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▶ 株式会社マルカンの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118163
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】ペットフードの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23K 50/40 20160101AFI20240823BHJP
   A23K 10/20 20160101ALI20240823BHJP
   A01K 15/02 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
A23K50/40
A23K10/20
A01K15/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024436
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】594033846
【氏名又は名称】株式会社マルカン
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100174827
【弁理士】
【氏名又は名称】治下 正志
(72)【発明者】
【氏名】松本 幸彦
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005AA07
2B150AA06
2B150AB20
2B150AE07
2B150AE25
2B150AE26
2B150BD06
2B150CD02
2B150DD01
(57)【要約】
【課題】人工ガムに畜肉が好適に付着されたペットフードを効率良く製造することができるペットフードの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】粒状の畜肉及びグリセリンを含む組成物を人工ガムに付着させる第1付着工程と、前記組成物を付着させた前記人工ガムを生乾き状態まで乾燥させる第1乾燥工程と、前記生乾き状態まで乾燥させた前記人工ガムに前記組成物を付着させる第2付着工程とを備えるペットフードの製造方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状の畜肉及びグリセリンを含む組成物を人工ガムに付着させる第1付着工程と、
前記組成物を付着させた前記人工ガムを生乾き状態まで乾燥させる第1乾燥工程と、
前記生乾き状態まで乾燥させた前記人工ガムに前記組成物を付着させる第2付着工程とを備えるペットフードの製造方法。
【請求項2】
前記人工ガムは、生皮とデンプンとを含む請求項1に記載のペットフードの製造方法。
【請求項3】
前記人工ガムは、鶏アキレス及び牛アキレスの少なくともいずれか一方をさらに含む請求項2に記載のペットフードの製造方法。
【請求項4】
前記第1乾燥工程における前記乾燥は、前記人工ガムの含水率が20~30質量%になるまでの乾燥である請求項1に記載のペットフードの製造方法。
【請求項5】
前記第1乾燥工程における前記乾燥は、前記第1乾燥工程後の前記人工ガムの含水率を、前記第1付着工程後の前記人工ガムの含水率から5~15質量%低下させる乾燥である請求項1に記載のペットフードの製造方法。
【請求項6】
前記第1付着工程及び前記第2付着工程は、前記人工ガムを前記組成物とともに混合することによって、前記人工ガムに前記組成物を付着させる請求項1に記載のペットフードの製造方法。
【請求項7】
前記混合は、タンブラで行う請求項6に記載のペットフードの製造方法。
【請求項8】
前記第2付着工程で前記組成物を付着させた前記人工ガムを乾燥させる第2乾燥工程をさらに備える請求項1~7のいずれか1項に記載のペットフードの製造方法。
【請求項9】
前記第2乾燥工程における前記乾燥は、前記人工ガムの含水率が13~18質量%になるまでの乾燥である請求項8に記載のペットフードの製造方法。
【請求項10】
前記畜肉が、鶏むね肉、鶏ささみ、豚肉、及び牛赤身肉からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のペットフードの製造方法。
【請求項11】
前記ペットフードは、犬用である請求項1に記載のペットフードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットフードの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ペット(愛玩動物)の中には、例えば、犬等の、物体をかむことを楽しむ動物がいることが知られている。この物体をかむという欲求を満足させること等を目的として、牛や鶏等の動物の生皮(ローハイド)を用いたペット用ガムをペットに与えることがある。生皮を用いたペット用ガムとしては、例えば、シート状の生皮を巻いてロール状の棒型にしたもの、及び短冊状に裁断した生皮を折り畳んでから両端を玉結びして骨形状に形成しもの等が挙げられる。このようなペット用ガムは、生皮からなるもの等の、生皮が主成分であることから、味等が犬等のペットの嗜好に合わなかったり、特に、小型犬及び老犬等に与えた場合には、長時間かみ続けることが困難である等の問題があった。また、ペット用ガムとしては、生皮が主成分であるもの以外に、例えば、粉砕した生皮とデンプン等の結着剤とを混合し、その混合物を棒状に形成した人工ガム等も挙げられる。このような人工ガムも、種々検討されているが、ペットが好む味へのさらなる改善及びよりあきにくくすること等を求めて、前記人工ガム等の芯材に、肉等を付着させたペットフードが提供されている。このような肉等を付着させたペットフードとしては、例えば、特許文献1に記載のペット用スナック及び特許文献2に記載の棒状ペットフード等が挙げられる。
【0003】
特許文献1には、牛皮ガム等を略棒状に成形した芯材の周囲に、鶏肉、牛肉、豚肉その他の畜肉からなる肉質材を螺旋状に巻き付けたペット用スナックにおいて、上記肉質材は、芯材に巻き付けた螺旋状部の側部を、芯材の長さ方向に延びる直線状部によって一体に連繋した形状に成形されたペット用スナックが記載されている。特許文献1によれば、芯材に巻き付けられる肉質材の螺旋状部が、芯材の長さ方向に延びる直線状部によって一体に連繋された形状をなしているので、肉質材全体が芯材から剥がれにくくなる旨が開示されている。
【0004】
特許文献2には、芯材に肉質材が螺旋状に巻き付いた棒状ペットフードであって、前記芯材は、少なくとも蛋白質及び澱粉を栄養成分として含有する素材を混合・混練した後、棒状に成形して乾燥させたものであり、前記肉質材は、肉のミンチを型に入れて成形した略長方形状のミンチ成形シートを乾燥させたものであり、前記肉質材は、乾燥させた前記ミンチ成形シートが2枚以上長手方向に接続して構成される棒状ペットフードが記載されている。特許文献2によれば、肉質材が芯材から剥がれ難い、安価かつ高品質な棒状ペットフード及びその効率的な製造方法を提供することができる旨が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-17811号公報
【特許文献2】特開2016-47027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、前記ペット用スナックは、前記肉質材を前記芯材に巻き付けて、熱風乾燥することにより製造される旨が記載されている。また、特許文献2には、ミンチにし肉を略長方形状に成形した2枚以上のミンチ成形シートを、前記芯材の外周に巻回させて、前記ミンチ成形シート同士の長手方向端部を接続させるとともに、前記ミンチ成形シートを前記芯材に螺旋状に巻き付け、前記芯材に巻き付けた前記ミンチ成形シートを乾燥させることにより製造される旨が記載されている。人工ガム等の芯材に肉等を付着させたペットフードを製造する際には、上記のように、芯材に肉等を巻き付けて製造する場合があった。芯材への肉等の巻き付けは、煩雑であることが多く、例えば、人が巻き付けることもあり、このような場合は、製造効率を充分に高めることができなかった。
【0007】
本発明は、かかる事情を鑑みてなされた発明であって、人工ガムに畜肉が好適に付着されたペットフードを効率良く製造することができるペットフードの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、種々検討した結果、以下の本発明により、上記目的は達成されることを見出した。
【0009】
本発明の第1の態様に係るペットフードの製造方法は、粒状の畜肉及びグリセリンを含む組成物を人工ガムに付着させる第1付着工程と、前記組成物を付着させた前記人工ガムを生乾き状態まで乾燥させる第1乾燥工程と、前記生乾き状態まで乾燥させた前記人工ガムに前記組成物を付着させる第2付着工程とを備えるペットフードの製造方法である。
【0010】
このような構成によれば、粒状の畜肉及びグリセリンを含む組成物を付着させた人工ガムを生乾き状態まで乾燥させた後に、前記組成物を再度付着させることによって、前記組成物に含まれる畜肉が前記人工ガムに好適に付着されたペットフードが得られる。また、この製造方法は、グリセリンを含む流動性のある組成物を付着させた後に、前記生乾き状態までの乾燥をすることによって、前記組成物に含まれる畜肉が前記人工ガムに好適に付着されることから、前記ペットフードを効率良く製造することができる。例えば、この製造方法は、鱗片状の肉及びシート状のミンチ等を人工ガムに巻き付ける方法等の他の方法より、効率良く製造することができる。よって、人工ガムに畜肉が好適に付着されたペットフードを効率良く製造することができるペットフードの製造方法を提供することができる。
【0011】
本発明の第2の態様に係るペットフードの製造方法は、本発明の第1の態様に係るペットフードの製造方法において、前記人工ガムは、生皮とデンプンとを含むことが好ましい。
【0012】
このような構成によれば、ペットが好む味に改善しやすいだけではなく、人工ガムに畜肉がより好適に付着されたペットフードを効率良く製造することができる。このことは、以下のことによると考えられる。まず、粒状の畜肉及びグリセリンを含む組成物を前記人工ガムに付着させると、前記人工ガムに含まれるデンプンが、前記畜肉に含まれていた水分等の、前記組成物に含まれていた水分によって、糊のような粘着性の比較的高い成分になると考えられる。そして、その後、前記人工ガムを生乾き状態まで乾燥させても、デンプンの粘着性が高まった状態が維持されると考えられる。このような粘着性が高まった状態となったデンプンを含む人工ガムに、粒状の畜肉及びグリセリンを含む組成物を再度付着させることによって、前記人工ガムに畜肉がより好適に付着されると考えられる。よって、人工ガムに畜肉がより好適に付着されたペットフードを効率良く製造することができると考えられる。
【0013】
本発明の第3の態様に係るペットフードの製造方法は、本発明の第2の態様に係るペットフードの製造方法において、前記人工ガムは、鶏アキレス及び牛アキレスの少なくともいずれか一方をさらに含んでいてもよい。
【0014】
このような構成によれば、鶏アキレス及び牛アキレスの少なくともいずれか一方を含む人工ガムであっても、この人工ガムに畜肉が好適に付着されたペットフードを効率良く製造することができる。また、鶏アキレス及び牛アキレスの少なくともいずれか一方をさらに含むことによって、ペットによっては、より好む味に改善しやすくなる場合もある。
【0015】
本発明の第4の態様に係るペットフードの製造方法は、本発明の第1~3のいずれか1つの態様に係るペットフードの製造方法において、前記第1乾燥工程における前記乾燥は、前記人工ガムの含水率が20~30質量%になるまでの乾燥であることが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、前記組成物を再度付着させる前の、生乾き状態までの乾燥が、前記人工ガムの含水率が20~30質量%になるまでの乾燥であることになり、このように乾燥させた人工ガムに前記組成物を再度付着させることによって、前記人工ガムに前記畜肉がより好適に付着される。よって、人工ガムに畜肉がより好適に付着されたペットフードを効率良く製造することができる。
【0017】
本発明の第5の態様に係るペットフードの製造方法は、本発明の第1~4のいずれか1つの態様に係るペットフードの製造方法において、前記第1乾燥工程における前記乾燥は、前記第1乾燥工程後の前記人工ガムの含水率を、前記第1付着工程後の前記人工ガムの含水率から5~15質量%低下させる乾燥であることが好ましい。
【0018】
このような構成によれば、前記組成物を再度付着させる前の、生乾き状態までの乾燥が、前記第1付着工程後の前記人工ガムの含水率から5~15質量%低下させる乾燥であることになり、このように乾燥させた人工ガムに前記組成物を再度付着させることによって、前記人工ガムに前記畜肉がより好適に付着される。よって、人工ガムに畜肉がより好適に付着されたペットフードを効率良く製造することができる。
【0019】
本発明の第6の態様に係るペットフードの製造方法は、本発明の第1~5のいずれか1つの態様に係るペットフードの製造方法において、前記第1付着工程及び前記第2付着工程は、前記人工ガムを前記組成物とともに混合することによって、前記人工ガムに前記組成物を付着させることが好ましい。
【0020】
このような構成によれば、前記第1付着工程及び前記第2付着工程における、前記人工ガムへの前記組成物の付着を簡便かつ効率良く行うことができる。前記人工ガムと前記組成物とを混合することによって、前記人工ガムに前記組成物を付着させることから、例えば、鱗片状の肉及びシート状のミンチ等を前記人工ガムに巻き付ける方法等の他の方法より、効率良い。よって、人工ガムに畜肉が好適に付着されたペットフードをより効率良く製造することができる。
【0021】
本発明の第7の態様に係るペットフードの製造方法は、本発明の第6の態様に係るペットフードの製造方法において、前記混合は、タンブラで行うことが好ましい。
【0022】
このような構成によれば、前記第1付着工程及び前記第2付着工程における、前記人工ガムへの前記組成物の付着をより簡便かつより効率良く行うことができる。よって、人工ガムに畜肉が好適に付着されたペットフードをより効率良く製造することができる。
【0023】
本発明の第8の態様に係るペットフードの製造方法は、本発明の第1~7のいずれか1つの態様に係るペットフードの製造方法において、前記第2付着工程で前記組成物を付着させた前記人工ガムを乾燥させる第2乾燥工程をさらに備えてもよい。
【0024】
このような構成によれば、人工ガムに畜肉が好適に付着されたペットフードであって、かつ、充分に乾燥されたペットフードを製造することができる。
【0025】
本発明の第9の態様に係るペットフードの製造方法は、本発明の第8の態様に係るペットフードの製造方法において、前記第2乾燥工程における前記乾燥は、前記人工ガムの含水率が13~18質量%になるまでの乾燥であることが好ましい。
【0026】
このような構成によれば、人工ガムに畜肉が好適に付着されたペットフードであって、かつ、より乾燥されたペットフードを製造することができる。
【0027】
本発明の第10の態様に係るペットフードの製造方法は、本発明の第1~9のいずれか1つの態様に係るペットフードの製造方法において、前記畜肉が、鶏むね肉、鶏ささみ、豚肉、及び牛赤身肉からなる群から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
【0028】
このような構成によれば、前記人工ガムに付着させる畜肉が、鶏むね肉、鶏ささみ、豚肉、及び牛赤身肉のいずれであっても、このような畜肉が人工ガムに好適に付着されたペットフードを効率良く製造することができる。
【0029】
本発明の第11の態様に係るペットフードの製造方法は、本発明の第1~10のいずれか1つの態様に係るペットフードの製造方法において、前記ペットフードは、犬用であることが好ましい。
【0030】
このような構成によれば、犬用ペットフードとして、人工ガムに畜肉が好適に付着されたペットフードを効率良く製造することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、人工ガムに畜肉が好適に付着されたペットフードを効率良く製造することができるペットフードの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0033】
本発明の一実施形態に係るペットフードの製造方法は、粒状の畜肉及びグリセリンを含む組成物を人工ガムに付着させる第1付着工程と、前記組成物を付着させた前記人工ガムを生乾き状態まで乾燥させる第1乾燥工程と、前記生乾き状態まで乾燥させた前記人工ガムに前記組成物を付着させる第2付着工程とを備える。このように、前記組成物を付着させた人工ガムを生乾き状態まで乾燥させた後に前記組成物を再度付着させる場合は、前記人工ガムに前記組成物を付着させるだけで、その後、生乾き状態まで乾燥させた後の前記組成物の再度の付着(再付着)をしない場合より、前記組成物に含まれる畜肉が前記人工ガムに多く付着される。よって、前記製造方法は、前記畜肉が前記人工ガムに好適に付着されたペットフードが得られる。また、前記人工ガムに多くの肉を付着させるために、例えば、鱗片状の肉及びシート状のミンチ等を人工ガムに巻き付けることも考えられるが、この肉等を人工ガムに巻き付ける方法より、前記製造方法では、効率良く製造することができる。すなわち、前記製造方法は、グリセリンを含む流動性のある組成物を付着させた後に、前記生乾き状態までの乾燥をすることによって、前記組成物に含まれる畜肉が前記人工ガムに好適に付着されることから、前記ペットフードを効率良く製造することができる。よって、前記製造方法は、人工ガムに畜肉が好適に付着されたペットフードを効率良く製造することができる。
【0034】
前記第1付着工程は、粒状の畜肉及びグリセリンを含む組成物を人工ガムに付着させることができれば、特に限定されない。前記第1付着工程としては、例えば、前記人工ガムを前記組成物とともに混合する方法、前記人工ガムに前記組成物を塗布する方法、前記人工ガムに前記組成物を吹き付ける方法、及び前記人工ガムを前記組成物に浸漬させる方法等が挙げられる。前記第1付着工程としては、この中でも、例えば、前記人工ガムを前記組成物とともに混合することによって、前記人工ガムに前記組成物を付着させることが、前記ペットフードの製造効率を高める点から好ましい。すなわち、このような混合は、例えば、鱗片状の肉及びシート状のミンチ等を前記人工ガムに巻き付ける方法等の他の方法より、前記ペットフードを効率良く製造することができる。また、前記混合は、前記人工ガムと前記組成物とを混合することができれば、特に限定されず、例えば、V型混合機等のミキサを用いた混合及びタンブラを用いた混合等が挙げられる。前記混合は、この中でも、タンブラで行うことが、前記人工ガムへの前記組成物の付着をより簡便かつより効率良く行うことができる点から好ましい。
【0035】
前記組成物は、粒状の畜肉とグリセリンとを含んでいれば、特に限定されず、流動性のある組成物である。前記組成物としては、例えば、前記畜肉をグリセリンに漬け込んだ組成物等が挙げられる。前記組成物としては、例えば、粒状の畜肉とグリセリンとを含むペースト状の組成物等であって、前記畜肉をグリセリンに漬け込んで得られるペースト状の組成物等が挙げられる。前記グリセリンの含有量は、前記組成物に対して、0.5~10質量%であることが好ましく、1~5質量%であることがより好ましい。
【0036】
前記畜肉としては、ペットの食に供することができる(ペットが食べることができる)畜肉であれば、特に限定されず、例えば、鶏むね肉及び鶏ささみ等の鶏肉、豚肉、及び牛赤身肉等の牛肉等が挙げられ、この中でも、鶏むね肉、鶏ささみ、豚肉、及び牛赤身肉が好ましく、鶏ささみがより好ましい。前記製造方法であれば、このような畜肉が人工ガムに好適に付着されたペットフードを効率良く製造することができる。また、前記畜肉は、粒状であり、例えば、チップ状、フレーク状、薄片状、破片状、及びミンチ状(ひき肉状)等の畜肉等が挙げられ、より具体的には、鶏ささみチップ(鶏ささみ破片)等が挙げられる。前記粒状の畜肉は、例えば、畜肉を粉砕することによって得られる。すなわち、前記畜肉としては、例えば、粉砕した鶏ささみ等の、粉砕した畜肉等が挙げられる。前記粒状の畜肉は、その大きさとして、例えば、ひき肉程度(2~3mm)であってもよいし、長径×短径で、10mm×15mm、8mm×40mm、10mm×50mm等のひき肉より大きくてもよい。
【0037】
前記組成物には、前記畜肉及びグリセリン以外の成分を含んでいてもよい。前記組成物には、前記畜肉由来の水が含まれているが、別途、水を含有させてもよい。すなわち、前記畜肉及びグリセリン以外の成分としては、例えば、水等が挙げられる。なお、前記畜肉には、塩分も含まれている。
【0038】
前記人工ガムは、ペットに与えることができる人工ガムであれば、特に限定されず、例えば、生皮からなる人工ガムであってもよいし、生皮と他の成分とを含む人工ガムであってもよい。前記人工ガムとしては、この中でも、ペットが好む味に改善しやすい点だけではなく、前記畜肉をより付着させることができる点から、生皮とデンプンとを含む人工ガムが好ましく、鶏アキレス及び牛アキレスの少なくともいずれか一方をさらに含むんでいてもよい。前記人工ガムが、生皮からなるものではなく、デンプンを含有させることにより、その含有量を調整したり、生皮の大きさ等を調整することによって、ペットの好みに応じた味に調整することができる。また、デンプンを含む人工ガムに前記組成物を付着させると、前記デンプンが、前記畜肉に含まれていた水分等の、前記組成物に含まれていた水分によって、糊のような粘着性の比較的高い成分になると考えられる。その後、前記人工ガムを生乾き状態まで乾燥させても、デンプンの粘着性が高まった状態が維持されると考えられる。このような粘着性が高まった状態となったデンプンを含む人工ガムに、前記組成物を付着させることによって、前記人工ガムに前記畜肉がより好適に付着されると考えられる。これらのことから、デンプンを含む人工ガムであると、前記人工ガムに前記畜肉をより好適に付着することができると考えられる。また、鶏アキレス及び牛アキレスの少なくともいずれか一方をさらに含むことによって、ペットによっては、より好む味に改善しやすくなる場合もある。また、前記人工ガムには、グリセリンを含有してもよい。前記グリセリンの含有量としては、特に限定されず、例えば、好適な形状の人工ガムが得られやすいという点で、0.1~3質量%であることが好ましく、0.3~2質量%であることがより好ましく、例えば、0.6質量%等が挙げられる。
【0039】
前記生皮は、ペットの食に供することができる皮であれば、特に限定されず、例えば、牛皮、豚皮、羊皮、猪皮、鹿皮、及び鶏皮等の動物の皮由来の生皮(ローハイド)等が挙げられ、この中でも、牛皮由来の生皮等が好ましく用いられる。前記牛皮由来の生皮としては、例えば、牛皮の内側の部分等が好ましい。また、前記生皮は、前記生皮からなる前記人工ガムに用いられる場合、例えば、シート状であってもよいし、シート状の生皮を裁断した短冊状であってもよい。すなわち、前記人工ガムとしては、例えば、シート状の生皮を巻いてロール状の棒型にしたもの、及び短冊状に裁断した生皮を折り畳んでから両端を玉結びして骨形状に形成しもの(骨型ガム及びカミングチューイングボーン)等が挙げられる。また、前記生皮は、前記生皮及びデンプン等の他の成分を含む前記人工ガムに用いられる場合、例えば、粉砕した生皮等が挙げられ、すなわち、細片状の生皮(ローハイドチップ)及び粉末状の生皮等が挙げられる。より具体的には、生皮を細片状に粉砕した粉砕物及び生皮を粉末状に粉砕した粉砕物等が挙げられる。すなわち、前記人工ガムとしては、例えば、細片又は粉末に破砕された生皮を、デンプンとともに混合又は混練したものを成形して得られた人工ガム等が挙げられる。より具体的には、細片又は粉末に破砕された生皮及びデンプンに、必要に応じて、牛アキレス及び鶏アキレス等の他の成分を添加したものを混合又は混練した後、押し出し成形等によって成形し、この成形されたものを所定の長さで切断して得られた人工ガム等が挙げられる。また、前記デンプンとしては、特に限定されず、例えば、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)、バレイショデンプン、及び小麦デンプン等が挙げられ、この中でも、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)が好ましい。また、前記牛アキレス及び前記鶏アキレスは、ペットに与えることができるものであれば、特に限定されない。また、前記牛アキレス及び前記鶏アキレスの含有量は、前記人工ガムに対して、1~30質量%であることが好ましく、5~20質量%であることがより好ましい。
【0040】
前記人工ガムとしては、具体的には、ローハイドチップ等の牛皮とデンプンとを含む人工ガム、牛皮とデンプンとグリセリンとを含む人工ガム、牛皮と牛アキレスとデンプンとを含む人工ガム、牛皮と牛アキレスとデンプンとグリセリンとを含む人工ガム、牛皮と鶏アキレスとデンプンとを含む人工ガム、及び牛皮と鶏アキレスとデンプンとグリセリンとを含む人工ガム等が挙げられる。
【0041】
また、前記第1付着工程の条件は、前記人工ガムに前記組成物が好適に付着される条件であれば、特に限定されず、前記第1付着工程を前記混合で行う場合、その混合時間が、例えば、5~60分間であることが好ましく、10~30分間であることがより好ましく、例えば、20分間等が挙げられる。また、その混合時の前記人工ガム及び前記組成物の温度が、例えば、10~35℃であることが好ましく、20~30℃であることがより好ましい。より具体的には、前記混合としては、加熱も冷却もしない混合等が挙げられる。また、前記第1付着工程後の前記人工ガムの含水率は、特に限定されず、25~45質量%であることが好ましく、30~40質量%であることがより好ましく、32~37質量%であることがさらに好ましい。すなわち、前記第1付着工程の条件としては、前記人工ガムの含水率が上記範囲内になるような条件等が挙げられる。なお、各人工ガムの含水率は、例えば、飼料分析基準に収載された乾燥減量試験法によって測定することができる。すなわち、各人工ガムの含水率としては、前記乾燥減量試験法によって算出される乾燥減量等が挙げられる。また、各人工ガムの含水率は、赤外線照射による加熱乾燥法によっても測定することができる。前記乾燥減量試験法及び前記赤外線照射による加熱乾燥法は、試験対象物の乾燥による質量変化により、試験対象物の含水率を測定する点は共通しており、含水率(質量%)は、乾燥によって減少した質量(mg)を、試験対象物(人工ガム)の質量(mg)で除した値に100を乗じた値[試験対象物(人工ガム)の含水率(質量%) = 乾燥によって減少した質量(mg) / 試験対象物(人工ガム)の質量(mg) × 100]である。なお、前記乾燥減量試験法及び前記赤外線照射による加熱乾燥法のどちらで測定しても、得られる測定値に大きな差はないが、本明細書では、赤外線照射による加熱乾燥法によって得られた測定値を用いる。また、前記赤外線照射による加熱乾燥法による測定は、例えば、試験対象物を赤外線照射によって加熱乾燥させ、含まれていた水分の蒸発による質量変化から、水分又は固形分を求める水分計(赤外線水分計)を用いて測定することができる。
【0042】
前記第1乾燥工程は、前記組成物を付着させた前記人工ガム(前記第1付着工程後の前記人工ガム)を生乾き状態まで乾燥させることができれば、特に限定されない。前記第1乾燥工程における乾燥は、特に限定されず、例えば、空気乾燥、加熱乾燥、真空乾燥、及び凍結乾燥等が挙げられ、この中でも、加熱乾燥が好ましい。前記乾燥としては、例えば、メッシュろ過及び吸引ろ過等のろ過、及び遠心分離等による水分の除去(脱水)であってもよいし、加熱乾燥等をする前に前記脱水を行ってもよい。前記第1乾燥工程の条件は、前記組成物を付着させた前記人工ガムを生乾き状態まで乾燥させることができる条件であれば、特に限定されず、前記第1乾燥工程を前記加熱乾燥で行う場合、その加熱温度が、例えば、30~70℃であることが好ましく、50~60℃であることがより好ましい。また、その加熱時間が、例えば、0.5~4時間であることが好ましく、0.5~2時間であることがより好ましく、例えば、1時間等が挙げられる。また、前記第1乾燥工程後の前記人工ガムの含水率は、特に限定されず、15~35質量%であることが好ましく、20~30質量%であることがより好ましく、24~26質量%であることがさらに好ましい。前記第1乾燥工程としては、前記人工ガムの含水率が上記範囲内になるような乾燥であることが、このように乾燥させた人工ガムに前記組成物を再度付着させることによって、前記人工ガムに前記畜肉がより付着されやすくなる点から好ましい。すなわち、前記第1乾燥工程の条件としては、前記人工ガムの含水率が上記範囲内になるような条件であることが好ましい。また、前記生乾き状態とは、充分に乾燥されていない状態であり、具体的には、例えば、前記人工ガムの含水率が上記範囲内になるような状態等が挙げられる。また、前記第1乾燥工程における前記乾燥は、前記第1乾燥工程後の前記人工ガムの含水率を、前記第1付着工程後の前記人工ガムの含水率から5~15質量%低下させる乾燥であることが、このように乾燥させた人工ガムに前記組成物を再度付着させることによって、前記人工ガムに前記畜肉がより付着されやすくなる点から好ましい。前記第1乾燥工程後の前記人工ガムの含水率が、前記第1付着工程後の前記人工ガムの含水率に対して、5~15質量%低いことが好ましく、6~11質量%低いことがより好ましい。
【0043】
前記第2付着工程は、前記生乾き状態まで乾燥させた前記人工ガムに前記組成物を付着させることができれば、特に限定されない。前記組成物は、粒状の畜肉及びグリセリンを含む組成物であれば、特に限定されず、例えば、前記第1付着工程における前記組成物と同様の組成物を用いることができる。また、前記第2付着工程の操作としては、前記第1付着工程と同様の方法が挙げられる。また、前記第2付着工程は、前記第1付着工程と同様、前記人工ガムを前記組成物とともに混合することによって、前記人工ガムに前記組成物を付着させること、さらに、前記混合をタンブラで行うことが、前記ペットフードの製造効率を高める点から好ましい。前記第2付着工程の条件は、前記人工ガムに前記組成物が好適に付着される条件であれば、特に限定されず、前記第2付着工程を前記混合で行う場合、その混合時間が、例えば、5~60分間であることが好ましく、10~30分間であることがより好ましく、例えば、20分間等が挙げられる。また、その混合時の前記人工ガム及び前記組成物の温度が、例えば、10~35℃であることが好ましく、20~30℃であることがより好ましい。より具体的には、前記混合としては、加熱も冷却もしない混合等が挙げられる。また、前記第2付着工程後の前記人工ガムの含水率は、特に限定されず、20~40質量%であることが好ましく、25~35質量%であることがより好ましく、27~33質量%であることがさらに好ましい。すなわち、前記第2付着工程の条件としては、前記人工ガムの含水率が上記範囲内になるような条件等が挙げられる。また、前記第2付着工程で、前記人工ガムに前記畜肉が好適に付着するのは、前記畜肉に含まれる塩分によって、前記畜肉同士がくっつきやすくなる点も寄与していると考えられる。
【0044】
前記製造方法は、上述したように、前記第1付着工程、前記第1乾燥工程、及び前記第2付着工程を備えることによって、前記第1乾燥工程及び前記第2付着工程を備えない場合と比較して、前記人工ガムに多くの前記畜肉を付着させることができる。さらに、前記製造方法は、前記第1付着工程を前記混合で行い、かつ、その混合時間を長くした場合よりも、前記人工ガムに多くの前記畜肉を付着させることができる。
【0045】
前記製造方法は、前記第1付着工程、前記第1乾燥工程、及び前記第2付着工程を備えていればよく、前記第1乾燥工程と前記第2付着工程との組み合わせを1回行う方法であってもよいし、前記第1乾燥工程と前記第2付着工程との組み合わせを2回以上行ってもよい。すなわち、前記製造方法は、前記人工ガムを生乾き状態まで乾燥させ、前記生乾き状態まで乾燥させた前記人工ガムに前記組成物を付着させる工程を1回行ってもよいし、この工程を2回以上行ってもよい。このような、前記生乾き状態までの乾燥とその後の前記組成物の再付着とを行う回数を増やすと、前記人工ガムに付着される前記畜肉の量が増えることから、この点では、2回以上であることが好ましい。その一方で、前記生乾き状態までの乾燥とその後の前記組成物の再付着とを1回行えば、前記組成物に含まれる畜肉が前記人工ガムに充分に付着されることから、製造効率を高めるという点では、1回が好ましい。
【0046】
前記製造方法は、前記第1付着工程、前記第1乾燥工程、及び前記第2付着工程を備えていればよく、他の工程を備えていてもよい。前記他の工程としては、例えば、前記第2付着工程で前記組成物を付着させた前記人工ガムを乾燥させる第2乾燥工程等が挙げられる。すなわち、前記製造方法は、前記第2付着工程で前記組成物を付着させた前記人工ガムを乾燥させる第2乾燥工程をさらに備えてもよい。前記第2乾燥工程は、特に限定されず、例えば、この工程を行うことで、前記人工ガムが最終的に得られるペットフードになる乾燥等が挙げられる。この第2乾燥工程も実施することによって、人工ガムに畜肉が好適に付着されたペットフードであって、かつ、充分に乾燥されたペットフードを製造することができる。前記第2乾燥工程における乾燥としては、前記第1乾燥工程と同様の方法が挙げられる。また、前記第2乾燥工程は、前記第1乾燥工程と同様、加熱乾燥が好ましい。前記第2乾燥工程の条件は、特に限定されず、例えば、前記人工ガムが最終的に得られるペットフードになる条件等が挙げられ、具体的には、前記第2乾燥工程を前記加熱乾燥で行う場合、その加熱温度が、例えば、50~80℃であることが好ましく、55~75℃であることがより好ましく、60~70℃であることがさらに好ましい。また、その加熱時間が、例えば、4~12時間であることが好ましく、5~9時間であることがより好ましく、6~8時間であることがさらに好ましい。また、鶏アキレスを含む人工ガムを用いた場合は、加熱温度が、例えば、50~70℃であることが好ましく、55~65℃であることがより好ましい。また、加熱時間が、例えば、4~8時間であることが好ましく、5~7時間であることがより好ましい。牛アキレスを含む人工ガムを用いた場合は、加熱温度が、例えば、60~80℃であることが好ましく、65~75℃であることがより好ましい。また、加熱時間が、例えば、6~10時間であることが好ましく、7~9時間であることがより好ましい。また、前記第2乾燥工程後の前記人工ガムの含水率は、特に限定されず、10~20質量%であることが好ましく、13~18質量%であることがより好ましく、14~17質量%であることがさらに好ましい。前記第2乾燥工程としては、前記人工ガムの含水率が上記範囲内になるような乾燥であることが、人工ガムに畜肉が好適に付着されたペットフードであって、かつ、より乾燥されたペットフードを製造することができる点から好ましい。すなわち、前記第2乾燥工程の条件としては、前記人工ガムの含水率が上記範囲内になるような条件であることが好ましい。また、前記第2乾燥工程における前記乾燥は、前記第2乾燥工程後の前記人工ガムの含水率を、前記第1付着工程後の前記人工ガムの含水率から5~15質量%低下させる乾燥であることが、このように乾燥させた人工ガムに前記組成物を再度付着させることによって、前記人工ガムに前記畜肉がより付着されやすくなる点から好ましい。前記第1乾燥工程後の前記人工ガムの含水率が、前記第1付着工程後の前記人工ガムの含水率に対して、8~20質量%低いことが好ましく、10~17質量%低いことがより好ましい。
【0047】
最終的に得られるペットフードには、前記人工ガムに含まれるグリセリン以外にも、前記人工ガムに付着された畜肉内にも、前記組成物由来のグリセリンが含まれる。前記人工ガムに付着された畜肉におけるグリセリンの含有量は、最終的に得られるペットフードに対して、0.1~2質量%であることが好ましく、例えば、0.4質量%等が挙げられる。また、前記ペットフードにおけるグリセリンの含有量は、最終的に得られるペットフードに対して、3質量%以下であることが好ましく、0.1~3質量%であることが好ましく、0.3~2質量%であることがより好ましく、例えば、1質量%等が挙げられる。
【0048】
前記ペットフードは、ペットの食に供することができるものであれば、特に限定されず、例えば、犬用であることが好ましい。すなわち、製造方法によれば、犬用ペットフードとして、人工ガムに畜肉が好適に付着されたペットフードを効率良く製造することができる。また、前記ペットフードとしては、人工ガムに畜肉が付着されたペットフードであれば、その形態は特に限定されず、例えば、ペット用ガム、ペットトリート、ペット用飼料、及びペット用スナック等のいずれであってもよい。また、前記ペットフードは、前記人工ガムに前記畜肉が付着されており、その付着量は、前記ペットフードに対して、15質量%以上であることが好ましく、15~30質量%であることがより好ましく、18~25質量%であることがさらに好ましく、19~23質量%であることが特に好ましい。
【0049】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【実施例0050】
[実施例1]
(人工ガムの製造)
デンプン、牛皮、鶏アキレス、及びグリセリンを、以下の含有量となるように混合し、得られた混合物を押し出し成形した。デンプン、牛皮、鶏アキレス、及びグリセリンの各含有量は、最終的に得られるペットフード(鶏ささみを付着させた人工ガム)において、このペットフードに対する含有量で、それぞれ、2質量%、72質量%、5質量%、及び0.6質量%となるような含有量であった。すなわち、最終的に得られるペットフードに対する各成分の含有量が、前記各含有量となるように混合させた。なお、グリセリンは、下記組成物の付着によっても、付着されることから、最終的に得られるペットフードにおけるグリセリンの含有量は、1質量%であった。得られた成形品を、60℃で4時間乾燥し、乾燥後の成形品を所定の長さになるように切断し、さらに、所望の形状になるように、手作業で割いた。そうすることによって、人工ガムが得られた。
【0051】
(ペットフードの製造)
まず、冷凍した鶏ささみを解凍し、解凍した鶏ささみをわずかに粉砕し(半粉砕し)、粉砕した鶏ささみをグリセリンに漬け込んだ。このようにして、鶏ささみ及びグリセリンを含む組成物を調製した。
【0052】
前記組成物と前記人工ガムとをタンブラで20分間混ぜた後、前記タンブラから人工ガムから取り出した(第1付着工程)。これにより、前記組成物を付着させた前記人工ガムが得られた。この人工ガム(第1付着工程後の人工ガム)の含水率を、赤外線水分計(SHANGPING社製のDHS16-A)を用いて測定すると、32質量%であった。なお、人工ガムの含水率は、以下も、前記赤外線水分計を用いて測定した。
【0053】
その後、前記組成物を付着させた前記人工ガムを、50~60℃で1時間、乾燥させた。これにより、前記人工ガムが生乾き状態まで乾燥された(第1乾燥工程)。この人工ガム(第1乾燥工程後の人工ガム)の含水率は、26質量%であった。なお、ここでの第1乾燥工程後の人工ガムの含水率は、第1付着工程後の人工ガムの含水率より6質量%低下した。
【0054】
そして、この生乾き状態まで乾燥させた前記人工ガムと前記組成物(グリセリンに漬け込んだ鶏ささみ)とをタンブラで20分間混ぜた後、前記タンブラから人工ガムから取り出した(第2付着工程)。これにより、前記組成物を付着させた前記人工ガムが得られた。この人工ガム(第2付着工程後の人工ガム)の含水率は、31質量%であった。
【0055】
その後、前記組成物を付着させた前記人工ガムを、60℃で6時間、乾燥させた(第2乾燥工程)。そうすることによって、鶏ささみが付着された人工ガムであるペットフードを製造することができた。このペットフード(第2乾燥工程後の人工ガム)の含水率は、15質量%であった。
【0056】
このようにして得られた前記ペットフードにおける、前記鶏ささみの付着量は、最終的に得られるペットフード(鶏ささみを付着させた人工ガム)に対して、20質量%であった。この付着量は、前記第1付着工程前の人工ガムの質量と、前記ペットフード(第2乾燥工程後の人工ガム)の質量とから算出することができる。すなわち、前記ペットフードの質量と前記第1付着工程前の人工ガムの質量との差分を前記ペットフードの質量で除した値に100をかけることによって算出できる。
【0057】
なお、前記第1付着工程及び前記第2付着工程で使用する前記組成物の量、及び前記組成物における鶏ささみ及びグリセリンの含有量は、鶏ささみ及びグリセリンの各含有量は、最終的に得られるペットフードにおいて、前記ペットフードに対する含有量で、それぞれ、20質量%及び1質量%となるような量であった。なお、グリセリンの含有量は、前記人工ガムにおける含有量が、0.6質量%であることから、前記人工ガムに付着される前記鶏ささみの部分における含有量が、0.4質量%であることがわかった。
【0058】
なお、前記含水率及び前記付着率は、製造したサンプルによって、多少の変動があった。具体的には、この実施例1については複数回実施した場合、第1付着工程後、第1乾燥工程後、第2付着工程後、第2乾燥工程後のそれぞれの、人工ガムの含水率が、32質量%、26質量%、31質量%、及び15質量%の例(前記例:サンプル1)、33質量%、25質量%、33質量%、及び16質量%の例(サンプル2)、35質量%、24質量%、27質量%、及び17質量%の例(サンプル3)、及び、37質量%、27質量%、31質量%、及び14質量%の例(サンプル4)等があった。また、前記付着量が、前記サンプル1の場合、20質量%であり、前記サンプル2の場合、21質量%であり、前記サンプル3の場合、23質量%であり、前記サンプル4の場合、19質量%であった。
【0059】
[実施例2]
鶏アキレスの代わりに牛アキレスを用い、さらに、第2乾燥工程における条件を、60℃で6時間乾燥の代わりに、70℃で8時間乾燥に変えたこと以外は、実施例1と同様に行った。また、第1付着工程後、第1乾燥工程後、第2付着工程後、第2乾燥工程後のそれぞれの、人工ガムの含水率が、31質量%、24質量%、28質量%、及び14質量%であった。また、前記鶏ささみの付着量は、最終的に得られたペットフードに対して、20質量%であった。
【0060】
[比較例1]
前記第1乾燥工程及び第2付着工程を行わず、前記第1付着工程における混合時間を20分間から40分間に変更したこと以外、実施例1と同様に行った。このようにして得られたペットフードは、前記鶏ささみの付着量が、最終的に得られたペットフードに対して、12質量%であった。
【0061】
[比較例2]
前記第1乾燥工程及び第2付着工程で用いる組成物として、鶏ささみ及びグリセリンを含む組成物の代わりに、グリセリンを含まない組成物、すなわち、鶏ささみの粉砕物を用いたこと以外、実施例と同様に行った。このようにして得られたペットフードは、前記鶏ささみの付着量が、最終的に得られたペットフードに対して、8質量%であった。
【0062】
以上のことから、前記のようなグリセリンを含有する組成物を付着させた人工ガムを生乾き状態まで乾燥させた後に前記組成物を再度付着させた場合(実施例1及び実施例2)は、前記人工ガムに前記組成物を付着させるだけで、その後、生乾き状態まで乾燥させた後の前記組成物の再度の付着(再付着)をしない場合(比較例1)や前記組成物にグリセリンを含有させない場合(比較例2)より、前記組成物に含まれる畜肉が前記人工ガムに多く付着されることがわかった。また、前記組成物を付着させた人工ガムを生乾き状態まで乾燥させた後に前記組成物を再度付着させたことによって、人工ガムに肉等を巻き付けなくても、前記人工ガムに前記畜肉を多く付着させることができることから、製造効率が高いことがわかった。