(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118364
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0241 20230101AFI20240823BHJP
【FI】
G06Q30/0241 444
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024739
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水口 弘紀
(72)【発明者】
【氏名】周 天洋
(72)【発明者】
【氏名】小久保 久美子
(72)【発明者】
【氏名】若林 慧
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB08
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】広告作成を適切に支援すること。
【解決手段】本発明に係る情報処理装置は、配信候補となる広告画像の色関連情報を他の色関連情報に変換した変換画像を生成する生成部と、広告画像と、変換画像とのそれぞれについて広告効果を推定する推定部と、広告画像よりも広告効果が高いと推定された変換画像に基づいて、前記広告画像の改善内容を提案する提案部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配信候補となる広告画像の色関連情報を他の色関連情報に変換した変換画像を生成する生成部と、
前記広告画像と、前記変換画像とのそれぞれについて広告効果を推定する推定部と、
前記広告画像よりも広告効果が高いと推定された前記変換画像に基づいて、前記広告画像の改善内容を提案する提案部と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記生成部は、
前記広告画像に含まれるテキストの色を変換した前記変換画像を生成し、
前記提案部は、
前記改善内容として、前記テキストの候補色を提案すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記提案部は、
前記改善内容として、前記テキストに対して複数の候補色を提案すること
を特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記提案部は、
前記改善内容として、前記テキストの候補色の系統を提案すること
を特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記提案部は、
前記改善内容として、前記広告画像のブランドカラーにあわせた候補色を提案すること
を特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記生成部は、
前記広告画像に含まれるテキストの色をカラーパレットに基づいて変換した前記変換画像を生成し、
前記提案部は、
前記改善内容として、前記テキストの候補色を前記カラーパレットで提案すること
を特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記生成部は、
前記広告画像のテキストを異なる文字数へ変換した前記変換画像を生成し、
前記提案部は、
前記改善内容として、前記テキストの文字数を提案すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記生成部は、
前記広告画像のテキストの配置を変更した前記変換画像を生成し、
前記提案部は、
前記改善内容として、前記テキストの候補配置を提案すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記生成部は、
前記広告画像のテキストのフォントサイズを変更した前記変換画像を生成し、
前記提案部は、
前記改善内容として、前記テキストの候補フォントサイズを提案すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記広告画像の配信結果に基づいて、前記色関連情報と、前記広告画像の広告効果との間の関係性をモデルに学習させる学習部
を備え、
前記推定部は、
前記色関連情報を前記モデルに入力することで、前記広告画像と、前記変換画像とのそれぞれについて広告効果を推定すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
配信候補となる広告画像の色関連情報を他の色関連情報に変換した変換画像を生成する生成工程と、
前記広告画像と、前記変換画像とのそれぞれについて広告効果を推定する推定工程と、
前記広告画像よりも広告効果が高いと推定された前記変換画像に基づいて、前記広告画像の改善内容を提案する提案工程と
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
配信候補となる広告画像の色関連情報を他の色関連情報に変換した変換画像を生成する生成手順と、
前記広告画像と、前記変換画像とのそれぞれについて広告効果を推定する推定手順と、
前記広告画像よりも広告効果が高いと推定された前記変換画像に基づいて、前記広告画像の改善内容を提案する提案手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットを介して、ニュースや広告等のコンテンツを配信する技術が知られている。このようなコンテンツを配信する技術の一例として、広告効果を予測する予測モデルを用いて、配信前の広告画像の広告効果を推定する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、広告画像に関する広告効果を推定するに過ぎず、広告作成を適切に支援するうえで改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、広告作成を適切に支援することができる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、配信候補となる広告画像の色関連情報を他の色関連情報に変換した変換画像を生成する生成部と、前記広告画像と、前記変換画像とのそれぞれについて広告効果を推定する推定部と、前記広告画像よりも広告効果が高いと推定された前記変換画像に基づいて、前記広告画像の改善内容を提案する提案部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、広告作成を適切に支援するができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報提供装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る広告情報記憶部の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る広告情報記憶部の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る推定モデルの概念図である。
【
図7】
図7は、広告画像に含まれる各色の構成比率の説明図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る広告画像の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る改善内容の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る学習処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施形態に係る提案処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施形態に係る情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する。)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムが限定されるものではない。
【0010】
[実施形態]
〔1.情報処理〕
まず、
図1および
図2を用いて、実施形態に係る情報処理の一例について説明する。
図1および
図2は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。なお、実施形態に係る情報処理は、
図1に示す情報処理装置1によって実現される。
【0011】
図1に示す情報処理装置1は、たとえば、広告主等のクライアントによる広告作成を支援する装置であり、たとえば、クラウドやサーバ装置によって実現される。
図1に示すように、情報処理装置1は、クライアント端末100から広告画像の候補となる広告候補を受け付ける(ステップS1)。なお、広告候補は、配信前の広告画像であるが、既に配信中の広告画像であってもよい。
【0012】
つづいて、情報処理装置1は、広告候補の改善内容に関する各種処理を実行し(ステップS2)、クライアント端末100に対して改善内容を提案する(ステップS3)。本実施形態において、情報処理装置1は、広告効果の向上させる観点で、広告候補の改善内容の提案を行う。
【0013】
本実施形態では、広告効果として、クリック率(以下CTR;Click Through Rate)を用いるが、広告効果はCVR(Conversion Rate)等のコンバージョンに関する指標であってもよいし、レベニューシェア等の報酬に関する指標でであってもよい。
【0014】
次に、
図2を用いて、
図1に示す改善内容に関する各種処理の具体例について説明する。
図2に示すように、情報処理装置1は、クライアントから受け取った広告画像を基に変換画像を生成する(ステップS11)。変換画像は、たとえば、広告画像の色を他の色へ変換した画像である。
【0015】
たとえば、情報処理装置1は、広告画像からOCR(Optical Character Recognition)等の手法を用いて、テキスト領域を抽出し、抽出したテキスト領域の色を他の色へ変換することで変換画像を生成する。なお、この際、情報処理装置1は、テキスト領域の色に加え、テキストのフォントサイズや配置、文字列を適宜変更した変換画像についてもあわせて生成する。
【0016】
つづいて、情報処理装置1は、生成した変換画像のCTRを推定する(ステップS12)。後述するように、CTRの推定に先立って、情報処理装置1は、広告画像の色関連情報と、広告画像のCTRとの間の関係性をモデル(以下、推定モデル)に学習させる。
【0017】
そして、情報処理装置1は、変換画像の色関連情報を入力とし、推定モデルから出力される値を変換画像のCTRとして推定する。情報処理装置1は、これらの処理の結果に基づいて、広告候補の改善内容を決定する(ステップS13)。
【0018】
図2には、広告候補を元画像として変換画像#1~#3を生成し、これらの変換画像の予測CTRの推定結果を示している。変換画像#3の予測CTRは「d」であり、元画像の予測CTR「a」よりも大きい値であり、変換画像#1および変換画像#2の予測CTRは、元画像の予測CTR「a」よりも小さい値である。
【0019】
すなわち、
図2では、広告候補よりも変換画像#3の方が高いCTRが見込まれることを示している。そのため、情報処理装置1は、改善内容として変換画像#3の変更内容である「変更#3」を提案する。
【0020】
このように、実施形態に係る情報処理装置1は、広告候補から変換画像を生成し、広告候補のCTRと、生成した変換画像のCTRとの比較結果に基づいて、広告候補の改善内容を提案する。したがって、実施形態に係る情報処理装置1によれば、広告効果を向上させるための改善内容を提案することができる。
【0021】
また、実施形態に係る情報処理装置1は、広告画像の色関連情報に着目し、色関連情報と広告効果との間の関係性をモデルに学習させる。したがって、実施形態に係る情報処理装置1によれば、広告画像の広告指標を精度よく推定することができる。
【0022】
したがって、実施形態に係る情報処理装置1によれば、広告作成を適切に支援することができる。
【0023】
〔2.情報処理装置〕
次に、
図3を用いて、実施形態に係る情報処理装置1の構成例について説明する。
図3は、実施形態に係る情報処理装置1の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、情報処理装置1は、通信部2と、記憶部3と、制御部4とを備える。なお、情報処理装置1は、情報処理装置1を利用する管理者などから各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウスなど)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイなど)を有してもよい。
【0024】
通信部2は、例えば、NIC(Network Interface Card)などによって実現される。通信部2は、4G(4th Generation)または5G(5th Generation)などの通信ネットワークと有線または無線で接続され、通信ネットワークを介して、クライアント端末100などの各々との間で情報の送受信を行う。
【0025】
記憶部3は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。記憶部3は、配信履歴記憶部31と、広告情報記憶部32と、推定モデル記憶部33と、生成モデル記憶部34とを有する。
【0026】
配信履歴記憶部31は、配信履歴を記憶する。
図4は、実施形態に係る配信履歴記憶部31の一例を示す図である。
図4に示すように、配信履歴記憶部31は、「日時」、「広告ID」、「利用者情報」、「配信媒体」、「Click」などといった項目の情報を互いに対応付けて記憶する。
【0027】
「日時」項目には、広告を配信した日時に関する情報が格納される。「広告ID」項目には、配信した広告を識別するための識別子に関する情報が格納される。「利用者情報」項目には、広告が配信された利用者に関する情報が格納される。
【0028】
「配信媒体」項目には、広告が配信された媒体に関する情報が格納される。「Click」項目には、対応する広告のクリックの有無に関する情報が格納される。たとえば、「Click」項目には、広告がクリックされた場合に「1」、広告がクリックされなかった場合に「0」が格納されることになる。
【0029】
図3の説明に戻り、広告情報記憶部32について説明する。広告情報記憶部32は、広告情報を記憶する。広告情報は、過去に配信した広告に関する情報であり、推定モデルの学習データとなる。
【0030】
図5は、実施形態に係る広告情報記憶部32の一例を示す図である。
図5に示すように、広告情報記憶部32は、「広告ID」、「広告主情報」、「広告対象」、「画像」、「テキスト」、「色関連情報」、「CTR」などといった項目の情報を互いに対応付けて記憶する。
【0031】
「広告ID」項目には、広告を識別するための識別子に関する情報が格納される。「広告主情報」項目には、対応する広告IDによって識別される広告の広告主に関する情報が格納される。広告主情報は、広告主の企業名、業種、コーポレートカラー等に関する情報を含む。
【0032】
「広告対象」項目には、対応する広告IDによって識別される広告対象に関する情報が格納される。広告対象は、広告によって宣伝する商品やサービスに関する情報、広告の目的に関する情報を含む。なお、広告の目的は、たとえば、リターゲティングの有無であるが、認知度の拡大等を含む。
【0033】
「画像」項目は、対応する広告IDによって識別される広告の広告画像が格納される。「テキスト」項目は、対応する広告IDによって識別される広告の広告画像に含まれるテキストが格納される。
【0034】
「色関連情報」項目は、対応する広告IDによって識別される広告の広告画像から抽出される色に関連する色関連情報が格納される。なお、色関連情報の具体例については後述する。「CTR」項目には、対応する広告IDによって識別される広告のCTRに関する情報が格納される。なお、ここでのCTRは、実績値であり、広告効果の一例である。
【0035】
図3の説明に戻り、推定モデル記憶部33について説明する。推定モデル記憶部33は、推定モデルを記憶する。推定モデルは、広告画像と、広告効果との間の関係性を学習したモデルである。たとえば、推定モデルは、広告画像の色関連情報やテキストと、広告効果との間の関係性を学習したモデルである。
【0036】
生成モデル記憶部34は、生成モデルを記憶する。生成モデルは、広告画像を変換した変換画像を生成するようにプログラムされたモデルである。たとえば、生成モデルは、広告画像の色関連情報や、テキストを変換した変換画像を生成する。
【0037】
次に、制御部4について説明する。制御部4は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などによって、情報処理装置1内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部4は、例えば、コントローラであり、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路により実現される。
【0038】
図3に示すように、制御部4は、取得部41と、抽出部42と、学習部43と、生成部44と、推定部45と、提案部46とを備え、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部4の内部構成は、
図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部4が有する各処理部の接続関係は、
図3に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0039】
取得部41は、通信部2を介して、クライアント端末100から広告画像を含む提案要求を取得する。また、取得部41は、通信部2を介して、広告を配信する配信サーバ(不図示)から各広告の配信履歴に関する情報を取得する。
【0040】
抽出部42は、既存の広告画像およびクライアント端末100から提案要求が行われた広告候補から色関連情報を抽出する。色関連情報は、広告画像に含まれる各色の構成比率、各色の配置(場所)、色相、明度、彩度、露出、コントラスト、ハイライト、シャドウ、テキストと背景との差分(コントラスト比)等に関する情報を含む。
【0041】
また、抽出部42は、既存の広告画像から抽出した色関連情報を広告情報記憶部32へ格納し、クライアント端末100から提案要求が行われた広告候補から抽出した色関連情報を学習部43へ渡す。
【0042】
また、抽出部42は、OCR等を用いて、広告画像あるいは広告候補からテキストを抽出する。また、抽出部42は、たとえば、物体検知に関する技術を用いて、広告画像あるいは広告候補の広告素材に映る被写体を検出する。
【0043】
学習部43は、広告画像と、広告効果との関係性を推定モデルに学習させる。たとえば、学習部43は、広告画像の色関連情報と、広告効果との関係性を推定モデルに学習させる。
【0044】
図6は、実施形態に係る推定モデルの概念図である。
図6に示すように、推定部45は、広告画像と、配信履歴から推定モデルの学習を行う。具体的には、推定部45は、広告画像の色関連情報と、当該広告画像の配信履歴から算出されたCTRとを推定モデルに学習させる。
【0045】
色関連情報は、広告画像に含まれる各色の構成比率、各色の配置(場所)、色相、明度、彩度、露出、コントラスト、ハイライト、シャドウ、テキストと背景との差分(コントラスト比)等に関する情報を含む。
【0046】
ここで、広告画像に含まれる各色の構成比率について
図7を用いて説明する。
図7は、広告画像に含まれる各色の構成比率の説明図である。たとえば、上述の抽出部42は、広告画像を減色した減色画像から各色の構成比率を色関連情報として抽出する。
【0047】
図7に示す例では、「白」、「黒」、「黄」、「橙」、「赤」、「青」、「緑」の計7色に減色した場合を示し、それぞれの色のピクセル数を各色の構成比率として示している。なお、構成比率については上記7色に限定されるものではなく、より多い色について構成比率を算出するようにしてもよく、より少ない色について構成比率を算出するようにしてもよい。
【0048】
学習部43は、これらの各色の構成比率を一つの学習パラメータとして推定モデルに学習させる。また、上述の通り、学習部43は、各色の配置(場所)、色相、明度、彩度、露出、コントラスト、ハイライト、シャドウ、テキストと背景との差分(コントラスト比)等をそれぞれ学習パラメータとして推定モデルに学習させる。
【0049】
また、学習部43は、色関連情報と、広告効果との関係性を季節ごとに推定モデルに学習させるようにしてもよい。この場合、学習部43は、季節ごとの広告効果を推定モデルに学習させることになる。
【0050】
また、学習部43は、業種毎に推定モデルを学習させるようにしてもよい。この場合、業種別に推定モデルの最適化を図ることができる。また、学習部43は、色関連情報の他、広告のターゲットユーザ、広告素材に関する情報、広告目的を学習パラメータとして推定モデルに学習させるようにしてもよい。なお、広告素材に関する情報は、広告素材に使われている物、人、キャラクター等を含む。
図8にて後述する広告画像において、広告素材はマンションとなる。
【0051】
図4の説明に戻り、生成部44について説明する。生成部44は、生成モデル記憶部34に格納された生成モデルを用い、広告候補の色関連情報を変換した変換画像を生成する。たとえば、生成部44は、抽出部42によって抽出された広告候補の色関連情報を他の色関連情報へそれぞれ変換した複数の変換画像を生成する。
【0052】
たとえば、生成部44は、広告画像に含まれるテキストの色関連情報を変換した変換画像を生成し、テキストの色や配置、フォントサイズ等を変換した変換画像を生成する。たとえば、生成部44は、テキストの配色等がそれぞれ少しずつ異なる複数の変換画像を生成する。この際、たとえば、生成部44は、フォントの配置が異なる複数の変換画像についてもあわせて生成する。
【0053】
また、生成部44は、あらかじめ作成された複数の配色パターンにあわせて、テキストの色関連情報を変換した変換画像するようにしてもよい。たとえば、配色パターンは、予め作成されたカラーパレットであり、生成部44は、カラーパレットを参照し、カラーパレット内の配色パターンでテキストの色関連情報を変換した変換画像する。
【0054】
また、生成部44は、色関連情報に加え、広告画像のテキストの文字数を変換した変換画像を生成する。たとえば、生成部44は、テキストの文字数が異なる複数の広告画像を生成する。
【0055】
推定部45は、広告候補と、変換画像それぞれについて広告効果を推定し、推定した広告効果に関する情報を提案部46へ渡す。推定部45は、学習部43によって学習が行われた推定モデルに対して広告画像の推定対象となる広告画像を入力し、出力される値を広告効果として推定する。たとえば、推定部45は、推定対象となる広告画像の色関連情報を推定モデルに入力し、出力される値を広告効果として推定する。
【0056】
また、この際、推定部45は、たとえば、色関連情報に加え、広告のターゲットユーザ、広告素材に関する情報、広告目的をあわせて推定モデルに入力し、広告効果を推定するようにしてもよい。
【0057】
また、推定部45は、変換画像のテキスト情報を、さらに、推定モデルに入力し、広告効果を推定するようにしてもよい。この場合、推定部45は、テキストの文字数ごとの広告効果を推定する。
【0058】
提案部46は、広告画像よりも広告効果が高いと推定された変換画像に基づいて、広告画像の改善内容をクライアントへ提案する。提案部46は、変換画像のうち、元の広告画像よりも広告効果が高い変換画像の変更内容を改善内容としてクライアントへ提案する。
【0059】
改善内容は、テキストの候補色、テキストの文字数、テキストの候補配置、テキストの候補フォントサイズなどといった各項目を含む。たとえば、提案部46は、テキストの候補色を提案する場合、複数の候補色を提案する。
【0060】
ここで、
図8および
図9を用いて、広告画像および改善内容の具体例について説明する。
図8は、実施形態に係る広告画像の一例を示す図である。
図9は、実施形態に係る改善内容の一例を示す図である。
【0061】
図8に示す例において、広告画像Aは、新築マンションに関する広告であり、販売対象となるマンションの外観図と、複数のテキスト領域ta1~ta4が含まれる。
図8に示すように、テキスト領域ta1には、駅からの距離、テキスト領域ta2には、間取り、テキスト領域ta3には、毎月の支払額、テキスト領域ta4には、利用者に行動を喚起させるための文言がそれぞれ掲載される。なお、
図8においてテキスト領域ta4は、CTA(Call To Action)である。
【0062】
たとえば、上述した生成部44は、テキスト領域ta1~ta4に含まれる各テキストの色を変換した変換画像を生成し、推定部45は、各変換画像について広告効果が推定する。
【0063】
その結果、提案部46は、
図9に示すような改善内容の提案を行う。
図9では、メインテキスト、強調したいテキスト数字、CTA内色面などといった項目毎に、広告効果の向上が期待できる色相(Hue)が提案される。
【0064】
また、
図9に示すように、提案部46は、各項目の色相(Hue)で提案する色をベースとして、さらに彩度(Saturation)や、明度(Brightness)がそれぞれ異なる複数の色を各項目について提案する。
【0065】
すなわち、提案部46は、複数の色候補を提案することにより、クライアントに対して複数の選択肢を提案することができる。この際、たとえば、提案部46は、カラーパレット単位で候補色の提案を行うようにしてもよいし、あるいは、候補色の系統を提案するようにしてもよい。候補色の系統は、たとえば、暖色系、寒色系、中性色系等で表現される。
【0066】
また、提案部46は、広告主である企業のコーポレートカラーにあわせた候補色を提案するようにしてもよい。換言すれば、提案部46は、コーポレートカラーと類似する系統の候補色を提案する。これにより、クライアントは、コーポレートカラーにあわせて改善を行うことができる。
【0067】
また、たとえば、提案部46は、色網を考慮して候補色を提案するようにしてもよい。たとえば、日本では、赤系統と緑系統の区別が難しい赤緑色覚以上である人の割合が、諸外国に比べて多いとされている。そのため、提案部46は、色網の方が区別しやすいとされる色を候補色を提案することによって、色網の方にとって改善内容を提案することができる。
【0068】
また、提案部46は、テキストの候補配置、テキストの文字数、候補フォントサイズを改善内容として提案する。たとえば、提案部46は、テキストの文字数を改善内容として提案する場合、たとえば、CTRが最も高くなる文字数を提案するようにしてもよく、CTRが高くなる文字数と現在の文字数との対比結果を提案するようにしてもよい。
【0069】
候補色の提案に加え、これらのテキストの候補配置、テキストの文字数、候補フォントサイズの提案を行うことにより、クライアントでは、より広告効果の高い広告の作成が可能となる。
【0070】
〔3.処理フロー〕
次に、
図10および
図11を用いて、実施形態に係る情報処理装置1の処理手順について説明する。
図10は、実施形態に係る学習処理の一例を示すフローチャートである。
図11は、実施形態に係る提案処理の一例を示すフローチャートである。
【0071】
図10に示すように、情報処理装置1は、広告情報記憶部32に格納された広告画像から色関連情報を抽出し(ステップS101)、対応する広告画像のCTR実績を抽出する(ステップS102)。
【0072】
つづいて、情報処理装置1は、色関連情報およびCTR実績をモデルに学習させる(ステップS103)。つづいて、情報処理装置1は、すべての広告画像について学習を終了したか否かを判定し(ステップS104)、すべての広告画像について終了したと判定した場合(ステップS104:Yes)、処理を終了する。
【0073】
また、情報処理装置1は、すべてのすべての広告画像について学習を終了していないと判定した場合(ステップS104:No)、ステップS101の処理へ移行する。
【0074】
次に、
図11を用いて、実施形態に係る提案処理について説明する。
図11に示すように、情報処理装置1は、広告候補から変換画像を生成する(ステップS111)。つづいて、情報処理装置1は、変換画像のCTRを推定する(ステップS112)。
【0075】
つづいて、情報処理装置1は、変換画像のCTRが広告候補のCTRより高いか否かを判定する(ステップS113)。情報処理装置1は、変換画像のCTRが広告候補のCTRより高いと判定した場合(ステップS113;Yes)、当該変換画像を提案候補に追加する(ステップS114)。
【0076】
情報処理装置1は、提案候補に追加した広告候補数が閾値を超えたか否かを判定し(ステップS115)、広告候補数が閾値を超えたと判定した場合(ステップS115:Yes)、提案候補に基づいて、改善内容を生成する(ステップS116)。
【0077】
そして、情報処理装置1は、改善内容を提案し(ステップS117)、処理を終了する。また、情報処理装置1は、ステップS113の判定において、変換画像のCTRが広告候補のCTRより低いと判定した場合(ステップS113;No)、あるいは、ステップS115の判定において、広告候補数が閾値以下と判定した場合(ステップS115:No)、ステップS111の処理へ移行する。
【0078】
〔4.変形例〕
上述した実施形態では、広告画像について広告効果を推定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、動画サイトに投稿される動画のサムネイル画像を対象として、視聴回数を推定するようにしてもよく、また、商品のパッケージを対象として、売上等を推定するようにしてもよい。
【0079】
〔5.効果〕
実施形態に係る情報処理装置1は、配信候補となる広告画像の色関連情報を他の色関連情報に変換した変換画像を生成する生成部44と、広告画像と、変換画像とのそれぞれについて広告効果を推定する推定部45と、広告画像よりも広告効果が高いと推定された変換画像に基づいて、広告画像の改善内容を提案する提案部46とを備える。
【0080】
また、生成部44は、広告画像に含まれるテキストの色を変換した変換画像を生成し、提案部46は、改善内容として、テキストの候補色を提案する。また、提案部46は、改善内容として、テキストに対して複数の候補色を提案する。
【0081】
また、提案部46は、改善内容として、テキストの候補色の系統を提案する。提案部46は、改善内容として、広告画像のブランドカラーにあわせた候補色を提案する。また、提案部46は、改善内容として、広告画像のブランドカラーにあわせた候補色を提案する。また、生成部44は、広告画像に含まれるテキストの色をカラーパレットに基づいて変換した変換画像を生成し、提案部46は、改善内容として、テキストの候補色をカラーパレットで提案する。
【0082】
また、生成部44は、広告画像のテキストを異なる文字数へ変換した変換画像を生成し、提案部46は、改善内容として、テキストの文字数を提案する。また、生成部44は、広告画像のテキストの配置を変更した変換画像を生成し、提案部46は、改善内容として、テキストの候補配置を提案する。
【0083】
また、生成部44は、広告画像のテキストのフォントサイズを変更した変換画像を生成し、提案部46は、改善内容として、テキストの候補フォントサイズを提案する。また、情報処理装置1は、広告画像の配信結果に基づいて、色関連情報と、広告画像の広告効果との間の関係性をモデルに学習させる学習部43を備え、推定部45は、色関連情報をモデルに入力することで、広告画像と、変換画像とのそれぞれについて広告効果を推定する。
【0084】
上述した各処理のいずれかもしくは組合せにより、本願に係る情報処理装置は、広告作成を適切に支援することができる。
【0085】
〔6.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る情報処理装置1は、例えば
図12に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図12は、実施形態に係る情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0086】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0087】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、ネットワーク(通信ネットワーク)Nを介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータをネットワークNを介して他の機器へ送信する。
【0088】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置(
図12では、出力装置および入力装置を総称して「入出力装置」と記載する)を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0089】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0090】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る情報処理装置として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部4の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置からネットワークNを介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0091】
〔7.その他〕
以上、本願の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0092】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0093】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0094】
例えば、上述した情報処理装置は、複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティング等で呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0095】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0096】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0097】
1 情報処理装置
2 通信部
3 記憶部
4 制御部
31 配信履歴記憶部
32 広告情報記憶部
33 推定モデル記憶部
34 生成モデル記憶部
41 取得部
42 抽出部
43 学習部
44 生成部
45 推定部
46 提案部