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特開2024-118278車両走行中の携帯端末操作検知システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118278
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】車両走行中の携帯端末操作検知システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20240101AFI20240823BHJP
【FI】
G06Q10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024629
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】397045699
【氏名又は名称】株式会社東計電算
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】根本 浩太郎
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】車両走行中の配送ドライバーが走行時間内において携帯端末の操作状況を検知することで、その危険性を随時判別する。
【解決手段】配送予定ルートに基づいて車両を運転する配送ドライバーの現在の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて荷下ろし地点を中心とした作業範囲内に配送ドライバーが入った入時点及び作業範囲内から配送ドライバーが出た出時点をそれぞれ検出し、検出した入時点から出時点に至る時間帯を作業時間と認定すると共に、当該出時点から上記時点検出手段により次に検出される入時点までの時間帯を走行時間と認定し、携帯端末3が配送ドライバーにより持ち上げられたか否かをこれに実装されたセンサを介して判別し、認定した走行時間内に携帯端末3が持ち上げられた旨が判定された場合には、危険性が高いことを配送ドライバーへ発信し又は中央制御部1にその旨を通知する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷積み地点を始点として荷卸し地点が順次設定された配送予定ルートを取得する配送予定ルート取得手段と、
上記配送ルート取得手段により取得された配送予定ルートに基づいて車両を運転する配送ドライバーの現在の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
上記位置情報取得手段を介して取得した位置情報に基づいて、上記荷下ろし地点を中心とした作業範囲内に配送ドライバーが入った入時点、及び上記作業範囲内から配送ドライバーが出た出時点をそれぞれ検出する時点検出手段と、
上記時点検出手段により検出された入時点から出時点に至る時間帯を作業時間と認定すると共に、当該出時点から、上記時点検出手段により次に検出される入時点までの時間帯を走行時間と認定する時間帯認定手段と、
携帯端末が配送ドライバーにより持ち上げられたか否かをこれに実装されたセンサを介して判別する判別手段と、
上記時間帯認定手段により認定された走行時間内に、上記判別手段により上記携帯端末が持ち上げられた旨が判定された場合には、危険性が高いことを上記配送ドライバーへ発信し、又は中央制御部にその旨を通知する危険度識別手段とを備えること
を特徴とする車両走行中の携帯端末操作検知システム。
【請求項2】
上記時点検出手段は、上記位置情報取得手段を介して取得した位置情報に基づいて、荷積み地点を中心とした荷積み範囲内を配送ドライバーが出た運転開始時点を検出し、
上記時間帯認定手段は、上記時点検出手段により検出された上記運転開始時点から上記入時点までの時間帯を走行時間として認定すること
を特徴とする請求項1記載の車両走行中の携帯端末操作検知システム。
【請求項3】
上記時点検出手段は、上記位置情報取得手段を介して取得した位置情報に基づいて、停止を開始した停止時点及びその停止から発信した発信時点をそれぞれ検出し、
上記時間帯認定手段は、上記時点検出手段により検出された上記停止時点から発信時点までの時間帯を停止時間とし、上記認定した走行時間から上記停止時間を除く時間帯を新たに走行時間として再認定すること
を特徴とする請求項1又は2記載の車両走行中の携帯端末操作検知システム。
【請求項4】
上記判別手段は、上記センサを介して配送ドライバーによる上記携帯端末の持ち上げ度合を判別し、
上記危険度識別手段は、上記判別手段により判別された持ち上げ度合、及び上記位置情報取得手段により取得された位置情報に基づいて危険度を判別し、判別した危険度に基づいて、上記配送ドライバーへの発信又は上記中央制御部への通知を行うこと
を特徴とする請求項1又は2記載の車両走行中の携帯端末操作検知システム。
【請求項5】
更に現在における天候情報を取得する天候情報取得手段と、
現在の時刻を検知する時刻検知手段とを更に備え、
上記危険度識別手段は、更に上記天候情報取得手段により取得された天候情報、及び上記時刻検知手段により検知された時刻に基づいて危険度を判別すること
を特徴とする請求項4記載の車両走行中の携帯端末操作検知システム。
【請求項6】
上記車両のブレーキ開始速度、ブレーキの強さ、ブレーキ開始速度、停止時のブレーキの強さ、ハンドル操作中の最大速度、操作中のハンドルの角度の最大角速度、交差点進入速度、交差点進入5秒前ブレーキ、平均速度、及び前後加速度標準偏差の少なくとも何れかを含む運転診断情報を取得する運転診断手段を更に備え、
上記危険度識別手段は、更に上記運転診断手段により取得された運転診断情報に基づいて危険度を判別すること
を特徴とする請求項4記載の車両走行中の携帯端末操作検知システム。
【請求項7】
荷積み地点を始点として荷卸し地点が順次設定された配送予定ルートを取得する配送予定ルート取得手段と、
上記配送ルート取得手段により取得された配送予定ルートに基づいて車両を運転する配送ドライバーにより携帯端末を介して入力された入時点、及び出時点をそれぞれ検出された入時点から出時点に至る時間帯を作業時間と認定すると共に、当該出時点から、上記時点検出手段により次に検出される入時点までの時間帯を走行時間と認定する時間帯認定手段と、
上記携帯端末が配送ドライバーにより持ち上げられたか否かをこれに実装されたセンサを介して判別する判別手段と、
上記時間帯認定手段により認定された走行時間内に、上記判別手段により上記携帯端末が持ち上げられた旨が判定された場合には、危険性が高いことを上記配送ドライバーへ発信し、又は中央制御部にその旨を通知する危険度識別手段とを備えること
を特徴とする車両走行中の携帯端末操作検知システム。
【請求項8】
荷積み地点を始点として荷卸し地点が順次設定された配送予定ルートを取得する配送予定ルート取得ステップと、
上記配送ルート取得ステップにおいて取得した配送予定ルートに基づいて車両を運転する配送ドライバーの現在の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
上記位置情報取得ステップにおいて取得した位置情報に基づいて、上記荷下ろし地点を中心とした作業範囲内に配送ドライバーが入った入時点、及び上記作業範囲内から配送ドライバーが出た出時点をそれぞれ検出する時点検出ステップと、
上記時点検出ステップにおいて検出した入時点から出時点に至る時間帯を作業時間と認定すると共に、当該出時点から、上記時点検出手段により次に検出される入時点までの時間帯を走行時間と認定する時間帯認定ステップと、
上記携帯端末が配送ドライバーにより持ち上げられたか否かをこれに実装されたセンサを介して判別する判別ステップと、
上記時間帯認定ステップにおいて認定した走行時間内に、上記判別ステップにおいて上記携帯端末が持ち上げられた旨が判定された場合には、危険性が高いことを上記配送ドライバーへ発信し、又は中央制御部にその旨を通知する危険度識別ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする車両走行中の携帯端末操作検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両走行中の配送ドライバーが走行時間内において携帯端末の操作状況を検知することで、その危険性を随時判別する上で好適な車両走行中の携帯端末操作検知システム及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両を運転しつつ、スマートフォンや携帯電話機、ウェアラブル端末等を始めとする携帯端末の操作や通話をする、いわゆる「ながら運転」は、交通事故の原因にもなり危険な行為である。特に令和3年における死亡事故率は、「ながら運転」が、携帯端末を使用せずに運転していた場合と比較して1.9倍となっている。近年において、「ながら運転」について罰則が強化されたものの、それに基づく交通事故は依然として減少していないのが現状である。
【0003】
中でも各家庭や法人に荷物を配送する配送ドライバーは、トラック等の大型の貨物自動車を運転する場合が多いことから、「ながら運転」により引き起こされる事故による被害は甚大なものとなる。このため、配送ドライバーに対して「ながら運転」に対する注意を喚起し、事故を未然に防止するための効果的な施策を講じる必要があった。
【0004】
従来では、「ながら運転」を検知するシステムとして、例えば特許文献1に示す技術が開示されているが、配送ドライバーによる「ながら運転」に特化したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6612424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、車両走行中の配送ドライバーが走行時間内において携帯端末の操作状況を検知することで、その危険性を随時判別することが可能な車両走行中の携帯端末操作検知システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る車両走行中の携帯端末操作検知システムは、荷積み地点を始点として荷卸し地点が順次設定された配送予定ルートを取得する配送予定ルート取得手段と、上記配送ルート取得手段により取得された配送予定ルートに基づいて車両を運転する配送ドライバーの現在の位置情報を取得する位置情報取得手段と、上記位置情報取得手段を介して取得した位置情報に基づいて、上記荷下ろし地点を中心とした作業範囲内に配送ドライバーが入った入時点、及び上記作業範囲内から配送ドライバーが出た出時点をそれぞれ検出する時点検出手段と、上記時点検出手段により検出された入時点から出時点に至る時間帯を作業時間と認定すると共に、当該出時点から、上記時点検出手段により次に検出される入時点までの時間帯を走行時間と認定する時間帯認定手段と、携帯端末が配送ドライバーにより持ち上げられたか否かをこれに実装されたセンサを介して判別する判別手段と、上記時間帯認定手段により認定された走行時間内に、上記判別手段により上記携帯端末が持ち上げられた旨が判定された場合には、危険性が高いことを上記配送ドライバーへ発信し、又は中央制御部にその旨を通知する危険度識別手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
第2発明に係る車両走行中の携帯端末操作検知システムは、第1発明において、上記時点検出手段は、上記位置情報取得手段を介して取得した位置情報に基づいて、荷積み地点を中心とした荷積み範囲内を配送ドライバーが出た運転開始時点を検出し、上記時間帯認定手段は、上記時点検出手段により検出された上記運転開始時点から上記入時点までの時間帯を走行時間として認定することを特徴とする。
【0009】
第3発明に係る車両走行中の携帯端末操作検知システムは、第1発明又は第2発明において、上記時点検出手段は、上記位置情報取得手段を介して取得した位置情報に基づいて、停止を開始した停止時点及びその停止から発信した発信時点をそれぞれ検出し、上記時間帯認定手段は、上記時点検出手段により検出された上記停止時点から発信時点までの時間帯を停止時間とし、上記認定した走行時間から上記停止時間を除く時間帯を新たに走行時間として再認定することを特徴とする。
【0010】
第4発明に係る車両走行中の携帯端末操作検知システムは、第1発明又は第2発明において、上記判別手段は、上記センサを介して配送ドライバーによる上記携帯端末の持ち上げ度合を判別し、上記危険度識別手段は、上記判別手段により判別された持ち上げ度合、及び上記位置情報取得手段により取得された位置情報に基づいて危険度を判別し、判別した危険度に基づいて、上記配送ドライバーへの発信又は上記中央制御部への通知を行うことを特徴とする。
【0011】
第5発明に係る車両走行中の携帯端末操作検知システムは、第4発明において、更に現在における天候情報を取得する天候情報取得手段と、現在の時刻を検知する時刻検知手段とを更に備え、上記危険度識別手段は、更に上記天候情報取得手段により取得された天候情報、及び上記時刻検知手段により検知された時刻に基づいて危険度を判別することを特徴とする。
【0012】
第6発明に係る車両走行中の携帯端末操作検知システムは、第4発明において、上記車両のブレーキ開始速度、ブレーキの強さ、ブレーキ開始速度、停止時のブレーキの強さ、ハンドル操作中の最大速度、操作中のハンドルの角度の最大角速度、交差点進入速度、交差点進入5秒前ブレーキ、平均速度、及び前後加速度標準偏差の少なくとも何れかを含む運転診断情報を取得する運転診断手段を更に備え、上記危険度識別手段は、更に上記運転診断手段により取得された運転診断情報に基づいて危険度を判別することを特徴とする。
【0013】
第7発明に係る車両走行中の携帯端末操作検知システムは、荷積み地点を始点として荷卸し地点が順次設定された配送予定ルートを取得する配送予定ルート取得手段と、上記配送ルート取得手段により取得された配送予定ルートに基づいて車両を運転する配送ドライバーにより携帯端末を介して入力された入時点、及び出時点をそれぞれ検出された入時点から出時点に至る時間帯を作業時間と認定すると共に、当該出時点から、上記時点検出手段により次に検出される入時点までの時間帯を走行時間と認定する時間帯認定手段と、上記携帯端末が配送ドライバーにより持ち上げられたか否かをこれに実装されたセンサを介して判別する判別手段と、上記時間帯認定手段により認定された走行時間内に、上記判別手段により上記携帯端末が持ち上げられた旨が判定された場合には、危険性が高いことを上記配送ドライバーへ発信し、又は中央制御部にその旨を通知する危険度識別手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
第8発明に係る車両走行中の携帯端末操作検知プログラムは、荷積み地点を始点として荷卸し地点が順次設定された配送予定ルートを取得する配送予定ルート取得ステップと、上記配送ルート取得ステップにおいて取得した配送予定ルートに基づいて車両を運転する配送ドライバーの現在の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、上記位置情報取得ステップにおいて取得した位置情報に基づいて、上記荷下ろし地点を中心とした作業範囲内に配送ドライバーが入った入時点、及び上記作業範囲内から配送ドライバーが出た出時点をそれぞれ検出する時点検出ステップと、上記時点検出ステップにおいて検出した入時点から出時点に至る時間帯を作業時間と認定すると共に、当該出時点から、上記時点検出手段により次に検出される入時点までの時間帯を走行時間と認定する時間帯認定ステップと、上記携帯端末が配送ドライバーにより持ち上げられたか否かをこれに実装されたセンサを介して判別する判別ステップと、上記時間帯認定ステップにおいて認定した走行時間内に、上記判別ステップにおいて上記携帯端末が持ち上げられた旨が判定された場合には、危険性が高いことを上記配送ドライバーへ発信し、又は中央制御部にその旨を通知する危険度識別ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
車両走行中の配送ドライバーが走行時間内において携帯端末の操作状況を検知することで、その危険性を随時判別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態における携帯端末操作検知システムの一例について説明するための図である。
図2図2(a)は、この携帯端末のブロック構成図であり、図2(b)は、携帯端末における機能の一例を示す模式図である。
図3図3は、取得する配送予定ルートの例について説明するための図である。
図4図4は、載置、収納等をした携帯端末を手に取って取り出し、自身の顔又は耳の近くまで持ち上げる動作の例を示す図である。
図5図5は、時点検出部により検出された入時点、出時点に基づいて、作業時間と走行時間を認定する方法について説明するための図である。
図6図6は、荷積み地点Sを中心とした荷積み範囲内を配送ドライバーが出た運転開始時点を検出する方法について説明するための図である。
図7図7は、停止時間を別途検知する例について説明するための図である。
図8図8は、配送ドライバーにより携帯端末を介してこの入時点、出時点を手動入力する方法について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照して、本実施形態における携帯端末操作検知システム100の一例について説明する。
【0018】
本実施形態における携帯端末操作検知システム100は、例えば図1に示すように、中央制御部1を有する。中央制御部1は、例えば各種のデータベース2と接続するほか、例えば通信網4を介して車両5を運転する配送ドライバーが所持する携帯端末3に接続されている。データベース2には、例えば配送ドライバーの配送ルートや配送状況、現在位置、作業実績等を管理するための配送管理システムが実装されている。
【0019】
携帯端末3は、いわゆるスマートフォン、携帯電話機、タブレット型端末、ウェアラブル端末、携帯可能なノート型PC(パーソナルコンピュータ)等である。図2(a)は、この携帯端末3のブロック構成を示しており、図2(b)は、携帯端末3における機能の一例を示す模式図である。
【0020】
携帯端末3は、図2(a)に示すように、筐体10と、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、保存部104と、I/F105~107と、センサ112を備える。各構成101~107は、内部バス110により接続される。
【0021】
CPU101は、携帯端末3全体を制御する。ROM102は、CPU101の動作コードを格納する。RAM103は、CPU101の動作時に使用される作業領域である。保存部104は、設定情報データベースや参照データベース等の各種情報が保存される。保存部104として、例えばHDD(Hard Disk Drive)の他、SSD(Solid State Drive)等のデータ保存装置が用いられ、必要に応じて図示しないクラウドにもデータ保存を可能としている。
【0022】
I/F105は、配送ドライバーが運転する車両5との各種情報の送受信を行うためのインターフェースであるほか、例えばインターネット等の通信網4を介して、他の車両5やクラウドサーバ等との各種情報の送受信を行うためのインターフェースでもよい。I/F106は、入力部108との情報の送受信を行うためのインターフェースである。入力部108として、例えばキーボードやボタン、タッチパネルが用いられ、中央制御部1の管理者等は、入力部108を介して、各種情報又は中央制御部1の制御コマンド等を入力する。出力部109は、保存部104に保存された各種情報、又は携帯端末3の処理状況等を出力する。出力部109として、例えば液晶ディスプレイ等が用いられる。センサ112は、例えば動きセンサ、加速度センサ、重力センサ等のようにこの携帯端末3の動きを検知するためのセンシング手段として構成される。
【0023】
図2(b)は、携帯端末3の機能の一例を示す模式図である。携帯端末3は、情報取得部11と、位置情報取得部12と、時点検出部13と、出力部14と、記憶部15と、時間帯認定部16と、判別部17と、危険度識別部18とを備えている。これらの各機能は、何れも携帯端末3に実装されるプログラムとして具現化されるものであってもよい。
【0024】
情報取得部11は、荷積み地点を始点として荷卸し地点が順次設定された配送予定ルートを取得する。図3は、この取得する配送予定ルートの例である。配送予定ルートは、配送ドライバー毎に割り当てられ、二次元マップ上において荷積み地点Sを始点として荷卸し地点G1、G2、・・・Gnが順次設定されることとなる。このような荷積み地点S、荷卸し地点G1、G2、・・・Gnからなる配送ルートは、中央制御部1側において設定され、情報取得部11は、通信網4を介して中央制御部1にアクセスすることでこの配送ルートを取得することができる。配送ルートは、このような二次元マップと対応付けて上述した記憶部15に保存され、必要に応じて読み出されて出力部109(出力部14)に表示される。配送ドライバーは、この出力部109に表示される配送ルートを視認することでこれを確認することができる。
【0025】
情報取得部11は、現在における天候情報を取得するようにしてもよいし、また現在の時刻を検知するようにしてもよい。天候情報を取得する場合には、例えば、気象庁や民間の天気予報会社が発表する天気予報に関する情報や現在の天候や気温、湿度に関する情報を通信網4を介して取得するようにしてもよい。また、情報取得部11は、配送ドライバーによる車両5の運転を診断した運転診断情報を取得するようにしてもよい。この運転診断情報は、例えば車両5に実装されたドライブレコーダーやデジタルタコグラフを介して取得されて診断されたものであってもよく、例えば、車両5のブレーキ開始速度、ブレーキの強さ、ブレーキ開始速度、停止時のブレーキの強さ、ハンドル操作中の最大速度、操作中のハンドルの角度の最大角速度、交差点進入速度、交差点進入5秒前ブレーキ、平均速度、及び前後加速度標準偏差の少なくとも何れかを含むものであってもよい。これらの運転診断情報はドライブレコーダーやデジタルタコグラフによって計測された後、この情報取得部11を介して携帯端末3により取り込まれることとなる。
【0026】
位置情報取得部12は、携帯端末3の現在位置を取得するものであり、GPS(Global Positioning System)により取得するものであってもよい。位置情報取得部12により取得された位置情報に対応する位置は、配送ルートを示す二次元マップ上に重ねて表示するようにしてもよい。これにより、配送ドライバーは、配送ルートや荷卸し地点Gnとの関係において、現在の走行位置を把握することができる。
【0027】
時点検出部13は、位置情報取得部12を介して取得した位置情報に基づいて、後述する入時点及び出時点を検出する。この時点検出部13におけるこれらの検出動作は、後段において詳述する。
【0028】
出力部14は、上述した配送ルートが反映された二次元マップ、ひいてはこれに重ね合わせた現在の位置情報を表示する。出力部14は、ブロック構成でいうところのI/F107を介した出力部109への表示を制御する以外に、例えばI/F105を介して、中央制御部1に向けて、情報取得部11や位置情報取得部12において取得した様々な情報を出力する。
【0029】
記憶部15は、保存部104に保存された各種情報を必要に応じて取り出す。記憶部15は、情報取得部11や位置情報取得部12により取得又は生成された各種情報を、保存部104に保存する。
【0030】
時間帯認定部16は、時点検出部13により検出された入時点、出時点に基づいて、実際に配送ドライバーが荷積みや荷下ろしをする作業時間と、作業時間以外の実際に車両5を運転して路上を走行している走行時間とを認定する。この時間帯認定部16による作業時間、走行時間の認定方法の詳細は、後段において詳述する。
【0031】
判別部17は、携帯端末3が配送ドライバーにより持ち上げられたか否かを、センサ112を介して判別するものとなる。配送ドライバーは、携帯端末3を使用しない場合には、これを自らの衣服のポケットに挿入し、或いは車中の何れかにこれを載置し、或いは自身の鞄やリュック等の収納用具にこれを収納しておく場合が多い。一方で、配送ドライバーは、携帯端末3を使用する場合は、図4に示すように、このように載置、収納等をした携帯端末3を手に取って取り出し、自身の顔又は耳の近くまで持ち上げる動作を行う。このような持ち上げ動作を上述したセンサ112を介して検出することができる。
【0032】
危険度識別部18は、時間帯認定部16において認知された作業時間及び走行時間の認定、及び判別部17による携帯端末3の持ち上げ動作に基づいて危険度を判別する。この危険度に基づいて、配送ドライバーへの注意喚起を音声又は出力部109を介して発信し、又は中央制御部1にその旨を通知する。この危険度の判別方法は、後段において詳述する。
【0033】
次に、本発明を適用した携帯端末操作検知システム100の動作について説明をする。この携帯端末操作検知システム100においては、時間帯認定部16において認定された走行時間中における配送ドライバーによる携帯端末3の持ち上げ動作を検出する。
【0034】
図4は、時点検出部13による時点の検出、及び時間帯認定部16による時間帯の認定の詳細を説明するための図である。
【0035】
荷下ろし地点G1を中心とした作業範囲51が予め設定されている。この作業範囲51は、例えば、荷下ろし地点G1を中心として所定の半径の範囲内の領域であり、実際の半径の大きさは運営側において適宜設定することができる。また、この作業範囲51は、平面視で円形に限定されるものではなく、矩形、三角形、多角形、その他不規則なあらゆる形状で構成してもよい。このような作業範囲51は、他の全ての荷卸し地点G2、G3、・・・Gnについて設定されている。そして、各作業範囲51は、上述した二次元マップ上においても紐付けられ、GPSの座標データとしても紐づけられたものとなっている。このため、この作業範囲51の座標データと、携帯端末3の位置情報の座標データとを比較することにより、携帯端末3がこの作業範囲に含まれているか否かを判別することができる。
【0036】
時点検出部13は、作業範囲51の座標データを予め取得しておき、更に、位置情報取得部12により検出された位置情報を随時取得する。車両5を運転する配送ドライバーがこの荷下ろし地点G1に接近し、更にこの作業範囲51に入った時点を入時点として検出する。配送ドライバーは、この作業範囲51内において荷下ろし地点G1の近傍に車両5を駐車し、荷下ろしを行う。そして当該荷下ろし地点G1における荷下ろし作業を終了した後、再び車両5に乗り込み、次の荷下ろし地点G2に向けて発進する。車両5の発信直後、この作業範囲51外へと出た時点を出時点として検出する。車両5を運転する配送ドライバーが次の荷下ろし地点G2に接近し、その荷下ろし地点G2を中心とした作業範囲51に入った時点を更に入時点として検出する。このようにして入時点と出時点の検出を、続く荷下ろし地点G3、G4、・・・、Gnについても同様に行う。
【0037】
次に時間帯認定部16は、図5に示すように、時点検出部13により検出された入時点、出時点に基づいて、作業時間と走行時間を認定する。この認定において、時間帯認定部16は、入時点から出時点に至る時間帯を作業時間と認定すると共に、当該出時点から次に検出される入時点までの時間帯を走行時間と認定する。この作業時間と走行時間の認定は、各荷下ろし地点Gnを通過する都度、順次行っていく。
【0038】
表1は、このようにして時点検出部13、時間帯認定部16により得られた各荷卸し地点Gnの入時点、出時点、また認定した作業時間、走行時間の例を示している。このような入時点、出時点、作業時間、走行時間は、この携帯端末3における記憶部15に順次記憶されるとともに、出力部14を介して中央制御部1へと送られる。
【0039】
【表1】
【0040】
また、この携帯端末3は、認定した走行時間内に、判別部17により携帯端末3が持ち上げられたか否かを随時判定している。その結果、判別部17により、携帯端末3内に実装されたセンサ112を介して、走行時間内に携帯端末3の持ち上げ動作が判別された場合には、配送ドライバーへの注意喚起を音声又は出力部109を介して発信し、又は中央制御部1にその旨を通知する。一方、この判別部17による携帯端末3の持ち上げ動作が確認されたのが、作業時間内である場合は、特にこのような発信通知は行わない。
【0041】
なお、走行時間内においては、携帯端末3の持ち上げ動作が確認できない場合は、特にこのような発信通知は行わないが、かかる場合であっても、判別部17は、その後も継続してその持ち上げ動作についての判別を行う。
【0042】
ちなみに、走行時間は、上述したように当該出時点から次に検出される入時点までの時間帯として定義されるが、判別部17、危険度識別部18によるこのような識別は、出時点以降は走行時間に入ったものとみなして、継続して実行され、入時点が次に検出されるまで継続して実行することとなる。
【0043】
なお時点検出部13は、図6に示すように、位置情報取得部12を介して取得した携帯端末3の位置情報に基づいて、荷積み地点Sを中心とした荷積み範囲52内を配送ドライバーが出た運転開始時点を検出するようにしてもよい。この荷積み範囲52についても、荷積み地点Sを中心として所定の半径の範囲内の領域であり、実際の半径の大きさは運営側において適宜設定することができる。また、この荷積み範囲52は、平面視で円形に限定されるものではなく、矩形、三角形、多角形、その他不規則なあらゆる形状で構成してもよい。時間帯認定部16は、運転開始時点から最初の荷下ろし地点G1における入時点までの時間帯を走行時間として認定する。認定した走行時間における危険度識別部18による識別は、上述と同様である。
【0044】
このように、本発明においては、配送ドライバーによる「ながら運転」に特化し、車両走行中の配送ドライバーが走行時間内において携帯端末3の操作状況を検知することで、その危険性を随時判別することが可能となる。これにより、危険性の高い携帯端末3を利用しながらの車両5の運転の防止につながり、特にトラック等の大型の貨物自動車を運転する機会が多い配送ドライバーによる甚大な交通事故を未然に防ぐことができる。
【0045】
特に走行時間以外の荷下ろしの作業時間において、判別部17によるセンサが反応しないようにするために、走行時間と作業時間を明確に区別し、走行時間のみに判別部17による判別を行うことができる。
【0046】
また本発明によれば、図7に示すように、位置情報に基づいて、停止を開始した停止時点及びその停止から発信した発信時点をそれぞれ検出するようにしてもよい。停止時点は、例えば位置情報が時系列的に連続して同じ位置で不動の場合、停止と判断し、その判断した時点を停止時点とする。発信時点は、その時系列的に連続する停止から新たに位置が変化した時点をいう。そして、この停止時点から発信時点までの時間帯を停止時間とする。
【0047】
次に、認定した走行時間から停止時間を除く時間帯を新たに走行時間として再認定する。走行時間のみにおいて判別部17による携帯端末3の持ち上げ動作の判別を行うことは上述したとおりであるが、停止時間は、作業時間と同様に携帯端末3の持ち上げ動作の判別は行わない。
【0048】
運転中において配送ドライバーがどうしても携帯端末3を利用しなければならないケースが発生した場合には、車両5を例えば路側帯やサービスエリア等のような停止が認められる安全な箇所において一度停止し、携帯端末3を利用する場合もある。かかる場合において、上述した停止時間を判別することができれば、その停止時間中は判別部17による携帯端末3の持ち上げ動作の判別を行わないこととすることで、「ながら運転」の誤検知を防止することができる。
【0049】
また、本発明においては、センサ112を介して配送ドライバーによる携帯端末3の持ち上げ度合を判別するようにしてもよい。この持ち上げ度合いは、上述したように、配送ドライバーが携帯端末3を持ち上げたか否かの2段階評価以外に、持ち上げ度合として、携帯電話を顔の近くまで持ち上げるのではなく、わずかに触れる程度、腹の近くまで持ち上げる程度、等、3段階以上に亘り、その度合いを定量化するようにしてもよい。かかる場合にはセンサ112による数値と、その持ち上げ度合を互いに紐付けたテンプレートを予め準備しておき、実際の持ち上げ度合いの判別は、そのテンプレートを参照することにより行うようにしてもよい。
【0050】
これに加えて、位置情報取得部12により位置情報に基づいてさらに判別するようにしてもよい。かかる場合には、配送ルート上においてリスクの高い領域からリスクの低い領域に至るまで、予め領域毎にグレードが定められている。このグレードは、例えば通学路がある、ガードレールが無く歩道と車道の区別が無い、車両通行量が多い等の領域はリスクのより高い領域として予め設定される。一方で、人通りが少ない、ガードレールが設けられている、道が広い、車両通行量が少ない等の領域は、リスクのより低い領域とされる。これは、二次元マップ上において予め定められており、各領域は、当該二次元マップの座標で紐づけられている。このリスクのグレードは、複数段階であればいかなる段階で設定されていてもよい。このため、位置情報取得部12により位置情報を取得することができれば、その位置情報の座標を二次元マップ上に重ね合わせることで、いかなるリスクのグレードの領域に携帯端末3、ひいては配送ドライバーが位置しているかを判別することができる。
【0051】
実際に走行時間内における危険度の識別では、この携帯端末3の持ち上げ度合いと、その持ち上げ度合いを判別した位置が含まれる領域のリスクのグレードとに基づいて、配送ドライバーによる「ながら運転」の危険度を判別するようにしてもよい。この危険度の判別は、持ち上げ度合いと、その判別位置が含まれる領域のリスクのグレードに対する危険度が1対1で紐付けられるものであってもよい。かかる場合には、持ち上げ度合いが縦軸を構成し、リスクのグレードが横軸を構成するマトリックス中に、それぞれ危険度が記入されており、持ち上げ度合いがいかなるもので、リスクのグレードがいかなるものである場合に、実際の危険度がどの程度であるか、一義的に識別できるテンプレートで構成されるものであってもよい。
【0052】
危険度識別部18は、このようにして危険度を識別した後、識別した危険度に応じて、配送ドライバーへの注意喚起の度合、或いは中央制御部1へ通知する危険度のレベルを異ならせるようにしてもよい。
【0053】
また情報取得部11は、現在における天候情報を取得し、現在の時刻を検知するようにしてもよい。危険度識別部18は、この情報取得部11において取得した天候情報、検知した時刻に基づいて、配送ドライバーによる行為の危険度を求めるようにしてもよい。
【0054】
例えば、夜の時間帯等、視界が不良の時や、雨や曇り、霧等が出ていて視界が不良な場合は、危険度が高くなる。このような取得した天候情報は、各位置情報に紐付けて取得されるものであってもよく、二次元マップ上に設定された配送ルートとその天候情報が紐付けられるものであってもよい。そして、現在においてその配送ルートにいかなる領域において視界が不良になっているかを紐付けるようにしてもよい。
【0055】
そして、実際に走行時間内における危険度の識別では、この携帯端末3の持ち上げ度合いと、その持ち上げ度合いを判別した位置が含まれる領域のリスクのグレードに加え、更にこの情報取得部11において取得した天候情報、検知した時刻に基づいて、配送ドライバーの危険度を求める。かかる場合も同様に、時刻がいつであり、また天候情報がいかなるものである場合に、実際の危険度がどの程度であるか、一義的に識別できるテンプレートを準備しておき、危険度識別部18は、危険度をそのテンプレートを参照しながら識別するようにしてもよい。
【0056】
また、本発明によれば、更に情報取得部11を介して取得した運転診断情報に基づいて危険度を判別するようにしてもよい。かかる場合も同様に、走行時間内における危険度の識別では、運転診断情報がいかなるものである場合に、実際の危険度がどの程度であるか、一義的に識別できるテンプレートを準備しておき、危険度識別部18は、危険度をそのテンプレートを参照しながら識別するようにしてもよい。
【0057】
更に本発明によれば人工知能により、その危険度を学習させた学習データを予め取得しておき、実際に危険度を求める際においてその学習データを参照するようにしてもよい。
【0058】
かかる場合には、入力データとして、位置情報、配送ドライバーによる上記携帯端末の持ち上げ度合、天候情報、時刻、運転診断情報の何れか1以上とし、出力データが危険度となる。これら入力データ、出力データを予め学習させておくことで、新たに入力データの何れか1以上を情報取得部11を介して取得した場合に、その学習データを参照して危険度を求めるようにしてもよい。
【0059】
また、本発明によれば、入時点、出時点を上述した方法に基づいて自動検出する以外に、配送ドライバーにより携帯端末3を介してこの入時点、出時点を手動入力するようにしてもよい。配送ドライバーが荷卸し地点Gnに到着したときに、例えば図8(a)に示す入力部108における荷積みボタン211が押圧された時を入時点とし、作業終了後、配送ドライバーにより図8(b)に示す入力部108における荷積み終了ボタン212が押圧された時を出時点とするようにしてもよい。配送ドライバーにより、都度入力部108を介した押圧動作が必要となるが、かかる方法によっても、入時点、出時点を検出することで、上述した作業時間、走行時間を認定することが可能となる。
【0060】
このとき、荷積み終了ボタン212が押圧された時を出時点とするのではなく、荷積み終了ボタン212が押圧された時から所定時間経過後の時点を出時点としてもよい。ここでいう所定時間はいかなるものであってもよいが、例えば数秒間であってもよい。これにより、荷積み終了ボタン212を押圧してから、実際に運転を開始するまでの時間において、「ながら運転」の誤検知を防止することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 中央制御部
2 データベース
3 携帯端末
4 通信網
5 車両
10 筐体
11 情報取得部
12 位置情報取得部
13 時点検出部
14 出力部
15 記憶部
16 時間帯認定部
17 判別部
18 危険度識別部
51 作業範囲
52 荷積み範囲
100 携帯端末操作検知システム
101 各構成
104 保存部
108 入力部
109 出力部
110 内部バス
112 センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8