(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118111
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】粘着テープ
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20240823BHJP
【FI】
C09J7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024360
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】597098590
【氏名又は名称】宮脇 一美
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 一美
【テーマコード(参考)】
4J004
【Fターム(参考)】
4J004AB01
4J004CC02
4J004CE03
4J004EA01
4J004FA08
(57)【要約】
【課題】粘着性とテープカット位置の自由度を両立させた粘着テープを実現する。
【解決手段】ロール状に巻回された粘着テープ1であって、長手方向Lに沿ってテープ1の一面側に粘着層2と非粘着層3が交互に形成され、粘着層2と非粘着層3のあいだには、長手方向Lと直交する幅方向Wに対して更に斜めに傾斜した境界4を少なくとも一部に含んでいるものとした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻回された粘着テープであって、
長手方向に沿ってテープの一面側に粘着層と非粘着層が交互に形成され、粘着層と非粘着層のあいだには、長手方向と直交する幅方向に対して更に斜めに傾斜した境界を少なくとも一部に含んでいることを特徴とする、粘着テープ。
【請求項2】
非粘着層は、幅方向の一端側を底辺、他端側を頂点とするほぼ三角形の第1領域と、幅方向の他端側を底辺、一端側を頂点とするほぼ逆三角形の第2領域とを、長手方向に所定ピッチで交互に配したものである、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項3】
粘着層は、長手方向に沿って所定ピッチで斜めに傾斜した状態で平行に形成され、その粘着層間に非粘着層が形成されている、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項4】
非粘着層には、文字、図形、記号、模様又は色彩が印刷されている、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項5】
非粘着層には、WEB上に公開されたファイルにアクセスするQRコードなどのアクセスコードが印刷されている、請求項4に記載の粘着テープ。
【請求項6】
ロール状に巻回された粘着テープであって、
長手方向に沿ってテープの一面側に粘着層と非粘着層が交互に形成され、非粘着層と粘着層はそれぞれ、長手方向と直交する幅方向に帯状をなし、非粘着層の幅方向の一端側および/または他端側は粘着層とされていることを特徴とする、粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着性とカット位置の自由度を両立させた粘着テープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、段ボールの梱包などに利用される粘着テープが広く一般に利用されている。
この種の粘着テープは、基材層の一面側全体に粘着層が設けられている。このため、接着強度を高くすると、剥離が容易ではなく、爪などで引っ掻いて掴みしろを確保しなければならないという難点があった。
【0003】
そこで、ロール状に巻回された粘着テープにおいて、長手方向に沿って粘着層と非粘着層を交互に形成したものが考えられている(例えば特許文献1)。このようにすると、非粘着層のところで切断すればテープエンドは対象物に接着しないので、容易に剥がすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかるテープは、粘着層と非粘着層の境界が長手方向と直交する幅方向に沿って横断的に設けられている。このため、テープカット位置の自由度を高くするために長手方向に沿った非粘着層の範囲を広くとると粘着層の範囲が狭くなって粘着性が低下し、粘着性を高めると長手方向に沿った粘着性の範囲を広くとると非粘着性の範囲が狭くなってテープカット位置の自由度が低下するという課題がある。
【0006】
本発明は、粘着性とテープカット位置の自由度を両立させた粘着テープを実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち、本発明の粘着テープは、ロール状に巻回された粘着テープであって、長手方向に沿ってテープの一面側に粘着層と非粘着層が交互に形成され、粘着層と非粘着層のあいだには、長手方向と直交する幅方向に対して更に斜めに傾斜した境界を少なくとも一部に含んでいることを特徴とする。
【0009】
このように、非粘着層と粘着層のあいだに斜めに傾斜した境界を含んでいると、その斜めになる境界で長手方向と直交する幅方向にテープを切断したとき、そのテープカット位置に必ず粘着層と非粘着層が存在する。このため、非粘着層と粘着層の境界が長手方向と直交する幅方向のみに形成されている場合に比べて、ある位置でテープカットしたときに非粘着層や粘着層が存在する確率を高めることができ、テープの粘着性を低下させずにテープカット位置の自由度を高めることができる。また、テープエンドの一部が対象物に粘着されるので、テープエンドが完全に非粘着層である場合に比べて、テープエンドが不慮に剥がれ難くすることができる。
【0010】
具体的な実施の態様としては、非粘着層は、幅方向の一端側を底辺、他端側を頂点とするほぼ三角形の第1領域と、幅方向の他端側を底辺、一端側を頂点とするほぼ逆三角形の第2領域とを、長手方向に所定ピッチで交互に配したものが好適である。
【0011】
このようにすれば、粘着層と非粘着層の境界のほとんどを傾斜させることができるので、本発明の効果を十分に発揮させることができる。しかも、非粘着層のあいだにジグザグの粘着層が形成されるので、粘着層の連続性も担保することができる。
【0012】
また粘着層は、長手方向に沿って所定ピッチで斜めに傾斜した状態で平行に形成され、その粘着層間に非粘着層が形成されていても好適である。
【0013】
このようにしても、粘着層と非粘着層の境界のほとんどを傾斜させることができるので、本発明の効果を十分に発揮させることができる。
【0014】
非粘着層には、文字、図形、記号、模様又は色彩が印刷されていることが好適である。このようにすれば、どの場所が非粘着層であるかを明示することができ、文字、図形、記号、模様又は色彩を意匠や情報伝達に活用することができる。
【0015】
或いは、非粘着層には、WEB上に公開されたファイルにアクセスするQRコード(登録商標)などのアクセスコードが印刷されていても好適である。このようにすれば、非粘着層をWEBへの入口として活用することができる。
【0016】
他の実施の態様としては、ロール状に巻回された粘着テープであって、長手方向に沿ってテープの一面側に粘着層と非粘着層が交互に形成され、非粘着層と粘着層はそれぞれ、長手方向と直交する幅方向に帯状をなし、非粘着層の幅方向の一端側および/または他端側は粘着層とされていることを特徴とする。このように構成しても、ある位置でテープカットしたときに必ず粘着層が存在するので、非粘着層の範囲を広げてテープカット位置の自由度を高めても、粘着性を担保することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、粘着性とカット位置の自由度を両立させた粘着テープを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るロール状の粘着テープを示す図。
【
図4】同粘着テープに文字やイメージ等を付す場合の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
<第1実施形態>
図1は、ロール状に巻回して構成された粘着テープ1を示している。このテープ1は、ロール10から引き出すに伴い、長手方向に沿ってテープ1の一面(ロールの中心を向いていた面)側に粘着層2と非粘着層3が交互に現れるように構成されている。
【0021】
また、粘着層2と非粘着層3のあいだには、長手方向と直交する幅方向に対して更に斜めに傾斜した境界4が含まれるように構成されている。
【0022】
具体的に説明すると、非粘着層3は、
図2に示すように長手方向Lと直交する方向を幅方向Wとしたとき、幅方向Wの一端w1側を底辺、他端w2側を頂点とするほぼ三角形の領域である第1領域31と、幅方向Wの他端w2側を底辺、一端w1側を頂点とするほぼ逆三角形の領域である第2領域32とから構成され、第1領域31と第2領域32が長手方向Lに沿って所定ピッチで交互に現れるように形成されている。第1領域31と第2領域32の間には所定間隙Dが確保され、その間隙Dには、ジグザグに連続する粘着層2が形成されている。
【0023】
粘着層2と非粘着層3の境界4は、一端w1側が他端w2側よりも先に繰り出される方向に傾斜した第1境界41と、他端w2側が一端w1側よりも先に繰り出される方向に傾斜した第2境界42とが交互に形成されている。
【0024】
図3は粘着テープ1の製造工程の一例を模式的に示している。
図2に示す粘着層2と非粘着層3は基材ロール50から引き出された基材5の一方の面5a側に形成される。先ず、基材ロール50から引き出された基材5は、印刷位置6で一対のローラ61、62の間に通過される。一方のローラ61の外周は不着剤印刷面61aとされ、不着剤印刷面61aは通過する基材5の一方の面5aにおいて、
図2に示した幅方向Wの一端w1側を底辺、他端w2側を頂点とするほぼ三角形の第1領域31と、幅方向Wの他端w2側を底辺、一端w1側を頂点とするほぼ逆三角形の第2領域32とに、不着剤を印刷する。
【0025】
これとともに、他方のローラ62の外周にも印刷面62aが形成されている。他方ローラ62は一方のローラ61と常に同期して回転する。このため、印刷面62aは通過する基材5の他方の面5bにおける非粘着層3に対応する領域、すなわち三角形の第1領域31および逆三角形の第2領域32の各々に対応する領域に、有色の塗布材を使って文字、図形、記号、模様又は色彩等を印刷する。
【0026】
例えば、ここでは基材5は透明、粘着剤も透明とされ、非接着剤3に対応する領域にはこれらと差別化するために有色の塗布材(例えばグレー、青、赤等)を使用している。この塗布材により、
図4に示すように、その位置が非粘着領域3であること(粘着領域2とは違う領域であること)を明示する
図4に示す色領域3xを形成する。色領域3x以外としては、必要に応じて文字や記号、数字などの表記3yが印刷される。文字としては、その位置がテープカット位置であることを積極的に示す「CUT」の文字列、矢印のマーク、指の形をしたマーク等が好適である。勿論、これ以外の文字や記号、数字或いは模様などであってもよい。例えば
図4(b)に示すものは、WEB上に公開されたファイルにアクセスするためのQRコードなどのアクセスコード3zを印刷したものであり、粘着テープに付加価値をもたらす。
【0027】
図3で印刷位置6を通過した基材5は、粘着剤塗布位置7で接着剤中に浸漬あるいは噴霧あるいは塗布される。上述した不着材は粘着剤を付着させない成分を有しており、粘着剤は不着剤が印刷された領域には印刷されず、不着剤の印刷されていない領域のみに塗布される。
【0028】
したがって、
図2に示したように基材5には、幅方向一端w1側から他端w2側まで斜めに横断し幅方向一端w1側が先に繰り出される第3領域21と、基材5の幅方向他端w2側から一端w1側まで斜めに横断し幅方向他端w2側が先に繰り出される第4領域22とが繰り返すジグザグの粘着領域2が形成される。
【0029】
図2において一点鎖線で示す線P1、P2、P3は、長手方向と直交する幅方向Wに沿ってテープ1を切断する際のダミーのテープカット線である。P3のようにープカット線が境界41、42と交わっていなければ、テープカット位置に非粘着領域3は存在しない。一方で、P1、P2のようにテープカット線が境界41、42と交わっていればそのテープカット位置の一部に粘着層2と非粘着層3が存在する。このため、色のついた非粘着層3のところで切断すれば、必ず指で掴むか爪で起こすかしてテープエンドを簡単に剥がし始めることができる。
【0030】
そして、このような形態のテープとすることで、テープカット位置の自由度が高いものとなる。
図5に、本実施形態の構成(a)と、長手方向と直交する幅方向に横断する非粘着領域103を形成した従来例(b)とを対比する。本発明の構成(a)でテープカット位置に非粘着層3が現れる範囲と同じ範囲となるように非粘着層103を設けると、粘着層102はごくわずかな領域となり、粘着性は著しく低下する。それを避けるために(c)のように粘着領域102を広げと、非粘着領域103が間欠的となってテープカット位置は限定的となる。
【0031】
このように、
図5(a)の本発明によれば、粘着性を低下させることなく、テープカット位置の自由度を高めることが可能となる。
【0032】
よって、
図6に示すように段ボール100の蓋100aを閉止する用途に適用したとき、非粘着層103のところで切断すればテープエンドは対象物に接着しないため剥がし易くなる。そして、本発明によれば、任意の位置でテープカットしてもテープエンドに非粘着領域103が存在する確率が高くなり、色等を付けおけばほぼ確実に非粘着領域103でカットできるため、極めて遣い勝手の良好なものとなる。
【0033】
なお、どの位置で切断しても100%非接着領域を確保しようとすれば、
図2の間隙Dを小さくすればよいが、粘着性との兼ね合いで適宜に設定すればよい。
【0034】
なお、もし不着剤が印刷インキの効果を出せるもの(有色)であれば、
図3に示したローラ61だけで片面印刷を行い、ローラ62の印刷は不要にすることができる。
【0035】
<第2実施形態>
図7に示すように、粘着層202を、長手方向に沿って所定ピッチで斜めに傾斜した状態で平行に形成し、その粘着層202、202間に斜めに傾斜した状態で非粘着層203を平行に形成する構成であってもよい。このようにしても、粘着層202と非粘着層203の境界のほとんどを傾斜させることができ、粘着性を低下させることなくテープカット位置の自由度を高めることができる。
【0036】
<第3実施例>
図8に示すように、長手方向と直交する幅方向に帯状をなす粘着層302と非粘着層303を交互に形成し、非粘着層303の幅方向の一端側を粘着層302´とし(
図8(a))、あるいは、非粘着層303の幅方向の両端を粘着層302´とする(
図8(a))ように構成してもよい。
【0037】
このように構成すれば、ある位置でテープカットしたときに必ず粘着層302、302´が存在するので、非粘着層303の範囲を広げてテープカット位置の自由度を高めても、粘着性を担保することができる。
【0038】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0039】
1…粘着テープ
2…粘着層
3…非粘着層
4…境界
5a…一面
31…第1領域
32…第2領域
L…長手方向
W…幅方向
w1…一端
w2…他端