部端子34とを備えている。内部端子32の上端部31は、図示しないネジ等を介して外部端子34の下端部と結合されている。内部端子32と外部端子34との結合構造は、特に限定されるものではなく、例えば、超音波接合や摩擦圧接等による結合構造でも良い。
【0065】
また、金属蓋体4は、例えば、アルミニウム製又はアルミニウム合金製で偏平な板状体として形成されているが、アルミニウム等以外の金属で形成しても良い。また、金属蓋体4における左右方向の両端部近傍には、正極外部接続端子3Aと負極外部接続端子3Bとを絶縁部材6(6A、6B)を介して保持する端子保持孔42が形成されている。正極外部接続端子3Aは、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成され、負極外部接続端子3Bは、例えば、銅又は銅合金で形成されている。また、金属蓋体4の端子保持孔42は、矩形状に形成され、絶縁部材6(6A、6B)を嵌合可能に形成されている。また、金属蓋体4には、公知の安全弁43と電解液の注入孔44とが形成されている。注入孔44は、図示しない栓部材によって封止されている。安全弁43は、熱暴走等に対する安全機構として機能する。
【0066】
ここでは、金属蓋体4が、外部接続端子3である正極外部接続端子3A及び負極外部接続端子3Bを、それぞれ絶縁部材6(6A、6B)を介して保持するので、正極外部接続端子3Aと負極外部接続端子3Bとの間で金属蓋体4を経由する短絡を、絶縁部材6(6A、6B)によって確実に回避できる。この絶縁部材6(6A、6B)は、例えば、絶縁性樹脂で形成し、その溶融温度が樹脂枠体5の溶融温度より高いものが望ましい。金属蓋体4の周縁部41と樹脂枠体5とを、樹脂枠体5を加熱溶融させて結合する場合に、金属蓋体4が絶縁部材6(6A、6B)を介して外部接続端子3を保持している状態でも、絶縁部材6(6A、6B)の変形、溶け落ち等を防止できるからである。
【0067】
また、本密閉型蓄電デバイス10では、金属ケース本体2の開口部21と金属蓋体4の周縁部41とは、環状の樹脂枠体5を介して、全周に亘り気密に結合されている。ここで、金属ケース本体2の開口部21と金属蓋体4の周縁部41とに対する、環状の樹脂枠体5の結合構造は、特に限定しない。例えば、接着剤を介して結合しても良いし、機械的な嵌合構造を介して結合しても良い。また、樹脂枠体5は、金属ケース本体2の開口部21と金属蓋体4の周縁部41とに結合した状態で、環状に形成されていれば良い。例えば、別々に分割された樹脂枠体を用いて、金属ケース本体2の開口部21と金属蓋体4の周縁部41とに結合しても良い。また、樹脂枠体5は、複数の同一種類の樹脂又は異なる種類の樹脂が積層されたものでも良い。なお、図3では、樹脂枠体5と結合させる金属ケース本体2の開口部21の形状と、金属蓋体4の周縁部41の形状は、それぞれ平坦面に形成されているが、後述するように、平坦面に限定する必要はない。
【0068】
上述した密閉型蓄電デバイス10では、金属ケース本体2の開口部21と金属蓋体4の周縁部41とが、環状の樹脂枠体5を介して、全周に亘り気密に結合されている。そのため、使用済の密閉型蓄電デバイス10を再利用するため、金属ケース本体2と金属蓋体4とを分解する際には、金属ケース本体2と金属蓋体4とから離間した位置で、樹脂枠体5を周方向に沿って切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体2と金属蓋体4とを簡単に分離、解体させることができる。
【0069】
また、樹脂枠体5を切断又は溶融等させる際には、金属ケース本体2と金属蓋体4とが切断又は溶断等されないので、電極体1に有害な金属粉は生じにくく、電極体1を再利用しやすい。更に、樹脂枠体5を切断又は溶融等させても、金属ケース本体2と金属蓋体4とを元の状態で維持できるので、分解した金属ケース本体2と金属蓋体4とを再利用しやすい。
【0070】
よって、本実施形態の密閉型蓄電デバイス10によれば、金属製のケース本体2と蓋体4との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体1に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体2と蓋体4と電極体1の再利用が容易な密閉型蓄電デバイス10を提供することができる。
【0071】
また、本密閉型蓄電デバイス10においては、樹脂枠体5は、耐熱温度が200℃以上で、溶融温度が金属ケース本体2及び金属蓋体4の溶融温度より低い熱可塑性樹脂で形成されたことが好ましい。ここで、「耐熱温度」とは、連続的に使用できる最高温度を意味する。
【0072】
この場合、樹脂枠体5は、耐熱温度が200℃以上であるので、密閉型蓄電デバイス10の内部温度が200℃まで上昇しても、ケース内の気密性を確保することができる。また、一般に、密閉型蓄電デバイスは、内部温度が200℃まで上昇する以前に、熱暴走を防止する安全機構(例えば、安全弁43等)が作動するので、樹脂枠体5の耐熱温度が200℃以上であれば、本密閉型蓄電デバイス10の使用状態において、樹脂枠体5が変形又は破損することを回避できる。
【0073】
また、樹脂枠体5は、溶融温度が金属ケース本体2及び金属蓋体4の溶融温度より低い熱可塑性樹脂で形成されているので、樹脂枠体5を、金属ケース本体2及び金属蓋体4の溶融温度より低い温度で加熱、溶融した状態で、金属ケース本体2及び金属蓋体4と接合した後に、冷却することによって、金属ケース本体2と金属蓋体4の熱変形を最小限に抑えつつ、金属ケース本体2と金属蓋体4とを、樹脂枠体5を介して、精度良く、気密に結合させることができる。また、樹脂枠体5は、金属ケース本体2又は金属蓋体4を型内にインサートして射出成形(インサート成形)することもでき、樹脂枠体5と金属ケース本体2又は金属蓋体4との結合を、樹脂枠体5の成形と同時に簡単に行うことができる。そのため、より精度良く、安全かつ信頼性の高い密閉型蓄電デバイス10を提供できる。
【0074】
より具体的には、樹脂枠体5は、耐熱性、耐薬品性、絶縁性、耐久性、寸法安定性等に優れた結晶性樹脂で形成することが好ましく、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS:Poly Phenylene Sulfide)樹脂を用いることができる。結晶性樹脂であるPPS樹脂は、耐熱温度が220~240℃であり、溶融温度が280~290℃であって、金属ケース本体2と金属蓋体4に用いる金属(例えば、アルミニウムやアルミニウム合金)の溶融温度(500~600℃程度)より低い熱可塑性樹脂である。また、PPS樹脂は、ガラス繊維等の強化繊維を含有させることによって、耐衝撃性をも向上させることができる。そのため、自動車等の移動体に使用する密閉型蓄電デバイス10では、走行時における路面からの振動や衝突事故等に対する耐久性、安全性を高めるため、環状の樹脂枠体5をガラス繊維等の強化繊維を含有させたPPS樹脂によって形成すると良い。
【0075】
<本密閉型蓄電デバイスの変形態様1>
上述した本密閉型蓄電デバイス10は、発明の要旨を変更しない範囲で、各種の変形態様に変化させることができる。以下に、本密閉型蓄電デバイス10の変形態様1について、図4図6Bを参照しながら説明する。図4に、図1に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様1におけるA-A部分断面図(B-B部分断面図)を示す。図5Aに、図4に示すD部における変形例1の拡大断面図を示す。図5Bに、図4に示すD部における変形例2の拡大断面図を示す。図6Aに、図4に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様1における樹脂との接合力を強化する処理面の一例の施工方法を表す模式的断面図を示す。図6Bに、図6Aに示す施工方法で形成した処理面に樹脂枠体等を結合した状態の模式的断面図を示す。
【0076】
変形態様1の密閉型蓄電デバイス10B、10Cは、図4図6Bに示すように、金属ケース本体2の開口部21は、全周に亘り、樹脂との接合力を強化する本体側処理面21Kを有し、樹脂枠体5Bは、全周に亘り、本体側処理面21Kに気密に密着してなる密閉型蓄電デバイス10B、10Cである。ここで、本体側処理面21Kには、例えば、樹脂枠体5Bに対する金属ケース本体2の開口部21の当接面における面積を拡大させて接合力を強化した面積拡大処理面21K1と、上記当接面において係合効果を有する凹凸形状を形成して結合力を強化した凹凸形状処理面21K2とが含まれ、上記両処理面を複合的に形成しても良い。
【0077】
例えば、図4に示すように、変形態様1の密閉型蓄電デバイス10Bの本体側処理面21Kは、樹脂枠体5Bとの当接面における金属ケース本体2の開口部21の断面形状を、階段状に形成して、樹脂枠体5Bに対する金属ケース本体2の開口部21の当接面における平坦面の面積を拡大させて、接合力を強化した面積拡大処理面21K1である。この場合、単位面積当たりの接合力は変わらないが、全体としての接合力を増大できる。また、上記面積拡大処理面21K1の全体に、係合効果を有する微細な凹凸形状を形成して接合力を強化した凹凸形状処理面21K2を形成しても良い。この場合、単位面積当たりの接合力も増加して、全体としての接合力をより一層増大できる。なお、ここでは、面積拡大処理面21K1として、金属ケース本体2の開口部21の断面形状を、階段状に形成した例を示したが、これに限定されるものではない。
【0078】
また、図5Aに示すように、変形態様1の密閉型蓄電デバイス10Bの本体側処理面21Kは、樹脂枠体5Bとの当接面における金属ケース本体2の開口部21の断面形状を、階段状に形成して、複数の平坦面を有する面積拡大処理面21K1と、平坦面の一部に係合効果を有する微細な凹凸形状を形成して結合力を強化した凹凸形状処理面21K2と、を複合的に形成した変形例1でも良い。この場合、面積拡大処理面21K1と凹凸形状処理面21K2がそれぞれの役割を果たしながら協働して、静的荷重と動的荷重の両方に対して、有効に作用することができる。例えば、密閉型蓄電デバイス10Bに対して、衝撃的な動的荷重が作用した場合でも、主に面積拡大処理面21K1がその動的荷重を受け止めることによって、凹凸形状処理面21K2の微細な凹凸形状の損傷、破壊を抑制できる。特に、後述する本体側処理面21Kにおけるナノメートルオーダの樹林状の超微細な凹凸形状JR(図6参照)は、衝撃荷重に対して損傷しやすく、これを保護する上で、有効である。
【0079】
また、図5Bに示すように、変形態様1の密閉型蓄電デバイス10Cの本体側処理面21Kは、樹脂枠体5Cとの当接面における金属ケース本体2の開口部21の断面形状を、先端側より基端側を幅広くした台形溝21Mを隙間を空けて複数形成した面積拡大処理面21K1と、台形溝21Mの先端側に連接する平坦面に係合効果を有する微細な凹凸形状を形成して結合力を強化した凹凸形状処理面21K2と、を複合的に形成した変形例2でも良い。この場合、特に、ケース内の圧力が上昇して、金属ケース本体2の開口部21から金属蓋体4を引き剥がす方向の荷重が作用した場合にも、台形溝21Mに形成した面積拡大処理面21K1の傾斜面が、上記荷重に対して有効に抵抗することができる。なお、図5Bでは、台形溝21Mを金属ケース本体2の開口部21の周方向に沿って形成したが、台形溝21Mを金属ケース本体2の開口部21の内外方向に沿って形成しても良い。なお、上記樹脂枠体5Cは、金属ケース本体2を型内にインサートして射出成形(インサート成形)することによって、簡単に形成できる。
【0080】
また、凹凸形状処理面21K2の微細な凹凸形状は、サンドブラストやケミカルエッチング等によって形成しても良いが、ナノメートルオーダの超微細な凹凸形状JRは、図6Aに示す方法で形成することが好ましい。すなわち、図6Aに示すように、金属ケース本体2の開口部21の表面に、パルス状のレーザ光LZを照射して、微細な霧状の金属蒸気を発散させる。霧状の金属蒸気は、空中に浮遊しながら、金属ケース本体2の開口部21の表面に樹林状に堆積する。この樹林状に堆積した金属蒸気が固まって、凹凸高さがナノメートルオーダの超微細な凹凸形状JRを形成する。その後、図6Bに示すように、樹脂枠体5の当接面を溶融した状態で、金属ケース本体2の開口部21の表面に接合する。このとき、樹脂枠体5の溶融した樹脂が、樹林状の超微細な凹凸形状JRの隙間に浸入して固まり、金属ケース本体2の開口部21の表面に樹脂枠体5を気密に結合させることができる。
【0081】
しかし、樹林状に堆積した超微細な凹凸形状JRは、衝撃的な外力(引張応力)が働くと、金属ケース本体2の開口部21の表面から離脱しやすい性質がある。そのため、金属ケース本体2の開口部21の表面に、ショットピーニング等を行って圧縮層ASを形成した後に、パルス状のレーザ光LZを照射することが望ましい。この場合、樹林状に堆積した超微細な凹凸形状JRに外力(引張応力)が作用しても、圧縮層ASに内在する圧縮応力によって外力(引張応力)が打ち消され、超微細な凹凸形状JRの離脱、損傷を抑制することができる。また、金属ケース本体2の開口部21の表面に、ショットピーニング等を行うことによって、表面の不純物を除去して、超微細な凹凸形状JRの金属ケース本体2の開口部21の表面に対する接合力を高めることができる。
【0082】
また、この変形態様1の密閉型蓄電デバイス10Bでは、図4に示すように、金属蓋体4の周縁部41は、全周に亘り、樹脂との接合力を強化する蓋側処理面41Kを有し、樹脂枠体5は、全周に亘り、蓋側処理面41Kに気密に密着していることが好ましい。ここで、蓋側処理面41Kは、面積拡大処理面41K1と凹凸形状処理面41K2とを有し、上述した金属ケース本体2の開口部21の本体側処理面21Kと同様に形成する。この場合も、上記と同様の理由で、金属蓋体4の周縁部41と樹脂枠体5との結合力を、より一層高めることができる。
【0083】
また、この変形態様1の密閉型蓄電デバイス10Bでは、図4に示すように、外部接続端子3(3A、3B)を絶縁部材6(6A、6B)を介して保持する金属蓋体4の端子保持孔42、及び、外部接続端子3(3A、3B)の絶縁部材6(6A、6B)に当接する外周面33は、それぞれ全周に亘り、絶縁部材6(6A、6B)との接合力を強化する接合力強化処理面42K、33Kを有することが好ましい。ここで、接合力強化処理面42K、33Kは、L字状断面の接合面に形成されているが、上述した金属ケース本体2の開口部21の接合力強化処理面21Kと同様に、面積拡大処理面と凹凸形状処理面とを有することが望ましい。この場合も、上記と同様の理由で、外部接続端子3(3A、3B)の外周面33及び金属蓋体4の端子保持孔42と絶縁部材6(6A、6B)との結合力を、より一層高めることができる。
【0084】
<本密閉型蓄電デバイスの変形態様2>
次に、上述した本密閉型蓄電デバイス10の変形態様2について、図7図9Bを参照しながら説明する。図7に、図1に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様2におけるA-A部分断面図(B-B部分断面図)を示す。図8に、図1に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様2の変形例1におけるA-A部分断面図(B-B部分断面図)を示す。図9Aに、図8に示すE部における更なる変形例2の拡大断面図を示す。図9Bに、図8に示すE部における更なる変形例3の拡大断面図を示す。
【0085】
変形態様2の密閉型蓄電デバイス10D、10Eでは、図7図8に示すように、樹脂枠体5D、5Eは、金属ケース本体2の開口部21と結合された本体側樹脂部51と、金属蓋体4の周縁部41と結合された蓋側樹脂部52と、本体側樹脂部51と蓋側樹脂部52との間に位置し、樹脂枠体5D、5Eを本体側樹脂部51と蓋側樹脂部52とに分離容易とする分離容易化部53、54と、を有する。ここで、分離容易化部53、54には、本体側樹脂部51と蓋側樹脂部52とに比べて、溶融又は切断等が容易な部材又は形状等が含まれる。
【0086】
例えば、図7に示す変形態様2の密閉型蓄電デバイス10Dでは、樹脂枠体5Dにおける本体側樹脂部51と蓋側樹脂部52と分離容易化部53とが、それぞれ別体に形成され、かつ連結されている。分離容易化部53は、溶融容易化部として、本体側樹脂部51と蓋側樹脂部52との間に挟まれて層状に形成されている。ここで、溶融容易化部としての分離容易化部53には、本体側樹脂部51と蓋側樹脂部52とに比べて、溶融温度が低い樹脂で形成されたもの、又は、本体側樹脂部51及び蓋側樹脂部52と同一の樹脂で形成されているが、分離容易化部53の樹脂基材に熱伝導率の良い黒鉛系の粒子又は炭素系の繊維等を分散配置したもの等が含まれる。なお、黒鉛系の粒子には、アセチレンブラック(AB)等の微粒子を用いることができ、炭素系の繊維には、短繊維状に切断された炭素繊維等を用いることができる。
【0087】
この場合、金属ケース本体2と金属蓋体4とを分解するため、樹脂枠体5Dを加熱したとき、本体側樹脂部51及び蓋側樹脂部52を溶融させずに、溶融しやすい分離容易化部53だけを先行して溶融させることができる。そのため、金属ケース本体2と金属蓋体4とを、元の形状を維持しつつ、より迅速かつ簡単に分解させることができる。また、分解した金属ケース本体2と金属蓋体4は、元の形状を維持しているので、簡単に再利用することもできる。
【0088】
また、例えば、図8に示す変形態様2の変形例1に係る密閉型蓄電デバイス10Eでは、樹脂枠体5Eにおける本体側樹脂部51と蓋側樹脂部52とが、一体に形成され、分離容易化部54は、一体に形成された本体側樹脂部51と蓋側樹脂部52との中間部の外周面に凹溝状に形成された切欠き形状54として形成されている。ここで、切欠き形状54は、円弧状断面の凹溝が1つ形成されているが、これに限定する必要はなく、V字状断面やコの字状断面の凹溝でも良く、これらを複数形成しても良い。
【0089】
この場合、金属ケース本体2と金属蓋体4とを分解するため、樹脂枠体5Eを切断するとき、本体側樹脂部51及び蓋側樹脂部52を残して、切欠き形状の分離容易化部54だけを簡単に切断させることができる。そのため、金属ケース本体2と金属蓋体4とを、元の形状を維持しつつ、より迅速かつ簡単に分解させることができる。また、分解した金属ケース本体2と金属蓋体4とを、簡単に再利用することもできる。
【0090】
また、切欠き形状の分離容易化部54は、本体側樹脂部51及び蓋側樹脂部52に比べて、加熱・溶融しやすいので、分離容易化部54を加熱することによっても、金属ケース本体2と金属蓋体4とを迅速に分解できる。さらに、切欠き形状の分離容易化部54は、ケース側樹脂部51及び蓋側樹脂部52に比べて伸縮しやすいので、使用状態において密閉型蓄電デバイス10Eが電気化学反応に伴って熱膨張しても、伸縮しやすい分離容易化部54が主にこの熱膨張を吸収して、金属ケース本体2と本体側樹脂部51との結合部や金属蓋体4と蓋側樹脂部52との結合部に対する負荷を低減できる。
【0091】
さらに、変形態様2の変形例2、3に係る密閉型蓄電デバイス10Fは、図9A図9Bに示すように、樹脂枠体5Fの外周面は、熱光線を吸収し易くした光吸収容易化部54B、54Cを有するものでも良い。ここで、光吸収容易化部54B、54Cには、例えば、図9Aに示す微細な凹凸形状54B(変形例2)や、図9Bに示す黒色系に着色した着色部54C(変形例3)等を含む。また、着色部54Cには、例えば、CO2レーザ光(波長:10.6μm)に対する光吸収率の高いポリイミド(PI: Polyimide)樹脂や、窒化ケイ素等を含有させても良い。
【0092】
この場合、金属ケース本体2と金属蓋体4とを分解するため、樹脂枠体5Fの外方から光吸収容易化部54B、54Cに対して、レーザ光や遠赤外線等の熱光線を照射することによって、樹脂枠体5Fの外周面を迅速に溶融させることができる。また、レーザ光や遠赤外線等の熱光線は、固体より液体の方が樹脂枠体5Fの高分子の運動が促進されて光吸収性が良くなるため、熱光線によって外周面の光吸収容易化部54B、54Cが先に溶融されると、樹脂枠体5Fの内部まで速く溶融でき、金属ケース本体2と金属蓋体4との分解をより迅速に行うことができる。
【0093】
<本密閉型蓄電デバイスの変形態様3>
次に、上述した本密閉型蓄電デバイス10の変形態様3について、図10図12を参照しながら説明する。図10に、図1に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様3におけるA-A部分断面図を示す。図11に、図1に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様3におけるB-B部分断面図を示す。図12に、図1に示す密閉型蓄電デバイスの変形態様3におけるC-C部分断面図を示す。
【0094】
変形態様3の密閉型蓄電デバイス10Gは、図10図12に示すように、金属蓋体4(4B)は、外部接続端子3である正極外部接続端子3Aを兼ねると共に、外部接続端子3である負極外部接続端子3Bを絶縁部材6Bを介して保持してなる密閉型蓄電デバイス10Gである。ここで、正極外部接続端子3Aは、図10図12に示すように、金属蓋体4Bと別体に形成され、正極外部接続端子3Aの外周面33が金属蓋体4Bの端子保持孔42Bに直接接合されているが、これに限定されるものではない。例えば、正極外部接続端子3Aは、金属蓋体4Bと一体に形成しても良い。
【0095】
この場合、金属蓋体4Bは、外部接続端子3である正極外部接続端子3Aを兼ねるので、金属蓋体4Bと正極外部接続端子3Aとの間に、図3に示す絶縁部材6Aを介在させる必要がない。そのため、絶縁部材6Aの部品点数を減らしたことによる加工の手間や、組付けの手間等を削減できるのみならず、本密閉型蓄電デバイス10Gを再利用する際に、劣化した絶縁部材6Aの交換を不要とすることができる。
【0096】
また、この変形態様3の密閉型蓄電デバイス10Gでは、金属蓋体4(4C)は、外部接続端子3である負極外部接続端子3Bを兼ねると共に、外部接続端子3である正極外部接続端子3Aを絶縁部材6Aを介して保持しても良い。ここでは、金属蓋体4は、正極外部接続端子3Aを保持する金属蓋体4Bと、負極外部接続端子3Bを保持する金属蓋体4Cとが、別体に形成され、両者は蓋間絶縁部材7を介して結合されている。
【0097】
この場合、金属蓋体4Cは、外部接続端子3である負極外部接続端子3Bを兼ねるので、金属蓋体4Cと負極外部接続端子3Bとの間に、図3に示す絶縁部材6Bを介在させる必要がない。そのため、絶縁部材6Bの部品点数を減らしたことによる加工の手間、組付けの手間等を削減できるのみならず、本密閉型蓄電デバイス10Gを再利用する際に、劣化した絶縁部材6Bの交換を不要とすることができる。なお、負極外部接続端子3Bは、金属蓋体4Cと別体に形成しても良いが、金属蓋体4Cと一体に形成しても良い。また、負極外部接続端子3Bを金属蓋体4Cと一体に形成した場合には、当該金属蓋体4Cを、負極外部接続端子3Bと同一の金属材料(銅又は銅合金)で形成することになるが、両金属蓋体4B、4C同士の間に蓋間絶縁部材7を介在させることによって、別材質の金属材料(アルミニウム又はアルミニウム合金と銅又は銅合金)で形成した正極外部端子3A側の金属蓋体4Bと負極外部接続端子3B側の金属蓋体4Cとを電気的に絶縁し、電蝕等の問題を回避させることができる。
【0098】
<本他の実施形態に係る密閉型蓄電デバイスの製造方法>
次に、本他の実施形態に係る密閉型蓄電デバイスの製造方法の一態様について、図13A図17を参照しつつ説明する。図13Aに、図1に示す密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す基本タイプの工程図を示す。図13Bに、図1に示す密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す変形例1の工程図を示す。図13Cに、図1に示す密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す変形例2の工程図を示す。図13Dに、図1に示す密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す変形例3の工程図を示す。図14に、図13Aに示す封口工程に使用する加熱装置の一例を表す概略斜視図を示す。図15に、図13Bに示す封口工程(開口部結合工程)に使用する加熱装置の一例を表す概略斜視図を示す。図16に、図13Cに示す封口工程(周縁部結合工程)に使用する加熱装置の一例を表す概略斜視図を示す。図17に、図13Dに示す封口工程(枠体間結合工程)に使用する加熱装置の一例を表す概略斜視図を示す。
【0099】
本他の実施形態に係る密閉型蓄電デバイスの製造方法の一態様は、図13A図17に示すように、電極体1と、開口部21を有し、電極体1を収容する有底筒状の金属ケース本体2と、電極体1に電気的に接続された外部接続端子3と、外部接続端子3及び当該外部接続端子3を介して電極体1を保持し、金属ケース本体2の開口部21を封口する金属蓋体4と、を備え、金属ケース本体2の開口部21と金属蓋体4の周縁部41とは、環状の樹脂枠体5を介して、全周に亘り気密に結合されてなる密閉型蓄電デバイス10の製造方法であって、開口部21を通じて金属ケース本体2内に、電極体1を収容する収容工程S1と、金属ケース本体2の開口部21と金属蓋体4の周縁部41とを樹脂枠体5を介して気密に結合して、開口部21を封口する封口工程S2と、を備える密閉型蓄電デバイスの製造方法である。ここでは、本実施形態に係る密閉型蓄電デバイス10の製造方法を代表例として説明する。
【0100】
この製造方法では、以下の装置を備えている。例えば、図14に示すように、電極体1を外部接続端子3(3A、3B)を介して保持する金属蓋体4と、環状の樹脂枠体5と、金属ケース本体2の開口部21とを、それぞれ加熱する3つの環状の加熱装置X(X1、X2、X3)を備えている。環状の加熱装置X(X1、X2、X3)は、セラミックスヒータ等を用いることができる。また、金属蓋体4と樹脂枠体5と金属ケース本体2とを、互いに離間した加熱位置と、互いに当接する結合位置へ搬送する搬送装置(図示しない)を備えている。なお、加熱装置X(X1、X2、X3)は、上記環状の加熱装置に限らず、各種形態の加熱装置を用いることができる。例えば、金属蓋体4と樹脂枠体5と金属ケース本体2とを一体に収容して加熱する加熱炉や、金属蓋体4と樹脂枠体5と金属ケース本体2との接合部のみを照射するレーザ装置等でも良い。
【0101】
そして、加熱装置X1は、電極体1を外部接続端子3(3A、3B)を介して保持する金属蓋体4の周縁部41の下端面を樹脂枠体5の溶融温度まで加熱する。また、加熱装置X2は、環状の樹脂枠体5の上端面をその溶融温度まで加熱する。また、加熱装置X3は、環状の樹脂枠体5の下端面をその溶融温度まで加熱すると共に、金属ケース本体2の開口部21の上端面を樹脂枠体5の溶融温度まで加熱する。各加熱装置X(X1、X2、X3)は、被加熱部を所定の温度に加熱した後、待機位置へ移動する。
【0102】
その後、搬送装置が作動して、金属蓋体4と樹脂枠体5と金属ケース本体2とを、互いに離間した加熱位置から、互いに当接する結合位置へ搬送する。その際、開口部21を通じて金属ケース本体2内に、電極体1を収容する(収容工程S1)。結合位置へ搬送された金属ケース本体2の開口部21と金属蓋体4の周縁部41は、上端面と下端面が溶融された樹脂枠体5を介して接合され、加圧された後に冷却されることによって、気密に結合される(封口工程S2)。
【0103】
ここでは、収容工程S1にて、外部接続端子3(3A、3B)の内部端子32と外部端子34とを接続した状態で、電極体1を金属ケース本体2内に収容したが、内部端子32と外部端子34とを分離した状態で、予め電極体1を金属ケース本体2内に収容しても良い。この場合は、封口工程S2にて、内部端子32と外部端子34とを接続する必要がある。
【0104】
以上のように、この密閉型蓄電デバイス10の製造方法では、開口部21を通じて金属ケース本体2内に、電極体1を収容する収容工程S1と、金属ケース本体2の開口部21と金属蓋体4の周縁部41とを樹脂枠体5を介して気密に結合して、開口部21を封口する封口工程S2と、を備えるので、電極体1を内部に収容した金属ケース本体2と外部接続端子3を保持する金属蓋体4とが、樹脂枠体5によって気密に結合した密閉型蓄電デバイス10を簡単に製造することができる。
【0105】
また、使用済みの密閉型蓄電デバイス10を、再利用するため、これを解体する際には、樹脂枠体5を、金属ケース本体2と金属蓋体4とから離間した位置で、周方向に沿って切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体2と金属蓋体4とを簡単に分離、解体させることができる。また、樹脂枠体5を切断又は溶融等させる際には、金属ケース本体2と金属蓋体4とが切断又は溶断等されないので、電極体1に有害な金属粉は生じにくく、電極体1を再利用しやすい。更に、樹脂枠体5を切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体2と金属蓋体4とを元の状態で維持できるので、分解した金属ケース本体2と金属蓋体4とを再利用しやすい。
【0106】
よって、本他の実施形態に係る密閉型蓄電デバイス10の製造方法によれば、密閉型蓄電デバイスデバイス10を簡単に製造することができると共に、金属製のケース本体2と蓋体4との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体1に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体2と蓋体4と電極体1の再利用が容易な密閉型蓄電デバイスの製造方法を提供することができる。
【0107】
なお、上述した本密閉型蓄電デバイス10の製造方法は、各変形態様の密閉型蓄電デバイス10B、10C、10D、10E、10F、10Gにも適用でき、また、発明の要旨を変更しない範囲で、各種の態様に変化させることができる。以下に、その変形例1~3を説明する。
【0108】
(変形例1)
変形例1の密閉型蓄電デバイス10の製造方法では、例えば、図13B図15に示すように、封口工程S2は、予め金属蓋体4の周縁部41に気密に結合させた蓋側樹脂枠体5を、金属ケース本体2の開口部21に直接、気密に結合する開口部結合工程S21である。
【0109】
この製造方法では、例えば、図15に示すように、予め金属蓋体4の周縁部41に気密に結合させた蓋側樹脂枠体5と、金属ケース本体2の開口部21とを、それぞれ加熱する2つの環状の加熱装置X(X1、X3)を備えている。また、金属蓋体4と金属ケース本体2とを、互いに離間した加熱位置と、互いに当接する結合位置へ搬送する搬送装置(図示しない)を備えている。なお、加熱装置X(X1、X3)は、上記環状の加熱装置に限らず、各種形態の加熱装置を用いることができる。
【0110】
そして、加熱装置X1は、電極体1を外部接続端子3(3A、3B)を介して保持する金属蓋体4の周縁部41に結合させた蓋側樹脂枠体5の下端面をその溶融温度まで加熱する。また、加熱装置X3は、金属ケース本体2の開口部21の上端面を蓋側樹脂枠体5の溶融温度まで加熱する。各加熱装置X(X1、X3)は、被加熱部を所定の温度に加熱した後、待機位置へ移動する。
【0111】
その後、搬送装置が作動して、蓋側樹脂枠体5を結合した金属蓋体4と金属ケース本体2とを、互いに離間した加熱位置から、互いに当接する結合位置へ搬送する。その際、開口部21を通じて金属ケース本体2内に、電極体1を収容する(収容工程S1)。結合位置へ搬送された金属ケース本体2の開口部21と金属蓋体4の周縁部41は、蓋側樹脂枠体5を介して接合され、加圧された後に冷却されることによって、気密に結合される(開口部結合工程S21)。
【0112】
この場合、封口工程S2は、予め金属蓋体4の周縁部41に気密に結合させた蓋側樹脂枠体5を、金属ケース本体2の開口部21に直接、気密に結合する開口部結合工程S21であるので、金属蓋体4と樹脂枠体5と金属ケース本体2とを一度に結合する場合に比べて、製造装置の小型化、簡素化を図ることができる。例えば、蓋側樹脂枠体5は、型内に金属蓋体4をインサートして射出成形(インサート成形)することによって、予め金属蓋体4の周縁部41に気密に結合させることができる。そのため、開口部結合工程S21にて蓋側樹脂枠体5を金属ケース本体2の開口部21に結合させるときの加熱装置(X1、X3)を、金属蓋体4と樹脂枠体5と金属ケース本体2とを一度に結合する場合の加熱装置(X1、X2、X3)に比べて大幅に小型化できる。
【0113】
(変形例2)
変形例2の密閉型蓄電デバイス10の製造方法では、例えば、図13C図16に示すように、封口工程S2は、予め金属ケース本体2の開口部21に気密に結合させた本体側樹脂枠体5を、金属蓋体4の周縁部41に直接、気密に結合する周縁部結合工程S22である。
【0114】
この製造方法では、例えば、図16に示すように、金属蓋体4の周縁部41と、予め金属ケース本体2の開口部21に気密に結合させた本体側樹脂枠体5とを、それぞれ加熱する2つの環状の加熱装置X(X1、X3)を備えている。また、金属蓋体4と金属ケース本体2とを、互いに離間した加熱位置と、互いに当接する結合位置へ搬送する搬送装置(図示しない)を備えている。なお、加熱装置X(X1、X3)は、上記環状の加熱装置に限らず、各種形態の加熱装置を用いることができる。
【0115】
そして、加熱装置X1は、電極体1を外部接続端子3(3A、3B)を介して保持する金属蓋体4の周縁部41の下端面を本体側樹脂枠体5の溶融温度まで加熱する。また、加熱装置X3は、金属ケース本体2の開口部21に結合された本体側樹脂枠体5の上端面をその溶融温度まで加熱する。各加熱装置X(X1、X3)は、被加熱部を所定の温度に加熱した後、待機位置へ移動する。
【0116】
その後、搬送装置が作動して、金属蓋体4と本体側樹脂枠体5が結合された金属ケース本体2とを、互いに離間した加熱位置から、互いに当接する結合位置へ搬送する。その際、開口部21を通じて金属ケース本体2内に、電極体1を収容する(収容工程S1)。結合位置へ搬送された金属ケース本体2の開口部21と金属蓋体4の周縁部41は、本体側樹脂枠体5を介して接合され、加圧された後に冷却されることによって、気密に結合される(周縁部結合工程S22)。
【0117】
この場合、封口工程S2は、予め金属ケース本体2の開口部21に気密に結合させた本体側樹脂枠体5を、金属蓋体4の周縁部41に直接、気密に結合する周縁部結合工程S22であるので、金属蓋体4と樹脂枠体5と金属ケース本体2とを一度に結合する場合に比べて、製造装置の小型化、簡素化を図ることができる。例えば、本体側樹脂枠体5は、型内に金属ケース本体2をインサートして射出成形(インサート成形)することによって、予め金属ケース本体2の開口部21に気密に結合させることができる。そのため、周縁部結合工程S22にて本体側樹脂枠体5を金属蓋体4の周縁部41に結合させるときの加熱装置(X1、X3)を、金属蓋体4と樹脂枠体5と金属ケース本体2とを一度に結合する場合の加熱装置(X1、X2、X3)に比べて大幅に小型化できる。
【0118】
(変形例3)
変形例3の密閉型蓄電デバイス10の製造方法では、例えば、図13D図17に示すように、封口工程S2は、予め金属蓋体4の周縁部41に気密に結合させた蓋側部分樹脂枠体5Sと、予め金属ケース本体2の開口部21に気密に結合させた本体側部分樹脂枠体5Kとを、気密に結合する枠体間結合工程S23である。なお、蓋側部分樹脂枠体5Sと本体側部分樹脂枠体5Kは、結合したときに、環状の樹脂枠体5を形成するものであれば良く、図17では、蓋側部分樹脂枠体5Sと本体側部分樹脂枠体5Kとが、それぞれ略同一の厚さに形成されているが、異なる厚さに形成しても良い。
【0119】
この製造方法では、例えば、図17に示すように、金属蓋体4の周縁部41に気密に結合させた蓋側部分樹脂枠体5Sと、予め金属ケース本体2の開口部21に気密に結合させた本体側部分樹脂枠体5Kとを、それぞれ加熱する2つの環状の加熱装置X(X1、X3)を備えている。また、金属蓋体4と金属ケース本体2とを、互いに離間した加熱位置と、互いに当接する結合位置へ搬送する搬送装置(図示しない)を備えている。なお、加熱装置X(X1、X3)は、上記環状の加熱装置に限らず、各種形態の加熱装置を用いることができる。
【0120】
そして、加熱装置X1は、電極体1を外部接続端子3(3A、3B)を介して保持する金属蓋体4の周縁部41に結合させた蓋側部分樹脂枠体5Sの下端面をその溶融温度まで加熱する。また、加熱装置X3は、金属ケース本体2の開口部21に結合された本体側部分樹脂枠体5Kの上端面をその溶融温度まで加熱する。各加熱装置X(X1、X3)は、被加熱部を所定の温度に加熱した後、待機位置へ移動する。
【0121】
その後、搬送装置が作動して、蓋側部分樹脂枠体5Sが結合された金属蓋体4と本体側部分樹脂枠体5Kが結合された金属ケース本体2とを、互いに離間した加熱位置から、互いに当接する結合位置へ搬送する。その際、開口部21を通じて金属ケース本体2内に、電極体1を収容する(収容工程S1)。結合位置へ搬送された金属ケース本体2の開口部21と金属蓋体4の周縁部41は、蓋側部分樹脂枠体5Sと本体側部分樹脂枠体5Kとが互いに気密に結合された樹脂枠体5H(図19を参照)を介して、気密に結合される(枠体間結合工程S23)。
【0122】
この密閉型蓄電デバイス10の製造方法では、封口工程S2は、予め金属蓋体4の周縁部41に気密に結合させた蓋側部分樹脂枠体5Sと、予め金属ケース本体2の開口部21に気密に結合させた本体側部分樹脂枠体5Kとを、気密に結合する枠体間結合工程S23であるので、金属蓋体4と樹脂枠体5と金属ケース本体2とを一度に結合する場合に比べて、製造装置の小型化、簡素化を図ることができる。また、蓋側部分樹脂枠体5Sは、例えば、型内に金属蓋体4をインサートして射出成形(インサート成形)することによって、予め金属蓋体4の周縁部41に気密に結合させることができる。また、本体側部分樹脂枠体5Kは、例えば、型内に金属ケース本体2をインサートして射出成形(インサート成形)することによって、予め金属ケース本体2の開口部21に気密に結合させることができる。そのため、枠体間結合工程S23にて蓋側部分樹脂枠体5Sと本体側部分樹脂枠体5Kとの結合面のみを加熱、溶融すれば良く、その加熱装置を、金属蓋体4と樹脂枠体5と金属ケース本体2とを一度に結合する場合の加熱装置に比べて大幅に小型化できる。
【0123】
<更なる他の実施形態に係る密閉型蓄電デバイスの分解方法>
次に、更なる他の実施形態に係る密閉型蓄電デバイスの分解方法の一態様について、図18A図19を参照しつつ説明する。図18Aに、図1に示す密閉型蓄電デバイスの分解方法を表す基本タイプの工程図を示す。図18Bに、図1に示す密閉型蓄電デバイスの分解方法を表す変形例1の工程図を示す。図18Cに、図1に示す密閉型蓄電デバイスの分解方法を表す変形例2の工程図を示す。図19に、図1に示す密閉型蓄電デバイスのA-A部分断面図であって、図18に示す分解方法で分解する以前の状態の断面図を示す。
【0124】
本他の実施形態に係る密閉型蓄電デバイスの分解方法の一態様は、図18A図19に示すように、上述した密閉型蓄電デバイス10の分解方法であって、金属ケース本体2の開口部21と金属蓋体4の周縁部41との間に介在する樹脂枠体5Hを、金属ケース本体2の開口部21に結合する本体側部分樹脂枠体5Kと、金属蓋体4の周縁部41に結合する蓋側部分樹脂枠体5Sとに分割する分割工程T1と、開口部21を通じて金属ケース本体2内に収容された電極体1を取り出す取出工程T2と、を備える密閉型蓄電デバイスの分解方法である。ここでは、本実施形態に係る密閉型蓄電デバイス10の分解方法を代表例として説明するが、上述した変形態様1~3の密閉型蓄電デバイス10B、10C、10D、10E、10F、10Gの分解方法も同様である。
【0125】
この分解方法では、例えば、図19に示すように、金属蓋体4の周縁部41に気密に結合させた蓋側部分樹脂枠体5Sと、金属ケース本体2の開口部21に気密に結合させた本体側部分樹脂枠体5Kとを、例えば、両者の境界線(5Q)に沿って分割させる分割装置Yを備えている。また、金属蓋体4と金属ケース本体2とを、分割位置から保管位置へ搬送する搬送装置(図示しない)を備えている。そして、分割装置Yは、蓋側部分樹脂枠体5Sと本体側部分樹脂枠体5Kとの境界線(5Q)に沿って、樹脂枠体5Hを分割する(分割工程T1)。分割装置Yは、樹脂枠体5Hを分割した後、待機位置へ移動する。
【0126】
その後、搬送装置が作動して、蓋側部分樹脂枠体5Sが結合された金属蓋体4と本体側部分樹脂枠体5Kが結合された金属ケース本体2とを、分割位置から保管位置へ搬送する。その際、開口部21を通じて金属ケース本体2内の電極体1を取り出す(取出工程T2)。取り出した電極体1は、金属蓋体4から分離して、正極シートと負極シートに分解する。
【0127】
この密閉型蓄電デバイス10の分解方法では、金属ケース本体2の開口部21と金属蓋体4の周縁部41との間に介在する樹脂枠体5Hを、金属ケース本体2の開口部21に結合する本体側部分樹脂枠体5Kと、金属蓋体4の周縁部41に結合する蓋側部分樹脂枠体5Sとに分割する分割工程T1を備えるので、樹脂枠体5Hを、金属ケース本体2と金属蓋体4とから離間した位置で、周方向に沿って切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体2と金属蓋体4とを簡単に分離、解体させることができる。また、樹脂枠体5Hを切断又は溶融等させる際には、金属ケース本体2と金属蓋体4とが切断又は溶断等されないので、電極体1に有害な金属粉は生じにくい。更に、樹脂枠体5Hを切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体2と金属蓋体4とを元の状態に維持できる。
【0128】
また、開口部21を通じて金属ケース本体2内に収容された電極体1を取り出す取出工程T2を備えるので、電極体1は、外部接続端子3を介して金属蓋体4に保持された状態で、金属ケース本体2内から取り出され、金属蓋体4から簡単に分離できる。そのため、金属ケース本体2と金属蓋体4と電極体1とを、再利用しやすい状態で分解できる。
【0129】
よって、更なる他の実施形態に係る密閉型蓄電デバイス10の分解方法によれば、金属製のケース本体2と蓋体4との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体1に対して有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体2と蓋体4と電極体1の再利用が容易な密閉型蓄電デバイスの分解方法を提供することができる。
【0130】
なお、上述した本密閉型蓄電デバイス10の分解方法は、各変形態様の密閉型蓄電デバイス10B、10C、10D、10E、10F、10Gにも適用でき、また、発明の要旨を変更しない範囲で、各種の態様に変化させることができる。以下に、その変形例1、2を説明する。
【0131】
(変形例1)
変形例1の密閉型蓄電デバイス10の分解方法では、例えば、図18B図19に示すように、分割工程T1は、樹脂枠体5Hのうち、金属ケース本体2と金属蓋体4とから離間した分離部5Q(溶融分離部の一例)を溶融させつつ、金属蓋体4と金属ケース本体2とを離間方向に相対移動させ、本体側部分樹脂枠体5Kと蓋側部分樹脂枠体5Sとに分割する溶融分割工程T11である。
【0132】
この分解方法では、例えば、図19に示すように、金属蓋体4の周縁部41に気密に結合させた蓋側部分樹脂枠体5Sと金属ケース本体2の開口部21に気密に結合させた本体側部分樹脂枠体5Kとを、例えば、両者の境界線(分離部5Q)に沿って溶融させる加熱溶融装置Y1を備えている。加熱溶融装置Y1は、例えば、加熱した薄板状の熱刃又はレーザ光等を樹脂枠体5Hの外周面に当てて境界線(分離部5Q)に沿って溶融させる装置を用いることができる。また、金属蓋体4と金属ケース本体2とを、分割位置から上下方向へ離間させ、保管位置へ搬送する搬送装置(図示しない)を備えている。
【0133】
そして、加熱溶融装置Y1が、樹脂枠体5Hを、例えば境界線(分離部5Q)に沿って溶融させつつ、搬送装置が作動して、蓋側部分樹脂枠体5Sが結合された金属蓋体4と本体側部分樹脂枠体5Kが結合された金属ケース本体2とを、上下方向へ離間させる(溶融分割工程T11)。その際、開口部21を通じて金属ケース本体2内の電極体1を取り出す(取出工程T2)。取り出した電極体1は、金属蓋体4から分離して、正極シートと負極シートに分解する。
【0134】
この場合、分割工程T1は、樹脂枠体5Hのうち、金属ケース本体2と金属蓋体4とから離間した分離部5Qを溶融させつつ、金属蓋体4と金属ケース本体2とを離間方向に相対移動させ、本体側部分樹脂枠体5Kと蓋側部分樹脂枠体5Sとに分割する溶融分割工程T11であるので、本体側部分樹脂枠体5Kが結合された金属ケース本体2と、蓋側部分樹脂枠体5Sが結合された金属蓋体4とに、簡単に分解できる。また、樹脂枠体5Hを溶融させる際には、金属ケース本体2と金属蓋体4とが溶断等されないので、電極体1に有害な金属粉は生じにくい。更に、樹脂枠体5Hを溶融しつつ、分割させることによって、金属ケース本体2と金属蓋体4とを元の状態に維持できる。なお、加熱溶融装置Y1は、上記装置に限らず、各種形態の加熱溶融装置を用いることができる。
【0135】
(変形例2)
変形例2の密閉型蓄電デバイス10の分解方法では、例えば、図18C図19に示すように、分割工程T1は、樹脂枠体5Hのうち、金属ケース本体2と金属蓋体4とから離間した分離部5Q(切断分離部の一例)を全周に亘って切断して、本体側部分樹脂枠体5Kと蓋側部分樹脂枠体5Sとに分割する切断分割工程T12である。
【0136】
この分解方法では、例えば、図19に示すように、金属蓋体4の周縁部41に気密に結合させた蓋側部分樹脂枠体5Sと金属ケース本体2の開口部21に気密に結合させた本体側部分樹脂枠体5Kとを、例えば、両者の境界線(分離部5Q)に沿って切断させる切断装置Y2を備えている。切断装置Y2は、例えば、鋸刃状の切削刃又はドリル状のエンドミル等を食い込ませて境界線5Qに沿って切断させる装置を用いることができる。また、金属蓋体4と金属ケース本体2とを、分割位置から上下方向へ離間させ、保管位置へ搬送する搬送装置(図示しない)を備えている。
【0137】
そして、切断装置Y2が、樹脂枠体5を例えば境界線(分離部5Q)に沿って切断させた(切断分割工程T12)後、搬送装置が作動して、蓋側部分樹脂枠体5Sが結合された金属蓋体4と本体側部分樹脂枠体5Kが結合された金属ケース本体2とを、上下方向へ離間させる。その際、開口部21を通じて金属ケース本体2内の電極体1を取り出す(取出工程T2)。取り出した電極体1は、金属蓋体4から分離して、正極シートと負極シートに分解する。
【0138】
この場合、分割工程T1は、樹脂枠体5Hのうち、金属ケース本体2と金属蓋体4とから離間した分離部5Qを全周に亘って切断して、本体側部分樹脂枠体5Kと蓋側部分樹脂枠体5Sとに分割する切断分割工程T12であるので、本体側部分樹脂枠体5Kが結合された金属ケース本体2と、蓋側部分樹脂枠体5Sが結合された金属蓋体4とに、簡単に分解できる。また、樹脂枠体5Hを切断させる際には、金属ケース本体2と金属蓋体4とが切断等されないので、電極体1に対して有害な金属粉は生じにくい。更に、樹脂枠体5Hを切断させることによって、金属ケース本体2と金属蓋体4とを元の状態に維持できる。なお、切断装置Y2は、上記装置に限らず、各種形態の切断装置を用いることができる。
【0139】
<更なる他の実施形態に係るケース再利用密閉型蓄電デバイス>
次に、更なる他の実施形態に係るケース再利用密閉型蓄電デバイスの一態様について、図1図2図19図20を参照しつつ説明する。図1に、本実施形態に係る密閉型蓄電デバイスの一態様及び他の実施形態に係るケース再利用密閉型蓄電デバイスの一態様の斜視図を示す。図2に、図1に示す密閉型蓄電デバイス及びケース再利用密閉型蓄電デバイスの分解斜視図を示す。図19に、図1に示す密閉型蓄電デバイスのA-A部分断面図であって、図18に示す分解方法で分解する以前の状態の断面図を示す。図20に、図1に示すケース再利用密閉型蓄電デバイスのA-A部分断面図を示す。
【0140】
本他の実施形態に係るケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hの一態様は、図1図2図19図20に示すように、電極体1と、開口部21を有し、電極体1を収容する有底筒状の金属ケース本体2であって、開口部21の全周に亘り本体側部分樹脂枠体5KJが結合した樹脂枠付き金属ケース本体2Jと、電極体1に電気的に接続された外部接続端子3と、外部接続端子3及び当該外部接続端子3を介して電極体1を保持した金属蓋体4であって、周縁部41の全周に亘り蓋側部分樹脂枠体5SJが結合した、樹脂枠付き金属ケース本体2Jの開口部21Jを封口する樹脂枠付き金属蓋体4Jと、を備え、金属ケース本体2の開口部21と金属蓋体4の周縁部41とは、環状の本体側部分樹脂枠体5KJと蓋側部分樹脂枠体5SJとを結合した複合樹脂枠体5HJを介して、全周に亘り気密に結合されてなるケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hであって、樹脂枠付き金属ケース本体2Jは、再利用樹脂枠付き金属ケース本体2JSである、及び、樹脂枠付き金属蓋体4Jは、再利用樹脂枠付き金属蓋体4JSである、の少なくともいずれかであるケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hである。
【0141】
ここで、上記の「再利用樹脂枠付き金属ケース本体2JS」及び「再利用樹脂枠付き金属蓋体4JS」としては、金属ケース本体2と金属蓋体4とを備え、金属ケース本体2の開口部21と金属蓋体4の周縁部41とが、環状の樹脂枠体5を介して全周に亘り気密に結合された、製造済みの密閉型蓄電デバイス10の樹脂枠体5Hを、金属ケース本体2の開口部21に結合する本体側部分樹脂枠体5Kと、金属蓋体4の周縁部41に結合する蓋側部分樹脂枠体5Sとに分割して得たものが挙げられる。また、製造済みの上述のケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hの複合樹脂枠体5HJを、金属ケース本体2の開口部21に結合する本体側部分樹脂枠体5KJと、金属蓋体4の周縁部41に結合する蓋側部分樹脂枠体5SJとに分割して得たものも挙げられる。
【0142】
なお、密閉型蓄電デバイス10は、上述した各変形態様の密閉型蓄電デバイス10B、10C、10D、10E、10F、10Gに置き換えることもできる。また、密閉型蓄電デバイス10及び各変形態様の密閉型蓄電デバイス10B、10C、10D、10E、10F、10Gの詳細については、重複するため、その説明は原則として割愛し、主に、再利用密閉型蓄電デバイス10Hに特有の事項に絞って説明する。
【0143】
このケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hは、開口部21の全周に亘り本体側部分樹脂枠体5KJが結合した樹脂枠付き金属ケース本体2Jと、電極体1に電気的に接続された外部接続端子3と、外部接続端子3及び当該外部接続端子3を介して電極体1を保持した金属蓋体4であって、周縁部41の全周に亘り蓋側部分樹脂枠体5SJが結合した、樹脂枠付き金属ケース本体2Jの開口部21Jを封口する樹脂枠付き金属蓋体4Jと、を備えている。
【0144】
また、樹脂枠付き金属ケース本体2Jは、再利用樹脂枠付き金属ケース本体2JSである、及び、樹脂枠付き金属蓋体4Jは、再利用樹脂枠付き金属蓋体4JSである、の少なくともいずれかであるので、製造済みの密閉型蓄電デバイス10の樹脂枠体5H又は製造済みのケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hの複合樹脂枠体5HJを、分割して得た再利用樹脂枠付き金属ケース本体2JS及び/又は再利用樹脂枠付き金属蓋体4JSを、有効に活用することができる。
【0145】
また、本ケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hでは、金属ケース本体2の開口部21と金属蓋体4の周縁部41とが、環状の本体側部分樹脂枠体5KJと蓋側部分樹脂枠体5SJとを結合した複合樹脂枠体5HJを介して、全周に亘り気密に結合されている。そのため、金属ケース本体2と金属蓋体4とを再度分解する際には、例えば、環状の本体側部分樹脂枠体5KJと蓋側部分樹脂枠体5SJとの境界線の位置又はその近傍(分離部5QJ)で、複合樹脂枠体5HJを周方向に沿って切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体2と金属蓋体4とを、再度、簡単に分離、解体させることができる。また、複合樹脂枠体5HJを切断又は溶融等させる際には、金属ケース本体2と金属蓋体4とが切断又は溶断等されないので、電極体1に有害な金属粉は生じにくく、電極体1を再利用しやすい。更に、複合樹脂枠体5HJを切断又は溶融等させても、金属ケース本体2と金属蓋体4とを元の状態で維持できるので、分解した金属ケース本体2と金属蓋体4とを再度、再利用しやすい。
【0146】
よって、更なる他の態様に係るケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hによれば、金属製のケース本体2と蓋体4との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体1に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体2と蓋体4と電極体1の再利用が容易なケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hを提供することができる。
【0147】
<更なる他の実施形態に係るケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法>
次に、更なる他の実施形態に係るケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法の一態様について、図20図22を参照しつつ説明する。図20に、図1に示す密閉型蓄電デバイス及びケース再利用密閉型蓄電デバイスのA-A部分断面図を示す。図21Aに、図1に示すケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す基本タイプの工程図を示す。図21Bに、図1に示すケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す変形例1の工程図を示す。図21Cに、図1に示すケース再利用密閉型蓄電デバイスの製造方法を表す変形例2の工程図を示す。図22に、図21A図21B図21Cに示す封口工程に使用する加熱装置の一例を表す概略斜視図を示す。
【0148】
本ケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hの製造方法の一態様は、図20図21A図22に示すように、上述したケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hの製造方法であって、開口部21を通じて、金属ケース本体2内に、電極体1を収容する収容工程S1Sと、本体側部分樹脂枠体5KJと蓋側部分樹脂枠体5SJとを気密に結合して複合樹脂枠体5HJを形成して、開口部21を気密に封口する封口工程S2Sと、を備えるケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hの製造方法である。
【0149】
この製造方法では、例えば、図22に示すように、金属蓋体4の周縁部41に気密に結合させた蓋側部分樹脂枠体5SJと、金属ケース本体2の開口部21に気密に結合させた本体側部分樹脂枠体5KJとを、それぞれ加熱する2つの環状の加熱装置X(X1、X3)を備えている。また、金属蓋体4と金属ケース本体2とを、互いに離間した加熱位置と、互いに当接する結合位置へ搬送する搬送装置(図示しない)を備えている。なお、加熱装置X(X1、X3)は、上記環状の加熱装置に限らず、各種形態の加熱装置を用いることができる。
【0150】
そして、加熱装置X1は、電極体1を外部接続端子3(3A、3B)を介して保持する金属蓋体4の周縁部41に結合させた蓋側部分樹脂枠体5SJの下端面をその溶融温度まで加熱する。また、加熱装置X3は、金属ケース本体2の開口部21に結合された本体側部分樹脂枠体5KJの上端面をその溶融温度まで加熱する。各加熱装置X(X1、X3)は、被加熱部を所定の温度に加熱した後、待機位置へ移動する。
【0151】
その後、搬送装置が作動して、蓋側部分樹脂枠体5SJが結合された樹脂枠付き金属蓋体4Jと本体側部分樹脂枠体5KJが結合された樹脂枠付き金属ケース本体2Jとを、互いに離間した加熱位置から、互いに当接する結合位置へ搬送する。その際、開口部21を通じて樹脂枠付き金属ケース本体2J内に、電極体1を収容する(収容工程S1S)。結合位置へ搬送された樹脂枠付き金属ケース本体2Jの開口部21と樹脂枠付き金属蓋体4Jの周縁部41は、蓋側部分樹脂枠体5SJと本体側部分樹脂枠体5KJとが互いに気密に結合された複合樹脂枠体5HJを介して、気密に結合される(封口工程S2S)。
【0152】
このケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hの製造方法では、開口部21を通じて、金属ケース本体2内に、電極体1を収容する収容工程S1Sと、本体側部分樹脂枠体5KJと蓋側部分樹脂枠体5SJとを気密に結合して複合樹脂枠体5HJを形成して、開口部21を気密に封口する封口工程S2Sと、を備えるので、電極体1を内部に収容した金属ケース本体2と外部接続端子3を保持する金属蓋体4とが、複合樹脂枠体5HJによって気密に結合したケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hを簡単に製造することができる。
【0153】
また、ケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hを再度分解する際には、複合樹脂枠体5HJを、本体側部分樹脂枠体5KJと蓋側部分樹脂枠体5SJの境界線又はその近傍(分離部5QJ)で、周方向に沿って切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体2と金属蓋体4とを簡単に分離、解体させることができる。また、複合樹脂枠体5HJを切断又は溶融等させる際には、金属ケース本体2と金属蓋体4とが切断又は溶断等されないので、電極体1に有害な金属粉は生じにくく、電極体1を再利用しやすい。更に、複合樹脂枠体5HJを切断又は溶融等させることによって、金属ケース本体2と金属蓋体4とを元の状態で維持できるので、分解した金属ケース本体2と金属蓋体4とを再利用しやすい。
【0154】
ここでは、収容工程S1Sにて、外部接続端子3である内部端子32と外部端子34とを接続した状態で、電極体1を金属ケース本体2内に収容したが、内部端子32と外部端子34とを分離した状態で、予め電極体1を金属ケース本体2内に収容しても良い。この場合は、封口工程S2Sにて、内部端子32と外部端子34とを接続する必要がある。
【0155】
よって、更なる他の態様に係るケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hの製造方法によれば、ケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hを簡単に製造することができると共に、金属製のケース本体2と蓋体4との分解が簡単にでき、その分解の際に電極体1に有害な金属粉が発生しにくく、分解したケース本体2と蓋体4と電極体1の再利用が容易なケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hの製造方法を提供することができる。
【0156】
なお、上述した本ケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hの製造方法は、上述した各変形態様の密閉型蓄電デバイス10B、10C、10D、10E、10F、10Gにも適用でき、また、発明の要旨を変更しない範囲で、各種の態様に変化させることができる。以下に、その変形例1、2を説明する。
【0157】
(変形例1)
変形例1のケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hの製造方法では、例えば、図20図21Bに示すように、樹脂枠付き金属ケース本体2Jは、再利用樹脂枠付き金属ケース本体2JSであり、収容工程S1Sに先立ち、金属ケース本体2の開口部21に結合した本体側部分樹脂枠体5KJを、予め定めた形状に整形する本体側部分樹脂枠体整形工程S11Sを備えるケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hの製造方法でも良い。
【0158】
ここで、本体側部分樹脂枠体5KJを、予め定めた形状に整形する方法には、蓋側部分樹脂枠体5SJと結合する以前の本体側部分樹脂枠体5KJの結合面(上面)における凹凸形状を切削、研削、又は溶融等することによって正規の形状に整形する方法や、当該凹凸形状に他の樹脂を充填することによって正規の形状に整形する方法等が含まれる。
【0159】
この変形例1の製造方法では、樹脂枠付き金属ケース本体2Jは、再利用樹脂枠付き金属ケース本体2JSであり、収容工程S1Sに先立ち、金属ケース本体2の開口部21に結合した本体側部分樹脂枠体5KJを、予め定めた形状に整形する本体側部分樹脂枠体整形工程S11Sを備えるので、密閉型蓄電デバイス10又はケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hを再利用するため、樹脂枠体5H又は複合樹脂枠体5HJを、金属ケース本体2と金属蓋体4とから離間した位置で、周方向に沿って切断又は溶融等させたときに、本体側部分樹脂枠体5KJに生じる凹凸形状を正規の形状に整形することができる。そのため、封口工程S2Sにおいて、正規の形状に整形した本体側部分樹脂枠体5KJと蓋側部分樹脂枠体5SJとを結合した複合樹脂枠体5HJにより、開口部21をより一層気密に封口することができる。
【0160】
(変形例2)
変形例2のケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hの製造方法では、例えば、図20図21Cに示すように、樹脂枠付き金属蓋体4Jは、再利用樹脂枠付き金属蓋体4JSであり、収容工程S1Sに先立ち、金属蓋体4の周縁部41に結合した蓋側部分樹脂枠体5SJを、予め定めた形状に整形する蓋側部分樹脂枠体整形工程S12Sを備えるケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hの製造方法でも良い。
【0161】
ここで、蓋側部分樹脂枠体5SJを、予め定めた形状に整形する方法には、本体側部分樹脂枠体5KJと結合する以前の蓋側部分樹脂枠体5SJの結合面(下面)における凹凸形状を切削、研削、溶融等することによって正規の形状に整形する方法や、当該凹凸形状に樹脂を充填することによって正規の形状に整形する方法等が含まれる。
【0162】
この変形例2の製造方法では、樹脂枠付き金属蓋体4Jは、再利用樹脂枠付き金属蓋体4JSであり、収容工程S1Sに先立ち、金属蓋体4の周縁部41に結合した蓋側部分樹脂枠体5SJを、予め定めた形状に整形する蓋側部分樹脂枠体整形工程S12Sを備えるので、密閉型蓄電デバイス10又はケース再利用密閉型蓄電デバイス10Hを再利用するため、樹脂枠体5H又は複合樹脂枠体5HJを、金属ケース本体2と金属蓋体4とから離間した位置で、周方向に沿って切断又は溶融等させたときに、蓋側部分樹脂枠体5SJに生じる凹凸形状を正規の形状に整形することができる。そのため、封口工程S2Sにおいて、正規の形状に整形した蓋側部分樹脂枠体5SJと本体側部分樹脂枠体5KJとを結合した複合樹脂枠体5HJにより、開口部21をより一層気密に封口することができる。
【符号の説明】
【0163】
1 電極体
2 金属ケース本体
2J 樹脂枠付き金属ケース本体
2JS 再利用樹脂枠付き金属ケース本体
3 外部接続端子
3A 正極外部接続端子
3B 負極外部接続端子
4、4B、4C 金属蓋体
4J 樹脂枠付き金属蓋体
4JS 再利用樹脂枠付き金属蓋体
5、5B、5C、5D、5E、5F、5H 樹脂枠体、蓋側樹脂枠体、本体側樹脂枠体
5HJ 複合樹脂枠体
5Q 分離部(溶融分離部、切断分離部)
5S、5SJ 蓋側部分樹脂枠体
5K、5KJ 本体側部分樹脂枠体
6、6A、6B 絶縁部材
10、10B、10C、10D、10E、10F、10G 密閉型蓄電デバイス
10H ケース再利用密閉型蓄電デバイス
21、21J 開口部
21K、33K、41K42K 接合力強化処理面
33 外周面
41 周縁部
42 端子保持孔
51 本体側樹脂部
52 蓋側樹脂部
53、54 分離容易化部
54B、54C 光吸収容易化部
S1、S1S 収容工程
S2、S2S 封口工程
S21 開口部結合工程
S22 周縁部結合工程
S23 枠間結合工程
S11S 本体側部分樹脂枠体整形工程
S12S 蓋側部分樹脂枠体整形工程
T1 分割工程
T11 溶融分割工程
T12 切断分割工程
T2 取出工程
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図19
図20
図21A
図21B
図21C
図22