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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118332
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】合成樹脂製発泡容器、及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20240823BHJP
   B65D 17/40 20060101ALI20240823BHJP
   B65D 75/62 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
B65D1/02 211
B65D17/40
B65D75/62 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024695
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平松 健太
(72)【発明者】
【氏名】市川 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】飯野 裕喜
【テーマコード(参考)】
3E033
3E067
3E093
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA14
3E033BA17
3E033BB08
3E033CA08
3E033CA20
3E033DA01
3E033DB01
3E033DD01
3E033EA04
3E033FA03
3E033GA02
3E067AB16
3E067BA03A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB17A
3E067BB25A
3E067CA18
3E067EB11
3E067EE59
3E067FC01
3E067GA01
3E093AA04
3E093AA26
3E093BB13
3E093BB15
3E093CC01
(57)【要約】
【課題】所定の方向に沿って引き裂かれて開封される開封部を含む所定の容器形状の形成された発泡樹脂からなる層を有する合成樹脂製発泡容器において、その開封性を良好とする。
【解決手段】気泡を内包する発泡樹脂からなる層を含む単層又は複数層の合成樹脂製発泡容器であって、所定の方向に沿って引き裂かれて開封される開封部を備え、前記開封部において、開封補助用の溝が賦形されるとともに、前記溝に沿って、周囲と比較して相対的に気泡率が低下している非発泡領域又は低発泡領域が設けられている合成樹脂製発泡容器。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気泡を内包する発泡樹脂からなる層を含む単層又は複数層の合成樹脂製発泡容器であって、
所定の方向に沿って引き裂かれて開封される開封部を備え、
前記開封部において、開封補助用の溝が賦形されるとともに、前記溝に沿って、周囲と比較して相対的に気泡率が低下している非発泡領域又は低発泡領域が設けられていることを特徴とする合成樹脂製発泡容器。
【請求項2】
前記低発泡領域は、気泡を内包しない非発泡樹脂からなる層を内周側と外周側との少なくとも一方に含み、前記非発泡樹脂からなる層との肉厚比により、周囲と比較して相対的に気泡率が低く構成された、請求項1に記載の合成樹脂製発泡容器。
【請求項3】
前記発泡樹脂からなる層及び前記非発泡樹脂からなる層は、同一樹脂から形成されている、請求項2に記載の合成樹脂製発泡容器。
【請求項4】
内容物として氷菓を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の合成樹脂製発泡容器。
【請求項5】
押出機からダイヘッドを介して押し出されたパリソンを、一対の分割金型間に挟み込み、前記パリソン内にブローエアーを吹き込んで所定の容器形状にブロー成形する合成樹脂製発泡容器の製造方法であって、
発泡剤を含侵させた発泡性樹脂材料を含む第一樹脂を、前記ダイヘッド内に設けられた第一ダイヘッド吐出口から吐出させて、発泡樹脂からなる層を有する単層又は複数層の発泡樹脂含有領域を備えるパリソンを形成するとともに、
所定の領域において、発泡剤を含まない非発泡性樹脂材料の第二樹脂を、前記ダイヘッド内に設けられた第二ダイヘッド吐出口から吐出させて、前記パリソンに非発泡領域又は低発泡領域を部分的に形成し、
前記分割金型の所定の部位に、前記合成樹脂製発泡容器の開封予定部に開封補助用の溝を賦形するための突条部を設けておき、前記パリソンの前記非発泡領域又は前記低発泡領域に対応する部位に前記溝が賦形されるように、前記パリソンを前記分割金型間に挟み込んで、ブロー成形することを特徴とする合成樹脂製発泡容器の製造方法。
【請求項6】
押出機からダイヘッドを介して押し出されたパリソンを、一対の分割金型間に挟み込み、前記パリソン内にブローエアーを吹き込んで所定の容器形状にブロー成形する合成樹脂製発泡容器の製造方法であって、
発泡剤を含侵させた発泡性樹脂材料と、発泡剤を含まない非発泡性樹脂材料とをダイヘッド内で合流させて、中間層が発泡樹脂からなる層、内層及び外層が非発泡樹脂からなる層の複数層の発泡樹脂含有領域を備えるパリソンを形成するとともに、
所定の領域において、前記発泡性樹脂材料の吐出量を相対的に減少させるとともに、前記非発泡性樹脂材料の吐出量を相対的に増加させて、前記パリソンに非発泡領域又は低発泡領域を部分的に形成し、
前記分割金型の所定の部位に、前記合成樹脂製発泡容器の開封予定部に開封補助用の溝を賦形するための突条部を設けておき、前記パリソンの前記非発泡領域又は前記低発泡領域に対応する部位に前記溝が賦形されるように、前記パリソンを前記分割金型間に挟み込んで、ブロー成形することを特徴とする合成樹脂製発泡容器の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封が容易な合成樹脂製発泡容器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軸方向の一端が開口する開口部を有し、軸方向の他端側が閉塞されるように成形され、開口部から内容物を充填した後に、開口部を封止するように構成された合成樹脂製の容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-318721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の容器にあっては、一般に、容器の一部を引き裂くことによって開封できるように、周方向に沿って溝状の切り込み開封部が設けられている。
しかしながら、容器壁に気泡を多数存在させた、いわゆる発泡容器について同様の切り込み開封部を設け、この箇所を引き裂くことによって開封しようとすると、非発泡容器に比べて、開封に力を要したり、きれいに引き裂くことができずに、開封口がささくれ立ってしまったりするなどの不具合が生じる虞があることが、本発明者らによって見出された。
【0005】
そこで、本発明者らは、所定の方向に沿って引き裂かれて開封される開封部を含む所定の容器形状の形成された、発泡樹脂からなる層を有する合成樹脂製発泡容器において、その開封性を良好ならしめるべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る合成樹脂製発泡容器は、気泡を内包する発泡樹脂からなる層を含む単層又は複数層の合成樹脂製発泡容器であって、所定の方向に沿って引き裂かれて開封される開封部を備え、前記開封部において、開封補助用の溝が賦形されるとともに、前記溝に沿って、周囲と比較して相対的に気泡率が低下している非発泡領域又は低発泡領域が設けられている構成としてある。
【0007】
また、本発明に係る合成樹脂製発泡容器の製造方法は、押出機からダイヘッドを介して押し出されたパリソンを、一対の分割金型間に挟み込み、前記パリソン内にブローエアーを吹き込んで所定の容器形状にブロー成形する合成樹脂製発泡容器の製造方法であって、発泡剤を含侵させた発泡性樹脂材料を含む第一樹脂を、前記ダイヘッド内に設けられた第一ダイヘッド吐出口から吐出させて、発泡樹脂からなる層を有する単層又は複数層の発泡樹脂含有領域を備えるパリソンを形成するとともに、所定の領域において、発泡剤を含まない非発泡性樹脂材料の第二樹脂を、前記ダイヘッド内に設けられた第二ダイヘッド吐出口から吐出させて、前記パリソンに非発泡領域又は低発泡領域を部分的に形成し、前記分割金型の所定の部位に、前記合成樹脂製発泡容器の開封予定部に開封補助用の溝を賦形するための突条部を設けておき、前記パリソンの前記非発泡領域又は前記低発泡領域に対応する部位に前記溝が賦形されるように、前記パリソンを前記分割金型間に挟み込んで、ブロー成形する方法としてある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、所定の方向に沿って引き裂かれて開封される開封部を含む所定の容器形状の形成された、発泡樹脂からなる層を有する合成樹脂製発泡容器において、その開封性を良好とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の一例に係る合成樹脂製発泡容器の概略を示す説明図である。
図2】本実施形態の一例に係る合成樹脂製発泡容器の要部拡大断面図である。
図3】本実施形態の一例に係る合成樹脂製発泡容器の要部拡大断面図である。
図4】本実施形態の一例に係る合成樹脂製発泡容器をブロー成形するためのパリソンの要部拡大断面図である。
図5】本実施形態の合成樹脂製発泡容器をブロー成形するためのパリソン成形装置の概略を示す説明図である。
図6】本実施形態の他の例に係る合成樹脂製発泡容器の要部拡大断面図である。
図7】本実施形態の他の例に係る合成樹脂製発泡容器をブロー成形するためのパリソンの要部拡大断面図である。
図8】本実施形態の他の例に係る合成樹脂製発泡容器の要部拡大断面図である。
図9】本実施形態の他の例に係る合成樹脂製発泡容器をブロー成形するためのパリソンの要部拡大断面図である。
図10】本実施形態の他の例に係る合成樹脂製発泡容器の要部拡大断面図である。
図11】本実施形態の他の例に係る合成樹脂製発泡容器をブロー成形するためのパリソンの要部拡大断面図である。
図12】本実施形態の他の例に係る合成樹脂製発泡容器の要部拡大断面図である。
図13】本実施形態の他の例に係る合成樹脂製発泡容器をブロー成形するためのパリソンの要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
[第一実施形態]
まず、本発明の第一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る合成樹脂製の容器1の概略を示す説明図である。図1は、容器1の右側の一部を切り欠いて、その断面を示している。図1及び以降の図面の断面にあらわれる部材の肉厚は、誇張して模式的に描写されている。
【0012】
図1に示す容器1は、上端が開口して開口部2とされた筒状の首部3と、首部3に対して拡径し、下端側に底部5が形成された胴部4とが一体に成形されており、開口部2から内容物を充填した後に、ヒートシールによって開口部2を封止して内容物を密封できるように構成されている。首部3は、周方向に沿って引き裂くことによって容器1を開封することができる開封部6を備え、首部3の側方に張り出すように形成された摘まみ片7を摘まみ上げながら開封部6を引き裂くことができるように構成されている。しかしながら、所定の方向に沿って引き裂かれて開封される開封部6を含むように構成されていれば、容器1の形状などの具体的な形態は、図示する例に限定されない。
【0013】
本実施形態において、容器1は発泡容器として成形されており、気泡を内包する発泡樹脂からなる層1aを含む。より具体的には、図2に示すように、発泡樹脂からなる層1aを中間層として、その内周側及び外周側に、気泡を内包しない非発泡樹脂からなる層1bが内層及び外層として積層された複数層の発泡容器となっている。
なお、図2は、本実施形態に係る容器1の要部拡大断面図であり、容器1において、発泡樹脂からなる層1aを有する層構造を備える任意の部位の断面を模式的に示している。
【0014】
このような発泡樹脂からなる層1aを含む領域(以降では、発泡樹脂含有領域30とも称する)では、内部に含まれる気泡によって不透明な外観を呈するとともに、遮光性や断熱性を有している。このため、図1に示す容器1にあっては、容器全体に発泡樹脂含有領域30が形成されるようにすることで、遮光層を設けたり、印刷を施したりせずとも、光によって品質が劣化し得る内容物に好適に用いることができるようにしている。さらに、氷菓などを内容物とする場合には、容器1を把持して喫食する際に、手に伝わる冷感を低減させることもできる。
【0015】
容器1の発泡樹脂含有領域30の気泡率rは、容器1の目的、所望の機能に従って適宜設定することができるが、例えば10~60%とすることができる。
【0016】
ここで、本実施形態における気泡率とは、気泡率を求める所定の領域(試験片)の比重と、試験片と同一樹脂材料からなる非発泡状態の樹脂片の比重から、下記式(1)を用いて算出した数値である。
気泡率=(1-(試験片の比重/非発泡状態の樹脂片の比重))×100・・・(1)
【0017】
また、本実施形態において、容器1の開封部6には、引き裂き開封性を補助するために開封補助用の溝61が賦形されているとともに、溝61に沿って、非発泡樹脂からなる層1b単層により形成された非発泡領域31が設けられている。
図3は、本実施形態に係る容器1の要部拡大断面図であり、図1の破線で囲った部分、すなわち容器1の開封部6近傍の断面を模式的に示している。
【0018】
発泡樹脂からなる層1aを含む発泡容器では、開封部6に溝61が設けられていたとしても、当該開封部6を引き裂くことによって開封しようとすると、非発泡容器に比べて、開封に力を要したり、きれいに引き裂くことができずに、開封口がささくれ立ってしまったりするなどの不具合が生じる虞がある。これは発泡樹脂からなる層1aで開封時の応力集中が阻害されることに起因すると考えられる。
例えば、非発泡樹脂からなる層1bで構成された容器では開封時の最大引張荷重(N)が20未満であるところ、発泡樹脂からなる層1aを中間層として、その内周側及び外周側に非発泡樹脂からなる層1bが内層及び外層として積層された三層構造とされた発泡容器(気泡率30%)では開封時の最大引張荷重(N)が60程度となることが、本発明者によって確認されている。
【0019】
そこで、本実施形態では、容器1の開封部6に、引き裂き開封性を補助するために開封補助用の溝61を賦形するとともに、溝61に沿って、非発泡樹脂からなる層1b単層により形成された非発泡領域31を設けている。
【0020】
このようにして、容器1の開封部6の溝61に沿って、周囲と比較して相対的に気泡率が低下している非発泡領域31を設けることで、開封部6の引き裂き開封性を良好なものにするようにしている。
【0021】
このような合成樹脂製の容器1は、押出機からダイヘッドを介して筒状に押し出されたパリソン10を、一対の分割金型間に挟み込み、パリソン10内にブローエアーを吹き込んで所望の容器形状にブロー成形する、いわゆる発泡ダイレクトブロー成形によって製造することができる。
【0022】
本実施形態において、パリソン10は、気泡を内包する発泡樹脂からなる層1aを含む発泡樹脂含有領域11を備えるとともに、発泡樹脂含有領域11に対して気泡率が低下している非発泡領域12を、部分的に備えるように形成されている。
なお、図4は、本実施形態に係る容器1をブロー成形するのに好適なパリソン10の要部拡大断面図であり、(a)は、パリソン10において、発泡樹脂含有領域11を備える任意の部位の断面を模式的に示しており、(b)は、パリソン10において、非発泡領域12近傍の断面を模式的に示している。図4及び以降の図面の断面にあらわれる部材の肉厚は、誇張して模式的に描写されている。
図2図4に示されるように、本実施形態におけるパリソン10の発泡樹脂含有領域11(図4(a))は、ブロー成形されて容器1の発泡樹脂含有領域30(図2)となり、パリソン10の非発泡領域12(図4(b))は、ブロー成形されて容器1の非発泡領域31(図3)となる。
【0023】
容器1(パリソン10)を形成する樹脂材料としては、任意の熱可塑性樹脂を用いることができ、具体的には、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-ポリプロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、又はこれらの混合物、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンフラノエート又はこれらの共重合体などのポリエステル系樹脂などが好ましく用いられる。
【0024】
容器1(パリソン10)の発泡樹脂からなる層1aと非発泡樹脂からなる層1bとは、容器成形の観点から、同じ樹脂によって形成されるのが好ましい。
【0025】
発泡樹脂からなる層1aは、上記した樹脂を熔融混錬する際に、炭酸ガス、窒素ガスなどの不活性ガスを物理発泡剤として、又は熱分解により炭酸ガスを発生する炭酸塩、熱分解により窒素ガスを発生するアゾ化合物などの熱分解性化合物を化学発泡剤として、熔融された樹脂に溶解させるなどして、所定量の発泡剤を樹脂中に含有させた発泡性樹脂材料によって形成することができる。
【0026】
容器1をダイレクトブロー成形によって成形するに際し、発泡樹脂からなる層1aを含む発泡樹脂含有領域11を備えるとともに、非発泡領域12を部分的に備えるパリソン10は、次のようにして形成することができる。
図5は、第一実施形態にかかる容器1をブロー成形するためのパリソン成形装置100の概略を示す説明図である。
【0027】
図示するパリソン成形装置100は、ダイヘッドに、環状に第一樹脂が押し出される第一ダイヘッド吐出口111と、環状に第二樹脂が押し出される第二ダイヘッド吐出口112とを備えている。第一ダイヘッド吐出口111からは、第一樹脂押出機121aから押し出された樹脂が内層として、第一樹脂押出機121bから押し出された樹脂が中間層として、第一樹脂押出機121cから押し出された樹脂が外層として、これらが第一樹脂として押し出される。これにより、第一樹脂押出機121aと第一樹脂押出機121cからは発泡剤を含まない非発泡性樹脂材料が押し出されるように、第一樹脂押出機121bからは発泡剤を含侵させた発泡性樹脂材料が押し出されるようにして、発泡樹脂からなる層1aを中間層とし、その内周側及び外周側に、気泡を内包しない非発泡樹脂からなる層1bが内層及び外層として積層された、三層構造の複合樹脂材料が第一ダイヘッド吐出口111から吐出される。また、第二ダイヘッド吐出口112からは、第二樹脂押出機122によって発泡剤を含まない非発泡性樹脂材料の第二樹脂が吐出される。図示する例では、第二ダイヘッド吐出口112は、吐出される第二樹脂が第一樹脂の外周側に吐出されるように配置されている。
一部の領域に非発泡領域12を含むパリソン10は、第一樹脂を第一ダイヘッド吐出口111から吐出させて発泡樹脂からなる層1aを含むパリソン10を形成するに際し、所定の領域において、第一ダイヘッド吐出口111から吐出させる第一樹脂の吐出量を減じて吐出を停止させるとともに第二ダイヘッド吐出口112から第二樹脂を吐出させて、第一樹脂の吐出量を減じた領域を第二樹脂に置き換え、パリソン10に非発泡領域12を部分的に形成し、次いで、第二樹脂の吐出を停止するとともに第一樹脂を吐出させて、第一樹脂と第二樹脂とを接続した状態とすることにより、形成される。
【0028】
このようにして形成されたパリソン10を、一対の分割金型で挟み込み、パリソン10の押し出し方向の先端側をピンチオフするとともに融着させた後に、パリソン10内にブローエアーを吹き込んでブロー成形することで、所定の容器形状を有する容器1を製造することができる。本実施形態では、所定の部位に、容器1の開封予定部に開封補助用の溝61を賦形するための突条部が設けられた分割金型を用いて、パリソン10の非発泡領域31に対応する部位に溝61が賦形されるようにパリソン10を分割金型間に挟み込んで、ブロー成形する。
これにより、本実施形態の容器1を製造することができる。
【0029】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
図6は、本実施形態に係る容器1の要部拡大断面図であり、(a)は、容器1において、発泡樹脂含有領域30を備える任意の部位の断面を模式的に示しており、(b)は、容器1の開封部6の溝61近傍の断面を模式的に示している。
前述した第一実施形態にかかる容器1では、非発泡樹脂からなる層1bで形成されている非発泡領域31が溝61に沿って設けられた構成とした。これに対して、本実施形態の容器1では、中間層の発泡樹脂からなる層1aが発泡樹脂含有領域30よりも減少するとともに外周側の非発泡樹脂からなる層1bが増加して、非発泡樹脂からなる層1bの比率を高めることにより、発泡樹脂からなる層1aに対する非発泡樹脂からなる層1bの肉厚比を高めて、周囲、すなわち発泡樹脂含有領域30と比較して相対的に気泡率が低下している低発泡領域32が溝61に沿って設けられた構成となっている。
【0030】
低発泡領域32の気泡率rは、発泡樹脂含有領域30の気泡率rが10~40%とした場合、0<r<5%、好ましくは0<r<1%とすることができる。
【0031】
このような第二実施形態にかかる容器1は、気泡を内包する発泡樹脂からなる層1aを含む発泡樹脂含有領域11を備えるとともに、発泡樹脂含有領域11に対して気泡率が低下している低発泡領域13を部分的に備えるパリソン10を形成し、形成されたパリソン10を、容器1の開封予定部に開封補助用の溝61を賦形するための突条部が設けられた一対の分割金型間に、パリソン10の低発泡領域13に対応する部位に溝61が賦形されるように挟み込み、パリソン10内にブローエアーを吹き込んでブロー成形することで、製造することができる。
なお、図7は、本実施形態に係る容器1をブロー成形するのに好適なパリソン10の要部拡大断面図であり、(a)は、パリソン10において、発泡樹脂含有領域11を備える任意の部位の断面を模式的に示しており、(b)は、パリソン10において、低発泡領域13近傍の断面を模式的に示している。
【0032】
本実施形態では、パリソン10を形成するに際し、第一樹脂の吐出を停止させるのではなく吐出量を減じるとともに第二樹脂を吐出させることで、第一樹脂と第二樹脂とでパリソン10の低発泡領域13を構成する以外は、第一実施形態の製造方法と同様にして、パリソン10を形成することができる。これは、第一実施形態で説明したパリソン成形装置100を用いて、第一樹脂押出機121a、121b、121cと第二樹脂押出機122の稼働を調整することで製造することができる。
本実施形態は、上記の点で第一実施形態の製造方法と異なっているが、他の構成は第一実施形態と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0033】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
図8は、本実施形態に係る容器1の要部拡大断面図であり、(a)は、容器1において、発泡樹脂含有領域30を備える任意の部位の断面を模式的に示しており、(b)は、容器1の開封部6の溝61近傍の断面を模式的に示している。
前述した第一実施形態にかかる容器1では、容器1の発泡樹脂含有領域30を、発泡樹脂からなる層1aを中間層とし、内層及び外層として非発泡樹脂からなる層1bが積層された複数層構造の発泡容器とした。これに対して、本実施形態の容器1の発泡樹脂含有領域30は、非発泡樹脂からなる層1bを含まない単層構造となっている。
また、本実施形態の容器1の開封部6は、第一実施形態と同様に、少なくとも溝61に沿って、非発泡樹脂からなる層1b単層からなる非発泡領域31を備えている。これにより、本実施形態の容器1の開封部6は、溝61に沿って、周囲、すなわち発泡樹脂含有領域30と比較して相対的に気泡率が低下している非発泡領域31が設けられている構成となっている。
【0034】
このような第三実施形態にかかる容器1は、気泡を内包する発泡樹脂からなる層1aからなる単層の発泡樹脂含有領域11を備えるとともに、非発泡領域12を部分的に備えるように形成されたパリソン10を形成し、形成されたパリソン10を、容器1の開封予定部に開封補助用の溝61を賦形するための突条部が設けられた一対の分割金型間に、パリソン10の低発泡領域13に対応する部位に溝61が賦形されるように挟み込み、パリソン10内にブローエアーを吹き込んでブロー成形することで、製造することができる。
なお、図9は、本実施形態に係る容器1をブロー成形するのに好適なパリソン10の要部拡大断面図であり、(a)は、パリソン10において、発泡樹脂含有領域11を備える任意の部位の断面を模式的に示しており、(b)は、パリソン10において、低発泡領域13近傍の断面を模式的に示している。
【0035】
本実施形態では、パリソン10を形成するに際し、第一樹脂を発泡樹脂からなる層1aのみで形成された単層構造とする以外は、第一実施形態の製造方法と同様にして、パリソン10を形成することができる。これは、第一実施形態で説明したパリソン成形装置100を用いて、第一樹脂押出機のうち121aと121cを稼働させない状態として製造してもよいし、第一樹脂押出機121a、121b、121cによって発泡性樹脂材料からなる第一樹脂が押し出される構造として製造してもよい。または、第一樹脂として発泡性樹脂材料のみが押し出しされる構造のパリソン製造装置を用いてもよい。
本実施形態は、上記の点で第一実施形態と異なっているが、他の構成は第一実施形態と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0036】
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について説明する。
図10は、本実施形態に係る容器1の要部拡大断面図であり、(a)は、容器1において、発泡樹脂含有領域30を備える任意の部位の断面を模式的に示しており、(b)は、容器1の開封部6の溝61近傍の断面を模式的に示している。
前述した第二実施形態にかかる容器1では、容器1の発泡樹脂含有領域30を、発泡樹脂からなる層1aを中間層とし、内層及び外層として非発泡樹脂からなる層1bが積層された複数層構造の発泡容器とした。これに対して、本実施形態の容器1の発泡樹脂含有領域30は、非発泡樹脂からなる層1bを含まない単層構造となっている。
また、本実施形態の容器1は、第二実施形態と同様に、発泡樹脂からなる層1aが発泡樹脂含有領域30よりも減少するとともに外周側の非発泡樹脂からなる層1bが増加して、非発泡樹脂からなる層1bの比率を高めることにより、発泡樹脂からなる層1aに対する非発泡樹脂からなる層1bの肉厚比を高めて、周囲、すなわち発泡樹脂含有領域30と比較して相対的に気泡率が低下している低発泡領域32が溝61に沿って設けられた構成となっている。
【0037】
低発泡領域32の気泡率rは、発泡樹脂含有領域30の気泡率rが10~40%とした場合、0<r<5%、好ましくは0<r<1%とすることができる。
【0038】
このような第四実施形態にかかる容器1は、気泡を内包する発泡樹脂からなる層1aからなる単層の発泡樹脂含有領域11を備えるとともに、発泡樹脂含有領域11に対して気泡率を低下せしめた、低発泡領域13を部分的に備えるように形成されたパリソン10を形成し、形成されたパリソン10を、容器1の開封予定部に開封補助用の溝61を賦形するための突条部が設けられた一対の分割金型間に、パリソン10の低発泡領域13に対応する部位に溝61が賦形されるように挟み込み、パリソン10内にブローエアーを吹き込んでブロー成形することで、製造することができる。
なお、図11は、本実施形態に係る容器1をブロー成形するのに好適なパリソン10の要部拡大断面図であり、(a)は、パリソン10において、発泡樹脂含有領域11を備える任意の部位の断面を模式的に示しており、(b)は、パリソン10において、低発泡領域13近傍の断面を模式的に示している。
【0039】
本実施形態では、パリソン10を形成するに際し、第一樹脂を発泡樹脂からなる層1aのみで形成された単層構造とする以外は、第二実施形態の製造方法と同様にして、パリソン10を形成することができる。これは、第一実施形態で説明したパリソン成形装置100を用いて、第一樹脂押出機のうち121aと121cを稼働させない状態として製造してもよいし、第一樹脂押出機121a、121b、121cによって発泡性樹脂材料からなる第一樹脂が押し出される構造として製造してもよい。または、第一樹脂として発泡性樹脂材料のみが押し出しされる構造のパリソン製造装置を用いてもよい。
本実施形態は、上記の点で第二実施形態と異なっているが、他の構成は第二実施形態と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0040】
[第五実施形態]
次に、本発明の第五実施形態について説明する。
図12は、本実施形態に係る容器1の要部拡大断面図であり、(a)は、容器1において、発泡樹脂含有領域30を備える任意の部位の断面を模式的に示しており、(b)は、容器1の開封部6の溝61近傍の断面を模式的に示している。
前述した第一実施形態にかかる容器1では、非発泡樹脂からなる層1bで形成されている非発泡領域31を部分的に備える構成とした。これに対して、本実施形態の容器1は、中間層の発泡樹脂からなる層1aが発泡樹脂含有領域30よりも減少するとともに内周側及び外周側の非発泡樹脂からなる層1bが増加して、非発泡樹脂からなる層1bの比率が高まることにより、発泡樹脂からなる層1aに対する非発泡樹脂からなる層1bの肉厚比を高めて、周囲、すなわち発泡樹脂含有領域30と比較して相対的に気泡率が低下している低発泡領域32が溝61に沿って設けられた構成となっている。
【0041】
低発泡領域32の気泡率rは、発泡樹脂含有領域30の気泡率rが10~40%とした場合、0<r<5%、好ましくは0<r<1%とすることができる。
【0042】
このような第五実施形態にかかる容器1は、気泡を内包する発泡樹脂からなる層1aを含む発泡樹脂含有領域11を備えるとともに、発泡樹脂含有領域11に対して気泡率が低下している低発泡領域13を部分的に備えるパリソン10を形成し、形成されたパリソン10を、容器1の開封予定部に開封補助用の溝61を賦形するための突条部が設けられた一対の分割金型間に、パリソン10の低発泡領域13に対応する部位に溝61が賦形されるように挟み込み、パリソン10内にブローエアーを吹き込んでブロー成形することで、製造することができる。
なお、図13は、本実施形態に係る容器1をブロー成形するのに好適なパリソン10の要部拡大断面図であり、(a)は、パリソン10において、発泡樹脂含有領域11を備える任意の部位の断面を模式的に示しており、(b)は、パリソン10において、低発泡領域13近傍の断面を模式的に示している。
【0043】
このような第五実施形態にかかる容器1を製造するためのパリソン10は、発泡剤を含浸させた発泡性樹脂材料と、発泡剤を含まない非発泡性樹脂材料とをダイヘッド内で合流させて、中間層が発泡樹脂からなる層1a、内層及び外層が非発泡樹脂からなる層1bの三層構造となるようにダイヘッド吐出口から押し出してパリソンを形成するに際し、低発泡領域13となる箇所では、発泡性樹脂材料の吐出量を相対的に減少させるとともに、非発泡性樹脂材料の吐出量を相対的に増加させることで、形成することができる。これは、第一実施形態で説明したパリソン成形装置100を用いて、第一樹脂押出機121a、121b、121cによって、発泡樹脂からなる層1aが中間層として、非発泡樹脂からなる層1bが内層及び外層として押し出されるようにして製造してもよい。または、第一実施形態で説明したパリソン成形装置100の第二ダイヘッド吐出口112が設けられていない構造のパリソン成形装置を用いてもよい。
本実施形態は、上記の点で第二実施形態と異なっているが、他の構成は第二実施形態と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0044】
このようにして容器1の開封部6の溝61に沿って、発泡樹脂含有領域30と比較して相対的に気泡率が低下している非発泡領域31又は低発泡領域32を設けることで、開封部の引き裂き開封性を高めることができる。
【0045】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0046】
例えば、本実施形態では、気泡を内包する発泡樹脂からなる層1aを含む複数層の発泡容器1として、発泡樹脂からなる層1aを中間層とし、中間層の内周側及び外周側に非発泡樹脂からなる層1bが積層された三層構造の発泡樹脂含有領域30を備える容器1を例示したが、複数層の発泡容器1は、このような三層構造に限定されない。発泡樹脂からなる層1aが内層又は外層に積層された二層構造としてもよいし、その他の層構造としてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 容器
1a 発泡樹脂からなる層
1b 非発泡樹脂からなる層
3 首部
30 発泡樹脂含有領域
31 非発泡領域
32 低発泡領域
6 開封部
61 溝
10 パリソン
11 発泡樹脂含有領域
12 非発泡領域
13 低発泡領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13