(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118170
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】環境に配慮したカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器
(51)【国際特許分類】
A45D 40/04 20060101AFI20240823BHJP
A45D 40/00 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
A45D40/04 B
A45D40/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024448
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000140915
【氏名又は名称】株式会社カツシカ
(72)【発明者】
【氏名】久間 雅博
(72)【発明者】
【氏名】目▲崎▼ 康将
(57)【要約】
【課題】 棒状化粧料をカートリッジ化して、カートリッジのみ廃棄する事により廃棄物を少なくし、カートリッジも金属部材と合成樹脂部材とに分別して廃棄できる棒状化粧料繰り出し容器の提供。
【解決手段】 紅筒、回転筒、及びスリーブよりカートリッジを構成する。スリーブは上から収納部、摺接部、係合部と、上から徐々に内径が大径となり、収納部には紅筒の回動防止片が係合する案内溝を刻設し、摺接部には回転筒の回動抵抗付与手段が摺接し、係合部には回転筒の係合凹溝に係合する係合リブを突設する。この係合リブの内径は、紅筒の回動防止片の外接円径よりも大径で、回転筒の回動抵抗付与手段の外径より大径で、かつ回転筒の係合受け部の外径より小径にする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状化粧料(1)を保持し、外側壁に回動防止片(221)を突設した保持部(22)の下端より、雄ネジ(211)を螺設したネジ棒(21)を垂下した紅筒(2)と、
該紅筒(2)のネジ棒(21)が挿入され、内壁に雄ネジ(211)と螺合する雌ネジ(313)を螺設し、上端に当接段部(333)を有し外周壁に係合凹溝(331)を刻設した係合受け部(33)を設け、該係合受け部(33)の下方に摘み部(34)を設け、該摘み部(34)下方、回転筒(3)下端外周壁に連結部(36)を設け、係合受け部(33)の係合凹溝(331)の上方より、摘み部(34)下端に達する一対の対向したスリット(37)を軸線と平行に穿設して係合凹溝(331)が内方向に撓み可能に構成した回転筒(3)と、
該回転筒(3)の摘み部(34)及び連結部(36)が下端より突出して、紅筒(2)の保持部(22)及び回転筒(3)の係合受け部(33)を下端より挿入し、内側壁上部に、棒状化粧料(1)及び紅筒(2)の保持部(22)を収納し、保持部(22)の回動防止片(221)が係合して上下摺動自在に回動不能に案内する案内溝(411)を軸線と平行に刻設した収納部(41)を設け、内側壁下端に回転筒(3)の係合受け部(33)と相対し、係合凹溝(331)と回動自在に脱落不能に係合する係合リブ(431)を周設した係合部(43)を設けたスリーブ(4)と、より成るカートリッジ(A)の回転筒(3)の連結部(36)を、ホルダー(B)に回動不能に着脱可能に係合して成り、
カートリッジ(A)の紅筒(2)及び回転筒(3)を合成樹脂素材により、スリーブ(4)を金属素材により成形し、スリーブ(4)の係合リブ(431)を組み立て前に成形し、スリーブ(4)と回転筒(3)の組み立て時に、係合リブ(431)が係合受け部(33)を乗り越え、係合凹溝(331)に係合し、
前記回転筒(3)の摘み部(34)を摘まんで内方向に撓めることにより、スリーブ(4)の係合リブ(431)と回転筒(3)の係合凹溝(331)の係合を解除し、カートリッジ(A)をスリーブ(4)の金属素材と、紅筒(2)及び回転筒(3)の合成樹脂素材に分離できるカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器に於いて、
前記スリーブ(4)の係合部(43)内径(φI)は、前記収納部(41)の案内溝(411)の谷径(φH)よりも大径で、
前記係合部(43)の係合リブ(431)内径(φD)は、紅筒(2)の回動防止片(221)の外接円径(φE)よりも大径で、かつ回転筒(3)の係合受け部(33)外径(φG)より小径に構成し、スリーブ(4)と回転筒(3)の組み立て時、スリーブ(4)の係合リブ(431)が干渉なく回転筒(3)の係合受け部(33)上端の当接段部(333)に達することを特徴とする環境に配慮したカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器。
【請求項2】
前記回転筒(3)の上端付近に、係合受け部(33)より小径の支持部(32)を設け、該支持部(32)支持部(32)の下方より、摘み部(34)下端に達する一対のスリット(37)を対向した位置に軸線と平行に穿設して係合凹溝(331)が内方向に撓み可能に構成し、
スリーブ(4)の収納部(41)と係合部(43)の間に、回転筒(3)の支持部(32)と相対し、収納部(41)内径より大径で係合部(43)内径より小径の摺接部(42)を設け、
前記係合部(43)の係合リブ(431)内径(φD)は、紅筒(2)の回動防止片(221)の外接円径(φE)よりも大径で、かつ回転筒(3)の係合受け部(33)外径(φG)より小径に構成し、スリーブ(4)と回転筒(3)の組み立て時、スリーブ(4)の係合リブ(431)が干渉なく回転筒(3)の係合受け部(33)上端の当接段部(333)に達することを特徴とする請求項1記載の環境に配慮したカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器。
【請求項3】
前記支持部(32)上端付近周壁に、スリーブ(4)の支持部(32)に弾性を有して摺接する回動抵抗付与手段(10)を突設し、該回動抵抗付与手段(10)下方より、摘み部(34)下端に達する一対のスリット(37)を対向した位置に軸線と平行に穿設して係合凹溝(331)が内方向に撓み可能に構成し、
係合部(43)の係合リブ(431)内径(φD)は、紅筒(2)の回動防止片(221)の外接円径(φE)よりも大径で、かつ回動抵抗付与手段(10)の外径(φF)より大径で、かつ回転筒(3)の係合受け部(33)外径(φG)より小径に構成し、スリーブ(4)と回転筒(3)の組み立て時、スリーブ(4)の係合リブ(431)が干渉なく回転筒(3)の係合受け部(33)上端の当接段部(333)に達することを特徴とする請求項2記載の環境に配慮したカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口紅、スティックファンデーションなどの棒状化粧料を収容し、この棒状化粧料を繰り出して使用する棒状化粧料繰り出し容器に関する。更に詳しく言えば、棒状化粧料をカートリッジ化して、使い切った棒状化粧料を交換可能にする事により、容器自体を再使用すると同時に、廃棄物を少なくし、廃棄するカートリッジも金属部材と合成樹脂部材とに分別して廃棄できる、環境に配慮したカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、口紅、スティックファンデーションなどの棒状化粧料を収容し、この棒状化粧料を繰り出して塗布する棒状化粧料繰り出し容器を、棒状化粧料及び繰り出し機構を有した構造部と、見栄えの良い加飾を施した外装体に分割し、構造部と外装体を着脱自在に連結して、構造部を交換可能なカートリッジにしたカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器が知られている。このカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器は、棒状化粧料を使い切った際、空の構造部のみ廃棄し、見栄えの良い加飾を施した高価な外装体を再利用する。そのため、このカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器は、廃棄物の削減が図れ、環境に配慮した容器と言えた。
【0003】
また、容器は金属素材及び合成樹脂素材を組み合わせて構成するが、金属素材にも合成樹脂素材にも様々な特性の素材があり、容器の部材には、必要とされる特性に合わせた素材を適材適所に選択、組み合わせ配置する。金属素材は、強度が高く、金属特有の質感や、光沢、多彩な加飾が施せる事から、外装部材に多く利用される。合成樹脂素材は、複雑な形状を成形でき、摺動性、耐薬品性、耐食性などが良好な特性を有する事から、外部に露出しない機構部材などに多く利用される。現状、金属素材は素材ごとにリサイクルルートが確立され、分別する事により各素材をリサイクルできる。合成樹脂素材は、限られた合成樹脂素材しかリサイクルできず、それ以外はゴミとして廃棄せざるを得ない。
【0004】
このカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器に於けるカートリッジは、棒状化粧料及び繰り出し機構を有した構造部より成っており、構造部のうち、繰り出し機構部材を合成樹脂より成形し、外部に露出した部位を薄肉金属製のスリーブで覆っている。このカートリッジをそのまま廃棄すれば単なるゴミとなってしまうため、金属製のスリーブを取り外し、金属製素材と合成樹脂製素材とに分解し、金属製素材を分別してリサイクルできる構成が必要となる。この容器より金属製のスリーブを分解して分別廃棄できる構成として、特許文献1及び特許文献2に記載の構成が知られていた。
【0005】
この特許文献1に記載の口紅収納容器は、金属製の外筒部材の内周壁に突出した抜け止め加工が、合成樹脂製の内筒部材の側面外壁に設けた周溝に係合し、外筒部材と内筒部材が回動自在に連結している。この内筒部材には、周溝が変形して外筒部材の抜け止め加工の係合が解除できるよう、周溝を上下に横切るカット溝を軸線方向に刻設する。この容器は、通常の使用状態では、皿部材より垂下した軸棒が内筒部材の背後に位置して、周溝の変形止めとなり、外筒部材が取り外せない。しかし、皿部材を上昇限まで繰り上げると、内筒部材の軸棒の押さえがなくなり、内筒部材の周溝が変形可能となり、外筒部材が無理抜きできる。
【0006】
また、特許文献2に記載の化粧品収納容器は、金属製の外筒部材の内周壁に突出した係止片が、合成樹脂製の内筒部材の側面外壁に設けた係合溝に係合し、外筒部材と内筒部材が回動自在に連結している。この内筒部材には、係合溝が変形して外筒部材の係止片の係合が解除できるよう、係合溝を軸線方向に上下に横切る切り溝を刻設する。この容器は、通常の使用状態では、挿入部材の撓み防止片が内筒部材の係合溝の変形止めとなり、外筒部材が取り外せない。しかし、皿部材、内筒部材、外筒部材から成る構造部(カートリッジ)を、ハカマ部材、挿入部材(より成る外装体)より抜き取り、構造部単体にすると、挿入部材の撓み防止片の押さえがなくなり、内筒部材の係合溝が変形可能となり、外筒部材が無理抜きできる。
【0007】
また、特許文献2及び特許文献3に記載の容器には、回転繰り出し操作時に、適度な回動摩擦抵抗を発生させ良好な操作感を得る、回動抵抗付与機構が付加されている。この特許文献2に記載の回動抵抗付与機構は、内筒部材に弾性を有した突起を突設し、この突起を外筒部材の内壁に弾性を有して当接させ、この弾性により内筒部材と外筒部材の相対回転時に、摺動摩擦抵抗を発生させている。特許文献3に記載の回動抵抗付与機構は、螺旋筒に弾性材から成るOリングを嵌合し、このOリングをスリーブの内壁に弾性を有して当接させ、この弾性により螺旋筒とスリーブの相対回転時に、摺動摩擦抵抗を発生させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11-127952
【特許文献2】特開2000-300334
【特許文献3】特開平11-164732
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この特許文献1は、容器より直接外筒部材を抜き取る構成であり、外筒部材のみ異材質の容器に対してのみ実施可能である。つまり、容器外装に金属などの異材質素材を利用した意匠性の高い加飾を施せない。対して、特許文献2は、内筒部材、皿部材、及び外筒部材から成る上下移動機構と、ハカマ部材、挿入部材、及びキャップから成る外装体に分割し、内筒部材の係合溝と挿入部材の嵌合固定手段が取り外し可能に係合しており、カートリッジ式の容器となっている。つまり、外装体は繰り返し使用し、廃棄する上下移動機構の内、異材質である外筒部材を抜き取り、分別廃棄できる。この特許文献2は、内筒部材の切り溝に挿入部材の撓み防止片が係合した状態で、内筒部材の係合溝と挿入部材の嵌合固定手段が取り外し可能に係合しており、上下移動機構の抜き取りの際、内筒部材の内方向への撓みを防止し、係止溝と係止片の係合解除を防ぎ、外筒部材の脱落を防止する。しかし、上下移動機構の内筒部材の係合溝を、外装体の挿入部材の嵌合固定手段に係合して、上下移動機構と外装体を連結する際、内筒部材の切り溝と挿入部材の撓み防止片を係合する必要があり、内筒部材と挿入部材との間に円周方向の所定位置の位置合せが必要となる。
【0010】
特許文献1では外筒部材の外部から内方向に向け、内筒部材に設けた周溝に合わせて、巻き締め加工、若しくはポンチ加工を施し、外筒部材を回動自在に連結している。特許文献2では、内筒部材に設けた係止溝に外筒部材内壁に突設した係止片を係合して、内筒部材と外筒部材を回動自在に連結している。特許文献3では、螺旋筒に設けた係合用凹溝にスリーブ内壁に突設した係合用リブを係合して、スリーブと螺旋筒を回動自在に連結している。この特許文献1の巻き締め加工、ポンチ加工、特許文献2の係止片、及び特許文献3の係合用リブは、特許文献1、特許文献2の外筒部材及び特許文献3のスリーブの内壁より突出している。また、特許文献1、特許文献2の皿部材、及び特許文献3の保持筒の外壁には、特許文献1の係合ピン、特許文献2の係合片、特許文献3の縦リブを突設して、特許文献1、特許文献2の外筒部材及び特許文献3のスリーブ内壁の、特許文献1、特許文献2の係合溝、特許文献3のガイド溝に係合する。また、特許文献2の内筒部材の外壁には、回動抵抗付与部を突設し、特許文献3の螺旋筒の外壁には、Oリングを突出して嵌合して、特許文献2の外筒部材及び特許文献3のスリーブの内壁に弾性を有して当接させ、回動抵抗付与機構を構成する。
【0011】
つまり、特許文献1、特許文献2の外筒部材及び特許文献3のスリーブに、特許文献1の巻き締め加工、若しくはポンチ加工、特許文献2の係止片、及び特許文献3の係合用リブを加工、及び成形した後では、特許文献1の巻き締め加工、若しくはポンチ加工、特許文献2の係止片、及び特許文献3の係合用リブが、特許文献1、特許文献2の皿部材、及び特許文献3の保持筒の、特許文献1の係合ピン、特許文献2の係合片、特許文献3の縦リブに干渉して組み立てができない。加えて、特許文献2及び特許文献3のように回動抵抗付与機構を設けた場合には、特許文献2の係止片、及び特許文献3の係合用リブが回動抵抗付与機構を構成する特許文献2の回動抵抗付与部、及び特許文献3のOリングにも干渉してしまう。
【0012】
そこで、特許文献1に於いて、内筒部材及び皿部材に外筒部材を組み付け後、内筒部材の周溝に合わせて、巻き締め加工、若しくはポンチ加工を施し、外筒部材と内筒部材を回動自在に連結して、組立時の干渉を回避している。この組み付け後の加工は、外筒部材の外側壁に内筒部材の周溝に合わせて、ロール歯やポンチを押し付け内側壁に成形する。このロール歯やポンチの受け型は、内筒部材の周溝であり、しかもこの周溝にはカット溝が横切っており、強度的にとても弱い。従って、ロール歯やポンチでの加工により成形する内筒部材内壁の凸部は、突出量を大きく、形状をシャープに出せない。加えて、外筒部材の巻き締め加工、若しくはポンチ加工が、皿部材の係合ピンや回動抵抗付与機構に干渉するため、外筒部材を分解するには無理抜きせざるを得ない。そのため、外筒部材の巻き締め加工、若しくはポンチ加工による突出量には制限があり、内筒部材の周溝と、外筒部材の巻き締め加工、若しくはポンチ加工の係合強度を強くするには限度があり、カートリッジの着脱操作中に不用意に外筒部材が脱落してしまう危険性がある。
【0013】
本発明は、以上の点を鑑み、紅筒、回転筒、及びスリーブが干渉なく組み立てでき、支障なくカートリッジの着脱操作、及び棒状化粧料の上下動操作が行え、廃棄時には簡単にスリーブを分解できて分別廃棄できる、環境に配慮したカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
紅筒2は、棒状化粧料1を保持した保持部22と雄ネジ211を螺設したネジ棒21より成り、保持部22の外側壁に回動防止片221を突設し、下端よりネジ棒21を垂下する。回転筒3は、紅筒2のネジ棒21が挿入され、内壁にネジ棒21の雄ネジ211と螺合する雌ネジ313を螺設する。この回転筒3には、上端に当接段部333を有し外周壁に係合凹溝331を刻設した係合受け部33を設ける。この係合受け部33の下方に摘み部34を設け、この摘み部34下方、回転筒3の下端に連結部36を設ける。更に回転筒3の外側壁には、係合受け部33の係合凹溝331の上方より、摘み部34下端に達する一対の対向したスリット37を軸線と平行に穿設して係合凹溝331が内方向に撓み可能に構成する。スリーブ4には、回転筒3の摘み部34及び連結部36が下端より突出した状態で、紅筒2の保持部22及び回転筒3の係合受け部33を下端より挿入する。このスリーブ4の上部には、棒状化粧料1及び紅筒2の保持部22を収納する収納部41を設ける。この収納部41内側壁には、保持部22の回動防止片221が係合して、紅筒2を上下摺動自在に回動不能に案内する案内溝411を軸線と平行に刻設する。スリーブ4の下部には、回転筒3の係合受け部33と相対する係合部43を設ける。この係合部43内側壁には、回転筒3の係合凹溝331と回動自在に脱落不能に係合する係合リブ431を周設する。上記紅筒2、回転筒3、及びスリーブ4よりカートリッジAを構成する。このカートリッジAは、回転筒3の連結部36をホルダーBに回動不能に着脱可能に係合し、連結する。
【0015】
前記カートリッジAの紅筒2及び回転筒3は、合成樹脂素材より成り、スリーブ4は金属素材より成る。このスリーブ4の係合リブ431は、予め成形しておき、スリーブ4と回転筒3の組み立て時に、係合リブ431が係合受け部33を乗り越え、係合凹溝331に係合して、スリーブ4と回転筒3を連結する。前記回転筒3の摘み部34を摘まんで内方向に撓める事により、スリーブ4の係合リブ431と回転筒3の係合凹溝331間の係合を解除して、カートリッジAを金属素材から成るスリーブ4と、合成樹脂素材から成る紅筒2及び回転筒3に分離する。スリーブ4の係合部43内径φIは、前記収納部41の案内溝411の谷径φHよりも大径で、係合部43の係合リブ431内径φDは、紅筒2の回動防止片221の外接円径φEよりも大径で、かつ回転筒3の係合受け部33外径φGより小径に構成し、スリーブ4と回転筒3の組み立て時、スリーブ4の係合リブ431が干渉なく回転筒3の係合受け部33の当接段部333に達する
【発明の効果】
【0016】
本発明は以上のように、スリーブ4の下端より、紅筒2の保持部22、回転筒3の支持部32及び係合受け部33を挿入した際、スリーブ4の係合リブ431は、内径φDが、紅筒2の回動防止片221の外接円径φEより大径で、回転筒3の係合凹溝331を刻設する係合受け部33の外径φGよりも小径のため、紅筒2の回動防止片221を干渉なく通過し、回転筒3の係合受け部33の当接段部333に当接する。また、回転筒3の係合受け部33には、一対の対向したスリット37を軸線と平行に穿設して係合受け部33を内方向に撓み可能に構成したため、スリーブ4の係合リブ431は係合受け部33を乗り越え、係合凹溝331に係合する。つまり、スリーブ4と紅筒2及び回転筒3を組み立てる際、スリーブ4の係合リブ431は、紅筒2及び回転筒3と干渉する部分がなく、紅筒2及び回転筒3を損傷する事はない。
【0017】
更に、スリーブ4の係合リブ431は、スリーブ4と紅筒2及び回転筒3の組み立て時に干渉しないため、予め成形しておいても支障がない。つまり、係合リブ431は、
図11に示すように、スリーブ4単体に対して成形加工可能なため、ロール歯やポンチの受け型を、金属製の金型が利用できる。その結果、係合リブ431を誤差なく正確に、シャープな形状に成形できるため、係合リブ431を
図4に示すような、係合溝331に乗り越え係合しやすく、係合解除しにくい形状に、かつガタ少なく成形できる。従って、特許文献1のように、スリーブ4と紅筒2及び回転筒3の組み立て後に、巻き締め加工、若しくはポンチ加工を施す場合に比べて係合リブ431の形状を、組み立てしやすい、分解しにくい形状に成形できる。その結果、カートリッジAが分解しにくくなったため、従来からあるアンダーカット機構を利用した、カートリッジAとホルダーBの位置合せの必要のない連結機構も、スリーブ4の脱落防止のための特別な構造なしに利用できる。
【0018】
また、スリーブ4の係合リブ431と回転筒3の係合凹溝331の係合は、係合解除しにくく、カートリッジAとホルダーBの連結係合強度よりも強く係合しているため、スリーブ4と回転筒3が分解する事なくカートリッジAをホルダーBより抜き差しできる。しかも、カートリッジA単体の時、スリーブ4の下端より露出した回転筒3の摘み部34を摘まんで係合凹溝331を内方向に窄めれば、特別な治具や操作など必要なしに、スリーブ4の係合リブ431と回転筒3の係合凹溝331の係合を簡単に解除できる。つまり、カートリッジAの廃棄の際、カートリッジAを、スリーブ4の金属素材と紅筒2及び回転筒3の合成樹脂素材に分別できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の環境に配慮したカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器の、カートリッジをホルダーに装着した状態の正面断面図である。
【
図2】本発明の環境に配慮したカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器の、カートリッジをホルダーに装着して棒状化粧料を繰り上げた状態の正面断面図である。
【
図3】本発明の環境に配慮したカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器の、カートリッジとホルダーを分離した状態の正面図及び正面断面図である。
【
図4】
図2に於けるC矢視部の部分拡大断面図である。
【
図7】本発明の環境に配慮したカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器の、カートリッジの組み立て時の説明図である。
【
図8】本発明の環境に配慮したカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器の、カートリッジのスリーブを抜き取り、分別廃棄する際の説明図である。
【
図9】本発明のカートリッジの紅筒の正面図である。
【
図10】本発明のカートリッジの回転筒及び回動抵抗付与手段の正面半断面図である。
【
図11】本発明のカートリッジのスリーブの断面図である。
【
図12】本発明の環境に配慮したカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器の実施例の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の環境に配慮した棒状化粧料繰り出し容器の実施形態を図によって説明する。本発明の容器は、棒状化粧料1を収容するカートリッジAをホルダーBに着脱自在に装着したカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器であり、使い切ったカートリッジAを廃棄し、新しいカートリッジAを装着して、ホルダーBを繰り返し再利用する。先ずカートリッジAについて説明する。カートリッジAは、紅筒2、回転筒3、及びスリーブ4より成る。
【0021】
紅筒2は合成樹脂製で、
図9に示すように、上部の保持部22と、保持部22より垂下するネジ棒21より成る。保持部22は、棒状化粧料1の下端を保持するコップ状をしており、外周壁に回動防止片221を突設する。この保持部22の回動防止片221は、外周壁に1か所以上に設ける。この回動防止片221を複数か所に設ける場合には、保持部22の外周壁に均等に配置する。
図9では、回動防止片221を4か所均等に配置している。この保持部22の下端より垂下したネジ棒21は、中空のパイプ状で、外側壁に雄ネジ211を螺設する。このネジ棒21の下端側壁には、逆U字状に切り欠き、上端が内方向に撓み可能な舌片状の一対のストッパー片212を成形する。このストッパー片212は、対向した位置に設けられ、上方に行くにつれ徐々に外側に突出して上端が最大突出部位213となるくさび形状をしている。
【0022】
回転筒3は合成樹脂製で、
図10に示すように、貫通穴31が上下に開口した筒状をしている。この回転筒3の貫通穴31上端には、紅筒2のネジ棒21が挿入されている。この貫通穴31は、ネジ棒21が余裕をもって上下動できる内径となっている。この貫通穴31の上部には、内径が窄まった狭窄部311を設ける。この狭窄部311の内周壁には、前記ネジ棒21の雄ネジ211と螺合する雌ネジ313を螺設する。また、狭窄部311下端の段差部分は、当接部312になっている。この貫通穴31の当接部312には、
図2に示すように、ネジ棒21のストッパー片212の上端が当接して、紅筒2の上昇を制限し、紅筒2の上昇限とする。また、
図1に示すように、回転筒3の上面に、前記紅筒2の保持部22の下面が当接し、紅筒2の下降を制限し、紅筒2の下降限とする。つまりこの貫通穴31の当接部312及び貫通穴31の上面は、紅筒2の脱落を防止すると同時に、紅筒2の上下摺動範囲を制限している。なお、このネジ棒21のストッパー片212の最大外径部位213の外接円径は、少なくとも貫通穴31内の雌ネジ313の内径よりも大径であればよいが、紅筒2の脱落防止性の観点からは、
図2のように雌ネジ313の谷径よりも大径であることが望ましい。
【0023】
また、
図5に示すように、回転筒3の上部外側壁には、前記紅筒2の保持部22の回動防止片221の外接円径φEとほぼ同径の支持部32を設ける。この支持部32の下方は、外径が僅かに拡大した係合受け部33となり、支持部32とは緩やかな斜面の当接段部333で連続する。この係合受け部33の下端には、鍔状の鍔部35を突設する。この鍔部35の下方には、係合受け部33の外径φGとほぼ同径の摘み部34を設ける。この摘み部34の下方、すなわち回転筒3の下部外側壁には、前記鍔部35の外径とほぼ同径に外径が拡大した連結部36を設ける。この摘み部34と連結部36の接続部位は、段差状の連結段部361となっている。なお、鍔部35及び連結部36の外径は、後述するスリーブ4の外径とほぼ同径である。
【0024】
この回転筒3の支持部32の上部外周壁には、支持凹溝321を刻設する。この支持凹溝321には、NBR、エラストマーなど弾性を有する素材より成形されたOリング5を、外周が支持部32の外周壁より突出した状態で枢着する。回転筒3の係合受け部33の上部外周壁には、係合凹溝331を刻設する。この係合凹溝331の上側の内壁面(溝上壁面332)は、シャープな形状に成形する。回転筒3の連結部36の外周壁には、軸線と平行に複数条の凹凸の回り止めローレット362を刻設する。
【0025】
更に、回転筒3の側壁には、支持部32の支持凹溝321下方から摘み部34下部の範囲で、軸線方向に長く、対向した一対のスリット37を穿設する。このスリット37は、ほぼ中央に係合受け部33の係合凹溝331、及び鍔部35が位置している。このスリット37の、係合受け部33の係合凹溝331、及び鍔部35に位置した部分は、幅が狭くなっており、略つづみ形状をしている。このスリット37の幅が狭くなったくびれ部371には、係合凹溝331、及び鍔部35を延長して設ける。ただし、くびれ部371に設けた係合凹溝331の延長部334は、溝上壁面332のない不完全なものとなっている。つまり、スリーブ4の係合リブ431が係合する溝上壁面332のある完全な形の係合凹溝331は、スリット37により分断した係合受け部33に設けた係合凹溝331のみである。また、分断した摘み部34の側壁には、一対の押圧部分341を設ける。
【0026】
なお、スリット37は、少なくとも上下端を有し、軸線方向に長いスリット形状であれば、自由に設定できる。本実施形態に於いては、スリット37の幅を広くして、摘み部34が小さな力で容易に内方向に撓むようにしている。しかし、スリット37の幅が広くなると、スリーブ4内壁と回転筒3外壁の周方向の接触部分が少なくなり、スリーブ4と回転筒3間にガタツキが生じてしまう。そのため、スリット37の中央部分にくびれ部371を設ける事によって、スリーブ4内壁と回転筒3外壁の周方向の接触部分を延長し、ガタツキの発生を防いでいる。更にこのくびれ部371には、摘み部34が過剰に変形して破損する前に、くびれ部371同士が当接するストッパーの役割も果たす。
【0027】
この紅筒2の保持部22及び回転筒3の鍔部35より上方を、
図7に示すように、スリーブ4の下端より挿入する。このスリーブ4の下端よりは、回転筒3の鍔部35、摘み部34及び連結部36が突出する。このスリーブ4は
図11に示すように、アルミニウムなどの金属製で、外径を回転筒3の鍔部35及び連結部36の外径とほぼ同径とする。
【0028】
このスリーブ4の上部を、棒状化粧料1及び紅筒2の保持部22が収容される収納部41とする。この収納部41の下方は、回転筒3の支持部32と相対した摺接部42とする。この摺接部42の下方、スリーブ4の下端を、回転筒3の係合受け部33と相対した係合部43とする。このスリーブ4の収納部41の内径を、前記紅筒2の保持部22の外径よりも僅かに大径とする。摺接部42の内径を、回転筒3の支持部32の外径よりも僅かに大径とする。係合部43の内径φIを、回転筒3の係合受け部33の外径φGよりも僅かに大径とする。その結果、このスリーブ4の内径が、収納部41より摺接部42、摺接部42より係合部43と、下方の部位ほど大径となる。
【0029】
前記スリーブ4の収納部41の内側壁には、紅筒2の回動防止片221が係合して、紅筒2を回動不能に上下摺動自在に案内する案内溝411を、軸線方向に長く刻設する。この案内溝411の谷径φHは、摺接部42の内径と同径か、僅かに小径とし、案内溝411は摺接部42の上端に貫通する。この案内溝411は、紅筒2の回動防止片221の2倍以上の条数を、内周に均等に配置する。これにより、紅筒2の回動防止片221は、スリーブ4の下方より、位置合せの意識なく案内溝411に係合できる。この案内溝411の条数は、強度や成形性等の条件の許す範囲で多いほど、組立時における案内溝411と紅筒2の回動防止片221との位置合わせが容易になるため、好ましい。本発明実施形態に於いては、紅皿2の回動防止片221は、前述したように、4か所に均等に配置し(
図9参照)、スリーブ4の案内溝411は、8か所に均等に配置している(
図11参照)。
【0030】
前記回転筒3の支持部32の支持凹溝321に枢着したOリング5は、支持部32の外周壁より突出し、スリーブ4の摺接部42の内周壁に弾性を有して摺接し、スリーブ4と回転筒3の相対回転時に摺動抵抗が生じる回動抵抗付与手段10となる。この回動抵抗付与手段10の外径φFは、スリーブ4の摺接部42の内径よりも僅かに大径となる。
【0031】
前記スリーブ4の係合部43の内周壁には、係合リブ431を突設する。
図7に示すように、この係合リブ431の内径φDは、回転筒3の係合受け部33の外径φGよりも小径で、紅筒2の回動防止片221の外接円径φEよりも大径で、かつ回転筒3の回動抵抗付与手段10の外径φFより大径とする。これにより、スリーブ4に紅筒2及び回転筒3を挿入した際、スリーブ4の係合リブ431は、干渉なく回転筒3の係合受け部33に達し、係合受け部33を乗り越え、係合凹溝331に回動自在に係合する。なお、この係合リブ431は、スリーブ4の単体時に、ロール加工等により外周から圧力を加え、内周方向に突出させて成形する。つまり係合リブ431は、スリーブ4を内面と外面の両側から金型で挟み込むことで加工するため、係合リブ431の形状の自由度が高まる。つまり、係合リブ431の軸線方向の断面形状を、
図4に示すように、上側を直角か直角に近いエッジ部432に、下側をスロープ状の斜面433にした非対称の断面形状に加工可能で、形状もシャープに出せる。
【0032】
次に、前述したカートリッジAを着脱自在に装着するホルダーBについて図により説明する。ホルダーBは、ハカマ筒6、中筒7、及びキャップ8より成り、全て金属素材製である。
【0033】
中筒7には、上部に嵌合部71、下部に挿嵌部73、中間に止着部72を設ける。この中筒7を、有底筒状のコップ状のハカマ筒6の上端より挿入し、止着部72を脱落不能に止着する。中筒7の嵌合部71は、ハカマ筒6の上端より突出し、キャップ8が着脱自在に嵌合する。この嵌合部71の上端面には、前記スリーブ4及び回転筒3の連結部36の外径よりも僅かに大径の装着口711が開口し、装着口711よりカートリッジAを抜き差しできる。
【0034】
中筒7下部の挿嵌部73は、内径が回転筒3の連結部36の外径よりも僅かに大径で、中筒7の装着口711の内径とほぼ同径で、カートリッジAの摘み部34及び連結部36を挿入する。この挿嵌部73は、止着部72より窄まり、挿嵌部73の外側壁とハカマ筒6の内側壁との間に隙間が生じるため、挿嵌部73は外側に変形が可能となる。この挿嵌部73の内側壁には、連結突部731を周方向に長く突設する。この連結突部731の下方内側壁には、回り止めリブ732を突設する。この連結突部731及び回り止めリブ732の内径は、カートリッジAの摘み部34の外径よりも大径で、連結部36の外径よりも小径とし、挿嵌部73の内周壁に均等に配置する。なお、
図3に示すように、連結突部731と回り止めリブ732を別個に設けるはもちろん、連結突部731と回り止めリブ732を結合してT字状、逆L字状にする事もできる。
【0035】
次に、本発明実施形態のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器の、カートリッジAの組み立て方法を説明する。回転筒3の支持部32の支持凹溝321にOリング5を枢着する。紅筒2のネジ棒21下端を回転筒3の貫通穴31の狭窄部311に差し込んで、紅筒2を回転筒3に組み立てる。ネジ棒21下端のストッパー片212の上端の最大突出部位213の外接円径は、回転筒3の狭窄部311の内径よりも大径であるが、ストッパー片212の形状がクサビ状をしており、内方向に変形可能なため、無理入れできる。ネジ棒21の雄ネジ211が狭窄部311の雌ネジ313に到達した時点で、雄ネジ211と雌ネジ313が螺合する。これ以降は、紅筒2を回転すれば、自然にネジ棒21を貫通穴31に挿入できる。紅筒2のストッパー片212の上端が回転筒3の狭窄部311を通過すると、貫通穴31の内径は、無負荷の状態のストッパー片212の最大突出部位213の外接円径よりも大径のため、ストッパー片212が復元する。この状態になると、紅筒2を抜け方向に回転、摺動させても、ストッパー片212の上端が狭窄部311下端の当接部312に当接し、抜き取り不能となる。
【0036】
この紅筒2の保持部22、回転筒3の支持部32及び係合受け部33を
図7のように、スリーブ4の後端より挿入する。この際、紅筒2の回動防止片221の外接円径φE、及び回転筒3の回動抵抗付与手段10の外径φFが、スリーブ4の係合リブ431の内径φDよりも小径のため、支障なく挿入できる。そして、紅筒2の保持部22の回動防止片221を、スリーブ4の収納部41下端に貫通した案内溝411に係合させ、紅筒2の保持部22をスリーブ4の収納部41内に上下摺動自在に収容する。回転筒3の係合受け部33の外径φGがスリーブ4の係合リブ431の内径φDよりも大径のため、回転筒3の係合受け部33の端部の当接段部333にスリーブ4の係合リブ431が当接する。この回転筒3の係合受け部33の当接段部333は、支持部32とゆるやかな傾斜で連続しており、スリーブ4の係合リブ431の下側がスロープ状の斜面433となっている。回転筒3には、上下に伸びるスリット37を穿設しているため、回転筒3の係合受け部33の当接段部333にスリーブ4の係合リブ431が当接した状態で、さらに紅筒2及び回転筒3を押し込むと、容易に係合受け部33は内方向に撓み、係合リブ431が係合受け部33を乗り越える。そして、係合リブ431が係合凹溝331に係合することで、スリーブ4と回転筒3が回動自在に連結する。
【0037】
なお、本実施形態では、スリーブ4の係合リブ431は
図4に示すように、下側がスロープ状の斜面433となり、回転筒3の係合受け部33も
図5に示すように、端部の当接段部333が緩やかな斜面となった構成を説明しているが、係合リブ431若しくは係合受け部33の端部のどちらか一方だけを斜面に形成しても良い。この場合、係合リブ431と係合受け部33の端部が当接することにより、一方の斜面により容易に係合受け部33を内側に撓ませ、係合リブ431を係合凹溝331に係合でき、これは実施形態と同じである。
【0038】
次にホルダーBに対するカートリッジAの着脱について、図により手順および原理を説明する。ホルダーBの装着口711よりカートリッジAの下部を差し込み、カートリッジAのスリーブ4下端より突出した回転筒3の摘み部34及び連結部36をホルダーBの挿嵌部73内に挿入する。カートリッジAの回転筒3の連結部36がホルダーBの挿嵌部73の連結突部731に当接後、カートリッジAを更に差し込むと、カートリッジAの連結部36がホルダーBの挿嵌部73を押し広げ、連結突部731がカートリッジAの連結部36を乗り越え、連結段部361に係合してカートリッジAとホルダーBが連結する。同時に、カートリッジAの連結部36の回り止めローレット362とホルダーBの挿嵌部73の回り止めリブ732が係合し、カートリッジAの回転筒3とホルダーBが回動不能に係合する。ここで、カートリッジAのスリーブ4とホルダーBを相対回転すると、ホルダーBと回動不能に係合した回転筒3も従動する。このカートリッジAのスリーブ4と回転筒3の相対回転により、スリーブ4内の棒状化粧料1が上下摺動する。
【0039】
逆に、ホルダーBのハカマ筒6を保持してカートリッジAのスリーブ4を引っ張ると、スリーブ4の係合リブ431と回転筒3の係合凹溝331の間に、スリーブ4の抜け方向に力が加わる。このスリーブ4の抜け方向に引っ掛かる係合リブ431上側のエッジ部432と係合凹溝331上側の溝上壁面332は、共に直角か直角に近い形状で、しかもシャープに形成されているため、引っ掛かりが強固で、係合解除することはないため、その力は、スリーブ4の係合リブ431が係合した係合凹溝331より回転筒3に伝わり、回転筒3の連結段部361とホルダーBの連結突部731の係合部分に働く。そして、回転筒3の連結部36は、ホルダーBの挿嵌部73を押し広げ、連結段部361とホルダーBの連結突部731の係合を解除し、ホルダーBよりカートリッジAが抜き取れる。
【0040】
次に、本発明実施形態のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器の、カートリッジAの分別廃棄方法について
図8により説明する。カートリッジAのスリーブ4を保持して、スリーブ4下端より突出している回転筒3の摘み部34の押圧部分341を摘まんで、摘み部34を内方向に変形させる。同時に、摘み部34の上方の、スリット37により分断した係合受け部33の係合凹溝331も内方向に移動する。スリーブ4の係合リブ431のエッジ部432と抜け方向に強固に係合している回転筒3の係合凹溝331の溝上壁面332は、係合凹溝331の、内方向に移動した摘み部34上方にのみ設けているため、スリーブ4の係合リブ431のエッジ部432と、回転筒3の係合凹溝331の溝上壁面332の係合が外れ、スリーブ4が紅筒2及び回転筒3より抜き取れる。その結果、カートリッジAは、スリーブ4の金属製部品と、紅筒2及び回転筒3の合成樹脂製部品に分別して廃棄できる。
【実施例0041】
本発明実施形態のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器に於いては、回転筒3の支持部32の支持凹溝321に、弾性素材より成るOリング5を、支持部32の外周壁より突出した状態で枢着し、スリーブ4の摺接部42の内周壁に弾性を有して摺接させ、スリーブ4と回転筒3の相対回転時に摺動抵抗が生じる回動抵抗付与手段10を設けている。この回動抵抗付与手段10は、図示しないが、特許文献2のように、切り欠き部と突部により回転筒3と一体に成形しても良い。また、特許文献2のように回動抵抗付与手段10を回転筒3と一体に成形せず、NBR、エラストマーなどの素材や、切り欠きなどの構成によって弾性を付与した部材を回転筒3に止着して回動抵抗付与手段10を構成しても良い。
【0042】
また、本発明実施形態に於いては、回転筒3の支持部32とスリーブ4の摺接部42の間に、回動操作性を向上させる回動抵抗付与手段10を設けているが、この回動抵抗付与手段10を設けなくても、本発明は実施可能である。この場合、スリーブ4の摺接部42内径は、スリーブ4の収納部41の案内溝411の谷径φHと同径若しくは大径で、かつ係合部43の内径よりも小径にする必要がある。そして、スリーブ4の係合リブ431の内径φDを、紅筒2の保持部22の回動防止片221の外接円径φEより大径に、かつ回転筒3の係合受け部33の外径φGより小径にする。
【0043】
更に、回動抵抗付与手段10を設けない場合、
図12に示すように、回転筒3の支持部32及びスリーブ4の摺接部42を設ける必要もない。この場合、スリーブ4の係合部43内径を、スリーブ4の収納部41の案内溝411の谷径φHと同径若しくは大径にする必要がある。そして、スリーブ4の係合リブ431内径φDを、紅筒2の保持部22の回動防止片221外接円径φEより大径に、かつ回転筒3の係合受け部33の外径φGより小径にする。