(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118119
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】治具、半導体製造装置および半導体製造装置の操作方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/67 20060101AFI20240823BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240823BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
H01L21/68 Z
H01L21/31 F
H01L21/302 101G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024371
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】新井 賢澤
【テーマコード(参考)】
5F004
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
5F004AA15
5F045AF19
5F045BB15
5F045DP02
5F045EB05
5F131BA03
5F131BA04
5F131BA19
5F131BA23
5F131CA12
5F131JA04
5F131JA09
5F131JA16
5F131JA22
5F131JA26
(57)【要約】
【課題】ステージに異物が付着することを抑制する治具、半導体製造装置および半導体製造装置の操作方法を提供することである。
【解決手段】本実施形態による治具1は、本体が半導体ウェハの形状を有している。治具は、第1面に円環形状または円弧形状の溝2が設けられている。本実施形態による半導体製造装置は、半導体ウェハを収容し、減圧下で半導体ウェハを処理するチャンバPM1を備える。ステージ12は、チャンバ内に設けられ、半導体ウェハを載置可能である。供給部DPは、本体が半導体ウェハの形状を有し、第1面に溝が設けられている治具が供給される。搬送部ATM、VTMは、ステージの上方から供給部に治具を搬送する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体が半導体ウェハの形状を有し、第1面に円環形状または円弧形状の溝が設けられている、治具。
【請求項2】
前記溝の円環または円弧の中心は、前記本体の中心に略一致する、請求項1に記載の治具。
【請求項3】
前記本体は、半導体ウェハを処理する半導体製造装置のチャンバ内に設けられ該半導体ウェハが載置されるステージの上方に、前記第1面を前記ステージに向けて載置可能であり、
前記溝は、前記本体を前記ステージの上方に載置した状態において、前記半導体ウェハを前記ステージから持ち上げる支持部材に対応する位置に設けられている、請求項1または請求項2に記載の治具。
【請求項4】
半導体ウェハを収容し、減圧下で該半導体ウェハを処理するチャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、前記半導体ウェハを載置可能なステージと、
本体が前記半導体ウェハの形状を有し、第1面に溝が設けられている治具が供給される供給部と、
前記ステージの上方から前記供給部に前記治具を搬送する搬送部と、を備えている半導体製造装置。
【請求項5】
半導体ウェハを収容し、減圧下で該半導体ウェハを処理するチャンバと、前記チャンバ内に設けられ、前記半導体ウェハを載置可能なステージとを備えた半導体製造装置の操作方法であって、
大気圧に開放した前記チャンバ内で、
本体が前記半導体ウェハの形状を有し、第1面に溝が設けられている治具を前記ステージの上方に載置させ、
前記治具を前記ステージの上方に載置させた後、前記チャンバを減圧することを具備する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、治具、半導体製造装置および半導体製造装置の操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置のチャンバを真空状態から大気開放してメンテナンスを行うことがある。このようなメンテナンスにおいて、ウェハを載置するステージ上に異物が付着する場合がある。このような異物は、ウェハの加工寸法等のばらつきの原因となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公開第2022/0130706号公報
【特許文献2】米国特許第9312163号明細書
【特許文献3】米国特許第5946184号明細書
【特許文献4】米国特許第9030798号明細書
【特許文献5】米国特許第10389278号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ステージに異物が付着することを抑制する治具、半導体製造装置および半導体製造装置の操作方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態による治具は、本体が半導体ウェハの形状を有し、第1面に円環形状または円弧形状の溝が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態による治具の構成例を示す平面図。
【
図2】第1実施形態による治具の構成例を示す側面図。
【
図3】第1実施形態による半導体製造装置の構成例を示す概略平面図。
【
図4】ダミーウェハ容器およびそれに収容されている治具を示す断面図。
【
図5】治具およびそれを搬送するアームロボットの一部を示す平面図。
【
図9】第1実施形態によるチャンバのメンテナンス時の様子を示す図。
【
図10】第1実施形態によるチャンバのメンテナンス時の様子を示す図。
【
図11】第1実施形態による半導体製造装置の操作方法を示す概略平面図。
【
図12】
図11に続く、半導体製造装置の操作方法を示す概略平面図。
【
図13】
図12に続く、半導体製造装置の操作方法を示す概略平面図。
【
図14】
図13に続く、半導体製造装置の操作方法を示す概略平面図。
【
図15】
図14に続く、半導体製造装置の操作方法を示す概略平面図。
【
図16】第2実施形態によるチャンバのメンテナンス時の様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものである。明細書と図面において、同一の要素には同一の符号を付す。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による治具1の構成例を示す平面図である。
図2は、第1実施形態による治具1の構成例を示す側面図である。
【0009】
治具1は、例えば、ドライエッチング装置等の半導体製造装置に用いられる。治具1は、例えば、半導体製造装置のチャンバ内部のメンテナンス時に、チャンバ内のステージの表面をカバーするために用いられる。
【0010】
図1および
図2に示すように、治具1は、その本体が半導体ウェハの形状を有し、第1面F1および第1面F1とは反対側にある第2面F2とを有する。治具1の第1面F1には、溝2が設けられている。溝2は、円環形状を有しており、第1面F1から第2面F2に向かって窪んでいる。溝2の中心は、治具1の本体の中心にほぼ一致する。治具1は、半導体ウェハと同様に、その外縁の一部にノッチ(切り欠き)3が設けられている。ノッチ3によって、ステージ上における治具1の回転方向の向きを判別することができる。
【0011】
治具1は、半導体製造装置のチャンバ内に設けられたステージ上方に、第1面F1をステージに向けて載置可能である。溝2は、治具1をステージ上方に載置した状態において、半導体ウェハをステージから持ち上げるリフトピンに対応する位置に設けられている。溝2は、リフトピンを受容して、治具1をステージの上方に位置付けるために設けられている。従って、溝2は、円環形状の溝に限定されず、リフトピンに対応した位置に設けられた円弧状の溝であってもよい。
【0012】
治具1の材料は、例えば、エボナイト、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、セルロイド、セロファン、塩化ビニール、ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、レーヨン、および、シリコンのいずれかの材料、または、これらの材料の組み合わせである。治具1は、半導体製造装置で処理される半導体ウェハと同じ形状、同じ大きさ、同じ材料で構成されていてもよい。治具1は、例えば、溝2を設けた半導体ウェハであってもよい。
【0013】
図3は、第1実施形態による半導体製造装置10の構成例を示す概略平面図である。半導体製造装置10は、例えば、ドライエッチング装置であり、半導体ウェハまたはその上に形成された構造体を加工する。しかし、半導体製造装置10は、これに限定せず、真空引きされたチャンバ内で半導体ウェハを処理する任意の装置でよい。
【0014】
半導体製造装置10は、チャンバPM1~PM6と、真空搬送部VTMと、ロードロックチャンバLL1、LL2と、大気搬送部ATMと、ロードポートLP1~LP4と、ダミーポートDPとを備えている。
【0015】
チャンバPM1~PM6は、それぞれ、半導体ウェハを収容し、半導体ウェハを処理可能な真空チャンバである。チャンバPM1~PM6の内部は、半導体ウェハを処理する際に、真空ポンプにより減圧されている。
【0016】
真空搬送部VTMには、半導体ウェハまたは治具1をロードロックチャンバLL1またはLL2からチャンバPM1~PM6のいずれかに搬送するアームロボット(図示せず)が設けられている。真空搬送部VTMは、アームロボットがチャンバPM1~PM6およびロードロックチャンバLL1、LL2のいずれにも半導体ウェハまたは治具1を搬送可能なようにそれらの中心に配置されている。真空搬送部VTMは、チャンバPM1~PM6と同様に真空ポンプにより減圧されている。
【0017】
ロードロックチャンバLL1、LL2は、真空搬送部VTMと大気搬送部ATMとの間に設けられている。ロードロックチャンバLL1、LL2は、大気状態と減圧状態とを切り替えることができるように構成されている。ロードロックチャンバLL1、LL2は、真空搬送部VTMの減圧状態を維持しながら、真空搬送部VTMと大気搬送部ATMとの間で半導体ウェハまたは治具1を搬送するために設けられている。
【0018】
大気搬送部ATMには、半導体ウェハまたは治具1をロードポートLP1~LP4およびダミーポートDPからロードロックチャンバLL1またはLL2のいずれかに搬送するアームロボット(図示せず)が設けられている。大気搬送部ATMは、アームロボットがロードロックチャンバLL1、LL2、ロードポートLP1~LP4およびダミーポートDPのいずれにも半導体ウェハまたは治具1を搬送可能なように配置されている。ロードロックチャンバLL1、LL2、ロードポートLP1~LP4およびダミーポートDPは、大気搬送部ATMを中心としてその周囲に配置されている。大気搬送部ATMの内部は、大気圧の状態である。
【0019】
真空搬送部VTMおよび大気搬送部ATMは、半導体ウェハ等をロードポートLP1~LP4およびダミーポートDPからチャンバPM1~PM6のいずれかのステージ上に搬送することができる。また、真空搬送部VTMおよび大気搬送部ATMは、半導体ウェハ等をチャンバPM1~PM6のステージからロードポートLP1~LP4およびダミーポートDPのいずれかに搬送することができる。
【0020】
ロードポートLP1~LP4は、半導体ウェハを収容するウェハ容器を着脱可能に設置し、ウェハ容器から半導体ウェハを取り出し可能にする。ダミーポートDPは、ダミーウェハ等を収容するダミーウェハ容器を着脱可能に設置し、そのダミーウェハ容器からダミーウェハを取り出し可能にする。
【0021】
本実施形態においては、治具1は、ダミーポートDPを用いて半導体製造装置10へ搬入(供給)される。例えば、治具1を収容したダミーウェハ容器を、ダミーポートDPに設置する。大気搬送部ATMおよび真空搬送部VTMのアームロボットが治具1をダミーウェハ容器から取り出し、ロードロックチャンバLL1またはLL2へ搬送する。
【0022】
なお、治具1は、ロードポートLP1~LP4のいずれかを用いて半導体製造装置10へ搬入されてもよい。この場合、治具1は、ウェハ容器に収容され、そのウェハ容器はポートLP1~LP4のいずれかに設置される。大気搬送部ATMおよび真空搬送部VTMのアームロボットは、治具1をロードポートLP1~LP4のいずれかのウェハ容器から取り出し、ロードロックチャンバLL1またはLL2へ搬送すればよい。
【0023】
また、ダミーポートDPには、治具1を収容する容器が付設されていてもよい。この場合、ダミーポートDPに付設された容器に治具1を予め保管しておき、メンテナンスの際に、真空搬送部VTMおよび大気搬送部ATMが治具1をダミーポートDPの容器からチャンバPM1~PM6に搬送する。メンテナンスが終了した後、真空搬送部VTMおよび大気搬送部ATMは、治具1をチャンバPM1~PM6からダミーポートDPの容器に搬送する。
【0024】
図4は、ダミーウェハ容器DWCおよびそれに収容されている治具1を示す断面図である。ダミーウェハ容器DWCは、筐体の内側面から突出する突出部26で治具1の両端部を支持する。ダミーウェハ容器DWCは、アームロボットが治具1を持ち上げて搬送できるように、治具1の中心部とは接触していない。
【0025】
図5は、治具1およびそれを搬送するアームロボットARの一部を示す平面図である。アームロボットARは、ダミーウェハ容器DWC内の治具1を第1面F1から持ち上げ、治具1を搬送する。例えば、アームロボットARの表面に、パッド17を有し、パッド17を治具1の第1面F1に接触させて治具1を搬送する。
【0026】
図6および
図7は、チャンバPM1の構成例を示す断面図である。
図6は、ステージ12の上方に半導体ウェハWをリフトピン14で持ち上げている状態を示している。
図7は、半導体ウェハWをステージ12上に載置した状態を示している。尚、チャンバPM2~PM6は、チャンバPM1と同じ構成を有する。従って、
図6および
図7には、チャンバPM1の構成例を示し、チャンバPM2~PM6の構成の図示は省略する。
【0027】
チャンバPM1は、筐体11を備える。チャンバPM1の筐体11内には、ステージ12と、エッジリング13と、リフトピン14とが設けられている。筐体11の底部には、真空ピンプに連通する配管が接続されている。これにより、チャンバPM1内は
図6および
図7中に矢印で示されているように真空引きされ、減圧されている。また、半導体ウェハWの加工に用いられたプロセスガスは、配管を介して排気される。
【0028】
ステージ12は、チャンバPM1内に設けられ、半導体ウェハWを載置可能に構成されている。ステージ12は、例えば、半導体ウェハWをステージ本体S上部に設けたESC(Electrostatic Chuck)で固定するものでよい。
【0029】
エッジリング13は、ステージ12の周囲に設けられており、ステージ12の上面よりも、幾分突出している。これにより、エッジリング13は、ステージ12から半導体ウェハWがずれることを抑制し、ステージ12上における半導体ウェハWのエッジを保護する。
【0030】
リフトピン(支持部材)14は、
図6に示すように、半導体ウェハWをステージ12の上面から持ち上げるためにステージ12の上面から突出し、または、
図7に示すように、半導体ウェハWをステージ12上に載置するためにステージ12の上面から下に引っ込む。このように、リフトピン14は、ステージ12の上面において上下に移動することができる。リフトピン14は、図示しない駆動部およびコントローラによって駆動および制御され得る。
【0031】
図8は、比較例を示す図である。チャンバPM1のメンテナンス時には、チャンバPM1を大気圧に開放して、メンテナンスを行い、その後、再度真空引きして減圧状態に戻す。このようにチャンバPM1を大気開放してから真空引きするときに、異物Pがステージ12上に付着する場合がある。例えば、ステージ12上に異物Pが付着すると、その後処理対象となる半導体ウェハWの加工時に半導体ウェハWをステージ12上に載置したときに、半導体ウェハWがステージ12から局所的に浮いてしまう。この場合、半導体ウェハWの加工のばらつきにつながる。
【0032】
例えば、
図8に示すように、異物Pが半導体ウェハWとステージ12との間にあると、半導体ウェハWとステージ12との間に隙間ができてしまう。この隙間は、プラズマによる半導体ウェハWの熱がステージ12へ放散することを妨げる。即ち、ステージ12の冷却能力を低下させてしまう。これは、半導体ウェハWの局所的な加工のばらつきの原因となり、半導体ウェハWの寸法のばらつきにつながる。このようなチャンバPM1内の異物Pを除去するためには、チャンバPM1の大気開放、ステージ12の清掃、および、真空引きを再度実行する必要がある。
【0033】
これに対し、本実施形態では、メンテナンス時にチャンバPM1を大気圧に開放したり、チャンバPM1を真空引きする際に、
図9に示すように、治具1がステージ12の上方に載置され、ステージ12の上面をカバーしている。これにより、
図10に示すように、チャンバPM1を大気開放してから真空引きするときに、異物PがチャンバPM1内に発生していても、異物Pは、治具1に付着し、ステージ12には付着しない。
【0034】
図9および
図10は、第1実施形態によるチャンバPM1のメンテナンス時の様子を示す図である。治具1は、ステージ12の上方において、ステージ12の上面と接触することなくリフトピン14によって支持されている。リフトピン14は、治具1の溝2に挿入された状態で治具1を支持する。即ち、治具1の溝2は、ステージ12の上方に載置された状態において、リフトピン14を受容する位置に設けられている。リフトピン14は、治具1をステージ12の上方に載置した状態において、溝2に挿入される位置に設けられている。治具1の中心軸は、リフトピン14が治具1の溝2に挿入された状態で、ステージ12の中心軸とほぼ一致するように配置される。例えば、
図9に示すように、大気開放してメンテナンス(例えば、エッジリング13の交換等)を行った後、チャンバPM1を減圧するときに、ステージ12の上面から突出させたリフトピン14上に治具1を載置する。これにより、治具1がステージ12の上面をカバーするので、チャンバPM1を大気開放してから真空引きするときに、
図10に示すように、異物PがチャンバPM1内に発生していても、治具1に付着し、ステージ12には付着しない。また、このとき、リフトピン14の先端が治具1の溝2に差し込まれるように、治具1をリフトピン14上に載置する。これにより、治具1は、ステージ12の上方からほぼずれずに固定され得る。また、治具1のエッジリング13との接触を抑制することができる。
【0035】
チャンバPM1が減圧状態になった後、真空搬送部VTMおよび大気搬送部ATMは、治具1をステージ12の上方からダミーポートDPへ搬送し、ダミーウェハ容器DWCに収容する。これにより、異物Pは、治具1とともにチャンバPM1から取り除かれる。その結果、この後にロードポートLP1~LP4のいずれかから搬送されてステージ12上に載置される処理対象の半導体ウェハWにおいて、加工のばらつきを抑制することができる。
【0036】
半導体製造装置10の動作については、
図11~
図15を参照して以下にさらに詳細に説明する。
【0037】
図11~
図15は、第1実施形態による半導体製造装置10の操作方法を示す概略平面図である。
【0038】
チャンバPM1のメンテナンスを行う際には、治具1を収容するダミーウェハ容器DWCをダミーポートDPに設置する。尚、半導体製造装置10がダミーポートDPにおいて治具1を収容する容器を備えている場合には、ダミーポートDPの容器に予め治具1を保管させることで半導体製造装置10に治具1を供給すればよく、ダミーウェハ容器DWCを用いた半導体製造装置10への治具1の供給は不要である。
【0039】
次に、チャンバPM1を大気圧に開放する前に、真空搬送部VTMおよび大気搬送部ATMが、
図11および
図12に示すように、治具1をダミーポートDPからチャンバPM1のステージ12の上方へ搬送し、リフトピン14上に載置する。このとき、チャンバPM1では、リフトピン14をステージ12の上面から突出した状態にする。
【0040】
次に、チャンバPM1を大気圧に開放して、メンテナンスを行う。このとき、
図13に示すように、オペレータは、治具1をチャンバPM1から一時的に退避させる。メンテナンスは、例えば、ステージ12の周囲に設けられたエッジリング13の交換等である。尚、メンテナンスの前後を通してステージ12の上面を治具1によりカバーすることで、例えば、メンテナンス時におけるステージ12の清掃を不要化でき治具1の退避が必要なくなる場合には、メンテナンス中でも、治具1をリフトピン14上に載置させたままとしてもよい。
【0041】
メンテナンス終了後、チャンバPM1を真空引きする前に、オペレータは、治具1をチャンバPM1のリフトピン14上に戻す。その後、
図14に示すように、チャンバPM1を密閉状態に戻して、チャンバPM1内の真空引きを行う。このとき、異物が発生しても、異物は、治具1に付着し、ステージ12には付着し難い。
【0042】
チャンバPM1が減圧状態になった後、真空搬送部VTMおよび大気搬送部ATMは、
図15に示すように、治具1をステージ12の上方からダミーポートDPへ搬送し、ダミーウェハ容器DWCに収容する。これにより、異物は、治具1とともにチャンバPM1から取り除かれる。
【0043】
尚、チャンバPM1の大気開放時においては、治具1をステージ12の上方に載置する必要がない場合、大気開放前に真空搬送部VTMおよび大気搬送部ATMが治具1をチャンバPM1へ搬送することなく、チャンバPM1を大気圧に開放してメンテナンスを行った後に、オペレータが治具1をリフトピン14上に載置してもよい。この場合、
図11~
図13の工程は省略され、オペレータが、チャンバPM1を大気圧に開放してメンテナンスを行った後に、治具1をリフトピン14上に載置すること(
図14)から開始すればよい。このようにしても、治具1は、チャンバPM1を真空引きする際に発生する異物を除去可能である。
【0044】
チャンバPM2~PM6のメンテナンスについても、上記チャンバPM1のメンテナンスと同様に実行すればよい。
【0045】
本実施形態による治具1は、チャンバPM1~PM6を大気開放の状態から減圧状態に切り替えるときに、ステージ12上への異物の付着を抑制することができる。これにより、処理対象となる半導体ウェハWとステージ12との間に隙間ができず、半導体ウェハWの加工のばらつきを抑制することができる。
【0046】
(第2実施形態)
第2実施形態においては、治具1の材料は、例えば、マイナスに帯電するエボナイト、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、セルロイド、セロファン、塩化ビニール、および、ポリテトラフルオロエチレン等のいずれか、あるいは、プラスに帯電するナイロン、および、レーヨンのいずれか、または、これらの材料の組み合わせとされる。この場合、治具1は、静電気によって異物を吸着し得る。
【0047】
図16は、第2実施形態によるチャンバPM1のメンテナンス時の様子を示す図である。治具1は、ステージ12の上方において、ステージ12の上面と接触することなくリフトピン14によって支持されている点で第1実施形態と同じである。治具1がステージ12の上面をカバーするので、チャンバPM1を大気開放してから真空引きするときに、異物PがチャンバPM1内に発生していても、治具1に付着し、ステージ12には付着しない。また、リフトピン14は、治具1の溝2に挿入された状態で治具1を支持する。これにより、治具1は、ステージ12の上方からほぼずれずに固定され得る。また、治具1がエッジリング13に接触することを抑制し、エッジリング13の損傷を抑制することができる。
【0048】
さらに、第2実施形態では、治具1が、マイナスまたはプラスに帯電している。例えば、ダミーウェハ容器DWCからの取り出し時に
図4の突出部26との摩擦、あるいは、アームロボットARのパッド17との摩擦によって治具1を帯電させる。これにより、治具1をステージ12の上方に載置したときに、治具1がステージ12上の異物Pを静電気によって吸着することができる。このように、第2実施形態によれば、治具1は、ステージ12の上方から落ちてくる(浮遊する)異物Pだけでなく、ステージ12上の異物Pを吸着してチャンバPM1から除去することができる。
【0049】
第2実施形態のその他の構成および操作は、第1実施形態の対応する構成および操作と同じでよい。従って、第2実施形態は、第1実施形態の効果も得ることができる。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0051】
1 治具
2 溝
10 半導体製造装置
PM1~PM6 チャンバ
VTM 真空搬送部
LL1、LL2 ロードロックチャンバ
ATM 大気搬送部
LP1~LP4 ロードポート
DP ダミーポート