(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118246
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】物体追跡装置
(51)【国際特許分類】
G01S 13/72 20060101AFI20240823BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20240823BHJP
G01S 17/931 20200101ALI20240823BHJP
G01S 17/58 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
G01S13/72
G01S13/931
G01S17/931
G01S17/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024584
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】赤峰 悠介
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 敏幸
【テーマコード(参考)】
5J070
5J084
【Fターム(参考)】
5J070AC01
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC13
5J070AE01
5J070AF03
5J070AK40
5J070BB04
5J070BB06
5J070BB16
5J070BB17
5J084AA04
5J084AA05
5J084AA07
5J084AA10
5J084AA13
5J084AB01
5J084AC02
5J084CA31
5J084EA23
(57)【要約】
【課題】観測状況によらず、安定した物体の追跡が可能な物体追跡装置を提供する。
【解決手段】物体追跡装置は、センサ部と、第1追跡部15と、第2追跡部17と、選択部13と、追跡制御部14と、を備える。第1追跡部は、処理サイクルごとに、センサ部により取得された少なくとも一つの観測値に基づいて、点としてモデル化した少なくとも一つの第1物標の追跡を実行する。第2追跡部は、処理サイクルごとに、センサ部により取得された少なくとも一つの観測値に基づいて、領域を有する形状としてモデル化した第2物標の追跡を実行する。選択部は、少なくとも一つの第1物標又は第2物標の状態に応じて、第1追跡部及び第2追跡部のうちの一方を選択する。追跡制御部は、選択部により選択された一方のみに追跡を実行させる、又は、一方による追跡の結果を出力させる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体(50)に搭載されたセンサ部(11)であって、前記移動体の周辺にセンサ波を送受信することにより、処理サイクルごとに、少なくとも一つの観測値を取得するように構成されたセンサ部と、
前記処理サイクルごとに、前記センサ部により取得された前記少なくとも一つの観測値に基づいて、点としてモデル化した少なくとも一つの第1物標の追跡を実行するように構成された第1追跡部(15)と、
前記処理サイクルごとに、前記センサ部により取得された前記少なくとも一つの観測値に基づいて、領域を有する形状としてモデル化した第2物標の追跡を実行するように構成された第2追跡部(17)と、
前記少なくとも一つの第1物標又は前記第2物標の状態に応じて、前記第1追跡部及び前記第2追跡部のうちの一方を選択するように構成された選択部(13)と、
前記選択部により選択された前記一方のみに前記追跡を実行させる、又は、前記一方による前記追跡の結果を出力させるように構成された、追跡制御部(14)と、を備える、
物体追跡装置。
【請求項2】
前記第1追跡部(15)は、
前記処理サイクルごとに、物体での前記センサ波の反射位置を含む前記少なくとも一つの第1物標の状態であって、過去に推定された前記少なくとも一つの第1物標の状態に基づいて、現在の前記少なくとも一つの第1物標の状態を予測した値である少なくとも一つの第1予測値を算出するように構成された第1予測値算出部と、
前記第1予測値算出部により算出された前記少なくとも一つの第1予測値と、前記少なくとも一つの観測値とを関連付けるように構成された第1関連付け部と、
前記第1関連付け部により関連付けられた前記少なくとも一つの第1予測値と、前記少なくとも一つの観測値とから、前記少なくとも一つの第1物標の状態を推定するように構成された第1推定部と、を備える、
請求項1に記載の物体追跡装置。
【請求項3】
前記第2追跡部(17)は、
前記処理サイクルごとに、前記物体の位置及び向きを含む前記第2物標の状態であって、過去に推定された前記第2物標の状態に基づいて、現在の前記第2物標の状態及び存在領域を予測した値である複数の第2予測値を算出するように構成された第2予測値算出部と、
前記第2予測値算出部により算出された前記複数の第2予測値と、前記少なくとも一つの観測値とを関連付けるように構成された第2関連付け部と、
前記第2関連付け部により関連付けられた前複数の記第2予測値の各々と、前記少なくとも一つの観測値とから、前記第2物標の状態を推定するように構成された第2推定部と、を備える、
請求項2に記載の物体追跡装置。
【請求項4】
前記選択部(13)は、前記少なくとも一つの第1物標又は前記第2物標の距離が所定距離以上である場合に、前記第1追跡部を選択するように構成されている、
請求項1に記載の物体追跡装置。
【請求項5】
前記選択部(13)は、前記少なくとも一つの観測値のうち前記少なくとも一つの第1物標又は前記第2物標の近傍の観測値の数が所定数以下である場合に、前記第1追跡部を選択するように構成されている、
請求項1に記載の物体追跡装置。
【請求項6】
前記選択部(13)は、
前記少なくとも一つの第1物標又は前記第2物標に対応する物体の種別が、自動車か否か判定し、
前記種別が前記自動車以外と判定した場合に、前記第1追跡部を選択するように構成されている、
請求項1に記載の物体追跡装置。
【請求項7】
前記追跡制御部(14)は、前記第1追跡部及び前記第2追跡部に前記追跡を実行させ、前記選択部により選択された前記一方による前記追跡の結果を出力させるように構成されており、
前記選択部(13)は、前記第1追跡部及び前記第2追跡部のうち前記追跡の誤差が小さい方を選択するように構成されている、
請求項1に記載の物体追跡装置。
【請求項8】
前記選択部(13)は、同じ前記物体に対応する前記少なくとも一つの第1物標又は前記第2物標が最初に検知されてから経過した時間が、所定時間以下である場合に、前記第1追跡部を選択するように構成されている、
請求項1に記載の物体追跡装置。
【請求項9】
(i)前記少なくとも一つの第1物標又は前記第2物標の距離、(ii)前記少なくとも一つの観測値に含まれる観測値の数、(iii)前記少なくとも一つの第1物標又は前記第2物標に対応する物体の種別、(iv)前記第1追跡部及び前記第2追跡部による前記追跡の誤差、及び、(v)前記少なくとも一つの第1物標又は前記第2物標が最初に検知されてから経過した時間、のうちの少なくとも一つに基づいて、前記第1追跡部による前記追跡及び前記第2追跡部による前記追跡の信頼度を算出するように構成された信頼度算出部を更に備え、
前記選択部(13)は、前記第1追跡部及び前記第2追跡部のうち、前記信頼度算出部により算出された前記信頼度が高い方を選択するように構成されている、
請求項1に記載の物体追跡装置。
【請求項10】
前記第1予測値算出部は、第1運動モデルに基づいて、前記第1予測値を算出するように構成されており、
前記第2予測値算出部は、前記第1運動モデルと異なる第2運動モデルに基づいて、前記第2予測値を算出するように構成されている、
請求項3に記載の物体追跡装置。
【請求項11】
前記第1運動モデルは、直進運動モデルであり、
前記第2運動モデルは、旋回運動モデルである、
請求項10に記載の物体追跡装置。
【請求項12】
前記少なくとも一つの第1物標は、複数の第1物標を含み、
前記追跡制御部(14)は、前記選択部(13)により選択された前記一方のみに前記追跡を実行させるように構成されており、
前記第2追跡部(17)は、前記選択部により選択された前記一方が前記第1追跡部(15)から前記第2追跡部に変わった場合に、前記複数の第1物標のうち同じ物体に対応する第1物標をグルーピングし、グルーピングされた前記第1物標の中から代表物標を選択し、選択された前記代表物標を基準にして、前記第2物標を生成するように構成されている、
請求項1に記載の物体追跡装置。
【請求項13】
前記追跡制御部(14)は、前記選択部(13)により選択された前記一方のみに前記追跡を実行させるように構成されており、
前記第1追跡部(15)は、前記選択部により選択された前記一方が前記第2追跡部(17)から前記第1追跡部に変わった場合に、前記第2物標の近傍の少なくとも一つの観測値に基づいて、前記少なくとも一つの第1物標を生成するように構成されている、
請求項1に記載の物体追跡装置。
【請求項14】
前記追跡制御部(14)は、前記追跡の結果とともに、前記第1追跡部及び前記第2追跡部のどちらの前記追跡の結果であるかを、出力させるように構成されている、
請求項1に記載の物体追跡装置。
【請求項15】
前記センサ部(11)は、電波レーダ、ライダー、及びソナーのいずれかである、
請求項1に記載の物体追跡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体が周囲の物体を追跡する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に記載の拡張物体追跡(以下、EOT)では、レーダ装置が受信する反射信号が物標の輪郭で生じるとの仮定の下で、物標の予測輪郭上の予測値が、観測値と関連付けられて、物標の運動状態が時系列的に推定される。具体的には、上述のEOTでは、予測輪郭の中心及び観測値を通る直線と予測輪郭との交点が、予測値として算出され、算出された予測値が、予測値と同じ直線上の観測値と関連付けられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】時澤宗一郎、米陀佳祐、菅沼直樹、自動運転のための安定性とリアルタイム性とを良質した拡張物体追跡、自動車技術会論文集、Vol.52、No.5、September 2021.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のEOTは、観測値の数が多い場合には、物標の状態を安定して推定することができるが、観測値の数が少ない場合には、観測値を物体の形状に適切に対応付けることが難しく、物標の状態の推定精度が低下し得る。
【0005】
本開示の1つの局面は、観測状況によらず、安定した物体の追跡が可能な物体追跡装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの局面の物体追跡装置は、センサ部と、第1追跡部(15)と、第2追跡部(17)と、選択部(13)と、追跡制御部(14)と、を備える。センサ部は、移動体(50)に搭載され、移動体の周辺にセンサ波を送受信することにより、処理サイクルごとに、少なくとも一つの観測値を取得するように構成される。第1追跡部は、処理サイクルごとに、センサ部により取得された少なくとも一つの観測値に基づいて、点としてモデル化した少なくとも一つの第1物標の追跡を実行するように構成される。第2追跡部は、処理サイクルごとに、センサ部により取得された少なくとも一つの観測値に基づいて、領域を有する形状としてモデル化した第2物標の追跡を実行するように構成される。選択部は、少なくとも一つの第1物標又は第2物標の状態に応じて、第1追跡部及び第2追跡部のうちの一方を選択するように構成される。追跡制御部は、選択部により選択された一方のみに追跡を実行させる、又は、一方による追跡の結果を出力させるように構成される。
【0007】
本開示の1つの局面の物体追跡装置は、点追跡を実行する第1追跡部と、EOTを実行する第2追跡部とを備える。第1追跡部は、観測値の数が多い場合には、物標と観測値との誤った関連付けが発生し、物体の追跡精度が低下し得るが、観測値の数が少ない場合には、安定した物体の追跡を実現できる。一方、第2追跡部は、観測値の数が多い場合には、安定した物体の追跡を実現できるが、観測値の数が少ない場合には、形状と観測値との対応付けが困難になり、物体の追跡精度が低下し得る。物標の状態に応じて、第1追跡部及び第2追跡部の一方が選択されることにより、安定した物体の追跡を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る物体追跡装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る物体追跡装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係るセンサ部の車両における搭載位置及び検知範囲の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係るセンサ部の車両における搭載位置及び検知範囲の別の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る物体追跡装置が実行する追跡処理を示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態に係る物体追跡装置が実行する選択処理を示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態に係る第1追跡処理の概要を示す図である。
【
図8】本実施形態に係る第2追跡処理の概要を示す図である。
【
図9】本実施形態に係る第1追跡処理と第2追跡処理の同時実行の概要を示す図である。
【
図10】本実施形態に係る第2追跡処理による追跡精度が低下する状況を示す図である。
【
図11】本実施形態以係る第1追跡処理から第2追跡処理への切り替えを示す図である。
【
図12】本実施形態に係る第2追跡処理から第1追跡処理への切り替えを示す図である。
【
図13】本実施形態に係る直進運動モデルを示す式である。
【
図14】本実施形態に係る旋回運動モデルを示す式である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<1.構成>
図1及び2を参照して、本実施形態に係る物体追跡装置10の構成について説明する。物体追跡装置10は、センサ部11と、処理装置20と、を備え、自動車である車両50に搭載されている。センサ部11は、レーダ、ライダー、ソナーなどである。レーダは、センサ波としてミリ波などの電波を送信し、物体でレーダ波が反射して生じた反射波を受信する。ライダーは、センサ波として光を送信し、物体で光が反射して生じた反射波を受信する。ソナーは、センサ波として音波を送信し、物体で音波が反射して生じた反射波を受信する。
【0010】
図3に示すように、センサ部11は、車両50の前方中央(例えば、前方バンパの中央)に搭載され、車両50の前方中央の検知エリアA1を有していてもよい。あるいは、
図4に示すように、センサ部11は、車両50の前方中央に加えて、車両50の左前方、右前方、左後方及び右後方(例えば、前方バンパの左端及び右端と、後方バンパの左端及び右端)に搭載されてもよい。すなわち、センサ部11は、検知エリアA1に加えて、車両50の左前方、右前方、左後方及び右後方の検知エリアA2を有していてもよい。センサ部11は、車両50の前方中央、左前方、右前方、左後方及び右後方のうちのすくなくとも一箇所に搭載されていればよい。
【0011】
処理装置20は、CPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータを備える。処理装置20は、CPUが非遷移的実体的記録媒体に記憶されているプログラムを実行することにより、選択部13、追跡制御部14、第1追跡部15、及び第2追跡部17の機能を実現する。処理装置20は、上述の各種機能を備えることにより、物体の運動状態を時系列的に推定する追跡処理を実行する。本実施形態では、ROMが非遷移的実体的記録媒体に相当する。なお、処理装置20が実現する各種機能の一部又は全部を、論理回路やアナログ回路等を組み合わせたハードウェアを用いて実現してもよい。
【0012】
第1追跡部15は、第1予測値算出部と、第1関連付け部と、第1推定部と、を備え、第1追跡処理として、点追跡を実行する。点追跡は、物標を1つの点と仮定してモデル化して、点の運動状態を時系列的に推定する手法である。
【0013】
第2追跡部17は、第2予測値算出部と、第2関連付け部と、第2推定部と、を備え、第2追跡処理として、拡張物体追跡(以下、EOT)を実行する。EOTは、物標が形状を持つと仮定して物標をモデル化して、物標の運動状態を時系列的に推定する手法である。点は領域を有さないのに対して、形状は領域を有する。上述した、処理装置20が実現する各種機能の詳細は後述する。
【0014】
<2.処理>
<2-1.追跡処理>
図5のフローチャートを参照して、物体追跡装置10が実行する追跡処理について説明する。
【0015】
S10では、センサ部11が、車両50の周辺にセンサ波を送受信して、少なくとも一つの観測値P1を取得する。センサ部11は、高分解能センサであり、一回のセンサ波の送信により、単一の物体60の互いに異なる反射位置(すなわち、反射点)で反射した複数の反射波を受信し、各反射波に基づいた観測値P1を取得できる。したがって、少なくとも一つの観測値P1が複数の観測値P1を含んでいる場合、複数の観測値P1の各々は、単一の物体60の互いに異なる反射位置に対応する。各観測値P1は、物理量として、反射位置(例えば、センサ部11から反射点までの距離と、センサ部11に対する反射点の方位)を含む。各観測値P1は、物理量として、反射位置に加えて、相対速度を含んでいてもよい。
【0016】
続いて、S20では、選択部13が、選択処理を実行して、物標の状態に応じて、第1追跡部15又は第2追跡部17を選択する。
図7に示すように、第1追跡部15は、複数の観測値P1の各々を点としてモデル化して、複数の第1物標T1を生成し、複数の第1物標T1の各々を追跡する。
【0017】
詳しくは、第1予測値算出部は、過去の処理サイクル(具体的には、前回の処理サイクル)において推定された第1物標T1の各々の状態に基づいて、今回の処理サイクルにおける第1物標T1の各々の予測値を算出する。予測値の各々は、第1物標T1の各々の現在の状態を予測した値に相当する。
【0018】
第1予測値算出部は、第1運動モデルを用いて、過去の第1物標T1の各々の状態から、今回の処理サイクルにおける第1物標T1の各々の予測値を算出する。第1運動モデルは、例えば、
図13に示すような、直進運動モデルである。
図13において、xは過去の第1物標T1のx方向位置、yは過去の第1物標T1のy方向位置、v
xは過去の第1物標T1のx方向速度、v
yは過去の第1物標T1のy方向速度、ΔTは更新周期であり、x´は現在の第1物標T1のx方向予測位置、y´は現在の第1物標T1のy方向予測位置、v
x´は現在の第1物標T1のx方向予測速度、v
y´は現在の第1物標T1のy方向予測速度である。x方向は、車両50の長さ方向に相当し、y方向は、車両50の幅方向に相当する。
【0019】
第1関連付け部は、第1予測値算出部により算出された予測値の各々と、観測値P1の各々とを関連付ける。例えば、第1関連付け部は、予測値と、その予測値と最も近い位置で検出された観測値P1とを関連付ける。そのため、点追跡では、観測値P1の数が多い場合には、予測値と観測値P1との誤った関連付けが発生し、物体の追跡精度が低下し得るが、観測点P1の数が少ない場合には、安定した物体の追跡を実現できる。
【0020】
第1推定部は、第1物標T1の各々について、関連付けられた予測値と観測値P1とにカルマンフィルタ等のフィルタを適用して、現在の第1物標T1の状態を推定し、推定値を算出する。推定値は、例えば、x方向位置、y方向位置、x方向速度、y方向速度を有する。
【0021】
図8に示すように、第2追跡部17は、複数の観測値P1の分布を、形状を有する物標としてモデル化して、第2物標T2を生成する。物体追跡装置10が追跡する物体60は、主に自動車(具体的には、四輪車両)である。したがって、円モデル、楕円モデル、矩形モデルなどの物体60の輪郭を示す形状モデルを、複数の観測値P1のモデル化に用いる。本実施形態では、楕円モデルを用いる。
【0022】
第2予測値算出部は、過去の処理サイクル(具体的には、前回の処理サイクル)において推定された第2物標T2の状態に基づいて、今回の処理サイクルにおける第2物標T2の予測値を算出する。第2予測値算出部は、過去の推定値と形状モデルとに基づいて、今回の処理サイクルにおける第2物標T2の予測輪郭を算出する。本実施形態では、推定値は、物体60の基準点の状態に相当する。基準点は、例えば、自動車の後輪の軸中心である。第2予測値算出部は、算出した予測輪郭上に、所定の位置間隔で、複数の予測値を算出する。
【0023】
詳しくは、第2予測値算出部は、第1運動モデルと異なる第2運動モデルを用いて、過去の第2物標T2の状態から、今回の処理サイクルにおける第2物標T2の状態を予測する。第2運動モデルは、例えば、
図14に示すような、旋回運動モデルである。点追跡は、予測値と観測値P1とを誤って関連付けた場合に、ヨーレートを過剰に見積もることがある。一方、EOTは、複数の観測点を用いるため、予測値と観測値P1とを誤って関連づけたとしても、ヨーレートを過剰に見積もる可能性が低い。さらに、EOTで主として追跡したい物体は、旋回運動をする車両であるため、EOTでは、ヨーレートを含む運動モデルを使用することが適している。そのため、第1予測値算出部は、ヨーレートが入っていない第1運動モデルを用いるが、第2予測値算出部は、ヨーレートが入った第2運動モデルを用いる。
【0024】
図14において、xは過去の基準点のx方向位置、yは過去の基準点のy方向位置、vは過去の基準点の速度、θは過去の基準点の進行方向、ωは過去の基準点のヨーレート、ΔTは更新周期であり、x´は現在の基準点のx方向予測位置、y´は現在の基準点のy方向予測位置、v´は現在の基準点の予測速度、θ´は現在の基準点の予測進行方向、ω´は現在の基準点の予測ヨーレートである。第2予測値算出部は、第2運動モデルを用いて算出した基準点の予測位置と形状モデルとから、第2物標T2の予測輪郭を算出し、算出した予測輪郭上に、複数の予測値を算出する。予測輪郭内が、物体60の存在領域に相当する。
【0025】
第2関連付け部は、第2予測値算出部により算出された複数の予測値の各々と、少なくとも一つの観測値P1とを関連付ける。例えば、第2関連付け部は、予測値と、その予測値から所定の範囲内で検出された少なくとも一つの観測値P1とを関連付ける。EOTでは、観測値P1の数が多い場合には、安定した物体60の追跡を実現できる。しかしながら、EOTでは、観測値P1の数が少ない場合には、推定値及び予測輪郭の算出精度が低下し、予測輪郭と観測値P1との関連付けが困難になり、物体の追跡精度が低下し得る。
【0026】
第2推定部は、関連付けられた複数の予測値の各々と少なくとも一つの観測値P1とに、カルマンフィルタ等のフィルタを適用して、現在の第2物標T2の状態を推定し、推定値を算出する。すなわち、推定部は、現在の基準点の状態を算出する。推定値は、例えば、基準点のx方向位置、y方向位置、速度、進行方向、角速度を有する。
【0027】
EOTは、点追跡よりもロバスト性が高い。しかしながら、センサ部11により検出される観測値P1の数が少ない場合には、EOTによる推定値の算出精度(すなわち、物体の追跡精度)は、点追跡による推定値の算出精度よりも低下することがあり得る。
【0028】
図10に示すように、物体60の輪郭に沿って5個の観測値P1が検出されている場合には、EOTでは、精度よく第2物標T2の位置及び向きが推定され第2物標T2が追跡される。しかしながら、5個の観測値P1のうち2個の観測値P1aが検出され、3個の観測値P1bが検出されなかった場合には、EOTでは、誤った位置及び向きが推定される。このように、十分な数の観測値P1が検出されなかった場合、EOTによる推定値の算出精度は低下するが、点追跡による推定値の算出精度の低下は抑制される。すなわち、一回の処理サイクルにおいて十分な数の観測値P1が検出されている場合には、点追跡よりもEOTの追跡精度が高くなるが、十分な数の観測値P1が検出されていない場合には、EOTよりも点追跡の追跡精度が高くなる。
【0029】
そこで、選択部13は、物標の状態に応じて、第1追跡部15及び第2追跡部17のうちの一方を選択する。選択部13は、物標の状態に関する予め決められた条件に基づいて、第1追跡部15及び第2追跡部17のうちの一方を選択する。選択処理の詳細は後述する。
【0030】
追跡制御部14は、第1追跡部15及び第2追跡部17のうちの選択部13により選択された一方のみに、追跡を実行させる。あるいは、追跡制御部14は、第1追跡部15及び第2追跡部17の両方に追跡を実行させ、選択部13により選択された一方のみに、追跡の結果(すなわち、物標の状態の推定結果)を出力させる。さらに、追跡制御部14は、第1追跡部15又は第2追跡部17のうちの選択部13により選択された一方に、どちらの追跡結果であるかを出力させる。
【0031】
続いて、S30では、第1追跡部15及び/又は第2追跡部17が、追跡処理を実行する。追跡制御部14が、選択部13により選択された一方のみに追跡を実行させる場合には、第1追跡部15又は第2追跡部17が、第1追跡処理又は第2追跡処理を実行して追跡結果を出力する。追跡制御部14が、両方に追跡を実行させ、選択された一方のみに追跡結果を出力させる場合には、第1追跡部15が第1追跡処理を実行するとともに、第2追跡部17が第2追跡処理を実行する。
図9は、第1追跡部15及び第2追跡部17の両方が追跡する様子を示す。そして、第1追跡部15及び第2追跡部17のうち選択された一方のみが、追跡結果を出力する。
【0032】
さらに、第1追跡部15が追跡結果を出力する場合は、第1追跡部15は、追跡結果とともに、第1追跡部15の追跡結果であること(すなわち、点追跡による追跡結果であること)を出力する。また、第2追跡部17が追跡結果を出力する場合は、第2追跡部17は、追跡結果とともに、第2追跡部17の追跡結果であることを(すなわち、EOTによる追跡結果であること)を出力する。
【0033】
<2-2.選択処理>
次に、
図6のフローチャートを参照して、選択部13が実行する選択処理の詳細について説明する。
【0034】
S100では、選択部13は、第1物標T1又は第2物標T2の距離が距離閾値以上であるか否か判定する。選択部13は、前回の処理サイクルで第1追跡処理が実行された場合には、第1物標T1の推定値(例えば、複数の第1物標T1の推定値の平均値、代表値、中央値など)が有する距離が距離閾値以上であるか否か判定する。選択部13は、前回の処理サイクルで第2追跡処理が実行された場合には、第2物標T2の推定値が有する距離が距離閾値以上であるか否か判定する。あるいは、選択部13は、S10において取得された複数の観測値P1に基づいて算出された距離が、距離閾値以上であるか否か判定する。選択部13は、距離が距離閾値以上であると判定した場合は、S110の処理へ進み、距離が距離閾値未満であると判定した場合は、S120の処理へ進む。
【0035】
S110では、選択部13は、第1追跡部15による第1追跡処理を選択する。センサ部11の遠方に物体60が存在する場合、センサ部11により検出される観測値P1の数が少なくなるため、第1追跡部15が選択される。前回の処理サイクルで第1追跡部15が選択されている場合には、今回の処理サイクルにおいて第1追跡処理が継続される。前回の処理サイクルで第2追跡部17が選択されており、且つ、追跡制御部14が選択された一方のみに追跡を実行させる場合には、第2追跡処理から第1追跡処理へ切り替えられる。
【0036】
第2追跡処理から第1追跡処理へ切り替えられる場合には、第1追跡部15は、前回の処理サイクルにおける第2物標T2と、今回の処理サイクルにおいて検出された複数の観測値P1とに基づいて、複数の第1物標T1を生成する。具体的には、
図12に示すように、第1追跡部15は、S10において検出された複数の観測値P1のうち、第2物標T2の近傍に位置する少なくとも一つの観測値P1の各々から少なくとも一つの第1物標T1を生成する。
図12では、6個の観測値P1のうち、第2物標T2の近傍に位置する4個の観測値P1から4個の第1物標T1が生成されている。
【0037】
S120では、選択部13は、今回の処理サイクルにおいて、S10において検出された複数の観測値P1のうち、複数の第1物標T1又は第2物標T2の近傍で検出された観測値P1の数が数閾値以下か否か判定する。選択部13は、前回の処理サイクルで第1追跡処理が実行された場合には、複数の第1物標T1の近傍で検出された観測値P1の数が、数閾値以下であるか否か判定する。選択部13は、前回の処理サイクルで第2追跡処理が実行された場合には、第2物標T2の近傍で検出された観測値P1の数が、数閾値以下であるか否か判定する。選択部13は、観測値P1の数が数閾値以下であると判定した場合は、S110の処理へ進み、第1追跡部15による第1追跡処理を選択する。選択部13は、観測値P1の数が数閾値よりも多いと判定した場合は、S130の処理へ進む。
【0038】
S130では、選択部13は、複数の第1物標T1又は第2物標T2に対応する物体60の種別が、自動車(具体的には、四輪車両)以外か否か判定する。自動車以外の物体は、例えば、自転車、バイク、歩行者などであり、自動車よりも幅又は奥行きが狭く、反射点が少ない(すなわち、検出される観測値P1の数が少ない)物体である。すなわち、選択部13は、追跡中の物体60が、多くの観測値P1を得られる物体か否か判定する。
【0039】
選択部13は、前回の処理サイクルで第1追跡処理が実行された場合には、複数の第1物標T1の分布に基づいて、物体60の種別が自動車以外か否か判定する。選択部13は、前回の処理サイクルで第2追跡処理が実行された場合には、第2物標T2の輪郭に基づいて、物体60の種別が自動車以外か否か判定する。選択部13は、物体60の種別が自動車以外であると判定した場合は、S110の処理へ進み、物体60の種別が自動車であると判定した場合は、S140の処理へ進む。
【0040】
S140では、選択部13は、同じ物体60に対応する第1物標T1又は第2物標T2が最初に検知されてから経過した時間が、時間閾値以下か否か判定する。第1追跡処理において、初めて物体60に対応する物標が検知された場合には、選択部13は、最初に第1物標T1が検知されてから経過した時間が、時間閾値以下か否か判定する。第2追跡処理において、初めて物体60に対応する物標が検知された場合には、選択部13は、最初に第2物標T2が検知されてから経過した時間が、時間閾値以下か否か判定する。
【0041】
EOTは、物標が初めて検知されてからの経過時間が短い場合には、点追跡と比べて、安定した物体60の追跡ができない可能性が高い。そこで、選択部13は、経過した時間が時間閾値以下であると判定した場合は、S110の処理へ進み、経過した時間が時間閾値よりも長いと判定した場合は、S150の処理へ進む。
【0042】
S150では、選択部13は、第2追跡部17による第2追跡処理を選択する。前回の処理サイクルで第2追跡部17が選択されている場合には、今回の処理サイクルにおいて第2追跡処理が継続される。前回の処理サイクルで第1追跡部15が選択されており、且つ、追跡制御部14が選択された一方のみに追跡を実行させる場合には、第1追跡処理から第2追跡処理へ切り替えられる。
【0043】
第1追跡処理から第2追跡処理へ切り替えられる場合には、第2追跡部17は、前回の処理サイクルにおける複数の第1物標T1のうち、同じ物体60に対応する第1物標T1をグルーピングする。第2追跡部17は、グルーピングされた第1物標T1の中から代表物標T1aを選択し、選択された代表物標T1aを基準にして、第2物標T2を生成する。
【0044】
具体的には、
図11に示すように、第2追跡部17は、前回の処理サイクルで追跡中の6個の第1物標T1のうち、互いに距離が近い4個の第1物標T1をグルーピングし、グルーピングした4個の第1物標T1の中からセンサ部11に最も近い第1物標T1を代表物標T1aとして選択する。そして、第2追跡部17は、代表物標T1aと形状モデルとから代表物標T1aを通る輪郭を有する第2物標T2を生成する。
【0045】
<3.効果>
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)物体追跡装置10は、第1追跡部15及び第2追跡部17を備え、物標の状態に応じて、第1追跡部15又は第2追跡部17が選択される。これにより、観測状況によらず安定した物体の追跡を実現できる。
【0046】
(2)センサ部11の遠方では、検出される観測値P1の数が少ない。したがって、第1物標T1又は第2物標T2の距離が距離閾値以上である場合には、第1追跡部15が選択される。これにより、物標の状態を精度よく推定することができる。
【0047】
(3)検出された観測値P1の数が数閾値以下の場合には、第1追跡部15が選択される。これにより、物標の状態を精度よく推定することができる。
(4)物体が自動車以外の種別の場合には、検出される観測値P1の数が少ないため、第1追跡部15が選択される。これにより、物標の状態を精度よく推定することができる。
【0048】
(5)EOTによる追跡では、物標が初めて検知されてからの経過時間が短い場合には、安定した物体の追跡ができない可能性がある。よって、経過時間が短い場合には、第1追跡部15が選択されることにより、物標の状態を精度よく推定することができる。
【0049】
(6)点追跡には直進運動モデルが適用され、EOTには旋回運動モデルが適用される。点追跡及びEOTの各々に適した運動モデルを適用することにより、物標の状態を精度よく推定することができる。
【0050】
(7)第1追跡処理から第2追跡処理へ切り替わるときに、複数の第1物標T1から物体60に対応する第1物標T1がグルーピングされ、グルーピングされた第1物標T1の中から代表物標T1aが選択される。そして、代表物標T1aと形状モデルとから、第2物標T2が生成される。したがって、第1追跡処理から第2追跡処理への切り替わり時において、途切れなく物体60の追跡を続けることができる。
【0051】
(8)第2追跡処理から第1追跡処理へ切り替わるときに、第2物標T2の近傍の少なくとも一つの観測値P1の各々から第1物標T1が生成される。したがって、第2追跡処理から第1追跡処理への切り替わり時において、途切れなく物体60の追跡を続けることができる。
【0052】
(9)第1追跡部15及び第2追跡部17のうち選択された一方の追跡結果が出力されるとともに、どちらの追跡部による追跡結果か出力される。これにより、物体追跡装置10を備えるシステムが、追跡結果を利用しやすくなる。
【0053】
(他の実施形態)
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0054】
(a)上記実施形態では、選択部13が、(i)第1物標T1又は第2物標T2の距離、(ii)検出された観測値P1の数、(iii)第1物標T1又は第2物標T2に対応する物体の種別、(iv)経過時間の(i)~(iv)の選択条件に基づいて、第1追跡部15又は第2追跡部17を選択したが、選択条件は、これに限定されるものではない。例えば、追跡制御部14は、第1追跡部15及び第2追跡部17の両方に追跡を実行させ、選択部13は、第1追跡部15及び第2追跡部17のうち前回の処理サイクルにおける追跡誤差(すなわち、物標の状態の推定誤差)が小さい方を選択してもよい。選択部13は、追跡誤差として、例えば、カルマンフィルタ等のフィルタの誤差共分散を用いてもよい。
【0055】
(b)処理装置20は、更に、第1追跡部15及び第2追跡部17の各々の追跡の信頼度を算出する信頼度算出部の機能を備えていてもよい。選択部13は、第1追跡部15及び第2追跡部17のうち、信頼度算出部により算出された信頼度が高い方を選択してもよい。信頼度算出部は、(i)第1物標T1又は第2物標T2の距離、(ii)検出された観測値P1の数、(iii)物体の種別、(iv)第1追跡部15及び第2追跡部17の各々の追跡誤差、(v)第1物標T1又は第2物標T2が最初に検知されてからの経過時間の(i)~(v)の少なくとも一つの条件を選択し、選択した条件に基づいて、第1追跡部15及び第2追跡部17の各々の信頼度を算出する。
【0056】
例えば、信頼度算出部は、物標の距離、観測値P1の数、物標の種別、追跡誤差、経過時間の各々に応じた第1追跡部15及び第2追跡部17の信頼度のマップを備えている。信頼度算出部は、選択された条件の各々に応じ第1追跡部15及び第2追跡部17の信頼度マップから、選択された条件の各々の第1追跡部15及び第2追跡部17の信頼度を算出する。さらに、信頼度算出部は、選択された条件の各々の第1追跡部15の信頼度を掛け合わせて、第1追跡部15の信頼度を算出し、選択された条件の各々の第2追跡部17の信頼度を掛け合わせて、第2追跡部17の信頼度を算出する。
【0057】
(c)本開示に記載の物体追跡装置10及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の物体追跡装置10及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の物体追跡装置10及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されてもよい。物体追跡装置10に含まれる各部の機能を実現する手法には、必ずしもソフトウェアが含まれている必要はなく、その全部の機能が、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0058】
(d)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0059】
(e)上述した物体追跡装置の他、当該物体追跡装置を構成要素とするシステム、当該物体追跡装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実体的記録媒体、物体追跡方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0060】
10…物体追跡装置、11…センサ部、13…選択部、14…追跡制御部、15…第1追跡部、17…第2追跡部、20…処理装置、50…車両、60…物体。