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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118346
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】測定方法、測定装置、及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 15/00 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
G01B15/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024711
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165696
【弁理士】
【氏名又は名称】川原 敬祐
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 暁斗
(72)【発明者】
【氏名】黒川 瑛宣
【テーマコード(参考)】
2F067
【Fターム(参考)】
2F067AA02
2F067AA16
2F067BB01
2F067CC05
2F067EE04
2F067HH02
2F067JJ02
2F067KK08
2F067PP04
2F067PP16
2F067RR12
2F067RR41
(57)【要約】
【課題】帯状体の幅方向における端部の位置をより精度良く測定することが可能な測定方法を提供する。
【解決手段】帯状体Sの幅方向D2における端部の位置を測定する測定方法は、帯状体Sの端部に向けて電磁波を照射するステップと、帯状体Sの端部で反射した電磁波を検出するステップと、電磁波を検出するステップにおいて得られた検出信号に対する複数の閾値に基づいて、検出信号に含まれる端部での反射信号を判別するステップと、反射信号が検出された時間に基づいて端部の位置を算出するステップと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状体の幅方向における端部の位置を測定する測定方法であって、
前記帯状体の前記端部に向けて電磁波を照射するステップと、
前記帯状体の前記端部で反射した前記電磁波を検出するステップと、
前記電磁波を検出するステップにおいて得られた検出信号に対する複数の閾値に基づいて、前記検出信号に含まれる前記端部での反射信号を判別するステップと、
前記反射信号が検出された時間に基づいて前記端部の位置を算出するステップと、
を含む、
測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の測定方法であって、
前記複数の閾値は、検出強度に対する第1閾値と、検出時間に対する第2閾値と、を含む、
測定方法。
【請求項3】
請求項2に記載の測定方法であって、
前記反射信号を判別するステップは、前記検出信号における前記検出強度が前記第1閾値よりも高く、かつ前記検出時間が前記第2閾値よりも長い信号波形のうち最初のものを前記反射信号として判別することを含む、
測定方法。
【請求項4】
帯状体の幅方向における端部の位置を測定する測定装置であって、
前記帯状体の前記端部に向けて電磁波を照射する照射部と、
前記帯状体の前記端部で反射した前記電磁波を検出する検出部と、
前記検出部から出力される検出信号に対する複数の閾値に基づいて、前記検出信号に含まれる前記端部での反射信号を判別し、前記反射信号が検出された時間に基づいて前記端部の位置を算出する制御部と、
を備える、
測定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の測定装置であって、
前記複数の閾値は、検出強度に対する第1閾値と、検出時間に対する第2閾値と、を含む、
測定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の測定装置であって、
前記制御部は、前記検出信号における前記検出強度が前記第1閾値よりも高く、かつ前記検出時間が前記第2閾値よりも長い信号波形のうち最初のものを前記反射信号として判別する、
測定装置。
【請求項7】
請求項1乃至3に記載の測定方法及び請求項4乃至6に記載の測定装置のいずれかを用いながら前記帯状体を製造する製造方法であって、
測定された前記帯状体の幅方向における前記端部の位置に基づき、プロセスラインにおける前記帯状体の蛇行を制御するステップを含む、
製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定方法、測定装置、及び製造方法に関する。例えば、本開示は、プロセスラインにおける鋼板などの帯状体の蛇行を制御するために帯状体のエッジ位置を測定する測定方法及び測定装置に関する。例えば、本開示は、測定方法及び測定装置のいずれかを用いながら帯状体を製造する製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生産ライン及び加工ラインなどのプロセスラインにおいて、鋼板などの帯状体の幅方向における端部の位置を測定するための技術が知られている。例えば、特許文献1には、ノイズ及び雰囲気の影響を受けにくく、かつ、設置が容易で、帯状体との機械的な干渉が少ない帯状体の幅方向端部位置測定方法が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の技術のように、従来のCPC(Center Position Control)装置におけるマイクロ波方式での鋼板のエッジ位置検出方法が一般的に知られている。当該方法では、鋼板のエッジに向けてマイクロ波が照射され、受信アンテナに戻るマイクロ波のうち反射強度が最も高いもののピーク時間が鋼板のエッジ位置として検出されていた。従来のCPC装置は、検出されたエッジ位置に基づいて鋼板の中心位置を算出し、算出された中心位置をプロセスラインの中心に合わせるように蛇行制御を実行していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】再公表特許WO2006/048979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のエッジ位置検出方法では、鋼板以外で反射したマイクロ波の強度が最大となった場合、その最大となったピーク時間が鋼板のエッジ位置として誤検出されてしまうという問題があった。
【0006】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、帯状体の幅方向における端部の位置をより精度良く測定することが可能な測定方法、測定装置、及び製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、
(1)
帯状体の幅方向における端部の位置を測定する測定方法であって、
前記帯状体の前記端部に向けて電磁波を照射するステップと、
前記帯状体の前記端部で反射した前記電磁波を検出するステップと、
前記電磁波を検出するステップにおいて得られた検出信号に対する複数の閾値に基づいて、前記検出信号に含まれる前記端部での反射信号を判別するステップと、
前記反射信号が検出された時間に基づいて前記端部の位置を算出するステップと、
を含む、
測定方法、
である。
【0008】
(2)
上記(1)に記載の測定方法では、
前記複数の閾値は、検出強度に対する第1閾値と、検出時間に対する第2閾値と、を含んでもよい。
【0009】
(3)
上記(2)に記載の測定方法では、
前記反射信号を判別するステップは、前記検出信号における前記検出強度が前記第1閾値よりも高く、かつ前記検出時間が前記第2閾値よりも長い前記信号波形のうち最初のものを前記反射信号として判別することを含んでもよい。
【0010】
本開示は、
(4)
帯状体の幅方向における端部の位置を測定する測定装置であって、
前記帯状体の前記端部に向けて電磁波を照射する照射部と、
前記帯状体の前記端部で反射した前記電磁波を検出する検出部と、
前記検出部から出力される検出信号に対する複数の閾値に基づいて、前記検出信号に含まれる前記端部での反射信号を判別し、前記反射信号が検出された時間に基づいて前記端部の位置を算出する制御部と、
を備える、
測定装置、
である。
【0011】
(5)
上記(4)に記載の測定装置では、
前記複数の閾値は、検出強度に対する第1閾値と、検出時間に対する第2閾値と、を含んでもよい。
【0012】
(6)
上記(5)に記載の測定装置では、
前記制御部は、前記検出信号における前記検出強度が前記第1閾値よりも高く、かつ前記検出時間が前記第2閾値よりも長い前記信号波形のうち最初のものを前記反射信号として判別してもよい。
【0013】
本開示は、
(7)
上記(1)乃至(3)に記載の測定方法及び上記(4)乃至(6)に記載の測定装置のいずれかを用いながら前記帯状体を製造する製造方法であって、
測定された前記帯状体の幅方向における前記端部の位置に基づき、プロセスラインにおける前記帯状体の蛇行を制御するステップを含む、
製造方法、
である。
【発明の効果】
【0014】
本開示の一実施形態に係る測定方法、測定装置、及び製造方法によれば、帯状体の幅方向における端部の位置をより精度良く測定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の一実施形態に係る測定装置を有する制御システムの概略構成を示す模式図である。
図2図1の測定装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
図3図1の測定装置が実行する処理の第1例を示すフローチャートである。
図4図1の測定装置が実行する処理の第2例を示すフローチャートである。
図5図1の測定装置が実行する処理の第3例を示すフローチャートである。
図6図1の測定装置が実行する処理の内容を説明するための第1図である。
図7図1の測定装置が実行する処理の内容を説明するための第2図である。
図8図1の測定装置が実行する処理の内容を説明するための第3図である。
図9図1の測定装置が実行する処理の内容を説明するための第4図である。
図10図1の測定装置が実行する処理の内容を説明するための第5図である。
図11図1の測定装置が実行する処理の内容を説明するための第6図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の一実施形態に係る測定装置10の構成及び動作について主に説明する。
【0017】
図1は、本開示の一実施形態に係る測定装置10を有する制御システム1の概略構成を示す模式図である。図1を参照しながら、一実施形態に係る測定装置10を有する制御システム1の構成の一例について主に説明する。
【0018】
制御システム1は、プロセスラインLを用いた帯状体Sの製造にあたり、プロセスラインLにおける帯状体Sの蛇行を制御する。本開示において、「プロセスラインL」は、例えば、生産ライン及び加工ラインなどを含む。「帯状体S」は、例えば、鋼板などを含む。「蛇行」は、例えば、プロセスラインL上を上流から下流に向けて移動する帯状体Sがその搬送方向D1に沿ったプロセスラインLの中心Cに対し搬送方向D1と直交する帯状体Sの幅方向D2に位置を変動させることを含む。一例として、制御システム1は、鋼板を生産するための生産ライン上を上流から下流に向けて移動する鋼板の蛇行を制御する。
【0019】
制御システム1は、測定装置10と、油圧装置20と、シリンダー30と、検出装置40と、を有する。制御システム1は、ステアリングロールRから送り出される帯状体Sの幅方向D2における中心位置を、搬送方向D1に沿ったプロセスラインLの中心Cに合わせるように蛇行制御を実行する。制御システム1によって実行される蛇行制御は、プロセスラインL上に配置されているステアリングロールRの位置をPID(Proportional-Integral-Differential)制御に基づいて制御することを含む。
【0020】
測定装置10は、制御システム1により実行される蛇行制御に必要な、帯状体Sの幅方向D2における中心位置を算出するために、帯状体Sの幅方向D2における端部の位置を測定する。本開示において、「端部」は、例えば、帯状体Sにおいて幅方向D2の両端に位置するエッジE1、E2の少なくとも一方を含む。図1に示されるように、測定装置10は、一例として、エッジE1、E2の両方の位置を測定する。測定装置10は、測定された端部の位置に基づいて、帯状体Sの幅方向D2における中心位置を算出する。例えば、測定装置10は、エッジE1の位置とエッジE2の位置との間の中間位置を、帯状体Sの幅方向D2における中心位置として算出する。
【0021】
測定装置10は、算出された帯状体Sの幅方向D2における中心位置を、搬送方向D1に沿ったプロセスラインLの中心Cに合わせるPID制御に基づいて油圧装置20を制御する。測定装置10は、制御システム1による蛇行制御に寄与するCPC装置としても機能する。測定装置10は、検出装置40により検出されたステアリングロールRの位置を、検出情報として検出装置40から取得する。これにより、測定装置10は、ステアリングロールRの現在の位置を識別する。測定装置10は、算出された帯状体Sの幅方向D2における中心位置が中心Cからずれていると判定すると、ずれを解消するように、油圧装置20及びシリンダー30を介してステアリングロールRの現在の位置を適切な位置に変更させる。
【0022】
測定装置10は、帯状体Sに対して幅方向D2の両側にそれぞれ配置される第1アンテナ10a及び第2アンテナ10bを有する。第1アンテナ10aは、帯状体SのエッジE1に向けて電磁波を照射し、エッジE1で反射した電磁波を検出する。第2アンテナ10bは、帯状体SのエッジE2に向けて電磁波を照射し、エッジE2で反射した電磁波を検出する。本開示において、「電磁波」は、例えば、マイクロ波などを含む。
【0023】
測定装置10は、第1アンテナ10a及び第2アンテナ10bに接続されているコントローラ10cを有する。コントローラ10cは、第1アンテナ10a及び第2アンテナ10bの各々における、電磁波の照射及び検出に関する動作を制御する。例えば、コントローラ10cは、第1アンテナ10a及び第2アンテナ10bの各々を制御して、帯状体Sの端部に向けて電磁波を照射させる。例えば、コントローラ10cは、第1アンテナ10a及び第2アンテナ10bの各々で検出された電磁波の検出信号を各々から取得する。
【0024】
測定装置10は、コントローラ10cにさらに接続されている制御盤10dを有する。制御盤10dは、測定処理、演算処理、及び制御処理などの各種処理を実行する。測定処理は、例えば、第1アンテナ10a及び第2アンテナ10b、並びにコントローラ10cを用いて帯状体Sの幅方向D2における端部の位置を測定する処理などを含む。演算処理は、例えば、測定された端部の位置に基づいて、帯状体Sの幅方向D2における中心位置を算出する処理などを含む。制御処理は、例えば、算出された帯状体Sの幅方向D2における中心位置を中心Cに合わせるPID制御などの処理を含む。
【0025】
油圧装置20は、測定装置10から受けた制御信号に基づいてシリンダー30を駆動する、油圧を利用した任意の装置を含む。油圧装置20は、測定装置10から受けた制御信号に基づいてシリンダー30を駆動し、ステアリングロールRの現在の位置を適切な位置に変更させる。
【0026】
シリンダー30は、油圧装置20からの油圧によって動作する任意の動作機構を含む。シリンダー30は、ステアリングロールRと機械的に接続され、ステアリングロールRの位置を変化させる。シリンダー30は、測定装置10から受けた制御信号に基づく油圧装置20からの駆動力に基づいて動作し、ステアリングロールRの現在の位置を適切な位置に変更する。
【0027】
検出装置40は、ステアリングロールRの位置を検出可能な任意の装置を含む。検出装置40は、検出されたステアリングロールRの位置を検出情報として測定装置10に出力する。
【0028】
図2は、図1の測定装置10の概略構成を示す機能ブロック図である。測定装置10は、照射部11と、検出部12と、記憶部13と、制御部14と、を有する。
【0029】
照射部11は、帯状体Sの端部に向けて電磁波を照射する任意の照射源を含む。照射部11は、例えば、パルス状の電磁波を照射する。照射部11は、図1に示される第1アンテナ10aにおいて電磁波を照射する構成部に対応する第1照射部11aを有する。照射部11は、図1に示される第2アンテナ10bにおいて電磁波を照射する構成部に対応する第2照射部11bを有する。
【0030】
検出部12は、帯状体Sの端部で反射した電磁波を検出する任意の検出モジュールを含む。検出部12は、図1に示される第1アンテナ10aにおいて電磁波を検出する構成部に対応する第1検出部12aを有する。検出部12は、図1に示される第2アンテナ10bにおいて電磁波を検出する構成部に対応する第2検出部12bを有する。
【0031】
記憶部13は、例えば、半導体メモリ、磁気メモリ、光メモリ、又はこれらの任意の組み合わせを含む。記憶部13は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部13は、測定装置10の動作に用いられる情報と、測定装置10の動作によって得られた情報と、を記憶する。例えば、記憶部13は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び通信などの任意の手段で取得される各種データなどを記憶する。
【0032】
制御部14は、マイクロコントローラ、プロセッサ、プログラマブル回路、専用回路、又はこれらの任意の組合せを含む。プロセッサは、CPU若しくはGPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。「CPU」は、Central Processing Unitの略語である。「GPU」は、Graphics Processing Unitの略語である。プログラマブル回路は、例えば、FPGAである。「FPGA」は、Field-Programmable Gate Arrayの略語である。専用回路は、例えば、ASICである。「ASIC」は、Application Specific Integrated Circuitの略語である。制御部14は、測定装置10を構成する各構成部と通信可能に接続され、各構成部を制御しながら、測定装置10の動作に関わる各種処理を実行する。図1において、コントローラ10c及び制御盤10dが制御部14に対応する。
【0033】
図3は、図1の測定装置10が実行する処理の第1例を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、制御システム1による蛇行制御に寄与する測定装置10の処理の全体的な流れを示す。
【0034】
ステップS100では、測定装置10の制御部14は、第1アンテナ10a及び第2アンテナ10b、並びにコントローラ10cを用いて帯状体Sの幅方向D2における端部の位置を測定する。ステップS100は、上述の測定処理に対応する。
【0035】
ステップS101では、測定装置10の制御部14は、ステップS100において測定された端部の位置に基づいて、帯状体Sの幅方向D2における中心位置を算出する。ステップS101は、上述の演算処理に対応する。
【0036】
ステップS102では、測定装置10の制御部14は、ステップS101において算出された帯状体Sの幅方向D2における中心位置を、搬送方向D1に沿ったプロセスラインLの中心Cに合わせるPID制御を実行する。ステップS102は、上述の制御処理に対応する。
【0037】
図4は、図1の測定装置10が実行する処理の第2例を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートは、図4のステップS100における測定処理をより具体的に表したものである。図4に示すフローチャートは、帯状体Sの幅方向D2における端部の位置を測定する測定方法に対応する。
【0038】
ステップS200では、測定装置10の制御部14は、照射部11を用いて、帯状体Sの端部に向けて電磁波を照射する。
【0039】
ステップS201では、測定装置10の制御部14は、検出部12を用いて、帯状体Sの端部で反射した電磁波を検出する。
【0040】
ステップS202では、測定装置10の制御部14は、ステップS201において検出部12から出力される検出信号に対する複数の閾値に基づいて、当該検出信号に含まれる、帯状体Sの幅方向D2における端部での反射信号を判別する。本開示において、「複数の閾値」は、検出強度に対する第1閾値と、検出時間に対する第2閾値と、を含む。本開示において、「検出時間」は、例えば、検出信号の検出強度が第1閾値を超えている時間を含む。
【0041】
ステップS203では、測定装置10の制御部14は、ステップS202において判別された反射信号が検出部12で検出された時間に基づいて、帯状体Sの幅方向D2における端部の位置を算出する。
【0042】
図5は、図1の測定装置10が実行する処理の第3例を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、図4のステップS202における、反射信号を判別する処理をより具体的に表したものである。
【0043】
ステップS300では、測定装置10の制御部14は、図4のステップS201において得られた検出信号に、検出強度が第1閾値よりも高い信号波形が含まれるか否かを判定する。制御部14は、検出強度が第1閾値よりも高い信号波形が含まれると判定すると、ステップS301の処理を実行する。制御部14は、検出強度が第1閾値以下である信号波形のみが含まれると判定すると、ステップS303の処理を実行する。
【0044】
ステップS301では、測定装置10の制御部14は、ステップS300において抽出された、検出強度が第1閾値よりも高い信号波形の中に、検出時間が第2閾値よりも長い信号波形がさらに含まれるか否かを判定する。制御部14は、検出時間が第2閾値よりも長い信号波形がさらに含まれると判定すると、ステップS302の処理を実行する。制御部14は、検出時間が第2閾値以下である信号波形のみが含まれると判定すると、ステップS303の処理を実行する。
【0045】
ステップS302では、測定装置10の制御部14は、ステップS300及びステップS301の判定処理に基づいて抽出された、検出信号における検出強度が第1閾値よりも高く、かつ検出時間が第2閾値よりも長い信号波形のうち、最初のものを反射信号として判別する。
【0046】
ステップS303では、測定装置10の制御部14は、検出強度が第1閾値以下である信号波形のみが含まれることと、検出時間が第2閾値以下である信号波形のみが含まれることと、の少なくとも一方が条件として満たされる場合、信号波形をノイズとして判別する。
【0047】
以下では、図6乃至図11を主に参照しながら、測定装置10が実行する処理の内容についてより具体的に説明する。図6は、図1の測定装置10が実行する処理の内容を説明するための第1図である。
【0048】
測定装置10の制御部14は、図6に示される第1アンテナ10aの第1照射部11aから帯状体SのエッジE1に向けて電磁波を照射し、エッジE1で反射した電磁波が第1検出部12aまで戻ってくるまでの時間を位置に変換することで、帯状体Sの端部の位置を算出する。光速をc、電磁波を照射してから戻ってくるまでの時間をtとすると、帯状体Sの端部の位置xは、以下の式(1)で表される。
【0049】
x=c(t/2) (1)
時間tは、第1アンテナ10aとエッジE1との間を電磁波が一往復するときの時間である。したがって、第1アンテナ10aに対するエッジE1の位置xを電磁波の往路分の距離として算出するために、時間tに1/2を乗算している。時間tは、図4のステップS202において判別された反射信号が検出部12で検出された時間に対応する。
【0050】
同様に、制御部14は、第2アンテナ10b側の第2照射部11b及び第2検出部12bを用いて、第2アンテナ10bに対するエッジE2の位置を算出することも可能である。以下では、簡便な説明を目的として、第1アンテナ10a側の第1照射部11a及び第1検出部12aを用いて第1アンテナ10aに対するエッジE1の位置を算出するときの処理に主に着目して説明する。以下と同様の説明が、第2アンテナ10b側の第2照射部11b及び第2検出部12bを用いて第2アンテナ10bに対するエッジE2の位置を算出するときの処理に対しても当てはまる。
【0051】
例えば、図6の(b)に示されるように、帯状体Sの幅が狭い場合、第1アンテナ10aの第1照射部11aから照射された電磁波の一部は、経路P1に従って、エッジE1で反射し第1検出部12aまで戻る。一方で、第1アンテナ10aの第1照射部11aから照射された電磁波の他の一部は、経路P1以外にも、例えば、経路P2のように、帯状体SのエッジE1で散乱して第2アンテナ10bに向けて伝搬する場合もある。このように、帯状体Sに対する電磁波の入射角が大きい場合、経路P2に従って伝搬する電磁波の他の一部は、第1アンテナ10aの第1検出部12aに入射せず検出されない。
【0052】
一方で、図6の(a)に示されるように、帯状体Sの幅が広い場合、第1アンテナ10aの第1照射部11aから照射された電磁波の一部は、経路P1に従って、同様にエッジE1で反射し第1検出部12aまで戻る。加えて、第1アンテナ10aの第1照射部11aから照射された電磁波の他の一部も、例えば、経路P2に従って第1検出部12aまで戻る場合もある。経路P2では、電磁波は、帯状体SのエッジE1で散乱し、帯状体Sの周囲を囲む枠Fなどの障害物でさらに反射して第1検出部12aに向けて伝搬する。このように、帯状体Sに対する電磁波の入射角が小さい場合、経路P2に従って伝搬する電磁波の他の一部も、第1アンテナ10aの第1検出部12aに入射し検出される。
【0053】
図7は、図1の測定装置10が実行する処理の内容を説明するための第2図である。図7は、図6の(a)に示されるようなケースで第1検出部12aにより出力される検出信号の一例を示す。図7の横軸は、第1アンテナ10aからの幅方向D2に沿った位置を示す。当該位置は、第1照射部11aで電磁波を照射してから第1検出部12aで電磁波が検出されるまでの時間を、式(1)と同様の式を用いて変換したものである。図7の縦軸は、検出信号における検出強度を示す。
【0054】
図6の(a)に示されるようなケースでは、第1検出部12aにより出力される検出信号は、一例として、経路P1に従った第1反射信号S1及び経路P2に従った第2反射信号S2の2つの反射信号を含む。このとき、仮に従来技術のように、反射強度が最大となるピークを有する信号波形がエッジE1での反射信号であると判別するような処理が実行されると、第2反射信号S2は、誤検出の原因となり得る。
【0055】
例えば、第1反射信号S1のピークの強度と第2反射信号S2のピークの強度との間の大小関係は、帯状体Sの幅寸法及び幾何配置などによって変化する。仮に、第2反射信号S2のピークの強度が第1反射信号S1のピークの強度よりも高くなると、帯状体SのエッジE1の実際の位置と異なる第2反射信号S2における位置が、エッジE1として誤検出されてしまう。このとき、誤検出した値に基づいて上記の蛇行制御が実行されるため、蛇行が収束せずに、逆に大きくなる可能性もある。
【0056】
水環境下又は粉塵環境下では、第1検出部12aにより出力される検出信号は、一例として、第1反射信号S1及び第2反射信号S2に加えてノイズ信号S3も含む。ノイズ信号S3は、水環境下又は粉塵環境下において水又は粉塵により電磁波が散乱又は反射することで得られる。ノイズ信号S3は、通常時はノイズレベルが低い一方で、検出強度が高い瞬時ノイズとして発生する場合もある。ノイズ信号S3は、本来の測定対象となるエッジE1とは異なる位置で電磁波が反射して得られる場合もある。例えば、図6に示される例では、ノイズ信号S3は、帯状体SのエッジE1からの第1反射信号S1よりも早いタイミングで検出信号に現れる。
【0057】
以上のように、第2反射信号S2及びノイズ信号S3について、検出強度が第1反射信号S1よりも高くなると、帯状体SのエッジE1の実際の位置と異なる第2反射信号S2又はノイズ信号S3における位置が、エッジE1として誤検出されてしまう。電磁波の乱反射又は散乱により帯状体SのエッジE1の実際の位置と異なる位置からの電磁波の強度が最大ピーク値となると、帯状体SのエッジE1が当該異なる位置として誤検出されてしまう。
【0058】
制御部14は、第1検出部12aにより出力される検出信号において、監視範囲R1及びマスク範囲R2を設定する。監視範囲R1は、例えば、帯状体SのエッジE1の位置を算出する通常の測定処理を実行するためにデータとして採用される検出信号の位置範囲又は時間範囲を含む。マスク範囲R2は、例えば、帯状体SのエッジE1の位置から明確にずれており、通常の測定処理においてデータとして採用する必要がない検出信号の位置範囲又は時間範囲を含む。
【0059】
例えば、図7に示される検出信号の例では、マスク範囲R2において最も大きな反射信号が得られているが、これは、図6の(a)に示される第1アンテナ10aと反対側に位置する第2アンテナ10b側の枠Fの壁面で反射した電磁波に起因するものである。マスク範囲R2については、原理上、帯状体SのエッジE1の位置に関する情報は含まれないので、制御部14は、このような反射信号が得られていたとしてもマスク範囲R2におけるデータを採用しない。
【0060】
上述した誤検出は、監視範囲R1において問題となる。したがって、制御部14は、第1反射信号S1に加え第2反射信号S2及びノイズ信号S3などの他の検出信号が監視範囲R1において得られたときに、これらの他の検出信号と第1反射信号S1とを正しく区別して、第1反射信号S1のみを検出信号から正確に特定する必要がある。
【0061】
そこで、制御部14は、第1検出部12aから出力される検出信号に対する複数の閾値に基づいて、検出信号に含まれるエッジE1での第1反射信号S1を判別する。制御部14は、複数の閾値に基づいて、ノイズとなる他の検出信号と第1反射信号S1とを区別して、対象となるエッジE1の位置を測定する。
【0062】
図8は、図1の測定装置10が実行する処理の内容を説明するための第3図である。図8は、2つの波形W1及び波形W2を示す。図8の(a)に示す波形W1は、例えば、図7に示される検出信号において第1反射信号S1のみを抽出し、第1反射信号S1の検出強度の時間変化を追ったときの波形を示す。図8の(b)に示す波形W2は、例えば、図7に示される検出信号においてノイズ信号S3のみを抽出し、ノイズ信号S3の検出強度の時間変化を追ったときの波形を示す。図8の横軸は、時間を示す。図8の縦軸は、検出強度を示す。
【0063】
帯状体SのエッジE1の位置は、幅方向D2に沿って連続的に変化する。帯状体SのエッジE1の位置が幅方向D2に沿って変化すると、第1アンテナ10aからエッジE1までの距離も変化する。したがって、エッジE1で反射して第1検出部12aに戻ってくる電磁波の強度も変化し、第1反射信号S1の検出強度が連続的に変化する。結果として、図8の(a)に示されるように、第1反射信号S1に基づく波形W1は、連続的に変化する。
【0064】
一方で、水環境下又は粉塵環境下でエッジE1以外の位置で反射する電磁波は、連続的に生じるわけではなく、その時々で生じる。したがって、ノイズ信号S3もその時々で生じることになる。結果として、図8の(b)に示されるように、ノイズ信号S3に基づく波形W2は、離散的で、かつスパイク状になる。
【0065】
水及び粉塵などによるノイズ信号S3の検出強度は、第1反射信号S1の検出強度に比べて低いのが通常である。したがって、制御部14は、検出強度に対する第1閾値Th1を設定する。制御部14は、第1閾値Th1によって、検出強度の低いノイズ信号S3と第1反射信号S1とを区別することができる。
【0066】
図9は、図1の測定装置10が実行する処理の内容を説明するための第4図である。図9は、図8の2つの波形W1及び波形W2のうち、波形W2のみを示す。
【0067】
水及び粉塵などによるノイズ信号S3の検出強度は、場合によっては、瞬時的に高くなることも想定される。このような場合、ノイズ信号S3も第1反射信号S1と同様に検出強度が第1閾値Th1を超えてしまい、第1閾値Th1を設定しただけでは、ノイズ信号S3と第1反射信号S1との区別が困難となる。これにより、ノイズ信号S3に基づく誤検出が発生してしまう。
【0068】
したがって、制御部14は、検出強度に対する第1閾値Th1に加えて、検出時間に対する第2閾値Th2も設定する。制御部14は、第1閾値Th1及び第2閾値Th2によって、検出強度が高くなった場合のノイズ信号S3と第1反射信号S1とを区別することができる。制御部14は、検出信号の検出強度が第1閾値Th1を超えている時間である検出時間が第2閾値Th2を超える場合にのみ、第1反射信号S1を決定する。以上により、制御部14は、ノイズ信号S3と第1反射信号S1とを明確に区別することができる。結果として、制御部14は、外乱による誤検出も抑制可能となる。
【0069】
制御部14は、検出信号における検出強度が第1閾値Th1よりも高く、かつ検出時間が第2閾値Th2よりも長い信号波形のうち最初のものを第1反射信号S1として判別する。このように、制御部14は、第1閾値Th1及び第2閾値Th2に基づく条件を満たすもののうち最速で戻ってきた電磁波のピークの時間で第1反射信号S1を特定する。これにより、上述した散乱及び乱反射に基づく第2反射信号S2の影響も無視することが可能となる。
【0070】
図10は、図1の測定装置10が実行する処理の内容を説明するための第5図である。図10の横軸は、図7と同様に、第1アンテナ10aからの幅方向D2に沿った位置を示す。図10の縦軸は、図7と同様に、検出信号における検出強度を示す。図10の(a)は、第1検出部12aにより出力される検出信号に対して、仮に従来技術のように、反射強度が最大となるピークを有する信号波形がエッジE1での反射信号であると判別するような処理が行われたときの比較例を示す。図10の(b)は、一実施形態に係る測定装置10の制御部14による上記の測定処理が行われたときの実施例を示す。
【0071】
図10に示されるように、検出信号において2つのピークが現れる場合を考える。例えば、図10に示される2つのピークのうち、左側のピークは、帯状体SのエッジE1で反射した電磁波に基づくピークであり、図7の第1反射信号S1に対応する。右側のピークは、散乱及び乱反射した電磁波に基づくピークであり、図7の第2反射信号S2に対応する。図7と同様に、監視範囲R1において2つの反射信号が得られている。
【0072】
図10の(a)に示されるように、このような検出信号に対して上記の従来技術が用いられる場合を考える。このとき、右側のピークの強度が左側のピークの強度よりも高いと、右側のピークに対して第1反射信号S1が決定され、エッジE1の位置が誤検出される。
【0073】
一方で、図10の(b)に示されるように、このような検出信号に対して一実施形態に係る測定装置10の制御部14による上記の測定処理が用いられる場合を考える。このとき、制御部14は、第1閾値Th1及び第2閾値Th2に基づく条件を満たすもののうち最速で戻ってきた電磁波のピークの時間で第1反射信号S1を特定する。したがって、制御部14は、右側のピークの強度が左側のピークの強度よりも高くても、左側のピークを第1反射信号S1として正確に決定する。制御部14は、帯状体SのエッジE1で反射した電磁波の第1反射信号S1を左側のピークで正しく検出しており、良好な結果が得られた。
【0074】
図11は、図1の測定装置10が実行する処理の内容を説明するための第6図である。図11の横軸は、図7と同様に、第1アンテナ10aからの幅方向D2に沿った位置を示す。図11の縦軸は、図7と同様に、検出信号における検出強度を示す。図11の(a)は、第1検出部12aにより出力される検出信号に対して、一実施形態に係る測定装置10の制御部14による上記の測定処理が行われたときの実施例を示す。図11の(b)は、仮に第1閾値Th1に基づく処理を実行せずに、単純に最速で戻ってきた電磁波の検出信号に基づいてエッジE1の位置を算出する処理が行われたときの比較例を示す。
【0075】
図11に示されるように、検出信号において2つのピークが現れる場合を考える。例えば、図11に示される2つのピークのうち、右側のピークは、帯状体SのエッジE1で反射した電磁波に基づくピークであり、図7の第1反射信号S1に対応する。左側のピークは、散乱又は乱反射した電磁波に基づくピークであり、図7のノイズ信号S3に対応する。図7と同様に、監視範囲R1において2つの反射信号が得られている。
【0076】
図11の(b)に示されるように、このような検出信号に対して上記の比較例での処理が用いられる場合を考える。このとき、最速で戻ってきた電磁波の検出信号に基づいてエッジE1の位置が算出されるので、左側のピークに対して第1反射信号S1が決定され、エッジE1の位置が誤検出される。
【0077】
一方で、図11の(a)に示されるように、このような検出信号に対して一実施形態に係る測定装置10の制御部14による上記の測定処理が用いられる場合を考える。このとき、制御部14は、第1閾値Th1及び第2閾値Th2に基づく処理を実行する。したがって、制御部14は、検出強度が第1閾値Th1以下となる左側のピークではなく、右側のピークを第1反射信号S1として正確に決定する。制御部14は、帯状体SのエッジE1で反射した電磁波の第1反射信号S1を右側のピークで正しく検出しており、良好な結果が得られた。このように、水及び粉塵などの外乱による影響を排除することが可能となった。
【0078】
以上のような一実施形態に係る測定方法及び測定装置10によれば、帯状体Sの幅方向D2における端部の位置をより精度良く測定することが可能である。測定装置10は、検出部12から出力される検出信号に対する複数の閾値に基づいて、検出信号に含まれる端部での第1反射信号S1を判別する。これにより、測定装置10は、第1閾値Th1に基づいて、検出強度の低いノイズ信号S3を第1反射信号S1と区別して端部の位置の算出処理から除外することが可能となる。測定装置10は、第2閾値Th2に基づいて、検出強度の高いノイズ信号S3を第1反射信号S1と区別して端部の位置の算出処理から除外することが可能となる。以上により、測定装置10は、帯状体Sの端部ではない位置から戻ってくる電磁波による当該端部の位置の誤検出を抑制可能である。
【0079】
加えて、測定装置10は、第1閾値Th1及び第2閾値Th2に関する条件を満たす信号波形のうち最初のものを第1反射信号S1として判別する。これにより、測定装置10は、本来の対象とは異なる反射波に基づく第2反射信号S2を第1反射信号S1と区別して端部の位置の算出処理から除外することが可能となる。測定装置10は、本来の対象となる帯状体Sの端部での反射波が最短経路で戻ってくることを前提に、当該反射波を時間の早さで他の反射波と区別することが可能となる。したがって、測定装置10は、電磁波の経路長が最短となる位置にある帯状体Sの端部を正確に検出することが可能である。
【0080】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行うことが可能であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成又は各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0081】
例えば、上述した各構成部の形状、大きさ、パターン、配置、向き、種類、及び個数などは、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の形状、大きさ、パターン、配置、向き、種類、及び個数などは、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。
【0082】
例えば、スマートフォン又はコンピュータなどの汎用の電子機器を、上述した実施形態に係る測定装置10として機能させる構成も可能である。具体的には、実施形態に係る測定装置10の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、電子機器のメモリに格納し、電子機器のプロセッサにより当該プログラムを読み出して実行させる。したがって、本開示は、プロセッサが実行可能なプログラムとしても実現可能である。
【0083】
又は、本開示は、一実施形態に係る測定装置10などに各機能を実行させるために1つ又は複数のプロセッサにより実行可能なプログラムを記憶した非一時的なコンピュータ読取可能な媒体としても実現し得る。本開示の範囲には、これらも包含されると理解されたい。
【0084】
上記実施形態では、複数の閾値は、検出強度に対する第1閾値Th1及び検出時間に対する第2閾値Th2を含むと説明したが、これに限定されない。複数の閾値の数及び種類は、測定装置10による上記の測定処理が実行可能であれば、任意に構成されてもよい。例えば、複数の閾値は、3つ以上の閾値を含んでもよい。
【0085】
上記実施形態では、測定装置10は、第1閾値Th1及び第2閾値Th2に関する条件を満たす信号波形のうち最初のものを第1反射信号S1として判別すると説明したが、これに限定されない。測定装置10は、例えば、照射部11と検出部12との間で本来の対象となる帯状体Sの端部での反射波が最短経路で戻ってこないことが明確に把握されるのであれば、当該端部での反射波の経路長の順番に対応する番号のものを第1反射信号S1として判別してもよい。
【0086】
上記実施形態では、測定装置10は、エッジE1、E2の両方の位置を測定すると説明したがこれに限定されない。測定装置10は、エッジE1、E2のいずれか一方の位置のみを測定してもよい。
【0087】
上記実施形態では、電磁波は、マイクロ波などを含むと説明したが、これに限定されない。電磁波は、帯状体Sの端部の位置を測定可能な任意の他の波長のものを含んでもよい。
【0088】
上記実施形態では、測定装置10は、制御システム1による蛇行制御に寄与するCPC装置としても機能すると説明したが、これに限定されない。測定装置10は、CPC装置に代えて、TOF(Time Of Flight)法に基づく位置検出器にも応用可能である。
【0089】
上記実施形態では、帯状体Sは、鋼板などを含むと説明したが、これに限定されない。帯状体Sは、鋼板以外の他の帯状又はシート状の対象を含んでもよい。
【0090】
上記実施形態では、測定装置10は、プロセスラインLにおける帯状体Sの蛇行を制御するために、プロセスラインL上を上流から下流に向けて移動する帯状体Sに対して端部の位置を測定しているが、これに限定されない。測定装置10は、例えば、試験的な目的に応じて、所定の方向に移動せずに停止している帯状体Sに対しても同様に端部の位置を測定してもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 制御システム
10 測定装置
10a 第1アンテナ
10b 第2アンテナ
10c コントローラ
10d 制御盤
11 照射部
11a 第1照射部
11b 第2照射部
12 検出部
12a 第1検出部
12b 第2検出部
13 記憶部
14 制御部
20 油圧装置
30 シリンダー
40 検出装置
C 中心
D1 搬送方向
D2 幅方向
E1 エッジ
E2 エッジ
F 枠
L プロセスライン
P1 経路
P2 経路
R ステアリングロール
R1 監視範囲
R2 マスク範囲
S 帯状体
S1 第1反射信号
S2 第2反射信号
S3 ノイズ信号
Th1 第1閾値
Th2 第2閾値
W1 波形
W2 波形
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11