(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118335
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】電気コネクタ及びコネクタ連結体
(51)【国際特許分類】
H01R 12/75 20110101AFI20240823BHJP
【FI】
H01R12/75
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024699
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【弁理士】
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】小▲柳▼ 昭人
(72)【発明者】
【氏名】谷川 智彦
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB01
5E223AB67
5E223BA01
5E223BA05
5E223BA07
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB29
5E223CB31
5E223CB38
5E223CC09
5E223CD01
5E223CD02
5E223DA32
5E223DB11
5E223DB33
5E223DB36
5E223EA36
5E223EB04
5E223EB13
5E223EB26
5E223EB32
5E223EC07
5E223EC33
5E223GA23
5E223GA26
5E223GA53
(57)【要約】 (修正有)
【課題】より小型化を実現することができる電気コネクタ及び電気コネクタ連結体を提供する。
【解決手段】リセプタクルコネクタは、基板6に実装され、基板6の実装面6aの法線方向にプラグコネクタと嵌合する。複数のシールド板12は、実装面6aに形成された接地電極パターンに接続され、リセプタクル端子11の配列を組毎に仕切る位置とリセプタクル端子11の配列の両端の位置とにおいて、実装面6a内におけるリセプタクル端子11の配列方向に直交するY軸方向に延在するように立設される。導電性のグランド板13は、実装面6aに形成された接地電極パターンに接続され、シールド板12におけるY軸方向の一方の端面に近接してリセプタクル端子11の配列方向に延びるように立設されている。絶縁性のリセプタクルハウジングは、リセプタクル端子11と、シールド板12及びグランド板13とを互いに絶縁した状態で保持する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装され、前記基板の実装面の法線方向に相手コネクタと嵌合する電気コネクタであって、
それぞれが前記実装面に形成された信号電極に接続するとともに、前記相手コネクタの信号伝送部材と接触し、前記実装面に沿って互いに同じ向きで一列に配列され、隣接する一対のものが1組で差動信号を伝送する導電性の複数のコンタクトと、
前記実装面に形成された接地電極に接続され、前記コンタクトの配列を組毎に仕切る位置と前記コンタクトの配列の両端の位置とにおいて、前記実装面内における前記コンタクトの配列方向に直交する直交方向に延在するように立設される導電性の複数のシールド板と、
前記実装面に形成された接地電極に接続され、前記シールド板における前記直交方向の一方の端面に近接して前記コンタクトの配列方向に延びるように立設された導電性のグランド板と、
前記コンタクトと、前記シールド板及び前記グランド板とを互いに絶縁した状態で保持する絶縁性のハウジングと、
を備える電気コネクタ。
【請求項2】
前記実装面に沿った第1面と、
前記第1面に平行で前記第1面よりも前記相手コネクタに近い方に位置する第2面と、
差動信号を伝送する前記コンタクトの組を挟む一対の前記シールド板にそれぞれ沿った一対の第3面と、
前記グランド板における前記コンタクトの組と対向する部分に沿った第4面とで、前記コンタクトの組を包含する仮想的な直方体の6面のうち5面が規定される、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記配列方向に見た前記コンタクトの等倍の投影像を前記配列方向に向かって投影した場合、前記シールド板は、その投影像を包含し、
前記直交方向に見た前記コンタクトの等倍の投影像を前記直交方向に向かって投影した場合、前記グランド板は、その投影像を包含する、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記シールド板又は前記グランド板を密着した状態で保持する、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記シールド板又は前記グランド板を圧入した状態で保持する、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記グランド板には、前記シールド板に最も近い部分に第1切り欠き部が設けられている、
請求項4に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記シールド板には、前記グランド板に最も近い部分に第2切り欠き部が設けられている、
請求項4に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記グランド板には、前記シールド板に最も近い部分に第1切り欠き部が設けられている、
請求項5に記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記シールド板には、前記グランド板に最も近い部分に第2切り欠き部が設けられている、
請求項5に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
前記シールド板における前記直交方向の一方の端面と前記グランド板との隙間に半田が充填される、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項11】
前記グランド板及び前記シールド板の少なくとも一方において、互いに近接する部分の表面に金メッキが施されている、
請求項8に記載の電気コネクタ。
【請求項12】
基板に実装される請求項1から9のいずれか一項に記載の電気コネクタを複数備え、
前記基板の実装面内における前記電気コネクタのコンタクトの配列方向に直交する直交方向に、前記電気コネクタが配列されて互いに連結することにより構成される、
コネクタ連結体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタ及びコネクタ連結体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一対の信号コンタクトの周囲にU字状のグランドコンタクトを電磁シールドとして配置し、信号コンタクトとグランドコンタクトとをインシュレータに挿入した構成を有するコネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたコネクタでは、隣接するグランドコンタクト同士の間隔を、インシュレータ成形時に樹脂が入り込めるように、大きくとる必要がある。
【0005】
本発明は、上記実情の下になされたものであり、より小型化を実現することができる電気コネクタ及びコネクタ連結体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る電気コネクタは、
基板に実装され、前記基板の実装面の法線方向に相手コネクタと嵌合する電気コネクタであって、
それぞれが前記実装面に形成された信号電極に接続するとともに、前記相手コネクタの信号伝送部材と接触し、前記実装面に沿って互いに同じ向きで一列に配列され、隣接する一対のものが1組で差動信号を伝送する導電性の複数のコンタクトと、
前記実装面に形成された接地電極に接続され、前記コンタクトの配列を組毎に仕切る位置と前記コンタクトの配列の両端の位置とにおいて、前記実装面内における前記コンタクトの配列方向に直交する直交方向に延在するように立設される導電性の複数のシールド板と、
前記実装面に形成された接地電極に接続され、前記シールド板における前記直交方向の一方の端面に近接して前記コンタクトの配列方向に延びるように立設された導電性のグランド板と、
前記コンタクトと、前記シールド板及び前記グランド板とを互いに絶縁した状態で保持する絶縁性のハウジングと、
を備える。
【0007】
前記実装面に沿った第1面と、
前記第1面に平行で前記第1面よりも前記相手コネクタに近い方に位置する第2面と、
差動信号を伝送する前記コンタクトの組を挟む一対の前記シールド板にそれぞれ沿った一対の第3面と、
前記グランド板における前記コンタクトの組と対向する部分に沿った第4面とで、前記コンタクトの組を包含する仮想的な直方体の6面のうち5面が規定される、
こととしてもよい。
【0008】
前記配列方向に見た前記コンタクトの等倍の投影像を前記配列方向に向かって投影した場合、前記シールド板は、その投影像を包含し、
前記直交方向に見た前記コンタクトの等倍の投影像を前記直交方向に向かって投影した場合、前記グランド板は、その投影像を包含する、
こととしてもよい。
【0009】
前記ハウジングは、前記シールド板又は前記グランド板を密着した状態で保持する、
こととしてもよい。
【0010】
前記ハウジングは、前記シールド板又は前記グランド板を圧入した状態で保持する、
こととしてもよい。
【0011】
前記グランド板には、前記シールド板に最も近い部分に第1切り欠き部が設けられている、
こととしてもよい。
【0012】
前記シールド板には、前記グランド板に最も近い部分に第2切り欠き部が設けられている、
こととしてもよい。
【0013】
前記シールド板における前記直交方向の一方の端面と前記グランド板との隙間に半田が充填される、
こととしてもよい。
【0014】
前記グランド板及び前記シールド板の少なくとも一方において、互いに近接する部分の表面に金メッキが施されている、
こととしてもよい。
【0015】
本発明の第2の観点に係るコネクタ連結体は、
基板に実装される本発明の第1の観点に係る電気コネクタを複数備え、
前記基板の実装面内における前記電気コネクタのコンタクトの配列方向に直交する直交方向に、前記電気コネクタが配列されて互いに連結することにより構成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、より小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る電気コネクタ対の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1の電気コネクタ対を構成するリセプタクルコネクタが実装される基板の実装面上に形成されたフットパターンを示す図である。
【
図4】リセプタクルコネクタの外観を示す斜視図である。
【
図5】
図4に示すリセプタクルコネクタの分解斜視図である。
【
図6】リセプタクル端子、シールド板及びグランド板を、リセプタクルハウジングを省略して示す斜視図である。
【
図8】(A)は、
図7に示す部分をX軸方向に見た図である。(B)は、
図7に示す部分をY軸方向に見た図である。
【
図9】複数のリセプタクル端子の間での電磁ノイズの経路の一例を示す模式図である。
【
図10】プラグコネクタの外観を示す斜視図である。
【
図11】(A)は、プラグコネクタを構成するプラグハウジングの斜視図である。(B)は、(A)のプラグハウジングをYZ面に平行な面で切断した断面図である。
【
図12】(A)は、プラグコネクタを構成するプラグ端子の斜視図である。(B)は、プラグ端子が取り付けられたプラグハウジングの一部の斜視図である。
【
図13】プラグハウジング及びプラグコンタクトに電気ケーブルが接続された様子を示す斜視図である。
【
図14】(A)は、プラグハウジング、プラグコンタクト及び電気ケーブルの構成に、第1シェルが取り付けられた状態を示す斜視図である。(B)は、第1シェルを透明化しプラグハウジングに取り付けられた状態を示す図である。(C)は、第1シェルの斜視図である。
【
図15】(A)は、第2シェルの斜視図である。(B)は、プラグハウジング、プラグコンタクト、電気ケーブル及び第1シェルの構成に、第2シェルが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図17】リセプタクルコネクタとプラグコネクタとが嵌合した様子を示す斜視図である。
【
図18】リセプタクルハウジングとプラグハウジングとが嵌合する様子を一部拡大して示す斜視図である。
【
図19】(A)は、信号の伝送経路を示す斜視図である。(B)は、1つのリセプタクルコネクタとプラグコネクタを示す図で、第1シェル、およびプラグハウジングを一部省略して示す斜視図である。
【
図20】第1係止部とコネクタ連結体とを分解して示す斜視図である。
【
図22】第1係止部の取り付け場所を示すコネクタ連結体の斜視図である。
【
図24】(A)は、係止前の電子コネクタ対の正面図である。(B)は、係止後の電子コネクタ対の正面図である。
【
図25】電子コネクタ対をYZ面に平行な面で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。各図面においては、同一又は同等の部分に同一の符号を付す。本実施形態では、適宜、図面に表されたXYZの3軸直交座標系にしたがって説明を行う。
【0019】
[電気コネクタ対]
図1に示すように、電気コネクタ対1は、コネクタ連結体2と、コネクタ配列体3と、を備える。コネクタ連結体2は、基板6の実装面6aに並ぶリセプタクルコネクタ4が複数配列され、連結されて構成される。コネクタ配列体3は、プラグコネクタ5が複数配列されて構成される。リセプタクルコネクタ4は基板6に実装され、プラグコネクタ5は、複数の電気ケーブル7に接続されている。
【0020】
リセプタクルコネクタ4とプラグコネクタ5とは基板6の実装面6aの法線方向(Z軸方向)を嵌合方向として一対一で嵌合する。これにより、電気コネクタ対1は、基板6と複数の電気ケーブル7とを接続する。リセプタクルコネクタ4とプラグコネクタ5とが嵌合すると、基板6と電気ケーブル7とが電気的に接続され、基板6上の電気回路及び電子部品と電気ケーブル7との間で信号の伝送が可能となる。電気コネクタ対1は、コネクタ連結体2とコネクタ配列体3とが互いに嵌合して多行多列の接続構造のコネクタであるとすることができる。
【0021】
[基板]
基板6は、例えば電子回路又は電子部品が実装されるプリント配線基板又はフレキシブルプリント基板であり、例えば不図示の電子機器に収容される。コネクタ連結体2を構成するリセプタクルコネクタ4は、半田接続等により、基板6の実装面6aに形成された
図2に示す信号電極パターン6b及び接地電極パターン6cに接続される。
【0022】
図2に示すように、基板6の実装面6a上に形成された信号電極パターン6bは、X軸方向に配列されている。また、信号電極パターン6bの配列は、Y軸方向に4列形成されている。
【0023】
接地電極パターン6cには、2つのパターンがある。1つは、一対の信号電極パターン6bをX軸方向に挟み込む部分と、その部分をX軸方向に連結する部分とを有するパターンである。もう1つは、信号電極パターン6bの配列のX軸方向の両端よりもさらに外方の領域において、Y軸方向に配列された複数のパターンから成るものである。
【0024】
本実施の形態では、基板6の実装面6aは、XY平面に平行であるものとする。したがって、実装面6aの法線方向がZ軸方向となる。本実施の形態では、適宜、XY面に平行な面を「水平面」とし、+Z方向を「上」方向とし、-Z方向を「下」方向として説明を行う。
【0025】
[電気ケーブル]
電気ケーブル7は、例えば、電子機器に収容される基板6と他の基板との間で電気信号を伝送するために用いられる。本実施の形態では、電気ケーブル7は、2芯の扁平型の同軸ケーブルである。電気ケーブル7は、
図3に示すように、一対の内部導体7aと、絶縁体7bと、外部導体7cと、保護被膜7dと、を備える。一対の内部導体7aは、線状に延びる金属線(例えば銅線)で構成される。絶縁体7bは、各内部導体7aの周面を覆う。外部導体7cは、金属編組線からなり、絶縁体7bを介して各内部導体7aの周囲を覆う。保護被膜7dは、外部導体7cの周面を覆う。電気ケーブル7により、2本の内部導体7aと外部導体7cとの間に電位差による信号伝送が可能となる。電気ケーブル7は、X軸方向に配列された状態で、プラグコネクタ5に接続される。
【0026】
なお、上記電気ケーブル7は例示に過ぎない。例えば、内部導体7aは複数の金属線からなる寄り線でも良く、1本の金属線でもよい。また、外部導体7cは、金属編組線でなく、一枚の銅板を巻回したものでもよい。
【0027】
図1に示すように、コネクタ連結体2を構成するリセプタクルコネクタ4とコネクタ配列体3を構成するプラグコネクタ5とは、基板6の実装面6aの法線方向(Z軸方向)に沿って互いに嵌合及び抜去可能に構成される。
【0028】
[コネクタ連結体]
コネクタ連結体2の構成について説明する。まず、コネクタ連結体2を構成する個々のリセプタクルコネクタ4の詳細な構成について説明する。
【0029】
[リセプタクルコネクタ]
図4に示すように、リセプタクルコネクタ4は、全体として、X軸方向に長尺かつ平板状のコネクタである。
【0030】
図5に示すように、リセプタクルコネクタ4は、基板6の実装面6aに対面するリセプタクルハウジング10と、信号伝送用の複数のリセプタクル端子11と、電磁波シールドを構成するシールド板12と、同じく電磁波シールドを構成するグランド板13と、を含んで構成される。
【0031】
[リセプタクルハウジング]
図5に示すように、リセプタクルハウジング10は、リセプタクルコネクタ4の母体を形成する。リセプタクルハウジング10は、矩形状の外形を有し、X軸方向を長手方向としている。リセプタクルハウジング10は、樹脂を含んだ絶縁材料で成形された部材である。
【0032】
リセプタクルハウジング10の+Z方向を向いた上面には、凹部10aが設けられている。凹部10aの開口は、リセプタクルハウジング10の長手方向であるX軸方向に延びている。
【0033】
また、凹部10aには、複数のコンタクト圧入部10bと、複数のシールド板圧入部10cと、グランド板圧入部10dと、が設けられている。コンタクト圧入部10bは、一定の間隔で、X軸方向に配列されている。各コンタクト圧入部10bには、一対のリセプタクル端子11が下から圧入される。シールド板圧入部10cは、各コンタクト圧入部10bのX軸方向における両側に設けられている。シールド板圧入部10cには、シールド板12が上から圧入される。グランド板圧入部10dは、コンタクト圧入部10b及びシールド板圧入部10cから見て-Y方向となる位置において、X軸方向に延びるように形成されている。グランド板圧入部10dには、グランド板13が上方から圧入される。
【0034】
リセプタクルハウジング10は、X軸方向に並列配置された複数のリセプタクル端子11、複数のシールド板12及びグランド板13を保持する。リセプタクルハウジング10は、リセプタクル端子11とシールド板12及びグランド板13との間に介在し、両者を絶縁する。
【0035】
[リセプタクル端子]
複数のリセプタクル端子11は、例えば弾性力を有する金属の板状部材が打ち抜き加工されて形成される導電性の部材である。
図5に示すように、リセプタクル端子11には、固定部11aと、リセ接触部11bと、基板接続部11cと、が設けられている。リセプタクル端子11は、
図5に示すように、板厚方向がX軸方向となり、同じ向きに並べられた状態で、それぞれの固定部11aがコンタクト圧入部10bに対し下方から上方へ挿入される。これにより、リセプタクル端子11がリセプタクルハウジング10に固定保持される。
【0036】
リセプタクル端子11がリセプタクルハウジング10に固定されると、リセ接触部11bは、リセプタクルハウジング10の凹部10a内に張り出した状態となる。また、リセプタクル端子11がリセプタクルハウジング10に固定されると、基板接続部11cは、基板6の実装面6aに沿って配列された状態となる。基板接続部11cは、信号電極パターン6b(
図2参照)上に位置し、これと接続する。このように、リセプタクル端子11は、実装面6aに形成された信号電極パターン6b(
図2参照)に接続するとともに、プラグコネクタ5のプラグ端子21と接触し、実装面6aに沿って同じ向きで一列に配列され、隣接する一対のものが1組で差動信号を伝送する。
【0037】
[シールド板]
複数のシールド板12は、例えば弾性力を有する金属の板状部材が打ち抜き加工されて形成される導電性の部材である。
図5に示すように、シールド板12には、本体部12aと、基板接続部12bと、が設けられている。シールド板12は、
図5に示すように、板厚方向がX軸方向となり、同じ向きに並べられた状態で、基板接続部12bを下にして、シールド板圧入部10cに上方から下方に圧入される。基板接続部12bは、接地電極パターン6c(
図2参照)上に位置し、これと半田付けにより接続する。なお、シールド板12では、基板接続部12bの-Y方向における端部に、シールド板切り欠き部12cが設けられている。
【0038】
[グランド板]
グランド板13は、例えば弾性力を有する金属の板状部材が打ち抜き加工されて形成される導電性の部材である。
図5に示すように、グランド板13には、本体部13aと、基板接続部13bと、が設けられている。グランド板13は、板厚方向がY軸方向となり、X軸方向に延びた状態で、基板接続部13bを下にして、グランド板圧入部10dに上方から下方に圧入される。基板接続部13bは、接地電極パターン6c(
図2参照)上に位置する。なお、グランド板13では、X軸方向に配列される基板接続部13bの間に、グランド板切り欠き部13cが設けられている。
【0039】
[シールド板及びグランド板のまとめ]
まとめると、
図6に示すように、リセプタクル端子11は、それらが同じ方向を向くように、その同じ方向に直交する直交に沿って(X軸方向に沿って)、基板6の実装面6aに一列に並べられている。リセプタクル端子11は、隣接する一対のものが1組で差動信号を伝送する。シールド板12は、実装面6aに形成された接地電極パターン6cに接続され、リセプタクル端子11の配列をその組毎に仕切る位置と、リセプタクル端子11の配列の両端の位置とにおいて、実装面6a内におけるリセプタクル端子11の配列方向に直交する直交方向(Y軸方向)に延在するように立設される。グランド板13は、実装面6aに形成された接地電極パターン6c(
図2参照)に接続され、シールド板12におけるY軸方向の一方の端面(-Y端面)に近接して、リセプタクル端子11の配列方向(X軸方向)に延びるように立設される。
【0040】
言い換えると、リセプタクルコネクタ4では、
図7に示すように、実装面6aに沿った第1リセ面S1と、第1リセ面S1に平行でプラグコネクタ5に対向する第2リセ面S2と、差動信号を伝送するリセプタクル端子11の組を挟む一対のシールド板12にそれぞれ沿った一対の第3リセ面S3と、グランド板13においてリセプタクル端子11の組と対向する部分に沿った第4リセ面S4とで、リセプタクル端子11の組を包含する仮想的な立体(直方体)の6面のうち5面が規定される。
【0041】
また、
図8(A)に示すように、X軸方向に見ると、リセプタクル端子11は、シールド板12により、見えなくなっている。ここで、リセプタクル端子11の等倍の投影像をX軸方向に向かって投影した場合について考える。この場合、シールド板12は、その投影像を包含する位置及び大きさとなっている。また、
図8(B)に示すように、Y軸方向に見たリセプタクル端子11の等倍の投影像をY軸方向に向かって投影した場合、グランド板13は、その投影像を包含する。
【0042】
リセプタクルハウジング10は、シールド板12又はグランド板13を圧入した状態でこれらを保持する。しかしながら、リセプタクルハウジング10は、リセプタクル端子11、シールド板12又はグランド板13をインサートした状態で成形されるようにしてもよい。この場合、リセプタクルハウジング10は、シールド板12又はグランド板13を密着した状態で保持するようになる。
【0043】
図8(A)に示すように、シールド板12には、グランド板13に近接する位置(最も近い部分)にシールド板切り欠き部12cが設けられている。また、
図8(B)に示すように、グランド板13には、シールド板12に近接する位置にグランド板切り欠き部13cが設けられている。このようにすれば、シールド板切り欠き部12cとグランド板切り欠き部13cによって設けられた空間にリセプタクルハウジング10の樹脂部分を配置することができる。よって、シールド板12及びグランド板13をリセプタクルハウジング10に圧入する際には、シールド板12及びグランド板13をリセプタクルハウジング10に圧入し易くすることができる。また、リセプタクルハウジング10を成形する際に、シールド板12及びグランド板13をインサート成形する際には、溶融した樹脂を、シールド板切り欠き部12c及びグランド板切り欠き部13cを通って流れやすくすることができる。なお、シールド板切り欠き部12c及びグランド板切り欠き部13cは、どちらか一方がなくてもよい。
【0044】
また、シールド板切り欠き部12c及びグランド板切り欠き部13cはなくてもよい。この場合、シールド板12における-Y方向の端面とグランド板13との間に隙間があると、その隙間に半田を充填してシールド板12とグランド板13とを接続するのが望ましい。このようにすれば、シールド板12とグランド板13とによる電磁波の遮蔽性能をさらに向上することが可能となる。この場合、シールド板12とグランド板13の少なくとも一方において、互いに近接する部分周辺の表面に、金メッキが施されるようにしてもよい。金メッキは、グランド板13のニッケルメッキが形成された表面の上にさらに形成される。このようにすれば、リフロー工程において、半田が金メッキ上を溶融して流れるので、シールド板12とグランド板13との間の隙間に半田を十分に充填することができる。
【0045】
上述のように、リセプタクルコネクタ4では、リセプタクル端子11の周囲の6面のうち、3面が一対のシールド板12及びグランド板13で囲まれている。囲まれていないのは、基板6の実装面6a(第1リセ面S1)、プラグコネクタ5と接する面(第2リセ面S2)および+Yを向いた面のみである。このうち、+Yを向いた面は、+Y方向となる位置に設置される別のリセプタクルコネクタ4のグランド板13が囲むこととなる。このため、プラグコネクタ5と嵌合した状態では、リセプタクル端子11の周囲のほぼ全体を、プラグコネクタ5の電磁シールドとともに、リセプタクルコネクタ4の電磁シールドで囲むことができるので、電気コネクタ対1の電磁遮蔽性能を向上することができる。
【0046】
一対のリセプタクル端子11の周囲の電磁シールドを一対のシールド板12と1枚のグランド板13の代わりに、U字状に折り曲げて3面を形成した電磁シールド板を用いた場合、電磁シールド板の間の間隔を樹脂が入り込める程度の大きさとする必要がある。また、電磁シールド板が重なる領域が必然的に生じるうえ、その折り曲げ部分のスペースが必要になり、一対のリセプタクル端子11を囲む電磁シールドが占める空間が大きくなる。そこで、リセプタクルコネクタ4のように、一対のリセプタクル端子11の周囲の電磁シールドを一対のシールド板12と1枚のグランド板13とすれば、これよりも一対のリセプタクル端子11を囲む電磁シールドが占める空間を小さくすることができる。さらに、一対のリセプタクル端子11毎に、U字状の電磁シールド板を備える必要がないので、部品点数を少なくするともに、リセプタクルコネクタ4の構造を簡単なものとすることができる。
【0047】
また、シールド板12には、シールド板切り欠き部12cが設けられており、グランド板13には、グランド板切り欠き部13cが設けられている。
図9に示すように、シールド板切り欠き部12c及びグランド板切り欠き部13cは、電磁シールドで囲まれる空間の角部に位置している。これにより、一対のリセプタクル端子11からシールド板切り欠き部12c及びグランド板切り欠き部13cまでの距離を長くすることができる。また、
図9に示すように、リセプタクル端子11から発せられた電磁波が、シールド板切り欠き部12c及びグランド板切り欠き部13cを通過して、他のリセプタクル端子11に入射した場合の経路を折れ曲がった経路とすることができる。このため、電磁シールドの遮蔽性能(近端クロストーク、遠端クロストーク)の低下を極力小さくすることができる。
【0048】
[プラグコネクタ]
次に、リセプタクルコネクタ4と一対一で嵌合するプラグコネクタ5について説明する。
図10~
図16に示すように、プラグコネクタ5は、母体となるプラグハウジング20と、信号の伝送経路となる複数のプラグ端子21と、プラグ端子21と外部との間の電磁シールドとなる複数の第1シェル22と、同じく電磁シールドとなる第2シェル23と、プラグコネクタ5の剛性を強化するカバー部24と、を備える。なお、
図10~
図16でのXYZ座標系は、プラグコネクタ5がリセプタクルコネクタ4と嵌合したときのものとなっている。
【0049】
[プラグハウジング及びプラグ端子]
プラグハウジング20は、例えば樹脂製の絶縁性の部材である。
図11(A)に示すように、プラグハウジング20は、全体としてX軸方向を長手方向とする部材である。プラグハウジング20のX軸方向の両端には、後述のカバー部24と接続するカバー接続部20aが設けられている。また、両カバー接続部20aの間には、複数のプラグ端子21が配列されるプラグ配列部20bが設けられている。プラグハウジング20を構成するプラグ配列部20bは、複数のプラグ端子21(
図12(B)参照)をそれぞれ同じ向きで一方向に配列した状態で保持する。プラグ配列部20bは、一対のプラグ端子21が配置されるプラグ実装部200が、X軸方向に連結された形状を有している。
【0050】
プラグ端子21は、例えば弾性力を有する金属の板状部材が打ち抜き加工されて形成される導電性の部材である。
図12(A)に示すように、プラグ端子21は、プラグハウジング20に固定される固定部21aと、リセプタクルコネクタ4の導電性のリセプタクル端子11と一対一で接触するプラグ接触部21bと、電気ケーブル7の内部導体7aと接続するケーブル接続部21cと、を備える。固定部21aは、上下方向に延びるプラグ端子21の中央に設けられている。プラグ接触部21bは、固定部21aから下方向に延びており、ケーブル接続部21cは、上方向に対してYZ平面に沿ってY方向に60°傾斜した方向に延びている。リセプタクルコネクタ4と嵌合した状態で、プラグ接触部21bは、嵌合方向(Z軸方向)に沿った部分でリセプタクル端子11と接触する。ケーブル接続部21cは、嵌合方向(Z軸方向)から配列方向と嵌合方向とに直交する直交方向(Y軸方向)に向かって傾斜した傾斜方向に沿った部分にて、傾斜方向に延びる電気ケーブル7の内部導体7aと接続する。
【0051】
図12(B)に示すように、固定部21aは、プラグ実装部200に埋め込まれる。プラグ接触部21bは、Z軸方向に延びて、後述するようにリセプタクル端子11のリセ接触部11b(
図5参照)と接触する。ケーブル接続部21cは、YZ平面に沿って+Z方向から+Y方向に向かって傾斜して延び、
図13に示すように、電気ケーブル7の内部導体7aと半田付けにより接続する。
【0052】
図11(B)に示すように、プラグハウジング20を構成するプラグ実装部200は、プラグ固定部201と、嵌合部202と、支持部203と、を備える。プラグ端子21において、プラグ接触部21bとケーブル接続部21cとの間の少なくとも一部、すなわち固定部21aがプラグハウジング20のプラグ固定部201に密着固定される。なお、
図11(B)では、プラグ端子21及び第2シェル23も図示されている。
【0053】
図14(B)に示すように、嵌合部202は、リセプタクルコネクタ4の凹部10aと上下方向に嵌合するとともに嵌合方向(Z軸方向)及びプラグ端子21の配列方向(X軸方向)に延在する第1プラグ面P1でプラグ接触部21bを支持する。支持部203は、嵌合部202に連結され、プラグ端子21のケーブル接続部21cが延びる上述の傾斜方向及び配列方向(X軸方向)に延在する第2プラグ面P2で、ケーブル接続部21cを支持する。
【0054】
[第1シェル]
第1シェル22は、金属の板状部材が打ち抜き加工され、折り曲げられて形成される弾性力のある導電性の部材である。
図13に示すように、プラグコネクタ5では、1本の電気ケーブル7に接続され、互いに隣接する一対のプラグ端子21が一組となって差動信号を伝送する。
図14(A)及び
図14(B)に示すように、第1シェル22は、プラグ固定部201の張り出しにより、プラグ端子21と絶縁された状態で、この一対のプラグ端子21の組毎に設けられている。
図14(B)に示すように、第1シェル22は、プラグ端子21において、プラグ接触部21bを除いた部分を覆っている。
【0055】
図14(B)及び
図14(C)に示すように、第1シェル22は、ケーブル接続部21cが延びる傾斜方向及びプラグ端子21の配列方向に延在し、第2プラグ面P2に平行な第3プラグ面P3で一対のプラグ端子21を覆う対向壁部22aを有する。また、第1シェル22は、一対のプラグ端子21をプラグ端子21の配列方向(X軸方向)に挟んで配置される一対の側壁部22bを有する。
【0056】
[第2シェル]
第2シェル23は、金属の板状部材が打ち抜き加工され、折り曲げられて形成される弾性力のある導電性の部材である。
図15(A)及び
図15(B)に示すように、第2シェル23は、ケーブル接続部21cが延びる傾斜方向及びプラグ端子21の配列方向(X軸方向)に延在し、第2プラグ面P2を基準として第3プラグ面P3の逆側にある第4プラグ面P4(
図14(B)参照)で、すなわちケーブル接続部21cを基準として第1シェル22の反対側から、複数のプラグ端子21を覆う。プラグコネクタ5では、第1シェル22及び第2シェル23により、一対のプラグ端子21を四方から囲む電磁シールドが実現される。なお、第2シェル23のX軸方向の両端には、リセプタクルコネクタ4のシールド板12に接触する延出部23aが-Z方向に延びる様に設けられている。
【0057】
[カバー部]
カバー部24は、金属の板状部材が打ち抜き加工され、折り曲げられて形成される弾性力のある導電性の部材である。
図16に示すように、カバー部24は、プラグハウジング20のX軸方向の両端にそれぞれ設けられたカバー接続部20aに取付けることにより、第1シェル22の上方から複数のプラグ端子21を覆っている。カバー部24により、プラグコネクタ5の力学的な強度を向上することができる。また、カバー部24のX軸方向に2カ所切欠き部24bが設けられる。切欠き部24bを設けることによって、リセプタクルコネクタ4に嵌合したプラグコネクタ5を抜去する際に使用される治具を係止させることができる。
【0058】
以上がプラグコネクタ5の構成である。プラグコネクタ5によれば、ケーブル接続部21cは、上下方向から水平方向に傾斜している。このため、プラグコネクタ5の上下方向のサイズを抑えることができるので、電気コネクタ対1の低背化を実現することができる。
【0059】
[リセプタクルコネクタとプラグコネクタとの嵌合]
図17に示すように、電気コネクタ対1では、リセプタクルコネクタ4とプラグコネクタ5とが嵌合する。
図18に示すように、リセプタクルハウジング10のX軸方向における両端には、嵌合凹部10eが設けられ、プラグハウジング20のX軸方向における両端には嵌合凸部20cが設けられている。そこで、リセプタクルコネクタ4とプラグコネクタ5とが嵌合する際、プラグハウジング20の嵌合凸部20cは、リセプタクルハウジング10の嵌合凹部10eにはめ込まれる。これにより、リセプタクルコネクタ4に対するプラグコネクタ5の嵌合位置を確定することができる。
【0060】
また、リセプタクルコネクタ4とプラグコネクタ5との嵌合により、リセプタクル端子11とプラグ端子21とが一対一で接触する。これにより、
図19(A)に示すように、基板6の信号電極パターン6b、リセプタクル端子11、プラグ端子21、電気ケーブル7の内部導体7aとつながる信号の伝送経路が生成される。また、
図19(B)に示すように、リセプタクル端子11及びプラグ端子21は、シールド板12、グランド板13、第1シェル22及び第2シェル23とで囲まれている。シールド板12、グランド板13、第1シェル22及び第2シェル23は、互いに接続され、さらに、電気ケーブル7の外部導体7c及び接地電極パターン6cと接続されているため、これらが信号の伝送経路の回りの電磁シールドとして作用する。
【0061】
[コネクタ連結体とコネクタ配列体]
図20に示すように、複数のリセプタクルコネクタ4は、その長手方向をX軸方向に揃えた状態で、基板6の実装面6aに沿ったY軸方向に隙間なく配列されて実装される。本実施の形態では、リセプタクルコネクタ4の配列数は4である。しかしながら、これには限定されない。リセプタクルコネクタ4の配列数は幾つであってもよい。
【0062】
[連結部]
複数のリセプタクルコネクタ4は、そのX軸方向の両端で、連結部30により連結される。
図21に示すように、連結部30は、金属の板状部材が打ち抜き加工され、折り曲げられて形成される弾性力のある導電性の部材である。連結部30は、Y軸方向(第1方向
)に延びる本体部30aと、本体部30aから下方に延出する複数の延出部30bと、後述する第1係止部31の回転軸を支える軸支部30cと、を備える。
【0063】
本体部30aのY軸方向(第1方向)の長さは、4つのリセプタクルコネクタ4の配列の長さと同じである。一方、
図22に示すように、リセプタクルハウジング10のX軸方向の両端の下部には、X軸方向に沿って外方に張り出す張り出し部10fが設けられている。張り出し部10fの上面は水平となっており、その上面に本体部30aが載せられている。
【0064】
延出部30bは、1つのリセプタクルコネクタ4につき一対のものが設けられている。一方、リセプタクルハウジング10の張り出し部10fには、延出部30bを受け入れる受け入れ部10gが設けられている(
図17参照)。延出部30bが受け入れ部10gに挿入され、圧入されると、張り出し部10fの上面に本体部30aが乗せられた状態となり、連結部30が、複数のリセプタクルコネクタ4を連結する。延出部30bの下端は、基板6の実装面6a上に形成された接地電極パターン6c(
図2参照)と接続されている。
【0065】
[軸支部]
図21に示されるように、軸支部30cは、連結部30のY軸方向における両端に連結された一対のものが設けられている。軸支部30cは、Y軸方向に見てU字を逆さまにした形状に屈曲している。軸支部30cは、その一対の下端で、基板6の実装面6aの接地電極パターン6c(
図2参照)に半田付けで接続される。軸支部30cは、基板6に接続される基板接続部300を有する。軸支部30cは基板接続部300の直上に形成される。「直上」とは、ある物を基準として、その上方向に対象物があることをいう。
図22に示すように、リセプタクルハウジング10を上方から見たときの4つの角部には、その部分が切りかかれて、張り出し部10fの上面とつながる面を有する軸支部10hが設けられている。
【0066】
連結部30は、上記構成により、Y軸方向に延びて複数のリセプタクルコネクタ4を連結する。
【0067】
[第1係止部]
図23に示すように、コネクタ連結体2は、一対の第1係止部31を備える。第1係止部31は、リセプタクルコネクタ4の配列のX軸方向の両端にそれぞれ設けられている。第1係止部31は、金属の板状部材を打ち抜き加工し、さらに折り曲げられて形成される弾性力のある導電性の部材である。第1係止部31は、一対の回転中心部31aと、当接部31bと、を備える(
図22参照)。また、当接部31bには、切欠き部31cが設けられる。
【0068】
[回転中心部]
回転中心部31aは、第1係止部31のY軸方向の両端(リセプタクルコネクタ4の配列の両端)に設けられている。
図22に示すように、回転中心部31aは、連結部30を構成する軸支部30cのU字部分の中を通過し、リセプタクルハウジング10の軸支部10hの上面に置かれる形で、これらに軸支される。回転中心部31aは、Y軸方向に沿った回転軸を中心に回転する。なお、回転中心部31aは、リセプタクルハウジング10だけに軸支されるようにしてもよいし、連結部30だけに軸支されるようにしてもよい。このように、リセプタクルハウジング10及び連結部30の少なくとも一方に、回転中心部31aを回転可能に支える軸支部が形成されていればよい。
【0069】
[当接部]
当接部31bは、Y軸方向に見て、L字状の部材である。
図24(A)及び
図24(B)に示すように、回転中心部31aを中心に、当接部31bは、その位置を移動させることが可能である。
【0070】
[第2係止部]
一方、プラグコネクタ5には、
図16に示すように、第2係止部24aが設けられている。第2係止部24aは、カバー部24のX軸方向の両端にそれぞれ設けられる。第2係止部24aは、カバー部24の一部であり、カバー部24よりも、外方に張り出して屈曲する弾力性のある部材となっている。
【0071】
[第1係止部と第2係止部との係止]
コネクタ連結体2においては、第1係止部31が開いた状態、すなわち第1係止部31が
図24(A)に示す第1位置に位置した状態で、プラグコネクタ5をリセプタクルコネクタ4に上方から差し込んで両者を嵌合させる。リセプタクルコネクタ4とプラグコネクタ5との嵌合が完了すると、
図24(B)に示すように、第1係止部31は、
図24(B)に示す第2位置に回転移動する。この回転移動の途中で、第1係止部31の当接部31bは、第2係止部24aと当接し、第2係止部24aを変形させる。第2係止部24aは、第1係止部31に当接して弾性変形する。第1係止部31が
図24(B)に示す第2位置まで到達すると、弾性変形していた第2係止部24aの形状は、切欠き部31cに合致することによって、元に戻り、これにより、第1係止部31と第2係止部24aとの係止が実現される。
【0072】
リセプタクルコネクタ4とプラグコネクタ5との嵌合を解除する場合には、第1係止部31を、
図24(B)に示す第2係止部24aと係止される第2位置から、
図24(A)に示す第2係止部24aとの係止が解除される第1位置まで回転移動させるようにすればよい。すなわち、第2係止部24aは、第1係止部31と係止及び係止解除が可能となっている。なお、第1係止部31は、回転でなく、スライドして第2係止部24aと係止及び係止解除可能となっていてもよい。
【0073】
図1に示すように、第1係止部31を構成する当接部31bは、複数のリセプタクルコネクタ4に跨って延びている。これにより、第1係止部31は、複数のリセプタクルコネクタ4をまとめて係止することができる。
【0074】
図25に示すように、各リセプタクルコネクタ4と、プラグコネクタ5とによって形成される信号の伝送経路は同一であり、その経路長は同じである。これにより、リセプタクルコネクタ4を配列させ一対一でプラグコネクタ5を嵌合した場合でも、複数の伝送経路の間でそのインピーダンスを整合させることができる。また、
図25に示すように、リセプタクルコネクタ4を配列させ一対一でプラグコネクタ5を嵌合した場合でも、それぞれの嵌合するプラグコネクタ5から、斜め上方向に電気ケーブル7が引き出すことができるので、電気コネクタ対1の低背化を実現することができる。すなわち、この電気コネクタ対1によれば、リセプタクルコネクタ4を配列させ一対一でプラグコネクタ5を嵌合した場合でも、インピーダンスを整合させ、電気コネクタ対1の低背化を実現することができる。
【0075】
また、
図25に示すように、リセプタクル端子11、プラグ端子21、および電気ケーブル7の内部導体7aとつながる一連の伝送経路が、グランド板13、シールド板12、第1シェル22の各部位、および第2シェルによって包囲されている。これによって、電気コネクタ対1の電磁シールドの遮蔽性能が向上することとなる。
【0076】
なお、本実施の形態では、すべてのリセプタクルコネクタ4にプラグコネクタ5が嵌合した。しかし、これには限られず、少なくとも1つのリセプタクルコネクタ4にプラグコネクタ5が嵌合すればよい。
【0077】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0078】
1 電気コネクタ対、2 コネクタ連結体、3 コネクタ配列体、4 リセプタクルコネクタ(電気コネクタ)、5 プラグコネクタ(相手コネクタ)、6 基板、6a 実装面、6b 信号電極パターン(信号電極)、6c 接地電極パターン(接地電極)、7 電気ケーブル、7a 内部導体、7b 絶縁体、7c 外部導体、7d 保護被膜、10 リセプタクルハウジング、10a 凹部、10b コンタクト圧入部、10c シールド板圧入部、10d グランド板圧入部、10e 嵌合凹部、10f 張り出し部、10g 受け入れ部、10h 軸支部、11 リセプタクル端子(コンタクト)、11a 固定部、11b リセ接触部、11c 基板接続部、12 シールド板、12a 本体部、12b 基板接続部、12c シールド板切り欠き部(第2切り欠き部)、13 グランド板、13a 本体部、13b 基板接続部、13c グランド板切り欠き部(第1切り欠き部)、20 プラグハウジング、20a カバー接続部、20b プラグ配列部、20c 嵌合凸部、21 プラグ端子(信号伝送部材)、21a 固定部、21b プラグ接触部、21c ケーブル接続部、22 第1シェル、22a 対向壁部、22b 側壁部、23 第2シェル、23a 延出部、24 カバー部、24a 第2係止部、24b 切り欠き部、30 連結部、30a 本体部、30b 延出部、30c 軸支部、31 第1係止部、31a 回転中心部、31b 当接部、31c 切り欠き部、200 プラグ実装部、201 プラグ固定部、202 嵌合部、203 支持部、S1 第1リセ面(第1面)、S2 第2リセ面(第2面)、S3 第3リセ面(第3面)、S4 第4リセ面(第4面)、S5 第5リセ面、P1 第1プラグ面、P2 第2プラグ面、P3 第3プラグ面、P4 第4プラグ面