(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118192
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】車載制御装置、給電制御方法および給電制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20240823BHJP
H04L 43/10 20220101ALI20240823BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240823BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
B60R16/02 645A
H04L43/10
H02J7/00 302A
H02J1/00 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024482
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】保田 将弘
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
5G165AA01
5G165GA09
5G165KA12
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA10
5G503DA17
5G503DB01
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】車載機器への電力供給を外部から簡単にかつ適切なタイミングで停止させる。
【解決手段】車載制御装置は、車載機器への電力供給を制御する制御部と、前記車載機器がスリープ状態へ遷移すると判断して前記スリープ状態となっている対象状態であるか否かを監視する監視部とを備え、前記制御部は、前記監視部によって前記対象状態であることが確認された場合、前記車載機器への電力供給を停止させる停止制御を行うか否かを判断する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載機器への電力供給を制御する制御部と、
前記車載機器がスリープ状態へ遷移すると判断して前記スリープ状態となっている対象状態であるか否かを監視する監視部とを備え、
前記制御部は、前記監視部によって前記対象状態であることが確認された場合、前記車載機器への電力供給を停止させる停止制御を行うか否かを判断する、車載制御装置。
【請求項2】
前記車載制御装置は、さらに、
前記車載機器が搭載される車両の状況を示す状況情報を取得する取得部を備え、
前記制御部は、前記取得部によって取得された前記状況情報の示す前記状況に応じて、前記停止制御を行うか否かを判断する、請求項1に記載の車載制御装置。
【請求項3】
前記状況は、前記車両において電力を供給するバッテリの充電残量を含む、請求項2に記載の車載制御装置。
【請求項4】
前記車両には、前記車両における電力消費に関する設定を受け付ける受付部が設けられ、
前記状況は、前記受付部によって受け付けられた設定内容を含む、請求項2または請求項3に記載の車載制御装置。
【請求項5】
前記車載制御装置は、さらに、
前記車載機器の故障を検知する検知部を備え、
前記制御部は、前記検知部によって前記故障が検知された場合、前記監視部による確認結果に関わらず前記停止制御を行う、請求項1または請求項2に記載の車載制御装置。
【請求項6】
前記車載機器が搭載される車両において、前記車載機器への電力供給を行うか否かを切り替えるための切替部が設けられ、
前記制御部は、前記停止制御を行うと判断した場合、前記切替部を制御することにより前記車載機器への電力供給を停止させる前記停止制御を行う、請求項1または請求項2に記載の車載制御装置。
【請求項7】
前記監視部は、前記車載機器からの所定のフレームが所定時間以上到着しない場合、前記対象状態であると判断し、
前記制御部は、前記監視部によって前記対象状態であると判断された場合であって、前記停止制御を行うと判断した場合、前記切替部を制御することにより前記車載機器への電力供給を停止させる前記停止制御を行う、請求項6に記載の車載制御装置。
【請求項8】
車載制御装置における給電制御方法であって、
車載機器がスリープ状態へ遷移すると判断して前記スリープ状態となっている対象状態であるか否かを監視するステップと、
前記対象状態であることを確認した場合、前記車載機器への電力供給を停止させる停止制御を行うか否かを判断するステップとを含む、給電制御方法。
【請求項9】
車載制御装置において用いられる給電制御プログラムであって、
コンピュータを、
車載機器への電力供給を制御する制御部と、
前記車載機器がスリープ状態へ遷移すると判断して前記スリープ状態となっている対象状態であるか否かを監視する監視部、
として機能させるためのプログラムであり、
前記制御部は、前記監視部によって前記対象状態であることが確認された場合、前記車載機器への電力供給を停止させる停止制御を行うか否かを判断する、給電制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載制御装置、給電制御方法および給電制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車載システムにおいて、同じ通信線に接続された複数の車載機器の動作状態を一括して変更することにより、消費電力を低減する技術が提案されている。たとえば、特許文献1(特開2015-48026号公報)には、以下のような技術が開示されている。すなわち、電子制御装置は、通信ネットワーク(71~73)に接続された制御機器(1~7)との通信を行う通信部(20)と、前記制御機器に電源を供給するための電源線(81~83)と、同一の通信ネットワークに接続された制御機器に対し一括して、前記電源の供給状態を変化させる電源制御部(10、27)と、を備えることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-48026号公報
【特許文献2】特開2020-57246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術を超えて、車載機器への電力供給を外部から簡単にかつ適切なタイミングで停止させることが可能な技術が望まれる。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、車載機器への電力供給を外部から簡単にかつ適切なタイミングで停止させることが可能な車載制御装置、給電制御方法および給電制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車載制御装置は、車載機器への電力供給を制御する制御部と、前記車載機器がスリープ状態へ遷移すると判断して前記スリープ状態となっている対象状態であるか否かを監視する監視部とを備え、前記制御部は、前記監視部によって前記対象状態であることが確認された場合、前記車載機器への電力供給を停止させる停止制御を行うか否かを判断する。
【0007】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える車載制御装置として実現され得るだけでなく、車載制御装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、車載制御装置を含むシステムとして実現され得る。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、車載機器への電力供給を外部から簡単にかつ適切なタイミングで停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態に係る車載システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施の形態に係る車載システムにおけるスリープ制御のシーケンスの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施の形態に係る中継装置の構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施の形態に係る車載機器の構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施の形態に係る中継装置による停止制御を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施の形態に係る中継装置が停止判断処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【
図7】
図7は、本開示の実施の形態に係る中継装置における、車載機器の故障検知時の停止制御の動作手順を定めたフローチャートである。
【
図8】
図8は、本開示の実施の形態に係る車載機器におけるスリープ制御の動作手順を定めたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
最初に、本開示の実施の形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の実施の形態に係る車載制御装置は、車載機器への電力供給を制御する制御部と、前記車載機器がスリープ状態へ遷移すると判断して前記スリープ状態となっている対象状態であるか否かを監視する監視部とを備え、前記制御部は、前記監視部によって前記対象状態であることが確認された場合、前記車載機器への電力供給を停止させる停止制御を行うか否かを判断する。
【0011】
このような構成により、車載機器への電力供給を停止させるか否かを判断するにあたって、車載制御装置および車載機器間において、当該車載機器へ電力供給を停止する旨の通知を行うための情報のやり取りが不要となるため、簡単な方法で当該車載機器における消費電力を低減することができる。また、上記通知を行うことなく、車載機器の動作状態がウェイクアップ状態である場合等の当該車載機器の意図しないタイミングにおける電力供給の停止を抑制することができる。したがって、車載機器への電力供給を外部から簡単にかつ適切なタイミングで停止させることができる。
【0012】
(2)上記(1)において、前記車載制御装置は、さらに、前記車載機器が搭載される車両の状況を示す状況情報を取得する取得部を備えてもよく、前記制御部は、前記取得部によって取得された前記状況情報の示す前記状況に応じて、前記停止制御を行うか否かを判断してもよい。
【0013】
このような構成により、車載機器における電力消費の状態を車両の状況に適合させることができる。たとえば、車両における電力消費の抑制を必要としない状況では、車載機器をスリープ状態に維持し、当該車両における電力消費の抑制を必要とする状況では、停止制御を行うことによって車載機器における消費電力をより低減することができる。
【0014】
(3)上記(2)において、前記状況は、前記車両において電力を供給するバッテリの充電残量を含んでもよい。
【0015】
このような構成により、たとえば、バッテリの充電残量が少ない場合、停止制御を行うと判断し、当該充電残量の低下を抑制することができる。
【0016】
(4)上記(2)または(3)において、前記車両には、前記車両における電力消費に関する設定を受け付ける受付部が設けられてもよく、前記状況は、前記受付部によって受け付けられた設定内容を含んでもよい。
【0017】
このような構成により、たとえば、車両における電力消費の抑制を指示する設定が行われた場合、停止制御を行うと判断し、当該指示に従って、車載機器における消費電力をより低減することができる。
【0018】
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記車載機器の故障を検知する検知部を備えてもよく、前記制御部は、前記検知部によって前記故障が検知された場合、前記監視部による確認結果に関わらず前記停止制御を行ってもよい。
【0019】
たとえば、車載機器において故障が発生した場合、当該車載機器によるスリープ制御が失敗する可能性がある。上記のように、車載機器において故障が発生した場合、当該車載機器への電力供給を停止する構成により、当該車載機器における消費電力をより確実に低減することができる。
【0020】
(6)上記(1)から(5)のいずれかにおいて、前記車載機器が搭載される車両において、前記車載機器への電力供給を行うか否かを切り替えるための切替部が設けられてもよく、前記制御部は、前記停止制御を行うと判断した場合、前記切替部を制御することにより前記車載機器への電力供給を停止させる前記停止制御を行ってもよい。
【0021】
このような構成により、車載機器においてスリープ制御を行うことによる、当該車載機器における消費電力の低減と、車載制御装置において切替部を制御することによる、当該消費電力の更なる低減との両方を実現することができる。
【0022】
(7)上記(6)において、前記監視部は、前記車載機器からの所定のフレームが所定時間以上到着しない場合、前記対象状態であると判断してもよく、前記制御部は、前記監視部によって前記対象状態であると判断された場合であって、前記停止制御を行うと判断した場合、前記切替部を制御することにより前記車載機器への電力供給を停止させる前記停止制御を行ってもよい。
【0023】
このような構成により、対象状態であるか否かを簡単な方法で判断することができる。
【0024】
(8)本開示の実施の形態に係る給電制御方法は、車載制御装置における給電制御方法であって、車載機器がスリープ状態へ遷移すると判断して前記スリープ状態となっている対象状態であるか否かを監視するステップと、前記対象状態であることを確認した場合、前記車載機器への電力供給を停止させる停止制御を行うか否かを判断するステップとを含む。
【0025】
このような構成により、車載機器への電力供給を停止させるか否かを判断するにあたって、車載制御装置および車載機器間において、当該車載機器へ電力供給を停止する旨の通知を行うための情報のやり取りが不要となるため、簡単な方法で当該車載機器における消費電力を低減することができる。また、上記通知を行うことなく、車載機器の動作状態がウェイクアップ状態である場合等の当該車載機器の意図しないタイミングにおける電力供給の停止を抑制することができる。したがって、車載機器への電力供給を外部から簡単にかつ適切なタイミングで停止させることができる。
【0026】
(9)本開示の実施の形態に係る給電制御プログラムは、車載制御装置において用いられる給電制御プログラムであって、コンピュータを、車載機器への電力供給を制御する制御部と、前記車載機器がスリープ状態へ遷移すると判断して前記スリープ状態となっている対象状態であるか否かを監視する監視部、として機能させるためのプログラムであり、前記制御部は、前記監視部によって前記対象状態であることが確認された場合、前記車載機器への電力供給を停止させる停止制御を行うか否かを判断する。
【0027】
このような構成により、車載機器への電力供給を停止させるか否かを判断するにあたって、車載制御装置および車載機器間において、当該車載機器へ電力供給を停止する旨の通知を行うための情報のやり取りが不要となるため、簡単な方法で当該車載機器における消費電力を低減することができる。また、上記通知を行うことなく、車載機器の動作状態がウェイクアップ状態である場合等の当該車載機器の意図しないタイミングにおける電力供給の停止を抑制することができる。したがって、車載機器への電力供給を外部から簡単にかつ適切なタイミングで停止させることができる。
【0028】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0029】
[車載システム]
図1は、本開示の実施の形態に係る車載システムの構成の一例を示す図である。
図1を参照して、車載システム301は、中継装置101と、複数の車載機器201と、電源部51と、複数のリレー61とを備える。車載システム301は、車両1に搭載される。中継装置101は、車載制御装置の一例である。リレー61は、切替部の一例である。
【0030】
車載機器201は、自動運転ECU(Electronic Control Unit)、エンジンECU、ボディ制御ECU、TCU(Telematics Communication Unit)、センサ、ナビゲーション装置、ヒューマンマシンインターフェース、およびカメラ等である。
【0031】
中継装置101および複数の車載機器201は、車載ネットワーク401を構成する。複数の車載機器201は、たとえば、CAN(Controller Area Network)(登録商標)の規格に従うCANバス2を介して中継装置101と接続されている。
【0032】
車載機器201である車載機器201A,201Bは、CANバス2であるCANバス2Aを介して中継装置101と接続されている。車載機器201である車載機器201C,201Dは、CANバス2であるCANバス2Bを介して中継装置101と接続されている。
【0033】
中継装置101は、車載機器201を含む車載ネットワーク401において用いられる。中継装置101は、自己に接続される複数の車載機器201間のフレームを中継する。
【0034】
たとえば、中継装置101および各車載機器201は、後述する各種情報と、データの種別等を示すCAN-ID(Identifier)とを含むCANフレームを作成して他の車載機器201または中継装置101へ送信する。
【0035】
電源部51は、車両1において電力を供給する。電源部51は、たとえばバッテリを含む。
【0036】
電源部51は、電源線4を介して中継装置101と接続されている。電源部51は、電源線4を介して中継装置101に電力を供給する。
【0037】
電源部51は、電源線5を介して各車載機器201と接続されている。電源部51は、電源線5を介して各車載機器201に電力を供給する。
【0038】
電源部51におけるバッテリは、たとえば、電源線5である電源線5Aを介して、CANバス2Aに接続された各車載機器201と接続されている。CANバス2Aに接続された各車載機器201は、バッテリにより供給される電力を用いて動作する。
【0039】
また、電源部51におけるバッテリは、たとえば、電源線5である電源線5Bを介して、CANバス2Bに接続された各車載機器201と接続されている。CANバス2Bに接続された各車載機器201は、バッテリにより供給される電力を用いて動作する。
【0040】
リレー61は、車両1において、対応する1または複数の車載機器201への電力供給を行うか否かを切り替えるための機器である。
【0041】
リレー61は、後述する中継装置101における制御部21の制御に従い、オン状態およびオフ状態を切り替える。車載システム301は、たとえば、リレー61であるリレー61A,61B,61C,61Dを備える。
【0042】
リレー61Aは、車載機器201Aと電源部51との間に接続されている。リレー61Bは、車載機器201Bと電源部51との間に接続されている。リレー61Cは、車載機器201Cと電源部51との間に接続されている。リレー61Dは、車載機器201Dと電源部51との間に接続されている。リレー61の状態は、たとえば、車両1のイグニッション電源がオンされた初期状態において、オン状態である。
【0043】
なお、車載システム301では、2つのCANバス2が設けられる構成に限らず、1つまたは3つ以上のCANバス2が設けられる構成であってもよい。
【0044】
また、複数の車載機器201は、CANバス2を介して中継装置101と接続される構成に限らず、たとえば、CAN FD(CAN with Flexible Data Rate)、イーサネット(登録商標)、FlexRay(登録商標)、MOST(Media Oritend System Transport)(登録商標)およびLIN(Local Interconnect Network)の通信規格に従うバスを介して中継装置101と接続される構成であってもよい。
【0045】
(ウェイクアップ状態およびスリープ状態)
車載機器201は、ウェイクアップ状態からスリープ状態へ遷移し、また、スリープ状態からウェイクアップ状態へ遷移する。車載機器201は、ウェイクアップ状態において、車載システム301における他の装置と通信を行い、スリープ状態において、車載システム301における他の装置との通信を停止する。ここで、スリープ状態とは、車載機器201の一部の機能の停止、または車載機器201におけるクロック周波数の低下等により、ウェイクアップ状態よりも消費電力が小さい状態である。
【0046】
たとえば、車載機器201において、当該車載機器201をスリープ状態へ遷移するための条件であるスリープ条件と、当該車載機器201をウェイクアップ状態へ遷移するための条件であるウェイクアップ条件とが予め設定されている。
【0047】
スリープ条件は、車両1が駐停車すること、および車両1がイグニッションオフになること等である。また、ウェイクアップ条件は、車両1が走行を開始すること、および車両1がイグニッションオンになること等である。
【0048】
図2は、本開示の実施の形態に係る車載システムにおけるスリープ制御のシーケンスの一例を示す図である。
【0049】
図2を参照して、まず、中継装置101および車載機器201は、ウェイクアップ状態において(ステップS11およびS12)、たとえば、AUTOSAR(AUTomotive Open System ARchitecture)(登録商標)に従うNM(Network Management)メッセージが格納されたCANフレーム(以下、「NMフレーム」とも称する。)を互いに送信する。具体的には、中継装置101および車載機器201は、死活監視のために、NMフレームを互いに送信する(ステップS13およびS14)。
【0050】
次に、車載機器201は、ウェイクアップ状態において自己のスリープ条件が成立した場合(ステップS15)、NMフレームの送信を停止する(ステップS16)。
【0051】
次に、車載機器201は、NMフレームの送信を停止してから所定時間が経過するまでの間に中継装置101からのNMフレームが到着しなかった場合、スリープ状態へ遷移する(ステップS17)。
【0052】
このように、NMフレームを用いて車載機器201の動作状態をウェイクアップ状態からスリープ状態へ切り替えることにより、車載機器201の消費電力を低減することができる。
【0053】
なお、車載機器201は、スリープ状態において(ステップS17)、自己のウェイクアップ条件が成立した場合、ウェイクアップ状態へ遷移し、NMフレームの定期的な送信を開始する。また、車載機器201は、スリープ状態において(ステップS17)、車載システム301における他の装置からウェイクアップ要求を受信した場合、ウェイクアップ状態へ遷移する。
【0054】
[中継装置]
図3は、本開示の実施の形態に係る中継装置の構成の一例を示す図である。
図3を参照して、中継装置101は、スイッチ部11と、処理部12と、記憶部13とを備える。処理部12は、制御部21と、監視部22と、取得部23と、検知部24とを含む。スイッチ部11および処理部12の一方または両方は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。記憶部13は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。
【0055】
(スイッチ部)
スイッチ部11は、ある車載機器201からCANフレームを受信すると、受信したCANフレームを他の車載機器201へ送信する。
【0056】
より詳細には、記憶部13は、CAN-IDと、CANフレームの送信先が接続されているCANバス2(以下、「送信先バス」とも称する。)との対応関係を示すルーティングテーブルを記憶する。
【0057】
スイッチ部11は、車載機器201からCANフレームを受信すると、記憶部13におけるルーティングテーブルを読み出す。そして、スイッチ部11は、ルーティングテーブルを参照することにより、当該CANフレームに含まれるCAN-ID、に対応する送信先バスを特定し、当該CANフレームを特定した送信先バスへ出力する。
【0058】
また、スイッチ部11は、自己の中継装置101を送信先とするCANフレームを受信すると、当該CANフレームを処理部12へ出力する。
【0059】
[車載機器]
図4は、本開示の実施の形態に係る車載機器の構成の一例を示す図である。
図4を参照して、車載機器201は、通信部31と、判断部32と、状態遷移部33と、NM処理部34と、記憶部35とを備える。通信部31、判断部32、状態遷移部33およびNM処理部34の一部または全部は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路により実現される。記憶部35は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。
【0060】
(判断部)
判断部32は、自己の車載機器201のスリープ条件の成否、および当該車載機器201のウェイクアップ条件の成否を判断する。
【0061】
より詳細には、記憶部35は、自己の車載機器201のスリープ条件および当該車載機器201のウェイクアップ条件を記憶する。
【0062】
判断部32は、たとえば定期的に車両1の状態を監視し、監視結果に基づいて、記憶部35に保存されているスリープ条件の成否、および記憶部35に保存されているウェイクアップ条件の成否を判断する。判断部32は、判断結果を状態遷移部33およびNM処理部34へ通知する。
【0063】
(状態遷移部)
状態遷移部33は、自己の車載機器201をスリープ状態へ遷移させる。また、状態遷移部33は、自己の車載機器201をウェイクアップ状態へ遷移させる。
【0064】
状態遷移部33は、自己の車載機器201がウェイクアップ状態であり、かつ判断部32からスリープ条件が成立した旨の通知を受けた場合、当該車載機器201をスリープ状態へ遷移させる。
【0065】
上述したように、車載機器201は、自己の動作状態がスリープ状態である場合、自己の一部の機能を停止する。たとえば、車載機器201は、スリープ状態において、CANフレームの受信、および記憶部35への各種データの書き込み処理を行うことは可能である一方で、CANフレームの送信を行わない。
【0066】
状態遷移部33は、自己の車載機器201がスリープ状態であり、かつ判断部32からウェイクアップ条件が成立した旨の通知を受けた場合、当該車載機器201をウェイクアップ状態へ遷移させる。車載機器201は、たとえば、車両1のイグニッション電源がオンされると、ウェイクアップ状態で動作する。
【0067】
(NM処理部)
NM処理部34は、自己の車載機器201の動作状態がウェイクアップ状態である期間において、NMフレームを通信部31経由で中継装置101へ送信する。
【0068】
より詳細には、NM処理部34は、自己の車載機器201のウェイクアップ条件が成立した旨の通知(以下、「ウェイクアップ通知」とも称する。)を判断部32から受けた場合、NMフレームの送信を開始または継続する。
【0069】
具体的には、記憶部35は、自己の車載機器201が送信するCANフレームに含めるべきCAN-ID、を示す送信リストを記憶する。
【0070】
NM処理部34は、たとえば、ウェイクアップ通知を判断部32から受けた場合、記憶部35における送信リストを読み出す。そして、NM処理部34は、送信リストを参照することにより、送信先の中継装置101に対応するCAN-IDと、NMメッセージとを含むNMフレームを作成して通信部31へ出力する。
【0071】
通信部31は、NM処理部34から受けたNMフレームを、自己の車載機器201が接続されたCANバス2経由で中継装置101へ送信する。
【0072】
また、NM処理部34は、自己の車載機器201のスリープ条件が成立した旨の通知を判断部32から受けた場合、ウェイクアップ通知を判断部32から受けるまでNMフレームの送信を停止する。
【0073】
[課題の説明]
再び
図1を参照して、上述したように、ウェイクアップ状態で動作する車載機器201は、自己のスリープ条件が成立したと判断すると、スリープ状態へ遷移する。
【0074】
また、車載機器201には、リレー61が接続されている。リレー61がオン状態である場合、車載機器201がスリープ状態であるか否かに関わらず、電源部51から当該車載機器201に電力が供給される。
【0075】
車載システム301における省電力機能をより向上させるために、車載機器201に接続されたリレー61をオン状態からオフ状態へ切り替える制御を行い、当該車載機器201への電力供給を停止することが考えられる。車載システム301では、リレー61の制御は、たとえば中継装置101によって行われる。
【0076】
このように、車載システム301において、車載機器201におけるスリープ制御、およびリレー61の制御は、互いに異なる装置においてそれぞれ行われる。そのため、中継装置101は、車載機器201の意図しないタイミングにおいて、当該車載機器201に接続されたリレー61をオン状態からオフ状態へ切り替える可能性がある。
【0077】
具体的には、上述したように、車載機器201は、たとえば、スリープ状態において、記憶部35への各種データの書き込み処理を行う場合がある。車載機器201において当該書き込み処理が行われている場合に、当該車載機器201に接続されたリレー61がオン状態からオフ状態へ切り替えられると、当該書き込み処理が失敗する可能性がある。これに対して、たとえば、静電容量の大きいコンデンサを車載機器201に搭載することにより、当該車載機器201への電力供給の停止後であっても、当該コンデンサに蓄えられた電力を用いて当該車載機器201を動作させることが考えられる。しかしながら、この場合、車載機器201のコストが増大する。
【0078】
これに対して、本開示の実施の形態に係る車載システム301では、以下のような構成および動作により、上記課題を解決する。
【0079】
[中継装置の構成]
(監視部)
再び
図3を参照して、中継装置101における監視部22は、車載機器201がスリープ状態へ遷移すると判断してスリープ状態となっている対象状態であるか否かを監視する監視処理を行う。
【0080】
より詳細には、監視部22は、各車載機器201からの所定のフレーム、たとえばNMフレームを監視することにより、各車載機器201について監視処理を行う。以下では、監視部22が、車載機器201Aについて監視処理を行う例について代表的に説明する。
【0081】
具体的には、スイッチ部11は、車載機器201AからNMフレームを受信すると、当該NMフレームを受信した旨、および当該NMフレームに含まれるCAN-ID(以下、「対象ID」とも称する。)を示す受信通知を監視部22へ出力する。
【0082】
監視部22は、スイッチ部11から受信通知を受けてから所定時間経過しても、当該受信通知の示す対象IDと同じCAN-IDを含む新たな受信通知がスイッチ部11から到着しない場合、対象状態であると判断する。すなわち、監視部22は、車載機器201AからのNMフレームが所定時間以上到着しない場合、対象状態であると判断する。
【0083】
そして、監視部22は、対象状態である旨を示す監視結果と、当該監視結果に対応する対象IDとを含む監視結果情報を制御部21へ出力する。
【0084】
一方、監視部22は、スイッチ部11から受信通知を受けてから所定時間内に、当該受信通知の示す対象IDと同じCAN-IDを含む新たな受信通知がスイッチ部11から到着した場合、対象状態でないと判断する。
【0085】
(停止判断処理)
制御部21は、車載機器201への電力供給を制御する。また、制御部21は、監視部22によって対象状態であることが確認された場合、車載機器201への電力供給を停止させる停止制御を行うか否かを判断する停止判断処理を行う。
【0086】
具体的には、記憶部13は、CAN-IDと、CANフレームの送信元との対応関係を示す管理テーブルを記憶する。
【0087】
制御部21は、監視部22から監視結果情報を受けると、記憶部13における上記管理テーブルを読み出す。そして、制御部21は、管理テーブルを参照することにより、当該監視結果情報に含まれる対象ID、に対応するNMフレームの送信元の車載機器201を特定する。
【0088】
そして、制御部21は、特定した車載機器201に対して停止制御を行うか否かを判断する。
【0089】
具体的には、中継装置101において、停止制御を行うか否かを判断するための条件(以下、「停止条件」とも称する。)が予め設定されている。停止条件は、たとえば車両1の状況に関する条件である。ここでは、たとえば、停止条件1、停止条件2および停止条件3のうちの少なくともいずれか1つが設定されている。
【0090】
停止条件1は、車両1におけるバッテリの充電残量についての条件である。停止条件2および停止条件3は、車両1における、電力消費に関する設定内容についての条件である。
【0091】
制御部21は、監視部22から監視結果情報を受けると、車両1の状況を示す状況情報の取得を要求する旨を示す情報要求通知を取得部23へ出力する。取得部23は、制御部21から情報要求通知を受けると、状況情報を取得する。
【0092】
<停止条件1>
たとえば、状況情報の示す車両1の状況は、当該車両1において電力を供給するバッテリの充電残量を含む。
【0093】
より詳細には、たとえば、取得部23は、車両1におけるバッテリの充電残量を電源線4を介して確認する。そして、取得部23は、確認した充電残量を示すバッテリ情報を作成し、状況情報として制御部21へ出力する。
【0094】
制御部21は、取得部23からバッテリ情報を受けると、当該バッテリ情報の示す充電残量が所定の閾値未満であるか否かを確認する。
【0095】
制御部21は、たとえば、取得部23から受けたバッテリ情報の示す充電残量が上記閾値未満である場合、停止制御を行うと判断する。
【0096】
一方、制御部21は、たとえば、取得部23から受けたバッテリ情報の示す充電残量が上記閾値以上である場合、停止制御を行わないと判断する。すなわち、制御部21は、特定した車載機器201の動作状態をスリープ状態に維持する。
【0097】
<停止条件2>
たとえば、車両1には、当該車両1における電力消費に関する設定を受け付ける車載機器201であるナビゲーション装置が設けられている。たとえば、状況情報を示す車両1の状況は、ナビゲーション装置によって受け付けられた設定内容を含む。ナビゲーション装置は、受付部の一例である。
【0098】
より詳細には、たとえば、状況情報は、ナビゲーション装置において設定されたバッテリの動作モードに関する設定内容を示す。車両1では、たとえば、当該動作モードとして、バッテリを充電するための充電モード、通常時における通常モード、およびバッテリにおける電力消費を抑制するための節電モードが設定される。
【0099】
たとえば、車両1のユーザは、電源部51におけるバッテリの動作モードを設定する操作を、ナビゲーション装置に対して行う。ナビゲーション装置は、ユーザから当該動作モードを設定する操作を受け付けると、ユーザによる設定内容を示すバッテリ設定情報を作成し、状況情報として中継装置101へ送信する。
【0100】
中継装置101におけるスイッチ部11は、ナビゲーション装置からバッテリ設定情報を受信すると、当該バッテリ設定情報を取得部23へ出力する。
【0101】
取得部23は、スイッチ部11からバッテリ設定情報を受けると、当該バッテリ設定情報の示す設定内容、すなわちユーザによって設定されたバッテリの動作モードを確認し、確認結果を示す通知を制御部21へ出力する。
【0102】
制御部21は、ナビゲーション装置において設定されたバッテリの動作モードが節電モードである旨を示す通知を取得部23から受けると、停止制御を行うと判断する。
【0103】
一方、制御部21は、ナビゲーション装置において設定されたバッテリの動作モードが充電モードまたは通常モードである旨を示す通知を取得部23から受けると、停止制御を行わないと判断する。
【0104】
<停止条件3>
たとえば、状況情報は、ナビゲーション装置において設定された当該車両1の目的地の位置を示す。
【0105】
より詳細には、たとえば、車両1のユーザは、当該車両1の目的地を設定する操作を、ナビゲーション装置に対して行う。ナビゲーション装置は、ユーザから当該操作を受け付けると、受け付けた操作の内容に基づいて、目的地の位置を取得する。また、たとえば、ナビゲーション装置は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波に基づいて、車両1の現在位置を出発地として特定する。
【0106】
そして、ナビゲーション装置は、取得した目的地の位置、および特定した出発地の位置を示す目的情報を作成し、状況情報として中継装置101へ送信する。
【0107】
中継装置101におけるスイッチ部11は、ナビゲーション装置から目的情報を受信すると、当該目的情報を取得部23へ出力する。
【0108】
取得部23は、スイッチ部11から目的情報を受けると、当該目的情報の示す目的地の位置および出発地の位置に基づいて、目的地と出発地との間の距離(以下、「目的距離」とも称する。)を算出する。
【0109】
また、取得部23は、車両1におけるバッテリの充電残量を電源線4を介して確認し、確認したバッテリの充電残量に基づいて、車両1の走行可能距離を算出する。
【0110】
そして、取得部23は、算出した目的距離および走行可能距離を含む距離情報を制御部21へ出力する。
【0111】
たとえば、制御部21は、取得部23から距離情報を受けると、当該距離情報に含まれる目的距離が、当該距離情報に含まれる走行可能距離以上であるか否かを確認する。
【0112】
制御部21は、上記目的距離が上記走行可能距離以上である場合、停止制御を行うと判断する。
【0113】
一方、制御部21は、上記目的距離が上記走行可能距離未満である場合、停止制御を行わないと判断する。
【0114】
(停止制御)
図5は、本開示の実施の形態に係る中継装置による停止制御を説明するための図である。
【0115】
図3および
図5を参照して、制御部21は、車載機器201について対象状態であると監視部22によって判断された場合であって、停止制御を行うと判断した場合、リレー61を制御することにより当該車載機器201への電力供給を停止させる停止制御を行う。
【0116】
より詳細には、制御部21は、停止判断処理において停止制御を行うと判断すると、特定した車載機器201に接続されたリレー61(以下、「対象リレー」とも称する。)をオン状態からオフ状態へ切り替える制御を行う。
【0117】
たとえば、
図5に示す車載機器201Aが停止制御の対象である場合、対象リレーは、リレー61Aである。この場合、制御部21は、車載機器201Aに接続されたリレー61Aをオン状態からオフ状態へ切り替える制御を行う。
【0118】
(稼働制御)
制御部21は、対象リレーに対して停止制御を行った後、車載機器201のウェイクアップ条件が成立したと判断した場合、リレー61Aをオフ状態からオン状態へ切り替える制御(以下、「稼働制御」とも称する。)を行う。
【0119】
より詳細には、たとえば、記憶部13は、車載機器201のウェイクアップ条件を記憶する。
【0120】
制御部21は、たとえば、対象リレーに対して停止制御を行った後、車両1の状態を定期的に監視し、監視結果に基づいて、記憶部13に保存されている車載機器201のウェイクアップ条件の成否を判断する。
【0121】
制御部21は、車載機器201のウェイクアップ条件が成立したと判断すると、対象リレーに対して稼働制御を行う。一方、制御部21は、車載機器201のウェイクアップ条件が成立していないと判断すると、対象リレーの状態をオフ状態に維持する。
【0122】
(故障検知時における停止制御)
再び
図3を参照して、検知部24は、車載機器201の故障を検知する。より詳細には、たとえば、車載システム301において、車載機器201が故障しているか否かを判断する図示しない監視ECUが設けられている。当該監視ECUは、たとえば、車載機器201が故障していると判断した場合、当該車載機器201における故障の発生を示す旨、および当該車載機器201のCAN-IDを示す故障通知を中継装置101へ送信する。
【0123】
中継装置101において、検知部24は、上記監視ECUからスイッチ部11経由で故障通知を受信すると、車載機器201の故障を検知する。そして、検知部24は、車載機器201の故障を検知した旨を示す検知結果と、監視ECUから受信した故障通知の示すCAN-IDとを含む検知情報を制御部21へ出力する。
【0124】
なお、検知部24は、故障の発生を示す所定の信号を車載機器201から受信した場合、車載機器201の故障を検知してもよい。
【0125】
具体的には、検知部24は、自己の中継装置101が所定の信号の送信に用いられる通信線を介して車載機器201と接続されており、当該通信線を介して当該所定の信号を受信した場合、当該車載機器201の故障を検知してもよい。
【0126】
たとえば、制御部21は、検知部24によって車載機器201の故障が検知された場合、監視部22による確認結果に関わらず停止制御を行う。
【0127】
より詳細には、制御部21は、監視部22から確認結果情報を受けていない状況において、検知部24から検知情報を受けると、記憶部13における上記管理テーブルを読み出す。そして、制御部21は、管理テーブルを参照することにより、当該検知情報の示すCAN-IDに対応する車載機器201を特定し、対象リレーをオン状態からオフ状態へ切り替える制御を行う。
【0128】
[動作の流れ]
図6は、本開示の実施の形態に係る中継装置が停止判断処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0129】
図6を参照して、まず、中継装置101は、車載機器201について対象状態であることを確認するまで(ステップS102においてNO)、当該車載機器201からのNMフレームを監視する(ステップS101)。
【0130】
次に、中継装置101は、NMフレームが所定時間以上到着しない場合、対応の車載機器201について対象状態であることを確認し(ステップS102においてYES)、停止条件を満たす場合(ステップS103においてNO)、停止制御を行う。たとえば、上述したように、中継装置101は、ある車載機器201について対象状態であることを確認すると、車両1の状況を示す状況情報を取得し、取得した状況情報の示す車両1の状況に基づいて、停止条件を満たすか否かを確認する。そして、中継装置101は、停止条件を満たす場合、当該車載機器201に接続された対象リレーをオン状態からオフ状態へ切り替える制御を行う(ステップS104)。
【0131】
次に、中継装置101は、車載機器201のウェイクアップ条件を満たすことを確認すると(ステップS105においてYES)、対象リレーをオフ状態からオン状態へ切り替える稼働制御を行う(ステップS106)。そして、中継装置101は、当該車載機器201からのNMフレームの監視を再開する(ステップS101)。
【0132】
一方、中継装置101は、停止条件を満たさない場合(ステップS103においてNO)、停止制御を行わず、車載機器201の動作状態をスリープ状態に維持する。
【0133】
また、中継装置101は、車載機器201のウェイクアップ条件を満たさない場合(ステップS105においてNO)、対象リレーの状態をオフ状態に維持する(ステップS104)。
【0134】
図7は、本開示の実施の形態に係る中継装置における、車載機器の故障検知時の停止制御の動作手順を定めたフローチャートである。
【0135】
図7を参照して、まず、中継装置101は、車載機器201の故障を検知するまで当該車載機器201の状態を監視し(ステップS201においてNO)、車載機器201の故障を検知すると(ステップS201においてYES)、停止制御を行う。たとえば、上述したように、中継装置101は、故障を検知した車載機器201に接続された対象リレーをオン状態からオフ状態へ切り替える制御を行う(ステップS202)。
【0136】
図8は、本開示の実施の形態に係る車載機器におけるスリープ制御の動作手順を定めたフローチャートである。
【0137】
図8を参照して、まず、車載機器201は、車両1のイグニッション電源がオンされると、ウェイクアップ状態で動作し、自己のスリープ条件が成立するまで、ウェイクアップ状態を維持する(ステップS302においてNO)。
【0138】
次に、車載機器201は、自己のスリープ条件が成立すると(ステップS302においてYES)、スリープ状態へ遷移する(ステップS303)。
【0139】
次に、車載機器201は、自己のウェイクアップ条件が成立すると(ステップS304においてYES)、ウェイクアップ状態へ遷移し(ステップS305)、自己のスリープ条件が再び成立するまで、ウェイクアップ状態を維持する(ステップS302においてNO)。
【0140】
一方、車載機器201は、自己のウェイクアップ条件が成立していない場合(ステップS304においてNO)、スリープ状態を維持する(ステップS303)。
【0141】
なお、本開示の実施の形態に係る車載システム301において、中継装置101が制御部21、監視部22、取得部23および検知部24を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、中継装置101以外の他の車載制御装置が、制御部21、監視部22、取得部23および検知部24を備え、上述のような処理を行ってもよい。
【0142】
また、本開示の実施の形態に係る車載システム301において、中継装置101は、状況情報を取得する取得部23を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、中継装置101は、取得部23を備えない構成であってもよい。この場合、中継装置101における制御部21は、車両1の状況に関わらず、他の条件に従って、停止制御を行うか否かを判断する。
【0143】
また、本開示の実施の形態に係る中継装置101において、取得部23によって取得される状況情報の示す車両1の状況は、バッテリの充電残量、またはナビゲーション装置によって受け付けられた車両1における電力消費に関する設定内容を含む構成であるとしたが、これに限定するものではない。状況情報の示す車両1の状況は、他の内容を含む構成であってもよい。
【0144】
また、本開示の実施の形態に係る車載システム301において、中継装置101は、車載機器201の故障を検知する検知部24を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。中継装置101は、検知部24を備えない構成であってもよい。
【0145】
また、本開示の実施の形態に係る車載機器201において、状態遷移部33は、自己の車載機器201がウェイクアップ状態であり、かつ判断部32からスリープ条件が成立した旨の通知を受けた場合、当該車載機器201をスリープ状態へ遷移させる構成であるとしたが、これに限定するものではない。中継装置101が、所定条件を満たす場合、車載機器201についてスリープ状態への遷移を許可する旨を示す許可通知を当該車載機器201へ送信する構成であってもよい。この場合、状態遷移部33は、中継装置101から通信部31経由で許可通知を受信した状態において、スリープ条件が成立した場合、自己の車載機器201をスリープ状態へ遷移させる。
【0146】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0147】
上述の実施形態の各処理(各機能)は、1または複数のプロセッサを含む処理回路により実現される。上記処理回路は、上記1または複数のプロセッサに加え、1または複数のメモリ、各種アナログ回路、各種デジタル回路が組み合わされた集積回路等で構成されてもよい。上記1または複数のメモリは、上記各処理を上記1または複数のプロセッサに実行させるプログラム(命令)を格納する。上記1または複数のプロセッサは、上記1または複数のメモリから読み出した上記プログラムに従い上記各処理を実行してもよいし、予め上記各処理を実行するように設計された論理回路に従って上記各処理を実行してもよい。上記プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等、コンピュータの制御に適合する種々のプロセッサであってよい。なお、物理的に分離した上記複数のプロセッサが互いに協働して上記各処理を実行してもよい。たとえば、物理的に分離した複数のコンピュータのそれぞれに搭載された上記プロセッサがLAN(Local Area Network)、WAN (Wide Area Network)、およびインターネット等のネットワークを介して互いに協働して上記各処理を実行してもよい。上記プログラムは、外部のサーバ装置等から上記ネットワークを介して上記メモリにインストールされても構わないし、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、および半導体メモリ等の記録媒体に格納された状態で流通し、上記記録媒体から上記メモリにインストールされても構わない。
【0148】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
車載機器への電力供給を制御する制御部と、
前記車載機器がスリープ状態へ遷移すると判断して前記スリープ状態となっている対象状態であるか否かを監視する監視部とを備え、
前記制御部は、前記監視部によって前記対象状態であることが確認された場合、前記車載機器への電力供給を停止させる停止制御を行うか否かを判断し、
前記監視部は、前記車載機器からの所定のフレームが所定時間以上到着しない場合、前記対象状態であると判断する、車載制御装置。
【0149】
[付記2]
車載機器と、
車載制御装置とを備え、
前記車載制御装置は、
前記車載機器への電力供給を制御する制御部と、
前記車載機器がスリープ状態へ遷移すると判断して前記スリープ状態となっている対象状態であるか否かを監視する監視部とを含み、
前記制御部は、前記監視部によって前記対象状態であることが確認された場合、前記車載機器への電力供給を停止させる停止制御を行うか否かを判断する、車載システム。
【0150】
[付記3]
車載制御装置であって、
処理回路を備え、
前記処理回路は、
車載機器への電力供給を制御し、
前記車載機器がスリープ状態へ遷移すると判断して前記スリープ状態となっている対象状態であるか否かを監視し、
前記対象状態であることを確認した場合、前記車載機器への電力供給を停止させる停止制御を行うか否かを判断する、車載制御装置。
【符号の説明】
【0151】
1 車両
2 CANバス
4,5,5A,5B,5C,5D 電源線
11 スイッチ部
12 処理部
13,35 記憶部
21 制御部
22 監視部
23 取得部
24 検知部
31 通信部
32 判断部
33 状態遷移部
34 NM処理部
51 電源部
61,61A,61B,61C,61D リレー
101 中継装置
201,201A,201B,201C,201D 車載機器
301 車載システム
401 車載ネットワーク