(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118341
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】検出システム
(51)【国際特許分類】
G01L 1/20 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
G01L1/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024706
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】木佐貫 義勝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 博光
(57)【要約】 (修正有)
【課題】布帛等の測定対象の変形を検出する技術を改善する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、検出システムが提供される。この検出システム1は、導電体と、少なくとも1つの第1の結合部と、少なくとも1つの第2の結合部とを備える。導電体は、測定対象の変形によって弾性変形をするように構成され、これにより、導電体の電気特性が変化する。第1の結合部のそれぞれは、導電体と測定対象とを結合させ、これにより、第1の結合部の間において、導電体が測定対象の変形によって弾性変形をする。第2の結合部は、第1の結合部の間に設けられ、導電体が測定対象に対して相対的に移動可能となるように、導電体と測定対象とを結合させるように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出システムであって、
導電体と、少なくとも1つの第1の結合部と、少なくとも1つの第2の結合部とを備え、
前記導電体は、測定対象の変形によって弾性変形をするように構成され、これにより、前記導電体の電気特性が変化し、
前記第1の結合部のそれぞれは、前記導電体と前記測定対象とを結合させ、これにより、前記第1の結合部の間において、前記導電体が前記測定対象の変形によって前記弾性変形をし、
前記第2の結合部は、前記第1の結合部の間に設けられ、前記導電体が前記測定対象に対して相対的に移動可能となるように、前記導電体と前記測定対象とを結合させるように構成される、もの。
【請求項2】
請求項1に記載の検出システムにおいて、
前記第2の結合部は、前記導電体の相対的な移動によって前記測定対象と前記導電体との間で摩擦力を生じるように構成される、もの。
【請求項3】
請求項1に記載の検出システムにおいて、
前記第2の結合部は、前記導電体を前記測定対象に貫通させることによって構成される、もの。
【請求項4】
請求項1に記載の検出システムにおいて、
前記導電体は、線状に構成され、
前記第1の結合部は、少なくとも2つ設けられ、
前記第2の結合部は、前記線状の導電体に沿って、前記第1の結合部の間に配置される、もの。
【請求項5】
請求項1に記載の検出システムにおいて、
前記第1の結合部は、導電性を有し、
前記導電体と前記第1の結合部とは、電気的に導通している、もの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、布帛に非導電糸と導電糸とが縫い付けられ、各種の配線、電極、および圧力センサ等として用いることができる布帛構造が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の布帛構造は、布帛と、前記布帛の一面側から縫われた第1非導電糸と、前記布帛の他面側から縫われた第1導電糸と、を備え、前記第1導電糸は複数箇所で前記第1非導電糸に係止されていることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような布帛等の測定対象の変形を検出する技術には、未だ改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、検出システムが提供される。この検出システムは、導電体と、少なくとも1つの第1の結合部と、少なくとも1つの第2の結合部とを備える。導電体は、測定対象の変形によって弾性変形をするように構成され、これにより、導電体の電気特性が変化する。第1の結合部のそれぞれは、導電体と測定対象とを結合させ、これにより、第1の結合部の間において、導電体が測定対象の変形によって弾性変形をする。第2の結合部は、第1の結合部の間に設けられ、導電体が測定対象に対して相対的に移動可能となるように、導電体と測定対象とを結合させるように構成される。
【0007】
このような構成によれば、より良い測定対象の変形を検出する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】検出システム1のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】
図4に示される検出装置24に対して外力Fを加えた場合の様子を示す写真図である。
【
図7】
図5に示す検出装置24の別例の平面図である。
【
図9】導電体241の断面形状の別例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0または1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、または量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、およびメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
1.検出システム1の構成の概要について
本節では、検出システム1の構成の概要について説明する。
図1は、検出システム1の構成の一例を示す図である。
図1に示されるように、検出システム1は、座席2と、測定部3と、情報処理装置4と、を備える。
【0014】
<座席2>
座席2は、人が着座可能に構成されており、人が着座することによって変形するように構成される。具体的には、座席2は、人等が着座する座面を含む座部21と、座部21に着座した人等がもたれかかるための榻背部22と、測定対象としての布帛23と、少なくとも検出装置24と、を備える。布帛23は、座部21および榻背部22等の座席2の構成要素の少なくとも一部を包むように構成される。
【0015】
検出装置24は、人が座席2に着座することによる座部21および榻背部22を包む布帛23の変形を検出可能に構成されている。検出装置24は、布帛23の変形により、検出装置24(詳細には、後述される導電体241)の電気特性としての抵抗値が変化するように構成されている。複数の検出装置24のそれぞれは、布帛23の表面または裏面内部に沿って所定の分布で配置されている。本実施形態では、検出装置24は、互いに布帛23の表面または裏面内部に格子状に配置されている。本実施形態では、検出装置24の詳細は後述される。
【0016】
<測定部3>
測定部3は、検出装置24の電気特性を測定可能に構成され、信号線Wを介して検出装置24と電気的に接続されている。本実施形態の測定部3は、検出装置24(詳細には後述される導電体241)の抵抗値を測定可能であり、例えば導電体241による電圧降下を測定可能な電圧計である。なお、測定部3は、電流計やLCRメータなどであってもよい。
【0017】
<情報処理装置4>
情報処理装置4は、測定部3による測定結果を取得し、座席2の変形量の分布を算出するように構成され、種々の情報処理を実行する。情報処理装置4は、通信バス40と、通信部41と、記憶部42と、プロセッサ43と、表示部44と、HMIデバイス45とを備え、これらの構成要素が情報処理装置4の内部において通信バス40を介して電気的に接続されている。各構成要素についてさらに説明する。
【0018】
通信部41は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、3G/LTE/5G等のモバイル通信、BLUETOOTH(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、情報処理装置4は、通信部41およびネットワークを介して、外部から種々の情報を通信してもよい。
【0019】
記憶部42は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、プロセッサ43によって実行される情報処理装置4に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部42は、プロセッサ43によって実行される情報処理装置4に係る種々のプログラムや変数等を記憶している。
【0020】
プロセッサ43は、情報処理装置4に関連する全体動作の処理・制御を行う。プロセッサ43は、例えば不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。プロセッサ43は、記憶部42に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、情報処理装置4に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部42に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例であるプロセッサ43によって具体的に実現されることで、プロセッサ43に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、次節においてさらに詳述する。なお、プロセッサ43は単一であることに限定されず、機能ごとに複数のプロセッサ43を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0021】
表示部44は、情報処理装置4筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。表示部44は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。これは例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイおよびプラズマディスプレイ等の表示デバイスを、情報処理装置4の種類に応じて使い分けて実施することが好ましい。
【0022】
HMIデバイス45は、ヒューマン・マシン・インターフェースデバイスである。HMIデバイス45は、情報処理装置4の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。例えば、HMIデバイス45は、表示部44と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。タッチパネルであれば、ユーザは、タップ操作、スワイプ操作等を入力することができる。もちろん、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、QWERTYキーボード、音声認識装置、ジェスチャ検出装置、視線検出装置、生体信号検出装置、撮像装置などを採用してもよい。すなわち、HMIデバイス45がユーザによってなされた操作入力を受け付ける。HMIデバイス45は、応答として、通信バス40を介し操作入力に対応する信号をプロセッサ43に転送する。プロセッサ43が必要に応じて所定の制御や演算を実行しうる。HMIデバイス45は、ユーザからの入力を受付可能に構成されている入力部を含むともいえる。
【0023】
2.検出装置24の構成例について
本節では、前述した検出装置24の一例について説明する。
図2は、検出装置24の側面断面図である。
図3は、検出装置24の平面図である。
図2および
図3に示されるように、検出装置24は、布帛23に取付可能に構成され、導電体241と、2つの第1の結合部242と、少なくとも1つの第2の結合部243とを備える。
【0024】
<導電体241>
導電体241は、布帛23の変形によって弾性変形をするように構成され、これにより、導電体241の電気特性が変化する。本実施形態の導電体241は、導電性ゴムであり、導電体241は、長尺物であり、例えば線状に構成され、布帛23の表面に沿って配置されている。詳細には、導電体241は、布帛23の表面に沿った、ある伸縮方向に対して、直線状に延びている。導電体241は、伸縮方向に沿った布帛23の変形により、伸縮方向に弾性変形をするように構成される。また、導電体241は、布帛23の表面と交差する方向に沿った布帛23の変形によっても、変形された布帛23に沿って弾性変形をするように構成される。導電体241は、部分的に布帛23を貫通することで布帛23の裏面に至り、ウレタン材などの内部部材と接触している。これにより、導電体241と布帛23の裏面とが接触している領域には、導電体241と布帛23の表面とが接触している領域に比べて強い摩擦力が作用しやすくなる。このような摩擦力が作用する箇所が、後述される第2の結合部243として機能する。本実施形態では、導電体241は、布帛23に対して貫通を繰り返しており、これにより布帛23の表面と裏面とを往復するように構成される。
【0025】
<第1の結合部242>
第1の結合部242のそれぞれは、導電体241と布帛23とを結合させる。これにより、第1の結合部242の間において、導電体241が布帛23の変形によって弾性変形をする。2つの第1の結合部242のそれぞれは、線状に延びる導電体241のほぼ両端に設けられ、布帛23に対して導電体241の端部の位置を固定する。本実施形態の第1の結合部242は、導電性を有する。例えば、第1の結合部242は、導電糸によって構成されており、導電体241は、当該導電糸によって布帛23に縫い付けられている。これにより、導電体241と第1の結合部242とは、電気的に導通している。このような構成によれば、第1の結合部242を介して導電体241の電気特性を測定することが可能となるため、布帛23の変形の検出をしやすくなる。第1の結合部242のそれぞれは、信号線Wを介して測定部3に接続されている。したがって、第1の結合部242は、測定部3による電気特性の測定の際の端子として機能する。なお、本実施形態では、第1の結合部242は、導電体241の両端を固定するために2つ設けられているが、第1の結合部242の数は2つに限られず、導電体241を布帛23に結合することができれば1つであっても3つ以上であってもよい。また、第1の結合部242の位置は、導電体241の両端に限られず、任意の位置に配置可能である。
【0026】
<第2の結合部243>
第2の結合部243は、第1の結合部242の間に設けられ、導電体241が布帛23に対して相対的に移動可能となるように、導電体241と布帛23との相対位置を拘束し、結合状態となるように結合させるように構成される。本実施形態の第2の結合部243は、導電体241と一体となっており、導電体241を布帛23に貫通させることによって構成される。これにより、導電体241は、布帛23の表面および裏面と接触し、導電体241の相対的な移動によって布帛23と導電体241との間で摩擦力を生じるように構成される。このような構成によれば、摩擦力によって導電体241の相対的な移動が規制され、導電体241の弾性変形をより一様となった状態を保ちやすくなる。さらに、本実施形態の第2の結合部243は、長尺物、例えば線状の導電体241に沿って、第1の結合部242の間に配置される。このような構成によれば、比較的簡易な方法で第2の結合部243を実装することができる。第2の結合部243が配置される位置は任意であるが、例えば、2つの第1の結合部242の間で、導電体241に沿ってほぼ等間隔に配置されている。これにより、布帛23の伸縮の際に導電体241にかかる力をより一様に分散させやすくなる。この場合、第2の結合部243は、導電体241が延びる方向において導電体241の中央から所定の距離だけ離れた位置に配置されるとよい。例えば、第2の結合部243は、2つの第1の結合部242の導電体241上の中点から所定の距離だけ離れた位置に配置されるとよい。これにより、導電体241のうち2つの第2の結合部243の間に位置する部分に対して過剰な摩擦力が作用することを抑制することができる。導電体241の第2の結合部243による布帛23と導電体241との結合力は、第1の結合部242による布帛23と導電体241との結合力より弱い。結合力は、例えば、静止摩擦係数、破壊強度などによって定量化される。
【0027】
次に、布帛23の変形によって導電体241が伸長するように弾性変形した場合の検出装置24の動作について説明する。
図4は、検出装置24の一例を示す写真である。
図5は、
図4に示される検出装置24に対して外力Fが加わった場合の様子を示す写真である。
【0028】
図4に示されるように、導電体241の端部は第1の結合部242によって固定されており、導電体241の端部からある図において左に向かって延びている。導電体241は、その途中で、布帛23を貫通しており、これにより、少なくとも2つの第2の結合部243が形成されている。
【0029】
図5に示されるように、布帛23が変形することによって第1の結合部242から導電体241が延びる方向の外力F(図中では左向き)が導電体241に作用すると、導電体241が当該外力Fの方向に沿って延びる。このとき、外力Fが第2の結合部243に生じる静止摩擦力以上の大きさに達すると、導電体241が外力Fの方向に向かって、第2の結合部243のそれぞれに対して相対的に移動する。これにより、導電体241のうち、各結合部242,243の間の部分のそれぞれに伝わる外力Fを導電体241の全体でより一様とすることができる。言い換えれば、各第2の結合部243にかかる外力Fを、第2の結合部243を導電体241に対して相対的に移動不能とする場合に比べてより一様にすることができる。その結果、第1の結合部242に負荷が集中する可能性を低減し、検出装置24の消耗を抑制することができる。
【0030】
以上のような構成によれば、第1の結合部242の間に第2の結合部243が存在することによって、布帛23の変形に沿って導電体241が変形することができる。このとき、布帛23に緩みが生じた場合に布帛23と導電体241との間で作用する力に偏りが生じたとしても、第2の結合部243によって導電体241と布帛23とが相対移動することで、当該力の偏りを分散させ、導電体241の弾性変形をより一様にすることができる。したがって、布帛23の変形の検出精度を向上することができる。
【0031】
3.検出装置24の別例について
本節では、前節までに説明した検出装置24の別例について説明する。
図6は、検出装置24の別例の側面断面図である。
図7は、
図5に示す検出装置24の別例の平面図である。
図8は、
図6におけるA-A'断面図である。なお、前節までに説明した検出システム1と共通する部材についての説明は、同一の部材番号を付すことにより省略する。
【0032】
本実施形態の検出装置24は、少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の第2の結合部244を備える。本実施形態では、導電体241は、布帛23を貫通しておらず、布帛23の面の1つに沿って線状に延びている。そのため、第2の結合部244は、導電体241と布帛23の内部との接触によって構成される233とは異なり、導電体241と別体で設けられている。本実施形態の第2の結合部244は、布帛23に結合されて固定されている。導電体241は、第2の結合部244と布帛23との間に配置され、第2の結合部244と布帛23とが導電体241を挟持する。第2の結合部244と布帛23との結合強度は、導電体241は、第2の結合部244によって布帛23に対して相対的に移動可能となるように適宜調整すればよい。
第2の結合部244と布帛23とを結合させる具体的態様は任意であるが、接着、圧着、溶着、縫合などが挙げられる。本実施形態の第2の結合部244は、伸縮可能な弾性体であり、収縮することによって導電体241を第2の結合部244と布帛23との間に挟持している。これにより、検出装置24を布帛23に取り付けることによって生じ得る布帛23のしわを抑制することができる。伸縮可能な弾性体としては、例えばゴム繊維、シリコン等の樹脂膜、板バネ等の金属部材などが挙げられる。なお、導電体241は第2の結合部244と絶縁されていることが好ましい。
【0033】
4.その他
上記検出システム1の態様はあくまで一例であり、これに限られない。
【0034】
第1の結合部242の具体的態様は、導電糸のような繊維体で布帛23に縫い付けるものに限られず、導電体241と布帛23とを結合可能であれば任意である。例えば、第1の結合部242は、布帛23と導電体241との間で接着剤の塗布、圧着、溶着などを行うことにより設けられていてもよい。また、第1の結合部242は、導電性を有していなくてもよい。この場合、信号線Wは、第1の結合部242を介さずに導電体241に接続されていればよい。
【0035】
導電体241の形状は任意であり、その断面形状は円形に限られない。
図9は、導電体241の断面形状の別例を示す図である。導電体241の断面形状は、例えば、四角形状であってもよい。この場合、導電体241の四角形状の断面の角が弧状に形成されている、言い換えれば、導電体241の断面の角が面取りされている、ことが好ましい。これにより、導電体241が転がり移動等をする際の導電体241の角が布帛23に与える負荷を分散することができる。
【0036】
導電体241は導電性ゴムに限られず、例えば、カーボンナノチューブによる形成部材、導電性繊維など、弾性変形可能でかつ導電性を有していれば任意である。
【0037】
変化する導電体241の電気特性は抵抗値に限られず、インダクタンス、インピーダンス、キャパシタンスなど、電気的に検出可能な任意の特性を含み得る。
【0038】
検出装置24は、布帛23に限られず、フィルム部材、木材、樹脂部材、柔軟体など、変形する可能性のある任意の測定対象に適用可能である。
【0039】
上記検出システム1等は、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0040】
(1)検出システムであって、導電体と、少なくとも1つの第1の結合部と、少なくとも1つの第2の結合部とを備え、前記導電体は、測定対象の変形によって弾性変形をするように構成され、これにより、前記導電体の電気特性が変化し、前記第1の結合部のそれぞれは、前記導電体と前記測定対象とを結合させ、これにより、前記第1の結合部の間において、前記導電体が前記測定対象の変形によって前記弾性変形をし、前記第2の結合部は、前記第1の結合部の間に設けられ、前記導電体が前記測定対象に対して相対的に移動可能となるように、前記導電体と前記測定対象とを結合させるように構成される、もの。
【0041】
このような構成によれば、第1の結合部の間に第2の結合部が存在することによって、測定対象の変形に沿って導電体が変形することができる。このとき、測定対象に緩みが生じた場合に測定対象と導電体との間で作用する力に偏りが生じたとしても、第2の結合部によって導電体と測定対象とが相対移動することで、当該力の偏りを分散させ、導電体の弾性変形をより一様にすることができる。したがって、変形の検出精度を向上することができる。
【0042】
(2)上記(1)に記載の検出システムにおいて、前記第2の結合部は、前記導電体の相対的な移動によって前記測定対象と前記導電体との間で摩擦力を生じるように構成される、もの。
【0043】
このような構成によれば、摩擦力によって導電体の相対的な移動が規制され、導電体の弾性変形をより一様となった状態を保ちやすくなる。
【0044】
(3)上記(1)または(2)に記載の検出システムにおいて、前記第2の結合部は、前記導電体を前記測定対象に貫通させることによって構成される、もの。
【0045】
このような構成によれば、比較的簡易な方法で第2の結合部を実装することができる。
【0046】
(4)上記(1)~(3)の何れか1つに記載の検出システムにおいて、前記導電体は、線状に構成され、前記第1の結合部は、少なくとも2つ設けられ、前記第2の結合部は、前記線状の導電体に沿って、前記第1の結合部の間に配置される、もの。
【0047】
このような構成によれば、変形の検出精度を向上することができる。
【0048】
(5)上記(1)~(4)の何れか1つに記載の検出システムにおいて、前記第1の結合部は、導電性を有し、前記導電体と前記第1の結合部とは、電気的に導通している、もの。
【0049】
このような構成によれば、導電体の電気特性の変化を第1の結合部を通じて検出することができる。したがって、検出の自由度を向上することができる。
もちろん、この限りではない。
【0050】
最後に、本開示に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0051】
1 :検出システム
2 :座席
21 :座部
22 :榻背部
23 :布帛
24 :検出装置
241 :導電体
242 :第1の結合部
243 :第2の結合部
244 :第2の結合部
3 :測定部
4 :情報処理装置
40 :通信バス
41 :通信部
42 :記憶部
43 :プロセッサ
44 :表示部
45 :HMIデバイス
F :外力
W :信号線