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特開2024-118422積層型キャパシタおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118422
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】積層型キャパシタおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
H01G4/30 515
H01G4/30 517
H01G4/30 201L
H01G4/30 311Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023219524
(22)【出願日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】10-2023-0022146
(32)【優先日】2023-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】金 珍成
(72)【発明者】
【氏名】李 明佑
(72)【発明者】
【氏名】鄭 元植
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AF06
5E001AH09
5E001AJ02
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC35
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG28
5E082JJ03
5E082JJ12
5E082JJ23
5E082MM24
5E082PP06
(57)【要約】
【課題】積層型キャパシタを提供する。
【解決手段】積層型キャパシタは、誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディ、そして前記キャパシタボディの外側に配置される外部電極を含み、前記誘電体層は複数の誘電体結晶粒を含み、誘電体結晶粒はチタン酸バリウムを主成分として含み、Dyを副成分として含み、前記チタン酸バリウムは0.005~0.065重量%のClを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディと、
前記キャパシタボディの外側に配置される外部電極と、を含み、
前記誘電体層は複数の誘電体結晶粒を含み、
前記誘電体結晶粒はチタン酸バリウムを主成分として含み、Dyを副成分として含み、
前記チタン酸バリウムは0.005~0.065重量%のClを含む、積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記チタン酸バリウムは0.01~0.065重量%のClを含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記主成分100モル部に対してDy 0.1モル部~3.0モル部を含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記副成分はMnO、V、BaCO、SiO、Al、およびZrOのうち少なくとも1種をさらに含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記主成分100モル部に対してDy 1.0モル部~3.0モル部、MnO 0~0.3モル部、V 0~0.3モル部、BaCO 0~2.0モル部、SiO 0モル部~1.0モル部、Al 0~0.6モル部およびZrO 0~2.0モル部を含む、請求項4に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記主成分100モル部に対してDy 1.0モル部~2.0モル部、MnO 0.1モル部~0.2モル部、V 0.1モル部~0.2モル部、BaCO 0.1モル部~1.5モル部、SiO 0.1モル部~0.75モル部、Al 0.1モル部~0.5モル部およびZrO 0.1モル部~1.5モル部を含む、請求項5に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記主成分100モル部に対してZrO 1.0モル部~1.5モル部を含む、請求項5に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
前記主成分100モル部に対して前記副成分を3.0~7.0モル部で含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
前記主成分はBaTiO、Ba(Ti,Zr)O、Ba(Ti,Sn)O、(Ba,Ca)TiO、(Ba,Ca)(Ti,Zr)O、(Ba,Ca)(Ti,Sn)O、(Ba,Sr)TiO、(Ba,Sr)(Ti,Zr)O、(Ba,Sr)(Ti,Sn)O、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
0.005~0.065重量%のClを含むチタン酸バリウムを主成分として含む誘電体粉末を製造する段階、
前記主成分100モル部に対してDyを含む副成分3.0モル部~7.0モル部を混合して主成分と副成分の混合物を用いて誘電体グリーンシートを製造し、前記誘電体グリーンシートの表面に導電性ペースト層を形成する段階、
前記導電性ペースト層が形成された誘電体グリーンシートを積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する段階、
前記誘電体グリーンシート積層体を焼成してキャパシタボディを製造する段階、および
前記キャパシタボディの一面に外部電極を形成する段階を含む、積層型キャパシタの製造方法。
【請求項11】
前記副成分はMnO、V、BaCO、SiO、Al、およびZrOのうち少なくとも1種をさらに含む、請求項10に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項12】
前記主成分100モル部に対してDy 0~3.0モル部、MnO 0~0.3モル部、V 0~0.3モル部、BaCO 0~2.0モル部、SiO 0モル部~1.0モル部、Al 0~0.6モル部およびZrO 0~2.0モル部を含む、請求項10に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項13】
前記主成分100モル部に対してZrO 1.0モル部~1.5モル部を含む、請求項12に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項14】
前記誘電体粉末を製造する段階は、
0~0.1重量%のClを含むバリウム(Ba)前駆体と0~0.08重量%のClを含むチタン(Ti)前駆体を湿式混合して原料混合物を製造する段階、および
前記原料混合物をか焼して誘電体粉末を製造する段階
を含む、請求項10に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項15】
前記誘電体粉末を製造する段階は、前記原料混合物を乾燥および乾式粉砕する段階をさらに含む、請求項14に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項16】
前記誘電体粉末を製造する段階は、前記誘電体粉末を湿式粉砕した後、乾燥および乾式粉砕する段階をさらに含む、請求項14に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項17】
前記バリウム(Ba)前駆体はBaO、BaTiO、BaCO、BaO、またはこれらの組み合わせを含む、請求項14に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項18】
前記チタン(Ti)前駆体は二酸化チタン、チタンジイソプロポキシドジアセチルアセトナート(TPA)、チタンアルコキシド、またはこれらの組み合わせを含む、請求項14に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項19】
前記か焼は真空または常圧雰囲気下、500℃~1,000℃で、0.5時間~3時間にわたって行われる、請求項14に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項20】
前記か焼は600℃~900℃で、0.5時間~3時間にわたって行われる1次か焼および700℃~1,000℃で、0.5時間~3時間にわたって行われる2次か焼を含む、請求項14に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項21】
前記1次か焼および前記2次か焼は連続的にまたは不連続的に行われる、請求項20に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項22】
前記誘電体グリーンシートは、前記主成分と副成分の混合物を溶媒および添加剤と混合して誘電体用スラリーを製造し、前記誘電体用スラリーをシート形状に成形して製造される、請求項10に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積層型キャパシタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電子機器の多機能化および小型化が急速に進むにつれて、電子部品の小型化と性能向上もまた急速に進められている。また、自動車またはネットワーク機器などに使用される電気装置、および産業用に使用するための電子部品の高信頼性に対する要求も大きく増加している。
【0003】
このような市場の要求に応えるために、インダクタ(Inductor)、キャパシタ(Capacitor)、またはレジスタ(Resistor)のような受動部品の技術開発競争が加速化している。特に、受動部品としてその用途と使用量が持続的に増加している積層型キャパシタ(Multilayer Ceramic Capacitor,MLCC)の多様な製品が開発され、市場を先取りするための多くの努力が求められている。
【0004】
また、積層型キャパシタは誘電体層と内部電極を積み重ねた形態で製造された蓄電器であって、携帯電話、ノートパソコン、液晶ディスプレイ(LCD)TVなど各種電子機器に使用されている。特に、自動車の電子制御技術の発展につれて車両用需要が増加しており、車両用電子機器の小型化、高機能化が進むにつれて積層型キャパシタの高温耐湿特性が求められている。
【0005】
積層型キャパシタの主な材料の一つであるBaTiO(チタン酸バリウム)は圧電材料、光電材料であって、最近では積層型キャパシタに主に使用されている。しかし、世界的にチタン酸バリウム粉末を供給する業者は限られており、その製造技術も制限的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一側面は、Cl含有量が調節されたチタン酸バリウム母材を副成分と共に用いて誘電体層を形成することによって、高結晶性の誘電体結晶粒を形成して信頼性および耐電圧特性を改善した積層型キャパシタを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一側面による積層型キャパシタは誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディと、
前記キャパシタボディの外側に配置される外部電極と、を含み、
前記誘電体層は複数の誘電体結晶粒を含み、
前記誘電体結晶粒はチタン酸バリウムを主成分として含み、Dyを副成分として含み、
前記チタン酸バリウムは0.005~0.065重量%のClを含む。
【0008】
前記チタン酸バリウムは0.01~0.065重量%のClを含み得る。
【0009】
前記主成分100モル部に対してDy 0.1モル部~3.0モル部を含み得る。
【0010】
前記副成分はMnO、V、BaCO、SiO、Al、およびZrOのうち少なくとも1種をさらに含み得る。
【0011】
前記主成分100モル部に対してDy 1.0モル部~3.0モル部、MnO 0~0.3モル部、V 0~0.3モル部、BaCO 0~2.0モル部、SiO 0モル部~1.0モル部、Al 0~0.6モル部およびZrO 0~2.0モル部を含み得る。
【0012】
前記主成分100モル部に対してDy 1.0モル部~2.0モル部、MnO 0.1モル部~0.2モル部、V 0.1モル部~0.2モル部、BaCO 0.1モル部~1.5モル部、SiO 0.1モル部~0.75モル部、Al 0.1モル部~0.5モル部およびZrO 0.1モル部~1.5モル部を含み得る。
【0013】
前記主成分100モル部に対してZrO 1.0モル部~1.5モル部を含み得る。
【0014】
前記主成分100モル部に対して前記副成分を3.0~7.0モル部で含み得る。
【0015】
前記主成分はBaTiO、Ba(Ti,Zr)O、Ba(Ti,Sn)O、(Ba,Ca)TiO、(Ba,Ca)(Ti,Zr)O、(Ba,Ca)(Ti,Sn)O、(Ba,Sr)TiO、(Ba,Sr)(Ti,Zr)O、(Ba,Sr)(Ti,Sn)O、またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0016】
他の側面による積層型キャパシタの製造方法は、0.005~0.065重量%のClを含むチタン酸バリウムを主成分として含む誘電体粉末を製造する段階、前記主成分100モル部に対してDyを含む副成分3.0モル部~7.0モル部を混合して主成分と副成分の混合物を用いて誘電体グリーンシートを製造し、前記誘電体グリーンシートの表面に導電性ペースト層を形成する段階、前記導電性ペースト層が形成された誘電体グリーンシートを積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する段階、前記誘電体グリーンシート積層体を焼成してキャパシタボディを製造する段階、および前記キャパシタボディの一面に外部電極を形成する段階を含む。
【0017】
前記副成分はMnO、V、BaCO、SiO、Al、およびZrOのうち少なくとも1種をさらに含み得る。
【0018】
前記主成分100モル部に対してDy 0~3.0モル部、MnO 0~0.3モル部、V 0~0.3モル部、BaCO 0~2.0モル部、SiO 0モル部~1.0モル部、Al 0~0.6モル部およびZrO 0~2.0モル部を含み得る。
【0019】
前記主成分100モル部に対してZrO 1.0モル部~1.5モル部を含み得る。
【0020】
前記誘電体粉末を製造する段階は、0~0.1重量%のClを含むバリウム(Ba)前駆体と0~0.08重量%のClを含むチタン(Ti)前駆体を湿式混合して原料混合物を製造する段階、および前記原料混合物をか焼(calcination)して誘電体粉末を製造する段階を含み得る。
【0021】
前記誘電体粉末を製造する段階は、原料混合物を乾燥および乾式粉砕する段階をさらに含み得る。
【0022】
誘電体粉末を製造する段階は、誘電体粉末を湿式粉砕した後、乾燥および乾式粉砕する段階をさらに含み得る。
【0023】
バリウム(Ba)前駆体はBaO、BaTiO、BaCO、BaO、またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0024】
チタン(Ti)前駆体は二酸化チタン、チタンジイソプロポキシドジアセチルアセトナート(TPA)、チタンアルコキシド、またはこれらの組み合わせを含み得る。か焼は真空または常圧雰囲気下、500℃~1000℃で、0.5時間~3時間にわたって行われ得る。
【0025】
前記か焼は600℃~900℃で、0.5時間~3時間にわたって行われる1次か焼および700℃~1,000℃で、0.5時間~3時間にわたって行われる2次か焼を含み得る。
【0026】
前記1次か焼および前記2次か焼は連続的にまたは不連続的に行われ得る。
【0027】
前記誘電体グリーンシートは、前記主成分と副成分の混合物を溶媒および添加剤と混合して誘電体用スラリーを製造し、前記誘電体用スラリーをシート形状に成形して製造され得る。
【発明の効果】
【0028】
一側面による積層型キャパシタによれば、Cl含有量が制御されたチタン酸バリウム母材を副成分と共に用いて誘電体層を形成することによって、高結晶性の誘電体結晶粒を形成して信頼性および耐電圧特性を改善する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】一実施形態による積層型キャパシタを示す斜視図である。
図2図1のI-I’線に沿って切断した積層型キャパシタの断面図である。
図3図1のキャパシタボディの内部電極層の積層構造を示す分離斜視図である。
図4】誘電体粉末のか焼温度を示すグラフである。
図5】誘電体粉末の結晶性を示すグラフである。
図6】誘電体粉末の誘電率特性を示すグラフである。
図7】一実施形態による積層型キャパシタの製造方法を示す工程フローチャートである。
図8】積層型キャパシタの製造方法のうち誘電体粉末を製造する段階を示す工程フローチャートである。
図9】一実施例による誘電体粉末を主成分とする結晶粒界抵抗のインピーダンス測定結果を示すグラフである。
図10】他の一実施例による誘電体粉末を主成分とする結晶粒界抵抗のインピーダンス測定結果を示すグラフである。
図11】また他の一実施例による誘電体粉末を主成分とする結晶粒界抵抗のインピーダンス測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施形態を詳細に説明する。図面で本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素に対しては同じ参照符号を付した。また、添付図面は本明細書に開示された実施形態を容易に理解できるようにするためであり、本明細書に開示された技術的思想は添付図面によって制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものとして理解されたい。
【0031】
第1、第2などのように序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために使用できるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。
【0032】
ある構成要素が他の構成要素に「連結」されているまたは「接続」されていると言及された場合には、その他の構成要素に直接連結されているか、接続されているか、または対向していることもできるが、中間に他の構成要素が存在し得ると理解されなければならない。反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結」されているまたは「直接接続」されていると言及された場合には、中間に他の構成要素が存在しないものとして理解されなければならない。
【0033】
明細書全体で、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するためであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性をあらかじめ排除しないものとして理解されなければならない。したがって、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対の意味を示す記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0034】
図1は一実施形態による積層型キャパシタ100を示す斜視図であり、図2図1のI-I’線に沿って切断した積層型キャパシタ100の断面図であり、図3図1のキャパシタボディ110の内部電極の積層構造を示す分離斜視図である。
【0035】
本実施形態を明確に説明するために方向を定義すれば、図面に表示されたL軸、W軸およびT軸はそれぞれキャパシタボディ110の長手方向、幅方向および厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向(T軸方向)はシート形状の構成要素の広い面(主面)に垂直な方向であり得、一例として誘電体層111が積層される積層方向と同じ概念として使用される。長手方向(L軸方向)はシート形状の構成要素の広い面(主面)に並んで延びる方向に厚さ方向(T軸方向)と概ね垂直な方向になり、一例として両側に第1外部電極131および第2外部電極132が位置する方向であり得る。幅方向(W軸方向)はシート形状の構成要素の広い面(主面)に並んで延びる方向に厚さ方向(T軸方向)および長手方向(L軸方向)と概ね垂直である方向であり得、シート形状の構成要素の長手方向(L軸方向)の長さは幅方向(W軸方向)の長さより長くてもよい。
【0036】
図1図3を参照すると、本実施形態による積層型キャパシタ100は、キャパシタボディ110、そしてキャパシタボディ110の長手方向(L軸方向)に対向する両端に配置される第1外部電極131および第2外部電極132を含み得る。
【0037】
キャパシタボディ110は一例として、概ね六面体形状であり得る。
【0038】
本実施形態では説明の便宜上、キャパシタボディ110で厚さ方向(T軸方向)に互いに対向する両面を第1面および第2面、第1面および第2面と連結されて長手方向(L軸方向)に互いに対向する両面を第3面および第4面、第1面および第2面と連結されて第3面および第4面と連結されて幅方向(W軸方向)に互いに対向する両面を第5面および第6面と定義する。
【0039】
一例として、下面である第1面が実装方向に向かう面になる。また、第1面~第6面は平坦であってもよいが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば第1面~第6面は中央部が膨らんだ曲面であってもよく、各面の境界であるエッジはラウンド(round、丸みを帯びている)であってもよい。
【0040】
キャパシタボディ110の形状、寸法および誘電体層111の積層数は本実施形態の図面に図示されたものに限定されるものではない。
【0041】
キャパシタボディ110は複数の誘電体層111を厚さ方向(T軸方向)に積層した後焼成したものであって、複数の誘電体層111と誘電体層111を間に置いて厚さ方向(T軸方向)に交互に配置される第1内部電極121および第2内部電極122を含む。
【0042】
この時、キャパシタボディ110の互いに隣接するそれぞれの誘電体層111同士の間の境界は走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いずには確認することが困難であるほどに一体化することができる。
【0043】
また、キャパシタボディ110はアクティブ領域とカバー領域112,113を含み得る。
【0044】
アクティブ領域は積層型キャパシタ100の容量形成に寄与する部分である。一例として、アクティブ領域は厚さ方向(T軸方向)に沿って積層される第1内部電極121または第2内部電極122が重畳(overlap)された領域であり得る。
【0045】
カバー領域112,113は厚さ方向マージン部であって、厚さ方向(T軸方向)にアクティブ領域の第1面および第2面側にそれぞれ位置し得る。このようなカバー領域112,113は単一誘電体層111または2個以上の誘電体層111がアクティブ領域の上面および下面にそれぞれ積層されたものであり得る。
【0046】
また、キャパシタボディ110は側面カバー領域をさらに含み得る。側面カバー領域は幅方向マージン部であって、幅方向(W軸方向)にアクティブ領域の第5面および第6面側にそれぞれ位置し得る。このような側面カバー領域は、誘電体グリーンシートの表面に内部電極用導電性ペースト層を塗布する時、誘電体グリーンシートの表面の一部領域にのみ導電性ペースト層を塗布し、誘電体グリーンシートの表面の両側の側面には導電性ペースト層を塗布していない誘電体グリーンシートを積層した後、焼成することによって形成されることができる。
【0047】
カバー領域112,113と側面カバー領域は物理的または化学的ストレスによる第1内部電極121および第2内部電極122の損傷を防止する役割をする。
【0048】
誘電体層111は複数の誘電体結晶粒を含む。
【0049】
誘電体結晶粒はチタン酸バリウムを主成分として含み、Dyを副成分として含み、前記チタン酸バリウムは0.005~0.065重量%のClを含む。0.005~0.065重量%のClを含むチタン酸バリウムを誘電体母材の主成分として含む場合、結晶性が向上して高い誘電率を有するようになり積層型キャパシタ100の誘電率の形成に寄与することができる。
【0050】
また、副成分としてDyを含むことによって信頼性、特に高温信頼性が改善されることができる。
【0051】
一例として、前記チタン酸バリウムは0.01~0.065重量%のClを含み得る。
一例として前記主成分100モル部に対してDy 0.1モル部~3.0モル部を含み得る。
【0052】
前記副成分はMnO、V、BaCO、SiO、Al、およびZrOのうち少なくとも1種をさらに含み得る。
【0053】
具体的な一例として前記主成分100モル部に対してDy 1.0モル部~3.0モル部、MnO 0~0.3モル部、V 0~0.3モル部、BaCO 0~2.0モル部、SiO 0モル部~1.0モル部、Al 0~0.6モル部およびZrO 0~2.0モル部を含み得る。
【0054】
例えば、前記主成分100モル部に対してDy 1.0モル部~2.0モル部、MnO 0~0.2モル部、V 0~0.2モル部、BaCO 0モル部~1.5モル部、SiO 0~0.75モル部、Al 0~0.5モル部およびZrO 0~1.5モル部を含み得る。
【0055】
例えば、前記主成分100モル部に対してZrO 1.0モル部~1.5モル部を含み得る。
【0056】
副成分としてZrO 1.0モル部~1.5モル部を含む場合、高温信頼性がより一層改善されることができる。
【0057】
一実施形態で前記主成分100モル部に対してDy 1.0モル部~2.0モル部、MnO 0.1モル部~0.2モル部、V 0.1モル部~0.2モル部、BaCO 0.1モル部~1.5モル部、SiO 0.1モル部~0.75モル部、Al 0.1モル部~0.5モル部およびZrO 0.1モル部~1.5モル部を含み得る。
【0058】
前記主成分100モル部に対して前記副成分を3.0~7.0モル部で含み得る。
【0059】
一例として、主成分はBaTiO、Ba(Ti,Zr)O、Ba(Ti,Sn)O、(Ba,Ca)TiO、(Ba,Ca)(Ti,Zr)O、(Ba,Ca)(Ti,Sn)O、(Ba,Sr)TiO、(Ba,Sr)(Ti,Zr)O、(Ba,Sr)(Ti,Sn)O、またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0060】
キャパシタボディ110の断面サンプルは例えば、積層型キャパシタ100をエポキシ混合液に入れて硬化させた後、キャパシタボディ110のL軸方向およびT軸方向の側面をW軸方向に1/2地点まで研磨(Polishing)し、固定した後にチャンバ内は真空雰囲気を維持して準備する。
【0061】
走査型電子顕微鏡は例えばサーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermofisher Scientific)社のVerios G4製品を用いて、測定条件は10kV、0.2nAであり得る。
誘電体結晶粒の中心での特定元素(例、Cl)の成分は、例えば高圧イオンクロマトグラフィー(High Pressure Ion Chromatography,HP‐IC)を用いて測定する。この時、測定機器はサーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific)社のICS 5000製品を用いることができる。一例として、準備されたキャパシタ誘電体層を取り出してDI waterと混合してフィルタリングにより溶出液を確保した後に元素(例、Cl)の含有量を3回繰り返し測定して平均値を得て、他のキャパシタ誘電層も取り出して10回の測定結果に基づいて最小値と最大値の平均値を最終特定元素の含有量とする。
【0062】
第1内部電極121と第2内部電極122は互いに異なる極性を有する電極であって、誘電体層111を間に置いてT軸方向に沿って互いに対向するように交互に配置され、一端がキャパシタボディ110の第3面および第4面を介してそれぞれ露出し得る。
【0063】
第1内部電極121と第2内部電極122は中間に配置された誘電体層111によって電気的に絶縁され得る。
【0064】
キャパシタボディ110の第3面および第4面を介して交互に露出する第1内部電極121および第2内部電極122の端部は第1外部電極131および第2外部電極132とそれぞれ接続されて電気的に接続され得る。
【0065】
第1内部電極121および第2内部電極122は導電性金属を含み、例えばNi、Cu、Ag、Pd、またはAuなどの金属やこれらの合金、例えばAg-Pd合金を含み得る。
【0066】
また、第1内部電極121および第2内部電極122は誘電体層111に含まれるセラミック材料と同一組成系の誘電体粒子を含むこともできる。
【0067】
第1内部電極121および第2内部電極122は導電性金属を含む導電性ペーストを使用して形成されることができる。導電性ペーストの印刷方法はスクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができる。
【0068】
一例として、第1内部電極121および第2内部電極122の平均厚さは0.1μm~2μmであり得る。
【0069】
第1外部電極131および第2外部電極132は互いに異なる極性の電圧が提供され、第1内部電極121および第2内部電極122の露出する部分とそれぞれ接続されて電気的に連結され得る。
【0070】
上記のような構成により、第1外部電極131および第2外部電極132に所定の電圧を印加すると、互いに対向する第1内部電極121と第2内部電極122との間に電荷が蓄積される。この時、積層型キャパシタ100の静電容量はアクティブ領域でT軸方向に沿って互いに重なる第1内部電極121および第2内部電極122のオーバーラップした面積と比例する。
【0071】
第1外部電極131および第2外部電極132は、キャパシタボディ110の第3面および第4面にそれぞれ配置されて第1内部電極121および第2内部電極122と接続される第1および第2接続部と、キャパシタボディ110の第3面および第4面と、第1面および第2面または第5面および第6面が出会うエッジに配置される第1および第2バンド部をそれぞれ含み得る。
【0072】
第1および第2バンド部は第1および第2接続部でキャパシタボディ110の第1面および第2面または第5面および第6面の一部までそれぞれ延び得る。第1および第2バンド部は第1外部電極131および第2外部電極132の固着強度を向上させる役割をすることができる。
【0073】
一例として、第1外部電極131および第2外部電極132はそれぞれキャパシタボディ110と接触する焼結金属層、焼結金属層を覆うように配置される導電性樹脂層、および導電性樹脂層を覆うように配置されるメッキ層を含み得る。
【0074】
焼結金属層は導電性金属およびガラスを含み得る。
【0075】
一例として、焼結金属層は導電性金属として銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含み得、例えば銅(Cu)は銅(Cu)合金を含み得る。導電性金属が銅を含む場合、銅以外の金属は銅100モル部に対して5モル部以下で含まれ得る。
【0076】
一例として、焼結金属層はガラスで酸化物が混合された組成を含み得、例えばケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、遷移金属酸化物、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土金属酸化物からなる群より選ばれた一つ以上であり得る。遷移金属は亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、銅(Cu)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)からなる群より選択され、アルカリ金属はリチウム(Li)、ナトリウム(Na)およびカリウム(K)からなる群より選ばれ、アルカリ土金属はマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびバリウム(Ba)からなる群より選ばれた一つ以上であり得る。
【0077】
焼結金属層での導電性金属とガラスの含有量は特に限定されないが、例えば積層型キャパシタ100の厚さ方向(W軸方向)に垂直な断面(L軸方向およびT軸方向の断面)での導電性金属の平均面積は焼結金属層の全体面積に対して30%~90%、または70%~90%であり得る。
【0078】
選択的に、導電性樹脂層は焼結金属層上に形成され、例えば焼結金属層を完全に覆う形状に形成されることができる。一方、第1外部電極131および第2外部電極132は焼結金属層を含まなくてもよく、この場合、導電性樹脂層がキャパシタボディ110と直接接触し得る。
【0079】
導電性樹脂層はキャパシタボディ110の第1面および第2面または第5面および第6面に延び、導電性樹脂層がキャパシタボディ110の第1面および第2面または第5面および第6面に延びて配置された領域(すなわち、バンド部)の長さは焼結金属層がキャパシタボディ110の第1面および第2面または第5面および第6面に延びて配置された領域(すなわち、バンド部)の長さより長くてもよい。すなわち、導電性樹脂層は焼結金属層上に形成され、焼結金属層を完全に覆う形態で形成されることができる。
【0080】
導電性樹脂層は樹脂および導電性金属を含む。
【0081】
導電性樹脂層に含まれる樹脂は接合性および衝撃吸収性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを作ることができるものであれば特に制限されず、例えばフェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、またはポリイミド樹脂を含み得る。
【0082】
導電性樹脂層に含まれる導電性金属は第1内部電極121および第2内部電極122または焼結金属層と電気的に接続されるようにする役割をする。
【0083】
導電性樹脂層に含まれる導電性金属は球状、フレーク状、またはこれらの組み合わせの形状を有することができる。すなわち、導電性金属はフレーク状のみからなるか、球状のみからなってもよく、フレーク状と球状が混合された形態であってもよい。
【0084】
ここで、球状は完全な球状でない形状も含み得、例えば長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.45以下である形状を含み得る。フレーク状粉末は平たくかつ細長い形状を有する粉末を意味し、特に制限されるものではないが、例えば長軸と短軸の長さ比率(長軸/短軸)が1.95以上であり得る。
【0085】
第1外部電極131および第2外部電極132は導電性樹脂層の外側に配置されるメッキ層をさらに含み得る。
【0086】
メッキ層はニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタン(Ti)または鉛(Pb)などの単独またはこれらの合金を含み得る。一例として、メッキ層はニッケル(Ni)メッキ層またはスズ(Sn)メッキ層であってもよく、ニッケル(Ni)メッキ層およびスズ(Sn)メッキ層が順次積層された形態であってもよく、スズ(Sn)メッキ層、ニッケル(Ni)メッキ層およびスズ(Sn)メッキ層が順次積層された形態であってもよい。また、メッキ層は複数のニッケル(Ni)メッキ層および/または複数のスズ(Sn)メッキ層を含むこともできる。
【0087】
メッキ層は積層型キャパシタ100の基板との実装性、構造的信頼性、外部に対する耐久度、耐熱性および等価直列抵抗値(Equivalent Series Resistance,ESR)を改善することができる。
【0088】
他の実施形態による積層型キャパシタの製造方法は、0.005~0.065重量%のClを含むチタン酸バリウムを主成分として含む誘電体粉末を製造する段階、前記主成分100モル部に対してDyを含む副成分3.0モル部~7.0モル部を混合して主成分と副成分の混合物を用いて誘電体グリーンシートを製造し、前記誘電体グリーンシートの表面に導電性ペースト層を形成する段階、前記導電性ペースト層が形成された誘電体グリーンシートを積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する段階、誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディを製造する段階、そしてキャパシタボディの外側に外部電極を形成する段階を含む。
【0089】
図7は積層型キャパシタの製造方法を示す工程フローチャートであり、図8は積層型キャパシタの製造方法のうち誘電体粉末を製造する段階を示す工程フローチャートである。以下、図7および図8を参照して、積層型キャパシタの製造方法を詳細に説明する。
【0090】
まず、誘電体粉末を製造する方法について説明する(S10)。
【0091】
0~0.1重量%のClを含むバリウム(Ba)前駆体と0~0.08重量%のClを含むチタン(Ti)前駆体を湿式混合して原料混合物を製造する。これにより、Cl含有量が制御されたチタン酸バリウム粉末を製造することができ、これを用いて誘電体層を形成することによって、高結晶性および高誘電性の誘電体結晶粒を形成して信頼性および耐電圧特性を改善することができる。
【0092】
一例として前記バリウム前駆体は0.001~0.1重量%のClを含み得る。
【0093】
具体的な一例として前記バリウム前駆体は0.001~0.09重量%のClを含み得る。
【0094】
バリウム(Ba)前駆体はBaO、BaTiO、BaCO、BaO、またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0095】
一例として前記チタン前駆体は0.0001~0.08重量%のClを含み得る。
【0096】
具体的な一例として前記チタン前駆体は0.0001~0.076重量%のClを含み得る。
【0097】
チタン(Ti)前駆体は二酸化チタン、チタンジイソプロポキシドジアセチルアセトナート(TPA)、チタンアルコキシド、またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0098】
この時、誘電体粉末がCa、Sr、Sn、またはZrなどの追加元素をさらに含む場合、バリウム(Ba)前駆体およびチタン(Ti)前駆体とともに、これら追加元素の前駆体をさらに投入し得る。一例として、追加元素の前駆体はこれら追加元素を含む酸化物または炭酸塩などの化合物であり得る。
【0099】
湿式混合は例えば、ビーズミル、またはボールミルなどの分散機を用いるか、高圧分散処理を行って溶媒とともに湿式で分散させることができる。一例として、ビーズミルを用いて分散させる場合、直径0.03mm~0.1mmのビーズを用いて5m/s~15m/sの周速で5パス~30パスで分散処理することができる(S11)。
【0100】
湿式混合に使用される溶媒としては例えばイオン交換水、純水、超純水、または蒸留水などの水系溶媒を使用するか、アルコール系溶媒、アンモニア、または有機アミンなどのアミン系溶媒を水と共に使用することができる。
【0101】
選択的に、原料混合段階で分散剤をさらに添加してもよく、分散剤は例えば、ポリビニルブチル系分散剤、ポリビニルアセタール系分散剤、ポリカルボン酸系分散剤、マレイン酸系分散剤、ポリエチレングリコール系分散剤、アリルエーテルコポリマー系分散剤などであり得る。
【0102】
選択的に、原料混合物を乾燥および乾式粉砕する(S12)。
次に、原料混合物をか焼(calcination)して誘電体粉末を製造する(S13)。
【0103】
か焼は真空または常圧雰囲気下、500℃~1000℃で、0.5時間~3時間にわたって行われる。
【0104】
前記か焼は600℃~900℃で、0.5時間~3時間にわたって行われる1次か焼および700℃~1,000℃で、0.5時間~3時間にわたって行われる2次か焼を含み得る。
【0105】
前記1次か焼および前記2次か焼は連続的にまたは不連続的に行われる。
【0106】
真空雰囲気は例えば、20000Pa以下、または100Pa以下の真空雰囲気である。
【0107】
か焼温度が500℃未満であるか焼時間が0.5時間未満の場合、固相合成が行われない問題があり得、か焼温度が1000℃を超えるか焼時間が3時間を超える場合は粒成長が過度に起こり、粉末散布に問題があり得る。
【0108】
選択的に、誘電体粉末を湿式粉砕した後(S14)、乾燥および乾式粉砕する(S15)。
【0109】
次に、キャパシタボディの製造について説明する。
【0110】
キャパシタボディの製造工程では焼成後に誘電体層になる誘電体用スラリーと焼成後に内部電極になる導電性ペーストを準備する。
【0111】
誘電体用スラリーは、例えば次のような方法で製造する。
【0112】
製造された誘電体粉末である主成分粉末と副成分粉末を混合して主成分と副成分の混合粉末を製造する。
【0113】
前記副成分はMnO、V、BaCO、SiO、Al、およびZrOのうち少なくとも1種をさらに含み得る。
【0114】
一例として、前記主成分100モル部に対してDy 0~3.0モル部、MnO 0~0.3モル部、V 0~0.3モル部、BaCO 0~2.0モル部、SiO 0モル部~1.0モル部、Al 0~0.6モル部およびZrO 0~2.0モル部を含み得る。
【0115】
例えば、前記主成分100モル部に対してZrO 1.0モル部~1.5モル部を含み得る。
【0116】
主成分と副成分の混合粉末を溶媒および添加剤と混合して誘電体用スラリーを製造する。
【0117】
添加剤は例えば分散剤、バインダ、または可塑剤などであり得、潤滑剤、帯電防止剤などの他の添加剤をさらに含み得る。
【0118】
分散剤は例えばリン酸エステル系分散剤、またはポリカルボン酸系分散剤などであり得る。分散剤の含有量は主成分と副成分の混合粉末100重量部に対して0.1重量部~5重量部、または0.3重量部~3重量部であり得る。分散剤の含有量が0.1重量部~5重量部である場合は分散剤として十分な効果を発揮することができ、製造された誘電体層内に含まれる不純物を減らすことができる。
【0119】
バインダは例えばアクリル樹脂、ポリビニルブチル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、またはエチルセルロース樹脂などであり得る。バインダの含有量は主成分と副成分の混合粉末100重量部に対して0.1重量部~50重量部、または3重量部~30重量部であり得る。バインダの含有量が0.1重量部~50重量部である場合はバインダとして十分な効果を発揮することができ、製造された誘電体層内に含まれる不純物を減らすことができる。
【0120】
可塑剤は例えばフタル酸ジオクチル、フタル酸ベンジルブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジ(2‐エチルヘキシル)(DOP)、またはフタル酸ジ(2‐エチルブチル)などのフタル酸系可塑剤、アジピン酸ジヘキシル、またはアジピン酸ジ(2‐エチルヘキシル)(DOA)などのアジピン酸系可塑剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、またはトリエチレングリコールなどのグリコール系可塑剤、トリエチレングリコールジブチラート、トリエチレングリコールジ(2‐エチルブチルレート)、またはトリエチレングリコールジ(2‐エチルヘキサノエート)などのグリコールエステル系可塑剤などであり得る。可塑剤の含有量は主成分と副成分の混合粉末100重量部に対して0.1重量部~20重量部、または1重量部~10重量部であり得る。可塑剤の含有量が0.1重量部~20重量部である場合、可塑剤として十分な効果を発揮することができ、製造された誘電体層内に含まれる不純物を減らすことができる。
【0121】
溶媒は、例えば水などの水系溶媒、エタノール、メタノール、またはベンジルアルコール、メトキシエタノールなどのアルコール系溶媒、エチレングリコール、またはジエチレングリコールなどのグリコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、またはシクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸ブチル、酢酸エチル、カルビトールアセテート、またはブチルカルビトールアセテートなどのエステル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルエーテル、またはテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、またはキシレンなどの芳香族系溶媒などであり得る。誘電体用スラリーに含まれる各種添加剤の溶解性や分散性を考慮して、溶媒としてはアルコール溶媒、または芳香族溶媒を使用することができる。溶媒の含有量は主成分と副成分の混合粉末100重量部に対して50重量部~1000重量部、または100重量部~500重量部であり得る。溶媒の含有量が50重量部~1000重量部である場合は主成分、副成分、および添加剤などが十分に混合されることができ、以後の過程で溶媒の除去も容易である。
【0122】
主成分と副成分の混合は湿式ボールミルまたは攪拌ミルを用い得る。湿式ボールミルでジルコニアボールを用いる場合、直径0.1mm~10mmの多数のジルコニアボールを用いて8時間~48時間、または10時間または24時間にわたって湿式混合し得る。
【0123】
次に、誘電体用スラリーをシート形状に成形する(S20)。
【0124】
誘電体用スラリーをシート形状に成形する方法としてはドクターブレード法、またはカレンダローラ法などのテープ成形法など、例えばヘッド吐出方式のオンロール(on roll)成形コータ(coater)を用い、以後に成形体を乾燥することによって誘電体グリーンシートを得ることができる。
【0125】
内部電極用導電性ペーストは導電性金属またはその合金からなる導電性粉末とバインダや溶剤を混練して調製する。内部電極用導電性ペーストには、必要に応じて共材としてセラミック粉末(例えばチタン酸バリウム粉末)が含まれ得る。共材は焼成過程で導電性粉末の焼結を抑制する作用をすることができる。
【0126】
誘電体グリーンシートの表面に、スクリーン印刷などの各種印刷法や転写法によって、内部電極用導電性ペーストを所定のパターンで塗布する(S25)。そして内部電極パターンを形成した誘電体グリーンシートを複数層にわたって積層した後、積層方向にプレスすることによって誘電体グリーンシート積層体を得る(S30)。この時、誘電体グリーンシート積層体の積層方向の上面および下面には、誘電体グリーンシートが位置するように、誘電体グリーンシートと内部電極パターンを積層することができる。
【0127】
選択的に、得られた誘電体グリーンシート積層体をダイシングなどによって所定の寸法で切断することができる。
【0128】
また、誘電体グリーンシート積層体は必要に応じて可塑剤などを除去するために固化乾燥し得、固化乾燥後に水平遠心バレル機などを用いてバレル研磨することができる。バレル研磨では、誘電体グリーンシート積層体を溶剤および研磨液と共に、バレル容器中に投入し、そのバレル容器に対して回転運動や振動などを付与することによって、切断時に発生したバリ(burr)などの不要な部分を研磨することができる。また、バレル研磨後、誘電体グリーンシート積層体は水などの洗浄液で洗浄して乾燥することができる。
【0129】
誘電体グリーンシート積層体を脱バインダ処理および焼成処理してキャパシタボディを得る(S40)。
【0130】
脱バインダ処理の条件は誘電体層の主成分組成や内部電極の主成分組成に応じて適切に調節することができる。例えば、脱バインダ処理時の昇温速度は5℃/時間~300℃/時間、支持温度は180℃~400℃、温度維持時間は0.5時間~24時間であり得る。脱バインダの雰囲気は空気または還元性雰囲気であり得る。
【0131】
焼成処理の条件は誘電体層の主成分組成や内部電極の主成分組成に応じて適宜調節することができる。
【0132】
例えば、焼成時の温度は1200℃~1350℃、または1220℃~1300℃であり得、時間は0.5時間~8時間、または1時間~3時間であり得る。焼成雰囲気は還元性雰囲気であり得、例えば窒素ガス(N)と水素ガス(H)の混合ガスを加湿した雰囲気であり得る。内部電極がニッケル(Ni)またはニッケル(Ni)合金を含む場合、焼成雰囲気中の酸素分圧は1.0×10-14MPa~1.0×10-10MPaであり得る。
【0133】
焼成処理後には、必要に応じてアニーリングを実施することができる。アニーリングは誘電体層を再酸化させるための処理であり、焼成処理を還元性雰囲気で実施した場合にはアニーリングを実施することができる。アニーリング処理の条件も誘電体層の主成分組成などに応じて適宜調節することができる。例えば、アニーリング時の温度は950℃~1150℃であり得、時間は0時間~20時間であり得、昇温速度は50℃/時間~500℃/時間であり得る。アニーリングの雰囲気は加湿した窒素ガス(N)雰囲気であり得、酸素分圧は1.0×10-9MPa~1.0×10-5MPaであり得る。
【0134】
脱バインダ処理、焼成処理、またはアニーリング処理で、窒素ガスや混合ガスなどを加湿するためには例えばウェッタ(wetter)などを用いることができ、この場合の水温は5℃~75℃であり得る。脱バインダ処理、焼成処理、およびアニーリング処理は連続して行うこともでき、独立して行うこともできる。
【0135】
選択的に、得られたキャパシタボディの第3面および第4面に対して、サンドブラスト処理、レーザ照射、またはバレル研磨などの表面処理を実施することができる。このような表面処理を実施することによって、第3面および第4面の最表面に第1内部電極および第2内部電極の端部が露出し得、そのため第1外部電極および第2外部電極と第1内部電極および第2内部電極の電気的接合が良好になり、合金部が形成されやすくなる。
【0136】
得られたキャパシタボディの外面に外部電極を形成する(S50)。
【0137】
一例として、外部電極で焼結金属層形成用ペーストを塗布した後焼結させて、焼結金属層を形成することができる。
【0138】
焼結金属層形成用ペーストは導電性金属とガラスを含み得る。導電性金属とガラスに係る説明は上述した内容と同様であるため繰り返し的な説明は省略する。また、焼結金属層形成用ペーストは選択的にバインダ、溶剤、分散剤、可塑剤、または酸化物粉末などの副成分を含み得る。例えば、バインダはエチルセルロース、アクリル、またはブチラール(butyral)などを使用でき、溶剤はテルピネオール、ブチルカルビトール、アルコール、メチルエチルケトン、アセトン、またはトルエンなどの有機溶剤や、水系溶剤を使用することができる。
【0139】
焼結金属層形成用ペーストをキャパシタボディの外面に塗布する方法としてはディップ法、またはスクリーン印刷などの各種印刷法、ディスペンサーなどを用いる塗布法、またはスプレーを用いる噴霧法などを用いることができる。焼結金属層用ペーストは少なくともキャパシタボディの第3面および第4面に塗布され、選択的に第1外部電極および第2外部電極のバンド部が形成される第1面、第2面、第5面、または第6面の一部にも塗布されることができる。
【0140】
その後、焼結金属層形成用ペーストが塗布されたキャパシタボディを乾燥させて、700℃~1000℃の温度で0.1時間~3時間にわたって焼結させて、焼結金属層を形成する。
【0141】
選択的に、得られたキャパシタボディの外面に、導電性樹脂層形成用ペーストを塗布した後硬化させて、導電性樹脂層を形成することができる。
【0142】
導電性樹脂層形成用ペーストは樹脂、および選択的に導電性金属または非導電性フィラーを含み得る。導電性金属と樹脂に係る説明は上述した内容と同様であるため繰り返し的な説明は省略する。また、導電性樹脂層形成用ペーストは選択的にバインダ、溶剤、分散剤、可塑剤、または酸化物粉末などの副成分を含み得る。例えば、バインダはエチルセルロース、アクリル、またはブチラール(butyral)などを使用でき、溶剤はテルピネオール、ブチルカルビトール、アルコール、メチルエチルケトン、アセトン、またはトルエンなどの有機溶剤や、水系溶剤を使用することができる。
【0143】
一例として、導電性樹脂層の形成方法は、導電性樹脂層形成用ペーストにキャパシタボディ110をディッピングして形成した後に硬化させるか、導電性樹脂層形成用ペーストをキャパシタボディ110の表面にスクリーン印刷法またはグラビア印刷法などで印刷するか、導電性樹脂層形成用ペーストをキャパシタボディ110の表面に塗布した後に硬化させて形成することができる。
【0144】
次に、導電性樹脂層の外側にメッキ層を形成する。
【0145】
一例として、メッキ層はメッキ法によって形成されることができ、スパッタまたは電解メッキ(Electric Deposition)により形成されることもできる。
【0146】
以下では発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記に記載された実施例は発明を具体的に例示または説明するためのものに過ぎず、発明の範囲はこれにより制限されない。
【0147】
[製造例]
(製造例:誘電体粉末BT1~BT5の製造)
バリウム(Ba)前駆体としてBaCO粉末、チタン(Ti)前駆体としてTiO粉末を準備し、BaCO粉末、およびTiO粉末を71.2:28.8の重量比になるように秤量する。秤量したBaCO粉末とTiO粉末を秤量タンクに入れて、水と分散剤を添加してミキサで湿式混合してビーズミルで分散させて原料混合物を製造する。
【0148】
製造された原料混合物を乾燥させて凝集した原料混合物を乾式粉砕する。
【0149】
原料混合物を真空雰囲気または常圧下、500~1000℃で、0.5~3時間にわたってか焼(calcination)して誘電体粉末を製造する。二段階か焼を行う場合、1次か焼は600~900℃で、0.5~3時間、2次か焼は700~1000℃で、0.5~3時間にわたって連続的または個別的にか焼して誘電体粉末を製造する。
【0150】
か焼後に凝集された誘電体粉末を湿式粉砕した後、乾燥させて凝集した原料混合物を乾式粉砕して誘電体粉末を得る。
【0151】
誘電体粉末BT1~BT5の製造に使用されたBaCO粉末およびTiO粉末に含有されたCl含有量、そしてBaCO粉末およびTiO粉末のBET特性は下記表1に示したとおりである。
【0152】
また、製造された誘電体粉末BT1~BT5のか焼条件、BET特性、Cl含有量および誘電特性は下記表2および表3に示したとおりである。
【0153】
表2に示したか焼条件、およびkファクタ(k‐factor)はBT4値を基準とした相対値で示した。
【0154】
【表1】
【0155】
【表2】
【0156】
比表面積BET(Brunauer,Emmett,Teller)はHM‐1220(Mountech社)機器を用いて前記BT1~BT5粉末0.5gを準備して250℃、1時間、He/N混合ガスを用いて熱処理を行った後、250℃、N雰囲気で5分間それぞれ2回測定した平均値で算出した。
【0157】
kファクタとc/aはXRD(X‐ray diffraction,X線回折)を用いてチタン酸バリウムの結晶性を評価した指標であって、SmartLab(Rigaku社)機器を用いてBT1~BT5粉末0.5~1gを準備してガラスホルダーにプラットにサンプリングした後、XRDパワー(20kV、10mA)、スキャン幅(0.02°)、スキャン速度(10℃/min)、スキャン範囲(20~100°)条件で測定した。これらの値が大きいほど結晶性が良いことを意味する。
Cl含有量は高圧イオンクロマトグラフィー(HP‐IC)で分析し、サーモフィッシャーサイエンティフィック社のICS5000/Suppressed Conductivity機器を用いて粉末0.5g、DI(脱イオン)水5Mlを混合してバス(bath)に85℃で1時間維持した後、流量(flow rate)(1.0mL/min)、溶媒(DI水+KOH)、SPLループサイズ( loop size)(25μL)の条件で測定した。
【0158】
【表3】
【0159】
誘電率はLCRメータ(Inductance,Capacitance,Resistance)のE4980A(Keysight technologies社)を用いてSilver電極を塗布した1×1×0.6mm(L×W×T)以下の大きさの焼結試験片をそれぞれ5個準備して1kHz、1V条件で測定ジグ(16034E)を用いて試験片5個を測定して平均して算出した。
【0160】
前記表2、表3、図4および図5を参照すると、Cl含有量が約0.005~0.065重量%であるチタン酸バリウムBT2~BT4で結晶性および誘電率に優れることを確認することができた。
【0161】
そこで、前記BT2~BT4を主成分として以下で積層型キャパシタを製造し、これに対する信頼性評価を行った。
【0162】
[実施例]
(実施例2-1~実施例2-9:BT2を主成分とした積層型キャパシタの製造)
誘電体母材の主成分としてチタン酸バリウム粉末BT2とともに副成分としては下記の表4に示す組成を使用する。副成分の含有量は主成分100モルに対するモル数で示した。
【0163】
誘電体母材の主成分粉末および副成分粉末をジルコニウムボール(ZrO ball)を分散媒として使用し、エタノール/トルエンと分散剤(dispersant)およびバインダ(binder)を混合した後に機械的ミーリング(milling)して誘電体用スラリーを製造する。
【0164】
製造された誘電体用スラリーをヘッド吐出方式のオン-ロール(on roll)成形コーター(coater)を用いて誘電体グリーンシートを製造する。
【0165】
誘電体グリーンシートの表面にニッケル(Ni)を含む導電性ペースト層を印刷し、導電性ペースト層が形成された誘電体グリーンシート(横×縦×高さ=3.2mm×2.5mm×2.5mm)を積層および圧着して誘電体グリーンシート積層体を製造する。
【0166】
誘電体グリーンシート積層体を400℃以下、窒素雰囲気で仮焼工程を経て焼成温度1300℃以下、水素濃度1.0% H以下の条件で焼成して実施例および比較例による積層型キャパシタを製造する。
【0167】
(実施例3-1~実施例3-9:BT3を主成分とした積層型キャパシタの製造)
誘電体母材の主成分としてチタン酸バリウム粉末BT2の代わりにBT3を使用したことを除いては、前記実施例2-1~2-9と同様の方法で積層型キャパシタを製造する。
具体的な組成は主成分100モル部に対する副成分のモル数で下記の表5に示した。
【0168】
(実施例4-1~実施例4-9:BT4を主成分とした積層型キャパシタの製造)
誘電体母材の主成分としてチタン酸バリウム粉末BT2の代わりにBT4を使用したことを除いては、前記実施例2-1~2-9と同様の方法で積層型キャパシタを製造する。
具体的な組成は主成分100モル部に対する副成分のモル数で下記の表6に示した。
【0169】
【表4】
【0170】
【表5】
【0171】
【表6】
【0172】
[実験例]
実施例で製造された積層型キャパシタの高温過酷信頼性および耐湿信頼性を評価し、その結果を表7および図9図11に示す。
【0173】
実施例および比較例で製造された積層型キャパシタをそれぞれ40個ずつ準備して測定基板に実装し、高温過酷信頼性(HALT)はESPEC(PV‐222,HALT)機器を用いて150℃、150時間、100V条件で測定し、耐湿信頼性はESPEC(PR‐3J、8585)機器を用いて85℃、相対湿度(R.H.)85%、32V、24時間条件で測定する。
【0174】
図9は一実施例による誘電体粉末を主成分とする結晶粒界抵抗のインピーダンス測定結果を示すグラフである。
【0175】
図10は他の一実施例による誘電体粉末を主成分とする結晶粒界抵抗のインピーダンス測定結果を示すグラフである。
【0176】
図11はまた他の一実施例による誘電体粉末を主成分とする結晶粒界抵抗のインピーダンス測定結果を示すグラフである。
【0177】
【表7】
【0178】
より詳細には、図9は実施例2-1~2-9による誘電体粉末を主成分とする結晶粒界抵抗のインピーダンス測定結果であり、図10は実施例3-1~3-9による誘電体粉末を主成分とする結晶粒界抵抗のインピーダンス測定結果を示すグラフであり、図11は実施例4-1~4-9による誘電体粉末を主成分とする結晶粒界抵抗のインピーダンス測定結果を示すグラフである。
【0179】
表7と図9図11を参照すると、実施例2-1~実施例2-9、実施例3-1~実施例3-9、および実施例4-1~実施例4-9で製造された積層型キャパシタは高温過酷信頼性および耐湿信頼性に優れることがわかる。
【0180】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付する図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これもまた本発明の範囲に属することは言うまでもない。
【符号の説明】
【0181】
100 積層型キャパシタ
110 キャパシタボディ
111 誘電体層
112,113 カバー領域
121 第1内部電極
122 第2内部電極
131 第1外部電極
132 第2外部電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11