(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118144
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】コネクタ、及び車載用制御システム
(51)【国際特許分類】
H01R 13/66 20060101AFI20240823BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
H01R13/66
B60R16/02 621J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024407
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本山 誠
(72)【発明者】
【氏名】後呂 翔太
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FB01
5E021FB20
5E021GA10
5E021MA02
5E021MB20
(57)【要約】
【課題】電気機器の種類を識別するための情報を通知するECUを設けることなく、接続対象に接続された電気機器の種類を接続対象側で識別させる構成を実現しやすくする。
【解決手段】コネクタ6は、電気機器90を配線基板1に接続するコネクタである。コネクタ6は、第1抵抗部21を含む出力回路7を有する。出力回路7は、コネクタ6が配線基板1に接続された状態において、第1抵抗部21の抵抗値に応じた抵抗値信号を配線基板1側に出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器を配線基板に接続するコネクタであって、
第1抵抗部を含む出力回路を有し、
前記出力回路は、前記コネクタが前記配線基板に接続された状態において、前記第1抵抗部の抵抗値に応じた抵抗値信号を前記配線基板側に出力する
コネクタ。
【請求項2】
前記出力回路は、前記配線基板側から指示信号が入力されたことに応じて、前記抵抗値信号を前記配線基板側に出力する
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記出力回路は、前記第1抵抗部に対して直列に接続される第2抵抗部を含み、所定電圧を前記第1抵抗部と前記第2抵抗部とで分圧した電圧を前記抵抗値信号として出力する
請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記コネクタは、複数の前記第1抵抗部を有し、
前記出力回路は、前記コネクタが前記配線基板に接続された状態において、各々の前記第1抵抗部の抵抗値に応じた前記抵抗値信号を出力する
請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタと、
配線基板と、
前記配線基板に設置される制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記出力回路から出力された抵抗値信号に対応する制御を行う
車載用制御システム。
【請求項6】
前記コネクタは、複数の前記第1抵抗部を有し、
前記出力回路は、前記コネクタが前記配線基板に接続された状態において、各々の前記第1抵抗部の抵抗値に応じた前記抵抗値信号を出力し、
前記制御回路は、各々の前記抵抗値信号から特定される抵抗値情報の組み合わせに応じた制御を行う
請求項5に記載の車載用制御システム。
【請求項7】
前記配線基板に接続される前記コネクタと、前記制御回路との間に設けられる静電保護回路を備える
請求項5に記載の車載用制御システム。
【請求項8】
前記配線基板に設置され、前記コネクタが接続される基板側コネクタを備え、
前記基板側コネクタは、第1基板側端子と、第2基板側端子と、前記制御回路が前記電気機器を制御する信号又は前記電気機器から前記制御回路に出力される信号が印加される第3基板側端子と、を有し、
前記コネクタは、前記第1基板側端子に接続される第1端子と、前記第2基板側端子に接続される第2端子と、前記第3基板側端子に接続される第3端子と、を有し、
前記出力回路は、前記第1端子から指示信号が入力されたことに応じて、前記第2端子から前記抵抗値信号を出力する
請求項5に記載の車載用制御システム。
【請求項9】
前記基板側コネクタは、複数の前記第1基板側端子と、各々の前記第1基板側端子に対応する第2基板側端子と、複数の前記第3基板側端子と、各々の前記第1基板側端子に対応する第1ポートと、各々の前記第2基板側端子に対応する第2ポートと、各々の前記第3基板側端子に対応する第3ポートと、を有し、
前記コネクタは、前記第1端子を含む第1嵌合部と、前記第2端子を含む第2嵌合部と、前記第3端子を含む第3嵌合部と、を有し、
前記第2ポート及び前記第3ポートは、前記第1嵌合部、前記第2嵌合部、及び前記第3嵌合部のうち前記第2嵌合部及び前記第3嵌合部のみが嵌合可能であり、
前記第1ポートは、前記第1嵌合部、前記第2嵌合部、及び前記第3嵌合部のいずれも嵌合可能である
請求項8に記載の車載用制御システム。
【請求項10】
前記基板側コネクタは、複数の前記第1基板側端子と、各々の前記第1基板側端子に対応する第2基板側端子と、を有し、
前記制御回路は、
前記第1基板側端子に対して前記指示信号を入力して前記第1基板側端子に対応する第2基板側端子から出力される前記抵抗値信号を受信する検知処理を行うものであり、
各々の前記第1基板側端子に対して前記検知処理を予め定められた順序で行い、
前記抵抗値信号から前記コネクタの種類を特定し、特定した前記コネクタが別の前記第1基板側端子に接続されていると判定した場合に、前記別の第1基板側端子に対する前記検知処理を省略する
請求項8に記載の車載用制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ、及び車載用制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用電源制御システムが開示されている。この車両用電源制御システムは、電源制御ボックスを備えている。この電源制御ボックスには、ワイヤハーネスを介して仕様Aの電装装置と仕様Bの電装装置のいずれかが接続される。電源制御ボックスには、不揮発性メモリと、電源制御部とが搭載される。不揮発性メモリには、両方の電装装置の仕様に対応したカスタマイズ情報が記憶されている。電源制御部は、接続された電装装置の仕様に対応したカスタマイズ情報を参照し、その仕様に応じた制御を行う。
【0003】
この技術では、電源制御部が、電源制御ボックスに接続された電装装置の仕様を識別する必要がある。特許文献1では、一例として以下の構成が示されている。電装装置の中には、ECUが搭載される。このECUは、電装装置が電源制御ボックスに接続されたときに、電源制御ボックスに接続され、電装装置の仕様を識別するための情報を電源制御部に通知する。これにより、電源制御部は、電装装置が電源制御ボックスに接続されたときに、電装装置の仕様を自動的に識別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した方法によって識別する場合、電装装置の仕様を識別するための情報を通知するECUが必要となる。
【0006】
本開示は、電気機器の種類を識別するための情報を通知するECUを設けることなく、接続対象に接続された電気機器の種類を接続対象側で識別させる構成を実現しやすい技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のコネクタは、
電気機器を配線基板に接続するコネクタであって、
第1抵抗部を含む出力回路を有し、
前記出力回路は、前記コネクタが前記配線基板に接続された状態において、前記第1抵抗部の抵抗値に応じた抵抗値信号を前記配線基板側に出力する。
【0008】
本開示の車載用制御システムは、
本開示のコネクタと、
配線基板と、
前記配線基板に設置される制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記出力回路から出力された抵抗値信号に対応する制御を行う。
【発明の効果】
【0009】
本開示の技術によれば、電気機器の種類を識別するための情報を通知するECUを設けることなく、接続対象に接続された電気機器の種類を接続対象側で識別させる構成を実現しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態の車載用制御システムの電気的構成を概念的に示す説明図である。
【
図2】
図2は、制御回路、静電保護回路、及び出力回路の構成をより詳細にあらわす説明図である。
【
図3】
図3は、配線基板にコネクタが接続される第1の例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、配線基板にコネクタが接続される第2の例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の制御回路が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第1抵抗部の抵抗値と、電気機器と、ポートとの対応関係を示す説明図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態の車載用制御システムの電気的構成を概念的に示す説明図である。
【
図8】
図8は、複数の第1抵抗部の抵抗値情報の組み合わせと制御パターンとの対応関係を示す説明図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態の基板側コネクタの正面図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態の第1のコネクタの切断面を後方から見た図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態の第2のコネクタの切断面を後方から見た図である。
【
図12】
図12は、第3実施形態の第3のコネクタの切断面を後方から見た図である。
【
図13】
図13は、第3実施形態の第1のコネクタが配線基板に接続された状態の電気的構成を概念的に示す説明図である。
【
図14】
図14は、第3実施形態の第2のコネクタが配線基板に接続された状態の電気的構成を概念的に示す説明図である。
【
図15】
図15は、第3実施形態の第3のコネクタが配線基板に接続された状態の電気的構成を概念的に示す説明図である。
【
図16】
図16は、第3実施形態の制御回路が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、基板側コネクタに対するコネクタの接続位置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0012】
〔1〕電気機器を配線基板に接続するコネクタであって、
第1抵抗部を含む出力回路を有し、
前記出力回路は、前記コネクタが前記配線基板に接続された状態において、前記第1抵抗部の抵抗値に応じた抵抗値信号を前記配線基板側に出力する
コネクタ。
【0013】
上記コネクタは、第1抵抗部の抵抗値が電気機器の種類に対応するように構成されることで、電気機器の種類を識別するための情報を抵抗値信号として配線基板側に出力することができる。この構成によれば、配線基板側は、抵抗値信号に基づいて、電気機器の種類を識別することができる。つまり、上記コネクタは、電気機器の種類を識別するための情報を通知するECUを設けることなく、配線基板に接続された電気機器の種類を配線基板側で識別させる構成を実現しやすい。
【0014】
〔2〕前記出力回路は、前記配線基板側から指示信号が入力されたことに応じて、前記抵抗値信号を前記配線基板側に出力する
〔1〕に記載のコネクタ。
【0015】
上記コネクタは、出力回路に対して指示信号が入力されたことに応じて、出力回路から配線基板側に抵抗値信号を出力させることができる。
【0016】
〔3〕前記出力回路は、前記第1抵抗部に対して直列に接続される第2抵抗部を含み、所定電圧を前記第1抵抗部と前記第2抵抗部とで分圧した電圧を前記抵抗値信号として出力する
〔1〕又は〔2〕に記載のコネクタ。
【0017】
上記コネクタは、出力回路における抵抗値信号を出力するための構成を簡素化しやすい。
【0018】
〔4〕前記コネクタは、複数の前記第1抵抗部を有し、
前記出力回路は、前記コネクタが前記配線基板に接続された状態において、各々の前記第1抵抗部の抵抗値に応じた前記抵抗値信号を出力する
〔1〕から〔3〕のいずれか一つに記載のコネクタ。
【0019】
上記コネクタは、複数の第1抵抗部の抵抗値の組み合わせによって、電気機器の種類を識別するための情報を構成することができる。よって、上記コネクタは、多くの種類の電気機器を配線基板側で識別させる構成を実現しやすい。
【0020】
〔5〕〔1〕から〔4〕のいずれか一つに記載のコネクタと、
配線基板と、
前記配線基板に設置される制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記出力回路から出力された抵抗値信号に対応する制御を行う
車載用制御システム。
【0021】
上記車載用制御システムは、出力回路から出力された抵抗値信号に対応する制御を行うことができる。このため、上記車載用制御システムは、第1抵抗部の抵抗値が電気機器の種類に対応するように構成されることで、抵抗値信号が電気機器の種類に対応した信号となり、電気機器の種類に応じた制御を制御回路に行わせることができる。
【0022】
〔6〕前記コネクタは、複数の前記第1抵抗部を有し、
前記出力回路は、前記コネクタが前記配線基板に接続された状態において、各々の前記第1抵抗部の抵抗値に応じた前記抵抗値信号を出力し、
前記制御回路は、各々の前記抵抗値信号から特定される抵抗値情報の組み合わせに応じた制御を行う
〔5〕に記載の車載用制御システム。
【0023】
上記車載用制御システムは、複数の第1抵抗部の抵抗値の組み合わせが電気機器の種類に対応するように構成されることで、制御回路に多くの種類の電気機器に応じた制御を選択的に行わせることができる。
【0024】
〔7〕前記配線基板に接続される前記コネクタと、前記制御回路との間に設けられる静電保護回路を備える
〔5〕又は〔6〕に記載の車載用制御システム。
【0025】
上記車載用制御システムは、コネクタが配線基板に接続されたときに制御回路側に流れ込む電流を静電保護回路によって抑えることができる。
【0026】
〔8〕前記配線基板に設置され、前記コネクタが接続される基板側コネクタを備え、
前記基板側コネクタは、第1基板側端子と、第2基板側端子と、前記制御回路が前記電気機器を制御する信号又は前記電気機器から前記制御回路に出力される信号が印加される第3基板側端子と、を有し、
前記コネクタは、前記第1基板側端子に接続される第1端子と、前記第2基板側端子に接続される第2端子と、前記第3基板側端子に接続される第3端子と、を有し、
前記出力回路は、前記第1端子から指示信号が入力されたことに応じて、前記第2端子から前記抵抗値信号を出力する
〔5〕から〔7〕のいずれか一つに記載のコネクタ。
【0027】
上記車載用制御システムは、第3端子及び第3基板側端子を介して、制御回路による電気機器の制御、又は制御回路による電気機器からの信号の取得を実現することができる。更に、上記車載用制御システムは、第1端子及び第2端子を利用して、出力回路に指示信号が入力され、出力回路から抵抗値信号が出力される構成を実現することができる。
【0028】
〔9〕前記基板側コネクタは、複数の前記第1基板側端子と、各々の前記第1基板側端子に対応する第2基板側端子と、複数の前記第3基板側端子と、各々の前記第1基板側端子に対応する第1ポートと、各々の前記第2基板側端子に対応する第2ポートと、各々の前記第3基板側端子に対応する第3ポートと、を有し、
前記コネクタは、前記第1端子を含む第1嵌合部と、前記第2端子を含む第2嵌合部と、前記第3端子を含む第3嵌合部と、を有し、
前記第2ポート及び前記第3ポートは、前記第1嵌合部、前記第2嵌合部、及び前記第3嵌合部のうち前記第2嵌合部及び前記第3嵌合部のみが嵌合可能であり、
前記第1ポートは、前記第1嵌合部、前記第2嵌合部、及び前記第3嵌合部のいずれも嵌合可能である
〔8〕に記載の車載用制御システム。
【0029】
上記車載用制御システムは、第1嵌合部が誤って第2ポート又は第3ポートに嵌合することを防止することで、より確実に第1基板側端子に第1端子が接続されるようにすることができる。その上で、上記車載用制御システムは、第1ポートが、第1嵌合部、第2嵌合部、及び第3嵌合部のいずれも嵌合可能となっているため、複数の第1ポートのうち一部の第1ポートを、抵抗値信号の入力用、電気機器の制御用などに用いることができる。
【0030】
〔10〕前記基板側コネクタは、複数の前記第1基板側端子と、各々の前記第1基板側端子に対応する第2基板側端子と、を有し、
前記制御回路は、
前記第1基板側端子に対して前記指示信号を入力して前記第1基板側端子に対応する第2基板側端子から出力される前記抵抗値信号を受信する検知処理を行うものであり、
各々の前記第1基板側端子に対して前記検知処理を予め定められた順序で行い、
前記抵抗値信号から前記コネクタの種類を特定し、特定した前記コネクタが別の前記第1基板側端子に接続されていると判定した場合に、前記別の第1基板側端子に対する前記検知処理を省略する
〔8〕又は〔9〕に記載の車載用制御システム。
【0031】
上記車載用制御システムは、予め定められた順序で検知処理を行うことで、複数の第1基板側端子に対して同一のコネクタが接続された場合であっても、指示信号を出力すべき第1基板側端子を特定することができる。そして、上記車載用制御システムは、指示信号を出力する必要のない第1基板側端子に対しては、検知処理を省略することができる。
【0032】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0033】
<第1実施形態>
図1には、車載用制御システム100が開示されている。車載用制御システム100は、配線基板1と、制御回路2と、静電保護回路3と、基板側コネクタ5と、コネクタ6と、出力回路7と、中間回路8と、を備える。制御回路2、静電保護回路3、及び基板側コネクタ5は、配線基板1に設けられる。配線基板1、制御回路2、静電保護回路3、及び基板側コネクタ5は、ECU(Electronic Control Unit)を構成する。
【0034】
配線基板1は、樹脂等の絶縁性の基板本体に対して、導電性の配線パターンが印刷された構成をなす。
【0035】
制御回路2は、車両に搭載される負荷等の制御対象を制御する回路である。制御回路2は、例えばマイクロコンピュータを含んで構成される。制御回路2は、例えばMCU(Micro Controller Unit)として構成される。制御回路2は、CPU、メモリ等を含んで構成される。制御回路2は、配線基板1に実装される。制御回路2は、
図2に示すように、複数の入出力用のポートPを有しており、このポートPを介して外部の装置と信号を送受信する。
【0036】
静電保護回路3は、
図1に示すように、制御回路2と、基板側コネクタ5との間に設けられる。静電保護回路3は、基板側コネクタ5にコネクタ6が接続されたときにコネクタ6側から制御回路2側に流れる電流を抑える。静電保護回路3は、
図2に示すように、各ポートPに個別に対応して設けられる個別回路10を有する。個別回路10は、コネクタ6側から制御回路2のポートP側に流れる電流を抑える。個別回路10は、抵抗部11と、コンデンサ12と、を有する。抵抗部11の一端は、ポートPに電気的に接続される。抵抗部11の他端は、コネクタ6が配線基板1に接続された状態において、コンデンサ12の一端と、コネクタ6側の端子と、に電気的に接続される。コンデンサ12の他端は、グラウンド95に電気的に接続される。
【0037】
基板側コネクタ5は、
図1に示すように、配線基板1に実装される。基板側コネクタ5には、コネクタ6が接続される。
【0038】
コネクタ6は、
図1に示すように、電気機器90に接続される。電気機器90は、例えば、スイッチ、負荷、ECUなどの制御回路2の制御対象となる機器であってもよい。負荷は、例えば、LED、表示器、ブザー、スピーカ、モータ、などである。電気機器90は、例えば、制御回路2側に信号を出力する機器であってもよい。例えば、電気機器90は、センサ、監視対象のオンオフ状態に応じた信号を出力する状態監視装置などであってもよい。本実施形態では、電気機器90がスイッチ又はLEDである例が説明される。
【0039】
コネクタ6は、基板側コネクタ5を介して配線基板1に接続される。コネクタ6は、基板側コネクタ5に接続された状態において、基板側コネクタ5を介して電気機器90を配線基板1に接続する。コネクタ6は、出力回路7と、中間回路8と、を有する。出力回路7と中間回路8は、例えばコネクタ6内に設けられる基板上に設置される。
【0040】
出力回路7は、
図2に示すように、第1抵抗部21を含む。第1抵抗部21は、コネクタ6に接続される電気機器90の種類に応じた抵抗値に設定されている。出力回路7は、コネクタ6が配線基板1に接続された状態において、第1抵抗部21の抵抗値に応じた抵抗値信号を配線基板1側に出力する。出力回路7は、配線基板1側から指示信号が入力されたことに応じて、抵抗値信号を配線基板1側に出力する。指示信号は、本実施形態では、ローレベル信号である。出力回路7は、第1抵抗部21に対して直列に接続される第2抵抗部22を含む。出力回路7は、電源電圧Vccを第1抵抗部21と第2抵抗部22とで分圧した電圧を抵抗値信号として出力する。
【0041】
出力回路7は、検知用スイッチ23を含む。検知用スイッチ23は、
図2では、Nチャネル型のMOSFETであるが、Nチャネル型のMOSFET以外のスイッチであってもよい。検知用スイッチ23の高電位側の端子(具体的には、ドレイン)には、電源電圧Vccが印加される。検知用スイッチ23の低電位側の端子(具体的には、ソース)には、第2抵抗部22の一端が電気的に接続される。第2抵抗部22の他端には、第1抵抗部21の一端が電気的に接続される。第1抵抗部21の他端には、グラウンド95が電気的に接続される。
【0042】
出力回路7は、抵抗部24と、コンデンサ25と、を含む。抵抗部24の一端は、第1抵抗部21と第2抵抗部22の間の経路に電気的に接続される。抵抗部24の他端は、コンデンサ25の一端に電気的に接続される。コンデンサ25の他端は、グラウンド95に電気的に接続される。また、抵抗部24の他端は、静電保護回路3(より具体的には、個別回路10)を介して制御回路2におけるポートPに電気的に接続される。検知用スイッチ23は、入力部(具体的には、ゲート)にオン信号(具体的には、ハイレベル信号)が入力されたときにオン状態となり、入力部にオフ信号が入力されたときにオフ状態となる。出力回路7は、指示信号が入力されたことに応じて、検知用スイッチ23がオン状態に切り替わり、抵抗部24を介して抵抗値信号を出力する。抵抗値信号は、ポートPに入力される。なお、出力回路7は、検知用スイッチ23がオフ状態のときには、抵抗値信号を出力しない。
【0043】
出力回路7は、ダイオード26を含む。ダイオード26は、検知用スイッチ23の入力部と制御回路2との間に設けられる。ダイオード26は、制御回路2側から検知用スイッチ23の入力部側に電流が流れることを防止する。ダイオード26は、検知用スイッチ23の入力部側から制御回路2側に電流が流れることを許容する。
【0044】
出力回路7は、抵抗部27,28と、コンデンサ29と、を含む。抵抗部27の一端には、検知用スイッチ23の高電位側の端子に電気的に接続され、電源電圧Vccが印加される。抵抗部27の他端は、検知用スイッチ23の入力部と、抵抗部28の一端と、に電気的に接続される。抵抗部28の他端は、ダイオード26のアノードに電気的に接続される。ダイオード26のカソードは、コンデンサ29の一端に電気的に接続される。コンデンサ29の他端は、グラウンド95に電気的に接続される。また、ダイオード26のカソードは、静電保護回路3(より具体的には、個別回路10)を介して制御回路2におけるポートPに電気的に接続される。出力回路7に指示信号(具体的には、ローレベル信号)が入力された場合、電源からの電流が抵抗部27,28及びダイオード26を介して制御回路2側に流れる。その結果、検知用スイッチ23の入力部にハイレベル信号が印加され、検知用スイッチ23がオン状態に切り替わる。
【0045】
中間回路8は、
図1に示すように、制御回路2と電気機器90との間に設けられる。中間回路8は、制御回路2側から信号が入力されたことに応じて電気機器90側に信号を出力し、電気機器90側から信号が入力されたことに応じて制御回路2側に信号を出力する。中間回路8は、素子を含む構成であってもよいし、素子を含まない構成であってもよい。中間回路8は、例えば電気機器90としてスイッチが接続される場合には、スイッチ駆動回路を含む構成であってもよい。中間回路8は、例えば電気機器90としてLEDが接続される場合には、LED駆動回路を含む構成であってもよい。制御回路2は、中間回路8を介して、電気機器90を制御すること、電気機器90から出力される信号を受信することができる。
【0046】
図3には、配線基板1にコネクタ6Aが接続された状態が示されている。コネクタ6Aには、スイッチ91A,91B,91C、及びLED92Aが接続されている。コネクタ6Aは、スイッチ91A,91B,91C、及びLED92Aを配線基板1に接続する。コネクタ6Aは、出力回路7Aと、中間回路8Aと、を有する。出力回路7Aは、
図2に示す出力回路7において第1抵抗部21を第1抵抗部21Aに置き換えた構成をなす。第1抵抗部21Aの抵抗値は、電気機器90の種類(つまり、スイッチ91A,91B,91C、及びLED92A)に対応した抵抗値に設定されている。第1抵抗部21Aの抵抗値は、例えば2kΩである。中間回路8Aは、スイッチ91A,91B,91C、及びLED92Aに対応した回路となっている。
【0047】
図4には、配線基板1にコネクタ6Bが接続された状態が示されている。コネクタ6Bには、LED92A,92B,92C,92Dが接続されている。コネクタ6Bは、LED92A,92B,92C,92Dを配線基板1に接続する。コネクタ6Bは、出力回路7Bと、中間回路8Bと、を有する。出力回路7Bは、
図2に示す出力回路7において第1抵抗部21を第1抵抗部21Bに置き換えた構成をなす。第1抵抗部21Bの抵抗値は、電気機器90の種類(つまり、LED92A,92B,92C,92D)に対応した抵抗値に設定されている。第1抵抗部21Bの抵抗値は、例えば6kΩである。中間回路8Bは、LED92A,92B,92C,92Dに対応した回路となっている。
【0048】
制御回路2は、予め定められた開始条件が成立した場合に、
図5に示す処理を行う。開始条件は、外部ECU96(
図1参照)から開始指示を受けたことであってもよいし、コネクタ6が配線基板1に接続されたときにコネクタ6側から出力される開始指示を受けたことであってもよいし、別の条件であってもよい。
【0049】
制御回路2は、
図5の処理が開始されると、まずステップS101にて、指示ポートP11(
図3、
図4参照)から指示信号を出力する。指示ポートP11から出力された指示信号は、出力回路7に入力される。出力回路7は、指示信号が入力されたことに応じて、第1抵抗部21に応じた抵抗値信号を出力する。抵抗値信号は、制御回路2の検知ポートP12(
図3、
図4参照)に入力される。制御回路2は、ステップS102にて、抵抗値信号を取得する。
【0050】
制御回路2は、抵抗値信号を取得した後、ステップS103に進む。制御回路2は、ステップS103にて、出力回路7から出力された抵抗値信号に対応する制御を行う。具体的には、制御回路2は、抵抗値信号から第1抵抗部21の抵抗値を特定する。例えば、制御回路2は、下記式(1)を用いてR1を特定する。
Vout=Vcc×R1/(R1+R2) ・・・式(1)
Voutは、抵抗値信号の電圧である。Vccは、制御回路2に予め記憶されていてもよいし、検出した値であってもよい。R2は、制御回路2に予め記憶されている。
【0051】
制御回路2は、R1をそのまま第1抵抗部21の抵抗値としてもよいし、抵抗部13の抵抗値や温度などに基づいて補正した値を第1抵抗部21の抵抗値としてもよい。
【0052】
制御回路2は、予め複数の制御パターンを記憶しており、特定した第1抵抗部21の抵抗値に対応した制御パターンによる制御を行う。
【0053】
例えば、
図3に示すコネクタ6Aが配線基板1に接続された場合には、制御回路2は、第1抵抗部21(具体的には、第1抵抗部21A)の抵抗値を2kΩと特定する。そして、制御回路2は、2kΩに対応した制御パターンによる制御を行う。2kΩに対応した制御パターンは、
図6に示すように、1kΩ~2.7kΩに対応した制御パターンに含まれる。1kΩ~2.7kΩに対応した制御パターンは、ポートP1,P2,P3,P4から出力する信号によって、スイッチ91A,91B,91C,LED92Aを制御する制御パターンとなっている。
【0054】
また、
図4に示すコネクタ6Bが配線基板1に接続された場合には、制御回路2は、第1抵抗部21(具体的には、第1抵抗部21B)の抵抗値を6kΩと特定する。そして、制御回路2は、6kΩに対応した制御パターンによる制御を行う。6kΩに対応した制御パターンは、
図6に示すように、4.7kΩ~6.8kΩに対応した制御パターンに含まれる。4.7kΩ~6.8kΩに対応した制御パターンは、ポートP1,P2,P3,P4から出力する信号によって、LED92A,92B,92C,92Dを制御する制御パターンとなっている。
【0055】
以上の様に、コネクタ6は、第1抵抗部21の抵抗値が電気機器90の種類に対応するように構成されることで、電気機器90の種類を識別するための情報を抵抗値信号として配線基板1側に出力することができる。この構成によれば、配線基板1側は、抵抗値信号に基づいて、電気機器90の種類を識別することができる。つまり、コネクタ6は、電気機器90の種類を識別するための情報を通知するECUを設けることなく、配線基板1に接続された電気機器90の種類を配線基板1側で識別させる構成を実現しやすい。
【0056】
コネクタ6は、出力回路7に対して指示信号が入力されたことに応じて、出力回路7から配線基板1側に抵抗値信号を出力させることができる。コネクタ6は、出力回路7における抵抗値信号を出力するための構成を簡素化しやすい。
【0057】
車載用制御システム100は、出力回路7から出力された抵抗値信号に対応する制御を行うことができる。このため、車載用制御システム100は、第1抵抗部21の抵抗値が電気機器90の種類に対応するように構成されることで、抵抗値信号が電気機器の種類に対応した信号となり、電気機器90の種類に応じた制御を制御回路2に行わせることができる。
【0058】
なお、第1実施形態では、制御回路2が、電気機器90の種類を識別することなく、抵抗値に対応した制御パターンによる制御を行うことで、配線基板1に接続された電気機器90の種類に対応した制御を行う。これに対し、制御回路2が、抵抗値信号に基づき電気機器90の種類を識別し、識別した電気機器90の種類に応じた制御を行ってもよい。
【0059】
車載用制御システム100は、コネクタ6が配線基板1に接続されたときに制御回路2側に流れ込む電流を静電保護回路3によって抑えることができる。
【0060】
<第2実施形態>
第2実施形態では、コネクタが複数の第1抵抗部を含む構成について説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0061】
第2実施形態の車載用制御システム200は、
図7に示すように、配線基板1と、制御回路2と、静電保護回路3と、コネクタ206と、を備える。なお、
図7では省略しているが、第2実施形態の車載用制御システム200は、第1実施形態で説明した基板側コネクタ5を備える。
【0062】
コネクタ206は、複数の出力回路7A,7Bと、中間回路8と、を有する。出力回路7Aは、第1実施形態で説明した出力回路7において第1抵抗部21を第1抵抗部221Aに置き換えた構成をなす。出力回路7Bは、第1実施形態で説明した出力回路7において第1抵抗部21を第1抵抗部221Bに置き換えた構成をなす。このように、コネクタ206は、複数の第1抵抗部221A,221Bを含む。
【0063】
出力回路7A,7Bは、コネクタ206が配線基板1に接続された状態において、各々の第1抵抗部221A,221Bの抵抗値に応じた抵抗値信号を出力する。具体的には、出力回路7Aは、制御回路2からの指示信号が入力されたことに応じて、第1抵抗部221Aの抵抗値に応じた抵抗値信号を出力する。出力回路7Bは、制御回路2からの指示信号が入力されたことに応じて、第1抵抗部221Bの抵抗値に応じた抵抗値信号を出力する。
【0064】
制御回路2は、出力回路7A,7Bからの抵抗値信号から特定される抵抗値情報の組み合わせに応じた制御を行う。抵抗値情報は、抵抗値を示す情報であればよく、抵抗値そのものでなく、例えば、抵抗値信号の電圧であってもよい。制御回路2は、例えば、出力回路7Aからの抵抗値信号に基づいて第1抵抗部221Aの抵抗値を特定し、出力回路7Bからの抵抗値信号に基づいて第1抵抗部221Bの抵抗値を特定する。そして、制御回路2は、第1抵抗部221Aの抵抗値と、第1抵抗部221Bの抵抗値との組み合わせに応じた制御パターンを選択し、選択した制御パターンによる制御を行う。
【0065】
例えば、制御回路2は、
図8に示すような、第1抵抗部221Aの抵抗値と第1抵抗部221Bの抵抗値との組み合わせと、制御パターンとの対応関係を規定するテーブルを記憶している。制御回路2は、第1抵抗部221Aの抵抗値が1kΩ以上で2.7kΩ以下であり、且つ第1抵抗部221Bの抵抗値が1kΩ以上で2.7kΩ以下である場合には、制御パターンAを選択する。制御回路2は、第1抵抗部221Aの抵抗値が1kΩ以上で2.7kΩ以下であり、且つ第1抵抗部221Bの抵抗値が4.7kΩ以上で6.8kΩ以下である場合には、制御パターンBを選択する。制御回路2は、第1抵抗部221Aの抵抗値が4.7kΩ以上で6.8kΩ以下であり、且つ第1抵抗部221Bの抵抗値が1kΩ以上で2.7kΩ以下である場合には、制御パターンCを選択する。制御回路2は、第1抵抗部221Aの抵抗値が4.7kΩ以上で6.8kΩ以下であり、且つ第1抵抗部221Bの抵抗値が4.7kΩ以上で6.8kΩ以下である場合には、制御パターンDを選択する。
【0066】
以上の様に、コネクタ206は、複数の第1抵抗部221A,221Bの抵抗値の組み合わせによって、電気機器90の種類を識別するための情報を構成することができる。よって、車載用制御システム200は、多くの種類の電気機器90を配線基板1側で識別させる構成を実現しやすい。
【0067】
車載用制御システム200は、複数の第1抵抗部221A,221Bの抵抗値の組み合わせが電気機器90の種類に対応するように構成されることで、制御回路2に多くの種類の電気機器90に応じた制御を選択的に行わせることができる。
【0068】
<第3実施形態>
第3実施形態では、コネクタと基板側コネクタとの接続構造、及び制御回路が行う処理のより詳細な例について説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0069】
図9には、基板側コネクタ305におけるコネクタが接続される側の面が示されている。
図10には、コネクタ306Aの切断面を後方から見た図が示されている。
図11には、コネクタ306Bの切断面を後方から見た図が示されている。
図12には、コネクタ306Cの切断面を後方から見た図が示されている。コネクタ306A,306B,306Cは、いずれも基板側コネクタ305に接続可能である。
【0070】
基板側コネクタ305は、
図9に示すように、第1基板側端子41と、第2基板側端子42と、第3基板側端子43と、を有する。第3基板側端子43は、制御回路2が電気機器90を制御する信号又は電気機器90から制御回路2に向けて出力される信号が印加される。第1基板側端子41、第2基板側端子42、及び第3基板側端子43は、それぞれ複数設けられている。第1基板側端子41、第2基板側端子42、及び第3基板側端子43は、
図9に示すように、左から第1基板側端子41、第2基板側端子42、第3基板側端子43の順で繰り返し配置されている。第3基板側端子43は、2つ連続で配置されている。第1基板側端子41、第2基板側端子42、及び第3基板側端子43が左右方向に並ぶ列は、上下に複数段(
図9では、3段)設けられている。また、基板側コネクタ305は、第1電源端子TV1と、第1グラウンド端子TG1と、を有する。
【0071】
コネクタ306Aは、
図10に示すように、第1基板側端子41に接続される第1端子51と、第2基板側端子42に接続される第2端子52と、前記第3基板側端子43に接続される第3端子53と、を有する。コネクタ306Aは、
図13に示すように、出力回路307Aと、中間回路308Aと、を有する。出力回路307Aは、第1抵抗部321Aを含む。出力回路307Aは、第1端子51から指示信号が入力されたことに応じて、第1抵抗部321Aの抵抗値に応じた抵抗値信号を第2端子52から出力する。制御回路2は、第2端子52から出力された抵抗値信号を取得し、この抵抗値信号に応じた制御を行う。例えば、制御回路2は、ポートP1から制御信号を出力することで、スイッチ391Aを制御する。制御回路2は、ポートP2から制御信号を出力することで、スイッチ391Bを制御する。
【0072】
コネクタ306Bは、
図11に示すように、第1基板側端子41に接続される第1端子51と、第2基板側端子42に接続される第2端子52と、第3基板側端子43に接続される第3端子53と、を有する。コネクタ306Bは、
図14に示すように、出力回路307Bと、中間回路308Bと、を有する。出力回路307Bは、第1抵抗部321Bを含む。出力回路307Bは、第1端子51から指示信号が入力されたことに応じて、第1抵抗部321Bの抵抗値に応じた抵抗値信号を第2端子52から出力する。制御回路2は、第2端子52から出力された抵抗値信号を取得し、この抵抗値信号に応じた制御を行う。例えば、制御回路2は、状態監視装置392Aから出力された信号をポートP1にて受信する。制御回路2は、ポートP2から制御信号を出力することで、LED392Bを制御する。制御回路2は、センサ392Cから出力された信号をポートP3にて受信する。制御回路2は、センサ392Dから出力された信号をポートP4にて受信する。状態監視装置392Aは、例えば、指示器のオンオフ状態を示す信号を出力する。センサ392C,392Dは、例えば、自車両の斜め後方を走行する車両を検知する。制御回路2は、例えば、指示器がオン状態のときに自車両の斜め後方を走行する車両が検知された場合に、LED392Bを点灯させて、運転者に警告する。また、コネクタ306Bは、第1端子51が接続される第1基板側端子41とは別の第1基板側端子41に接続される第4端子57と、第2端子52が接続される第2基板側端子42とは別の第2基板側端子42に接続される第5端子58と、を有する。
【0073】
コネクタ306Cは、
図12に示すように、第1基板側端子41に接続される第1端子51と、第2基板側端子42に接続される第2端子52と、第3基板側端子43に接続される第3端子53と、を有する。コネクタ306Cは、
図15に示すように、出力回路307Cと、中間回路308Cと、を有する。出力回路307Cは、第1抵抗部321Cを含む。出力回路307Cは、第1端子51から指示信号が入力されたことに応じて、第1抵抗部321Cの抵抗値に応じた抵抗値信号を第2端子52から出力する。制御回路2は、第2端子52から出力された抵抗値信号を取得し、この抵抗値信号に応じた制御を行う。例えば、制御回路2は、状態監視装置393Aから出力された信号をポートP1にて受信する。制御回路2は、センサ393Bから出力された信号をポートP2にて受信する。制御回路2は、センサ393Cから出力された信号をポートP3にて受信する。制御回路2は、ポートP4から制御信号を出力することで、ヘッドランプウォッシャ393Dを制御する。状態監視装置393Aは、例えば、ヘッドランプのオンオフ状態を示す信号を出力する。センサ393C,393Dは、例えば、反射型の光センサとして構成され、ヘッドランプの透過率、即ち、ヘッドランプの汚れを検知する。制御回路2は、例えば、ヘッドランプがオン状態のときにヘッドランプの汚れが検知された場合に、ヘッドランプウォッシャ393Dを制御してヘッドランプを清掃する。
【0074】
また、コネクタ306A,306B,306Cは、それぞれ第2電源端子TV2と、第2グラウンド端子TG2と、を有する。第2電源端子TV2は、基板側コネクタ305の第1電源端子TV1に電気的に接続される。第2グラウンド端子TG2は、基板側コネクタ305の第1グラウンド端子TG1に電気的に接続される。
【0075】
基板側コネクタ305は、
図9に示すように、第1ポートCP1と、第2ポートCP2と、第3ポートCP3と、を有する。第1ポートCP1は、各々の第1基板側端子41に対応して設けられる。第2ポートCP2は、各々の第2基板側端子42に対応して設けられる。第3ポートCP3は、各々の第3基板側端子43に対応して設けられる。第1ポートCP1は、上側に凸の三角形状と下側に凸の三角形状とを組み合わせた形状で凹んでいる。第2ポートCP2及び第3ポートCP3は、上側に凸の三角形状で凹んでいる。
【0076】
コネクタ306A,306B,306Cは、それぞれ第1端子51を含む第1嵌合部54と、第2端子52を含む第2嵌合部55と、第3端子53を含む第3嵌合部56と、を有する。第1嵌合部54は、上側に凸の三角形状と下側に凸の三角形状とを組み合わせた形状で突出している。第2嵌合部55、及び第3嵌合部56は、上側に凸の三角形状で突出している。また、コネクタ306Bは、第4端子57を含む第4嵌合部59と、第5端子58を含む第5嵌合部60と、を有する。第4嵌合部59及び第5嵌合部60は、上側に凸の三角形状で突出している。
【0077】
第1ポートCP1は、第1嵌合部54、第2嵌合部55、第3嵌合部56、第4嵌合部59、及び第5嵌合部60のいずれも嵌合可能である。第2ポートCP2及び第3ポートCP3の開口部は、第1嵌合部54と物理的に干渉する。このため、第2ポートCP2及び第3ポートCP3には、第1嵌合部54を嵌合できない。つまり、第2ポートCP2及び第3ポートCP3は、第1嵌合部54、第2嵌合部55、及び第3嵌合部56のうち第2嵌合部55及び第3嵌合部56のみが嵌合可能である。コネクタ306A,306B,306Cは、いずれも、第1嵌合部54が第1ポートCP1に嵌合される必要がある。第1基板側端子41には、第1端子51が接続され、第2基板側端子42には、第2端子52が接続され、第3基板側端子43には、第3端子53が接続される。
【0078】
但し、コネクタ306B,306Cは、複数の第1基板側端子41に同時に接続される構成となっている。このため、制御回路2は、いずれの第1基板側端子41に指示信号を出力すべきかを特定する必要がある。そこで、制御回路2は、各々の第1基板側端子41に対して検知処理を予め定められた順序で行う。ここで、検知処理とは、第1基板側端子41に対して指示信号を入力して第1基板側端子41に対応する第2基板側端子42から出力される抵抗値信号を受信する処理である。複数の第1ポートCP1は、左上から右側、上段から下段の順にNo.が定義づけられている。例えば、左上の第1ポートCP1は、No.1と定義づけられており、その右側の第1ポートCP1は、No.2と定義づけられており、その右側の第1ポートCP1は、No.3と定義づけられている。左中段の第1ポートCP1は、No.4と定義づけられている。上述した予め定められた順序とは、このNo.の順である。
【0079】
制御回路2は、例えば、
図16に示す処理を行う。なお、ここでは、基板側コネクタ305に対して、
図17に示す位置にコネクタ306B,306Cが接続されたときの動作を例に説明する。
【0080】
制御回路2は、第1実施形態で説明した開始条件が成立したときに
図16に示す処理を開始する。制御回路2は、ステップS101にて、iを1に設定する。そして、制御回路2は、ステップS102にて、iがNよりも大きいか否かを判定する。Nは、第1ポートCP1の数である。Nは、本実施形態では、9である。制御回路2は、iがNよりも大きくないと判定した場合、No.iの第1ポートCP1の検知フラグが1であるか否かを判定する。検知フラグは、No.ごとに設定されており、
図17の処理の開始時又は終了時に全てのNo.について0に設定される。このため、制御回路2は、No.1の第1ポートCP1の検知フラグが0であると判定し、ステップS304に進む。制御回路2は、ステップS304にて、第1ポートCP1から指示信号を出力する。コネクタ306Bの出力回路307Bは、No.1の第1ポートCP1からの指示信号が入力されると、抵抗値信号を出力する。制御回路2は、ステップS305にて、第2ポートCP2から抵抗値信号を取得する。そして、制御回路2は、ステップS306にて、取得した抵抗値信号に応じた制御パターンを選択する。制御回路2は、ステップS307にて、抵抗値信号に基づいてNo.1の第1ポートCP1に接続されているコネクタの形態を特定する。制御回路2は、コネクタの形態から当該コネクタがNo.i+1以降の第1ポートCP1にも接続されているか否かを判定する。制御回路2は、当該コネクタが接続されていると判定した第1ポートCP1のNo.の検知フラグを1に設定する。本実施形態では、制御回路2は、No.1の第1ポートCP1にコネクタ306Bが接続されていると判定し、コネクタ306BがNo.2の第1ポートCP1にも接続されていると判定する。そして、制御回路2は、No.2の第1ポートCP1の検知フラグを1に設定する。
【0081】
制御回路2は、ステップS307の後、ステップS308にてiに1加算する。これにより、iは2となる。制御回路2は、ステップS308の後、ステップS302に戻る。制御回路2は、ステップS302でNoと判断し、ステップS303に進む。No.2の第1ポートCP1の検知フラグは1に設定されているため、制御回路2は、ステップS303でNoと判断し、ステップS308に進む。このように、制御回路2は、抵抗値信号からコネクタの種類を特定し、特定したコネクタが別の第1基板側端子に接続されていると判定した場合に、別の第1基板側端子41に対する検知処理を省略する。
【0082】
ステップS308において、iは3となる。制御回路2は、ステップS302でNoと判断し、ステップS303に進む。No.3の第1ポートCP1の検知フラグは0に設定されているため、制御回路2は、ステップS303でYesと判断し、ステップS304に進む。制御回路2は、ステップS304にて、No.3の第1ポートCP1から指示信号を出力する。コネクタ306Cの出力回路307Cは、No.3の第1ポートCP1からの指示信号が入力されると、抵抗値信号を出力する。制御回路2は、ステップS305にて、第2ポートCP2から抵抗値信号を取得する。そして、制御回路2は、ステップS306にて、取得した抵抗値信号に応じた制御パターンを選択する。制御回路2は、ステップS307にて、No.3の第1ポートCP1にコネクタ306Cが接続されていると判定し、コネクタ306CがNo.6の第1ポートCP1にも接続されていると判定する。そして、制御回路2は、No.6の第1ポートCP1の検知フラグを1に設定する。
【0083】
制御回路2は、以後、Nが10となるまでステップS302~S308の処理を繰り返す。制御回路2は、Nが10になった場合に、ステップS302にてNoと判断し、
図16に示す処理を終了する。
【0084】
第3実施形態の車載用制御システム300は、第3端子53及び第3基板側端子43を介して、制御回路2による電気機器90の制御、又は制御回路2による電気機器90からの信号の取得を実現することができる。更に、第3実施形態の車載用制御システム300は、第1端子51及び第2端子52,52B,52Cを利用して、出力回路307A,307B,307Cに指示信号が入力され、出力回路307A,307B,307Cから抵抗値信号が出力される構成を実現することができる。
【0085】
第3実施形態の車載用制御システム300は、第1嵌合部54が誤って第2ポートCP2又は第3ポートCP3に嵌合することを防止することで、より確実に第1基板側端子41に第1端子51が接続されるようにすることができる。その上で、第3実施形態の車載用制御システム300は、第1ポートCP1が、第1嵌合部54、第2嵌合部55、及び第3嵌合部56のいずれも嵌合可能となっているため、複数の第1ポートCP1のうち一部の第1ポートCP1を、抵抗値信号の入力用、電気機器90の制御用などに用いることができる。
【0086】
第3実施形態の車載用制御システム300は、予め定められた順序で検知処理を行うことで、複数の第1基板側端子41に対して同一のコネクタが接続された場合であっても、指示信号を出力すべき第1基板側端子41を特定することができる。そして、第3実施形態の車載用制御システム300は、指示信号を出力する必要のない第1基板側端子41に対しては、検知処理を省略することができる。
【0087】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
(1)上記第1実施形態及び第2実施形態では、第1抵抗部が第2抵抗部よりもグラウンド側に配置される構成であったが、第2抵抗部が第1抵抗部よりもグラウンド側に配置される構成であってもよい。
(2)上記第1実施形態及び第2実施形態では、第1抵抗部の他端がコネクタ内でグラウンドに電気的に接続される構成であったが、第1抵抗部の他端が導電路を介して配線基板に接続され、配線基板においてグラウンドに電気的に接続される構成であってもよい。
(3)上記各実施形態では、制御回路が抵抗値信号に対応する制御を行う方法として、コネクタによって配線基板に接続される電気機器の制御パターンを切り替える例を説明したが、別の方法を採用してもよい。例えば、車載用制御システムは、制御回路が抵抗値信号に対応する制御パターンを特定し、その特定した制御パターンを示す信号を外部ECUに向けて出力し、外部ECUでその制御パターンによる制御を行わせる構成であってもよい。この場合、「制御回路が抵抗値信号に対応する制御パターンを特定し、その特定した制御パターンを示す信号を外部ECUに向けて出力する」構成が、「制御回路が抵抗値信号に対応する制御を行う構成」に相当する。
【符号の説明】
【0088】
1…配線基板
2…制御回路
3…静電保護回路
5…基板側コネクタ
6…コネクタ
6A…コネクタ
6B…コネクタ
7…出力回路
7A…出力回路
7B…出力回路
8…中間回路
8A…中間回路
8B…中間回路
10…個別回路
11…抵抗部
12…コンデンサ
13…抵抗部
21…第1抵抗部
21A…第1抵抗部
21B…第1抵抗部
22…第2抵抗部
23…検知用スイッチ
24…抵抗部
25…コンデンサ
26…ダイオード
27…抵抗部
28…抵抗部
29…コンデンサ
41…第1基板側端子
42…第2基板側端子
43…第3基板側端子
51…第1端子
52…第2端子
53…第3端子
54…第1嵌合部
55…第2嵌合部
56…第3嵌合部
57…第4端子
58…第5端子
59…第4嵌合部
60…第5嵌合部
90…電気機器
91A…スイッチ
91B…スイッチ
91C…スイッチ
92A…LED
92B…LED
92C…LED
92D…LED
95…グラウンド
96…外部ECU
100…車載用制御システム
200…車載用制御システム
206…コネクタ
221A…第1抵抗部
221B…第1抵抗部
300…車載用制御システム
305…基板側コネクタ
306A…コネクタ
306B…コネクタ
306C…コネクタ
307A…出力回路
307B…出力回路
307C…出力回路
308A…中間回路
308B…中間回路
308C…中間回路
321A…第1抵抗部
321B…第1抵抗部
321C…第1抵抗部
391A…スイッチ
391B…スイッチ
392A…状態監視装置
392B…LED
392C…センサ
392D…センサ
393A…状態監視装置
393B…センサ
393C…センサ
393D…ヘッドランプウォッシャ
CP1…第1ポート
CP2…第2ポート
CP3…第3ポート
P…ポート
P1…ポート
P2…ポート
P3…ポート
P4…ポート
P11…指示ポート
P12…検知ポート
TG1…第1グラウンド端子
TG2…第2グラウンド端子
TV1…第1電源端子
TG2…第2電源端子