(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118365
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0242 20230101AFI20240823BHJP
G06Q 30/0241 20230101ALI20240823BHJP
【FI】
G06Q30/0242
G06Q30/0241 444
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024740
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米崎 靖弘
(72)【発明者】
【氏名】小久保 久美子
(72)【発明者】
【氏名】若林 慧
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 健介
(72)【発明者】
【氏名】藪(土屋) 茉奈美
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB08
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】広告作成を適切に支援すること。
【解決手段】本発明に係る情報処理装置は、広告コンテンツから利用者に対して広告コンテンツの選択を促す範囲を抽出する抽出部と、抽出部によって抽出された範囲に含まれるテキストに基づいて、広告コンテンツの目的を特定する特定部と、広告コンテンツの配信結果に基づいて、特定部によって特定された広告コンテンツの目的と、テキストとから、広告コンテンツの広告効果を推定するようにモデルを学習させる学習部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告コンテンツから利用者に対して前記広告コンテンツの選択を促す範囲を抽出する抽出部と、
前記抽出部によって抽出された前記範囲に含まれるテキストに基づいて、前記広告コンテンツの目的を特定する特定部と、
前記広告コンテンツの配信結果に基づいて、前記特定部によって特定された前記広告コンテンツの目的と、前記範囲に含まれるテキストとから、前記広告コンテンツの広告効果を推定するようにモデルを学習させる学習部と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記モデルを用いて、推定対象となる前記広告コンテンツの目的と、前記範囲に含まれるテキストとから前記広告効果を推定する推定部
を備えること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記広告コンテンツの前記範囲に含まれるテキストを前記広告コンテンツの目的にあわせて他のテキストへ変換した変換画像を生成する生成部と、
前記推定部による推定結果に基づき、前記広告効果が向上すると推定される前記変換画像を提案する提案部と
を備えること
を特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記生成部は、
前記広告コンテンツの前記範囲の配置を変更した前記変換画像を生成し、
前記提案部は、
前記広告効果が向上すると推定される前記範囲の配置を変更した前記変換画像を提案すること
を特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記生成部、
クライアントから指定された前記広告コンテンツの目的に応じたテキストと、変換画像用の背景画像とを組み合わせた前記変換画像を生成し、
前記提案部は、
前記広告効果が向上すると推定される前記変換画像を提案すること
を特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記学習部は、
利用者を行動履歴に応じて分割したカテゴリごとに前記モデルを学習させ、
前記提案部は、
前記広告効果が向上すると推定される前記変換画像を前記カテゴリごとに提案すること
を特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記学習部は、
前記利用者の属性ごとの前記広告効果をモデルに学習させ、
前記推定部は、
前記広告コンテンツの目的と、前記範囲に含まれるテキストとから、前記利用者の属性ごとに前記広告効果を推定し、
前記提案部は、
前記広告効果が高い前記属性をターゲティング条件として提案すること
を特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記学習部は、
前記広告コンテンツの広告予算に関する情報を前記モデルに学習させること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
広告コンテンツから利用者に対して前記広告コンテンツの選択を促す範囲を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程によって抽出された前記範囲に含まれるテキストに基づいて、前記広告コンテンツの目的を特定する特定工程と、
前記広告コンテンツの配信結果に基づいて、前記特定工程によって特定された前記広告コンテンツの目的と、前記範囲に含まれるテキストとから、前記広告コンテンツの広告効果を推定するようにモデルを学習させる学習工程と
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
広告コンテンツから利用者に対して前記広告コンテンツの選択を促す範囲を抽出する抽出手順と、
前記抽出手順によって抽出された前記範囲に含まれるテキストに基づいて、前記広告コンテンツの目的を特定する特定手順と、
前記広告コンテンツの配信結果に基づいて、前記特定手順によって特定された前記広告コンテンツの目的と、前記範囲に含まれるテキストとから、前記広告コンテンツの広告効果を推定するようにモデルを学習させる学習手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、配信広告の作成を支援する技術がある。かかる技術として、実際に配信した広告と、広告効果との関係性をモデルに学習させる技術がある(例えば、特許文献1参照)。たとえば、かかるモデルを用いることで、配信前の広告の広告効果を事前に予測することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、広告作成を支援するうえで改善の余地があった。たとえば、従来技術では、CTA(Call To Action)が広告効果に与える影響については考慮されていなかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、広告作成を適切に支援することができる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、広告コンテンツから利用者に対して前記広告コンテンツの選択を促す範囲を抽出する抽出部と、前記抽出部によって抽出された前記範囲に含まれるテキストに基づいて、前記広告コンテンツの目的を特定する特定部と、前記広告コンテンツの配信結果に基づいて、前記推定部によって推定された前記広告コンテンツの目的と、前記テキストとから、前記広告コンテンツの広告効果を推定するようにモデルを学習させる学習部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、広告作成を適切に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る広告情報記憶部の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る配信履歴記憶部の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る背景画像記憶部の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る辞書情報記憶部の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、CTAが変換された変換画像の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る生成部による生成処理の説明図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る学習処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態に係る提案処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施形態に係る情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する。)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムが限定されるものではない。
【0010】
[実施形態]
〔1.情報処理〕
まず、
図1を用いて、実施形態に係る情報処理の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。なお、実施形態に係る情報処理は、
図1に示す情報処理装置1によって実現される。
【0011】
図1に示す情報処理装置1は、たとえば、広告主等のクライアントによる広告作成を支援する装置であり、たとえば、クラウドやサーバ装置によって実現される。
図1に示すように、情報処理装置1は、クライアント端末100から受け付けた入稿前の広告コンテンツに対して改善等を提案する情報処理装置である。
【0012】
図1に示すように、情報処理装置1は、推定モデルを有する。本実施形態において、推定モデルは、既に配信された広告コンテンツのCTA(Call To Action)および広告コンテンツの目的(以下、広告目的と記載する)と、広告効果との間の関係性を学習したモデルである。
【0013】
クライントによる広告コンテンツの改善提案に先立って、情報処理装置1は、既に配信された広告コンテンツのCTAおよび広告コンテンツの広告目的と、広告効果を用いて推定モデルの学習を行う(ステップS1)。推定モデルの学習段階において、情報処理装置1は、まず、広告コンテンツからCTA領域を抽出し、抽出したCTA領域のテキストから広告コンテンツの目的を特定する。
【0014】
たとえば、情報処理装置1は、CTA領域のテキストに対応する広告目的を示す辞書を参照し、CTA領域のテキストから広告目的を特定する。たとえば、CTA領域のテキストに「資料請求」の文言が含まれる場合、情報処理装置1は、その広告目的を「資料請求」として特定する。なお、CTA領域は、利用者に対して広告コンテンツの選択を促す範囲の一例に対応する。
【0015】
つづいて、推定モデルの学習段階において、情報処理装置1は、抽出したCTA領域のテキストと、特定した広告目的および対応する広告コンテンツの広告効果を正解データとして、推定モデルに学習させる。
【0016】
たとえば、これらの学習により推定モデルは、CTA領域のテキストおよび広告目的が入力された際に、広告効果を出力するモデルとなる。本実施形態では、広告効果として、クリック率(以下CTR;Click Through Rate)を用いるが、広告効果はCVR(Conversion Rate)等のコンバージョンに関する指標であってもよいし、レベニューシェア等の報酬に関する指標であってもよい。
【0017】
つづいて、情報処理装置1は、クライアント端末100から入稿前の広告コンテンツを取得し(ステップS2)、クライアント端末100から取得した広告コンテンツについて推定モデルを用いて広告効果を推定する(ステップS3)。
【0018】
たとえば、情報処理装置1は、広告コンテンツからCTA領域を抽出し、抽出したCTA領域のテキストから広告コンテンツの広告目的を特定し、これらを推定モデルに入力することで、推定モデルから出力される値を広告効果として推定する。
【0019】
そして、情報処理装置1は、推定した広告効果に関する情報をクライアント端末100に対して提供する(ステップS4)。これにより、クライアントは、広告効果をCTAの観点から現在の広告コンテンツの広告効果を知ることができる。なお、後述するように、情報処理装置1は、広告効果の向上が見込まれるCTAのテキストをクライアントへ提案することも可能である。すなわち、情報処理装置1は、現在のCTAのテキストよりも高い訴求効果が見込まれるCTAのテキストを提案することができる。
【0020】
このように、実施形態に係る情報処理装置1は、CTA領域のテキストおよび広告目的と、広告効果との関係性をモデルに学習させる。したがって、実施形態に係る情報処理装置1によれば、CTAが広告効果に与える影響を可視化することができるので、広告作成を適切に支援することができる。
【0021】
〔2.情報処理装置〕
次に、
図2を用いて、実施形態に係る情報処理装置1の構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る情報処理装置1の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、情報処理装置1は、通信部2と、記憶部3と、制御部4とを備える。なお、情報処理装置1は、情報処理装置1を利用する管理者などから各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウスなど)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイなど)を有してもよい。
【0022】
通信部2は、例えば、NIC(Network Interface Card)などによって実現される。通信部2は、4G(4th Generation)または5G(5th Generation)などの通信ネットワークと有線または無線で接続され、通信ネットワークを介して、クライアント端末100などの各々との間で情報の送受信を行う。
【0023】
記憶部3は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。記憶部3は、広告情報記憶部31と、配信履歴記憶部32と、推定モデル記憶部33と、生成モデル記憶部34と、背景画像記憶部35と、辞書情報記憶部36とを有する。
【0024】
広告情報記憶部31は、広告情報を記憶する。広告情報は、既に配信された広告に関する情報である。
図3は、実施形態に係る広告情報記憶部31の一例を示す図である。
図3に示すように、広告情報記憶部31は、「広告ID」、「広告主情報」、「広告対象」、「広告目的」、「CTA」、「CTR」などといった項目の情報を互いに対応付けて記憶する。
【0025】
「広告ID」項目には、広告を識別するための識別子が格納される。「広告主情報」項目には、対応する広告IDによって識別される広告の広告主に関する情報が格納される。たとえば、広告主に関する情報は、企業名、業種、販売する商品やサービス等に関する情報を含む。
【0026】
「広告対象」項目には、対応する広告IDによって識別される広告によって宣伝する商品あるいはサービスに関する情報が格納される。「広告目的」項目には、対応する広告IDによって識別される広告の広告目的に関する情報が格納される。
【0027】
「CTA」項目には、対応する広告IDによって識別される広告のCTAに関する情報が格納される。また、「CTR」項目には、対応する広告IDによって識別される広告のCTRの実績値が格納される。
【0028】
図2の説明に戻り、配信履歴記憶部32について説明する。配信履歴記憶部32は、広告情報記憶部31に記憶される各広告情報の配信履歴を記憶する。
図4は、実施形態に係る配信履歴記憶部32の一例を示す図である。
【0029】
図4に示すように、配信履歴記憶部32は、「日時」、「広告ID」、「利用者情報」、「配信媒体」、「Click」などといった項目の情報を互いに対応付けて記憶する。
【0030】
「日時」項目には、広告を配信した日時に関する情報が格納される。「広告ID」項目には、配信した広告を識別するための識別子に関する情報が格納される。「利用者情報」項目には、広告が配信された利用者に関する情報が格納される。
【0031】
「配信媒体」項目には、広告が配信された媒体に関する情報が格納される。「Click」項目には、対応する広告のクリックの有無に関する情報が格納される。たとえば、「Click」項目には、広告がクリックされた場合に「1」、広告がクリックされなかった場合に「0」が格納されることになる。
【0032】
図2の説明に戻り、推定モデル記憶部33について説明する。推定モデル記憶部33は、推定モデルを記憶する。既に述べた通り、推定モデルは、CTA領域のテキストおよび広告目的から広告効果を推定するモデルである。なお、後述するように、推定モデルは、CTA領域のテキストおよび広告目的に加え、CTA領域の位置や広告素材等を含めて、広告効果を推定するモデルであってもよい。
【0033】
生成モデル記憶部34は、生成モデルを記憶する。生成モデルは、広告コンテンツを生成するモデルである。たとえば、生成モデルは、広告コンテンツのCTAのテキストを広告コンテンツの目的にあわせて他のテキストへ変換した変換画像を生成する。
【0034】
背景画像記憶部35は、背景画像を記憶する。背景画像は、広告コンテンツに利用可能な画像であり、広告コンテンツにおいてCTAの背景となる画像である。
図5は、実施形態に係る背景画像記憶部35の一例を示す図である。
【0035】
図5に示すように、背景画像記憶部35は、「画像ID」、「被写体情報」、「画像情報」などといった項目の情報を互いに対応付けて記憶する。「画像ID」には、各背景画像を識別するための識別子が格納される。
【0036】
「被写体情報」項目には、対応する画像IDによって識別される背景画像に含まれる被写体に関する情報が含まれる。なお、被写体は、写真であってもよく、グラフィック画像等を含むイラストであってもよい。「画像情報」項目には、対応する画像IDによって識別される背景画像の画像データが格納される。
【0037】
図2の説明に戻り、辞書情報記憶部36について説明する。辞書情報記憶部36は、辞書情報を記憶する。たとえば、辞書情報は、広告目的別にCTAのテキストを示す情報である。
【0038】
図6は、実施形態に係る辞書情報記憶部36の一例を示す図である。
図6に示すように、辞書情報記憶部36は、「広告目的」、「CTA」などといった項目の情報を互いに対応付けて記憶する。
【0039】
「広告目的」項目には、広告目的に関する情報が格納される。また、「CTA」には、対応する広告目的に対応したCTAのテキストが格納される。
図6に示す例では、「CTA#1」および「CTA#2」が同じ広告目的「広告目的#1」のCTAに用いられるテキストであることを示している。なお、たとえば、辞書情報記憶部36は、業種別に「広告目的」、「CTA」を対応付けて記憶しておくようにしてもよい。
【0040】
図2の説明に戻り、制御部4について説明する。制御部4は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などによって、情報処理装置1内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部4は、例えば、コントローラであり、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路により実現される。
【0041】
図2に示すように、制御部4は、取得部41と、抽出部42と、特定部43と、学習部44と、生成部45と、推定部46と、提案部47とを備え、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部4の内部構成は、
図2に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部4が有する各処理部の接続関係は、
図2に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0042】
取得部41は、通信部2を介して、クライアント端末100から広告コンテンツを含む提案要求を取得する。また、取得部41は、通信部2を介して、広告を配信する配信サーバ(不図示)から各広告の配信履歴に関する情報を取得する。
【0043】
抽出部42は、既存の広告コンテンツおよびクライアント端末100から提案要求が行われた広告コンテンツからCTA領域を抽出する。たとえば、抽出部42は、OCR(Optical Character Recognition)等の技術を用いて、CTA領域を抽出する。
【0044】
特定部43は、抽出部42によって抽出されたCTA領域のテキストから広告コンテンツの広告目的を特定する。たとえば、特定部43は、辞書情報記憶部36を参照し、CTA領域のテキストに該当する広告目的を特定する。
【0045】
学習部44は、広告コンテンツの配信結果に基づいて、特定部43によって特定された広告コンテンツの目的と、テキストとから、広告コンテンツの広告効果を推定するように推定モデルを学習させる。
【0046】
たとえば、学習部44は、広告コンテンツごとに、広告コンテンツの広告目的、CTA領域のテキストおよびCTR(広告効果に対応)を広告情報記憶部31から抽出し、これら抽出した情報を学習データとして機械学習による推定モデルの学習を行う。
【0047】
また、学習部44は、たとえば、CTA領域の位置に関する情報や、背景画像をあわせて推定モデルに学習させるようにしてもよい。また、学習部44は、利用者の属性ごとの広告効果を推定モデルに学習させるようにしてもよい。
【0048】
ここでの利用者の属性は、デモグラフィック属性やサイコグラフィック属性であるが、任意の属性であってもよい。また、学習部44は、利用者の行動履歴に応じて分割したカテゴリごとに推定モデルに学習させるようにしてもよい。
【0049】
ここでの行動履歴とは、たとえば、広告コンテンツに対するクリックの有無や、各Webコンテンツへのアクセス履歴、検索履歴、Webコンテンツを通じた商品の購入履歴等を含む。
【0050】
たとえば、学習部44は、利用者の行動履歴を所定のカテゴリに分割し、分割したカテゴリごとに利用者に関する情報を推定モデルに学習させる。この際、たとえば、学習部44は、行動履歴から推定される、利用者の興味関心に応じてカテゴリに分割し、カテゴリごとに利用者に関する情報を推定モデルに学習させる。また、学習部44は、広告コンテンツの広告予算に関する情報を推定モデルに学習させるようにしてもよい。
【0051】
生成部45は、広告コンテンツのCTA領域に含まれるテキストを広告コンテンツの目的にあわせて他のテキストへ変換した変換画像を生成する。たとえば、生成部45は、辞書情報記憶部36を参照し、広告コンテンツのテキスト広告コンテンツの広告目的に該当するCTAの他のテキストへ変換した変換画像を生成する。
【0052】
図7は、CTAが変換された変換画像の一例を示す図である。
図7に示すように、広告コンテンツAのCTAが「資料請求はこちら>」であったとする。生成部45は、辞書情報記憶部36を参照し、広告目的が「資料請求」である他のCTAへ変換した変換画像Atを生成する。
【0053】
図7では、広告コンテンツAの「資料請求はこちら>」というテキストが変換画像Atにおいては「資料をダウンロード」や「カタログ配布中」へ変換された場合を示している。つまり、生成部45は、広告コンテンツAのCTAのテキストを広告目的が同じである他のテキストへ置き換えた変換画像Atを生成する。
【0054】
変換画像Atの生成に際し、生成部45は、CTAの文言に加え、CTA領域の位置を変更した変換画像Atを生成するようにしてもよい。
【0055】
また、生成部45は、背景画像記憶部35に格納された背景画像および辞書情報記憶部36に格納された辞書情報に基づいて、クライントが指定した広告目的に該当する変換画像を生成する。
【0056】
図8は、実施形態に係る生成部による生成処理の説明図である。
図8に示すように、生成部45は、背景画像記憶部35に格納された背景画像b1~b3と、辞書情報記憶部36に格納されたテキストのうち、クライアントが指定した広告目的のテキストt1~t3を掛け合わせて変換画像Atを生成する。
【0057】
つまり、この場合において、生成部45は、クライアントによる広告目的の指定のもと、クライントの広告目的にあった広告コンテンツを自動生成することができる。これにより、クライアントによる広告作成を簡略化することができる。
【0058】
なお、たとえば、生成部45は、クライアントから背景画像の指定をさらに受け付けて、クライアントから指定された背景画像の変換画像Atを生成するようにしてもよい。また、クライアントから指定された背景画像については、たとえば、画像生成AIを用いて自動生成するようにしてもよい。すなわち、この場合、クライントから指定されたコンテキストを画像生成AIへ入力することで、背景画像を自動生成するようにしてもよい。
【0059】
図2の説明に戻り、推定部46について説明する。推定部46は、学習部44によって学習が行われた推定モデルを用い、配信対象となる広告コンテンツの目的と、CTA領域に含まれるテキストとから広告効果を推定する。
【0060】
推定部46は、クライントから取得した広告コンテンツ、生成部45によって生成された変換画像Atについてそれぞれ広告効果を推定する。たとえば、推定部46は、クライントから取得した広告コンテンツと背景画像が同じで、CTAのテキストが違う変換画像At、CTAの位置が異なる変換画像Atについて広告効果をそれぞれ推定する。
【0061】
また、推定部46は、クライントから指定された広告目的にあわせたCTAのテキストで、変換画像用の背景画像を用いて生成された変換画像Atについてもそれぞれ広告効果を推定する。
【0062】
また、推定部46は、クライントから取得した広告コンテンツについては、広告目的とCTAのテキストとに基づき、利用者の属性ごとに広告効果を推定する。この場合、推定部46は、利用者の属性ごとに広告効果を推定することで、現状の広告コンテンツで訴求効果が高い利用者の属性を特定することができる。
【0063】
提案部47は、推定部46による変換画像の推定結果に基づき、広告効果が向上すると推定される変換画像を提案する。たとえば、提案部47は、CTAのテキストやCTAの位置が違う変換画像Atのうち、クライントから取得した広告コンテンツよりも広告効果が高いCTAのテキストや位置をクライアントに対して提案する。
【0064】
また、提案部47は、クライントが指定した広告目的に応じて、変換画像用の背景画像と、テキストとを組み合わせた変換画像のうち、広告効果が所定値より高い変換画像をクライアントに対して提案する。なお、この場合、提案部47は、広告効果が所定値よりも低い変換画像をクライントへ提案するようにしてもよい。
【0065】
たとえば、提案部47は、説明可能AI(たとえば、Explainable AI)を用いて、変換画像Atがなぜ広告効果の向上が見込まれる理由をあわせて提案するようにしてもよい。
【0066】
また、提案部47は、クライントから取得した広告コンテンツについては、ターゲティング条件を提案する。たとえば、ターゲティング条件は、現状の広告コンテンツで訴求効果が高いと推定される利用者の属性である。
【0067】
また、提案部47は、利用者の属性ごとに異なる背景画像の変換画像を提案するようにしてもよい。たとえば、ある属性の利用者群と、その他の属性の利用者群で、それぞれ訴求効果の向上が見込まれる背景画像の変換画像を提案する。
【0068】
すなわち、提案部47は、利用者の属性に応じて異なる背景画像の変換画像Atを出し分けて配信するように提案する。すなわち、利用者の属性にあわせて配信する広告コンテンツを変えることで、各利用者の属性ごとに高い広告効果が期待される。
【0069】
〔3.処理フロー〕
次に、
図9および
図10を用いて、実施形態に係る情報処理装置1の処理手順について説明する。
図9は、実施形態に係る学習処理の一例を示すフローチャートである。
図10は、実施形態に係る提案処理の一例を示すフローチャートである。
【0070】
図9に示すように、情報処理装置1は、広告情報記憶部31に格納された広告コンテンツからCTA領域を抽出し(ステップS101)、抽出したCTA領域のテキストから広告の目的を特定する(ステップS102)。
【0071】
つづいて、情報処理装置1は、CTA領域のテキスト、広告目的および広告効果をモデルに学習させる(ステップS103)。つづいて、情報処理装置1は、すべての広告コンテンツについて学習済みか否かを判定し(ステップS104)、すべての広告画像について学習済みと判定した場合(ステップS104:Yes)、処理を終了する。
【0072】
また、情報処理装置1は、すべてのすべての広告画像について学習済みでないと判定した場合(ステップS104:No)、ステップS101の処理へ移行する。
【0073】
次に、
図10を用いて、実施形態に係る提案処理について説明する。
図10に示すように、情報処理装置1は、クライアントから広告コンテンツを取得する(ステップS111)。つづいて、情報処理装置1は、広告コンテンツから複数の変換画像を生成する(ステップS112)。
【0074】
つづいて、情報処理装置1は、広告コンテンツおよび変換画像それぞれについて広告効果を推定し(ステップS113)、広告効果が高い変換画像を抽出する(ステップS115)。そして、情報処理装置1は、抽出した変換画像に基づいて、改善内容を提案し(ステップS117)、処理を終了する。
【0075】
〔4.変形例〕
上述した実施形態では、広告コンテンツのCTAのテキストを変換した変換画像を生成し、広告効果を推定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、広告コンテンツに含まれるCTA以外のテキストを他のテキストへ変換した変換画像を生成し、広告効果を推定するようにしてもよい。
【0076】
この場合、情報処理装置1は、広告コンテンツに掲載されているキャッチコピーおよび広告目的と、広告効果との関係性をモデルに学習させる。また、この場合、情報処理装置1は、広告目的にあわせたキャッチコピーの辞書に基づき、キャッチコピーが異なる複数の変換画像を生成する。
【0077】
そして、情報処理装置1は、複数の変換画像の広告効果を推定したうえで、キャッチコピーをクライントに対して提案する。これにより、キャッチコピーを含めた広告作成を支援することが可能となる。
【0078】
また、情報処理装置1は、変換画像を含む広告コンテンツを利用者に対して配信する配信部をさらに含むようにしてもよい。たとえば、この場合、情報処理装置1は、利用者群ごとに異なる広告コンテンツを配信する。
【0079】
たとえば、あるアニメのキャラクターを含む広告コンテンツを配信する場合を想定する。この場合、情報処理装置1は、予め生成した変換画像のうち、そのアニメを知らない利用者群に対してはアニメのメインのキャラクターを背景画像とする広告コンテンツを配信し、そのアニメを知っている利用者群に対しては、メインのキャラクター以外のキャラクターを背景画像とする広告コンテンツを配信する。
【0080】
また、情報処理装置1は、広告コンテンツを配信する場合には、配信先の利用者に応じて、CTAのテキストや位置が異なる広告コンテンツを配信するようにしてもよい。たとえば、広告目的が「資料請求」である場合、情報処理装置1は、利用者の興味関心にあわせて「ついでに資料請求」、「料金プランもある資料請求」、「100Pの資料請求」等CTAの文言が異なる広告コンテンツを配信する。
【0081】
〔5.効果〕
上述した実施形態に係る情報処理装置1は、広告コンテンツから利用者に対して広告コンテンツの選択を促す範囲を抽出する抽出部42と、抽出部42によって抽出された範囲に含まれるテキストに基づいて、広告コンテンツの目的を特定する特定部43と、広告コンテンツの配信結果に基づいて、特定部43によって特定された広告コンテンツの目的と、前記範囲に含まれるテキストとから、広告コンテンツの広告効果を推定するようにモデルを学習させる学習部44とを備える。
【0082】
また、実施形態に係る情報処理装置1は、モデルを用いて、推定対象となる広告コンテンツの目的と、範囲に含まれるテキストとから広告効果を推定する推定部46を備える。また、実施形態に係る情報処理装置1は、広告コンテンツの範囲に含まれるテキストを広告コンテンツの目的にあわせて他のテキストへ変換した変換画像を生成する生成部45と、推定部46による変換画像の推定結果に基づき、広告効果が向上すると推定される変換画像を提案する提案部47とを備える。
【0083】
また、生成部45は、広告コンテンツの範囲に含まれるテキストの配置を変更した変換画像を生成し、提案部47は、広告効果が向上すると推定される範囲に含まれるテキストの配置を変更した変換画像を提案する。
【0084】
また、生成部45は、クライアントから指定された前記広告コンテンツの目的にあわせたテキストと、変換画像用の背景画像とを組み合わせた変換画像を生成し、提案部47は、広告効果が向上すると推定される変換画像を提案する。
【0085】
また、学習部44は、利用者を行動履歴に応じて分割したカテゴリごとにモデルを学習させ、提案部47は、広告効果が向上すると推定される変換画像をカテゴリごとに提案する。
【0086】
また、学習部44は、利用者の属性ごとの広告効果をモデルに学習させ、推定部46は、広告コンテンツの目的と、範囲に含まれるテキストとから、利用者の属性ごとに広告効果を推定し、提案部47は、広告効果が高い属性をターゲティング条件として提案する。また、学習部44は、広告コンテンツの広告予算に関する情報をモデルに学習させる。
【0087】
上述した各処理のいずれかもしくは組合せにより、本願に係る情報処理装置は、広告作成を適切に支援することができる。
【0088】
〔6.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る情報処理装置1は、例えば
図11に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図11は、実施形態に係る情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0089】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0090】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、ネットワーク(通信ネットワーク)Nを介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータをネットワークNを介して他の機器へ送信する。
【0091】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置(
図11では、出力装置および入力装置を総称して「入出力装置」と記載する)を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0092】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0093】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る情報処理装置として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部4の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置からネットワークNを介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0094】
〔7.その他〕
以上、本願の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0095】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0096】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0097】
例えば、上述した情報処理装置は、複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティング等で呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0098】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0099】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0100】
1 情報処理装置
2 通信部
3 記憶部
4 制御部
31 広告情報記憶部
32 配信履歴記憶部
33 推定モデル記憶部
34 生成モデル記憶部
35 背景画像記憶部
36 辞書情報記憶部
41 取得部
42 抽出部
43 特定部
44 学習部
45 生成部
46 推定部
47 提案部
100 クライアント端末