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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118196
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】飲料注出装置
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/04 20060101AFI20240823BHJP
   B67D 1/12 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
B67D1/04 C
B67D1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024488
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004743
【氏名又は名称】日本軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【弁理士】
【氏名又は名称】坂西 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】武井 義明
(72)【発明者】
【氏名】杉山 尚明
(72)【発明者】
【氏名】仁科 宏崇
(72)【発明者】
【氏名】野村 伸一
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA04
3E082BB01
3E082CC01
3E082DD11
3E082FF09
(57)【要約】
【課題】飲料容器に残存する飲料の量を低減させることができる飲料注出装置を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る飲料注出装置1は、第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2が設置される設置部と、設置部に設置された第2飲料容器C2の飲料X2を注出するカランと、設置部に設置された第1飲料容器C1の飲料X1を第2飲料容器C2に移送する第1飲料流路21と、設置部に設置された第2飲料容器C2の飲料X2をカランに移送する第2飲料流路22と、設置部に設置された第1飲料容器C1の飲料X1を第1飲料流路21を介して第2飲料流路22に押し出すためのガスG1を第1飲料容器C1の内部に供給する第1ガス流路6cと、設置部に設置された第2飲料容器C2の飲料X2を第2飲料流路22を介してカランに押し出すためのガスG2を第2飲料流路22の内部に供給する第2ガス流路6dと、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を収容する第1飲料容器、及び飲料を収容する第2飲料容器が設置される設置部と、
前記設置部に設置された前記第2飲料容器に収容されている飲料を注出するカランと、
前記設置部に設置された前記第1飲料容器に収容されている飲料を前記第2飲料容器に移送する第1飲料流路と、
前記設置部に設置された前記第2飲料容器に収容されている飲料を前記カランに移送する第2飲料流路と、
前記設置部に設置された前記第1飲料容器に収容されている飲料を前記第1飲料流路を介して前記第2飲料容器に押し出すためのガスを前記第1飲料容器の内部に供給する第1ガス流路と、
前記設置部に設置された前記第2飲料容器に収容されている飲料を前記第2飲料流路を介して前記カランに押し出すためのガスを前記第2飲料容器の内部に供給する第2ガス流路と、
を備える、
飲料注出装置。
【請求項2】
前記設置部に設置された前記第1飲料容器を前記設置部に設置された前記第2飲料容器よりも先に空にする制御を行う制御部を備える、
請求項1に記載の飲料注出装置。
【請求項3】
前記第1飲料流路は、前記設置部に設置された前記第2飲料容器の内部において前記飲料を前記第2飲料容器の内部に流出させる流出部を有し、
前記流出部は、鉛直方向に対して斜めとなる向きに前記飲料を流出させる、
請求項1又は2に記載の飲料注出装置。
【請求項4】
前記第1飲料流路は、前記設置部に設置された前記第2飲料容器の内部において前記飲料を前記第2飲料容器の内部に流出させる流出部を有し、
前記流出部は、前記第2飲料容器の内壁面に前記飲料を流出させる、
請求項1又は2に記載の飲料注出装置。
【請求項5】
前記流出部は、前記第1飲料流路に対して着脱可能とされたアタッチメントである、
請求項3に記載の飲料注出装置。
【請求項6】
前記第1飲料流路を通る飲料の速度を低下させる速度低下部を備える、
請求項1又は2に記載の飲料注出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飲料を注出する飲料注出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、飲料注出装置の一種である家庭用飲料サーバーが記載されている。家庭用飲料サーバーは、外装ケースと、外装ケースの内部に設けられており2つの飲料容器を収容する容器収容室と、各飲料容器に挿入される2本の飲料注出管とを有する。2本の飲料注出管は、容器収容室の天井壁を貫通しており、天井壁の上方に位置する流路切替弁において合流している。流路切替弁は、注出中継管を介して注出コックに接続されている。
【0003】
家庭用飲料サーバーは、外装ケースに収容されたガスボンベ、開閉弁及びガス供給ホースからなる加圧手段を備える。ガスボンベは、開閉弁及びガス供給ホースを介して容器収容室の内部にガスを供給する。ガスボンベは、このガスの供給によって各飲料容器の飲料を各飲料注出管に押し出す。各飲料注出管に押し出された飲料は、流路切替弁において合流した後に注出コックから注出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-68379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した家庭用飲料サーバーでは、2つの飲料容器を同時に加圧して、2つの飲料容器から同時に飲料を注出する。しかしながら、実際には、2つの飲料容器の状態、又は2本の飲料注出管の状態に差があることにより、2つの飲料容器からの飲料の注出量に差が生じうる。2つの飲料容器からの飲料の注出量に差が生じると、2つの飲料容器の一方が先に空になる。2つの飲料容器の一方が先に空になると、当該飲料容器から延び出す飲料注出管にガスが通るので、2つの飲料容器の他方が空でなくても飲料を注出できなくなるという問題が生じうる。すなわち、この状態では、一方の飲料注出管を通るガスと、他方の飲料注出管を通る飲料とが合流するため、飲料コックからは泡しか注出されない場合がある。その結果、注出されずに他方の飲料容器に残存する飲料が多くなるという問題が生じうる。
【0006】
本開示は、飲料容器に残存する飲料の量を低減させることができる飲料注出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る飲料注出装置は、(1)飲料を収容する第1飲料容器、及び飲料を収容する第2飲料容器が設置される設置部と、設置部に設置された第2飲料容器に収容されている飲料を注出するカランと、設置部に設置された第1飲料容器に収容されている飲料を第2飲料容器に移送する第1飲料流路と、設置部に設置された第2飲料容器に収容されている飲料をカランに移送する第2飲料流路と、設置部に設置された第1飲料容器に収容されている飲料を第1飲料流路を介して第2飲料容器に押し出すためのガスを第1飲料容器の内部に供給する第1ガス流路と、設置部に設置された第2飲料容器に収容されている飲料を第2飲料流路を介してカランに押し出すためのガスを第2飲料容器の内部に供給する第2ガス流路と、を備える。
【0008】
この飲料注出装置は、第1飲料容器及び第2飲料容器が設置される設置部と、カランとを備える。第1飲料容器の飲料は第1飲料流路を介して第2飲料容器に移送され、第2飲料容器の飲料は第2飲料流路を介してカランに移送される。カランは、第2飲料容器から移送された飲料を注出する。従って、第1飲料容器の飲料が第2飲料容器に移送され、第2飲料容器の飲料がカランに移送されるので、第1飲料容器が空になっても第2飲料容器の飲料をカランから注出し続けることができる。よって、第1飲料容器及び第2飲料容器の双方が空になるまで飲料の注出を継続できるので、飲料容器に残存する飲料の量を低減させることができる。この飲料注出装置は、第1飲料容器の飲料を第2飲料容器に押し出すためのガスを第1飲料容器に供給する第1ガス流路と、第2飲料容器の飲料をカランに押し出すためのガスを第2飲料容器に供給する第2ガス流路とを備える。よって、第1飲料容器及び第2飲料容器のそれぞれにガスが供給されるので、第1飲料容器から第2飲料容器への飲料の移送、及び第2飲料容器からカランへの飲料の移送をスムーズに行うことができる。その結果、カランからの飲料の注出を効率よく行うことができる。
【0009】
(2)上記(1)において、飲料注出装置は、設置部に設置された第1飲料容器を設置部に設置された第2飲料容器よりも先に空にする制御を行う制御部を備えてもよい。この場合、制御部によって第2飲料容器が第1飲料容器よりも先に空になることが抑制される。よって、第1飲料容器が先に空になって第2飲料容器からの飲料の注出を継続できるので、飲料容器に残存する飲料の量をより確実に低減できる。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)において、第1飲料流路は、設置部に設置された第2飲料容器の内部において飲料を第2飲料容器の内部に流出させる流出部を有してもよい。流出部は、鉛直方向に対して斜めとなる向きに飲料を流出させてもよい。この場合、第2飲料容器の内部において、飲料は鉛直方向に対して斜めとなる向きに流出部から流出される。従って、第2飲料容器の内部における飲料が泡立つことを抑制できるので、カランからの飲料の注出に伴う粗い泡の発生を抑制できる。よって、注出される飲料の品質を良好にすることができる。
【0011】
(4)上記(1)~(3)のいずれかにおいて、第1飲料流路は、設置部に設置された第2飲料容器の内部において飲料を第2飲料容器の内部に流出させる流出部を有してもよく、流出部は、第2飲料容器の内壁面に飲料を流出させてもよい。この場合、飲料は流出部から第2飲料容器の内壁面に流出するので、第2飲料容器の内部における飲料の泡立ちを抑制できる。その結果、カランからの飲料の注出に伴う粗い泡の発生を抑制できるので、飲料の品質を良好にすることができる。
【0012】
(5)上記(3)又は(4)において、流出部は、第1飲料流路に対して着脱可能とされたアタッチメントであってもよい。この場合、簡易な形状の第1飲料流路にアタッチメントとしての流出部を着脱することが可能となるので、第2飲料容器の内部への飲料の流出の態様を自在に変更することができる。
【0013】
(6)上記(1)~(5)のいずれかにおいて、飲料注出装置は、第1飲料流路を通る飲料の速度を低下させる速度低下部を備えてもよい。この場合、速度低下部において第1飲料流路を通る飲料の速度が低下することにより、第2飲料容器の内部における飲料の泡立ちを低減できる。従って、カランからの飲料の注出に伴う泡立ちを低減できるので、飲料の品質を良好にすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、飲料容器に残存する飲料の量を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る飲料注出装置を示す斜視図である。
図2図1の飲料注出装置を図1とは異なる方向から見た斜視図である。
図3図1の飲料注出装置の第1ガス流路及び第2ガス流路を示す斜視図である。
図4図1の飲料注出装置の第1飲料流路及び第2飲料流路を示す斜視図である。
図5図1の飲料注出装置の第1飲料流路、第2飲料流路、第1ガス流路及び第2ガス流路の構成を模式的に示す図である。
図6】(a)は、図1の飲料注出装置のアタッチメントとしての流出部を示す斜視図である。(b)は、図6(a)のアタッチメントを示す斜視図である。
図7】(a)は、図6(a)とは異なる流出部を示す斜視図である。(b)は、図7(a)のアタッチメントの流路変換部を示す斜視図である。
図8】飲料容器の一例である飲料缶と流出部との位置関係を説明するための平面図である。
図9】(a)及び(b)は、飲料容器の内壁面に対する飲料の流出方向の角度を説明するための模式的な平面図である。
図10】(a)、(b)及び(c)は、アタッチメントの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る飲料注出装置の実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0017】
本実施形態に係る飲料注出装置は、飲料を収容する第1飲料容器、及び飲料を収容する第2飲料容器が設置される設置部と、飲料を注出するカランとを有する。「飲料注出装置」とは、飲料を注出する装置であり、「飲料」とは、飲用可能な液体又は半固体を示している。「飲料」としては、ビール、発泡酒、チューハイ、及びワイン等のアルコール飲料、並びにアルコールを含まない炭酸飲料及び清涼飲料等も含まれる。
【0018】
「飲料」は、例えば、発泡性飲料である。「発泡性飲料」は、例えば、炭酸ガス等のガス含有発酵酒を含んでいる。「発泡性飲料」は、グラス等に注出されたときに液体の上に発泡体の層が形成される泡立ち特性と、形成された発泡体が一定時間以上保たれる泡持ち特性とを有する飲料である。
【0019】
「発泡性飲料」は、ビールテイスト飲料であってもよい。ビールテイスト飲料は、ビールのような味わいを奏する飲料、及び、ビールを飲用した感覚を飲用者に与える飲料を含む。アルコール度数が1%以上であるビールテイスト飲料は、ビールテイストアルコール飲料とも称される。なお、「発泡性飲料」は、ビールテイスト飲料以外の飲料であってもよい。本実施形態では、一例として、発泡性飲料がビールであって、発泡性飲料の液体がビール液である例について説明する。
【0020】
「飲料容器」は、飲料を収容する器を示している。飲料容器は、例えば、飲料を収容すると共に手で持ち運びが可能な軽量容器である。例えば、飲料容器は、飲料缶、瓶、ペットボトル、樽又はグラウラー(一例として水筒)である。「カラン」は、飲料容器の内部の飲料を飲料注出装置の外部に注ぎ出す部品を示している。飲料注出装置は、第1飲料容器及び第2飲料容器が設置される設置部を有する。
【0021】
第1飲料容器及び第2飲料容器のそれぞれには飲料が収容されている。例えば、第1飲料容器に収容されている飲料の種類は、第2飲料容器に収容されている飲料の種類と同一である。しかしながら、第1飲料容器に収容されている飲料の種類は、第2飲料容器に収容されている飲料の種類とは異なっていてもよい。
【0022】
本実施形態では、第1飲料容器に収容されている飲料、及び第2飲料容器に収容されている飲料が共に発泡性飲料である例について説明する。本開示では、第1飲料容器に収容されている飲料、及び第2飲料容器に収容されている飲料のそれぞれを、第1飲料容器の飲料、及び第2飲料容器の飲料と称することがある。
【0023】
「設置部」は、少なくとも第1飲料容器及び第2飲料容器が設置される部位である。設置部には、更に、第3飲料容器が設置されてもよい。すなわち、設置部に設置される飲料容器の数は、複数であればよく、特に限定されない。飲料注出装置は、第1飲料容器及び第2飲料容器のそれぞれにガスを供給するガス供給部を有する。
【0024】
飲料注出装置では、第1飲料容器に供給されたガスのガス圧によって第1飲料容器から第2飲料容器に飲料が供給され、第2飲料容器に供給されたガスのガス圧によって第2飲料容器からカランに飲料が供給される。カランは、第2飲料容器から供給された飲料を飲料注出装置の外部に注出する。
【0025】
図1は、実施形態に係る飲料注出装置1を示す斜視図である。図2は、図1とは異なる方向から見た飲料注出装置1の斜視図である。図1及び図2に示されるように、飲料注出装置1は、第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2が設置される設置部2と、設置部2に設置された第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2を密閉する密閉機構3と、第2飲料容器C2に収容されている飲料X2(図5参照)を注出するカラン10とを備える。カラン10は、設置部2に設置された第2飲料容器C2に収容されている飲料X2を注出する。
【0026】
例えば、第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2のそれぞれには発泡性飲料である飲料X1,X2が収容されている。第1飲料容器C1に収容されている飲料X1の種類は、例えば、第2飲料容器C2に収容されている飲料X2の種類と同一である。しかしながら、第1飲料容器C1に収容されている飲料X1の種類は、第2飲料容器C2に収容されている飲料X2の種類と異なっていてもよい。
【0027】
例えば、第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2は、互いに同一の容器である。よって、以下では、第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2を識別する必要がない場合には、第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2をまとめて飲料容器Cとして説明する。しかしながら、第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2は、互いに異なる容器であってもよい。
【0028】
例えば、飲料容器Cは飲料缶である。この場合、飲料容器Cは、金属製の筒形又は箱形の器である。飲料容器Cは、例えば、ショート缶、ロング缶、デミタス缶、ボトル缶、樽型缶、及びウエストウェーブ缶のいずれであってもよい。飲料容器Cは、例えば、135ml缶、250ml缶、335ml缶、350ml缶、355ml缶、500ml缶、700ml缶、750ml缶、1000ml缶、2000ml缶、及び3000ml缶のいずれであってもよい。このように、飲料容器Cの種類、形状及びサイズは特に限定されない。
【0029】
飲料注出装置1は、例えば、設置部2に設置された第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2のそれぞれにガス(例えば炭酸ガス)を供給するガス供給部4を有する。ガス供給部4は、炭酸ガスボンベである。ガス供給部4は、一例として、ミニガスである。設置部2は、例えば、水平方向である第1方向D1、及び水平方向であって第1方向D1に交差する方向である第2方向D2に延在するベース2bと、ベース2bに載置されている容器保持部2cとを有する。第1方向D1は、第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2が並ぶ方向に相当する。例えば、第2方向D2は第1方向D1に直交している。
【0030】
例えば、ベース2bは、第1方向D1及び第2方向D2に延在すると共に、第1方向D1及び第2方向D2の双方に交差する第3方向D3に厚みを有する第1板状部2dと、第1板状部2dの第1方向D1の両端のそれぞれから第3方向D3(例えば上方)に突出する一対の第2板状部2fとを有する。第2板状部2fは、第2方向D2及び第3方向D3の双方に延在すると共に第1方向D1に厚みを有する。
【0031】
第1板状部2dは、容器保持部2cが載せられる上面2gを有する。容器保持部2cは、上面2gにおいて第1方向D1及び第2方向D2の双方に延在する容器載置部2hと、容器載置部2hに載置された第1飲料容器C1の側面に対向する第1対向部2jと、容器載置部2hに載置された第2飲料容器C2の側面に対向する第2対向部2kとを有する。平面視(第3方向D3に沿って見た場合)における第1対向部2jの形状は第1飲料容器C1の外周に沿って湾曲した形状とされており、平面視における第2対向部2kの形状は第2飲料容器C2の外周に沿って湾曲した形状とされている。
【0032】
例えば、設置部2は、ガス供給部4を保持するガス供給部保持部2mを有する。第1対向部2j、第2対向部2k及びガス供給部保持部2mは、第1方向D1に沿って並んでいる。平面視におけるガス供給部保持部2mの形状は、ガス供給部4の外周に沿って湾曲した形状とされている。例えば、ガス供給部保持部2mにガス供給部4を嵌め込むことによりガス供給部4を立たせた状態でガス供給部4を保持することが可能である。
【0033】
密閉機構3は、例えば、第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2を覆う蓋部3bと、蓋部3bを第3方向D3に貫通するシャフト3cと、シャフト3cが挿通される孔を有するナット3dとを有する。平面視における蓋部3bの形状は、第1方向D1に沿って延びる長軸、及び第2方向D2に沿って延びる短軸を有する長円形状である。
【0034】
例えば、蓋部3bの下側には、第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2のそれぞれの上面に対向する円形状の一対の対向部3h(図6(a)参照)と、平面視における各対向部3hの外側に位置するパッキン部3jとを有する。蓋部3bでは、第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2のそれぞれの上端面が各対向部3hに対向した状態で各上端部を囲むようにパッキン部3jが位置することにより、第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2が密閉される。
【0035】
密閉機構3は、複数のシャフト3cと、複数のナット3dとを有する。シャフト3c及びナット3dは、例えば、蓋部3bの第1方向D1の両端部のそれぞれと、蓋部3bの第1方向D1の中央部に配置されている。一例として、シャフト3c及びナット3dは、蓋部3bの第1方向D1の中央部であって蓋部3bの第2方向D2の両端部のそれぞれに配置されていてもよい。容器保持部2cに第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2が保持され、第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2の上に蓋部3bが載せられた状態で、各ナット3d及び蓋部3bに挿通された各シャフト3cの下端が容器保持部2cに締結され、且つ各ナット3dが各シャフト3cに締め付けられることにより、密閉機構3が第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2を密閉する。
【0036】
図3は、本実施形態に係る飲料注出装置1のガスの供給経路の例を示す斜視図である。なお、図1及び図2では、理解の容易化のため、当該ガスの供給経路の図示を省略している。図1図3に示されるように、飲料注出装置1は、ガス供給部4の上部に取り付けられた減圧弁5と、ガス供給部4のガスを第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2のそれぞれに供給する複数のガス流路6とを有する。
【0037】
ガス供給部4は、例えば、炭酸ガスが高圧で充填された容器であって、第1飲料容器C1の飲料X1を第2飲料容器C2に押し出すと共に、第2飲料容器C2の飲料X2をカラン10に押し出す機能を有する。例えば、ガス供給部4の内部において、炭酸ガスが液体の状態で充填されている。
【0038】
減圧弁5は、第1飲料容器C1の内部の飲料X1への圧力(ガス圧)、及び第2飲料容器C2の内部の飲料X1への圧力を保持する。例えば、減圧弁5は、ガス供給部4から第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2へのガスの供給を操作するための操作部5bを有する。操作部5bが操作されることによって、ガス供給部4から第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2へのガスの供給のオンオフが可能である。一例として、操作部5bは、円柱状を呈する。例えば、操作部5bの周方向の一方側に操作部5bが回転操作されると当該ガスの供給がオンとなり、操作部5bの周方向の他方側に操作部5bが回転操作されると当該ガスの供給がオフとなる。
【0039】
複数のガス流路6は、減圧弁5から延び出す本流路6bと、本流路6bを通ったガスG1(図5参照)を第1飲料容器C1の内部に供給する第1ガス流路6cと、本流路6bを通ったガスG2を第2飲料容器C2の内部に供給する第2ガス流路6dとを含む。例えば、本流路6b、第1ガス流路6c及び第2ガス流路6dのそれぞれは、可撓性を有するチューブによって構成されている。
【0040】
飲料注出装置1は、例えば、本流路6bに設けられたカプラ7と、本流路6b、第1ガス流路6c及び第2ガス流路6dを互いに接続する分岐部材8と、ガスの流速を調整する複数の流速調整部材9とを有する。例えば、本流路6bは、減圧弁5からカプラ7まで延びる第1チューブ6fと、カプラ7から分岐部材8まで延びる第2チューブ6gとを含む。カプラ7は、例えば、ワンタッチカプラである。なお、カプラ7は省略されてもよい。この場合、本流路6bを1本のチューブで構成することが可能である。
【0041】
例えば、分岐部材8は、第1管部8b、第2管部8c及び第3管部8dを有する。第1管部8bには本流路6bが接続され、第2管部8cには第1ガス流路6cが接続され、第3管部8dには第2ガス流路6dが接続されている。第1管部8b、第2管部8c及び第3管部8dは、一例として、T字状を呈する。本流路6bを通るガス供給部4からのガスは、第1管部8bに入り込むと共に第2管部8c及び第3管部8dに分岐して、第1ガス流路6c及び第2ガス流路6dのそれぞれに供給される。
【0042】
流速調整部材9は、例えば、スピコンである。流速調整部材9は、第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2のそれぞれに対するガスの流速を調整する機能を有する。飲料注出装置1は、第1飲料容器C1を第2飲料容器C2よりも先に空にする制御部20を備える。制御部20は、一例として、複数の流速調整部材9である。例えば、制御部20が設けられることにより、第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2に同じ圧力でも移送及び注出を行える。
【0043】
一例として、複数の流速調整部材9では、第1飲料容器C1へのガスG1の流速が第2飲料容器C2へのガスG2の流速よりも速い設定とされている。この場合、第1飲料容器C1から第2飲料容器C2への飲料X1の供給速度が第2飲料容器C2からカラン10への飲料X2の供給速度よりも速いので、第2飲料容器C2よりも第1飲料容器C1が先に空になる。従って、複数の流速調整部材9が第1飲料容器C1を第2飲料容器C2よりも先に空にする制御部20として機能する。
【0044】
例えば、複数の流速調整部材9は、第1ガス流路6cに配置された第1流速調整部材9bと、第2ガス流路6dに配置された第2流速調整部材9cとを含む。第1ガス流路6cは、分岐部材8から第1流速調整部材9bまで延びる第1ガスチューブ6hと、第1流速調整部材9bから蓋部3bまで延びる第2ガスチューブ6jとを含む。
【0045】
蓋部3bは、蓋部3bを第3方向D3に貫通すると共に蓋部3bにおいて上方に突出する管状の取付部3fを有し、取付部3fに第2ガスチューブ6jが取り付けられている。取付部3fの内部空間は、設置部2に設置された第1飲料容器C1の内部空間に連通している。よって、分岐部材8からのガスG1は、第1ガスチューブ6hを通って第1流速調整部材9bに到達し、第1流速調整部材9bにおいて速度が調整された状態で第2ガスチューブ6jを通って第1飲料容器C1の内部に供給される。
【0046】
第2ガス流路6dは、分岐部材8から第2流速調整部材9cまで延びる第3ガスチューブ6kと、第2流速調整部材9cから蓋部3bまで延びる第4ガスチューブ6mとを含む。蓋部3bは、前述した取付部3fと同様の取付部3gを有し、取付部3gに第4ガスチューブ6mが取り付けられている。
【0047】
取付部3gの内部空間は、設置部2に設置された第2飲料容器C2の内部空間に連通している。よって、分岐部材8からのガスG2は、第3ガスチューブ6kを通って第2流速調整部材9cに到達し、第2流速調整部材9cにおいて速度が調整された状態で第4ガスチューブ6mを通って第2飲料容器C2の内部に供給される。
【0048】
図4は、本実施形態に係る飲料注出装置1の飲料の供給経路の例を示す斜視図である。図1及び図2では、理解の容易化のため、当該飲料の供給経路の図示を省略している。図1図2及び図4に示されるように、カラン10は、手で握って移動操作が可能な操作レバー11と、操作レバー11が取り付けられるカラン本体12と、カラン本体12から斜め下方に延びる飲料注出部13とを備える。
【0049】
飲料注出部13は、例えば、発泡性飲料である飲料X2の液体(一例としてビール液)が注出される液体用ノズル14と、液体用ノズル14から見て飲料容器Cとは反対側に位置する発泡体用ノズル15とを備える。操作レバー11は、飲料X2の注出者がカラン10から見て飲料容器Cとは反対側(飲料注出装置1の手前側、図1では紙面手前側)、及び飲料容器C側(飲料注出装置1の奥側、図1では紙面奥側)の両方に移動可能となっている。操作レバー11は、第2方向D2に沿って移動可能とされている。以下では、カラン10から見て飲料容器Cとは反対側を手前側とし、カラン10から見て飲料容器C側を奥側と称することがある。
【0050】
操作レバー11は、カラン本体12から上方に延在する棒状を呈する。カラン本体12は、例えば、操作レバー11、液体用ノズル14及び発泡体用ノズル15が設けられる筒状部12bと、筒状部12bの操作レバー11とは反対側において拡径する取付部12cとを備える。
【0051】
例えば、飲料注出装置1は、カラン10を密閉機構3に取り付ける取付部材16を備える。取付部材16は、取付部12cが取り付けられる上側取付部16bと、上側取付部16bの下端から手前側及び奥側のそれぞれに延在する一対の下側取付部16cとを有する。下側取付部16cは、上側取付部16bの下端から第2方向D2に延在する第1延在部16dと、第1延在部16dの上側取付部16bとは反対側の端部から下方に延びる第2延在部16fとを有する。
【0052】
飲料注出装置1は、取付部材16を密閉機構3に固定する固定部材17を有する。固定部材17は、例えば、取付部材16の第2延在部16fを密閉機構3の蓋部3bに固定させるネジである。上側取付部16bには、取付部12cを介してカラン本体12が固定されている。カラン10は、取付部材16を介して密閉機構3に固定されている。
【0053】
飲料注出装置1は、第1飲料容器C1の飲料X1を第2飲料容器C2に移送する第1飲料流路21と、第2飲料容器C2の飲料X2をカラン10に移送する第2飲料流路22とを有する。例えば、第1飲料流路21及び第2飲料流路22のそれぞれは、可撓性を有するチューブによって構成されている。カラン本体12の内部には、第2飲料容器C2の飲料X2が第2飲料流路22を介して流入する。
【0054】
カラン本体12には、カラン本体12の内部に流入した飲料X2の流路を開閉するスライド弁が内蔵されている。例えば、操作レバー11が引かれて手前側に移動すると当該スライド弁が奥側に移動して液体用ノズル14から飲料X2の液体が注出され、操作レバー11が押されて奥側に移動すると当該スライド弁が手前側に移動して発泡体用ノズル15に飲料X2の発泡体(例えばビールのきめ細かい泡)が流れ込む。
【0055】
例えば、飲料注出装置1は、家庭用飲料サーバーである。この場合、設置部2に第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2を設置して飲料X2の液体ときめ細かい泡を注出して発泡性飲料を家庭で楽しむことができる。上記のように、カラン10では、操作レバー11の押し引きによって飲料X2の液体及び発泡体の双方を注出可能である。すなわち、操作レバー11が引かれることによって液体用ノズル14から飲料X2の液体が注出され、操作レバー11が押されることによって発泡体用ノズル15から飲料X2の発泡体が注出される。
【0056】
蓋部3bは、蓋部3bを第3方向D3に貫通すると共に蓋部3bにおいて上方に突出する管状とされた複数の取付部3pを有する。複数の取付部3pは、第1飲料容器C1の上方において第1飲料流路21の一端が取り付けられる第1取付部3qと、第2飲料容器C2の上方において第1飲料流路21の他端が取り付けられる第2取付部3rと、第2飲料容器C2の上方において第2飲料流路22の一端が取り付けられる第3取付部3sとを含む。
【0057】
図3及び図4に示されるように、例えば、第1取付部3q及び第1ガス流路6c(取付部3f)は蓋部3bの第1方向D1の一方側に配置されており、第2取付部3r、第3取付部3s及び第2ガス流路6d(取付部3g)は蓋部3bの第1方向D1の他方側に配置されている。例えば、蓋部3bにおいて、第1取付部3q及び第1ガス流路6cは、第2方向D2に沿って並んでいる。例えば、蓋部3bにおいて、第2取付部3r、第3取付部3s及び第2ガス流路6dは、この順で第2方向D2に沿って並んでいる。以上、第1取付部3q、第2取付部3r、第3取付部3s、第1ガス流路6c及び第2ガス流路6dの蓋部3bにおける位置の例について説明した。しかしながら、第1取付部3q、第2取付部3r、第3取付部3s、第1ガス流路6c及び第2ガス流路6dの蓋部3bにおける位置は、上記の例に限られず適宜変更可能である。
【0058】
飲料注出装置1は、第2飲料流路22の他端をカラン10に接続する接続構造19を有する。例えば、接続構造19は、取付部材16(上側取付部16b)と、第2飲料流路22が取り付けられるチューブ取付部19bと、チューブ取付部19bを取付部材16に締結する締結部19cとを含む。第2飲料流路22の内部空間は、接続構造19を介してカラン本体12の内部空間に連通している。よって、第2飲料容器C2の飲料X2は、第2飲料流路22及び接続構造19を介してカラン10に移送される。
【0059】
次に、前述したガス流路6、第1飲料流路21及び第2飲料流路22の構成について図5を参照しながらより詳細に説明する。図5は、飲料注出装置1の設置部2に設置された第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2に対するガス流路6、第1飲料流路21及び第2飲料流路22の構成を模式的に示す図である。
【0060】
第1飲料流路21は、設置部2に設置された第1飲料容器C1に収容されている飲料X1を第2飲料容器C2に移送する。第1飲料流路21は、第1飲料容器C1の内部に挿入される第1挿入部21bと、第2飲料容器C2の内部に挿入される第2挿入部21cと、第1挿入部21b及び第2挿入部21cの間の部分であって第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2の外部に位置する露出部21dとを有する。
【0061】
第1飲料流路21では、第1挿入部21bの下端から流入した第1飲料容器C1の飲料X1が露出部21dを通って第2挿入部21cの下端から第2飲料容器C2の内部に流れ込む。例えば、第2挿入部21cの下端の高さは、第1挿入部21bの下端の高さよりも高い。第1挿入部21bの下端の高さは、第1飲料容器C1の底面C11に達する程度であってもよい。この場合、第1挿入部21bの下端から第1飲料容器C1の飲料X1を略全て第2飲料流路22に移送することが可能である。
【0062】
例えば、飲料注出装置1は、第1飲料流路21を通る飲料X1の速度を低下させる速度低下部23を有する。例えば、露出部21dの内径は、第1飲料流路21の露出部21d以外の部分の内径より小さく、且つ第2飲料流路22の内径よりも小さい。よって、露出部21dを通る飲料X1の速度は、露出部21d以外の部分を通る飲料の速度よりも小さい。従って、露出部21dが第1飲料流路21を通る飲料X1の速度を低下させる速度低下部23として機能する。なお、速度低下部23は省略することも可能である。
【0063】
第2飲料流路22は、設置部2に設置された第2飲料容器C2に収容されている飲料X2をカラン10に移送する。第2飲料流路22は、第2飲料容器C2の内部に挿入される挿入部22bと、第2飲料容器C2からカラン10に向かって延び出す部分である露出部22cとを有する。
【0064】
第2飲料流路22では、第2飲料容器C2の飲料X2が露出部22cを通ってカラン10(カラン本体12)の内部に流れ込む。挿入部22bの下端の高さは、第2飲料容器C2の底面C21に達する程度であってもよい。この場合、挿入部22bの下端から第2飲料容器C2の飲料X2を略全てカラン10に移送することが可能である。
【0065】
第1ガス流路6cは、設置部2に設置された第1飲料容器C1に収容されている飲料X1を第1飲料流路21を介して第2飲料容器C2に押し出すためのガスG1を第1飲料容器C1の内部に供給する。第1ガス流路6cを介して第1飲料容器C1に供給されたガスG1によって第1飲料容器C1の飲料X1が第1飲料流路21を経由して第2飲料容器C2に移送される。なお、第1飲料容器C1の飲料X1は直接カラン10には移送されない。すなわち、第1飲料容器C1の飲料X1は第2飲料容器C2を経由してカラン10に移送される。
【0066】
第2ガス流路6dは、設置部2に設置された第2飲料容器C2に収容されている飲料X2を第2飲料流路22を介してカラン10に押し出すためのガスG2を第2飲料容器C2の内部に供給する。第2ガス流路6dを介して第2飲料容器C2に供給されたガスG2によって第2飲料容器C2の飲料X2が第2飲料流路22を経由してカラン10に移送される。
【0067】
図6(a)は、蓋部3bと、第2飲料容器C2に入り込む第1飲料流路21の第2挿入部21cの構成の例を示す斜視図である。前述したように、蓋部3bは、その下側に、第2飲料容器C2の上面に対向する対向部3hと、対向部3hを囲むパッキン部3jとを有する。
【0068】
例えば、蓋部3bは、第1飲料流路21の第2挿入部21cが取り付けられる管状の取付部3kを下面3mに有する。例えば、第2挿入部21cは、飲料を第2飲料容器C2の内部に流出させる流出部25である。図6(b)は、流出部25を示す斜視図である。図6(a)及び図6(b)に示されるように、流出部25は、第1飲料流路21に対して着脱可能とされたアタッチメントである。本実施形態において、流出部25は、第1飲料流路21(露出部21d)に連通する取付部3kに着脱される態様として、第1飲料流路21に対して着脱可能とされている。
【0069】
例えば、流出部25は、J字状を呈する。また、流出部25は、L字状を呈していてもよい。流出部25は、蓋部3bの下面3mから下方に延在する第1延在部25bと、第1延在部25bの下端で折り曲げられた折り曲げ部25cと、折り曲げ部25cの第1延在部25bとは反対側の端部から斜め上方に延在する第2延在部25dとを有する。流出部25の内部には、第1飲料流路21の露出部21dと連通し第1飲料容器C1からの飲料X1が通る流路が形成されている。流出部25の内径(流路の内径)は、例えば、3mm以上且つ6mm以下(一例として4.5mm)である。
【0070】
流出部25は、第1延在部25bの下端に折り曲げ部25cを有することにより、例えば、飲料X1が通る流路の先端部が第2飲料容器C2内の飲料の液面に沿うように曲げられている。これにより、第2飲料容器C2の内部の液面に対する飲料X1の衝撃を緩和できるので、第2飲料容器C2の内部における粗い泡の発生が抑制される。第2飲料容器C2の内部で粗い泡が発生すると、カラン10から粗い泡が注出されることがある。この粗い泡は、初期泡とも称される。
【0071】
粗い泡(初期泡)は、発泡体用ノズル15から注出されるきめ細かい泡とは異なる。カラン10からの飲料X2の注出時に初期泡が多く発生すると、飲料の見た目が損なわれて飲料X2の意匠性が低下する懸念がある。従って、第2飲料容器C2の内部における初期泡を抑制することが望まれる。
【0072】
流出部25の先端部は、当該液面に対して斜め上方に曲がっている。すなわち、流出部25の第2延在部25dが当該液面に対して斜め上方に延在している。例えば、当該液面に対する第2延在部25dの延在方向の角度は、0°より大きく且つ45°以下である。一例として、当該角度は20°である。
【0073】
流出部25の流路は、飲料を流出させる方向の液面に対する角度が当該液面に対して上方に0°より大きく且つ45°以下の角度となるように形成されている。すなわち、飲料を流出する流出部25の先端部は、当該液面に対して0°より大きく且つ45°以下の角度で斜め上方に向けられている。しかしながら、当該角度の値は特に限定されない。例えば、当該液面に対する第2延在部25dの延在方向の角度は0°であってもよいし、当該液面に対する第2延在部25dの向きは斜め下方であってもよい。
【0074】
図7(a)は、変形例に係る第1飲料流路21の構成を示す斜視図である。図7(b)は、変形例に係る流出部35の流路変換部35dを示す斜視図である。図7(a)及び図7(b)に示されるように、第2挿入部21cである流出部35は、シリコンチューブ35bと、流路変換部35dとを有する。流路変換部35dは、例えば、シリコンチューブ35bに対して着脱可能とされている。
【0075】
シリコンチューブ35bは、例えば、第3方向D3に沿って延在する。シリコンチューブ35bは蓋部3bの取付部3kに取り付けられており、流路変換部35dはシリコンチューブ35bの取付部3kとは反対側の端部に取り付けられている。流路変換部35dは、シリコンチューブ35bを介して蓋部3bの取付部3kに接続されている。
【0076】
流路変換部35dは、例えば、シリコンチューブ35bに沿って延在する延在部35fと、延在部35fの下端から第2飲料容器C2の内部の液面に沿うように湾曲する湾曲部35gとを有する。湾曲部35gは、飲料X1が流出する流出口35hを有する。当該液面に対して流出口35hは斜め上方を向いている。
【0077】
すなわち、流出口35hの開口面(流出口35hの開口を画成する面)の法線が当該液面に対して斜め上方に向けられている。当該液面に対する流出口35hの開口面の法線の傾斜角度は、例えば、0°より大きく且つ45°以下である。よって、流出口35hからは飲料X1が当該液面に対して0°より大きく且つ45°以下の角度を成すように斜め上方に流出する。従って、流出部35では、前述した流出部25と同様、第2飲料容器C2の内部における初期泡の発生を抑制できる。
【0078】
図8は、平面視における第2飲料容器C2と第1飲料流路21及び第2飲料流路22との位置関係を示す図である。図8に示されるように、第2飲料容器C2は、第1飲料流路21の第2挿入部21c、及び第2飲料流路22の挿入部22bが挿入される開口C3を有する。
【0079】
開口C3は、例えば、第2飲料容器C2の天面部C4(一例として缶蓋)に形成された飲み口であり、この飲み口に第2挿入部21c及び挿入部22bが挿入される。一例として、開口C3は長円状を呈する。すなわち、開口C3は、長軸方向D4、及び長軸方向D4に直交する短軸方向D5に広がる形状を呈する。
【0080】
例えば、開口C3において、第2挿入部21c及び挿入部22bは開口C3の長軸方向D4に沿って並ぶように配置される。開口C3における第2挿入部21c及び挿入部22bの位置は、第2飲料容器C2の天面部C4の中心を通ると共に短軸方向D5に沿って延在する基準線Lに対してずれている。第2挿入部21cは基準線Lから見て長軸方向D4の一方側に設けられ、挿入部22bは基準線Lから見て長軸方向D4の他方側に位置する。
【0081】
前述したように、第2挿入部21cは、例えば、流出部25である。図9(a)及び図9(b)は、平面視における流出部25と第2飲料容器C2の内壁面C6との位置関係を示している。図8図9(a)及び図9(b)に示されるように、平面視における流出部25の向きは、例えば、開口C3の長軸方向D4、又は開口C3の短軸方向D5である。
【0082】
例えば、流出部25は、第2飲料容器C2の内壁面C6に飲料X1を流出させる。すなわち、流出部25は、第2飲料容器C2の内部の液面に飲料X1を流出させるのではなく、内壁面C6に向かって飲料X1を流出させる。図8及び図9(a)に示されるように、例えば、流出部25から短軸方向D5に飲料X1が流出する場合、内壁面C6に対して直角に近い角度で飲料X1が当たる。
【0083】
これに対し、図8及び図9(b)に示されるように、例えば、流出部25から長軸方向D4に飲料X1が流出する場合、内壁面C6に対してより直角から遠い角度で飲料X1が当たる。すなわち、内壁面C6に対して斜めに飲料X1が当たる。この場合、内壁面C6に対する飲料X1の衝撃力をより低減させることができるので、第2飲料容器C2の内部における初期泡の発生をより確実に低減させることができる。
【0084】
次に、本実施形態に係る飲料注出装置1から得られる作用効果についてより詳細に説明する。図1図4及び図5に示されるように、飲料注出装置1は、第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2が設置される設置部2と、カラン10とを備える。第1飲料容器C1の飲料X1は第1飲料流路21を介して第2飲料容器C2に移送され、第2飲料容器C2の飲料X2は第2飲料流路22を介してカラン10に移送される。カラン10は、第2飲料容器C2から移送された飲料X2を注出する。従って、第1飲料容器C1の飲料X1が第2飲料容器C2に移送され、第2飲料容器C2の飲料X2がカラン10に移送されるので、第1飲料容器C1が空になっても第2飲料容器C2の飲料X2をカラン10から注出し続けることができる。よって、第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2の双方が空になるまで飲料の注出を継続できるので、飲料容器Cに残存する飲料の量を低減させることができる。
【0085】
飲料注出装置1は、第1飲料容器C1の飲料X1を第2飲料容器C2に押し出すためのガスG1を第1飲料容器C1に供給する第1ガス流路6cと、第2飲料容器C2の飲料X2をカラン10に押し出すためのガスG2を第2飲料容器C2に供給する第2ガス流路6dとを備える。よって、第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2のそれぞれにガスG1,G2が供給されるので、第1飲料容器C1から第2飲料容器C2への飲料X1の移送、及び第2飲料容器C2からカラン10への飲料X2の移送をスムーズに行うことができる。その結果、カラン10からの飲料の注出を効率よく行うことができる。
【0086】
図1図3及び図5に示されるように、飲料注出装置1は、設置部2に設置された第1飲料容器C1を設置部2に設置された第2飲料容器C2よりも先に空にする制御を行う制御部20を備えてもよい。この場合、制御部20によって第2飲料容器C2が第1飲料容器C1よりも先に空になることが抑制される。よって、第1飲料容器C1が先に空になって第2飲料容器C2からの飲料X2の注出を継続できるので、飲料容器Cに残存する飲料の量をより確実に低減できる。
【0087】
図5図6(a)及び図6(b)に示されるように、第1飲料流路21は、設置部2に設置された第2飲料容器C2の内部において飲料X1を第2飲料容器C2の内部に流出させる流出部25を有してもよい。流出部25は、鉛直方向(第3方向D3)に対して斜めとなる向きに飲料X1を流出させてもよい。この場合、第2飲料容器C2の内部において、飲料X1は鉛直方向に対して斜めとなる向きに流出部25から流出される。従って、第2飲料容器C2の内部における飲料X2が泡立つことを抑制できるので、カラン10からの飲料X2の注出に伴う粗い泡の発生を抑制できる。よって、注出される飲料X2の品質を良好にすることができる。
【0088】
図6(a)、図6(b)、図9(a)及び図9(b)に示されるように、第1飲料流路21は、設置部2に設置された第2飲料容器C2の内部において飲料X1を第2飲料容器C2の内部に流出させる流出部25を有してもよく、流出部25は、第2飲料容器C2の内壁面C6に飲料X1を流出させてもよい。この場合、飲料X1は流出部25から第2飲料容器C2の内壁面C6に流出するので、第2飲料容器C2の内部における飲料X2の泡立ちを抑制できる。その結果、カラン10からの飲料X2の注出に伴う粗い泡の発生を抑制できるので、飲料X2の品質を良好にすることができる。
【0089】
流出部25は、第1飲料流路21に対して着脱可能とされたアタッチメントであってもよい。この場合、簡易な形状の第1飲料流路21にアタッチメントとしての流出部25を着脱することが可能となるので、第2飲料容器C2の内部への飲料X1の流出の態様を自在に変更することができる。
【0090】
図5に示されるように、飲料注出装置1は、第1飲料流路21を通る飲料X1の速度を低下させる速度低下部23を備えてもよい。この場合、速度低下部23において第1飲料流路21を通る飲料X1の速度が低下することにより、第2飲料容器C2の内部における飲料X2の泡立ちを低減できる。従って、カラン10からの飲料X2の注出に伴う泡立ちを低減できるので、飲料X2の品質を良好にすることができる。
【0091】
続いて、本開示に係る飲料注出装置の実施例について説明する。本開示に係る飲料注出装置は、以下の実施例の内容に限定されない。本実施例に係る実験では、以下の実施例1に係る飲料注出装置、及び比較例に係る飲料注出装置に対し、最終泡量の測定を行った。
(実施例1)
実施例1に係る飲料注出装置は、前述した飲料注出装置1と同様、図5に示されるガス流路6、第1飲料流路21及び第2飲料流路22を有する。実施例1において、第1飲料流路21の内径、及び第2飲料流路22の内径は2.5mmとした。ガス供給部4によるガス圧は0.12MPaとした。
(比較例)
比較例に係る飲料注出装置は、第1飲料流路21及び第2飲料流路22の構成が実施例1とは異なる。比較例に係る飲料注出装置では、第1飲料流路21が第2飲料容器C2に入らず、第2飲料容器C2の外部において第1飲料流路21が第2飲料流路22と合流する合流部を有する。よって、比較例に係る飲料注出装置では、第1飲料容器C1の飲料X1、及び第2飲料容器C2の飲料X2が当該合流部において合流し、合流した飲料X1,X2がカラン10から注出される。比較例において、第1飲料流路21の内径、及び第2飲料流路22の内径は2.5mmとした。ガス供給部4によるガス圧は0.12MPaとした。
【0092】
実施例1に係る飲料注出装置では、飲料X2の温度は4.2℃であった。一方、比較例に係る飲料注出装置では、飲料X2の温度は4.4℃であった。実施例1に係る飲料注出装置、及び比較例に係る飲料注出装置のそれぞれにおいて、最終泡量を測定した。より具体的には、設置部2に第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2を設置して操作部5bを操作し、ガス供給部4による第1飲料容器C1及び第2飲料容器C2へのガスの供給をオンにしてカラン10の操作レバー11を引いた。
【0093】
操作レバー11を引いてカラン10からの飲料の注出を液体用ノズル14から飲料が出なくなるまで継続し、その時点で飲料容器Cに残った泡の量を最終泡量とした。最終泡量は、液体用ノズル14から飲料が出なくなった後に操作レバー11を更に引き、そのときに液体用ノズル14から注出された泡の量を測ることによって測定した。以上のように最終泡量を測定した結果、比較例に係る飲料注出装置では71.6gであったのに対し、実施例1に係る飲料注出装置では33.6gまで最終泡量を低減できることが分かった。
【0094】
次に、以下の実施例2~5のそれぞれに係る飲料注出装置に対し、初期泡の高さを測定する実験を行った。実施例2~5に係る飲料注出装置を用いた実験では、図6(a)に示される流出部25を第1飲料流路21の第2挿入部21cとして用いて飲料の注出を行ったときの初期泡の高さを測定した。実施例2~5では、図6(a)に示されるように蓋部3bの取付部3kに直接流出部25を取り付けた(表1では「天面直付」とする)。実施例2~5に係る飲料注出装置の仕様を以下に示す。
(実施例2)
流出部25の内径は4.5mmとし、液面に対する流出部25からの飲料の注出角度を上向き20°とした。第1飲料流路21の内径は、露出部21dの部分のみ2mmとし、露出部21d以外の部分は2.5mmとした。すなわち、実施例2に係る飲料注出装置は、速度低下部23を有する。そして、図8に示される長軸方向D4に飲料を注出した。
(実施例3)
流出部25の内径は4.5mmとし、液面に対する流出部25からの飲料の注出角度を上向き20°とした。第1飲料流路21の内径は、全て2.5mmとした。すなわち、実施例3に係る飲料注出装置は、速度低下部23を有しない。そして、長軸方向D4に飲料を注出した。
(実施例4)
流出部25の内径は4.5mmとし、液面に対する流出部25からの飲料の注出角度を上向き20°とした。第1飲料流路21の内径は、全て2.5mmとした。実施例4に係る飲料注出装置は、速度低下部23を有しない。そして、図8に示される短軸方向D5に飲料を注出した。
(実施例5)
流出部25の内径は4.5mmとし、液面に対する流出部25からの飲料の注出角度を0°(水平)とした。第1飲料流路21の内径は、全て2.5mmとした。実施例5に係る飲料注出装置は、速度低下部23を有しない。そして、長軸方向D4に飲料を注出した。
【0095】
以上の実施例2~5に係る飲料注出装置のそれぞれに対し、カラン10を操作して飲料の注出を行い、そのときの初期泡の高さを測定した。その結果を以下の表1に示す。
【表1】
【0096】
表1に示されるように、液面に対する飲料の注出角度が上向き20°である実施例2~4に係る飲料注出装置では、液面に対する飲料の注出角度が0°である実施例5の飲料注出装置と比較して、初期泡の高さを抑えられることが分かった。実施例3と実施例4の比較から、長軸方向D4に飲料を注出した実施例3に係る飲料注出装置の方が、短軸方向D5に飲料を注出した実施例4に係る飲料注出装置よりも初期泡の高さを抑えられることが分かった。更に、実施例2と実施例3の比較から、露出部21dの内径を2mmとした(速度低下部23を設けた)実施例2に係る飲料注出装置の方が、第1飲料流路21の全ての内径を2.5mmとした(速度低下部23を有しない)実施例3に係る飲料注出装置よりも初期泡の高さを一層抑えられることが分かった。この結果から速度低下部23を設ける場合には、更に初期泡を抑えられることが分かった。
【0097】
続いて、以下の実施例6~9のそれぞれに係る飲料注出装置に対し、初期泡の高さを測定する実験を行った。実施例6~9に係る飲料注出装置を用いた実験では、図7(a)に示されるシリコンチューブ35b付きの流出部35を第1飲料流路21の第2挿入部21cとして用いて飲料の注出を行ったときの初期泡の高さを測定した(表2では「シリコンチューブ」とする)。実施例6~9に係る飲料注出装置の仕様を以下に示す。
(実施例6)
流出部35の内径は3mmとし、液面に対する流出部35からの飲料の注出角度を上向き45°とした。第1飲料流路21の内径は、露出部21dの部分のみ2mmとし、露出部21d以外の部分は2.5mmとした。すなわち、実施例6に係る飲料注出装置は、速度低下部23を有する。そして、長軸方向D4に飲料を注出した。
(実施例7)
流出部35の内径は3mmとし、液面に対する流出部35からの飲料の注出角度を上向き45°とした。第1飲料流路21の内径は、露出部21dの部分のみ2mmとし、露出部21d以外の部分は3mmとした。実施例7に係る飲料注出装置は、速度低下部23を有する。そして、長軸方向D4に飲料を注出した。
(実施例8)
流出部35の内径は3mmとし、液面に対する流出部35からの飲料の注出角度を上向き45°とした。第1飲料流路21の内径は、露出部21dの部分のみ2mmとし、露出部21d以外の部分は2.5mmとした。実施例8に係る飲料注出装置は、速度低下部23を有する。そして、短軸方向D5に飲料を注出した。
(実施例9)
流出部35の内径は3mmとし、液面に対する流出部35からの飲料の注出角度を上向き45°とした。第1飲料流路21の内径は、全て2.5mmとした。実施例9に係る飲料注出装置は、速度低下部23を有しない。そして、長軸方向D4に飲料を注出した。
【0098】
以上の実施例6~9に係る飲料注出装置のそれぞれに対し、カラン10を操作して飲料の注出を行い、そのときの初期泡の高さを測定した。その結果を以下の表2に示す。
【表2】
【0099】
表2に示されるように、実施例7と実施例8の比較から、長軸方向D4に飲料を注出した実施例7に係る飲料注出装置の方が、短軸方向D5に飲料を注出した実施例8に係る飲料注出装置よりも初期泡の高さを抑えられることが分かった。実施例8と実施例9の比較から、露出部21dの内径を2mmとした(速度低下部23を設けた)実施例8に係る飲料注出装置の方が、第1飲料流路21の全ての内径を2.5mmとした実施例9に係る飲料注出装置よりも初期泡の高さを一層抑えられることが分かった。更に、第1飲料流路21の露出部21d以外の部分における内径を2.5mmとした実施例6に係る飲料注出装置は、第1飲料流路21の露出部21d以外の部分における内径を3mmとした実施例7に係る飲料注出装置よりも初期泡の高さをより一層抑えられることが分かった。この結果から、第1飲料流路21の露出部21d以外の部分における内径を3mm未満(2.5mm)とした場合には、更に初期泡を抑えられることが分かった。
【0100】
以上、本開示に係る飲料注出装置の実施形態及び種々の実施例について説明した。しかしながら、本開示に係る飲料注出装置は、前述の実施形態又は実施例に限られず、特許請求の範囲に記載した要旨の範囲内において更に変形させることが可能である。すなわち、本開示に係る飲料注出装置の各部の構成、形状、大きさ、材料、数及び配置態様は、上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【0101】
例えば、前述の実施形態では、第1飲料容器C1を第2飲料容器C2よりも先に空にする制御を行う制御部20が流速調整部材9である例について説明した。しかしながら、制御部20は、流速調整部材9以外のものであってもよい。例えば、第1飲料容器C1から第2飲料容器C2への飲料の第1飲料流路21における拡径部を制御部20として、当該拡径部において第1飲料容器C1から第2飲料容器C2への飲料の移送量を多くして第1飲料容器C1を先に空にしてもよい。また、第2飲料容器C2よりも小さい第1飲料容器C1が設置される設置部を制御部20として、第1飲料容器C1を第2飲料容器C2より先に空になるように制御してもよい。このように制御部20の態様は適宜変更可能である。
【0102】
例えば、前述の実施形態では、下端が曲がったアタッチメントである流出部25又は流出部35を備える飲料注出装置1について説明した。しかしながら、流出部の形状は、流出部25又は流出部35の形状に限定されない。図10(a)、図10(b)及び図10(c)は、流出部25又は流出部35に代えて用いることが可能な流出部の変形例を示している。
【0103】
図10(a)に示されるように、流出部は、鉛直方向に沿って延びる管状部45bと、管状部45bの下端から斜め上方に延びる延在部45cとを有する流出部45であってもよい。図10(b)に示されるように、流出部は、鉛直方向に沿って延びる管状部55bと、管状部55bの下端から水平方向に突出するように湾曲する湾曲部55cと、湾曲部55cの下端から湾曲部55cの突出方向とは反対側に斜め上方に延びる延在部55dとを有する流出部55であってもよい。図10(c)に示されるように、流出部は、鉛直方向に沿って延びる管状部65bと、管状部65bの下端から水平方向に屈曲する屈曲部65cと、屈曲部65cから水平方向に突出するように湾曲する湾曲部65dと、湾曲部65dの下端から屈曲部65cの下方まで延在する延在部65fとを有する流出部65であってもよい。
【0104】
流出部45において、管状部45bから延在部45cの先端までの距離Z1は、例えば、9.8mmである。流出部55において、管状部55bから延在部55dの先端までの距離Z2は、6.6mmである。よって、流出部55の方が流出部45よりも飲料容器Cの開口C3に入れやすいという利点がある。また、流出部65において、管状部65bから延在部65fの先端までの距離は0mmである。この流出部65よりも流出部55の方が飲料容器Cの開口C3に入れやすい。以上、流出部45,55,65のように流出部の形状は適宜変更可能である。
【0105】
また、流出部25又は流出部35はアタッチメントでなくてもよく、例えば、第2挿入部21cの下端が流出部25のような形状をしていてもよい。更に、第2挿入部21cの下端は曲がっていなくてもよい。例えば、第1飲料流路21の第2挿入部21cは第2飲料容器C2の内壁面C6に沿うように配置されてもよい。この場合、内壁面C6に沿って飲料が流下するので第2飲料容器C2の内部における初期泡の発生は抑制される。
【0106】
前述の実施形態では、2つの飲料容器Cを設置可能な設置部2を有する飲料注出装置1について説明した。しかしながら、飲料注出装置には、3つ以上の飲料容器Cを設置可能であってもよい。更に、前述の実施形態では、飲料缶である飲料容器Cが設置される飲料注出装置1について説明した。しかしながら、飲料容器は、飲料缶以外のものであってもよい。飲料容器は、例えば、瓶、ペットボトル、樽又はグラウラー等であってもよく、飲料容器の種類は特に限定されない。
【符号の説明】
【0107】
1…飲料注出装置、2…設置部、2b…ベース、2c…容器保持部、2d…第1板状部、2f…第2板状部、2g…上面、2h…容器載置部、2j…第1対向部、2k…第2対向部、2m…ガス供給部保持部、3…密閉機構、3b…蓋部、3c…シャフト、3d…ナット、3f,3g…取付部、3h…対向部、3j…パッキン部、3k…取付部、3m…下面、3p…取付部、3q…第1取付部、3r…第2取付部、3s…第3取付部、4…ガス供給部、5…減圧弁、5b…操作部、6…ガス流路、6b…本流路、6c…第1ガス流路、6d…第2ガス流路、6f…第1チューブ、6g…第2チューブ、6h…第1ガスチューブ、6j…第2ガスチューブ、6k…第3ガスチューブ、6m…第4ガスチューブ、7…カプラ、8…分岐部材、8b…第1管部、8c…第2管部、8d…第3管部、9…流速調整部材、9b…第1流速調整部材、9c…第2流速調整部材、10…カラン、11…操作レバー、12…カラン本体、12b…筒状部、12c…取付部、13…飲料注出部、14…液体用ノズル、15…発泡体用ノズル、16…取付部材、16b…上側取付部、16c…下側取付部、16d…第1延在部、16f…第2延在部、17…固定部材、19…接続構造、19b…チューブ取付部、19c…締結部、20…制御部、21…第1飲料流路、21b…第1挿入部、21c…第2挿入部、21d…露出部、22…第2飲料流路、22b…挿入部、22c…露出部、25…流出部、25b…第1延在部、25c…折り曲げ部、25d…第2延在部、35…流出部、35b…シリコンチューブ、35d…流路変換部、35f…延在部、35g…湾曲部、35h…流出口、45…流出部、45b…管状部、45c…延在部、55…流出部、55b…管状部、55c…湾曲部、55d…延在部、65…流出部、65b…管状部、65c…屈曲部、65d…湾曲部、65f…延在部、C…飲料容器、C1…第1飲料容器、C2…第2飲料容器、C3…開口、C4…天面部、C6…内壁面、C11,C21…底面、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、D4…長軸方向、D5…短軸方向、G1,G2…ガス、L…基準線、X1,X2…飲料、Z1,Z2…距離。
図1
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図10