(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118207
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】機能拡張許可装置、機能拡張許可方法、及び機能拡張許可プログラム
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
B60R16/02 660T
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024514
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 雅大
(57)【要約】
【課題】車両の機能拡張による車両制御に与える影響を抑制する。
【解決手段】
機能拡張許可装置は、車両の機能の拡張を許可する機能拡張許可装置であって、前記車両に搭載された取付装置に取付可能な拡張装置によって前記車両の機能が拡張された場合に、前記車両の機能を拡張するための許可条件が満たされるか否かを判定する第1判定部と、前記第1判定部によって前記許可条件が満たされると判定された場合に、前記拡張装置の有効化を許可し、前記第1判定部によって前記許可条件が満たされないと判定された場合に、前記拡張装置の有効化を許可しない許可部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の機能の拡張を許可する機能拡張許可装置であって、
前記車両に搭載された取付装置に取付可能な拡張装置によって前記車両の機能が拡張された場合に、前記車両の機能を拡張するための許可条件が満たされるか否かを判定する第1判定部と、
前記第1判定部によって前記許可条件が満たされると判定された場合に、前記拡張装置の有効化を許可し、前記第1判定部によって前記許可条件が満たされないと判定された場合に、前記拡張装置の有効化を許可しない許可部と、
を備える、
機能拡張許可装置。
【請求項2】
前記許可条件は、前記取付装置に取り付けられた前記拡張装置によって前記車両の機能が拡張されることによって生じる前記車両に搭載された車載システムにおける負荷の増大が許容範囲内であることである、
請求項1に記載の機能拡張許可装置。
【請求項3】
前記許可条件は、前記取付装置に取り付けられた前記拡張装置によって前記車両の機能が拡張されることによって生じる前記車両における消費電力の増大が第1閾値以下であることである第1条件を含む、
請求項1に記載の機能拡張許可装置。
【請求項4】
前記許可条件は、前記取付装置に取り付けられた前記拡張装置によって前記車両の機能が拡張されることによって生じる前記取付装置又は前記車載システムに接続された車載装置の処理負荷の増大が第2閾値以下であることである第2条件を含む、
請求項1に記載の機能拡張許可装置。
【請求項5】
前記許可条件は、前記取付装置に取り付けられた前記拡張装置によって前記車両の機能が拡張されることによって生じる前記取付装置又は前記車載システムに接続された車載装置の揮発性メモリの使用量の増大が第3閾値以下であることである第3条件を含む、
請求項1に記載の機能拡張許可装置。
【請求項6】
前記許可条件は、前記取付装置に取り付けられた前記拡張装置によって前記車両の機能が拡張されることによって生じる前記車載システムにおける通信量の増大が第4閾値以下であることである第4条件を含む、
請求項1に記載の機能拡張許可装置。
【請求項7】
前記機能拡張許可装置は、前記許可部による前記拡張装置の有効化の許可に基づいて、前記許可条件を更新する更新部をさらに備える、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の機能拡張許可装置。
【請求項8】
前記許可条件は、前記車両に搭載された車載システムにおける負荷が閾値以下であることであり、
前記更新部は、前記閾値を更新する、
請求項7に記載の機能拡張許可装置。
【請求項9】
前記更新部は、有効化を許可された前記拡張装置が前記車載システムに追加されることによる前記負荷の増大量を前記閾値から差し引くことによって前記閾値を更新する、
請求項8に記載の機能拡張許可装置。
【請求項10】
前記機能拡張許可装置は、前記第1判定部によって前記許可条件が満たされると判定された拡張装置を示す許可情報を表示装置に表示させる表示制御部をさらに備える、
請求項1に記載の機能拡張許可装置。
【請求項11】
前記機能拡張許可装置は、前記第1判定部によって前記許可条件が満たされると判定された複数の拡張装置のうちの少なくとも1つのユーザからの指定を受け付ける入力部をさらに備え、
前記許可部は、前記ユーザから指定された少なくとも1つの拡張装置の有効化を許可する、
請求項1に記載の機能拡張許可装置。
【請求項12】
前記機能拡張許可装置は、前記ユーザから指定された少なくとも1つの拡張装置が、前記取付装置に取り付けられた前記拡張装置と一致するか否かを判定する第2判定部をさらに備え、
前記許可部は、前記第2判定部によって、前記ユーザから指定された少なくとも1つの拡張装置が、前記取付装置に取り付けられた前記拡張装置と一致すると判定された場合に、前記取付装置に取り付けられた前記拡張装置の有効化を許可する、
請求項11に記載の機能拡張許可装置。
【請求項13】
前記機能拡張許可装置は、前記取付装置である、
請求項1に記載の機能拡張許可装置。
【請求項14】
前記機能拡張許可装置は、前記取付装置との通信が可能な装置である、
請求項1に記載の機能拡張許可装置。
【請求項15】
車両の機能の拡張を許可するための機能拡張許可方法であって、
前記車両に搭載された取付装置に取付可能な拡張装置によって前記車両の機能が拡張された場合に、前記車両の機能を拡張するための許可条件が満たされるか否かを判定するステップと、
前記許可条件が満たされると判定された場合に、前記拡張装置の有効化を許可し、前記許可条件が満たされないと判定された場合に、前記拡張装置の有効化を許可しないステップと、
を含む、
機能拡張許可方法。
【請求項16】
車両の機能の拡張を許可するための機能拡張許可プログラムであって、
コンピュータに、
前記車両に搭載された取付装置に取付可能な拡張装置によって前記車両の機能が拡張された場合に、前記車両の機能を拡張するための許可条件が満たされるか否かを判定するステップと、
前記許可条件が満たされると判定された場合に、前記拡張装置の有効化を許可し、前記許可条件が満たされないと判定された場合に、前記拡張装置の有効化を許可しないステップと、
を実行させるための、
機能拡張許可プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機能拡張許可装置、機能拡張許可方法、及び機能拡張許可プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、エンジン、トランスミッション等を制御する制御系ECU(Electronic Control Unit)、ヘッドライト、パワーウインドウ等を制御するボディ系ECU、ナビゲーション装置、マルチメディア機器等の情報系ECU等、多種の車載装置が搭載される。各車載装置は、車載ネットワークに接続され、相互に通信することができる。
【0003】
特許文献1には、インストゥルメントパネルに設けられた機能拡張用モジュール取付スロットに機能拡張用モジュールを取り付けることで、車両の機能を拡張する機能追加システムが開示されている。特許文献1に開示された機能追加システムでは、機能拡張用モジュール取付スロットに機能拡張用モジュールを取り付け、取り付けられた機能拡張用モジュールの有効化をユーザが入力装置によって指示した場合に、機能拡張用モジュールが有効化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
機能拡張用モジュールが有効化され、車両の機能が拡張すると、車両制御に影響が生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る機能拡張許可装置は、車両の機能の拡張を許可する機能拡張許可装置であって、前記車両に搭載された取付装置に取付可能な拡張装置によって前記車両の機能が拡張された場合に、前記車両の機能を拡張するための許可条件が満たされるか否かを判定する第1判定部と、前記第1判定部によって前記許可条件が満たされると判定された場合に、前記拡張装置の有効化を許可し、前記第1判定部によって前記許可条件が満たされないと判定された場合に、前記拡張装置の有効化を許可しない許可部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、車両の機能拡張による車両制御に与える影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る車載システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る拡張ボックスのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る拡張ボックスの機能の一例を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、拡張装置リストの構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、閾値テーブルの構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、接続可能リストの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る拡張ボックスによる機能拡張許可処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る拡張ボックスによる機能拡張許可処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第3実施形態に係る機能拡張許可システムの構成の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係るサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態に係るサーバの機能の一例を示す機能ブロック図である。
【
図12】
図12は、第3実施形態に係るサーバによる機能拡張許可処理を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、第4実施形態に係るサーバによる機能拡張許可処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の実施形態の概要>
以下、本開示の実施形態の概要を列記して説明する。
【0010】
(1) 本実施形態に係る機能拡張許可装置は、車両の機能の拡張を許可する機能拡張許可装置であって、前記車両に搭載された取付装置に取付可能な拡張装置によって前記車両の機能が拡張された場合に、前記車両の機能を拡張するための許可条件が満たされるか否かを判定する第1判定部と、前記第1判定部によって前記許可条件が満たされると判定された場合に、前記拡張装置の有効化を許可し、前記第1判定部によって前記許可条件が満たされないと判定された場合に、前記拡張装置の有効化を許可しない許可部と、を備える。これにより、許可条件が満たされない場合には、拡張装置が有効化されないため、車両の機能拡張による車両制御に与える影響を抑制することができる。
【0011】
(2) 上記(1)において、前記許可条件は、前記取付装置に取り付けられた前記拡張装置によって前記車両の機能が拡張されることによって生じる前記車両に搭載された車載システムにおける負荷の増大が許容範囲内であることであってもよい。これにより、車載システムにおける負荷の増大が許容範囲を超える場合には、拡張装置が有効化されないため、車両の機能拡張による車両制御に与える影響を抑制することができる。
【0012】
(3) 上記(1)又は(2)において、前記許可条件は、前記取付装置に取り付けられた前記拡張装置によって前記車両の機能が拡張されることによって生じる前記車両における消費電力の増大が第1閾値以下であることである第1条件を含んでもよい。これにより、車両における消費電力が過大となることによる電力供給の制限が抑制されるため、車両の機能拡張による車両制御に与える影響を抑制することができる。
【0013】
(4) 上記(1)から(3)のいずれか1つにおいて、前記許可条件は、前記取付装置に取り付けられた前記拡張装置によって前記車両の機能が拡張されることによって生じる前記取付装置又は前記車載システムに接続された車載装置の処理負荷の増大が第2閾値以下であることである第2条件を含んでもよい。これにより、取付装置又は車載装置における処理負荷が過大となることが抑制されるため、車両の機能拡張による車両制御に与える影響を抑制することができる。
【0014】
(5) 上記(1)から(4)のいずれか1つにおいて、前記許可条件は、前記取付装置に取り付けられた前記拡張装置によって前記車両の機能が拡張されることによって生じる前記取付装置又は前記車載システムに接続された車載装置の揮発性メモリの使用量の増大が第3閾値以下であることである第3条件を含んでもよい。これにより、取付装置又は車載装置における揮発性メモリが不足することが抑制されるため、車両の機能拡張による車両制御に与える影響を抑制することができる。
【0015】
(6) 上記(1)から(5)のいずれか1つにおいて、前記許可条件は、前記取付装置に取り付けられた前記拡張装置によって前記車両の機能が拡張されることによって生じる前記車載システムにおける通信量の増大が第4閾値以下であることである第4条件を含んでもよい。これにより、車載システムにおける通信状態の悪化が抑制されるため、車両の機能拡張による車両制御に与える影響を抑制することができる。
【0016】
(7) 上記(1)から(6)のいずれか1つにおいて、前記機能拡張許可装置は、前記許可部による前記拡張装置の有効化の許可に基づいて、前記許可条件を更新する更新部をさらに備えてもよい。これにより、拡張装置が有効化された後、更新された許可条件によって新たな拡張装置の有効化の可否を判定することができる。
【0017】
(8) 上記(7)において、前記許可条件は、前記車両に搭載された車載システムにおける負荷が閾値以下であることであり、前記更新部は、前記閾値を更新してもよい。これにより、拡張装置が有効化された後、更新された閾値によって新たな拡張装置の有効化の可否を判定することができる。
【0018】
(9) 上記(8)において、前記更新部は、有効化を許可された前記拡張装置が前記車載システムに追加されることによる前記負荷の増大量を前記閾値から差し引くことによって前記閾値を更新してもよい。これにより、拡張装置が有効化されることによって増大する負荷に応じて、閾値を正確に更新することができる。
【0019】
(10) 上記(1)から(9)のいずれか1つにおいて、前記機能拡張許可装置は、前記第1判定部によって前記許可条件が満たされると判定された拡張装置を示す許可情報を表示装置に表示させる表示制御部をさらに備えてもよい。これにより、ユーザは有効化が可能な拡張装置を確認することができる。ユーザは、例えば、車両のドライバである。ただし、ユーザはドライバに限られず、同乗者であってもよいし、ディーラにおける作業者であってもよい。
【0020】
(11) 上記(1)から(10)のいずれか1つにおいて、前記機能拡張許可装置は、前記第1判定部によって前記許可条件が満たされると判定された複数の拡張装置のうちの少なくとも1つのユーザからの指定を受け付ける入力部をさらに備え、前記許可部は、前記ユーザから指定された少なくとも1つの拡張装置の有効化を許可してもよい。これにより、ユーザから指定された拡張装置によって車両の機能を拡張することができる。
【0021】
(12) 上記(11)において、前記機能拡張許可装置は、前記ユーザから指定された少なくとも1つの拡張装置が、前記取付装置に取り付けられた前記拡張装置と一致するか否かを判定する第2判定部をさらに備え、前記許可部は、前記第2判定部によって、前記ユーザから指定された少なくとも1つの拡張装置が、前記取付装置に取り付けられた前記拡張装置と一致すると判定された場合に、前記取付装置に取り付けられた前記拡張装置の有効化を許可してもよい。これにより、ユーザから指定された拡張装置が取付装置に取り付けられた場合に、この拡張装置によって車両の機能を拡張することができる。
【0022】
(13) 上記(1)から(12)のいずれか1つにおいて、前記機能拡張許可装置は、前記取付装置であってもよい。これにより、取付装置とは異なる装置の処理負荷の増大を抑制することができる。
【0023】
(14) 上記(1)から(12)のいずれか1つにおいて、前記機能拡張許可装置は、前記取付装置との通信が可能な装置であってもよい。これにより、取付装置の処理負荷の増大を抑制することができる。
【0024】
(15) 本実施形態に係る機能拡張許可方法は、車両の機能の拡張を許可するための機能拡張許可方法であって、前記車両に搭載された取付装置に取付可能な拡張装置によって前記車両の機能が拡張された場合に、前記車両の機能を拡張するための許可条件が満たされるか否かを判定するステップと、前記許可条件が満たされると判定された場合に、前記拡張装置の有効化を許可し、前記許可条件が満たされないと判定された場合に、前記拡張装置の有効化を許可しないステップと、を含む。これにより、許可条件が満たされない場合には、拡張装置が有効化されないため、車両の機能拡張による車両制御に与える影響を抑制することができる。
【0025】
(16) 本実施形態に係る機能拡張許可プログラムは、車両の機能の拡張を許可するための機能拡張許可プログラムであって、コンピュータに、前記車両に搭載された取付装置に取付可能な拡張装置によって前記車両の機能が拡張された場合に、前記車両の機能を拡張するための許可条件が満たされるか否かを判定するステップと、前記許可条件が満たされると判定された場合に、前記拡張装置の有効化を許可し、前記許可条件が満たされないと判定された場合に、前記拡張装置の有効化を許可しないステップと、を実行させる。これにより、許可条件が満たされない場合には、拡張装置が有効化されないため、車両の機能拡張による車両制御に与える影響を抑制することができる。
【0026】
本開示は、上記のような特徴的な構成を備える機能拡張許可装置、前記機能拡張許可装置における特徴的な処理をステップとする機能拡張許可方法、及びコンピュータに特徴的な処理を実行させる機能拡張許可プログラムとして実現することができるだけでなく、前記機能拡張許可装置を含む機能拡張システムとして実現したり、前記機能拡張許可装置の一部又は全部を半導体集積回路として実現したりすることができる。
【0027】
<本開示の実施形態の詳細>
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態の詳細を説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0028】
[1.第1実施形態]
[1-1.車載システム]
図1は、第1実施形態に係る車載システムの構成の一例を示す図である。車載システム11は、車両10に搭載される。
【0029】
車載システム11は、拡張ボックス100と、ECU200A,200B,200Cと、通信ECU210と、インタフェースECU220と、中継ECU250とを含む。車載システム11は、拡張ボックス100、ECU200A,200B,200C、通信ECU210、インタフェースECU220、中継ECU250、及びそれらを繋ぐ通信線(通信バス)400A,400B,400Cによって構成される車載ネットワークである。
【0030】
複数のECU200A,200B,200C,…は、車両の各部に配置される。ECU200A,200B,200C,…は、車両の各部のハードウェアを個別に制御したり、車両の各部のハードウェアの状態を監視したりする。例えば、ECU200A,200B,200Cは、制御系、ボディ系、情報系のECUである。ECU200A,200B,200Cは、「車載装置」の一例である。なお、以下の説明では、ECU200A,200B,200Cをまとめて「ECU300」ともいう。
【0031】
通信ECU210は、例えばTCU(Telematics Control Unit)であり、車外の装置と通信することができる。通信ECU210は、例えば第5世代移動通信システム(5G)、又は第4世代移動通信システム(4G)等の移動通信システム用の無線通信インタフェースを備える。通信ECU210は、例えば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)のパケットを送受信することができる。通信ECU210は、移動通信ネットワークの基地局(図示せず)に接続し、インターネットに接続された装置と、基地局を介して通信することができる。
【0032】
インタフェースECU220は、車両10のドライバによって使用される。インタフェースECU220は、入力装置230及び表示装置240に接続されている。入力装置230は、ドライバからの入力を受け付ける。表示装置240は、ドライバへ提供する情報を表示する。
【0033】
表示装置240は、例えば、液晶パネル又はOEL(Organic ElectroLuminescence)パネルを含む。入力装置230は、例えば、タッチパッド、マウス等の位置入力装置、又は、キーボードを含む。具体的な一例では、入力装置230は、表示装置240の画面に貼り付けられた透明なタッチパッドであり、表示装置240と共にタッチスクリーンを構成する。
【0034】
拡張ボックス100は、車両10の機能を拡張するための装置である。拡張ボックス100は、拡張装置500を取り付け可能な複数のスロットを含む。拡張ボックス100は、「取付装置」の一例である。拡張装置500は、特定の機能を実行するための装置である。拡張ボックス100に拡張装置500が取り付けられ、取り付けられた拡張装置500が有効化されることで、拡張装置500に対応する機能が車両10に追加される。拡張装置500によって追加可能な機能は、例えば、ドライブレコーダー、クルーズコントロール、スマートエントリ、侵入検出、車間距離制御、ヘッドライト自動切替などである。
【0035】
拡張装置500が拡張ボックス100に取り付けられると、拡張ボックス100は、取り付けられた拡張装置500の有効化を許可するか否かを判定する。拡張装置500の有効かが許可されると、拡張ボックス100は拡張装置500を有効化する。拡張ボックス100は、「機能拡張許可装置」の一例である。
【0036】
拡張装置500が有効化されると、拡張ボックス100が拡張装置500に電力を供給し、拡張装置500が動作可能となる。さらに、拡張装置500は車載システム11に追加され、ECU200,通信ECU210,インタフェースECU220,中継ECU250等の車載ネットワークに接続された各ECUとの通信が可能となる。
【0037】
中継ECU250は、ECU200A,200B,200C,通信ECU210,インタフェースECU220,拡張ボックス100のそれぞれと通信バス400A,400B,400Cを介して接続されている。通信バス400A,400B,400Cは、例えばCAN(Controller Area Network)に準拠した通信バス(CANバス)である。具体的には、バス400Aには、ECU200A及び拡張ボックス100が接続されている。バス400Bには、ECU200B,200Cが接続されている。バス400Cには、通信ECU210,インタフェースECU220が接続されている。中継ECU250は、ECU200A,200B,200C,通信ECU210,インタフェースECU220,拡張ボックス100のそれぞれと相互に通信することができる。
【0038】
中継ECU250は、ハブ、L2(Layer 2)スイッチ、L3(Layer 3)スイッチ、ルータ等のイーサネット(「Ethernet」は登録商標)の中継装置であってもよい。この場合、中継ECU200は、複数のイーサネットケーブルを介してECU200A,200B,200C,通信ECU210,インタフェースECU220,拡張ボックス100のそれぞれと接続される。
【0039】
中継ECU250は、複数のECU(通信ECU210,インタフェースECU220を含む)間の通信を中継するゲートウェイとしての機能を有する。各ECUは、フレームを送信することができる。中継ECU250は、異なるバスに接続されたECU間のフレームを中継する。例えば、中継ECU250は、バス400Aに接続されたECU200Aと、バス400Bに接続されたECU200Bとの間でフレームを中継することができる。
【0040】
[1-2.拡張ボックスのハードウェア構成]
図2は、第1実施形態に係る拡張ボックスのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0041】
拡張ボックス100は、プロセッサ101と、不揮発性メモリ102と、揮発性メモリ103と、通信インタフェース(以下、「通信I/F」ともいう)104とを含む。プロセッサ101と、不揮発性メモリ102と、揮発性メモリ103と、通信I/F104とのそれぞれは、通信線であるバス105によって互いに接続されている。プロセッサ101と、不揮発性メモリ102と、揮発性メモリ103と、通信I/F104とのそれぞれは、バス105を介して互いにデータを伝送することができる。
【0042】
揮発性メモリ103は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリである。不揮発性メモリ102は、例えばフラッシュメモリ、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)等である。不揮発性メモリ102には、コンピュータプログラムである機能拡張許可プログラム110、及び機能拡張許可プログラム110の実行に使用されるデータが格納される。拡張ボックス100の後述する機能は、機能拡張許可プログラム110がプロセッサ101によって実行されることで実現される。
【0043】
プロセッサ101は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。ただし、プロセッサ101は、CPUに限られない。プロセッサ101は、GPU(Graphics Processing Unit)であってもよい。具体的な一例では、プロセッサ101は、マルチコアプロセッサである。プロセッサ101は、シングルコアプロセッサであってもよい。プロセッサ101は、コンピュータプログラムを実行可能に構成される。ただしプロセッサ101は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスであってもよい。この場合、ASIC又はプログラマブルロジックデバイスは、機能拡張許可プログラム110と同じ機能を実行可能に構成される。
【0044】
通信I/F104は、特定の通信プロトコルに準拠した通信インタフェースである。通信I/F104は、例えばCANインタフェースである。他の例では、通信I/F104は、イーサネットインタフェースである。
【0045】
不揮発性メモリ102には、拡張装置リスト111及び閾値テーブル112が格納されている。拡張装置リスト111及び閾値テーブル112は、機能拡張許可プログラム110によって用いられる。拡張装置リスト111及び閾値テーブル112については後述する。
【0046】
ECU200のハードウェア構成は、拡張ボックス100のハードウェア構成に準じる。すなわち、ECU200は、プロセッサ(CPU)、不揮発性メモリ、揮発性メモリ、及び通信I/Fを含む。
【0047】
[1-3.拡張ボックスの機能]
図3は、第1実施形態に係る拡張ボックスの機能の一例を示す機能ブロック図である。
【0048】
拡張ボックス100のプロセッサ101が機能拡張許可プログラム110を実行することにより、第1判定部121と、許可部122と、表示制御部123と、入力部124と、第2判定部125と、有効化部126と、更新部127との各機能が実現される。第1判定部121、許可部122、表示制御部123、入力部124、第2判定部125、有効化部126、及び更新部127のそれぞれは、プロセッサ101によって実現される。
【0049】
拡張装置500によって車両10の機能が拡張した場合、車両10における消費電力、既存のECUの処理負荷、車載ネットワークにおけるトラフィック等が増大し、車両制御に影響が生じるおそれがある。第1判定部121は、拡張装置500によって車両の機能が拡張された場合に、車両10の機能を拡張するための許可条件が満たされるか否かを判定する。例えば、許可条件は、拡張装置500によって車両10の機能が拡張されることによって生じる車載システム11における負荷の増大が許容範囲内であることである。例えば、許容範囲は、閾値によって規定される範囲である。
【0050】
車載システム11における負荷の一例は、車両10における消費電力である。すなわち、許可条件は、例えば、拡張装置500によって車両10の機能が拡張されることによって生じる車両10における消費電力の増大が第1閾値以下であることである第1条件を含む。
【0051】
車載システム11における負荷の他の例は、車載システム11に接続されたECUの処理負荷である。すなわち、許可条件は、例えば、拡張装置500によって車両10の機能が拡張されることによって生じる拡張ボックス100又はECU200の処理負荷(以下、「CPU負荷」ともいう)の増大が第2閾値以下であることである第2条件を含む。
【0052】
車載システム11における負荷のさらに他の例は、車載システム11に接続されたECUの処理負荷である。すなわち、許可条件は、例えば、拡張装置500によって車両10の機能が拡張されることによって生じる拡張ボックス100又はECU200の揮発性メモリの使用量(以下、「RAM消費量」ともいう)の増大が第3閾値以下であることである第3条件を含む。
【0053】
車載システム11における負荷のさらに他の例は、車載システム11における通信量であり、さらに具体的には、バス400A,400B,400Cそれぞれにおける通信量(以下、「バス負荷」ともいう)である。すなわち、許可条件は、例えば、拡張装置500によって車両10の機能が拡張されることによって生じるバス400A,400B,400Cにおける通信量の増大が第4閾値以下であることである第4条件を含む。
【0054】
図4は、拡張装置リストの構成の一例を示す図である。拡張装置リスト111には、複数の拡張装置500のそれぞれについて、拡張装置500が車載システム11に接続されたときの負荷の増大量が格納されている。
【0055】
図4の例では、拡張装置リスト111は、拡張装置500の識別情報である拡張装置ID毎に、CPU負荷増加率と、消費電力増加量と、バス負荷増加率と、RAM消費の増加量とのそれぞれを規定している。具体的には、拡張装置ID「EX001」に対応して、拡張ボックス100のCPU負荷増加率「+a1」と、ECU200のCPU負荷増加率「+b1」と、消費電力増加量「+c1」と、バス400A(バスA)の負荷増加率「+d1」と、バス400B(バスB)の負荷増加率「+e1」と、バス400C(バスC)の負荷増加率「+f1」と、拡張ボックス100のRAM消費増加量「+g1」と、ECU200のRAM消費増加量「+h1」とが拡張装置リスト111に登録されている。拡張装置ID「EX002」に対応して、拡張ボックス100のCPU負荷増加率「+a2」と、ECU200のCPU負荷増加率「+b2」と、消費電力増加量「+c2」と、バス400A(バスA)の負荷増加率「+d2」と、バス400B(バスB)の負荷増加率「+e2」と、バス400C(バスC)の負荷増加率「+f2」と、拡張ボックス100のRAM消費増加量「+g2」と、ECU200のRAM消費増加量「+h2」とが拡張装置リスト111に登録されている。拡張装置ID「EX003」に対応して、拡張ボックス100のCPU負荷増加率「+a3」と、ECU200のCPU負荷増加率「+b3」と、消費電力増加量「+c3」と、バス400A(バスA)の負荷増加率「+d3」と、バス400B(バスB)の負荷増加率「+e3」と、バス400C(バスC)の負荷増加率「+f3」と、拡張ボックス100のRAM消費増加量「+g3」と、ECU200のRAM消費増加量「+h3」とが拡張装置リスト111に登録されている。
【0056】
図4の例では、拡張装置リスト111には、拡張装置ID毎に、車載システム11への接続の判定結果(
図4において「接続判定」)が格納されている。拡張装置ID「EX001」に対応して、接続判定「接続済」が登録されている。接続判定「接続済」は、拡張装置500が既に車載システム11に接続されている、すなわち、拡張装置500が有効化されていることを示している。拡張装置ID「EX002」に対応して、接続判定「可」が登録されている。接続判定「可」は、拡張装置500が、車載システム11に未接続であり、且つ、車載システム11に接続可能であること、すなわち、拡張装置500の有効化が許可されていることを示している。拡張装置ID「EX003」に対応して、接続判定「不可」が登録されている。接続判定「不可」は、拡張装置500が、車載システム11に接続不可能であること、すなわち、拡張装置500の有効化が許可されていないことを示している。
【0057】
図5は、閾値テーブルの構成の一例を示す図である。閾値テーブル112には、車載システム11における負荷毎に閾値が格納されている。すなわち、閾値テーブル112には、上述した第1閾値、第2閾値、第3閾値及び第4閾値が格納されている。
【0058】
図5の例では、閾値テーブル112は、CPU負荷増加率の閾値(第2閾値)と、消費電力増加量の閾値(第1閾値)と、バス負荷増加率の閾値(第4閾値)と、RAM消費増加量の閾値(第3閾値)とのそれぞれを規定している。具体的には、拡張ボックス100のCPU負荷増加率の閾値「Th1」と、ECU200のCPU負荷増加率の閾値「Th2」と、消費電力増加量の閾値「Th3」と、バス400A(バスA)の負荷増加率の閾値「Th4」と、バス400B(バスB)の負荷増加率の閾値「Th5」と、バス400C(バスC)の負荷増加率の閾値「Th6」と、拡張ボックス100のRAM消費増加量の閾値「Th7」と、ECU200のRAM消費増加量の閾値「Th8」とが閾値テーブル112に登録されている。
【0059】
図3に戻り、第1判定部121は、拡張装置ID毎に、拡張ボックス100のCPU負荷増加率と閾値Th1とを比較し、ECU200のCPU負荷増加率と閾値Th2とを比較し、消費電力増加量と閾値Th3とを比較し、バス400Aの負荷増加率と閾値Th4とを比較し、バス400Bの負荷増加率と閾値Th5とを比較し、バス400Cの負荷増加率と閾値Th6とを比較し、拡張ボックス100のRAM消費増加量と閾値Th7とを比較し、ECU200のRAM消費増加量と閾値Th8とを比較する。第1判定部121は、全ての負荷増加量が閾値以下である場合、許可条件が成立したと判定する。第1判定部121は、1つ以上の負荷増加量が閾値を超える場合、許可条件が成立しないと判定する。
【0060】
ここで、第1判定部121は、拡張装置リスト111において接続判定が「接続済」である拡張装置IDを、許可条件を満たすか否かの判定対象から除外することができる。
【0061】
第1実施形態では、第1判定部121は、第1条件、第2条件、第3条件及び第4条件の全てが成立する場合に、許可条件が成立すると判定したが、これに限定されない。第1判定部121は、第1条件、第2条件、第3条件及び第4条件の少なくとも1つが成立する場合に、許可条件が成立すると判定してもよい。許可条件は、第1条件、第2条件、第3条件及び第4条件の全てを含んでいなくても、第1条件、第2条件、第3条件及び第4条件の少なくとも1つの条件を含んでいればよい。
【0062】
許可部122は、第1判定部121によって許可条件が満たされると判定された場合に、拡張装置500の有効化を許可する。許可部122は、第1判定部121によって許可条件が満たされないと判定された場合に、拡張装置500の有効化を許可しない。
【0063】
表示制御部123は、第1判定部121によって許可条件が満たされると判定された拡張装置500を示す接続可能リストを表示装置240に表示させる。具体的な一例では、表示制御部123は、接続可能リストを表示するための表示データを生成し、表示データをインタフェースECU220へ送信する。インタフェースECU220は、受信した表示データに基づいて、表示装置240に接続可能リストを表示させる。
【0064】
図6は、接続可能リストの一例を示す図である。接続可能リスト600は、「許可情報」の一例である。接続可能リスト600には、許可条件が満たされた、すなわち、車載システム11への接続が可能である拡張装置500に関する情報が含まれる。
図6の例では、接続可能リスト600には、拡張装置ID及び拡張装置500によって実現される機能が含まれる。具体的には、
図6に示される接続可能リスト600には、拡張装置ID「EX001」及びこれに対応する機能「ドライブレコーダー」と、拡張装置ID「EX003」及びこれに対応する機能「クルーズコントロール」と、拡張装置ID「EX004」及びこれに対応する機能「スマートエントリ」と、拡張装置ID「EX005」及びこれに対応する機能「侵入検出」と、拡張装置ID「EX007」及びこれに対応する機能「車間距離制御」と、拡張装置ID「EX009」及びこれに対応する機能「ヘッドライト自動切替」とが含まれる。
【0065】
図1を参照し、ユーザ(ドライバ)は、入力装置230を用いて、接続可能リスト600に示される拡張装置500の少なくとも1つを指定することができる。具体的な一例では、接続可能リスト600の各行は入力装置230によって選択可能であり、選択された行に対応する拡張装置500が指定される。すなわち、ユーザは、接続可能リスト600の行を選択することにより、拡張装置500を指定することができる。インタフェースECU220は、ユーザによる拡張装置500の指定を示す情報(以下、「指定情報」ともいう)を拡張ボックス100へ送信する。
【0066】
図3に戻り、入力部124は、インタフェースECU220から送信された指定情報を受け付ける。許可部122は、指定情報に示される拡張装置500の有効化を許可することができる。
【0067】
具体的な一例では、ユーザは、接続可能リスト600において、車載システム11に接続させたい拡張装置500を指定した後、又はその前に、指定した拡張装置500を拡張ボックス100のスロットに取り付ける。第2判定部125は、ユーザから指定された少なくとも1つの拡張装置500が、拡張ボックス100に取り付けられた拡張装置500と一致するか否かを判定する。
【0068】
例えば、拡張ボックス100は、スロットへの拡張装置500の取付を検出し、検出された拡張装置500を識別することができる。例えば、拡張ボックス100は、拡張装置500のスロットへの取付を検出すると、取り付けられた拡張装置500に一時的に電力を供給する。電力を供給された拡張装置500は、識別情報、例えばCAN IDを出力する。拡張ボックス100は、識別情報によって拡張装置500を識別する。
【0069】
第2判定部125は、ユーザから指定された拡張装置500の識別情報と、拡張ボックス100に取り付けられた拡張装置500から出力された識別情報とを比較して、ユーザから指定された拡張装置500と、拡張ボックス100に取り付けられた拡張装置500とが一致するか否かを判定することができる。
【0070】
許可部122は、第2判定部125によって、ユーザから指定された少なくとも1つの拡張装置500が、拡張ボックス100に取り付けられた拡張装置500と一致すると判定された場合に、拡張ボックス100に取り付けられた拡張装置500の有効化を許可することができる。
【0071】
有効化部126は、許可部122によって有効化を許可された拡張装置500を有効化する。例えば、有効化部126は、有効化を許可された拡張装置500に電力を供給する。これにより、拡張装置500が車載システム11に追加される。
【0072】
更新部127は、許可部122による拡張装置500の有効化の許可に基づいて、許可条件を更新する。例えば、更新部127は、閾値テーブル112に登録された閾値を更新することにより、許可条件を更新することができる。
【0073】
具体的な一例では、更新部127は、有効化部126によって拡張装置500が有効化される、すなわち、拡張装置500が車載システム11に追加されることによる負荷の増大量を閾値から差し引くことによって、閾値を更新することができる。
【0074】
図4の例において、拡張装置ID「EX001」の拡張装置500が有効化された場合、拡張ボックス100のCPU負荷はa1%だけ増加すると推定される。同様に、ECU200のCPU負荷はb1%だけ増加し、消費電力は増加量c1Wだけ増加し、バス400Aの負荷はd1%だけ増加し、バス400Bの負荷はe1%だけ増加し、バス400Cの負荷はf1%だけ増加し、拡張ボックス100のRAM消費量はg1kBだけ増加し、ECU200のRAM消費量はh1kBだけ増加すると推定される。したがって、更新部127は、
図5の例において、拡張ボックス100のCPU負荷増加率の閾値「Th1」を「Th1-a1」に更新し、ECU200のCPU負荷増加率の閾値「Th2」を「Th2-b1」に更新し、消費電力増加量の閾値「Th3」を「Th3-c1」に更新し、バス400Aの負荷増加率の閾値「Th4」を「Th4-d1」に更新し、バス400Bの負荷増加率の閾値「Th5」を「Th5-e1」に更新し、バス400Cの負荷増加率の閾値「Th6」を「Th6-f1」に更新し、拡張ボックス100のRAM消費増加量の閾値「Th7」を「Th7-g1」に更新し、ECU200のRAM消費増加量の閾値「Th8」を「Th8-h1」に更新する。
【0075】
図3に戻り、更新部127は、拡張装置リスト111をさらに更新する。例えば、更新部127は、有効化部126によって有効化された拡張装置500に対する接続判定を「接続済」に更新する。他の例では、更新部127は、許可部122によって有効化が許可され、且つ、有効化部126によって有効化されていない拡張装置500に対する接続判定を「可」に更新する。さらに他の例では、更新部127は、許可部122によって有効化が許可されず、且つ、有効化部126によって有効化されていない拡張装置500に対する接続判定を「不可」に更新する。
【0076】
[1-4.車載システムの動作]
以下、第1実施形態に係る車載システムの動作を説明する。
【0077】
図7は、第1実施形態に係る拡張ボックスによる機能拡張許可処理を示すフローチャートである。
【0078】
プロセッサ101は、拡張装置500の接続シーケンスの開始が可能であることをユーザに通知するための通知情報の表示の要求(以下、「接続開始表示要求」ともいう)をインタフェースECU220へ送信する(ステップS101)。インタフェースECU220は、接続開始表示要求を受信すると、表示装置240に通知情報を表示させる。
【0079】
ユーザは、通知情報によって接続シーケンスの開始が可能な状態であることを確認すると、入力装置230によって、接続シーケンスの開始要求(以下、「接続開始要求」ともいう)を入力することができる。インタフェースECU220は、ユーザからの接続開始要求を受け付けると、受け付けた接続開始要求を拡張ボックス100へ送信する。
【0080】
拡張ボックス100は、インタフェースECU220からの接続開始要求を受信する(ステップS102)。プロセッサ101は、拡張装置リスト111に登録された各拡張装置IDの負荷増大量と、閾値テーブル112に登録された閾値とを比較し、拡張装置500毎に、許可条件を満たすか否かを判定する。プロセッサ101は、拡張装置リスト111に登録された複数の拡張装置500のなかから、許可条件を満たすと判定された拡張装置500を選別する(ステップS103)。
【0081】
プロセッサ101は、選別された拡張装置500を示す接続可能リスト600を生成し、接続可能リスト600を表示するための表示データを生成する。プロセッサ101は、表示データを含む表示要求をインタフェースECU220へ送信する(ステップS104)。インタフェースECU220は、表示要求を受信すると、表示データによって表示装置240に接続可能リスト600を表示させる。
【0082】
ユーザは、表示装置240に表示された接続可能リスト600を確認し、接続可能リスト600から、車載システム11へ接続させたい拡張装置500の情報を選択することにより、拡張装置500を指定する。入力装置230は、ユーザからの拡張装置500の指定を受け付け、インタフェースECU220は、指定された拡張装置500を示す指定情報を拡張ボックス100へ送信する。拡張ボックス100は、指定情報を受信する(ステップS105)。
【0083】
ユーザは、車載システム11へ接続させたい拡張装置500を拡張ボックス100のスロットに取り付ける。プロセッサ101は、拡張ボックス100への拡張装置500の取付を検出し、取り付けられた拡張装置500を識別する(ステップS106)。
【0084】
プロセッサ101は、ユーザから指定された拡張装置500と、拡張ボックス100によって識別された拡張装置500とが一致するか否かを判定する(ステップS107)。ユーザから指定された拡張装置500と、拡張ボックス100によって識別された拡張装置500とが一致しない場合(ステップS107においてNO)、プロセッサ101は、ステップS106に戻る。
【0085】
ユーザから指定された拡張装置500と、拡張ボックス100によって識別された拡張装置500とが一致する場合(ステップS107においてYES)、プロセッサ101は、識別された拡張装置500を有効化する(ステップS108)。これにより、拡張装置500に電力が供給され、車載システム11に拡張装置500が追加される。
【0086】
プロセッサ101は、拡張装置リスト111を更新する(ステップS109)。すなわち、プロセッサ101は、拡張装置リスト111において、有効化された拡張装置500の接続判定を「接続済」に更新する。プロセッサ101は、拡張装置リスト111において、有効化が許可され、且つ、有効化されていない拡張装置500の接続判定を「可」に更新する。プロセッサ101は、拡張装置リスト111において、有効化が許可されず、且つ、有効化されていない拡張装置500の接続判定を「不可」に更新する。
【0087】
プロセッサ101は、閾値テーブル112を更新する(ステップS110)。すなわち、プロセッサ101は、有効化された拡張装置500について、拡張装置リスト111において規定された負荷増加量(拡張ボックス100のCPU負荷増加率、ECU200のCPU負荷増加率、消費電力増加量、バス400Aの負荷増加率、バス400Bの負荷増加率、バス400Cの負荷増加率、拡張ボックス100のRAM消費増加量、及びECU200のRAM消費増加量)を各閾値(拡張ボックス100のCPU負荷増加率の閾値Th1、ECU200のCPU負荷増加率の閾値Th2、消費電力増加量の閾値Th3、バス400Aの負荷増加率の閾値Th4、バス400Bの負荷増加率の閾値Th5、バス400Cの負荷増加率の閾値Th6、拡張ボックス100のRAM消費増加量の閾値Th7、及びECU200のRAM消費増加量の閾値Th8)から差し引くことにより、各閾値を更新する。以上で、機能拡張許可処理が終了する。
【0088】
[2.第2実施形態]
第2実施形態では、拡張ボックス100によって拡張装置500の取付が検出された後に、接続シーケンスが開始する。
【0089】
図8は、第2実施形態に係る拡張ボックスによる機能拡張許可処理を示すフローチャートである。
【0090】
ユーザは、車載システム11へ接続させたい拡張装置500を拡張ボックス100のスロットに取り付ける。プロセッサ101は、拡張ボックス100への拡張装置500の取付を検出し、取り付けられた拡張装置500を識別する(ステップS201)。
【0091】
プロセッサ101は、拡張装置500を識別すると、接続開始表示要求をインタフェースECU220へ送信する(ステップS202)。ステップS203~S206は、第1実施形態におけるステップS102~S105と同じであるため、説明を省略する。
【0092】
プロセッサ101は、ユーザから指定された拡張装置500と、拡張ボックス100によって識別された拡張装置500とが一致するか否かを判定する(ステップS207)。ユーザから指定された拡張装置500と、拡張ボックス100によって識別された拡張装置500とが一致しない場合(ステップS207においてNO)、プロセッサ101は、異常メッセージの表示要求をインタフェースECU220へ送信する(ステップS208)。異常メッセージは、ユーザから指定された拡張装置500が拡張ボックス100に取り付けられていないことをユーザに通知するための情報である。インタフェースECU220は、異常メッセージの表示要求を受信すると、表示装置240に異常メッセージを表示させる。
【0093】
異常メッセージを確認したユーザは、拡張ボックス100への拡張装置500の取付状態を確認し、例えば拡張ボックス100のスロットから拡張装置500を取り外し、再度スロットへ拡張装置500へ取り付ける。プロセッサ101は、拡張ボックス100への拡張装置500の取付を検出し、取り付けられた拡張装置500を識別する(ステップS209)。プロセッサ101は、ステップS207へ戻る。
【0094】
ユーザから指定された拡張装置500と、拡張ボックス100によって識別された拡張装置500とが一致する場合(ステップS207においてYES)、プロセッサ101は、ステップS210~S212を実行する。ステップS210~S212は、第1実施形態におけるステップS108~S110と同じであるため、説明を省略する。
【0095】
[3.第3実施形態]
第3実施形態では、拡張ボックス100に代えて、車両10と通信可能なサーバが拡張装置の有効化を許可する。すなわち、第3実施形態においては、サーバが「機能拡張許可装置」に相当する。
【0096】
図9は、第3実施形態に係る機能拡張許可システムの構成の一例を示す図である。
【0097】
機能拡張許可システム700は、車両10と、サーバ800とを含む。
【0098】
第2実施形態に係る車両10及び車載システム11の構成は、第1実施形態に係る車両10及び車載システム11と同じであるため説明を省略する。
【0099】
サーバ800は、インターネット900に接続されている。通信ECU210と、サーバ800とは、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信プロトコルを使用して相互に通信することができる。
【0100】
図10は、第3実施形態に係るサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0101】
サーバ800は、プロセッサ801と、不揮発性メモリ802と、揮発性メモリ803と、通信I/F804とを含む。プロセッサ801と、不揮発性メモリ802と、揮発性メモリ803と、通信I/F804とのそれぞれは、通信線であるバス805によって互いに接続されている。プロセッサ801と、不揮発性メモリ802と、揮発性メモリ803と、通信I/F804とのそれぞれは、バス805を介して互いにデータを伝送することができる。
【0102】
揮発性メモリ803は、例えばSRAM、DRAM等の半導体メモリである。不揮発性メモリ802は、例えばフラッシュメモリ、ハードディスク、ROM等である。不揮発性メモリ802には、コンピュータプログラムである機能拡張許可プログラム810、及び機能拡張許可プログラム810の実行に使用されるデータが格納される。サーバ800の後述する機能は、機能拡張許可プログラム810がプロセッサ801によって実行されることで実現される。
【0103】
プロセッサ801は、例えばCPUである。ただし、プロセッサ801は、CPUに限られない。プロセッサ801は、GPUであってもよい。具体的な一例では、プロセッサ801は、マルチコアプロセッサである。プロセッサ801は、シングルコアプロセッサであってもよい。プロセッサ801は、コンピュータプログラムを実行可能に構成される。ただしプロセッサ801は、例えば、ASICであってもよいし、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスであってもよい。この場合、ASIC又はプログラマブルロジックデバイスは、機能拡張許可プログラム110と同じ機能を実行可能に構成される。
【0104】
通信I/F804は、特定の通信プロトコルに準拠した通信インタフェースである。通信I/F804は、例えばイーサネットインタフェースである。
【0105】
不揮発性メモリ802には、拡張装置リスト811及び閾値テーブル812が格納されている。拡張装置リスト811及び閾値テーブル812は、機能拡張許可プログラム810によって用いられる。拡張装置リスト811及び閾値テーブル812は、第1実施形態における拡張装置リスト111及び閾値テーブル112と同じであるため、説明を省略する。
【0106】
図11は、第3実施形態に係るサーバの機能の一例を示す機能ブロック図である。
【0107】
サーバ800のプロセッサ801が機能拡張許可プログラム810を実行することにより、第1判定部821と、許可部822と、表示制御部823と、入力部824と、第2判定部825と、有効化要求部826と、更新部827との各機能が実現される。第1判定部821、許可部822、表示制御部823、入力部824、第2判定部825、有効化要求部826、及び更新部827のそれぞれは、プロセッサ801によって実現される。
【0108】
第1判定部821は、拡張装置500によって車両の機能が拡張された場合に、車両10の機能を拡張するための許可条件が満たされるか否かを判定する。第1判定部821は、第1実施形態において説明した拡張ボックス100の第1判定部121と同じ機能であるため、説明を省略する。
【0109】
許可部822は、第1判定部821によって許可条件が満たされると判定された場合に、拡張装置500の有効化を許可する。許可部822は、第1実施形態において説明した拡張ボックス100の許可部122と同じ機能であるため、説明を省略する。
【0110】
表示制御部823は、第1判定部821によって許可条件が満たされると判定された拡張装置500を示す接続可能リストを表示装置240に表示させる。具体的な一例では、表示制御部823は、接続可能リストを表示するための表示データを生成し、表示データをインターネット900を介して車両10へ送信する。車両10の通信ECU210は、表示データを受信すると、受信した表示データをインタフェースECU220へ送信する。インタフェースECU220は、受信した表示データに基づいて、表示装置240に接続可能リストを表示させる。
【0111】
図9を参照し、ユーザ(ドライバ)は、入力装置230を用いて、接続可能リスト600に示される拡張装置500の少なくとも1つを指定することができる。インタフェースECU220は、ユーザによる拡張装置500の指定を示す指定情報を送信する。通信ECU210は、指定情報を受信し、受信した指定情報をサーバ800へ送信する。
【0112】
図11に戻り、入力部824は、インタフェースECU220から送信された指定情報を受け付ける。許可部822は、指定情報に示される拡張装置500の有効化を許可することができる。
【0113】
図9を参照し、例えば、拡張ボックス100は、スロットへの拡張装置500の取付を検出し、検出された拡張装置500を識別することができる。拡張ボックス100は、取り付けられた拡張装置500の識別情報を送信する。通信ECU210は、識別情報を受信し、受信した識別情報をサーバ800へ送信する。
【0114】
図11に戻り、第2判定部825は、ユーザから指定された拡張装置500の識別情報と、拡張ボックス100に取り付けられた拡張装置500から出力された識別情報とを比較して、ユーザから指定された拡張装置500と、拡張ボックス100に取り付けられた拡張装置500とが一致するか否かを判定することができる。
【0115】
許可部822は、第2判定部825によって、ユーザから指定された少なくとも1つの拡張装置500が、拡張ボックス100に取り付けられた拡張装置500と一致すると判定された場合に、拡張ボックス100に取り付けられた拡張装置500の有効化を許可することができる。
【0116】
有効化要求部826は、許可部822によって有効化を許可された拡張装置500の有効化を拡張ボックス100に要求する。例えば、有効化要求部826は、拡張装置500の有効化要求をインターネット900を介して車両10へ送信する。車両10の通信ECU210は、拡張装置500の有効化要求を受信すると、受信した有効化要求を拡張ボックス100へ送信する。拡張ボックス100は、有効化要求を受信すると、有効化を要求された拡張装置500に電力を供給する。これにより、拡張装置500が車載システム11に追加される。
【0117】
更新部827は、許可部822による拡張装置500の有効化の許可に基づいて、許可条件を更新する。更新部827は、第1実施形態において説明した拡張ボックス100の更新部127と同じ機能であるため、説明を省略する。
【0118】
図12は、第3実施形態に係るサーバによる機能拡張許可処理を示すフローチャートである。
【0119】
プロセッサ801は、拡張装置500の接続シーケンスの開始が可能であることをユーザに通知するための通知情報の表示の要求(接続開始表示要求)を車両10へ送信する(ステップS301)。車両10の通信ECU210は、接続開始表示要求を受信すると、受信フレームに対してプロトコル変換等の必要な処理を行い、処理後のフレーム(接続開始表示要求)をインタフェースECU220へ送信する。インタフェースECU220は、接続開始表示要求を受信すると、表示装置240に通知情報を表示させる。
【0120】
ユーザは、通知情報によって接続シーケンスの開始が可能な状態であることを確認すると、入力装置230によって、接続シーケンスの開始要求(接続開始要求)を入力することができる。インタフェースECU220は、ユーザからの接続開始要求を受け付けると、受け付けた接続開始要求を通信ECU210へ送信する。通信ECU210は、接続開始要求を受信すると、受信フレームに対してプロトコル変換等の必要な処理を行い、処理後のフレーム(接続開始要求)をサーバ800へ送信する。
【0121】
サーバ800は、車両10からの接続開始要求を受信する(ステップS302)。プロセッサ801は、拡張装置リスト111に登録された各拡張装置IDの負荷増大量と、閾値テーブル112に登録された閾値とを比較し、拡張装置500毎に、許可条件を満たすか否かを判定する。プロセッサ101は、拡張装置リスト111に登録された複数の拡張装置500のなかから、許可条件を満たすと判定された拡張装置500を選別する(ステップS303)。
【0122】
プロセッサ801は、選別された拡張装置500を示す接続可能リスト600を生成し、接続可能リスト600を表示するための表示データを生成する。プロセッサ801は、表示データを含む表示要求を車両10へ送信する(ステップS304)。車両10の通信ECU210は、表示要求を受信すると、受信フレームに対してプロトコル変換等の必要な処理を行い、処理後のフレーム(表示要求)をインタフェースECU220へ送信する。インタフェースECU220は、表示要求を受信すると、表示データによって表示装置240に接続可能リスト600を表示させる。
【0123】
ユーザは、表示装置240に表示された接続可能リスト600を確認し、接続可能リスト600から、車載システム11へ接続させたい拡張装置500の情報を選択することにより、拡張装置500を指定する。入力装置230は、ユーザからの拡張装置500の指定を受け付け、インタフェースECU220は、指定された拡張装置500を示す指定情報を通信ECU210へ送信する。通信ECU210は、指定情報を受信すると、受信フレームに対してプロトコル変換等の必要な処理を行い、処理後のフレーム(受信情報)をサーバ800へ送信する。サーバ800は、指定情報を受信する(ステップS305)。
【0124】
ユーザは、車載システム11へ接続させたい拡張装置500を拡張ボックス100のスロットに取り付ける。拡張ボックス100は、拡張ボックス100への拡張装置500の取付を検出し、取り付けられた拡張装置500を識別する。拡張ボックス100は、拡張装置500の識別情報を通信ECU210へ送信する。通信ECU210は、識別情報を受信すると、受信フレームに対してプロトコル変換等の必要な処理を行い、処理後のフレーム(識別情報)をサーバ800へ送信する。サーバ800は、識別情報を受信する(ステップS306)。
【0125】
プロセッサ801は、ユーザから指定された拡張装置500と、拡張ボックス100によって識別された拡張装置500とが一致するか否かを判定する(ステップS307)。ユーザから指定された拡張装置500と、拡張ボックス100によって識別された拡張装置500とが一致しない場合(ステップS307においてNO)、プロセッサ801は、ステップS306に戻る。
【0126】
ユーザから指定された拡張装置500と、拡張ボックス100によって識別された拡張装置500とが一致する場合(ステップS307においてYES)、プロセッサ801は、識別された拡張装置500の有効化要求を車両10へ送信する(ステップS308)。車両10の通信ECU210は、有効化要求を受信すると、受信フレームに対してプロトコル変換等の必要な処理を行い、処理後のフレーム(有効化要求)を拡張ボックス100へ送信する。拡張ボックス100は、有効化要求を受信すると、識別された拡張装置500を有効化する。これにより、拡張装置500に電力が供給され、車載システム11に拡張装置500が追加される。
【0127】
プロセッサ801は、拡張装置リスト811を更新し(ステップS309)、閾値テーブル812を更新する(ステップS310)。以上で、機能拡張許可処理が終了する。
【0128】
[4.第4実施形態]
第4実施形態では、拡張ボックス100によって拡張装置500の取付が検出された後に、接続シーケンスが開始する。
【0129】
図13は、第4実施形態に係るサーバによる機能拡張許可処理を示すフローチャートである。
【0130】
ユーザは、車載システム11へ接続させたい拡張装置500を拡張ボックス100のスロットに取り付ける。プロセッサ101は、拡張ボックス100への拡張装置500の取付を検出し、取り付けられた拡張装置500を識別する。拡張ボックス100は、取り付けられた拡張装置500の識別情報を通信ECU210へ送信する。通信ECU210は、識別情報を受信すると、受信フレームに対してプロトコル変換等の必要な処理を行い、処理後のフレーム(識別情報)をサーバ800へ送信する。サーバ800は、識別情報を受信する(ステップS401)。
【0131】
プロセッサ801は、識別情報を受信すると、接続開始表示要求を車両10へ送信する(ステップS402)。ステップS403~S406は、第3実施形態におけるステップS302~S305と同じであるため、説明を省略する。
【0132】
プロセッサ801は、ユーザから指定された拡張装置500と、拡張ボックス100によって識別された拡張装置500とが一致するか否かを判定する(ステップS407)。ユーザから指定された拡張装置500と、拡張ボックス100によって識別された拡張装置500とが一致しない場合(ステップS407においてNO)、プロセッサ801は、異常メッセージの表示要求を車両10へ送信する(ステップS408)。車両10の通信ECU210は、異常メッセージの表示要求を受信すると、受信フレームに対してプロトコル変換等の必要な処理を行い、処理後のフレーム(異常メッセージの表示要求)をインタフェースECU220へ送信する。インタフェースECU220は、異常メッセージの表示要求を受信すると、表示装置240に異常メッセージを表示させる。
【0133】
異常メッセージを確認したユーザは、拡張ボックス100への拡張装置500の取付状態を確認し、例えば拡張ボックス100のスロットから拡張装置500を取り外し、再度スロットへ拡張装置500へ取り付ける。拡張ボックス100のプロセッサ101は、拡張ボックス100への拡張装置500の取付を検出し、取り付けられた拡張装置500を識別する。拡張ボックス100は、取り付けられた拡張装置500の識別情報を通信ECU210へ送信する。通信ECU210は、識別情報を受信すると、受信フレームに対してプロトコル変換等の必要な処理を行い、処理後のフレーム(識別情報)をサーバ800へ送信する。サーバ800は、識別情報を受信する(ステップS409)。プロセッサ801は、識別情報を受信すると、ステップS407へ戻る。
【0134】
ユーザから指定された拡張装置500と、拡張ボックス100によって識別された拡張装置500とが一致する場合(ステップS407においてYES)、プロセッサ801は、ステップS410~S412を実行する。ステップS410~S412は、第3実施形態におけるステップS308~S310と同じであるため、説明を省略する。
【0135】
[5.その他の実施形態]
なお、第1実施形態及び第2実施形態においては、拡張ボックス100が機能拡張許可処理を実行し、第3実施形態及び第4実施形態においては、サーバ800が機能拡張許可処理を実行したが、これらに限定されない。車載システム11に接続されたECU200が機能拡張許可処理を実行してもよい。すなわち、ECU200が、許可条件が満たされるか否かを判定し、許可条件が満たされると判定した場合に、拡張装置500の有効化を許可し、許可条件が満たされないと判定した場合に、拡張装置500の有効化を許可しないように構成されてもよい。この場合、ECU200が「機能拡張許可装置」に相当する。
【0136】
[6.付記]
車両の機能の拡張する機能拡張システムであって、
機能拡張許可装置と、
表示装置と、
を備え、
前記機能拡張許可装置は、
前記車両に搭載された取付装置に取付可能な拡張装置によって前記車両の機能が拡張された場合に、前記車両の機能を拡張するための許可条件が満たされるか否かを判定する第1判定部と、
前記第1判定部によって前記許可条件が満たされると判定された場合に、前記拡張装置の有効化を許可し、前記第1判定部によって前記許可条件が満たされないと判定された場合に、前記拡張装置の有効化を許可しない許可部と、
を含み、
前記表示装置は、前記第1判定部によって前記許可条件が満たされると判定された拡張装置を示す許可情報を表示する、
機能拡張システム。
【0137】
[7.補記]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的ではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及びその範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0138】
10 車両
11 車載システム
100 拡張ボックス(取付装置、機能拡張許可装置)
101 プロセッサ
102 不揮発性メモリ
103 揮発性メモリ
104 通信インタフェース
105 バス
110 機能拡張許可プログラム
111 拡張装置リスト
112 閾値テーブル
121 第1判定部
122 許可部
123 表示制御部
124 入力部
125 第2判定部
126 有効化部
127 更新部
200,200A,200B,200C ECU(機能拡張許可装置)
210 通信ECU
220 インタフェースECU
230 入力装置
240 表示装置
250 中継ECU
400A,400B,400C 通信バス
500 拡張装置
600 接続可能リスト
700 機能拡張許可システム
800 サーバ(機能拡張許可装置)
801 プロセッサ
802 不揮発性メモリ
803 揮発性メモリ
804 通信インタフェース
805 バス
810 機能拡張許可プログラム
811 拡張装置リスト
812 閾値テーブル
821 第1判定部
822 許可部
823 表示制御部
824 入力部
825 第2判定部
826 有効化要求部
827 更新部
900 インターネット