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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118127
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】イソプレンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 5/333 20060101AFI20240823BHJP
   C07C 11/18 20060101ALI20240823BHJP
   C07C 11/10 20060101ALI20240823BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240823BHJP
【FI】
C07C5/333
C07C11/18
C07C11/10
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024386
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000105567
【氏名又は名称】コスモ石油株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福原 長寿
(72)【発明者】
【氏名】渡部 綾
(72)【発明者】
【氏名】宮城 裕一
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC12
4H006BA19
4H006BA30
4H006BA55
4H006BC10
4H006BC37
4H039CA29
4H039CC10
(57)【要約】
【解決課題】メチルブテンを原料に用いて、脱水素を行なうことにより、イソプレンを得るイソプレンの製造方法であり、イソプレンの収率が高いイソプレンの製造方法を提供すること。
【解決手段】メチルブテンを含有する原料と、遷移金属から選択される少なくとも1種の金属を含む脱水素触媒と、の接触を、硫化水素の存在下で行うことにより、該メチルブテンの脱水素反応を行い、脱水素反応物(A)を得るイソプレン合成工程を有することを特徴とするイソプレンの製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メチルブテンを含有する原料と、遷移金属から選択される少なくとも1種の金属を含む脱水素触媒と、の接触を、硫化水素の存在下で行うことにより、該メチルブテンの脱水素反応を行い、脱水素反応物(A)を得るイソプレン合成工程を有することを特徴とするイソプレンの製造方法。
【請求項2】
前記メチルブテンが、2-メチル-1-ブテン及び2-メチル-2-ブテンであることを特徴とする請求項1記載のイソプレンの製造方法。
【請求項3】
前記イソプレン合成工程における、前記メチルブテンに対する前記硫化水素の体積比(硫化水素/メチルブテン)が、0.1~3.0であることを特徴とする請求項1記載のイソプレンの製造方法。
【請求項4】
前記イソプレン合成工程における、前記脱水素反応の反応温度が500~700℃であることを特徴とする請求項1記載のイソプレンの製造方法。
【請求項5】
メチルブタンを含有する原料と、遷移金属から選択される少なくとも1種の金属を含む脱水素触媒と、の接触を、硫化水素の存在下で行うことにより、該メチルブタンの脱水素反応を行い、脱水素反応物(B)を得るメチルブテン合成工程と、
該脱水素反応物(B)から、メチルブテンを含有する回収処理物を分離し、メチルブテンを含有する回収処理物を得る分離工程と、
を有し、
該メチルブテンを含有する回収処理物を、前記イソプレン合成工程における前記メチルブテンを含有する原料として用いること、
を特徴とする請求項1記載のイソプレンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メチルブテンを脱水素することにより、イソプレンを製造するイソプレンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イソプレンは、工業的には合成ゴムの原料等に用いられている。イソプレンを製造する方法としては、エチレンクラッカーより排出されるC5留分から、イソプレンを抽出蒸留する方法が広く知られている。
【0003】
上記C5留分からイソプレンを回収した後の残渣には、2-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、3-メチル-1-ブテン等のメチルブテンが含まれており、メチルブテンは、脱水素すると、イソプレンになる化合物である。
【0004】
そこで、イソプレンの製造経路としては、上記C5留分からイソプレンを回収し、その残渣を得、得られる残渣に含まれるメチルブテンを原料に脱水素し、イソプレンを得る方法が考えられる。
【0005】
メチルブテンを脱水素してイソプレンを合成する方法としては、例えば、特許文献1に、イソアミレンを脱水素反応させることで、イソプレンを製造する方法であって、前記脱水素反応を、不活性ガス雰囲気下で、酸化亜鉛を主成分として含有する固体触媒を用いて行うイソプレンの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-151391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記特許文献1では、2-メチル-1-ブテン又は2-メチル-2-ブテンを脱水素することにより、イソプレンが得られているものの、より一層高い収率が求められる。
【0008】
従って、本発明の目的は、メチルブテンを原料に用いて、脱水素を行なうことにより、イソプレンを得るイソプレンの製造方法であり、イソプレンの収率が高いイソプレンの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、以下の本発明により解決される。
すなわち、本発明(1)は、メチルブテンを含有する原料と、遷移金属から選択される少なくとも1種の金属を含む脱水素触媒と、の接触を、硫化水素の存在下で行うことにより、該メチルブテンの脱水素反応を行い、脱水素反応物(A)を得るイソプレン合成工程を有することを特徴とするイソプレンの製造方法を提供するものである。
【0010】
また、本発明(2)は、前記メチルブテンが、2-メチル-1-ブテン及び2-メチル-2-ブテンであることを特徴とする(1)のイソプレンの製造方法を提供するものである。
【0011】
また、本発明(3)は、前記イソプレン合成工程における、前記メチルブテンに対する前記硫化水素の体積比(硫化水素/メチルブテン)が、0.1~3.0であることを特徴とする(1)のイソプレンの製造方法を提供するものである。
【0012】
また、本発明(4)は、前記イソプレン合成工程における、前記脱水素反応の反応温度が500~700℃であることを特徴とする(1)のイソプレンの製造方法を提供するものである。
【0013】
また、本発明(5)は、メチルブタンを含有する原料と、遷移金属から選択される少なくとも1種の金属を含む脱水素触媒と、の接触を、硫化水素の存在下で行うことにより、該メチルブタンの脱水素反応を行い、脱水素反応物(B)を得るメチルブテン合成工程と、
該脱水素反応物(B)から、メチルブテンを含有する回収処理物を分離し、メチルブテンを含有する回収処理物を得る分離工程と、
を有し、
該メチルブテンを含有する回収処理物を、前記イソプレン合成工程における前記メチルブテンを含有する原料として用いること、
を特徴とする(1)のイソプレンの製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、メチルブテンを原料に用いて、脱水素を行なうことにより、イソプレンを得るイソプレンの製造方法であり、イソプレンの収率が高いイソプレンの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のイソプレンの製造方法の形態例の模式的なフロー図である。
図2】実施例及び比較例の結果を示すグラフである。
図3】実施例及び比較例の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のイソプレンの製造方法は、メチルブテンを含有する原料と、遷移金属から選択される少なくとも1種の金属を含む脱水素触媒と、の接触を、硫化水素の存在下で行うことにより、該メチルブテンの脱水素反応を行い、脱水素反応物(A)を得るイソプレン合成工程を有することを特徴とするイソプレンの製造方法である。
【0017】
本発明のイソプレンの製造方法に係るイソプレン合成工程は、メチルブテンを含有する原料を用いて、脱水素反応を行なうことにより、イソプレンを生成させ、イソプレンを含有する脱水素反応物(A)を得る工程である。
【0018】
イソプレン合成工程に係るメチルブテンを含有する原料は、主として、メチルブテンを含有する。メチルブテンを含有する原料に含有されるメチルブテンは、2-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、3-メチル-1-ブテンである。そして、メチルブテンを含有する原料に含有されているメチルブテンは、2-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン及び3-メチル-1-ブテンのうちのいずれ1種又は2種以上であり、2-メチル-1-ブテン、あるいは、2-メチル-2-ブテン、あるいは、2-メチル-1-ブテン及び2-メチル-2-ブテンが好ましく、2-メチル-1-ブテン及び2-メチル-2-ブテンがより好ましい。
【0019】
メチルブテンを含有する原料には、本発明の効果を損なわないのであれば、メチルブテン以外の化合物が含まれていてもよい。メチルブテンを含有する原料に含まれるメチルブテン以外の化合物としては、ブタン、ブテン、プロパン、プロピレンなどのC4以下の軽質炭化水素等が挙げられる。
【0020】
メチルブテンを含有する原料中のメチルブテンの含有量は、好ましくは70.0質量%以上、より好ましくは95.0質量%以上、特に好ましくは100.0質量%である。なお、メチルブテンを含有する原料が2種以上のメチルブテンを含有する場合、上記メチルブテンの含有量は、2種以上のメチルブテンの合計含有量である。
【0021】
メチルブテンを含有する原料は、如何なる方法で製造されたものであってもよく、例えば、後述するメチルブタンを原料に用い、脱水素反応を行うメチルブテン合成工程と、分離工程、例えば、蒸留及び抽出蒸留を行う分離工程と、を行い得られるメチルブテンを含有する回収処理物が挙げられる。また、メチルブテンを含有する原料の一部として用いられるメチルブテンを含有する原料として、例えば、イソプレン合成工程を行い得られる脱水素反応物(A)に対し、分離工程、例えば、蒸留及び抽出蒸留を行う分離工程を行い得られるメチルブテンを含有する回収処理物が挙げられる。
【0022】
イソプレン合成工程に係る脱水素触媒は、遷移金属から選択される少なくとも1種の金属を含む脱水素触媒である。脱水素触媒に含有される遷移金属としては、Fe、Co、Ni、Mn、Cu、Mo、Cr、V、Ti、Ru、Pd等が挙げられ、これらのうち、触媒寿命が高くなる点で、Fe、Ni、Co、が好ましく、Feが特に好ましい。
【0023】
脱水素触媒に含有されている遷移金属は、通常、担体に担持されている。そのような遷移金属の担体としては、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、セリア(CeO)、マグネシア(MgO)、チタニア(TiO)およびこれらの酸化物と硫化水素との複合硫化物等が挙げられ、これらのうち、安定性が高く、生成物の選択性が高くなる点で、シリカ、アルミナが好ましい。
【0024】
脱水素触媒中の遷移金属の担持量は、脱水素触媒全質量に対し、原子換算で、好ましくは0.5~70質量%、特に好ましくは3~20質量%である。脱水素触媒中の遷移金属の担持量が上記範囲にあることにより、遷移金属の活性種が形成され易くなる。なお、脱水素触媒全質量に対する脱水素触媒中の遷移金属の酸化物換算の担持量(%)は、「(脱水素触媒中に存在する遷移金属を酸化物換算した質量/脱水素触媒全質量)×100」の式により算出される値である。
【0025】
そして、イソプレン合成工程では、メチルブテンを含有する原料と、脱水素触媒と、の接触を、硫化水素の存在下で行うことにより、メチルブテンを含有する原料中のメチルブテンの脱水素反応を行い、イソプレン(2-メチル-1,3-ブタジエン)を得る。イソプレン合成工程において、メチルブテンを含有する原料と、脱水素触媒と、の接触を、硫化水素の存在下で行うことにより、イソプレンの収率が高くなり、また、触媒の寿命を長くすることができる。一方、イソプレン合成工程において、メチルブテンを含有する原料と、脱水素触媒と、の接触の際に、硫化水素が存在しないと、反応が十分に進まず、イソプレン収率が著しく低下する。
【0026】
イソプレン合成工程において、メチルブテンを含有する原料と、脱水素触媒と、の接触を、硫化水素の存在下で行う方法としては、特に制限されず、例えば、(i)連続流通式の反応塔に脱水素触媒を充填しておき、反応塔の一端側に、メチルブテンを含有する原料をキャリアーと共に供給しつつ、同時に硫化水素を供給し、反応塔内の一端側で、メチルブテンを含有する原料と硫化水素を混合し、混合物を脱水素触媒に接触させ、反応塔の他端側から反応物を排出する方法、(ii)連続流通式の反応塔に脱水素触媒を充填しておき、反応塔の一端側に、メチルブテンを含有する原料の供給ラインを繋ぎ、メチルブテンを含有する原料の供給ラインで、メチルブテンを含有する原料をキャリアーと共に供給しつつ、メチルブテンを含有する原料の供給ラインの途中に硫化水素を供給して、メチルブテンを含有する原料の供給ライン内でメチルブテンを含有する原料と硫化水素を混合し、混合物を反応塔の一端側に供給して、混合物を脱水素触媒に接触させ、反応塔の他端側から反応物を排出する方法が挙げられる。
【0027】
イソプレン合成工程において、メチルブテンに対する硫化水素の体積比(硫化水素/メチルブテン)は、好ましくは0.1~3.0、より好ましくは0.2~3.0、さらに好ましくは0.6~3.0、特に好ましくは0.8~3.0である。メチルブテンに対する硫化水素の体積比を0.1以上とすることにより、イソプレン収率を高めることが可能となり、さらに0.6以上とすることで、触媒寿命を向上させることが可能となる。一方、メチルブテンに対する硫化水素の体積比が上記上限値を超えてイソプレン収率がより向上することはないため、上記上限値以下とすることが好ましい。なお、メチルブテンを含有する原料が2種以上のメチルブテンを含有する場合、上記メチルブテンの体積は、2種以上のメチルブテンの合計体積である。
【0028】
イソプレン合成工程において、メチルブテンを含有する原料の供給速度は、反応装置の大きさや、供給速度以外の反応条件と関係等により、適宜選択される。
【0029】
イソプレン合成工程において、脱水素反応の反応温度は、イソプレンの平衡収率の点で、好ましくは500℃~700℃、特に好ましくは550℃~700℃である。
【0030】
本発明のイソプレンの製造方法では、イソプレン合成工程において、メチルブテンを含有する原料中のメチルブテンの脱水素反応により、脱水素反応物(A)を得る。また、イソプレン合成工程では、目的生成物であるイソプレンが生成すると共に、分解生成物である炭素数が1~4の炭化水素と、二重結合の位置が転移した異性化物と、3-メチルチオフェン等の重質物と、が副生する。そのため、イソプレン合成工程を行い得られる脱水素反応物(A)は、イソプレンと、未反応物及び二重結合が転移した異性化物のメチルブテンと、メチルブテンの分解生成物と、3-メチルチオフェン等の重質物と、を含有する。
【0031】
脱水素反応物(A)中、イソプレンの含有量は、特に制限されないが、例えば、10.0~70.0質量%である。また、脱水素反応物(A)中、メチルブテンの含有量は、特に制限されないが、例えば、10.0~70.0質量%である。なお、脱水素反応物(A)中、メチルブテンには、未反応原料のメチルブテンと、原料メチルブテンの異性化物と、が含まれる。また、脱水素反応物(A)中、炭素数1~4の分解生成物の合計含有量は、特に制限されないが、例えば、0.0~50.0質量%である。また、脱水素反応物(A)中、沸点50℃以上の重質物の合計含有量は、特に制限されないが、例えば、0.0~50.0質量%である。
【0032】
そして、脱水素反応物(A)から、イソプレンを分離することにより、目的生成物であるイソプレンを得る。脱水素反応物(A)から、イソプレンを分離する方法としては、例えば、先ず、脱水素反応物(A)を蒸留することにより、炭素数1~4の炭化水素である分解生成物と、重質物と、を除去し、次いで、得られる蒸留処理物を、抽出溶剤を用いて、抽出蒸留処理により、イソプレンを分離する方法が挙げられる。脱水素反応物(A)の蒸留では、好ましくは沸点が20℃以下の分解生成物と、沸点が50℃以上の重質物と、を除去する。蒸留は、常圧蒸留であっても、減圧蒸留であってもよい。また、蒸留処理物の抽出蒸留処理では、抽出溶剤として、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、フルフラール等を用いことができる。また、抽出蒸留条件としては、一般的な抽出蒸留の条件を適宜選択することができる。抽出蒸留処理において、脱水素反応物(A)の蒸留処理物に対し、抽出蒸留処理を行なう方法としては、例えば、「ブタジエンおよびイソプレンの抽出技術,有機合成化学,第38巻第8号,第610~617頁(1980年)」に記載されている方法が挙げられる。また、脱水素反応物(A)から、イソプレンを分離する方法としては、上記の蒸留及び抽出蒸留を組み合わせる方法に限定されず、適宜の方法を選択することができる。
【0033】
本発明のイソプレンの製造方法におけるイソプレン合成工程では、メチルブテンの脱水素反応を、硫化水素の存在下で、メチルブテンとイソプレン合成工程に係る脱水素触媒との接触を行なうことにより、好ましくはメチルブテンに対する硫化水素の体積比(硫化水素/メチルブテン)を0.1~3.0、より好ましくは0.2~3.0、さらに好ましくは0.6~3.0、特に好ましくは0.8~3.0とすること及び/又は脱水素反応の反応温度を、500~700℃、より好ましくは550~700℃とすることにより、イソプレンの収率が高くなる。
【0034】
また、本発明のイソプレンの製造方法におけるイソプレン合成工程では、メチルブテンの脱水素反応を、硫化水素の存在下で、メチルブテンとイソプレン合成工程に係る脱水素触媒との接触を行なうことにより、好ましくはメチルブテンに対する硫化水素の体積比(硫化水素/メチルブテン)を0.1~3.0、より好ましくは0.2~3.0、さらに好ましくは0.6~3.0、特に好ましくは0.8~3.0とすること及び/又は脱水素反応の反応温度を、500~700℃、より好ましくは550~700℃とすることにより、原料のメチルブテンの分離率が低くなるので、イソプレンを含有する脱水素反応物(A)から回収されるメチルブテンが多くなる。そのため、本発明のイソプレンの製造方法では、回収したメチルブテンをイソプレン合成工程の原料として用いることにより、原料ロスを少なくすることができる。
【0035】
本発明のイソプレンの製造方法としては、メチルブタンを含有する原料と、遷移金属から選択される少なくとも1種の金属を含む脱水素触媒と、の接触を、硫化水素の存在下で行うことにより、該メチルブタンの脱水素反応を行い、脱水素反応物(B)を得るメチルブテン合成工程と、
該脱水素反応物(B)から、メチルブテンを含有する回収処理物を分離し、メチルブテンを含有する回収処理物を得る分離工程と、
を有し、
該メチルブテンを含有する回収処理物を、前記イソプレン合成工程における前記メチルブテンを含有する原料として用いる形態(以下、本発明の第一の形態のイソプレンの製造方法とも記載する。)が挙げられる。
【0036】
本発明の第一の形態のイソプレンの製造方法に係るメチルブテン合成工程は、メチルブタンを含有する原料と、遷移金属から選択される少なくとも1種の金属を含む脱水素触媒と、の接触を、硫化水素の存在下で行うことにより、該メチルブタンの脱水素反応を行い、脱水素反応物(B)を得る工程である。
【0037】
メチルブテン合成工程に係るメチルブタンを含有する原料は、主として、メチルブタン(2-メチルブタン)を含有する。メチルブタンは、脱水素触媒と接触される原料であり、脱水素化反応により、脱水素される対象である。
【0038】
メチルブタンを含有する原料には、本発明の効果を損なわないのであれば、メチルブタン以外の化合物が含まれていてもよい。メチルブタンを含有する原料に含まれるメチルブタン以外の化合物としては、ブタン、ブテン、プロパン、プロピレンなどのC4以下の軽質炭化水素等が挙げられる。
【0039】
メチルブタンの純度は、特に制限されないが、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。
【0040】
メチルブテン合成工程に係る脱水素触媒は、遷移金属から選択される少なくとも1種の金属を含む脱水素触媒である。脱水素触媒に含有される遷移金属としては、Fe、Co、Ni、Mn、Cu、Mo、Cr、V、Ti、Ru、Pd等が挙げられ、これらのうち、触媒寿命が高くなる点で、Fe、Ni、Co、が好ましく、Feが特に好ましい。
【0041】
脱水素触媒に含有されている遷移金属は、通常、担体に担持されている。そのような遷移金属の担体としては、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、セリア(CeO)、マグネシア(MgO)、チタニア(TiO)およびこれらの酸化物と硫化水素との複合硫化物等が挙げられ、これらのうち、安定性が高く、生成物の選択性が高くなる点で、シリカ、アルミナが好ましい。
【0042】
脱水素触媒中の遷移金属の担持量は、脱水素触媒全質量に対し、原子換算で、好ましくは0.5~70質量%、特に好ましくは3~20質量%である。脱水素触媒中の遷移金属の担持量が上記範囲にあることにより、遷移金属の活性種が形成され易くなる。なお、脱水素触媒全質量に対する脱水素触媒中の遷移金属の酸化物換算の担持量(%)は、「(脱水素触媒中に存在する遷移金属を酸化物換算した質量/脱水素触媒全質量)×100」の式により算出される値である。
【0043】
そして、メチルブテン合成工程では、メチルブタンと、脱水素触媒と、の接触を、硫化水素の存在下で行うことにより、メチルブタンの脱水素化反応を行い、メチルブテン及びイソプレンを得る。メチルブテン合成工程において、メチルブタンと、脱水素触媒と、の接触を、硫化水素の存在下で行うことにより、触媒の寿命を長くすることができる。一方、メチルブテン合成工程において、メチルブタンと、脱水素触媒と、の接触の際に、硫化水素が存在しないと、反応が十分に進まず、イソプレン収率が著しく低下する。
【0044】
メチルブテン合成工程において、メチルブタンを含有する原料と、脱水素触媒と、の接触を、硫化水素の存在下で行う方法としては、特に制限されず、例えば、(i)連続流通式の反応塔に脱水素触媒を充填しておき、反応塔の一端側に、メチルブタンを含有する原料をキャリアーと共に供給しつつ、同時に硫化水素を供給し、反応塔内の一端側で、メチルブタンを含有する原料と硫化水素を混合し、混合物を脱水素触媒に接触させ、反応塔の他端側から反応物を排出する方法、(ii)連続流通式の反応塔に脱水素触媒を充填しておき、反応塔の一端側に、メチルブタンを含有する原料の供給ラインを繋ぎ、メチルブタンを含有する原料の供給ラインで、メチルブタンをキャリアーと共に供給しつつ、メチルブタンを含有する原料の供給ラインの途中に硫化水素を供給して、メチルブタンを含有する原料の供給ライン内でメチルブタンを含有する原料と硫化水素を混合し、混合物を反応塔の一端側に供給して、混合物を脱水素触媒に接触させ、反応塔の他端側から反応物を排出する方法が挙げられる。
【0045】
メチルブテン合成工程において、メチルブタンに対する硫化水素の体積比(硫化水素/メチルブタン)は、好ましくは0.2~3.0である。メチルブタンに対する硫化水素の体積比が上記範囲にあることにより、転化率及びイソプレン収率をより高められる。
【0046】
メチルブテン合成工程において、メチルブタンに対する硫化水素の体積比(硫化水素/メチルブタン)は、より好ましくは1.0~3.0である。メチルブタンに対する硫化水素の体積比が上記範囲にあることにより、転化率及びイソプレン収率をより高められる。
【0047】
メチルブテン合成工程において、メチルブタンを含有する原料の供給速度は、好ましくは0.1~50mL/分、特に好ましくは1~10mL/分である。
【0048】
メチルブテン合成工程において、脱水素反応の反応温度は、熱力学的な平衡の点で、好ましくは500~700℃、特に好ましくは500~650℃である。
【0049】
メチルブテン合成工程において、脱水素反応物(B)中のメチルブテンの選択率が高くなる点で、脱水素反応の反応温度が500~550℃であることが好ましい。
【0050】
メチルブテン合成工程において、メチルブタンを含有する原料中のメチルブタンの脱水素反応により、脱水素反応物(B)を得る。また、メチルブテン合成工程では、目的とするメチルブテンと、更に脱水素されたイソプレンが生成すると共に、分解生成物である炭素数が1~4の炭化水素と、3-メチルチオフェン等の重質物と、が副生する。そのため、メチルブテン合成工程を行い得られる脱水素反応物(B)は、メチルブテンと、イソプレンと、メチルブタンの分解生成物と、3-メチルチオフェン等の重質物と、を含有する。
【0051】
脱水素反応物(B)中、メチルブテンの含有量は、特に制限されないが、例えば、10.0~70.0質量%である。また、脱水素反応物(B)中、イソプレンの含有量は、特に制限されないが、例えば、10.0~70.0質量%である。また、脱水素反応物(B)中、炭素数1~4の分解生成物の合計含有量は、特に制限されないが、例えば、0.0~50.0質量%である。また、脱水素反応物(B)中、沸点50℃以上の重質物の合計含有量は、特に制限されないが、例えば、0.0~50.0質量%である。
【0052】
本発明の第一の形態のイソプレンの製造方法に係る分離工程は、脱水素反応物(B)からメチルブテンを含有する回収処理物を分離し、メチルブテンを含有する回収処理物を得る工程である。
【0053】
分離工程において、脱水素反応物(B)からメチルブテンを含有する回収処理物を分離する方法は、特に制限されず、例えば、蒸留及び抽出蒸留を組み合わせる方法挙げられる。先ず、脱水素反応物(B)を蒸留することにより、炭素数1~4の炭化水素である分解生成物と、重質物と、を除去し、次いで、得られる蒸留処理物を、抽出溶剤を用いて、抽出蒸留処理により、メチルブテンを含有する回収処理物を分離する方法が挙げられる。脱水素反応物(B)の蒸留では、炭素数1~4の飽和又は不飽和炭化水素等の沸点が20℃以下の分解生成物と、3-メチルチオフェン等の沸点が50℃以上の重質物、を除去する。蒸留は、常圧蒸留であっても、減圧蒸留であってもよい。また、蒸留処理物の抽出蒸留処理では、抽出溶剤として、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、フルフラール等を用いことができる。また、抽出蒸留条件としては、一般的な抽出蒸留の条件を適宜選択することができる。抽出蒸留処理において、脱水素反応物(B)の蒸留処理物に対し、抽出蒸留処理を行なう方法としては、例えば、「ブタジエンおよびイソプレンの抽出技術,有機合成化学,第38巻第8号,第610~617頁(1980年)」に記載されている方法が挙げられる。また、分離工程において、脱水素反応物(B)から、メチルブテンを含有する回収処理物を分離する方法としては、上記の蒸留及び抽出蒸留を組み合わせる方法に限定されず、適宜の方法を選択することができる。
【0054】
そして、分離工程を行なうことにより、メチルブテンを含有する回収処理物を得る。メチルブテンを含有する回収処理物は、メチルブテンを主として含有する。
【0055】
本発明の第一の形態のイソプレンの製造方法では、分離工程を行ない得られるメチルブテンを含有する回収処理物を、イソプレン合成工程におけるメチルブテンを含有する原料として用い、イソプレン合成工程を行なう。
【0056】
つまり、本発明の第一の形態のイソプレンの製造方法では、メチルブタンを原料に用い、メチルブタンを脱水素してメチルブテンに変換し、次いで、得られるメチルブテンを脱水素してイソプレンに変換し、最終生成物として、イソプレンを得る。
【0057】
なお、分離工程を行うことにより、脱水素反応物(B)中のイソプレンを分離することができるので、本発明の第一の形態のイソプレンの製造方法では、分離工程でも、イソプレンを得ることできる。
【0058】
本発明のイソプレンの製造方法では、前記イソプレン合成工程を行い得られる前記脱水素反応物(A)から、メチルブテンを含有する回収処理物を分離し、得られるメチルブテンを含有する回収処理物を、前記イソプレン合成工程における前記メチルブテンを含有する原料として用いることができる。
【0059】
前記イソプレン合成工程を行い得られる前記脱水素反応物(A)から、メチルブテンを含有する回収処理物を分離することにより、メチルブテンを含有する回収処理物を得る方法としては、例えば、先ず、脱水素反応物(A)を蒸留することにより、炭素数1~4の炭化水素である分解生成物と、重質物と、を除去し、次いで、得られる蒸留処理物を、抽出溶剤を用いて、抽出蒸留処理により、メチルブテンを含有する回収処理物を分離する方法が挙げられる。脱水素反応物(A)の蒸留では、好ましくは沸点が20℃以下の分解生成物と、沸点が50℃以上の重質物と、を除去する。蒸留は、常圧蒸留であっても、減圧蒸留であってもよい。また、蒸留処理物の抽出蒸留処理では、抽出溶剤として、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、フルフラール等を用いことができる。また、抽出蒸留条件としては、一般的な抽出蒸留の条件を適宜選択することができる。抽出蒸留処理において、脱水素反応物(A)の蒸留処理物に対し、抽出蒸留処理を行なう方法としては、例えば、「ブタジエンおよびイソプレンの抽出技術,有機合成化学,第38巻第8号,第610~617頁(1980年)」に記載されている方法が挙げられる。また、脱水素反応物(A)から、メチルブテンを含有する回収処理物を分離する方法としては、上記の蒸留及び抽出蒸留を組み合わせる方法に限定されず、適宜の方法を選択することができる。なお、脱水素反応物(A)からメチルブテンを含有する回収処理物を分離する際に、脱水素反応物(A)中のイソプレンを分離し、イソプレンを得ることができる。
【0060】
脱水素反応物(A)から分離されたメチルブテンを含有する回収処理物は、メチルブテンを主として含有する。
【0061】
本発明のイソプレンの製造方法の形態例を、図1に示す。図1は、本発明のイソプレンの製造方法の形態例の模式的なフロー図である。
図1中、イソプレン製造システム20は、脱水素反応装置(B)21と、蒸留塔(B)22と、抽出蒸留装置(B)23と、脱水素反応装置(A)24と、蒸留塔(A)25と、抽出蒸留装置(A)26と、を有する。イソプレン製造システム20では、先ず、脱水反応装置(B)21に、メチルブタンを含有する原料1及び硫化水素31を供給して、脱水反応装置(B)21内で、硫化水素31の存在下、メチルブタンを含有する原料1と、脱水素触媒と、の接触を行い、メチルブタンの脱水素反応を行い、脱水素反応物(B)2を得る。次いで、脱水素反応物(B)2を、蒸留塔(B)22に供給して、脱水素反応物(B)2の蒸留を行い、脱水素反応物(B)2から、分解生成物である軽質分4と、重質分5とを、分離して、蒸留処理物(B)3を得る。次いで、蒸留処理物(B)3を、抽出蒸留装置(B)23に供給し、抽出溶剤33を用いて、抽出蒸留を行い、蒸留処理物(B)3からイソプレン13を分離し、イソプレン13を得ると共に、抽出蒸留処理物(B)6を得る。
次いで、脱水反応装置(A)24に、メチルブテンを含有する原料として、抽出蒸留処理物(B)6と、硫化水素32を供給して、脱水反応装置(A)24内で、硫化水素32の存在下、抽出蒸留処理物(B)6と、脱水素触媒と、の接触を行い、抽出蒸留処理物(B)6に含まれているメチルブテンの脱水素反応を行い、脱水素反応物(A)7を得る。次いで、脱水素反応物(A)7を、蒸留塔(A)25に供給して、脱水素反応物(A)7の蒸留を行い、脱水素反応物(A)7から、分解生成物である軽質分9と、重質分10とを、分離して、蒸留処理物(A)8を得る。次いで、蒸留処理物(A)8を、抽出装置(A)26に供給し、抽出溶剤34を用いて、抽出蒸留を行い、蒸留処理物(A)8からイソプレン12を抽出して分離し、イソプレン12を得ると共に、抽出蒸留処理物(A)11を得る。次いで、得られた抽出蒸留処理物(A)11を、メチルブテンを含有する原料の一部として、脱水素装置(A)24に供給する。
【0062】
以下に実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
【実施例0063】
<脱水素触媒の調製>
触媒担体であるシリカ2.0gを蒸留水30.0mLで浸漬させ、室温下にて12時間真空脱気した。その後、当該脱水素触媒全重量に対し、10質量%にあたる硝酸鉄(III)水溶液(蒸留水10.0mLに、硝酸鉄1.6236gを溶解させた水溶液)を加えて、さらに2時間攪拌した。得られた懸濁液を80℃、攪拌下にて水分を蒸発し、流通式焼成炉にて500℃で1時間の焼成処理を行なった。得られた触媒を、圧縮成型器でペレット状に加工した後に粉砕し、粒径が250~500μmとなるように整粒して脱水素触媒Aを得た。
【0064】
<イソプレン合成工程>
(実施例1)
内径8mm×長さ300mmのリアクターに、上記で得た脱水素触媒A(触媒量:500mg)を充填した。
次いで、リアクターに、キャリアーガス(ヘリウムガス)を供給し、600℃で加熱した。その後、水素/硫化水素/ヘリウム体積比を2.5/2.5/45.0とし、合計供給量50mL/分で30分供給し、硫化処理を施した。
次いで、リアクターに、2-メチル-2-ブテン、硫化水素及びキャリアーガス(ヘリウムガス)を、10.0/20.0/70.0の体積比で、合計供給量が50mL/分となるように供給し、リアクターから反応液を排出し、反応温度550℃で脱水素反応を行った。なお、硫化水素/2-メチル-2-ブテン体積比で2.0となる割合で、合計供給量が50mL/分となるように、硫化水素とキャリアーガスを流量調整した。
次いで、得られた反応液をガスクロマトグラフ(カラム:VZ-7(ジーエルサイエンス)、分析条件:GC-FID、INJ 35℃、COL 35℃、DET50℃、流量25mL/分)で分析し、反応時間60分における生成物の収率及び選択率を表1に示す。
【0065】
(比較例1)
原料をイソペンタンとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0066】
(実施例2)
原料を2-メチル-1-ブテンとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0067】
(実施例3)
反応時間260分とし、反応時間260分における生成物の収率及び選択率を求めたこと以外は、実施例1と同様に行った。
【0068】
(実施例4)
2-メチル-2-ブテン、硫化水素及びキャリアーガス(ヘリウムガス)を、10.0/15.0/75.0の体積比とした以外は、実施例3と同様に行った。
【0069】
(実施例5)
2-メチル-2-ブテン、硫化水素及びキャリアーガス(ヘリウムガス)を、10.0/10.0/80.0の体積比とした以外は、実施例3と同様に行った。
【0070】
(実施例6)
2-メチル-2-ブテン、硫化水素及びキャリアーガス(ヘリウムガス)を、10.0/5.0/85.0の体積比とした以外は、実施例3と同様に行った。
【0071】
(比較例2)
2-メチル-2-ブテン、硫化水素及びキャリアーガス(ヘリウムガス)を、10.0/0.0/90.0の体積比とした以外は、実施例3と同様に行った。すなわち、硫化水素を供給せずに反応を行なった。
【0072】
(実施例7)
<脱水素触媒の調製>
触媒担体であるアルミナ2.0gを蒸留水30.0mLで浸漬させ、室温下にて12時間真空脱気した。その後、当該脱水素触媒全重量に対し、10質量%にあたるCr(NO・9HO水溶液(蒸留水10.0mLに、1.7102gを溶解させた水溶液)を加えて、さらに2時間攪拌した。得られた懸濁液を80℃、攪拌下にて水分を蒸発し、流通式焼成炉にて500℃で1時間の焼成処理を行なった。得られた触媒を、圧縮成型器でペレット状に加工した後に粉砕し、粒径が250~500μmとなるように整粒して脱水素触媒Bを得た。
<脱水素反応>
脱水素触媒Aに代えて脱水素触媒Bとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0073】
(実施例8)
<脱水素触媒の調製>
実施例7と同様にして、脱水素触媒Bを得た。
<脱水素反応>
脱水素触媒Aに代えて脱水素触媒Bとした以外は、実施例3と同様に行った。
【0074】
(比較例3)
リアクターに、2-メチル-2-ブテン、硫化水素及びキャリアーガス(ヘリウムガス)を、10.0/0.0/90.0の体積比で、合計供給量が50mL/分となるように供給すること以外は、実施例7と同様に行った。
つまり、比較例3では、硫化水素を供給せずに、脱水素反応を行った。
【0075】
(比較例4)
リアクターに、2-メチル-2-ブテン、硫化水素及びキャリアーガス(ヘリウムガス)を、10.0/0.0/90.0の体積比で、合計供給量が50mL/分となるように供給すること以外は、実施例8と同様に行った。
つまり、比較例4では、硫化水素を供給せずに、脱水素反応を行った。
【0076】
上記結果を、表1~表3及び図2図3に示す。軽質分は炭素数1~4の飽和又は不飽和炭化水素のなどの沸点が20℃以下の分解生成物であり、重質分は3-メチルチオフェンなどの沸点が50℃以上の重質物である。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
図1
図2
図3