(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118338
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/9035 20190101AFI20240823BHJP
G06F 16/908 20190101ALI20240823BHJP
【FI】
G06F16/9035
G06F16/908
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024703
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 知紘
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175DA10
5B175FB03
5B175FB04
5B175HA01
5B175HA02
(57)【要約】
【課題】利用者に提案する将来の行動をより適切に決定することができる情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムを提供すること。
【解決手段】本願に係る情報処理装置は、第1推定部と、第2推定部と、決定部とを備える。第1推定部は、利用者の情報である利用者情報に基づいて、利用者の感情の変遷を推定する。第2推定部は、第1推定部によって推定された感情の変遷に基づいて、利用者の将来の感情を推定する。決定部は、第2推定部によって推定された将来の感情に基づいて、利用者に提案する行動を決定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の情報である利用者情報に基づいて、前記利用者の感情の変遷を推定する第1推定部と、
前記第1推定部によって推定された前記感情の変遷に基づいて、前記利用者の将来の感情を推定する第2推定部と、
前記第2推定部によって推定された前記将来の感情に基づいて、前記利用者に提案する行動を決定する決定部と、を備える
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1推定部は、
人の情報から前記人の感情を推定するように学習された第1学習モデルを用いて前記利用者の感情の変遷を推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1推定部は、
前記第1学習モデルを用いて前記利用者の感情を期間毎に推定する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1推定部は、
前記人の属性毎の前記第1学習モデルのうち前記利用者の属性に対応する前記第1学習モデルを用いて前記利用者の感情の変遷を推定する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2推定部は、
人の感情の変遷から前記人の将来の感情を推定するように学習された第2学習モデルを用いて前記利用者の将来の感情を推定する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2推定部は、
複数の前記第2学習モデルのうち前記利用者と感情の遷移の特徴が類似する利用者の情報を用いて作成された第2学習モデルを用いて前記利用者の将来の感情を推定する
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記決定部によって決定された前記行動に関する情報を提供する提供部を備える
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記利用者情報は、
前記利用者によるコンテンツの閲覧履歴の情報、前記利用者の属性の情報、前記利用者の位置履歴の情報、および前記利用者による取引対象の購入履歴の情報のうちの1以上を含む
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記利用者情報は、
前記利用者の生体情報を検出するセンサによって検出された情報を含む
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
利用者の情報である利用者情報に基づいて、前記利用者の感情の変遷を推定する第1推定工程と、
前記第1推定工程によって推定された前記感情の変遷に基づいて、前記利用者の将来の感情を推定する第2推定工程と、
前記第2推定工程によって推定された前記将来の感情に基づいて、前記利用者に提案する行動を決定する決定工程と、を含む
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
利用者の情報である利用者情報に基づいて、前記利用者の感情の変遷を推定する第1推定手順と、
前記第1推定手順によって推定された前記感情の変遷に基づいて、前記利用者の将来の感情を推定する第2推定手順と、
前記第2推定手順によって推定された前記将来の感情に基づいて、前記利用者に提案する行動を決定する決定手順と、をコンピュータに実行させる
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者の感情の状態から利用者に提案する行動を決定し、決定した行動の内容を含む情報を提案する技術が知られている。例えば、特許文献1には、利用者の気分を特定し、利用者の気分を示す気分情報を学習モデルに入力することにより学習モデルから出力される推奨行動をレコメンドする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術では、利用者の現在の気分から利用者に推奨行動をレコメンドする。しかしながら、利用者が推奨行動を行う際において利用者の気分が変わっている場合、レコメンドした推奨行動が推奨すべきでない行動になっている可能性があるといった課題がある。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、利用者に提案する将来の行動をより適切に決定することができる情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る情報処理装置は、第1推定部と、第2推定部と、決定部とを備える。第1推定部は、利用者の情報である利用者情報に基づいて、利用者の感情の変遷を推定する。第2推定部は、第1推定部によって推定された感情の変遷に基づいて、利用者の将来の感情を推定する。決定部は、第2推定部によって推定された将来の感情に基づいて、利用者に提案する行動を決定する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、利用者に提案する将来の行動をより適切に決定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る利用者情報記憶部に記憶される利用者情報テーブルの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る提案行動情報記憶部に記憶される提案行動情報テーブルの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る情報処理装置の処理部による情報処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムが限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
〔1.情報処理の一例〕
まず、
図1を用いて、実施形態に係る情報処理の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図であり、情報処理装置1によって実行される。
【0011】
図1に示す情報処理装置1は、複数の利用者Uの中から行動提案対象となる利用者Uを対象利用者として決定し、決定した対象利用者の利用者情報を内部の記憶部または外部の情報処理装置から取得する(ステップS1)。複数の利用者Uの各々は、オンラインサービスの利用者であるが、複数の利用者Uの一部または全部は、実店舗や実施設などの利用者であってもよい。
【0012】
対象利用者の利用者情報は、対象利用者によるコンテンツの閲覧履歴の情報、対象利用者によるコンテンツの検索履歴の情報、対象利用者の属性の情報、対象利用者の位置履歴の情報、対象利用者による取引対象の購入履歴の情報、および対象利用者の生体情報のうちの1以上を含む。対象利用者の生体情報は、例えば、対象利用者の生体情報を検出するセンサによって検出された情報であり、対象利用者の心拍、脈拍、血圧、瞳孔反応、脳波、および血中酸素濃度などのうちの1つ以上の情報であるが、かかる例に限定されない。
【0013】
つづいて、情報処理装置1は、ステップS1において取得した対象利用者の利用者情報に基づいて、対象利用者の感情の変遷を推定する(ステップS2)。感情は、例えば、情動および気分のうちの少なくとも1つを含む。
【0014】
情動は、例えば、怒り、恐れ、喜び、悲しみなどのように、比較的急速にひき起こされた一時的で急激な感情の動きである。気分は、比較的弱く且つある期間持続する感情の状態であり、例えば、期待、爽快、憂鬱などである。なお、感情は、情動および気分のうちの少なくとも1つに加えて、情操などを含んでいてもよい。
【0015】
ステップS2において、情報処理装置1は、例えば、人の情報を含む人情報から人の感情を推定するように学習された第1学習モデルを用いて対象利用者の感情の変遷を推定する。
【0016】
人情報は、対象利用者の利用者情報と同様の種別の情報を含む。例えば、人情報は、人によるコンテンツの閲覧履歴の情報、人によるコンテンツの検索履歴の情報、人の属性の情報、人の位置履歴の情報、人による取引対象の購入履歴の情報、および人の生体情報のうちの1以上を含む。
【0017】
情報処理装置1は、ある単位期間における人の感情の情報と、その単位期間におけるその人の情報とを単位期間毎に複数含むデータセットを用いて、機械学習によって第1学習モデルを作成する。上述した単位期間は、例えば、10分の期間、1時間の期間、1日の期間などといった期間であり、任意に設定される。
【0018】
第1学習モデルの作成に用いられる人の情報は、対象利用者以外の利用者Uである他の利用者の情報であるが、他の利用者の情報に代えてまたは加えて、対象利用者の情報や利用者U以外の人の情報を含んでいてもよい。
【0019】
感情の情報は、例えば、感情の種別を示す情報である。感情の種別は、例えば、感情が情動であれば、怒り、恐れ、喜び、悲しみなどであり、感情が気分であれば、期待、爽快、憂鬱などであるが、かかる例に限定されず、上述した各種別を複数段階に区分けしたものであってもよい。また、感情の種別は、情動の種別および気分の種別の組み合わせであってもよい。
【0020】
情報処理装置1は、例えば、予め定められた期間TAをn個に分割した連続するn個の単位期間の各々について、第1学習モデルを用いて対象利用者の感情の変遷を推定する。nは、2以上の期間である。予め定められた期間TAは、例えば、現時点に最も近い直近の単位期間を含む過去の連続するn個の単位期間を含む期間であるが、かかる例に限定されない。また、n個の単位期間は、期間TAにおいて離散的に連続する期間であってもよい。
【0021】
情報処理装置1は、例えば、利用者Uのすべてに共通に第1学習モデルを作成したり、利用者Uの属性毎の第1学習モデルを作成したりする。属性毎とは、1以上の属性項目で示される情報毎を意味し、例えば、性別毎(例えば、男性、女性)、性別と年代との組み合わせ(10代男性、10代女性、20代男性、20代女性、・・・)毎などであるが、かかる例に限定されない。
【0022】
情報処理装置1は、利用者Uのすべてに共通に第1学習モデル(以下において、共通第1学習モデルと記載する場合がある)または利用者Uの属性毎の第1学習モデル(以下において、属性別第1学習モデルと記載する場合がある)を用いて対象利用者の感情の変遷を推定する。
【0023】
情報処理装置1は、過去の期間毎の対象利用者の利用者情報を、共通第1学習モデルまたは属性別第1学習モデルに入力し、かかる共通第1学習モデルまたは属性別第1学習モデルから出力される感情の情報から、対象利用者の感情の変遷を推定する。
【0024】
情報処理装置1は、属性別第1学習モデルを用いる場合、複数の属性別第1学習モデルのうち対象利用者の属性に対応する属性別第1学習モデルを選択し、選択した属性別第1学習モデルを用いて対象利用者の感情の変遷を推定する。
【0025】
例えば、属性別第1学習モデルが性別と年代との組み合わせ毎の第1学習モデルであり、対象利用者の年齢と性別が20代女性とする。この場合、情報処理装置1は、20代女性の属性別第1学習モデルを用いて対象利用者の感情の変遷を推定する。
【0026】
また、上述した第1学習モデルは、複数の種別の中から1つの種別を推定するモデルであるが、感情の種別毎の第1学習モデルであってもよい。この場合、情報処理装置1は、例えば、感情の種別毎の第1学習モデルから出力されるスコアのうち最も高いスコアまたは閾値以上のスコアを出力する第1学習モデルに対応する種別の感情を利用者Uの感情として推定することができる。
【0027】
第1学習モデルは、例えば、GBDT(Gradient Boosting Decision Tree)、ランダムフォレスト、回帰モデル、ニューラルネットワークなどであるが、かかる例に限定されない。例えば、第1学習モデルは、単純マルコフ過程などであってもよい。
【0028】
つづいて、情報処理装置1は、ステップS2において推定した感情の変遷に基づいて、対象利用者の将来の感情を推定する(ステップS3)。ステップS3において、情報処理装置1は、例えば、対象利用者の感情の変遷から対象利用者の将来の感情を推定する第2学習モデルを用いて対象利用者の感情の変遷から対象利用者の将来の感情を推定する。
【0029】
第2学習モデルは、例えば、人の感情の変遷からその人の将来の感情を推定するように学習された学習モデルである。例えば、第2学習モデルは、対象利用者の感情の変遷から対象利用者の将来の感情を推定するように学習された学習モデル、または対象利用者以外の利用者Uである他の利用者Uの感情の変遷から他の利用者Uの将来の感情を推定するように学習された学習モデルである。また、第2学習モデルは、対象利用者を含む利用者Uの感情の変遷から利用者Uの将来の感情を推定するように学習された学習モデルであってもよい。
【0030】
情報処理装置1は、ある期間における人の感情の変遷の情報と、その後の将来の期間における人の感情の情報とを複数含むデータセットを用いて、機械学習によって第2学習モデルを作成する。データセットに含まれる人の情報(例えば、ある期間における感情の変遷の情報やその後の将来の期間における感情の情報など)は、例えば、対象利用者の情報、対象利用者以外の他の利用者U、および利用者U以外の人のうちの1以上の情報を含む。
【0031】
第2学習モデルは、例えば、マルコフ過程(マルコフモデル)またはリカンレントニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)などである。マルコフ過程は、状態遷移が確率的に生じるシステムの確率モデルであり、例えば、N階マルコフ過程などである。Nは、例えば、2以上の整数であり、例えば、上述したnと同じ値である。
【0032】
ここで、第2学習モデルがN階マルコフ過程であるとする。この場合、第2学習モデルは、利用者Uにおける連続するN個の期間の感情の状態から、次の期間に起こる感情の条件付き確率を感情の種別毎に算出する。情報処理装置1は、第2学習モデルによって算出された条件付き確率が予め規定される閾値以上の感情または条件付き確率が最も高い感情を利用者Uの将来の感情として推定する。
【0033】
また、第2学習モデルは、単純マルコフ過程であってもよく、単純マルコフ過程である第2学習モデルは、利用者Uにおける連続するN個の期間の感情の状態から、次の連続するN個の期間の感情の状態の条件付き確率をN個の感情の状態の種別毎に算出する。
【0034】
この場合、情報処理装置1は、第2学習モデルによって算出された条件付き確率が予め規定される閾値以上の種別の連続するN個の期間の感情の組み合わせまたは条件付き確率が最も高い連続するN個の期間の感情の組み合わせを利用者Uの次の連続するN個の期間の感情として推定する。そして、情報処理装置1は、利用者Uの次の連続すると推定されるN個の期間の感情の中から特定の期間の感情を対象利用者の将来の感情として推定することができる。
【0035】
また、第2学習モデルがリカンレントニューラルネットワークである場合、第2学習モデルは、連続するN個の期間の感情の情報が順次入力されると、その後の1つまたは複数の期間の感情の情報を順次出力するモデルである。
【0036】
リカンレントニューラルネットワークである第2学習モデルから出力される感情の状態の情報は、例えば、感情の種別毎のスコア(以下、感情種別スコアと記載する場合がある)であり、情報処理装置1は、第2学習モデルによって算出された感情種別スコアが予め規定される閾値以上の感情または感情種別スコアが最も高い感情を利用者Uの将来の感情として推定する。
【0037】
第2学習モデルは、利用者Uの属性毎のモデルであってもよく、利用者U毎のモデルであってもよく、所定期間(例えば、予め定められた期間TA)における感情の変遷の特徴が類似する利用者Uの情報に基づいて作成されたモデルであってもよい。感情の変遷の特徴は、例えば、変遷の傾向やパターンなどであり、感情の変遷の特徴が類似するとは、例えば、変遷の傾向やパターンの一部または全部が類似することを示す。
【0038】
情報処理装置1は、属性が共通する複数の利用者Uの感情変遷情報を用いて、利用者Uの属性毎の第2学習モデルを生成したり、利用者U毎の感情変遷情報を用いて、利用者U毎の第2学習モデルを生成したりすることができる。感情変遷情報は、利用者Uにおける連続する複数の期間の各々感情の情報と、その後の将来の期間における感情の情報とを含む。
【0039】
また、情報処理装置1は、所定期間において感情の変遷の特徴が類似する利用者Uの感情変遷情報を用いて、所定期間において感情の変遷の特徴が類似する利用者U毎の第2学習モデルを生成することができる。情報処理装置1は、例えば、所定期間において感情が異なる単位期間(例えば、所定期間をn分割して得られる各期間)の数が閾値以下である場合に、所定期間において感情の変遷の特徴が類似すると判定する。
【0040】
また、情報処理装置1は、所定期間における各期間の類似度スコアの合計値が閾値以上である場合に、所定期間において感情の変遷の特徴が類似すると判定することもできる。類似度スコアは、例えば、感情が一致する場合に最も高く、遷移する確率が低い場合に最も低くなる。
【0041】
情報処理装置1は、例えば、所定期間における感情の変遷の特徴が対象利用者と類似する利用者Uの情報に基づいて作成された第2のモデルを用いて、ステップS2において推定した感情の変遷から対象利用者の将来の感情を推定することができる。
【0042】
つづいて、情報処理装置1は、ステップS3において推定した対象利用者の将来の感情に基づいて、対象利用者に対して提案する行動を決定する(ステップS4)。情報処理装置1は、例えば、感情と利用者Uの属性との組み合わせ毎に提案する行動(以下、提案行動と記載する場合がある)の情報が対応付けられた提案行動情報テーブルを有しており、かかる提案行動情報テーブルを用いて、対象利用者に対して提案する行動を決定する。
【0043】
提案行動情報テーブルに情報が含まれる提案行動は、例えば、外食、旅行、ゲーム、映画鑑賞、音楽鑑賞、パズル、ウォーキング、ランニング、山登り、ストレッチ、筋肉トレーニング、各種の予約などであるが、かかる例に限定されない。例えば、各種の予約は、飲食店の予約、映画の予約、トレーニングジムの予約、美容院の予約などである。
【0044】
提案行動情報テーブルにおいて、属性「40代男性会社員」と感情「憂鬱」との組み合わせに対して提案行動「ウォーキング」が対応付けられているとする。この場合、情報処理装置1は、対象利用者が40代男性会社員であり、且つステップS3で推定した対象利用者の将来の感情が「憂鬱」であれば、対象利用者に対して提案する行動として「ウォーキング」を決定する。
【0045】
つづいて、情報処理装置1は、ステップS4において決定した提案行動に関する情報を利用者Uの端末装置に送信することによって、提案行動に関する情報を含む提案行動情報を利用者Uに提供する(ステップS5)。提案行動に関する情報は、提案行動を示す情報を含み、さらに、提案行動に付随する情報を含んでいてもよい。
【0046】
提案行動を示す情報は、例えば、外食、旅行、映画鑑賞、観劇、音楽コンサート鑑賞、ゲーム、パズル、ウォーキング、山登り、ストレッチ、筋肉トレーニングなどといった提案行動の名称を示す情報を含む。情報処理装置1は、例えば、複数の提案行動を示す情報を利用者Uに提供することもできる。
【0047】
提案行動を示す情報は、例えば、提案行動が外食であれば、お薦めの飲食店の種別(例えば、ファミリーレストラン、イタリアンレストラン、焼き肉店、寿司屋、居酒屋など)や名称を示す情報、お薦めの飲食店の場所を示す情報などを含む。
【0048】
情報処理装置1は、例えば、利用者Uの近くにあるお薦めの飲食店がキャンセル可能である場合、お薦めの飲食店の予約を行い、かかる予約の結果を示す情報を提案行動に付随する情報として利用者Uに提供することができる。
【0049】
また、情報処理装置1は、例えば、利用者Uの近くにあるお薦めの飲食店がキャンセル可能ではない場合、お薦めの飲食店を予約するためのサイトを示す情報またはお薦めの飲食店の連絡先を示す情報などを提案行動に付随する情報として利用者Uに提供することができる。
【0050】
また、情報処理装置1は、お薦めの飲食店が料理の宅配を行っている場合、お薦めの飲食店に対して宅配の注文を、お薦めの飲食店のサイトなどに対して行うこともできる。この場合、注文の対象は、例えば、お薦めの料理またはランチなどであるが、かかる例に限定されない。
【0051】
また、提案行動を示す情報は、例えば、提案行動が旅行であれば、お薦めの旅行先を示す情報、お薦めの旅行プランを示す情報などを含む。お薦めの旅行プランを示す情報は、例えば、旅行で用いる移動手段(例えば、電車、車、徒歩など)を示す情報、移動手段における座席種別(例えば、移動手段が電車であれば普通、指定、グリーンの別など)を示す情報、宿泊先を示す情報、宿泊先の部屋のグレードを示す情報などを含む。
【0052】
情報処理装置1は、利用者Uの過去の旅行履歴(移動履歴や宿泊履歴などを含む)の情報、移動手段や宿泊先などの空き情報、移動手段や宿泊先などの予約開始時期やキャンセル可能時期を示す情報などを外部の情報処理装置などから取得し、取得した情報などに基づいて、旅行で用いる移動手段、移動手段における座席種別、宿泊施設、宿泊する部屋のグレードなどを決定することができる。
【0053】
旅行履歴の情報には、利用者Uが用いる移動手段、座席の種別、宿泊施設のグレード、部屋のグレードなどの情報が含まれており、情報処理装置1は、旅行履歴の情報に基づいて、移動手段のお薦め候補、座席種別のお薦め候補、宿泊施設のお薦め候補、部屋のグレードのお薦め候補などを決定することができる。
【0054】
そして、情報処理装置1は、移動手段や宿泊先などの空き情報、移動手段や宿泊先などの予約開始時期やキャンセル可能時期を示す情報などに基づいて、移動手段のお薦め候補、座席種別のお薦め候補、宿泊施設のお薦め候補、部屋のグレードのお薦め候補などの中から、お薦めの旅行プランにおける移動手段、座席種別、宿泊施設、部屋のグレードなどを決定する。
【0055】
情報処理装置1は、例えば、移動手段や宿泊施設が無償でのキャンセルが可能な時期において、移動手段や宿泊施設などの予約サイトにアクセスし、決定した移動手段を決定した座席種別で予約したり、決定した宿泊施設を決定した部屋のグレードで予約したりすることもできる。この場合、情報処理装置1は、お薦めの旅行プランを示す情報に代えてまたは加えて、予約済みの旅行プランを示す情報を含む提案行動を示す情報を利用者Uに提供する。
【0056】
また、提案行動を示す情報は、例えば、提案行動が映画鑑賞であれば、お薦めの映画の種別を示す情報、お薦めの映画館の位置またはお薦めの動画サイトのアドレスを示す情報などを含む。この場合、情報処理装置1は、映画館の予約サイトなどにアクセスしてお薦めの映画館の座席を予約し、予約した座席の情報を含む情報を提案行動に付随する情報として利用者Uに提供する。また、情報処理装置1は、動画サイトなどにアクセスしてお薦めの映画を動画サイトで自動的に購入し、購入した映画の情報を含む情報を提案行動に付随する情報として利用者Uに提供することもできる。
【0057】
なお、情報処理装置1は、提案行動に関する情報に代えてまたは加えて、利用者Uが希望する行動を入力または選択するための情報であるメニュー情報(例えば、複数の行動の中から利用者Uが希望する行動を選択するためのメニューの情報)などを利用者Uの端末装置2に送信することもできる。この場合、端末装置2は、メニュー情報を表示し、利用者Uは端末装置2を操作することで利用者Uが希望する行動を入力または選択することができる。
【0058】
端末装置2は、利用者Uの操作によって利用者Uが希望する行動の入力または選択があった場合、利用者Uが希望する行動を示す情報である希望行動情報を情報処理装置1に送信する。情報処理装置1は、端末装置2からの希望行動情報を受け付けると、希望行動情報で示される行動を利用者Uが実行できるように各種の処理を行う。
【0059】
例えば、情報処理装置1は、希望行動情報で示される行動が演劇である場合、利用者Uにお薦めの演劇を決定し、かかる演劇のサイトにアクセスし、利用者Uのために、かかる演劇の予約をしたりチケットを購入したりすることができる。
【0060】
また、情報処理装置1は、希望行動情報で示される行動が映画鑑賞である場合、利用者Uにお薦めの映画を決定し、決定したお薦めの映画を上映する映画館の予約サイトなどにアクセスし、かかる映画館の座席を利用者Uのために予約したり購入したりすることもできる。
【0061】
このように、情報処理装置1は、利用者Uの情報を含む利用者情報に基づいて、利用者Uの感情の変遷を推定し、推定した利用者Uの感情の変遷に基づいて、利用者Uの将来の感情を推定する。そして、情報処理装置1は、推定した利用者Uの将来の感情に基づいて、利用者Uに提案する行動を決定する。これにより、情報処理装置1は、利用者Uに提案する将来の行動をより適切に決定することができる。
【0062】
以下、このような処理を行う情報処理装置1および端末装置2を含む情報処理システムの構成などについて、詳細に説明する。
【0063】
〔2.情報処理システムの構成〕
図2は、実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図2に示すように、実施形態に係る情報処理システム100は、情報処理装置1と、複数の端末装置2とを含む。
【0064】
複数の端末装置2は、互いに異なる利用者Uによって用いられる。端末装置2は、例えば、スマートフォン、タブレットPC、ウェアラブルデバイスである。ウェアラブルデバイスは、例えば、スマートグラス、またはスマートウォッチなどであるが、かかる例に限定されない。
【0065】
情報処理装置1と複数の端末装置2とは、ネットワークNを介して、有線または無線により互いに通信可能に接続される。なお、
図2に示す情報処理システム100には、情報処理装置1が複数含まれてもよい。
【0066】
ネットワークNは、例えば、インターネットなどのWAN(Wide Area Network)およびLTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation:第5世代移動通信システム)などの移動体通信網などを含む。
【0067】
端末装置2は、移動体通信網や、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)などの近距離無線通信を介してネットワークNに接続し、情報処理装置1と通信することができる。
【0068】
〔3.情報処理装置1の構成〕
図3は、実施形態に係る情報処理装置1の構成の一例を示す図である。
図3に示すように、情報処理装置1は、通信部10と、記憶部11と、処理部12とを有する。
【0069】
〔3.1.通信部10〕
通信部10は、例えば、NIC(Network Interface Card)などによって実現される。そして、通信部10は、ネットワークNと有線または無線で接続され、他の各種装置との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部10は、端末装置2などとの間でネットワークNを介して情報の送受信を行う。
【0070】
〔3.2.記憶部11〕
記憶部11は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。記憶部11は、利用者情報記憶部20と、提案行動情報記憶部21とを有する。
【0071】
〔3.2.1.利用者情報記憶部20〕
利用者情報記憶部20は、利用者Uに関する各種の情報を記憶する。
図4は、実施形態に係る利用者情報記憶部20に記憶される利用者情報テーブルの一例を示す図である。
【0072】
図4に示す例では、利用者情報記憶部20に記憶される利用者情報テーブルは、「利用者ID(Identifier)」、「属性情報」、および「履歴情報」といった項目の情報を含む。
【0073】
「利用者ID」は、利用者Uを識別する識別子であり、利用者U毎に付される情報である。「属性情報」は、「利用者ID」に対応付けられた利用者Uの属性を示す属性情報である。利用者Uの属性は、例えば、デモグラフィック属性、サイコグラフィック属性などである。デモグラフィック属性は、人口統計学的属性であり、例えば、年齢、性別、職業、居住地、年収、家族構成などの複数の属性項目を含む。
【0074】
サイコグラフィック属性は、心理学的属性であり、例えば、ライフスタイル、価値観、興味関心などに関する複数の属性項目を含む。例えば、サイコグラフィック属性における複数の属性項目の各々は、車、服、旅行、ゲーム、キャンプ、バイク、電車、家電、またはパソコンなどといった利用者Uの興味関心を有する対象である。
【0075】
「履歴情報」は、「利用者ID」に対応付けられた利用者Uの購入履歴情報、検索履歴情報、閲覧履歴情報、感情履歴情報、移動履歴情報、および生体情報履歴情報などを含む。
【0076】
購入履歴情報、検索履歴情報、閲覧履歴情報、移動履歴情報、および生体情報履歴情報は、学習部31によって作成される各学習モデルの特徴量となる情報であり、学習部31によって作成される各学習モデルを作成するためのデータとして用いられる。また、感情履歴情報は、学習部31によって作成される各学習モデルを作成するためのデータセットのラベルとして用いられる。
【0077】
購入履歴情報には、オンライン、実店舗、または実施設などにおいて利用者Uが購入した取引対象の情報が含まれる。取引対象は、商品、サービスなどである。例えば、購入履歴情報には、利用者Uが購入した取引対象の名称、カテゴリ、購入数などの情報が単位時間毎に含まれる。購入数は、例えば、取引対象の名称毎の利用者Uによる購入数、取引対象のカテゴリ毎の利用者Uによる購入数などである。
【0078】
検索履歴情報には、例えば、検索サイトでのコンテンツ(例えば、ウェブコンテンツ)の検索履歴の情報、各種のサイト(例えば、ウェブサイト)でのコンテンツの検索履歴の情報などが含まれる。
【0079】
例えば、検索履歴情報には、利用者Uが検索したコンテンツの名称、カテゴリ、検索数、利用者Uが検索に用いた検索クエリに含まれる検索キーワードおよびその数などの情報が単位時間毎に含まれる。検索数は、例えばコンテンツの名称毎の利用者Uによる検索数、コンテンツのカテゴリ毎の利用者Uによる検索数などである。
【0080】
閲覧履歴情報は、利用者Uのコンテンツ(例えば、ウェブコンテンツ)の閲覧履歴の情報である。例えば、閲覧履歴情報には、利用者Uが閲覧したコンテンツの名称、カテゴリ、閲覧数などの情報が単位時間毎に含まれる。閲覧数は、例えば、コンテンツの名称毎の利用者Uによる閲覧数、コンテンツのカテゴリ毎の利用者Uによる閲覧数などである。
【0081】
移動履歴情報は、利用者Uの移動履歴の情報である。移動履歴情報は、単位時間における利用者Uの移動態様(例えば、移動、滞在など)、移動範囲、移動距離などを示す情報が単位時間毎に含まれる。また、移動履歴情報は、利用者Uの移動態様が滞在である場合、単位時間において利用者Uが滞在した場所(例えば、自宅、職場、飲食店など)の種別を示す情報なども単位時間毎に含まれる。
【0082】
生体情報履歴情報は、利用者Uの生体情報の履歴の情報である。生体情報は、例えば、利用者Uの生体情報を検出するセンサによって検出された情報であり、利用者Uの心拍、脈拍、血圧、瞳孔反応、脳波、および血中酸素濃度などのうちの1つ以上の情報であるが、かかる例に限定されない。生体情報に含まれる利用者Uの心拍、脈拍、血圧、および血中酸素濃度などは、単位時間当たりの平均値である。
【0083】
感情履歴情報は、利用者Uの感情情報の履歴の情報である。感情情報には、利用者Uの感情の情報が単位時間毎に含まれる。感情の情報は、例えば、感情の種別を示す情報である。
【0084】
感情の種別は、例えば、感情が情動であれば、怒り、恐れ、喜び、悲しみなどであり、感情が気分であれば、期待、爽快、憂鬱などであるが、かかる例に限定されず、上述した各種別を複数段階に区分けしたものであってもよい。また、感情の種別は、情動の種別および気分の種別の組み合わせであってもよい。
【0085】
なお、上述した例では、「履歴情報」は、単位時間毎の情報であるが、かかる例に限定されない。例えば、処理部12によって単位時間毎の情報として処理される元データであってもよい。この場合、購入履歴情報には、利用者Uが購入した取引対象の名称、カテゴリ、購入数、購入日時などを示す情報などが、利用者Uが購入した取引対象毎に含まれていてもよい。
【0086】
また、検索履歴情報には、利用者Uが検索したコンテンツの名称、カテゴリ、検索日時などを示す情報、利用者が検索に用いた検索クエリに含まれる検索キーワードおよび検索日時などを示す情報などが、利用者Uの検索毎に含まれていてもよい。
【0087】
また、閲覧履歴情報には、利用者Uが閲覧したコンテンツの名称、カテゴリ、閲覧日時などの情報が、利用者Uの閲覧毎に含まれてもよい。また、移動履歴情報には、例えば、利用者Uの位置とその位置に利用者Uがいるときの日時の情報が含まれていてもよい。生体情報履歴情報には、例えば、利用者の心拍、脈拍、血圧、瞳孔反応、脳波、および血中酸素濃度などのうちの1つ以上、およびその検出日時などの情報が含まれてもよい。
【0088】
〔3.2.2.提案行動情報記憶部21〕
提案行動情報記憶部21は、利用者Uに提案する行動に関する情報である提案行動情報を記憶する。
【0089】
図5は、実施形態に係る提案行動情報記憶部21に記憶される提案行動情報テーブルの一例を示す図である。
図5に示す例では、提案行動情報記憶部21に記憶される提案行動テーブルは、「提案行動ID」、「感情情報」、および「提案行動情報」といった項目の情報を含む。
【0090】
「提案行動ID」は、提案行動を識別する識別子であり、提案行動毎に付される情報である。「感情情報」は、「提案行動ID」に対応付けられた提案行動に関連付けられた感情の情報である。感情の情報は、例えば、感情の種別を示す情報である。
【0091】
感情の種別は、例えば、感情が情動であれば、怒り、恐れ、喜び、悲しみなどであり、感情が気分であれば、期待、爽快、憂鬱などであるが、かかる例に限定されず、上述した各種別を複数段階に区分けしたものであってもよい。また、感情の種別は、情動の種別および気分の種別の組み合わせであってもよい。
【0092】
「提案行動情報」は、「提案行動ID」に対応付けられた提案行動を示す情報である。提案行動を示す情報は、例えば、外食、旅行、映画鑑賞、観劇、音楽コンサート鑑賞、ゲーム、パズル、ウォーキング、山登り、ストレッチ、筋肉トレーニングなどといった提案行動の名称を示す情報を含む。
【0093】
また、提案行動を示す情報は、例えば、提案行動が外食であれば、お薦めの飲食店の種別(例えば、ファミリーレストラン、イタリアンレストラン、焼き肉店、寿司屋、居酒屋など)や名称を示す情報、お薦めの飲食店の場所を示す情報などを含む。
【0094】
なお、提案行動情報テーブルは、「提案行動ID」に代えて、感情毎に付される「感情ID」が設けられてもよい。この場合、「感情情報」は、「感情ID」に対応付けられた感情の情報であり、「提案行動情報」は、「感情ID」に対応付けられた感情に関連付けられた提案行動を示す情報である。
【0095】
〔3.3.処理部12〕
処理部12は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサによって、情報処理装置1内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAMなどを作業領域として実行されることにより実現される。
【0096】
また、処理部12は、コントローラ(controller)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPGPU(General Purpose Graphic Processing Unit)などの集積回路により実現されてもよい。
【0097】
図3に示すように、処理部12は、取得部30と、学習部31と、第1推定部32と、第2推定部33と、決定部34と、提供部35とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、処理部12の内部構成は、
図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0098】
〔3.3.1.取得部30〕
取得部30は、種々の情報を取得する。例えば、取得部30は、外部の情報処理装置や端末装置2などから通信部10を介して種々の情報を取得し、取得した種々の情報を記憶部11に記憶させる。
【0099】
また、取得部30は、外部の情報処理装置や端末装置2などから通信部10を介して利用者Uの上述した属性情報や履歴情報などの一部または全部を取得し、取得した利用者Uの属性情報や履歴情報などの一部または全部を利用者情報記憶部20に記憶させる。
【0100】
また、取得部30は、外部の情報処理装置などから通信部10を介して提案行動関連情報の一部または全部を取得し、取得した提案行動関連情報の一部または全部を提案行動情報記憶部21に記憶させる。
【0101】
また、取得部30は、記憶部11から各種の情報を取得する。例えば、取得部30は、利用者Uの情報である利用者情報を利用者情報記憶部20などから取得する。取得部30によって取得される利用者情報は、例えば、上述した属性情報および履歴情報のうちの少なくとも1つ以上の情報の一部または全部を含む。
【0102】
また、取得部30は、利用者Uに提案する行動に関する情報である提案行動関連情報を提案行動情報記憶部21などから取得する。取得部30によって取得される提案行動関連情報は、例えば、上述した感情情報および提案行動情報のうちの少なくとも1つ以上の情報の一部または全部を含む。
【0103】
〔3.3.2.学習部31〕
学習部31は、例えば、利用者Uの情報を含む利用者情報から利用者Uの感情を推定するように学習した第1学習モデルを作成する。
【0104】
学習部31は、ある単位期間における利用者Uの感情の情報と、その単位期間におけるその利用者Uに関する情報とを単位期間毎に複数含むデータセットを用いて、機械学習によって第1学習モデルを作成する。
【0105】
利用者Uに関する情報は、利用者Uによるコンテンツの閲覧履歴の情報、利用者Uによるコンテンツの検索履歴の情報、利用者Uの属性の情報、利用者Uの位置履歴の情報、利用者Uによる取引対象の購入履歴の情報、および利用者Uの生体情報のうちの1以上を含む。
【0106】
利用者Uに関する情報や利用者Uの感情の情報は、利用者情報記憶部20に記憶された利用者情報に含まれる情報であり、利用者情報記憶部20から取得部30によって取得される情報である。学習部31は、取得部30によって取得された利用者情報に基づいて、上述したデータセットを作成する。
【0107】
第1学習モデルの作成に用いられる利用者Uの情報は、感情の推定対象となる利用者Uである対象利用者以外の利用者Uである他の利用者の情報であるが、他の利用者の情報に代えてまたは加えて、利用者Uの情報や利用者U以外の人の情報を含んでいてもよい。
【0108】
なお、学習部31は、利用者情報記憶部20に記憶された利用者情報に含まれる履歴情報が上述した生データである場合、生データを単位時間当たりの情報に加工し、加工した単位時間当たりの情報を用いて上述したデータセットを作成する。
【0109】
第1学習モデルは、例えば、GBDT、ランダムフォレスト、回帰モデル、ニューラルネットワークなどであるが、かかる例に限定されない。例えば、第1学習モデルは、単純マルコフ過程などであってもよい。
【0110】
学習部31は、例えば、利用者Uのすべてに共通に第1学習モデルである共通第1学習モデルを作成したり、利用者Uの属性毎の第1学習モデルである属性別第1学習モデルを作成したりする。属性毎とは、1以上の属性項目で示される情報毎を意味し、例えば、性別毎(例えば、男性、女性)、性別と年代との組み合わせ(10代男性、10代女性、20代男性、20代女性、・・・)毎などであるが、かかる例に限定されない。
【0111】
また、学習部31は、例えば、利用者Uの感情の変遷から利用者Uの将来の感情を推定するように学習された第2学習モデルを作成する。
【0112】
例えば、学習部31は、第1期間における利用者Uの感情の変遷の情報と、その後の第2期間におけるその利用者Uの感情の情報などを複数含むデータセットを用いて、機械学習によって第2学習モデルを作成する。
【0113】
第1期間は、連続する複数の単位期間の始まりから終わりまでの期間であり、利用者Uの感情の変遷の情報は、連続する複数の単位期間における利用者Uの感情の情報を含む。なお、連続する複数の単位期間は、離散的に連続する単位期間であってもよい。
【0114】
各単位期間における利用者Uの感情の情報は、利用者情報記憶部20に記憶された利用者情報に含まれる感情情報であり、から取得部30によって取得される情報である。学習部31は、取得部30によって取得された感情情報に基づいて、上述したデータセットを作成する。
【0115】
第2学習モデルの作成に用いられる利用者Uの感情情報は、将来の感情の推定対象となる利用者Uである対象利用者の感情情報、対象利用者以外の利用者Uである他の利用者の感情情報、またはすべての利用者Uの感情情報であるが、利用者U以外の人の感情情報を含んでいてもよい。
【0116】
第2学習モデルは、例えば、マルコフ過程またはリカンレントニューラルネットワークなどである。マルコフ過程は、状態遷移が確率的に生じるシステムの確率モデルであり、例えば、N階マルコフ過程などである。Nは、例えば、2以上の整数であり、例えば、上述したnと同じ値である。また、第2学習モデルは、単純マルコフ過程であってもよい。
【0117】
第2学習モデルがN階マルコフ過程である場合、第2学習モデルは、例えば、利用者Uにおける連続するN個の期間の感情の状態から、次の期間に起こる感情の条件付き確率を感情の種別毎に算出するモデルである。
【0118】
また、第2学習モデルが単純マルコフ過程である場合、第2学習モデルは、例えば、利用者Uにおける連続するN個の期間の感情の状態から、次の連続するN個の期間の感情の状態の条件付き確率をN個の感情の状態の種別毎に算出するモデルである。
【0119】
また、第2学習モデルがリカンレントニューラルネットワークである場合、第2学習モデルは、例えば、連続するN個の期間の感情の情報が順次入力されると、その後の1つまたは複数の期間の感情の情報を順次出力するモデルである。
【0120】
第2学習モデルは、利用者Uの属性毎のモデルであってもよく、利用者U毎のモデルであってもよく、所定期間(例えば、予め定められた期間TA)における感情の変遷の特徴が類似する利用者Uの情報に基づいて作成されたモデルであってもよい。
【0121】
学習部31は、属性が共通する複数の利用者Uの感情変遷情報を用いて、利用者Uの属性毎の第2学習モデルを生成したり、利用者U毎の感情変遷情報を用いて、利用者U毎の第2学習モデルを生成したりすることができる。感情変遷情報は、利用者Uにおける連続する複数の期間の各々感情の情報と、その後の将来の期間における感情の情報とを含む。
【0122】
また、学習部31は、所定期間において感情の変遷の特徴が類似する利用者Uの感情変遷情報を用いて、所定期間において感情の変遷の特徴が類似する利用者U毎の第2学習モデルを生成することができる。
【0123】
〔3.3.3.第1推定部32〕
第1推定部32は、感情の推定対象となる利用者Uである対象利用者の情報である利用者情報に基づいて、対象利用者の感情の変遷を推定する。例えば、第1推定部32は、利用者Uの情報から利用者Uの感情を推定するように学習された上述の第1学習モデルを用いて利用者Uの感情の変遷を推定する。
【0124】
第1推定部32は、第1学習モデルを用いて対象利用者の感情を単位期間毎に推定する。例えば、第1推定部32は、予め定められた期間TAをn個に分割した連続するn個の単位期間の各々について、第1学習モデルを用いて対象利用者の感情の変遷を推定する。予め定められた期間TAは、例えば、現時点に最も近い直近の単位期間を含む過去の連続するn個の単位期間を含む期間であるが、かかる例に限定されない。また、n個の単位期間は、期間TAにおいて離散的に連続する期間であってもよい。
【0125】
第1推定部32は、過去の期間毎の対象利用者の利用者情報を、共通第1学習モデルまたは属性別第1学習モデルに入力し、かかる共通第1学習モデルまたは属性別第1学習モデルから出力される感情の情報から、対象利用者の感情の変遷を推定する。
【0126】
過去の期間毎の対象利用者の利用者情報は、例えば、対象利用者の連続するn個の単位期間の各々の利用者情報であり、例えば、利用者情報記憶部20から取得部30によって取得される情報である。
【0127】
各単位期間の利用者情報は、例えば、対象利用者によるコンテンツの閲覧履歴の情報、対象利用者によるコンテンツの検索履歴の情報、対象利用者の属性の情報、対象利用者の位置履歴の情報、対象利用者による取引対象の購入履歴の情報、および対象利用者の生体情報のうちの1以上を含む。
【0128】
第1推定部32は、属性別第1学習モデルを用いる場合、複数の属性別第1学習モデルのうち対象利用者の属性に対応する属性別第1学習モデルを選択し、選択した属性別第1学習モデルを用いて対象利用者の感情の変遷を推定する。
【0129】
例えば、属性別第1学習モデルが性別と年代との組み合わせ毎の第1学習モデルであり、対象利用者の年齢と性別が20代女性とする。この場合、情報処理装置1は、20代女性の属性別第1学習モデルを用いて対象利用者の感情の変遷を推定する。
【0130】
また、上述した第1学習モデルは、複数の種別の中から1つの種別を推定するモデルであるが、感情の種別毎の第1学習モデルであってもよい。この場合、情報処理装置1は、例えば、感情の種別毎の第1学習モデルから出力されるスコアのうち最も高いスコアまたは閾値以上のスコアを出力する第1学習モデルに対応する種別の感情を利用者Uの感情として推定することができる。
【0131】
なお、第1推定部32は、利用者情報記憶部20に記憶された利用者情報に含まれる履歴情報が上述した生データである場合、生データを単位時間当たりの情報に加工することで、第1学習モデルに入力するための利用者情報を作成する。
【0132】
〔3.3.4.第2推定部33〕
第2推定部33は、第1推定部32によって推定された対象利用者の感情の変遷に基づいて、対象利用者の将来の感情を推定する。
【0133】
例えば、第2推定部33は、人の感情の変遷から人の将来の感情を推定する第2学習モデルを用いて対象利用者の感情の変遷から対象利用者の将来の感情を推定する。第2学習モデルは、例えば、上述したようにマルコフ過程またはリカンレントニューラルネットワークなどである。
【0134】
第2推定部33は、第2学習モデルがN階マルコフ過程である場合、例えば、対象利用者における感情の変遷(例えば、連続するn個の期間の感情の状態)の情報を第2学習モデルに入力することで、次の期間に起こる感情の条件付き確率を第2学習モデルに感情の種別毎に算出させる。
【0135】
この場合、第2推定部33は、例えば、第2学習モデルによって算出された条件付き確率が予め規定される閾値以上の感情または条件付き確率が最も高い感情を利用者Uの将来の感情として推定する。
【0136】
また、第2推定部33は、第2学習モデルが単純マルコフ過程である場合、例えば、対象利用者における感情の変遷(例えば、連続するn個の期間の感情の状態)の情報を第2学習モデルに入力することで、次に起こる連続するN個の期間の感情の組み合わせ毎の条件付き確率を第2学習モデルに算出させる。
【0137】
この場合、第2推定部33は、例えば、第2学習モデルによって算出された条件付き確率が予め規定される閾値以上の種別の連続するN個の期間の感情の組み合わせまたは条件付き確率が最も高い連続するN個の期間の感情の組み合わせを利用者Uの次の連続するN個の期間の感情として推定する。そして、情報処理装置1は、利用者Uの次の連続すると推定されるN個の期間の感情の中から特定の期間の感情を対象利用者の将来の感情として推定することができる。
【0138】
また、第2推定部33は、第2学習モデルがリカンレントニューラルネットワークである場合、対象利用者における感情の変遷(例えば、連続するn個の期間の感情の状態)の情報を第2学習モデルに入力することで、その後の1つまたは複数の期間の将来の感情の情報を順次出力するモデルである。
【0139】
この場合、第2推定部33は、第2学習モデルによって算出された感情種別スコアが予め規定される閾値以上の感情または感情種別スコアが最も高い感情を利用者Uの将来の感情として推定する。
【0140】
第2推定部33は、例えば、第2学習モデルが利用者Uの属性毎のモデルである場合、対象利用者に対応する第2学習モデルを用いて、対象利用者の将来の感情を推定することができる。
【0141】
また、第2推定部33は、対象利用者と感情の遷移の特徴が類似する利用者Uの利用者情報を用いて作成された第2学習モデルを用いて、対象利用者の将来の感情を推定することもできる。
【0142】
第2推定部33は、例えば、所定期間において感情が異なる単位期間(例えば、所定期間をn分割して得られる各期間)の数が閾値以下である場合に、所定期間において感情の変遷の特徴が類似すると判定する。
【0143】
また、第2推定部33は、所定期間における各期間の類似度スコアの合計値が閾値以上である場合に、所定期間において感情の変遷の特徴が類似すると判定することもできる。類似度スコアは、例えば、感情が一致する場合に最も高く、遷移する確率が低い場合に最も低くなる。
【0144】
このように、第2推定部33は、例えば、所定期間における感情の変遷の特徴が対象利用者と類似する利用者Uの情報に基づいて作成された第2のモデルを用いて、対象利用者の将来の感情を推定することができる。
【0145】
〔3.3.5.決定部34〕
決定部34は、第2推定部33によって推定された将来の感情に基づいて、対象利用者に提案する行動を決定する。
【0146】
決定部34は、例えば、感情と利用者Uの属性との組み合わせ毎に提案行動の情報が対応付けられた上述の提案行動情報テーブルを用いて、対象利用者に対して提案する行動を決定する。
【0147】
提案行動情報テーブルにおいて、属性「40代男性会社員」と感情「憂鬱」との組み合わせに対して提案行動「ウォーキング」が対応付けられているとする。この場合、決定部34は、対象利用者が40代男性会社員であり、且つ第2推定部33で推定した対象利用者の将来の感情が「憂鬱」であれば、対象利用者に対して提案する行動として「ウォーキング」を決定する。
【0148】
〔3.3.6.提供部35〕
提供部35は、決定部34によって決定された提案行動に関する情報を含む提案行動情報を対象利用者に提供する。
【0149】
提供部35は、例えば、対象利用者の端末装置2に対して提案行動情報を送信することで、提案行動情報を対象利用者に提供する。提案行動情報に含まれる提案行動に関する情報は、提案行動を示す情報を含み、さらに、提案行動に付随する情報を含んでいてもよい。
【0150】
提案行動を示す情報は、例えば、外食、旅行、映画鑑賞、観劇、音楽コンサート鑑賞、ゲーム、パズル、ウォーキング、山登り、ストレッチ、筋肉トレーニングなどといった提案行動の名称を示す情報を含む。提供部35は、例えば、複数の提案行動を示す情報を利用者Uに提供することもできる。
【0151】
提案行動を示す情報は、例えば、提案行動が外食であれば、お薦めの飲食店の種別(例えば、ファミリーレストラン、イタリアンレストラン、焼き肉店、寿司屋、居酒屋など)や名称を示す情報、お薦めの飲食店の場所を示す情報などを含む。
【0152】
提供部35は、例えば、利用者Uの近くにあるお薦めの飲食店がキャンセル可能である場合、お薦めの飲食店の予約を行い、かかる予約の結果を示す情報を提案行動に付随する情報として利用者Uに提供することができる。
【0153】
また、提供部35は、例えば、利用者Uの近くにあるお薦めの飲食店がキャンセル可能ではない場合、お薦めの飲食店を予約するためのサイトを示す情報またはお薦めの飲食店の連絡先を示す情報などを提案行動に付随する情報として利用者Uに提供することができる。
【0154】
また、提供部35は、お薦めの飲食店が料理の宅配を行っている場合、お薦めの飲食店に対して宅配の注文を、お薦めの飲食店のサイトなどに対して行うこともできる。この場合、注文の対象は、例えば、お薦めの料理またはランチなどであるが、かかる例に限定されない。
【0155】
また、提案行動を示す情報は、例えば、提案行動が旅行であれば、お薦めの旅行先を示す情報、お薦めの旅行プランを示す情報などを含む。お薦めの旅行プランを示す情報は、例えば、旅行で用いる移動手段(例えば、電車、車、徒歩など)を示す情報、移動手段における座席種別(例えば、移動手段が電車であれば普通、指定、グリーンの別など)を示す情報、宿泊先を示す情報、宿泊先の部屋のグレードを示す情報などを含む。
【0156】
提供部35は、利用者Uの過去の旅行履歴(移動履歴や宿泊履歴などを含む)の情報、移動手段や宿泊先などの空き情報、移動手段や宿泊先などの予約開始時期やキャンセル可能時期を示す情報などを外部の情報処理装置などから取得し、取得した情報などに基づいて、旅行で用いる移動手段、移動手段における座席種別、宿泊施設、宿泊する部屋のグレードなどを決定することができる。
【0157】
旅行履歴の情報には、利用者Uが用いる移動手段、座席の種別、宿泊施設のグレード、部屋のグレードなどの情報が含まれており、提供部35は、旅行履歴の情報に基づいて、移動手段のお薦め候補、座席種別のお薦め候補、宿泊施設のお薦め候補、部屋のグレードのお薦め候補などを決定することができる。
【0158】
そして、提供部35は、移動手段や宿泊先などの空き情報、移動手段や宿泊先などの予約開始時期やキャンセル可能時期を示す情報などに基づいて、移動手段のお薦め候補、座席種別のお薦め候補、宿泊施設のお薦め候補、部屋のグレードのお薦め候補などの中から、お薦めの旅行プランにおける移動手段、座席種別、宿泊施設、部屋のグレードなどを決定する。
【0159】
提供部35は、例えば、移動手段や宿泊施設が無償でのキャンセルが可能な時期において、移動手段や宿泊施設などの予約サイトにアクセスし、決定した移動手段を決定した座席種別で予約したり、決定した宿泊施設を決定した部屋のグレードで予約したりすることもできる。この場合、提供部35は、お薦めの旅行プランを示す情報に代えてまたは加えて、予約済みの旅行プランを示す情報を含む提案行動を示す情報を利用者Uに提供する。
【0160】
また、提案行動を示す情報は、例えば、提案行動が映画鑑賞であれば、お薦めの映画の種別を示す情報、お薦めの映画館の位置またはお薦めの動画サイトのアドレスを示す情報などを含む。この場合、提供部35は、映画館の予約サイトなどにアクセスしてお薦めの映画館の座席を予約し、予約した座席の情報を含む情報を提案行動に付随する情報として利用者Uに提供する。また、提供部35は、動画サイトなどにアクセスしてお薦めの映画を動画サイトで自動的に購入し、購入した映画の情報を含む情報を提案行動に付随する情報として利用者Uに提供することもできる。
【0161】
なお、提供部35は、提案行動に関する情報に代えてまたは加えて、利用者Uが希望する行動を入力または選択するための情報であるメニュー情報(例えば、複数の行動の中から利用者Uが希望する行動を選択するためのメニューの情報)などを利用者Uの端末装置2に送信することもできる。この場合、端末装置2は、メニュー情報を表示し、利用者Uは端末装置2を操作することで利用者Uが希望する行動を入力または選択することができる。
【0162】
端末装置2は、利用者Uの操作によって利用者Uが希望する行動の入力または選択があった場合、利用者Uが希望する行動を示す情報である希望行動情報を情報処理装置1に送信する。提供部35は、端末装置2からの希望行動情報を受け付けると、希望行動情報で示される行動を利用者Uが実行できるように各種の処理を行う。
【0163】
例えば、提供部35は、希望行動情報で示される行動が演劇である場合、利用者Uにお薦めの演劇を決定し、かかる演劇のサイトにアクセスし、利用者Uのために、かかる演劇の予約をしたりチケットを購入したりすることができる。
【0164】
また、提供部35は、希望行動情報で示される行動が映画鑑賞である場合、利用者Uにお薦めの映画を決定し、決定したお薦めの映画を上映する映画館の予約サイトなどにアクセスし、かかる映画館の座席を利用者Uのために予約したり購入したりすることもできる。
【0165】
〔4.処理手順〕
次に、実施形態に係る情報処理装置1の処理部12による情報処理の手順について説明する。
図6は、実施形態に係る情報処理装置1の処理部12による情報処理の一例を示すフローチャートである。
【0166】
図6に示すように、情報処理装置1の処理部12は、情報提供タイミングになったか否かを判定する(ステップS10)。情報提供タイミングは、例えば、予め定められた周期に到来するタイミング、情報提供の対象となる利用者Uである対象利用者がウェブコンテンツにアクセスしたタイミング、情報提供の対象となる利用者Uである対象利用者が検索サービスを利用したタイミングなどであるが、かかる例に限定されない。
【0167】
処理部12は、情報提供タイミングになったと判定した場合(ステップS10:Yes)、対象利用者の利用者情報を記憶部11または外部の情報処理装置から取得する(ステップS11)。
【0168】
つづいて、処理部12は、ステップS11で取得した対象利用者の利用者情報に基づいて、対象利用者の感情の変遷を推定する(ステップS12)。そして、処理部12は、ステップS12で推定した感情の変遷に基づいて、対象利用者の将来の感情を推定する(ステップS13)。
【0169】
つづいて、処理部12は、ステップS13で推定した対象利用者の将来の感情に基づいて、対象利用者に対して提案する行動を決定する(ステップS14)。そして、処理部12は、決定した提案行動に関する情報を対象利用者に提供する(ステップS15)。
【0170】
処理部12は、ステップS15の処理が終了した場合、または情報提供タイミングになっていないと判定した場合(ステップS10:No)、動作終了タイミングになったか否かを判定する(ステップS16)。処理部12は、例えば、情報処理装置1の電源がオフにされた場合、または情報処理装置1の不図示の操作部への操作によって終了操作が行われたと判定した場合に、動作終了タイミングになったと判定する。
【0171】
処理部12は、動作終了タイミングになっていないと判定した場合(ステップS16:No)、処理をステップS10へ移行し、動作終了タイミングになったと判定した場合(ステップS16:Yes)、
図6に示す処理を終了する。
【0172】
〔5.変形例〕
上述した例では、第1推定部32は、第1学習モデルを用いて対象利用者の感情の変遷を推定するが、例えば,ルールベースの処理によって、対象利用者の感情の変遷を推定することもできる。
【0173】
また、第2推定部33は、第2学習モデルを用いて、対象利用者の将来の感情を推定するが、例えば,ルールベースの処理によって、対象利用者の将来の感情を推定することもできる。
【0174】
また、第1学習モデルは、利用者Uにおける連続するN個の期間の感情の状態から、次の連続するN個の期間の感情の状態の条件付き確率をN個の感情の状態の種別毎に算出するモデルであってもよい。
【0175】
〔6.ハードウェア構成〕
上述してきた実施形態に係る情報処理装置1は、例えば
図7に示すような構成のコンピュータ80によって実現される。
図7は、実施形態に係る情報処理装置1の機能を実現するコンピュータ80の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ80は、CPU81、RAM82、ROM(Read Only Memory)83、HDD(Hard Disk Drive)84、通信インターフェイス(I/F)85、入出力インターフェイス(I/F)86、およびメディアインターフェイス(I/F)87を有する。
【0176】
CPU81は、ROM83またはHDD84に記憶されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM83は、コンピュータ80の起動時にCPU81によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ80のハードウェアに依存するプログラムなどを記憶する。
【0177】
HDD84は、CPU81によって実行されるプログラム、および、かかるプログラムによって使用されるデータなどを記憶する。通信インターフェイス85は、ネットワークN(
図2参照)を介して他の機器からデータを受信してCPU81へ送り、CPU81が生成したデータを、ネットワークNを介して他の機器へ送信する。
【0178】
CPU81は、入出力インターフェイス86を介して、ディスプレイやプリンタなどの出力装置、および、キーボードまたはマウスなどの入力装置を制御する。CPU81は、入出力インターフェイス86を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU81は、入出力インターフェイス86を介して生成したデータを出力装置へ出力する。
【0179】
メディアインターフェイス87は、記録媒体88に記憶されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM82を介してCPU81に提供する。CPU81は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス87を介して記録媒体88からRAM82上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体88は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)などの光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)などの光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリなどである。
【0180】
例えば、コンピュータ80が実施形態に係る情報処理装置1として機能する場合、コンピュータ80のCPU81は、RAM82上にロードされたプログラムを実行することにより処理部12の機能を実現する。また、HDD84には、記憶部11内のデータが記憶される。コンピュータ80のCPU81は、これらのプログラムを記録媒体88から読み取って実行するが、他の例として、他の装置からネットワークNを介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0181】
〔7.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0182】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0183】
例えば、上述した情報処理装置1は、複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットホームなどをAPIやネットワークコンピューティングなどで呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0184】
また、上述してきた実施形態および変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0185】
〔8.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る情報処理装置1は、第1推定部32と、第2推定部33と、決定部34とを備える。第1推定部32は、利用者Uの情報を含む利用者情報に基づいて、利用者Uの感情の変遷を推定する。第2推定部33は、第1推定部32によって推定された感情の変遷に基づいて、利用者Uの将来の感情を推定する。決定部34は、第2推定部33によって推定された将来の感情に基づいて、利用者Uに提案する行動を決定する。これにより、情報処理装置1は、利用者Uに提案する将来の行動をより適切に決定することができる。
【0186】
また、第1推定部32は、人の情報から人の感情を推定するように学習された第1学習モデルを用いて利用者Uの感情の変遷を推定する。これにより、情報処理装置1は、利用者Uに提案する将来の行動をより適切に決定することができる。
【0187】
また、第1推定部32は、第1学習モデルを用いて利用者Uの感情を期間毎に推定する。これにより、情報処理装置1は、利用者Uに提案する将来の行動をより適切に決定することができる。
【0188】
また、第1推定部32は、人の属性毎の第1学習モデルのうち利用者Uの属性に対応する第1学習モデルを用いて利用者Uの感情の変遷を推定する。これにより、情報処理装置1は、利用者Uに提案する将来の行動をより適切に決定することができる。
【0189】
また、第2推定部33は、人の感情の変遷から人の将来の感情を推定するように学習された第2学習モデルを用いて利用者Uの将来の感情を推定する。これにより、情報処理装置1は、利用者Uに提案する将来の行動をより適切に決定することができる。
【0190】
また、第2推定部33は、複数の第2学習モデルのうち利用者Uと感情の遷移の特徴が類似する他の利用者情報を用いて作成された第2学習モデルを用いて利用者Uの将来の感情を推定する。これにより、情報処理装置1は、利用者Uに提案する将来の行動をより適切に決定することができる。
【0191】
また、情報処理装置1は決定部34によって決定された行動に関する情報を提供する提供部35を備える。これにより、情報処理装置1は、将来の行動を利用者Uに提案することができる。
【0192】
また、利用者情報は、利用者Uによるコンテンツの閲覧履歴の情報、利用者Uの属性の情報、利用者Uの位置履歴の情報、および利用者Uによる取引対象の購入履歴の情報のうちの1以上を含む。これにより、情報処理装置1は、利用者Uに提案する将来の行動をより適切に決定することができる。
【0193】
また、の利用者情報は、利用者Uの生体情報を検出するセンサによって検出された情報を含む。これにより、情報処理装置1は、利用者Uに提案する将来の行動をより適切に決定することができる。
【0194】
以上、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0195】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0196】
1 情報処理装置
2 端末装置
10 通信部
11 記憶部
12 処理部
20 利用者情報記憶部
21 提案行動情報記憶部
30 取得部
31 学習部
32 第1推定部
33 第2推定部
34 決定部
35 提供部
100 情報処理システム
N ネットワーク