(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118337
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】リチウムイオン二次電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0587 20100101AFI20240823BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240823BHJP
H01M 50/463 20210101ALI20240823BHJP
H01M 50/46 20210101ALI20240823BHJP
【FI】
H01M10/0587
H01M10/052
H01M50/463 B
H01M50/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024702
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高林 裕也
【テーマコード(参考)】
5H021
5H029
【Fターム(参考)】
5H021HH03
5H021HH10
5H029AJ12
5H029AJ14
5H029AM01
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029CJ02
5H029CJ07
5H029CJ22
5H029DJ04
5H029DJ12
5H029HJ03
5H029HJ12
(57)【要約】
【課題】微小短絡を抑制したリチウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】リチウムイオン二次電池10は、正極シート50と、負極シート40と、セパレータ60と、が捲回された捲回体30と、捲回体30が電解液と共に収容される電池ケース70と、を備え、正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ60の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ60Aの幅方向Gの一方側の端部60AEは、捲回体30の最外周に配置された負極シート40に塗工された負極活性物質42の幅方向Gの一方側の端部42Eより、捲回体30の幅方向Gの内側に配置され、捲回体30の最外周に配置された正極シート50に塗工された正極活性物質52の幅方向Gの一方側の端部52Eより、捲回体30の幅方向Gの外側に配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極電極体に正極活性物質が塗工され、幅方向の一方端が未塗工である正極シートと、
負極電極体に負極活性物質が塗工され、前記幅方向の他方端が未塗工である負極シートと、
前記正極シートと前記負極シートとの間に配置されたセパレータと、
が捲回された捲回体と、
前記捲回体が電解液と共に収容される電池ケースと、を備え、
前記正極シートと前記負極シートとの間に挟まれた前記セパレータの内、前記捲回体の最外周に配置された前記セパレータの前記幅方向の一方側の端部は、
前記捲回体の最外周に配置された前記負極シートに塗工された前記負極活性物質の前記幅方向の一方側の端部より、前記捲回体の前記幅方向の内側に配置され、
前記捲回体の最外周に配置された前記正極シートに塗工された前記正極活性物質の前記幅方向の一方側の端部より、前記捲回体の前記幅方向の外側に配置されている
リチウムイオン二次電池。
【請求項2】
前記正極シートと前記負極シートとの間に挟まれた前記セパレータの内、前記捲回体の最外周に配置された前記セパレータの前記幅方向の一方側の前記端部は、前記捲回体の上部のR部に設けられている
請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項3】
前記正極シートと前記負極シートとの間に挟まれた前記セパレータの内、前記捲回体の最外周に配置された前記セパレータの前記幅方向の一方側の前記端部は、他の前記セパレータの前記幅方向の一方側の端部より、前記捲回体の前記幅方向の内側に配置されている
請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項4】
前記セパレータは、前記捲回体の捲回方向の後端部の幅が狭くなっている
請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項5】
前記正極シートと前記負極シートとの間に挟まれた前記セパレータの内、前記捲回体の最外周に配置された前記セパレータは、前記捲回体の上部のR部の幅が狭くなっている
請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項6】
請求項4項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
前記正極シートと、前記負極シートと、前記セパレータと、を捲回した捲回体を乾燥する乾燥工程において、
前記正極シートと前記負極シートとの間に挟まれた前記セパレータの内、前記捲回体の最外周に配置された前記セパレータの前記幅方向の一方側の端部を、
前記捲回体の最外周に配置された前記負極シートに塗工された前記負極活性物質の前記幅方向の一方側の端部より、前記捲回体の前記幅方向の内側に配置するように調整する
リチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項7】
請求項5項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
前記正極シートと、前記負極シートと、前記セパレータと、を捲回する捲回工程において、
前記正極シートと前記負極シートとの間に挟まれた前記セパレータの内、前記捲回体の最外周に配置された前記セパレータの前記幅方向の一方側の端部を、
前記捲回体の最外周に配置された前記負極シートに塗工された前記負極活性物質の前記幅方向の一方側の端部より、前記捲回体の前記幅方向の内側に配置する
リチウムイオン二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池では、正極シートと負極シートとセパレータとが積層された状態で捲回された電極体を備えることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、長尺な正極集電体の両面に正極活性物質層を備える正極シートと、長尺な負極集電体の両面に負極活性物質層を備える負極シートとが、2枚のセパレータを介して互いに積層され、捲回されることで構成されている捲回電極体が開示されている。
【0004】
ところで、リチウムイオン二次電池では、微小短絡を抑制することが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、微小短絡を抑制したリチウムイオン二次電池を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様のリチウムイオン二次電池は、正極電極体に正極活性物質が塗工され、幅方向の一方端が未塗工である正極シートと、負極電極体に負極活性物質が塗工され、前記幅方向の他方端が未塗工である負極シートと、前記正極シートと前記負極シートとの間に配置されたセパレータと、が捲回された捲回体と、前記捲回体が電解液と共に収容される電池ケースと、を備え、前記正極シートと前記負極シートとの間に挟まれた前記セパレータの内、前記捲回体の最外周に配置された前記セパレータの前記幅方向の一方側の端部は、前記捲回体の最外周に配置された前記負極シートに塗工された前記負極活性物質の前記幅方向の一方側の端部より、前記捲回体の前記幅方向の内側に配置され、前記捲回体の最外周に配置された前記正極シートに塗工された前記正極活性物質の前記幅方向の一方側の端部より、前記捲回体の前記幅方向の外側に配置されている。
【0008】
本発明の第2態様のリチウムイオン二次電池では、本発明の第1態様のリチウムイオン二次電池において、前記正極シートと前記負極シートとの間に挟まれた前記セパレータの内、前記捲回体の最外周に配置された前記セパレータの前記幅方向の一方側の前記端部は、前記捲回体の上部のR部に設けられている。
【0009】
本発明の第3態様のリチウムイオン二次電池では、本発明の第1態様又は第2態様のリチウムイオン二次電池において、前記正極シートと前記負極シートとの間に挟まれた前記セパレータの内、前記捲回体の最外周に配置された前記セパレータの前記幅方向の一方側の前記端部は、他の前記セパレータの前記幅方向の一方側の端部より、前記捲回体の前記幅方向の内側に配置されている。
【0010】
本発明の第4態様のリチウムイオン二次電池では、本発明の第1態様から第3態様のいずれか1つのリチウムイオン二次電池において、前記セパレータは、前記捲回体の捲回方向の後端部の幅が狭くなっている。
【0011】
本発明の第5態様のリチウムイオン二次電池では、本発明の第1態様から第4態様のいずれか1つのリチウムイオン二次電池において、前記正極シートと前記負極シートとの間に挟まれた前記セパレータの内、前記捲回体の最外周に配置された前記セパレータは、前記捲回体の上部のR部の幅が狭くなっている。
【0012】
本発明の第6態様のリチウムイオン二次電池の製造方法では、本発明の第4態様に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、前記正極シートと、前記負極シートと、前記セパレータと、を捲回した捲回体を乾燥する乾燥工程において、前記正極シートと前記負極シートとの間に挟まれた前記セパレータの内、前記捲回体の最外周に配置された前記セパレータの前記幅方向の一方側の端部を、前記捲回体の最外周に配置された前記負極シートに塗工された前記負極活性物質の前記幅方向の一方側の端部より、前記捲回体の前記幅方向の内側に配置するように調整する。
【0013】
本発明の第7態様のリチウムイオン二次電池の製造方法では、本発明の第5態様のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、前記正極シートと、前記負極シートと、前記セパレータと、を捲回する捲回工程において、前記正極シートと前記負極シートとの間に挟まれた前記セパレータの内、前記捲回体の最外周に配置された前記セパレータの前記幅方向の一方側の端部を、前記捲回体の最外周に配置された前記負極シートに塗工された前記負極活性物質の前記幅方向の一方側の端部より、前記捲回体の前記幅方向の内側に配置する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1態様のリチウムイオン二次電池では、正極シートと負極シートとの間に挟まれたセパレータの内、捲回体の最外周に配置されたセパレータの幅方向の一方側の端部は、捲回体の最外周に配置された負極シートに塗工された負極活性物質の幅方向の一方側の端部より、捲回体の幅方向の内側に配置されていることで、このセパレータの幅方向の一方側の端部付近に電解液が溜まらないようにされる。そのため、特に高温エージング処理において、リチウムイオンの回り込みを抑制して、微小短絡を抑制することができる。
【0015】
本発明の第2態様のリチウムイオン二次電池では、正極シートと負極シートとの間に挟まれたセパレータの内、捲回体の最外周に配置されたセパレータの幅方向の一方側の端部は、捲回体の上部のR部に設けられていることで、微小短絡が発生しやすい場所において、微小短絡を抑制することができる。
【0016】
本発明の第3態様のリチウムイオン二次電池では、正極シートと負極シートとの間に挟まれたセパレータの内、捲回体の最外周に配置されたセパレータの幅方向の一方側の端部は、他のセパレータの幅方向の一方側の端部より、捲回体の幅方向の内側に配置されていることで、このセパレータの幅方向の一方側の端部付近に電解液が溜まらないようにされる。そのため、特に高温エージング処理において、リチウムイオンの回り込みを抑制して、微小短絡を抑制することができる。
【0017】
本発明の第4態様のリチウムイオン二次電池では、セパレータは、捲回体の捲回方向の後端部の幅が狭くなっていることで、この後端部においてセパレータの幅方向の端部付近に電解液が溜まらないようにされる。そのため、特に高温エージング処理において、リチウムイオンの回り込みを抑制して、微小短絡を抑制することができる。
【0018】
本発明の第5態様のリチウムイオン二次電池では、正極シートと負極シートとの間に挟まれたセパレータの内、捲回体の最外周に配置されたセパレータは、捲回体の上部のR部の幅が狭くなっていることで、捲回体の上部のR部においてセパレータの端部付近に電解液が溜まらないようにされる。そのため、特に高温エージング処理において、リチウムイオンの回り込みを抑制して、微小短絡を抑制することができる。
【0019】
本発明の第6態様のリチウムイオン二次電池では、正極シートと、負極シートと、セパレータと、を捲回した捲回体を乾燥する乾燥工程において、正極シートと負極シートとの間に挟まれたセパレータの内、捲回体の最外周に配置されたセパレータの幅方向の一方側の端部を、捲回体の最外周に配置された負極シートに塗工された負極活性物質の幅方向の一方側の端部より、捲回体の幅方向の内側に配置するように調整することで、セパレータの収縮を考慮して、最外周に配置されたセパレータの幅方向の一方側の端部の位置を調整することができる。そのため、このセパレータの端部を狙いの位置に配置することができる。その結果、微小短絡を抑制したリチウムイオン二次電池を製造することができる。
【0020】
本発明の第7態様のリチウムイオン二次電池では、正極シートと、負極シートと、セパレータと、を捲回する捲回工程において、正極シートと負極シートとの間に挟まれたセパレータの内、捲回体の最外周に配置されたセパレータの幅方向の一方側の端部を、捲回体の最外周に配置された負極シートに塗工された負極活性物質の幅方向の一方側の端部より、捲回体の幅方向の内側に配置することで、セパレータの収縮を考慮せずとも、最外周に配置されたセパレータの幅方向の一方側の端部を狙いの位置に配置することができる。そのため、微小短絡を抑制したリチウムイオン二次電池を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る捲回体を一部断面で示した概略図であり、
図1のA-A断面を示す。
【
図3】第1実施形態に係る捲回体を拡大して示す断面図であり、
図2のS部を模式的に示す。
【
図4】第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池の製造方法を示すフロー図である。
【
図5】比較例に係る捲回体を模式的に示す断面図である。
【
図6】第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池の効果を確認するために実施した微小短絡に関する実験結果を示す図である。
【
図7】第2実施形態に係る捲回体を一部展開して示す斜視図である。
【
図8】別の実施形態に係る捲回体を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1実施形態〕
以下、第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池について、図面を参照して説明する。第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の車載用電源として使用される組電池を構成するリチウムイオン二次電池とする例を説明する。なお、各図において、矢印Dは、リチウムイオン二次電池10の長手方向Dを示し、矢印Eは、リチウムイオン二次電池10の奥行方向Eを示し、矢印Fは、リチウムイオン二次電池10の上下方向Fを示し、矢印Tは、捲回体30の厚さ方向Tを示している。リチウムイオン二次電池10の長手方向Dは、捲回体30の幅方向Gと一致しており、捲回体30の幅方向Gの一方側が正極であり、捲回体の幅方向Gの他方側が負極である。
【0023】
[リチウムイオン二次電池10の構成]
図1に示すように、リチウムイオン二次電池10は、蓋アセンブリ20と、捲回体30と、電池ケース70と、を有している。
【0024】
(電池ケース70)
電池ケース70は、例えば、アルミニウム製であり、上面が開放した、長手方向Dに長い矩形の箱状に形成されている。
【0025】
(蓋アセンブリ20)
蓋アセンブリ20は、蓋部材21と、集電端子としての正極集電端子22と、集電端子としての負極集電端子23と、外部端子としての正極外部端子24と、外部端子としての負極外部端子25と、を備えている。
【0026】
<蓋部材21>
蓋部材21は、例えば、アルミニウム製であり、長手方向Dに延在した矩形の板状に形成されている。蓋部材21には、安全弁21Aと、注入口21Bを塞ぐキャップ26と、が設けられている。
【0027】
安全弁21Aは、電池ケース70の内部圧力の値が所定圧力に到達した場合に開弁し、電池ケース70内部に発生したガスを排出する。
【0028】
注入口21Bは、蓋部材21の板厚方向に貫通した貫通孔として形成されている。注入口21Bは、電池ケース70内に電解液を注入する際に用いられる。注入口21Bには、キャップ26が、例えば、レーザ溶接によって、気密にシールされて取り付けられている。
【0029】
電池ケース70の内側に、捲回体30と、正極集電端子22と、負極集電端子23と、が収容された状態で、蓋部材21が、例えば、レーザ溶接によって、電池ケース70の開口を塞ぐように取り付けられている。
【0030】
<正極集電端子22及び正極外部端子24>
正極集電端子22及び正極外部端子24は、アルミニウムで形成され、電池ケース70の長手方向Dの一端側に配置されている。正極集電端子22は、奥行方向Eを板厚方向とした矩形の板状に形成されている。正極集電端子22は、捲回体30の正極集電部32に、例えば、抵抗溶接によって、接合されている。正極外部端子24は、正極集電端子22に電気的に接続され、蓋部材21の外部に露出している。
【0031】
<負極集電端子23及び負極外部端子25>
負極集電端子23は、例えば、銅で形成され、電池ケース70の長手方向Dの他端側に配置されている。負極集電端子23は、奥行方向Eを板厚方向とした矩形の板状に形成されている。負極集電端子23は、捲回体30の負極集電部33に、例えば、超音波溶接によって、接合されている。負極外部端子25は、負極集電端子23に電気的に接続され、蓋部材21の外部に露出している。
【0032】
(捲回体30)
図1に示すように、捲回体30は、発電体31と、正極集電部32と、負極集電部33と、を有する。
【0033】
図2に示すように、捲回体30は、負極シート40と、正極シート50と、2枚のセパレータ60と、が積層された状態で、捲回されて断面が扁平状に形成されている。
【0034】
発電体31は、正極シート50のうち正極活性物質が塗工された領域と、負極シート40のうち負極活性物質が塗工された領域と、セパレータ60と、が積層されて形成されている。発電体31は、リチウムイオン二次電池10の電気エネルギーを蓄積する機能を有する。
【0035】
正極集電部32は、活物質が塗工されておらず、正極シート50が捲回されて形成されている。負極集電部33は、活物質が塗工されておらず、負極シート40が捲回されて形成されている。
【0036】
<負極シート40>
図3に示すように、負極シート40は、長尺帯状の負極電極体41の両面に負極活性物質42が塗工されている。負極活性物質42は、外周側に配置される外周側負極活性物質42Aと、内周側に配置される内周側負極活性物質42Bと、を有している。
【0037】
負極シート40は、幅方向Gの他方端に、負極活性物質42が塗工されておらず、負極電極体41が露出している。
【0038】
<正極シート50>
正極シート50は、長尺帯状の正極電極体51の両面に正極活性物質52が塗工されている。正極活性物質52は、外周側に配置される外周側正極活性物質52Aと、内周側に配置される内周側正極活性物質52Bと、を有している。
【0039】
正極シート50は、幅方向Gの一方端に、正極活性物質52が塗工されておらず、正極電極体51が露出している。
【0040】
<セパレータ60>
セパレータ60は、絶縁性のある材料で形成されている。セパレータ60は、正極シート50と負極シート40との間に配置され、正極シート50と負極シート40とを絶縁する。
【0041】
正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ60の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ60Aの幅方向Gの一方側の端部60AEは、捲回体30の最外周に配置された負極シート40に塗工された負極活性物質42の幅方向Gの一方側の端部42Eより、捲回体30の幅方向Gの内側に配置されている。
【0042】
正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ60の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ60Aの幅方向Gの一方側の端部60AEは、捲回体30の最外周に配置された正極シート50に塗工された正極活性物質52の幅方向Gの一方側の端部52Eより、捲回体30の幅方向Gの外側に配置されている。セパレータ60は、捲回体30の捲回方向の後端部の幅が狭くなっている。
【0043】
正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ60の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ60Aの幅方向Gの一方側の端部60AEは、捲回体30の上部のR部30A(
図2参照)に設けられている。R部30Aは、捲回された捲回体30に形成された縦断面円弧状の部分であり、最も曲率の大きい曲部である。
【0044】
正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ60の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ60Aの幅方向Gの一方側の端部60AEは、他のセパレータ60の幅方向Gの一方側の端部60Eより、捲回体30の幅方向Gの内側に配置されている。
【0045】
[リチウムイオン二次電池10の動作]
上記のように構成されたリチウムイオン二次電池10では、捲回体30の出力が正極外部端子24及び負極外部端子25から取り出され、電気自動車やハイブリッド自動車等の動力源として使用される。
【0046】
[リチウムイオン二次電池10の製造方法]
リチウムイオン二次電池10は、捲回工程と、プレス工程と、端子溶接工程と、セル乾燥工程と、注液・封止工程と、活性化工程と、評価工程と、を経て製造される。
【0047】
(捲回工程)
捲回工程では、負極シート40と、正極シート50と、2枚のセパレータ60と、が積層された状態で、略円筒状に捲回して、捲回体30を形成する(ステップS1)。捲回体30は、リチウムイオンの受入性の観点から、負極シート40が、正極シート50より最外周側に捲回されてもよい。
【0048】
(プレス工程)
プレス工程では、略円筒状に形成された捲回体30をプレスして、扁平形状に形成する(ステップS2)。
【0049】
(端子溶接工程)
端子溶接工程では、捲回体30の正極集電部32に、正極集電端子22を、例えば、抵抗溶接によって、接合し、捲回体30の負極集電部33に、負極集電端子23を、例えば、超音波溶接によって、接合する(ステップS3)。そして、蓋アセンブリ20を電池ケース70に挿入して、蓋部材21を、例えば、レーザ溶接によって、電池ケース70の開口を塞ぐように取り付ける。
【0050】
(セル乾燥工程)
セル乾燥工程では、リチウムイオン二次電池10を真空乾燥して、捲回体30に含まれている水分を除去する(ステップS4)。第1実施形態では、セル乾燥工程において、正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ60の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ60の幅方向Gの一方側の端部60AEを、捲回体30最外周に配置された負極シート40に塗工された負極活性物質42の幅方向Gの一方側の端部42Eより、捲回体30の幅方向Gの内側に配置するように調整する。
【0051】
(注液・封止工程)
注液・封止工程では、蓋部材21に形成された注入口21Bから、電解液を注液し、注入口21Bにキャップ26を、例えば、レーザ溶接によって取り付けて封止する(ステップS5)。
【0052】
(活性化工程)
活性化工程では、リチウムイオン二次電池10に対して、初充電を行い、次いで、高温下で一定時間保存し、金属異物の溶解やSEI(Solid Electrolyte Interphase)被膜の安定化をする高温エージング処理を行う(ステップS6)。
【0053】
(評価工程)
評価工程では、セル電圧や、電池抵抗などの検査を行い(ステップS7)、所定の性能を発揮するリチウムイオン二次電池10を選定する。
【0054】
[高温エージング処理における微小短絡について]
最外周の正極シート50の外周側に、最外周の負極シート40が存在する場合、最外周の負極シート40の外周側は、電池ケース70の収容空間に対して、直接的に開放されており、電池ケース70内の酸素と接触している。高温エージング処理は、一般的に高SOC(State Of Charge)状態で行っており、正極活性物質52と対向した負極活性物質42にLiイオンが多く存在している。
【0055】
図5に示すように、正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ560の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ560Aの幅方向Gの一方側の端部560AEが、捲回体30の最外周に配置された負極シート40に塗工された負極活性物質42の幅方向Gの一方側の端部42Eより、捲回体30の幅方向Gの外側に配置されている場合、セパレータ560Aに電解液Wが溜まりやすい。
【0056】
そうすると、負極シート40では、正極活性物質52と対向しない部分に、電解液Wが形成されることになる。そのため、負極シート40では、正極活性物質52と対向する負極活性物質42の存在する部分と、正極活性物質52と対向しない電解液WとのLiイオン濃度の差を駆動力にして、Liイオンは、負極活性物質42から電解液Wへと移動する。電解液Wに移動したLiイオンは、外周側の外周側負極活性物質42Aに回り込み、酸素と反応して、被膜が形成されLiイオンが消費される。
【0057】
このため、正極活性物質52と対向する負極活性物質42の存在する部分から、正極活性物質52と対向しない電解液WへのLiイオンの移動が促進される。
【0058】
結果として、Liイオンの移動に伴い、正極活性物質52と対向する負極活性物質42の電位が上昇し、局所並列電池平準化によって、正極活性物質52の電位も上昇する。
【0059】
そして、局所的な正極過充電によって、正極活性物質52の結晶構造が崩壊し、正極活性物質52の金属成分が電解液に溶解し、正極活性物質52に対向する負極活性物質42の表面に局所的に析出していき、最終的に正極シート50にまで到達することにより、微小短絡が発生する
【0060】
[効果確認実験]
第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池10の微小短絡の抑制効果を確認するための実験を実施した。
【0061】
実験では、セル乾燥工程において、リチウムイオン二次電池10の乾燥前後でのセパレータ60の収縮量を考慮して、正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ60の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ60Aの幅方向Gの一方側の端部60AEの、捲回体30の最外周に配置された負極シート40に塗工された負極活性物質42の幅方向Gの一方側の端部42Eに対する位置関係を変え、微小短絡の不良率を確認した。
【0062】
セル乾燥工程では、セパレータ60の収縮量を制御する因子として、温度・時間・セパレータ60の加熱収縮率とした。
【0063】
図6に示すように、実験では、第1実施形態の実施例として、セル乾燥工程における乾燥後のセパレータ60Aの端部60AEを、負極活性物質42の端部42Eに対して、-0.29[mm]とした実施例1と、-0.17[mm]とした実施例2と、-0.12[mm]とした実施例3と、-0.08[mm]とした実施例4と、-0.01[mm]とした実施例5と、を用意した。また、比較例として、セル乾燥工程における乾燥後のセパレータ560Aの端部560AEを、負極活性物質42の端部42Eに対して、0.01[mm]とした比較例1と、0.11[mm]とした比較例2と、を用意した。
【0064】
実施例1~実施例5では、微小短絡の不良率が1%未満であった。一方、比較例1では、微小短絡の不良率が1~5%未満であった。また、比較例2では、微小短絡の不良率が5%以上であった。このことから、第1実施形態のリチウムイオン二次電池10は、微小短絡を抑制する効果があることが確認された。
【0065】
[作用]
ところで、
図5に示すように、正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ560の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ560Aの幅方向Gの一方側の端部560AEが、捲回体30の最外周に配置された負極シート40に塗工された負極活性物質42の幅方向Gの一方側の端部42Eより、捲回体30の幅方向Gの外側に配置されている場合、セパレータ560の幅方向Gの一方側の端部付近に電解液Wが溜まりやすい。そうすると、特に高温エージング処理において、リチウムイオンLiの回り込みにより、微小短絡が発生する可能性がある。
【0066】
第1実施形態のリチウムイオン二次電池10は、正極電極体51に正極活性物質52が塗工され、幅方向Gの一方端が未塗工である正極シート50と、負極電極体41に負極活性物質42が塗工され、幅方向Gの他方端が未塗工である負極シート40と、正極シート50と負極シート40との間に配置されたセパレータ60と、が捲回された捲回体30と、捲回体30が電解液と共に収容される電池ケース70と、を備えている。正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ60の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ60Aの幅方向Gの一方側の端部60AEは、捲回体30の最外周に配置された負極シート40に塗工された負極活性物質42の幅方向Gの一方側の端部42Eより、捲回体30の幅方向Gの内側に配置され、捲回体30の最外周に配置された正極シート50に塗工された正極活性物質52の幅方向Gの一方側の端部52Eより、捲回体30の幅方向Gの外側に配置されている(
図3参照)。
【0067】
正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ60の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ60Aの幅方向Gの一方側の端部60AEは、捲回体30の最外周に配置された負極シート40に塗工された負極活性物質42の幅方向Gの一方側の端部42Eより、捲回体30の幅方向Gの内側に配置されていることで、このセパレータ60Aの幅方向Gの一方側の端部付近に電解液Wが溜まらないようにされる。そのため、特に高温エージング処理において、リチウムイオンLiの回り込みを抑制して、微小短絡を抑制することができる。
【0068】
また、正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ60の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ60Aの幅方向Gの一方側の端部60AEは、捲回体30の最外周に配置された正極シート50に塗工された正極活性物質52の幅方向Gの一方側の端部52Eより、捲回体30の幅方向Gの外側に配置されていることで、捲回体30の最外周に配置された正極シート50の正極活性物質52は、セパレータ60に覆われることになる。そのため、捲回体30の最外周に配置された正極シート50と、捲回体30の最外周に配置された負極シート40との間の絶縁性が確保される。
【0069】
ところで、最外周の正極シート50の正極電極体51の外周側であって、幅方向Gの一方側に正極活性物質52が形成されない領域を設けた場合、充放電に寄与しない部分が形成されることになる。そのため、リチウムイオン二次電池の軽量化、高密度化、及び部材コストの観点で不利となる。
【0070】
第1実施形態では、正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ60の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ60Aの幅方向Gの一方側の端部60AEは、捲回体30の最外周に配置された負極シート40に塗工された負極活性物質42の幅方向Gの一方側の端部42Eより、捲回体30の幅方向Gの内側に配置されていることで、充放電に寄与しない部分が形成されない。そのため、リチウムイオン二次電池10の軽量化、高密度化、及び部材コストの削減を図ることができる。
【0071】
ところで、微小短絡は、捲回体30の上部のR部30Aにおいて、発生しやすい傾向がある。
【0072】
第1実施形態のリチウムイオン二次電池10では、正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ60の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ60Aの幅方向Gの一方側の端部60AEは、捲回体30の上部のR部30Aに設けられている(
図2参照)。
【0073】
第1実施形態では、正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ60の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ60Aの幅方向Gの一方側の端部60AEは、捲回体30の上部のR部30Aに設けられていることで、微小短絡が発生しやすい場所において、微小短絡を抑制することができる。
【0074】
第1実施形態のリチウムイオン二次電池10では、正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ60の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ60Aの幅方向Gの一方側の端部60AEは、他のセパレータ60の幅方向Gの一方側の端部60AEより、捲回体30の幅方向Gの内側に配置されている(
図3参照)。
【0075】
正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ60の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ60Aの幅方向Gの一方側の端部60AEは、他のセパレータ60の幅方向Gの一方側の端部60Eより、捲回体30の幅方向Gの内側に配置されていることで、このセパレータ60Aの幅方向Gの一方側の端部付近に電解液Wが溜まらないようにされる。そのため、特に高温エージング処理において、リチウムイオンLiの回り込みを抑制して、微小短絡を抑制することができる。
【0076】
第1実施形態のリチウムイオン二次電池10では、セパレータ60は、捲回体30の捲回方向の後端部の幅が狭くなっている(
図3参照)。
【0077】
セパレータ60は、捲回体30の捲回方向の後端部の幅が狭くなっていることで、この後端部においてセパレータ60の幅方向Gの端部付近に電解液Wが溜まらないようにされる。そのため、特に高温エージング処理において、リチウムイオンLiの回り込みを抑制して、微小短絡を抑制することができる。
【0078】
ところで、最外周の正極シート50の正極電極体51の外周側であって、幅方向Gの一方側に正極活性物質52が形成されない領域を設けた場合、正極シート50には、幅方向Gの一方側において、正極活性物質52が塗工されない領域と、正極活性物質52が塗工された領域とを形成する必要があり、生産性が悪化する問題がある。また、正極活性物質52が塗工されない領域を、捲回終わりの位置に配置するよう捲回する必要があり、捲回条件の調整が困難となる問題がある。
【0079】
第1実施形態のリチウムイオン二次電池10の製造方法では、正極シート50と、負極シート40と、セパレータ60と、を捲回した捲回体30を乾燥する乾燥工程において、正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ60の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ60Aの幅方向Gの一方側の端部60AEを、捲回体30の最外周に配置された負極シート40に塗工された負極活性物質42の幅方向Gの一方側の端部42Eより、捲回体30の幅方向Gの内側に配置するように調整する(
図4参照)。
【0080】
正極シート50と、負極シート40と、セパレータ60と、を捲回した捲回体30を乾燥する乾燥工程において、正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ60の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ60Aの幅方向Gの一方側の端部60AEを、捲回体30の最外周に配置された負極シート40に塗工された負極活性物質42の幅方向Gの一方側の端部42Eより、捲回体30の幅方向Gの内側に配置するように調整することで、セパレータ60の収縮を考慮して、最外周に配置されたセパレータ60Aの幅方向Gの一方側の端部60AEの位置を調整することができる。そのため、このセパレータ60Aの端部60AEを狙いの位置に容易に配置することができる。その結果、微小短絡を抑制したリチウムイオン二次電池10を容易に製造することができる。また、正極シート50は、幅方向Gの一方側において、正極活性物質52が塗工されない領域と、正極活性物質52が塗工された領域とを形成する必要がなく、生産性を向上させることができる。
【0081】
〔第2実施形態〕
第2実施形態のリチウムイオン二次電池は、セパレータの構成が異なる点で、第1実施形態のリチウムイオン二次電池と相違する。なお、第1実施形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同様の用語又は同様の符号を用いて説明する。
【0082】
図7に示すように、正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ160の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ160は、捲回方向の後端の一部において、幅方向Gの一方側に、幅方向Gの外側に向けて矩形に切り欠かれた切欠き部160Aが形成されている。切欠き部160Aは、捲回体30の上部のR部30Aに捲回される部分Uに形成される。
【0083】
言い換えると、正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ160の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ160は、捲回体30の上部のR部30Aの幅方向Gの幅が狭くなっている。
【0084】
第2実施形態では、
図4に示す捲回工程において、正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ160の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ160の幅方向Gの一方側の端部160Eを、捲回体30の最外周に配置された負極シート40に塗工された負極活性物質42の幅方向Gの一方側の端部42Eより、捲回体30の幅方向Gの内側に配置する。
【0085】
[作用]
第2実施形態のリチウムイオン二次電池10では、正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ60の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ60Aは、捲回体30の上部のR部30Aの幅が狭くなっている(
図7参照)。
【0086】
正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ60の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ60Aは、捲回体30の上部のR部30Aの幅が狭くなっていることで、捲回体30の上部のR部30Aにおいて、このセパレータ60Aの端部付近に電解液Wが溜まらないようにされる。そのため、特に高温エージング処理において、リチウムイオンLiの回り込みを抑制して、微小短絡を抑制することができる。
【0087】
第2実施形態のリチウムイオン二次電池10の製造方法では、正極シート50と、負極シート40と、セパレータ60と、を捲回する捲回工程において、正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ60の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ60の幅方向Gの一方側の端部60AEを、捲回体30の最外周に配置された負極シート40に塗工された負極活性物質42の幅方向Gの一方側の端部42Eより、捲回体30の幅方向Gの内側に配置する(
図4参照)。
【0088】
正極シート50と、負極シート40と、セパレータ60と、を捲回する捲回工程において、正極シート50と負極シート40との間に挟まれたセパレータ60の内、捲回体30の最外周に配置されたセパレータ60Aの幅方向Gの一方側の端部60AEを、捲回体30の最外周に配置された負極シート40に塗工された負極活性物質42の幅方向Gの一方側の端部42Eより、捲回体30の幅方向Gの内側に配置することで、セパレータ60の収縮を考慮せずとも、最外周に配置されたセパレータ60Aの幅方向Gの一方側の端部60AEを狙いの位置に配置することができる。そのため、微小短絡を抑制したリチウムイオン二次電池10を製造することができる。
【0089】
なお、他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0090】
以上、本発明のリチウムイオン二次電池を、第1実施形態及び第2実施形態に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、これらの実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更などは許容される。
【0091】
図8に示すように、捲回体30の最外周に配置された正極シート50の未塗工部分に、絶縁層180を設けてもよい。言い換えると、捲回体30の最外周に配置された正極シート50に塗工された正極活性物質52の幅方向Gの一方側の端部52Eの外側であって、正極電極体51の外周側に、絶縁層180を設けてもよい。これにより、捲回体30の外部からの金属異物5の侵入により、短絡耐性が低下することを抑制することができる。なお、絶縁層180は、捲回体30の最外周に配置された正極シート50の未塗工部分に設ける態様に限定されず、正極シート50の未塗工部分に全体的に設けてもよい。
【0092】
第1実施形態及び第2実施形態では、捲回体30は、断面が扁平状に形成されている例を示した。しかし、捲回体は、この態様に限定されず、断面が円形状に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0093】
10 リチウムイオン二次電池
30 捲回体
40 負極シート
41 負極電極体
42 負極活性物質
42E 端部
50 正極シート
51 正極電極体
52 正極活性物質
52E 端部
60 セパレータ
60A セパレータ
60AE 端部
70 電池ケース
G 幅方向