(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118150
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】移動体用灯具
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/26 20060101AFI20240823BHJP
B60Q 1/50 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
B60Q1/26 A
B60Q1/50 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024414
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真司
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA25
3K339AA28
3K339AA29
3K339AA31
3K339BA02
3K339BA03
3K339BA22
3K339BA28
3K339CA12
3K339CA13
3K339CA21
3K339EA05
3K339EA09
3K339GB01
3K339GB11
3K339GB21
3K339HA04
3K339KA06
3K339KA13
3K339KA14
3K339KA39
3K339MC58
3K339MC68
3K339MC77
3K339MC78
(57)【要約】
【課題】一台で、複数の表示態様に点灯するよう構成された移動体用灯具を提供する。
【解決手段】 移動体1に取り付けられる灯具2は、光源ユニット21と、光源ユニット21を覆うアウタレンズ22を備える。アウタレンズ22は、移動体1の複数の状態を光源ユニット21からの光によって表示する共通の表示面221を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に取り付けられる移動体用灯具であって、前記移動体用灯具は、
光源ユニットと、前記光源ユニットを覆うアウタレンズを備え、
前記アウタレンズは、前記移動体の複数の状態を前記光源ユニットからの光によって表示する共通の表示面を有する、移動体用灯具。
【請求項2】
前記移動体の前記複数の状態は、前記移動体の減速、左折、右折、後退、加速、あるいはこれらの予告、充電中、非充電中、充電率、外部機器と通信中、外部機器との通信途絶中、人または物を運搬中である、人または物を運搬していない、積載率、の少なくとも2つを含む、請求項1に記載の移動体用灯具。
【請求項3】
前記移動体が減速する場合に表示される前記表示面の第一表示態様と、前記移動体が左折または右折する場合に表示される前記表示面の第二表示態様とは、互いに異なる、請求項1に記載の移動体用灯具。
【請求項4】
前記移動体の状態によって前記表示面の色が異なる、請求項1に記載の移動体用灯具。
【請求項5】
前記表示面は、互いに異なる、少なくとも四色の色を表示するように構成されている、請求項4に記載の移動体用灯具。
【請求項6】
前記移動体の状態によって前記表示面の明るさが異なる、請求項1に記載の移動体用灯具。
【請求項7】
前記光源ユニットは、第一方向に並列し、各々が個別に点消灯するように構成された、複数の光源を、有し、
前記表示面は、前記複数の光源を覆うように前記第一方向に延びており、
各前記光源は、前記第一方向に沿って順次点灯または消灯するように構成されている、請求項1に記載の移動体用灯具。
【請求項8】
前記移動体が減速する場合に表示される前記表示面の第一表示態様と、前記移動体が左折または右折する場合に表示される前記表示面の第二表示態様とは、互いに異なっており、
前記第一表示態様は、前記複数の光源が全て点灯している状態であり、
前記第二表示態様は、各前記光源は、前記第一方向に沿って順次点灯または消灯する状態である、請求項7に記載の移動体用灯具。
【請求項9】
前記移動体用灯具は、前記移動体に設けられたひさしの下または上に取り付けられるように構成されている、請求項1に記載の移動体用灯具。
【請求項10】
前記移動体の前部および後部に取り付けられるように構成されており、
前記移動体が左折または右折する場合の、前記表示面の表示態様は、前記移動体が後退する場合の、前記表示面の表示態様と異なる、請求項1に記載の移動体用灯具。
【請求項11】
前記移動体の前部と後部と側部に取り付けられるように構成されている、請求項1に記載の移動体用灯具。
【請求項12】
複数の前記移動体用灯具のうち、少なくとも二つの前記移動体用灯具は互いに連結している、請求項11に記載の移動体用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、小型電動車両を開示している。特許文献1の小型電動車両の背当て部には、高位置テールランプや、シート背面ランプ、シート側方向指示器や、周辺車両等の光を受けて反射する側部反射板が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の小型電動車両に取り付けられる反射板は、周囲からの光を反射するものの、反射板自らが光を発光するわけではないため、被視認性は高くない。またテールランプや方向指示器など、複数の灯具を小型電動車両に取り付けることも考えられるが、複数の灯具ごとに配線が必要となり、コストも増大するという問題がある。
【0005】
本開示は、一台で、複数の表示態様に点灯するよう構成された移動体用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の移動体用灯具は、
移動体に取り付けられる移動体用灯具であって、前記移動体用灯具は、
光源ユニットと、前記光源ユニットを覆うアウタレンズを備え、
前記アウタレンズは、前記移動体の複数の状態を前記光源ユニットからの光によって表示する共通の表示面を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、一台で、複数の表示態様に点灯するよう構成された移動体用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の移動体用灯具が取り付けられる移動体を例示する斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示の移動体用灯具を例示する斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3の移動体用灯具が備える表示面の表示態様を例示する概要図である。
【
図5】
図5は、
図3の移動体用灯具が備える表示面の表示態様を例示する概要図である。
【
図6】
図6は、二つの灯具が直線状に連結している状態を例示する斜視図である。
【
図7】
図7は、二つの灯具が直角状に連結している状態を例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態(以下、本実施形態という。)について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0010】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「上下方向」、「前後方向」について適宜言及する場合がある。これらの方向は、
図1に例示する移動体1について設定された相対的な方向である。ここで、「左右方向」は、「左方向」および「右方向」を含む方向であると共に、移動体1の水平方向でもある。「上下方向」は、「上方向」および「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」および「後方向」を含む方向である。前後方向は、左右方向および上下方向に直交する方向である。なお、各図において図中に示した符号Uは上方向を示す。符号Dは下方向を示す。符号Fは前方向を示す。符号Bは後方向を示す。符号Lは左方向を示す。符号Rは右方向を示す。
【0011】
図1および
図2を参照して、本実施形態に係る灯具2が取り付けられる移動体1について説明する。
図1は、本実施形態に係る灯具2が取り付けられる移動体1を例示する斜視図である。
図2は、
図1の移動体1の後方拡大図である。
【0012】
図1に示すように、移動体1は、本体11と、本体11の前部11Fに設けられたハンドル12と、本体11の後部11Rに設けられた座席13、を備える。座席13は、座椅子131と、背もたれ132と、を有する。運転者は座椅子131に座ることで移動体1に乗車することができる。さらに運転者は、ハンドル12を操作することで、移動体1を操舵することができる。このように本実施形態の移動体1は、人を運ぶように構成されている。
【0013】
本実施形態における移動体1とは、法定速度が時速10km以下に定められている移動体、または、私有地で使用される最高速度が時速10km以下の移動体、である。たとえば移動体1は、法定速度が時速10km以下である歩道の走行を許可されている。あるいは、移動体1は、私有地を走行する移動体であって、最高速度が時速10km以下となる出力を有する移動体であってもよい。
【0014】
移動体1は、走行状態、充電状態、通信状態、運搬状態を含む、複数の状態を取り得る。本実施形態において、移動体1の複数の状態は、移動体1の走行状態、充電状態、通信状態、運搬状態、使用状態などを含む。走行状態は、減速、左折、右折、後退、加速、あるいはこれらの予告を含む。充電状態は、充電中、非充電中、充電率を含む。通信状態は、外部機器と通信中、外部機器との通信途絶中を含む。運搬状態は、人または物を運搬中である、人または物を運搬していない、積載率を含む。移動体1の複数の状態は、これらの少なくとも2つを含む。
【0015】
図1および
図2に示すように、灯具2は、移動体1に取り付けられるように構成されている。本実施形態においては、灯具2は移動体1に複数取り付けられている。
図1に示すように、灯具2は、移動体1の前部11Fに取り付けられるように構成されている。
図2に示すように、灯具2は、移動体1の後部11Rの一部である、背もたれ132の後面に取り付けられるように構成されている。灯具2は、移動体用灯具の一例である。
【0016】
図2に示すように、背もたれ132の後面には、第一ひさし133が設けられている。灯具2は、第一ひさし133の下に取り付けられるように構成されている。第一ひさし133は、灯具2の長手方向に延びる平板形状を有し、灯具2の上から太陽光が灯具2に直接当たらないように構成されている。言い換えると、第一ひさし133は、太陽光から灯具2を保護するように構成されている。本実施形態では、灯具2は、第一ひさし133の下に取り付けられているが、灯具2と第一ひさし133の位置関係はこれに限定されない。背もたれ132の後面には、第二ひさし134が設けられ、灯具2は第二ひさし134の上に取り付けられてもよい。第二ひさし134は、灯具2の長手方向に延びる平板形状を有し、地面からの光の照り返しから灯具2を保護するように構成されている。第一ひさし133および第二ひさし134はそれぞれ、黒色に塗りつぶされていてもよい。
【0017】
次に
図3を参照して、本実施形態に係る灯具2について説明する。
図3は、本実施形態に係る灯具2を例示する斜視図である。
図3に示すように、灯具2は、水平方向に延びる長尺の装置である。灯具2は、光源ユニット21と、アウタレンズ22と、を備える。
【0018】
光源ユニット21は、複数の光源211と、基板212と、を有している。複数の光源211は、第一方向D1(本実施形態では水平方向)に並列し、各々が個別に点消灯するように構成されている。
複数の光源211は、各光源211を独立に制御する制御部が搭載された基板212上に設けられている。この基板212上に、複数の光源211を制御する制御部が搭載されていてもよいし、移動体1の車両制御部が各光源211を独立に制御する制御部として機能するように構成されていてもよい。
【0019】
複数の光源211は、常時点灯するように構成されるだけでなく、所定の間隔で点滅するように構成されている。所定の間隔は、一定の間隔でもよいし、徐々に早くなってもよいし、徐々に遅くなってもよい。
【0020】
複数の光源211は、互いに異なる色の光を出射するように構成されていてもよい。光源211は、赤色の光を出射する光源、黄色の光を出射する光源、青色の光を出射する光源、白色の光を出射する光源、緑色の光を出射する光源、橙色の光を出射する光源の二以上を含んでいてもよい。本実施形態では、光源211は互いに異なる色の光を出射する少なくとも四種の光源を有している。さらに光源211は、出射する光の明るさを変えられるように構成してもよい。あるいは光源211は点灯輝度の異なる複数の光源で構成されていてもよい。
【0021】
複数の光源211は互いに独立に制御されるため、全ての光源211が一度に点灯するだけでなく、一部の光源211が点灯または消灯するように制御可能である。たとえば、全ての光源211が消灯している状態から、複数の光源211のうち、左方に位置する少なくとも一つの光源211のみが点灯してもよい。たとえば、全ての光源211が点灯している状態から、複数の光源211のうち、左方に位置する少なくとも一つの光源211のみが消灯してもよい。
【0022】
本実施形態において、複数の光源211は、第一方向D1に沿って順次点灯または消灯するように構成されている。より詳細には、複数の光源211は、全ての光源211が消灯している状態から、第一方向D1に沿って左方から右方へ順次点灯する。あるいは複数の光源211は、全ての光源211が点灯している状態から、第一方向D1に沿って左方から右方へ順次消灯する。あるいは、複数の光源211は、第一方向D1に沿って右方から左方へ順次点灯または消灯する。
【0023】
アウタレンズ22は、光源ユニット21を覆うように構成されている。アウタレンズ22は、無色透明の表示面221を有する。表示面221は、複数の光源211を覆うように、第一方向D1に延びている。
【0024】
表示面221は、移動体1の複数の状態を、光源ユニット21からの光によって表示するように構成されている。
【0025】
次に
図4および
図5を参照して、灯具2の表示態様Pについて説明する。
図4および
図5は、灯具2が備える表示面221の表示態様Pを例示する概要図である。本実施形態において、表示態様が異なるとは、表示面221の見え方が異なることを言う。表示面221の見え方が異なるとは、表示面221において明るく表示される領域の形状、位置、色、明るさが異なることを言う。表示面221の見え方は、任意の一つ以上の光源の消灯、点灯あるいは点滅を切り替えたり、あるいは、光源の明るさを異ならせたり、色の異なる光源の点消灯を切り替えたりすることにより変えることができる。これらの表示態様を、
図4を参照して説明する。
【0026】
図4は、表示面221が表示する、複数の表示態様Pを例示している。
たとえば、複数の光源211が全て消灯している場合、アウタレンズ22の表示面221から光は出射されず、表示面221は消灯している。この場合の表示面221の表示態様を、表示態様P00とする。
一方、複数の光源211が全て点灯する場合、アウタレンズ22の表示面221から光が出射され、表示面221は点灯する。この場合の表示面221の表示態様を、表示態様P01とする。
さらに、複数の光源211が全て所定の間隔で光を出射する場合、アウタレンズ22の表示面221から光は所定の間隔で出射され、表示面221は点滅する。この場合の表示面221の表示態様を、表示態様P02とする。
このように、本実施形態の表示態様Pは、互いに点消灯のパターンが異なる、表示態様P00、表示態様P01、表示態様P02を含む。
【0027】
表示面221は、複数の色で表示される。たとえば、複数の光源211が全て赤色に点灯する場合、表示面221は赤色に表示される。この場合の表示面221の表示態様を、表示態様P01とする。同様にして、黄色に表示される表示面221の表示態様を、表示態様P11とする。青色に表示される表示面221の表示態様を、表示態様P21とする。白色に表示される表示面221の表示態様を、表示態様P31とする。このように、本実施形態の表示態様Pは、互いに色が異なる、表示態様P01、表示態様P11、表示態様P21、表示態様P31を含む。
【0028】
表示面221は、複数の明るさで表示される。たとえば、複数の光源211が全て、所定の明るさでかつ赤色で点灯する場合、表示面221は赤色に表示されている。この場合の表示面221の表示態様を、表示態様P01とする。表示態様P01よりも暗くかつ赤色の表示面221の表示態様を、表示態様P01Dとする。表示態様P01よりも明るくかつ赤色の表示面221の表示態様を、表示態様P01Bとする。このように、本実施形態の表示態様Pは、互いに明るさが異なる、表示態様P01D、表示態様P01、表示態様P01Bを含む。
【0029】
表示面221が点灯する表示領域は、複数に分割されていてもよい。たとえば、複数の光源211のうち、左方に位置する少なくとも一つの光源211のみが赤色に点灯する場合、表示面221の左方のみが表示される。この場合の表示面221の表示態様を、表示態様P01Lとする。同様にして、表示面221の中央のみが赤色で表示される場合の、表示面221の表示態様を、表示態様P01Cとする。表示面221の右方のみが赤色で表示される場合の、表示面221の表示態様を、表示態様P01Rとする。このように、本実施形態の表示態様Pは、互いに表示される表示領域が異なる、表示態様P01L、表示態様P01C、表示態様P01Rを含む。なお分割される表示領域の数は、左方、中央、右方の三つに限定されるものではなく、二つ以上であればよい。
【0030】
さらに本実施形態の表示態様Pは、第一方向に沿って順次点灯または消灯する態様であってもよい。このようなシーケンシャル点灯またはシーケンシャル消灯について、
図5を参照して説明する。
【0031】
図5は、表示面221が表示する複数の表示態様Pのうち、表示態様SP01および表示態様SP00を例示している。たとえば表示態様SP01では、複数の光源211が全て消灯している状態から、第一方向D1において、まず表示面221の左方のみが赤色で明るくなる(表示態様SP01L)。次に、表示面221の左方は暗くなり、表示面221の中央のみが赤色に明るくなる(表示態様SP01C)。その後、表示面221の中央は暗くなり、表示面221の右方のみが赤色で明るくなる(表示態様SP01R)。このように、第一方向D1に沿って、左方から右方へ、順次的に(シーケンシャルに)、表示面221が明るくなるように構成されてもよい。右方から左方へ順次的に(シーケンシャルに)、表示面221が明るくなるように構成されてもよい。
【0032】
表示態様SP00では、複数の光源211が全て赤色で点灯している状態から、第一方向D1において、まず表示面221の左方のみが暗くなる(表示態様SP00L)。次に、表示面221の左方が赤色で明るくなり、表示面221の中央のみが暗くなる(表示態様SP00C)。その後、表示面221の中央は赤色で明るくなり、表示面221の右方のみが暗くなる(表示態様SP00R)。このように、第一方向D1に沿って、左方から右方へ、順次的に(シーケンシャルに)、表示面221が暗くなってもよい。右方から左方へ順次的に(シーケンシャルに)、表示面221が暗くなるように構成されてもよい。
【0033】
なお本実施形態の表示面221は、一つの表示態様と、他の一つの表示態様とを組み合わせて表示されてもよい。たとえば表示面221は、黄色の、通常の明るさの光でシーケンシャルに明るくなるように構成されてもよい(表示態様SP11)。たとえば表示面221は、白色で表示してもよい(表示態様P31B)。
【0034】
例えば、運転者がブレーキを操作した際、移動体1の車両制御部から減速状態を示す信号が灯具2に送信される。減速状態を示す信号を受信した灯具2は、複数の光源211を全て点灯させ、アウタレンズ22の表示面221の全面を、所定の明るさよりも明るい赤色に表示させる(表示態様P01B)。このように灯具2は、移動体1が減速中であることを、表示面221の表示態様P01Bを通じて交通参加者に報知することができる。表示態様P01Bは、第一表示態様の一例である。
【0035】
あるいは、運転者が方向指示器を操作すると、移動体1の車両制御部から左折状態を示す信号が灯具2に送信される。左折状態を示す信号を受信した灯具2は、アウタレンズ22の表示面221を黄色かつシークエンシャルに表示させる(表示態様SP11)。このとき、複数の光源211それぞれは、第一方向D1に沿って右方から左方へ順次点灯する。このように灯具2は、移動体1が左折中であることを、表示面221の表示態様SP11を通じて交通参加者に報知することができる。運転者により移動体1の方向指示器の操作が解除された場合、灯具2は、その旨を示す信号を受信し、表示面221を表示態様SP11から他の表示態様へ変えてもよい。表示態様SP11は、第二表示態様の一例である。
【0036】
このように、本実施形態の表示面221は、移動体1の複数の状態を光源ユニット21からの光によって表示する。例えば本実施形態の灯具2は、移動体1の減速状態も、移動体1の左折状態も、表示面221という一つの共通の面の表示態様Pを異ならせることによって示すことができる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の灯具2は、移動体1の複数の状態を光源ユニット21からの光によって表示する共通の表示面221を有するアウタレンズ22を備える。一台の灯具2で、移動体1の複数の状態を、異なる表示態様で表示面221に表すことができるため、複数の灯具を設ける場合と比較して、配置や配線をシンプルに構成でき、移動体1のコストも低減することができる。
【0038】
本実施形態の灯具2では、移動体1が減速する場合に表示される表示面221の表示態様P01Bと、移動体1が左折する場合に表示される表示面221の表示態様SP11は、互いに異なる。一台の灯具2で、減速と左折とを異なる表示態様で表すことができるため、複数の灯具を設ける場合と比較して、配置や配線をシンプルに構成でき、移動体1のコストも低減することができる。
【0039】
移動体1が減速する場合、表示面221は赤色に点灯するのに対して、移動体1が左折する場合、表示面221は黄色に点灯する。このように本実施形態の灯具2では、移動体1の状態に応じて、表示面221の色が異なる。このため視認者である交通参加者は、表示面221から出射される光の色を通じて、移動体1の状態を区別しやすくなる。
【0040】
本実施形態の灯具2では、複数の光源211が、互いに異なる、少なくとも四色の光を出射するように構成されている。複数の光源211からの光により、表示面221は、互いに異なる、少なくとも四色の色を表示するように構成されている。このように本実施形態の灯具2は、表示面221の色が多彩であるため、移動体1の状態をより多く表示しやすい。
【0041】
また本実施形態の灯具2では、移動体1の状態に応じて、表示面221の明るさを異ならせてもよい。交通参加者は、表示面221から出射される光の明るさを通じて、移動体1の状態を区別しやすくなる。
【0042】
左折状態を示す表示態様SP11では、複数の光源211それぞれが、第一方向D1に沿って右方から左方へ順次点灯する。いいかえると、第一方向D1の右方から左方へ表示面221から光が連続的に点灯される。このように複数の光源211が第一方向D1に沿って順次点灯するように構成されているため、交通参加者は、移動体1が左折状態であることを、より直感的に把握することができる。
【0043】
表示態様P01Bは、複数の光源211が全て点灯している状態であり、表示態様SP11は、前記複数の光源211それぞれが、第一方向D1に沿って右方から左方へ順次点灯する状態である。このように、移動体1が減速状態か左折状態かによって表示面221の表示態様が異なるため、交通参加者は表示面221の表示態様により、移動体1の状態を区別しやすくなる。また、移動体1が左折する場合における表示態様SP11では、複数の光源211それぞれが第一方向D1に沿って右方から左方へ順次点灯するため、交通参加者はより直感的に移動体1が左折状態であることを把握することができる。
【0044】
本実施形態の灯具2は、移動体1の前部11Fおよび後部11Rに取り付けられるように構成されている。同じ灯具2が前部11Fおよび後部11Rに取り付けられるため、前方および後方からの被視認性を確保することができる。さらに前部11Fと後部11Rとそれぞれに同じ灯具2が取り付けられるため、それぞれに異なる灯具を取り付ける場合と比較して、移動体1の製造コストを低減やすい。
【0045】
以上、本開示の実施形態について説明をしたが、本開示の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本開示の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0046】
図1に示す移動体1は本実施形態の移動体の一例であり、外観や機能はこれに限らない。たとえば移動体1は、移動体1の前部11Fに、物を運ぶように構成されたかごを設け、人および物を運ぶように構成されてもよい。たとえば移動体1は、座席13に代わって、乗車スペースを備えてもよい。この場合、運転者は乗車スペースに立った状態でハンドル12を操作することで、移動体1を操舵してもよい。たとえば移動体1は、座席13、かごまたは積載スペースに、人ではなく物を載せて、自動運転などにより、物だけを運ぶように構成されてもよい。
【0047】
上記実施形態では、移動体1の複数の状態の一例として、移動体1が減速する場合と、移動体1が左折する場合を説明したが、複数の状態はこれらに限定されない。以下、移動体1の状態に応じた、表示面221の表示態様Pの例を列挙する。以下の例においても、本実施形態の灯具2によれば上記と同様の効果を発揮する。
【0048】
移動体1が後方へ走行する場合(以下、後退と称す)、灯具2は、外部の制御部から移動体1が後退状態を示す信号を受信する。たとえば運転者により移動体1のシフトレバーがRポジションに操作されると、移動体1の車両制御部は、灯具2へ後退状態を示す信号を送信してもよい。後退状態を示す信号を受信した灯具2は、表示面221を、所定の明るさよりも明るい白色に表示させる(表示態様P31B)。このように本実施形態の灯具2は、減速状態、左折状態に加えて、後退状態を表示面221の表示態様P31Bで表すことができる。一台の灯具2で、移動体1のより多くの状態を、異なる表示態様で表示面221に表すことができるため、移動体1の製造コストをより低減することができる。
【0049】
表示面221は、移動体1の減速の予告を表示態様Pで表示してもよい。たとえば移動体1の車両制御部が走行予定ルートを設定しており、予め左折状態となるタイミングが設定されている場合、移動体1の車両制御部は左折状態となる所定時間前に左折予告状態を示す信号を灯具2に送信する。左折予告状態を示す信号を受信した灯具2は、まず左折予告状態を示すために所定の時間だけ、表示面221を赤色で点滅させる(表示態様P02B)。所定の時間が経過した後、灯具2は、左折状態を示す表示態様で表示面221を表示してもよい(表示態様SP11)。
【0050】
あるいは表示面221は、移動体1のバッテリの充電状態に応じて表示態様を変更してもよい。例えば表示面221は、移動体1が充電されている充電状態のときに青色で表示され、移動体1が充電されていない非充電状態のときに表示されていない。あるいは、充電率に応じて表示面221の表示態様が異なっていてもよい。フル充電時には表示面221の全面を青色に表示させ、充電率が低くなるにつれて青色に表示される領域が小さくなるように表示面221を表示させてもよい。
【0051】
あるいは表示面221は、移動体1の外部機器との通信状態に応じて表示態様を異ならせてもよい。例えば表示面221は、移動体1が外部機器と通信中は緑色で点滅するように表示する。表示面221は、移動体1が外部機器と通信途絶中は橙色で点滅するように表示面221を表示する。
あるいは表示面221は、移動体1の人または物の運搬状態に応じて表示態様を異ならせてもよい。例えば表示面221は人が乗車中は白色で一部が点灯し、物を搭載中は黄色で一部が点灯するようにしてもよい。
なお表示面221は、右左折、前進、後退、それらの予告などの走行状態を示すモード、充電状態を示すモード、通信状態を示すモード、運搬状態を示すモードとを切り替える信号が入力されたときに、これらのモードを切り換えるように構成してもよい。例えば運転者がモードを切り換えるスイッチを操作したり、運転状況に応じて自動的にモードを切り換える信号が出力されるように構成してもよい。これにより、例えばバッテリ切れを示す表示態様と減速状態であることを示す表示態様とを、同じ赤色で表示する表示態様とすることができ、少ない種類の光源(色の異なる光源など)あるいは少ない種類の光源の制御方法(点滅周期のパターンが少ない)で多様な表示態様を表現することができる。
【0052】
図1および
図2は、灯具2が移動体1の前部11Fおよび後部11Rに取り付けられている移動体1を例示するが、灯具2が取り付けられる場所はこれらに限らない。たとえば灯具2は、本体11の前部11Fおよび後部11Rに加えて、側部11Sにも取り付けられるように構成されてもよい(
図1)。この場合においても、同じ灯具2が前部11Fおよび後部11Rに加えて側部11Sにも取り付けられることにより、多様な方向からの被視認性を確保することができる。さらに移動体1に同じ灯具2が複数取り付けらえるため、複数種類の灯具が取り付けられる場合と比較して、移動体1の製造コストを低減させやすい。
【0053】
たとえば灯具2は、移動体1の後部11Rのみに取り付けられてもよい。たとえば灯具2は、移動体1の後部11Rと側部11Sにのみ取り付けられてもよい。前部11Fの場合も同様である。
【0054】
移動体1に複数の灯具2が取り付けられる場合、少なくとも二つの灯具2が互いに連結していてもよい。二つの灯具2が互いに連結されることで、表示面221の発光領域を広げることができるとともに、移動体1への灯具2の配置の自由度が高まる。
図6は、二つの灯具2が直線状に連結している状態を例示する斜視図である。
図6では、複数の灯具それぞれを区別するために符号AおよびBを示す。
図6の各灯具の構成は、
図3に示した灯具2の構成と同一であるため、その説明を省略する。
【0055】
図6に示すように、複数の灯具2は、第一灯具2Aおよび第二灯具2Bを備える。これら第一灯具2Aと第二灯具2Bは直線状に連結されている。
図6では、第一灯具2Aの右端部が、第二灯具2Bの左端部と連結している様子を例示している。第一灯具2Aの左端部が、第二灯具2Bの右端部と連結してもよい。第一灯具2Aの第一方向D1Aと、第二灯具2Bの第一方向D1Bは、互いに平行である。第一灯具2Aの第一方向D1Aは、第二灯具2Bの第一方向D1Bと同一であってもよい。
【0056】
第一灯具2Aと第二灯具2Bは、互いに直線状に連結された状態で、たとえば移動体1の後部11Rの一例である、背もたれ132の後面に取り付けられてもよい。第一灯具2Aと第二灯具2Bは、互いに直線状に連結された状態で、たとえば移動体1の前部11Fや側部11Sに取り付けられてもよい。
【0057】
第一灯具2Aの第一表示面221Aと、第二灯具2Bの第二表示面221Bは、同じ表示態様で表示されてもよい。たとえば移動体1が減速する場合、第一表示面221Aおよび第二表示面221Bにはともに、表示態様P01Bが表示されてもよい。このように、複数の灯具が互いに直線状に連結されることで、発光面積を大きくすることができ、移動体1の周囲の交通参加者へより効果的に、移動体1の状態を報知することができる。
【0058】
移動体1に複数の灯具2が取り付けられる場合、少なくとも二つの灯具2が互いに所定の角度を形成するように連結していてもよい。
図7は、二つの灯具2が直角上に連結している状態を例示する斜視図である。
図7では、複数の灯具それぞれを区別するために符号CおよびDを示す。
図7の各灯具の構成は、
図3に示した灯具2の構成と同一であるため、その説明を省略する。
【0059】
図7に示すように、複数の灯具2は、第三灯具2Cおよび第四灯具2Dを備える。これら第三灯具2Cと第四灯具2Dとは直角上に連結されている。言い換えると、上面視において、第三灯具2Cおよび第四灯具2DはL字を形成するように配置されている。
図7では、第三灯具2Cの右端部が、第四灯具2Dの左端部と連結している様子を例示している。第三灯具2Cの左端部が、第四灯具2Dの右端部と連結してもよい。第三灯具2Cの第一方向D1Cと、第四灯具2Dの第一方向D1Dとにより形成される角度は、たとえば90度である。当該角度は90度に限定されず、移動体1の車体の形状に応じて変更可能である。
【0060】
第三灯具2Cと第四灯具2Dは、互いに直角状に連結された状態で、たとえば移動体1の後部11Rと側部11Sの稜部11Cに取り付けられてもよい。第三灯具2Cと第四灯具2Dは、互いに直角状に連結された状態で、たとえば移動体1の前部11Fと側部11Sの稜部(不図示)に取り付けられてもよい。
【0061】
第三灯具2Cの第三表示面221Cと、第四灯具2Dの第四表示面221Dは、互いに異なる表示態様で表示されてもよい。たとえば移動体1が減速しつつ左折する場合、第三表示面221Cには表示態様SP11が表示されるとともに、第四表示面221Dには表示態様P01Bが表示されてもよい。このように、複数の灯具が互いに直角状に連結されることで、発光面積を大きくすることができる。さらに第三灯具2Cの第三表示面221Cと、第四灯具2Dの第四表示面221Dは、互いに異なる表示態様で表示されるため、移動体1のより複雑な状態を示すことができる。
【0062】
本実施形態では、第一ひさし133は、背もたれ132の後面のみに設けられた例を例示しているが、移動体1に設けられる第一ひさし133の場所は、背もたれ132の後面に限定されない。第一ひさし133は、たとえば移動体1の前部11Fに設けられてもよい。第二ひさし134も同様である。
【0063】
本実施形態では、移動体1に第一ひさし133あるいは第二ひさし134が設けられ、灯具2が第一ひさし133の下あるいは第二ひさし134の上に取り付けられるように構成されているが、移動体1にひさしが設けられていなくてもよい。移動体1の本体11に凹み部が形成され、灯具2は当該凹み部に取り付けられてもよい。たとえば、移動体1の背もたれ132に凹み部が形成されており、灯具2は、当該凹み部から突出しないように、背もたれ132に埋め込まれるように取り付けられてもよい。この場合、灯具2は凹み部の内部に埋め込まれているため、太陽光の光が直接灯具2に当たりにくい。したがって凹み部は、第一ひさし133あるいは第二ひさし134と同様の効果を発揮することができる。
【符号の説明】
【0064】
1:移動体
11:本体
11F:前部
11R:後部
11S:側部
11C:稜部
12:ハンドル
13:座席
131:座椅子
132:背もたれ
133:第一ひさし
134:第二ひさし
2:灯具
2A:第一灯具
2B:第二灯具
2C:第三灯具
2D:第四灯具
21:光源ユニット
211:光源
212:基板
22:アウタレンズ
221:表示面
221A:第一表示面
221B:第二表示面
221C:第三表示面
221D:第四表示面
P,P00,P01,P02,P11,P21,P31,P01D,P01B,P01L,P01C,P01R,SP01,SP01L,SP01C,SP01R,SP00,SP00L,SP00C,SP00R:表示態様
D1,D1A,D1B,D1C,D1D:第一方向