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  • 特開-集合住宅インターホンシステム 図1
  • 特開-集合住宅インターホンシステム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118280
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】集合住宅インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20240823BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
H04M9/00 H
G08B25/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024631
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135127
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 正己
(72)【発明者】
【氏名】竹下 隆一朗
(72)【発明者】
【氏名】中島 賢志
【テーマコード(参考)】
5C087
5K038
【Fターム(参考)】
5C087AA32
5C087AA44
5C087DD05
5C087DD36
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF04
5C087FF19
5C087FF24
5C087GG08
5C087GG38
5C087GG66
5K038AA06
5K038CC12
5K038CC13
5K038DD18
5K038GG02
(57)【要約】
【課題】衝撃を受けた際に警報動作を行う機能を備えた集合玄関機を設けた集合住宅インターホンシステムを提供する。
【解決手段】集合住宅インターホンシステムは、集合住宅の共用玄関に設置されて来訪者が居住者を呼び出すための集合玄関機2が設けられ、集合玄関機2は、集合玄関機2を制御するCPU11、集合玄関機2への衝撃を検知する衝撃検知部18、及び集合玄関機2の取付状況を検知する取付検知部19を備え、衝撃検知部18は、閾値以上の衝撃を所定時間以内に所定回数検知するとCPU11へと通知し、CPU11がスピーカ15によって警報を鳴動させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅の共用玄関に設置される来訪者が居住者を呼び出すための集合玄関機と、前記集合玄関機からの呼び出しに対して応答するために個々の住戸に設置される居室親機とが設けられている集合住宅インターホンシステムであって、
前記集合玄関機は、外部からの衝撃を加速度センサによって検知する衝撃検知部と、集合玄関機の制御を行うCPUと、スピーカとが設けられ、
前記衝撃検知部は、9G以上の重力加速度を2.5msを越える時間幅で且つ17.5ms以内に複数回検知したら前記CPUへと通知し、
前記CPUは、前記衝撃検知部から通知を受けると前記スピーカによって警報を鳴動させることを特徴とする集合住宅インターホンシステム。
【請求項2】
前記集合玄関機は、前記集合玄関機の取付完了を受けてオンする取付検知部を備え、
前記CPUは、前記取付検知部がオンしたら、一定時間後に前記衝撃検知部を能動とすることを特徴とする請求項1に記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項3】
前記衝撃検知部の能動時において、前記取付検知部がオフになっても前記衝撃検知部の動作を継続することを特徴とする請求項2に記載の集合住宅インターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衝撃を受けた際に警報動作を行う機能を備えた集合玄関機を設けた集合住宅インターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加速度センサを用いてインターホン装置の取り外しを検知するインターホン装置がある。例えば、特許文献1に記載のインターホン装置では、インターホン装置を取り外して持ち去ろうと動かすと、加速度センサによってこれを検出してその者を撮影し、警報音を出力するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-184985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のインターホン装置では、インターホン装置の操作等による一時的な衝撃によって誤検知が起きる問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題に鑑み、集合玄関機への操作等による一時的な衝撃を検知することなく、破壊行為等による衝撃のみを検知する集合玄関機を備えた集合住宅インターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、集合住宅の共用玄関に設置される来訪者が居住者を呼び出すための集合玄関機と、集合玄関機からの呼び出しに対して応答するために個々の住戸に設置される居室親機とが設けられている集合住宅インターホンシステムであって、集合玄関機は、外部からの衝撃を加速度センサによって検知する衝撃検知部と、集合玄関機の制御を行うCPUと、スピーカとが設けられ、衝撃検知部は、9G以上の重力加速度を2.5msを越える時間幅で且つ17.5ms以内に複数回検知したらCPUへと通知し、CPUは、衝撃検知部から通知を受けるとスピーカによって警報を鳴動させることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、集合玄関機は、集合玄関機の取付完了を受けてオンする取付検知部を備え、CPUは、取付検知部がオンしたら、一定時間後に衝撃検知部を能動とすることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、衝撃検知部の能動時において、取付検知部がオフになっても衝撃検知部の動作を継続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、集合玄関機において重力加速度を検知する衝撃検知部が、9G以上の重力加速度を2.5msを越える時間幅で且つ17.5ms以内に複数回検知したらCPUへの通知を行い、衝撃検知部からの通知を受けたCPUがスピーカによって警報音を鳴動させる構成である。よって、集合玄関機は、タッチパネルの操作、及び地震等による衝撃によって衝撃検知部が誤検知することなく、破壊行為等による衝撃のみを検知し、警報動作を行うことができる。また、集合玄関機に、取付検知部を設けることによって、集合玄関機の取付時の衝撃検知部による誤検知を防止する。また、衝撃検知部の能動時に、取付検知部をオフしたとしても衝撃検知部の動作を継続する構成であるため、取付後に集合玄関機が取り外されたとしても警報動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る集合住宅インターホンシステムを示す構成図である。
図2】集合玄関機を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る集合住宅インターホンシステム1の一例を示す構成図である。
集合住宅インターホンシステム1は、集合住宅の共用玄関に設置されて来訪者が居住者を呼び出すための集合玄関機2、個々の住戸に設置されて集合玄関機2からの呼び出しに応答するための居室親機3、個々の住戸玄関に設置されて居住者を呼び出すための住戸玄関子機4、管理人室に設置されて居住者等と通話するための管理室親機5、集合住宅インターホンシステム1を制御する制御装置6、共用玄関に備えられている共用玄関扉7、共用玄関扉7に設けられ、集合玄関機2等の操作によって開閉される電気錠8、電気錠8を制御する電気錠制御盤9等を備えている。また、Mは住戸を表している。
【0010】
図2は、集合玄関機2を示すブロック図である。
集合玄関機2は、集合玄関機2を制御するCPU11、CPU11が集合住宅インターホンシステム1の各種設備と通信するための伝送部12、来訪者を撮像するためのカメラ13、通話するためのマイク14及びスピーカ15、呼出ボタン16、集合玄関機2を操作するタッチパネル17、集合玄関機2への衝撃を検知する衝撃検知部18、集合玄関機2の取付状況を検知する取付検知部19を備えている。
【0011】
衝撃検知部18は、加速度センサが搭載され、集合玄関機2への衝撃を一定の測定間隔で重力加速度として計測する。また、衝撃検知部18は、所定閾値以上の重力加速度を検知した際、測定時間経過後までに所定閾値以上の重力加速度を検知した回数を計測する。そして、衝撃検知部18は、所定閾値以上の重力加速度を検知した回数が所定回数以上である場合、CPU11へと通知する。
【0012】
測定間隔は、衝撃検知部18に搭載されている加速度センサのデータレートの周波数によって決められるものである。例えば、衝撃検知部18の加速度センサのデータレートが400Hzである場合、測定間隔は1/400Hz=2.5msである。尚、加速度センサのデータレートが高い程、測定間隔が短くなり検知精度が向上する。
【0013】
所定閾値は、地震発生時に衝撃検知部18が誤検知しないように、地震により想定される最大衝撃である4Gよりも大きな値に定められる。また、集合玄関機2の設置環境によって地震による衝撃が変動するため、所定閾値は地震により想定される最大衝撃の2倍の8Gを超える値であるのがより好ましい。
【0014】
測定時間は、衝撃検知部18が閾値以上の重力加速度を検知した時点から閾値以上の重力加速度を検知する回数を測定する時間であって、破壊行為等による衝撃の継続時間の想定値によって2.5msを越える時間幅で且つ17.5ms以内の値に任意に定められる。
【0015】
所定回数は、衝撃検知部18が破壊等による衝撃であると判断する検知回数でる。ここで、衝撃検知部18は、タッチパネル17の操作等によって、所定閾値以上の重力加速度を検知することがある。しかし、タッチパネル17の操作等による衝撃は、破壊行為等による衝撃と比較して衝撃を受ける時間が短い。よって、所定回数は、衝撃検知部18がタッチパネル17の操作等によって閾値以上の重力加速度を検知する回数よりも大きい値であれば良い。また、所定回数は、誤検知を減少させるために衝撃検知部18がタッチパネル17の操作等によって閾値以上の重力加速度を検知する回数の想定値よりも2倍の値であるのがより好ましい。例えば、測定間隔が2.5ms、タッチパネル17の操作等による衝撃の継続時間の想定値が5msである場合、タッチパネル17の操作等による衝撃を検知しないように所定回数は4回に決められる。
【0016】
取付検知部19は、集合玄関機2の取付状態によってオン/オフされる機構であって、物理的に押されるスイッチ等の機構であってもよいし、遠隔センサ等によって検知する機構であっても良い。集合玄関機2が取付状態でない(取付が完了していない)時、取付検知部19はオフであり、衝撃検知部18は動作しない。そして、集合玄関機2が集合住宅の共用玄関等の所定の位置に取り付けられた際に、取付検知部19は、オンされてCPU11へと通知を送る。CPU11は、集合玄関機2が取付状態であるとの通知を受けると、一定時間経過後に衝撃検知部18の動作を開始する。一定時間は、任意に定められるものであって、例えば5秒である。一定時間経過するまでに、集合玄関機2を取り外すと、取付検知部19がオフされて、CPU11へと通知が送られて衝撃検知部18の動作は開始されない。そして、取付検知部19がオンされた後に衝撃検知部18が動作開始すると、集合玄関機2が取り外されて取付検知部19がオフされても、衝撃検知部18の動作は停止しないように構成される。
【0017】
以下、侵入目的の破壊行為等によって、集合玄関機2に攻撃を受けた際における集合玄関機2、及び集合住宅インターホンシステム1の動作について説明する。
集合玄関機2が、破壊行為等による所定閾値以上の衝撃を受けると、衝撃検知部18が所定時間経過後までに、所定閾値以上の重力加速度を検知した回数を計測する。そして、衝撃検知部18は、検知した回数が所定回数を超えると、所定時間継続して所定閾値以上の重力加速度を検知したと判断して、CPU11へと通知する。衝撃検知部18からの通知を受けたCPU11は、伝送部12を介してスピーカ15によって警報音声を鳴動させることで警報動作を行う。同時に、CPU11は、伝送部12を介して集合住宅インターホンシステム1の制御装置6へと通知する。制御装置6は、CPU11からの通知を受けると管理室親機5への通信を行うとともに、各住戸の居室親機3へと通知を送る。
また、集合玄関機2は、集合玄関機2が取り外されて取付検知部19がオフされたとしても、衝撃検知部18の動作が停止せずに警報動作を行う。
【0018】
上述した集合住宅インターホンシステム1によれば、集合玄関機2において重力加速度を検知する衝撃検知部18が、所定閾値(9G)以上の重力加速度を測定時間(2.5msを越える時間幅で且つ17.5ms以内)経過後までに所定回数以上(複数回)検知したらCPU11への通知を行い、衝撃検知部18からの通知を受けたCPU11がスピーカ15によって警報音を鳴動させる構成である。よって、集合玄関機2は、タッチパネル17の操作、及び地震等による衝撃によって衝撃検知部18が誤検知することなく、破壊行為等による衝撃のみを検知し、警報動作を行うことができる。また、集合玄関機2に、取付検知部19を設けることによって、集合玄関機2の取付時の衝撃検知部18による誤検知を防止する。また、衝撃検知部18の能動時に、取付検知部19をオフしたとしても衝撃検知部18の動作を継続する構成であるため、取付後に集合玄関機2が取り外されたとしても警報動作を行うことができる。
【0019】
なお、本発明に係る集合住宅インターホンシステムは、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、集合住宅インターホンシステムの全体的な構成は勿論、集合玄関機における衝撃検知部の判定に係る構成等についても必要に応じて適宜変更することができる。
【0020】
例えば、上記実施形態では、衝撃検知部18による通知を受けたCPU11は、スピーカ15によって警報動作を行う構成であるが、警報行動に併せてカメラ13によって破壊行為を行う不審者等を撮像する構成を採用しても良い。
また、制御装置6を不要として、集合玄関機2のCPU11から、管理室親機5と各住戸の居室親機3とへ直接通知を送る構成を採用しても良い。
【符号の説明】
【0021】
1・・集合住宅インターホンシステム、2・・集合玄関機、3・・居室親機、4・・住戸玄関子機、5・・管理室親機、6・・制御装置、7・・共用玄関扉、8・・電気錠、9・・電気錠制御盤、11・・CPU、12・・伝送部、13・・カメラ、14・・マイク、15・・スピーカ、16・・呼出ボタン、17・・タッチパネル、18・・衝撃検知部、19・・取付検知部、M・・住戸。
図1
図2