(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118430
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】積層型キャパシタ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 516
H01G4/30 513
H01G4/30 201G
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024004530
(22)【出願日】2024-01-16
(31)【優先権主張番号】10-2023-0022144
(32)【優先日】2023-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】金 昇阿
(72)【発明者】
【氏名】延 圭浩
(72)【発明者】
【氏名】李 彩銅
(72)【発明者】
【氏名】具 賢熙
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AH01
5E001AH07
5E001AH09
5E001AJ03
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC33
5E082BC39
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG26
5E082GG28
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】導電性樹脂層の体積を最小化しながら外部からの応力を緩和させることによって、亀裂発生を抑制し、等価直列抵抗(ESR)を増加させ、割れ不良を抑制させることができる積層型キャパシタを提供する。
【解決手段】誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディと、キャパシタボディの外側に配置される外部電極とを含み、外部電極は、焼結金属層およびメッキ層を含む第1領域と、焼結金属層、導電性樹脂層およびメッキ層を含む第2領域とを含み、第1領域におけるメッキ層の平均厚さをT
e1とし、第2領域におけるメッキ層の平均厚さをT
e2とする時、0.2×T
e1<T
e2≦0.8×T
e1である、積層型キャパシタを開示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディと、
前記キャパシタボディの外側に配置される外部電極と、
を含み、
前記外部電極は、前記内部電極に連結された焼結金属層と、前記焼結金属層の一部を覆い、前記焼結金属層の他の一部を露出させるように構成された導電性樹脂層であって、樹脂を含む導電性樹脂層と、前記焼結金属層および導電性樹脂層を覆うメッキ層とを含み、
前記外部電極は、前記焼結金属層および前記メッキ層を含む第1領域と、前記焼結金属層、前記導電性樹脂層および前記メッキ層を含む第2領域と、を含み、
前記第1領域における前記メッキ層の平均厚さをTe1とし、
前記第2領域における前記メッキ層の平均厚さをTe2とする時、
0.2×Te1<Te2≦0.8×Te1である、積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記第1領域における前記メッキ層の最小厚さは、前記第2領域における前記メッキ層の最大厚さより大きい、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記第1領域における前記メッキ層の平均厚さ(Te1)は、6μm~12μmである、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記第2領域における前記メッキ層の平均厚さ(Te2)は、2μm~8μmである、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記キャパシタボディは、前記誘電体層および前記内部電極の積層方向に互いに対向する第1面および第2面と、長手方向に互いに対向する第3面および第4面と、幅方向に互いに対向する第5面および第6面とを有する、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記外部電極は、前記第1面上に配置された第1電極部と、前記第2面上に配置された第2電極部と、前記第5面および前記第6面上に配置された第3電極部と、前記第3面および前記第4面上に配置された第4電極部とを含む、請求項5に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記第1電極部は、前記焼結金属層と、前記導電性樹脂層と、前記メッキ層とを含み、
前記第2電極部は、前記焼結金属層および前記メッキ層を含み、前記導電性樹脂層を含まない、請求項6に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
前記第3電極部は、前記第1領域および前記第2領域を有する、請求項6に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
前記第3電極部における前記第2領域の積層方向の平均長さは、前記第3電極部全体に対して95%以下である、請求項8に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
前記第4電極部は、前記第1領域および前記第2領域を有する、請求項6に記載の積層型キャパシタ。
【請求項11】
前記第4電極部における前記第2領域の積層方向の平均長さは、前記第4電極部全体に対して95%以下である、請求項10に記載の積層型キャパシタ。
【請求項12】
前記第2領域は、前記第1領域より前記第1面側に近づいて位置し、
前記第1領域は、前記第2領域より前記第2面側に近づいて位置する、請求項8または10に記載の積層型キャパシタ。
【請求項13】
前記焼結金属層は、前記第1電極部、前記第2電極部、前記第3電極部の第1領域および第2領域、および前記第4電極部の第1領域および第2領域に位置する、請求項12に記載の積層型キャパシタ。
【請求項14】
前記導電性樹脂層は、前記第1電極部、前記第3電極部の第2領域、および前記第4電極部の第2領域に位置する、請求項12に記載の積層型キャパシタ。
【請求項15】
前記メッキ層は、前記第1電極部、前記第2電極部、前記第3電極部の第1領域および第2領域、および前記第4電極部の第1領域および第2領域に位置する、請求項12に記載の積層型キャパシタ。
【請求項16】
前記焼結金属層は、導電性金属およびガラスを含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項17】
前記導電性樹脂層において、
前記樹脂は、エポキシ系樹脂を含み、
導電性金属は、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、またはこれらの混合物を含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項18】
前記メッキ層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金、またはこれらの混合物を含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、積層型キャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用電気装置および産業用積層型キャパシタ(multi-layer ceramic capacitor、MLCC)は、実装部分およびはんだフィレット付近で応力が集中する環境に露出する。このような応力を解消しない場合、積層型キャパシタ内にクラック(crack)が発生することがあり、クラックは積層型キャパシタの特性低下および信頼性低下に直結する。
【0003】
積層型キャパシタの応力を解消するために、外部電極に導電性樹脂層を導入する。導電性樹脂層を構成する金属とエポキシ樹脂は、実装された積層型キャパシタに加えられる応力を吸収する役割を果たすことができる。
【0004】
しかし、外部電極に導電性樹脂層が導入される場合、長期保管時、吸湿および金属酸化によって浮き上がりまたは割れ不良が発生しうる。また、導電性樹脂層の抵抗は焼結金属層の抵抗に比べて非常に高く、導電性樹脂層の占める比率が高いほど、等価直列抵抗(Equivalent series resistance、ESR)および等価直列インダクタンス(Equivalent Series Inductance、ESL)などの電気的特性が低下する。
【0005】
したがって、樹脂電極の体積を最小化しながら応力を緩和させた積層型キャパシタを開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の一側面は、導電性樹脂層の体積を最小化しながら外部からの応力を緩和させることによって、亀裂発生を抑制し、等価直列抵抗(ESR)を増加させ、割れ不良を抑制させることができる積層型キャパシタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一側面による積層型キャパシタは、誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディと、キャパシタボディの外側に配置される外部電極とを含み、外部電極は、内部電極に連結された焼結金属層と、焼結金属層の一部を覆い、焼結金属層の他の一部を露出させるように構成された導電性樹脂層であって、樹脂を含む導電性樹脂層と、焼結金属層および導電性樹脂層を覆うメッキ層とを含み、外部電極は、焼結金属層およびメッキ層を含む第1領域と、焼結金属層、導電性樹脂層およびメッキ層を含む第2領域とを含む。
【0008】
第1領域におけるメッキ層の平均厚さをTe1とし、第2領域におけるメッキ層の平均厚さをTe2とする時、0.2×Te1<Te2≦0.8×Te1である。
【0009】
第1領域におけるメッキ層の平均厚さ(Te1)は、6μm~12μmであってもよい。
【0010】
第2領域におけるメッキ層の平均厚さ(Te2)は、2μm~8μmであってもよい。
【0011】
キャパシタボディは、誘電体層および内部電極の積層方向に互いに対向する第1面および第2面と、長手方向に互いに対向する第3面および第4面と、幅方向に互いに対向する第5面および第6面とを有することができる。
【0012】
外部電極は、第1面上に配置された第1電極部と、第2面上に配置された第2電極部と、第5面および第6面上に配置された第3電極部と、第3面および第4面上に配置された第4電極部とを含むことができる。
【0013】
第1電極部は、焼結金属層と、導電性樹脂層と、メッキ層とを含むことができる。
【0014】
第2電極部は、焼結金属層およびメッキ層を含み、導電性樹脂層を含まない。
【0015】
第3電極部は、第1領域および第2領域を有することができる。
【0016】
第3電極部における第2領域の積層方向の平均長さは、第3電極部全体に対して95%以下であってもよい。
【0017】
第4電極部は、第1領域および第2領域を有することができる。
【0018】
第4電極部における第2領域の積層方向の平均長さは、第4電極部全体に対して95%以下であってもよい。
【0019】
第2領域は、第1領域より第1面側に近づいて位置することができる。
【0020】
第1領域は、第2領域より第2面側に近づいて位置することができる。
【0021】
焼結金属層は、第1電極部、第2電極部、第3電極部の第1領域および第2領域、および第4電極部の第1領域および第2領域に位置することができる。
【0022】
導電性樹脂層は、第1電極部、第3電極部の第2領域、および第4電極部の第2領域に位置することができる。
【0023】
メッキ層は、第1電極部、第2電極部、第3電極部の第1領域および第2領域、および第4電極部の第1領域および第2領域に位置することができる。
【0024】
焼結金属層は、導電性金属およびガラスを含むことができる。
【0025】
導電性樹脂層において、樹脂は、エポキシ系樹脂を含むことができる。
【0026】
導電性金属は、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、またはこれらの混合物を含むことができる。
【0027】
メッキ層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金、またはこれらの混合物を含むことができる。
【発明の効果】
【0028】
一側面による積層型キャパシタによれば、導電性樹脂層の体積を最小化しながら外部からの応力を緩和させることによって、亀裂発生を抑制し、等価直列抵抗(ESR)を増加させ、割れ不良を抑制させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】一側面による積層型キャパシタの平面図である。
【
図2】一側面による積層型キャパシタの他の平面図である。
【
図3】一側面による積層型キャパシタの側面図である。
【
図4】一側面による積層型キャパシタの他の側面図である。
【
図5】一側面による積層型キャパシタの断面図である。
【
図6】一側面による積層型キャパシタの他の断面図である。
【
図7】実施例2で製造された積層型キャパシタにおける第3電極部を測定した走査電子顕微鏡写真である。
【
図8】
図7における第1領域部分を拡大した走査電子顕微鏡写真である。
【
図9】
図7における第2領域部分を拡大した走査電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付した図面を参照して、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例を詳細に説明する。図面において、本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。また、添付した図面は本明細書に開示された実施例を容易に理解できるようにするためのものに過ぎず、添付した図面によって本明細書に開示された技術的思想が制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むことが理解されなければならない。
【0031】
第1、第2などのような序数を含む用語は多様な構成要素を説明するのに使用できるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0032】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」または「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されていたり、接続されていたり、または対向していてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいと理解されなければならない。これに対し、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」または「直接接続されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないと理解されなければならない。
【0033】
明細書全体において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないと理解されなければならない。したがって、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0034】
図1は、一側面による積層型キャパシタの平面図であり、
図2は、一側面による積層型キャパシタの他の平面図であり、
図3は、一側面による積層型キャパシタの側面図であり、
図4は、一側面による積層型キャパシタの他の側面図であり、
図5は、一側面による積層型キャパシタの断面図であり、
図6は、一側面による積層型キャパシタの他の断面図である。
【0035】
本開示による一側面を明確に説明するために方向を定義すれば、図面に表示されたL軸、W軸およびT軸は、それぞれキャパシタボディ110の長手方向、幅方向および厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向(T軸方向)は、シート形状の構成要素の広い面(主面)に垂直な方向であってもよく、一例として、誘電体層111が積層される積層方向と同じ概念で使用できる。長手方向(L軸方向)は、シート形状の構成要素の広い面(主面)に並んで延びる方向に厚さ方向(T軸方向)と略垂直な方向になり、一例として、両側に第1および第2外部電極131、132が位置する方向であってもよい。幅方向(W軸方向)は、シート形状の構成要素の広い面(主面)に並んで延びる方向に厚さ方向(T軸方向)および長手方向(L軸方向)と略垂直な方向であってもよく、シート形状の構成要素の長手方向(L軸方向)の長さは、幅方向(W軸方向)の長さよりも長い。
【0036】
図1~
図6を参照すれば、本側面による積層型キャパシタ100は、キャパシタボディ110と、キャパシタボディ110の長手方向(L軸方向)に対向する両端に配置される第1および第2外部電極131、132とを含むことができる。
【0037】
キャパシタボディ110は、一例として、略六面体形状であってもよい。
【0038】
本開示では、説明の便宜のために、キャパシタボディ110において厚さ方向(T軸方向)に互いに対向する両面を第1および第2面110a、110b、第1および第2面110a、110bに連結され長手方向(L軸方向)に互いに対向する両面を第3および第4面110e、110f、第1および第2面110a、110bに連結され第3および第4面110e、110fに連結され幅方向(W軸方向)に互いに対向する両面を第5および第6面110c、110dと定義する。
【0039】
一例として、下面の第1面110aが実装方向を向く面になる。また、第1面~第6面110a、110b、110e、110f、110c、110dは、平らであってもよいが、本開示がこれに限定されるものではなく、例えば、第1面~第6面110a、110b、110e、110f、110c、110dは、中央部が凸の曲面であってもよく、各面の境界である角は、ラウンド(round)になっていてもよい。
【0040】
キャパシタボディ110の形状、寸法および誘電体層111の積層数が本実施例の図面に示されたものに限定されるものではない。
【0041】
キャパシタボディ110は、複数の誘電体層111を厚さ方向(T軸方向)に積層してから焼成したものであって、複数の誘電体層111と、誘電体層111を挟んで厚さ方向(T軸方向)に交互に配置される複数の第1および第2内部電極121、122とを含む。一例として、第1および第2内部電極121、122は、互いに異なる極性を有することができる。
【0042】
この時、キャパシタボディ110の互いに隣接するそれぞれの誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いずには確認できないほど一体化される。
【0043】
また、キャパシタボディ110は、アクティブ領域と、カバー領域とを含むことができる。
【0044】
アクティブ領域は、積層型キャパシタ100の容量形成に寄与する部分である。一例として、アクティブ領域は、厚さ方向(T軸方向)に沿って積層される第1および第2内部電極121、122がオーバーラップ(overlap)された領域であってもよい。
【0045】
カバー領域は、マージン部であって、厚さ方向(T軸方向)にアクティブ領域の第1面110aおよび第2面110b側にそれぞれ位置することができる。このようなカバー領域は、単一誘電体層111または2つ以上の誘電体層111がアクティブ領域の上面および下面にそれぞれ積層されたものであってもよい。
【0046】
また、キャパシタボディ110は、側面カバー領域をさらに含むことができる。側面カバー領域は、マージン部であって、幅方向(W軸方向)にアクティブ領域の第5および第6面110c、110d側にそれぞれ位置することができる。このような側面カバー領域は、誘電体グリーンシートの表面に内部電極形成用導電性ペースト層を塗布する時、誘電体グリーンシート表面の一部領域にのみ導電性ペースト層を塗布し、誘電体グリーンシート表面の両側側面には導電性ペースト層を塗布しない誘電体グリーンシートを積層した後、焼成することによって形成される。
【0047】
カバー領域と側面カバー領域は、物理的または化学的ストレスによる第1および第2内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たす。
【0048】
一例として、誘電体層111は、高誘電率のセラミック材料を含むことができる。例えば、セラミック材料は、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、またはCaZrO3などの成分を含む誘電体セラミックを含むことができる。また、これらの成分に、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの補助成分をさらに含むことができる。例えば、BaTiO3系誘電体セラミックに、Ca、Zrなどが一部固溶した(Ba1-xCax)TiO3、Ba(Ti1-yCay)O3、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3またはBa(Ti1-yZry)O3などを含むことができる。
【0049】
また、誘電体層111には、セラミック粉末と共に、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤および分散剤などがさらに添加される。セラミック添加剤は、例えば、遷移金属酸化物または遷移金属炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)などが使用できる。
【0050】
一例として、誘電体層111の平均厚さは、0.5μm~10μmであってもよい。
【0051】
第1および第2内部電極121、122は、互いに異なる極性を有する電極であって、誘電体層111を挟んで厚さ方向(T軸方向)に沿って互いに対向して交互に配置され、一端がキャパシタボディ110の第3および第4面110e、110fを介してそれぞれ露出できる。
【0052】
第1および第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁される。
【0053】
キャパシタボディ110の第3および第4面110e、110fを介して交互に露出する第1および第2内部電極121、122の端部は、第1および第2外部電極131、132とそれぞれ接続されて電気的に連結可能である。
【0054】
第1および第2内部電極121、122は、導電性金属を含み、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、またはAuなどの金属やこれらの合金、例えば、Ag-Pd合金を含むことができる。
【0055】
また、第1および第2内部電極121、122は、誘電体層111に含まれるセラミック材料と同一組成系の誘電体粒子を含むこともできる。
【0056】
第1および第2内部電極121、122は、導電性金属を含む導電性ペーストを用いて形成される。導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができる。
【0057】
一例として、第1および第2内部電極121、122の平均厚さは、0.1μm~2μmであってもよい。
【0058】
第1および第2外部電極131、132は、互いに異なる極性の電圧が提供され、第1および第2内部電極121、122の露出する部分とそれぞれ接続されて電気的に連結可能である。
【0059】
このような構成により、第1および第2外部電極131、132に所定の電圧を印加すると、互いに対向する第1および第2内部電極121、122の間に電荷が蓄積される。この時、積層型キャパシタ100の静電容量は、アクティブ領域においてT軸方向に沿って互いに重なる第1および第2内部電極121、122のオーバーラップされた面積と比例する。
【0060】
第1および第2外部電極131、132は、それぞれ第1~第4電極部131a、132a、131b、132b、131c、132c、131e、132eを有することができる。第1電極部131a、132aは、第1面110a上に配置されている。第2電極部131b、132bは、第2面110b上に配置されている。第3電極部131c、132cは、第5および第6面110c、110d上にそれぞれ配置されている。第4電極部131e、132eは、第3および第4面110e、110f上にそれぞれ配置されている。つまり、第1および第2外部電極131、132は、それぞれ第1および第2面110a、110b、第5および第6面110c、110d、および第3または第4面110e、110fの5個の面に配置されている。互いに隣り合う第1~第4電極部131a、132a、131b、132b、131c、132c、131e、132e同士は、キャパシタボディ110の角部で連結されており、電気的に連結されている。
【0061】
第4電極部131e、132eは、第1および第2内部電極121、122の第3および第4面110e、110fに露出した一端を覆っている。第1および第2内部電極121、122は、第4電極部131e、132eと直接的に連結され、第1および第2内部電極121、122は、それぞれ第1および第2外部電極131、132に電気的に接続されている。
【0062】
第1および第2外部電極131、132は、それぞれ焼結金属層1311、1321と、導電性樹脂層1312、1322と、メッキ層1313、1323とを有する。メッキ層1313、1323は、第1および第2外部電極131、132の最外層を構成している。
【0063】
第1電極部131a、132aは、焼結金属層1311、1321と、導電性樹脂層1312、1322と、メッキ層1313、1323とを有する。つまり、第1電極部131a、132aは、3層構造である。第1電極部131a、132aでは、焼結金属層1311、1321全体が導電性樹脂層1312、1322で覆われる。
【0064】
第2電極部131b、132bは、焼結金属層1311、1321およびメッキ層1313、1323を有し、導電性樹脂層1312、1322を有しない。つまり、第2電極部131b、132bは、2層構造である。
【0065】
第3電極部131c、132cは、第1領域131c1、132c1および第2領域131c2、132c2を有する。第2領域131c2、132c2は、第1領域131c1、132c1より第1面110a側に近づいて位置している。第1領域131c1、132c1は、焼結金属層1311、1321およびメッキ層1313、1323を有し、導電性樹脂層1312、1322を有しない。つまり、第1領域131c1、132c1は、2層構造である。第2領域131c2、132c2は、焼結金属層1311、1321と、導電性樹脂層1312、1322と、メッキ層1313、1323とを有する。つまり、第2領域131c2、132c2は、3層構造である。
【0066】
第4電極部131e、132eは、第1領域131e1、132e1および第2領域131e2、132e2を有する。第2領域131e2、132e2は、第1領域131e1、132e1より第1面110a側に近づいて位置している。第1領域131e1、132e1は、焼結金属層1311、1321およびメッキ層1313、1323を有し、導電性樹脂層1312、1322を有しない。つまり、第1領域131e1、132e1は、2層構造である。第2領域131e2、132e2は、焼結金属層1311、1321と、導電性樹脂層1312、1322と、メッキ層1313、1323とを有する。つまり、第2領域131e2、132e2は、3層構造である。
【0067】
第3電極部131c、132cにおける第2領域131c2、132c2の積層方向(T軸方向)の平均長さは、第3電極部131c、132cの積層方向(T軸方向)の平均長さより小さいか、同一である。一例として、第3電極部131c、132cにおける第2領域131c2、132c2の積層方向(T軸方向)の平均長さは、第3電極部131c、132cの積層方向(T軸方向)の平均長さ対比95%以下であってもよい。第3電極部131c、132cにおける第2領域131c2、132c2の積層方向(T軸方向)の平均長さが第3電極部131c、132cの積層方向(T軸方向)の平均長さ対比95%超過の場合、浮き上がりが発生し、ESRが低下することがある。あるいは、第3電極部131c、132cにおける第2領域131c2、132c2の積層方向(T軸方向)の平均長さは、積層型キャパシタ100を基板に実装する時、はんだが乗り上がってくる高さまでのみ覆うことができるように10%~30%であってもよい。
【0068】
焼結金属層1311、1321は、キャパシタボディ110と直接接触し、キャパシタボディ110の第3および第4面110e、110fにそれぞれ配置されて第1および第2内部電極121、122に連結される。焼結金属層1311、1321は、第1電極部131a、132b、第2電極部131b、132b、第3電極部131c、132cの第1領域131c1、132c1および第2領域131c2、132c2、および第4電極部131e、132eの第1領域131e1、132e1および第2領域131e2、132e2に位置する。つまり、焼結金属層1311、1321は、第1面110a、第2面110b、第3面110e、第4面110f、第5面110c、および第6面110dに位置することができる。
【0069】
導電性樹脂層1312、1322は、焼結金属層1311、1321の一部の領域を覆い、他の一部を露出させるように配置されている。導電性樹脂層1312、1322は、第1電極部131a、132a、第3電極部131c、132cの第2領域131c2、132c2、および第4電極部131e、132eの第2領域131e2、132e2に位置する。導電性樹脂層1312、1322は、第2電極部131b、132b、第3電極部131c、132cの第1領域131c1、132c1、および第4電極部131e、132eの第1領域131e1、132e1に位置しない。つまり、導電性樹脂層1312、1322は、第2面110bには位置せず、第1面110a、第3面110eまたは第4面110f、第5面110c、および第6面110dに位置することができる。
【0070】
メッキ層1313、1323は、導電性樹脂層1312、1322によって覆われずに露出した焼結金属層1311、1321の全体領域を覆うように配置されている。メッキ層1313、1323は、第1電極部131a、132a、第2電極部131b、132b、第3電極部131c、132cの第1領域131c1、132c1および第2領域131c2、132c2、および第4電極部131e、132eの第1領域131e1、132e1および第2領域131e2、132e2に位置する。つまり、メッキ層1313、1323は、第1面110a、第2面110b、第3面110e、第4面110f、第5面110c、および第6面110dに位置することができる。
【0071】
第1~第4電極部131a、132a、131b、132b、131c、132c、131e、132eがそれぞれ有している焼結金属層1311、1321は、一体的に連結可能である。第1、第3、および第4電極部131a、132a、131c、132c、131e、132eがそれぞれ有している導電性樹脂層1312、1322は、一体的に連結可能である。第1~第4電極部131a、132a、131b、132b、131c、132c、131e、132eがそれぞれ有しているメッキ層1313、1323は、一体的に連結可能である。
【0072】
焼結金属層1311、1321は、導電性金属およびガラスを含むことができる。
【0073】
一例として、焼結金属層1311、1321は、導電性金属として、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含むことができ、例えば、銅(Cu)は、銅(Cu)合金を含むことができる。導電性金属が銅を含む場合、銅以外の金属は、銅100モル部に対して5モル部以下で含まれる。
【0074】
一例として、焼結金属層1311、1321は、ガラスとして、酸化物が混合された組成を含むことができ、例えば、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、遷移金属酸化物、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物からなる群より選択された1つ以上であってもよい。遷移金属は、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、銅(Cu)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)からなる群より選択され、アルカリ金属は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)およびカリウム(K)からなる群より選択され、アルカリ土類金属は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびバリウム(Ba)からなる群より選択された1つ以上であってもよい。
【0075】
焼結金属層1311、1321において導電性金属とガラスの含有量は特に限定されないが、例えば、積層型キャパシタ100の幅方向(W軸方向)の中間(1/2)地点から幅方向(W軸方向)に垂直に長手方向(L軸方向)および厚さ方向(T軸方向)に切断した断面における導電性金属の平均面積は、焼結金属層1311、1321の全体面積対比30%~90%、または70%~90%であってもよい。
【0076】
導電性樹脂層1312、1322は、焼結金属層1311、1321上に形成され、例えば、焼結金属層1311、1321を完全に覆う形態で形成される。
【0077】
導電性樹脂層1312、1322は、キャパシタボディ110の第1、第2、第5、および第6面110a、110b、110c、110dに延び、導電性樹脂層1312、1322がキャパシタボディ110の第1、第2、第5、および第6面110a、110b、110c、110dに延びて配置された領域(つまり、バンド部)の長さは、焼結金属層1311、1321がキャパシタボディ110の第1、第2、第5、および第6面110a、110b、110c、110dに延びて配置された領域(つまり、バンド部)の長さより長い。つまり、導電性樹脂層1312、1322は、焼結金属層1311、1321上に形成され、焼結金属層1311、1321を完全に覆う形態で形成される。
【0078】
導電性樹脂層1312、1322は、樹脂および導電性金属を含む。
【0079】
導電性樹脂層1312、1322に含まれる樹脂は、接合性および衝撃吸収性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを作れるものであれば特に制限されず、例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、またはポリイミド樹脂を含むことができる。
【0080】
導電性樹脂層1312、1322に含まれる導電性金属は、焼結金属層1311、1321またはメッキ層1313、1323と電気的に連結されるようにする役割を果たす。
【0081】
導電性樹脂層1312、1322に含まれる導電性金属は、球状、フレーク状、またはこれらの組み合わせの形態を有することができる。つまり、導電性金属は、フレーク状のみからなるか、球状のみからなってもよく、フレーク状と球状とが混合された形態であってもよい。
【0082】
ここで、球状は、完全な球状ではない形態も含むことができ、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短縮)が1.45以下の形態を含むことができる。フレーク状粉末は、平らでかつ細長い形態を有する粉末を意味し、特に制限されるわけではないが、例えば、長軸と短軸の長さ比率(長軸/短縮)が1.95以上であってもよい。
【0083】
導電性樹脂層1312、1322は、導電性金属として、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、またはこれらの混合物を含むことができる。
【0084】
第1および第2外部電極131、132は、導電性樹脂層1312、1322の外側に配置されるメッキ層1313、1323をさらに含むことができる。
【0085】
メッキ層1313、1323は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタン(Ti)または鉛(Pb)などの単独またはこれらの合金を含むことができる。一例として、メッキ層1313、1323は、ニッケル(Ni)メッキ層またはスズ(Sn)メッキ層であってもよく、ニッケル(Ni)メッキ層およびスズ(Sn)メッキ層が順次に積層された形態であってもよく、スズ(Sn)メッキ層、ニッケル(Ni)メッキ層およびスズ(Sn)メッキ層が順次に積層された形態であってもよい。また、メッキ層1313、1323は、複数のニッケル(Ni)メッキ層および/または複数のスズ(Sn)メッキ層を含むこともできる。
【0086】
メッキ層1313、1323は、積層型キャパシタ100の基板との実装性、構造的信頼性、外部に対する耐久度、耐熱性および等価直列抵抗値(Equivalent Series Resistance、ESR)を改善することができる。
【0087】
メッキ層1313、1323は、キャパシタボディ110の第1および第2面110a、110bまたは第5および第6面110c、110dに延び、メッキ層1313、1323がキャパシタボディ110の第1および第2面110a、110bまたは第5および第6面110c、110dに延びて配置された領域(つまり、バンド部)の長さは、導電性樹脂層1312、1322がキャパシタボディ110の第1面および第2面110a、110bまたは第5および第6面110c、110dに延びて配置された領域(つまり、バンド部)の長さより長い。つまり、メッキ層1313、1323は、導電性樹脂層1312、1322上に形成され、導電性樹脂層1312、1322を完全に覆う形態で形成される。
【0088】
一方、導電性樹脂層1312、1322の電気抵抗は、焼結金属層1311、1321の電気抵抗に比べて大きく、導電性樹脂層1312、1322の厚さが厚いほど、つまり、占める大きさが大きくなるほど、導電性樹脂層1312、1322の電気抵抗が大きくなる。これによって、積層型キャパシタ100の等価直列抵抗(ESR)および等価直列インダクタンス(ESL)などの電気的特性に不利に作用する。
【0089】
また、導電性樹脂層1312、1322は、高分子樹脂を含み、高分子樹脂中の-OH(水酸化基)は、導電性樹脂層1312、1322と焼結金属層1311、1321との接合力を向上させるが、導電性金属によって一部の樹脂が酸化することによって、CO2ガスを発生させる。一連の反応で生成されたCO2ガスは、導電性樹脂層1312、1322中のボイド(Void)および焼結金属層1311、1321との界面に布陣し、積層型キャパシタ100を基板に実装する過程、つまり、熱を加える過程で積層型キャパシタ100内の界面の浮き上がりおよび割れを引き起こすことがある。さらに、メッキ層1313、1323の厚さが厚いほど、積層型キャパシタ100が受ける応力が増加し、これによって、積層型キャパシタ100の亀裂を誘発しうる。
【0090】
本開示の一側面は、導電性樹脂層1312、1322の体積を最小化しながらメッキ層1313、1323の厚さの調節により、応力を緩和させ、亀裂発生を抑制し、等価直列抵抗(ESR)を増加させ、割れ不良を抑制させることができる。
【0091】
以下、第1領域131e1、132e1におけるメッキ層1313、1323の平均厚さをTe1とし、第2領域131e2、132e2におけるメッキ層1313、1323の平均厚さをTe2とする。
【0092】
第1領域131e1、132e1におけるメッキ層1313、1323の平均厚さ(Te1)は、第3電極部131c、132cまたは第4電極部131e、132eの第1領域131e1、132e1におけるメッキ層1313、1323の平均厚さであってもよく、第2領域131e2、132e2におけるメッキ層1313、1323の平均厚さ(Te2)は、第3電極部131c、132cまたは第4電極部131e、132eの第1領域131e1、132e1におけるメッキ層1313、1323の平均厚さであってもよい。
【0093】
第3電極部131c、132cにおいて第1領域131c1、132c1および第2領域131c2、132c2のメッキ層1313、1323の厚さは、第3面および第4面110e、110fにおける長手方向(L軸方向)の長さを意味する。第4電極部131e、132eにおいて第1領域131e1、132e1および第2領域131e2、132e2のメッキ層1313、1323の厚さは、第5面および第6面110c、110dにおける幅方向(W軸方向)の長さを意味する。
【0094】
以下、第4電極部131e、132eにおいて第1領域131e1、132e1および第2領域131e2、132e2のメッキ層1313、1323の平均厚さについて主に説明するが、第3電極部131c、132cにおいて第1領域131c1、132c1および第2領域131c2、132c2のメッキ層1313、1323の平均厚さも同一に適用可能である。
【0095】
メッキ層1313、1323の平均厚さは、積層型キャパシタ100の幅方向(W軸方向)の中央(1/2地点)から幅方向(W軸方向)に垂直に長手方向と積層方向に切断した断面(L軸方向およびT軸方向の断面)、または長手方向(L軸方向)の中央(1/2地点)から長手方向(L軸方向)と垂直に幅方向(W軸方向)と積層方向(T軸方向)に切断した断面(以下、「断面」という)を、走査電子顕微鏡(SEM)または走査透過電子顕微鏡(STEM)などによって観察することによって分析することができる。また、その測定は、少なくとも3個、5個、または10個の互いに異なる地点または断面で実施し、その算術平均値を算出することができる。
【0096】
積層型キャパシタ100の断面サンプルは、例えば、積層型キャパシタ100をエポキシ(epoxy)モールドに実装した後、断面が露出するように積層型キャパシタ100を研磨(Polishing)し、Pt coaterに10秒コーティングして用意することができる。
【0097】
走査電子顕微鏡(SEM)は、例えば、thermofisher scientific社のVerios G4製品を用い、分析倍率は100倍であってもよく、第1および第2外部電極131、132と誘電体層111との界面から外側方向に第1および第2外部電極131、132が出られるように測定することができる。
【0098】
第1領域131e1、132e1または第2領域131e2、132e2におけるメッキ層1313、1323の平均厚さは、積層型キャパシタ100の断面サンプルの走査電子顕微鏡(SEM)イメージにおいて、第1領域131e1、132e1または第2領域131e2、132e2の任意の地点を基準点とし、基準点から所定間隔離れた10個の地点での、メッキ層1313、1323の厚さの算術平均値であってもよい。
【0099】
基準点は一例として、厚さ方向(T軸方向)に第1領域131e1、132e1の全体長さの1/4地点、1/2地点、または3/4地点などであってもよく、10個の地点の間隔は、走査電子顕微鏡(SEM)イメージのスケール(scale)に応じて調節することができ、例えば、1μm~100μm、1μm~50μm、または1μm~10μmの間隔であってもよい。
【0100】
この時、10個の地点は、すべて第1領域131e1、132e1または第2領域131e2、132e2内に位置しなければならず、10個の地点がすべて第1領域131e1、132e1内に位置しない場合、基準点の位置を変更したり、10個の地点間の間隔を調節することができる。
【0101】
第1領域131e1、132e1におけるメッキ層1313、1323の平均厚さ(Te1)は、第2領域131e2、132e2におけるメッキ層1313、1323の平均厚さ(Te2)より大きい。
【0102】
例えば、Te2≦0.8×Te1、Te2≦0.7×Te1、Te2≦0.6×Te1、Te2≦0.5×Te1、Te2≦0.4×Te1、Te2≦0.3×Te1、または0.2×Te1<Te2≦0.8×Te1であってもよい。第2領域131e2、132e2におけるメッキ層1313、1323の平均厚さ(Te2)は、第1領域131e1、132e1におけるメッキ層1313、1323の平均厚さ(Te1)100対比20~80である。また、第1領域131e1、132e1におけるメッキ層1313、1323の最小厚さは、第2領域131e2、132e2におけるメッキ層1313、1323の最大厚さより大きい。
【0103】
つまり、導電性樹脂層1312、1322を含む第2領域131e2、132e2では、メッキ層1313、1323の平均厚さ(Te2)がより薄く、導電性樹脂層1312、1322を含まない第1領域131e1、132e1では、メッキ層1313、1323の平均厚さ(Te1)がより厚い。また、積層型キャパシタ100を基板に実装する時、はんだ(solder)と接触する第2領域131e2、132e2におけるメッキ層1313、1323の平均厚さ(Te2)がより薄い。第2領域131e2、132e2におけるメッキ層1313、1323の平均厚さ(Te2)がより薄いことによって、外力作用時、積層型キャパシタ100の耐応力を緩和させて亀裂発生を抑制することによって、曲げ強度特性が改善できる。
【0104】
第1領域131e1、132e1におけるメッキ層1313、1323の平均厚さ(Te1)は、6μm~12μm、または8μm~15μmであってもよい。
【0105】
第2領域131e2、132e2におけるメッキ層1313、1323の平均厚さ(Te2)は、2μm~8μm、または3μm~10μmであってもよい。第2領域131e2、132e2におけるメッキ層1313、1323の平均厚さ(Te2)が2μm未満の場合、メッキが切れることがあり、10μmを超える場合、曲げ強度が低下することがある。
【0106】
他の側面による積層型キャパシタの製造方法は、誘電体層および内部電極を含むキャパシタボディを製造する段階と、キャパシタボディの外側に外部電極を形成する段階とを含む。
【0107】
まず、キャパシタボディの製造について説明する。キャパシタボディの製造工程では、焼成後に誘電体層になる誘電体用ペーストと、焼成後に内部電極になる導電性ペーストを用意する。
【0108】
誘電体用ペーストは、例えば、次のような方法で製造する。セラミック材料を湿式混合などの手段によって均一に混合し、乾燥させた後、所定の条件で熱処理することによって、可塑粉末を得る。得られた可塑粉末に、有機ビヒクルまたは水系ビヒクルを追加して混練し、誘電体用ペーストを調製する。
【0109】
得られた誘電体用ペーストをドクターブレード法などの手法によってシート化することによって、誘電体グリーンシートを得る。また、誘電体用ペーストには、必要に応じて、各種分散剤、可塑剤、誘電体、副成分化合物、またはガラスなどから選択される添加物が含まれていてもよい。
【0110】
内部電極用導電性ペーストは、導電性金属またはその合金からなる導電性粉末とバインダーや溶剤とを、混練して調製する。内部電極用導電性ペーストには、必要に応じて、共材としてセラミック粉末(例えば、チタン酸バリウム粉末)が含まれる。共材は、焼成過程で導電性粉末の焼結を抑制する作用が可能である。
【0111】
誘電体グリーンシートの表面に、スクリーン印刷などの各種印刷法や転写法によって、内部電極用導電性ペーストを所定のパターンに塗布する。そして、内部電極パターンを形成した誘電体グリーンシートを複数層にわたって積層した後、積層方向にプレスすることによって誘電体グリーンシート積層体を得る。この時、誘電体グリーンシート積層体の積層方向の上面および下面には、誘電体グリーンシートが位置するように、誘電体グリーンシートと内部電極パターンとを積層することができる。
【0112】
選択的に、得られた誘電体グリーンシート積層体をダイシングなどによって所定の寸法に切断することができる。
【0113】
また、誘電体グリーンシート積層体は、必要に応じて、可塑剤などを除去するために固化乾燥することができ、固化乾燥後に、水平遠心バレル機などを用いてバレル研磨することができる。バレル研磨では、誘電体グリーンシート積層体をメディアおよび研磨液と共に、バレル容器内に投入し、そのバレル容器に対して回転運動や振動などを付与することによって、切断時に発生したバリなどの不要部分を研磨することができる。さらに、バレル研磨後、誘電体グリーンシート積層体は、水などの洗浄液で洗浄して乾燥できる。
【0114】
誘電体グリーンシート積層体を脱バインダー処理および焼成処理してキャパシタボディを得る。
【0115】
脱バインダー処理の条件は、誘電体層の主成分の組成や内部電極の主成分の組成により適切に調節可能である。例えば、脱バインダー処理時の昇温速度は5℃/時間~300℃/時間、支持温度は180℃~400℃、温度維持時間は0.5時間~24時間であってもよい。脱バインダー雰囲気は、空気または還元性雰囲気であってもよい。
【0116】
焼成処理の条件は、誘電体層の主成分の組成や内部電極の主成分の組成により適切に調節可能である。例えば、焼成時の温度は、1200℃~1350℃、または1220℃~1300℃であってもよく、時間は、0.5時間~8時間、または1時間~3時間であってもよい。焼成雰囲気は、還元性雰囲気であってもよく、例えば、窒素ガス(N2)と水素ガス(H2)との混合ガスを加湿した雰囲気であってもよい。内部電極がニッケル(Ni)またはニッケル(Ni)合金を含む場合、焼成雰囲気中の酸素分圧は、1.0×10-14MPa~1.0×10-10MPaであってもよい。
【0117】
焼成処理後には、必要に応じて、アニーリングを実施できる。アニーリングは、誘電体層を再酸化させるための処理であり、焼成処理を還元性雰囲気で実施した場合には、アニーリングを実施できる。アニーリング処理の条件も、誘電体層の主成分の組成などにより適切に調節可能である。例えば、アニーリング時の温度は、950℃~1150℃であってもよく、時間は、0時間~20時間であってもよく、昇温速度は、50℃/時間~500℃/時間であってもよい。アニーリング雰囲気は、加湿した窒素ガス(N2)雰囲気であってもよく、酸素分圧は、1.0×10-9MPa~1.0×10-5MPaであってもよい。
【0118】
脱バインダー処理、焼成処理、またはアニーリング処理において、窒素ガスや混合ガスなどを加湿するためには、例えば、ウェッター(wetter)などを使用することができ、この場合、水温は、5℃~75℃であってもよい。脱バインダー処理、焼成処理、およびアニーリング処理は、連続して行うことができ、独立して行ってもよい。
【0119】
選択的に、得られたキャパシタボディの第3および第4面に対して、サンドブラスティング処理、レーザ照射、またはバレル研磨などの表面処理を実施できる。このような表面処理を実施することによって、第3および第4面の最表面に第1および第2内部電極の端部が露出し、これによって、第1および第2外部電極と第1および第2内部電極との電気的接合が良好になり、合金部が形成されやすくなる。
【0120】
選択的に、得られたキャパシタボディの外面に、焼結金属層形成用ペーストを塗布した後、焼結させて、焼結金属層を形成することができる。
【0121】
焼結金属層形成用ペーストは、導電性金属とガラスとを含むことができる。導電性金属とガラスに関する説明は上述したものと同一であるので、繰り返しの説明は省略する。また、焼結金属層形成用ペーストは、選択的に、バインダー、溶剤、分散剤、可塑剤、または酸化物粉末などの副成分を含むことができる。例えば、バインダーは、エチルセルロース、アクリル、またはブチラール(butyral)などを使用することができ、溶剤は、テルピネオール、ブチルカルビトール、アルコール、メチルエチルケトン、アセトン、またはトルエンなどの有機溶剤や、水系溶剤を使用することができる。
【0122】
焼結金属層形成用ペーストをキャパシタボディの外面に塗布する方法としては、ディップ法、またはスクリーン印刷などの各種印刷法、ディスペンサなどを用いた塗布法、またはスプレーを用いた噴霧法などを使用することができる。焼結金属層用ペーストは、少なくともキャパシタボディの第3および第4面に塗布され、選択的に、第1および第2外部電極のバンド部が形成される第1面、第2面、第5面、または第6面の一部にも塗布可能である。
【0123】
以後、焼結金属層形成用ペーストが塗布されたキャパシタボディを乾燥させ、700℃~1000℃の温度で0.1時間~3時間焼結させて、焼結金属層を形成する。
【0124】
得られたキャパシタボディの外面に、導電性樹脂層形成用ペーストを塗布した後、硬化させて、導電性樹脂層を形成することができる。
【0125】
導電性樹脂層形成用ペーストは、樹脂と、選択的に、導電性金属または非導電性フィラーとを含むことができる。導電性金属と樹脂に関する説明は上述したものと同一であるので、繰り返しの説明は省略する。また、導電性樹脂層形成用ペーストは、選択的に、バインダー、溶剤、分散剤、可塑剤、または酸化物粉末などの副成分を含むことができる。例えば、バインダーは、エチルセルロース、アクリル、またはブチラール(butyral)などを使用することができ、溶剤は、テルピネオール、ブチルカルビトール、アルコール、メチルエチルケトン、アセトン、またはトルエンなどの有機溶剤や、水系溶剤を使用することができる。
【0126】
一例として、導電性樹脂層の形成方法は、導電性樹脂層形成用ペーストにキャパシタボディ110をディッピングして形成した後、硬化させたり、導電性樹脂層用ペーストをキャパシタボディ110の表面にスクリーン印刷法またはグラビア印刷法などで印刷したり、導電性樹脂層用ペーストをキャパシタボディ110の表面に塗布した後、硬化させて形成することができる。
【0127】
ただし、この時、導電性樹脂層形成用ペーストは、焼結金属層の一部を覆い、他の一部を露出させるように塗布される。例えば、導電性樹脂層が第2面には位置せず、第1面、第3面の一部、第5面の一部、および第6面の一部に位置するように、導電性樹脂層形成用ペーストを塗布することができる。
【0128】
次に、導電性樹脂層の外側にメッキ層を形成する。
【0129】
一例として、メッキ層は、メッキ法によって形成され、スパッタまたは電解メッキ(Electric Deposition)によって形成されてもよい。
【0130】
この時、レーザを用いた部分メッキ装置または被メッキ体を部分的にメッキ溶液に浸漬する方法により、第1領域と第2領域でのメッキ層の平均厚さを異なるように形成することができる。また、一般的なバレルメッキ方法を用いる場合にも、材料の差によってメッキシード(Seed)の形成速度が異なるにつれ、第1領域でのメッキ層の平均厚さ対比、第2領域でのメッキ層の平均厚さを異なるように形成することができる。
【0131】
以下、発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記に記載の実施例は発明を具体的に例示または説明するためのものに過ぎず、これによって発明の範囲が制限されてはならない。
【0132】
[製造例:積層型キャパシタの製造]
チタン酸バリウム(BaTiO3)粉末を含むペーストをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布した後、乾燥して誘電体グリーンシートを複数製造する。
【0133】
ニッケル(Ni)を含む導電性ペーストをスクリーン印刷を用いて誘電体グリーンシート上に塗布して導電性ペースト層を形成する。
【0134】
導電性ペースト層の少なくとも一部が重なるようにしながら誘電体グリーンシートを複数層積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する。
【0135】
誘電体グリーンシート積層体を個別チップの形態に切断した後、大気雰囲気下、230℃、60時間維持して脱バインダーを進行させ、1200℃で焼成してキャパシタボディを製造する。
【0136】
次に、ガラスと、導電性金属として銅(Cu)とを含む焼結金属層用ペーストをキャパシタボディの外面にディップ法で塗布し、乾燥させた後、焼結して焼結金属層を形成する。
【0137】
次に、エポキシ樹脂と、導電性金属として銅(Cu)とを含む導電性樹脂層用ペーストをキャパシタボディの外面にディップ法で塗布した後、硬化させて導電性樹脂層を形成する。ただし、この時、導電性樹脂層形成用ペーストは、第2面には塗布せず、第1面、第3面の一部、第5面の一部、および第6面の一部に塗布することができる。
【0138】
導電性樹脂層を形成した後、ニッケル(Ni)およびスズ(Sn)メッキを進行させて、実施例および比較例による積層型キャパシタを製造する。この時、バレルメッキ方法を用い、材料の差によってメッキシード(Seed)の形成速度が異なるにつれ、同一の電流密度および時間条件下、第1領域でのメッキ層の平均厚さ対比、第2領域でのメッキ層の平均厚さを表1のように異なるように形成する。
【0139】
[実験例1:積層型キャパシタの性能測定]
製造例で製造された積層型キャパシタに対して、第1領域および第2領域におけるメッキ層の平均厚さを測定する。
【0140】
製造された積層型キャパシタをエポキシモールドに実装し、L軸方向およびT軸方向の面(例えば、第5面)をW軸方向に沿って約1/2程度の深さに研磨した後、Pt coaterに10秒コーティングして断面サンプルを用意する。
【0141】
用意された断面サンプルにおいて、第1または第2接続部と第1または第2バンド部が見える位置をそれぞれ、SEM(Scanning Electron Microscope)装置のBSEモードで、分析倍率100倍で測定する。
【0142】
走査電子顕微鏡(SEM)イメージにおいてメッキ層の平均厚さを測定する方法は上述したものと同一であるので、繰り返しの説明は省略する。
【0143】
図7は、実施例2で製造された積層型キャパシタにおける第3電極部を測定した走査電子顕微鏡写真であり、
図8は、
図7における第1領域部分を拡大した走査電子顕微鏡写真であり、
図8を用いて第1領域におけるメッキ層の平均厚さを測定することができ、
図8で測定された第1領域におけるメッキ層の平均厚さは、6.5μmである。
図9は、
図7における第2領域部分を拡大した走査電子顕微鏡写真であり、
図9を用いて第2領域におけるメッキ層の平均厚さを測定することができ、
図9で測定された第2領域におけるメッキ層の平均厚さは、4.4μmである。
【0144】
[実験例2]
実施例および比較例で製造された積層型キャパシタに対して、曲げ強度を測定する。
【0145】
実施例および比較例による積層型キャパシタをそれぞれ20個用意する。曲げ強度基板(PCB)に積層型キャパシタを実装(soldering)した後、リフロー(Reflow)して基板に固定させる。
【0146】
曲げ強度測定装置は、一例として、Tira社のTT28025S、Keithely 6485*4、Keithely 6487*1であってもよい。
【0147】
曲げ強度は、3点曲げ形態の実験として90mm間隔の2つの支持台の間に積層型キャパシタが中間にくるように基板を置き、初期電荷充電と評価中のリーク電流を測定するために計測器と連結する。連結が完了した後、曲げ強度測定設備を用いて基板を押してベンディング(bending)させ、同時に5mmが押された時、積層型キャパシタに充電された電荷がリークされたかを電流測定の方法で確認する。以後、積層型キャパシタの断面を観察して不良モードを判別する。
【0148】
【0149】
表1を参照すれば、実施例1~実施例3のように、第2領域でのメッキ層の平均厚さが第1領域でのメッキ層の平均厚さ対比80%以下の場合、比較例1および比較例2のように、第2領域でのメッキ層の平均厚さが第1領域でのメッキ層の平均厚さ対比80%を超える場合に比べて、曲げクラックの発生が明確に減少していることが分かる。
【0150】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0151】
100:積層型キャパシタ
110:キャパシタボディ
111:誘電体層
121:第1内部電極
122:第2内部電極
131:第1外部電極
132:第2外部電極
1311、1321:焼結金属層
1312、1322:導電性樹脂層
1313、1323:メッキ層
110a、110b:第1および第2面
110e、110f:第3および第4面
110c、110d:第5および第6面
131a、132a:第1電極部
131b、132b:第2電極部
131c、132c:第3電極部
131e、132e:第4電極部
131c1、132c1:第1領域
131c2、132c2:第2領域
131e1、132e1:第1領域
131e2、132e2:第2領域