(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118377
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】遠隔連絡機能を備えたアラーム音認識装置とそのシステム
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20240823BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
F25D23/00 301G
C12M1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024754
(22)【出願日】2023-02-20
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
3.Sigfox
4.LoRa
5.LoRaWAN
6.ELTRES
(71)【出願人】
【識別番号】521236520
【氏名又は名称】xMedGear株式会社
(72)【発明者】
【氏名】瀧本和寛
(72)【発明者】
【氏名】三木啓司
【テーマコード(参考)】
3L345
4B029
【Fターム(参考)】
3L345AA02
3L345AA26
3L345BB02
3L345EE04
3L345EE32
3L345EE33
3L345EE53
3L345HH25
3L345HH34
3L345HH36
3L345HH38
3L345HH42
3L345JJ08
3L345JJ17
3L345JJ19
3L345KK03
3L345KK04
4B029AA27
4B029BB01
4B029DG10
(57)【要約】
【課題】超低温冷凍庫において温度上昇や機器異常などの異常を知らせるアラーム音が鳴った場合に、遠隔にいる管理者にその異常を知らせることができる装置とシステムを提供する。
【解決手段】超低温冷凍庫の異常を知らせるアラーム音を機械学習することで学習モデルを作り、その学習モデルを取り入れたプログラムを装置に書き込むことでアラーム音認識装置を作成する。その認識装置に、無線通信とクラウド内のプログラムを利用して、遠隔にいる管理者に、SMS、電子メール、専用アプリ、電話などの手段で異常を知らせる機能を付加する。この装置を目的とする超低温冷凍庫に装着する。その結果、超低温冷凍庫から異常を知らせるアラーム音が鳴った場合に、管理者は、インターネットとクラウドサービスを通じて、SMS、電子メール、電話などの手段でその異常を知ることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超低温冷凍庫へ設置する遠隔連絡機能を備えたアラーム音認識装置で、アラーム音を機械学習したモデルを利用して認識するプログラムで動作することを特徴とするアラーム音認識装置とそのシステム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超低温冷凍庫へ設置することを目的とした遠隔連絡機能を備えたアラーム音認識装置で、そのアラーム音認識装置の認識方法としてアラーム音を機械学習したモデルを利用するプログラムを組み込むことで動作することを特徴とするアラーム音認識装置とそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院や医薬品研究所、生化学実験研究所では、医薬品(mRNAワクチン、抗体、核酸、ペプチド、タンパク等)や実験材料(抗体、酵素、タンパク、DNA、RNA、血液、細胞等)をたとえばマイナス150度、マイナス80度またはマイナス20度で保管するために超低温冷凍庫を利用している。また、人体から採取した検体(細胞、血液、精子、卵子等)を、マイナス192度で保存するために液体窒素保存容器を利用している。これらの超低温冷凍庫や液体窒素保存容器は、機器の予期せぬ故障や災害時の給電停止等により目的とした設定温度から外れて温度上昇した場合に機器からアラーム音が鳴る機能が備わっている。
【0003】
しかし、休日・夜間などは、その機器の周囲に人がいないために、アラーム音に気づかず、異常に対する対応が遅れ、温度が上昇したまま長時間が経過し、保存していた医薬品や実験材料や人体から採取した検体の機能と価値が失われる事態が起こる場合がある。
【0004】
そのため、病院の医療従事者や研究所に勤務している研究者は、休日・夜間など病院や研究室に人がいない場合でも、超低温冷凍庫のアラーム音が鳴ったら何らかの方法で知らせてほしいと考えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6571299号
【特許文献2】特開2020-173639
【0006】
この対策として、冷凍・冷蔵機器のドアの開状態、閉状態及び内部温度の変動を監視し、開閉・温度の異常時に、管理者に異常情報が通知される冷蔵庫・冷凍庫監視・警報システムが考案されている(特許文献1)。また所望の環境情報を取得するための各種のセンサを配置して継続的に測定し、測定データを、インターネットなどを経由して簡単に収集できる環境測定システムが考案されている(特許文献2)。通知機能を持たない冷蔵庫・冷凍庫に、これらのシステムを新たに付加する場合、特に超低温冷凍庫においては、温度センサを庫内に設置し、通知機能部分は庫外に設置する必要があるため容易ではない。具体的には断熱材を含む超低温冷凍庫壁面に開けた穴からケーブル付きの温度センサを内部に引き込む工事を必要とし、穴を開けたことによる断熱効果の損失による温度上昇の危険性が高まることから、最良の方法とはいえない。またそのような工事を実施する際には、超低温冷凍庫に保存している貴重な医薬品・実験材料・検体を取り出して別の超低温冷凍庫に一時的に保管するという大がかりなかつ慎重を要する作業が必要であり、その取り出し作業中で医薬品・実験材料・検体の機能と価値が失われる可能性があることや、一時保管先に使いたい超低温冷凍庫のスペースの余裕がない場合などが考えられ、上記2つの考案されているシステムは、超低温冷凍庫を監視する方法としては容易かつ安価に設置できる方法ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、超低温冷凍庫や液体窒素保存容器の温度異常や機器異常を、遠隔にいる場合に知る手段がないことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来の課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、(1)機械学習技術を使用したプログラム作成をし、超低温冷凍庫または液体窒素保存容器からの異常を知らせるアラーム音を認識する装置を開発した。(2)さらに、この装置に、無線通信とクラウドを利用して、遠隔にいる管理者に、SMS、電子メール、専用アプリ、電話などの手段で異常を知らせる機能を付加した。(3)この遠隔への連絡機能を備えたアラーム音認識装置を、異常を知らせてほしい超低温冷凍庫または液体窒素保存容器のアラーム音発生部位近くの外装表面に装着した。以上(1)(2)(3)の手段の組み合わせにより、超低温冷凍庫または液体窒素保存容器から異常を知らせるアラーム音が鳴ったら、管理者が夜間・休日などで遠隔にいても、その温度異常や機器の異常(液体窒素供給異常など)を通信端末で知ることができるシステムが完成した。
【0009】
超低温冷凍庫または液体窒素保存容器からの異常を知らせるアラーム音を認識する方法として、音響・振動測定分野において重要な解析手法であるFFT(Fast Fourier Transformation)高速フーリエ変換を使用することが考えられる。しかしこの方法は、実際には、時間変化が周期的かつ含まれる周波数成分の少ないごく単純なアラーム音に限られ、認識をさせるためにあらかじめ複雑な数学的解析をしてプログラム中に組み込む手間が必要であるという欠点がある。一方で、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)による時系列信号パターン分類器に代表される音の機械学習を使用する方法は、人工音声のような複雑なアラーム音でも適切に認識でき、またそのアラーム音を発する機器の種類や周囲の雑音がどれだけあろうとも、都度録音して自動的に学習させることで、あらゆる現場に適応した正確な認識器を素早く構築できるという利点を有していることが分かり、音の機械学習を使用する方法をプログラムに取り入れることで本発明に至った。
【0010】
無線通信の手段は、制限はなく、WiFi、Bluetooth、ZigBee、LTE通信を使うことが挙げられる。加えて、低消費電力で長距離の通信ができる無線通信であるLPWA(Low Power Wide Area)と呼ばれる規格の通信を使うことも可能である。これらの通信の具体例としては、Sigfox、LoRa、LoRaWAN、Wi-Sun、ELTRES、ZETA、NB-IoT、LTEカテゴリーM1が挙げられる。使用する無線通信に応じた無線中継器を使用し、インターネット通信網を通じて、任意のクラウドサーバにデータを送信することができる。
【0011】
使用するクラウドサーバは、目的を達成する機能がある任意のクラウドサーバを使用することができる。商用のクラウドサーバを使用する方法が、簡便でありコスト面を考慮しても望ましいが、独自にこれら機能を有するクラウドサーバを構築して使用することもできる。
【0012】
クラウドサーバ内で設定されたプログラムとクラウドサービスのAPIを利用し、SMS、電子メール、電話などの手段で管理者に異常を通知する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のアラーム音認識装置とそのシステムは、超低温冷凍庫または液体窒素保存容器の機器から異常を知らせるアラーム音が鳴ったら、管理者が夜間・休日などで遠隔にいても、その機器の温度異常や機器異常(液体窒素供給異常など)を、SMS、電子メール、電話などで知ることができる手段を、医薬品・実験材料・検体の移動と一時保管など温度上昇の危険を伴う工事が必要なく、容易かつ安価に設置できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の遠隔連絡機能を備えたアラーム音認識装置を用いた通報システムの一実施例を示す図である。(実施例1)。
【
図2】
図2は、本発明の遠隔連絡機能を備えたアラーム音認識装置を超低温冷凍庫に設置している一実施例を示す図である。(実施例2)
【
図3】
図3は、音の機械学習をして機器へプログラムを取り込む方法の一実施例を示す図である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0015】
超低温冷凍庫または液体窒素保存容器の機器から異常を知らせるアラーム音が鳴ったら、管理者が夜間・休日などで遠隔にいても、その異常を知ることができる手段を、容易かつ安価に提供するという目的を、以下のシステム構成と装置と機械学習を含むプログラムで実現した。
【実施例0016】
図1は、本発明の遠隔連絡機能を備えたアラーム音認識装置を用いた通報システムの一実施例を示す図である。超低温冷凍庫・液体窒素保存容器から異常を知らせるアラーム音が鳴った時に、本発明のアラーム音認識装置のマイクを通して、プログラム作動部にある音認識プログラムによりアラーム音が鳴っていることを認識して通信部から無線中継器・ルーター・ゲートウェイを利用して、インターネット通信網にその情報を伝える。インターネット通信網上にあるクラウドサーバ内で設定されたプログラムとクラウドサービスのAPIを利用し、SMS、電子メール、電話などの手段で、遠隔にいても管理者は異常連絡を受信することが可能になる。