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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118285
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】ワッシャ及び締結構造
(51)【国際特許分類】
   F16B 43/00 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
F16B43/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024637
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】592118815
【氏名又は名称】東洋発條工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594066176
【氏名又は名称】株式会社遠州
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 忠男
【テーマコード(参考)】
3J034
【Fターム(参考)】
3J034AA13
3J034BB01
3J034BB07
3J034CA03
(57)【要約】
【課題】ワッシャのバリをなくす。
【解決手段】締結構造10では、ワッシャ20の表側面20Aがナット18によって押圧されて、ワッシャ20の裏側面20Bと取付板12との間に締結板16が挟まれている。ここで、ワッシャ20では、外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部、内周面20Dと表側面20Aとの間の角部、及び、内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に、C面20Gが形成されている。このため、ワッシャ20のバリ20Fをなくすことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結部材が押圧する表側面と、
第1締結対象との間に第2締結対象が挟まれて前記第1締結対象と前記第2締結対象とが締結される裏側面と、
外周面と前記表側面との間の角部、前記外周面と前記裏側面との間の角部、内周面と前記表側面との間の角部及び前記内周面と前記裏側面との間の角部の少なくとも1つに設けられる傾斜面と、
前記表側面及び前記裏側面の少なくとも一方に設けられる抑制凹部と、
を備えるワッシャ。
【請求項2】
前記傾斜面が周方向全体に設けられる請求項1記載のワッシャ。
【請求項3】
前記表側面と前記裏側面との間の対称面に対し面対称な形状にされる請求項1記載のワッシャ。
【請求項4】
前記抑制凹部が延伸される請求項1記載のワッシャ。
【請求項5】
複数の前記抑制凹部が連絡される請求項1記載のワッシャ。
【請求項6】
周方向側に前記抑制凹部が複数設けられる請求項1記載のワッシャ。
【請求項7】
径方向側に前記抑制凹部が複数設けられる請求項1記載のワッシャ。
【請求項8】
複数の前記抑制凹部の深さ寸法が互いに相違される請求項1記載のワッシャ。
【請求項9】
軸方向に対し前記抑制凹部の側面が傾斜される請求項1記載のワッシャ。
【請求項10】
外周面と表側面との間の角部、前記外周面と裏側面との間の角部、内周面と前記表側面との間の角部及び前記内周面と前記裏側面との間の角部の少なくとも1つに傾斜面が設けられると共に、前記表側面及び前記裏側面の少なくとも一方に抑制凹部が設けられるワッシャと、
前記表側面を押圧する締結部材と、
前記ワッシャの前記裏側面側に配置される第1締結対象と、
前記裏側面と前記第1締結対象との間に挟まれて前記第1締結対象と締結される第2締結対象と、
を備える締結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1締結対象との間に第2締結対象が挟まれるワッシャ及び当該ワッシャを備える締結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のスラストワッシャは、円環板状に形成されている。
【0003】
ここで、このスラストワッシャは、表側からの打抜加工により形成されており、スラストワッシャの外周面と裏側面との間の角部及びスラストワッシャの内周面と裏側面との間の角部にバリが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-32031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、バリをなくすことができるワッシャ及び当該ワッシャを備える締結構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のワッシャは、締結部材が押圧する表側面と、第1締結対象との間に第2締結対象が挟まれて前記第1締結対象と前記第2締結対象とが締結される裏側面と、外周面と前記表側面との間の角部、前記外周面と前記裏側面との間の角部、内周面と前記表側面との間の角部及び前記内周面と前記裏側面との間の角部の少なくとも1つに設けられる傾斜面と、前記表側面及び前記裏側面の少なくとも一方に設けられる抑制凹部と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様のワッシャは、本発明の第1態様のワッシャにおいて、前記傾斜面が周方向全体に設けられる。
【0008】
本発明の第3態様のワッシャは、本発明の第1態様又は第2態様のワッシャにおいて、前記表側面と前記裏側面との間の対称面に対し面対称な形状にされる。
【0009】
本発明の第4態様のワッシャは、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つのワッシャにおいて、前記抑制凹部が延伸される。
【0010】
本発明の第5態様のワッシャは、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つのワッシャにおいて、複数の前記抑制凹部が連絡される。
【0011】
本発明の第6態様のワッシャは、本発明の第1態様~第5態様の何れか1つのワッシャにおいて、周方向側に前記抑制凹部が複数設けられる。
【0012】
本発明の第7態様のワッシャは、本発明の第1態様~第6態様の何れか1つのワッシャにおいて、径方向側に前記抑制凹部が複数設けられる。
【0013】
本発明の第8態様のワッシャは、本発明の第1態様~第7態様の何れか1つのワッシャ
において、複数の前記抑制凹部の深さ寸法が互いに相違される。
【0014】
本発明の第9態様のワッシャは、本発明の第1態様~第8態様の何れか1つのワッシャにおいて、軸方向に対し前記抑制凹部の側面が傾斜される。
【0015】
本発明の第10態様の締結構造は、外周面と表側面との間の角部、前記外周面と裏側面との間の角部、内周面と前記表側面との間の角部及び前記内周面と前記裏側面との間の角部の少なくとも1つに傾斜面が設けられると共に、前記表側面及び前記裏側面の少なくとも一方に抑制凹部が設けられるワッシャと、前記表側面を押圧する締結部材と、前記ワッシャの前記裏側面側に配置される第1締結対象と、前記裏側面と前記第1締結対象との間に挟まれて前記第1締結対象と締結される第2締結対象と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1態様のワッシャでは、表側面を締結部材が押圧すると共に、裏側面と第1締結対象との間に第2締結対象が挟まれて、第1締結対象と第2締結対象とが締結される。
【0017】
ここで、ワッシャでは、外周面と表側面との間の角部、外周面と裏側面との間の角部、内周面と表側面との間の角部及び内周面と裏側面との間の角部の少なくとも1つに傾斜面が設けられる。このため、ワッシャのバリをなくすことができる。
【0018】
さらに、ワッシャでは、表側面及び裏側面の少なくとも一方に抑制凹部が設けられる。このため、ワッシャの反り変形及び回転を抑制できる。
【0019】
本発明の第2態様のワッシャでは、傾斜面が周方向全体に設けられる。このため、ワッシャのバリを効果的になくすことができる。
【0020】
本発明の第3態様のワッシャは、表側面と裏側面との間の対称面に対し面対称な形状にされる。このため、表側面が第2締結対象側に配置されると共に裏側面が締結部材側に配置される場合でも、構成を同一にできる。
【0021】
本発明の第4態様のワッシャでは、抑制凹部が延伸される。このため、ワッシャの反り変形及び回転を効果的に抑制できる。
【0022】
本発明の第5態様のワッシャでは、複数の抑制凹部が連絡される。このため、ワッシャの反り変形及び回転を効果的に抑制できる。
【0023】
本発明の第6態様のワッシャでは、周方向側に抑制凹部が複数設けられる。このため、ワッシャの反り変形及び回転を効果的に抑制できる。
【0024】
本発明の第7態様のワッシャでは、径方向側に抑制凹部が複数設けられる。このため、ワッシャの反り変形及び回転を効果的に抑制できる。
【0025】
本発明の第8態様のワッシャでは、複数の抑制凹部の深さ寸法が互いに相違される。このため、ワッシャの回転を効果的に抑制できる。
【0026】
本発明の第9態様のワッシャでは、軸方向に対し抑制凹部の側面が傾斜される。このため、ワッシャの回転を効果的に抑制できる。
【0027】
本発明の第10態様の締結構造では、ワッシャの表側面を締結部材が押圧すると共に、
ワッシャの裏側面と第1締結対象との間に第2締結対象が挟まれて、第1締結対象と第2締結対象とが締結される。
【0028】
ここで、ワッシャでは、外周面と表側面との間の角部、外周面と裏側面との間の角部、ワッシャの内周面と表側面との間の角部及び内周面と裏側面との間の角部の少なくとも1つに傾斜面が設けられる。このため、ワッシャのバリをなくすことができる。
【0029】
さらに、ワッシャでは、表側面及び裏側面の少なくとも一方に抑制凹部が設けられる。このため、ワッシャの反り変形及び回転を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1実施形態に係る締結構造を示す断面図である。
図2】ワッシャの打抜工程による形成時を示す断面図である。
図3】(A)及び(B)は、本発明の第1実施形態のワッシャを示す図であり、(A)は、裏面図であり、(B)は、断面図である。
図4】(A)及び(B)は、本発明の第1実施形態の第1変形例のワッシャを示す図であり、(A)は、裏面図であり、(B)は、断面図である。
図5】(A)及び(B)は、本発明の第1実施形態の第2変形例のワッシャを示す図であり、(A)は、裏面図であり、(B)は、断面図であり、(C)は、拡大断面図である。
図6】(A)及び(B)は、本発明の第1実施形態の第3変形例のワッシャを示す図であり、(A)は、裏面図であり、(B)は、断面図である。
図7】(A)は、本発明の第1実施形態のワッシャを示す断面図であり、(B)は、本発明の第2実施形態のワッシャを示す断面図であり、(C)は、本発明の第3実施形態のワッシャを示す断面図である。
図8】(A)は、本発明の第4実施形態のワッシャを示す断面図であり、(B)は、本発明の第5実施形態のワッシャを示す断面図である。
図9】(A)は、本発明の第6実施形態のワッシャを示す断面図であり、(B)は、本発明の第7実施形態のワッシャを示す断面図である。
図10】(A)は、本発明の第8実施形態のワッシャを示す断面図であり、(B)は、本発明の第9実施形態のワッシャを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係る締結構造10が断面図にて示されている。なお、図面では、締結構造10の一側を矢印Aで示し、締結構造10の他側を矢印Bで示している。
【0032】
図1に示す如く、本実施形態に係る締結構造10には、第1締結対象としての板状の取付板12が設けられており、取付板12は、例えば各種の機械(自動車等の移動手段を含む)に設置される。また、取付板12には、第1孔としての円状の取付孔12Aが貫通形成されている。
【0033】
取付板12には、締結相手としてのボルト14が設けられている。ボルト14の他側には、押圧部としての円板状又は多角形板状の頭部14Aが同軸上に設けられており、頭部14Aは、取付板12の他側に固定(例えば溶接)されると共に、取付板12の取付孔12Aと同軸上に配置されている。ボルト14の一側には、略円柱状の脚部14Bが同軸上に設けられており、脚部14Bは、頭部14Aから一側に延出されて、取付孔12Aに貫通及び嵌合されている。また、脚部14Bの外周面には、雄ネジ14Cが形成されている。
【0034】
取付板12の一側には、第2締結対象としての板状の締結板16が設けられている。締結板16には、第2孔としての円状の締結孔16Aが貫通形成されており、締結孔16Aは、取付板12の取付孔12Aと同軸上に配置されると共に、ボルト14の脚部14Bが貫通及び嵌合されている。
【0035】
締結板16の一側には、締結部材としての筒状のナット18が設けられている。ナット18の外周は、多角形状にされており、ナット18の内周面には、雌ネジ(図示省略)が形成されている。雌ネジは、ボルト14(脚部14B)の雄ネジ14Cと螺合されており、ナット18内には、脚部14Bが貫通されている。
【0036】
締結板16とナット18との間には、略円環板状のワッシャ20(座金)が設けられており、ワッシャ20内には、ボルト14の脚部14Bが貫通及び嵌合されている。ワッシャ20の一側面及び他側面は、それぞれ表側面20A及び裏側面20Bにされており、表側面20A及び裏側面20Bは、それぞれナット18側及び締結板16側に配置されている。上述の如くボルト14の雄ネジ14Cとナット18の雌ネジとが螺合されて、ボルト14の頭部14Aとナット18との間に取付板12、締結板16及びワッシャ20が挟持されることで、取付板12と締結板16とが締結されており、ワッシャ20の表側面20Aがナット18によって他側に押圧されて、ワッシャ20の裏側面20Bと取付板12との間に締結板16が挟まれている。
【0037】
ワッシャ20は、金属板材のプレス加工により製作されている。
【0038】
このプレス加工では、先ず、金属板材の表側からの打抜工程が行われて、ワッシャ20が略円環板状に形成される(図2参照)。これにより、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部及びワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部に、周方向全体において、ダレ面20Eが形成されて、ダレ面20Eのワッシャ20周方向に垂直な断面が凸状の湾曲線にされる。さらに、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部及びワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に、略周方向全体において、バリ20Fが突出形成される。
【0039】
次に、ワッシャ20の面押し工程が行われる(図3の(A)及び(B)、図7(A)参照)。これにより、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、傾斜面としてのC面20Gが一様に形成される。ワッシャ20の外周側のC面20Gは、ワッシャ20の外周側へ向かうに従いワッシャ20の軸方向内側へ向かう方向に傾斜されており、ワッシャ20の内周側のC面20Gは、ワッシャ20の内周側へ向かうに従いワッシャ20の軸方向内側へ向かう方向に傾斜されている。C面20Gのワッシャ20周方向に垂直な断面は、直線にされており、C面20Gと当該C面20Gに隣接する表側面20A、裏側面20B、外周面20C又は内周面20Dとの間の角度は、全て135°にされている。また、C面20Gのワッシャ20軸方向の寸法L1(深さ寸法)は、全て同一にされている。
【0040】
さらに、ワッシャ20の押込み工程(インデンティング)により、ワッシャ20の表側面20A及び裏側面20Bに、溝状で断面矩形状の抑制凹部20Jが形成される。抑制凹部20Jは、ワッシャ20の径方向に延伸されて、長手方向両端がそれぞれワッシャ20の外周側及び内周側に開放されている。抑制凹部20Jは、ワッシャ20の周方向に複数配置されており、複数の抑制凹部20Jは、ワッシャ20の周方向に等間隔に配置されている。
【0041】
また、ワッシャ20は、軸方向中央の軸方向に垂直な対称面Sに対し、面対称な形状にされている。
【0042】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0043】
以上の構成の締結構造10では、ボルト14及びナット18によって取付板12と締結板16とが締結されており、ワッシャ20の表側面20Aがナット18によって他側に押圧されて、ワッシャ20の裏側面20Bと取付板12との間に締結板16が挟まれている。
【0044】
ここで、ワッシャ20では、外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部、内周面20Dと表側面20Aとの間の角部、及び、内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に、C面20Gが形成されている。このため、ワッシャ20のバリ20Fをなくすことができ、締結構造10の組立て時にバリ20Fにより手指を損傷することを抑制できる。
【0045】
さらに、ワッシャ20の周方向全体に、C面20Gが形成されている。このため、ワッシャ20のバリ20Fを効果的になくすことができる。これにより、ワッシャ20のバリ20Fがある裏側を例えば締結板16側に配置する必要がある場合とは異なり、締結構造10の組立て時(特に夜間の暗い場所でのポイント照明による作業時)に、ワッシャ20の表側と裏側とを確認する必要をなくすことができ、締結構造10の組立作業性を向上できて、締結構造10の組立時間を短くできる。しかも、ボルト14及びナット18による取付板12と締結板16との締結時に、締結板16(例えば締結板16のメッキ及び塗装等の表面処理層)がバリ20Fにより傷付くことを抑制できると共に、締結構造10が設置される機械がワッシャ20から剥離したバリ20Fの混入により不具合を発生することを抑制できる。
【0046】
しかも、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部にC面20Gが形成されている。このため、ボルト14及びナット18による取付板12と締結板16との締結時に、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部が締結板16を削って削りカスが発生することを抑制できる。さらに、裏側面20Bの締結板16との密着度を向上でき(裏側面20Bが全体で締結板16を加圧でき)、締結構造10の剛性を安定して上げることができる。しかも、ボルト14及びナット18による取付板12と締結板16との高圧力での締結時に、ワッシャ20に亀裂及び割れが発生することを抑制できる。
【0047】
また、ワッシャ20の表側面20A及び裏側面20Bに抑制凹部20Jが形成されている。このため、抑制凹部20Jの表側面20Aとの間の角部がナット18に食い付くことができて、表側面20Aのナット18に対する摩擦力を一層増加できると共に、抑制凹部20Jの裏側面20Bとの間の角部が締結板16に食い付くことができて、裏側面20Bの締結板16に対する摩擦力を一層増加でき、ワッシャ20及びナット18の回転を一層抑制できて、ナット18の緩みを一層抑制できる。
【0048】
さらに、抑制凹部20Jが、ワッシャ20の径方向に延伸されると共に、ワッシャ20の周方向に複数形成されている。このため、ワッシャ20の表側面20Aのナット18に対する摩擦力を一層増加できると共に、ワッシャ20の裏側面20Bの締結板16に対する摩擦力を一層増加でき、ワッシャ20及びナット18の回転を一層抑制できて、ナット18の緩みを一層抑制できる。
【0049】
また、ワッシャ20が対称面Sに対し面対称な形状にされている。このため、ワッシャ
20の表側面20Aが締結板16側に配置されると共にワッシャ20の裏側面20Bがナット18側に配置される場合でも、締結構造10の構成を同一にできる。これにより、締結構造10の組立て時に、ワッシャ20の表側と裏側とを確認する必要を効果的になくすことができる。
【0050】
さらに、ワッシャ20のC面20G及び抑制凹部20Jがプレス加工により形成される。このため、ワッシャ20にC面20G及び抑制凹部20Jをプレス加工の工程内で形成でき、ワッシャ20にC面20G及び抑制凹部20Jを容易に形成できる。
【0051】
しかも、ワッシャ20にプレス加工により抑制凹部20Jが形成されることで、ワッシャ20が加工硬化される。このため、ワッシャ20の反り変形を抑制できて、ワッシャ20の外周の浮き上がりを抑制できる。これにより、ボルト14及びナット18による取付板12と締結板16との締結時に、ワッシャ20の締結板16との接触面積の減少を抑制できて、ワッシャ20の締結板16との密着性を向上させることができ、振動等による締結構造10のガタツキ(締結の緩み)を抑制できる。
【0052】
(第1変形例)
図4(A)には、第1実施形態の第1変形例に係る締結構造10Aのワッシャ20が裏面図にて示されており、図4(B)には、当該ワッシャ20が断面図にて示されている。
【0053】
図4の(A)及び(B)に示す如く、本変形例に係る締結構造10Aでは、ワッシャ20の表側面20A及び裏側面20Bに複数の抑制凹部20Jが網状に形成されており、第1群の抑制凹部20J(以下「抑制凹部20J1」という)と第2群の抑制凹部20J(以下「抑制凹部20J2」という)とは、それぞれ同一方向に延伸されている。第1群の抑制凹部20J1は、互いに等間隔に配置されると共に、第2群の抑制凹部20J2は、互いに等間隔に配置されており、第1群の抑制凹部20J1の間隔と第2群の抑制凹部20J2の間隔とは、同一にされている。第1群の抑制凹部20J1と第2群の抑制凹部20J2とは、互いに交差(本変形例では直交)されて連通されており、抑制凹部20Jの長手方向両端は、ワッシャ20の外周側又は内周側に開放されている。
【0054】
ここで、本変形例でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0055】
特に、ワッシャ20の表側面20A及び裏側面20Bでは、抑制凹部20Jが、延伸されると共に、ワッシャ20の径方向側及び周方向側に複数形成されている。このため、ワッシャ20の表側面20Aのナット18に対する摩擦力を一層増加できると共に、ワッシャ20の裏側面20Bの締結板16に対する摩擦力を一層増加でき、ワッシャ20及びナット18の回転を一層抑制できて、ナット18の緩みを一層抑制できる。
【0056】
さらに、抑制凹部20Jと抑制凹部20Jとが互いに交差されて連通されている。このため、抑制凹部20Jと抑制凹部20Jとの交差部分における抑制凹部20Jの表側面20Aとの間の角部がナット18に効果的に食い付くことができて、表側面20Aのナット18に対する摩擦力を一層増加できると共に、抑制凹部20Jと抑制凹部20Jとの交差部分における抑制凹部20Jの裏側面20Bとの間の角部が締結板16に効果的に食い付くことができて、裏側面20Bの締結板16に対する摩擦力を一層増加でき、ワッシャ20及びナット18の回転を一層抑制できて、ナット18の緩みを一層抑制できる。
【0057】
(第2変形例)
図5(A)には、第1実施形態の第2変形例に係る締結構造10Bのワッシャ20が裏面図にて示されており、図5(B)には、当該ワッシャ20が断面図にて示されている。
【0058】
図5の(A)及び(B)に示す如く、本変形例に係る締結構造10Bでは、ワッシャ20の表側面20A及び裏側面20Bに円環状の抑制凹部20J(図5(C)参照)が同軸上に一対形成されており、抑制凹部20Jは、ワッシャ20の周方向全体において、ワッシャ20の周方向に延伸されている。抑制凹部20Jは、断面台形状にされており、抑制凹部20Jは、両側面がワッシャ20の軸方向に対し傾斜されて、ワッシャ20径方向の寸法(幅寸法)がワッシャ20の軸方向内側へ向かうに従い小さくされている。また、ワッシャ20の外周側の抑制凹部20Jは、ワッシャ20の内周側の抑制凹部20Jに比し、ワッシャ20軸方向における寸法(深さ寸法)が大きくされている。
【0059】
ここで、本変形例でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0060】
特に、ワッシャ20の表側面20A及び裏側面20Bでは、抑制凹部20Jが、ワッシャ20の周方向に延伸されると共に、ワッシャ20の径方向に複数形成されている。このため、ワッシャ20の表側面20Aのナット18に対する摩擦力を一層増加できると共に、ワッシャ20の裏側面20Bの締結板16に対する摩擦力を一層増加でき、ワッシャ20及びナット18の回転を一層抑制できて、ナット18の緩みを一層抑制できる。
【0061】
さらに、抑制凹部20Jの両側面がワッシャ20の軸方向に対し傾斜されると共に、ワッシャ20の外周側の抑制凹部20Jがワッシャ20の内周側の抑制凹部20Jに比しワッシャ20軸方向における寸法を大きくされている。このため、抑制凹部20Jの表側面20Aとの間の角部がナット18に効果的に食い付くことができて、表側面20Aのナット18に対する摩擦力を一層増加できると共に、抑制凹部20Jの裏側面20Bとの間の角部が締結板16に効果的に食い付くことができて、裏側面20Bの締結板16に対する摩擦力を一層増加でき、ワッシャ20及びナット18の回転を一層抑制できて、ナット18の緩みを一層抑制できる。
【0062】
なお、本変形例では、ワッシャ20の外周側の抑制凹部20Jがワッシャ20の内周側の抑制凹部20Jに比しワッシャ20軸方向における寸法を大きくされる。しかしながら、ワッシャ20の内周側の抑制凹部20Jがワッシャ20の外周側の抑制凹部20Jに比しワッシャ20軸方向における寸法を大きくされてもよい。
【0063】
また、本変形例では、ワッシャ20の表側面20A及び裏側面20Bにそれぞれ抑制凹部20Jが1つ又は複数形成されればよい。
【0064】
(第3変形例)
図6(A)には、第1実施形態の第3変形例に係る締結構造10Cのワッシャ20が裏面図にて示されており、図6(B)には、当該ワッシャ20が断面図にて示されている。
【0065】
図6の(A)及び(B)に示す如く、本変形例に係る締結構造10Cでは、ワッシャ20の表側面20A及び裏側面20Bにディンプル状の抑制凹部20Jが複数形成されている。抑制凹部20Jの周面は、球面状にされており、抑制凹部20Jは、側面が全周においてワッシャ20の軸方向に対し傾斜されて、径方向寸法がワッシャ20の軸方向内側へ向かうに従い小さくされている。第1群の抑制凹部20J(以下「抑制凹部20J3」という)、第2群の抑制凹部20J(以下「抑制凹部20J4」という)、第3群の抑制凹部20J(以下「抑制凹部20J5」という)及び第4群の抑制凹部20J(以下「抑制凹部20J6」という)は、ワッシャ20の外周側から内周側に向けて等間隔に配置されており、第1群の抑制凹部20J3、第2群の抑制凹部20J4、第3群の抑制凹部20J5及び第4群の抑制凹部20J6は、それぞれワッシャ20の周方向に等間隔に配置さ
れている。第1群の抑制凹部20J3と第3群の抑制凹部20J5とは、ワッシャ20周方向の位置が一致されると共に、第2群の抑制凹部20J4と第4群の抑制凹部20J6とは、ワッシャ20周方向の位置が一致されており、第2群の抑制凹部20J4及び第4群の抑制凹部20J6は、第1群の抑制凹部20J3間及び第3群の抑制凹部20J5間のワッシャ20周方向中央の位置に配置されている。
【0066】
ここで、本変形例でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0067】
特に、ワッシャ20の表側面20A及び裏側面20Bでは、抑制凹部20Jがワッシャ20の径方向側及び周方向側に複数形成されている。このため、ワッシャ20の表側面20Aのナット18に対する摩擦力を一層増加できると共に、ワッシャ20の裏側面20Bの締結板16に対する摩擦力を一層増加でき、ワッシャ20及びナット18の回転を一層抑制できて、ナット18の緩みを一層抑制できる。
【0068】
さらに、抑制凹部20Jの側面が全周においてワッシャ20の軸方向に対し傾斜されている。このため、抑制凹部20Jの表側面20Aとの間の角部がナット18に効果的に食い付くことができて、表側面20Aのナット18に対する摩擦力を一層増加できると共に、抑制凹部20Jの裏側面20Bとの間の角部が締結板16に効果的に食い付くことができて、裏側面20Bの締結板16に対する摩擦力を一層増加でき、ワッシャ20及びナット18の回転を一層抑制できて、ナット18の緩みを一層抑制できる。
【0069】
なお、本変形例では、ワッシャ20の表側面20A及び裏側面20Bにそれぞれ抑制凹部20Jが1群又は複数群形成されればよい。
【0070】
[第2実施形態]
図7(B)には、本発明の第2実施形態に係る締結構造30のワッシャ20が断面図にて示されている。
【0071】
本実施形態に係る締結構造30は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0072】
図7(B)に示す如く、本実施形態に係る締結構造30では、ワッシャ20の面押し工程により、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、傾斜面としてのR面20Hが一様に形成されている。ワッシャ20の外周側のR面20Hは、ワッシャ20の外周側へ向かうに従いワッシャ20の軸方向内側へ向かう方向に傾斜されており、ワッシャ20の内周側のR面20Hは、ワッシャ20の内周側へ向かうに従いワッシャ20の軸方向内側へ向かう方向に傾斜されている。R面20Hのワッシャ20周方向に垂直な断面は、凸状の湾曲線(特に円弧)にされており、R面20Hと当該R面20Hに隣接する表側面20A、裏側面20B、外周面20C又は内周面20Dとは、全て滑らかに連続されている。R面20Hのワッシャ20軸方向の寸法L2(深さ寸法)は、全て同一にされており、ワッシャ20は、軸方向中央の軸方向に垂直な対称面Sに対し、面対称な形状にされている。
【0073】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0074】
なお、本実施形態では、ワッシャ20の面押し工程により、ワッシャ20の外周面20
Cと表側面20Aとの間の角部及びワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部にR面20Hが形成される。しかしながら、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部及びワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部では、ワッシャ20の面押し工程が行われずに、ダレ面20EがR面20Hにされてもよい。
【0075】
[第3実施形態]
図7(C)には、本発明の第3実施形態に係る締結構造40のワッシャ20が断面図にて示されている。
【0076】
本実施形態に係る締結構造40は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0077】
図7(C)に示す如く、本実施形態に係る締結構造40では、ワッシャ20の面押し工程により、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、傾斜面としての角面20Iが一様に形成されている。ワッシャ20の外周側の角面20Iは、ワッシャ20の外周側へ向かうに従いワッシャ20の軸方向内側へ向かう方向に傾斜されており、ワッシャ20の内周側の角面20Iは、ワッシャ20の内周側へ向かうに従いワッシャ20の軸方向内側へ向かう方向に傾斜されている。角面20Iのワッシャ20周方向に垂直な断面は、直線にされており、角面20Iと当該角面20Iに隣接する表側面20A又は裏側面20Bとの間の角度は、全て135°より大きい同一角度にされると共に、角面20Iと当該角面20Iに隣接する外周面20C又は内周面20Dとの間の角度は、全て135°より小さい同一角度にされている。角面20Iのワッシャ20軸方向の寸法L3(深さ寸法)は、全て同一にされており、ワッシャ20は、軸方向中央の軸方向に垂直な対称面Sに対し、面対称な形状にされている。
【0078】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0079】
[第4実施形態]
図8(A)には、本発明の第4実施形態に係る締結構造50のワッシャ20が断面図にて示されている。
【0080】
本実施形態に係る締結構造50は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0081】
図8(A)に示す如く、本実施形態に係る締結構造50では、ワッシャ20の面押し工程により、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第1実施形態と同様のC面20Gが一様に形成されると共に、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第2実施形態と同様のR面20Hが一様に形成されている。C面20Gのワッシャ20軸方向の寸法L1(深さ寸法)及びR面20Hのワッシャ20軸方向の寸法L2(深さ寸法)は、それぞれ全て同一にされており、ワッシャ20は、軸方向中央の軸方向に垂直な対称面Sに対し、面対称な形状にされている。
【0082】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0083】
[第5実施形態]
図8(B)には、本発明の第5実施形態に係る締結構造60のワッシャ20が断面図にて示されている。
【0084】
本実施形態に係る締結構造60は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0085】
図8(B)に示す如く、本実施形態に係る締結構造60では、ワッシャ20の面押し工程により、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第1実施形態と同様のC面20Gが一様に形成されると共に、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第3実施形態と同様の角面20Iが一様に形成されている。C面20Gのワッシャ20軸方向の寸法L1(深さ寸法)及び角面20Iのワッシャ20軸方向の寸法L3(深さ寸法)は、それぞれ全て同一にされており、ワッシャ20は、軸方向中央の軸方向に垂直な対称面Sに対し、面対称な形状にされている。
【0086】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0087】
[第6実施形態]
図9(A)には、本発明の第6実施形態に係る締結構造70のワッシャ20が断面図にて示されている。
【0088】
本実施形態に係る締結構造70は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0089】
図9(A)に示す如く、本実施形態に係る締結構造70では、ワッシャ20の面押し工程により、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第2実施形態と同様のR面20Hが一様に形成されると共に、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第1実施形態と同様のC面20Gが一様に形成されている。R面20Hのワッシャ20軸方向の寸法L2(深さ寸法)及びC面20Gのワッシャ20軸方向の寸法L1(深さ寸法)は、それぞれ全て同一にされており、ワッシャ20は、軸方向中央の軸方向に垂直な対称面Sに対し、面対称な形状にされている。
【0090】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0091】
[第7実施形態]
図9(B)には、本発明の第7実施形態に係る締結構造80のワッシャ20が断面図にて示されている。
【0092】
本実施形態に係る締結構造80は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0093】
図9(B)に示す如く、本実施形態に係る締結構造80では、ワッシャ20の面押し工程により、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第2実施形
態と同様のR面20Hが一様に形成されると共に、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第3実施形態と同様の角面20Iが一様に形成されている。R面20Hのワッシャ20軸方向の寸法L2(深さ寸法)及び角面20Iのワッシャ20軸方向の寸法L3(深さ寸法)は、それぞれ全て同一にされており、ワッシャ20は、軸方向中央の軸方向に垂直な対称面Sに対し、面対称な形状にされている。
【0094】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0095】
[第8実施形態]
図10(A)には、本発明の第8実施形態に係る締結構造90のワッシャ20が断面図にて示されている。
【0096】
本実施形態に係る締結構造90は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0097】
図10(A)に示す如く、本実施形態に係る締結構造90では、ワッシャ20の面押し工程により、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第3実施形態と同様の角面20Iが一様に形成されると共に、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第2実施形態と同様のR面20Hが一様に形成されている。角面20Iのワッシャ20軸方向の寸法L3(深さ寸法)及びR面20Hのワッシャ20軸方向の寸法L2(深さ寸法)は、それぞれ全て同一にされており、ワッシャ20は、軸方向中央の軸方向に垂直な対称面Sに対し、面対称な形状にされている。
【0098】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0099】
[第9実施形態]
図10(B)には、本発明の第9実施形態に係る締結構造100のワッシャ20が断面図にて示されている。
【0100】
本実施形態に係る締結構造100は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0101】
図10(B)に示す如く、本実施形態に係る締結構造100では、ワッシャ20の面押し工程により、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第3実施形態と同様の角面20Iが一様に形成されると共に、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部、及び、ワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に、周方向全体において、上記第1実施形態と同様のC面20Gが一様に形成されている。角面20Iのワッシャ20軸方向の寸法L3(深さ寸法)及びC面20Gのワッシャ20軸方向の寸法L1(深さ寸法)は、それぞれ全て同一にされており、ワッシャ20は、軸方向中央の軸方向に垂直な対称面Sに対し、面対称な形状にされている。
【0102】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0103】
なお、上記第1実施形態(第1変形例~第3変形例を含む)~第9実施形態では、ワッシャ20が対称面Sに対し面対称な形状にされる。しかしながら、ワッシャ20が対称面Sに対し面対称な形状にされなくてもよい。
【0104】
また、上記第1実施形態(第1変形例~第3変形例を含む)、第4実施形態~第6実施形態及び第9実施形態では、C面20Gのワッシャ20軸方向の寸法L1が全て同一にされる。しかしながら、C面20Gのワッシャ20軸方向の寸法L1が互いに相違されてもよい。
【0105】
さらに、上記第2実施形態、第4実施形態及び第6実施形態~第8実施形態では、R面20Hのワッシャ20軸方向の寸法L2が全て同一にされる。しかしながら、R面20Hのワッシャ20軸方向の寸法L2が互いに相違されてもよい。
【0106】
また、上記第3実施形態、第5実施形態及び第7実施形態~第9実施形態では、角面20Iのワッシャ20軸方向の寸法L3が全て同一にされる。しかしながら、角面20Iのワッシャ20軸方向の寸法L3が互いに相違されてもよい。
【0107】
さらに、上記第1実施形態態(第1変形例~第3変形例を含む)~第9実施形態では、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部とワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部とが同一の傾斜面にされると共に、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部とワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部とが同一の傾斜面にされる。しかしながら、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部とワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部とが異なる傾斜面にされてもよく、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部とワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部とが異なる傾斜面にされてもよい。
【0108】
また、上記第1実施形態(第1変形例~第3変形例を含む)~第9実施形態では、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部及びワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部に傾斜面が設けられる。しかしながら、ワッシャ20の外周面20Cと表側面20Aとの間の角部、ワッシャ20の外周面20Cと裏側面20Bとの間の角部、ワッシャ20の内周面20Dと表側面20Aとの間の角部及びワッシャ20の内周面20Dと裏側面20Bとの間の角部の少なくとも1つに傾斜面が設けられればよい。
【0109】
さらに、上記第1実施形態(第1変形例~第3変形例を含む)~第9実施形態では、ワッシャ20の表側面20A及び裏側面20Bに抑制凹部20Jが形成される。しかしながら、ワッシャ20の表側面20A及び裏側面20Bの一方に抑制凹部20Jが形成されてもよい。
【0110】
また、上記第2実施形態~第9実施形態において、第1変形例、第2変形例又は第3変形例の抑制凹部20Jがワッシャ20に形成されてもよい。
【0111】
さらに、上記第1実施形態(第1変形例~第3変形例を含む)~第9実施形態では、ナット18と締結板16との間にワッシャ20が挟まれる。しかしながら、ボルト14(締結部材)の頭部14Aと取付板12(第2締結対象)との間にワッシャ20が挟まれてもよい。
【符号の説明】
【0112】
10 締結構造
10A 締結構造
10B 締結構造
10C 締結構造
12 取付板(第1締結対象)
16 締結板(第2締結対象)
18 ナット(締結部材)
20 ワッシャ
20A 表側面
20B 裏側面
20C 外周面
20D 内周面
20G C面(傾斜面)
20H R面(傾斜面)
20I 角面(傾斜面)
20J 抑制凹部
30 締結構造
40 締結構造
50 締結構造
60 締結構造
70 締結構造
80 締結構造
90 締結構造
100 締結構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結部材が押圧する表側面と、
第1締結対象との間に第2締結対象が挟まれて前記第1締結対象と前記第2締結対象とが締結される裏側面と、
外周面と前記表側面との間の角部、前記外周面と前記裏側面との間の角部、内周面と前記表側面との間の角部及び前記内周面と前記裏側面との間の角部の少なくとも1つに設けられる傾斜面と、
前記表側面及び前記裏側面に設けられる抑制凹部と、
を備えるワッシャ。
【請求項2】
前記傾斜面が周方向全体に設けられる請求項1記載のワッシャ。
【請求項3】
前記表側面と前記裏側面との間の対称面に対し面対称な形状にされる請求項1記載のワッシャ。
【請求項4】
前記抑制凹部が延伸される請求項1記載のワッシャ。
【請求項5】
複数の前記抑制凹部が連絡される請求項1記載のワッシャ。
【請求項6】
周方向側に前記抑制凹部が複数設けられる請求項1記載のワッシャ。
【請求項7】
径方向側に前記抑制凹部が複数設けられる請求項1記載のワッシャ。
【請求項8】
複数の前記抑制凹部の深さ寸法が互いに相違される請求項1記載のワッシャ。
【請求項9】
軸方向に対し前記抑制凹部の側面が傾斜される請求項1記載のワッシャ。
【請求項10】
外周面と表側面との間の角部、前記外周面と裏側面との間の角部、内周面と前記表側面との間の角部及び前記内周面と前記裏側面との間の角部の少なくとも1つに傾斜面が設けられると共に、前記表側面及び前記裏側面に抑制凹部が設けられるワッシャと、
前記表側面を押圧する締結部材と、
前記ワッシャの前記裏側面側に配置される第1締結対象と、
前記裏側面と前記第1締結対象との間に挟まれて前記第1締結対象と締結される第2締結対象と、
を備える締結構造。