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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118124
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】塵芥収集車
(51)【国際特許分類】
   B65F 3/00 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
B65F3/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024382
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 貴英
【テーマコード(参考)】
3E024
【Fターム(参考)】
3E024AA04
3E024BA01
3E024CA01
3E024DA01
3E024DB03
3E024FA02
3E024HA04
3E024HB04
3E024HC03
3E024HD05
(57)【要約】
【課題】下限位置に向かって塵芥投入箱を回動させて、塵芥収容箱を閉状態とする場合、塵芥収容箱と塵芥投入箱との間に発生し得る人やモノ等の挟み込みを抑制することができる、塵芥収集車を提供する。
【解決手段】車体2に設けられる塵芥収容箱3と、塵芥収容箱3の後部上端において、上下方向に回動可能に連結され、塵芥収容箱3を開状態とする上限位置P1、及び塵芥収容箱3を閉状態とする下限位置P2に変位可能に設けられる塵芥投入箱4とを備える塵芥収集車であって、塵芥収容箱3及び塵芥投入箱4のうち、少なくとも何れか一方に設けられ、塵芥収容箱3と塵芥投入箱4との間に存在する対象物を検知可能な挟み込み検知センサ8と、塵芥投入箱4の回動動作を制御する制御装置9とを備え、制御装置9は、塵芥投入箱4における下限位置P2への回動動作の実行中に、挟み込み検知センサ8が対象物を検知した場合、当該回動動作を禁止する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延びる車体と、
前記車体に設けられ、後側面が開口する塵芥収容箱と、
前記塵芥収容箱の後部上端において、ヒンジを介して上下方向に回動可能に連結され、前記塵芥収容箱を開状態とする上限位置、及び前記塵芥収容箱を閉状態とする下限位置に変位可能に設けられるとともに、
前記塵芥収容箱の閉状態において、当該塵芥収容箱と内部が連通し、後側面に塵芥を投入する投入口を有する塵芥投入箱と、
前記塵芥収容箱と前記塵芥投入箱との間に設けられ、前記塵芥投入箱の回動動作を行う開閉アクチュエータと、
前記塵芥投入箱の内部において、後方から前方に向かって揺動可能に設けられ、前記塵芥投入箱に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込む積込装置と、
前記塵芥収容箱に積み込まれた塵芥を外部に排出する排出装置とを備える塵芥収集車であって、
前記塵芥収容箱及び前記塵芥投入箱のうち、少なくとも何れか一方に設けられ、前記塵芥収容箱と前記塵芥投入箱との間に存在する対象物を検知可能なセンサと、
前記塵芥投入箱の回動動作を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記塵芥投入箱における前記下限位置への回動動作の実行中に、前記センサが対象物を検知した場合、当該回動動作を禁止する、
ことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
前記センサは、接触することにより対象物を検知する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の塵芥収集車。
【請求項3】
前記センサは、
前記塵芥収容箱の閉状態において、
前記塵芥投入箱における当該塵芥収容箱との接触部位に設けられ、
前記制御装置は、
前記センサにおける一部の領域のみが対象物を検知した場合、
前記塵芥投入箱における前記下限位置への回動動作を禁止し、
前記センサにおける全領域が対象物を検知した場合、
前記塵芥投入箱における前記下限位置への回動動作を禁止しない、
ことを特徴とする、請求項2に記載の塵芥収集車。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記塵芥投入箱における前記下限位置への回動動作の実行中に、前記センサが対象物を検知した場合、
少なくとも当該センサが対象物を検知しない状態となるまで、前記塵芥投入箱を前記上限位置に向かって回動させる、
ことを特徴とする、請求項1~請求項3の何れか一項に記載の塵芥収集車。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記塵芥投入箱における前記下限位置への回動動作の実行中に、前記センサが対象物を検知した場合、
前記上限位置への回動動作を行う際の所定の回動速度に比べて、低速の回動速度によって、前記塵芥投入箱を前記上限位置に向かって回動させる、
ことを特徴とする、請求項1~請求項3の何れか一項に記載の塵芥収集車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、生ごみや粗大ごみ等の塵芥を収集する塵芥収集車の一例として、例えば、後側面が開口している塵芥収容箱と、塵芥収容箱の後方側に連設され、上下方向に回動可能に設けられる塵芥投入箱と、塵芥投入箱の内部に設けられる積込装置とを備えた塵芥収集車が知られている。
上記塵芥収集車においては、塵芥投入箱によって塵芥収容箱(より具体的には、塵芥収容箱の後側面に設けられる開口部)を開閉可能に構成されており、塵芥収容箱は、塵芥投入箱が所定の上限位置まで回動されることにより開状態となり、また塵芥投入箱が所定の下限位置まで回動されることにより閉状態となるように構成されている。
【0003】
ここで、塵芥投入箱の後側面には、当該塵芥投入箱の内部に塵芥を投入するための投入口が設けられている。
また、塵芥収容箱が閉じられた状態(閉状態)において、塵芥投入箱の内部は、上記開口部を介して、当該塵芥収容箱の内部と連通可能に構成されている。
【0004】
そして、塵芥収容箱の閉状態において、投入口を介して塵芥投入箱に投入された塵芥は、積込装置によって掻き出されて塵芥収容箱の内部へと積み込まれ、当該塵芥収容箱に収容される。
また、塵芥収容箱の開状態において、塵芥収容箱に収容されていた塵芥は、例えば当該塵芥収容箱の内部に設けられる排出板によって後方側へと押し出され、上記開口部を介して車両の外部へと排出される。
【0005】
このような構成からなる塵芥収集車においては、下限位置に向かって塵芥投入箱を回動させて、塵芥収容箱を閉状態とする場合、塵芥収容箱と塵芥投入箱との間で人やモノ等の挟み込みが発生せぬように監視するシステムが設けられている。
例えば特許文献1においては、後部を開口した塵芥収容箱と、塵芥収容箱の後部上端に回動軸を介して軸支された塵芥投入箱とを備える塵芥車(塵芥収集車)において、回動軸の近傍にカメラを取り付け、当該カメラによって映し出される、下限位置に向かって回動動作を実行中の塵芥投入箱の映像を、運転席に装着されたモニタによって確認することにより、塵芥収容箱と塵芥投入箱との間に、人やモノ等が挟まれないように監視する安全確認装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3194088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1における技術においては、挟み込みを回避する動作が、モニタを監視する作業者の目視による判断と、当該判断に基づく作業者の操作に依存するため、例えば不意に、作業者がモニタの目視を怠り、塵芥収容箱と塵芥投入箱との間に発生し得る人やモノ等の挟み込みを、十分に防止しきれない虞があった。
【0008】
本発明は、以上に示した現状の問題点に鑑みてなされたものであり、下限位置に向かって塵芥投入箱を回動させて、塵芥収容箱を閉状態とする場合、塵芥収容箱と塵芥投入箱との間に発生し得る人やモノ等の挟み込みを抑制することができる、塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、本発明の第1形態に係る塵芥収集車は、前後方向に延びる車体と、前記車体に設けられ、後側面が開口する塵芥収容箱と、前記塵芥収容箱の後部上端において、ヒンジを介して上下方向に回動可能に連結され、前記塵芥収容箱を開状態とする上限位置、及び前記塵芥収容箱を閉状態とする下限位置に変位可能に設けられるとともに、前記塵芥収容箱の閉状態において、当該塵芥収容箱と内部が連通し、後側面に塵芥を投入する投入口を有する塵芥投入箱と、前記塵芥収容箱と前記塵芥投入箱との間に設けられ、前記塵芥投入箱の回動動作を行う開閉アクチュエータと、前記塵芥投入箱の内部において、後方から前方に向かって揺動可能に設けられ、前記塵芥投入箱に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込む積込装置と、前記塵芥収容箱に積み込まれた塵芥を外部に排出する排出装置とを備える塵芥収集車であって、前記塵芥収容箱及び前記塵芥投入箱のうち、少なくとも何れか一方に設けられ、前記塵芥収容箱と前記塵芥投入箱との間に存在する対象物を検知可能なセンサと、前記塵芥投入箱の回動動作を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記塵芥投入箱における前記下限位置への回動動作の実行中に、前記センサが対象物を検知した場合、当該回動動作を禁止することを特徴とする。
ここで、塵芥投入箱の回動動作を「禁止する」とは、単に、下限位置への回動動作の継続を禁止することを意味し、例えば、回動動作を一時的に停止する場合や、直ちに反対側である上限位置へ回動動作を開始する場合なども含まれる。
このような構成を有することにより、本発明に係る塵芥収集車によれば、従来のように、作業者の目視による判断と、当該判断に基づく作業者の操作とに依存することなく、センサによる対象物の検知信号によって、塵芥投入箱における下限位置への回動動作を自動的に中断することから、塵芥収容箱と塵芥投入箱との間に発生し得る人やモノ等の挟み込みを、抑制することができる。
【0011】
また、本発明の第2形態に係る塵芥収集車は、上記第1形態において、前記センサは、接触することにより対象物を検知することを特徴とする。
このような構成を有することにより、例えば光電センサや近接センサ等のような、所定の検知範囲を有し、非接触にて対象物を検知するセンサのように、一時的に飛来してきて、塵芥収容箱と塵芥投入箱との間を直ちに透り過ぎる対象部物に対して、過敏に検知してしまうこともなく、塵芥投入箱における下限位置への回動動作が、不必要に禁止されるのを防止することができる。
また、塵芥収容箱と塵芥投入箱との間に人やモノ等が挟み込まれた場合には、センサが直接的に接触して検知することにより、塵芥収容箱と塵芥投入箱との間に挟み込まれた人やモノ等が、さらに強く挟み込まれるのを抑制することができる。
【0012】
また、本発明の第3形態に係る塵芥収集車は、上記第2形態において、前記センサは、前記塵芥収容箱の閉状態における、前記塵芥投入箱の当該塵芥収容箱との接触部位に設けられ、前記制御装置は、前記センサにおける一部の領域のみが対象物を検知した場合、前記塵芥投入箱における前記下限位置への回動動作を禁止し、前記センサにおける全領域が対象物を検知した場合、前記塵芥投入箱における前記下限位置への回動動作を禁止しないことを特徴とする。
このような構成を有することにより、塵芥収容箱と塵芥投入箱との間に、人やモノ等の挟み込みが発生した状態(センサの一部の領域のみが検知状態であることによって判断)と、塵芥投入箱によって塵芥収容箱が正常に閉状態となった状態(センサの全領域が検知状態であることによって判断)とを、センサによって判別し、制御装置によって、塵芥投入箱の回動動作を適切に制御することができる。
【0013】
また、本発明の第4形態に係る塵芥収集車は、上記第1形態~第3形態の何れかの形態において、前記制御装置は、前記塵芥投入箱における前記下限位置への回動動作の実行中に、前記センサが対象物を検知した場合、少なくとも当該センサが対象物を検知しない状態となるまで、前記塵芥投入箱を前記上限位置に向かって回動させることを特徴とする。
このような構成を有することにより、塵芥収容箱と塵芥投入箱との間に、人やモノ等の挟み込みが発生した場合には、少なくとも当該挟み込みが解消される位置まで、塵芥投入箱を移動させることができる。
【0014】
また、本発明の第5形態に係る塵芥収集車は、上記第1形態~第3形態の何れかの形態において、前記制御装置は、前記塵芥投入箱における前記下限位置への回動動作の実行中に、前記センサが対象物を検知した場合、前記上限位置への回動動作を行う際の所定の回動速度に比べて、低速の回動速度によって、前記塵芥投入箱を前記上限位置に向かって回動させることを特徴とする。
このような構成を有することにより、塵芥投入箱を上限位置に向かって回動させる際に、たとえ不意に障害物と衝突した場合であっても、衝突時の衝撃力を抑制し、塵芥投入箱が破損するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明に係る塵芥収集車によれば、下限位置に向かって塵芥投入箱を回動させて、塵芥収容箱を閉状態とする場合、塵芥収容箱と塵芥投入箱との間に発生し得る人やモノ等の挟み込みを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る塵芥収集車の全体的な構成を示した一部断面側面図である。
図2】塵芥収集車の全体的な構成を示した背面図である。
図3】塵芥投入箱の構成を示した側面図である。
図4】塵芥投入箱の構成を示した正面図である。
図5】挟み込み検知センサの構成を示した図であって、(a)は図4中の矢視X1の方向に見た断面図であり、(b)は図4中の矢視X2の方向に見た断面図である。
図6】制御装置の構成を示したブロック図である。
図7】塵芥投入箱の下限位置への回動動作を実行する際の、塵芥収集車の動作手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、発明の一実施形態について、図1乃至図7を用いて説明する。
なお、以下の説明においては便宜上、図1乃至図5中に示す矢印の方向によって、塵芥収集車1の前後方向、左右方向、及び上下方向を規定して記述する。
【0018】
[塵芥収集車1の全体構成]
先ず、本発明を具現化する塵芥収集車1の全体構成について、図1乃至図3、及び図6を用いて説明する。
【0019】
本実施形態における塵芥収集車1は、例えば生ごみや粗大ごみ等の塵芥を積み込み収集する、作業車両である。
塵芥収集車1は、図1に示すように、主に、車体2、塵芥収容箱3、塵芥投入箱4、スイングシリンダ5(図2を参照)、積込装置6、排出板7、挟み込み検知センサ8(図5を参照)、及び塵芥投入箱4の回動動作を制御する制御装置9(図6を参照)等を備える。
【0020】
車体2は、前後方向に延びた形状からなり、その前側上部には、運転室21が設けられている。
また、車体2の上部において、運転室21の後方には、塵芥収容箱3が設けられている。
【0021】
塵芥収容箱3は、塵芥収集車1に投入される塵芥を収容するものである。
塵芥収容箱3は、例えば、前後方向に延びる略直方体形状に構成されており、その後側面は開口されて、略矩形状の収容側開口部3aが形成されている。
【0022】
そして、塵芥収集車1に投入される塵芥は、収容側開口部3aを介して塵芥収容箱3内に積み込まれ、当該塵芥収容箱3に収容される。
【0023】
なお、塵芥収容箱3の内部には、後述する排出板7が設けられており、塵芥収容箱3内に収容された塵芥は、当該排出板7によって、収容側開口部3aを介して外部に排出可能に構成されている。
また、塵芥収容箱3は、排出板7を設けることなく、後部下端において、車体2に対して上下方向に回動可能に連結され、図示せぬダンプシリンダ等によって上方側に回動されて傾倒することにより、塵芥収容箱3の内部に収容された塵芥を、収容側開口部3aを介して外部に排出可能に構成されていてもよい。
つまり、本実施形態における塵芥収集車1においては、排出板7やダンプシリンダ(図示せず)からなり、塵芥収容箱3に積み込まれた塵芥を、当該塵芥収容箱3の外部に排出する排出装置が備えられている。
【0024】
塵芥投入箱4は、塵芥収容箱3の収容側開口部3aを開閉するとともに、投入される塵芥を当該塵芥収容箱3に積み込むものである。
塵芥投入箱4は、塵芥収容箱3の後部上端において、ヒンジ41を介して上下方向に回動可能に連結されている。
また、塵芥投入箱4の後側面には、塵芥が投入される投入口4aと、当該投入口4aを開閉させるカバー部材4bとが設けられている。
さらに、塵芥投入箱4の前側面には、投入側開口部4c(図4を参照)が設けられており、当該投入側開口部4cを介して、塵芥投入箱4の内部は、塵芥収容箱3の内部と連通可能に構成されている。
【0025】
なお、上記投入側開口部4cを含む、塵芥投入箱4の前側面の詳細な構成については、後述する。
【0026】
塵芥投入箱4は、後述する一対のスイングシリンダ5・5によって、ヒンジ41を中心にして、所定の上限位置P1と下限位置P2との間で変位(回動)可能に設けられている。
【0027】
そして、塵芥投入箱4が上限位置P1に変位(回動)されることにより、塵芥収容箱3(より具体的には、収容側開口部3a)は開状態となり、当該塵芥収容箱3の内部に収容された塵芥を、収容側開口部3aを介して外部に排出可能な状態となる。
また、塵芥投入箱4が下限位置P2に変位(回動)されることにより、塵芥収容箱3(収容側開口部3a)は閉状態となり、塵芥収容箱3の収容側開口部3a、及び塵芥投入箱4の投入側開口部4cを介して、これら塵芥収容箱3及び塵芥投入箱4の内部は、互いに連通された状態となる。
【0028】
ここで、図3に示すように、車体2の後部には、下限位置P2に到達した塵芥投入箱4を、当該車体2に固縛するためのロック装置10が設けられている。
ロック装置10は、車体2の後部下面において上下方向に回動可能に支持されるフック11、塵芥投入箱4の下部より前方に向かって突出するロックピン12、フック11の回動動作を行うロックシリンダ13、及びフック11とロックシリンダ13とを連結する連結機構14などを備えている。
【0029】
一方、ヒンジ41は、僅かに後方にズレた位置に配置されており、下限位置P2において、塵芥投入箱4は、後述するシール部材44が、塵芥収容箱3の後側面に設けられるシール面3b(図5(a)を参照)に対して、僅かに接触した状態となっている。
【0030】
そして、ロックシリンダ13を伸長方向に作動させ、フック11を反時計回り方向(後方側且つ上方側)に回動させることにより、塵芥投入箱4を前方に向かって引き込みながら、当該フック11によってロックピン12が掛止される。
これにより、上記シール部材44の全領域に亘って、略同時且つ均等に圧力を加えつつ、ロック装置10によって、塵芥投入箱4を車体2に固縛することができる。
【0031】
なお、後述するように、塵芥投入箱4の内部には、積込装置6が設けられており、塵芥収容箱3の閉状態において、投入口4aを介して塵芥投入箱4に投入された塵芥は、当該積込装置6によって、塵芥収容箱3内に積み込まれる。
【0032】
スイングシリンダ5は、本発明に係る開閉アクチュエータの一例であって、塵芥収容箱3に対して、塵芥投入箱4の回動動作を行うものである。
スイングシリンダ5・5は、例えば本実施形態においては、1台の塵芥収集車1に対して一対(2本)設けられており、図2に示すように、塵芥収容箱3と塵芥投入箱4との間において、当該塵芥投入箱4の左右両側に配置されている。
【0033】
各スイングシリンダ5は、伸縮方向が略前後方向となるように配置されており、当該伸縮方向の一端部において塵芥収容箱3と回動可能に連結され、且つ当該伸縮方向の他端部において塵芥投入箱4と回動可能に連結されている。
【0034】
そして、図1において、これら一対のスイングシリンダ5・5が、互いに同調しつつ収縮方向に作動することにより、塵芥投入箱4は、上限位置P1に向かって回動される。
また、これら一対のスイングシリンダ5・5が、互いに同調しつつ伸長方向に作動することにより、塵芥投入箱4は、下限位置P2に向かって回動される。
【0035】
積込装置6は、塵芥投入箱4に投入された塵芥を、塵芥収容箱3内に積み込むものである。
積込装置6は、例えば本実施形態においては、塵芥の積込動作に圧縮動作を加えたプレス式機構からなり、主に、スライダ61と、当該スライダ61の下端部においてピン62を介して揺動(回動)可能に取付けられる押込み板63とを有する。
【0036】
スライダ61は、塵芥投入箱4の左右両側の側面4d・4d(図1においては、断面側面図であるため、一方の側面4dのみ記載)に設けられたガイドレール64・64に沿って、斜め前後方向に摺動移動可能に設けられている。
また、塵芥投入箱4の内部において、上記左右両側の側面4d・4dと、スライダ61との間には、一対のプッシュシリンダ65・65(図1においては、断面側面図であるため、一方のプッシュシリンダ65のみ記載)が設けられている。
さらに、スライダ61と押込み板63との間には、プレスシリンダ66が設けられている。
【0037】
そして、積込装置6は、以下の手順に従い動作することにより、塵芥投入箱4内に投入された塵芥を、塵芥収容箱3内に積み込む構成となっている。
即ち、先ず始めに、積込装置6は、図1中の実線によって示された原位置にて停止した状態となっている。
この状態において、プレスシリンダ66が収縮方向に動作することにより、押込み板63は、ピン62を中心として反時計回り方向(後方側且つ上方側)に揺動(回動)され、反転される(反転工程)。
【0038】
次に、一対のプッシュシリンダ65・65が、互いに同調しつつ収縮方向に動作することにより、スライダ61及び押込み板63は、ともに後方側且つ下方側へと移動され、その結果、塵芥投入箱3内に投入された塵芥は、押込み板63によって圧縮される(一次圧縮工程)。
その後、プレスシリンダ66が伸長方向に動作することにより、押込み板63は、ピン62を中心として時計回り方向(前方側且つ上方側)に揺動(回動)され、当該押込み板63によって、さらに塵芥が圧縮される(二次圧縮工程)。
【0039】
上記二次圧縮工程が終了すると、一対のプッシュシリンダ65・65は、互いに同調しつつ伸長方向に動作する。
これにより、スライダ61及び押込み板63は、ともに前方側且つ上方側へと移動され、積込装置6は、図1中の二点鎖線によって示された状態から、再び上記原位置にて停止した状態に復帰する。
その結果、圧縮された塵芥は、押込み板63によって掬い上げられ、塵芥収容箱3内に押し込まれる(押込み工程)。
【0040】
このように、積込装置6は、塵芥投入箱4の内部に設けられるとともに、後方から前方に向かって、押込み板63が揺動可能に設けられており、反転反転工程、一次圧縮工程、二次圧縮工程、及び押込み工程からなる一連の積込サイクルにより、塵芥投入箱4に投入された塵芥を、塵芥収容箱3に積み込むことができる。
【0041】
排出板7は、本発明に係る排出装置の一例であって、前述したように、塵芥収容箱3に積み込まれた塵芥を、当該塵芥収容箱3の外部に排出するものである。
排出板7は、塵芥収容箱3の内部において、前後方向に移動可能に設けられており、テレスコピック式のディスチャージシリンダ71による伸縮動作によって、当該塵芥収容箱3内の前端位置P11と後端位置P12との間を移動可能に構成されている。
【0042】
ここで、塵芥収容箱3内が略空状態である場合、排出板7は、後端位置P12にて待機した状態にあり、塵芥投入箱4より塵芥を積み込む際に、排出板7と、積込装置6における押込み板63との間で、当該塵芥を圧縮する構成となっている。
また、塵芥収容箱3内への塵芥の投入作業が進むにつれて、ディスチャージシリンダ71を徐々に収縮方向に作動させて、排出板7を前方へと移動させることにより、当該塵芥は、圧縮された状態を維持しつつ、塵芥収容箱3内に積み込まれる。
【0043】
一方、上述したように、ダンプシリンダ(図示せず)によって上方側へと回動させて、塵芥収容箱3を傾倒させることにより、塵芥収容箱3内に収容されている塵芥を、収容側開口部3aを介して外部に排出する構成としてもよい。
【0044】
挟み込み検知センサ8は、本発明に係るセンサの一例であって、塵芥収容箱3と塵芥投入箱4との間に存在する対象物を検知するものである。
なお、挟み込み検知センサ8の詳細な構成については、後述する。
【0045】
制御装置9は、塵芥収集車1における塵芥の積込・排出動作を制御するとともに、上述したように、塵芥投入箱4の回動動作を制御するものである。
制御装置9は、CPU(Central Processing Unit)によって構成される演算処理部や、ROM(Read Only Memory)・RAM(Random Access Memory)・HDD(Hard Disk Drive)等によって構成される記憶部などを備え、当該記憶部には、塵芥収集車1に設けられる各種可動機構部を動作させるためのプログラムが、予め格納されている。
【0046】
制御装置9は、図6に示すように、操作信号を出力する第1操作ボックス91、第2操作ボックス92、及び第3操作ボックス93や、挟み込み検知センサ8などと、電気的に通信可能に接続されている。
また、制御装置9は、塵芥投入箱4の回動動作を行うスイングシリンダ5や、積込装置6を可動させるプッシュシリンダ65及びプレスシリンダ66や、排出板7を可動させるディスチャージシリンダ71や、ロック装置10を可動させるロックシリンダ13などと、電気的に通信可能に接続されている。
【0047】
第1操作ボックス91は、メインとなる操作ボックスであり、主に運転室21内に配置されている。
第1操作ボックス91には、塵芥の積込・排出動作を操作するメインスイッチ91aや、塵芥投入箱4の回動動作(開閉動作)を操作する開閉スイッチ91bや、排出板7の移動動作を操作する排出スイッチ91cや、積込装置6における自動動作及び手動動作を切替える掻き出しスイッチ91dや、塵芥収集車1の走行用エンジン(図示せず)と、スイングシリンダ5等の動力源である油圧ポンプ(図示せず)との間に設けられるPTOの接続・切断を切替えるPTO切替えスイッチ91eなどが設けられている。
【0048】
第2操作ボックス92及び第3操作ボックス93は、補助的に設けられる操作ボックスであり、塵芥投入箱4の左右両側に配置されている(図2を参照)。
第2操作ボックスには、積込装置6のモード選択(上述した積込サイクルを連続して行う連続動作モード、及び1サイクルのみ行う単独動作モード)を行う切替えスイッチ92aや、積込装置6による積込動作の開始を指示する積み込みスイッチ92bや、積込装置6の動作を緊急停止させる緊急停止スイッチ92cなどが設けられている。
また、第3操作ボックスには、積込装置6の動作を緊急停止させる緊急停止スイッチ93aなどが設けられている。
【0049】
そして、制御装置9は、これらの第1操作ボックス91、第2操作ボックス92、及び第3操作ボックス93によって入力される操作信号(電気信号)、及び挟み込み検知センサ8から入力される検知信号(電気信号)に基づき、上記プログラムに従い演算処理を実行し、当該演算処理の演算結果に基づき、塵芥投入箱4の開閉動作や、積込装置6及び排出板7等の移動動作を適宜操作して、塵芥収集車1における塵芥の積込・排出動作を制御する。
【0050】
[挟み込み検知センサ8の構成]
次に、挟み込み検知センサ8の構成について、図4及び図5を用いて詳細に説明する。
挟み込み検知センサ8は、前述したように、塵芥収容箱3と塵芥投入箱4との間に存在する対象物を検知するものである。
挟み込み検知センサ8は、塵芥収容箱3及び塵芥投入箱4のうち、少なくとも何れか一方に設けられており、例えば本実施形態においては、塵芥投入箱4に設けられるシール部材44に内挿されている。
【0051】
ここで、図4に示すように、塵芥投入箱4の前側面において、その上部、及び上下方向中央部には、遮蔽板42及び前壁部材43が連続して設けられており、当該前壁部材43の下端と、塵芥投入箱4の下面との間の空間部によって、前述した投入側開口部4cが構成されている。
【0052】
遮蔽板42及び前壁部材43は、塵芥収容箱3(図1を参照)の閉状態において、塵芥収容箱3に収容された塵芥が、塵芥投入箱4側へと逆方向に移動するのを防止するものである。
特に、遮蔽板42は、塵芥収容箱3内に一旦積み込まれた塵芥が、塵芥投入箱4内の上部に溢れ出るのを防止している。
【0053】
そして、塵芥収容箱3の後側面には、収容側開口部3a(図1を参照)の周囲を囲むシール面3b(図5(a)を参照)が形成されており、また、塵芥投入箱4の前側面には、当該前側面の周囲に沿ったシール部材44が設けられており、塵芥収容箱3の閉状態において、当該シール面3bにシール部材44が密接するように構成されている。
【0054】
シール部材44は、塵芥投入箱4の前側面において、少なくとも投入側開口部4cの周囲を囲むように設けられている。
具体的には、塵芥収容箱3の閉状態において、シール部材44は、投入側開口部4cに対して、下方に位置する下シール部44a1、及び左右両側に位置する側シール部44a2・44a2からなる第1シール部材44aと、投入側開口部4cに対して、上方に位置する第2シール部材44bとにより、略矩形環状に構成されている。
【0055】
第1シール部材44aにおいて、下シール部44a1は左右方向に延出しており、一対の側シール部44a2・44a2は、当該下シール部44a1の左右両端部と各々連続している。
また、一対の側シール部44a2・44a2は、塵芥収容箱3の閉状態において、下シール部44a1の左右両端部から、第2シール部材44bの左右両端部に向かって、各々上方(より具体的には、前方且つ上方)に延出している。
つまり、一対の側シール部44a2・44a2は、投入側開口部4cの上方まで延出している。
【0056】
一方、第2シール部材44bは、左右方向延出する上シール部44b1、及び当該上シール部44b1の左右両端部と各々連続する一対の横シール部44b2・44b2を有している。
一対の横シール部44b2・44b2は、上シール部44bの左右両端部から、下方(より具体的には、後方且つ下方)に延出している。
【0057】
そして、一対の横シール部44b2・44b2の下端は、一対の側シール部44a2・44a2の上端と各々密接させた状態となっており、互いに密封させた状態となっている。
つまり、下シール部44a1と、一対の側シール部44a2・44a2とによって、一連のコ字形状からなる第1シール部材44aが形成されており、当該第1シール部材44aと、同じく一連のコ字形状からなる第2シール部材44bとによって、略矩形環状のシール部材44が構成されている。
【0058】
図5(a)に示すように、第1シール部材44aにおいて、下シール部44a1は、略円形の断面形状からなる本体部45aと、当該本体部45aに沿って塵芥収容箱3側に設けられ、本体部45aを固定する取付け部46aとを有し、塵芥収容箱3の閉状態において、当該塵芥収容箱3のシール面3bに、本体部45aが密接するように構成されている。
また、図5(b)に示すように、各側シール部44a2も下シール部44a1と同様に、略円形の断面形状からなる本体部45bと、当該本体部45bに沿って塵芥収容箱3側に設けられ、本体部45bを固定する取付け部46bとを有し、塵芥収容箱3の閉状態において、当該塵芥収容箱3のシール面(図示せず)に、本体部45bが密接するように構成されている。
【0059】
そして、下シール部44a1の本体部45a、及び各側シール部44a2の本体部45bには、複数(本実施形態においては4本)の貫通孔47・47・・・が延出方向に沿って各々設けられており、挟み込み検知センサ8は、当該貫通孔47を介して、第1シール部材44aの全領域に亘って、内部に挿設されている。
つまり、挟み込み検知センサ8は、塵芥収容箱3の閉状態において、第1シール部材44aを介して、塵芥投入箱3における、塵芥収容箱3のシール面3bとの接触部位に設けられている。
【0060】
挟み込み検知センサ8は、例えば本実施形態においては、複数の市販の圧力センサ81・81・・・からなり、所定の貫通孔47を介して、第1シール部材44aの全領域(図4において、網掛けによって示された第1シール部材44aの全領域)に亘って並べて挿設されている。
【0061】
そして、下限位置P2(図1を参照)に向かって塵芥投入箱4を回動させて、塵芥収容箱3の閉動作を行う際において、これら塵芥収容箱3と塵芥投入箱4との間に意図せぬ対象物が存在した場合、対象物との接触後、さらに塵芥投入箱4の回動動作が進んで、当該対象物によって局部的に強く圧迫されることにより、挟み込み検知センサ8は、対象物の存在を検知する。
つまり、挟み込み検知センサ8は、塵芥収容箱3と塵芥投入箱4との間において、単に対象物が触れた状態を含む、如何なる対象物の挟み込みを検知するのではなく、少なくとも、ある程度の圧力をもって対象物が挟まれた状態での、対象物の挟み込みを検知する。
【0062】
一方、塵芥収容箱3と塵芥投入箱4との間に対象物が存在しない通常時の場合、塵芥投入箱4の前側面は、下限位置P2に到達する際、上部側(即ち、ヒンジ41側)から下部側に向かって徐々に、塵芥収容箱3の後側面と当接される傾向にあるものの、前述したように、ロック装置10を設けることにより、シール部材44の全領域に亘って、略同時且つ均等に圧力が加えられる構成となっている。
これにより、挟み込み検知センサ8は、全領域において略同時に強く圧迫されることとなり、全ての圧力センサ81・81・・・が、略同時に検知状態となる。
従って、全ての圧力センサ81・81・・・が、略同時に検知状態となる場合を除き、任意の圧力センサ81のみが、局部的に検知状態となる場合を判別することにより、挟み込み検知センサ8による対象物の挟み込みを、検知することができる。
【0063】
なお、挟み込み検知センサ8における検知信号(電気信号)の出力方式については、例えば、平常時においては制御装置9に電気信号を送信せず、対象物を検知した場合にのみ制御装置9に電気信号を送信する方式としてもよく、或いは、平常時においては制御装置9に電気信号を送信し続け、対象物を検知した場合にのみ制御装置9への電気信号の送信を停止する方式としてもよい。
【0064】
また、本実施形態においては、第1シール部材44aのみに挟み込み検知センサ8が挿設される構成としているが、これに限定されるものではなく、第2シール部材44bにおいても、全領域に亘って挟み込み検知センサ8が挿設されていてもよい。
【0065】
さらに、挟み込み検知センサ8の構成については、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、複数の圧力センサ81・81・・・が一体的に連なる1本のセンサであって、局部的に対象物を検知可能な他のセンサであってもよい。
【0066】
このように、本実施形態において、挟み込み検知センサ8は、第1シール部材44aを介して直接的に接触することにより、対象物を検知する圧力センサ81によって構成されている。
【0067】
このような構成を有することにより、例えば、直接的に接触することなく対象物を検知可能な光電センサなどのように、一時的に飛来してきて、塵芥収容箱3と塵芥投入箱4との間を直ちに透り過ぎる対象物に対して、過敏に検知してしまうこともなく、後述するように、当該挟み込み検知センサ8からの検知信号によって、塵芥投入箱4における下限位置P2への回動動作が、不必要に禁止されるのを防止することができる。
また、塵芥収容箱3と塵芥投入箱8との間に人やモノ等が挟み込まれた場合には、挟み込み検知センサ8が直接的に接触して検知することにより、塵芥収容箱3と塵芥投入箱4との間に挟み込まれた人やモノ等が、さらに強く挟み込まれるのを抑制することができる。
【0068】
[塵芥収集車1の動作手順]
次に、塵芥収容箱3の閉動作を行う場合の、塵芥収集車1の動作手順について、図7を用いて説明する。
【0069】
先ず始めに、第1操作ボックス91または第2操作ボックス92における所定のスイッチが操作され、塵芥投入箱4は、下限位置P2に向かって回動動作(下降動作)を開始する。
【0070】
下降動作中の塵芥投入箱4において、第1シール部材44aが圧迫されて、挟み込み検知センサ8が検知状態となると(ステップS01)、制御装置9は、当該検知状態が、挟み込み検知センサ8の一部の領域に限って局部的に発生しているのかどうかを判断する(ステップS02)。
【0071】
その結果、上記検知状態が、挟み込み検知センサ8の一部の領域に限って発生しているのではなく、全領域に亘って発生していると判断した場合(NO判定)、制御装置9は、塵芥投入箱4の下降動作を禁止することなく継続する(ステップS03)。
【0072】
その後、例えば近接センサ等によって、塵芥投入箱4が下限位置P2に到達したことを検知すると(ステップS04)、制御装置9は、塵芥投入箱4の下降動作を停止するとともに(ステップS05)ロック装置10を作動させ、当該ロック装置10の動作完了をもって、塵芥収容箱3の閉動作が終了する。
【0073】
一方、上記検知状態が、挟み込み検知センサ8の一部の領域に限って発生していると判断した場合(YES判定)、制御装置9は、塵芥投入箱4の下降動作を禁止して、一旦停止(中断)させる(ステップS06)。
この際、例えば、第1操作ボックス91または第2操作ボックス92における所定のスイッチが別途操作され、塵芥投入箱4の下降動作の操作信号が新たに入力された場合であっても、制御装置9は、当該操作信号を無視して、塵芥投入箱4の下降動作を強制的に禁止し、後述するステップS07以降のステップを順に実行する。
【0074】
このように、本実施形態において、制御装置9は、挟み込み検知センサ8における一部の領域のみが対象物を検知した場合、塵芥投入箱4における下限位置P2への回動動作(下降動作)を禁止し、挟み込み検知センサ8における全領域が対象物を検知した場合、塵芥投入箱4における下限位置P2への回動動作を禁止しない制御を行う。
【0075】
このような制御を行うことにより、塵芥収容箱3と塵芥投入箱4との間に、人やモノ等の挟み込みが発生した状態(挟み込み検知センサ8の一部の領域のみが検知状態であることによって判断)と、塵芥投入箱4によって塵芥収容箱3が正常に閉状態となった状態(挟み込み検知センサ8の全領域が検知状態であることによって判断)とを、挟み込み検知センサ8によって判別し、制御装置9によって、塵芥投入箱4の回動動作を適切に制御することができる。
【0076】
上記ステップS06の実行後、制御装置9は、塵芥投入箱4の回動速度を低速(所定の回動速度に比べて低速の回動速度)に切り替える(ステップS07)。
上記回動速度の低速への切り替えについては、例えば、スイングシリンダ5に作動油を供給する油圧ポンプ(図示せず)の作動を、走行用エンジンのアイドリング回転(最低回転数)で行うことで、実現することができる。
【0077】
上記ステップS07の実行後、制御装置9は、低速の回動速度によって、上限位置P1に向かって塵芥投入箱4の回動動作(上昇動作)を行う(ステップS08)。
その後、制御装置9は、挟み込み検知センサ8の検知状態が、未だ継続した状態であるのかどうかを判断する(ステップS09)。
【0078】
その結果、上記検知状態が、未だ継続した状態であると判断した場合(YES判定)、制御装置9は、上記ステップS08に戻り、塵芥投入箱4の上昇動作を継続して実行する。
【0079】
このように、本実施形態において、制御装置9は、塵芥投入箱4における下限位置P2への回動動作(下降動作)の実行中に、挟み込み検知センサ8が対象物を検知したことにより、当該塵芥投入箱4を上限位置P1に向かって回動させる場合、上限位置P1への回動動作(上昇動作)を行う際の所定の回動速度に比べて、低速の回動速度によって、塵芥投入箱4を上限位置P1に向かって回動させる制御を行う。
【0080】
このような制御を行うことにより、塵芥投入箱4を上限位置P1に向かって回動させる際に、たとえ不意に障害物と衝突した場合であっても、衝突時の衝撃力を抑制し、塵芥投入箱4が破損するのを防止することができる。
【0081】
一方、上記検知状態から解放され、挟み込み検知センサ8によって何も検知されていないと判断した場合(NO判定)、制御装置9は、挟み込み検知センサ8からの検知信号が停止してから所定時間(例えば、さらに300mm程度、塵芥投入箱4を上昇動作させるために必要な数秒間)経過した後に、塵芥投入箱4の上昇動作を停止する(ステップS10)。
【0082】
このように、本実施形態において、制御装置9は、塵芥投入箱4における下限位置P2への回動動作(下降動作)の実行中に、挟み込み検知センサ8が対象物を検知したことにより、当該塵芥投入箱4を上限位置P1に向かって回動させる場合、少なくとも当該挟み込み検知センサ8が対象物を検知しない状態となるまで、塵芥投入箱4を上限位置P1に向かって回動させる制御を行う。
【0083】
このような制御を行うことにより、塵芥収容箱3と塵芥投入箱4との間に、人やモノ等の挟み込みが発生した場合には、少なくとも当該挟み込みが解消される位置まで、塵芥投入箱4を移動させることができる。
【0084】
上記ステップS10の実行後、制御装置9は、塵芥投入箱4の回動速度を、低速から所定の回動速度に切り替える(ステップS11)。
その後、下降の操作があれば、制御装置9は、所定の回動速度によって、下限位置P2に向かって塵芥投入箱4の回動動作(下限動作)を開始し(ステップS12)、上記ステップS05に至るまで、ステップS01以降の一連のステップを再び繰り返す。
【0085】
以上のように、本実施形態における塵芥収集車1は、車体2、塵芥収容箱3、塵芥投入箱4、スイングシリンダ(開閉アクチュエータ)5、積込装置6、排出板7やダンプシリンダ等からなる排出装置を備える塵芥収集車である。
ここで、車体2は、前後方向に延びる構成からなる。
また、塵芥収容箱3は、車体2に設けられ、後側面が開口する構成からなる。
また、塵芥投入箱4は、塵芥収容箱3の後部上端において、ヒンジ41を介して上下方向に回動可能に連結され、塵芥収容箱3を開状態とする上限位置P1、及び塵芥収容箱3を閉状態とする下限位置P2に変位可能に設けられるとともに、塵芥収容箱3の閉状態において、当該塵芥収容箱3と内部が連通し、後側面に塵芥を投入する投入口4aを有する構成からなる。
また、スイングシリンダ(開閉アクチュエータ)5は、塵芥収容箱3と塵芥投入箱4との間に設けられ、塵芥投入箱4の回動動作を行う構成からなる。
また、積込装置6は、塵芥投入箱4の内部において、後方から前方に向かって押込み板63が揺動可能に設けられ、塵芥投入箱4に投入された塵芥を塵芥収容箱3に積み込む構成からなる。
さらに、上記排出装置は塵芥収容箱3に積み込まれた塵芥を外部に排出する構成からなる。
【0086】
また、塵芥収集車1は、塵芥収容箱3及び塵芥投入箱4のうち、少なくとも何れか一方に設けられ、塵芥収容箱3と塵芥投入箱4との間に存在する対象物を検知可能な挟み込み検知センサ(センサ)8と、塵芥投入箱4の回動動作を制御する制御装置9とを備えている。
【0087】
そして、制御装置9は、塵芥投入箱4における下限位置P2への回動動作の実行中に、挟み込み検知センサ(センサ)8が対象物を検知した場合、当該回動動作を禁止する構成となっている。
【0088】
このような構成を有することにより、本実施形態における塵芥収集車1によれば、従来のように、作業者の目視による判断と、当該判断に基づく作業者の操作とに依存することなく、挟み込み検知センサ8による対象物の検知信号によって、塵芥投入箱4における下限位置P2への回動動作を自動的に中断することから、塵芥収容箱3と塵芥投入箱4との間に発生し得る人やモノ等の挟み込みを、抑制することができる。
【0089】
なお、本発明を具現化する一実施形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、及び範囲内の全ての変更を含む。
【0090】
即ち、挟み込み検知センサ8の構成については、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、閉動作を行う塵芥投入箱4との接触を予期して、塵芥収容箱3と塵芥投入箱4との間に存在する対象物を非接触にて検知可能なセンサ(例えば、光電センサ等)によって、構成されていてもよい。
また、予め選定した塵芥投入箱4の位置を検知可能な近接センサ等によって、挟み込み検知センサ8を構成することとしてもよい。
【0091】
挟み込み検知センサ8として近接センサを採用する場合、例えば、シール部材44の近傍であって、塵芥収容箱3と塵芥投入箱4とが互いに接触しない状態での、当該塵芥投入箱4の位置を検知可能な個所に近接センサを配置し、当該近接センサが検知状態となった場合、対象物の挟み込みが発生したとして、塵芥投入箱4における下限位置P2への回動動作(下降動作)を即座に禁止するよう制御すればよい。
また、この場合、塵芥収容箱3と塵芥投入箱4とが互いに接触する部分付近に、複数の近接センサを配置しておき、下限位置P2付近のより多くの位置に塵芥投入箱4が到達した場合における、対象物の挟み込みを検知可能な構成としてもよい。
【0092】
また、本実施形態においては、前述したように、ステップS02によって、挟み込み検知センサ8の一部の領域が検知状態であると判断した場合、塵芥投入箱4の回動動作(下降動作)を禁止したうえで、当該下降動作を停止し(ステップS06)、その後、上限位置P1に向かって塵芥投入箱4の回動動作(上昇動作)を行う(ステップS08)構成としているが、これに限定されることはなく、上昇動作を行うことなく、塵芥投入箱4の下降動作を単に停止させるだけであってもよい。
或いは、一旦停止することなく、直ちに塵芥投入箱4の上昇動作を行うこととしてもよい。この場合、タイマー等による時間管理よって、所定時間が経過するまで、塵芥投入箱4の上昇動作を行うこととしてもよい。
【0093】
さらに、本実施形態においては、前述したように、後方に僅かにズレた位置にヒンジ41を設け、且つロック装置10を設けることにより、下降動作を行う塵芥投入箱4のシール部材44は、全領域に亘って略同時且つ均等に、塵芥収容箱3のシール面3bと当接される構成となっている。
しかしながら、長年にわたる塵芥収集車1の運転期間や製造誤差等の影響によって、塵芥収容箱3のシール面3bに対して、塵芥投入箱4のシール部材44の全領域を、略同時に当接させることが困難となる場合がある。
【0094】
このようなことから、下降動作を行う塵芥投入箱4のシール部材44は、上部から下部に向かって徐々に、塵芥収容箱3のシール面3bと当接されることとしてもよい。
この場合、塵芥収容箱3と塵芥投入箱4との間に対象物が存在せず、塵芥収容箱3の閉動作が正常に行われたとしても、当該閉動作の過程において、挟み込み検知センサ8は、一部の領域(上部の領域)のみが検知状態となり、対象物が存在すると誤認してしまう。
【0095】
そこで、挟み込み検知センサ8における左右両側の領域(一対の側シール部44a2・44a2に挿設される圧力センサ81)が、互いに同じ上下方向の位置にて検知状態となる場合、塵芥投入箱4の下降動作を禁止することなく継続し、互いに異なる上下方向の位置にて検知状態となる場合、当該検知状態が、挟み込み検知センサ8の一部の領域に限って発生していると判断し、塵芥投入箱4の下降動作を停止することとしてもよい。
或いは、挟み込み検知センサ8の上端部から下方に向かって徐々に検知状態となる場合、塵芥投入箱4の下降動作を禁止することなく継続し、挟み込み検知センサ8の上部において、未だ検知していない領域を残しつつ、突発的に下部が検知状態となる場合、当該検知状態が、挟み込み検知センサ8の一部の領域に限って発生していると判断し、塵芥投入箱4の下降動作を停止することとしてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 塵芥収集車
2 車体
3 塵芥収容箱
4 塵芥投入箱
41 ヒンジ
4a 投入口
5 スイングシリンダ(開閉アクチュエータ)
6 積込装置
7 排出板(排出装置)
8 挟み込み検知センサ(センサ)
9 制御装置
P1 上限位置
P2 下限位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7