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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118234
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】情報処理方法及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20240823BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240823BHJP
   B60W 10/10 20120101ALI20240823BHJP
   B60W 20/12 20160101ALI20240823BHJP
   F16H 61/02 20060101ALI20240823BHJP
   F16H 59/66 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
G01C21/34
B60W60/00
B60W10/10 900
B60W20/12 ZHV
F16H61/02
F16H59/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024565
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大村 英雄
(72)【発明者】
【氏名】武田 航
(72)【発明者】
【氏名】船井 一宏
【テーマコード(参考)】
2F129
3D202
3D241
3J552
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129EE52
2F129FF36
2F129HH12
3D202BB33
3D202BB34
3D202CC15
3D202DD00
3D202DD50
3D241BB21
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE04
3D241DB01Z
3J552NA01
3J552NB01
3J552NB08
3J552PA39
3J552RA03
3J552RA06
3J552RB11
3J552RB22
3J552RB23
3J552SB09
3J552SB10
3J552VA74W
3J552VB09W
3J552VE03W
3J552VE08W
3J552VE10W
(57)【要約】
【課題】車両の制御が可能な信頼度が高い走行経路をより適切に設定する。
【解決手段】汎用マップを用いて車両C1の出発地から目的地までの第1経路をユーザ操作に基づいて取得し、第1経路を利用して車両C1の走行制御を実行する走行経路を設定するための情報処理方法である。この情報処理方法は、SDマップを用いて第1経路に対応する第2経路を抽出する抽出処理(ステップS703)と、第1経路を構成する複数の第1区間と、第2経路を構成する複数の第2区間とを対応区間毎に比較し、各区間の評価情報に基づいて、比較対象となる第1区間に対する第2区間の正しさを示す信頼度を区間毎に判定する判定処理(ステップS704)と、基準以上の信頼度を有すると判定された第2区間を走行経路として設定する設定処理(ステップS705乃至S709)とを含む。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1地図情報を用いて車両の出発地から目的地までの第1経路をユーザ操作に基づいて取得し、前記第1経路を利用して前記車両の走行制御を実行する走行経路を設定するための情報処理方法であって、
前記第1地図情報とは異なる地図情報であって前記走行制御に用いることが可能な第2地図情報を用いて、前記第1経路に対応する第2経路を抽出する抽出処理と、
前記第1経路を構成する複数の第1区間と、前記第2経路を構成する複数の第2区間とを対応区間毎に比較し、各区間の評価情報に基づいて、比較対象となる前記第1区間に対する前記第2区間の正しさを示す信頼度を区間毎に判定する判定処理と、
前記判定処理で基準以上の信頼度を有すると判定された前記第2区間を前記走行経路として設定し、前記基準未満の信頼度を有すると判定された前記第2区間を、前記走行制御を実行しない非走行経路として設定する設定処理と、を含む
情報処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理方法であって、
前記各区間の評価情報は、比較対象となる対応区間の連続性を示す連続性情報と、当該対応区間の角度を示す角度情報と、当該対応区間に関連付けられている道路の属性情報と、当該対応区間に関連付けられている道路に含まれる交差点の接続道路数を示す接続道路数情報とのうちの少なくとも1つであり、
前記判定処理では、
比較対象となる前記第2区間が連続性を有しないときには、当該第2区間の前記信頼度が前記基準未満であると判定し、
当該第2区間が連続性を有するときには、当該第2区間の比較対象となる前記第1区間及び当該第2区間のそれぞれに係る前記角度情報と、前記属性情報と、前記接続道路数情報とのうちの少なくとも1つに基づいて、当該第1区間に対する当該第2区間の前記信頼度を判定する、
情報処理方法。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理方法であって、
前記判定処理では、前記複数の第1区間と、前記複数の第2区間とが略隣接して平行となる場合において、前記複数の第2区間が連続性を有するときには、比較対象となる前記第1区間及び当該第2区間のそれぞれに係る前記属性情報と、前記接続道路数情報とのうちの少なくとも1つに基づいて、当該第1区間に対する当該第2区間の前記信頼度を判定する、
情報処理方法。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理方法であって、
前記車両の走行時において、前記車両の現在地を基準として前記車両が走行する確率が高い所定距離内の経路を、前記第2地図情報を用いて推定して推定経路を生成する推定経路生成処理と、
前記複数の第1区間のうちの前記推定経路に対応する比較区間と、前記推定経路とを比較し、これらの比較対象となる区間の評価情報に基づいて、前記比較区間に対する前記推定経路の正しさを示す信頼度を判定する推定経路判定処理と、
前記推定経路判定処理で前記基準以上の信頼度を有すると判定された前記推定経路を前記走行制御に用いる設定をし、前記基準未満の信頼度を有すると判定された前記推定経路を前記走行制御に用いない設定をする推定経路設定処理と、を含む、
情報処理方法。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理方法であって、
前記車両の走行時において、前記車両の現在地を基準として前記車両が走行する確率が高い所定距離内の経路を、前記第1地図情報を用いて推定して第1推定経路を生成し、当該所定距離内の経路を、前記第2地図情報を用いて推定して第2推定経路を生成する推定経路生成処理と、
前記第1推定経路と、前記第2推定経路とを比較し、前記第1推定経路及び前記第2推定経路の一致度に基づいて、前記第1推定経路に対する前記第2推定経路の正しさを示す信頼度を判定する推定経路判定処理と、
前記推定経路判定処理で前記基準以上の信頼度を有すると判定された前記第2推定経路を前記走行制御に用いる設定をし、前記基準未満の信頼度を有すると判定された前記第2推定経路を前記走行制御に用いない設定をする推定経路設定処理と、を含む、
情報処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理方法であって、
前記推定経路判定処理では、前記第1推定経路及び前記第2推定経路のそれぞれの形状を示す形状情報に基づいて、前記第1推定経路及び前記第2推定経路のそれぞれの形状が一致するか否かを判定し、前記第1推定経路及び前記第2推定経路のそれぞれの形状が一致するときには、前記第2推定経路が前記基準以上の信頼度を有すると判定し、
前記第1推定経路及び前記第2推定経路のそれぞれの形状が一致しないときには、前記第1推定経路及び前記第2推定経路のそれぞれに設定される補助経路を示す補助経路情報と、前記第1推定経路及び前記第2推定経路のそれぞれに関連付けられている属性情報とのうちの少なくとも1つに基づいて、前記第1推定経路に対する前記第2推定経路の前記信頼度を判定する、
情報処理方法。
【請求項7】
請求項1に記載の情報処理方法であって、
前記走行経路として設定された前記第2区間に関連付けられている道路の属性情報に基づいて、当該第2区間において前記車両の変速機の入出力の回転数比であるギア比を変更する制御を実行する制御処理、をさらに含む、
情報処理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理方法であって、
前記制御処理では、前記第2区間に関連付けられている道路の属性情報に基づいて、当該第2区間において走行抵抗が基準以上に高くなることが判定されたときには前記ギア比を上げる制御を実行する、
情報処理方法。
【請求項9】
請求項1に記載の情報処理方法であって、
前記車両は、ハイブリッド車両であり、
前記走行経路として設定された前記第2区間に関連付けられている道路の属性情報に基づいて、当該第2区間において前記車両のバッテリによる走行を制御する制御処理、をさらに含む、
情報処理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の情報処理方法であって、
前記制御処理では、前記第2区間に関連付けられている道路の属性情報に基づいて、当該第2区間において所定勾配以上の下り坂が存在することが判定されたときには前記バッテリの駆動割合を増加させる制御を実行する、
情報処理方法。
【請求項11】
請求項1から10の何れかに記載の情報処理方法であって、
前記情報処理方法は、前記第1経路を利用して前記車両の自動運転を実行する走行経路を設定するための情報処理方法であり、
前記走行制御は、前記自動運転を実行するための制御であり、
前記設定処理では、前記判定処理で基準以上の信頼度を有すると判定された前記第2区間を前記自動運転を実行する走行経路として設定し、前記基準未満の信頼度を有すると判定された前記第2区間を、前記自動運転を実行しない非走行経路として設定する、
情報処理方法。
【請求項12】
第1地図情報を用いて車両の出発地から目的地までの第1経路をユーザ操作に基づいて取得し、前記第1経路を利用して前記車両の走行制御を実行する走行経路を設定するための情報処理装置であって、
前記第1地図情報とは異なる地図情報であって前記走行制御に用いることが可能な第2地図情報を用いて、前記第1経路に対応する第2経路を抽出する抽出部と、
前記第1経路を構成する複数の第1区間と、前記第2経路を構成する複数の第2区間とを対応区間毎に比較し、各区間の評価情報に基づいて、比較対象となる前記第1区間に対する前記第2区間の正しさを示す信頼度を区間毎に判定する判定部と、
前記判定部により基準以上の信頼度を有すると判定された前記第2区間を前記走行経路として設定し、前記基準未満の信頼度を有すると判定された前記第2区間を、前記走行制御を実行しない非走行経路として設定する設定部と、を備える
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行制御を実行する走行経路を設定するための情報処理方法及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、経路検索用の地図データと車両制御用の地図データを用いて自動運転を行う技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/190025号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術では、経路検索用の地図データの更新頻度と、車両制御用の地図データの更新頻度とが異なる場合には、経路検索用の地図データを用いて生成された経路が、車両制御用の地図データに対応していないことも想定される。この場合には、車両の走行制御が可能な走行経路を適切に設定することが困難となるおそれがある。
【0005】
本発明は、車両の走行制御が可能な信頼度が高い走行経路をより適切に設定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、第1地図情報を用いて車両の出発地から目的地までの第1経路をユーザ操作に基づいて取得し、第1経路を利用して車両の走行制御を実行する走行経路を設定するための情報処理方法である。この情報処理方法は、第1地図情報とは異なる地図情報であって走行制御に用いることが可能な第2地図情報を用いて、第1経路に対応する第2経路を抽出する抽出処理と、第1経路を構成する複数の第1区間と、第2経路を構成する複数の第2区間とを対応区間毎に比較し、各区間の評価情報に基づいて、比較対象となる第1区間に対する第2区間の正しさを示す信頼度を区間毎に判定する判定処理と、判定処理で基準以上の信頼度を有すると判定された第2区間を走行経路として設定し、基準未満の信頼度を有すると判定された前記第2区間を、走行制御を実行しない非走行経路として設定する設定処理とを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両の走行制御が可能な信頼度が高い走行経路をより適切に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、車両に設置されている運転支援システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2図2は、運転支援システムにおいて自動運転に用いる地図情報を生成する場合の各情報の流れを模式的に示す図である。
図3図3は、汎用マップサーバを用いて車両の現在地から目的地までの経路を設定する場合におけるIVIのUI部に表示される表示画面の一例を示す図である。
図4図4は、汎用マップを用いて生成された経路と、SDマップに再現された経路とを簡略化して示す図である。
図5図5は、汎用マップを用いて生成された経路を構成するリンクに近いSDマップにおけるリンクを抽出する抽出方法の一例を示す図である。
図6図6は、汎用マップを用いて生成された経路を構成するリンクに近いSDマップにおけるリンクを抽出する抽出方法の一例を示す図である。
図7図7は、汎用マップを用いて生成された経路と、SDマップに再現された経路とを簡略化して示す図である。
図8図8は、汎用マップを用いて生成された経路と、SDマップに再現された経路とを簡略化して示す図である。
図9図9は、IVIにおける制御処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、汎用マップを用いて生成された経路と、この経路に基づいてSDマップ上に抽出された経路と、車両の現在地を基準として生成されたSDマップMPPとの関係を示す図である。
図11図11は、汎用マップを用いて生成された経路と、この経路に基づいてSDマップ上に抽出された経路と、車両の現在地を基準として生成されたSDマップMPPとの関係を示す図である。
図12図12は、汎用マップを用いて生成された汎用マップMPPと、SDマップを用いて生成されたSDマップMPPとの関係を示す図である。
図13図13は、IVIにおける制御処理の一例を示すフローチャートである。
図14図14は、IVIにおける制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0010】
[運転支援システムの構成例]
図1は、車両C1に設置されている運転支援システム1のシステム構成の一例を示す図である。
【0011】
運転支援システム1は、位置情報取得部50と、IVI(In-Vehicle Infotainment)100と、自動運転経路設定装置200と、自動運転コントローラ300とを備える。なお、IVI100、自動運転経路設定装置200及び自動運転コントローラ300のそれぞれは、有線通信又は無線通信を利用した通信方式によって接続される。また、IVI100、自動運転経路設定装置200及び自動運転コントローラ300のうちの少なくとも1つは、無線通信を利用した通信方式によってネットワーク10に接続されてもよい。ネットワーク10は、公衆回線網、インターネット等のネットワークである。なお、図1では、IVI100、自動運転経路設定装置200及び自動運転コントローラ300のそれぞれを別体として構成する例を示すが、これらのうちの一部を一体の機器として構成してもよく、これらの全部を一体の機器として構成してもよい。
【0012】
また、運転支援システム1は、ネットワーク10を経由した通信により、汎用マップサーバ20、SD(Standard MAP)マップサーバ30、HDマップ(High Definition 3D Map)サーバ40に接続される。
【0013】
汎用マップサーバ20は、汎用マップを管理するサーバである。また、汎用マップサーバ20は、IVI100からの経路探索要求に応じて、管理している汎用マップを用いて経路を探索し、その探索結果をIVI100に提供する。この汎用マップは、ネットワーク10を介してIVI100にダウンロードして用いることが可能な地図情報である。例えば、汎用マップを使用してIVI100のUI部140に地図を表示させ、この地図上において目的地までの経路を検索することが可能である。また、汎用マップでは、地図上の位置が実際の位置を示す位置座標に関連付けられており、その位置座標はSDマップ、HDマップにも適用される。なお、汎用マップは、非常に高い頻度(ほぼ毎日)で更新される。汎用マップとして、例えば、グーグル(登録商標)マップを用いることが可能である。
【0014】
SDマップサーバ30は、SDマップを管理するサーバである。また、SDマップサーバ30は、IVI100からの要求に応じて、管理しているSDマップをIVI100に提供する。ここで、SDマップは、一般に車両用のナビゲーション装置等で通常使用される地図情報である。なお、SDマップは、ナビゲーションマップと称することもある。例えば、SDマップは、車両C1が走行可能な様々な走行経路を識別するための地図情報であり、走行経路(互いに隣接する交差点を結ぶ最短の走行経路)を表すリンク、交差点を表すノードによりモデル化されている。そして、リンク及びノードは、位置座標により実際の位置と対応付けがなされており、例えば、GPS(Global Positioning System)の分解能程度の位置精度を有する。SDマップは、例えば、第2経路生成部113によりダウンロードされる。なお、SDマップの更新頻度は一般的に低い(例えば半年に1回程度)。また、SDマップは、自動運転の制御に用いることが可能な地図情報の一例である。
【0015】
HDマップサーバ40は、HDマップを管理するサーバである。また、HDマップサーバ40は、自動運転経路設定装置200からの要求に応じて、管理しているHDマップを自動運転経路設定装置200に提供する。ここで、HDマップは、自動運転を実現するために使用される高精度地図情報である。例えば、HDマップは、高精度な3次元データ等を含む地図情報であり、道路における白線の位置、車線等の座標も含めて詳細に定義されている道路データである。例えば、高精度なGPS及びカメラを用いて車両C1の位置精度を決めてやれば、車両C1が道路の車線のどこにいるかを検出できるように設定されている。なお、HDマップは、高精度マップと称することもある。
【0016】
すなわち、HDマップは、SDマップが網羅する走行経路をさらに高い分解能(位置精度)でモデル化した自動運転制御用の地図である。また、HDマップは、SDマップと同様に、走行経路(互いに隣接する交差点を結ぶ最短の走行経路)を表すリンク、交差点を表すノードを包含するとともに、例えば、当該走行経路中の走行車線(レーン)のモデルを包含する。HDマップは、例えば、自動運転経路設定装置200によりダウンロードされる。なお、HDマップは、SDマップよりも高い頻度(例えば3か月に1回程度)で更新される。ただし、上述した汎用マップ、SDマップ、HDマップのそれぞれの更新頻度は一例であり、これらに限定されない。
【0017】
なお、本実施形態で示すSDマップ、HDマップは、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)を備えていなくてもよい。
【0018】
また、本実施形態では、汎用マップ、SDマップ、HDマップのそれぞれを、車両C1の外部装置(汎用マップサーバ20、SDマップサーバ30、HDマップサーバ40)に格納して用いる例を示す。ただし、これらのうちの少なくとも一部を車両C1の内部に格納して用いてもよい。
【0019】
位置情報取得部50は、車両C1が存在する位置に関する位置情報を取得するものであり、取得された位置情報をIVI100、自動運転経路設定装置200及び自動運転コントローラ300のそれぞれに出力する。例えば、GPS、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)等を利用して位置情報を取得する受信機により実現できる。また、その位置情報には、信号の受信時における緯度、経度、高度等の位置に関する各データが含まれる。また、他の位置情報の取得方法により位置情報を取得してもよい。例えば、周囲に存在するアクセスポイントや基地局からの情報を用いて位置情報を導き出してもよい。また、ビーコンを用いて位置情報を取得してもよい。なお、車両C1の各種センサを用いて位置情報を取得してもよい。
【0020】
IVI100は、車両C1のダッシュボード上に設置される機器である。例えば、IVI100は、出力部142(表示部)に各種画像を表示したり、出力部142(音出力部)から音声出力をしたりする出力機器として機能する。また、IVI100は、出力部142(表示部)の表示画面におけるユーザの接触操作、近接操作に応じて各種操作を受け付けたり、ユーザが発する音に応じて各種操作を受け付けたりする入力機器として機能する。
【0021】
IVI100として、例えば、車載機器を用いることが可能である。この車載機器は、例えば、カーナビゲーション装置、オーディオ機器等の車載機器である。このように、IVI100は、カーナビゲーション装置、オーディオ機器等の車載機器を用いてもよく、これら以外の他の機器として新たに設置してもよい。
【0022】
IVI100は、制御部110と、記憶部120と、通信部130と、UI部140とを備える。なお、IVI100は、オーディオ機器等の各種機能を備えるが、ここでは、主に、車両C1の経路を生成する機能を中心にして説明する。
【0023】
制御部110は、記憶部120に記憶されている各種プログラムに基づいて各部を制御するものである。制御部110は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置により実現される。なお、車両C1の車両ECU(Electronic Control Unit)を制御部110としても使用してもよく、車両ECUとは異なる処理装置を制御部110として設けてもよい。
【0024】
制御部110は、汎用マップサーバ20、SDマップサーバ30から各マップを取得し、これらの各マップを用いて車両C1が走行する経路を設定するものである。具体的には、制御部110は、出力制御部111と、第1経路生成部112と、第2経路生成部113と、第2経路判定部114と、第2経路設定部115と、MPP処理部116とを備える。
【0025】
出力制御部111は、UI部140の出力部142から各種情報を出力させる制御を実行するものである。例えば、出力制御部111は、汎用マップサーバ20に格納されている汎用マップをネットワーク10を介して取得し、その汎用マップに対応する地図を出力部142から出力させる。
【0026】
第1経路生成部112は、汎用マップを用いて生成された経路(出発地から目的地までの経路)をユーザ操作に基づいて取得するものである。具体的には、第1経路生成部112は、汎用マップサーバ20において汎用マップを用いて生成された経路(出発地から目的地までの経路)に関する経路情報(汎用マップ経路情報)をネットワーク10を介して取得する。そして、第1経路生成部112は、その取得された汎用マップ経路情報を、第2経路生成部113、第2経路判定部114、第2経路設定部115に出力する。汎用マップを用いて生成された経路については、図3に示すように、UI部140に表示される。なお、第1経路生成部112は、汎用マップサーバ20から汎用マップを取得し、この汎用マップを用いて車両C1の出発地から目的地までの経路を生成してもよい。
【0027】
第2経路生成部113は、SDマップサーバ30からSDマップを取得し、汎用マップを用いて生成された経路に対応するSDマップ上の経路を生成するものである。そして、第2経路生成部113は、そのSDマップ上の経路に関するSDマップ経路情報を第2経路判定部114、第2経路設定部115に出力する。なお、SDマップ上の経路の生成方法については、図4乃至図8を参照して詳細に説明する。
【0028】
第2経路判定部114は、第1経路生成部112により生成された汎用マップ経路と、第2経路生成部113により生成されたSDマップ上の経路とを比較し、第2経路生成部113により生成されたSDマップ上の経路の信頼度を判定するものである。そして、第2経路判定部114は、その判定結果を第2経路設定部115に出力する。例えば、第2経路判定部114は、SDマップ上の経路を構成するリンクの連続性、属性情報、角度等に基づいて、その経路の信頼度を判定する。ここで、信頼度は、第2経路生成部113により生成されたSDマップ上の経路の正しさを示す指標であり、SDマップ上の経路を構成するリンク毎に判定される。なお、信頼度の判定方法については、図4図7図8を参照して詳細に説明する。
【0029】
第2経路設定部115は、第2経路判定部114により判定された信頼度に基づいて、第2経路生成部113により生成されたSDマップ上の経路を自動運転の経路として設定するものである。例えば、第2経路設定部115は、SDマップ上の経路を構成する各リンクに、第2経路判定部114により判定された信頼度に関する信頼度フラグを関連付けたSDマップ経路情報を自動運転コントローラ300に出力する。
【0030】
MPP処理部116は、車両C1の現在地から所定距離先(例えば、7km先)までの車両C1の進行方向の推定進路であるMPP(Most Provable Path)を生成するものである。そして、MPP処理部116は、そのMPPの信頼度を判定し、この判定結果に基づいて、そのMPPを自動運転コントローラ300に出力する。なお、MPPの信頼度の判定方法等については、図10乃至図14を参照して詳細に説明する。
【0031】
記憶部120は、各種情報を記憶する記憶媒体である。例えば、記憶部120には制御部110が各種処理を行うために必要となる各種情報(例えば、制御プログラム、汎用マップ、SDマップ)が記憶される。記憶部120として、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせを用いることができる。
【0032】
UI部140は、操作受付部141と、出力部142とを備える。なお、図示を省略するが、音入力部等の他の構成をUI部140に備えてもよい。この音入力部は、車両C1の内部の音(例えば、車両C1に乗車するユーザからの音)を取得するものであり、取得された音に関する音情報を制御部110に出力する。音入力部として、例えば、1又は複数のマイクや音取得センサを用いることができる。なお、表示部、音出力部、音入力部及び操作受付部141は、ユーザインタフェースの一例であり、これらのうちの一部を省略してもよく、他のユーザインタフェースを用いてもよい。
【0033】
操作受付部141は、車両C1に乗車するユーザからの各種操作を受け付けるものであり、その受け付けられた操作内容を制御部110に出力する。なお、操作受付部141及び出力部142については、ユーザがその指を表示面に接触又は近接することにより操作入力を行うことが可能なタッチパネルとして構成してもよく、別体のユーザインタフェースとして構成してもよい。別体のユーザインタフェースとして構成する場合には、ボタン、キーボード等の各種操作部材を操作受付部141として用いることが可能である。
【0034】
出力部142は、出力制御部111の制御に基づいて、各種情報を出力するものである。例えば、出力部142は、表示部及び音出力部により構成することが可能である。この表示部は、出力制御部111からの指示に基づいて、各種画像を表示する。なお、表示部として、例えば、有機EL(Electro Luminescence)パネル、LCD(Liquid Crystal Display)パネル等の表示パネルを用いることができる。また、音出力部は、出力制御部111からの指示に基づいて、各種音声を出力する。音出力部として、例えば、1又は複数のスピーカを用いることができる。
【0035】
自動運転経路設定装置200は、HDマップサーバ40からHDマップを取得し、このHDマップを用いて車両C1が自動運転を実行する自動運転経路を設定するものであり、その自動運転経路に関する経路情報を自動運転コントローラ300に出力する。自動運転経路設定装置200は、制御部210と、記憶部220と、通信部230とを備える。
【0036】
制御部210は、記憶部220に記憶されている各種プログラムに基づいて各部を制御するものである。制御部210は、例えば、CPU等の処理装置により実現される。なお、車両C1の車両ECUを制御部210としても使用してもよく、車両ECUとは異なる処理装置を制御部210として設けてもよい。
【0037】
記憶部220は、各種情報を記憶する記憶媒体である。例えば、記憶部220には制御部210が各種処理を行うために必要となる各種情報(例えば、制御プログラム、SDマップ)が記憶される。記憶部120として、例えば、ROM、RAM、SRAM、HDD、SSD、又は、これらの組み合わせを用いることができる。
【0038】
通信部230は、制御部210の制御に基づいて、有線通信又は無線通信を利用して、HDマップサーバ40との間で各種情報のやりとりを行うものである。
【0039】
自動運転コントローラ300は、車両C1の自動運転を実現するための制御を実行するコントローラである。例えば、自動運転コントローラ300は、SDマップを用いて生成された経路に対応する自動運転用の経路をHDマップから取得し、このHDマップを用いて車両C1の自動運転を実行する。この自動運転は、第2経路設定部115により自動運転の経路として設定されたSDマップ上の経路において実行される。この自動運転として、例えば、ハンズオフ、カーブでのブレーキ制御等が実行される。すなわち、自動運転コントローラ300は、地図情報に基づいて車両C1の自動運転制御を実行する。自動運転については、公知の自動運転技術を採用することが可能である。なお、例えば、車両C1のドライバがハンドル、アクセル、ブレーキ等を操作することで自動制御は解除される。
【0040】
[自動運転に用いる地図情報の生成例]
図2は、運転支援システム1において自動運転に用いる地図情報を生成する場合の各情報の流れを模式的に示す図である。
【0041】
点線の矩形410内では、汎用マップを用いた経路検索処理の流れを示す。また、点線の矩形420内では、汎用マップを用いて生成された経路をSDマップ上に再現する経路再現処理の流れを示す。また、点線の矩形430内では、HDマップを用いた経路生成処理の流れを示す。また、IVI100内での処理を点線の矩形で模式的に示す。
【0042】
点線の矩形410内に示すように、汎用マップサーバ20から取得された汎用マップが記憶部120に保持される(121)。そして、第1経路生成部112、汎用マップサーバ20により汎用マップを用いた経路が探索される(411)。この探索結果(汎用マップ経路)が、経路を共有するインターフェースを通じてSDマップ(クライアント)に転送される(412)。なお、そのインターフェースとして、例えば、VMS(Vehicle Map Service)を用いることが可能である。
【0043】
点線の矩形420内に示すように、SDマップサーバ30から取得されたSDマップが記憶部120に保持される(122)。そして、第2経路生成部113により汎用マップ経路がSDマップ上に転写されて再現される(422、422)。なお、汎用マップの経路をSDマップ上に重ね合わせることを転写と称して説明する。ただし、汎用マップの経路をSDマップ上に重ね合わせることを、展開、オーバーレイする等と称してもよい。また、汎用マップの経路がSDマップ上に転写された後に、汎用マップの経路に対応する経路をSDマップ上に生成することを、SDマップ上での再現と称して説明する。この再現後に、SDマップに再現されたSDマップ経路の信頼度が判定される(422)。なお、SDマップ上における経路の再現方法については、図4乃至図8を参照して詳細に説明する。また、SDマップ経路の信頼度の判定方法については、図4図7図8を参照して詳細に説明する。
【0044】
そして、SDマップ上において再現された経路(SDマップ経路)が所定の形式に変換され、自動運転コントローラ300に供給される(423)。この形式として、ADASIS v2 Formatを採用することが可能である。
【0045】
点線の矩形430内に示すように、HDマップサーバ40から取得されたHDマップが記憶部220に保持され、制御部210によりHDマップ経路が自動運転コントローラ300に供給される(211)。
【0046】
また、自動運転コントローラ300は、SDマップを用いて生成された経路情報と、HDマップを用いて生成された経路情報とを用いて自動運転に関する各種制御を実行する。
【0047】
ここで、SDマップを用いて出発地から目的地までの車両C1の経路を検索し、この検索されたSDマップの経路を、HDマップに渡すことも考えられる。しかし、市場のユーザの多くがスマートフォン等の電子機器を用いて汎用マップを使用して経路検索をしている。このため、汎用マップを用いて車両C1の経路を検索したいと所望するユーザが増加すると想定される。
【0048】
しかし、汎用マップは、経路検索については利用し易いが、自動運転制御用の地図データとして使用することは困難となることが想定される。すなわち、車両C1の自動運転を実現するためには、自動運転を実現するための各種パラメータが存在するHDマップ上に車両C1の経路を再現する必要がある。これに対して、汎用マップは、それらの各種パラメータを持っていない。すなわち、汎用マップは、車両C1の経路を生成することは可能であるが、自動運転を実現するための各種パラメータをHDマップに与えることができない。また、例えば、汎用マップは、機器により自動で順次更新されることが多い。これに対して、SDマップ、HDマップは、オペレータの手動操作等により各パラメータを設定していくことが多い。このため、汎用マップ、SDマップ、HDマップのそれぞれにおける地図情報が対応しなくなることが多い。
【0049】
そこで、本実施形態では、汎用マップを用いて生成された経路をSDマップ上に一度転写し、その転写された経路に沿ったSDマップにおける経路を生成し、そのSDマップにおける経路データに含まれるパラメータをHDマップに与える。すなわち、汎用マップを用いて生成された経路をSDマップ上にできる限り再現することで、SDマップ、HDマップの精度が高い状況を壊さないように、経路のデータを再現させることが可能となる。このように、SDマップ上における経路を用いて、車両C1の自動運転を実現する。すなわち、HDマップに正確な経路を渡すための仕組みを実現することが可能となる。これにより、車両C1の自動運転を、汎用マップを用いて生成された経路について実現可能となる。このように、本実施形態では、IVI100は、汎用マップを用いて生成された経路をSDマップに再現するコンバータのような役割をする。
【0050】
[汎用マップを用いた車両の経路設定例]
図3は、汎用マップサーバ20を用いて車両C1の現在地から目的地までの経路を設定する場合におけるIVI100のUI部140に表示される表示画面の一例を示す図である。図3では、汎用マップサーバ20から取得された地図情報(汎用マップ)に基づいて経路設定に用いる地図をIVI100のUI部140に表示させ、IVI100のUI部140に表示されている地図を用いて、ユーザ操作により車両C1の現在地から目的地までの経路を設定する設定例を示す。
【0051】
図3では、UI部140に東京都周辺の地図を表示させ、東京都のある位置を出発地S1とし、神奈川県のある場所を目的地G1とした場合に設定される車両C1の経路R1の一例を簡略化して示す。なお、出発地から目的地までの経路設定方法については、公知の設定方法を用いることが可能である。例えば、車両C1の現在地を出発地とし、UI部140に表示されている地図上において目的地を指定する指定操作(例えばタッチ操作)を行うことが可能である。また、例えば、目的地に関する文字入力により目的地を指定する指定操作(例えば入力操作)、目的地に関する情報を音声により指定する音声入力を行うことが可能である。
【0052】
これらの各ユーザ操作を操作受付部141が受け付けると、その各ユーザ操作を操作受付部141は制御部110に出力する。制御部110の第1経路生成部112は、そのユーザ操作に関する操作情報を汎用マップサーバ20に送信する。その操作情報を受信すると、汎用マップサーバ20は、その操作情報に基づいて、そのユーザ操作に対応する出発地から目的地までの経路を生成し、その生成された経路に関する経路情報をIVI100に送信する。
【0053】
汎用マップサーバ20から送信された経路情報をIVI100が受信すると、出力制御部111は、その経路情報に基づいて、汎用マップサーバ20により生成された出発地から目的地までの経路を地図上に重ねてUI部140に表示させる。例えば、図3に示すように、出発地S1から目的地G1までの経路R1が地図上に表示される。これにより、車両C1のユーザは、出発地S1から目的地G1までの経路R1を容易に確認することが可能である。また、経路R1において、自動運転を実行できない手動運転区間R2、R3と、自動運転を実行する自動運転区間とを識別可能な表示態様(例えば、色の変更、点線と実線、点滅と非点滅)とすることが可能である。図3では、手動運転区間R2、R3と自動運転区間とを異なる太さの線で表示し、手動運転区間表示領域MD1、MD2を設ける例を示す。この手動運転区間R2、R3については、基準未満の信頼度であると判定された区間である。なお、信頼度の判定方法、手動運転区間、自動運転区間の設定方法については、図4乃至図9等を参照して詳細に説明する。なお、他の機器で検索された経路をIVI100に転送して使用してもよい。例えば、車両C1のユーザが所持する電子機器(例えば、スマートフォン)を利用して汎用マップを用いた経路検索を実行し、この検索結果をIVI100に転送して使用してもよい。
【0054】
ここで、上述したように、汎用マップの更新頻度と、SDマップの更新頻度とが異なることが多いため、汎用マップを用いて生成された経路のうち、SDマップに存在しない部分が存在することも想定される。この場合に、汎用マップ及びSDマップの双方のリンクの連続性を確認し、違い過ぎて選べない箇所についてはスキップさせることも考えられる。しかし、このようなスキップ処理については、過探索の時間を抑制する効果があるが、連続性を無視してリンクを探索するおそれがあるため、誤ったリンクが選択されるおそれもある。この場合には、適切な自動運転を実現することが困難となるおそれがある。そこで、本実施例では、汎用マップを用いて生成された経路をSDマップ上に再現し、この再現後にSDマップ上に再現された経路の正しさを再度確認し、この確認結果に基づいて、信頼度の高いSDマップ上の経路を自動運転の制御に用いる。なお、リンクの連続性は、複数のリンクが連続して接続されていることを意味し、リンクの接続性と称することもできる。
【0055】
[汎用マップを用いて生成された経路をSDマップに再現する例]
図4は、汎用マップを用いて生成された経路SR1と、SDマップに再現された経路SR10とを簡略化して示す図である。図7は、汎用マップを用いて生成された経路SR1と、SDマップに再現された経路SR40とを簡略化して示す図である。図8は、汎用マップを用いて生成された経路SR5と、SDマップに再現された経路SR41乃至SR45とを簡略化して示す図である。
【0056】
図5及び図6は、汎用マップを用いて生成された経路SR2、SR3を構成するリンクに近いSDマップにおけるリンクを抽出する抽出方法の一例を示す図である。
【0057】
上述したように、本実施形態では、汎用マップを用いて生成された経路SR1をIVI100内に取り込むと、第2経路生成部113は、経路SR1をSDマップ上に再現する。
【0058】
ここで、汎用マップを用いて生成される経路を構成する区間情報と、SDマップを用いて生成される経路を構成する区間情報とについて説明する。これらの各区間情報は、地図上における道路を特定するものであり、ノード(点)及びリンク(線)の組み合わせにより表現される。なお、ノード及びリンクの組み合わせをセグメントと称することもある。
【0059】
ノードは、例えば、道路において所定の区切りとなる位置(例えば、交差点、所定のカーブ)に設定される。また、ノードは、地図上における座標(緯度、経度及び高度)により特定される。
【0060】
リンクは、一のノード(始点)と他のノード(終点)との間の道路区間を示す情報である。例えば、数m乃至数百m程度の道路区間がリンクとして設定される。また、直線のみでリンクが構成されることもあり、直線及び曲線でリンクが構成されることもある。なお、直線のみでリンクが構成される場合におけるカーブの道路区間については、曲率に応じて、直線のリンクが数m間隔で分割して設定される。なお、リンクの終点は、次のリンクの始点と重なることになり、リンクの連続性が確保される。すなわち、リンクの終点は、次のリンクの始点に接続されるように定義されている。また、これらの始点及び終点の関係は、順序情報(例えば、リンクID)等に基づいて特定が可能である。また、ノード及びリンクには、それぞれ固有の番号(例えば、リンクID)が設定され、属性情報が関連付けられている。また、リンクの長さ(距離)については、始点及び終点の関係(座標間の関係)に基づいて算出が可能である。例えば、あるリンクの長さを、次のリンクの始点で定義することも可能である。なお、本実施形態では、リンクの連続性が確保されたと称する場合には、リンクの接続性が確保されたことを意味するものとする。
【0061】
道路におけるリンクは、道路の形状、幅等によって適宜設定される。また、地図会社によってこれらの設定条件が異なる。例えば、道路幅が広い道路(例えば、100m幅の道路)に設定されるリンク(線)の場合には、道路の幅方向のどの位置にリンクが設定されるかによって、ノード及びリンクの座標がずれることも想定される。
【0062】
ノード及びリンクに関連付けられている属性情報(パラメータ)は、道路に関する各情報であり、例えば、道路の格を示す道路格情報(FRC(Functional Road Class))(例えば、高速道路、国道、都道府県市町村道、バイパス、一般道、農道)、道路の形状を示す形状情報(FoW(Form of Way)(例えば、カーブの曲率))、道路の制限速度に関する制限速度情報(例えば、100km、農道30km)、道路に関する他の情報(例えば、分岐、橋、トンネル、スロープ)である。
【0063】
ここで、ノード及びリンクに関連付けられている属性情報は、規格化されていないため、各マップを管理する地図会社に応じて異なるものが生成される。すなわち、汎用マップ、SDマップ、HDマップのそれぞれを管理する地図会社により、各マップに合わせた属性情報が生成され付与されている。このため、地図会社に応じて、ノード及びリンクに関連付けられている属性情報が異なっている。すなわち、汎用マップ、SDマップ、HDマップのそれぞれが異なる地図会社により管理されている場合には、汎用マップ、SDマップ、HDマップのそれぞれに関連付けられている属性情報は、異なることになる。
【0064】
上述したように、汎用マップを用いて生成された経路については、SDマップ上に転写することは可能である。しかし、その経路をSDマップ上に転写しただけでは、その経路をSDマップが認識していないため、SDマップ上における経路として用いることができない。このため、汎用マップを用いて生成された経路に近いノード及びリンクをSDマップから抽出して用いる。ただし、実際には数m程度は微妙にずれることもある。なお、汎用マップを用いて生成された経路に関連付けられている属性情報については、SDマップに再現した経路に関連付けることができないことが多い。
【0065】
図4に示す例では、第2経路生成部113は、汎用マップを用いて生成された経路SR1を構成する各ノードSP1乃至SP7、各リンクSG1乃至SG6のそれぞれについて、SDマップにおける各リンクのうちから、最も近い1又は複数のリンクを抽出する。この抽出方法については、図5図6を参照して説明する。なお、以下では、リンクを抽出する、又は、ノードを抽出すると称する場合には、リンク及びノードを抽出することも意味するものとする。
【0066】
図5には、地図の座標上における、汎用マップを用いて生成された経路SR2を構成するノードSP21、SP22、リンクSG21、SG22と、SDマップにおける各ノードN21乃至N28との関係を模式的に示す。なお、ノードSP21、SP22、ノードN21乃至N28は、それぞれ連続性を有するノードであるものとする。図5では、リンクSG21、SG22を直線で簡略化して示す。なお、図5では、SDマップにおける各ノードN21乃至N28のそれぞれのリンクの図示を省略する。
【0067】
点線で示す閾値TH1は、経路SR2に最も近いリンクであるか否かを判定するための判定基準となる値であり、例えば、実験データ等に基づいて適宜設定可能である。すなわち、閾値TH1は、汎用マップを用いて生成された経路SR2との距離を基準としてSDマップにおける各リンクを抽出するための基準値である。なお、経路SR2と、ノードN21乃至N28との距離については、最小二乗法等を用いて算出が可能である。閾値TH1として、例えば、数m乃至数十m程度の値を設定することが可能である。なお、閾値TH1として、距離の代わりに座標を用いてもよい。
【0068】
図5に示す例において、汎用マップを用いて生成された経路SR2に近いSDマップにおけるリンクを抽出する場合には、SDマップ上に、経路SR2を構成するノードSP21、SP22、リンクSG21、SG22を転写する。すなわち、地図上における座標に基づいて、経路SR2を構成するノードSP21、SP22、リンクSG21、SG22をSDマップ上に重ね合わせる。この重ね合わせた場合の一部を図5に示す。
【0069】
図5では、ノードN21乃至N28のうち、ノードN24、N27、N28が閾値TH1以下となる例を示す。上述したように、道路におけるリンクの設定条件については、地図会社によって異なるため、ノードN21乃至N28に対応する道路が、経路SR2に対応する道路と同じである場合でも、所定距離だけずれる可能性もある。そこで、本実施形態では、閾値TH1を用いた判定処理を実行して、ノードN21乃至N28のうちから、経路SR2に近いと推定されるノードを抽出する。
【0070】
例えば、連続するノードのうち、連続する2以上のノードが閾値TH1以下であることを抽出条件とすることが可能である。図5では、ノードN24は閾値TH1以下であるが、ノードN24の前後のノードN23、N25は、それぞれ閾値TH1以上である。このため、ノードN24については、経路SR2に近いノードとして抽出しない。一方、連続する2つのノードN27、N28は閾値TH1以下である。このため、ノードN27、N28については、経路SR2に近いノードとして抽出される。この場合には、抽出されたノードN27、N28を始点とするリンク及びノードが、経路SR2に近い区間情報として抽出される。
【0071】
なお、図5では、連続するノードのうち、連続する2以上のノードが閾値TH1以下であることを抽出条件とする例を示すが、連続するN以上のノードが閾値TH1以下であることを抽出条件としてもよい。ここで、Nは、2以上の整数であり、実験データ等で適宜設定可能である。なお、同一場所(又は略同一場所)において、汎用マップを用いて生成された経路に近いノード(閾値TH1以下であるノード)が複数抽出された場合には、これらのうちから最も近いノードを選択してもよい。
【0072】
図6には、地図の座標上における、汎用マップを用いて生成された経路SR3を構成するノードSP31、SP32、リンクSG31、SG32と、SDマップにおける各ノードN31乃至N38との関係を模式的に示す。図6では、連続する2つのノードN34、N35が閾値TH1以下であるため、ノードN34、N35が経路SR2に近いノードとして抽出される例を示す。なお、抽出方法については、図5と同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0073】
このように、汎用マップを用いて生成された経路の周囲に、SDマップにおけるリンク及びノードが存在するか否かをスキャンし、SDマップにおけるリンク及びノードが存在する場合には、そのリンク及びノードが抽出される。この場合において、汎用マップにおける1つの長いリンクに対して、SDマップにおけるリンクとして短い複数のリンクが存在する場合も想定される。このような場合には、その複数のリンクを全て抽出するようにする。
【0074】
このように、SDマップにおける各リンク及びノードの連続性と近さに基づいて、汎用マップを用いて生成された経路SR2、SR3に近い、SDマップにおける各リンク及びノードを抽出することが可能である。
【0075】
上述したように、汎用マップを用いて生成された経路の道路に一番近く、リンク及びノードが座標的にはその道路に入っているが、リンク及びノードの位置が数m程度ずれることも想定される。そこで、本実施形態では、汎用マップを用いて生成された経路の近傍でリンク及びノードを抽出し、それらのリンクの連続性を確認する。そして、リンクの連続性があるものについて、そのリンクの評価情報に基づいて、それらのリンクがその経路に対応するか否かを判定する。
【0076】
例えば、図4に示すように、SDマップにおける各リンクのうち、連続性を確保できるリンクが存在する場合には、それらの各リンクを繋ぎ合わせて、汎用マップを用いて生成された経路SR1に対応する経路SR10を構成することが可能である。
【0077】
ここで、SDマップにおける各リンクが繋がるか否かについては、近接する一のリンクの終点と、他のリンクの始点とが重なるか否かに基づいて判定が可能である。この判定では、近接する一のリンクの終点の座標と、他のリンクの始点の座標とが一致するか否かに基づいて判定してもよく、各リンクに付与されているリンクIDに基づいて、近接する一のリンクと、他のリンクとが連続するか否かを判定してもよい。
【0078】
このように、汎用マップを用いて生成された経路SR1に対応する経路SR10を再現することが可能な場合を、通常ケースと称して説明する。
【0079】
なお、後述するように、通常ケースの場合であっても、SDマップにおける各リンクの属性情報等を用いて各リンクの信頼度を判定し、この判定結果に基づいて、汎用マップを用いて生成された経路SR1に対応する経路SR10を再現してもよい。例えば、比較対象となるリンク(汎用マップのリンク、SDマップのリンク)に関連付けられている属性情報として道路格を用いて、各リンクの信頼度を判定することが可能である。例えば、比較対象となる各リンク(汎用マップのリンク、SDマップのリンク)に関連付けられている各道路格が同一である場合(例えば、国道412号線である場合)には、その各リンクの信頼度が基準以上であると判定することが可能である。このように、連続性が確保でき、かつ、信頼度が基準以上であるリンクについては、繋ぎ合わせることにより経路SR1を再現することが可能である。
【0080】
一方、汎用マップを用いて生成された経路SR1に対応するSDマップにおける経路を再現できないことも想定される。この例を図7に示す。また、汎用マップを用いて生成された経路SR1に対応する経路のうちの少なくとも一部を再現できない場合を、エラーケースと称して説明する。
【0081】
例えば、図7に示すように、SDマップにおける各リンクのうち、連続性を確保できるリンクが存在しない場合には、上述した抽出処理において適宜スキップしながら近傍のリンクを選択することになる。このような場合には、抽出されたSDマップにおける各リンクの信頼度を判定し、信頼度が基準以上となるリンクを繋ぎ合わせて、経路SR1に対応する経路を構成する。以下では、この信頼度の判定方法(エラーケースにおける判定方法)について説明する。
【0082】
ここで、上述したように、汎用マップの更新頻度と、SDマップの更新頻度とは異なることが多い。例えば、汎用マップの更新頻度は早く、SDマップの更新頻度は遅いことも想定される。このような場合において、汎用マップを用いて生成された経路に、新たに開設された道路が含まれるときには、その新たに開設された道路に関してエラーケースが発生することがある。すなわち、新たに道路が開設された直後にエラーケースが発生することが多い。そこで、新たに道路が開設された直後にエラーケースが発生するパターンとして主に以下の2パターンが想定される。
(パターン1)もともと道路がない場所(例えば、畑、山)に道路が開設される場合
(パターン2)もともと道路がある場所に並走する態様で道路(例えば、高速道路)が開設される場合
【0083】
ここで、エラーケースにおける判定方法には、各種のパラメータを用いることが可能である。例えば、リンクの連続性、角度、属性情報、交差点の接続道路数等のパラメータを用いることが可能である。これらの各パラメータを評価して、この評価結果に基づいて、リンクの信頼度を判定することが可能である。そして、信頼度が基準以上のリンクについては、再現すべき経路と判定し、信頼度が基準未満のリンクについては、再現しない経路と判定する。
【0084】
ここで、リンクの角度は、比較対象となる汎用マップのリンクに対するSDマップのリンクの角度である。例えば、比較対象となる汎用マップのリンクと、SDマップのリンクとが、同一の道路である場合、又は、平行している場合には、角度は0度となる。一方、比較対象となる汎用マップのリンクに対して、SDマップのリンクが数度傾いている場合には、その傾き角度となる。
【0085】
また、リンクの交差点の接続道路数は、そのリンクに接続される道路の数を意味する。例えば、そのリンクの始点、終点、又は、始点及び終点を結ぶ何れかの位置に、2つの道路が接続されている場合には、接続道路数は2となる。なお、リンクの交差点の接続道路数は、国、地域によって増えたり減ったりすることが多い。このため、他のパラメータとともに参考程度に使用してもよい。なお、リンクの交差点の接続道路数は、リンクの属性情報に含めて使用してもよい。
【0086】
例えば、各種のパラメータについて優先度を設定しておき、この優先度に基づいて、リンクの信頼度を判定することが可能である。例えば、リンクの連続性を第1優先とし、リンクの属性情報を第2優先とし、リンクの角度を第3優先とし、リンクの交差点の接続道路を第4優先とする。この場合には、第1優先としてリンクの連続性が確保され、かつ、第2優先としてリンクの属性情報(例えば、道路格、制限速度、道路の形状、標高差、トンネルの有無)が同一であることを条件に、リンクの信頼度が基準以上であると判定可能である。また、第1優先としてリンクの連続性が確保されているが、第2優先としてリンクの属性情報が同一でないと判定された場合でも、第3優先としてリンクの角度が0度の場合には、リンクの信頼度が基準以上であると判定してもよい。
【0087】
ここで、リンクの角度を用いた評価の場合には、基準となる角度を、リンクの他の情報に応じて適宜設定可能である。例えば、リンクの連続性が確保される場合には、リンクの角度が0度以外であっても(例えば、15度違っていても)、リンクの信頼度が基準以上であると判定してもよい。一方、リンクの連続性が確保されていない場合には、リンクの角度が0度(又は、数度程度)であっても、リンクの信頼度が基準未満であると判定してもよい。
【0088】
ここで、新設の道路等の場合には、リンクの属性情報が適切に付与されていないことも想定される。例えば、パイパス道路の場合には、一般道に平行して一般道の上側に立体的に設けられることもある。このような場合には、汎用マップを用いて生成された経路に含まれるバイパス道路に対するSDマップのリンクとして、そのバイパス道路の下側の一般道のリンクが抽出されることも想定される。この場合には、第1優先としてリンクの連続性が確保されているが、第2優先としてリンクの属性情報が不明であると判定され、第3優先としてリンクの角度が0度と判定される。そこで、このような場合には、第4優先としてリンクの交差点の接続道路数を用いて、リンクの信頼度を判定することが可能である。例えば、一般道の上側に設けられているバイパス道路の場合には、合流はあるが、交差点はないことが多い。これに対して、バイパス道路の下側の一般道の場合には、交差点が存在する。
【0089】
そこで、第1優先としてリンクの連続性が確保され、第2優先としてその属性情報が不明であり、第3優先としてその角度が0度と判定された場合には、第4優先としてリンクの交差点の接続道路数が同一であることを条件に、リンクの信頼度が基準以上であると判定することが可能である。一方、第4優先としてリンクの交差点の接続道路数が同一でない場合(例えば、汎用マップのリンクは交差点の数が0であり、SDマップのリンクは交差点の数が複数である場合)には、リンクの信頼度が基準未満であると判定することが可能である。
【0090】
以上では、各種のパラメータについて優先度を設定しておき、この優先度に基づいて、リンクの信頼度を判定する例を示したが、判定対象となる経路に応じて、優先順位を適宜設定してもよい。すなわち、判定条件に応じて、各種のパラメータのうちの少なくとも1つを用いて判定することが可能である。また、各種のパラメータを用いた所定の演算を実行することによりリンクの評価値を算出し、この評価値に基づいて、リンクの信頼度が基準以上であるか否かを判定してもよい。
【0091】
上述したように、汎用マップは、新設された道路の開業と略同時にその道路が反映されるため、その道路の経路を引くことが可能であるが、SDマップは、その道路の反映に比較的時間がかかることが多い。このため、リンク情報の連続性の有無を確認し、各リンクをつなぎ合わせて合成するが、各リンクの評価をして各リンクを再現するか否かを判定する。例えば、同じ座標にいるが、同じ道路か、明らかに異なるかを判定する。例えば、連続性がないリンクが所定数以上あると、同じ道路とみなさいと判定することが可能である。
【0092】
例えば、異なる地図会社の地図情報を用いて経路検索する場合には、全く異なる経路が検索されることが多い。すなわち、地図会社によって、経路の優先順位、採用する各種のパラメータ、採用する交通状況、採用する渋滞情報、採用する平均速度(過去のデータ、リアルタイムデータ)等が異なるため、異なる経路が検索されることがある。このため、汎用マップ及びSDマップの双方を用いて、同一の出発地から同一の目的地を検索した場合には、異なる経路が検索される可能性がある。ただし、道路同士は、地図上において座標管理されるため、地図上における道路の座標がずれることはない。ただし、リンク情報は、一般に線で表現されるため、道路の幅の分だけ差分が出ることはあるが、そのずれは道路の違いと比べて小さい。そこで、本実施形態では、汎用マップを用いて検索された車両C1の経路を有効に活用するため、その経路に近しいリンクをSDナップから抽出して用いるようにする。
【0093】
[もともと道路がない場所に道路が開設される場合の判定例]
例えば、高速道路、バイパス道等を新設する場合には、道が存在しなかった場所に新設されることも多い。例えば、一面が畑だった場所、山に高速道路が新設されることも多い。
【0094】
例えば、更新頻度が高い汎用マップの場合には、新設された高速道路を走行経路として設定することもあるが、更新頻度が低いSDマップの場合には、その高速道路が地図情報に反映されていないことも想定される。このような場合には、その高速道路に近い何らかの道路(例えば、農道、山道)がSDマップから抽出されることも想定される。この場合には、リンクの連続性が確保されないため、リンクの信頼度が基準未満であると判定することが可能である。なお、その高速道路の近くに緩いカーブが続く農道、山道等が設けられている場合には、そのリンクの連続性が確保されていることも想定される。この場合でも、そのリンクの属性情報(例えば、道路格)、そのリンクの角度等に基づいて、リンクの信頼度が基準未満であると判定することが可能である。なお、その高速道路の近くに沿って農道、山道等が設けられている場合も想定される。また、新設された道路の場合には、道路格が付与されていないことも想定される。このような場合には、そのリンクの属性情報(例えば、道路格)、そのリンクの角度等に基づいても、リンクの信頼度が基準未満であると判定できない可能性もある。そこで、このような場合には、上述したように、そのリンクの交差点の接続道路数に基づいて、リンクの信頼度が基準未満であると判定することが可能である。なお、属性情報が不明であるリンクについては、整備されていない道路のリンクとみなして、そのリンクの信頼度が基準未満であると判定してもよい。
【0095】
[信頼度フラグの設定例]
上述した判定方法により、汎用マップを用いて生成された経路SR1に対応するSDマップの各リンクの信頼度が基準以上であるか、基準未満であるかを判定可能である。そこで、経路SR1に対応するリンクとしてSDマップから抽出された複数のリンクのうち、信頼度が基準以上であるリンクには、その旨を示す信頼度フラグを付与し、信頼度が基準未満であるリンクには、その旨を示す信頼度フラグを付与する。すなわち、経路SR1に対応するリンクとしてSDマップから抽出された複数のリンクにより構成される車両C1の経路に関する経路情報に、信頼度フラグをリンク毎に関連付けて記録する。
【0096】
第2経路設定部115は、第2経路生成部113により生成されたSDマップの経路に、第2経路判定部114による判定結果を反映して、その経路に関する経路情報を自動運転コントローラ300に出力する。具体的には、第2経路設定部115は、第2経路生成部113により生成されたSDマップの経路に、この経路を構成する各リンクの信頼度フラグをリンク毎に関連付けた経路情報を自動運転コントローラ300に出力する。
【0097】
自動運転コントローラ300は、その経路情報を保存して自動運転の制御に用いる。このように、第2経路生成部により生成されたSDマップの経路については、自動運転コントローラ300での使用が可能となるよう保存されるが、信頼度が基準未満である旨の信頼度フラグが付与されているリンク部分については、自動運転を実行しないようにする。このように、SDマップ上に再現された経路のうち、連続性が確保できないリンク部分、信頼度が基準未満であるリンク部分については、自動運転には使用されない。ただし、それらのリンク部分(連続性が確保できないリンク部分、信頼度が基準未満であるリンク部分)については、信頼度フラグにより自動運転コントローラ300に通知される。
【0098】
このように、リンクの信頼度が基準以上であるか否かに基づいて、そのリンクを再現すべきか否かを判定することが可能である。そして、再現すべきと判定されたリンク部分については、汎用マップを用いて検索された経路で自動運転が可能となる。一方、再現すべきでないと判定されたリンク部分については、汎用マップを用いて検索された経路で自動運転が実行できないと判定する。この場合には、例えば、そのリンク部分の手前等において、メータの色を変えたり、音声等で警告等を発したりして、自動運転が不可である旨を出力し、手動運転に切り替えるようにする。このように、SDマップが整備されている区間は、汎用マップを用いて検索された経路を再現できるため、その区間は自動運転が可能となる。一方、SDマップが整備されていない区間は、汎用マップを用いて検索された経路を再現できないため、その区間は自動運転が不可能となる。
【0099】
なお、以上では、信頼度が基準以上である旨の信頼度フラグと、信頼度が基準未満である旨の信頼度フラグとの何れかを各リンクに付与する例を示した。ただし、3以上の種類の信頼度フラグを各リンクに付与してもよい。例えば、各リンクの評価の高さに応じて、1乃至5の信頼度フラグを各リンクに付与してもよい。評価が最も高く、自動運転が可能なリンクについては信頼度フラグとして5を付与し、評価が最も低く、自動運転が不可能なリンクについては信頼度フラグとして1を付与する。また、各リンクの評価が低くなるのに応じて、2乃至4の信頼度フラグを付与する。この場合には、自動運転コントローラ300は、信頼度フラグ(2乃至5)に応じて、自動運転の制御内容を変更することが可能である。
【0100】
[もともと道路がある場所に並走する態様で道路が開設される場合の判定例]
例えば、高速道路、バイパス道等を新設する場合には、もともとの道路が存在する場所の近くに新設されることも多い。例えば、昔から存在する国道に隣接したり並行したりするような態様で高速道路、バイパス道等新設されることも多い。この場合の判定例を図8に示す。なお、各リンクの信頼度の判定方法については、上述した判定方法と同様である。そこで、以下では、パターン2に特徴的な点を中心にして図8を参照して説明する。
【0101】
図8(A)に示す経路SR5は、汎用マップを用いて生成された経路であり、ノードSP51乃至SP54、リンクSG51乃至SG53は、経路SR5を構成するノード及びリンクである。
【0102】
図8(A1)乃至(E1)に示す経路SR41乃至45は、SDマップから抽出された経路であり、ノードN41乃至N46、N51乃至N56、N61乃至N65、N71乃至N73、N81乃至N83、リンクRK41乃至RK45、RK51乃至RK55、RK61乃至RK65、RK71、72、RK81、82は、経路SR41乃至45を構成するノード及びリンクである。
【0103】
図8(A1)には、図8(A)に示す経路SR5と略同じ経路が抽出された場合の経路SR41を示す。図8(B1)には、図8(A)に示す経路SR5よりも長い経路が抽出された場合の経路SR42を示す。
【0104】
図8(A1)(B1)に示すパターンが抽出された場合には、リンクの連続性、リンクの角度に基づいて、リンクの信頼度を判定することは困難となることが想定される。そこで、リンクの属性情報、リンクの交差点の接続道路数に基づいて、リンクの信頼度を判定することが考えられる。しかし、上述したように、更新頻度が低いSDマップの場合には、その高速道路に関する属性情報が地図情報に反映されていないことも想定される。このような場合には、そのリンクの交差点の接続道路数に基づいて、リンクの信頼度を判定することが可能である。なお、図8(B1)には、図8(A)に示す経路SR5よりも長い経路が抽出された場合の例を示すが、図8(A)に示す経路SR5よりも短い経路が抽出された場合についても同様にリンクの信頼度を判定することが可能である。
【0105】
図8(C1)には、図8(A)に示す経路SR5のうち、途中のリンクが抽出されない場合の経路SR43を示す。図8(D1)には、図8(A)に示す経路SR5のうち、後半のリンクが抽出されない場合の経路SR44を示す。図8(E1)には、図8(A)に示す経路SR5のうち、前半のリンクが抽出されない場合の経路SR45を示す。
【0106】
図8(C1)乃至(E1)に示すパターンが抽出された場合には、新しい道路が新設された等の理由により、汎用マップで存在する経路が、SDマップでは存在しない場合が想定される。このような場合には、汎用マップで生成された経路に関する一部の経路情報は存在するが、その経路に関する属性情報等が整備されていないことも想定される。そこで、図8(C1)乃至(E1)に示すパターンが抽出された場合には、汎用マップで生成された経路をSDマップ上に再現するが、その経路(又はその一部)の信頼度が基準未満である旨の信頼度フラグを付与し、その経路(又はその一部)において自動運転を実行しないようにする。
【0107】
このように、第2経路設定部115は、汎用マップにより生成された経路と、この経路に基づいてSDマップから抽出されたリンクとを比較した比較結果に基づいて、SDマップにおける経路を自動運転コントローラ300に出力する。この場合に、第2経路設定部115は、汎用マップにより生成された経路の全てをSDマップ上で再現できた場合には、その再現されたSDマップ上における経路に関する経路情報を自動運転コントローラ300に出力する。一方、第2経路設定部115は、汎用マップにより生成された経路の全てをSDマップ上で再現できない場合には、再現可能な区間及び再現不可能な区間を識別可能となるように、各リンクに信頼度フラグを関連付けられたSDマップ上における経路に関する経路情報を自動運転コントローラ300に出力する。
【0108】
なお、人工知能(AI:Artificial Intelligent)を利用して、SDマップ上における経路を設定してもよい。例えば、汎用マップを用いて生成された経路と、この経路に対応して抽出されたSDマップ上のノード及びリンクと、これらの再現結果との関係を予め学習して学習データを生成する。そして、その学習データを用いて、SDマップ上における経路を生成することが可能である。
【0109】
[IVIの動作例]
図9は、IVI100における制御処理の一例を示すフローチャートである。また、この制御処理は、記憶部120に記憶されているプログラムに基づいて制御部110により実行される。また、この制御処理は、IVI100を用いた経路検索処理が開始された場合に実行される。また、この制御処理では、図1乃至図8を適宜参照して説明する。
【0110】
ステップS701において、出力制御部111は、通信部130を介して汎用マップサーバ20から取得された汎用マップを出力部142に表示させる。例えば、車両C1の現在地を基準とする所定範囲内の地図情報を出力部142に表示させる。これらの汎用マップについては、記憶部120に一時的に保持されて使用される。
【0111】
ステップS702において、第1経路生成部112は、出力部142に表示されている地図情報を用いたユーザ操作に基づいて、車両C1の現在地から目的地までの経路(第1経路)を生成する。例えば、第1経路生成部112は、出力部142に表示されている地図において車両C1の目的地を選択する選択操作がされると、その選択操作に関する操作情報を汎用マップサーバ20に出力する。この場合には、汎用マップサーバ20は、位置情報取得部50により取得された車両C1の現在地から、その選択された目的地までの車両C1の経路を生成する。そして、汎用マップサーバ20は、その生成された経路に関する経路情報をIVI100に送信する。第1経路生成部112は、汎用マップサーバ20から受信した経路情報を取得する。
【0112】
ステップS703において、第2経路生成部113は、第1経路生成部112により生成された経路(第1経路)に基づいて、第1経路に対応するSDマップにおける第2経路を生成する。具体的には、第2経路生成部113は、通信部130を介してSDマップサーバ30から、第1経路を含む地図情報(SDマップ)を取得する。そして、第2経路生成部113は、第1経路に対応するSDマップにおけるリンク及びノードを抽出し、これらのリンク及びノードにより構成される経路を第2経路とする。この抽出方法は、図5図6で示した抽出方法と同様である。
【0113】
ステップS704において、第2経路判定部114は、第2経路生成部113により生成された第2経路について、第2経路を構成するリンクが正しいか否かを示す信頼度をリンク毎に判定する。この判定方法は、図4図7図8で示した判定方法と同様である。
【0114】
ステップS705において、第2経路設定部115は、第2経路生成部113により生成された第2経路の全てのリンクの信頼度が基準以上であるか否かを判定する。第2経路の全てのリンクの信頼度が基準以上である場合には、ステップS706に進む。一方、第2経路の全てのリンクの信頼度が基準以上でない場合には、ステップS707に進む。
【0115】
ステップS706において、第2経路設定部115は、自動運転用の走行経路として第2経路生成部113により生成された第2経路を設定する。すなわち、第2経路生成部113により生成された第2経路の全てのリンクの信頼度が基準以上であるため、第2経路は、自動運転用の走行経路として設定される。
【0116】
ステップS707において、第2経路設定部115は、第2経路生成部113により生成された第2経路の一部のリンクの信頼度が基準以上であるか否かを判定する。第2経路の一部のリンクの信頼度が基準以上である場合には、ステップS708に進む。一方、第2経路の全てのリンクの信頼度が基準未満である場合には、ステップS709に進む。
【0117】
ステップS708において、第2経路設定部115は、自動運転用の走行経路として信頼度が基準以上の第2経路を設定する。すなわち、第2経路生成部113により生成された第2経路のうち、信頼度が基準以上であるリンク部分は、自動運転の走行経路として設定され、信頼度が基準未満であるリンク部分は、自動運転を実行しない非走行経路として設定される。
【0118】
ステップS709において、第2経路設定部115は、第2経路生成部113により生成された第2経路を、自動運転用の走行経路として設定しない。すなわち、第2経路生成部113により生成された第2経路の全てのリンクの信頼度が基準未満であるため、第2経路は、自動運転用の非走行経路として設定される。なお、第1経路生成部112により生成された経路(第1経路)をUI部140に表示する場合において、自動運転の走行経路として設定された区間(自動運転区間)と、自動運転を実行しない非走行経路として設定された区間(手動運転区間)とについては、両者を識別可能な表示態様(例えば、色の変更、点線と実線、点滅と非点滅)とすることが可能である。例えば、図3に示すように、手動運転区間R2、R3と自動運転区間とを異なる太さの線で表示し、手動運転区間表示領域MD1、MD2を設けることが可能である。
【0119】
[MPPを用いた判定例]
以上では、車両C1の出発前において、車両C1の出発地(例えば、現在地)から目的地までの経路を汎用マップを用いて検索し、その検索結果をSDマップに反映させて自動運転を実現する例を示した。ここで、ナビゲーション装置には、車両の現在地から所定距離先(例えば、7km先)までの車両の進行方向の進路を推定する機能が備えられている。この機能により生成される推定経路をMPP(Most Probable Path)と称する。すなわち、車両C1のIVI100は、車両C1の現在地に基づいて、仮の進路を順次算出している。また、汎用マップサーバ20も、車両C1の現在地に基づいて、仮の進路を順次算出することが可能である。すなわち、IVI100は、SDマップを用いて車両C1の推定経路を生成するとともに、車両C1の現在地に関する位置情報を汎用マップサーバ20に順次送信し、汎用マップサーバ20において汎用マップを用いて求められた車両C1の推定経路を取得する。このように、IVI100は、車両C1の走行中において、汎用マップを用いた車両C1の推定進路(汎用マップMPP)と、SDマップを用いた車両C1の推定進路(SDマップMPP)とを取得することが可能である。そこで、このように取得可能な汎用マップMPP、SDマップMPPを用いて、車両C1の自動運転が可能な信頼度が高い走行経路を確認することができる。これにより、汎用マップを用いて生成された経路を反映したSDマップの信頼度をさらに向上させることが可能となる。
【0120】
[もともと道路がない場所に道路が開設される場合の判定例]
図10は、汎用マップを用いて生成された経路SR51と、この経路SR51に基づいてSDマップ上に抽出された経路SR52と、車両C1の現在地PL1を基準として生成されたSDマップMPP(MPP1)との関係を示す図である。なお、図10に示す例では、汎用マップを用いて生成された全ての経路のうち、SDマップMPP(MPP1)に対応する区間の経路SR51、SR52のみを示す。
【0121】
ここで、汎用マップを用いて生成された経路(汎用マップ経路)に沿って車両C1が走行している場合を想定する。すなわち、汎用マップ経路のうち、これに対応するSDマップ経路の信頼度が基準以上である部分については、自動運転が実行され、汎用マップ経路に対応するSDマップ経路の信頼度が基準未満である部分については、手動運転が実行されている場合を想定する。この場合には、車両C1が走行中において、図10(A)に示す経路SR51は、UI部140の出力部142に表示される。ただし、汎用マップ経路に対応するSDマップ経路の信頼度が基準未満である部分については、汎用マップ経路とSDマップ経路とは異なる経路となっていることが想定される。ここで、汎用マップ経路に対応するSDマップ経路の信頼度が基準以上である部分において、自動運転が実行されている場合でも、何らかの理由により、汎用マップ経路とSDマップ経路とが異なる経路となる可能性もある。そこで、図10図11に示す例では、車両C1が走行中においても、SDマップMPPを用いて、車両C1の自動運転が可能な信頼度が高い走行経路を確認する。そして、自動運転の実行中に汎用マップ経路とSDマップMPPとが一致する場合には、そのまま自動運転が継続される。一方、自動運転の実行中に汎用マップ経路とSDマップMPPとが異なると判定された場合には、SDマップMPPを自動運転コントローラ300に出力せずに(又は信頼度が低い旨の信頼度フラグを付して出力)、手動運転に切り替えるようにする。なお、図12では、車両C1が走行中において、汎用マップMPP及びSDマップMPPを用いて、車両C1の自動運転が可能な信頼度が高い走行経路を確認する例を示す。
【0122】
図10に示す例では、汎用マップを用いて生成された経路SR51に基づいてSDマップ上に再現された経路R52が途切れ途切れになっている場合を示す。具体的には、図10(A)には、汎用マップを用いて生成された経路SR51を簡略化して示す。図10(B)には、図10(A)に示す経路SR51に基づいてSDマップ上に抽出された経路SR52を簡略化して示す。図10(C)には、車両C1の現在地PL1を基準として生成されたSDマップMPP(MPP1)を簡略化して示す。
【0123】
ここで、車両C1の現在地PL1を基準として生成されるMPPは、必ず連続する経路として生成されるため、MPPが途切れることはない。また、車両C1の自動運転の有無にかかわらず、MPPは順次生成される。そこで、これらのMPPの特性を利用して、汎用マップを用いて生成された経路SR51と、連続するSDマップのMPPとを比較することが可能となる。すなわち、車両C1の自動運転が可能な信頼度が高い走行経路を、初期の状態で確認するとともに、車両C1の走行中においても確認することが可能となる。すなわち、2段階での確認を実行することが可能となる。
【0124】
MPP処理部116は、車両C1が走行中において、車両C1の現在地PL1を基準とするSDマップMPP(判定用MPP)を生成する。次に、MPP処理部116は、判定用MPPと、この判定用MPPに対応する区間の経路(汎用マップを用いて生成された経路)とを比較する。この場合には、判定用MPPを構成するノード及びリンクと、この判定用MPPに対応する区間の経路を構成するノード及びリンクとが、対応するリンク毎に比較される。そして、MPP処理部116は、判定用MPPと、これの比較対象となる経路とが同一となる場合には、その判定用MPPを出力用MPPとして自動運転コントローラ300に出力する。この場合には、自動運転コントローラ300は、出力用MPPに基づいて、車両C1の移動方向等を適宜制御することが可能となる。
【0125】
一方、MPP処理部116は、判定用MPPと、この比較対象となる経路とのうち、明らかに異なる区間が存在する場合には、その判定用MPPを自動運転コントローラ300に出力しない。又は、MPP処理部116は、判定用MPPと、この比較対象となる経路とのうち、明らかに異なる区間が存在する場合には、その判定用MPPにその異なる区間に関する信頼度フラグ(信頼度が基準未満である旨のフラグ)を付与して自動運転コントローラ300に出力する。これらの場合には、自動運転コントローラ300は、その判定用MPPに対応する区間については、車両C1の自動運転を停止するようにする。なお、明らかに異なる区間の判定方法については、図7図8等で示した判定方法と同様とすることが可能である。
【0126】
このように、車両C1が常時移動しながら、判定条件に照らし合わせ、汎用マップを用いて生成された経路を順次確認することが可能となる。
【0127】
このように、本実施形態では、車両C1が走行中にSDマップを用いて常時生成されるMPPを用いて、車両C1の自動運転が可能な信頼度が高い走行経路を確認することが可能である。すなわち、車両C1が走行中にSDマップを用いて常時生成されるMPPを有効活用することが可能である。
【0128】
[もともと道路がある場所に並走する態様で道路が開設される場合の判定例]
図11は、汎用マップを用いて生成された経路SR53と、この経路SR53に基づいてSDマップ上に抽出された経路SR54と、車両C1の現在地PL1を基準として生成されたSDマップMPP(MPP2)との関係を示す図である。なお、図11に示す例では、汎用マップを用いて生成された全ての経路のうち、SDマップMPP(MPP2)に対応する区間の経路SR53、SR54のみを示す。
【0129】
上述したように、汎用マップを用いて生成された経路(汎用マップ経路)に沿って車両C1が走行している場合には、汎用マップ経路に対応するSDマップ経路の信頼度が基準以上である部分については、自動運転が実行される。一方、汎用マップ経路に対応するSDマップ経路の信頼度が基準未満である部分については、手動運転が実行される。この場合には、車両C1が走行中において、図11(A)に示す経路SR51は、UI部140の出力部142に表示される。
【0130】
図11に示す例では、汎用マップを用いて生成された経路SR53に基づいてSDマップ上に再現された経路R54が途切れ途切れになっていない場合を示す。具体的には、図11(A)には、汎用マップを用いて生成された経路SR53を簡略化して示す。図11(B)には、図11(A)に示す経路SR53に基づいてSDマップ上に抽出された経路SR54を簡略化して示す。図11(C)には、車両C1の現在地PL1を基準として生成されたSDマップMPP(MPP2)を簡略化して示す。
【0131】
図11に示すように、汎用マップを用いて生成された経路SR53の近傍で、完全に一致する形で類似の長い道路が存在する場合には、SDマップMPP(MPP2)の部分的な箇所の判定は困難となることが想定される。すなわち、図8に示す例と同様に、リンクの連続性、リンクの角度に基づいて、リンクの信頼度を判定することは困難となることが想定される。そこで、リンクの属性情報、リンクの交差点の接続道路数に基づいて、リンクの信頼度を判定することが考えられる。例えば、インターチェンジ、道路形状の違い等の属性情報を用いたり、リンクの交差点の接続道路数を用いたりして、リンクの信頼度を判定することが可能である。例えば、車両C1が高速道路に侵入する際にはETC(Electronic Toll Collection System)を通過するため、このETCの通過により車両C1が高速道路を走行していると認識が可能となる。そこで、MPP処理部116は、これらの付帯情報を用いて車両C1の走行している道路が高速道路であるか一般道であるかを判定可能となるため、この判定結果を用いて、SDマップMPP(MPP2)のリンクの信頼度を判定することが可能である。
【0132】
[MPP同士を比較して判定する例]
以上では、汎用マップを用いて生成された経路と、SDマップMPPとを比較し、この比較結果に基づいて、SDマップMPPの出力の有無を決定したり、SDマップMPPに付与する信頼度フラグを決定したりする例を示した。上述したように、汎用マップサーバ20で生成されたMPP(汎用マップMPP)についてもIVI100は取得可能である。そこで、ここでは、汎用マップMPP及びSDマップMPPを比較し、この比較結果に基づいて、SDマップMPPの出力の有無を決定したり、SDマップMPPに付与する信頼度フラグを決定したりする例を示す。
【0133】
図12は、汎用マップを用いて生成された汎用マップMPP(MPP11)と、SDマップを用いて生成されたSDマップMPP(MPP12)との関係を示す図である。
【0134】
図12(A)には、車両C1の現在地PL1と、SDマップに反映された経路SR56と、現在地PL1を基準にして生成された汎用マップMPP(MPP11)とを簡略化して示す。例えば、山の中腹に高速道路(MPP11に対応する経路)が新設されたような場合には、その高速道路が汎用マップには反映されているが、SDマップには反映されていないことも想定される。このような場合には、上述したように、MPP11に対応する経路は、SDマップ上において存在しない。また、従来から存在する道(例えば、山道)がSDマップ上における経路SR56として生成されている。
【0135】
図12(B)には、車両C1の現在地PL1と、現在地PL1を基準にして生成されたSDマップMPP(MPP12)と、SDマップMPP(MPP12)とともに生成されたサブパスSUP1乃至SUP14とを簡略化して示す。ここで、MPPを生成する際に、メインパス(Main Path)及びサブパス(Sub Path)の双方が生成される。図12(B)では、太線のSDマップMPP(MPP12)がメインパスを示し、細線のサブパスSUP1乃至SUP14がSDマップMPP(MPP12)のサブパスを示す。
【0136】
ここで、MPP同士を比較して判定する判定方法について説明する。この判定方法として、次の(M1)乃至(M3)の少なくとも1つの判定方法を採用することが可能である。
(M1)比較対象となる2つのMPPのメインパスの形状を比較して判定する判定方法
(M2)比較対象となる2つのMPPのサブパスを比較して判定する判定方法
(M3)比較対象となる2つのMPPの属性情報(例えば、道路属性)を比較して判定する判定方法
【0137】
(M1)の判定方法を実行する場合には、汎用マップMPPの形状と、SDマップMPPの形状とを比較し、これらの形状が一致(又は略一致)するか否かを判定する。この一致判定については、地図上における汎用マップMPPの座標と、SDマップMPPの座標とを比較することにより実施可能である。また、図形の一致判定方法については、公知の判定技術を用いることが可能である。
【0138】
(M2)の判定方法を実行する場合には、汎用マップMPPのサブパスの存在と、SDマップMPPのサブパスの存在とを比較し、双方にサブパスが存在する場合には、一致すると判定される。
【0139】
例えば、一般道では交差点があるため、その交差点から延びる複数の道路がサブパスとして生成される。このサブパスとして、所定距離の区間(例えば、500m程度)が抽出される。なお、高速道路は、一般に交差点がないため、サブパスは存在しない。このように、高速道路にはサブパスが生成されないのに対し、一般道にはサブパスが生成される。そこで、MPPにサブパスが存在するか否かに基づいて、MPPが高速道路であるか、一般道であるかを判定可能となる。例えば、汎用マップMPPが高速道路を指し示し、SDマップMPPが一般道を指し示すような場合には、(M2)の判定方法により双方のMPPが異なる経路であると判定可能である。
【0140】
(M3)の判定方法を実行する場合には、汎用マップMPPの属性情報と、SDマップMPPの属性情報とを比較し、双方に共通の属性情報が存在する場合には、一致すると判定される。なお、この属性情報を用いた判定方法については、図7図8等で示した判定方法と同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0141】
MPP処理部116は、汎用マップMPPと、SDマップMPPとを比較した比較結果に基づいて、双方のMPPが同じ経路か否かを判定する。そして、MPP処理部116は、汎用マップMPP及びSDマップMPPの双方が同じ経路であると判定された場合には、SDマップMPPを自動運転コントローラ300に出力する。一方、MPP処理部116は、汎用マップMPP及びSDマップMPPの双方が異なる経路であると判定された場合には、SDマップMPPを自動運転コントローラ300に出力しない。又は、MPP処理部116は、汎用マップMPP及びSDマップMPPの双方が異なる経路であると判定された場合には、双方が異なる経路である旨の信頼度フラグ(信頼度が基準未満である旨のフラグ)を関連付けたSDマップMPPを自動運転コントローラ300に出力してもよい。
【0142】
例えば、自動運転での走行中に、MPP同士での比較で、2つのMPPが異なると判定されることも想定される。この場合には、MPP処理部116からMPPが出力されないため、自動運転コントローラ300は、MPPが出力されない区間については、自動運転の途中でも自動運転を解除とする。すなわち、汎用マップを用いて生成された経路がSDマップ上に再現され、自動運転が実行中であっても、その経路の途中で自動運転が解除となることもある。
【0143】
[IVIの動作例]
図13は、IVI100における制御処理の一例を示すフローチャートである。また、この制御処理は、記憶部120に記憶されているプログラムに基づいて制御部110により実行される。また、この制御処理は、IVI100を用いた経路検索処理が実行された場合に制御周期毎に常時実行される。また、この制御処理は、図10図11に示す例に対応する。なお、この制御処理では、図1乃至図12を適宜参照して説明する。
【0144】
ステップS721において、MPP処理部116は、通信部130を介してSDマップサーバ30から取得されたSDマップを用いて判定用MPPを生成する。
【0145】
ステップS722において、MPP処理部116は、汎用マップを用いて生成された経路と、判定用MPPとを比較して判定用MPPを評価する。例えば、図10図11で示したように、汎用マップを用いて生成された経路と、判定用MPPとの間で異なる部分が存在する場合には、判定用MPPの信頼度が基準未満であると評価され、その経路と判定用MPPとの間で異なる部分が存在しない場合には、判定用MPPの信頼度が基準以上であると評価される。
【0146】
ステップS723において、MPP処理部116は、判定用MPPの信頼度が基準以上であるか否かを判定する。判定用MPPの信頼度が基準以上である場合には、ステップS724に進む。一方、判定用MPPの信頼度が基準以上でない場合には、ステップS725に進む。
【0147】
ステップS724において、MPP処理部116は、判定用MPPを自動運転コントローラ300に出力する。
【0148】
ステップS725において、MPP処理部116は、信頼度が基準未満である部分の判定用MPPを自動運転コントローラ300に出力しない。又は、MPP処理部116は、信頼度フラグを関連付けた判定用マップMPPを自動運転コントローラ300に出力する。
【0149】
[IVIの動作例]
図14は、IVI100における制御処理の一例を示すフローチャートである。また、この制御処理は、記憶部120に記憶されているプログラムに基づいて制御部110により実行される。また、この制御処理は、IVI100を用いた経路検索処理が実行された場合に制御周期毎に常時実行される。また、この制御処理は、図12に示す例に対応する。なお、この制御処理では、図1乃至図13を適宜参照して説明する。
【0150】
ステップS731において、MPP処理部116は、通信部130を介して汎用マップサーバ20からMPP(第1判定用MPP)を取得する。第1判定用MPPは、車両C1の現在地を基準にして汎用マップを用いて生成されたMPPである。
【0151】
ステップS732において、MPP処理部116は、通信部130を介してSDマップサーバ30から取得されたSDマップを用いて第2判定用MPPを生成する。
【0152】
ステップS733において、MPP処理部116は、第1判定用MPP及び第2判定用MPPを比較して各判定用MPPを評価する。例えば、図12で示したように、各判定用MPPの形状、メインパス、サブパス、属性情報等が比較され、第1判定用MPP及び第2判定用MPPが異なるか否かが判定される。そして、第1判定用MPP及び第2判定用MPPが同じである場合には、第2判定用MPPの信頼度が基準以上であると評価され、第1判定用MPP及び第2判定用MPPが異なる場合には、第2判定用MPPの信頼度が基準未満であると評価される。
【0153】
ステップS734において、MPP処理部116は、第1判定用MPP及び第2判定用MPPが異なるか否かを判定する。第1判定用MPP及び第2判定用MPPが異なる場合には、ステップS736に進む。一方、第1判定用MPP及び第2判定用MPPが同じである場合には、ステップS735に進む。
【0154】
ステップS735において、MPP処理部116は、第2判定用MPPを自動運転コントローラ300に出力する。
【0155】
ステップS736において、MPP処理部116は、信頼度が基準未満である部分の第2判定用MPPを自動運転コントローラ300に出力しない。又は、MPP処理部116は、信頼度フラグを関連付けた第2判定用MPPを自動運転コントローラ300に出力する。
【0156】
このように、本実施形態では、ナビ1(汎用マップ)を用いて探索された経路情報をナビ2(SDマップ)に適切に共有する方法を実現することが可能である。
【0157】
例えば、汎用マップから地図の位置情報(汎用マップ経路情報)を取得し、SDマップ上においてその取得した位置情報(汎用マップ経路情報)の有無を確認し、SDマップ上に類似する位置情報(SDマップ経路情報)を抽出する。そして、その抽出された位置情報(SDマップ経路情報)が連続する部分においては、SDマップのリンクの評価情報を用いて、SDマップのリンクの信頼度を判定し、信頼度が基準以上となる部分の経路をSDマップ上に反映させる。リンクの評価情報として、例えば、属性情報、角度情報等を用いることが可能である。例えば、汎用マップ経路と、SDマップ経路とのそれぞれの対応点の変位角度を算出し、その変位角度が所定以下となるリンクの信頼度が基準以上と判定することが可能である。ただし、その変位角度が所定以下であっても、連続性がないリンクについては場合、SDマップ上に反映しないようにしてもよい。また、SDマップ上に反映された経路に基づいて、自動運転の制御内容を変更することが可能である。例えば、道路は開通しているが、データの都合でSDマップに反映させると車載システムとしての信頼度が低下する場合には、手動運転に変更することが可能である。なお、自動運転としては、ハンズオフ、カーブでのブレーキ制御、自動運転可能な経路の走行の何れかを選択することが可能である。
【0158】
[本実施形態の効果例]
このように、本実施形態によれば、汎用マップの更新頻度と、SDマップの更新頻度とが異なり、汎用マップを用いて生成された経路が、SDマップに対応していない場合でも、車両C1の自動運転が可能な走行経路を適切に設定することができる。すなわち、出発地から目的地までの経路において車両C1の自動運転が可能な信頼度が高い走行経路をより適切に設定することができる。
【0159】
[自動運転以外の車両の制御例]
以上では、車両C1が自動運転を実行する走行経路を設定する例を示したが、自動運転以外の車両C1の制御についても本実施形態を適用可能である。例えば、車両C1の走行制御を実行する場合に本実施形態を適用可能である。この場合には、第2経路設定部115は、走行制御を実行する走行経路として信頼度が基準以上の第2経路を設定する。すなわち、第2経路生成部113により生成された第2経路のうち、信頼度が基準以上であるリンク部分は、走行制御を実行する走行経路として設定され、信頼度が基準未満であるリンク部分は、走行制御を実行しない非走行経路として設定される。
【0160】
車両C1の走行制御として、例えば、車両C1の変速機の入出力の回転数比であるギア比の制御、車両C1のバッテリ走行の制御等を実行することが可能である。例えば、走行経路として設定されたリンク部分に関連付けられている道路の属性情報(例えば、下り坂、上り坂、道路の形状を示す形状情報)に基づいて、そのリンク部分において変速機におけるギア比を変更する制御を実行することが可能である。この制御処理では、例えば、そのリンク部分に関連付けられている道路の属性情報に基づいて、そのリンク部分において走行抵抗が基準以上に高くなることが判定されたときにはギア比を上げる制御を実行する。なお、走行抵抗の判定基準は、実験データ等で適宜設定可能である。
【0161】
また、車両C1がハイブリッド車両である場合には、走行経路として設定されたリンク部分に関連付けられている道路の属性情報に基づいて、そのリンク部分において車両C1のバッテリによる走行を制御してもよい。この制御処理では、そのリンク部分に関連付けられている道路の属性情報に基づいて、そのリンク部分において所定勾配以上の下り坂が存在することが判定されたときにはバッテリの駆動割合を増加させる制御を事前に実行する。例えば、下り坂において、バッテリがSOC(States Of Charge)上限値に達していると、その後の下り坂が継続してもモータで回生されたエネルギを充電することができず、走行エネルギへと回すことができない。そこで、所定勾配以上の下り坂が存在するリンク部分の手前でバッテリの駆動割合を増加させることにより、その下り坂においてモータで回生されたエネルギを充電することができ、走行エネルギへと回すことができる。これにより、燃費を向上させることが可能となる。なお、所定勾配については、実験データ等で適宜設定可能である。また、これらの制御処理は、車両C1の車両ECUにより実行される。
【0162】
[他の機器、他のシステムにおいて処理を実行させる例]
なお、以上では、自動運転設定処理等をIVI100(又は運転支援システム1)において実行する例を示したが、それらの各処理の全部又は一部を他の機器において実行してもよい。この場合には、それらの各処理の一部を実行する各機器により運転支援システムが構成される。例えば、車載機器、ユーザが使用可能な機器(例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置)、インターネット等の所定のネットワークを介して接続可能なサーバ等の各種情報処理装置、各種電子機器を用いて各処理の少なくとも一部を実行させることができる。
【0163】
また、IVI100(又は運転支援システム1)の機能を実行可能な情報処理システムの一部(又は全部)については、インターネット等の所定のネットワークを介して提供可能なアプリケーションにより提供されてもよい。このアプリケーションは、例えばSaaS(Software as a Service)である。
【0164】
[本実施形態の構成例及びその効果]
本実施形態に係る情報処理方法は、汎用マップ(第1地図情報の一例)を用いて車両C1の出発地から目的地までの第1経路をユーザ操作に基づいて取得し、第1経路を利用して車両C1の走行制御を実行する走行経路を設定するための情報処理方法である。この情報処理方法は、汎用マップとは異なる地図情報であって車両C1の走行制御に用いることが可能なSDマップ(第2地図情報の一例)を用いて、第1経路に対応する第2経路を抽出する抽出処理(ステップS703)と、第1経路を構成する複数の第1区間(リンク及びノード)と、第2経路を構成する複数の第2区間(リンク及びノード)とを対応区間毎に比較し、各区間の評価情報に基づいて、比較対象となる第1区間に対する第2区間の正しさを示す信頼度を区間毎に判定する判定処理(ステップS704)と、この判定処理で基準以上の信頼度を有すると判定された第2区間を走行経路として設定し、基準未満の信頼度を有すると判定された第2区間を、車両C1の走行制御を実行しない非走行経路として設定する設定処理(ステップS705乃至S709)とを含む。また、本実施形態に係るプログラムは、これらの各処理をコンピュータに実行させるプログラムである。言い換えると、本実施形態に係るプログラムは、IVI100が実行可能な各機能をコンピュータに実現させるプログラムである。
【0165】
この構成によれば、汎用マップの更新頻度と、SDマップの更新頻度とが異なり、汎用マップを用いて生成された経路が、SDマップに対応していない場合でも、車両C1の走行制御を実行可能な走行経路を適切に設定することができる。すなわち、車両C1の走行制御が可能な信頼度が高い走行経路をより適切に設定することができる。例えば、出発地から目的地までの経路において車両C1の自動運転が可能な信頼度が高い走行経路をより適切に設定することができる。
【0166】
本実施形態に係る情報処理方法では、各区間の評価情報は、比較対象となる対応区間の連続性を示す連続性情報と、当該対応区間の角度を示す角度情報と、当該対応区間に関連付けられている道路の属性情報と、当該対応区間に関連付けられている道路に含まれる交差点の接続道路数を示す接続道路数情報とのうちの少なくとも1つであり、判定処理(ステップS704)では、比較対象となる第2区間が連続性を有しないときには、当該第2区間の信頼度が前記基準未満であると判定し、当該第2区間が連続性を有するときには、当該第2区間の比較対象となる第1区間及び当該第2区間のそれぞれに係る角度情報と、属性情報と、接続道路数情報とのうちの少なくとも1つに基づいて、当該第1区間に対する当該第2区間の信頼度を判定する。例えば、図7図8で示したように、信頼度が判定される。
【0167】
この構成によれば、適切なパラメータを用いて、車両C1の走行制御を実行可能な信頼度が高い走行経路をより適切に判定することができる。
【0168】
本実施形態に係る情報処理方法において、判定処理(ステップS704)では、複数の第1区間と、複数の第2区間とが略隣接して平行となる場合において、複数の第2区間が連続性を有するときには、比較対象となる第1区間及び当該第2区間のそれぞれに係る属性情報と、接続道路数情報とのうちの少なくとも1つに基づいて、当該第1区間に対する当該第2区間の信頼度を判定する。例えば、図8で示したように、信頼度が判定される。なお、複数の第1区間と、複数の第2区間とが略隣接して平行となるか否かについては、複数の第2区間に対応するノード及びリンクが閾値TH1(図5図6参照)以内に連続しているか否かに基づいて判定可能である。また、複数の第1区間と、複数の第2区間とが略隣接して平行となるか否かについては、各区間の角度情報を用いても判定可能である。
【0169】
この構成によれば、複数の第1区間と、複数の第2区間とが略隣接して平行となる場合でも、適切なパラメータを用いて、車両C1の走行制御を実行可能な信頼度が高い走行経路をより適切に判定することができる。
【0170】
本実施形態に係る情報処理方法では、車両C1の走行時において、車両C1の現在地を基準として車両C1が走行する確率が高い所定距離内の経路を、第2地図情報を用いて推定してMPP(推定経路の一例)を生成する推定経路生成処理(ステップS721)と、複数の第1区間のうちのMPPに対応する比較区間と、MPPとを比較し、これらの比較対象となる区間の評価情報に基づいて、比較区間に対するMPPの正しさを示す信頼度を判定する推定経路判定処理(ステップS722)と、推定経路判定処理で基準以上の信頼度を有すると判定されたMPPを走行制御に用いる設定をし、基準未満の信頼度を有すると判定されたMPPを走行制御に用いない設定をする推定経路設定処理(ステップS723乃至S725)とを含む。この推定経路設定処理(ステップS723乃至S725)では、例えば、基準以上の信頼度を有すると判定された部分のMPPを走行制御に用いるMPPとして出力し、基準未満の信頼度を有すると判定された部分のMPPを走行制御に用いるMPPとして出力しない。例えば、自動運転の制御に用いる場合には、信頼度フラグを関連付けたMPPを自動運転コントローラ300に出力することにより各設定が可能となる。
【0171】
この構成によれば、車両の走行中において、MPPの特性を利用して、車両C1の走行制御を実行可能な信頼度が高い走行経路を確認することができる。
【0172】
本実施形態に係る情報処理方法では、車両C1の走行時において、車両C1の現在地を基準として車両C1が走行する確率が高い所定距離内の経路を、汎用マップ(第1地図情報の一例)を用いて推定して第1MPP(第1推定経路の一例)を生成し、当該所定距離内の経路を、SDマップ(第2地図情報の一例)を用いて推定して第2MPP(第2推定経路の一例)を生成する推定経路生成処理(ステップS731、S732)と、第1MPPと、第2MPPとを比較し、第1MPP及び第2MPPの一致度に基づいて、第1MPPに対する第2MPPの正しさを示す信頼度を判定する推定経路判定処理(ステップS733)と、推定経路判定処理で基準以上の信頼度を有すると判定された第2MPPを走行制御に用いる設定をし、基準未満の信頼度を有すると判定された第2MPPを走行制御に用いない設定をする推定経路設定処理(ステップS734乃至S736)とを含む。この推定経路設定処理(ステップS734乃至S736)では、例えば、基準以上の信頼度を有すると判定された部分の第2MPPを走行制御に用いるMPPとして出力し、基準未満の信頼度を有すると判定された部分の第2MPPを走行制御に用いるMPPとして出力しない。例えば、自動運転の制御に用いる場合には、信頼度フラグを関連付けた第2MPPを自動運転コントローラ300に出力することにより各設定が可能となる。
【0173】
この構成によれば、車両の走行中において、汎用マップを用いた第1MPPと、SDマップを用いた第2MPPとの特性を利用して、信頼度が高い第2MPPを走行制御に用いることが可能となる。
【0174】
本実施形態に係る情報処理方法において、推定経路判定処理(ステップS733)では、第1MPP(第1推定経路の一例)及び第2MPP(第2推定経路の一例)のそれぞれの形状を示す形状情報に基づいて、第1MPP及び第2MPPのそれぞれの形状が一致するか否かを判定し、第1MPP及び第2MPPのそれぞれの形状が一致するときには、第2MPPが基準以上の信頼度を有すると判定し、第1MPP及び第2MPPのそれぞれの形状が一致しないときには、第1MPP及び第2MPPのそれぞれに設定される補助経路を示す補助経路情報と、第1MPP及び第2MPPのそれぞれに関連付けられている属性情報とのうちの少なくとも1つに基づいて、第1MPPに対する第2MPPの信頼度を判定する。
【0175】
この構成によれば、MPPの特性を有する各パラメータを用いて、第2MPPの信頼度が高いか否かを順次判定することが可能であり、信頼度が高い第2MPPを走行制御に用いることが可能となる。
【0176】
本実施形態に係る情報処理方法は、走行経路として設定された第2区間に関連付けられている道路の属性情報に基づいて、その第2区間において車両C1の変速機の入出力の回転数比であるギア比を変更する制御を実行する制御処理をさらに含んでもよい。この制御処理は、車両C1の車両ECUにより実行可能である。
【0177】
この構成によれば、車両C1の走行制御を実行可能な信頼度が高い走行経路を走行中において、走行経路に応じた円滑な走行が可能となる。
【0178】
本実施形態に係る情報処理方法において、その制御処理では、第2区間に関連付けられている道路の属性情報に基づいて、その第2区間において走行抵抗が基準以上に高くなることが判定されたときにはギア比を上げる制御を実行してもよい。
【0179】
この構成によれば、走行抵抗が高くなる走行経路ではギア比を上げることにより、走行経路に応じた円滑な走行が可能となる。
【0180】
本実施形態に係る情報処理方法は、車両C1をハイブリッド車両としてもよい。この場合に、走行経路として設定された第2区間に関連付けられている道路の属性情報に基づいて、その第2区間において車両C1のバッテリによる走行を制御する制御処理をさらに含んでもよい。この制御処理は、車両C1の車両ECUにより実行可能である。
【0181】
この構成によれば、車両C1の走行制御を実行可能な信頼度が高い走行経路を走行中において、走行経路に応じた円滑な走行が可能となり、燃費を向上させることが可能である。
【0182】
本実施形態に係る情報処理方法において、その制御処理では、第2区間に関連付けられている道路の属性情報に基づいて、その第2区間において所定勾配以上の下り坂が存在することが判定されたときにはバッテリの駆動割合を増加させる制御を実行してもよい。
【0183】
この構成によれば、下り勾配に近づくことが判定されたときには、事前にバッテリの駆動割合を増加させることにより、燃費を向上させることが可能である。
【0184】
本実施形態に係る情報処理方法は、第1経路を利用して車両C1の自動運転を実行する走行経路を設定するための情報処理方法であり、走行制御は、自動運転を実行するための制御である。また、設定処理(ステップS705乃至S709)では、判定処理で基準以上の信頼度を有すると判定された第2区間を、自動運転を実行する走行経路として設定し、基準未満の信頼度を有すると判定された第2区間を、自動運転を実行しない非走行経路として設定する。
【0185】
この構成によれば、出発地から目的地までの経路において車両C1の自動運転が可能な信頼度が高い走行経路をより適切に設定することができる。
【0186】
IVI100(情報処理装置の一例)は、汎用マップ(第1地図情報の一例)を用いて車両C1の出発地から目的地までの第1経路をユーザ操作に基づいて取得し、第1経路を利用して車両C1の走行制御を実行する走行経路を設定するための情報処理装置である。IVI100は、汎用マップとは異なる地図情報であって車両C1の走行制御に用いることが可能なSDマップ(第2地図情報)を用いて、第1経路に対応する第2経路を抽出する第2経路生成部113(抽出部の一例)と、第1経路を構成する複数の第1区間と、第2経路を構成する複数の第2区間とを対応区間毎に比較し、各区間の評価情報に基づいて、比較対象となる第1区間に対する第2区間の正しさを示す信頼度を区間毎に判定する第2経路判定部114(判定部の一例)と、第2経路判定部114により基準以上の信頼度を有すると判定された第2区間を走行経路として設定し、基準未満の信頼度を有すると判定された第2区間を、車両C1の走行制御を実行しない非走行経路として設定する第2経路設定部115(設定部の一例)とを備える。また、IVI100の代わりに、IVI100により実現される各処理を実行可能な複数の機器により構成される情報処理システムとしてもよい。
【0187】
この構成によれば、汎用マップの更新頻度と、SDマップの更新頻度とが異なり、汎用マップを用いて生成された経路が、SDマップに対応していない場合でも、車両C1の走行制御を実行可能な走行経路を適切に設定することができる。すなわち、車両の制御が可能な信頼度が高い走行経路をより適切に設定することができる。例えば、出発地から目的地までの経路において車両C1の自動運転が可能な信頼度が高い走行経路をより適切に設定することができる。
【0188】
なお、本実施形態で示した各処理手順は、本実施形態を実現するための一例を示したものであり、本実施形態を実現可能な範囲で各処理手順の一部の順序を入れ替えてもよく、各処理手順の一部を省略したり他の処理手順を追加したりしてもよい。
【0189】
なお、本実施形態で示した各処理は、各処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムに基づいて実行されるものである。このため、本実施形態は、それらの各処理を実行する機能を実現するプログラム、そのプログラムを記憶する記録媒体の実施形態としても把握することができる。例えば、情報処理装置に新機能を追加するためのアップデート処理により、そのプログラムを情報処理装置の記憶装置に記憶させることができる。これにより、そのアップデートされた情報処理装置に本実施形態で示した各処理を実施させることが可能となる。
【0190】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0191】
1 運転支援システム、10 ネットワーク、20 汎用マップサーバ、30 SDマップサーバ、40 HDマップサーバ、50 位置情報取得部、100 IVI、110、210 制御部、111 出力制御部、112 第1経路生成部、113 第2経路生成部、114 第2経路判定部、115 第2経路設定部、116 MPP処理部、120、220 記憶部、130、230 通信部、140 UI部、141 操作受付部、142 出力部、200 自動運転経路設定装置、300 自動運転コントローラ
図1
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図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14