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特開2024-118197貨幣処理システムおよび貨幣処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118197
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】貨幣処理システムおよび貨幣処理方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/20 20190101AFI20240823BHJP
   G07D 11/28 20190101ALI20240823BHJP
   G07D 11/24 20190101ALI20240823BHJP
【FI】
G07D11/20
G07D11/28
G07D11/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024489
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA06
3E141CA04
3E141CA05
3E141CA09
3E141CA16
3E141CB04
(57)【要約】
【課題】顧客および係員が利用する貨幣処理装置において、利用者に応じて実行可能な処理に制限を設定可能な貨幣処理システムを提供する。
【解決手段】制御部は、少なくとも係員モードと顧客モードとを含む動作モードで貨幣処理を行い、操作者に応じて処理手段における係員モードと顧客モードとを切り替える。また、制御部は、係員モードでは、権限を有する操作者の操作に応じて入金処理および出金処理を行い、顧客モードでは、操作者の操作に応じて、入金処理および出金処理の少なくとも一部を制限する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1モードと第2モードとを含む動作モードで貨幣処理を行う処理手段と、
操作者に応じて前記処理手段における第1モードと第2モードとを切り替える切り替え手段と、を備え、
前記処理手段は、前記第1モードでは、操作者の操作に応じて入金処理および出金処理を行い、前記第2モードでは、操作者の操作に応じて、入金処理および出金処理の少なくとも一部を制限することを特徴とする、貨幣処理システム。
【請求項2】
前記処理手段は、前記第2モードにおいて、前記入金処理および前記出金処理の一部に対し、手数料を設定することを特徴とする、請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項3】
前記処理手段は、前記第2モードにおいて、予め定められた条件を満足する前記入金処理および前記出金処理と金種との組み合わせを対象として前記手数料を設定することを特徴とする、請求項2に記載の貨幣処理システム。
【請求項4】
前記処理手段は、前記第2モードにおいて、
一の金種の在高が予め金種ごとに設定された第1閾値よりも多い場合に、当該金種の入金処理に対して手数料を設定し、
一の金種の在高が予め金種ごとに設定された第2閾値よりも少ない場合に、当該金種の出金処理に対して手数料を設定することを特徴とする、請求項2に記載の貨幣処理システム。
【請求項5】
前記処理手段は、前記第2モードにおいて、
入金処理において一の金種の在高が前記第1閾値を超える場合に、当該第1閾値を超える分の入金に対して手数料を課し、
出金処理において一の金種の在高が前記第2閾値を超える場合に、当該第2閾値を超える分の出金に対して手数料を課すことを特徴とする、請求項4に記載の貨幣処理システム。
【請求項6】
前記処理手段は、前記第2モードにおいて、所定のコード情報の入力を受け付けると、設定された前記手数料を軽減することを特徴とする、請求項2乃至請求項5に記載の貨幣処理システム。
【請求項7】
前記処理手段は、前記第2モードにおいて、予め定められた条件を満足する前記入金処理および前記出金処理と金種との組み合わせを対象として、当該処理を実行しないことを特徴とする、請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項8】
前記処理手段は、前記第2モードにおいて、
一の金種の在高が予め金種ごとに設定された第1閾値よりも多い場合に、当該金種の入金処理を実行せず、
一の金種の在高が予め金種ごとに設定された第2閾値よりも少ない場合に、当該金種の出金処理を実行しないことを特徴とする、請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項9】
前記処理手段は、前記第2モードにおいて、
入金処理において一の金種の在高が前記第1閾値を超える場合に、当該第1閾値を超える分の入金を受け付けず、
出金処理において一の金種の在高が前記第2閾値を超える場合に、当該第2閾値を超える分の出金を受け付けないことを特徴とする、請求項8に記載の貨幣処理システム。
【請求項10】
前記切り替え手段は、
権限を有する操作者を認証した場合に、前記処理手段の動作モードを前記第1モードとし、
前記権限を有する操作者以外の操作者を認証した場合および所定のコード情報の入力を受け付けた場合に、前記処理手段の動作モードを前記第2モードとすることを特徴とする、請求項1乃至請求項5および請求項7乃至請求項9に記載の貨幣処理システム。
【請求項11】
前記切り替え手段は、待機状態において、前記処理手段の動作モードを前記第2モードとすることを特徴とする、請求項10に記載の貨幣処理システム。
【請求項12】
包装硬貨を出金する包装硬貨出金手段をさらに備え、
前記処理手段は、前記包装硬貨出金手段により包装硬貨の出金に対して手数料を設定することを特徴とする、請求項1乃至請求項5および請求項7乃至請求項9に記載の貨幣処理システム。
【請求項13】
前記処理手段は、前記第2モードにおいて、エラーが発生した場合に、外部装置へエラーの発生を通知することを特徴とする、請求項1乃至請求項5および請求項7乃至請求項9に記載の貨幣処理システム。
【請求項14】
少なくとも第1モードと第2モードとを含む動作モードで貨幣処理を行う貨幣処理システムにおいて、
操作者の種類を識別し、
識別された操作者の種類に応じて、前記動作モードを前記第1モードおよび前記第2モードの何れかに切り替え、
前記第1モードにおいて、操作者の操作に応じて入金処理および出金処理を行い、
前記第2モードにおいて、操作者の操作に応じて入金処理および出金処理を行うと共に、当該入金処理および当該出金処理の少なくとも一部を制限することを特徴とする、貨幣処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理システムおよび貨幣処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
量販店等において、釣銭資金を効率よく使うために貨幣処理装置が導入されている。特許文献1には、店舗が所望する貨幣の金種に応じて金種ごとの取引料率を設定し、設定された取引料率に基づいて取引を行った顧客に対してポイントの付与や手数料の徴収を行うことにより、店舗に設置された取引装置内の貨幣量を調整する取引システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-86967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
量販店等に設置されて顧客および係員が利用する貨幣処理装置では、利用者に応じて実行可能な処理等において異なる対応をする必要がある。
【0005】
本発明は、顧客および係員が利用する貨幣処理装置において、利用者に応じて実行可能な処理に制限を設定可能な貨幣処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成する本発明は、少なくとも第1モードと第2モードとを含む動作モードで貨幣処理を行う処理手段と、操作者に応じて処理手段における第1モードと第2モードとを切り替える切り替え手段と、を備え、処理手段は、第1モードでは、操作者の操作に応じて入金処理および出金処理を行い、第2モードでは、操作者の操作に応じて、入金処理および出金処理の少なくとも一部を制限することを特徴とする、貨幣処理システムである。
ここで、処理手段は、第2モードにおいて、入金処理および出金処理の一部に対し、手数料を設定する構成としても良い。
また、処理装置は、第2モードにおいて、予め定められた条件を満足する入金処理および出金処理と金種との組み合わせを対象として手数料を設定する構成としても良い。
また、処理装置は、第2モードにおいて、一の金種の在高が予め金種ごとに設定された第1閾値よりも多い場合に、この金種の入金処理に対して手数料を設定し、一の金種の在高が予め金種ごとに設定された第2閾値よりも少ない場合に、この金種の出金処理に対して手数料を設定する構成としても良い。
さらに、処理装置は、第2モードにおいて、入金処理において一の金種の在高が第1閾値を超える場合に、この第1閾値を超える分の入金に対して手数料を課し、出金処理において一の金種の在高が第2閾値を超える場合に、この第2閾値を超える分の出金に対して手数料を課す構成としても良い。
また、処理装置は、第2モードにおいて、所定のコード情報の入力を受け付けると、設定された手数料を軽減する構成としても良い。
また、処理装置は、第2モードにおいて、予め定められた条件を満足する入金処理および出金処理と金種との組み合わせを対象として、かかる処理を実行しない構成としても良い。
また、処理装置は、第2モードにおいて、一の金種の在高が予め金種ごとに設定された第1閾値よりも多い場合に、かかる金種の入金処理を実行せず、一の金種の在高が予め金種ごとに設定された第2閾値よりも少ない場合に、かかる金種の出金処理を実行しない構成としても良い。
さらに、処理装置は、第2モードにおいて、入金処理において一の金種の在高が第1閾値を超える場合に、この第1閾値を超える分の入金を受け付けず、出金処理において一の金種の在高が第2閾値を超える場合に、この第2閾値を超える分の出金を受け付けない構成としても良い。
また、切り替え手段は、権限を有する操作者を認証した場合に、処理手段の動作モードを第1モードとし、権限を有する操作者以外の操作者を認証した場合および所定のコード情報の入力を受け付けた場合に、処理手段の動作モードを第2モードとする構成としても良い。
また、切り替え手段は、待機状態において、処理手段の動作モードを第2モードとする構成としても良い。
また、処理装置は、包装硬貨を出金する包装硬貨出金手段をさらに備え、処理手段は、包装硬貨出金手段により包装硬貨の出金に対して手数料を設定する構成としても良い。
また、処理装置は、第2モードにおいて、エラーが発生した場合に、外部装置へエラーの発生を通知する構成としても良い。
また、上記の目的を達成する他の本発明は、少なくとも第1モードと第2モードとを含む動作モードで貨幣処理を行う貨幣処理システムにおいて、操作者の種類を識別し、識別された操作者の種類に応じて、動作モードを第1モードおよび第2モードの何れかに切り替え、第1モードにおいて、操作者の操作に応じて入金処理および出金処理を行い、第2モードにおいて、操作者の操作に応じて入金処理および出金処理を行うと共に、入金処理および出金処理の少なくとも一部を制限することを特徴とする、貨幣処理方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、顧客および係員が利用する貨幣処理装置において、利用者に応じて実行可能な処理に制限を設定可能な貨幣処理装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態が適用される店舗システムの構成例を示す図である。
図2】入出金機の構成を示す図である。
図3】動作モードごとに実行可能な動作を示す図である。
図4】顧客モードにおける手数料の設定例を示す図である。
図5】係員モードにおける手数料の設定例を示す図である。
図6】顧客モードにおける処理の制限の例を示す図である。
図7】係員モードにおける処理の制限の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<システム構成>
図1は、本実施形態が適用される店舗システムの構成例を示す図である。図1に示す店舗システムにおいて、店舗10は、例えばスーパーマーケット等の量販店である。店舗10には、入出金機100と、管理サーバ210と、釣銭機220と、入金機230とが設置されている。店舗10に設置されたこれらの機器は、店舗10内に設けられた内部ネットワーク310により接続されている。内部ネットワーク310としては、例えばLAN(Local Area Network)が用いられる。また、内部ネットワーク310は、ルータ等のゲートウェイを介して外部ネットワーク320に接続されている。このため、店舗10内の機器は、内部ネットワーク310および外部ネットワーク320を介して、店舗10外のセンターに設けられたセンターサーバ400や警備会社の警備会社サーバ500に接続可能である。外部ネットワーク320としては、例えばインターネットを利用したVPN(Virtual Private Network)等が用いられる。
【0010】
入出金機100は、店舗10における売上金等の入金処理および出金処理に用いられる装置である。入出金機は、貨幣処理装置の一例である。入出金機100は、特定の係員の他、店舗10の顧客により操作される。係員は、入出金機100の操作に関して予め定められた権限を有する操作者であり、例えば店舗10の店員等である。顧客には、一般の顧客(以下、「一般顧客」と呼ぶ)および特定の顧客(以下、「特定顧客」と呼ぶ)が含まれる。一般顧客は、認証を必要としない操作者であり、例えば店舗10に買い物に来た買い物客などである。特定顧客は、認証により特定される操作者であり、例えば近隣店舗の店員などである。
【0011】
管理サーバ210は、店舗10の各機器の処理により得られるデータを管理する装置である。入出金機100、釣銭機220および入金機230は、入金処理や出金処理を実行した際に各処理に基づく入金データや出金データを生成し、内部ネットワーク310を介して管理サーバ210へ送る。管理サーバ210は、これらのデータを取得して管理する。また、管理サーバ210は、例えば、1日の営業の終了後等のタイミングで、外部ネットワーク320を介してセンターサーバ400に接続し、店舗10における売上金のデータを送信する。
【0012】
釣銭機220は、会計時等に金銭登録機(キャッシュレジスタ)等と共に用いられ、顧客による代金の支払いに応じて必要な釣銭の払い出しを行う装置である。釣銭機220は、店舗10の会計担当の店員により操作される。また、顧客自身により操作される場合もある。
【0013】
入金機230は、電子マネー媒体に金銭を入金(チャージ)する装置である。入金機230は、一般顧客により操作され、現金による入金を受け付けて、対象の電子マネー媒体に入金された金額のデータを記録する。電子マネー媒体としては、例えば、IC(Integrated Circuit)カードや、電子マネー媒体として機能するためのアプリケーション・ソフトウェアを起動させたスマートフォン等が用いられる。
【0014】
店舗10では、営業後や営業時の予め定められたタイミングで、係員が、店舗10内での売上金を入出金機100に入金し、処理する。また、入出金機100は、売上金の入金処理機能を有する装置を有していない近隣店舗における売上金の入金処理を行う。近隣店舗の店員である特定顧客は、予め定められたタイミングで店舗10の入出金機100を操作し、特定顧客の店舗における売上金を入金し、処理する。入出金機100に収納された売上金は、店舗10の営業終了後等の予め定められたタイミングで、警備会社の作業員により回収される。
【0015】
店舗10において、釣銭機220に収納されている貨幣が少なくなった場合、係員の一例としての会計担当の店員は、入出金機100から不足している貨幣の払い出しを行い、釣銭機220へ補充する。また、入出金機100は、一般顧客による両替等にも使用される。両替処理では、一般顧客が入出金機100を操作して貨幣を入金し、異なる種類による同額の貨幣の払い出しを行う。
【0016】
なお、本実施形態が適用される店舗システムの構成は、図1に示す構成には限定されない。本実施形態は、入出金機100において権限を有する操作者および一般顧客を含む他の操作者による入金処理および出金処理を許容すると共に、両者を区別し、店舗10の在高等の情報に基づき、処理の内容および金種ごとに手数料の設定や処理の制限を行うものである。図1に示した釣銭機220および入金機230は、店舗10の在高に含まれる貨幣を保持する装置の一例に過ぎず、貨幣を処理する他の装置が含まれても良いし、釣銭機220および入金機230の一方が存在しない構成としても良い。
【0017】
センターサーバ400は、1または複数の店舗の売り上げを管理するサーバである。店舗10の売り上げは、店舗10の管理サーバ210からセンターサーバ400へ送られ、管理される。
【0018】
警備会社サーバ500は、警備会社によるネットワーク上のサービスを提供するサーバである。店舗10において、通常業務として売上金の回収や店舗10への現金の補充が行われると、店舗10の管理サーバ210から警備会社サーバ500への通知が行われ、作業についてのログ情報が警備会社サーバ500により管理される。また、通常とは異なる態様で貨幣の回収や補充が必要となった場合等に、店舗10の管理サーバ210から警備会社サーバ500へ通知し、貨幣の回収や補充を依頼しても良い。通常とは異なる態様で貨幣の回収が必要な場合としては、例えば、通常よりも売り上げが多く、入出金機100に収納された貨幣が増大して警備会社の作業員による通常の回収では間に合わなくなった場合等が挙げられる。通常とは異なる態様で貨幣の補充が必要な場合としては、例えば、店舗10全体で釣銭準備金が不足した場合等が挙げられる。
【0019】
<入出金機100の構成>
図2は、入出金機100の構成を示す図である。入出金機100は、紙幣を処理する紙幣処理ユニット110と、硬貨を処理する硬貨処理ユニット120と、操作者による操作を受け付ける操作受け付け部130と、外部機器との通信を行う通信部140と、各機能部の動作を制御する制御部150と、データやプログラムを保持する記憶部160とを備える。
【0020】
紙幣処理ユニット110は、紙幣の入金処理および出金処理を行うユニットである。紙幣処理ユニット110は、紙幣受け入れ部111と、紙幣払い出し部112と、紙幣識別部113と、紙幣収納部114とを備える。紙幣受け入れ部111は、入出金機100の筐体に設けられた紙幣投入口から投入された紙幣を受け入れ、搬送する。紙幣払い出し部112は、入出金機100から払い出される紙幣を紙幣収納部114から搬送し、入出金機100の筐体に設けられた紙幣払い出し口から払い出す。紙幣識別部113は、紙幣受け入れ部111により受け入れた紙幣の種類を識別する。紙幣収納部114は、紙幣受け入れ部111により受け入れた紙幣を、紙幣識別部113の識別結果に従って分類して収納する。
【0021】
硬貨処理ユニット120は、硬貨の入金処理および出金処理を行うユニットである。硬貨処理ユニット120は、硬貨受け入れ部121と、硬貨払い出し部122と、硬貨識別部123と、硬貨収納部124とを備える。硬貨受け入れ部121は、入出金機100の筐体に設けられた硬貨投入口から投入された硬貨を受け入れ、搬送する。硬貨払い出し部122は、入出金機100から払い出される硬貨を硬貨収納部124から搬送し、入出金機100の筐体に設けられた硬貨払い出し口から払い出す。硬貨識別部123は、硬貨受け入れ部121により受け入れた硬貨の種類を識別する。硬貨収納部124は、硬貨受け入れ部121により受け入れた硬貨を、硬貨識別部123の識別結果に従って分類して収納する。
【0022】
操作受け付け部130は、操作者による入出金機100に設けられた操作手段の操作を受け付ける。操作手段としては、例えば、タッチパネルや物理キーが用いられる。入出金機100は、液晶ディスプレイ等の表示装置を備え、操作者に対して操作を促す操作画面を表示する。操作者は、表示装置に表示された操作画面を参照してタッチパネル等の操作手段を操作し、各種の処理を実行するために必要なデータやコマンドを入力する。
【0023】
通信部140は、内部ネットワーク310を介して管理サーバ210とデータ交換を行う。通信部140は、内部ネットワーク310に接続するためのネットワーク・インターフェイスを含む。
【0024】
制御部150は、入出金機100の上記各部の動作を後述する動作モードに従って制御する。また、制御部150は、予め定められた条件に基づいて入出金機100の動作モードの切り替えを行う。また、制御部150は、入出金機100による入金処理および出金処理やその他の各処理に関連するデータ処理を行う。制御部150は、切り替え手段の一例であり、処理手段の一例である。本実施形態の入出金機100は、店舗10の係員だけでなく顧客も利用可能とした。係員による入出金機100の利用は、主に、入金処理のための店舗10の売上金の入金や、釣銭機220において不足している釣銭準備金の補充のための払い出し等である。顧客のうち、一般顧客による入出金機100の利用は、主に、両替およびいわゆるキャッシュアウト・サービスによる現金の引き出し等である。特定顧客による入出金機100の利用は、主に、特定顧客の店舗における売上金の入金である。制御部150は、これら入出金機100の操作者の種類を識別し、識別された操作者の種類に応じて、入出金機100の使用に対する制限を行う。制御部150による入出金機100の使用の制限の詳細は後述する。
【0025】
制御部150は、例えば、1または複数のプロセッサとRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリとで構成され、プログラムを実行することにより、各部の制御を実行する。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等が用いられる。
【0026】
記憶部160は、制御部150による制御およびデータ処理の実行に用いられるプログラムや種々のデータを保持する。記憶部160としては、例えば、磁気ディスクやSSD(Solid State Drive)等の記憶装置が用いられる。
【0027】
<入出金機100の使用の制御>
入出金機100の使用に関し、操作者の種類に応じて制限を行うこととした。一例として、動作モードの切り替えにより使用の制限を行う例を説明する。入出金機100の操作者を係員と顧客とに分ける。そして、入出金機100の動作モードとして、係員が使用する際に用いられる係員モードと、顧客が使用する際に用いられる顧客モードとが設定されている。係員モードでは、入金および出金に関するほとんどの動作が実行可能であり、顧客モードでは、入金および出金に関するいくつかの動作が制限される。係員モードは第1モードの一例であり、顧客モードは第2モードの一例である。
【0028】
動作モードの切り替えは、例えば、操作者の認証結果に基づいて行われる。操作者の認証は、パスワードやID等を用いた既存の手法により行い得る。認証処理は、入出金機100の制御部150が行っても良いし、管理サーバ210が行っても良い。パスワードやIDの入力は、入出金機100の操作手段を用いた操作者の手入力によって行っても良いし、IDカード等の媒体を読み取り装置で読み取ることにより行っても良い。一般顧客に対しては、例えばワンタイムパスワードを発行するシステムを導入し、入出金機100を使用するためのパスワードを発行し、認証に用いても良い。また、レシートにコード情報を付加し、このコード情報を一般顧客の認証に用いても良い。コード情報としては、例えば文字列、バーコード、2次元コード等を用い得る。一般顧客は、レシートに記録されたコード情報を、入出金機100に設けられた読み取り装置で読み取らせたり、入出金機100の操作手段を用いて手入力したりすることができる。また、一般顧客に関しては認証を不要とし、動作モードの切り替え制御において、待機状態では顧客モードに設定されるように制御しても良い。なお、入出金機100における貨幣の投入口および払い出し口は、係員モードと顧客モードの双方で共用される構成として良い。
【0029】
ここで、操作者の認証は、少なくとも係員および特定顧客に関して行われる。操作者として係員が認証された場合は、入出金機100の動作モードは係員モードとなる。操作者として特定顧客が認証された場合および認証が行われなかった場合は、入出金機100の動作モードは顧客モードとなる。後述するように、顧客モードにおいて、操作者が特定顧客である場合は、制限された処理のうちの一部が実行可能となる。認証を経ずに入出金機100の操作が行われた場合、入出金機100は、操作者を一般顧客として扱い、顧客モードで動作し、特定顧客に対して許可される処理も制限する。なお、上記のように一般顧客に対しても入出金機100を使用するために認証を求める構成としても良い。
【0030】
図3は、動作モードごとに実行可能な動作を示す図である。図3には、入出金機100の使用項目を示す「項目」と、各項目に関して入出金機100で行われる処理を示す「処理」とが記載されている。そして、項目ごとに、顧客モードおよび係員モードで入出金機100の使用が可能か否かが示されている。図3では、顧客モードに関してさらに一般顧客と特定顧客とを区別して制限が設定されている。制御部150は、図3に示す例のように、入出金機100を制御する。
【0031】
図3に示す例では、入出金機100の使用項目として、「売上金入金」、「釣銭出金」、「両替」、「逆両替」、「キャッシュアウト」、「補充」、「回収」の7種類が挙げられている。「売上金入金」は、売上金を入金する処理である。「釣銭出金」は、釣銭機220に補充される釣銭を出金する処理である。「両替」は、紙幣または硬貨を入金し、入金額と同額分の異なる種類の紙幣や硬貨を出金する処理であり、入金された紙幣や硬貨よりも低額の紙幣や硬貨に交換される。「逆両替」は、紙幣または硬貨を入金し、入金額と同額分の異なる種類の紙幣や硬貨を出金する処理であり、入金された紙幣や硬貨よりも高額の紙幣や硬貨に交換される。「キャッシュアウト」は、キャッシュアウト・サービスにより引き出された現金を出金する処理である。
【0032】
「補充」は、入出金機100に対して紙幣や硬貨を補充する処理であり、通常の入金処理とは異なる処理である。「回収」は、入出金機100に収納された紙幣および硬貨を回収する処理であり、通常の出金処理とは異なる処理である。
【0033】
図3を参照すると、顧客モードでは、基本的に「両替」、「逆両替」、「キャッシュアウト」における入金および出金のみが実行可能であり、「売上金入金」および「釣銭出金」は制限される。図では、実行可能な処理を丸印「〇」で示し、制限される処理をバツ印「×」で示している。ただし、顧客モードで入出金機100を使用する操作者が特定顧客である場合、その特定顧客の店舗における売上金の入金は実行することができる。言い換えれば、入出金機100は、操作者を特定顧客と認証した場合であって、「売上金入金」による入金が行われた場合、認証した特定顧客の店舗における売上金の入力として処理する。図では、特定顧客における「売上金入金」の項目を三角印「△」で示している。また、「両替」、「逆両替」、「キャッシュアウト」の各処理に関しては、金種に応じて使用を制限したり、手数料を徴収したりする場合がある。顧客モードでの「両替」、「逆両替」、「キャッシュアウト」の各処理の制限および手数料の詳細については、後述する。
【0034】
係員モードでは、「キャッシュアウト」以外の全ての処理が実行可能とされる。「補充」、「回収」の各処理も係員モードで行われる。「キャッシュアウト」は、店舗10の店員であっても一般顧客として実行すれば良い処理なので、係員モードの動作における処理には含まれていない。
【0035】
<金種および処理の種類に応じた手数料の設定>
入出金機100に収納された貨幣(以下、「収納金」と呼ぶ)を店舗10における釣銭として用いることにより、店舗10内で釣銭資金を効率よく用意することができる。ここで、収納金を釣銭資金として用いる場合、店舗10内で不足している金種が入出金機100に入金されることが望ましく、反対に、不足している金種の出金はできるだけ抑制したい。一方、店舗10内で余剰気味の金種の入金はできるだけ抑制したい。そこで、入出金機100は、顧客モードで動作する場合に、制御部150の制御により、金種や金種ごとの数量に応じて入金および出金の何れかに対して手数料を課したり、処理の実行を制限したりする。以下では、処理の実行を抑制するために手数料を設定する場合と、処理の実行を制限する場合とに分けて説明する。まず、手数料を設定する例について説明する。
【0036】
図4は、顧客モードにおける手数料の設定例を示す図である。図4には、「金種」と、店舗10において釣銭資金として必要な金種ごとの数量である「必要枚数」と、店舗10が保有している金種ごとの数量である「店舗在高」と、金種ごとに設定される「入金手数料」および「出金手数料」の関係が示されている。
【0037】
「金種」は、紙幣と硬貨とが区別せずに1万円札(「万」と記載)、5千円札(「5千」と記載)、千円札(「千」と記載)、500円硬貨(「500」と記載)、100円硬貨(「100」と記載)、50円硬貨(「50」と記載)、10円硬貨(「10」と記載)、5円硬貨(「5」と記載)、1円硬貨(「1」と記載)が一覧表示されている。
【0038】
「必要枚数」は、店舗10において必要な釣銭準備金等の貨幣の数量である。「必要枚数」の値は、店舗10における権限のある操作者が設定しても良いし、店舗10における予想される売り上げに基づいて定められてもよい。店舗10における売り上げは、季節、月における日にち、曜日、1日における時間帯、天候などの影響を受けることが想定され、「必要枚数」は、これらの要素に基づいて設定される。「必要枚数」の設定には、店舗10における過去の取引履歴を加味しても良い。また、カレンダーや天候の情報に基づいて自動設定しても良い。「必要枚数」の値を自動設定する場合、例えば、管理サーバ210が外部ネットワーク320を介して天候の情報を取得し、カレンダーの日付情報と共に考慮して「必要枚数」の値を決定し、入出金機100の制御部150に設定する構成としても良い。
【0039】
図4に示す例において、「必要枚数」は、金種ごとに、ある程度の幅を持たせた値が示されている。例えば、5000円札の必要枚数は、50枚から70枚である。ここで、必要枚数の幅のうち上の値は必要枚数の目標値、下の値は必要枚数の下限値としても良い。ある金種の店舗在高が必要枚数の目標値を超える場合は、その金種の在庫が過剰であり、入金を抑制し、出金を促すように手数料が設定される。また、ある金種の店舗在高が必要枚数の下限値を下回る場合は、その金種の在庫が不足であり、入金を促し、出金を抑制するように手数料が設定される。図4に示す例において、1万円札の必要枚数が「0」となっているのは、1万円札が釣銭として用いられることが無いためである。必要枚数における目標値は第1閾値の一例であり、下限値は第2閾値の一例である。
【0040】
「店舗在高」は、店舗10における釣銭資金としての該当金種の在庫数量を示す。すなわち、「店舗在高」は、入出金機100だけでなく、釣銭機220および入金機230に収納されている貨幣も含む店舗10全体での在高である。釣銭機220および入金機230に収納されている貨幣の情報は、内部ネットワーク310を介して管理サーバ210に集められ、入出金機100に送られる。また、管理サーバ210を介さず、釣銭機220および入金機230から入出金機100へ直接送る構成としても良い。「店舗在高」の情報には、店舗10の事務所等に配置された金庫に保管されている貨幣の情報を権限のある操作者が設定しても良い。
【0041】
なお、ここでは手数料を設定するのに店舗在高を考慮することとしたが、店舗10全体における在高ではなく、入出金機100の在高に基づいて手数料を設定しても良い。また、入出金機100および特定の機器(図1に示した例では、釣銭機220または入金機230)の在高の合計に基づいて手数料を設定しても良い。在高として何れの態様を用いるかは、実際の店舗やシステムにおいて個別に設定し得る。以下では、店舗在高に基づいて手数料を設定する場合を例として説明する。
【0042】
図4に示す例では、「店舗在高」は、1万円札の店舗在高が10枚、5千円札の店舗在高が10枚、千円札の店舗在高が200枚、500円硬貨の店舗在高が60枚である。なお、図4において、100円以下の硬貨の店舗在高は記載を省略している。ここで、金種ごとの「必要枚数」と「店舗在高」とを比較すると、1万円札は、必要枚数が0であり、店舗在高が10枚なので、在庫は過剰である。5千円札は、必要枚数が50枚から70枚であり、店舗在高が10枚なので、在庫は不足である。千円札は、必要枚数が100枚から150枚であり、店舗在高が200枚なので、在庫は過剰である。500円硬貨は、必要枚数が50枚から70枚であり、店舗在高が60枚なので、在庫は過剰でも不足でもない。
【0043】
「入金手数料」は、入金を抑制したい金種に対して設定される。「出金手数料」は、出金を抑制したい金種に対して設定される。図4に示す例において、1万円札は、在庫が過剰なので、入金を抑制し、出金を促したい。そこで、入金手数料が設定され(図では「要」と記載)、出金手数料は設定されない(図では「不要」と記載)。したがって、入出金機100に1万円札を入金する際には手数料がかかり、1万円札を出金する際には手数料がかからないことになる。
【0044】
また、5千円札は、在庫が不足なので、入金を促し、出金を抑制したい。そこで、入金手数料は設定されず、出金手数料が設定される。したがって、入出金機100に5千円札を入金する際には手数料がかからず、5千円札を出金する際には手数料がかかる。ここで、5千円札の必要枚数は50枚から70枚であり、店舗在高は10枚であった。このため、5千円札が60枚入金されると、店舗在高は70枚となり、必要枚数の目標値に到達する。そして、これ以上の入金は、在庫が過剰となる。このため、入出金機100に5千円札を入金する際に手数料がかからないのは、60枚までの入金に対してであり、それよりも多い分の入金に対しては手数料がかかることになる。
【0045】
また、千円札は、在庫が過剰なので、入金を抑制し、出金を促したい。そこで、入金手数料が設定され、出金手数料は設定されない。したがって、入出金機100に千円札を入金する際には手数料がかかり、千円札を出金する際には手数料がかからない。ここで、千円札の必要枚数は100枚から150枚であり、店舗在高は200枚であった。このため、千円札が100枚出金されると、店舗在高は100枚となり、必要枚数の下限値に到達する。そして、これ以上の出金は、在庫が不足となる。このため、入出金機100に千円札を出金する際に手数料がかからないのは、100枚までの出金に対してであり、それよりも多い分の出金に対しては手数料がかかることになる。
【0046】
また、500円硬貨は、在庫が過剰でも不足でもないので、入金手数料も出金手数料も設定されない。したがって、入出金機100に500円硬貨を入金する際にも、出金する際にも手数料がかからない。ここで、500円硬貨の必要枚数は50枚から70枚であり、店舗在高は60枚であった。このため、500円硬貨が10枚入金されると、店舗在高は70枚となり、必要枚数の目標値に到達する。そして、これ以上の入金は、在庫が過剰となる。このため、入出金機100に500円硬貨を入金する際に手数料がかからないのは、10枚までの入金に対してであり、それよりも多い分の入金に対しては手数料がかかることになる。一方、500円硬貨が10枚出金されると、店舗在高は50枚となり、必要枚数の下限値に到達する。そして、これ以上の出金は、在庫が不足となる。このため、入出金機100に500円硬貨を出金する際に手数料がかからないのは、10枚までの出金に対してであり、それよりも多い分の出金に対しては手数料がかかることになる。
【0047】
図4に示す制御例では、上記のように、顧客モードにおいて、実行する処理の内容および金種によって、手数料が必要であったり、不要であったりする。このため、操作者である顧客は、入出金機100に対して入金や出金を行う場合に、手数料がかからない金種で行おうとする、または、手数料ができるだけ少額となるように行おうとすることが期待される。したがって、上記のように手数料を設定することにより、在庫が過剰な金種は出金されやすく、在庫が不足している金種は入金されやすくなるように、操作者を促すことができる。
【0048】
具体的な取引例を示す。図4に示した状況において、1万円札を他の貨幣に両替しようとする場合を考える。1万円札を千円札10枚に両替する場合、1万円札の入金に入金手数料が設定されており、千円札10枚の出金には出金手数料が設定されていない。したがって、この両替では、1万円札1枚の入金に対する入金手数料のみがかかる。また、1万円札を5千円札2枚に両替する場合、5千円札の出金に出金手数料が設定されている。したがって、この両替では、1万円札1枚の入金に対する入金手数料と、5千円札2枚の出金に対する出金手数料とがかかる。また、1万円札を500円硬貨20枚に両替する場合、500円硬貨10枚までの出金には出金手数料が設定されないが、それ以上の出金には出金手数料が設定される。したがって、この両替では、1万円札1枚の入金に対する入金手数料と、500円硬貨10枚の出金に対する出金手数料とがかかる。
【0049】
操作者は、上記の手数料を考慮し、両替後の金種を特定する必要がないのであれば、手数料の総額が最も少ない形式での両替を行うことが考えられる。また、必要な金種および数量が決まっているのであれば、その要請を満たす範囲で両替を行うことが考えられる。例えば、500円硬貨を10枚必要なのであれば、500円硬貨10枚と千円札5枚とに両替すれば、出金における手数料はかからない。キャッシュアウトに関しても、同様に金種を融通することが考えられる。なお、操作者が特定顧客であり、売上金の入金を行う場合は、図4に示すような設定に関わらず、手数料を払うことなく入金可能としても良い。
【0050】
図5は、係員モードにおける手数料の設定例を示す図である。図5に示す項目は、図4に示す例と同様である。また、図5において、金種ごとの「必要枚数」および「店舗在高」の内容は、図4に示す内容と同様であり、100円以下の硬貨の店舗在高は記載を省略している。図5を参照すると、係員モードでは、全ての金種において、入金手数料および出金手数料の何れも設定されていない(図では「不要」と記載)。したがって、係員は、入出金機100に対して入金を行う場合も、出金を行う場合も、金種に関わらず手数料を要しない。
【0051】
上記の例では、実行する処理の内容および金種に応じて手数料を設定する例について示したが、単に手数料を課すだけでなく、実行する処理の内容および金種に応じて、手数料の額や率を異ならせる設定を行っても良い。この場合、金種ごとに店舗在高と、過去の金種ごとの入金および出金の傾向等の情報に基づいて、処理および金種ごとの手数料の額や率を決定しても良い。例えば、入金および出金の何れも手数料を要することとし、在庫が不足している金種については入金手数料を安く、出金手数料を高く設定し、反対に在庫が過剰の金種については入金手数料を高く、出金手数料を安く設定しても良い。
【0052】
また、必要枚数と入金および出金の枚数に応じて手数料を加減する設定としても良い。例えば、図4図5に示す例では、500円硬貨の必要枚数を50枚から70枚とし、店舗在高が60枚であった。すなわち、10枚以上の入金または出金で、店舗在高は必要枚数の範囲から外れることになる。そこで、例えば11枚から20枚の入金または出金では5円の手数料、21枚から30枚の入金または出金では10円の手数料というように、必要枚数の範囲を超えて入金または出金される枚数が多い程、手数料が高くなるように設定しても良い。
【0053】
また、所定のコード情報の入力を受け付けた場合は、手数料を軽減しても良い。このコード情報は、例えば、商品の購買における貨幣の支払いに対して発行されるレシートに付加して提供しても良い。コード情報としては、例えば文字列、バーコード、2次元コード等を用い得る。一般顧客は、レシートに記録されたコード情報を入出金機100に設けられた読み取り装置で読み取らせたり、入出金機100の操作手段を用いて手入力したりすることができる。このようにすれば、一般顧客は、商品の購入等をすることにより、入出金機100を用いた入金や出金に要する手数料を軽減することができる。
【0054】
<金種および処理の種類に応じた処理の制限>
次に、実行しようとする処理の内容および金種によって、処理を制限する場合について説明する。図4図5を参照して説明した例では、手数料を設定することにより、金種および処理の種類ごとに処理を抑制したり、促したりした。これに対し、在庫が過剰である金種の入金自体を制限したり、在庫が不足している出金自体を制限したりすることが考えられる。
【0055】
図6は、顧客モードにおける処理の制限の例を示す図である。図6に示す項目は、図4に示す例と同様である。また、図6において、金種ごとの「必要枚数」および「店舗在高」の内容は、図4に示す内容と同様であり、100円以下の硬貨の店舗在高は記載を省略している。図6に示す例において、1万円札は、在庫が過剰なので、入金は受け付けず(図ではバツ印「×」で示している)、出金は実行可能(図では丸印「〇」で示している)としている。なお、ここでは処理の制限の適用に関して店舗在高を考慮しているが、手数料の設定の場合と同様に、店舗10全体における在高ではなく、入出金機100の在高、入出金機100および特定の機器の在高の合計等に基づいて処理の制限を適用するか否かを判断しても良い。以下では、店舗在高に基づいて処理の制限を適用の判断を行う場合を例として説明する。
【0056】
また、5千円札は、在庫が不足なので、入金は実行可能とし、出金は受け付けないこととしている。ここで、5千円札の必要枚数は50枚から70枚であり、店舗在高は10枚である。このため、5千円札が60枚入金されると、店舗在高は70枚となり、必要枚数の目標値に到達する。そして、これ以上の入金は、在庫が過剰となる。このため、入出金機100は、5千円札に関しては60枚まで入金可能とし、これ以上の入金は受け付けないものとする。
【0057】
また、千円札は、在庫が過剰なので、入金は受け付けず、出金は実行可能としている。ここで、千円札の必要枚数は100枚から150枚であり、店舗在高は200枚である。このため、千円札が100枚出金されると、店舗在高は100枚となり、必要枚数の下限値に到達する。そして、これ以上の出金は、在庫が不足となる。このため、入出金機100は、千円札に関しては100枚まで出金可能とし、これ以上の出金は行わないものとする。
【0058】
また、500円硬貨は、在庫が過剰でも不足でもないので、入金も出金も実行可能である。ここで、500円硬貨の必要枚数は50枚から70枚であり、店舗在高は60枚である。このため、500円硬貨が10枚入金されると、店舗在高は70枚となり、必要枚数の目標値に到達する。そして、これ以上の入金は、在庫が過剰となる。このため、入出金機100は、500円硬貨に関しては、10枚までの入金が可能であり、それよりも多い分の入金は受け付けない。一方、500円硬貨が10枚出金されると、店舗在高は50枚となり、必要枚数の下限値に到達する。そして、これ以上の出金は、在庫が不足となる。このため、入出金機100は、500円硬貨に関しては、10枚までの出金が可能であり、それよりも多い分の出金は行わない。
【0059】
図6に示す設定例では、上記のように、顧客モードにおいて、実行しようとする処理の内容および金種によって、処理の実行が制限される。このため、操作者である顧客は、入出金機100において実行可能とされている処理のみを実行する。したがって、上記のように処理の制限を設定することにより、在庫が過剰な金種の出金および在庫が不足している金種の入金が促進される。
【0060】
具体的な取引例を示す。図6に示した状況において、1万円札を千円札10枚に両替しようとする場合を考える。この場合、1万円札の入金が制限されているため、この両替は実行できない。また、千円札10枚を1万円札1枚に両替しようとする場合を考える。この場合、千円札の入金が制限されているため、この両替は実行できない。また、500円硬貨2枚を千円札1枚に両替しようとする場合を考える。この場合、500円硬貨の入金は10枚まで可能であり、千円札の出金は100枚まで可能なので、この両替は実行できる。また、キャッシュアウト・サービスを利用して1万円を引き出そうとする場合を考える。この場合、1万円札の出金は可能なので、このキャッシュアウト・サービスの利用は実行できる。
【0061】
操作者は、上記の設定に従い、実行可能な金種による両替やキャッシュアウト・サービスによる現金の引き出しを実行する。なお、操作者が特定顧客であり、売上金の入金を行う場合は、図6に示すような設定に関わらず、金種の制限なく入金可能としても良い。
【0062】
図7は、係員モードにおける処理の制限の例を示す図である。図7に示す項目は、図4に示す例と同様である。また、図7において、金種ごとの「必要枚数」および「店舗在高」の内容は、図4に示す内容と同様であり、100円以下の硬貨の店舗在高は省略されている。図7を参照すると、係員モードでは、全ての金種において、入金および出金の何れも制限されていない(図では丸印「〇」で示されている)。したがって、係員は、入出金機100に対して入金および出金の何れも、金種に関わらず実行できる。
【0063】
<変形例>
上記の実施形態では、在庫が過剰な金種は出金されやすく、在庫が不足している金種は入金されやすくなるように、操作者を促す手段として、実行する処理の内容および金種に応じて手数料を設定することおよび実行しようとする処理の内容および金種に応じて処理を実行しない制御について説明した。これらは、在庫が過剰であったり不足したりしている状況を進めるような処理を抑制するものである。これに対し、在庫が過剰であったり不足したりしている状況を解消する処理を促す手段を採っても良い。例えば、在庫が過剰な金種を出金し、在庫が不足している金種を入金する処理が行われた場合に、店舗10で使用可能なポイントサービスのポイントを付与することが考えられる。また、図4の例で手数料が不要であるような入金処理および出金処理に対して、ポイントを付与しても良い。同様に、図5の例で実行可能とされている入金処理および出金処理に対して、ポイントを付与しても良い。また、入金および出金される額に応じて付与されるポイントを変動させても良い。
【0064】
上記の実施形態では、入金処理および出金処理に対して、単に手数料を設定することについて説明した。これに対し、入出金機100の表示装置において、待機状態における表示画面や操作画面に、処理および金種に応じた手数料を表示しても良い。また、手数料がかからない処理や金種(あるいは、手数料がかかる処理や金種)を報知する表示を行っても良い。このようにすれば、操作者は、事前に手数料がかからない(または、より少ない)金種を選択して入金や出金を行うことができる。さらに、操作者が手数料のかかる金種での入金や出金を行おうとした際に、手数料がかからない(または、より少ない)金種による処理を促すメッセージ等を表示しても良い。例えば、図4に示した例で、1万円札を5千円札2枚に両替しようとした操作者に対し、千円札10枚に両替することを提案する表示を行うことができる。さらに、操作者が入金や出金において金種を選択した際に、選択された金種で処理を行う場合にかかる手数料(予定手数料)を表示しても良い。
【0065】
また、入出金機100は、硬貨の出金に関して、包装硬貨を出金する機能を有しても良い。この場合、包装硬貨の出金に対して、上記の実施形態で説明した出金手数料とは別に手数料を設定しても良い。この構成では、包装硬貨で出金しようとする硬貨に対し出金手数料がかかる場合、入出金機100の制御部150は、包装硬貨の出金処理に対し、出金手数料と包装硬貨の出金に対して設定された手数料の両方を課すこととなる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態には限定されない。例えば、上記の実施形態では、入金および出金が必要枚数の目標値および下限値を超えた場合に、その超えた分に対して手数料の設定や、処理を実行しない制御を行うこととした。これに対し、入金および出金が必要枚数の目標値および下限値を超える場合には、入金および出金の対象額の全てに対して、手数料の設定や、処理を実行しない制御を行っても良い。
【0067】
また、入出金機100の動作においてエラーが発生した場合、係員モードでは、操作者が店員等の係員であるため、軽微なエラーであれば、操作者自身がエラーに対応可能であることが想定される。一方、顧客モードでは、操作者が一般顧客や近隣店舗の店員である特定顧客であるため、店舗10の入出金機100のエラーに対応することができない。そこで、入出金機100の制御部150は、顧客モードで動作中にエラーが発生した場合、管理サーバ210や係員の端末装置へエラーの発生を通知する構成としても良い。
【0068】
さらにまた、上記の実施形態では、入出金機100自体の機能(制御部150の機能)として、手数料の設定や処理の制限、これらを適用する条件の設定や判断などを行う構成とした。これに対し、これらの機能の少なくとも一部を、管理サーバ210やセンターサーバ400の機能として実現しても良い。このような貨幣処理システムとして本実施形態を実現する場合、例えば、入出金機100は、通信部140を介して管理サーバ210やセンターサーバ400とデータ交換を行い、操作者により入力された情報のうち、手数料の決定や処理の制限を適用するか否かの判断に必要な情報を送信する。そして、入出金機100は、管理サーバ210やセンターサーバ400による判断結果を受信し、受信した判断結果に応じて、操作者の入金や出金に対して手数料を課したり、処理を制限したりしても良い。その他、本発明の技術思想の範囲から逸脱しない様々な変更や構成の代替は、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
10…店舗、100…入出金機、110…紙幣処理ユニット、111…紙幣受け入れ部、112…紙幣払い出し部、113…紙幣識別部、114…紙幣収納部、120…硬貨処理ユニット、121…硬貨受け入れ部、122…硬貨払い出し部、123…硬貨識別部、124…硬貨収納部、130…操作受け付け部、140…通信部、150…制御部、160…記憶部、210…管理サーバ、220…釣銭機、230…入金機、310…内部ネットワーク、320…外部ネットワーク、400…センターサーバ、500…警備会社サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7