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  • 特開-シール蓋収容スプーン 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118383
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】シール蓋収容スプーン
(51)【国際特許分類】
   A47G 21/04 20060101AFI20240823BHJP
   A47G 21/00 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
A47G21/04 Z
A47G21/00 V
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023036957
(22)【出願日】2023-02-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】523085854
【氏名又は名称】日高 滉大
(72)【発明者】
【氏名】日高 滉大
【テーマコード(参考)】
3B115
【Fターム(参考)】
3B115AA20
3B115BA02
3B115DA09
(57)【要約】
【課題】シール蓋を綺麗に剥がす事ができ、消費者がシール蓋を剥がすまで手を汚すこと剥がしたシール蓋を収容できるスプーンを提供する。
【解決手段】シール蓋を剥がしてスプーンの柄の中に収容することができるシール蓋収容スプーンであって、柄の先端にさじを形成してなり、柄はその内部が空洞になった円筒状であり、柄の側面にはシール蓋のつまみが差し込める横穴が開いており、柄の内部には柄に対して回転可能な回転軸が収容され、回転軸には、回転がぶれないようにする吸水性素材を使った補助器具と、シール蓋のつまみを引っ掛けて巻き取れるようにする引っ掛かり部分とが取り付けられており、回転軸の柄の末端側には回転軸を回転させるためのハンドルが設けられており、柄の末端を閉じる取り外し可能な蓋を備える、シール蓋収容スプーン。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シール蓋を剥がしてスプーンの柄の中に収容することができるシール蓋収容スプーンであって、
柄の先端にさじを形成してなり、
柄はその内部が空洞になった円筒状であり、柄の側面にはシール蓋のつまみが差し込める横穴が開いており、柄の内部には柄に対して回転可能な回転軸が収容され、
回転軸には、回転がぶれないようにする吸水性素材を使った補助器具と、シール蓋のつまみを引っ掛けて巻き取れるようにする引っ掛かり部分とが取り付けられており、
回転軸の柄の末端側には回転軸を回転させるためのハンドルが設けられており、
柄の末端を閉じる取り外し可能な蓋を備える、シール蓋収容スプーン。
【請求項2】
柄は透明プラスチック材料で構成されている、請求項1に記載のシール蓋収容スプーン。
【請求項3】
回転軸は円柱形であり、ハンドルにはすべり止めとなる溝が刻まれている、請求項1に記載のシール蓋収容スプーン。
【請求項4】
補助器具は、回転軸の先端部分に設けられており、直径が柄の内径とほぼ等しい、請求項1に記載のシール蓋収容スプーン。
【請求項5】
引っ掛かり部分は、回転軸の周方向に二つ並べて固着された弾性素材の突起からなる、請求項1に記載のシール蓋収容スプーン。
【請求項6】
取り外し可能な蓋は、直径が柄の外径とほぼ等しい円柱と直径が柄の内径とほぼ等しい円柱とによって構成される、請求項1に記載のシール蓋収容スプーン。
【請求項7】
さじはフォーク兼用となる形状である、請求項1に記載のシール蓋収容スプーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥がしたシール蓋を収容できるスプーンに関する。
【背景技術】
【0002】
ゼリーやプリンなどのカップの蓋となっているシール状の蓋は、様々な機能性に富んでおり、食品の保存容器に必要不可欠な存在である。しかし、シール蓋は手で剥がしづらく、時にカップの縁に残ってしまう。また、剥がす際に蓋の裏面についた水滴が手に付着し、手を洗わなければいけないという手間が一つ増えてしまう。特に外出先で食べるとなれば、手洗い場を探さなければいけないので、日々の生活の中で大きなタイムロスとなってしまう。
【0003】
ほかにも、ゴミ箱の少ない屋外ではシール蓋の捨て場に困り、放置されてしまう可能性もある。以上のようなシール蓋の問題点というのは、消費者の食欲を欠いてしまうとともに、生産者・販売企業のイメージダウンにも繋がってしまう可能性がある。
【0004】
これらの問題を改善するために、シール蓋を剥がすことに特化した道具が発売されているが、剥がす以外の使用用途が無く、また手が汚れてしまう可能性があった。
【0005】
そこで、ゼリーやプリンを食べるときに必ず使用するスプーンに目を付けた。シール蓋を綺麗に剥がす事ができ、尚且つ、消費者がシール蓋を剥がして蓋と容器を捨てるまで手の汚す事の無い、自然環境にやさしいスプーンを開発することでこれらの問題を解決できるのではないかと考えた。また、力の無い高齢者や子供、障害のある方でも簡単に剥がす事の出来る構造にしようと考えた。
【0006】
先行技術として、シール蓋剥がし付きのスプーンが知られている(特許文献1)。このスプーンは金属製であり、シール蓋のつまみを切り込みに差し込んでスプーンを回転させることにより、シール蓋を綺麗に巻き取ることが可能であるという発明である。また、スプーンであるので巻き取るだけでなく、食器としても使用することが可能である。しかし、巻き取った後に、シールを取り除く時に手が汚れてしまう。さらに、巻き取ったシール蓋の処理については何ら言及されていない。また金属製であるため製造にもコストがかかり、持ち運びもしにくい。その他にも、スリット部からつまみが抜け上手く巻き取れない可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録3154216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
シール蓋を綺麗に剥がす事ができ、消費者がシール蓋を剥がすまで手を汚すことのなく、また、剥がしたシール蓋を収容できるスプーンが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明に関わるスプーンは、以下の構造を備える。
【0010】
すなわち本発明は、シール蓋を剥がしてスプーンの柄の中に収容することができるシール蓋収容スプーンであって、柄の先端にさじを形成してなり、柄はその内部が空洞になった円筒状であり、柄の側面にはシール蓋のつまみが差し込める横穴が開いており、柄の内部には柄に対して回転可能な回転軸が収容され、回転軸には、回転がぶれないようにする吸水性素材を使った補助器具と、シール蓋のつまみを引っ掛けて巻き取れるようにする引っ掛かり部分とが取り付けられており、回転軸の柄の末端側には回転軸を回転させるためのハンドルが設けられており、柄の末端を閉じる取り外し可能な蓋を備える、シール蓋収容スプーンを提供する。
【0011】
スプーンの柄は、その中に回転軸を収容する円筒状となっている。回転軸に連結されたハンドルを回転させることでシール蓋を巻き取ることができる。初めにシール蓋のつまみを柄の横穴に差し込み、次にハンドルを回転させる事でつまみが回転軸の引っ掛かり部分に引っ掛かり、その後スプーン全体を回転させることでシール蓋を巻き込みながら剥がしとることができる。剥がしたシール蓋はハンドルを回すことでスプーンの柄の中に収容される。従って、シール蓋が屋外で放置されることなく、自然環境にやさしいスプーンとなる。シール蓋を捨てる時には柄の端の蓋を取り、回転軸を引っ張り出すことでシール蓋も一緒に取り出せる。
【0012】
本発明のシール蓋収容スプーンにおいては、柄は透明プラスチック材料で構成されていてもよい。
【0013】
本発明のシール蓋収容スプーンにおいては、回転軸は円柱形であり、ハンドルにはすべり止めとなる溝が刻まれていてもよい。
【0014】
本発明のシール蓋収容スプーンにおいては、補助器具は、回転軸の先端部分に設けられており、直径が柄の内径とほぼ等しくてもよい。
【0015】
本発明のシール蓋収容スプーンにおいては、引っ掛かり部分は、回転軸の周方向に二つ並べて固着された弾性素材の突起からなってもよい。
【0016】
本発明のシール蓋収容スプーンにおいては、取り外し可能な蓋は、直径が柄の外径とほぼ等しい円柱と直径が柄の内径とほぼ等しい円柱とによって構成されてもよい。
【0017】
本発明のシール蓋収容スプーンにおいては、さじはフォーク兼用となる形状であってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、上記の構成を備えることにより、以下の効果を奏することができる。
【0019】
シール蓋を綺麗に剥がす事ができる。すなわち、スプーン全体を容器の縁に沿って回転させることで円柱状の柄にシール蓋が巻き付くため、縁にシール蓋の破片が残りづらく、最後まできれいに剥がす事ができる。
【0020】
シール蓋を剥がして捨てるまで手を汚すことが無い。すなわち、スプーン全体を回すことでシール蓋を剥がす事ができ、つまみを回すだけでスプーンの中にシール蓋が収容され、回転軸を引き出すことでシール蓋が自然に外れるようになっている。このようにシール蓋を一切触らずに剥がして捨てることができる。
【0021】
剥がしたシール蓋は、柄の内部に収容されているので、スプーンと共に持ち帰ることができ、自宅などのゴミ箱にすてることができる。それゆえ、ゴミ箱のない屋外でも剥がしたシール蓋が放置されたり、投げ捨てられたりすることがない。この点で環境に優しい製品となり得る。
【0022】
力の弱い高齢者や子供、障害者も簡単に剥がす事ができる。すなわち、面積の小さい取っ手をつまんで剥がすには指で挟む力が想像以上に必要になる。そのため力の弱い人たちにとっては一苦労である。しかし、このスプーンを使うことですべて回転させるという動作だけでシール蓋を剥がして収容できる。また、引っ掛かり部分を用いることで剥がしづらいビニール包装のシール蓋も簡単に剥がす事ができる。
【0023】
その他、カップラーメンやパックご飯の場合はやけど防止という効果もある。すなわち、カップラーメンやパックご飯の容器でもシール蓋が良く使用されているが、蓋を全部剥がす時に湯気でやけどをしてしまう可能性がある。そのような時にこのスプーンを用いることで、湯気に触れずに蓋を最後まで剥がす事ができるため、やけどの防止につながる。
【0024】
また、生産者や販売企業のイメージダウンを防ぐ事もできる。すなわち、シール蓋を綺麗に剥がせなかった場合、その商品を楽しみにしていた消費者の食欲を欠いてしまい、その商品の販売企業のイメージをダウンさせてしまう事が考えられる。しかしながら、このスプーンを使用することでそのようなことは起きないため、間接的ではあるが販売企業のイメージダウン防ぐ事が可能である。
【0025】
さらに、自然環境の維持にも繋がる。すなわち、蓋つき食品はキャンプや登山などの屋外で食べることが多いが、近くにゴミ箱がなく、食べるときに剥がしたシール蓋の置き場がないためにゴミとして置き去りにされることがある。このスプーンを使えば、シール蓋が柄の内に収容されるのでゴミの置き去りや投げ捨てを確実に防止できるため、自然環境の維持に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明のシール蓋収容スプーンの実施形態を示す概略斜視図である。
図2図1の実施形態における柄の内部の構造を、回転軸方向の断面で示す概略断面図である。
図3図1の実施形態における横穴の位置を示す概略側面図である。
図4図1の実施形態における回転軸の構造を示す概略斜視図である。
図5図1の実施形態における柄の内部の構造を、回転軸方向に垂直であって引っ掛かり部分である突起を横断する断面で示す概略断面図である。
図6】別の実施形態における柄の内部の構造を、回転軸方向に垂直であって引っ掛かり部分であるクリップ様構造を横断する断面で示す概略断面図である。
図7図1の実施形態における取り外し可能な蓋の構造を示す概略斜視図である。
図8図1の実施形態を用いて容器のシール蓋を剥がす様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[構造について]
本発明のシール蓋収容スプーンを、以下、主に図1に示す実施形態に沿って説明する。シール蓋収容スプーン1は、図1に示すように、先端にさじ2を形成してなる円筒状の柄3(両者をあわせて「スプーン本体」ともいう)、シール蓋を巻き取る回転軸8、柄の端(末端)を閉じる取り外し可能な蓋5の大きく三つのパーツによって構成することができる。
【0028】
シール蓋収容スプーンの断面を図2に示す。柄はその内部が空洞になった円筒状であり、例えば、透明プラスチック材料で構成することができる。肉厚が例えば、約2mm程度あると強度的に最適であると考えられる。また、柄の側面にはシール蓋のつまみが差し込める横穴9が開けられている(図1及び図3)。ハンドル4には小さな溝が掘られており、歯車のような形になっている。これはすべり止めを目的としており、より小さい力でも回転軸に力が伝わり回転するために刻まれたものである。ハンドルのすべり止めのためには、溝以外に、三角柱や四角柱のような断面多角形の構造を用いることもできる。
【0029】
また、図1及び図2に示すように、スプーンのさじ(掬う部分)2は、カップラーメンなどの麺類でも使用できるようにフォーク兼用の物を使用することができる。
【0030】
柄3の内部には、図2に示すように、柄に対して回転可能な回転軸8が収容されている。回転軸は円柱形であり、その外径が柄の外径の約半分の長さである。また、回転軸には図2のように補助器具6と引っ掛かり部分7が取り付けられている。補助器具は、吸水性素材を使って構成することができる。ここではスポンジ製である。スポンジは回転軸の先端部分に接着されており、直径が柄の内径と等しく円柱の形をしている。スポンジは、柄の内部についた水滴を取り除き、そして回転軸が柄の中心でぶれずに回転するための支えとして機能する。回転軸のスポンジと反対側(柄の末端側)には回転軸を回転させるためのハンドル4が設けられている。
【0031】
引っ掛かり部分7は、シール蓋のつまみに引っ掛かり、巻き取るときに横穴9からシール蓋が抜けないように機能する。引っ掛かり部分は、図4に示すように、回転軸8の周方向に二つ並べて固着された弾性素材の突起、ここではテトラ型の突起からなる。二つ付けられているのはハンドル4を時計回り、反時計回りどちらに回した場合にもシール蓋のつまみが引っ掛かり易いようにするためである。また突起は、図5の断面図に示すように、突起の先端部分から回転軸の中心までの長さが柄の内径と等しくなるように接着されている。こうすることで、突起でシール蓋を柄の内側面に押し付けることができる。突起は、テトラ型以外に棘の様な円錐の形状であってもよい。突起の素材は弾性のあるプラスチックやゴムを用いることができる。
【0032】
引っ掛かり部分7としては、突起以外に、シール蓋のつまみを挟み込むクリップのような構造(「クリップ様構造」)を用いることもできる。図6の断面図に示すように、引っ掛かり部分を変更した別の実施形態において、クリップ様構造は、回転軸8に固着されて柄3の内面に向かって伸びる柱状部と、柱状部上部から横方向に伸びる梁部と、梁部の下面に設けられ回転軸の表面に向かって伸びる小突起とから構成される。この場合、回転軸の表面と小突起の先端との間に、シール蓋のつまみを引っ掛けることができる。
【0033】
柄の端を閉じる取り外し可能な蓋5を図7に示す。この蓋は、直径が柄の外径と等しい円柱(大径部)と直径が柄の内径と等しい円柱(小径部)によって構成されている。小径部5bを柄の端に差し込むことで蓋がされる構造になっている。また、蓋の中心には回転軸の外径と等しい貫通孔5aが開けられており、回転軸が蓋を貫通できる構造になっている。
【0034】
このように、図1の実施形態のシール蓋収容スプーンでは、スプーン本体の柄3の中に回転軸8が入っており、柄の末端を閉じる蓋5が存在している。スポンジ製の補助器具6と蓋の貫通孔5aによって回転軸が柄の中心に来るように調整されており、ハンドル4を回した時に回転軸が中心からブレないような構造になっている。また、引っ掛かり部分7も突起の先端が内径に沿っているためスポンジや貫通孔と同じ役割を果たしている。
【0035】
なお、取り外し可能な蓋5としては、回転軸と蓋を一体化させた構造とすることもできる。
【0036】
[使用方法]
本発明のシール蓋収容スプーンの使用方法を、以下に説明する。
【0037】
1)シール蓋収容スプーン1の使用時には、図8に示すように、シール蓋のつまみを柄の横穴9に差し込む。
2)横穴9に差し込んだら、ハンドル4を回転させてつまみを引っ掛ける。
3)スプーン全体を回転させ、柄3の外面にシール蓋を巻き付けることで、シール蓋を綺麗に剥がしていく。図8中の白矢印は、スプーンの回転方向を示す。
4)シール蓋を完全に剥がした後、ハンドル4を回転させることでシール蓋をスプーンの柄3のなかに収容する。
5)取り外し可能な蓋5を取り、回転軸8を引き出すことで、回転軸に巻き付いていたシール蓋が自然に外れる。
【0038】
なお、ゼリーやプリンなどの容器では3,4個の小容器がビニール包装によって一つにまとまっていることがある。それらのビニール包装は手では剥がしづらいことが多く、特に力の弱い人にとっては不便である。引っ掛かり部分を先端が鋭利な突起とすることで、そのようなビニール包装も簡単に剥がす事ができる。
【符号の説明】
【0039】
1 シール蓋収容スプーン
2 さじ
3 柄
4 ハンドル
5 蓋
5a 貫通孔
5b 小径部分
6 補助器具
7 引っ掛かり部分
8 回転軸
9 横穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8