(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118325
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】印刷システム、印刷装置、および、印刷方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240823BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240823BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240823BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
G06F3/12 339
G06F3/12 304
G06F3/12 373
G06Q50/10
B41J29/00 Z
B41J29/38 203
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024683
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001058
【氏名又は名称】鳳国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】瀧尻 豊
【テーマコード(参考)】
2C061
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061HJ08
2C061HK11
2C061HK15
2C061HN15
2C061HN22
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】ユーザの利便性が低下することを抑制する。
【解決手段】管理サーバは、印刷可能枚数に応じて自動課金を実行し、自動課金の実行に応じた課金情報を印刷装置に送信する。印刷装置は、印刷可能枚数に関する枚数情報と、自動課金が有効であるか否かを示す有効情報と、を格納する。印刷装置は、管理サーバから送信される課金情報と印刷装置による印刷実績との少なくとも一方に基づいて枚数情報を更新し、印刷装置が管理サーバと通信可能なオンライン状態であり、かつ、自動課金が有効であることを含む許容条件が満たされるか否かを判断し、許容条件が満たされる場合に、枚数情報によって示される印刷可能枚数を超える枚数の印刷を許容し、許容条件が満たされない場合に、枚数情報によって示される印刷可能枚数を超える枚数の印刷を許容しない。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷システムであって、
課金に応じた印刷可能枚数を管理する管理サーバと、
前記管理サーバと通信可能に接続される印刷装置と、
を備え、
前記管理サーバは、
自動課金が有効である場合に前記印刷可能枚数に応じて前記自動課金を実行する課金処理部と、
前記自動課金の実行に応じた課金情報を前記印刷装置に送信する課金情報送信部と、
を備え、
前記印刷装置は、
前記印刷可能枚数に関する枚数情報と、前記自動課金が有効であるか否かを示す有効情報と、を格納する格納部と、
前記管理サーバから送信される前記課金情報と前記印刷装置による印刷実績との少なくとも一方に基づいて前記枚数情報を更新する更新部と、
前記印刷装置が前記管理サーバと通信可能なオンライン状態であり、かつ、前記自動課金が有効であることを含む許容条件が満たされるか否かを判断する判断部と、
前記許容条件が満たされる場合に、前記枚数情報によって示される前記印刷可能枚数を超える枚数の印刷を許容し、前記許容条件が満たされない場合に、前記枚数情報によって示される前記印刷可能枚数を超える枚数の印刷を許容しない印刷制御部と、
を備え、
前記更新部は、前記許容条件が満たされる場合に、前記印刷可能枚数を超えて印刷される枚数を含む印刷済枚数をカウントして前記枚数情報を更新する、印刷システム。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷システムであって、
前記許容条件は、さらに、前記印刷可能枚数を超える枚数が、所定の許容枚数以下であることを含む、印刷システム。
【請求項3】
請求項1に記載の印刷システムであって、
前記許容条件は、さらに、少なくとも直前の課金のための決済が成功していることを含む、印刷システム。
【請求項4】
請求項1に記載の印刷システムであって、
前記許容条件は、さらに、前記自動課金のための決済に用いられる決済情報の更新後に、更新後の前記決済情報を用いた決済が成功していることを含む、印刷システム。
【請求項5】
請求項1に記載の印刷システムであって、
前記自動課金は、前記印刷可能枚数が基準枚数以下になった場合に、前記印刷装置のユーザに確認することなく、前記管理サーバが所定枚数分の課金を行う処理である、印刷システム。
【請求項6】
請求項1に記載の印刷システムであって、
前記管理サーバは、さらに、前記自動課金の実行結果を前記印刷装置のユーザの端末装置に通知する通知部を備える、印刷システム。
【請求項7】
請求項1に記載の印刷システムであって、
前記枚数情報は、課金済みの金額に基づいて印刷が許容される枚数の累積値である第1値と、前記印刷装置にて印刷済みの枚数の累積値である第2値と、を含み、
前記印刷可能枚数は、前記第1値から前記第2値を減じた値である、印刷システム。
【請求項8】
課金に応じた印刷可能枚数を管理する管理サーバと通信可能に接続される印刷装置であって、
前記印刷可能枚数に関する枚数情報と、前記印刷可能枚数に応じた自動課金が有効であるか否かを示す有効情報と、を格納する格納部と、
前記管理サーバから送信される課金情報と前記印刷装置による印刷実績との少なくとも一方に基づいて前記枚数情報を更新する更新部と、
前記印刷装置が前記管理サーバと通信可能なオンライン状態であり、かつ、前記自動課金が有効であることを含む許容条件が満たされるか否かを判断する判断部と、
前記許容条件が満たされる場合に、前記枚数情報によって示される前記印刷可能枚数を超える枚数の印刷を許容し、前記許容条件が満たされない場合に、前記枚数情報によって示される前記印刷可能枚数を超える枚数の印刷を許容しない印刷制御部と、
を備え、
前記更新部は、前記許容条件が満たされる場合に、前記印刷可能枚数を超えて印刷される枚数を含む印刷済枚数をカウントして前記枚数情報を更新する、印刷装置。
【請求項9】
課金に応じた印刷可能枚数を管理する管理サーバと、前記管理サーバと通信可能に接続される印刷装置と、を用いる印刷方法であって、
前記管理サーバは、
自動課金が有効である場合に前記印刷可能枚数に応じて前記自動課金を実行し、
前記自動課金の実行に応じた課金情報を前記印刷装置に送信し、
前記印刷装置は、
前記印刷可能枚数に関する枚数情報と、前記自動課金が有効であるか否かを示す有効情報と、前記印刷装置の格納部に格納し、
前記管理サーバから送信される前記課金情報と前記印刷装置による印刷実績との少なくとも一方に基づいて前記枚数情報を更新し、
前記印刷装置が前記管理サーバと通信可能なオンライン状態であり、かつ、前記自動課金が有効であることを含む許容条件が満たされるか否かを判断し、
前記許容条件が満たされる場合に、前記枚数情報によって示される前記印刷可能枚数を超える枚数の印刷を許容し、前記許容条件が満たされない場合に、前記枚数情報によって示される前記印刷可能枚数を超える枚数の印刷を許容しない、印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、課金に応じた印刷を行うための印刷システム、印刷装置、および、印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従量制の課金を行う印刷サービスが利用されている。例えば、特許文献1の技術では、課金された額に応じた印刷可能枚数を管理サーバとプリンタとのそれぞれで保持している。プリンタは、ユーザによる印刷実行操作がなされた際に、その時点での印刷可能枚数が指定された印刷枚数よりも少ない場合には、該印刷実行操作に基づく印刷は中止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術では、印刷実行操作がなされたにも拘わらず、印刷が中止される場合があるので、ユーザの利便性が低下する可能性があった。
【0005】
本明細書は、課金に応じた枚数を印刷可能な印刷サービスにおいて、ユーザの利便性が低下することを抑制できる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示された技術は、以下の適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]印刷システムであって、課金に応じた印刷可能枚数を管理する管理サーバと、前記管理サーバと通信可能に接続される印刷装置と、を備え、前記管理サーバは、自動課金が有効である場合に前記印刷可能枚数に応じて前記自動課金を実行する課金処理部と、前記自動課金の実行に応じた課金情報を前記印刷装置に送信する課金情報送信部と、を備え、前記印刷装置は、前記印刷可能枚数に関する枚数情報と、前記自動課金が有効であるか否かを示す有効情報と、を格納する格納部と、前記管理サーバから送信される前記課金情報と前記印刷装置による印刷実績との少なくとも一方に基づいて前記枚数情報を更新する更新部と、前記印刷装置が前記管理サーバと通信可能なオンライン状態であり、かつ、前記自動課金が有効であることを含む許容条件が満たされるか否かを判断する判断部と、前記許容条件が満たされる場合に、前記枚数情報によって示される前記印刷可能枚数を超える枚数の印刷を許容し、前記許容条件が満たされない場合に、前記枚数情報によって示される前記印刷可能枚数を超える枚数の印刷を許容しない印刷制御部と、を備え、前記更新部は、前記許容条件が満たされる場合に、前記印刷可能枚数を超えて印刷される枚数を含む印刷済枚数をカウントして前記枚数情報を更新する、印刷システム。
【0008】
上記構成によれば、許容条件が満たされる場合に、印刷可能枚数を超える枚数の印刷が許容される。この結果、例えば、課金処理に時間を要するために、印刷可能枚数が一時的に不足する場合に、印刷可能枚数を超える枚数の印刷が許容される。したがって、課金に応じた枚数を印刷可能な印刷サービスにおいて、ユーザの利便性が低下することを抑制できる。さらには、許容条件が満たされる場合に、印刷可能枚数を超えて印刷される枚数を含む印刷済枚数をカウントして枚数情報を更新するので、例えば、印刷可能枚数を超えて印刷される場合であっても課金漏れなどの不都合が発生することを抑制できる。
【0009】
なお、本明細書に開示された技術は、種々の形態で実現可能であり、例えば、印刷システム、印刷装置、印刷方法、これらの装置、システム、方法を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】管理データベースDBと情報データベースIBの説明図。
【
図3】自動課金が有効である場合の定期処理の第1のシーケンス図。
【
図4】自動課金が有効である場合の定期処理の第2のシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
A.実施例
A-1.システム1000の構成
図1は、システム1000の構成を示すブロック図である。システム1000は、プリンタ100と、プリンタ100のユーザが所有する端末装置200と、管理サーバ300と、決済サーバ400と、を備える。
【0012】
プリンタ100は、印刷材としてインクを消費して印刷を行うデバイスである。プリンタ100は、プリンタ100のコントローラとして、CPU110と、DRAMなどの揮発性記憶装置120と、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置130と、を備えている。また、プリンタ100は、画像を表示する液晶ディスプレイなどの表示部140と、ユーザによる操作を取得するためのボタンやタッチパネルなどの操作部150と、印刷機構170と、通信インタフェース(IF)180と、を備えている。
【0013】
通信IF180は、インターネットITに接続するためのインタフェース、例えば、イーサネット(登録商標)に準拠した有線のインタフェースや、Wi-Fi規格に準拠した無線のインタフェースである。
【0014】
CPU110は、データ処理を行う演算装置(プロセッサ)である。揮発性記憶装置120は、CPU110が処理を行う際に生成される種々の中間データを一時的に格納するバッファ領域を提供する。不揮発性記憶装置130には、プリンタ100を制御するためのコンピュータプログラムPGpと、後述する各種の情報が記録される情報データベースIBと、が格納されている。
【0015】
コンピュータプログラムPGpは、本実施例では、プリンタ100の製造時に不揮発性記憶装置130に予め格納されて提供される。これに代えて、コンピュータプログラムPGpは、例えば、インターネットITを介して接続されたサーバからダウンロードされる形態、あるいは、CD-ROMなどに記録された形態で提供され得る。
【0016】
CPU110は、コンピュータプログラムPGpを実行することによって、プリンタ100を制御する各種の処理を実行する。例えば、詳細は後述するが、CPU110は、印刷機構170を制御して、印刷機構170に画像を印刷させる印刷処理を実行する。また、CPU110は、管理サーバ300と協働して、印刷サービスに関連する様々な処理を実行する。
【0017】
印刷機構170は、CPU110の制御に従って、印刷を実行する。本実施例の印刷機構170は、インクタンク190に収容された複数種類のインク(例えば、シアンとマゼンタとイエロとブラックとの4種類のインク)を色材として用いて、画像を記録媒体に印刷するインクジェット方式の印刷機構である。これに代えて、印刷機構170は、トナーカートリッジに収容されたトナーを色材として用いて、画像を記録媒体に印刷する電子写真方式の印刷機構であっても良い。
【0018】
端末装置200は、図示しないCPUとメモリと表示部(例えば、液晶ディスプレイ)とを備える計算機であり、例えば、スマートフォンである。変形例では、端末装置200は、パーソナルコンピュータやタブレットコンピュータであっても良い。端末装置200は、図示しない所定の通信インタフェース、例えば、Wi-Fi規格や移動体通信の規格(例えば、LTE規格)に準拠した無線の通信インタフェースを備えている。端末装置200には、アプリケーションプログラムAPがインストールされている。アプリケーションプログラムAPは、印刷サービスに関連する処理を端末装置200のCPUに実現させる。以下、アプリケーションプログラムAPを実行することによって、端末装置200のCPUが実現する機能を「端末アプリケーション」とも呼ぶ。端末アプリケーションは、例えば、印刷サービスのために必要なユーザ情報、例えば、ユーザのクレジットカード番号などの決済情報を管理サーバ300に送信する処理を実行する。
【0019】
管理サーバ300は、例えば、印刷サービスを提供する事業者(例えば、プリンタ100の製造や販売を行う事業者)が運用する計算機、例えば、クラウドサーバである。管理サーバ300は、管理サーバ300は、管理サーバ300のコントローラとしてのCPU310と、DRAMなどの揮発性記憶装置320と、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置330と、通信インタフェース(IF)380と、を備えている。通信IF380は、例えば、イーサネット(登録商標)に準拠した有線のインタフェースである。
【0020】
CPU310は、データ処理を行う演算装置(プロセッサ)である。揮発性記憶装置320は、CPU310が処理を行う際に生成される種々の中間データを一時的に格納するバッファ領域を提供する。不揮発性記憶装置330には、コンピュータプログラムPGsと、後述する各種の情報が記録される管理データベースDBと、が格納されている。
【0021】
コンピュータプログラムPGsは、例えば、印刷サービスを運用する事業者によってアップロードされる形態で提供される。管理サーバ300のCPU310は、コンピュータプログラムPGsを実行することによって、印刷サービスに関する処理、例えば、後述するサービス変更処理や印刷サービスを提供する処理を実行する。
【0022】
決済サーバ400は、オンライン決済サービスを提供する計算機、例えば、クラウドサーバである。このオンライン決済サービスは、例えば、後述するように、管理サーバ300が自動課金のための決済に利用する。
【0023】
なお、
図1では、1つのプリンタ100および端末装置200のみが図示されているが、管理サーバ300は、多数のユーザに対して、多数のプリンタを用いて印刷サービスを提供している。以下では、1つのプリンタ100と端末装置200とに対する印刷サービスについて各種の処理を説明するが、これらの処理は、管理対象の各プリンタについて、それぞれ、独立して実行される。
【0024】
A-2.管理データベースDBと情報データベースIB
管理サーバ300の不揮発性記憶装置330に格納される管理データベースDBと、プリンタ100の不揮発性記憶装置130に格納される情報データベースIBと、について説明する。
図2は管理データベースDBと情報データベースIBの説明図である。
図2(A)の管理データベースDBは、アカウントテーブルATと、デバイス登録テーブルDTと、サービス情報テーブルSTと、を含んでいる。
【0025】
アカウントテーブルATは、ユーザ情報が登録されるテーブルである。ユーザ情報は、印刷サービスのユーザのアカウントと、該アカウントに関連付けられる情報と、を含む。本実施例では、ユーザ情報は、
図2に示すように、アカウントIDと、パスワードと、ユーザ名と、決済情報と、を含む。
図2の例では、プリンタ100の管理ユーザのアカウントID「AC_a」、パスワード「PW_a」、ユーザ名「KEN」、決済情報「SI_a」が記録されている。図示は省略するが、アカウントテーブルATには、印刷サービスに必要な他のユーザ情報が含まれる。他のユーザ情報は、例えば、ユーザの住所(インクボトルの郵送先)、メールアドレスを含む。決済情報は、例えば、例えば、クレジットカード番号を含む。
【0026】
デバイス登録テーブルDTは、アカウントIDと、デバイス情報と、が対応付けて記録されるテーブルである。デバイス情報は、デバイスを識別するデバイスIDと、モデル情報等を含む。これによって、アカウントIDによって識別されるユーザと、印刷サービスを利用する際に用いる1以上のプリンタと、が対応付けられる。
図2の例では、プリンタ100のユーザのアカウントID「AC_a」がプリンタ100のデバイスID「DID_a」やモデル情報「MI_a」と対応付けて記録されている。
【0027】
サービス情報テーブルSTは、印刷サービスに用いられるプリンタごとに、印刷サービスに関連する情報が記録されるテーブルである。サービス情報テーブルSTには、プリンタを識別するデバイスIDに対応付けて、累積印刷枚数PNと、累積チャージ枚数CNと、課金プラン情報と、決済良好フラグと、が記録されている。
【0028】
累積印刷枚数PNは、印刷サービスに用いられるプリンタ(例えば、プリンタ100)が購入された後に、該プリンタを用いて印刷済みの枚数の累積値である。累積チャージ枚数CNは、課金済みの金額に基づいて印刷サービスに用いられるプリンタにて印刷することが許容される枚数の累積値である。累積チャージ枚数CNは、課金によって増加する。課金プラン情報は、印刷サービスの課金プランを示す情報であり、本実施例では、手動課金と自動課金とのいずれかである。手動課金は、ユーザが端末アプリケーションを利用して管理サーバ300にアクセスして、課金を行う課金プランである。自動課金は、詳細は、後述するがプリンタの印刷可能枚数が基準枚数以下になった場合に、管理サーバ300が自動的に課金を行う課金プランである。決済良好フラグは、プリンタのユーザの直前の決済が問題無く成功した場合には「ON」に設定され、プリンタのユーザの直前の決済に問題が発生して該決済が失敗した場合には「OFF」に設定される。
図2の例では、プリンタ100のデバイスID「DID_a」と対応付けて、累積印刷枚数「PN_a」と、累積チャージ枚数「CN_a」CNと、自動課金を示す課金プラン情報と、OFFを示す決済良好フラグと、が記録されている。これらの情報については、さらに、後述する。
【0029】
図示は省略するが、サービス情報テーブルSTには、印刷サービスに必要な他の情報が含まれる。他の情報は、例えば、インクタンク190のインクの残量情報やプリンタの状態(正常、エラー等)を示すステータス情報を含む。
【0030】
図2(B)に示すように、プリンタ100の情報データベースIBには、プリンタ100を用いた印刷サービスのための情報として、上述した累積印刷枚数PNと、累積チャージ枚数CNと、課金プラン情報と、決済良好フラグと、が記録されている。図示は省略するが、情報データベースIBには、サービス情報テーブルSTと同様に、印刷サービスに必要な他の情報、例えば、インクタンク190のインクの残量情報やプリンタの状態(正常、エラー等)を示すステータス情報も記録されている。
【0031】
A-2.印刷サービスの概要
本実施例の印刷サービスは、従量制である。先ず、印刷サービスの提供を望むユーザは、プリンタ100を購入する。プリンタ100には、インクタンク190に供給するためのインクが付属している。プリンタ100の購入者には、所定の初期枚数(例えば、100枚)分の印刷権限が与えられる。ユーザは、プリンタ100が通信IF180を用いてインターネットITに接続可能な状態に、プリンタ100をセットアップする。これによって、プリンタ100は、インターネットITを介して、管理サーバ300と通信可能な状態となる。本実施例では、プリンタ100に電源が投入されている間、プリンタ100と管理サーバ300との間にXMPP(Extensible Messaging and Presence Protocol)に従って常時接続のための通信セッションが確立される。プリンタ100と管理サーバ300との間の通信は、該通信セッションを用いて行われるので、プリンタ100と管理サーバ300とは、互いに任意のタイミングでデータを送信できる。以下では、プリンタ100と管理サーバ300との間で、常時接続のための通信セッションが確立されている状態をオンライン状態とも呼び、常時接続のための通信セッションが確立されていない状態をオフライン状態とも呼ぶ。
【0032】
プリンタ100がオンライン状態になると、プリンタ100(CPU110)は、自身に予め割り当てられている固有の識別子であるデバイスIDを含むデバイス情報を管理サーバ300に対して送信する。管理サーバ300(CPU310)は、デバイス情報を受信すると、該デバイス情報を管理データベースDBのデバイス登録テーブルDT(
図2(A))に記録する。
【0033】
次に、ユーザは、端末装置200の上述した端末アプリケーションを起動する。端末アプリケーションは、ユーザの指示に基づいて、ユーザのアカウントIDを含むユーザ情報と、プリンタ100のデバイスIDを、管理サーバ300に対して送信する。管理サーバ300は、ユーザ情報とデバイスIDとを受信すると、管理データベースDBのアカウントテーブルATにユーザ情報を記録する。管理サーバ300は、管理データベースDBのデバイス登録テーブルDTに記録済みの複数個のデバイスIDの中から、受信したデバイスIDを検索し、受信したアカウントIDを、検索されたデバイスIDと対応付けてデバイス登録テーブルDTに記録する(
図2(A))。
【0034】
管理サーバ300は、さらに、累積チャージ枚数CNと累積印刷枚数PNと課金プラン情報と決済良好フラグとを、管理データベースDBのサービス情報テーブルSTに記録する。この時点で登録される累積チャージ枚数CNは、初期値であり、例えば、プリンタ100の購入者に与えられる印刷権限の初期枚数(上述)である。登録される累積印刷枚数PNは、初期値であり、例えば、0である。課金プラン情報は、例えば、デフォルトのプランである手動課金に設定される。決済良好フラグは、この段階では、決済が行われていないので、OFFに設定される。管理サーバ300は、記録された累積チャージ枚数CNと課金プラン情報と決済良好フラグとを示す情報をプリンタ100に対して送信する。プリンタ100は、これらの情報を受信すると、累積チャージ枚数CNと課金プラン情報と決済良好フラグとを情報データベースIB(
図2(B))に記録する。なお、プリンタ100の情報データベースIBには、累積印刷枚数PN(初期値は0)が予め記録されている。
【0035】
このように、管理データベースDBおよび情報データベースIBに必要な情報が記録されると、プリンタ100は、印刷可能状態になる。印刷可能状態は、ユーザの印刷指示に基づいて、印刷が可能な状態である。例えば、ユーザは、印刷すべき画像を示す画像データを指定して印刷指示を入力する。プリンタ100は、指定された画像データを用いて、用紙などの印刷媒体に画像を印刷する。印刷指示は、例えば、端末装置200などの端末装置に入力されても良い。この場合には、指定された画像データと印刷指示とを含む印刷ジョブが端末装置200からプリンタ100に対して送信される。また、指定すべき画像データが格納されたUSBメモリをプリンタ100に装着された状態で、プリンタ100の操作部150を介して、印刷指示が入力されても良い。プリンタ100は、印刷が実行される度に、情報データベースIBにおいて、累積印刷枚数PNを更新する。具体的には、累積印刷枚数PNは、印刷された枚数が加算された値に更新される。
【0036】
累積チャージ枚数CNから累積印刷枚数PNを減じた値(CN-PN)は、その時点で、ユーザがプリンタ100に印刷させることができる枚数(以下、印刷可能枚数ANとも呼ぶ)である(AN=CN-PN)。課金プランが手動プランである場合には、印刷可能枚数ANが0になると、プリンタ100は、印刷可能状態から印刷禁止状態に遷移する。印刷禁止状態では、プリンタ100は、ユーザからの印刷指示を取得した場合、もしくは、印刷中の印刷ジョブがある場合であっても印刷を実行せず、例えば、印刷可能枚数ANが0であるために印刷できない旨を示すメッセージを表示部140に表示する。
【0037】
課金プランが手動プランである場合には、印刷禁止状態になった後、あるいは、印刷禁止状態になる前のいずれであっても、ユーザは、端末装置200(端末アプリケーション)からチャージ要求を管理サーバ300に対して送信することによって、累積印刷枚数PNを増加させることができる。
【0038】
管理サーバ300は、チャージ要求を受信すると、チャージ要求にて指定されたチャージ枚数分の課金処理を実行する。管理サーバ300は、アカウントテーブルATに記録されたユーザ情報に含まれる決済情報(例えば、クレジットカード番号)を用いて、チャージ枚数分の料金の決済要求を決済サーバ400に送信する。決済サーバ400は、該決済要求に応じて、公知のいわゆるオンライン決済処理を実行し、決済処理が正常に完了した場合には、決済完了通知を管理サーバ300に対して送信する。管理サーバ300は、決済完了通知を受信すると、管理データベースDBのサービス情報テーブルSTにて、プリンタ100のデバイスIDと対応付けられた累積チャージ枚数CNに、決済済みのチャージ枚数を加算する。管理サーバ300は、加算済みの累積チャージ枚数CNをプリンタ100に対して通知する。プリンタ100は、該通知を受信すると、情報データベースIBに記録された累積チャージ枚数CNを更新する。この結果、プリンタ100に記録された累積チャージ枚数CNがチャージ枚数分だけ増加するので、印刷可能枚数ANがチャージ枚数分だけ増加する。
【0039】
プリンタ100は、オンライン状態である場合には、プリンタ100に関する各種の情報を含む定期通知を、管理サーバ300に対して定期的に送信する。本実施例では、定期通知は、例えば、1分ごとに対して送信される。定期通知には、例えば、累積印刷枚数PNと、プリンタ100におけるインクの残量を示す情報と、プリンタ100のステータス情報と、を含む。管理サーバ300は、定期通知を受信すると、管理データベースDBのサービス情報テーブルSTにて、プリンタ100のデバイスIDに対応付けられた各種の情報(例えば、累積印刷枚数PN)を更新する。
【0040】
なお、本実施例の印刷サービスでは、印刷枚数に応じて料金が発生する従量制であるので、インクは印刷サービスを運用する事業者によってユーザに対して無償で提供される。このために、管理サーバ300は、定期情報に含まれるインクの残量を示す情報に基づいて、プリンタ100におけるインクの残量を管理しており、インクの残量が閾値以下になった場合には、インクボトルをユーザの元に配送するための処理を実行する。また、プリンタ100が故障した際のプリンタ100の修理や交換も印刷サービスを運用する事業者によってユーザに対して無償で提供される。このために、管理サーバ300は、定期情報に含まれる故障に関する情報に基づいて、プリンタ100の故障の有無、程度を管理しており、必要に応じてプリンタ100の代替機をユーザの元に郵送するための処理を実行する。これらの処理は、本願の発明とは関連が薄いため、これ以上の説明は省略する。
【0041】
A-3.自動課金時の動作
上記では、課金プランが手動課金である場合を例に、印刷サービスの概要について説明したが、本実施例の印刷サービスでは、課金プランとして自動課金を選択することができる。例えば、ユーザは、端末装置200(端末アプリケーション)を操作して、課金プランを手動課金から自動課金に変更する変更指示を入力する。端末アプリケーションは、変更指示を取得すると、課金プランを手動課金から自動課金に変更する変更要求を管理サーバ300に送信する。管理サーバ300は、変更要求を受信すると、管理データベースDBのサービス情報テーブルSTに記録される課金プラン情報(
図2(A))を、手動課金を示す情報から自動課金を示す情報に変更する。管理サーバ300は、課金プランが自動課金に変更されてことを示す変更通知をプリンタ100に送信する。プリンタ100は、該変更通知を受信すると、情報データベースIBに記録される課金プラン情報(
図2(B))を、手動課金を示す情報から自動課金を示す情報に変更する。以降は、自動課金が有効となる。本実施例の自動課金では、後述するように、印刷可能枚数ANが基準枚数THc以下になった場合に、管理サーバ300が、プリンタ100のユーザに確認することなく、所定のチャージ枚数(例えば、数十~数千枚)分の印刷料金の決済を行い、累積チャージ枚数CNに所定のチャージ枚数分の加算を行う。基準枚数THcは、0以上の整数であり、例えば、数枚~数十枚である。
【0042】
図3、
図4は、自動課金が有効である場合の定期処理のシーケンス図である。
図3、
図4の処理は、上述した定期通知のタイミングが到来した時に開始される。定期処理には、例えば、インク残量を管理してインクボトルを配送する処理等も含まれるが、ここでは、本願との関連が薄いために省略し、自動課金の決済に関連する処理についてのみ図示および説明を行う。
【0043】
定期通知のタイミングが到来すると、プリンタ100は、
図3のS2にて、累積印刷枚数PNを示す情報を定期通知として管理サーバ300に送信する。累積印刷枚数PNは、上述したように、
図2(B)の情報データベースIBに記録されている。
【0044】
管理サーバ300(CPU310)は、累積印刷枚数PNを示す情報を受信すると、S4にて、印刷可能枚数ANは、基準枚数THc以下であるか否かを判断する。具体的には、管理サーバ300は、サービス情報テーブルST(
図2(A))において、プリンタ100の累積印刷枚数PNを更新し、更新後の累積印刷枚数PNと累積チャージ枚数CNとを用いて、現時点の印刷可能枚数ANを算出する(AN=CN-PN)。該印刷可能枚数ANが基準枚数THc以下であるか否かが判断される。
【0045】
印刷可能枚数ANが基準枚数THc以下である場合には(S4:YES)、管理サーバ300は、S5にて、サービス情報テーブルSTに記録されたプリンタ100の課金プラン情報を参照して、プリンタ100の課金プランが自動課金であるか否かを判断する。
【0046】
プリンタ100の課金プランが自動課金である場合には(S5:YES)、管理サーバ300は、自動課金を行うために、S8に処理を進める。印刷可能枚数ANが基準枚数THc以下である場合(S4:NO)、および、プリンタ100の課金プランが手動課金である場合には(S5:NO)、自動課金を行う必要はないので、管理サーバ300は、処理を終了する。
【0047】
S8では、管理サーバ300は、所定のチャージ枚数分の料金の決済を要求する料金決済要求を決済サーバ400に送信する。料金決済要求には、例えば、アカウントテーブルATに記録されたプリンタ100のユーザ名や決済情報(例えば、クレジットカード番号)が含められる。決済サーバ400は、料金決済要求を受信すると、S8にて、決済処理を実行する。S10では、決済サーバ400は、決済処理の結果を示す決済結果通知を管理サーバ300に送信する。決済結果通知は、決済処理が正常に完了したか否かを示す。
【0048】
管理サーバ300は、決済結果通知を受信すると、S12にて、決済結果通知を参照して、所定のチャージ枚数分の料金の決済が正常に完了したか否かを判断する。決済が正常に完了した場合には(S12:YES)、管理サーバ300は、S14にて、サービス情報テーブルSTに記録されている決済良好フラグがOFFであるか否かを判断する。
【0049】
決済良好フラグがOFFである場合には(S14:YES)、管理サーバ300は、S16にて、サービス情報テーブルSTに記録されている決済良好フラグをONに変更する。S17では、管理サーバ300は、決済良好フラグをONに変更することを指示するフラグ変更指示をプリンタ100に送信する。プリンタ100は、フラグ変更指示を受信すると、S19にて、情報データベースIBに記録されている決済良好フラグをONに変更する。
【0050】
決済良好フラグがONである場合には(S14:NO)、管理サーバ300は、S16、S17をスキップする。このために、プリンタ100もS19の決済良好フラグの変更を実行しない。
【0051】
S18では、管理サーバ300は、サービス情報テーブルSTに記録されているプリンタ100の累積チャージ枚数CNを更新する。累積チャージ枚数CNは、更新前の累積チャージ枚数CNに、決済が完了した所定のチャージ枚数分が加算された値に更新される。管理サーバ300は、決済完了通知をプリンタ100に送信する。決済完了通知には、更新後の累積チャージ枚数CNを示す情報が含められる。プリンタ100は、決済完了通知を受信すると、S22にて、情報データベースIBに記録されている累積チャージ枚数CNを、決済完了通知に含まれる情報によって示される値に更新する。
【0052】
S23では、管理サーバ300は、チャージ完了通知を端末装置200に送信する。チャージ完了通知は、例えば、端末アプリケーション宛のプッシュ通知によって送信される。プッシュ通知は、FCM(Firebase Cloud Messagingの略)などの公知のプッシュ通知サービスを利用して行われる。ユーザは、例えば、端末アプリケーションを起動して、プッシュ通知を確認することで、自動課金の決済が行われたこと、および、自動課金によって累積チャージ枚数CNが増加したことを認識する。
【0053】
決済が正常に完了しなかった場合には(S12:NO)、管理サーバ300は、
図4のS24に処理を進める。決済が正常に完了しない原因には、例えば、決済情報の誤り、決済情報にて指定されたクレジットカードの有効期限切れ等によって決済サーバ400が決済を拒否した場合や、決済サーバ400がダウンしている場合が考えられる。
【0054】
S24では、管理サーバ300は、管理サーバ300は、S14にて、サービス情報テーブルSTに記録されている決済良好フラグがONであるか否かを判断する。決済良好フラグがONである場合には(S24:YES)、管理サーバ300は、S26にて、サービス情報テーブルSTに記録されている決済良好フラグをOFFに変更する。S28では、管理サーバ300は、決済良好フラグをOFFに変更することを指示するフラグ変更指示をプリンタ100に送信する。プリンタ100は、フラグ変更指示を受信すると、S30にて、情報データベースIBに記録されている決済良好フラグをOFFに変更する。
【0055】
決済良好フラグがOFFである場合には(S24:NO)、管理サーバ300は、S26、S28をスキップする。このために、プリンタ100もS30の決済良好フラグの変更を実行しない。
【0056】
S32では、管理サーバ300は、チャージ失敗通知を端末装置200に送信する。チャージ失敗通知は、例えば、端末アプリケーション宛のプッシュ通知によって送信される。ユーザは、例えば、端末アプリケーションを起動して、プッシュ通知を確認することで、自動課金の決済が失敗したことを認識する。ユーザは、例えば、次に説明する決済情報の更新を行うことで、自動課金の決済が成功するように対応を取ることができる。
【0057】
以上の説明から解るように、プリンタ100の決済良好フラグは、プリンタ100の自動課金の直前の決済が成功している場合には、ONに設定され、自動課金の直前の決済が失敗している場合には、OFFに設定される。
【0058】
A-4.決済情報更新処理
図5は、決済情報更新処理のシーケンス図である。決済情報更新処理は、ユーザの指示に基づいて決済情報の更新を行う処理である。ユーザは、例えば、決済情報(例えば、クレジットカード番号や有効期限)の更新を行う際に、端末装置200にて端末アプリケーションに自身のアカウントでログインし、該端末アプリケーションの所定の入力画面(図示省略)に、新たな決済情報を入力したうえで、更新指示を入力する。
【0059】
端末装置200(端末アプリケーション)は、決済情報の更新指示を取得すると、S50にて、決済情報更新要求を管理サーバ300に送信する。決済情報更新要求には、入力画面に入力された決済情報と、ユーザのアカウントIDと、が含められる。管理サーバ300は、決済情報更新要求を受信すると、管理データベースDBのアカウントテーブルAT(
図2(A))に記録されているユーザの決済情報を更新する。すなわち、管理サーバ300は、アカウントテーブルATにて、決済情報更新要求に含まれるアカウントIDと対応付けられた決済情報を、決済情報更新要求に含まれる決済情報に変更する。S56では、管理サーバ300は、ユーザの決済情報が更新されたことを示す更新完了通知を端末装置200に送信する。
【0060】
S58では、管理サーバ300は、管理データベースDBのサービス情報テーブルSTに記録されている決済良好フラグがONであるか否かを判断する。決済良好フラグがONである場合には(S58:YES)、管理サーバ300は、S60にて、サービス情報テーブルSTに記録されている決済良好フラグをOFFに変更する。S62では、管理サーバ300は、決済良好フラグをOFFに変更することを指示するフラグ変更指示をプリンタ100に送信する。プリンタ100は、フラグ変更指示を受信すると、S64にて、情報データベースIBに記録されている決済良好フラグをOFFに変更する。
【0061】
決済良好フラグがOFFである場合には(S58:NO)、管理サーバ300は、S60、S62をスキップする。このために、プリンタ100もS64の決済良好フラグの変更を実行しない。
【0062】
以上の説明から解るように、プリンタ100のユーザの決済情報が更新されると、プリンタ100の決済良好フラグは、プリンタ100の自動課金の直前の決済が成功している場合であっても、一度、OFFに設定される。その後に自動課金の決済が成功した場合には、上述した定期処理で説明したように、決済良好フラグは、OFFからONに変更される(
図3のS12~S19)。
【0063】
A-5.印刷処理
次に、印刷サービスに用いられるプリンタ100(CPU110)が実行する印刷処理について説明する。
図6は、印刷処理のフローチャートである。印刷処理は、例えば、プリンタ100が、端末アプリケーションからユーザの指示に基づく印刷ジョブを受信した場合や、プリンタ100の操作部150にユーザの印刷指示が入力された場合に実行される。
【0064】
S100では、プリンタ100は、印刷可能枚数ANが0以下であるか否かを判断する。印刷可能枚数ANが0より多い場合には(S100:NO)、プリンタ100は、S160にて、一枚分の印刷を実行する。例えば、受信された印刷ジョブを解釈して、一枚分の印刷データを生成し、該印刷データを用いて印刷機構170に印刷を実行させる。S170では、プリンタ100は、情報データベースIBに記録されている累積印刷枚数PNを更新する。すなわち、プリンタ100は、累積印刷枚数PNに1を加算する。これによって、印刷可能枚数ANが一枚減少する。
【0065】
印刷可能枚数ANが0以下である場合には(S100:YES)、プリンタ100は、S110にて、情報データベースIBに記録されている課金プラン情報(
図2(B))を参照して、課金プランが自動課金であるか否かを判断する。
【0066】
課金プランが手動課金である場合には(S110:NO)、プリンタ100は、S150にて、中断処理を実行する。例えば、プリンタ100は、表示部140に、印刷可能枚数ANが不足しているために、印刷できないことを示す通知画面を表示して、印刷処理を中断する。このように、本実施例では、課金プランが手動課金である場合には、印刷可能枚数ANが0以下である場合の印刷は許容されない。
【0067】
課金プランが自動課金である場合には(S100:YES)、プリンタ100は、S120にて、プリンタ100と管理サーバ300との通信状態がオンライン状態であるか否かを判断する。例えば、プリンタ100は、直前の管理サーバ300への定期通知が成功している場合には、通信状態がオンライン状態であると判断し、該定期通知が失敗している場合には、通信状態がオフライン状態であると判断する。あるいは、プリンタ100は、確認信号を管理サーバ300に送信し、所定の期間(例えば、数秒)内に応答信号を管理サーバ300から受信した場合に、通信状態がオンライン状態であると判断し、所定の期間内に応答信号を管理サーバ300から受信できない場合に、通信状態がオフライン状態であると判断しても良い。
【0068】
プリンタ100と管理サーバ300との通信状態がオフライン状態である場合には(S120:NO)、プリンタ100は、S150にて、中断処理を実行する。このように、本実施例では、課金プランが自動課金であっても、管理サーバ300との通信状態がオフライン状態である場合には、印刷可能枚数ANが0以下である場合の印刷は許容されない。
【0069】
プリンタ100と管理サーバ300との通信状態がオンライン状態である場合には(S120:YES)、プリンタ100は、S130にて、情報データベースIBに記録されている決済良好フラグ(
図2(B))がONであるか否かを判断する。換言すれば、プリンタ100は、直前の課金のための決済が成功しているか否かを判断する。
【0070】
決済良好フラグ(
図2(B))がOFFである場合には(S130:NO)、プリンタ100は、S150にて、中断処理を実行する。このように、本実施例では、課金プランが自動課金であっても、直前の課金のための決済が失敗している場合には、印刷可能枚数ANが0以下である場合の印刷は許容されない。
【0071】
決済良好フラグ(
図2(B))がONである場合には(S130:YES)、プリンタ100は、プリンタ100は、S140にて、印刷可能枚数ANは、所定の閾値THm以上であるか否かを判断する。ここで、所定の閾値THmは、負の整数(例えば、-10)である(THm<0)。換言すれば、プリンタ100は、印刷可能枚数ANを超えて印刷された枚数が所定の許容枚数(閾値THmの絶対値分の枚数)以下であるか否かを判断する。
【0072】
印刷可能枚数ANが閾値THm未満である場合には(S140:NO)、プリンタ100は、S150にて、中断処理を実行する。このように、本実施例では、課金プランが自動課金であっても、印刷可能枚数ANを超えて印刷される枚数は所定の許容枚数以下に制限される。
【0073】
印刷可能枚数ANが閾値THm以上である場合には(S140:YES)、プリンタ100は、S160にて、一枚分の印刷を実行する。この場合には、印刷可能枚数ANは、負の値になることが許容される。換言すれば、印刷可能枚数ANを超えて印刷されることが許容される。
【0074】
S170では、プリンタ100は、情報データベースIBに記録されている累積印刷枚数PNを更新する。すなわち、プリンタ100は、累積印刷枚数PNに1を加算する。換言すれば、印刷可能枚数ANを超えて印刷される枚数を含む印刷済枚数が累積印刷枚数PNとしてカウントされ、印刷可能枚数ANは、負の値になる。
【0075】
S180では、プリンタ100は、全ての印刷を完了したか否かを判断する。例えば、受信した印刷ジョブに基づく印刷が完了したか否かが判断される。印刷が未完了である場合には(S180:NO)、プリンタ100は、S100に戻る。全ての印刷が完了した場合には(S180:YES)、プリンタ100は、印刷処理を終了する。
【0076】
以上の説明から解るように、本実施例にて、印刷可能枚数ANを超える印刷が許容される許容条件は、以下の条件(1)~(5)が全て満たされることである。
(1)自動課金が有効であること(課金プラン情報が自動課金を示すこと)
(2)管理サーバ300とオンライン状態であること
(3)直前の課金の決済が成功していること(決済良好フラグがONであること)
(4)印刷可能枚数ANを超えて印刷された枚数が所定の許容枚数以下であること
(5)決済情報が更新なされた場合に、少なくとも新しい決済情報を用いた1回以上の決済が成功していること(決済良好フラグがONであること)
【0077】
以上説明した本実施例によれば、課金に応じた印刷可能枚数を管理する管理サーバ300は、自動課金が有効である場合に(
図3のS5にてYES)、印刷可能枚数ANに応じて自動課金を実行し(
図3のS6、S10、S81)、自動課金の実行に応じた課金情報(本実施例では、決済完了通知やフラグ変更指示)をプリンタ100に送信する(
図3のS20)。管理サーバ300と通信可能に接続されるプリンタ100は、印刷可能枚数ANに関する枚数情報(本実施例では累積チャージ枚数CNと累積印刷枚数PN)と、自動課金が有効であるか否かを示す有効情報(本実施例では課金プラン情報)と、を情報データベースIBに格納している(
図2(B))。プリンタ100は、管理サーバから送信される課金情報と印刷装置による印刷実績(本実施例では累積印刷枚数PN)とに基づいて枚数情報を更新する(
図3のS22、
図6のS170)。プリンタ100は、管理サーバ300と通信可能なオンライン状態であり、かつ、自動課金が有効であることを含む許容条件が満たされるか否かを判断する(
図6のS110~S140)。プリンタ100は、許容条件が満たされる場合に(
図6のS110~140の全てにてYES)、印刷可能枚数ANを超える枚数の印刷を許容し(
図6のS160)、許容条件が満たされない場合に(
図6のS110~140のいずれかにてNO)、印刷可能枚数ANを超える枚数の印刷を許容しない(
図6のS150)。プリンタ100は、許容条件が満たされる場合に、印刷可能枚数ANを超えて印刷される枚数を含む印刷済枚数をカウントして累積印刷枚数PNを更新する(
図6のS170)。
【0078】
この結果、例えば、課金処理に時間を要するために、印刷可能枚数ANが一時的に不足する場合に、印刷可能枚数ANを超える枚数の印刷が許容される。したがって、課金に応じた枚数を印刷可能な印刷サービスにおいて、ユーザの利便性が低下することを抑制できる。さらには、許容条件が満たされる場合に、印刷可能枚数ANを超えて印刷される枚数を含む印刷済枚数をカウントして累積印刷枚数PNを更新するので、例えば、印刷可能枚数ANを超えて印刷される場合であっても課金漏れなどの不都合が発生することを抑制できる。
【0079】
例えば、自動課金が行われるための基準枚数THcが10枚であり、印刷可能枚数ANが10枚以下になると自動課金が行われるとする。そして、印刷可能枚数ANが20枚である状態で、プリンタ100が30枚の印刷を行う印刷ジョブを受信した場合を例に、動作例を説明する。
【0080】
この場合に、プリンタ100が印刷を開始し、10枚分の印刷が行われた時点で、印刷可能枚数ANが10枚以下になる。この時点の次に行われる定期通知(
図3のS2)にて、管理サーバ300は、プリンタ100の印刷可能枚数ANが10枚以下になったことを認識して、自動課金の決済処理が実行され、累積チャージ枚数CNおよび印刷可能枚数ANが増加する(
図3のS4~S22)。ここで、決済サーバ400の決済処理(
図3のS8)、プリンタ100と管理サーバ300との通信、管理サーバ300と決済サーバ400との通信には、ある程度の時間を要する。要する時間は、決済サーバ400の処理状況(例えば、混雑の程度)や通信の負荷によって変動する。このために、印刷可能枚数ANが10枚以下になってから印刷可能枚数ANが増加するまでには、比較的長い時間を要する場合もある。この場合に、さらに、プリンタ100が印刷を進めて、20枚の印刷が行われた時点で、印刷可能枚数ANは、0になる。
【0081】
印刷可能枚数ANが0になった時点でも、自動課金の決済処理が完了しておらず、累積チャージ枚数CNおよび印刷可能枚数ANが増加していない場合には、仮に、印刷可能枚数ANを超える枚数の印刷が許容されないとすると、印刷ジョブの途中で、印刷は中断される。本実施例では、上記(1)~(5)の許容条件が満たされる場合に、印刷可能枚数ANを超える枚数の印刷を許容するので、自動課金にて提供される印刷サービスのユーザの利便性が低下することを抑制できる。特に、自動課金では、ユーザは、印刷可能枚数ANを意識せずに、印刷サービスを利用している場合が多いので、突然、印刷が中断すると、ユーザの不利益が大きいと考えられるが、本実施例によれば、このようなユーザの不利益を抑制できる。
【0082】
さらに、本実施例では、許容条件は、プリンタ100と管理サーバ300とがオンライン状態であることを含んでいるので、例えば、印刷可能枚数ANを超えて印刷された枚数を管理サーバ300が把握できない事態の発生を抑制できる。この結果、印刷可能枚数ANを超えて印刷された枚数分の料金を回収できない不利益を抑制できる。
【0083】
さらに、本実施例によれば、許容条件は、さらに、印刷可能枚数ANを超える枚数が、所定の許容枚数以下であることを含む(
図6のS140)。印刷可能枚数ANを超える枚数分の印刷の料金は、一時的に未回収になる可能性がある。本実施例によれば、印刷可能枚数ANを過度に超える枚数の印刷が行われることを抑制できる。したがって、印刷可能枚数を超える枚数分の料金が回収されない不具合をより効果的に抑制できる。
【0084】
さらに、本実施例によれば、許容条件は、さらに、少なくとも直前の課金のための決済が成功していることを含む(
図3のS12、S16~S19、
図4のS26~S30、
図6のS130)。直前の課金のための決済が成功している場合には、一時的に印刷可能枚数ANを超える枚数分の印刷の料金が未回収になっても、その後の決済で回収できる可能性が高い。このために、許容条件に、直前の課金のための決済が成功していることを含めることで、印刷可能枚数ANを超える枚数分の料金の決済が失敗する可能性を低減できる。したがって、印刷可能枚数ANを超える枚数分の料金が回収されない不具合をさらに効果的に抑制できる。
【0085】
さらに、本実施例によれば、許容条件は、さらに、自動課金のための決済に用いられる決済情報の更新後に、更新後の決済情報を用いた決済が成功していることを含む(
図3のS12、S16~S19、
図5のS52~S64、
図4のS26~S30、
図6のS130)。一度も決済が成功していない決済情報を用いた決済は、失敗に終わる可能性がある。このために、許容条件に、決済情報の更新後に、更新後の決済情報を用いた決済が成功していることを含めることで、印刷可能枚数ANを超える枚数分の料金の決済が失敗する可能性を低減できる。したがって、印刷可能枚数ANを超える枚数分の料金が回収されない不具合をさらに効果的に抑制できる。
【0086】
さらに、本実施例では、自動課金は、印刷可能枚数ANが基準枚数THc以下になった場合に、ユーザに確認することなく、管理サーバ300が所定枚数分の課金を行う処理である(
図3のS4~S10)。このような自動課金では、ユーザは、実質的に印刷可能枚数ANを意識することなく、いつでも印刷を行えるメリットがある。本実施例によれば、印刷可能枚数ANを超える枚数分の印刷を許容することで、印刷が中断することを抑制できるので、上述の自動課金のメリットを損なうことを抑制できるので、印刷サービスのユーザの利便性が低下することを抑制できる。
【0087】
さらに、本実施例によれば、管理サーバ300は、自動課金の実行結果をユーザの端末装置200に通知する(
図3のS23、S32)。この結果、プリンタ100のユーザは、自動課金の実行結果を認識できるので、例えば、決済の不具合で印刷が実行できない場合などに対応を取ることができる。
【0088】
さらに、本実施例によれば、管理サーバ300およびプリンタ100が管理する枚数情報は、累積チャージ枚数CNと、累積印刷枚数PNと、を含む。印刷可能枚数ANは、累積チャージ枚数CNから累積印刷枚数PNを減じた値である。この構成によれば、累積チャージ枚数CNと累積印刷枚数PNとを管理することで、印刷可能枚数ANを間接的に管理できる。
【0089】
以上の説明から解るように、本実施例の課金プラン情報は、有効情報の例であり、累積チャージ枚数CNは、第1値の例であり、累積印刷枚数PNは、第2値の例であり、累積チャージ枚数CNと累積印刷枚数PNとは枚数情報の例である。
【0090】
B.変形例
(1)上記実施例では、許容条件は、上述した条件(1)~(5)を含むが一例であり、適宜に変更され得る。例えば、許容条件は、条件(3)~(5)の全部または一部を含まなくても良い。また、許容条件は、条件(3)~(5)の全部または一部に代えて、あるいは、条件(1)~(5)に加えて、他の条件を含んでも良い。許容条件は、例えば、ユーザによる印刷サービスの利用期間が所定の基準期間以上であることや、累計の課金金額が基準金額以上であることを含んでも良い。許容条件は、例えば、ユーザの決済情報に基づく決済の成功回数が所定回数以上であることや、該決済の失敗回数が所定回数以下であること、を含んでも良い。
【0091】
(2)上記実施例の自動課金は、印刷可能枚数ANが基準枚数THc以下になった場合に、ユーザに確認することなく、管理サーバ300が所定枚数分の課金を行う処理である。これに限らず、他の態様の自動課金が採用されても良い。例えば、自動課金は、所定の期間ごとに(例えば、1ヶ月ごと)、ユーザに確認することなく、所定の期間内に印刷された枚数分の課金を行う処理であっても良い。この場合には、例えば、印刷可能枚数ANを超える枚数の印刷が行われた場合には、管理サーバ300は、所定の期間ごとの通常の課金処理とは別に、追加の課金処理を印刷処理の後に直ちに実行しても良い。
【0092】
(3)上記実施例では、管理サーバ300およびプリンタ100は、累積チャージ枚数CNと累積印刷枚数PNとをデータベースにて管理しており、印刷可能枚数ANは累積チャージ枚数CNと累積印刷枚数PNを用いて算出されている。これに代えて、管理サーバ300およびプリンタ100は、印刷可能枚数ANを算出して、管理データベースDBに記録しても良い。
【0093】
(4)上記実施例では、印刷可能枚数ANを超えて印刷が許容される許容枚数(閾値THmの絶対値)は、固定である。これに代えて、許容枚数は、例えば、ユーザによる印刷サービスの利用期間や決済の信頼性の評価値などに基づいて、動的に設定されても良い。また、許容枚数は、例えば、操作部150から入力されるユーザの指示によって所定の範囲内の数値に設定されても良い。
【0094】
(5)上記実施例では、印刷サービスは、1つの管理サーバ300によって提供される。これに代えて、互いに通信可能な2以上のサーバによって役割を分担して印刷サービスが提供されても良い。例えば、アカウントテーブルATを管理するアカウント管理サーバと、デバイス登録テーブルDTとサービス情報テーブルSTとを管理するデバイス管理サーバと、によって、印刷サービスが提供されても良い。この場合には、例えば、端末装置200との通信と決済サーバ400との通信は、アカウント管理サーバによって実行され、決済サーバ400との通信は、デバイス管理サーバによって実行されても良い。
【0095】
(6)上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【0096】
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1000…システム,100…プリンタ,110…CPU,120…揮発性記憶装置,130…不揮発性記憶装置,140…表示部,150…操作部,170…印刷機構,180…通信IF,190…インクタンク,200…端末装置,300…管理サーバ,310…CPU,320…揮発性記憶装置,330…不揮発性記憶装置,180…通信IF,400…決済サーバ,AP…アプリケーションプログラム,DB…管理データベース,AT…アカウントテーブル,ST…サービス情報テーブル,DT…デバイス登録テーブル,IB…情報データベース,IT…インターネット,PGp,PGs…コンピュータプログラム