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特開2024-118186縮環型ヘテロアリールカルボキサミド誘導体又はその塩、及びこれを有効成分として含有する殺菌剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118186
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】縮環型ヘテロアリールカルボキサミド誘導体又はその塩、及びこれを有効成分として含有する殺菌剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20240823BHJP
   A01N 43/52 20060101ALI20240823BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
C07D471/04 108X
C07D471/04 CSP
A01N43/52
A01P3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024471
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000101123
【氏名又は名称】アグロカネショウ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】五十木 聰史
(72)【発明者】
【氏名】畠本 正浩
【テーマコード(参考)】
4C065
4H011
【Fターム(参考)】
4C065AA03
4C065BB06
4C065CC01
4C065EE02
4C065HH01
4C065JJ02
4C065JJ03
4C065KK02
4C065KK04
4C065KK08
4C065LL02
4C065LL03
4C065LL09
4C065PP03
4C065PP12
4H011AA03
4H011BB09
4H011DA02
4H011DA13
4H011DA15
4H011DA16
(57)【要約】
【課題】農園芸用薬剤、特に農園芸用殺菌剤として優れた効果を奏する化合物を提供する。
【解決手段】有効成分として下記式(I)で示される縮環型ヘテロアリールカルボキサミド誘導体、又はその塩が提供される。式中、R1~R9は、例えば、水素原子や、C1~C6アルキル基などであり、Yは、例えば、結合であり、A1及びA2は、例えば、フェニルなどであり、n及びmは、それぞれ、0又は1であるが、n+mは、1又2である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(I)、
(式中、
1は、水素、C1~C6のアルキル基、C3~C6のシクロアルキル基、又はC1~C6のアルコキシ基を示し、
2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又はC1~C6のアルキル基を示し、R2及びR3は一緒になって、C3~C6のシクロアルキル基を形成してもよく、
4及びR5は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又はC1~C6のアルキル基を示し、R4及びR5は一緒になって、C3~C6のシクロアルキル基を形成してもよく、
6は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C6のアルキル基、C3~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、C1~C6のハロアルキル基、C1~C6のハロアルコキシ基、C1~C6アルキルチオ基、C1~C6アルキルスルフィニル基、C1~C6アルキルスルホニル基、無置換もしくは置換基Z1を有するフェニル基、又は無置換もしくは置換基Z1を有する5~10員環のヘテロアリール基を示し、
7は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1~C6のアルキル基、C3~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、C1~C6のハロアルキル基、C1~C6のハロアルコキシ基、C3~C6のシクロアルキル基、C1~C6アルキルチオ基、C1~C6アルキルスルフィニル基、C1~C6アルキルスルホニル基、無置換もしくは置換基Z2を有するフェニル基、又は無置換もしくは置換基Z2を有するヘテロアリール基を示し、
8は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、C1~C6のハロアルキル基、C1~C6のハロアルコキシ基、C3~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルキルチオ基、C1~C6のアルキルスルフィル基、C1~C6のアルキルスルホニル基、無置換もしくは置換基Z3を有するフェニル基、又は無置換もしくは置換基Z3を有するヘテロアリール基を示し、
9は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C6のアルキル基、C3~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、又はC1~C6のハロアルキル基を示し、
n及びmは、それぞれ、0又は1を示すが、n+mは、1又2であり、
Yは、酸素原子又は結合を示し、
A1は、無置換もしくは置換基Z4で置換されてもよい、フェニル基、ナフチル基又は5~10員環のヘテロアリール基を示し、
A2は、無置換もしくは置換基Z5で置換されてもよい、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、5~10員環のヘテロアリール基又は5~10員環のヘテロアリールオキシ基を示し、
置換基Z1は、ハロゲン原子、C1~C6のアルキル基、C3~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6のハロアルキル基又はC1~C6のハロアルコキシ基を示し、置換基Z1は、1つ又は2つ以上であってもよく、2つ以上の置換基を有するときは、互いに同一であっても異なっていてもよく、
置換基Z2は、ハロゲン原子、C1~C6のアルキル基、C3~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6のハロアルキル基又はC1~C6のハロアルコキシ基を示し、置換基Z2は、1つ又は2つ以上であってもよく、2つ以上の置換基を有するときは、互いに同一であっても異なっていてもよく、
置換基Z3は、ハロゲン原子、C1~C6のアルキル基、C3~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6のハロアルキル基又はC1~C6のハロアルコキシ基を示し、置換基Z3は、1つ又は2つ以上であってもよく、2つ以上の置換基を有するときは、互いに同一であっても異なっていてもよく、
置換基Z4は、ハロゲン原子、C1~C6のアルキル基、C3~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6のハロアルキル基又はC1~C6のハロアルコキシ基を示し、置換基Z4は、1つ又は2つ以上であってもよく、2つ以上の置換基を有するときは、互いに同一であっても異なっていてもよく、
置換基Z5は、ハロゲン原子、C1~C6のアルキル基、C3~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6のハロアルキル基又はC1~C6のハロアルコキシ基を示し、置換基Z5は、1つ又は2つ以上であってもよく、2つ以上の置換基を有するときは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表される縮環型ヘテロアリールカルボキサミド誘導体又はその塩。
【請求項2】
請求項1に記載の縮環型ヘテロアリールカルボキサミド誘導体(I)の製造方法であって、
下記式(II)、
(式中、R6、R7、R8、R9及びA1は、上記式(I)で定義したとおりである)
で表されるカルボン酸誘導体と、
下記式(XIV)、
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、A2、Y、n及びmは、上記式(I)で定義したとおりである)
で表されるアミン誘導体とを反応させることを特徴とする製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の縮環型ヘテロアリールカルボキサミド誘導体(I)又はその塩を含有することを特徴とする農園芸用薬剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縮環型ヘテロアリールカルボキサミド誘導体又はその塩、及びこれを有効成分として含有する殺菌剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
農園芸分野では、各種病原菌の防除を目的とした様々な殺菌剤が開発され、実用に供されている。
しかしながら、従来汎用されている農薬は、その効果や、スペクトル、残効性等、更には、施用回数や、施用薬量の低減等の要求を必ずしも満足しているとは言えない。加えて、従来汎用の農薬に対して抵抗性を発達させた病原菌の出現も問題となっている。例えば、野菜や、果樹、花卉、茶、ムギ類、イネ等の栽培において、例えば、トリアゾール系や、イミダゾール系、ピリミジン系、ベンズイミダゾール系、ジカルボキシイミド系、フェニルアミド系、ストロビルリン系等の様々な型の殺菌剤等に抵抗性を発達させた種々の病原菌が各地で出現しており、これらの抵抗性病原菌の防除が年々困難になっている。
従って、従来汎用の農園芸用殺菌剤に抵抗性を発達させた各種病原菌に対しても低薬量で十分な防除効果を示し、しかも、環境への悪影響が小さい、新規な農薬の出現が常に望まれている。
【0003】
これらの要望に応えるための新しい殺菌剤が種々提案されているが、必ずしも、上記要望に応えるものではない。
【0004】
特許文献1には、殺菌活性を有し、フェノキシ基を有する以下のカルボキサミド誘導体が開示されている(183頁化合物番号I-002)。しかしながら、特許文献1は、ピリジンに該当する箇所にイミダゾピリジンを有する化合物については、全く開示していない。
【0005】
特許文献2には、フェノキシ基を有するイミダゾピリジンカルボキサミド誘導体が開示されている(35頁化合物番号3)。しかしながら、特許文献2で開示される化合物は、鎮静剤などの医薬に関するものであり、カルボキサミド基の窒素原子に、ピリジル基などのアリール基が直接結合している化合物であり、少なくともメチレン基を介して結合している化合物ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2021/224220号パンフレット
【特許文献2】CN 114437062
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、各種菌類の防除に有用な新しい物質を提供することにあり、特に従来の殺菌剤に対して抵抗性を発達させた各種菌類に対しても高い防除効果を示し、更に、低薬量で効果を奏し、従って、残留毒性や環境汚染等の問題が軽減された安全性の高い物質を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の式で規定される縮環型ヘテロアリールカルボキサミド誘導体又はその塩及びこれを有効成分とする殺菌剤が、上記要望に応え得る特性を有する化合物であることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
即ち、本発明は、下式(I)、
(式中、
1は、水素、C1~C6のアルキル基、C3~C6のシクロアルキル基又はC1~C6のアルコキシ基を示し、
2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又はC1~C6のアルキル基を示し、R2及びR3は一緒になって、C3~C6のシクロアルキル基を形成してもよく、
4及びR5は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子又はC1~C6のアルキル基を示し、R4及びR5は一緒になって、C3~C6のシクロアルキル基を形成してもよく、
6は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C6のアルキル基、C3~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、C1~C6のハロアルキル基、C1~C6のハロアルコキシ基、C1~C6アルキルチオ基、C1~C6アルキルスルフィニル基、C1~C6アルキルスルホニル基、無置換もしくは置換基Z1を有するフェニル基、又は無置換もしくは置換基Z1を有する5~10員環のヘテロアリール基を示し、
7は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1~C6のアルキル基、C3~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、C1~C6のハロアルキル基、C1~C6のハロアルコキシ基、C3~C6のシクロアルキル基、C1~C6アルキルチオ基、C1~C6アルキルスルフィニル基、C1~C6アルキルスルホニル基、無置換もしくは置換基Z2を有するフェニル基、又は無置換もしくは置換基Z2を有する5~10員環のヘテロアリール基を示し、
8は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、C1~C6のハロアルキル基、C1~C6のハロアルコキシ基、C3~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルキルチオ基、C1~C6のアルキルスルフィル基、C1~C6のアルキルスルホニル基、無置換もしくは置換基Z3を有するフェニル基、又は無置換もしくは置換基Z3を有する5~10員環のヘテロアリール基を示し、
【0010】
9は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C6のアルキル基、C3~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、又はC1~C6のハロアルキル基を示し、
n及びmは、それぞれ、0又は1であるが、n+mは、1又2であり、
Yは、酸素原子又は結合を示し、
A1は、無置換もしくは置換基Z4で置換されてもよい、フェニル基、ナフチル基又は5~10員環のヘテロアリール基を示し、
A2は、無置換もしくは置換基Z5で置換されてもよい、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、5~10員環のヘテロアリール基又は5~10員環のヘテロアリールオキシ基を示し、
置換基Z1は、ハロゲン原子、C1~C6のアルキル基、C3~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6のハロアルキル基、又はC1~C6のハロアルコキシ基を示し、置換基Z1は、1つ又は2つ以上であってもよく、2つ以上の置換基を有するときは、互いに同一であっても異なっていてもよく、
置換基Z2は、ハロゲン原子、C1~C6のアルキル基、C3~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6のハロアルキル基、又はC1~C6のハロアルコキシ基を示し、置換基Z2は、1つ又は2つ以上であってもよく、2つ以上の置換基を有するときは、互いに同一であっても異なっていてもよく、
置換基Z3は、ハロゲン原子、C1~C6のアルキル基、C3~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6のハロアルキル基、又はC1~C6のハロアルコキシ基を示し、置換基Z3は、1つ又は2つ以上であってもよく、2つ以上の置換基を有するときは、互いに同一であっても異なっていてもよく、
【0011】
置換基Z4は、ハロゲン原子、C1~C6のアルキル基、C3~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6のハロアルキル基、又はC1~C6のハロアルコキシ基を示し、置換基Z4は、1つ又は2つ以上であってもよく、2つ以上の置換基を有するときは、互いに同一であっても異なっていてもよく、
置換基Z5は、ハロゲン原子、C1~C6のアルキル基、C3~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6のハロアルキル基、又はC1~C6のハロアルコキシ基を示し、Z5は、1つ又は2つ以上であってもよく、2つ以上の置換基を有するときは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表される縮環型ヘテロアリールカルボキサミド誘導体又はその塩(以下、「本発明の化合物」とも言う)、及びこれを有効成分として含有する殺菌剤に関するものである。
また、本発明は、以下の反応で示される、縮環型ヘテロアリールカルボキサミド誘導体又はその塩の製造方法にも関するものである。
【0012】
下記式(II)、

(式中、R6、R7、R8、R9及びA1は、上記式(I)で定義した通りである)
で表されるカルボン酸誘導体と、
下記式(XVII)、

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、A2、Y、n及びmは、上記式(I)で定義したとおりである)
で表されるアミン誘導体とを反応させることを特徴とする製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の化合物は、各種菌類に対して優れた作用効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
式(I)で表される本発明の化合物において、ヘテロアリール基は、5~10員環の単環性又は縮環性のいずれであってもよく、1個又は2個以上の同一又は異なる環構成ヘテロ原子を含むヘテロアリール基を有することができる。ヘテロ原子の種類は特に限定されないが、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などを例示することができ、構成される環としては、例えば、フリル基、チエニル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基や、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、などが好適に挙げられる。
1~C6のアルキル基としては、例えば、メチル基や、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1~6個、好ましくは、1~4個のアルキル基を示す。
ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、沃素原子又はフッ素原子を示す。
2とR3及びR4とR5がそれぞれ一緒になって形成されるシクロアルキル基としては、シクロプロパン環や、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環などが好適に挙げられる。
3~C6のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロパン基や、シクロブタン基、シクロペンタン基、シクロヘキサン基などが好適に挙げられる。
1~C6のアルコキシ基は、アルキル基の炭素-炭素結合における炭素原子間に、酸素原子を有する基であり、例えば、メトキシ基や、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキキシ基、n-ヘキシルオキシ基等の炭素数1~6個、好ましくは、1~4個の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基が挙げられる。
【0015】
1~C6のハロアルキル基としては、上記アルキル基において、いずれかの炭素原子が、ハロゲン原子により置換されたアルキル基を意味し、例えば、フルオロメチル基や、クロロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロジフルオロメチル基、ブロモジフルオロメチル基、ジクロロフルオロメチル基、1-フルオロエチル基、2-フルオロエチル基、2-クロロエチル基、2-ブロモエチル基、2-ヨードエチル基、2、2、2-トリフルオロエチル基、2、2、2-トリクロロエチル基、ペンタフルオロエチル基、2、2-ジフルオロエチル基、1-フルオロイソプロピル基、3-フルオロプロピル基、3-クロロプロピル基、3-ブロモプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、4-フルオロブチル基、4-クロロブチル、ノナフルオロブチル基等の、好ましくは、1~9個のハロゲン原子で置換された、炭素数1~6個、好ましくは、1~4個の直鎖状又は分岐鎖状ハロアルキル基を示す。
【0016】
1~C6のハロアルコキシ基としては、上記で説明したC1~C6のアルコキシ基のいずれかの炭素原子にハロゲン原子が置換したアルコキシ基であり、例えば、フルオロメトキシ基や、ジクロロメトキシ基、トリクロロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、クロロジフルオロメトキシ基、ブロモジフルオロメトキシ基、ジクロロフルオロメトキシ基、1-フルオロエトキシ基、2-フルオロエトキシ基、2-クロロエトキシ基、2-ブロモエトキシ基、2-ヨードエトキシ基、2、2、2-トリフルオロエトキシ基、2、2、2-トリクロロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、1-フルオロイソプロポキシ基、3-フルオロプロポキシ基、3-クロロプロポキシ基、3-ブロモプロポキシ基、4-フルオロブトキシ基、4-クロロブトキシ基等の、好ましくは1~9個のハロゲン原子で置換された、炭素数1~6個、好ましくは、1~3個の直鎖状又は分岐鎖状ハロアルコキシ基が挙げられる。
1~C6アルキルチオ基とは、上記アルキル基で置換されたチオ基であり、C1~C6アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基や、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n-ブチルチオ基、s-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基等のアルキルチオ基が挙げられる。
【0017】
アルキルスルフィニル基とは、上記アルキル基で置換されたスルフィニル基であり、C1~C6アルキルスルフィニル基としては、例えば、メチルスルフィニル基や、エチルスルフィニル基、n-プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、n-ブチルスルフィニル基、s-ブチルスルフィニル基、t-ブチルスルフィニル基、n-ペンチルスルフィニル基、n-ヘキシルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基が挙げられる。
1~C6アルキルスルホニル基とは、上記アルキル基で置換されたスルホニル基であり、C1~C6アルキルスルホニル基としては、例えば、メチルスルホニル基や、エチルスルホニル基、n-プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n-ブチルスルホニル基、s-ブチルスルホニル基、t-ブチルスルホニル基、n-ペンチルスルホニル基、n-ヘキシルスルホニル基等のアルキルスルホニル基が挙げられる。
【0018】
以下に、本発明の式(I)で表される縮環ヘテロアリールアミド誘導体、及びその中間体である式(II)で表されるヘテロアリールカルボン酸の代表的な製造方法を説明するが、本発明の範囲は、製造方法によって、何ら限定されるものではなく、任意の適宜修正された製造方法も包含される。
【0019】
(反応式1)
[式中、
6は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C6のアルキル基、C3~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、C1~C6のハロアルキル基、C1~C6のハロアルコキシ基、C1~C6アルキルチオ基、C1~C6アルキルスルフィニル基、C1~C6アルキルスルホニル基、無置換もしくは置換基Z1を有するフェニル基、又は無置換もしくは置換基Z1を有するヘテロアリール基を示し、
9は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C6のアルキル基、C3~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、又はC1~C6のハロアルキル基を示し、
R10は、ハロゲン原子、シアノ基を示し、
R’は、C1~C6のアルキル基を示し、そして
Halは、ハロゲン原子を示す。]
【0020】
反応式1においては、式(IV)の化合物は、前記式(III)のカルボン酸誘導体と、R’OHで表されるアルコールとを縮合試薬及び塩基の存在下において、不活性溶媒中で反応させるか、もしくは前記式(III)の酸誘導体と、大過剰のR’OHとを、酸存在下で反応させることにより製造することができる。出発物質である化合物(III)は、基本的には、公知の化合物であるか、又は当業者において公知の化合物から直ちに入手可能な化合物である。
縮合試薬を用いた反応における反応温度は、通常-20℃~溶媒の沸点の範囲で、反応時間は、通常0.2時間~24時間の範囲で行なわれる。R’OHで表されるアルコールは、一般式(III)で表されるカルボン酸誘導体に対して、通常1~5倍モルの範囲で使用される。
反応式1で使用される縮合試薬としては、例えば、シアノリン酸ジエチル(DEPC)や、カルボニルジイミダゾール(CDI)、1,3-ジシクロへキシルカルボジイミド(DCC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、クロロ炭酸エステル類、ヨウ化2-クロロ-1-メチルピリジニウム等を例示することができ、その使用量は、一般式(III)の酸誘導体に対して、通常1~3倍モルの範囲で使用される。
【0021】
塩基としては、例えば、炭酸ナトリウムや、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基類;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の酢酸塩類;カリウムt-ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等の金属アルコキシド類;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデック-7エン等の第三級アミン類;ピリジン、ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族化合物等を挙げることができる。塩基の量は、一般式(III)で表されるカルボン酸誘導体に対して通常1~10倍モルの範囲で使用される。
【0022】
反応式1においては、溶媒を使用しても使用しなくても良いが、使用できる溶媒としては、反応式1に記載の反応を著しく阻害しないものであれば良く、例えば、ジメチルエーテルや、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の鎖状又は環状エーテル類;ベンゼンや、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;塩化メチレンや、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル等のニトリル類;酢酸メチルや、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;N,N-ジメチルホルムアミドや、N,N-ジメチルアセトアミド、DMSO、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等の極性溶媒を挙げることができ、これらの不活性溶媒は単独で又は2種類以上混合して使用することができる。
大過剰のR’OHを酸の存在下で反応させる場合の反応は、通常0℃~溶媒の沸点の範囲であり、反応時間は、通常0.2時間~24時間の範囲で行なわれる。
酸としては、硫酸や、塩化水素、塩化チオニル等が挙げられる。
反応後、目的物を含む反応系から常法により単離すれば良く、必要に応じて、再結晶化や、カラムクロマトグラフィー等で精製することにより目的物を製造することができる。
【0023】
(反応式2)
[式中、
6、R9、R’及びHalは、前記式(IV)で定義したとおりである。
Qは、ハロゲン原子、又はO-A1を示し、
A1は、無置換もしくは置換基Z4を有する、フェニル基、ナフチル基又は5~10員環のヘテロアリール基を示し、そして
置換基Z4は、ハロゲン原子、C1~C6のアルキル基、C3~C6のシクロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C6のハロアルキル基又はC1~C6のハロアルコキシ基を示し、置換基Z4は、1つ又は2つ以上であってもよく、2つ以上の置換基を有するときは、互いに同一であっても異なっていてもよい。]
化合物(V)は、基本的には、公知化合物であるか、当業者において公知の化合物から直ちに入手可能な化合物である。
【0024】
前記式(VI)で表される化合物は、芳香族ハロゲン化合物(V)と、シアノ化剤とをパラジウム化合物存在下で反応させることにより製造することができる。当該反応は、通常溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフランや、エチレングリコールジメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、1,4-ジオキサン等のエーテル類、ヘキサンや、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、トルエンや、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノールや、エタノール等のアルコール類、N,N-ジメチルホルムアミドや、N-メチルピロリドン、DMSO等の非プロトン性極性溶媒、及びこれらの混合物が挙げられる。シアノ化剤としては、例えば、シアン化亜鉛等が挙げられる。パラジウム化合物としては、例えば、テ卜ラキス(卜リフェニルフォスフィン)パラジウム等が挙げられる。
当該反応式2の反応においては、前記式(V)1モルに対して、シアノ化剤が通常1~5モルの割合、パラジウム化合物が通常0.01~0.5モルの割合で使用され、反応温度は通常50~200℃の範囲内で、反応時間は通常0.5~24時間の範囲内でおこなわれる。
上記各反応で得られる目的化合物は、通常行われている単離手段、例えば、有機溶媒抽出法や、クロマトグラフィー法、再結晶法、蒸留法等により、反応混合物から容易に単離されることができ、更に通常の精製手段により精製され得る。
【0025】
(反応式3)
[式中、R6、R9、R10、R’、A1及びHalは、前記式 (IV)、(V)及び(VI)で定義した通りである。]
前記式(IX)で表される化合物は、前記式(VII)で表される化合物と、前記式(VIII)で表される化合物とを、塩基の存在下又は不存在下に、不活性溶媒中で反応させることにより製造することができる。化合物(VII)は、基本的には、公知の化合物であるか、又は当業者において公知の化合物から直ちに入手可能な化合物である。
前記式(VIII)で表される化合物は、市販品であってもよく、周知の方法に従った別の化合物の転化又は誘導体化によって得てもよい。
【0026】
前記式(VII)の化合物と、前記式A1-OHの化合物との反応で使用される溶媒としては、該反応に対して不活性である限り、公知の溶媒を広く使用することができる。このような溶媒としては、例えば、ヘキサンや、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族もしくは脂環式炭化水素系溶媒、ベンゼンや、クロロベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、塩化メチレンや、1、2-ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテルや、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸メチルや、酢酸エチル等のエステル系溶媒、アセトンや、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、アセトニトリルや、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、N-メチルピロリドンや、N,N'-ジメチルイミダゾリノン等の非プロトン性極性溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種を単独で使用でき、又は必要に応じて2種以上を混合して使用することができる。
【0027】
前記式(VII)の化合物と、前記式(VIII)の化合物との反応で使用される塩基としては、公知の無機塩基及び有機塩基を使用できる。無機塩基としては、例えば、炭酸ナトリウムや、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、水酸化ナトリウムや、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水素化ナトリウムや、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物等が挙げられる。有機塩基としては、例えば、ナトリウムメトキシドや、ナトリウムエトキシド、カリウムt-ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、トリエチルアミンや、ピリジン等のアミン等が挙げられる。これらの塩基は、1種単独で又は2種以上混合して使用され得る。
このような塩基は、前記式(VIII)で表される化合物に対して、通常1~100当量、好ましくは1~2当量となるような量で使用され得る。
【0028】
前記式(VII)の化合物と、前記式(VIII)の化合物との使用割合は、化合物(VII)に対し化合物(VIII)を1~1.2モル使用するのがより好ましい。
当該反応は、通常-78℃から使用する溶媒の沸点温度までの範囲内で行うことができ、0℃~100℃で反応を行うのが好ましい。
反応時間は反応温度等により変動し、一概には言えないが、通常0.5~24時間程度で当該反応は完結する。
上記各反応で得られる目的化合物は、通常行われている単離手段、例えば、有機溶媒抽出法や、クロマトグラフィー法、再結晶法、蒸留法等により、反応混合物から容易に単離されることができ、更に通常の精製手段により精製され得る。
【0029】
(反応式4)
[式中、R6、R9、R’、及びA1は、前記式(IX)で定義されている通りである。]
化合物(X)は、基本的には、公知の化合物であるか、又は当業者において公知の化合物から直ちに入手可能な化合物である。
前記式(XI)で表される化合物は、前記式(X)の化合物と接触還元触媒とを水素雰囲気下で反応させることにより製造することができる。該反応は、通常溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフランや、エチレングリコールジメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、1,4-ジオキサン等のエーテル類、ヘキサンや、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノールや、エタノール等のアルコール類、N,N-ジメチルホルムアミドや、N-メチルピロリドン、DMSO等の非プロトン性極性溶媒、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0030】
接触還元触媒としては、例えば、パラジウム―活性炭素や、酸化白金、水酸化パラジウム等が挙げられる。
該反応式4の反応には、前記式(X)の化合物1モルに対して、接触還元触媒が通常0.01~0.5モルの割合で用いられる。反応温度は、通常0℃~溶媒の沸点温度までの範囲内で行うことができ、室温~100℃で行うのが好ましい。反応時間は、通常0.5~24時間の範囲内である。
上記各反応で得られる目的化合物は、通常行われている単離手段、例えば、有機溶媒抽出法や、クロマトグラフィー法、再結晶法、蒸留法等により、反応混合物から容易に単離されることができ、更に通常の精製手段により精製され得る。
【0031】
(反応式5)
[式中、R6、R9、R‘、及びA1 は、前記式(XI)を示し、
8は、水素原子、ハロゲン原子、C1~C6のアルキル基、C1~C6のハロアルキル基、C3~C6のシクロアルキル基、無置換もしくは置換基Z3を有するフェニル基、又は無置換もしくは置換基Z3を有する5~10員環のヘテロアリール基を示し、そして
R11は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子又はC1~C6のアルコキシ基を示す。 ]
化合物(XI)は、基本的には、公知の化合物であるか、又は当業者において公知の化合物より直ちに入手可能な化合物である。
【0032】
前記式(XIV)で表される化合物は、前記式(XI)の化合物と、前記式(XII)又は前記式(XIII)の化合物とを塩基の存在下又は不存在下に、不活性溶媒中で反応させることにより製造することができる。
本反応における反応温度は、通常-20℃~120℃、好ましくは20℃~100℃の範囲で、反応時間は、通常0.2時間~24時間、好ましくは0.5時間~5時間の範囲で行なわれる。前記式(XII)及び前記式(XIII)の化合物は、前記式(XI)の化合物に対して通常1~5倍モル、好ましくは1~2倍モルの範囲で使用される。
【0033】
塩基としては、例えば、水酸化ナトリウムや、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基類;酢酸ナトリウムや、酢酸カリウム等の酢酸塩類;カリウムt-ブトキシドや、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等の金属アルコキシド類;トリエチルアミンや、ジイソプロピルエチルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデック-7-エン等の第三級アミン類;ピリジンや、ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族化合物等を挙げることができる。塩基の量は芳香族メタンアミン化合物(XI)に対して通常1~10倍モル、好ましくは1~2倍モルの範囲で使用される。
【0034】
本反応は溶媒を使用しても使用しなくても良いが、使用できる溶媒としては、この反応を著しく阻害しないものであれば良く、例えば、ジメチルエーテルや、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の鎖状又は環状エーテル類;ベンゼンや、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;塩化メチレンや、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル等のニトリル類;酢酸メチルや、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;N,N-ジメチルホルムアミドや、N,N-ジメチルアセトアミド、DMSO、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等の極性溶媒を挙げることができ、これらの不活性溶媒は単独で又は2種類以上混合して使用することができる。
反応後、目的物は、当該目的物を含む反応系から常法により単離すれば良く、必要に応じて再結晶、カラムクロマトグラフィー等で精製することにより目的物を製造することができる。
【0035】
(反応式6)
[式中、R6、R8、R9、R‘及びA1 は、前記式(XIV)の定義の通りである。]
前記式(XV)で表される化合物は、前記式(XIV)の化合物と、脱水剤とを不活性溶媒中で反応させることにより製造することができる。
この反応における反応温度は、通常-20℃~200℃、好ましくは20℃~120℃の範囲で、反応時間は、通常0.2時間~24時間、好ましくは0.5時間~5時間の範囲で行なわれる。脱水剤は、前記式(XIV)の化合物に対して、通常1~10倍モル、好ましくは1~5倍モルの範囲で使用される。
【0036】
不活性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフランや、エチレングリコールジメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、1,4-ジオキサン等のエーテル類、ヘキサンや、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、トルエンや、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノールや、エタノール等のアルコール類、N,N-ジメチルホルムアミドや、N-メチルピロリドン、DMSO等の非プロトン性極性溶媒及びこれらの混合物が挙げられる。脱水剤としては、塩化ホスホリルや、トリフルオロメタンスルホン酸無水物等が挙げられる。
反応後、目的物は、当該目的物を含む反応系から常法により単離すれば良く、必要に応じて再結晶、カラムクロマトグラフィー等で精製することにより目的物を製造することができる。
【0037】
(反応式7)
[式中、R6、R8、R9、R‘、X及びA1は、前記式(XV)を示し、R7は、ハロゲン原子を示す。]
前記式(XVI)で表される化合物は、前記式(XV)の化合物と、ハロゲン化剤とを不活性溶媒中で反応させることにより製造することができる。
ハロゲン化剤としては、例えば、N-クロロスクシンイミドや、N-ブロモスクシンイミド、塩化スルフリル等が挙げられる。
【0038】
不活性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフランや、エチレングリコールジメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、1,4-ジオキサン等のエーテル類、ヘキサンや、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、トルエンや、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノールや、エタノール等のアルコール類、N,N-ジメチルホルムアミドや、N-メチルピロリドン、DMSO等の非プロトン性極性溶媒、及びこれらの混合物が挙げられる。
本反応における反応温度は、通常-20℃~200℃、好ましくは20℃~120℃の範囲で、反応時間は、通常0.2時間~24時間、好ましくは0.5時間~5時間の範囲で行なわれる。ハロゲン化剤は、前記式(XV)の化合物に対して、通常1~20倍モル、好ましくは1~10倍モルの範囲で使用される。
反応後、目的物は、当該目的物を含む反応系から常法により単離すれば良く、必要に応じて再結晶や、カラムクロマトグラフィー等で精製することにより目的物を製造することができる。
【0039】
(反応式8)

[式中、R6、R8、R9、R‘、及びA1は、前記式(XIV)で規定される通りであり、R7は、水素原子又はハロゲン原子を示す。]
前記式(II)で表される化合物は、前記式(XVI)の化合物を、不活性溶媒中で、酸又は塩基で処理することにより製造することができる。
不活性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフランや、エチレングリコールジメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、1,4-ジオキサン等のエーテル類、ヘキサンや、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、トルエンや、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノールや、エタノール等のアルコール類、N,N-ジメチルホルムアミドや、N-メチルピロリドン、DMSO等の非プロトン性極性溶媒、更には、水を例示することができ、これらの不活性溶媒は、単独で又は2種以上混合して使用することができる。
酸としては、例えば、塩酸や、酢酸等が挙げられる。
塩基としては、例えば、水酸化ナトリウムや、水酸化リチウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
この反応における反応温度は、通常-20℃~200℃、好ましくは20℃~120℃の範囲で、反応時間は、通常0.2時間~24時間、好ましくは0.5時間~5時間の範囲で行なわれる。酸又は塩基は、前記式(XVI)の化合物に対して通常1~20倍モル、好ましくは1~10倍モルの範囲で使用される。
反応後、目的物は、当該目的物を含む反応系から常法により単離すれば良く、必要に応じて、再結晶化や、カラムクロマトグラフィー等で精製することにより目的物を製造することができる。
【0040】
(反応式9)
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、Y、A1、A2、n及びmは、前記式(II)及び先に説明された式(XVII)で規定される通りである。]
【0041】
前記式で表される(II)の化合物と、前記式(XVII)で表されるアミン誘導体とを縮合剤及び塩基の存在下において、不活性溶媒中にて反応させるか、もしくは式(II)の化合物を酸ハロゲン化物に変換した後、前記式(XVII)で表されるアミン誘導体とを塩基の存在下において、不活性溶媒中で反応させることにより、一般式(I)で表される本発明のヘテロアリールカルボキサミド誘導体を製造することができる。
前記式(XVII)で表されるアミン誘導体は、市販品であってもよく、WO2015/007626に記載の方法によって得てもよい。
縮合試薬を用いた反応における反応温度は、通常-20℃~120℃の範囲で、反応時間は、通常0.2時間~24時間の範囲で行なわれる。前記式(XVII)で表されるアミン誘導体は、前記式(II)の化合物に対して、通常1~5倍モルの範囲で使用される。
本反応で使用する縮合試薬としては、例えば、シアノリン酸ジエチル(DEPC)や、カルボニルジイミダゾール(CDI)、1,3-ジシクロへキシルカルボジイミド(DCC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、クロロ炭酸エステル類、ヨウ化2-クロロ-1-メチルピリジニウム等を例示することができ、その使用量は、一般式(II)で表されるヘテロアリールカルボン酸誘導体に対して、通常1~3倍モルの範囲で使用される。
【0042】
塩基としては、例えば、水酸化ナトリウムや、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基類;酢酸ナトリウムや、酢酸カリウム等の酢酸塩類;カリウムt-ブトキシドや、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等の金属アルコキシド類;トリエチルアミンや、ジイソプロピルエチルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデック-7-エン等の第三級アミン類;ピリジンや、ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族化合物等を挙げることができる。塩基の量は前記式(II)の化合物に対して通常1~10倍モルの範囲で使用される。
酸ハロゲン化物に変換する反応では、通常-20℃~120℃の範囲で、反応時間は、通常0.2時間~24時間の範囲で行なわれる。
酸ハロゲン化物に変換するために使用される酸ハロゲン化剤としては、例えば、塩化チオニルや、オキサリルクロリド等が挙げられる。
この反応においては、不活性溶媒を使用しても使用しなくても良いが、使用できる不活性溶媒としては、この反応を著しく阻害しないものであれば良く、例えば、ジメチルエーテルや、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の鎖状又は環状エーテル類;ベンゼンや、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;塩化メチレンや、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル等のニトリル類;酢酸メチルや、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;N,N-ジメチルホルムアミドや、N,N-ジメチルアセトアミド、DMSO、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ピリジン等の極性溶媒を挙げることができ、これらの不活性溶媒は単独で又は2種類以上混合して使用することができる。
【0043】
塩基としては、例えば、水酸化ナトリウムや、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基類;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の酢酸塩類;カリウムt-ブトキシドや、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等の金属アルコキシド類;トリエチルアミンや、ジイソプロピルエチルアミン、1、8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデック-7-エン等の第三級アミン類;ピリジンや、ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族化合物等を挙げることができる。塩基の量は前記式(II)の化合物に対して通常1~10倍モルの範囲で使用される。
反応後、目的物を含む反応系から常法により単離すれば良く、必要に応じて再結晶化や、カラムクロマトグラフィー等で精製することにより目的物を製造することができる。
【0044】
本発明の農園芸用殺菌剤は、式(I)で示される本発明の化合物又はその塩を有効成分として含有する。本発明の化合物は、単独で使用しても、それらの混合物として配合することができる。
本発明の式(I)で示される化合物の塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩等の無機酸塩や、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩などの塩が好適である。
本発明の農園芸用殺菌剤に含有される本発明の化合物又はその塩(以下、総括的に「本発明の化合物」という)の量は、製剤全体に対して、一般に、0.1~99.9質量%、好ましくは0.2~80質量%である。
【0045】
本発明の農園芸用殺菌剤は、式(I)の本発明の化合物とともに、必要に応じて、1種類以上の他の殺菌剤や、殺虫剤、殺ダニ剤、忌避剤、共力剤、もしくは植物成長調節剤などと混合又は併用することができる。そのようにして得られた混合物は幅広い活性スペクトルを有する。
【0046】
本発明の農園芸用殺菌剤において、本発明の化合物と混合又は併用できる他の殺菌剤(一般名)として、例えば、以下の通り例示することができるが、混合又は併用できる他の殺菌剤としては、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0047】
その具体例な活性化合物として、例えば、D-D(1、3-dichloropropene)、アシベンゾラルSメチル(acibenzolar-S-methyl)、アルジモルフ(aldimorph)、アメトクトラジン(ametoctradin)、アミスルブロム(amisulbrom)、アンドプリム(andoprim)、トリアジン(anilazine)、アザコナゾール(azaconazole)、アゾキシストロビン(azoxystrobin)、塩基性硫酸銅(basic copper sulfate)、ベノダニル(benodanil)、ベノミル(benomyl)、ベンチアバリカルブイソプロピル(benthiavalicarb-isopropyl)、ベンチアゾール(benthiazole)、ビテルタノール(bitertanol)、ビキサフェン(bixafen)、ブラストサイジンS(blasticidin S)、ボスカリド(boscalid)、ブロムコナゾール(bromuconazole)、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、ブチオベート(buthiobate)、石灰硫黄合剤(calcium polysulfide)、キャプタフォル(captafol)、キャプタン(captan)、カルベンダゾール(carbendazim)、カルボキシン(carboxin)、カルプロパミド(carpropamid)、キノメチオネート(chinomethionat)、クロルフェナゾール(chlorfenazole)、クロロネブ(chloroneb)クロルピクリン(chloropicrin)、クロロタロニル(chlorothalonil)、クロゾリネート(chlozolinate)、DBEDC(complex of bis(ethylenediamine)copper-bis-(dodecylbenzenesulfonic acid))、水酸化第二銅(copper hydroxide)、ノニルフェノールスルホン酸銅(copper nonylphenol sulfonate)、塩基性塩化銅(copper oxychloride)、シアゾファミド(cyazofamid)、シフルフェナミド(cyflufenamid)、シモキサニル(cymoxanil)、シプロコナゾール(cyproconazole)、シプロジニル(cyprodinil)、ダゾメット(dazomet)、ジクロブトラゾール(diclobutrazol)、ジクロフルアニド(dichlofluanid)、ジクロン(dichlone)、ジクロシメット(diclocymet)、ジクロメジン(diclomezine)、ジエトフェンカルブ(diethofencarb)、ジフェノコナゾール(difenoconazole)、ジフルメトリム(diflumetorim)、ジメトモルフ(dimethomorph)、ジモキシストロビン(dimoxystrobin)、ジニコナゾール(diniconazole)、ジニコナゾールM(diniconazole-M)、ダイセンステンレス(dithane-stainless)、ジチアノン(dithianon)、ドジン(dodine)、エクロメゾール(echlomezole)、エディフェンホス(edifenphos)、エネストロビン(enestrobin)、エポキシコナゾール(epoxiconazole)、エタコナゾール(etaconazole)、エタボキサム(ethaboxam)、シイタケ菌糸体抽出物(extract from mushroom)、ファモキサドン(famoxadone)、フェナミドン(fenamidone)、フェナリモル(fenarimol)、フェンブコナゾール(fenbuconazole)、フェンフラン(fenfuram)、フェンヘキサミド(fenhexamid)、フェノキサニル(fenoxanol)、
【0048】
フェンピクロニル(fenpiclonil)、フェンプロピジン(fenpropidin)、フェンピラザミン(fenpyrazamine)、フェリムゾン(ferimzone)、フルアジナム(fluazinam)、フルメットーバー(flumetover)、フルモルフ(flumorph)、フルオピコリド(fluopicolide)、フルオピラム(fluopyram)、フルオルイミド(fluoroimide)、フルオトリマゾール(fluotrimazole)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、フルキンコナゾール(fluquinconazole)、フルスルファミド(flusulfamide)、フルトラニル(flutolanil)、フルキサピロキサド(fluxapyroxad)、ホルペット(folpet)、ホセチル・アルミニウム(fosetyl-AL)、フサライド(fthalide)、フベリダゾール(fuberidazole)、フルジオキソニル(fludioxonil)、フルジラゾール(flusilazole)、フルチアニル(flutianil)、フルトリアフォル(flutriafol)、フラメトピル(furametpyr)、フルコナゾール(furconazole)、グアザチン(guazatine)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)、ヒドロキシイソキサゾール(hydroxyioxazole)、ヒメキサゾール(hymexazol)、イマザリル(imazalil)、イマザリルサルフェート(imazalil sulfate)、イミベンコナゾール(imibenconazole)、イミノクタジン酢酸塩(iminoctadine acetate)、イミノクタジン・アルベシル酸塩(iminoctadine-DBS)、
【0049】
イプコナゾール(ipconazole)、IBP(iprobenfos)、イプロジオン(iprodione)、イプロバリカルブ(iprovalicarb)、イソフェタミド(isofetamid)、イソプロチオラン(isoprothiolane)、イソピラザム(isopyrazam)、イソチアニル(isotianil)、カスガマイシン(kasugamycin)、クレソキシム-メチル(kresoxim-methyl)、マンコゼブ(mancozeb)、マンジプロパミド(mandipropamid)、マンネブ(maneb)、マンゼブ(manzeb)、メパニピリム(mepanipyrim)、メプロニル(mepronil)、メタラキシル(metalaxyl)、カーバム(metam-ammonium)、カーバムナトリウム(metam-sodium)、メトコナゾール(metconazole)、メタスルホカルブ(methasulfocarb)、臭化メチル(methyl bromide)、メチルイソチオシアネート(methylisothiocyanate)、メトミノストロビン(metominostrobin)、メトラフェノン(metrafenone)、ミルディオマイシン(mildiomycin)、ミクロブタニル(myclobutanil)、有機硫黄ニッケル塩(nickel dimethyldithiocarbamate)、ヌアリモル(nuarimol)、オリサストロビン(orysastrobin)、オキサジキシル(oxadixyl)、オキサチアピプロリン(oxathiapiprolin)、有機銅(oxine-copper)、オキソリニック酸(oxolinic acid)、オキスポコナゾールフマル酸塩(oxpoconazole fumarate)、オキシカルボキシン(oxycarboxin)、オキシテトラサイクリン(oxytetracycline)、ペブレート(pebulate)、ペフラゾエート(pefurazoate)、ペンコナゾール(penconazole)、ペンシクロン(pencycuron)、ペンフルフェン(penflufen)、ペンチオピラド(penthiopyrad)、ピカルブトラゾックス(picarbutrazox)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、ピペラリン(piperalin)、ポリカーバメート(polycarbamate)、ポリオキシンB(polyoxin-B)、ポリオキシン複合体(polyoxins)、炭酸水素カリウム(potassium hydrogen carbonate)、プロベナゾール(probenazole)、プロクロラズ(prochloraz)、プロシミドン(procymidone)、プロパモカルブ(propamocarb)、プロピコナゾール(propiconazole)、プロピネブ(propineb)、プロキナジド(proquinazid)、
【0050】
プロチオコナゾール(prothioconazole)、ピラクロストロビン(pyraclostrobin )、ピラメトストロビン(pyrametostrobin)、ピラオキシストロビン(pyraoxystrobin)、ピラゾホス(pyrazophos)、ピリベンカルブ(pyribencarb)、ピリジニトリル(pyridinitril)、ピリフェノック(pyrifenox)、ピリメタニル(pyrimethanil)、ピリオフェノン(pyriofenone)、ピロキロン(pyroquilon)、キノキシフェン(quinoxyfen)、キントゼン(quintozene)、セダキサン(sedaxane)、銀(silver)、シメコナゾール(simeconazole)、炭酸水素ナトリウム(sodium hydrogen carbonate)、次亜塩素酸ナトリウム(sodium hypochlorite)、スピロキサミン(spiroxamine)、ストレプトマイシン(streptomycin)、硫黄(sulfur)、テブフロキン(tebfloquin)、テブコナゾール(tebuconazole)、テクロフタラム(tecloftalam)、テルビナフィン(terbinafine)、テトラコナゾール(tetraconazole)、チアベンダゾール(thiabendazole)、チアジアジン(thiadiazin)、チフルザミド(thifluzamide)、チオファネート(thiophanate)、チオファネートメチル(thiophanate-methyl)、チウラム(thiram)、チアジニル(tiadinil)、トルクロホスメチル(tolclofos-methyl)、トルクロカルブ(tolprocarb)、トリルフルアニド(tolylfluanid)、トリアジメホン(triadimefon)、トリアジメノール(triadimenol)、トリクロピリカルブ(triclopyricarb)、トリシクラゾール(tricyclazole)、トリデモルフ(tridemorph)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、トリフルミゾール(triflumizole)、トリホリン(triforine)、トリチコナゾール(triticonazole)、ユニコナゾールP(uniconazole-P)、バリダマイシン(validamycin(-A))、ビンクロゾリン(vinclozolin)、ザリラミド(zarilamid)、硫酸亜鉛(zinc sulfate)、ジネブ(zineb)、ジラム(ziram)、ゾキサミド(zoxamide)、キノフメリン(quinohumerin)、メフェントリフルコナゾール(mefentrifluconazole)、イプフェントリフルコナゾール(ipfentrifluconazole)、ジクロベンチアゾクス(dichlobenthiazox)、フェンピコキサミド(fenpicoxamid)、イソフルシプラム(isoflucypram)、フルインダピル(fluindapyr)、インピルフルキサム(inpyrfluxam)、アミノピリフェン(aminopyrifen)、ピラプロポイン(pyrapropoyne)、ピリダクロメチル(pyridachlomethyl)、メチルテトラプロール(methyltetraprole)、イプフルフェノキン(ipflufenoquin)、フロリルピコキサミド(florylpicoxamid)、フルオキサピプロリン(fluoxapiprolin)、シクロブトリフルラム(cyclobutrifluram)、メタリルピコキサミド(metarylpicoxamid)、フルオピモリド(fluopimomide)等を例示することができる。
【0051】
本発明の農園芸用殺菌剤は、本発明の化合物と混合又は併用できる殺虫活性、殺ダニ活性、殺センチュウ活性、除草活性、植物成長調整活性を有する化合物と混合して使用することにより、防除労力の低減と共に薬量の低減等の相乗効果等も期待できる。また、忌避剤や共力剤等と混合して使用することにより、相乗効果等のより有効な防除効果が期待できる。その具体例な活性化合物として、以下のものが挙げられる。
【0052】
有機燐剤、例えば、アセフェート(acephate)、アジンホスメチル(azinphos-methyl)、クロルピリホス(chlorpyrifos)、ダイアジノン(daizinon)、ジクロルボス(dichlorvos)、ジメトン-Sメチル(dimeton-S-methyl)、ジメトエート(dimethoate)、ジメチルビンホス(dimethylvinphos)、ジスルフォトン(disulfoton)、エチオン(ethion)、フェニトロチオン(fenitrothion)、フェンチオン(fenthion)、イソキサチオン(isoxathion)、マラチオン(malathion)、メタミドホス(methamidophos)、メチダチオン(methidathion)、モノクロトホス(monocrotophos)、ナレド(naled)、オキシデプロホス(oxideprofos)、パラチオン(parathion)、フェンソエート(phenthoate)、ホサロン(phosalone)、ピリミホスメチル(pirimiphos-methyl)、ピリダフェンチオン(piridafenthion)、プロフェノホス(profenofos)、プロチオホス(prothiofos)、プロパホス(propaphos)、ピラクロホス(pyraclofos)、サリチオン(salithion)、スルプロホス(sulprofos)、チオメトン(thiometon)、テトラクロルビンホス(tetrachlorvinfos)、トリクロルホン(trichlorphon)、バミドチン(vamidothion)等;
カーバメイト剤、例えば、アラニカルブ(alanycarb)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、カルバリル(carbaryl)、カルボフラン(carbofuran)、カルボスルファン(carbosulfan)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、フェノブカルブ(fenobucarb)、フラチオカルブ(furathiocarb)、イソプロカルブ(isoprocarb)、メソミル(methomyl)、メトルカルブ(metolcarb)、ピリミカルブ(pirimicarb)、プロポクスル(propoxur)、チオジカルブ(thiodicarb)等;
有機塩素剤、例えば、アルドリン(aldrin)、クロルデン(chlordane)、DDT(p、p’-DDT)、エンドサルファン(endosulfan)、リンデン(lindane)、等;
【0053】
ピレスロイド剤、例えば、アクリナトリン(acrinathrin)、アレスリン(allethrin)、ビフェントリン(bifenthrin)、シクロプロトリン(cycloprothrin)シフルトリン(cyfluthrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、シフェノトリン(cyphenothrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、エトフェンプロックス(ethofenprox)、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、フェンバレレート(fenvalerate)、フルシトリネート(flucythrinate)、フルフェンプロックス(flufenprox)、フルバリネート(fluvalinate)、フラメトリン(furamethrin)、ハロフェンプロックス(halfenprox)、イミプロトリン(imiprothrin)ペルメトリン(permethrin)、フェノトリン(phenothrin)、プラレトリン(prallethrin)、ピレトリン(pyrethrins)、レスメトリン(resmethrin)、シラフルオフェン(silafluofen)、テフルトリン(tefluthrin)、トラロメトリン(tralomethrin)、トランスフルスリン(transfluthrin)、等;
ネオニコチノイド剤、例えば、アセタミプリド(acetamiprid)、クロチアニジン(clothianidin)、ジノテフラン(dinotefran)、イミダクロプリド(imidacloprid)、ニテンピラム(nitenpyram)、チアクロプリド(thiacloprid)、チアメトキサム(thiamethoxam)等;
ジアミド剤、例えば、クロラントラニリプロール(chlorantraniliprole)、シアントラニリプロール(cyantraniliprole)、シクラニリプロール(cyclaniliprole)、フルベンジアミド(flubenziamid)、テトラニリプロール(tetraniliprole)等;
フェニルピラゾール剤、例えば、エチプロール(ethiprole)、フィプロニル(fipronil)、アセトプロール(acetoprole)、ピラフルオプロール(pyrafluoprole)、ピリプロール(pyriplore)等;
ネライストキシン剤、例えば、ベンスルタップ(bensultap)、カルタップ(cartap)、チオシクラム(thiocyclam)、チオスルタップ(thiosultap)等;
フェニルベンゾイルウレア剤やジアシルヒドラジン類等の昆虫成長制御剤、例えば、クロロフルアズロン(chlorfluazuron)、ジフルベンズロン(diflubenzuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、ルフェヌロン(lufenuron)、ノバルロン(novaluron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、トリフルムロン(triflumuron)、ブプロフェジン(buprofezin)、クロマフェノジド(chromafenozide)ハロフェノジド(halofenozide)、メトキシフェノジド(methoxyfenozide)、テブフェノジド(tebufenozide)、シロマジン(cyromazine)等;
幼若ホルモン剤、例えば、ジオフェノラン(diofenolan)、フェノキシカルブ(fenoxycarb)、ヒドロプレン(hydroprene)、メソプレン(methoprene)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)等;
【0054】
微生物により生産される殺虫性物質等、例えば、アバメクチン(abamectin)、エマメクチンベンゾエート(emamectin-benzoate)、イベルメクチン(ivermectin)、レピメクチン(lepimectin)、ミルベメクチン(milbemectin)、ネマデクチン(nemadectin)、ニッコーマイシン(Nikkomycin)、ポリオキシン複合体(polioxin)、スピネトラム(spinetram)、スピノサドー(spinosad)、BT剤等;
天然物由来の殺虫性物質等、例えば、アナバシン(anabasine)、アザジラクチン(azadiractin)、デグエリン(deguelin) 、脂肪酸グリセリド(decanolyoctanoylglycerol)、ヒドロキシプロピルデンプン(hydroxy propyl starch)、大豆レシチン(lecithin)、ニコチン(nicotine)、ノルニコチン(nornicotine)、オレイン酸ナトリウム(oreic acid sodium salt)、マシン油(petroleum oil)、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル(propylene glycol monolaurate)、なたね油(rape oil)、ロテノン(rotenone)、ソルビタン脂肪酸エステル(Sorbitan fattyacid ester)、デンプン(starch)等;
その他の殺虫剤として例えば、アフィドピロペン(afidpyropen)、ベンズピリモキサン(benzpyrimoxan)、ブロフラニリド(broflanilide)、クロルフェナピル(chlorfenapyr)、ジアフェンチウロン(diafenthiuron)、ジクロロメゾチアズ(dicloromezotiaz)、ジンプロピリダズ(dimpropyridaz)、DBEDC(Dodecylbenzenesulphonic acidbisethylenediamine copper [II] salt)、フロニカミド(flonicamid)、フロメトキン(flometoquin)、フルフェネリム(flufenerim)、フルピラジフロン(flupyradifurone)、フルピリミン(flupyrimin)、フルララネル(fluralaner)、フルヘキサホン(fluhexafon)、フルキサメタミド(fluxametamide)、ヒドラメチルノン(hydramethylnon)、インドキサカルブ(indoxacarb)、イソシクロセラム(isocycloseram)、メタフルミゾン(metaflumizone)、メタアルデヒド(metaldehyde)、硫酸ニコチン(nicotin sulfate)、オキサゾスルフィル(oxazosulfyl)、ピメトロジン(pymetrozine)、ピリダリル(pyridalyl)、ピリフルキナゾン(pyrifluquinqzon)、スピロテトラマト(spirotetramat)、スルホキサフロル(sulfoxaflor)、トルフェンピラド(tolfenpyrad)、トリアザメート(triazamate)、トリフルメゾピリム(triflumezopyrim)、チクロピラゾフロル(tyclopyrazoflor)等;
【0055】
殺ダニ剤、例えば、アセキノシル(acequinocyl)、アシノナピル(acynonapyr)、アミドフルメット(amidoflumet)、アミトラズ(amitraz)、アゾシクロチン(azocyclotin)、ベンゾメート(benzoximate)、ビフェナゼート(bifenazate)、ビナパクリル(binapacryl)、フェニソブロモレート(bromopropylate)、キノメチオネート(chinomethionat)、クロフェンテジン(clofentezine)、シエノピラフェン(cyenopyrafen)、シフルメトフェン(cyflumetofen)、水酸化トリシクロヘキシルスズ(cyhexatin)、ジコホル(dicofol)、ジエノクロル(dienochlor)、エトキサゾール(ethoxazole)、フェナザフロル(fenazaflor)、フェナザキン(fenazaquin)、酸化フェンブタスズ(fenbutatin oxide)、フェノチオカルブ(fenothiocarb)、フェンピロキシメート(fenpyroximate)、フルアクリピリム(fluacrypyrim)、ヘキシチアゾクス(hexythiazox)、ピリミジフェン(pirimidifen)、ポリナクチン複合体(polynactins)、プロパルギル(propargite)、ピフルブミド(pyflubumide)、ピリダベン(pyridaben)、スピロジクロフェン(spirodiclofen)、スピロピジオン(spiropidion)、スピロメシフェン(spiromesifen)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、テトラジホン(tetradifon)及びフルペンチオフェノックス(flupentiofenox)等:
殺線虫剤、例えば、リン化アルミニウム(aluminium phosphide)、ベンクロチアズ(benclothiaz)、カズサホス(cadusafos)、エトプロホス(ethoprophos)、フルアザインドリジン(fluazaindolizine)フルエンスルフォン(fluensulfone)、ホスチアゼート(fosthiazate)、フルフラル(furfural)、イミシアホス(imicyafos)、塩酸レバミゾール(levamisol hydrochloride)、メスルフェンホス(mesulfenfos)、カーバム(metam-ammonium)、メチルイソシアネート(methyl isothiocyanate)、酒石酸モランテル(moranteltartarate)、オキサミル(oxamyl)、チオキサザフェン(thioxazafen)等;
毒餌、例えば、クロロファシノン(chlorphacinone)、クマテトラリル(coumatetralyl)、ダイファシン(diphacinone)、モノフルオル酢酸塩(sodium fluoracetate)、ワルファリン(warfarin)等を挙げることができる。
【0056】
除草活性を有する化合物として、例えば、アクロニフェン(aclonifen)、アシフルオフェン(acifluofe n-sodium)、アラクロール(alachlor)、アロキシジム(alloxydim)、アミカルバゾン(amicarbazone) 、アミドスルフロン(amidosulfuron)、アニロホス(anilofos)、アシュラム(asulam)、アトラジン(atrazine)、アジムスルフロン(azimsulfuron)、ベンフレセート(benfuresate)、ベンスルフロンメチル(bensulfuron-methyl)、ベンタゾン(bentazone)、ベンチオカーブ(benthiocarb)、ベンゾビシクロン(benzobicyclon)、ベンゾフェナップ(benzofenap)、ビアラホス(bialaphos) 、ビフェノックス(bifenox) 、ブロモブチド(bromobutide)、ブロモキシニル(bromoxynil)、ブタミホス(butamifos)、カフェンストロール(cafenstrole)、過酸化カルシウム(calcium peroxide)、カルベタミド(carbetamide)、シノスルフロン(cinosulfuron)、クロメプロップ(clomeprop)、シクロスルファムロン(cyclosulfamuron)、シハロホップブチル(cyhalofop-butyl)、ダイムロン(daimuron)、デスメディファム(desmedipham)、ジクロホップメチル(diclofop-methyl)、ジフルフェニカン(diflufenican)、ジメフロン(dimefuron)、ジメタメトリン(dimethametryn)、ジノテルブ(dinoterb)、ジクワット(diquat)、ジウロン(diuron)、エスプロカルブ(esprocarb)、エチオジン(ethiozin)、エトフメセート(ethofumesate)、エトキシスルフロン(ethoxysulfuron)、エトベンザニド(etobenzanid)、フェノキサプロップPエチル(fenoxaprop-P-ethyl)、フェントラザミド(fentrazamide)、フルカルバゾン(flucarbazone)、フルフェナセット(flufenacet)、フルルタモン(flurtamone)、
【0057】
フルチアセットメチル(fluthiacet-methyl) 、ホラムスルフロン(foramsulfuron)、グルホシネート(glufosinate-ammonium)、グリホサートイソプロピルアミン塩(glyphosate-isopropyl amine)、グリホサートトリメシウム塩(glyphosate-trimesium)、イマザピル(imazapyr)、イマゾスルフロン(imazosulfuron)、インダノファン(indanofan)、ヨードスルフロン(iodosufluron)、アイオキシニル(ioxynil-octanoate)、イソプロツロン(isoproturon)、イソキサジフェン(isoxadifen)、イソキサフルトール(isoxaflutole)、ラクトフェン(lactofen)、リニュロン(linuron) 、メフェナセット(mefenacet)、メソスルフロン(mesosulfuron)、メタミトロン(metamitron)、メタベンズチアズロン(methabenzthiazuron)、メトスラム(metosulam)、メトリブジン(metribuzin)、ナプロパミド(napropamide)、ネブロン(neburon)、オキサジアルギル(oxadiargyl)、オキサジアゾン(oxadiazon)、オキサジクロメホン(oxaziclomefone)、パラコート(paraquat)、ペンディメタリン(pendimethalin)、ペントキサゾン(pentoxazone)、フェンメディファム(phenmedipham)、プレチラクロール(pretilachlor)、プロポキシカルバゾン(propoxycarbazone)、プロスルホカルブ(prosulfocarb)、ピラクロニル(pyraclonil)、ピラフルフェンエチル(pyraflufe n-ethyl)、ピラゾレート(pyrazolate)、ピラゾスルフロンエチル(pyrazosulfuro n-ethyl)、ピリブチカルブ(pyributicarb)、ピリフタリド(pyriftalid)、ピリミノバック(pyriminobac-methyl)、キザロホップエチル(quizalofop-ethyl)、セトキシジム(sethoxydim)、シマジン(simazine)、スルコトリオン(sulcotrion)、スルフェントラゾン(sulfentrazone)、テニルクロール(thenylchlor)、トリアジフラム(triaziflam)、トリブホス(tribufos)等を例示することができる。
【0058】
また、植物成長調節作用を有する化合物として、例えば、1-ナフチルアセトアミド(1-naphthylacetic acid)、4-CPA(4-CPA)、ベンジルアミノプリン(6-benzylaminopurine)、ブトルアリン(butralin)、塩化カルシウム(calcium chloride)、ギ酸カルシウム(calcium formate)、過酸化カルシウム(calcium peroxide)、硫酸カルシウム(calcium sulfate)、クロルメコート(chlormequat chloride)、コリン(choline)、シアナミド(cyanamide)、シクラニリド(cyclanilide)、ダミノジット(daminozide)、デシルアルコール(decyl alcohol)、ジクロルプロップ(dichjoprop)、エテホン(ethephon)、エチクロゼート(ethychlozate)、フルルプリミドール(flurprimidol)、ホルクロルフェニュロン(forclorfenuron)、ジベレリン(gibberellic acid)、インドール酪酸(indolebutyric acid)、マレイン酸ヒドラジドカリウム(maleic hydrazide potassium salt)、メフェンピル(mefenpyr)、メピコートクロリド(mepiquat chloride)、オキシン硫酸塩(oxine sulfate、 8-hydroxyquinoline sulfate)、パクロブトラゾール(paclobutrazol)、パラフィン(paraffin)、プロヘキサジオンカルシウム塩(prohexadione-calcium)、プロヒドロジャスモン(prohydrojasmon)、チジアズロン(thidiazuron)、トリネキサパックエチル(trinexapac)、ウニコナゾールP(uniconazole-P)、ワックス(wax)、等と混合して使用することもできる。
忌避剤、例えば、カプサイシン(capsaicin)、カランー3、4ージオール(carane-3、4-diol)、シトロネラール(citronellal)、ディート(deet)、ジメチルフタレート(dimethyl phthalate)、ヒノキチオール(hinokitiol)、リモネン(limonene)、リナロール(linalool)、メントール(menthol)、メントン(menthone)、ナフタレン(naphthalene)、チウラム(thiram)等;
共力剤、例えば、メチレンジオキシナフタレン(methylenedioxynaphthalene)、ナフチル・プロピニル・エステル(naphthyl propynyl ether)、ニトロベンジル・チオシアネート(nitrobenzyl thiocyanate)、オクタクロロジプロピル・エステル(octachlorodipropyl ether)、ペンチニル・フタルイミド(pentynyl phthalimide)、フェニル・サリオクソン(phenyl salioxon)、ピペロニルブトキシド(piperonil butoxide)、サフロール(safrole)、セサメックス(sesamex)、セサミン(sesamin)、スルホキサイド(sulfoxide)、トリフェニル・ホスフェート(triphenyl phosphate)、バルブチン(verbutin)等を挙げることができる。
【0059】
本発明の化合物は、生物農薬として、例えば、細胞質多角体病ウイルス(Cytoplasmic polyhedrosis virus 、CPV)、昆虫ポックスウイルス(Entomopox virus、EPV)、顆粒病ウイルス(Granulosis virus、GV)、核多角体ウイルス(Nuclear polyhedrosis virus、NPV)等のウイルス製剤、ボーベリア・バシアーナ(Beauveria bassiana)、ボーベリア・ブロンニアティ(Beauveria brongniartii)、モノクロスポリウム・フィマトパガム(Monacrosporium phymatophagum)、ペキロマイセス・フモソロセウス(Paecilomyces fumosoroseus)パスツーリア・ペネトランス(Pasteuria penetrans)、スタイナ-ネマ・カーポカプサエ(Steinernema carpocapsae)、スタイナ-ネマ・グラセライ(Steinernema glaseri)、スタイナ-ネマ・クシダエ(Steinernema kushidai)、バーティシリウム・レカニ(Verticillium lecanii)等の殺虫又は殺センチュウ剤として利用される微生物農薬、アグロバクテリウウム・ラジオバクター(Agrobacterium radiobactor)、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、非病原性エルビニア・カロトボーラ(Erwinia carotovora、非病原性フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、シュードモナス CAB-02(Pseudomonas CAB-02)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、タラロマイセス・フラバス(Talaromyces flavus)、トリコデルマ・アトロビリデ(Trichoderma atroviride)、トリコデルマ・リグノラン(Trichoderma lignorum)等の殺菌剤として使用される微生物農薬、ザントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)等の除草剤として利用される生物農薬等と混合して使用することにより、同様の効果が期待できる。
【0060】
更に、生物農薬として、例えば、ミヤコカブリダニ(Amblyseius californicus)、ククメリスカブリダニ(Amblyseius cucumeris)、デジェネランスカブリダニ(Amblyseius degenerans)、コレマンアブラバチ(Aphidius colemani)、ショクガタマバエ(Aphidoletes aphidimyza)、ヤマトクサカゲロウ(Chrysoperia carnea)、ハモグリコマユバチ(Dacnusa sibirica)、イサエアヒメコバチ(Diglyphus isaea)、オンシツツヤコバチ(Encarsia formosa)、サバクツヤコバチ(Eretmocerus eremicus)、アリガタシマアザミウマ(Franklinothrips vespiformis)、ナミテントウ(Harmonia axyridis)、カンムリヒメコバチ(Hemiptarsenus varicornis)、ハモグリミドリヒメコバチ(Neochrysocharis formosa)、ナミヒメハナカメムシ(Orius sauteri)、タイリクヒメハナカメムシ(Orius strigicollis)、チリカブリダニ(Phytoseiulus persimilis)、クロヒョウタンカスミカメ(Pilophorus typicus)、オオメカメムシ(Piocoris varius)、等の天敵生物、コドレルア(codlelure)、キュウルア(cuelure)、ゲラニオール(geraniol)、ジプトール(gyptol)、リブルア(liblure)、ループルア(looplure)、メチルオイゲノール(methyl eugenol)、オリフルア(orfralure)、ピーチフルア(peachflure)、フィシルア(phycilure)、ピリマルア(pyrimalure)、テレピン油(turpentine)、等のフェロモン剤と併用することも可能である。
【0061】
本発明の農園芸用殺菌剤は、農業や、屋内、森林、家畜、衛生などの場面で害を及ぼす有害生物の予防や駆除に使用され得る。以下に具体的な使用場面、対象有害生物、及び使用方法を示すが、本発明の内容はこれらに限定されるものではない。
本発明の農園芸用殺菌剤は、農作物、例えば、食用作物(稲や、大麦、小麦、ライ麦、オート麦等の麦類、馬鈴薯、甘藷、里芋、やまのいも等の芋類、大豆や、小豆、そら豆、えんどう豆、いんげん豆、落花生等の豆類、とうもろこし、粟、そば等)、野菜(キャベツや、白菜、大根、蕪、ブロッコリー、カリフラワー、こまつな等のアブラナ科作物、かぼちゃや、きゅうり、すいか、まくわうり、メロン、ズッキーニ、ゆうがお、にがうり等のウリ科作物、なすや、トマト、ピーマン、とうがらし、ししとうなどのナス科作物、おくら等のアオイ科作物、ほうれんそう、ふだんそう等のアカザ科作物、にんじんや、みつば、パセリ、セルリー、うど等のセリ科作物、レタスや、ごぼうなどのキク科作物、にんにくや、たまねぎ、ねぎ、にら、らっきょう等のねぎ類、アスパラガスや、しそ、れんこん等)、きのこ類(しいたけ、マッシュルーム等)、果樹・果実類(柑橘類、林檎、梨、桃、梅、桜桃、李、杏、葡萄、柿、枇杷、無花果、あけび、ブルーベリー、ラズベリー、パイナップル、マンゴー、キウイフルーツ、バナナ、いちご、オリーブ、胡桃、栗、アーモンド等)、
【0062】
香料等鑑賞用作物(ラベンダーや、ローズマリー、タイム、セージ、胡椒、生姜等)、特用作物(たばこや、茶、甜菜、さとうきび、いぐさ、ごま、こんにゃく、ホップ、綿、麻、オリーブ、ゴム、コーヒー、なたね、ひまわり、桑等)、牧草・飼料用作物(チモシーや、クローバー、アルファルファ等の豆科牧草、とうもろこし、ソルガム類、オーチャードグラス等のイネ科牧草等)、芝類(高麗芝や、ベントグラス等)、林木(トドマツ類や、エゾマツ類、松類、ヒバ、杉、桧等)や鑑賞用植物(きくや、ばら、カーネーション、ゆり、トルコギキョウ、宿根かすみそう、スターチス、蘭等の草本・花卉類、いちょうや、さくら類、あおき等の庭木等)などの栽培の場面で使用される。
【0063】
本発明の農園芸用殺菌剤組成物が対象とする病原体は、例えば、真菌門(Eumycota)、変形菌門(Myxomycota)、細菌門(Bacteriomycota)、放線菌門(Actinomycota)等の真菌類ならびに細菌類などであり、それらが引き起こす病害の防除に使用できる。
病害の具体例として、例えば稲のいもち病(Pyricularia oryzae)、ごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、紋枯病(Rhizoctonia solani)、内穎褐変病(Pantoea ananatis)、馬鹿苗病(Gibberella fujikuroi)、苗立枯病(Pythium graminicolum)、褐条病(Acidovorax avene subsp. avenae)、葉鞘褐変病(Pseudomonas fuscovaginae)、白葉枯病(Xanthomonas oryzae pv. oryzae)、立枯細菌病(Burkholderia plantarii)等;麦類のうどんこ病(Erysiphe graminis)、赤かび病(Gibberella zeae)、赤さび病(Puccinia striiformis、 P.graminis、 P. recondita、 P. hordei)、雪腐病(Typhula sp. 、 Micronectriella nivalis)、裸黒穂病(Ustilago tritici、 U. nuda)、なまぐさ黒穂病(Tilletia caries)、
【0064】
眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、雲形病(Rhynchosporium secalis)、葉枯病(Septoria tritici)、ふ枯病(Leptosphaeria nodorum)、網斑病(Pyrenophora teres)、ひょうもん病(Helminthosporium zonatum Ikata)、黒節病(Pseudomonas syringae pv. japonica)等;かんきつ類の黒点病(Diaporthe citri)、そうか病(Elsinoe fawcetti)、果実腐敗病(Penicillium digitatum、 P. italicum)、褐色腐敗病(Phytophthora citrophthora、、 P. nicotianae)、黒星病(Phyllostictina citricarpa)等;りんごのモニリア病(Monilinia mali)、褐斑病(Diplocarpon mali)、
【0065】
腐らん病(Valsa mali)、うどんこ病(Podosphaera leucotricha)、斑点落葉病(Alternaria mali)、黒星病(Venturia inaequalis)、黒点病(Mycospherella pomi)、炭そ病(Colletotrichum acutatum、Colletotrichum gloeosporioides)、輪紋病(Botryosphaeria berengeriana)、赤星病(Gymnosporangium yamadae)、すす点病(Zygophiala jamaicensis)、すす斑病(Gloeodes pomigena)等;なしの黒星病(Venturia nashicola、 V. pirina)、うどんこ病(Phyllactinia mali)、黒斑病(Alternaria kikuchiana)、赤星病(Gymnosporangium haraeanum)、
【0066】
灰星病(Monilinia fructigena)、輪紋病(Botryosphaeria berengeriana)等;おうとうの灰星病(Monilinia fructicola)、炭疽病(Glomerella cingulata)、幼果菌核病(Monilinia kusanoi)等;ももの灰星病(Monilinia fructicola)、黒星病(Cladosporium carpophilum)、フォモプシス腐敗病(Phomopsis sp.)、せん孔細菌病(Xanthomonas campestris pv. pruni)等;ぶどうの黒とう病(Elsinoe ampelina)、晩腐病(Colletotrichum acutatum、Glomerella cingulata)、うどんこ病(Uncinula necator)、さび病(Phakopsora ampelopsidis)、ブラックロット病(Guignardia bidwellii)、べと病(Plasmopara viticola)、黒星病(Cladosporium viticolum)、根頭がんしゅ細菌病(Agrobacterium vitis)等;かきの炭そ病(Gloeosporium kaki)、うどんこ病(Phyllactinia kakicola)、落葉病(Cercospora kaki、 Mycoshaerella nawae)、キウイフルーツの角斑病(Phomopsis sp.)、炭疽病(Colletotrichum gloeosporioides、Colletotrichum acutatum)、白紋羽病(Rosellinia necatrix)、
【0067】
びわの褐斑病(Phyllosticta eriobotryae)、角斑病(Pseudocercospora eriobotryae)等;うり類の炭そ病(Colletotrichum lagenarium)、うどんこ病(Podosphaera xanthii、Sphaerotheca fuliginea、Oidiopsis taurica)、つる枯病(Didymella bryoniae)、つる割病(Fusarium oxysporum)、べと病(Pseudoperonospora cubensis)、疫病(Phytophthora sp. )、苗立枯病(Pythium sp.、Rhizoctonia solani )等;きゅうりの斑点細菌病(Pseudomonas syringae pv. lochrymans)、縁枯細菌病(Pseudomonas viridiflava)、褐斑細菌病(Xanthomonas campestris pv. cucurbitae)等;メロンの褐斑細菌病(Xanthomonas campestris pv. cucurbitae)、毛根病(Agrobacterium rhizogens)、がんしゅ病(Streptomyces sp.)等;すいかの果実汚斑細菌病(Acidovorax avenae pv. citrulli)等;なす科野菜の青枯病(Ralstonia solanacearum)等;トマトの輪紋病(Alternaria solani)、葉かび病(Cladosporium fulvum)、
【0068】
疫病(Phytophthora infestans)、すすかび病(Pseudocercospora fuligena)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、かいよう病(Clavibacter michiganense subsp. michiganense)、茎えそ病(Pseudomonas corrugata)、軟腐病(Pectobacterium carotovorum subsp. carotovorum)等;なすの褐紋病(Phomopsis vexans)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、すすかび病(Mycovellosiella nattrassii)、黒枯病(Corynespora melongenae)、
【0069】
褐色円星病(Paracercospora egenula)、褐色腐敗病(Phytophthora capsici)、半身萎凋病(Verticillium dahliae)等;アブラナ科野菜のべと病(Peronospora parasitica)、黒斑病(Alternaria japonica)、白斑病(Cercosporella brassicae) 軟腐病(Pectobacterium carotovorum subsp. carotovorum)、黄化病(Verticillium dahliae)等;きゃべつの腐敗病(Pseudomonas syringae pv. marginalis)、黒腐病(Xanthomonas campestris pv. campestris)等;レタスのべと病(Bremia lactucae)すそ枯病(Rhizoctonia solani)、腐敗病(Pseudomonas cichorii、Pseudomonas viridiflava)、
【0070】
斑点細菌病(Xanthomonas campestris pv. vitians)、ネギのべと病(Peronospora destructor)、黒斑病(Alternaria porri)、さび病(Puccinia allii)、白絹病(Sclerotium rolfsii)等;だいずの紫斑病(Cercospora kikuchii)、炭疽病(Colletotrichum truncatum 、Colletotrichum trifolii、Glomerella glycines、Gloeosporium sp.)、
【0071】
べと病(Peronospora manshurica)、茎疫病(Phytophthora sojae)、黒とう病(Elsinoe glycines)、黒点病(Diaporthe phaseolorum var. sojae)、斑点細菌病(Pseudomonas savastanoi pv. glycinea)、葉焼病(Xanthomonas campestris pv. glycines)等;いんげんまめの炭そ病(Colletotrichum lindemthianum)、かさ枯病(Pseudomonas savastanoi pv. phaseolicola)、葉焼病(Xanthomonas campestris pv. phaseoli)、葉腐病(Rhizoctonia solani)等;
【0072】
らっかせいの黒渋病(Cercospora personata)、褐斑病(Cercospora arachidicola)等;えんどうまめのうどんこ病(Erysiphe pisi)等;ばれいしょの夏疫病(Alternaria solani)、疫病(Phytophthora infestans)、葉腐病菌(Rhizoctonia solani)、軟腐病(Pectobacterium carotovorum subsp. carotovorum)等;いちごのうどんこ病(Sphaerotheca humuli)、炭疽病(Colletotrichum gloeosporioides、Colletotrichum actatum、 Glomerella cingulata)、疫病(Phytophthora nicotianae)、輪斑病(Dendrophoma obscurans)、芽枯細菌病(Pseudomonas marginalis pv. marginalis)等;
【0073】
茶の褐色円星病(Pseudocercospora theae)、炭疽病(Discula theae-sinensis)、輪斑病(Pestalotiopsis theae、Pestalotiopsis longiseta)、網もち病(Exobasidium reticulatum)、もち病(Exobasidium vexans)、白星病(Elsinoe leucospila)、赤焼病(Pseudomonas syringae pv. theae)、かいよう病(Xanthomonas campestris pv. theicola)等;たばこの赤星病(Alternaria longipes)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、炭そ病(Colletotrichum tabacum)、べと病(Peronospora tabacina)、疫病(Phytophthora nicotianae)、立枯病(Ralstonia solanacearum)、空洞病(Pectobacterium carotovorum subsp. carotovorum)等;てんさいの褐斑病(Cercospora beticola)、
【0074】
根腐病(Rhizoctonia solani、Thanatephorus cucumeris)、苗立枯れ病(Aphanomyces cochliodes)等;ばらの黒星病(Diplocarpon rosae)、うどんこ病(Sphaerotheca pannosa)等;きくの褐斑病(Septoria chrysanthemi-indici)、白さび病(Puccinia horiana)、根頭がんしゅ病(Agrobacterium tumefaciens)等;なす、きゅうり及びレタス等の各種作物の灰色かび病(Botrytis cinerea)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum);芝類の雪腐病(Pythium iwayamai、 Tyohula incarnate、 Fusarium nivale、 Sclerotinia borealis)、うどんこ病(Erysiphe graminis)、ファリーリング病(Lycoperdon perlatum、 Lepista subnudo、 Marasmius oreades)、
【0075】
擬似葉腐病(Ceratobasidium spp.)、立枯病(Gaemannomyces graminis)、カーブラリア葉枯病(Curvularia geniculata)、葉腐病(Rhizoctonia solani)、ピシウム病(Pythium periplocum、 Pythium vanterpoolii)、さび病(Puccinia spp.)、ダラースポット病(Sclerotinia homoeocarpa)等;ベントグラスの赤焼病(Pythium aphanidermatum)、炭そ病(Colletotrichum sp.)、あかしあ類のさめ肌胴枯病(Botryosphaeria sp.)、炭疽病(Glomerella cingulata)、あじさいの輪紋病(Phoma exigua)、斑点病(Phyllosticta hydrangeae)、褐斑病(Corynespora cassiicola)、葉腐病(Rhizoctonia solani)、うどんこ病(Oidium sp.)、炭疽病(Glomerella cingulata)、
【0076】
輪斑病(Cercospora hydorangeae)、いちょうのすす斑病(Gonatobotryum apiculatum)、赤衣病(Erythricium salmonicolor)、かいどうの赤星病(Gymnosporangium yamadae)、白紋羽病(Rosellinia necatrix)、かえで類の黒紋病(Rhytisma acerinum)、環紋葉枯病(Cristulariella moricola)、胴枯病(Diaporthe sp.)、すすかび斑点病(Cercospora sp.)、炭疽病(Colletotrichum gloeosporioides)、赤衣病(Erythricium salmonicolor)、うどんこ病(Uncinula sp.、Sawadaea sp.、Oidium sp.)、かし類の白斑病(Phomatospora albomaculans)、うどんこ病(Uncinula sp.、
【0077】
Microsphaera alphitoides、Erysiphe gracilis)、からまつのならたけ病(Armillaria mellea)、腐心病(Phaeolus schweinitzii)、かんば類の褐斑病(Septoria chinensis)、胴枯病(Diaporthe melanocarpa、Diaporthe alleghaniensis)、くすのきの炭疽病(Glomerella cingulata)、くちなしのすすかび病(Passalora okinawaensis)、斑点病(Phaeosphaerella gardeniae)、けやきの褐斑病(Pseudocercospora zelkovae)、ならたけ病(Armillaria mellea )、こぶしの裏うどんこ病(Phyllactinia magnoliae)、
【0078】
斑点病(Phyllosticta concentrica)、さくら類のがんしゅ病(Nectria galligena)、根頭がんしゅ病(Agrobacterium tumefaciens)、うどんこ病(Podosphaera longiseta、Podosphaera tridactyla)、てんぐ巣病(Taphrina wiesneri)、幼果菌核病(Monilinia kasanoi)、ならたけ病(Armillaria mellea)、胴枯病(Valsa ambiens)、ざくろのそうか病(Sphaceloma punicae)、さるすべりのうどんこ病(Uncinuliella australiana)、褐斑病(Pseudocercospora lythracearum)、環紋葉枯病(Cristulariella moricola)、さんざし類のすすかび病(Pseudocercospora crataegi)、しいのき類の白斑病(Bagcheea albo-maculans)、葉ぶくれ病(Taphrina kusanoi)、しゃくなげ類の炭疽病(Colletotrichum gloeosporioides)、葉斑病(Pseudocercospora handelii)、白紋羽病(Rosellinia necatrix)、すぎの枝枯菌核病(Sclerotium sp.)、赤枯病(Cercospora sequoiae)、
【0079】
微粒菌核病(Macrophoma phaseolina)、そてつの赤葉枯病(Ascochyta sp.)、つつじ類のうどんこ病(Microsphaera izuensis)、褐斑病(Septoria azaleae)、白紋羽病(Rosellinia necatrix)、苗立枯病(Rhizoctonia solani)、葉斑病(Pseudocercospora handelii)、斑点病(Phyllosticta maxima)、花腐菌核病(Ovulinia azaleae)、てんぐ巣病(Exobasidium pentasporium)、つばきの根腐疫病(Phytophthora cinnamomi)、炭疽病(Glomerella cingulata)、にせあかしあのならたけ病(Armillariella mellea)、バラのうどんこ病(Sphaerotheca pannosa、Oidium sp.)、
【0080】
べと病(Peronospora sparsa)、斑点病(Cercospora rosicola、Mycosphaerella rosicola)、疫病(Phytophthora megasperma)、黒星病(Marssonina rosae、Diplocarpon rosae)、腐らん病(Cryptosporella umbrina)、白紋羽病(Rosellinia necatrix)、ひのきのならたけ病(Armillariella mellea)、ペスタロチア病(Pestalotiopsis sp.)、ふじのこぶ病(Erwinia herbicola pv. millettiae)、ポインセチアの根腐病(Rythium sp.)、ぼたんの疫病(Phytophthora cactorum)、うどんこ病(Erysiphe paeoniae)、
【0081】
芽枯病(Alternaria sp.)、炭疽病(Gloeosporium sp.)、褐斑病(Pseudocercospora variicolor)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、立枯病(Botrytis paeoniae)、白紋羽病(Rosellinia necatrix)、まさきのうどんこ病(Oidium euonymi-japonici)、褐斑病(Pseudocercospora destructiva)、まつ類のこぶ病(Cronartium quercuum)、苗立枯病(Rhizoctonia solani、 Fusarium sp.、 Pythium sp、、 )、葉枯病(Pseudocercospora pini-densiflorae)、まてばしいの裏黒点病(Coccoidea querricola)、みずき類のうどんこ病(Microsphaera pulchra)、
【0082】
斑点病(Pseudocercospora cornicola)、やなぎ類のマルゾニナ落葉病(Marssonina brunnea)、ユーカリ類の角斑病(Cercospora epicoccoides)、ゆきやなぎのすすかび病(Pseudocercospora spiraeicola)、うどんこ病(Sphaerotheca spiraeae)、ライラックのうどんこ病(Microsphaera syringae-japonicae)、枝枯菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、アサガオのつる割病(Fusarium oxysporum f. sp. batatas)、カーネーションのうどんこ病(Oidium dianthi)、ガーベラのうどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、炭疽病(Colletotrichum sp.)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、きくの萎凋病(Fusarium oxysporum)、
【0083】
うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、半身萎凋病(Verticillium dahliae)、フザリウム立枯病(Fusarium solani)、金魚草の炭疽病(Colletotrichum gloeosporioides)、うどんこ病(Oidium subgenus Reticuloidium)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、コスモスの炭疽病(Colletotrichum acutatum、Gloeosporium sp.)、うどんこ病(Sphaerotheca fusca)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、宿根かすみそうのうどんこ病(Oidium sp.)、立枯病(Fusarium moniliforme)、
【0084】
菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、スイトピーのうどんこ病(Oidium sp.)、萎凋病(Fusarium sp.)、半身萎凋病(Verticillium dahliae)、炭疽病(Glomerella cingulata、Colletotrichum gloeosporioides)、スターチスの炭疽病(Glomerella cingulata)、うどんこ病(Oidium sp.)、ストックの萎凋病(Fusarium oxysporum Schlechtendahl : Fries f. sp. conglutinans)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、炭疽病(Colletotrichum gloeosporioides、Colletotrichum higginsianum)、立枯病(Fusarium avenaceum)、半身萎凋病(Verticillium dahliae)、トルコギキョウの炭疽病(Colletotrichum acutatum)、
【0085】
茎腐病(Fusarium avenaceum)、うどんこ病(Oidium sp.)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、ひまわりのうどんこ病(Sphaerotheca fusca、Erysiphe cichoracearum)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、褐斑病(Septoria helianthi)、半身萎凋病(Verticillium dahliae)、ペチュニアのうどんこ病(Sphaerotheca fuliginea、Oidium sp.)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、マリーゴールドの半身萎凋病(Verticillium dahliae)等を挙げることができる。
【0086】
本発明の農園芸用殺菌剤は、作物や有用生物に対する安全性が高く、また魚類や温血動物などの各種生物への毒性が低い薬剤である。
本発明の農園芸用殺菌剤は、問題化しているベンズイミダゾール系剤や、ジカルボキシイミド系剤、アニリノピリミジン系剤、ストロビルリン系剤、SDHI剤、フルアジナム剤などの既存剤に対して耐性を有する耐性菌に対しても優れた殺菌活性を有する。
本発明の農園芸用殺菌剤は、人間及び家畜・ペットの皮膚や消化系や呼吸器系などの器官の病気の予防や治療にも使用できる。
【0087】
病気の発生要因である病原菌の具体例として、例えば、白癬菌類であるTrichophyton rubrum、Trichophyton mentagrophytes等、カンジタ菌類であるCandida albicans等、アスペルギルス菌類であるAspergillus fumigatus等の真菌類、大腸菌Escherichia coli、緑膿菌Pseudomonas aeruginosaなどのグラム陰性細菌類、黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus等のグラム陽性細菌類等が挙げられる。
【0088】
本発明の化合物は、殺菌活性を有する化合物以外にも、殺虫活性や、殺ダニ活性、殺センチュウ活性などを有する化合物、更にはそれら以外の他の活性化合物との混合剤として存在することもできる。使用時期に同時に発生する病害及び/又は雑草を防除するために、殺菌活性、除草活性又は植物成長調整活性を有する化合物と混合して使用することにより、防除労力の低減と共に薬量の低減等の相乗効果等も期待できる。また、忌避剤や、共力剤等と混合して使用することにより、相乗効果等のより有効な防除効果が期待できる。
【0089】
本発明の農園芸用殺菌剤は、そのまま、あるいは一般に農薬として取りうる形態、例えば、水和剤や、顆粒水和剤、ドライフロアブル剤、水溶剤、乳剤、液剤、油剤、水性懸濁剤・水性乳濁剤等のフロアブル剤、カプセル剤、粉剤、粒剤、細粒剤、ベイト、錠剤、噴霧剤、煙霧剤、エアゾール剤等の剤型で使用することができる。本発明の農園芸用殺菌剤は、有効成分を合計で、通常、0.1~99.9質量%、好ましくは0.2~80質量%含有する。
【0090】
上記剤型とするためには、適宜、農園芸用殺菌剤の技術分野において、従来から使用されている各種の農薬補助剤を使用することができる。このような農薬補助剤は、例えば、農園芸用殺菌剤の効果の向上、安定化、分散性の向上等の目的で使用することができる。農薬補助剤としては、例えば、坦体(希釈剤)や、展着剤、乳化剤、湿展剤、分散剤、崩壊剤等が挙げられる。
【0091】
液体坦体としては、水や、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メタノールや、ブタノール、グリコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、DMSO等のスルホキシド類、メチルナフタレン、シクロヘキサン、動植物油、脂肪酸等を挙げることができる。また、固体坦体としては、クレーや、カオリン、タルク、珪藻土、シリカ、炭酸カルシウム、モンモリナイト、ベントナイト、長石、石英、アルミナ、鋸屑、ニトロセルロース、デンプン、アラビアゴム等を用いることができる。
【0092】
乳化剤や、分散剤としては、通常の界面活性剤を使用することが出来、例えば、高級アルコール硫酸ナトリウムや、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ラウリルベタイン等の陰イオン系界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン系界面活性剤、両イオン系界面活性剤等を用いることが出来る。また、展着剤;ジアルキルスルホサクシネート等の湿展剤;カルボキシメチルセルロースや、ポリビニルアルコール等の固着剤;リグニンスルホン酸ナトリウムや、ラウリル硫酸ナトリウム等の崩壊剤等を用いることが出来る。
【0093】
菌類などの病原体を防除するには、通常これらの病原体による被害が発生している場所、ないしは被害が発生する可能性がある場所に対して、植物の茎葉部に散布する他に、土壌全層混和や、作条施用、側条施用、床土混和、セル苗処理、植え穴処理、株元処理、トップドレス、イネの箱処理、水面施用等、土壌等に処理して根から吸収させて使用することもできる。また、種子の薬剤への浸漬、種子粉衣、カルパー処理等の種子処理、養液(水耕)栽培における養液への施用、くん煙あるいは樹幹注入等による使用もできる。
【0094】
本発明の化合物の農園芸用殺菌剤を使用する場合、病原体の種類や、発生量、対象とする作物・樹木の種類、栽培形態・生育状態等により異なるが、一般に10アール当たり、有効成分の合計量で、0.01~1000gを、好ましくは0.1~100gを施用する。これを処理するには、水和剤や、顆粒水和剤、ドライフロアブル剤、水溶剤、乳剤、液剤、水性懸濁剤・水性乳濁剤等のフロアブル剤、カプセル剤等では水で希釈し、対象とする植物の種類や、栽培形態・生育状態などにより異なるが、一般に10アール当たり、10~1000リットルの施用量で作物等に散布すればよい。また、粉剤、噴霧剤又はエアゾール剤では、その製剤の状態で作物等に処理すればよい。
【0095】
対象とする病原体が主として土壌中で植物を加害する場合や、薬剤を根部から吸収させて対象とする病原体を防除する場合の施用方法としては、例えば、製剤を水に希釈し又は希釈せずに、植物体の株元又は育苗用苗床等に施用する方法や、粒剤を植物体の株元又は育苗のための苗床等に散布する方法、播種前又は移植前に粉剤、水和剤、顆粒水和剤、粒剤等を散布し、土壌全体と混和する方法、播種前又は植物体を植える前に植え穴、作条等に粉剤や、水和剤、顆粒水和剤、粒剤、細粒剤等を散布する方法等が挙げられる。水和剤や、顆粒水和剤、水溶剤、乳剤、液剤、水性懸濁剤・水性乳濁剤等のフロアブル剤、カプセル剤等では、水で希釈し、一般に10アール当たり5~500リットルの施用量で、処理する区域全体に均等となるように土壌表面に散布あるいは土壌中に灌注すればよい。粉剤や、粒剤、細粒剤、ベイト等ではその製剤の状態で、処理する区域全体に均等となるように土壌表面に散布すればよい。散布あるいは灌注は、加害から保護したい種子又は作物・樹木の周囲にしてもよい。また、散布中又は散布後に耕耘し、有効成分を機械的に分散させることもできる。土壌への処理をする場合、病原体の種類や発生量及び対象とする作物・樹木の種類や栽培形態・生育状態あるいは土壌種により異なるが、一般に10アール当たり、有効成分の合計量で、0.01~1000g、好ましくは0.1~500gを施用する。
【0096】
水稲の育苗箱への施用方法としては、播種時施用や、緑化期施用、移植時施用などの施用時期により異なる場合もあるが、例えば、粉剤や、顆粒水和剤、粒剤、細粒剤等はそのままで、水和剤や、顆粒水和剤、水溶剤、乳剤、液剤、水性懸濁剤・水性乳濁剤等のフロアブル剤、カプセル剤等では水で希釈して施用すれば良い。培土との混和によっても施用することができ、培土と粉剤又は粒剤等との混和、例えば、床土混和、覆土混和、培土全体への混和等することができる。また、単に、培土と各種製剤を交互に層状にして施用しても良い。
【0097】
水田への施用方法としては、ジャンボ剤や、パック剤、粒剤、顆粒水和剤等の固形製剤、フロアブルや、乳剤等の液体状製剤を、通常は、湛水状態の水田に散布する。その他、田植え時には、適当な製剤をそのまま、又は肥料等に混和して土壌に散布、注入することもできる。また、水口や灌漑装置等の水田への水の流入元に水和剤や、乳剤、フロアブル等の薬液を利用することにより、水の供給に伴い省力的に施用することもできる。
【0098】
種子処理の方法としては、例えば、液状又は固体状の製剤を希釈し又は希釈せずに液体状態にて種子を浸漬して薬剤を付着・浸透させる方法や、固形製剤又は液状製剤を種子と混和、粉衣処理して種子の表面に付着させる方法、樹脂や、ポリマー等の付着性の担体と混和して種子にコーティングする方法、植え付けと同時に種子付近に散布する方法等が挙げられる。当該種子処理を行う対象である「種子」は、植物の繁殖に用いられる栽培初期の植物体を意味し、例えば、種子自体の他、球根や、塊茎、種芋、株芽、むかご、鱗茎又は挿し木栽培用の栄養繁殖用の植物体を挙げることができる。また、施用する場合の植物の「土壌」又は「栽培担体」とは、作物を栽培するための支持体、特に根を生えさせる支持体を示すものであり、材質は特に制限されないが、植物が生育しうる材質であれば良く、いわゆる土壌や、育苗マット、水等であっても良く、具体的な素材としては、例えば、砂や、軽石、バーミキュライト、珪藻土、寒天、ゲル状物質、高分子物質、ロックウール、グラスウール、木材チップ、バーク等が挙げられる。使用する場合、種子1キログラムあたり有効成分の合計量で、0.001~50g、好ましくは0.01~10gである。
移植を行う栽培植物の播種及び育苗期の処理としては、種子への直接処理の他、育苗用苗床への、液状とした薬剤の潅注処理又は粒剤の散布処理が好ましい。また、定植時に粒剤を植え穴に処理する、あるいは移植場所近辺の栽培担体に混和することも好ましい処理である。
【0099】
本発明の農園芸用殺菌剤は、人間及び家畜・ペットの体表あるいは体内に寄生して皮膚や消化系や呼吸器系などの器官の病気の発生や蔓延を、予防・治療することに用いることができる。このような場面では、本発明の化合物を少量食事又は飼料等に混入すること、適切な経口摂取可能な調合薬剤組成物等、例えば、薬剤上許容しうる担体や、コーティング物質を含む錠剤、丸剤、カプセル剤、ペースト、ゲル、飲料、薬用飼料、薬用飲料水、薬用追餌、除放性大粒丸薬、その他胃腸管内に保留されるようにした除放性デバイス等として経口投与、あるいはスプレー、粉末、グリース、クリーム、軟膏、乳剤、ローション、スポットオン、ポアオン、シャンプー等として経皮投与することができる。この様な方法で効果を達成するためには、一般に本発明の化合物の合計量として質量で、0.0001~0.1%、好ましくは0.001~0.01%を含有させる。
【実施例0100】
以下、本発明について、更に、実施例、製剤例及び試験例を記載して詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例、製剤例及び試験例によって何ら限定されるものではない。
【0101】
実施例1
N-[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2,2-ジフルオロエチル]-8-メチル-5-[3-(トリフルオロメチル)フェノキシ]イミダゾ[1,5-a]ピリジン-7-カルボキサミド(化合物番号:A-2)の合成
【0102】
1-1:2-クロロ-5-フルオロ-3-メチルピリジン-4-カルボン酸の合成
市販品である2-クロロ-5-フルオロ-3-メチルピリジン (5 g)を、テトラヒドロフラン(80ml)に溶解し、-80 ℃で30分撹拌した。次にリチウムジイソプロピルアミド(1.1 M ヘキサン溶液、 40ml)を滴下した後、同温で1時間30分撹拌し、ドライアイスを少量ずつ加えた。更に、反応液を室温で1時間撹拌した後、反応液を氷冷下にし、1規定塩酸で酸性にした。その後、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。更に、減圧下で溶媒を留去し、白色固体 6g(収率93%)を得た。
【0103】
1-2:2-クロロ-5-フルオロ-3-メチルピリジン-4-カルボン酸エチル の合成
2-クロロ-5-フルオロ-3-メチルピリジン-4-カルボン酸 (5g)をテトラヒドロフラン(70ml)に溶解し、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 (5.8 g)、 ジメチルアミノピリジン(400mg)及びエタノール(8ml)を加え、室温で5時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した後、水、飽和炭酸水素ナトリウム水、及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。更に、減圧下で溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィーを行い、無色油状物 4.5 g (収率80%) を得た。
【0104】
1-3:2-シアノ-5-フルオロ-3-メチルピリジン-4-カルボン酸エチル の合成
反応容器に2-クロロ-5-フルオロ-3-メチルピリジン-4-カルボン酸エチル (1 g)をN,N-ジメチルホルムアミド(15ml)に溶解させ、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(600mg)及びシアン化亜鉛(600mg)を加え封管し、マイクロウェーブを照射しながら 120℃で30分攪拌した。反応完結後、セライトろ過を行った後、残渣に水を加えた。その後、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。減圧濃縮した後、カラムクロマトグラフィーを行い、無色油状物 930 mg (収率97%) を得た。
【0105】
1-4:2-シアノ-3-メチル-5-[3-(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピリジン-4-カルボン酸エチルの合成
60%水素化ナトリウム(900mg)をN,N-ジメチルホルムアミド(65ml)に懸濁させ、氷冷下で3-トリフルオロメチルフェノール(2.7ml)を滴下した。同温で30分撹拌した後、室温で30分撹拌した。気泡の発生が終了したことを確認した後、氷冷下に戻し、2-シアノ-5-フルオロ-3-メチルピリジン-4-カルボン酸エチル (4g)を加えた。室温で一晩撹拌し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、10%NaOH水溶液、及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィーを行い、無色油状物 6.7g (収率99%) を得た。
【0106】
1-5:2-(アミノメチル)-3-メチル-5-[3-(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピリジン-4-カルボン酸エチルの合成
2-シアノ-3-メチル-5-[3-(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピリジン-4-カルボン酸エチル(4g)をエタノール(50ml)に溶解させ、二炭酸ジ-tert-ブチル(3.4 g)及びパラジウム-活性炭素(10% activated、 600mg)を加え、水素置換した。室温で3時間攪拌した後、セライトろ過し、残留液を減圧濃縮した。得られた化合物を塩化メチレン(30ml)に溶解し、4M 塩酸/ジオキサン(20ml)を加え室温で5時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、飽和重曹水で塩基性にした。酢酸エチルで抽出、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、淡黄色油状物2.2g(2工程収率52%)を得た。
【0107】
1-6:2-(ホルムアミドメチル)-3-メチル-5-[3-(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピリジン-4-カルボン酸エチルの合成
2-(アミノメチル)-3-メチル-5-[3-(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピリジン-4-カルボン酸エチル(2.2g)をギ酸エチル (5ml)に溶解し、2時間加熱還流下で撹拌した。減圧下で溶媒を留去し、茶色油状物 2.2 g (収率93%) を得た。
【0108】
1-7:8-メチル-6-[3-(トリフルオロメチル)フェノキシ]イミダゾ[1,5-a]ピリジン-7-カルボン酸エチルの合成
2-(ホルムアミドメチル)-3-メチル-5-[3-(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピリジン-4-カルボン酸エチル(1g)をトルエン(5ml)に溶解し、塩化ホスホリル (2ml)を滴下した。反応液を加熱還流下で2時間撹拌した。反応液に氷水に加え、水酸化ナトリウム水溶液で塩基性にし、クロロホルムで抽出した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、黒色油状物 1 g (収率99%) を得た。
【0109】
1-8:8-メチル-6-[3-(トリフルオロメチル)フェノキシ]イミダゾ[1,5-a]ピリジン-7-カルボン酸 の合成
8-メチル-6-[3-(トリフルオロメチル)フェノキシ]イミダゾ[1,5-a]ピリジン-7-カルボン酸エチル (1g)をエタノール(10ml)に溶解し、10%水酸化ナトリウム水溶液(2ml)を加え、室温で3時間撹拌した。1規定塩酸で反応液を酸性にし、酢酸エチルで抽出した。更に水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧下で溶媒を留去し、茶色固体 600 mg (収率66%) を得た。
【0110】
1-9:N-[2-(2,4-ジクロロフェニル)-2,2-ジフルオロエチル]-8-メチル-6-[3-(トリフルオロメチル)フェノキシ]イミダゾ[1,5-a]ピリジン-7-カルボキサミドの合成
8-メチル-6-[3-(トリフルオロメチル)フェノキシ]イミダゾ[1,5-a]ピリジン-7-カルボン酸 (160mg)をピリジン(3ml)に溶解し、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(190mg)、 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(220mg)及び2-(2,4-ジクロロフェニル)-2,2-ジフルオロエチルアミン(110mg)を加え、室温で5時間攪拌した。反応完結後、減圧濃縮し、残渣液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。減圧濃縮した後、カラムクロマトグラフィーを行い、茶色油状物 77 mg (収率28%) を得た。
【0111】
以下の表1には、実施例1の化合物とともに、実施例1と同様にして製造された本発明の他の化合物を記載する。
【0112】
【0113】
表1
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0114】
実施例で調製された本発明の化合物のNMRデータは、以下の通りである。
【0115】
【表2】
【0116】
以下の表3及び表4は、実施例と同様にして製造された、式(II)で示される本発明の中間体の化学式及びNMRデータについて記載する。
【0117】
(II)
【0118】
表3
【0119】
【表3-1】
【表3-2】
【0120】
得られた本発明の中間体のNMRデータは、以下の通りである。
【0121】
【表4】
【0122】
以下の表5及び表6は、実施例と同様にして製造された、式(XVI)で示される本発明の中間体の化学式及びNMRデータについて記載する。
【0123】
(XVI)
【0124】
表5
【0125】
【表5-1】
【表5-2】
【0126】
上記得られた本発明の化合物式(XVI)で示される本発明の中間体のNMRデータは、以下の通りである。
【0127】
【表6】
【0128】
次に、農園芸用殺菌剤の製剤例を示す。なお、部は質量部を表す。
【0129】
以下に製剤例を挙げて、本発明の化合物を含有する製剤について具体的に説明するが、本発明の化合物、補助成分及びその添加量等は以下の製剤例のみに限定されるものではない。なお、製剤例において部とあるのは全て重量部を表す。
【0130】
製剤例1 乳剤
本発明の化合物(10部)、キシレン(60部)、N-メチル-2-ピロリドン(20部)、及びソルポール3005X(非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤との混合物、東邦化学工業株式会社、商品名)(10部)を均一に混合溶解して、乳剤を得た。
【0131】
製剤例2 水和剤
本発明の化合物(20部)、トクシールGU-N(ホワイトカーボン、Oriental Silicas Corporation)(20部)、ソルポール5096(ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフェート、東邦化学工業株式会社)(10部)、SSクレー(クレー、昭和KDE株式会社)(50部)を混合した後、粉砕機を用いて粉砕し、水和剤を得た。
【0132】
製剤例3 水溶剤
本発明の化合物(5部)、ルノックスP-65L(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、東邦化学工業株式会社)(3部)、炭酸水素ナトリウム(試薬)(92部)を均一に混合した後に粉砕機を用いて粉砕し、水溶剤を得た。
【0133】
製造例4 顆粒水和剤
本発明の化合物(20部)、デモールN(ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、花王株式会社、商品名)(5部)、エアロールCT-1L(ジオクチルスルホコハク酸塩、東邦化学工業株式会社、商品名)(1部)、セロゲン701A(カルボキシメチルセルロース、第一工業製薬株式会社)(1部)、及びカオリンクレー(カオリナイト、竹原化学工業株式会社、商品名)(73部)をエアーミルにて均一に混合粉砕した。この混合物に水を加えてよく練り合わせた後、押し出し造粒し、乾燥整粒して顆粒水和剤を得た。
【0134】
製剤例5 フロアブル剤
本発明の化合物(20部)、ソルポール7948(ポリオキシアルキレントリスチリルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、東邦化学工業株式会社)(5部)、プロピレングリコール(試薬)(10部)、及び水(40部)を予め混合しておき、ビーズミルで湿式粉砕し、スラリーを得た。次にKELZAN(キサンタンガム、三晶株式会社)(0.2部)を水(24.8部)によく混合分散させゲル状物を作製し、粉砕したスラリーと十分に混合して、フロアブル剤を得た。
【0135】
製剤例6 EW-1
本発明の化合物(20部)と、ニューカルゲンD‐230(ポリオキシエチレンひまし油、竹本油脂株式会社)(15部)とを混合し、均一化させた後、攪拌しながら水(59.8部)を徐々に加え、分散物を得た。この分散物をプロピレングリコール(試薬)(5.0部)に分散させたKELZAN(キサンタンガム、三晶株式会社)(0.2部)を添加して、エマルション製剤を得た。
【0136】
製剤例7 EW-2
本発明の化合物(10部)をキシレン(10部)に溶解させ、レオドール430V(テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、花王株式会社)(24部)と混合して、分散物を得た。この分散物と水(50.8部)とをホモジナイザーにて分散させ、プロピレングリコール(試薬)(5.0部)に分散させたKELZAN(キサンタンガム、三晶株式会社)(0.2部)を添加して、エマルション製剤を得た。
【0137】
製剤例8 マイクロエマルション
本発明の化合物(10部)、キシレン(試薬)(20部)、ニューカルゲンD-230(ポリオキシエチレンひまし油、竹本油脂株式会社)(20部)、エアロールCT-1L(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、東邦化学工業株式会社)(2.0部)、及び水(48部)を均一に混合させて、マイクロエマルションを得た。
【0138】
製剤例9 液剤
本発明の化合物(20部)、Н-メチル-2-ピロリドン(試薬)(70部)、及びニューカルゲンD-230(ポリオキシエチレンひまし油、竹本油脂株式会社)(10部)を均一に混合し、溶解させて、液剤を得た。
【0139】
製剤例10 粒剤-1
本発明の化合物(5部)、エアロールCT-1L(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、東邦化学工業株式会社)(2部)、ベントナイト佐渡(ベントナイト、クニミネ工業株式会社)(30部)、及びNK-300(クレー、昭和KDE株式会社)(63部)を均一に混合し、水を加えてよく練り合わせた後、押し出し造粒し、乾燥整粒して粒剤を得た。
【0140】
製剤例11 粒剤-2
本発明の化合物(5部)をメタノール(試薬)に溶解させ、石川ライト農2号(95部)に対して、転動型造粒機を用いて吸着させ、乾燥し、粒剤を得た。
【0141】
製剤例12 微粒剤-1
本発明の化合物(2部)をメタノール(試薬)に溶解させ、石川ライト 4号(98部)に対して、転動型造粒機を用いて吸着させ、乾燥し、微粒剤を得た。
【0142】
製剤例13 微粒剤-2
本発明の化合物(5部)、トクシールGU-N(5部)を混合した後に微粉砕機を用いて粉砕し、飯豊珪砂(硅砂、JFEミネラル株式会社)(80部)と均一に混合した。この混合物に、トキサノンGR-31A(ポリカルボン酸型界面活性剤、三洋化成工業株式会社)(10部)を希釈した水溶液をスプレーしながら更に混合し、粒状組成物を得た。この粒状組成物を乾燥し、微粒剤を得た。
【0143】
製剤例14 粉剤
本発明の化合物(5部)、トクシールGU-N(5部)及び大盛微粉クレー(クレー、大盛産業株式会社)(90部)を均一に混合した後に粉砕機を用いて粉砕し、粉剤を得た。
【0144】
製剤例15 DL粉剤
本発明の化合物(5部)と、プロピレングリコール(0.5部)及びDLクレー(94.5部)とを均一に混合した後に粉砕機を用いて粉砕し、粉剤を得た。
【0145】
製剤例16 種子コーティング粉剤
本発明の化合物(10部)、ポバールPVA-117(ポリビニルアルコール、クラレトレーディング株式会社)(1部)及び大盛微粉クレー(89部)を均一に混合し、微粉砕機を用いて粉砕し、粉剤を得た。予め湿らせた種子とこの粉剤とを混合し、風乾させコーティング種子を得た。
【0146】
製剤例17 種子コーティングフロアブル剤
本発明の化合物(10部)、ソルポール7948(5部)、プロピレングリコール(試薬)(10部)、及び水(40部)を予め混合しておき、ビーズミルで湿式粉砕した。次にKELZAN(キサンタンガム、三晶株式会社)(0.2部)と水(29.8部)をよく混合分散させ、AMECOAT HCA/83(アクリル酸ポリマー、SOLVAY)(5部)を混合したゲル状物を調製した。粉砕したスラリーと、調製したゲル状物とを十分に混合し、フロアブル剤を得た。このフロアブル剤と種子とを混合し、風乾させコーティング種子を得た。
【0147】
製剤例18 油性懸濁製剤
本発明の化合物(20部)、ニューカルゲンC-120(POEトリスチリルフェニルエーテル、竹本油脂株式会社、商品名)(5部)、レオドールTW-O120V(POEソルビタンモノオレエート、花王株式会社、商品名)(10部)、オレイン酸メチルエステル(関東化学株式会社、試薬)(62部)、及びエスベンNZ(有機ベントナイト、株式会社ホージュン、商品名)(3部)を十分に混合分散し、このスラリー状分散物を湿式粉砕して、油性懸濁製剤を得た。
【0148】
次に、本発明の化合物が殺菌剤の有効成分として有用であることを試験例により示す。なお、本発明の化合物は、表1に記載の化合物番号で示し、比較対照に用いた化合物は下記の化合物記号で示す。
【0149】
試験例1:キュウリ灰色かび病に対する試験
播種8日後のきゅうり苗(品種:相模半白節成)の胚軸を2cm程度残して子葉部分を切り取った。32cm×24cm×4.5cm(たて×よこ×高さ)のプラスチックケースの底部に水で十分に湿らせたペーパータオルを敷き、ペーパータオルの上に網を置いた。この網の上に、上記の切り取った子葉を胚軸切断面が湿らせたリードペーパーに接着するように並べた。その子葉の中心部に、胞子懸濁液(胞子濃度:1.0×106個/ml)を40μlずつ滴下し、直径8mmのペーパーディスクを乗せた。製剤例1に準じて調製した乳剤の水希釈液をペーパーディスクの上から40μlずつ滴下した。プラスチックケースに蓋をしてビニールテープで密閉した後、室温20℃で72時間保持した。その後、以下の基準に従い発病の程度を発病度別に調査し、下記の式に基づき防除価を算出した。
【0150】
発病度0(無発病)、発病度6.25(わずかに侵入痕がみられる)、発病度12.5(ペーパーディスク内直径5~8mm程度病斑伸展)、発病度25(ペーパーディスクの周り2mm程度まで病斑伸展)、発病度50(ペーパーディスクの周り5mm以上10mm未満病斑伸展)、発病度100(ペーパーディスクの周り10mm以上病斑伸展)
【0151】
防除価= [1-(処理区発病度/無処理区発病度)]×100
【0152】
その結果、以下の化合物番号で示される化合物は、400ppmで防除価80以上の防除効果を示した。

A-1、A-2、A-3、A-4、A-5、A-6、A-7、A-8、A-9
【産業上の利用可能性】
【0153】
一般式(I)で示される本願発明の化合物は、従来の殺菌剤に対して抵抗性を発達させた各種菌類に対して高い防除効果を示し、低薬量で企図する効果を奏し、従って、残留毒性や環境汚染等の問題が軽減された安全性の高い化合物であり、農園芸用薬剤として有用な化合物である。