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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118236
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】インダクタ、および電子・電気機器
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20240823BHJP
   H01F 1/22 20060101ALI20240823BHJP
   H01F 1/147 20060101ALI20240823BHJP
   H01F 1/153 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
H01F17/04 ZNM
H01F17/04 F
H01F1/22
H01F1/147 133
H01F1/153 108
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024568
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】小島 章伸
(72)【発明者】
【氏名】沼田 大志
【テーマコード(参考)】
5E041
5E070
【Fターム(参考)】
5E041AA07
5E041AA11
5E041BB01
5E041BB03
5E041BD03
5E041BD12
5E041BD13
5E041NN01
5E041NN06
5E041NN15
5E070AA01
5E070BB02
(57)【要約】
【課題】ACR/Lが低く効率が高いインダクタを提供する。
【解決手段】接続端子23a,23bと、接続端子23a,23bに電気的に接続され、通電により誘導磁界を発生可能な導体と、導体の少なくとも一部を埋設し、金属粉末を含むコア(圧粉コア21)と、を備えるインダクタ20であって、交流電流を印加して得られた電気特性を、2つのパラメータを有する下記式(1)でフィッティングしたときに、2つのパラメータの一方であるパラメータaが100mΩμH-1-b以下であることを特徴とするインダクタ:
ACR/L=a×Iopb (1)
ここで、ACRは1MHzの交流電流を印加したときの交流抵抗値(単位:mΩ)であり、Lは自己インダクタンス(単位:μH)であり、Iopは印加した交流電流のリップル電流振幅(単位:A)であり、bは2つのパラメータの他方(単位:無次元)である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端子と、
前記接続端子に電気的に接続され、通電により誘導磁界を発生可能な導体と、
前記導体の少なくとも一部を埋設し、金属粉末を含むコアと、を備えるインダクタであって、
交流電流を印加して得られた電気特性を、2つのパラメータを有する下記式(1)でフィッティングしたときに、前記2つのパラメータの一方であるパラメータaが100mΩμH-1-b以下であることを特徴とするインダクタ。
ACR/L=a×Iopb (1)
ここで、ACRは1MHzの交流電流を印加したときの交流抵抗値(単位:mΩ)であり、Lは自己インダクタンス(単位:μH)であり、Iopは印加した前記交流電流のリップル電流振幅(単位:A)であり、bは前記2つのパラメータの他方(単位:無次元)である。
【請求項2】
前記パラメータaは95mΩμH-1-b以下である、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項3】
前記金属粉末は、30質量%以上70質量%以下のNiを含み残部Feおよび不純物からなる組成を有し、結晶相を含む第1の粒子を含む、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項4】
前記第1の粒子のメジアン径D50-1は、0.02μm以上1.3μm以下である、請求項3に記載のインダクタ。
【請求項5】
前記金属粉末は、非晶相を含む第2の粒子を含む、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項6】
前記第2の粒子は、Pを含む組成を有する、請求項5に記載のインダクタ。
【請求項7】
前記第2の粒子は、
P:5.0原子%≦x≦13.0原子%
C:2.2原子%≦y≦13.0原子%
Ni:0~10.0原子%
B:0~9.0原子%
Si:0~7.0原子%
Cr:0~6.0原子%
Sn:0~3.0原子%
を含有し、残部がFeおよび不純物からなる組成を有する、請求項6に記載のインダクタ。
【請求項8】
前記第2の粒子のメジアン径D50-2は、3.0μm以上15.0μm以下である、請求項5に記載のインダクタ。
【請求項9】
前記金属粉末のメジアン径D50は、6.0μm以下である、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項10】
前記パラメータbは0.10以上0.30以下である、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載されるインダクタが実装された電子・電気機器であって、前記インダクタは前記接続端子にて基板に接続されている電子・電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタ、およびこのインダクタが実装された電子・電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコンなどの電子機器に組み込まれるスイッチング電源回路、特にDC-DCコンバータには、近年、小型化への要求が特に高まっている。この要求に応えた結果として、内部に組み込まれるインダクタには、小型でありながら大きな直流電流が流れるようになってきている。このため、インダクタを構成する磁性材料がおかれる磁気的環境は、この直流電流に起因する誘導磁界がバイアスとして印加された状態で、高周波でのスイッチングに基づく電流変動(リップル電流)に起因する変動磁場がさらに印加される環境となる。したがって、インダクタを構成する磁性部材は、このような磁気的には過酷な環境で、適切な電気特性(例えば低いACR/Lや高い効率)を有することが求められてきている。ここで、ACR/Lは、(交流抵抗値ACR)/(自己インダクタンスL)を意味し、効率は、インダクタの入力電力に対する出力電力の割合(単位:%)を意味する。
【0003】
かかる要求に応えるべく、特許文献1には、電気絶縁性の磁性層と導体パターンが積層され前記導体パターンが順次接続されることで、磁性体中で積層方向に重畳しながら螺旋状に周回するコイルが形成され、該コイルの両端がそれぞれ引出導体を介して積層体チップ外表面に引き出され電極端子に接続されている積層インダクタにおいて、積層面全体にわたる電気絶縁性の磁気ギャップ層が1層以上配置されると共に、間隔をおいて重なり合う導体パターンの間で該導体パターンに近接して該導体パターン形状に対応した電気絶縁性の非磁性パターンが配置されていることを特徴とする積層インダクタが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/007705号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される積層インダクタは、間隔をおいて重なり合う導体パターンの間で該導体パターンに近接して該導体パターン形状に対応した電気絶縁性の非磁性パターンが配置されているので、低直流バイアス電流時におけるコイル周辺での微小磁化ループの発生を防止し、そのため導体パターン間への磁束の急激な流れ込みが生じず、インダクタンスの急激な変化を防ぎ、交流抵抗上昇の抑制が期待される。すなわち、特許文献1では、積層インダクタの構造的アプローチで交流抵抗上昇の抑制を図っている。
【0006】
本発明は、かかる現状を鑑み、ACR/Lが低く効率が高いインダクタを提供することを目的とする。また、本発明は、上記のインダクタが実装された電子・電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために提供される本発明は、一態様において、接続端子と、接続端子に電気的に接続され、通電により誘導磁界を発生可能な導体と、導体の少なくとも一部を埋設し、金属粉末を含むコアと、を備えるインダクタであって、交流電流を印加して得られた電気特性を、2つのパラメータを有する下記式(1)でフィッティングしたときに、2つのパラメータの一方であるパラメータaが100mΩμH-1-b以下であることを特徴とするインダクタである。
ACR/L=a×Iopb (1)
ここで、ACRは1MHzの交流電流を印加したときの交流抵抗値(単位:mΩ)であり、Lは自己インダクタンス(単位:μH)であり、Iopは印加した交流電流のリップル電流振幅(単位:A)であり、bは2つのパラメータの他方(単位:無次元)である。
パラメータaが100mΩμH-1-b以下のインダクタは、効率(入力電力に対する出力電力の割合、単位:%)が高くなる傾向を有する。
【0008】
上記のインダクタにおいて、パラメータaは95mΩμH-1-b以下であってもよい。
【0009】
上記のインダクタにおいて、金属粉末は30質量%以上70質量%以下のNiを含み残部Feおよび不純物からなる組成を有していてもよく、この場合において、金属粉末は結晶相を含む第1の粒子を含んでいてもよい。第1の粒子のメジアン径D50-1は、0.02μm以上1.3μm以下であってもよい。
【0010】
金属粉末は、非晶相を含む第2の粒子を含んでいてもよい。第2の粒子は、Pを含む組成を有していてもよい。
【0011】
第2の粒子は、P:5.0~13.0原子%、C:2.2~13.0原子%、Ni:0~10.0原子%、B:0~9.0原子%、Si:0~7.0原子%、Cr:0~6.0原子%、Sn:0~3.0原子%を含有し、残部がFeおよび不純物からなる組成を有していてもよい。上記組成において、B、Si、Cr、およびSnは任意添加元素である。第2の粒子のメジアン径D50-2は、3.0μm以上15.0μm以下であってもよい。
【0012】
金属粉末のメジアン径D50は、6.0μm以下であってもよい。
パラメータbは0.10以上0.30以下であってもよい。
【0013】
本発明は、また別の一態様として上記の本発明の一態様に係るインダクタが実装された電子・電気機器を提供する。当該電子・電気機器において、インダクタは接続端子にて基板に接続されている。上記の電子・電気機器におけるインダクタが組み込まれた回路は特に限定されないが、DC-DCコンバータなどのスイッチング電源回路に用いられた場合には、交流抵抗値が上昇しにくい上記のインダクタの利点を活かしやすい。
【発明の効果】
【0014】
上記の発明によれば、ACR/Lが低く効率が高いインダクタ、およびこのインダクタが実装された電子・電気機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るインダクタの説明図である。
図2】式(1)を説明するためのグラフであり、発明例の1つと、比較例の1つとについて、インダクタの電気特性の測定結果を、縦軸をACR/L、横軸をIopとしてプロットしたものである。
図3】本発明の一実施形態に係るインダクタを含む複数のインダクタにおけるパラメータaと効率(%)との関係を示すグラフである。
図4】実施例に係るインダクタについてのパラメータaと効率(%)との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について詳しく説明する。
1.インダクタ
本明細書において、「インダクタ」とは、圧粉コアなどの芯材(コア)および導体を備える受動素子を意味する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るインダクタの一例を示す図である。インダクタ20は、接続端子23a,23bと、導体を含む被覆導電線22と、金属粉末を含むコア(圧粉コア21)とを備える。インダクタ20は、数mm角の小形のチップ状に形成することが可能であり、箱型の形状を有する圧粉コア21の内部に、被覆導電線22からなるコイル部22cが埋設されている。コイル部22cの導体は通電時に誘導磁界を発生させ、この誘導磁界の磁力線は圧粉コア21を通る。被覆導電線22の端部22a,22bは、圧粉コア21の表面において露出している。圧粉コア21の表面の一部は、互いに電気的に独立な接続端子23a,23bによって覆われている。接続端子23aは被覆導電線22の端部22aと電気的に接続され、接続端子23bは被覆導電線22の端部22bと電気的に接続されている。図1に示されるコイル埋設型のインダクタ20では、被覆導電線22の端部22aは接続端子23aによって覆われ、被覆導電線22の端部22bは接続端子23bによって覆われている。
【0018】
被覆導電線22のコイル部22cの圧粉コア21内への埋設方法は限定されない。被覆導電線22を巻回した部材を金型内に配置し、さらに磁性粉末を含む混合物(造粒粉)を金型内に供給して、加圧成形を行ってもよい。あるいは、磁性粉末を含む混合物(造粒粉)をあらかじめ予備成形してなる複数の部材を用意し、これらの部材を組み合わせ、その際に形成される空隙部内に被覆導電線22を配置して組立体を得て、この組立体を加圧成形してもよい。圧粉コア21の詳細については後述する。
【0019】
コイル部22cを含む被覆導電線22の材質は限定されない。例えば、銅や銅合金とすることが挙げられる。コイル部22cはエッジワイズコイルであってもよい。コイル部22cの導体はめっきプロセスにより形成されたものであってもよい。この場合において、めっきプロセスにより形成された導体を覆うように絶縁材料が設けられて、被覆導電線22が構成されていてもよい。
【0020】
接続端子23a,23bの材料及び構成は、適切な導電性を有する限り、限定されない。接続端子23a,23bの限定されない一例として、圧粉コア21の表面に近位な側からCuめっき/Niめっき/Snめっきの構造を有する層が挙げられる。接続端子23a,23bは、銀などの導電性物質が樹脂などに分散してなる導電ペーストに基づく塗布型電極から構成されていてもよい。また、接続端子23a,23bは、銅、アルミ、亜鉛、ニッケル、鉄、スズなどを含むめっきと塗布型電極との組合せであってもよい。
【0021】
インダクタ20に交流電流を印加して得られた電気特性を、2つのパラメータを有する下記式(1)でフィッティング(累乗近似)したときに、2つのパラメータの一方であるパラメータaが100mΩμH-1-b以下である。なお、以下の説明では、パラメータaの単位の記載を省略する場合がある。
ACR/L=a×Iopb (1)
ここで、ACRは1MHzの交流電流を印加したときの交流抵抗値(単位:mΩ)であり、Lは自己インダクタンス(単位:μH)であり、Iopは印加した交流電流のリップル電流振幅(単位:A)であり、bは2つのパラメータの他方(単位:無次元)である。
【0022】
図2は、式(1)を説明するためのグラフであり、後述する発明例の1つと、比較例の1つとについて、インダクタの電気特性の測定結果を、縦軸をACR/L、横軸をIopとしてプロットしたものである。電気特性の測定は、具体的には、インダクタ20に、所定のリップル電流振幅Iopを有する1MHzの交流電流を印加し、交流抵抗値ACRと自己インダクタンスLとを測定することにより、行われた。
【0023】
図2からも明らかなように、基本的な傾向として、リップル電流振幅IopとACR/Lとは正の相関があり、IopとACR/Lとの関係は、次に説明するように、線形近似するよりも累乗近似する方がフィッティングの精度が高い。
【0024】
図2において、太い実線は、発明例(図2中白丸「○」)について累乗近似した結果であり、太い破線は、発明例について線形近似した結果である。細い実線は、比較例(図2中黒丸「●」)について線形近似した結果であり、細い破線は、比較例について線形近似した結果である。これらのフィッティングの精度を確認するために、それぞれの近似曲線の決定係数(R2)を求めた結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
表1に示されるように、累乗近似では、決定係数(R2)は0.99以上となり、良好な近似であるのに対し、線形近似では、決定係数(R2)は0.99未満であって、累乗近似との対比で良好な近似とはいえない。よって、IopとACR/Lとの関係は、線形近似よりも累乗近似の方が適切である。
【0027】
図3は、本発明の一実施形態に係るインダクタを含む複数のインダクタにおけるパラメータaと効率(%)との関係を示すグラフである(ここで、効率は電流負荷が比較的低いI=1Aでの値である)。異なる種類の圧粉コア21を備える複数のインダクタ20の電気特性の測定結果について、上記式(1)によりフィッティングを行うと、上記式(1)の2つのパラメータ(パラメータa、パラメータb)のうち、パラメータaが低いインダクタ20は、効率(入力電力に対する出力電力の割合、単位:%)が高くなる傾向を有する。具体的には、パラメータaが100以下となるインダクタ20は、図3の結果では88.5%超の効率を安定的に有することができる。インダクタ20についてのパラメータaが95以下である場合には、効率がより高くなる。
【0028】
この点を評価方法の観点で説明すれば、所定のリップル電流振幅Iopを変化させながら1MHzの交流電流をインダクタ20に印加して交流抵抗値ACRと自己インダクタンスLとを測定し、得られた測定結果について上記式(1)によりフィッティングしたときに、フィッティングパラメータaが100以下であるか否かを評価することにより、高い効率を有するインダクタ20であるか否かを判別することができる。
【0029】
本実施形態に係るインダクタ20の電気特性を上記式(1)によりフィッティングしたときのパラメータbの範囲は特に限定されない。インダクタ20の効率をより安定的に高める観点から、パラメータbは、0.10以上0.30以下であることが好ましい場合があり、0.13以上0.26以下であることがより好ましい場合がある。
【0030】
2.圧粉コア
本発明の一実施形態に係るインダクタ20が上記の特性を有する限り、インダクタ20が備える圧粉コア21の構造や組成は限定されない。次に説明する圧粉コア21を用いることにより、上記の特性を有する、本発明の一実施形態に係るインダクタ20を得ることが容易となる。
【0031】
(1)第1の粒子
圧粉コア21は、30質量%以上70質量%以下のNiを含み残部Feおよび不純物からなる組成を有し、結晶相を含む第1の粒子を含んでいてもよい。結晶相を含む第1の粒子では、一般的なX線回折測定により、結晶相の材料種類を特定できる程度に明確なピークを有する回折スペクトルが得られる。
【0032】
第1の粒子についてレーザ回折・散乱法にて測定したときに、体積基準の粒度分布において小粒径側からの積算粒径分布が50%となる粒径であるメジアン径D50-1(単位:μm)は、0.02μm以上1.3μm以下であってもよい。メジアン径D50-1がこの範囲にあることにより、圧粉コア21の鉄損Pcvが低下しやすい。圧粉コア21の鉄損Pcvをより低下させる観点から、メジアン径D50-1は1.0μm以下であることが好ましい。
【0033】
第1の粒子の粒径は、圧粉コア21の切断面を走査型電子顕微鏡で撮像して得られた画像(二次電子像)を解析することによっても得ることができる。この場合には、観察視野における複数の結晶質粒子の平均円相当径が、1.0μm以下であることが好ましく、0.3μm以上0.7μm以下であることがより好ましい。
【0034】
第1の粒子の組成は、FeおよびNiを含み、好ましくは、FeおよびNiからなる。かかる組成を有する圧粉コア21を備えるインダクタ20は、第1の粒子の組成がNiに代えて他の元素、例えばSiやCrを含有する場合に比べて、交流抵抗値ACRが低くなりやすい。第1の粒子を含む圧粉コア21の磁気特性を高める観点から、複数の結晶質粒子の組成は、10質量%以上90質量%以下のNiを含み、残部Feおよび不純物からなることがより好ましく、Niを40質量%以上60質量%以下含む組成を有することが特に好ましい。また、第1の粒子の組織は、結晶相からなってもよい。
【0035】
(2)第2の粒子
本実施形態に係る圧粉コア21は、非晶相を含む第2の粒子を含んでいてもよい。第2の粒子は、非晶相を含むため、(A)一般的なX線回折法によって得られる回折スペクトルがブロードなピークを含むことと、(B)示差熱分析により得られるDSCカーブが結晶化を示すピーク、すなわち、非晶相から結晶相への相変化に伴う発熱ピークを含むこととの少なくとも一方を満たす。第2の粒子の金属質部分は、非晶相のみから構成されていてもよいし、非晶相と結晶相とを有していてもよい。
【0036】
第2の粒子のメジアン径D50-2は、3.0μm以上15.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以上12.0μm以下であることがより好ましい。メジアン径D50-2がこの範囲にあることにより、圧粉コア21の鉄損Pcvの低下が実現される。メジアン径D50-2は、第2の粒子の適切な取扱性および適切な入手容易性、ならびに圧粉コア21の磁気特性の向上の観点から、5.0μm以上9.0μm以下であることがより好ましい場合があり、5.5μm以上7.5μm以下であることが特に好ましい場合がある。
【0037】
第2の粒子の粒径は、圧粉コア21の切断面を走査型電子顕微鏡で撮像して得られた画像(二次電子像)を解析することによっても得ることができる。この場合には、観察視野における第2の粒子の平均円相当径が、1.0μm以上8.0μm以下であればよく、2.0μm以上6.0μm以下であることが好ましい。
【0038】
第2の粒子の金属質部分が実質的に非晶相からなるアモルファス粒子である場合における一例として、第2の粒子の金属質部分がBやPを含む組成を有することが挙げられる。
【0039】
この場合の金属質部分の構成材料の具体例としてFe-P-C系合金が挙げられる。Fe-P-C系合金の組成は、1.0~13.0原子%のPと、1.0~13.0原子%のCと、Feおよび不純物からなってもよい。このFe-P-C系合金は、任意元素として、Ni、Sn、Cr、B、Siからなる群から選択される1つ以上を含んでもよい。この場合、例えば、Niの量が0~10.0原子%、Snの量が0~3.0原子%、Crの量が0~6.0原子%、Bの量が0~9.0原子%、Siの量が0~7.0原子%であってもよい。Feの量は、65原子%以上であると好ましい。
【0040】
Fe-P-C系合金の具体例として、次の組成を有する場合が挙げられる:
P:5.0原子%以上13.0原子%以下
C:2.2原子%以上13.0原子%以下
Ni:10.0原子%以下
B:9.0原子%以下
Si:10.0原子%以下
Cr:6.0原子%以下
Sn:3.0原子%以下
を含有し、残部がFeおよび不純物。
上記の組成において、Ni,B,Si,CrおよびSnは任意元素である。そのため、これら任意元素の量の下限は、0原子%である。
【0041】
また、金属質部分の構成材料の別の具体例としてFe-B-C系合金が挙げられる。このFe-B-C系合金の具体例として、次の組成を有する場合が挙げられる:
B:5.0原子%以上16.0原子%以下
C:2.0原子%以上10.0原子%以下
Si:12.0原子%以下
Ni:10.0原子%以下
Cr:6.0原子%以下
Sn:3.0原子%以下
を含有し、残部がFeおよび不純物。
上記の組成において、Ni,B,Si,CrおよびSnは任意元素である。そのため、これら任意元素の量の下限は、0原子%である。
この場合、Cの量が、5.0原子%以上であることが好ましい。
【0042】
第2の粒子が非晶相と結晶相とを有する場合の一例として、第2の粒子がシェラー径が50nm以下の結晶相を含む金属質部分を有するナノ結晶粒子である場合が挙げられる。この金属質部分は、シェラー径が50nm以下の結晶相と当該結晶相を取り囲む非晶相とからなってもよい。
【0043】
限定されない例示として、ナノ結晶粒子は、C,B,P,およびSiからなる群から選ばれる1種以上からなる元素X:5原子%以上20原子%以下、Mo,Nb,Cu,Zr,Al,およびVからなる群から選ばれる1種以上からなる元素M:1原子%以上10原子%以下、を含有し、残部Feおよび不純物からなる組成を有してもよい。この場合には、シェラー径が50nm以下の結晶相が生成しやすい。
【0044】
ナノ結晶粒子の具体例として、その金属質部分がFe-Si-B-Nb-Cu系合金で構成される場合が挙げられる。Fe-Si-B-Nb-Cu系合金は、1.0~16.0原子%のSiと、1.0~15.0原子%のBと、0.50~8.0原子%のNbと、0.50~5.0原子%のCuと、Feおよび不純物からなる残部とからなってもよい。この場合、Feの量は、65原子%以上であると好ましい。
【0045】
また、第2の粒子が非晶相と結晶相とを有する場合の別の例として、第2の粒子が上述のアモルファス粒子とナノ結晶粒子との混合粒子である場合が挙げられる。この場合において、アモルファス粒子のメジアン径d2-1が3.5μm以上9.0μm以下であることと、ナノ結晶粒子のメジアン径d2-2が2.0μm以上20μm以下であることとの少なくとも一方を満たしてもよい。
【0046】
上記のように第2の粒子がアモルファス粒子およびナノ結晶粒子を含む場合には、第2の粒子のメジアン径D50-2は、アモルファス粒子のメジアン径d2-1およびその配合割合(質量比)ならびにナノ結晶粒子のメジアン径d2-2およびその配合割合(質量比)から近似値として算出することができる。そのようにして算出されたメジアン径D50-2が、上記のとおり3.0μm以上9.0μm以下であってもよい。
【0047】
なお、アモルファス粒子の金属質部分は、プロセス上不可避的に生じる結晶相を含んでもよい。
【0048】
(3)金属粉末
圧粉コア21が備える金属粉末は軟磁性であって、そのメジアン径D50は、8.0μm以下であることが好ましい。金属粉末が複数種類の粒子の混合体である場合(具体例として、第1の粒子および第2の粒子を含む場合が例示される。)には、各種粒子のメジアン径およびその配合割合(質量比)から、金属粉末のメジアン径D50を近似的に算出することができる。メジアン径D50がこの範囲にある圧粉コア21を備えることにより、効率の高いインダクタ20を得ることができる。圧粉コア21を製造する際の金属粉末の適切な取扱性を確保しつつ、インダクタ20の効率をより高める観点から、メジアン径D50は、2.0μm以上6.0μm以下であることが好ましい場合があり、2.5μm以上5.0μm以下であることがより好ましい場合がある。
【0049】
金属粉末が第1の粒子および第2の粒子を含む場合において、金属粉末に対する第1の粒子の質量比C1は、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、10質量%以上50質量%未満であることがより好ましい。第1の粒子は、第2の粒子よりも軟質であり、圧粉コア21において第2の粒子の間を埋めるように変形できるので、第1の粒子の質量比C1が50質量%未満であることにより、圧粉コア21を備えるインダクタ20において交流抵抗値ACRが低下しやすい。
【0050】
金属粉末が第1の粒子および第2の粒子を含む場合において、金属粉末に対する第2の粒子の質量比C2(アモルファス粒子の質量比C2-1とナノ結晶粒子の質量比C2-2の総和)は、金属粉末の充填率を増加させて自己インダクタンスLを高める観点から、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上80質量%未満であることがより好ましい。
【0051】
金属粉末の形状は限定されない。金属粉末は、球形であってもよいし、楕円形であってもよいし、鱗片状であってもよいし、不定形状を有していてもよい。これら形状を得るための製造方法も限定されない。
【0052】
金属粉末は表面絶縁処理が施されていてもよい。金属粉末に表面絶縁処理が施されている場合には、圧粉コア21の絶縁抵抗が向上する。金属粉末に施す表面絶縁処理の種類は限定されない。リン酸処理、リン酸塩処理、酸化処理などが例示される。軟磁性粉末がその表面に絶縁被膜を有してもよい。この絶縁被膜は、Si、P、Bからなる群から選択される少なくとも1つと、O(酸素)とを含んでもよい。
【0053】
(4)その他の材料
圧粉コア21は、金属粉末に加えて、任意の副原料をさらに含んでもよい。任意の副原料は、例えば、結着材料や改質剤である。結着材料は、圧粉コア21に含有される金属粉末等の粒子同士を結合する。この結着材料は、圧粉コア21に絶縁抵抗を付与するために、絶縁性の材料であることが好ましい。
【0054】
結着材料は、有機材料であってもよいし、無機材料であってもよい。有機材料は、樹脂材料であってもよい。樹脂材料として、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂などが例示される。無機材料は、水ガラスなどガラス系材料であってもよい。結着材料は、熱分解等の反応の生成物であってもよく、複数の材料の混合物であってもよい。改質剤は、例えば、金属粉体の流動性を向上させたり、結着材料の硬化速度を調整したりする。改質剤は、ガラス系材料であってもよい。
【0055】
(5)製造方法
圧粉コア21の製造方法は特に限定されない。一例として、圧粉コア21の製造方法は、次に説明する成形工程を備え、さらに熱処理工程を備えていてもよい。
【0056】
(5-1)成形工程
まず、金属粉末、および圧粉コア21において結着成分を与える成分を含む混合物を用意する。結着成分を与える成分(本明細書において、「バインダー成分」ともいう。)とは、結着成分そのものである場合もあれば、結着成分と異なる材料である場合もある。後者の具体例として、バインダー成分が樹脂材料であって、結着成分がその熱分解残渣である場合が挙げられる。このような熱分解残渣は、後述するように、成形工程に引き続いて行われる熱処理工程によって形成されうる。
【0057】
この混合物の加圧成形を含む成形処理により成形製造物を得ることができる。加圧条件は限定されず、バインダー成分の組成などに基づき適宜設定される。例えば、バインダー成分が熱硬化性の樹脂からなる場合には、加圧とともに加熱して、金型内で樹脂の硬化反応を進行させることが好ましい。一方、加圧力が高い圧縮成形の場合には、加熱は必要条件とならず、短時間の加圧となる。圧縮成形の場合における加圧力は適宜設定される。限定されない例示を行えば、0.5GPa以上2GPa以下であり、1GPa以上2GPa以下とすることが好ましい場合がある。圧縮成形では、加熱しながら加圧を行ってもよいし、常温で加圧を行ってもよい。
【0058】
混合物は、金属粉末およびバインダー成分を含有する造粒粉であってもよい。造粒粉は、上記の金属粉末およびバインダー成分以外の材料を含有してもよい。そのような材料として、潤滑剤、シランカップリング剤、絶縁性のフィラーなどが例示される。造粒粉の製造方法は特に限定されない。上記の造粒粉を与える成分をそのまま混錬し、得られた混練物を公知の方法で粉砕するなどして造粒粉を得てもよいし、上記の成分に分散媒(水が一例として挙げられる。)を添加してなるスラリーを調製し、このスラリーを乾燥させて粉砕することにより造粒粉を得てもよい。粉砕後にふるい分けや分級を行って、造粒粉の粒度分布を制御してもよい。
【0059】
(5-2)熱処理工程
成形工程により得られた成形製造物が圧粉コア21であってもよいし、次に説明するように成形製造物に対して熱処理工程を実施して圧粉コア21を得てもよい。
【0060】
熱処理工程では、上記の成形工程により得られた成形製造物を加熱することにより、金属粉末間の距離を修正することによる磁気特性の調整および成形工程において金属粉末に付与された歪を緩和させて磁気特性の調整を行って、圧粉コア21を得る。
【0061】
熱処理工程は上記のように圧粉コア21の磁気特性の調整が目的であるから、熱処理温度などの熱処理条件は、圧粉コア21の磁気特性が最も良好となるように設定される。熱処理条件を設定する方法の一例として、成形製造物の加熱温度の最高値(アニール温度)を変化させ、昇温速度および加熱温度での保持時間など他の条件は一定とすることが挙げられる。
【0062】
3.インダクタ、電子・電気機器
本発明の一実施形態に係る電子・電気機器は、上記の本発明の一実施形態に係るインダクタ20が実装された電子・電気機器であって、インダクタ20がその接続端子にて基板に接続されているものである。かかるインダクタ20を備える回路の一例として、DC-DCコンバータのようなスイッチング電源回路が挙げられる。スイッチング電源回路は、電子・電気機器の小型化、軽量化、高機能化といった多様な要求に応えるために、スイッチング周波数が高くなり、回路を流れる電流量が増加する傾向がある。このため、回路の構成部品であるインダクタ20に流れる電流も、変動周波数が高くなり、平均電流量が増加する傾向がある。
【0063】
この点に関し、上記のとおり、本発明の一実施形態に係るインダクタ20は、ACR/Lが低く、かつ効率が高い。このため、インダクタ20に発熱の問題が生じにくい。それゆえ、本発明の一実施形態に係るインダクタ20が実装された電子・電気機器は、小型化、軽量化に対応しつつ、高機能化を実現することが可能である。
【0064】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【実施例0065】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
(実施例1)
【0066】
(1)金属粉末の準備
表2に示されるメジアン径D50-1および組成を有する第1の粒子を用意した。表2において、「FeSiCr」は、Si含有量が3.5質量%かつCr含有量が4.5質量%で残部Fe及び不純物のFe-Si-Cr合金であることを意味し、「FeNi」はNi含有量が50質量%で残部Fe及び不純物のFe-Ni合金であることを意味している。
【0067】
第2の粒子の一種として、元素としてFe、Ni、Cr、P、CおよびBを有し、所定の組成になるように原料を秤量して上述のFe-P-C系合金を溶製し、得られたFe-P-C系合金からなり、表1に示されるメジアン径d2-1を有するアモルファス粒子を用意した。得られたアモルファス粒子の化学組成は、6原子%のNiと、2原子%のCrと、11原子%のPと、8原子%のCと、2原子%のBと、残部Fe及び不純物からなっていた。
【0068】
また、第2の粒子の別の一種として、元素としてFe、Si、B、Nb、Cuを有し、シェラー径が50nm以下の結晶相と非晶質相とからなる金属質部分を有し、表2に示されるメジアン径d2-2を有するナノ結晶粒子を用意した。得られたアモルファス粒子の化学組成は、6原子%のNiと、2原子%のCrと、11原子%のPと、8原子%のCと、2原子%のBと、残部Fe及び不純物からなっていた。
【0069】
【表2】
【0070】
なお、用意された第1の粒子および第2の粒子の粒度分布は、レーザー回折・散乱法による粒度分布計(日機装社製「マイクロトラック粒度分布測定装置 MT3300EX」)を用いて体積分布で測定して求めた。メジアン径は、前述のように、上記のようにして求めた体積基準の粒度分布において小粒径側からの積算粒径分布が50%となる粒径(単位:μm)である。
【0071】
(2)金属粉末の準備
第1の粒子および第2の粒子から2種または3種を選び出して、表2に示される所定の割合(C1:金属粉末における第1の粒子の配合割合、C2:金属粉末における第2の粒子の配合割合、C2-1:金属粉末におけるアモルファス粒子の配合割合、C2-2:金属粉末におけるナノ結晶粒子の配合割合、単位はいずれも質量%)で混合して金属粉末を得た。金属粉末のメジアン径D50(単位:μm)の算出結果を表2に示した。
【0072】
(3)圧粉コアの製造
得られた金属粉末100質量部に対し、アクリル樹脂およびフェノール樹脂からなる絶縁性結着材を表2の「樹脂量」の列に示される質量部、およびステアリン酸亜鉛からなる潤滑剤0~0.5質量部を混合し、さらに溶媒として水を使用してスラリーを得た。得られたスラリーからスプレードライヤー装置を用いて造粒粉を得た。得られた造粒粉を被覆導電線22が配置された金型に充填し、面圧980MPaで加圧成形して、縦3.0mm×横3.25mm×厚さ1.1~1.2mmのコイル埋め込み成形体を得た。得られたコイル埋め込み成形体を、窒素気流雰囲気の炉内に載置し、炉内温度を、室温(23℃)から昇温速度10℃/分で、表2に示されるアニール温度まで加熱し、この温度にて1時間保持し、その後、炉内で室温まで冷却する熱処理を行い、コイル部22cが埋め込まれた圧粉コア21を得た。塗布型電極からなる接続端子23a,23bを圧粉コア21に設けることにより接続端子23a,23b導と被覆導電線22の導体とを電気的に接続して、インダクタ20を得た。
【0073】
(試験例1)電気特性の測定
実施例において作製したインダクタの自己インダクタンスL(単位:μH)および交流抵抗値ACR(単位:mΩ)ならびに効率(単位:%)を測定した。ここで、効率は電流が比較的低いI=1Aを流した時の値である。交流抵抗値ACRの測定は、印加した交流電流のリップル電流振幅Iop(単位:A)を0.1Aから0.4Aまで変化させて測定した。測定結果を表3に示す。
【0074】
(評価例1)累乗近似
試験例1により測定された自己インダクタンスLおよび交流抵抗値ACRから算出したACR/Lをリップル電流振幅Iopに対してプロットした。プロット結果について上記式(1)に示される累乗近似を行い、2つのパラメータ(パラメータa、パラメータb)を求めた。その結果を表3に示す。また、図4には、実施例に係るインダクタについての、パラメータaと効率(%)との関係を示すグラフを示した。
【0075】
【表3】
【0076】
表3および図4に示されるように、パラメータaが100以下の場合にはインダクタの効率が88.5%超となることが確認された。これに対し、パラメータaが100超の場合には、効率が88.5%超とならなかった。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のインダクタは、DC-DCコンバータなどスイッチング電源回路の構成部品となるインダクタとして好適に使用されうる。
【符号の説明】
【0078】
20…インダクタ
21…圧粉コア
22…被覆導電線
22a,22b…端部
23a,23b…接続端子
22c…コイル部
図1
図2
図3
図4