(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118241
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】継手
(51)【国際特許分類】
F16L 41/02 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
F16L41/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024576
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柏又 智明
【テーマコード(参考)】
3H019
【Fターム(参考)】
3H019BA04
3H019BD05
(57)【要約】
【課題】凍結時における負荷を低減することの可能な継手を提供する。
【解決手段】継手10は、配管が接続される第1接続部26、第2接続部28、及び第3接続部30と、第1接続部26、第2接続部28、及び第3接続部30へ各々流路を分岐させると共に、互いの開口が合流する合流部40を有する第1流路R1、第2流路R2、及び第3流路R3が形成された分岐部と、を備え、第1流路R1、第2流路R2、及び第3流路R3は、合流部40における流路断面が、第1接続部26、第2接続部28、及び第3接続部30との境界部分よりも小さい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管が接続される第1接続部、第2接続部、及び第3接続部と、
前記第1接続部、前記第2接続部、及び前記第3接続部への流路を、合流部から各々分岐させる、第1流路、第2流路、及び第3流路が形成された分岐部と、
を備え、
前記第1流路、前記第2流路、及び前記第3流路は、前記合流部への開口における流路断面が、前記第1接続部、前記第2接続部、及び前記第3接続部との境界部分よりも小さい、
継手。
【請求項2】
前記第1流路、前記第2流路、及び前記第3流路は、前記合流部へ向かうにつれて前記流路断面が小さくなる、
請求項1に記載の継手。
【請求項3】
前記第1流路、前記第2流路、及び前記第3流路の前記合流部へ向かっての縮径割合は一定である、
請求項2に記載の継手。
【請求項4】
前記第1流路、前記第2流路、及び前記第3流路の前記合流部へ向かっての縮径割合は、前記第1接続部、前記第2接続部、及び前記第3接続部に近い側が、前記合流部側よりも大きい、
請求項2に記載の継手。
【請求項5】
前記第1流路、前記第2流路、及び前記第3流路には、前記合流部を跨いで平坦状の平坦部が形成されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手に関する。
【背景技術】
【0002】
配管や継手内の水が凍結すると、体積膨張圧力により配管や継手に大きな負荷がかかる。そのため、凍結防止措置として、保温材を設けたり、ヒータで加熱したりするなどの技術が提案されている。しかしながら、凍結した場合の対策ではない。
【0003】
ところで、継手として、チーズ形状(T字状)の所謂チーズ継手などの、分岐部分を有する継手(特許文献1参照)は、特に凍結時に負荷がかかりやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した問題に着目して為されたものであって、凍結時における負荷を低減することの可能な継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る継手は、配管が接続される第1接続部、第2接続部、及び第3接続部と、前記第1接続部、前記第2接続部、及び前記第3接続部へ各々流路を分岐させると共に、互いの開口が合流する合流部を有する第1流路、第2流路、及び第3流路が形成された分岐部と、を備え、前記第1流路、前記第2流路、及び前記第3流路は、前記合流部における流路断面が、前記第1接続部、前記第2接続部、及び前記第3接続部との境界部分よりも小さい。
【0007】
第1の態様に係る継手は、第1流路、第2流路、及び第3流路について、合流部における流路断面が、第1接続部、第2接続部、及び第3接続部との境界部分よりも小さい。したがって、第1流路、第2流路、及び第3流路に滞留した水が凍結する場合、合流部側の凍結が第1接続部、第2接続部、及び第3接続部側の凍結よりも早く始まる。これにより、第1接続部、第2接続部、及び第3接続部側の凍結が合流部側の凍結よりも早く始まる場合と比較して、流路において継手の外側に体積膨張圧を逃がすことができ、合流部への負荷を低減することができる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る継手は、前記第1流路、前記第2流路、及び前記第3流路は、前記合流部へ向かうにつれて前記流路断面が小さくなる。
【0009】
第2の態様に係る継手によれば、第1流路、第2流路、及び第3流路に滞留した水が凍結する場合、合流部側から第1接続部、第2接続部、及び第3接続部側へ進む。したがって、流路においてスムーズに継手の外側に体積膨張圧を逃がすことができ、合流部への負荷を低減することができる。
【0010】
本発明の第3の態様に係る継手は、前記第1流路、前記第2流路、及び前記第3流路の前記合流部へ向かっての縮径割合は一定である。
【0011】
第3の態様に係る継手によれば、継手内において、スムーズに水を流すことができる。
【0012】
本発明の第4の態様に係る継手は、前記第1流路、前記第2流路、及び前記第3流路の前記合流部へ向かっての縮径割合は、前記第1接続部、前記第2接続部、及び前記第3接続部に近い側が、前記合流部側よりも大きい。
【0013】
第4の態様に係る継手によれば、第1接続部、第2接続部、及び第3接続部に近い側の縮径割合を合流部側よりも大きくすることにより、合流部からの凍結速度を調整することができる。
【0014】
本発明の第5の態様に係る継手は、前記第1流路、前記第2流路、及び前記第3流路には、前記合流部を跨いで平坦状の平坦部が形成されている。
【0015】
第5の態様に係る継手によれば、平坦部により第1流路、第2流路、及び第3流路の断面積を容易に調整することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、凍結時における負荷を低減することの可能な継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る継手の構成を説明する断面図である。
【
図2】本実施形態に係る継手の流路を説明する図である。
【
図3】本実施形態の変形例に係る継手の流路を説明する図である。
【
図4】本実施形態の変形例に係る継手の流路を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一の部分及び類似の部分には、同一の符号又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各装置や各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なる。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判定すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0019】
<継手の構造>
図1に示すように、本実施形態の継手10は、所謂チーズと呼ばれるT字形状をしたワンタッチ式継手である。継手10は、継手本体12、キャップ14、シール部材16、内筒部材32、ロックリング22等を含んで構成されている。
【0020】
本実施形態の継手本体12は、一例として合成樹脂の成形品であり、円筒形状で直線状に延びる第1接続部26と、円筒形状で第1接続部26と反対方向に直線状に延びる第2接続部28と、第1接続部26及び第2接続部28と直交する方向に直線状に延びる第3接続部30と、を有している。第1接続部26及び第2接続部28で、継手10のT字の横棒に相当する部分の骨格が形成され、第3接続部30で、T字の横棒の中央から直交する方向に延びる部分の骨格が形成されている。
【0021】
第1接続部26、第2接続部28、第3接続部30の各々の円筒内周には、内筒部材32が配置されている。内筒部材32は、二重筒状とされ、内周部32A、外周部32B、及び底部32Cを有している。
【0022】
外周部32Bは、第1接続部26、第2接続部28、第3接続部30の各々の円筒内周に沿って延在し、奥側から順に基部32B1、スペーサ32B2、保持リング32B3を有している。基部32B1とスペーサ32B2の間、及び、スペーサ32B2と保持リング32B3の間には、シール部材16が配置されている。保持リング32B3の開口側は、拡径となるテーパー状とされ、第1接続部26、第2接続部28、第3接続部30の先端面に支持される。
【0023】
内周部32Aは、外周部32Bの内側に挿入空間INを形成するように離隔して配置されている。この挿入空間INに配管(不図示)が差し込まれて連結される。底部32Cは、内周部32Aと外周部32Bの奥側を連結する。内周部32Aの内側に、外側流路R4が構成される。
【0024】
保持リング32B3の先端側には、ロックリング22が配置されている。ロックリング22は、挿入空間INに挿入された配管の外周に引っかかる爪を有しており、挿入された配管の抜け止めとなる。
【0025】
キャップ14は、開口側が縮径された筒状とされている。キャップ14は、第1接続部26、第2接続部28、第3接続部30の各々の外周に係合されている。キャップ14の内部には段部14Aが形成されており、この段部14Aと基部32B1との間に、ロックリング22、保持リング32B3、シール部材16、スペーサ32B2が挟持されている。第1接続部26の外周にキャップ14が外嵌されることで、ロックリング22、保持リング32B3、シール部材16、スペーサ32B2の、第1接続部26、第2接続部28、第3接続部30からの抜け出しが防止されている。
【0026】
継手本体12の第1接続部26、第2接続部28、第3接続部30の開口が合流する部分には、合流部40が形成されている。合流部40は、第1接続部26と連結される第1分岐部42、第2接続部28と連結される第2分岐部44、第3接続部30と連結される第3分岐部46と一体的に形成されている。第1分岐部42、第2分岐部44、及び第3分岐部46が、本開示の分岐部となる。
【0027】
第1分岐部42内には、合流部40から第1接続部26へ流路を分岐させる、第1流路R1が形成されている。第2分岐部44内には、合流部40から第2接続部28へ流路を分岐させる、第2流路R2が形成されている。第3分岐部46内には、合流部40から第3接続部30へ流路を分岐させる、第3流路R3が形成されている。
【0028】
図2には、継手10の流路R(継手10の内側の空洞部分)が示されている。流路Rは、継手本体12の合流部40の内壁40Aに囲まれた中央流路R0、中央流路R0から連続する第1流路R1、第2流路R2、第3流路R3を有している。第1流路R1、第2流路R2、第3流路R3の各々からは、内周部32Aの内側に形成された外側流路R4が延出されている。
【0029】
第1流路R1と外側流路R4との境界部分の直径A1-1は、第1流路R1から中央流路R0への開口における直径A1-2よりも大きく設定されており、第1流路R1は、外側流路R4側から中央流路R0側へ向かって一定の割合で縮径されたテーパー状とされている。第2流路R2と外側流路R4との境界部分の直径A2-1は、第2流路R2から中央流路R0への開口における直径A2-2よりも大きく設定されており、第2流路R2は、外側流路R4側から中央流路R0側へ向かって一定の割合で縮径されたテーパー状とされている。第3流路R3と外側流路R4との境界部分の直径A3-1は、第3流路R3から中央流路R0への開口における直径A3-2よりも大きく設定されており、第3流路R3は、外側流路R4側から中央流路R0側へ向かって一定の割合で縮径されたテーパー状とされている。
【0030】
(作用効果)
上記の継手10は、第1流路R1、第2流路R2、第3流路R3の各々において、中央流路R0側の断面積が外側流路R4側の断面積よりも小さい。したがって、低温の外気状態下において、継手10内に滞留した水は、中央流路R0側から低温となり、凍結する。そして、当該凍結は、第1流路R1、第2流路R2、第3流路R3の外側流路R4側へ進む。
【0031】
このように、継手10内に滞留した水の凍結を中央流路R0側から開始させることにより、体積膨張圧力を継手10の流路Rの外側へ逃がすことができる。これにより、凍結時における負荷を低減することができる。
【0032】
なお、本実施形態では、第1流路R1、第2流路R2、第3流路R3の各々について、外側流路R4側から中央流路R0側へ向かって一定の割合で縮径したが、必ずしもこのように縮径する必要はない。
図3に示されるように、外側流路R4側の縮径割合を中央流路R0側の縮径割合よりも大きくしてもよい。このように縮径割合を変えることにより、中央流路R0側から外側流路R4への凍結速度をコントロールすることができる。
【0033】
また、第1流路R1、第2流路R2、第3流路R3の各々について、径の縮小を行わず、
図4に示されるように、中央流路R0側に平坦部分RFを形成してもよい。平坦部分RFは、流路RのT字の一方面側と他方面側に、対向するように形成されている。この場合には、中央流路R0から連続する平坦部分RFとして、中央流路R0の断面積、及び、第1流路R1、第2流路R2、第3流路R3の各々について平坦部分RFが形成された部分についての断面積を小さくすることができる。
【0034】
また、本実施形態では、T字形状のチーズ継手について説明したが、分岐を有する他の形状の継手、例えば、十字形状のクロス継手や、複数の分岐を有するヘッダーに、本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0035】
10 継手
26 第1接続部
28 第2接続部
30 第3接続部
40 合流部
42 第1分岐部(分岐部)
44 第2分岐部(分岐部)
46 第3分岐部(分岐部)
R 流路
R1 第1流路
R2 第2流路
R3 第3流路