(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118165
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】工事一元管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20240823BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024438
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】501221120
【氏名又は名称】明豊ファシリティワークス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115613
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寧司
(72)【発明者】
【氏名】大貫 美
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】施設に散在する工事について、個々の工事の内容をその工事のなされる場所と紐付けて管理する工事一元管理システムを提供する。
【解決手段】工事一元管理システムにおいて、ユーザが所望の工事を選択し図面上にその工事場所をプロットするユーザ操作に基づいて、選択された工事を特定する工事特定事項と、工事特定事項と工事場所とを結ぶ引出し線とを図面上に表示する工事見出し付き図面を作成する管理サーバでは、制御手段が、ユーザ操作に基づいて、記憶手段に記録する管理項目から工事特定事項を抽出して図面上に表示する大きさを決定し、且つ、工事特定事項と引出し線とを配置する図面上の位置を決定し、表示手段が、図面上に工事特定事項と引出し線とを図面上に表示した工事見出し付き図面を作成し、工事関係書面として表示する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事の場所を含む工事の内容を表す複数の管理項目を記録する記憶手段と、
工事関係書面を表示する表示手段と、
前記記憶手段及び前記表示手段を制御し演算を実行する制御手段と、を有し、
工事の場所をその工事の内容(場所を除く)と紐付けて管理する工事一元管理システムにおいて、
ユーザが所望の工事を選択し図面上にその工事場所をプロットするユーザ操作に基づいて、選択された前記工事を特定する工事特定事項と、当該工事特定事項と前記工事場所とを結ぶ引出し線とを前記図面上に表示する工事見出し付き図面の作成につき、
前記制御手段が、前記ユーザ操作に基づいて、前記記憶手段に記録する前記管理項目から前記工事特定事項を抽出して前記図面上に表示する大きさを決定し、且つ前記工事特定事項と前記引出し線とを配置する前記図面上の位置を決定し、
前記表示手段が、前記工事特定事項と前記引出し線とを前記図面上に表示した工事見出し付き図面を作成する
ことを特徴とする工事一元管理システム。
【請求項2】
前記工事見出し付き図面に対して、ユーザが所望の別の工事を選択し当該図面上にその工事場所をプロットするユーザ操作に基づいて、
前記制御手段は、前記工事見出し付き図面に既に表示されている既存の前記工事特定事項及び既存の前記引出し線の配置をキャンセルして、前記別の工事の工事特定事項とその引出し線とともに、既存の前記工事特定事項と既存の前記引出し線の前記工事見出し付き図面上の位置を再決定し、前記表示手段が当該工事見出し付き図面にこれらの工事特定事項及び引出し線を表示した別の工事見出し付き図面を作成する請求項1記載の工事一元管理システム。
【請求項3】
前記工事特定事項を前記図面上の図が示される領域外に表示する請求項1又は請求項2記載の工事一元管理システム。
【請求項4】
前記工事見出し付き図面上の工事特定事項へのプロット等のユーザ操作に基づいて、前記制御手段が前記工事特定事項により特定される工事の内容を表示する工事管理書を特定し、前記表示手段が当該工事管理書を表示することで、前記工事と、前記工事見出し付き図面とを紐付けて管理する請求項1又は請求項2記載の工事一元管理システム。
【請求項5】
前記工事管理書とは別の書面であり、前記工事の内容に関係する写真を表示する写真管理票について、
前記工事管理書に設けたリンク欄へのユーザ操作に基づいて、前記制御手段が前記写真管理票作成に必要な管理項目を前記記憶手段から呼び出し、前記表示手段が当該写真管理票を表示することで、前記写真管理票を前記工事管理書に紐付けて管理する請求項1又は請求項2記載の工事一元管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物や構築物等の建設、修理等の工事にかかる内容をその工事の場所と紐付けて管理する工事一元管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビルや学校、病院、研究所、工場、家等の建物や構築物等の施設を維持、保全するためには、これらの施設について、古くなったり破損したりする部位の修理や交換、これらに関係する種々の定期点検等の工事を行う必要がある。こうした工事を行う箇所は施設の中に点在し、これらをまとめて管理することが効率的である。
【0003】
施設を管理するための文章の管理方法として、例えば特開2018-124680号公報(特許文献1)には、文書へのアクセス方法を工夫した発明がある。しかしながら、施設に点在した工事をまとめて管理する方法についての先行技術文献はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本開示では、施設に散在する工事について、個々の工事の内容をその工事のなされる場所と紐付けて管理できる工事一元管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によるシステムは以下のとおり構成される。即ち、工事の場所を含む工事の内容を表す複数の管理項目を記録する記憶手段と、工事関係書面を表示する表示手段と、前記記憶手段及び前記表示手段を制御し演算を実行する制御手段と、を有し、工事の場所をその工事の内容(場所を除く)と紐付けて管理する工事一元管理システムにおいて、ユーザが所望の工事を選択し図面上にその工事場所をプロットするユーザ操作に基づいて、選択された前記工事を特定する工事特定事項と、当該工事特定事項と前記工事場所とを結ぶ引出し線とを前記図面上に表示する工事見出し付き図面の作成につき、前記制御手段が、前記ユーザ操作に基づいて、前記記憶手段に記録する前記管理項目から前記工事特定事項を抽出して前記図面上に表示する大きさを決定し、且つ前記工事特定事項と前記引出し線とを配置する前記図面上の位置を決定し、前記表示手段が、前記工事特定事項と前記引出し線とを前記図面上に表示した工事見出し付き図面を作成することを特徴とする工事一元管理システムである。
【0007】
本開示の一態様を、工事の場所を含む工事の内容を表す複数の管理項目を記録する記憶手段と、工事関係書面を表示する表示手段と、前記記憶手段及び前記表示手段を制御し演算を実行する制御手段と、を有し、工事の場所をその工事の内容(場所を除く)と紐付けて管理する工事一元管理システムにおいて、ユーザが所望の工事を選択し図面上にその工事場所をプロットするユーザ操作に基づいて、選択された前記工事を特定する工事特定事項と、当該工事特定事項と前記工事場所とを結ぶ引出し線とを前記図面上に表示する工事見出し付き図面の作成につき、前記制御手段が、前記ユーザ操作に基づいて、前記記憶手段に記録する前記管理項目から前記工事特定事項を抽出して前記図面上に表示する大きさを決定し、且つ前記工事特定事項と前記引出し線とを配置する前記図面上の位置を決定し、前記表示手段が、前記工事特定事項と前記引出し線とを前記図面上に表示した工事見出し付き図面を作成することを特徴とする工事一元管理システムとしたため、所定の内容で行われる工事がどの場所に存在するかの確認が容易であり、施設者は工事場所を容易に把握することができる。また、同じ場所での異なる工事が重なったりする不具合を防止するための工事計画の策定が便利になるなど、建物の工事の管理の利便性が向上する。
なお、工事関係書面とは、工事に関係した様々な文書、図面、写真等を意味し、工事管理書や、工事見出し付き図面を含む図面、写真管理票を含む。
【0008】
本開示の一態様は、前記工事見出し付き図面に対して、ユーザが所望の別の工事を選択し当該図面上にその工事場所をプロットするユーザ操作に基づいて、前記制御手段は、前記工事見出し付き図面に既に表示されている既存の前記工事特定事項及び既存の前記引出し線の配置をキャンセルして、前記別の工事の工事特定事項とその引出し線とともに、既存の前記工事特定事項と既存の前記引出し線の前記工事見出し付き図面上の位置を再決定し、前記表示手段が当該工事見出し付き図面にこれらの工事特定事項及び引出し線を表示した別の工事見出し付き図面を作成する工事一元管理システムである。
【0009】
本開示の一態様を、前記工事見出し付き図面に対して、ユーザが所望の別の工事を選択し当該図面上にその工事場所をプロットするユーザ操作に基づいて、前記制御手段は、前記工事見出し付き図面に既に表示されている既存の前記工事特定事項及び既存の前記引出し線の配置をキャンセルして、前記別の工事の工事特定事項とその引出し線とともに、既存の前記工事特定事項と既存の前記引出し線の前記工事見出し付き図面上の位置を再決定し、前記表示手段が当該工事見出し付き図面にこれらの工事特定事項及び引出し線を表示した別の工事見出し付き図面を作成する工事一元管理システムとしたため、新たな工事が生じた場合、又は新たに別の工事を図面上に記したい場合にでも既存の工事見出し付き図面上にその工事の工事特定事項と工事場所を、既存の工事特定事項とかぶることなく表示することができる。
【0010】
本開示の一態様は、前記工事特定事項を前記図面上の図が示される領域外に表示する工事一元管理システムである。
本開示の一態様を、前記工事特定事項を前記図面上の図が示される領域外に表示する工事一元管理システムとしたため、図面上の図の表示内容を損なわずに、工事内容を表示することができる。
【0011】
本開示の一態様は、前記工事見出し付き図面上の工事特定事項へのプロット等のユーザ操作に基づいて、前記制御手段が前記工事特定事項により特定される工事の内容を表示する工事管理書を特定し、前記表示手段が当該工事管理書を表示することで、前記工事と、前記工事見出し付き図面とを紐付けて管理する工事一元管理システムである。
【0012】
本開示の一態様を、前記工事見出し付き図面上の工事特定事項へのプロット等のユーザ操作に基づいて、前記制御手段が前記工事特定事項により特定される工事の内容を表示する工事管理書を特定し、前記表示手段が当該工事管理書を表示することで、前記工事と、前記工事見出し付き図面とを紐付けて管理する工事一元管理システムとしたため、工事の内容を表示する工事管理書から工事の場所を示す図面を簡単に参照でき、反対に工事の場所を示す図面から工事の内容を表示する工事管理書を簡単に参照できる。そのため、工事現場と工事の内容の特定が容易である。
【0013】
本開示の一態様は、前記工事管理書とは別の書面であり、前記工事の内容に関係する写真を表示する写真管理票について、前記工事管理書に設けたリンク欄へのユーザ操作に基づいて、前記制御手段が前記写真管理票作成に必要な管理項目を前記記憶手段から呼び出し、前記表示手段が当該写真管理票を表示することで、前記写真管理票を前記工事管理書に紐付けて管理する工事一元管理システムである。
【0014】
本開示の一態様を、前記工事管理書とは別の書面であり、前記工事の内容に関係する写真を表示する写真管理票について、前記工事管理書に設けたリンク欄へのユーザ操作に基づいて、前記制御手段が前記写真管理票作成に必要な管理項目を前記記憶手段から呼び出し、前記表示手段が当該写真管理票を表示することで、前記写真管理票を前記工事管理書に紐付けて管理する工事一元管理システムとしたため、写真管理票もまた工事内容に含めて管理することができる。そして、工事管理書とは別に多くの種類の、又は多くのボリュームの工事関係情報を写真管理票に保管しておくことができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示の工事一元管理システムによれば、施設に散在する工事について、個々の工事の内容をその工事のなされる場所と紐付けて管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】工事一元管理システムのシステム構成図である。
【
図2】管理サーバの機能構成を示すブロック図である。
【
図6】工事特定事項が付された
図4の概略平面図であり、工事見出し付き図面である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の工事一元管理システムについて詳しく説明する。このシステムは、ビルや学校、病院、研究所、工場、家等の建物や構築物等の施設又はこれらの施設に備わる備品等(以下、これらをまとめて「施設等」という)について、建設、維持、保全するための修理や部品交換、そのための調査、及びその他の種々の工事(以下、これらをまとめて「工事」という)を行うために、個々の工事の内容をその工事のなされる場所(工事場所)に紐付けて管理するシステムである。
【0018】
<システム構成>
図1は、工事一元管理システム10のシステム構成図である。この工事一元管理システム(以下「システム」ともいう)10は、管理サーバ1と、建物等の施設等の所有者等で施設等の維持、保全管理を統括する関係者(以下「施設者」という)が用いる施設者端末2(2a、2b、・・)と、施設等の維持、保全のために、工事の中でも現場で作業を行う事項(以下これらをまとめて「現場工事」ともいう)を行う工事関係者や、その工事関係者等を取りまとめる管理業者など、施設等の現場工事を担う者(以下これらをまとめて「工事者」という)が用いる工事者端末3(3a、3b、・・)と、システム全体の管理者(以下「システム責任者」という)が用いるシステム責任者端末4(4a、4b、・・)と、を含んで構成され、これらがネットワーク5を介してそれぞれ接続されている。
【0019】
管理サーバ1は、各種端末2,3,4からの指示を、ネットワーク5を介して受信し、その指示に従った処理を行う。この管理サーバ1の構成としては、演算装置や制御装置として機能する中央演算処理装置(CPU)や、RAM等の主記憶装置、ハードディスクやSSD等の外部記憶装置、モデム等の通信装置、コンピュータプログラム等を有している。これらの構成要素により後述する機能ブロックを構成する。
【0020】
管理サーバ1は、各種端末2,3,4以外のネットワークに接続したコンピュータ管理サーバであっても良く、システム責任者端末4のコンピュータで兼用する管理サーバとすることもできる。さらにクラウドコンピューティングに用いられるクラウド管理サーバであっても良い。
【0021】
施設者端末2は、施設者が使用するコンピュータであり、一又は複数のコンピュータ2a、2b、・・であり得る。この施設者端末2は、社内LAN、インターネット等のネットワークに接続し通信可能な通信装置を備えて構成されており、プログラムを起動しネットワークに接続すると管理サーバ1に保存されたデータを取得して表示したり、入力装置を通じて入力されたデータを管理サーバ1へ送信したり、管理サーバ1からのデータを受信して出力装置を通じてメール等の形式で出力することができる。この施設者端末2となるコンピュータは、いわゆるパーソナルコンピュータの他、携帯電話端末やタブレット端末などであっても良い。
【0022】
工事者端末3は、施設等の現場工事を担う者が使用するコンピュータであり、一又は複数のコンピュータ3a、3b、・・であり得る。この工事者端末3は、社内LAN、インターネット等のネットワークに接続し通信可能な通信装置を備えて構成されており、プログラムを起動しネットワークに接続すると管理サーバ1に保存されたデータを取得して表示したり、入力装置を通じて入力されたデータを管理サーバ1へ送信したり、管理サーバ1からのデータを受信して出力装置を通じてメール等の形式で出力することができる。この工事者端末3となるコンピュータは、いわゆるパーソナルコンピュータの他、携帯電話端末やタブレット端末などであっても良い。
【0023】
システム責任者端末4は、システム責任者が使用するコンピュータであり、一又は複数のコンピュータ4a、4b、・・であり得る。このシステム責任者端末4は、社内LAN、インターネット等のネットワークに接続し通信可能な通信装置を備えて構成されており、プログラムを起動しネットワークに接続すると管理サーバ1に保存されたデータを取得して表示したり、入力装置を通じて入力されたデータを管理サーバ1へ送信したり、管理サーバ1からのデータを受信して出力装置を通じてメール等の形式で出力することができる。このシステム責任者端末4となるコンピュータは、いわゆるパーソナルコンピュータの他、管理サーバ1であっても良い。
【0024】
なお、本明細書、請求の範囲において、ユーザという場合には、施設者、工事者、システム責任者の何れか、又は全員を言う。
【0025】
図2には、管理サーバ1の機能構成をブロック図として示した。
図2で示すように、管理サーバ1には、制御手段11と、ID認識手段12と、記憶手段13と、表示手段14と、通信手段等のその他の手段15を有している。
制御手段11は、以下に説明する各種手段を制御しその機能を奏するように動作させたり、記憶手段13に記録された様々なデータの中から必要なデータを選択して取り出し、目的に沿って特定の項目ごとに分類したり、集計等の演算を行う。
【0026】
ID認識手段12は、システム10にアクセス可能な者を識別するための所定のID情報を識別する機能を有し、より具体的には、各種端末2,3,4からシステム10へのアクセス要求に対して、アクセス権を有する者であるか否か、及びアクセス権を有する場合には、その程度又は何に対するアクセス権であるか等について判断する。
例えば、施設者端末2からのアクセス要求に対しては、アクセス対象となる施設が要求者の管理対象であれば許可するが、アクセス対象以外の施設であれば許可しない。また、工事者端末3からのアクセス要求に対しては、アクセス対象となる施設が要求者の工事対象であれば許可するが、工事対象以外の施設であれば許可しない等である。アクセス権の有無等をパスワードに基づいて行う態様は一例である。
【0027】
記憶手段13は、施設等の建設、維持、保全のための工事を行うときに記録が必要な、施設名、場所、工事日、その他の様々な要素(工事の場所を含む工事の内容を表す複数の要素)を管理項目として記録し、管理項目データベースとして備える機能を有する。
表示手段14は、記憶手段13が記録する管理項目や、制御手段11が演算等の加工をして得た工事関係書面等を各種端末2,3,4に表示したり、レポートとして出力したり、各種端末での入力画面の表示も行う。
【0028】
管理サーバ1には、上記以外にも異常値を観測してアラートを発するアラート生成手段、アラート情報や報告書等の種々のアウトプットを施設者端末2や工事者端末3等の出力対象となる種々の端末に対して送信する通信手段等の種々の機能を持たせることができる。
【0029】
<システムの機能>
工事一元管理システム10は、以下に説明する書面(ファイルを含む)を作成、表示、又は利用して、個々の工事の内容をその工事のなされる施設等の場所に紐付けて管理することができる。
【0030】
(1)工事管理書
工事管理書は、新たな施設の建設、施設等の古くなったり破損したりする部位の修理や交換、メンテナンス、さらにはこれらに関係する種々の定期点検、調査等の工事の内容を示す書面である。
より具体的な工事の内容には、その工事を表すために必要な項目(管理項目)が挙げられ、例えば、工事の管理番号、工事の名称、工事の対象となる施設等の名称や状態、対策、工事の行われる場所、工事が発生する管理元、設置年月日、工事実行の要否、工事の費用関係、備考、その他等を例示することができる。
【0031】
工事管理書の一例を
図3に示す。
図3で示す工事管理書20に記載された工事は、〇〇文化会館1階における壁紙張り替え工事であり、上記項目に対応した次のような記載がなされている。
工事が発生する管理元としての“事業計画”、工事の管理番号として“B-13”、工事の名称として“壁紙張り替え工事”、工事の対象となる施設等の名称として“○○文化会館”、工事の行われる場所として“1階、和室”、工事の対象となる施設等の状態として“ところどころ汚れが目立つ、・・・”、その対策として“壁紙一式張り替え”、工事実行の要否として“推進”、概算見積額として“¥120,000”、備考として“添付資料○○あり”である。なお、
図3には上記管理項目の一部を示している。
【0032】
このように、工事ごとに工事管理書20を作成することで、一の工事に必要な事項を工事管理書20という一の書面で管理することができるため、その工事については、この工事管理書20を照会することでその内容を知ることができる。
【0033】
(2)図面
工事の内容を示す種々の項目の中でも、工事場所の特定には図面を用いると便利である。即ち、施設等の古くなったり破損したりする部位の修理や交換、メンテナンス、さらにはこれらに関係する種々の定期点検、調査等に関係する作業を行う箇所がどこにあるかを位置で認識することが必要になるからである。例えば、
図4で示す図面30は、前記○○文化会館、1階フロアの図(概略平面図)31が表示された図面である。この図面30では詳細を省略してあるが、各部屋の扉の開閉状態、柱、エアコン、本棚、食器棚等の備品等もまた表示している。
【0034】
(3)写真管理票
工事の内容を示す書面として、工事管理書とは別に工事に関する情報を残す場合がある。例えば、現場でのその工事に関係する写真を撮ったり、工事管理書に示された事項とは異なる状況のコメントを残したりといったことがあれば、そうした事項もまた管理の一部におくことが求められる。しかしながら、そうした事項を工事管理書に上書きしていくと、その内容の変化の管理がまた必要になり、また書き加える事項が多くなりすぎると、工事毎の工事管理書のボリュームに差異が生じ、管理し難いといった弊害が生じる。そこで、写真管理票という別表的な書面を作成し、既に作成された工事管理書や図面とは別に、工事の内容を記す手段を設けた。
【0035】
図5には、写真管理票40の一例の概略図を示す。
図5において符号41は工事の管理番号を示し、符号42は工事の行われる場所である和室、洋室等の名称を示し、符号43は工事の対象となる見出しであって、例えば、壁紙張り替え、エアコン修理、畳交換、メンテナンス工事等が表示され、符号44は、部品到着遅れ、等々の種々のコメントが表示される。そして、写真1~4として示した枠には工事対象である例えば壁、エアコン、畳、タイルや、工事の行われる現場の状況、工事前の現状、交換修理で使われる部品等の写真が貼り付けられる。
【0036】
<システムの機能>
工事一元管理システム10は、上記書面を作成、表示又は利用することで、各種工事の管理に資する。その実施形態を以下に説明する。
【0037】
1.工事管理書の作成
工事管理書20は、予め表示手段14が作成しておいた入力フォームを通じて、施設者が施設者端末2から工事管理書の各項目に記載される具体的事項を入力すると、その入力事項を管理項目として記憶手段13が記録することにより記録データベースに蓄積される。そして、施設者による施設者端末2からの工事管理書作成指示に従い、制御手段11が記憶手段13に記録された各項目として記録された事項を呼び出して表示手段14が、例えば
図3で示すような形式で工事管理書を出力する。
【0038】
工事管理書作成指示は、より具体的には、工事管理書の閲覧又はプリント指示であり、閲覧指示に対しては表示手段14が施設者端末2のディスプレイに工事管理書を表示させ、プリント指示に対しては表示手段14が作成した工事管理書を制御手段11が施設者端末2のプリンタを通じてプリントさせる。
【0039】
2.図面の作成、アップロード
図面30は、工事一元管理システム10の施設者又は工事者であるユーザが予め汎用のCAD等の図面作成ソフトで作成しておいた図面を利用することができる。あるいはまた、所定のCAD等のアプリケーションを本システム10に導入して本システム10からそうしたアプリケーションに連動して図面を作成することができる。他の図面作成ソフトで作成した図面は、予め表示手段14が作成しておいた入力フォームを通じて、工事者が工事者端末3からその図面のドラッグアンドドロップ等によりシステム10上にアップロードすることができる。そして、そうした図面の取り込みは、制御手段11が所定の貼り付け位置にドロップされた図面のファイルの形式、即ち、BMP、GIF、JPEG、PNG、TIFF等のラスター形式か、EPS、PDF、AI等のドロー形式かを読み取り、それらのファイル形式に従って記憶手段13の記録データベースに記録させる。制御手段11は、本システム10と連動したアプリケーションを通じて作成した図面もまた記憶手段13の記録データベースに蓄積させることができる。
【0040】
3.写真管理票の作成
施設者又は工事者であるユーザは、写真管理票の作成画面をそれぞれの端末2,3を通じて呼び出すと、予め表示手段14が作成しておいた入力フォームを通じて、写真管理票に記載すべき具体的事項を入力する。また、スマホ等で撮影した写真を、入力フォームを通じてアップロードする。制御手段11はその入力事項を各管理項目として認識し、記憶手段13に記録させることにより記録データベースに蓄積させる。写真のアップロードも図面のアップロードと同様の仕組みで行うことができる。
そして、ユーザによる各種端末2,3からの工事管理書作成指示に従い、制御手段11が記憶手段13に記録された各項目として記録された事項を呼び出して表示手段14が、例えば
図5で示すような形式で写真管理票40を作成する。
【0041】
4.図面上への管理番号等の工事特定事項の付与
個々の工事の内容を示す工事管理書20と、その個々の工事が施設のどこで行われるかを紐付けるため、工事管理書20の持つ管理番号等の工事を特定する事項である工事特定事項を、施設の図面30上に付与することができる。例えば管理番号を図面30上に表示すれば、一の工事に一の工事管理書が対応し、その一の工事管理書に一つの管理番号が付されているため、ある一の工事を、その工事場所に付された管理番号を端緒にしてその工事管理書の内容を知ることができるからである。図面30上に管理番号等の工事特定事項51が付された工事見出し付き図面50の一例を
図6に示す。
【0042】
工事見出し付き図面50を作成するため、
図4に示す図面30への工事特定事項51の付与は基本的には施設者等のユーザが、予め作成されシステム10に登録されている入力フォームを通じたユーザ操作を行う。ユーザがその入力フォームを通じて所望の図面30を呼び出すと、ユーザは管理番号の入力欄に所望の図面30の管理番号を入力し、さらにその工事が行われる図面30上の箇所をクリック等のプロットをして図面30上の工事場所53を特定する。
【0043】
制御手段11は、入力された管理番号と、その管理番号が付された工事の見出し43を記憶手段13から呼び出して、管理番号と見出し43からなる工事特定事項51を作成し、また、クリックされた図面30上の位置である工事場所53を認識する。そして、制御手段11は、図面30上の
図31の大きさを考慮して、この図面30上に表示する工事特定事項51の大きさを決定し、その決定された大きさに伸縮された工事特定事項51を配置する前記図面上の位置を決定する。即ち制御手段11は、工事場所53が特定された位置から近い
図31が表示される領域外の余白に工事特定事項51を配置する。また、工事特定事項51と工事場所53との間に引出し線52を配置する。そして表示手段14が図面30上に工事特定事項51と引出し線52とを表示する。
図6に一例として示した工事見出し付き図面50はこのようにして作成することができる。
【0044】
なお、工事見出し付き図面50作成のより具体的な一例を説明すると、記憶手段13に取り込まれている図面30のファイル形式がラスター形式の場合は、制御手段11は、それをベクター形式に変更し、一方で、管理番号と工事の見出し43を対にした工事特定事項51もまたベクター形式のイメージとして作成する。そして、出力対象の表示サイズ、表示領域に合わせて図面30上の
図31と工事特定事項51が重ならないように縮尺を調整してそれぞれを所定の出力領域内に配置する。最後に、工事特定事項51と工事場所53との距離が最短になる直線を表示した引出し線52を表示することで、工事見出し付き図面50の作成が完了する。
【0045】
既にいくつかの工事特定事項51が付された工事見出し付き図面50にさらに別の工事特定事項51を付けることもできる。その場合は、制御手段11は、既に設けた工事特定事項51及び引出し線52をキャンセルし、
図31の領域外に配置すべき複数の工事特定事項51を重ならないように配置し直し、再配置したそれらの工事特定事項51と工事場所53とを結ぶ引出し線52を付するようにすれば良い。
【0046】
上記処理において、工事特定事項51は、管理番号と工事の見出し43を対にしたものとしていたが、管理番号のみ、あるいはまた管理番号と工事の見出し43以外の他の何らかの管理項目を組み合わせたもの等を工事特定事項51とすることができる。即ち、工事特定事項51としては、工事の場所以外でその工事を特定することができる事項であれば良い。
また、工事特定事項43をラスター形式のイメージとして作成した後、ベクター形式のイメージに変更して作成することもできる。
【0047】
5.工事見出し付き図面から工事管理書の参照
ユーザが工事見出し付き図面50上で工事特定事項51をクリック等によりプロットすると、その管理番号が付いた工事の工事管理書20を開くように、工事見出し付き図面50と工事管理書20とをリンクさせることができる。そうした一方で、工事管理書20には工事見出し付き図面50にリンクするリンク欄を設けることができる。
工事見出し付き図面50上の工事特定事項51の領域を入力領域と見立て、ユーザからその領域へのダブルクリック等を制御手段11が感知し、その工事特定事項51に対応する工事管理書を表示手段14は表示する。また、制御手段11は、工事管理書のリンク欄へのユーザの操作により記憶手段13から対応する工事見出し付き図面50を呼びだし、表示手段14が各種端末2.3の備える画面上にその工事見出し付き図面50を表示する。
【0048】
これらの仕組みと同様に、工事管理書20には写真管理票40にリンクするリンク欄を設けることができる。制御手段11はこのリンク欄へのユーザの操作により記憶手段13から対応する写真管理票40の作成に必要な管理項目を呼び出し、表示手段14が各種端末2,3の備える画面上にその写真管理票40を表示する。
【0049】
上記実施形態は本発明の例示であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、実施形態の変更又は公知技術の付加や、組合せ等を行い得るものであり、それらの技術もまた本発明の範囲に含まれるものである。
【0050】
例えば、図面30に付するのは工事特定事項51に限定されず、工事特定事項51以外の工事を特定しないような事項を追加して付するようにしても良い。また、工事特定事項51は、図面30の余白に配置することとしたが、
図31に重なるように配置するようにしてもよい。その場合には、図面30上で選択された工事場所53の数と分布を制御手段11が認識し、複数の工事特定事項51上に引出し線52がかぶらないように、それぞれの工事特定事項51の位置を配置することが好ましい。
【符号の説明】
【0051】
1 管理サーバ
2,2a,2b,2c 施設者端末
3,3a,3b,3c 工事者端末
4,4a,4b,4c システム責任者端末
5 ネットワーク
10 システム
11 制御手段
12 ID認識手段
13 記憶手段
14 表示手段
15 その他の手段
20 工事管理書
30 図面
31 図(概略平面図)
40 写真管理票
41 管理番号
42 工事場所
43 見出し
44 コメント
50 工事見出し付き図面
51 工事特定事項
52 引出し線
53 工事場所