(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118227
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】運転支援システム及び車両
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
G08G1/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024549
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】紺野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】磨田 謙一
(72)【発明者】
【氏名】尾関 友昭
(72)【発明者】
【氏名】藤村 俊貴
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA26
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB08
5H181BB13
5H181BB20
5H181CC04
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】車両のドライバが支援を必要とする場合に無人飛行体による撮影を行わせ、無人飛行体の電力消費量を抑制しつつドライバの違和感を低減する。
【解決手段】車両と、撮像装置を搭載した無人飛行体と、を備えた運転支援システムは、ドライバによる車両の運転を支援する情報を提示する対象地点を指定して無人飛行体の飛行開始の指令を送信し、飛行開始の指令にしたがって対象地点を撮影可能な位置へ無人飛行体を移動させ、対象地点を撮影した撮像画像を送信し、撮像画像を画像表示装置により表示させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と、撮像装置を搭載した無人飛行体と、を備え、前記車両の運転を支援する運転支援システムであって、
前記無人飛行体は、
前記撮像装置と、
前記撮像装置による撮像及び前記無人飛行体の飛行を制御する第1の制御部と、を備え、
前記車両は、
前記無人飛行体の離着陸位置である飛行体ベースと、
前記車両のドライバに視認可能な画像を表示する画像表示装置と、
前記無人飛行体の飛行開始の指令及び前記画像表示装置による表示を制御する第2の制御部と、を備え、
前記第2の制御部は、
前記ドライバによる前記車両の運転を支援する情報を提示する対象地点を指定して前記第1の制御部に対して前記無人飛行体の飛行開始の指令を送信する飛行指令処理と、
前記第1の制御部から送信される撮像画像を前記画像表示装置により表示させる表示制御処理と、を実行し、
前記第1の制御部は、
前記第2の制御部から送信される前記飛行開始の指令にしたがって前記対象地点を撮影可能な位置へ前記無人飛行体を移動させる飛行制御処理と、
前記対象地点を撮影した撮像画像を前記第2の制御部へ送信する撮像処理と、を実行する、
車両の運転支援システム。
【請求項2】
前記第1の制御部又は前記第2の制御部は、前記車両が前記対象地点を通過したか否かを判定し、前記車両が前記対象地点を通過したと判定した場合、前記無人飛行体を前記飛行体ベースへ帰還させる、
請求項1に記載の車両の運転支援システム。
【請求項3】
前記車両は、地図データ記憶部と、前記車両の位置情報を検出する位置検出センサと、を備え、
前記第2の制御部は、地図データと、前記車両の位置情報と、に基づいて、前記車両の進行方向の前方に存在する少なくとも一つの対象地点候補を前記画像表示装置へ表示させ、前記ドライバにより選択された対象地点候補を前記対象地点として指定する、
請求項1に記載の車両の運転支援システム。
【請求項4】
前記車両は、ナビゲーションシステムと、地図データ記憶部と、前記車両の位置情報を検出する位置検出センサと、を備え、
前記第2の制御部は、前記ナビゲーションシステムに設定された前記車両の走行ルートと、地図データと、前記車両の位置情報と、に基づいて、前記車両の進行方向の前方の前記対象地点を指定する、
請求項1に記載の車両の運転支援システム。
【請求項5】
車両の運転を支援する運転支援機能を備えた車両であって、
撮像装置を搭載した無人飛行体の離着陸位置である飛行体ベースと、
前記車両のドライバに視認可能な画像を表示する画像表示装置と、
前記無人飛行体の飛行開始の指令及び前記画像表示装置による表示を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記ドライバによる前記車両の運転を支援する情報を提示する対象地点を指定して前記無人飛行体の飛行開始の指令を生成する飛行指令処理と、
前記無人飛行体から送信される撮像画像を前記画像表示装置により表示させる表示制御処理と、を実行する、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運転支援装置及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両において、複数のカメラにより車両の周囲を撮影した撮像画像を合成して、ドライバが視認可能な画像として表示する技術がある。また、近年では、いわゆるドローンとも呼ばれる無人飛行体を車両に随伴して飛行させ、無人飛行体による撮像画像を取得する技術が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、無人航空機(無人飛行体)と車両との水平距離及び高さが所定の範囲内に入るように無人航空機を制御し、無人航空機に備えられた撮像装置により車両の上方から周辺の状況を撮影し、車載の位置検知装置と、撮像装置から受信した画像とに基づいて車両の周辺を表示装置に表示する運転支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、トンネル等の障害が無い場合には常時無人飛行体を飛行させる構成であり、無人飛行体の電力供給源であるバッテリの電力の枯渇を防ぐ処理が必要となる。また、無人飛行体を常時飛行させる場合、車両が特に支援を必要としない場合にも無人飛行体が随伴して飛行するため、車両のドライバが違和感を抱くおそれがある。
【0006】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本開示の目的とするところは、車両のドライバが支援を必要とする場合に無人飛行体による撮影を行わせ、無人飛行体の電力消費量を抑制しつつドライバの違和感を低減する運転支援装置及び車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のある観点によれば、車両と、撮像装置を搭載した無人飛行体と、を備え、上記車両の運転を支援する運転支援システムであって、上記無人飛行体は、上記撮像装置と、上記撮像装置による撮像及び上記無人飛行体の飛行を制御する第1の制御部と、を備え、上記車両は、上記無人飛行体の離着陸位置である飛行体ベースと、上記車両のドライバに視認可能な画像を表示する画像表示装置と、上記無人飛行体の飛行開始の指令及び上記画像表示装置による表示を制御する第2の制御部と、を備え、上記第2の制御部は、上記ドライバによる上記車両の運転を支援する情報を提示する対象地点を指定して上記第1の制御部に対して上記無人飛行体の飛行開始の指令を送信する飛行指令処理と、上記第1の制御部から送信される撮像画像を上記画像表示装置により表示させる表示制御処理と、を実行し、上記第1の制御部は、上記第2の制御部から送信される上記飛行開始の指令にしたがって上記対象地点を撮影可能な位置へ上記無人飛行体を移動させる飛行制御処理と、上記対象地点を撮影した撮像画像を上記第2の制御部へ送信する撮像処理と、を実行する車両の運転支援システムが提供される。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本開示の別の観点によれば、車両の運転を支援する運転支援機能を備えた車両であって、撮像装置を搭載した無人飛行体の離着陸位置である飛行体ベースと、上記車両のドライバに視認可能な画像を表示する画像表示装置と、上記無人飛行体の飛行開始の指令及び上記画像表示装置による表示を制御する制御部と、を備え、上記制御部は、上記ドライバによる上記車両の運転を支援する情報を提示する対象地点を指定して上記無人飛行体の飛行開始の指令を生成する飛行指令処理と、上記無人飛行体から送信される撮像画像を上記画像表示装置により表示させる表示制御処理と、を実行する車両が提供される。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本開示によれば、車両のドライバが支援を必要とする場合に無人飛行体による撮影を行わせ、無人飛行体の電力消費量を抑制しつつドライバの違和感を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施の形態に係る運転支援システムを備えた車両の構成例を示す模式図である。
【
図2】本実施形態による運転支援システムの無人飛行体の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態による運転支援システムによる飛行体制御装置(第1の制御部)の処理動作のルーチンを示すフローチャートである。
【
図4】本実施形態による運転支援システムによる飛行体制御装置の制御処理のルーチンを示すフローチャートである。
【
図5】本実施形態による運転支援システムの車載装置の構成例を示すブロック図である。
【
図6】本実施形態に係る運転支援システムの運転支援制御装置(第2の制御部)の処理動作のメインルーチンを示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態に係る運転支援システムの運転支援制御装置による対象地点設定処理を示すフローチャートである。
【
図8】本実施形態に係る運転支援システムの運転支援制御装置による表示制御処理を示すフローチャートである。
【
図9】本実施形態に係る運転支援システムの運転支援制御装置による充電処理を示すフローチャートである。
【
図10】本実施形態に係る運転支援システムの適用事例を示す説明図である。
【
図11】本実施形態に係る運転支援システムの適用事例を示す説明図である。
【
図12】本実施形態に係る運転支援システムの適用事例を示す説明図である。
【
図13】本実施形態に係る運転支援システムの適用事例を示す説明図である。
【
図14】本実施形態に係る運転支援システムの運転支援制御装置による対象地点設定処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
<1.運転支援システムの基本構成>
はじめに、本開示の実施の形態に係る運転支援システムの基本構成を説明する。
【0013】
図1は、運転支援システム1を搭載した車両5の構成例を示す説明図である。
運転支援システム1は、無人飛行体40及び車載装置10を備えている。
【0014】
無人飛行体40は、撮像装置41及び飛行体制御装置50を備えている。無人飛行体40は、コンピュータにより制御されて、所定の目標位置に向けて、あるいは、飛行経路に沿って自動で飛行可能な移動体である。無人飛行体40としては、代表的にはいわゆるドローン又は小型ヘリコプターが例示されるが、この例に限定されるものではない。
図1に示した無人飛行体40は、いわゆるドローンであり、例えば4つのプロペラ及びそれぞれのプロペラを回転駆動するプロペラ駆動モータを備えている。
【0015】
撮像装置41は、飛行体制御装置50により駆動され、撮影範囲を撮像した画像データを生成する。飛行体制御装置50は、一つ又は複数のプロセッサを備えて構成される。飛行体制御装置50は、無人飛行体40の飛行を制御する機能と、撮像装置41による撮像を制御する機能とを有する。本実施形態において、飛行体制御装置50は、第1の制御部に相当する。
【0016】
車載装置10は、飛行体ベース15、バッテリ13、画像表示装置11及び運転支援制御装置20を備えている。飛行体ベース15は、無人飛行体40の離着陸位置である。
図1に示した例では、飛行体ベース15は、車両5のルーフトップに設けられているが、設置位置は特に限定されるものではない。
【0017】
飛行体ベース15は、載置された無人飛行体40が飛行体ベース15上から滑り落ちることを防ぐ構造を有している。例えば飛行体ベース15は上面に凹みを有しており、無人飛行体40が当該凹み内に載置可能に構成される。ただし、飛行体ベース15の構造は上記の例に限定されるものではない。
【0018】
飛行体ベース15は、無人飛行体40に備えられた図示しないバッテリを充電する充電装置16を備えている。充電装置16は、車両5に備えられたバッテリ13に接続され、バッテリ13に充電された電力を無人飛行体40のバッテリに充電する。充電装置16は、例えば非接触式の充電装置であり、無人飛行体40が飛行体ベース15に載置された状態で、バッテリへの充電を行うことができる。なお、充電装置16は、非接触式の充電装置に限られるものではなく、無人飛行体40に設けられた電極と接続可能な電極を有する接触式の充電装置であってもよい。
【0019】
画像表示装置11は、運転支援制御装置20により制御されて、車両5のドライバに視認可能な表示を行う。
【0020】
運転支援制御装置20は、一つ又は複数のプロセッサを備えて構成され、無人飛行体40の飛行開始の指令を制御する機能と、画像表示装置11による表示を制御する機能とを有する。本実施形態において、運転支援制御装置20は、第2の制御部に相当する。運転支援制御装置20と飛行体制御装置50とは、無線通信手段を介して相互に通信可能に構成されている。
【0021】
運転支援制御装置20は、ドライバによる車両5の運転を支援する対象地点を指定して、飛行体制御装置50に対して無人飛行体40の飛行開始の指令を送信する。これに伴って、飛行体制御装置50は、無人飛行体40の飛行を開始し、無人飛行体40を対象地点へ移動させて対象地点の撮像を開始するとともに、生成された画像データを運転支援制御装置20へ送信する。運転支援制御装置20は、飛行体制御装置50から送信される画像データを画像表示装置11に表示し、ドライバによる運転を支援する。
【0022】
以下、無人飛行体40及び車載装置10の構成をそれぞれ具体的に説明する。
【0023】
<2.無人飛行体>
(2-1.構成)
図2は、無人飛行体40の構成例を示すブロック図である。
無人飛行体40は、撮像装置41、位置検出センサ47、飛行体状態センサ48、バッテリ49及び飛行体制御装置50を備えている。また、無人飛行体40は、第1のプロペラ43a、第2のプロペラ43b、第3のプロペラ43c及び第4のプロペラ43d(以下、特に区別を要しない場合には「プロペラ43」と総称する)を備えている。また、無人飛行体40は、それぞれのプロペラ43を回転駆動する第1のプロペラ駆動モータ45a、第2のプロペラ駆動モータ45b、第3のプロペラ駆動モータ45c及び第4のプロペラ駆動モータ45d(以下、特に区別を要しない場合には「プロペラ駆動モータ45」と総称する)を備えている。
【0024】
撮像装置41は、例えばCCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子を備えたカメラであり、撮影範囲の画像データを生成する。撮像装置41は、飛行体制御装置50により駆動されて画像データを生成し、当該画像データを飛行体制御装置50へ出力する。撮像装置41は、いわゆる単眼のカメラであってもよく、左右一対のステレオカメラであってもよい。
【0025】
位置検出センサ47は、GPS(Global Positioning System)衛星に代表されるGNSS(Global Navigation Satellite System)の測位衛星からの衛星信号を受信する。位置検出センサ47は、受信した衛星信号に含まれる無人飛行体40の位置情報を飛行体制御装置50へ送信する。なお、位置検出センサ47は、GPSセンサ以外に、無人飛行体40の位置を特定する他の衛星システムからの衛星信号を受信するアンテナが備えられていてもよい。
【0026】
飛行体状態センサ48は、無人飛行体40の前後方向、左右方向及び高さ方向に沿った3軸方向の加速度、及び、当該3軸周りの角速度を検出する一つ又は複数のセンサからなる。飛行体状態センサ48は、慣性計測装置と称される場合がある。飛行体状態センサ48は、計測した状態を示すセンサ信号を飛行体制御装置50へ送信する。
【0027】
バッテリ49は、無人飛行体40の電力供給源として、電力を蓄積する。バッテリ49は、車両5に設けられた充電装置16により充電可能に構成される。無人飛行体40は、車載装置10の充電装置16から供給される電力をバッテリ49に充電するための図示しない充電回路を備えている。
【0028】
第1のプロペラ43a、第2のプロペラ43b、第3のプロペラ43c及び第4のプロペラ43dは、例えば無人飛行体40の重心位置を通り、無人飛行体40の高さ方向に沿った軸の軸周りに等間隔に配置されている。それぞれのプロペラ43はプロペラ駆動モータ45によって回転駆動される。プロペラ駆動モータ45は、例えば電流供給量に比例して回転数が変化する直流モータであり、飛行体制御装置50により電流供給量が制御される。ただし、プロペラ駆動モータ45は直流モータに限定されるものではなく、通電により駆動するその他の種々のモータであってよい。
【0029】
飛行体制御装置50は、通信部51、処理部53及び記憶部61を備える。通信部51は、無線通信手段を介して運転支援制御装置20と通信するためのインタフェースである。処理部53は、CPU(Central processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等の一つ又は複数のプロセッサを備えて構成される。処理部53は、記憶部61に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、所定の演算周期で撮像装置41により生成される画像データに基づく認識結果の情報を運転支援制御装置20へ送信する。
【0030】
記憶部61は、一つ又は複数のメモリを備え、処理部53により実行されるコンピュータプログラムや演算処理に用いられる各種パラメータ、演算結果の情報を記憶する。記憶部61の一部は、処理部53のワーク領域として利用される。
【0031】
記憶部61は、ハードディスク、フロッピーディスク及び磁気テープ等の磁気媒体、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、及びBlu-ray(登録商標)等の光記録媒体、フロプティカルディスク等の磁気光媒体、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等の記憶素子、並びにUSB(Universal Serial Bus)メモリ及びSSD(Solid State Drive)等のフラッシュメモリ、その他の記録媒体であってよい。
【0032】
処理部53は、通信制御部55、飛行制御部57及び撮像処理部59を備える。これらの各部の機能は、プロセッサによるコンピュータプログラムの実行により実現される。
【0033】
通信制御部55は、運転支援制御装置20と通信し、所定の情報を送受信する。例えば通信制御部55は、運転支援制御装置20と通信し、無人飛行体40の飛行開始の指令を受信し、また、撮像装置41により生成された画像データ及び画像データに基づく物体の認識結果の情報を送信する。物体の認識結果の情報は、少なくとも撮像装置41の撮影範囲において認識した物体の位置の情報を含む。物体の認識結果の情報は、この他に、物体の種類、移動速度及び移動方向の情報を含んでいてもよい。
【0034】
飛行制御部57は、無人飛行体40の飛行を制御する。具体的に、飛行制御部57は、運転支援制御装置20から送信される飛行開始の指令にしたがって無人飛行体40の飛行を開始する。また、飛行制御部57は、飛行開始の指令とともに取得される所定の対象地点を撮影可能な位置へ無人飛行体40を移動させる飛行制御処理を実行する。本実施形態では、飛行制御部57は、運転支援制御装置20から、対象地点の緯度及び経度の情報を取得し、位置検出センサ47から送信される無人飛行体40の位置情報に基づいて無人飛行体40を対象地点へ移動させる自律飛行制御を実行する。
【0035】
また、飛行制御部57は、車両5が対象地点を通過した後には、無人飛行体40を車両5の飛行体ベース15へ帰還させる。例えば飛行制御部57は、運転支援制御装置20から車両5の位置情報を取得し、位置情報により特定される車両5の位置が、対象地点の位置を通過したときに、車両5が対象地点を通過したと判定する。また、飛行制御部57は、運転支援制御装置20から送信される車両5の位置情報に基づいて無人飛行体40を車両5の近傍へ移動させ、撮像装置41により撮像される画像データに基づいて認識される飛行体ベース15へと、所定の向きで無人飛行体40を着陸させる。
【0036】
本実施形態では、飛行制御部57は、4つのプロペラ駆動モータ45の出力を個別に制御することにより、無人飛行体40の高さ、移動方向及び移動速度を制御する。飛行制御部57は、無人飛行体40の飛行を制御する間、飛行体状態センサ48から送信される加速度及び角速度の情報を取得し、無人飛行体40の姿勢を制御する。また、無人飛行体40は、少なくとも無人飛行体40の下方の地面までの距離を計測可能な図示しない距離センサを備えている。飛行制御部57は、無人飛行体40を所定の高さで維持させながら、無人飛行体40の飛行を制御する。
【0037】
さらに、飛行制御部57は、無人飛行体40が車両5に設けられた飛行体ベース15に帰還した際に、無人飛行体40のバッテリ49の充電の要否を判定し、バッテリ49の充電が必要と判定した場合に運転支援制御装置20へバッテリ49の充電要求指令を送信する。
【0038】
撮像処理部59は、所定の演算周期で撮像装置41を駆動して撮像装置41から出力される画像データを取得し、当該画像データに基づいて物体認識処理を実行する。撮像処理部59は、主に他車両や歩行者、自転車、ガードレールその他の車両5の通行に障害となり得る物体を認識する。撮像処理部59による物体認識処理は、エッジ検出処理及びパターンマッチング処理等の従来公知の画像処理の技術により実行され得る。撮像処理部59は、この他に、認識した物体の種類、移動速度及び移動方向を算出してもよい。物体の種類は、例えば画像マッチング処理により特定することができる。物体の移動速度及び移動方向は、時系列で認識される物体の位置の時間変化に基づいて算出することができる。
【0039】
(2-2.処理動作)
図3~
図4は、無人飛行体40の飛行体制御装置50による処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0040】
飛行体制御装置50の処理部53は、運転支援制御装置20から飛行開始指令を受信するまでの間、無人飛行体40を待機状態とする。つまり、処理部53は、運転支援制御装置20からの飛行開始指令を受信する機能以外は停止状態として維持する。
【0041】
飛行制御部57は、運転支援制御装置20から対象地点の位置情報(緯度及び経度)とともに飛行開始指令を受信すると(ステップS11)、無人飛行体40を対象地点へ移動させる処理を実行する(ステップS13)。具体的に、飛行制御部57は、無人飛行体40の位置検出センサ47から位置情報(緯度及び経度)を取得し、無人飛行体40の位置情報と対象地点の位置情報とに基づいて、無人飛行体40の位置から対象地点までのベクトルを求める。また、飛行制御部57は、求めたベクトルに基づいて4つのプロペラ駆動モータ45それぞれの出力を制御し、無人飛行体40を対象地点の方向へ向けて飛行させる。
【0042】
また、飛行制御部57は、距離センサにより計測される無人飛行体40から地面までの高さをあらかじめ設定した所定の高さに維持させて移動させる。なお、飛行制御部57は、位置検出センサ47により検出される無人飛行体40の位置が対象地点の位置と重なる地点まで無人飛行体40を移動させてもよく、撮像装置41の撮影範囲に対象地点が入る地点まで無人飛行体40を移動させてもよい。これにより、無人飛行体40は、車両5よりも先に対象地点に到達する。
【0043】
無人飛行体40が対象地点まで移動すると、撮像処理部59は、撮像装置41による撮像を開始する(ステップS15)。例えば撮像処理部59は、撮像装置41により、対象地点を含む周辺の領域を上空から撮像する。次いで、撮像処理部59は、撮像装置41により生成された画像データを取得する(ステップS17)。撮像処理部59は、撮像を開始した後、所定の演算周期で撮像装置41により撮像を行わせ、生成される画像データを取得する。
【0044】
次いで、撮像処理部59は、取得した画像データに基づいて物体認識処理を実行する(ステップS19)。例えば撮像処理部59は、画像データからエッジ検出処理等の技術を利用して特徴点を抽出し、あらかじめ記憶された種々の物体の特徴点のデータとのマッチング(パターンマッチング処理ともいう)を行い、計測範囲に存在する物体を認識する処理を実行する。撮像処理部59は、主に他車両や歩行者、自転車等の移動体、あるいは、側壁や建築物等の建造物を認識する。
【0045】
また、撮像処理部59は、認識した移動体の現実空間上での移動速度及び移動方向を演算により求めてもよい。例えば撮像処理部59は、所定の演算周期で送信される画像データ中における移動体の位置又は大きさの時間変化に基づいて、現実空間上での移動体の移動速度及び移動方向を演算により求めることができる。ただし、認識された移動体の速度及び移動方向を求める方法は、従来公知の技術を利用して実行されればよく、特に限定されるものではない。
【0046】
次いで、通信制御部55は、撮像装置41により生成された画像データ、及び、撮像処理部59による物体の認識結果の情報を運転支援制御装置20へ送信する(ステップS21)。
【0047】
次いで、飛行制御部57は、車両5が対象地点を通過したか否かを判定する(ステップS23)。例えば飛行制御部57は、運転支援制御装置20から車両5の位置情報を取得し、位置情報により特定される車両5の位置が、対象地点の位置を通過したときに、車両5が対象地点を通過したと判定する。飛行制御部57が車両5が対象地点を通過したと判定しない場合(S23/No)、撮像処理部59は、ステップS17に戻って、画像データの取得、物体認識処理、及び運転支援制御装置20への画像データ並びに認識結果の情報の送信を繰り返す。
【0048】
この間、飛行制御部57は、運転支援制御装置20から送信される車両5の位置情報に基づいて、対象地点に近づく車両5が撮影範囲内に入るように、無人飛行体40の位置及び向きを制御してもよい。また、飛行制御部57は、車両5が対象地点を通過する間、車両5と周囲の物体との位置関係あるいは距離を認識しやすい位置へと無人飛行体40を移動させてもよい。例えば車両5が左折する際に、右前方のコーナーと左折先の道路の右側の側壁との間の距離が短くなる場合、車両5と側壁との間を車両5の前方から撮影可能な位置へ無人飛行体40を移動させてもよい。
【0049】
一方、飛行制御部57は、車両5が対象地点を通過したと判定した場合(S23/Yes)、無人飛行体40を車両5の飛行体ベース15へ移動させる処理を実行する(ステップS25)。例えば飛行制御部57は、運転支援制御装置20から送信される車両5の位置情報と、位置検出センサ47により検出される無人飛行体40の位置情報とに基づいて無人飛行体40を車両5の近傍へ移動させる。そして、飛行制御部57は、撮像装置41により撮像される画像データに基づいて認識される飛行体ベース15へと、所定の向きで無人飛行体40の着陸を試みる。ただし、無人飛行体40を飛行体ベース15へ帰還させる方法は上記の例に限定されるものではない。
【0050】
次いで、飛行制御部57は、無人飛行体40が飛行体ベース15に着陸したか否かを判定する(ステップS27)。例えば飛行制御部57は、撮像処理部59による撮像画像中の所定位置及び所定範囲に、飛行体ベース15にあらかじめ設定された目印が収められたときに、無人飛行体40が飛行体ベース15に着陸したと判定する。目印は、飛行体ベース15に描画された絵や文字であってもよく、飛行体ベース15の一部の形状であってもよく、光等の視覚により認識可能な目印であってもよい。その他、無人飛行体40が飛行体ベース15に着陸したか否かの判定方法は特に限定されるものではない。
【0051】
飛行制御部57は、無人飛行体40が飛行体ベース15に着陸したと判定しない場合(S27/No)、ステップS27の判定を繰り返す。飛行制御部57は、無人飛行体40が飛行体ベース15に着陸したと判定した場合(S27/Yes)、バッテリ49の残存容量の情報を取得する(ステップS29)。例えば飛行制御部57は、バッテリ49の出力電圧及び電流値に基づいてバッテリ49の残存容量を算出する。バッテリ49の残存容量等の状態を管理するコントローラが備えられている場合、飛行制御部57は、当該コントローラからバッテリ49の残存容量の情報を取得してもよい。
【0052】
次いで、飛行制御部57は、バッテリ49の充電が必要か否かを判定する(ステップS31)。例えば飛行制御部57は、バッテリ49の残存容量が任意に設定された所定の閾値未満の場合、バッテリ49の充電が必要と判定する。飛行制御部57は、バッテリ49の充電が必要と判定しない場合(S31/No)、無人飛行体40の飛行制御を終了させる。これにより、無人飛行体40は、次に飛行開始指令を受信するまで待機状態に移行する。
【0053】
一方、飛行制御部57は、バッテリ49の充電が必要と判定した場合(S31/Yes)、運転支援制御装置20に対して、バッテリ49の充電要求指令を送信する(ステップS33)。運転支援制御装置20は、バッテリ49の充電要求指令を受けて、バッテリ49の充電を開始する。その後、飛行指示部29は、バッテリ49の充電が完了したか否かの判定を繰り返す(ステップS35)。例えば飛行指示部29は、バッテリ49の残存容量が所定の充電終了閾値に到達したときに充電が完了したと判定してもよく、運転支援制御装置20からバッテリ49の充電が完了したことを示す信号を受信したときに充電が完了したと判定してもよい。
【0054】
以上のようにして、飛行体制御装置50は、運転支援制御装置20から対象地点の指定とともに飛行開始指令を取得してから、無人飛行体40が飛行体ベース15に帰還するまでの間、無人飛行体40を飛行させ、対象地点を含む周囲の撮像画像のデータを運転支援制御装置20へ送信する。
【0055】
<3.車載装置>
(3-1.構成)
図5は、車載装置10の構成例を示すブロック図である。
車載装置10は、画像表示装置11、位置検出センサ17、風圧計18、ナビゲーションシステム19、充電装置16、バッテリ13及び運転支援制御装置20を備えている。運転支援制御装置20には、専用線又はCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Inter Net)等の通信手段を介して、画像表示装置11、位置検出センサ17、風圧計18、ナビゲーションシステム19及び充電装置16が接続されている。なお、運転支援制御装置20は、車両5に搭載された電子制御装置に限られるものではなく、タッチパッドやウェアラブル機器等の端末装置であってもよい。
【0056】
画像表示装置11は、運転支援制御装置20により駆動され、ドライバに視認可能な種々の情報を表示する。画像表示装置11は、例えばダッシュボードやインストルメントパネルに設置される液晶パネル等の光学パネルからなる表示装置であってもよく、車両5のフロントウィンドウ上に表示を行うヘッドアップディスプレイ(HUD)であってもよい。
【0057】
位置検出センサ17は、GPS(Global Positioning System)衛星に代表されるGNSS(Global Navigation Satellite System)の測位衛星からの衛星信号を受信する。位置検出センサ17は、受信した衛星信号に含まれる車両5の位置情報を運転支援制御装置20へ送信する。なお、位置検出センサ17は、GPSセンサ以外に、車両5の位置を特定する他の衛星システムからの衛星信号を受信するアンテナが備えられていてもよい。
【0058】
風圧計18は、車両5の外面の任意の位置に設けられて風圧を計測する。
【0059】
ナビゲーションシステム19は、ドライバ等の乗員により入力される目的地までの走行ルートを設定し、車両5を目的地までガイドする情報をドライバに通知する。ナビゲーションシステム19は、例えば画像表示及び音声出力により、車両5を目的地までガイドする情報を通知する。本実施形態では、ナビゲーションシステム19により表示される画像やテキスト情報は、画像表示装置11により表示される。ただし、ナビゲーションシステム19による表示は、画像表示装置11とは異なる表示装置により行われてもよい。
【0060】
充電装置16は、運転支援制御装置20により駆動されて、無人飛行体40に搭載されたバッテリ49を充電する。具体的に、非接触式の充電装置16は、無人飛行体40が飛行体ベース15に載置された状態で、無人飛行体40の充電回路へ給電可能な構成を有する。車載装置10の充電装置16及び無人飛行体40の充電回路による非接触充電システムは、公知の技術により実現されてよい。バッテリ13は、例えば車両5の駆動系に電力を供給する高電圧バッテリであってもよく、車両5の補機その他のシステムに電力を供給する低電圧バッテリであってもよい。
【0061】
運転支援制御装置20は、CPU等の一つ又は複数のプロセッサがコンピュータプログラムを実行することで、ドライバによる車両5の運転を支援する装置として機能する。当該コンピュータプログラムは、運転支援制御装置20が実行すべき後述する動作をプロセッサに実行させるためのコンピュータプログラムである。プロセッサにより実行されるコンピュータプログラムは、運転支援制御装置20に備えられた記憶部(メモリ)35として機能する記録媒体に記録されていてもよく、運転支援制御装置20に内蔵された記録媒体又は運転支援制御装置20に外付け可能な任意の記録媒体に記録されていてもよい。
【0062】
コンピュータプログラムを記録する記録媒体としては、ハードディスク、フロッピーディスク及び磁気テープ等の磁気媒体、CD-ROM、DVD、及びBlu-ray(登録商標)等の光記録媒体、フロプティカルディスク等の磁気光媒体、RAM及びROM等の記憶素子、並びにUSBメモリ及びSSD等のフラッシュメモリ、その他のプログラムを格納可能な媒体であってよい。
【0063】
運転支援制御装置20は、通信部21、処理部23、記憶部35及び地図データ記憶部37を備えている。処理部23は、CPU等の一つ又は複数のプロセッサや種々の周辺部品を備えて構成される。処理部23の一部又は全部は、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。
【0064】
通信部21は、無線通信手段を介して、飛行体制御装置50と通信するためのインタフェースである。運転支援制御装置20は、通信部21を介して飛行体制御装置50との間で情報の送受信を行う。
【0065】
記憶部35は、処理部23と通信可能に接続された一つ又は複数のRAM又はROM、HDDやCD、DVD、SSD、USBフラッシュ、ストレージ装置等の記憶媒体により構成される。ただし、記憶部35の種類や数は特に限定されない。記憶部35は、処理部23により実行されるコンピュータプログラムや、演算処理に用いられる種々のパラメータ、検出データ、演算結果等の情報を記憶する。記憶部35の一部は、処理部23のワーク領域として使用される。
【0066】
地図データ記憶部37は、処理部23と通信可能に接続されたRAM又はROM等の記憶素子、あるいは、HDDやCD、DVD、SSD、USBフラッシュ、ストレージ装置等の記憶媒体により構成される。地図データ記憶部37に記憶される地図データは、位置検出センサ17により検出される位置情報に基づいて車両5の位置と関連付け可能に構成されている。例えば地図データは、緯度及び経度の情報に関連付けられており、処理部23は、位置検出センサ17により検出される車両5の緯度及び経度の情報に基づいて地図データ上の車両5の位置を特定することができる。
【0067】
処理部23は、通信制御部25、対象地点設定部27、飛行指示部29、表示制御部31及び充電制御部33を備える。これらの各部の機能は、プロセッサによるコンピュータプログラムの実行により実現される。なお、通信制御部25、対象地点設定部27、飛行指示部29、表示制御部31及び充電制御部33のうちの一部が、アナログ回路等のハードウェアにより構成されていてもよい。
【0068】
通信制御部25は、飛行体制御装置50と通信し、種々の情報を送受信する。例えば通信制御部25は、飛行体制御装置50と通信し、無人飛行体40の飛行指令を送信し、また、飛行体制御装置50から送信される画像データ及び認識情報を受信する。
【0069】
対象地点設定部27は、ドライバに対して、車両5の運転を支援する情報を提示する対象地点を設定する処理を実行する。本実施形態では、対象地点設定部27は、ドライバが指定した対象地点を、車両5の運転を支援する情報を提示する対象地点として設定する。例えば画像表示装置11が、ユーザの入力操作を受け付けるタッチパネルを用いて構成されている場合、ユーザが画像表示装置11に表示される地図データ中の道路上の所定位置を対象地点として選択する操作を行うことにより、対象地点設定部27は、当該地点を対象地点として設定する。
【0070】
あるいは、地図データ記憶部37に記憶される地図データに、事故多発地点等の運転に注意を要する対象地点候補があらかじめ記録され、画像表示装置11に地図データとともに対象地点候補を表示させて、ユーザにいずれかの対象地点候補を選択させてもよい。
【0071】
飛行指示部29は、ドライバによる車両5の運転を支援する情報を提示する対象地点を指定して飛行体制御装置50に対して無人飛行体40の飛行開始の指令を送信する飛行指令処理を実行する。例えば飛行指示部29は、車両5から対象地点までの距離が所定の閾値以下となったタイミングで、飛行体制御装置50に対して対象地点の緯度及び経度の情報とともに、無人飛行体40の飛行開始の指令を送信する。
【0072】
本実施形態では、飛行指示部29は、風圧計18により計測される風圧あるいは風速の情報に基づいて無人飛行体40の飛行が可能かを判定する。飛行指示部29は、風圧あるいは風速が所定の基準値よりも大きい場合には無人飛行体40の飛行が不可能であると判定する一方、風圧あるいは風速が所定の基準値よりも小さい場合に飛行体制御装置50への飛行開始の指令の送信を可能にする。
【0073】
表示制御部31は、無人飛行体40から取得した画像データ及び物体の認識結果の情報を、車両5のドライバが視認可能な情報として画像表示装置11に表示させる表示制御処理を実行する。表示制御部31は、画像データ及び認識された物体の位置の情報を画像表示装置11に表示させてもよく、認識された物体と車両5との距離に基づいてドライバへの警告を表示させてもよい。
【0074】
充電制御部33は、無人飛行体40のバッテリ49の充電を制御する。例えば充電制御部33は、飛行体制御装置50からバッテリ49の充電を要求する充電要求指令の信号を受信したときに、充電装置16を駆動して無人飛行体40の充電回路へ給電する。また、充電制御部33は、無人飛行体40のバッテリ49の充電を開始した後、バッテリ49の充電が終了したときに、充電装置16による給電を停止するとともに、バッテリ49の充電が完了したことを示す信号を飛行体制御装置50へ送信する。
【0075】
(3-2.運転支援制御装置の動作)
続いて、本実施形態に係る運転支援システム1の動作を、運転支援制御装置20及び飛行体制御装置50の処理手順に沿って具体的に説明する。
【0076】
図6は、運転支援制御装置20の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図6に示したフローチャートは、本開示の運転支援機能が起動された状態で常時実行される。
【0077】
車両5に搭載された運転支援制御装置20の処理部23が運転支援機能の起動を検知すると(ステップS41)、飛行指示部29は、無人飛行体40の飛行が可能か否かを判定する(ステップS43)。具体的に、飛行指示部29は、風圧計18により計測される風圧あるいは風速の情報に基づいて無人飛行体40の飛行が可能かを判定する。飛行指示部29は、風圧あるいは風速が所定の基準値以上の場合には無人飛行体40の飛行が可能であると判定せずに(S43/No)、ステップS43の判定を繰り返す。一方、飛行指示部29は、風圧あるいは風速が所定の基準値未満の場合に無人飛行体40の飛行が可能であると判定し(S43/Yes)、飛行体制御装置50への飛行開始の指令の送信を可能にする。
【0078】
次いで、対象地点設定部27は、ドライバによる車両5の運転を支援する情報を提示する対象地点を設定する(ステップS45)。本実施形態では、対象地点設定部27は、ドライバにより指定される地点を対象地点として設定する。
【0079】
図7は、本実施形態の対象地点設定部27による対象地点設定処理の一例を示すフローチャートである。
対象地点設定部27は、ナビゲーションシステム19により画像表示装置11に表示されている地図データ上に、あらかじめ地図データ記憶部37に位置情報が記録された対象地点候補を表示させる(ステップS61)。対象地点候補は、事故多発地点、道幅が狭い地点及び見通しが悪い地点等、運転に注意を要する地点としてあらかじめ記録された地点である。ユーザが、任意の地点を対象地点候補として追加可能になっていてもよい。
【0080】
次いで、対象地点設定部27は、ドライバ等のユーザによりいずれかの対象地点候補が選択されたか否かを判定する(ステップS63)。例えば対象地点設定部27は、タッチパネル式の画像表示装置11に表示された対象地点候補のいずれかにユーザが触れたか否かを判定する。対象地点設定部27は、ユーザによりいずれかの対象地点候補が選択された場合(S63/Yes)、選択された対象地点候補を対象地点として設定する(ステップS65)。具体的に、対象地点設定部27は、選択された対象地点候補の緯度及び経度の情報を、対象地点の位置情報として記録する。
【0081】
一方、対象地点設定部27は、ユーザによりいずれかの対象地点候補が選択されたと判定しない場合(S63/No)、ユーザが対象地点候補以外の任意の地点を指定したか否かを判定する(ステップS67)。例えば対象地点設定部27は、タッチパネル式の画像表示装置11に表示された地図データ上の任意の地点にユーザが触れたか否かを判定する。対象地点設定部27は、ユーザにより対象地点候補以外の任意の地点が指定された場合(S67/Yes)、指定された地点を対象地点として設定する(ステップS69)。具体的に、対象地点設定部27は、指定された地点の緯度及び経度の情報を、対象地点の位置情報として記録する。
【0082】
一方、対象地点設定部27は、ユーザにより対象地点候補以外の任意の地点が指定されたと判定しない場合(S67/No)、対象地点の設定をせずに対象地点設定処理を終了する。
【0083】
図6に戻り、対象地点設定処理の終了後、飛行指示部29は、対象地点が設定されているか否かを判定する(ステップS47)。飛行指示部29は、対象地点設定部27により、対象地点の位置情報が記録されているか否かを判定する。飛行指示部29が対象地点が設定されていると判定しない場合(S47/No)、ステップS57に進み、処理部23は、運転支援制御装置20による支援機能が停止されたか否かを判定する(ステップS57)。処理部23は、支援機能が停止されたと判定しない場合(S57/No)、ステップS45に戻る。
【0084】
一方、飛行指示部29は、対象地点が設定されていると判定した場合(S47/Yes)、車両5から対象地点まで距離が所定距離内であるか否かを判定する(ステップS49)。具体的に、飛行指示部29は、位置検出センサ17から送信される車両5の位置情報(緯度及び経度)と、対象地点の位置情報(緯度及び経度)とに基づいて、車両5から対象地点までの距離を算出し、あらかじめ設定された所定距離より小さいか否かを判定する。所定距離は任意に設定されてよく、例えば50mであってよい。
【0085】
飛行指示部29は、車両5から対象地点まで距離が所定距離内であると判定しない場合(S49/No)、ステップS47に戻る。対象地点の設定に変更がない場合、飛行指示部29は、車両5から対象地点まで距離が所定距離内であると判定するまで、ステップS47及びステップS49を繰り返す。一方、対象地点の設定が解除されている場合、飛行指示部29は、ステップS45を否定判定(S47/No)してステップS57へ進む。
【0086】
飛行指示部29は、ステップS49において、車両5から対象地点まで距離が所定距離内であると判定した場合(S49/Yes)、飛行体制御装置50へ、対象地点の情報とともに飛行開始指令を送信する(ステップS51)。飛行指示部29が飛行開始指令を送信した後、表示制御部31は、表示制御処理を実行する(ステップS53)。
【0087】
図8は、表示制御部31による表示制御処理を示す説明図である。
表示制御部31は、無人飛行体40の飛行体制御装置50から画像データの送信が開始されるか否かを判定する(ステップS71)。例えば表示制御部31は、飛行体制御装置50から初回の画像データが送信されてきたときに、画像データの送信が開始されると判定する。あるいは、表示制御部31は、飛行体制御装置50から画像データの送信開始を示す信号を受信することにより、画像データの送信が開始されると判定してもよい。
【0088】
次いで、表示制御部31は、飛行体制御装置50から送信される画像データ及び物体認識結果の情報を取得する(ステップS73)。次いで、表示制御部31は、取得した画像データ及び物体認識結果の情報に基づいて、車両5と周囲の障害物との実空間上の距離を算出する(ステップS75)。例えば表示制御部31は、画像データ中に認識されている物体のなかから車両5を特定し、当該車両5と他の物体との距離を算出する。
【0089】
具体的に、表示制御部31は、車両5の位置情報に基づいて、車両5が対象地点を通過する際に画像データ中に認識された車両を、自らの車両5として特定することができる。また、表示制御部31は、飛行体制御装置50から取得される、画像データから認識された車両5やその他の物体までの距離の情報と、画像データ中の車両5とその他の物体との距離(ピクセル)とに基づいて、車両5と他の物体との距離を算出することができる。
【0090】
次いで、表示制御部31は、画像表示装置11を駆動し、飛行体制御装置50から取得した画像、認識された物体の情報及び車両5と物体との距離の情報を表示させる(ステップS75)。表示制御部31は、車両5との距離が所定の閾値以下の物体のみを選択して表示させてもよい。また、表示制御部31は、車両5と物体との距離の情報に代えて、あるいは、車両5と物体との距離の情報とともに、接近あるいは衝突を警告する表示を行ってもよい。あるいは、表示制御部31は、車両5と物体とが接近している箇所を拡大表示させてもよい。さらに、表示制御部31は、車両5と物体との接近あるいは衝突を警告する警告音を出力させてもよい。
【0091】
次いで、表示制御部31は、無人飛行体40からの画像データの送信が停止されたか否かを判定する(ステップS79)。例えば表示制御部31は、任意に設定された時間(例えば5秒)画像データが送信されない場合に、無人飛行体40からの画像データの送信が停止されたと判定する。表示制御部31は、車両5が対象地点を通過することに伴って無人飛行体40からの画像データの送信が停止されたと判定してもよい。
【0092】
表示制御部31は、無人飛行体40からの画像データの送信が停止されたと判定しない場合(S79/No)、ステップS73に戻り、無人飛行体40から取得した画像データ及び認識結果の情報に基づく画像表示処理を継続する。一方、表示制御部31は、無人飛行体40からの画像データの送信が停止されたと判定した場合(S79/Yes)、画像表示処理を終了させる。
【0093】
図6に戻り、表示制御が終了すると、充電制御部33は、無人飛行体40のバッテリ49を充電する充電処理を実行する(ステップS55)。
図9は、充電制御部33による充電処理の一例を示すフローチャートである。
【0094】
充電制御部33は、無人飛行体40が飛行体ベース15に着陸したか否かを判定する(ステップS81)。充電制御部33は、無人飛行体40が飛行体ベース15に着陸したことを示し信号を生成するセンサを用いて無人飛行体40が飛行体ベース15に着陸したと判定してもよい。あるいは、充電制御部33は、飛行体制御装置50から、無人飛行体40が飛行体ベース15に着陸したことを示す信号を取得することにより、無人飛行体40が飛行体ベース15に着陸したと判定してもよい。
【0095】
充電制御部33は、無人飛行体40が飛行体ベース15に着陸したと判定しない場合(S81/No)、ステップS81の判定を繰り返す。一方、充電制御部33は、無人飛行体40が飛行体ベース15に着陸したと判定した場合(S81/Yes)、無人飛行体40のバッテリ49の充電要求があるか否かを判定する(ステップS83)。本実施形態では、充電制御部33は、飛行体制御装置50からバッテリ49の充電を要求する充電要求信号を取得しているか否かを判定する。充電制御部33は、飛行体制御装置50からバッテリ49の残存容量、あるいは、出力電圧及び電流値の情報を取得し、バッテリ49の充電が必要か否かを判定してもよい。
【0096】
充電制御部33は、無人飛行体40のバッテリ49の充電要求があると判定しない場合(S83/No)、バッテリ49の充電を行わずに充電処理を終了させる。一方、充電制御部33は、無人飛行体40のバッテリ49の充電要求があると判定した場合(S83/Yes)、バッテリ49の充電制御を実行する(ステップS85)。具体的に、充電制御部33は、充電装置16の駆動を制御して無人飛行体40の充電回路へ電力を供給する。
【0097】
次いで、充電制御部33は、バッテリ49の充電を終了させるか否かを判定する(ステップS87)。例えば充電制御部33は、飛行体制御装置50から充電停止信号を取得した場合にバッテリ49の充電を終了させると判定する。あるいは、充電制御部33は、飛行体制御装置50から、バッテリ49の残存容量、あるいは、出力電圧及び電流値を取得し、バッテリ49の充電を終了させるかを判定してもよい。
【0098】
充電制御部33は、バッテリ49の充電を終了させると判定しない場合(S87/No)、バッテリ49の充電を終了させると判定するまでステップS87の判定を繰り返す。一方、充電制御部33は、バッテリ49の充電を終了させると判定した場合(S87/Yes)、充電装置16の駆動を停止するとともに、飛行体制御装置50へバッテリ49の充電完了信号を送信して、バッテリ49の充電処理を終了させる。
【0099】
図6に戻り、充電処理が終了した後、処理部23は、運転支援制御装置20による支援機能が停止されたか否かを判定する(ステップS57)。処理部23は、支援機能が停止されたと判定しない場合(S57/No)、ステップS45に戻る。以降、処理部23は、対象地点が設定された場合、ステップS45~ステップS55の処理を繰り返し実行する。
【0100】
<4.運転支援システムの適用事例>
続いて、本実施形態に係る運転支援システム1の適用事例を説明する。
【0101】
図10~
図13は、支援対象の車両5が、走行中の道路91の突き当りのT字路95を左折する場合に、本開示の技術を適用した事例を示す説明図である。
図10に示すように、T字路95が対象地点として設定されている場合、車両5がT字路95まで例えば50m手前に到達すると、運転支援制御装置20から飛行体制御装置50へ、対象地点の指定とともに無人飛行体40の飛行を開始させる指令が出力される。これに伴い、飛行体制御装置50は、無人飛行体40をT字路95へ向けて移動させる。
【0102】
図11に示すように、無人飛行体40がT字路95に到達すると、T字路95を含む周囲の撮影範囲を撮像し、運転支援制御装置20へ画像データ及び認識結果の情報を送信する。
図11に示す時点では、車両5は、T字路95に到達する前の状態であるため、運転支援制御装置20は、取得した画像のみを画像表示装置11に表示させている。
図11に示した例では、ドライバは、画像を確認することによって、左折先の道路93の左側に障害物97が存在していることを知ることができる。
【0103】
図12に示すように、車両5がT字路95を左折する際に、無人飛行体40は、車両5と障害物97との位置関係あるいは距離を認識しやすい位置へと移動する。
図12に示した例では、車両5が左折する際に、車両5の左側部と障害物97との位置関係及び距離、及び、車両5の右前部と左折先の道路93の左側の側壁99との位置関係及び距離をそれぞれ視認しやすい、車両5の前方の位置へ無人飛行体40が移動する。また、車両5が障害物97の脇を通過する間、運転支援制御装置20は、障害物97を強調して表示(図では太線で表示)するとともに、車両5と障害物97及び側壁99との間の距離をそれぞれ表示する。これにより、ドライバは、画像を確認しながら、障害物97及び側壁99との接触を回避する運転を行うことができる。
【0104】
図13に示すように、車両5がT字路95の左折先にある障害物97の脇を通過すると、飛行体制御装置50は、無人飛行体40を車両5の飛行体ベース15へと帰還させる。その後、運転支援制御装置20は、無人飛行体40のバッテリ49の充電処理を実行する。
【0105】
以上説明したように、本実施形態に係る運転支援システム1は、車両5と、撮像装置41を搭載した無人飛行体40と、を備えている。無人飛行体40は、撮像装置41と、撮像装置41による撮像及び無人飛行体40の飛行を制御する飛行体制御装置(第1の制御部)50を備えている。また、車両5は、飛行体ベース15と、ドライバに視認可能な画像を表示する画像表示装置11と、無人飛行体40の飛行開始の指令及び画像表示装置11による表示を制御する運転支援制御装置20とを備えている。そして、運転支援制御装置20は、ドライバによる車両5の運転を支援する情報を提示する対象地点を指定して飛行体制御装置50に対して無人飛行体40の飛行開始の指令を送信する飛行指令処理と、飛行体制御装置50から送信される撮像画像を画像表示装置11により表示させる表示制御処理と、を実行する。また、飛行体制御装置50は、運転支援制御装置20から送信される飛行開始の指令にしたがって対象地点を撮影可能な位置へ無人飛行体40を移動させる飛行制御処理と、対象地点を撮影した撮像画像を運転支援制御装置20へ送信する撮像処理と、を実行する。
【0106】
これにより、ドライバは、事故多発地点等の運転に注意を要する対象地点を指定して、車両5の進行方向を先回りして道路状況を把握することができる。また、車両5が対象地点を通過する間、運転支援システム1は、無人飛行体40から送信される画像を画像表示装置11に表示させて、ドライバによる運転を支援することができる。したがって、運転に注意を要する地点での事故の発生を抑制することができるだけでなく、車両5のドライバが支援を必要とする場合に無人飛行体40による撮影を行わせ、無人飛行体40の電力消費量を抑制しつつ、ドライバの違和感を低減することができる。
【0107】
また、本実施形態に係る運転支援システム1において、飛行体制御装置50は、車両5が対象地点を通過したか否かを判定し、車両5が対象地点を通過したと判定した場合、無人飛行体40を飛行体ベースへ帰還させる。したがって、ドライバによる操作を必要とせずに、無人飛行体40を自動で飛行開始及び帰還させることができ、無人飛行体40の飛行開始及びる帰還を待つことなく、車両5の走行を継続することができる。
【0108】
また、本実施形態に係る運転支援システム1において、車両5は、地図データ記憶部37と、車両5の位置情報を検出する位置検出センサ17とを備え、運転支援制御装置20は、地図データと、車両5の位置情報と、に基づいて、車両5の進行方向の前方に存在する少なくとも一つの対象地点候補を画像表示装置11へ表示させ、ドライバにより選択された対象地点候補を対象地点として指定する。これにより、運転中の車両5が通過する可能性が高く、かつ、運転に注意を要する地点における支援をドライバに提示することができ、ドライバが運転支援機能を利用しやすくなる。したがって、ドライバが支援を必要とする場合に無人飛行体40に撮影を行わせ、運転に注意を要する地点での事故の発生を抑制することができる。
【0109】
また、本実施形態に係る運転支援システム1において、飛行体ベース15は、無人飛行体40に搭載されたバッテリ49を充電する充電装置16を備え、運転支援制御装置20は、無人飛行体40が飛行体ベース15に帰還した後にバッテリ49を充電する飛行体充電処理を実行する。したがって、無人飛行体40のバッテリ49が常時十分に充電された状態となって、バッテリ49の枯渇により運転支援機能を利用できない状態となることを防ぐことができる。
【0110】
<5.変形例>
ここまで、本開示の一実施形態の運転支援システムを説明したが、上記実施形態は、種々の変形が可能である。
【0111】
例えば運転支援制御装置20は、車両5に設定された目的地までの走行ルートの途中に存在する対象地点候補を自動で対象地点として設定し、車両5が対象地点まで所定距離内となったときに、飛行体制御装置50に対して対象地点の指定とともに飛行開始の指令を送信してもよい。
【0112】
図14は、変形例による対象地点設定処理を説明するためのフローチャートである。
図14に示すフローチャートによる処理は、
図7に示した対象地点設定処理のステップS61の前に行われる。具体的に、対象地点設定部27は、対象地点設定処理を開始すると、まず、ナビゲーションシステム19の設定情報を取得し、目的地及び走行ルートが設定されているか否かを判定する(ステップS91)。
【0113】
対象地点設定部27は、ナビゲーションシステム19に目的地及び走行ルートが設定されていない場合(S91/No)、
図7に示したフローチャートのステップS61以降の処理へ移行する。一方、対象地点設定部27は、ナビゲーションシステム19に目的地及び走行ルートが設定されている場合(S91/Yes)、当該走行ルート上に存在する対象地点候補を抽出する(ステップS93)。そして、対象地点設定部27は、抽出した対象地点候補を、対象地点として設定する(ステップS95)。
【0114】
このように、走行予定のルート上に対象地点を自動で設定することにより、ドライバに対象地点を設定させる手間を省いて、運転に注意を要する地点を車両5が走行する際にドライバの運転を支援することができる。
【0115】
なお、変形例において、対象地点設定部27は、抽出した対象地点候補を地図データとともに画像表示装置11に表示させ、ユーザにいずれかの対象地点候補を選択させてもよい。
【0116】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術はかかる例に限定されない。本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0117】
例えば上記実施形態において、飛行体制御装置50及び運転支援制御装置20がそれぞれ有する機能の一部が、他の装置に備えられていてもよい。例えば上記実施形態では、車両5が対象地点を通過したときに無人飛行体40を飛行体ベース15に帰還させる処理の開始を飛行体制御装置50が判定していたが、当該判定を運転支援制御装置20が行ってもよい。具体的には、運転支援制御装置20が、車両5の位置情報に基づいて車両5が対象地点を通過したと判定したときに、飛行体制御装置50に対して、無人飛行体40を飛行体ベース15に帰還させる指令信号を送信してもよい。
【0118】
また、上記実施形態では、運転支援装置は、車両に搭載された電子制御装置により構成されていたが、本開示の技術は上記の例に限定されない。例えば運転支援装置は、無人飛行体の飛行体制御装置と通信可能であり、画像表示装置に対して駆動指令信号を送信可能な携帯端末により構成されてもよい。
【0119】
また、本開示の技術は、上記実施形態に記載された運転支援システムを搭載した車両、運転支援システムによる運転支援方法、コンピュータを上記の運転支援制御装置として機能させるコンピュータプログラム、及び当該コンピュータプログラムを記録した非一時的な有形の記録媒体としても実現することができる。
【符号の説明】
【0120】
1 :運転支援システム
5 :車両
10 :車載装置
11 :画像表示装置
13 :バッテリ
15 :飛行体ベース
16 :充電装置
19 :ナビゲーションシステム
20 :運転支援制御装置
21 :通信部
23 :処理部
25 :通信制御部
27 :対象地点設定部
29 :飛行指示部
31 :表示制御部
33 :充電制御部
35 :記憶部
37 :地図データ記憶部
40 :無人飛行体
41 :撮像装置
47 :位置検出センサ
48 :飛行体状態センサ
49 :バッテリ
50 :飛行体制御装置
51 :通信部
53 :処理部
55 :通信制御部
57 :飛行制御部
59 :撮像処理部
61 :記憶部